説明

液体噴射装置

【課題】装置自体を複雑化させることなく、長期に亘って使用する場合においても液体噴射ヘッドにおけるノズル形成面のクリーニングを確実に行うことができる液体噴射装置を提供する。
【解決手段】インクジェット式プリンタは制御部を備え、該制御部のROMにはインク堆積抑制処理ルーチンが記憶されている。そして、CPUは、インク堆積抑制処理ルーチンのうちステップS10〜S16までの判定処理の結果、その処理がステップS17に移行した場合に、昇降装置を駆動させてキャップによる記録ヘッドのノズル形成面の封止を解除する。続いて、CPUは、圧電素子を駆動させて記録ヘッドからシアンインクを分散用液体として吐出させると共に、該シアンインクを吸引ポンプにて吸引して廃液タンク内に排出させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばインクジェット式プリンタ等の液体噴射装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の液体噴射装置として、例えば特許文献1に記載のインクジェット式プリンタ(以下、「プリンタ」と略記する。)が提案されている。このプリンタは、インクカートリッジと記録ヘッド(液体噴射ヘッド)とを備えており、記録ヘッドの下面であるノズル形成面には、複数の液体噴射ノズルが設けられている。そして、プリンタは、液体噴射ノズルがインクカートリッジから供給されたインク(液体)をインク滴として印刷用紙(ターゲット)に噴射(吐出)することにより、印刷用紙に対して印刷を行うようになっている。
【0003】
また、上記プリンタでは、記録ヘッドの液体噴射ノズルから噴射されるインクの噴射不良を低減するために、液体噴射ノズルから気泡や増粘したインク等を排出させるクリーニングが適宜行われる。すなわち、プリンタには、ノズル形成面を封止するためのキャップ(封止手段)と、キャップにチューブを介して連通する吸引ポンプ(吸引手段)と、廃液タンクとが設けられている。クリーニングを行う場合には、キャップにてノズル形成面を封止した状態で吸引ポンプを駆動させる。そして、吸引ポンプは、液体噴射ノズルから増粘したインクや気泡などを吸引し、その吸引したインクや気泡などを廃液タンク内に排出チューブを介して排出させるようになっている。
【特許文献1】特開2000−280488号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記のクリーニングが行われた場合、廃液タンク内には比較的粘性の高いインクが排出されることになる。そのため、排出チューブの排出口から排出されたインクは、廃液タンク内で塊状をなすように堆積してしまうという実情があった。すなわち、複数回クリーニングが行われたことにより、廃液タンク内に比較的粘性の高いインクが徐々に堆積して、そのインクからなる堆積物が廃液タンク内まで延びる排出チューブの排出口を塞いでしまうことがあった。また、堆積物は、時間が経過するに従って、次第に増粘又は固化が進行してしまうという実情もあった。このような状況においては、さらにクリーニングが行われたとしても、吸引ポンプは、インクを廃液タンク内に排出することができず、インクによって排出チューブ内が詰まってしまう虞があった。すなわち、特許文献1に記載のプリンタでは、廃液タンク内まで延びる排出チューブ内にインクが詰まってしまい、その結果、クリーニングが行いにくくなるという問題があった。
【0005】
本発明は、このような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、装置自体を複雑化させることなく、長期に亘って使用する場合においても液体噴射ヘッドにおけるノズル形成面のクリーニングを確実に行うことができる液体噴射装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明の液体噴射装置は、顔料を含む複数種類の液体を吐出手段の駆動に基づいて吐出する液体噴射ヘッドと、該液体噴射ヘッドのノズル形成面を封止する封止手段と、該封止手段により前記ノズル形成面を封止した状態で前記液体噴射ヘッドから前記各液体を吸引する吸引手段と、該吸引手段が前記液体噴射ヘッドから吸引した前記各液体を廃液として回収する廃液タンクとを備える液体噴射装置において、前記液体噴射ヘッドから前記封止手段に向けて前記各液体のうち少なくとも一種類の液体が分散用液体として吐出されるように、該分散用液体に対応した吐出手段を駆動させ、該吐出手段の駆動に基づき吐出された分散用液体を前記吸引手段に吸引させる制御手段を備えた。
【0007】
この発明によれば、吐出手段の駆動に基づき液体噴射ヘッドから封止手段に向けて分散用液体が吐出され、該分散用液体が吸引手段の駆動によって廃液タンク内に排出される。ここで、もし仮に廃液タンク内に排出された各液体が増粘した状態で塊状をなすように堆積していたとすると、その増粘した各液体からなる堆積物の成長により廃液タンク内への新たな液体の排出が阻害されてしまう。しかし、本発明では、堆積物の主成分となる顔料が分散用液体内に再分散することにより、堆積物が溶解する。そのため、吸引手段の駆動に基づき各液体を廃液タンク内に排出させることが、各液体からなる堆積物によって抑制されることはない。また、堆積物を溶解させるために、専用の液体を分散用液体として別途用意する必要もないし、専用の装置を別途設ける必要もない。従って、装置自体を複雑化させることなく、長期に亘って使用する場合においても液体噴射ヘッドにおけるノズル形成面のクリーニングを確実に行うことができる。
