説明

液体洗浄剤組成物

【課題】におい安定性に優れ、泡立ちが良く、pH安定性に優れ、低温における組成物中の析出が抑制され、フォーマー容器に充填した場合には、排出性が良好な液体洗浄剤組成物を提供する。
【解決手段】(A)脂肪酸又はその塩と、(B)半極性界面活性剤及び/又は両性界面活性剤とを含有する液体洗浄剤組成物と、特定のエステル基を有する香料成分を組成物中に0.06〜1質量%とを含有する液体洗浄剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、におい安定性に優れ、泡立ちが良く、pH安定性に優れ、低温における組成物中の析出が抑制され、フォーマー容器に充填した場合には、排出性が良好な液体洗浄剤組成物に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、ボディシャンプー等の液体洗浄剤組成物には、洗浄主成分として、高級脂肪酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩エステル塩、アルキルリン酸エステル塩等を用いることが知られているが、この中でも、使用感、洗浄後の皮膚感触(さっぱり感)等の点から、高級脂肪酸塩が多く使用されている。しかしながら、高級脂肪酸塩を用いた液体洗浄剤組成物は、大気中の二酸化炭素の吸収による経時でのpH低下、低温下での脂肪酸塩の溶解性が低いこと等から、結晶析出が発生し易く、容器からの排出性が悪くなる等の問題点があった。特に液体洗浄剤組成物をフォーマー容器に充填した場合、目視では確認できない程の微小な析出物でもメッシュの目詰りを引き起こし、泡が吐出されにくくなるという問題があった。
【0003】
また、液体洗浄剤組成物には香料が配合されるが、高温で保存すると組成物の香りが変化するという問題があった。
【0004】
これに対して、アルカリ領域でバッファー効果のあるアミン類(モノエタノールアミン)やアミノ酸等を添加する技術が提案されているが、これらは皮膚刺激やアミン臭発生等の問題点があった。
【0005】
以上のことから、高級脂肪酸塩が配合された皮膚洗浄料において、におい安定性に優れ、泡立ちが良く、pH安定性に優れ、低温における組成物中の析出が抑制され、フォーマー容器に充填した場合には、排出性が良好なものが望まれていた。なお、本発明に関連する先行技術文献としては下記が挙げられる。
【0006】
【特許文献1】2004−231543号公報
【特許文献2】2004−250418号公報
【特許文献3】2006−182698号公報
【特許文献4】2003−171691号公報
【特許文献5】H10−259123号公報
【特許文献6】2003−238375号公報
【特許文献7】2005−239772号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、におい安定性に優れ、泡立ちが良く、pH安定性に優れ、低温における組成物中の析出が抑制され、フォーマー容器に充填した場合には、排出性が良好な液体洗浄剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討した結果、(A)脂肪酸又はその塩と、(B)半極性界面活性剤及び/又は両性界面活性剤とを含有する液体洗浄剤組成物に、(C)特定のエステル基を有する香料成分を組成物中に0.06〜1.0質量%と多量に配合することによって、におい安定性に優れるだけでなく、驚くべきことにpH安定性、低温での脂肪酸塩の析出が抑制され、泡立ちも良好になることを見出し、本発明をなすに至ったものである。
【0009】
従って、本発明は下記発明を提供する。
[1].(A)下記一般式(1)
1COOM (1)
(式中、R1は炭素数5〜21の直鎖又は分岐鎖の一価炭化水素基を示し、水素原子の一部が水酸基で置換されていてもよい。Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、置換もしくは非置換のアンモニウム、又はアミノ酸を示す。)
で表される脂肪酸又はその塩と、
(B)両性界面活性剤及び/又は半極性界面活性剤と、
(C)下記(i)〜(v)からなる群から選ばれるエステル基を有する1種又は2種以上の香料成分を組成物に対して0.06〜1.0質量%と
を含有する液体洗浄剤組成物。
(i)下記一般式(2)で表される化合物
【化1】

(R2及びR3は独立に、炭素数8〜20の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示す。)
(ii)下記一般式(3)又は(4)で表される化合物
【化2】