【0008】
本発明の液体噴射装置は、前記制御手段が、前記液体噴射ヘッドから前記封止手段に向けて前記各液体のうち相対的に顔料を分散させる能力が高い液体が分散用液体として吐出されるように、該分散用液体に対応した吐出手段を駆動させる。
【0009】
この発明によれば、分散用液体は、各液体のうち相対的に顔料を分散させる能力が高い液体であるため、廃液タンク内に形成された堆積物を、該堆積物の主成分となる顔料をより効率的に再分散させることにより、速やかに溶解させることができる。
【0010】
本発明の液体噴射装置は、前記吐出手段の駆動に基づき前記液体噴射ヘッドから前記分散用液体が吐出されてからの経過時間を検出する吐出経過時間検出手段と、該吐出経過時間検出手段により検出された検出経過時間が予め定めた閾値経過時間を超えたか否かを判定する経過時間判定手段とをさらに備え、該経過時間判定手段による判定結果が肯定判定である場合に、前記制御手段は、前記液体噴射ヘッドから前記封止手段に向けて前記分散用液体が吐出されるように該分散用液体に対応した吐出手段を駆動させ、該分散用液体を前記吸引手段に吸引させる。
【0011】
この発明によれば、分散用液体が閾値経過時間ごとに廃液タンク内に排出されることになる。そのため、廃液タンク内において各液体からなる堆積物が、生成されていなかったり、廃液タンク内への新たな液体の排出を阻害するまで成長していなかったりした場合に、分散用液体が廃液タンク内に排出されることを抑制できる。すなわち、分散用液体の浪費を抑制できる。
【0012】
本発明の液体噴射装置は、液体噴射装置の電源スイッチが断状態とされたか否かを判定する電源断判定手段をさらに備え、該電源断判定手段による判定結果が肯定判定である場合に、前記制御手段は、前記液体噴射ヘッドから前記封止手段に向けて前記分散用液体が吐出されるように該分散用液体に対応した吐出手段を駆動させ、該分散用液体を前記吸引手段に吸引させる。
【0013】
この発明によれば、液体噴射装置の電源スイッチが断状態とされた場合には、分散用液体を廃液タンク内に排出させる。そのため、その後、液体噴射装置が長期にわたって使用されない場合に、廃液タンク内において各液体からなる堆積物が生成されてしまうことを抑制できる。
【0014】
本発明の液体噴射装置は、前記吸引手段の駆動に基づき前記液体噴射ヘッドから吐出された各液体が前記吸引手段によって吸引されたか否かを判定する吸引判定手段をさらに備え、該吸引判定手段による判定結果が肯定判定である場合に、前記制御手段は、前記液体噴射ヘッドから前記封止手段に向けて前記分散用液体が吐出されるように該分散用液体に対応した吐出手段を駆動させ、該分散用液体を前記吸引手段に吸引させる。
【0015】
この発明によれば、吸引手段の駆動に基づき液体噴射ヘッドから吐出された各液体が廃液タンク内に排出された後に、分散用液体が廃液タンク内に排出される。すなわち、各液体が比較的粘性を有する状態のうちに、分散用液体が廃液タンク内に排出されることになるため、廃液タンク内にて各液体からなる堆積物を、該堆積物が増粘した場合に比して速やかに溶解させることができる。
【0016】
本発明の液体噴射装置は、前記吸引手段の駆動に基づき前記液体噴射ヘッドから吐出された各液体が前記吸引手段によって吸引されてからの経過時間を検出する吸引経過時間検出手段と、該吸引経過時間検出手段により検出された検出経過時間が予め定めた閾値経過時間を超えたか否かを判定する吸引経過時間判定手段とをさらに備え、該吸引経過時間判定手段による判定結果が肯定判定である場合に、前記制御手段は、前記液体噴射ヘッドから前記封止手段に向けて前記分散用液体が吐出されるように該分散用液体に対応した吐出手段を駆動させ、該分散用液体を前記吸引手段に吸引させる。
【0017】
この発明によれば、吸引手段の駆動に基づき液体噴射ヘッドから吐出された各液体が廃液タンク内に排出されてから閾値経過時間が経過した後に、分散用液体が廃液タンク内に排出される。すなわち、各液体からなる堆積物が乾燥して固化する前に、分散用液体が廃液タンク内に排出されることになるため、廃液タンク内の堆積物を、該堆積物が固化してしまった場合に比して速やかに溶解させることができる。
【0018】
本発明の液体噴射装置は、雰囲気温度を検出する温度検出手段と、該温度検出手段により検出された検出温度が予め定めた閾値温度以上であるか否かを判定する温度判定手段とをさらに備え、該温度判定手段による判定結果が肯定判定である場合に、前記制御手段は、前記液体噴射ヘッドから前記封止手段に向けて前記分散用液体が吐出されるように該分散用液体に対応した吐出手段を駆動させ、該分散用液体を前記吸引手段に吸引させる。
【0019】
この発明によれば、廃液タンク内に排出された各液体が乾燥しやすい閾値温度以上の雰囲気内に配置されていると検知した場合に、分散用液体が廃液タンク内に排出される。そのため、廃液タンク内にて各液体からなる堆積物を、増粘又は固化が進行する前に溶解させることができる。
【0020】
本発明の液体噴射装置は、雰囲気湿度を検出する湿度検出手段と、該湿度検出手段により検出された検出湿度が予め定めた閾値湿度以下であるか否かを判定する湿度判定手段とをさらに備え、該湿度判定手段による判定結果が肯定判定である場合に、前記制御手段は、前記液体噴射ヘッドから前記封止手段に向けて前記分散用液体が吐出されるように該分散用液体に対応した吐出手段を駆動させ、該分散用液体を前記吸引手段に吸引させる。
【0021】
この発明によれば、廃液タンク内に排出された各液体が乾燥しやすい閾値湿度以下の雰囲気内に配置されていると検知した場合に、分散用液体が廃液タンク内に排出される。そのため、廃液タンク内にて各液体の顔料からなる堆積物を、増粘又は固化が進行する前に溶解させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、本発明をインクジェット式プリンタに具体化した実施形態を図1〜図5に従って説明する。なお、以下における本明細書中の説明において、「上下方向」、「左右方向」は図1における上下方向、左右方向をそれぞれ示すものとする。
【0023】
図1に示すように、液体噴射装置としてのインクジェット式プリンタ11は、フレーム12を備えており、該フレーム12にはプラテン13が架設されている。このプラテン13上には、紙送りモータ14を有する紙送り機構により記録用紙(ターゲット)Pが給送されるようになっている。また、フレーム12には、プラテン13の長手方向(左右方向)と平行に、棒状のガイド部材15が架設されている。このガイド部材15には、キャリッジ16が該ガイド部材15の軸線方向に往復移動可能に挿通支持されている。キャリッジ16は、フレーム12に設けられたタイミングベルト17を介してキャリッジモータ18に連結されており、該キャリッジモータ18の駆動により、ガイド部材15に沿って往復移動するようになっている。
【0024】
図2に示すように、キャリッジ16の下面には、記録ヘッド(液体噴射ヘッド)19が搭載されている。そして、記録ヘッド19の下面はノズル形成面20とされており、該ノズル形成面20には複数(図2では4つのみ図示)の液体噴射ノズル21が設けられている。キャリッジ16における記録ヘッド19の上側には、インクカートリッジ22が着脱可能に搭載されており、該インクカートリッジ22内には、顔料を含む複数種類(複数色)のインク(液体)がそれぞれ記録ヘッド19に供給可能な状態で貯留されている。そして、記録ヘッド19に設けられた吐出手段としての圧電素子PZ(図3参照)の駆動により、インクカートリッジ22から記録ヘッド19へと各インクが供給され、該各インクが各液体噴射ノズル21からプラテン13上に給送された記録用紙Pにそれぞれ噴射されて印刷が行われるようになっている。
【0025】
フレーム12内の右端部に位置する非印刷領域には、記録ヘッド19のノズル形成面20(各液体噴射ノズル21)をクリーニングするためのクリーニング装置23が設けられている。このクリーニング装置23には、本体ケース24が設けられている。また、クリーニング装置23には、その本体ケース24の上部に配置されるキャップ支持部材25と、該キャップ支持部材25に支持されるキャップ(封止手段)26と、該キャップ26を昇降移動させるための昇降装置27(図3参照)とが設けられている。本体ケース24内には、吸引ポンプ(吸引手段)28と廃液タンク29とが設けられている。そして、吸引ポンプ28は、吸引チューブ30を介してキャップ26と連結されると共に、排出チューブ31を介して廃液タンク29と連結されている。なお、図2においては、説明理解の便宜上、本体ケース24、キャップ支持部材25及び昇降装置27を省略している。
【0026】
キャップ26は有底箱状をなしており、該キャップ26における周壁の上面全体には、可撓性材料からなる四角枠状をなすシール部材32が設けられている。また、キャップ26の底壁には、吸引ポンプ28から延びる吸引チューブ30との連結部位となる連結部33が下方に向かって突設されており、該連結部33内には連結通路33aが形成されている。そして、キャリッジ16を非印刷領域に移動させた状態で、昇降装置27によってキャップ26を上昇させた場合に、該キャップ26は、記録ヘッド19のノズル形成面20(各液体噴射ノズル21)を封止すると共に、該ノズル形成面20との間にキャップ内空間Sを形成するようになっている。
【0027】
吸引ポンプ28は、キャップ26がノズル形成面20を封止した状態で吸引ポンプ28を駆動させた場合、密閉されたキャップ内空間Sを減圧させ、各液体噴射ノズル21から各インク(特に増粘したインク)や気泡などを吐出させるようになっている。そして、これら各インクなどは、キャップ内空間Sから吸引チューブ30を介して吸引ポンプ28内に回収され、該吸引ポンプ28から排出チューブ31を介して廃液タンク29内に排出されるようになっている。
【0028】
廃液タンク29は、上方が開口した有底箱状をなしており、その内部には多孔質部材からなる廃液吸収材34が収容されている。また、廃液タンク29内には、排出チューブ31の排出口31aが廃液吸収材34の上方位置に配置されている。そのため、吸引ポンプ28から排出チューブ31内を流動してきた各インクなどは、排出口31aから廃液吸収材34の上面34aに向けて排出される。そして、廃液タンク29内に排出された各インクは、その大部分が該廃液吸収材34に吸収される一方、残りの一部が廃液吸収材34上に堆積してしまう。すなわち、廃液吸収材34に吸収されなかった各インクによって、該各インクの顔料を主成分とする塊状をなす堆積物Kが排出口31aの下方位置に形成される。この堆積物Kは、各インクの溶媒が徐々に気化することより、粘性が徐々に高くなり、最終的には固化してしまうことがある。