(式中、R4、R5,R7及びR8は独立に、炭素数1〜20の直鎖、分岐鎖、又は環状の一価炭化水素基を示し、水素原子の一部又は全部がヒドロキシ基又は炭素数1〜6のアルコキシ基と置換されていてもよい。R6及びR9は独立に炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
(iii)下記一般式(5)、(6)又は(7)で表される化合物
【化3】

(式中、R10及びR11は独立に、炭素数1〜3の直鎖のアルキレン基、又は炭素数2〜3のアルケニレン基、R12は炭素数2〜4の分岐鎖のアルキレン基を示す。)
(iv)下記一般式(8)又は(9)で表される化合物
【化4】

(v)酢酸セドリル、エチルサフラネート、酢酸グアヤック、ジベスコン、及びメチルペンチルオキソシクロヘキセンカルボン酸エチル
[2].(C)/((A)+(B))で表される質量比が0.006〜0.1である[1]記載の液体洗浄剤組成物。
[3].(C)成分がステアリン酸エチル、オレイン酸エチル、2−メチルペンタン酸エチル、酢酸リナリル、タンジェリノール、酢酸ターピニル、ケイ皮酸エチル、イソ酪酸フェニルエチル、酢酸ジメチルベンジルカルビニル、酢酸p−t−ブチルシクロヘキシル、酢酸o−t−ブチルシクロヘキシル、酢酸セドリル、エチルサフラネート、酢酸グアヤック、ジベスコン、メチルペンチルオキソシクロヘキセンカルボン酸エチル、酢酸−3−ペンチルテトラヒドロプラニル、及び酢酸トリシクロデセニルから選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする[1]又は[2]記載の液体洗浄剤組成物。
[4].フォーマー容器充填用である[1]〜[3]のいずれかに記載の液体洗浄剤組成物。
【発明の効果】
【0010】
本発明によれば、好適なにおいを有し、低温における組成物中の析出が抑制され、泡立ちが良い液体洗浄剤組成物を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
本発明の(A)成分は下記一般式(1)で表される脂肪酸又はその塩であり、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
1COOM (1)
(式中、R1は炭素数5〜21の直鎖又は分岐鎖の一価炭化水素基を示し、水素原子の一部が水酸基で置換されていてもよい。Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、置換もしくは非置換のアンモニウム、又はアミノ酸を示す。)
【0012】
1は炭素数5〜21の直鎖又は分岐鎖の一価炭化水素基を示し、飽和又は不飽和でもよい。具体的には、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸等の飽和直鎖脂肪酸、2−エチルヘキサン酸、イソステアリン酸等の飽和分岐脂肪酸、オレイン酸、リノール酸等の不飽和脂肪酸、ヤシ油、パーム油、パーム核油、オリーブ油、サフラワー油等の植物油脂を鹸化して得られる天然油脂脂肪酸、牛脂等に代表される動物油脂等が挙げられる。
【0013】
Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、置換又は非置換のアンモニウムを示し、置換のアンモニウムとしてはアミンが挙げられ、具体的には、一級アミン、二級アミン、三級アミン等のアルキルアンモニウム、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン等のヒドロキシアルキルアンモニウム等が挙げられる。塩を形成するための塩基は、目的に応じ上記から適宜選択することができる。具体的には、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、アンモニウム塩、アルカノールアミン塩等のアミン塩、リジン塩、アルギニン塩等のアミノ酸塩等が挙げられる。これら塩基の中でもアルカリ金属塩が好ましく、特にカリウム塩が好ましい。具体的には、ラウリン酸カリウム塩、ミリスチン酸カリウム塩、パルミチン酸カリウム塩等が挙げられる。なお、脂肪酸塩を用いる場合、常法により得られた脂肪酸塩をそのまま配合してもよく、液体洗浄剤組成物中に脂肪酸とアルカリとをそれぞれ別々に配合して中和させてもよい。
【0014】
(A)成分の合計配合量は、液体洗浄剤組成物に対して2〜25質量%が好ましく、より好ましくは2〜16質量%である。この範囲で、泡質、泡感触、洗浄力がより良好であり、25質量%を超えると結晶析出がしやすくなるおそれがある。
【0015】
本発明の(B)成分は半極性界面活性剤及び/又は両性界面活性剤であり、1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。(B)成分と(A)成分との組み合わせにより、泡立ちが早く、泡膜の強さが向上する。
【0016】
両性界面活性剤としては、アルキルベタイン、アルキルアミドベタイン等のカルボベタイン型両性界面活性剤、アルキルスルホベタイン、アルキルヒドロキシスルホベタイン等のスルホベタイン型両性界面活性剤、ホスホベタイン型両性界面活性剤、イミダゾリン型両性界面活性剤、アミドアミノ酸塩等が挙げられる。
【0017】
アルキルベタインとしてはラウリルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルアミドベタインとしてヤシ油脂肪酸アミドプロピルベタイン等が挙げられる。アルキルスルホベタインとしてはヤシ油脂肪酸ジメチルスルホプロピルベタイン等、アルキルヒドロキシスルホベタインとしてラウリルジメチルアミノヒドロキシスルホベタイン等が挙げられる。
【0018】
ホスホベタイン型両性界面活性剤としては、ラウリルヒドロキシホスホベタイン等が挙げられる。イミダゾリン型両性界面活性剤としては、ヤシ油アルキル−N−ヒドロキシエチルイミダゾリニウムベタイン等が挙げられる。
【0019】
これらの中でも起泡性等を向上させる観点から、カルボベタイン型両性界面活性剤が好ましく、その中でもラウリルジメチルアミノ酢酸ベタインが好ましく、さらには安定性を向上させる観点から脱塩処理したものがより好ましい。
【0020】
半極性界面活性剤としては、アシル第3級アミンオキシドやアシル第3級ホスフォンオキシド等が挙げられる。アシル第3級アミンオキシドとしては、ラウリルジメチルアミンオキシド、POEヤシ油アルキルジメチルアミンオキシド、ジヒドロキシエチルラウリルアミンオキシド等が挙げられる。アシル第3級ホスフォンオキシドとしては、ラウリルジメチルホスフォンオキシド等が挙げられる。これらの中でも、起泡性を向上させる観点から、アシル第3級アミンオキシドが好ましく、さらに安定性を向上させる観点から脱塩処理したものがより好ましい。
【0021】
(B)成分の合計配合量は、液体洗浄剤組成物に対して0.5〜10質量%が好ましく、より好ましくは0.5〜6質量%である。この範囲で、(A)成分との併用で泡立ちが相乗的により良好となり、10質量%を超えるとすすぎ時にぬるつき感が生じる場合がある。
【0022】
本発明の(C)成分は下記(i)〜(v)からなる群から選ばれるエステル基を有する1種又は2種以上の香料成分である。この特定の香料成分を配合することにより、基剤臭マスキングを可能にし、組成物が好適なにおいを有するだけでなく、組成物中の低温での析出が抑制され、泡立ちも良好となる。
【0023】
(i)下記一般式(2)で表される化合物
【化5】