【0029】
上記インクカートリッジ22には、複数種類(本実施形態では4種類)のインクが各別に貯留されており、該各インクは水や分散液などから形成される溶媒に顔料を分散させることにより形成されている。すなわち、インクカートリッジ22には、ブラック顔料(例えば、カーボンブラック)を5質量%含有するインク(以下、「ブラックインク」と示す。)と、シアン顔料(例えばフタロシアニン化合物)を4質量%含有するインク(以下、「シアンインク」と示す。)とが貯留されている。また、インクカートリッジ22には、マゼンタ顔料(例えばキナクリドン化合物)を6質量%含有するインク(以下、「マゼンタインク」と示す。)と、イエロー顔料(例えばアゾ化合物)を6質量%含有するインク(以下、「イエローインク」と示す。)とが貯留されている。
【0030】
上述したように、シアンインクは、該シアンインク以外の各インクに比して顔料の含有量が最も少なくなるように生成されている。換言すれば、シアンインクは、該シアンインク以外の各インクに比して水分含有量が最も多いことになる。そのため、廃液吸収材34上に形成された堆積物Kにシアンインクを吹き掛けた場合は、堆積物Kにシアンインク以外のインクを吹き掛けた場合に比して、堆積物Kを構成する各顔料が、効率良くインクを構成する溶媒によって薄められたり再分散したりするようになっている。従って、本実施形態では、シアンインクが各インクのうち最も顔料を分散させる能力が高いインク(液体)である分散用液体として機能するようになっている。
【0031】
次に、本実施形態のインクジェット式プリンタ11の電気的構成について図3に基づき以下説明する。
図3に示すように、インクジェット式プリンタ11には、制御部35が設けられている。この制御部35には、インクジェット式プリンタ11の電源スイッチSWと、雰囲気温度を検出するための温度センサSE1と、雰囲気湿度を検出するための湿度センサSE2と、各種タイマTM1,TM2,TM3とが接続されている。各タイマTM1〜TM3のうちタイマ(以下、「第1タイマ」と示す。)TM1は、最後に圧電素子PZの駆動に基づき液体噴射ノズル21からシアンインクがキャップ26内に向けて吐出されてから(すなわち、廃液タンク29内に排出されてから)の経過時間を計測している。すなわち、本実施形態では、第1タイマTM1が圧電素子(吐出手段)PZの駆動に基づき液体噴射ノズル21からシアンインク(分散用液体)がキャップ(封止手段)26に向けて吐出されてからの経過時間を検出する吐出経過時間検出手段として機能するようになっている。
【0032】
また、タイマ(以下、「第2タイマ」と示す。)TM2は、最後にクリーニング装置23によるノズル形成面20のクリーニングが行われてからの経過時間を計測している。すなわち、本実施形態では、第2タイマTM2が吸引ポンプ(吸引手段)28の駆動に基づき液体噴射ノズル21から吐出された各インクが吸引ポンプ28によって吸引されてからの経過時間を検出する吸引経過時間検出手段として機能するようになっている。また、タイマ(以下、「第3タイマ」と示す。)TM3は、各インクの増粘又は固化が進行しやすい環境下にインクジェット式プリンタ11が配置されている期間を計測している。具体的には、温度センサSE1からの信号に基づき制御部35(後述するCPU36)が検出した温度が予め定めた閾値温度以上である場合に、又は湿度センサSE2からの信号に基づき制御部35(CPU36)が検出した湿度が予め定めた閾値湿度以下である場合に、第3タイマTM3は計測を開始するようになっている。
【0033】
また、制御部35はCPU(制御手段)36を備えており、該CPU36にはROM37及びRAM38が接続されている。ROM37には、記録用紙Pに各インクを噴射するための制御プログラムや、記録ヘッド19におけるノズル形成面20のクリーニングを行うための制御プログラムなどが記憶されている。また、ROM37には、各種閾値(閾値温度や閾値湿度など)が記憶管理されている。RAM38には、インクジェット式プリンタ11の動作中に適宜書き換えられる各種の情報が記憶されるようになっている。すなわち、RAM38には、温度センサSE1からの信号に基づきCPU36が検出した検出温度、湿度センサSE2からの信号に基づきCPU36が検出した検出湿度、及び各タイマTM1〜TM3にて計測された各種経過時間などが記憶されるようになっている。この点で、本実施形態では、温度センサSE1及びCPU36により、インクジェット式プリンタ11が設置された雰囲気温度を検出する温度検出手段が構成されている。また、湿度センサSE2及びCPU36により、インクジェット式プリンタ11が設置された雰囲気湿度を検出する湿度検出手段が構成されている。
【0034】
次に、本実施形態のCPU36が実行する各種処理ルーチンのうちノズル形成面20のクリーニングを長期に亘って行うことができるようにするためのインク堆積抑制処理ルーチンについて図4に示すフローチャートに基づき以下説明する。このインク堆積抑制処理ルーチンは、廃液タンク29内に排出された各インクからなる堆積物Kを溶解させるための処理ルーチンである。
【0035】
図4に示すように、インク堆積抑制処理ルーチンにおいて、CPU36は、第1タイマTM1にて計測された検出経過時間がROM37に記憶される第1の閾値経過時間ST1を超えたか否かを判定する(ステップS10)。従って、本実施形態では、CPU36が第1タイマTM1からの信号に基づき検出された検出経過時間が予め定めた第1の閾値経過時間ST1を超えたか否かを判定する経過時間判定手段として機能するようになっている。なお、第1の閾値経過時間ST1は、廃液タンク29内に分散用液体としてシアンインクが排出されてから、廃液タンク29内に排出された各インクの増粘又は固化が始まるまでの時間であって、予め実験によって算出されている。
【0036】
そして、ステップS10の判定結果が肯定判定である場合、CPU36は、その処理を後述するステップS17に移行する。一方、ステップS10の判定結果が否定判定である場合、CPU36は、電源スイッチSWがオフに設定されたか否かを判定する(ステップS11)。従って、本実施形態では、CPU36がインクジェット式プリンタ(液体噴射装置)11の電源スイッチSWが断状態とされたか否かを判定する電源断判定手段としても機能するようになっている。なお、本実施形態のインクジェット式プリンタ11は、電源スイッチSWがオフに設定されてから10秒程度経過してから主電源が切れるようになっており、この10秒間にて後述するステップS17以降の処理が行われる。そして、ステップS11の判定結果が肯定判定である場合、CPU36は、その処理をステップS17に移行する。一方、ステップS11の判定結果が否定判定である場合、CPU36は、ノズル形成面20のクリーニングが行われたか否かを判定する(ステップS12)。すなわち、CPU36は、キャップ26によりノズル形成面20を封止した状態で吸引ポンプ28が駆動されたか否かを判定する。従って、本実施形態では、CPU36が吸引ポンプ(吸引手段)28の駆動に基づき各液体噴射ノズル21から吐出された各インク(液体)が吸引ポンプ28によって吸引されたか否かを判定する吸引判定手段としても機能するようになっている。
【0037】
そして、ステップS12の判定結果が否定判定である場合、CPU36は、その処理を後述するステップS14に移行する。一方、ステップS12の判定結果が肯定判定である場合、CPU36は、第2タイマTM2にて計測された検出経過時間がROM37に記憶される第2の閾値経過時間ST2を超えたか否かを判定する(ステップS13)。従って、本実施形態では、CPU36が第2タイマTM2からの信号に基づき検出された検出経過時間が予め定めた第2の閾値経過時間ST2を超えたか否かを判定する吸引経過時間判定手段として機能するようになっている。なお、第2の閾値経過時間ST2は、最後にノズル形成面20のクリーニングが行われたことにより廃液タンク29内に各インクが排出されてから、該各インクの増粘又は固化が始まるまでの時間であって、予め実験によって算出されている。
【0038】
そして、ステップS13の判定結果が肯定判定である場合、CPU36は、その処理をステップS17に移行する。一方、ステップS13の判定結果が否定判定である場合、CPU36は、その処理をステップS14に移行する。そして、ステップS14においてCPU36は、温度センサSE1からの信号に基づき検出された検出温度がROM37に記憶される閾値温度STE以上であるか否かを判定する。従って、本実施形態では、CPU36が温度センサSE1からの信号に基づき検出された検出温度が予め定めた閾値温度STE以上であるか否かを判定する温度判定手段としても機能するようになっている。そして、ステップS14の判定結果が肯定判定である場合、CPU36は、その処理を後述するステップS16に移行する。一方、ステップS14の判定結果が否定判定である場合、CPU36は、湿度センサSE2からの信号に基づき検出された検出湿度がROM37に記憶される閾値湿度SH以下であるか否かを判定する(ステップS15)。従って、本実施形態では、CPU36が湿度センサSE2からの信号に基づき検出された検出湿度が予め定めた閾値湿度SH以下であるか否かを判定する湿度判定手段としても機能するようになっている。なお、閾値温度STE以上の温度及び閾値湿度SH以下の温度は各インクの増粘又は固化が進行しやすい条件(温度及び湿度)であって、閾値温度STE及び閾値湿度SHは予め実験によって算出されている。
【0039】
そして、ステップS15の判定結果が否定判定である場合、CPU36は、インク堆積抑制処理ルーチンを終了する。一方、ステップS15の判定結果が肯定判定である場合、CPU36は、その処理をステップS16に移行する。そして、ステップS16においてCPU36は、第3タイマTM3にて計測された検出経過時間がROM37に記憶される閾値配置時間ST3を超えたか否かを判定する。すなわち、CPU36は、各インクの増粘又は固化が進行しやすい環境下にインクジェット式プリンタ11が配置されてからの経過時間が、閾値配置時間ST3を超えたか否かを判定する。なお、閾値配置時間ST3は、各インクが増粘又は固化しやすい条件下にインクジェット式プリンタ11が配置されてから、該各インクの増粘又は固化が始まるまでの時間であって、予め実験によって算出されている。
【0040】