(R2及びR3は独立に、炭素数8〜20の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示す。)
【0024】
一般式(2)で表される化合物としては下記式(10)で表されるステアリン酸エチル、下記式(11)で表されるオレイン酸エチルが好ましい。
【化6】



(ii)下記一般式(3)又は(4)で表される化合物
【化7】

(式中、R4、R5,R7及びR8は独立に、炭素数1〜20の直鎖、分岐鎖、又は環状の一価炭化水素基を示し、水素原子の一部又は全部がヒドロキシ基又は炭素数1〜6のアルコキシ基と置換してもよい。R6及びR9は独立に炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
【0025】
一般式(3)で表される化合物としては、一般式(12)で表される2−メチルペンタン酸エチル等、(4)で表される化合物としては、タンジェリノール、酢酸ターピニル、一般式(13)で表される酢酸リナリルが好ましい。
【0026】
【化8】

【0027】
(iii)下記一般式(5)、(6)、又は(7)で表される化合物
【化9】

(式中、R10及びR11は独立に、炭素数1〜3の直鎖のアルキレン基、又は炭素数2〜3のアルケニレン基、R12は炭素数2〜4の分岐鎖のアルキレン基を示す。)
【0028】
一般式(5)で表される化合物としては、一般式(14)で表されるケイ皮酸エチルが好ましい。一般式(6)で表される化合物としては、一般式(15)で表されるイソ酪酸フェニルエチル、一般式(7)で表される化合物としては、一般式(16)で表される酢酸ジメチルベンジルカルビニルが好ましい。
【0029】
【化10】

【0030】
(iv)下記一般式(8)、又は(9)で表される化合物
【化11】

【0031】
一般式(8)、又は(9)で表される構造を有する化合物としては、一般式(8)で表される酢酸p−t−ブチルシクロヘキシル、一般式(9)で表される酢酸o−t−ブチルシクロヘキシルが好ましい。
【0032】
(v)一般式(17)で表される酢酸セドリル、一般式(18)で表されるエチルサフラネート、酢酸グアヤック、ジベスコン、及び一般式(19)で表されるメチルペンチルオキソシクロヘキセンカルボン酸エチル、酢酸−3−ペンチルテトラヒドロプラニル、酢酸トリシクロデセニルが好ましい。
【0033】
【化12】

【0034】
この中でも、特に(ii)又は(iii)に属する香料が好ましい。
【0035】
(C)成分の合計配合量は、液体洗浄剤組成物に対して0.06〜1.0質量%であり、好ましくは0.1〜0.4質量%である。(C)成分の合計配合量が0.06質量%未満であると基剤臭マスキングが不十分であり、組成物中pHが低下し析出抑制力が低下する。また、1.0質量%を超えると析出抑制力が低下する。
【0036】
なお、本発明の液体洗浄剤組成物には、(C)成分以外の香料成分を本発明の効果を損なわない範囲で配合することができるが、香料組成物中に(C)成分の香料が8〜100質量%が好ましく、より好ましくは8〜30質量%、さらに好ましくは12〜20質量%である。
【0037】
この香料組成物としては(C)成分、(C)成分以外の香料成分、及び香料用溶剤の混合物からなる。香料成分としては例えば、合成香料として、「合成香料化学と商品知識(1996年化学工業日報社刊、印藤元一著)」、「パヒューム アンド フレーバーケミカルス(Perfume and Flavor Chemicals)(1969年MONTCLAIR,N.J.刊、ステファンアークタンダー(STEFFEN ARCTANDER))著」等に記載の香料が含まれる。天然香料としては、「香りの百科(日本香料協会編)」に記載の香料が含まれる。具体的には、例えば、(C)成分以外の炭化水素系、アルコール系、フェノール系、フェノールエーテル系、アルデヒド系、アセタール系、ケタール系、ケトン系、エーテル系、酸系、ラクトン系、含窒素系、含硫黄系、天然系、調合系等が挙げられる。これらは1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。香料用溶剤としては例えば、エタノール、ベンジルベンゾエート、トリアセチン、エチレングリコールジブチレート、ヘキシレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、カルビトール、トリエチレングリコール、安息香酸ベンジル、1,3−ブチレングリコール、などが挙げられる。
【0038】
本発明においては、(C)/((A)+(B))で表される各成分の質量比が0.006〜0.1であることが好ましく、より好ましくは0.008〜0.080である。(C)成分の配合量が、(A)+(B)の合計量に対し0.006未満では、基剤臭マスキング力が弱い場合があり、pH安定性及び析出抑制効果に劣る場合があり、0.1を超えると洗浄力が不十分となる場合があり、においが強くなりすぎる場合がある。なお、上記数値は小数点第4位を四捨五入した値である。
【0039】
なお、本発明の液体洗浄剤組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、任意成分を配合することができる。任意成分としては多価アルコール、(A)成分及び(B)以外の界面活性剤、その他成分が挙げられ、これらを1種単独で又は2種以上を適宜組み合わせて用いることができる。
【0040】
多価アルコールとしては、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ヘキシレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリプロピレングリコール、イソプレングリコール、グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、テトラグリセリン、ヘキサグリセリン、デカグリセリン、1,3−ブチレングリコール、トリメチロールプロパン、エリスリトール、ペンタエリスリトール、ジペンタエリスリトール、グルコース、マンノース、ガラクトース、ショ糖、フルクトース、マルトース、マルチトール、キシリトール、イノシトール、ソルビタン、ソルビトール、及びこれらの多価アルコールのEO付加物等が挙げられる。この中でも、洗い流した後のしっとり感、保湿の点からプロピレングリコール、ジプロピレングリコール、グリセリン、1,3−ブチレングリコール、ソルビトールが好ましい。
【0041】