そして、ステップS16の判定結果が否定判定である場合、CPU36は、インク堆積抑制処理ルーチンを終了する。一方、ステップS16の判定結果が肯定判定である場合、CPU36は、その処理をステップS17に移行する。そして、ステップS17においてCPU36は、昇降装置27を駆動させ、キャップ26によってノズル形成面20を非封止状態とする。すなわち、CPU36は、キャップ26がノズル形成面20を封止していた場合、昇降装置27の駆動に基づきキャップ26を下方に移動させる。続いて、CPU36は、シアンインクに対応する圧電素子PZを駆動させることにより、液体噴射ノズル21からシアンインクをキャップ26内に向けて吐出させる(ステップS18)。そして、CPU36は、吸引ポンプ28を駆動させて、ステップS18にてキャップ26内に吐出されたシアンインクを吸引ポンプ28に吸引(いわゆる空吸引)させる(ステップS19)。その後、CPU36は、インク堆積抑制処理ルーチンを終了する。ちなみに、CPU36は、圧電素子PZの駆動に基づくシアンインクの吐出及び吸引ポンプ28の駆動を同時に行ってもよいし、シアンインクの吐出終了後に吸引ポンプ28を駆動させてもよい。また、CPU36は、シアンインクが吐出されている途中から吸引ポンプ28を駆動させるようにしてもよい。つまり、本実施形態では、廃液タンク29内における各インク(顔料)の堆積、及び該堆積物Kの固化や増粘を抑制したり、堆積物Kを溶解させたりするために必要な量のシアンインクが分散用液体として廃液タンク29内に排出されれば、シアンインクの吐出や吸引ポンプ28の駆動のタイミングは任意のタイミングであってもよい。
【0041】
そのため、図5(a)に示すように、廃液タンク29内の廃液吸収材34上に堆積物Kが形成されてしまった場合に、インク堆積抑制処理ルーチンにおけるステップS17以降の処理が実行されると、圧電素子PZの駆動に基づきシアンインクが液体噴射ノズル21からキャップ26内に吐出される。そして、吸引ポンプ28は、キャップ26内のシアンインクを、吸引チューブ30及び排出チューブ31を介して廃液タンク29内に排出して、堆積物Kに吹き掛ける。すると、この堆積物Kは、シアンインクにおける顔料の分散作用に基づき、堆積物Kを構成する各顔料がシアンインク(シアンインクを構成する溶媒)に再分散することにより、溶解する。そして、図5(b)に示すように、堆積物Kを構成する顔料は、その一部がシアンインクの溶媒と共に廃液吸収材34に吸収され、その残りが廃液吸収材34上に広がった状態で残ることになる。従って、排出チューブ31の排出口31a近傍における各インクの排出空間が良好に確保され、該各インクが排出チューブ31内に詰まってしまうことも抑制される。
【0042】
従って、本実施形態では、以下に示す効果を得ることができる。
(1)廃液タンク29内に各インクからなる堆積物Kが形成された場合には、各インク(顔料を含む各液体)のうち一種類のインク(シアンインク)を分散用液体として廃液タンク29内に排出する。すると、廃液タンク29内の堆積物Kを構成する顔料がシアンインクを構成する溶媒内に再分散し、その結果、堆積物Kはシアンインクに溶解する。そのため、排出チューブ31の排出口31a近傍における各インクの排出空間が良好に確保される。また、本実施形態では、堆積物Kを溶解させるためにインクカートリッジ22に貯留されるインク以外の液体を分散用液体として使用していない。また、堆積物Kを溶解させるためにシアンインクのみを廃液タンク29内に排出させるために、別途構成を設けてもいない。従って、装置自体を複雑化させることなく、長期に亘って使用する場合においても記録ヘッド(液体噴射ヘッド)19におけるノズル形成面20のクリーニングを確実に行うことができる。
【0043】
(2)分散用液体は、各インク(液体)のうち最も顔料を分散させる能力が高いシアンインクであるため、より効率的に廃液タンク29内に形成された堆積物Kを、該堆積物Kを構成する各顔料をシアンインク内に再分散させることにより、溶解させることができる。
【0044】
(3)また、排出チューブ31内において各インクの固化又は増粘に基づき、該各インクからなる付着物が生成された場合でも、該付着物は、シアンインクが分散用液体として排出チューブ31内を流動した際に、該シアンインクと共に廃液タンク29内に排出される。そのため、排出チューブ31内が各インクからなる付着物によって詰まってしまうことも抑制できる。
【0045】
(4)シアンインクが最後に分散用液体として廃液タンク29内に排出されてからの経過時間が第1の閾値経過時間ST1を経過した場合には、シアンインクが分散用液体として廃液タンク29内に再び排出されるようになっている。そのため、廃液タンク29内において各インクからなる堆積物Kが、生成されていなかったり、廃液タンク29内への新たな各インクの排出を阻害するまで成長していなかったりした場合に、シアンインクが廃液タンク29内に排出されることを抑制できる。すなわち、シアンインクの浪費を抑制できる。
【0046】
(5)インクジェット式プリンタ(液体噴射装置)11の電源スイッチSWがオフとされた場合に、シアンインクが分散用液体として廃液タンク29内に排出されるようになっている。そのため、インクジェット式プリンタ11が長期にわたって使用されない場合に、廃液タンク29内において各インクからなる堆積物Kが生成されてしまうことを抑制できる。すなわち、次に使用する際に、ノズル形成面20のクリーニングに基づき排出される各インクを廃液タンク29内に確実に排出できる。
【0047】