多価アルコールの配合量は、液体洗浄剤組成物に対して2〜20質量%が好ましく、より好ましくは5〜15質量%である。配合量の合計が2質量%未満であると、低温での析出が起こりやすく低温安定性が悪くなる場合がある。配合量の合計が20質量%を超えると、粘度の上昇が起こり、泡排出性が悪くなる場合がある。また、泡質及び泡感触、洗浄力に劣る場合がある。
【0042】
(A)成分及び(B)成分以外の界面活性剤の配合量としては特に制限はなく、ノニオン性界面活性剤やカチオン性界面活性剤等を目的に応じて適宜選択することができる。
ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシアルキレン付加型ノニオン性界面活性剤、糖系ノニオン性界面活性剤、グリセリン系ノニオン性界面活性剤等が挙げられる。前記ポリオキシアルキレン付加型ノニオン性界面活性剤としては、1種のポリオキシアルキレン付加型、2種以上のポリオキシアルキレン付加型等が挙げられる。
【0043】
1種のポリオキシアルキレン付加型ノニオン性界面活性剤としては、脂肪酸モノエタノールアミド型ノニオン界面活性剤、エチレンオキサイド付加物の脂肪酸モノエタノールアミド型ノニオン界面活性剤、ポリオキシエチレンラウリルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタンモノオレエート、ポリエチレングリコール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油等が挙げられる。
【0044】
2種以上のポリオキシアルキレン付加型ノニオン性界面活性剤としては、ポリオキシプロピレン・ポリオキシエチレンラウリルエーテル等が挙げられる。
【0045】
糖系ノニオン性界面活性剤としては、糖エーテル系ノニオン性界面活性剤、糖アミド系ノニオン性界面活性剤、ソルビタン脂肪酸エステル系ノニオン性界面活性剤、ショ糖脂肪酸エステル系ノニオン性界面活性剤等が挙げられる。糖エーテル系ノニオン性界面活性剤としては、アルキルサッカライド系等が挙げられる。糖アミド系ノニオン性界面活性剤としては、N−メチルアルキルグルカミド、等が挙げられる。ソルビタン脂肪酸エステル系ノニオン性界面活性剤としては、モノイソステアレン酸ソルビタン、モノオレイン酸ソルビタン等が挙げられる。ショ糖脂肪酸エステル系ノニオン性界面活性剤としては、ラウリン酸ショ糖エステル、ショ糖モノステアレート、POPショ糖モノラウレート等が挙げられる。
【0046】
グリセリン系ノニオン性界面活性剤としては、セスキオレイン酸グリセリン、ポリオキシエチレングリセリルモノステアレート等のモノグリセリン脂肪酸エステル系ノニオン性界面活性剤、モノイソステアリン酸ポリグリセリル等の脂肪酸エステル型ポリグリセリン系ノニオン性界面活性剤、ポリグリセリル・ポリオキシブチレンステアリルエーテル等のアルキルエーテル型ポリグリセリン系ノニオン性界面活性剤等が挙げられる。
【0047】
さらに、液体洗浄剤組成物に通常用いられているものの中から適宜選択することができ、例えば、油分、シリコーン類、低級アルコール、高級アルコール等のアルコール類、ラノリン誘導体、蛋白誘導体、アクリル樹脂分散液、ビタミン等の薬剤、殺菌剤、防腐剤、pH調整剤、酸化防止剤、金属封鎖剤、紫外線吸収剤、動植物抽出物又はその誘導体、色素、顔料、無機粉体、粘土鉱物、ナイロン、ポリエチレン等の水不溶性ポリマー粉体、水等が挙げられる。
【0048】
本発明の液体洗浄剤組成物の容器は特に限定されないが、組成物中の低温での析出が抑制され、泡立ちも良好となることから、液体洗浄剤組成物を泡状に吐出させるフォーマー容器を用いることが好ましく、フォーマー容器充填用液体洗浄剤組成物、液体洗浄剤組成物をフォーマー容器に充填してなる液体洗浄剤製品、フォーマー容器と、このフォーマー容器に充填されてなる液体洗浄剤とからなる液体洗浄剤製品とすることが好ましい。
【0049】
フォーマー容器としては、ノンガス型の泡吐出容器が挙げられ、ノンガス型の泡吐出容器としては、液体洗浄剤組成物を空気と混合して発泡状態で吐出できるものであれば特に限定されず、ボトル胴部を手で圧搾することによって泡を吐出できるスクイズフォーマー容器、ノズル部を押し下げることによって泡を吐出できるポンプフォーマー容器等が挙げられ、目的に応じて適宜選択することができる。このようなフォーマー容器は、大和製罐(株)、(株)吉野工業所等により入手することができる。
【0050】
ノンガス型の泡吐出容器は、通常、泡を形成するための多孔質体を有し、液体洗浄剤組成物が該多孔質体を通過することにより泡が形成されるものである。多孔質体のメッシュとしては、特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、例えば、100メッシュ以上が好ましく、100〜400メッシュがより好ましく、200〜350メッシュがさらに好ましい。また、多孔質体の枚数としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、泡性能を向上させる観点から、2〜4枚が好ましい。より具体的には、特開平7−315463号公報、特開平8−230961号公報に記載されたフォーマー容器を好適に使用することができる。