(6)クリーニング装置23によるノズル形成面20(液体噴射ノズル21)のクリーニングが行われてからの経過時間が第2の閾値経過時間ST2を経過した場合には、シアンインクが分散用液体として廃液タンク29内に排出される。すなわち、各インク(液体)が乾燥して固化する前に、シアンインクが分散用液体として廃液タンク29内に排出されることになる。そのため、廃液タンク29内にて各インクからなる堆積物Kを、該堆積物Kが固化してしまった場合に比して速やかに溶解させることができる。
【0048】
(7)インクジェット式プリンタ(液体噴射装置)11が閾値温度STE以上の雰囲気温度に設置されてからの経過時間が閾値配置時間ST3を経過した場合には、シアンインクが分散用液体として廃液タンク29内に排出されるようになっている。そのため、廃液タンク29内にて各インク(液体)からなる堆積物Kを、該堆積物Kの増粘又は固化が進行する前に溶解させることができる。
【0049】
(8)インクジェット式プリンタ(液体噴射装置)11が閾値湿度SH以下の雰囲気湿度に設置されてからの経過時間が閾値配置時間ST3を経過した場合には、シアンインクが分散用液体として廃液タンク29内に排出されるようになっている。そのため、廃液タンク29内にて各インク(液体)からなる堆積物Kを、該堆積物Kの増粘又は固化が進行する前に溶解させることができる。
【0050】
なお、上記実施形態は以下のような別の実施形態(別例)に変更してもよい。
・上記実施形態において、キャップ26がノズル形成面20を封止した状態において、圧電素子PZの駆動に基づきシアンインクを吐出させ、その後、キャップ26を下方に移動させてから(すなわち、キャップ26によるノズル形成面20の封止を解いてから)吸引ポンプ28にてキャップ26内のシアンインクを吸引するようにしてもよい。また、キャップ26に開閉自在な大気開放孔を設け、吸引ポンプ28の駆動に基づきキャップ26内のシアンインクを吸引する際に、その大気開放孔を開放するようにしてもよい。すなわち、ステップS17以降の処理にてキャップ26内に圧電素子PZの駆動に基づき吐出されたシアンインクのみを、吸引ポンプ28の駆動に基づき廃液タンク29内に排出できればよい。
【0051】
・上記実施形態において、CPU36は、ステップS14,S15のうち何れか一方のステップの判定処理のみを行うようにしてもよい。また、CPU36は、ステップS14,S15,S16の判定処理を両方とも行わなくてもよい。この場合、ステップS12,S13の判定結果が否定判定である場合、CPU36はインク堆積抑制処理ルーチンを終了することになる。
【0052】
・また、CPU36は、ステップS13の判定処理を行わなくてもよい。この場合、CPU36は、ステップS12の判定結果が肯定判定である場合、すなわち、クリーニング装置23によるノズル形成面20のクリーニングが行われた直後に、シアンインクを分散用液体として廃液タンク29内に排出するようにしてもよい。この場合、廃液タンク29内に排出された各インクが増粘する前に、シアンインクが分散用液体として廃液タンク29内に排出されることになる。そのため、廃液タンク29内にて各インクからなる堆積物Kを、該堆積物Kの増粘が進行した場合に比して速やかに溶解させることができる。
【0053】
また、CPU36は、ステップS12の判定処理も行わなくてもよい。この場合、CPU36は、ステップS11の判定結果が否定判定である場合、ステップS14の判定処理を行うことになる。
【0054】
・また、CPU36は、ステップS11の判定処理を行わなくてもよい。この場合、CPU36は、ステップS10の判定結果が否定判定である場合、ステップS12の判定処理を行うことになる。さらに、CPU36は、ステップS10の判定処理も行わなくてもよい。
【0055】
・上記実施形態において、CPU36はインク堆積抑制処理ルーチンを行わなくてもよい。この場合、キャップ26がノズル形成面20を封止した直後に、必ずシアンインクを分散用液体として廃液タンク29内に排出させることが望ましい。
【0056】
・上記実施形態において、分散用液体は、各インクのうち相対的に顔料を分散させる能力が高いインク(例えば、イエローインク)であってもよい。
・上記実施形態において、分散用液体は、各インクのうち少なくとも一種類のインク(例えばマゼンタインクとブラックインク)であってもよい。
【0057】
・上記実施形態において、液体噴射装置を、他の液体を噴射する液体噴射装置に具体化するようにしてもよい。例えば、液晶ディスプレイ、ELディスプレイ及び面発光ディスプレイの製造などに用いられる電極材や色材などの液体を噴射する液体噴射装置、バイオチップ製造に用いられる生体有機物を噴射する液体噴射装置、精密ピペットとしての試料噴射装置であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本実施形態におけるインクジェット式プリンタの内部を示す概略斜視図。
【図2】本実施形態におけるクリーニング装置の概略断面図。
【図3】本実施形態における電気的構成を示すブロック回路図。
【図4】本実施形態におけるインク堆積抑制処理ルーチンを説明するフローチャート。
【図5】(a)は堆積物にシアンインクが吹き掛けられる様子を示す概略断面図、(b)はシアンインクによって堆積物が溶解した様子を示す概略断面図。
【符号の説明】
【0059】