【0051】
本発明の液体洗浄剤組成物の性状としては常温で液体状である。また、フォーマー容器を使用する際、例えば、ノズル部を押し下げることによって泡を吐出できるノンガス型ポンプフォーマー容器と200メッシュ2枚使用する場合において、使用する温度条件下で該液体洗浄剤組成物の粘度が15mPa・s以下であることが好ましく、10mPa・s以下であることがより好ましい。なお、液体洗浄剤組成物は低温下で増粘する傾向にあるが、冬季等で通常に想定される低温下でも問題なく泡として吐出し使用するためには、冬季等の低温下と同じ条件下、例えば5℃においても15mPa・s以下が好ましく、より好ましくは10mPa・s以下であることがより好ましい。なお、粘度の測定法はBL粘度計(ロ−ターNo1、60rpm、5℃又は25℃、東京計器製)による。
【0052】
本発明の液体洗浄剤組成物のpH(25℃)は9〜11が好ましい。また、例えば初期pH値10.6に対し、50℃・1ヶ月保存後のpHが9.4以上(下がり幅1.2以内)となることが好ましい。なお、pHの測定法はpHメーター(HM−30G/東亜電波工業(株)製)を用い、電極を試料に接触させてから1分後の値を測定した。
【0053】
本発明の液体洗浄剤組成物は、皮膚用洗浄剤(洗顔料、ハンドソープ、ボディソープ等)、毛髪用洗浄剤等として通常の用量、洗浄方法で使用することにより、泡性能に優れると共に、組成物中の析出が抑制され、フォーマー容器に充填した場合にも、析出の発生が抑制されるため、メッシュ詰りを起こさず、さらには低温下での使用時にも問題なく泡として吐出することができる。
【0054】
本発明の液体洗浄剤組成物の製造方法としては目的に応じて適宜選択することができ、上記(A)〜(C)成分、任意成分、及び水(液体洗浄剤組成物の全体が100質量%となるように残部配合)を混合して得ることができる。また、液体洗浄剤組成物を調製する装置としては特に制限はなく、目的に応じて適宜選択することができ、この中でも剪断力と全体混合できる複数の攪拌羽根(プロペラ、タービン、ディスパー等)を備えた攪拌装置が好ましく、より好ましくはアジホモミキサー、逆流ミキサー、ハイブロッドミキサー等である。なお、(A)〜(C)成分及び任意成分は、それぞれ単独で使用してもよく、各成分を含む混合物を使用してもよい。
【実施例】
【0055】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。なお、下記の例において特に明記のない場合は、組成の「%」は質量%、比率は質量比を示す。
【0056】
[実施例1〜11、比較例1〜5]
表1〜3に示す組成の液体洗浄剤組成物を常法に基づいて調製し、下記評価を行った。結果を表中に併記する。
【0057】
pH安定性
初期値をpH10.6に調整した試料50mLを透明ガラス瓶に充填し、1ヶ月間50℃保存を行った。保存後のpH(25℃)をpHメーター(HM−30G/東亜電波工業(株)製)を用い、電極を試料に接触させてから1分後の値を測定した。
【0058】
におい安定性
試料50mLを透明ガラス瓶に充填し、1ヶ月間50℃保存を行った。この保存品について専門パネル5名による官能評価を行った。結果を下記評価基準で示す。
<評価基準>
◎ 標準品*と比較し、差が無いと答えた人数5名
○ 標準品と比較し、差が無いと答えた人数4名
△ 標準品と比較し、差が無いと答えた人数2〜3名
× 標準品と比較し、差が無いと答えた人数1名以下
*標準品:試料と同じものを1ヶ月間−5℃に保存しておいたもの
【0059】
泡立ち
試料約100gをノンガスポンプフォーマー容器(♯200・2枚/(株)吉野工業所製)に充填し、室温下で専門パネル5名が約1g手に取り、泡立ちを評価した。結果を下記評価基準で示す。
<評価基準>
◎ 泡のキメが細かく、泡量も多い
○ 泡のキメが細かいが、やや泡量が少ない
△ 泡がやや粗く、泡量が少ない
× 泡立ちが悪い
【0060】
析出物の評価
試料を1ヶ月間50℃保存した後、この試料を5℃にし、ノンガスポンプフォーマー容器(#200メッシュ・2枚/(株)吉野工業所製)に充填して容器からの排出性を評価した。結果を下記評価基準で示す。試料中に析出物が存在している場合、試料はメッシュを通過することができず、ポンプからの排出性が悪くなる。このことから、ノンガスポンプフォーマー(#200メッシュ・2枚)からの排出性を評価することにより、pH変化による脂肪酸塩の析出や低温下で脂肪酸塩の析出について、目視だけでは確認できない微小な析出物を評価する。
<評価基準>
◎ 排出性が非常に良い
○ 排出性が良い
△ 排出性がやや悪い
× 排出不可
【0061】
【表1】