11…インクジェット式プリンタ(液体噴射装置)、19…記録ヘッド(液体噴射ヘッド)、20…ノズル形成面、26…キャップ(封止手段)、28…吸引ポンプ(吸引手段)、29…廃液タンク、36…CPU(制御手段、経過時間判定手段、電源断判定手段、吸引判定手段、吸引経過時間判定手段、温度検出手段、湿度検出手段)、PZ…圧電素子(吐出手段)、SE1…温度センサ(温度検出手段)、SE2…湿度センサ(湿度検出手段)、ST1…第1の閾値経過時間、ST2…第2の閾値経過時間、STE…閾値温度、SH…閾値湿度、SW…電源スイッチ、TM1…第1タイマ(吐出経過時間検出手段)、TM2…第2タイマ(吸引経過時間検出手段)。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
顔料を含む複数種類の液体を吐出手段の駆動に基づいて吐出する液体噴射ヘッドと、該液体噴射ヘッドのノズル形成面を封止する封止手段と、該封止手段により前記ノズル形成面を封止した状態で前記液体噴射ヘッドから前記各液体を吸引する吸引手段と、該吸引手段が前記液体噴射ヘッドから吸引した前記各液体を廃液として回収する廃液タンクとを備える液体噴射装置において、
前記液体噴射ヘッドから前記封止手段に向けて前記各液体のうち少なくとも一種類の液体が分散用液体として吐出されるように、該分散用液体に対応した吐出手段を駆動させ、該吐出手段の駆動に基づき吐出された分散用液体を前記吸引手段に吸引させる制御手段を備えた液体噴射装置。
【請求項2】
前記制御手段は、前記液体噴射ヘッドから前記封止手段に向けて前記各液体のうち相対的に顔料を分散させる能力が高い液体が分散用液体として吐出されるように、該分散用液体に対応した吐出手段を駆動させる請求項1に記載の液体噴射装置。
【請求項3】
前記吐出手段の駆動に基づき前記液体噴射ヘッドから前記分散用液体が前記封止手段に向けて吐出されてからの経過時間を検出する吐出経過時間検出手段と、該吐出経過時間検出手段により検出された検出経過時間が予め定めた閾値経過時間を超えたか否かを判定する経過時間判定手段とをさらに備え、該経過時間判定手段による判定結果が肯定判定である場合に、前記制御手段は、前記液体噴射ヘッドから前記封止手段に向けて前記分散用液体が吐出されるように該分散用液体に対応した吐出手段を駆動させ、該分散用液体を前記吸引手段に吸引させる請求項1又は請求項2に記載の液体噴射装置。
【請求項4】
液体噴射装置の電源スイッチが断状態とされたか否かを判定する電源断判定手段をさらに備え、該電源断判定手段による判定結果が肯定判定である場合に、前記制御手段は、前記液体噴射ヘッドから前記封止手段に向けて前記分散用液体が吐出されるように該分散用液体に対応した吐出手段を駆動させ、該分散用液体を前記吸引手段に吸引させる請求項1又は請求項2に記載の液体噴射装置。
【請求項5】
前記吸引手段の駆動に基づき前記液体噴射ヘッドから吐出された各液体が前記吸引手段によって吸引されたか否かを判定する吸引判定手段をさらに備え、該吸引判定手段による判定結果が肯定判定である場合に、前記制御手段は、前記液体噴射ヘッドから前記封止手段に向けて前記分散用液体が吐出されるように該分散用液体に対応した吐出手段を駆動させ、該分散用液体を前記吸引手段に吸引させる請求項1又は請求項2に記載の液体噴射装置。
【請求項6】
前記吸引手段の駆動に基づき前記液体噴射ヘッドから吐出された各液体が前記吸引手段によって吸引されてからの経過時間を検出する吸引経過時間検出手段と、該吸引経過時間検出手段により検出された検出経過時間が予め定めた閾値経過時間を超えたか否かを判定する吸引経過時間判定手段とをさらに備え、該吸引経過時間判定手段による判定結果が肯定判定である場合に、前記制御手段は、前記液体噴射ヘッドから前記封止手段に向けて前記分散用液体が吐出されるように該分散用液体に対応した吐出手段を駆動させ、該分散用液体を前記吸引手段に吸引させる請求項1又は請求項2に記載の液体噴射装置。
【請求項7】
雰囲気温度を検出する温度検出手段と、該温度検出手段により検出された検出温度が予め定めた閾値温度以上であるか否かを判定する温度判定手段とをさらに備え、該温度判定手段による判定結果が肯定判定である場合に、前記制御手段は、前記液体噴射ヘッドから前記封止手段に向けて前記分散用液体が吐出されるように該分散用液体に対応した吐出手段を駆動させ、該分散用液体を前記吸引手段に吸引させる請求項1又は請求項2に記載の液体噴射装置。
【請求項8】
雰囲気湿度を検出する湿度検出手段と、該湿度検出手段により検出された検出湿度が予め定めた閾値湿度以下であるか否かを判定する湿度判定手段とをさらに備え、該湿度判定手段による判定結果が肯定判定である場合に、前記制御手段は、前記液体噴射ヘッドから前記封止手段に向けて前記分散用液体が吐出されるように該分散用液体に対応した吐出手段を駆動させ、該分散用液体を前記吸引手段に吸引させる請求項1又は請求項2に記載の液体噴射装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2006−231789(P2006−231789A)
【公開日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−51856(P2005−51856)
【出願日】平成17年2月25日(2005.2.25)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】