【0062】
【表2】

【0063】
【表3】

【0064】
表4,5の香料組成物A,Bを配合して、実施例12〜14の液体洗浄剤組成物を常法に基づいて調製し、実施例1と同様の評価を行った。結果を表中に併記する。
【0065】
【表4】

【0066】
【表5】

【0067】
[実施例12]
【表6】

【0068】
[実施例13]
【表7】

【0069】
[実施例14]
【表8】

【0070】
実施例の組成物は、以下に示す材質の容器に充填し、品質に問題がなかった。
容器1:ボトル(材質:最内層HDPE、最外層PP)、ポンプディスペンサー(材質:PP、PE)
容器2:ボトル(材質:PET)、ポンプディスペンサー(材質:PP、PE)
容器3:ボトル(材質:PP)、ポンプディスペンサー(材質:PP、PE)
容器4:ボトル(材質:HDPE)、ポンプディスペンサー(材質:PP、PE)
容器5:ボトル(材質:軟質ガラス)、キャップ(材質:PP)
PPはポリプロピレンを表し、PEはポリエチレンを表し、PETはポリエチレンテレフタレートを表し、HDPE は高密度ポリエチレンを表し、前記 LDPE は低密度ポリエチレンを表し、前記 NY はナイロンを表す。
【0071】
実施例及び比較例で用いた各成分を下記に示す。
※1:日本油脂(株)製、ラウリン酸 NAA−122 を水酸化カリウムにて中和作成
※2:日本油脂(株)製、ミリスチン酸 NAA−142 を水酸化カリウムにて中和作成
※3:東邦化学工業(株)製、オバゾリン LB−SF
※4:第一工業製薬(株)製、アモーゲンS−H
※5:旭硝子(株)製、プロピレングリコール
※6:誠興物産(株)製、ジプロピレングリコール
※7:ダイセル化学工業(株)製、1,3−ブチレングリコール
※8:新日本理化(株)製、グリセリン
※9:日本エマルジョン(株)製、EMALEX 611
※10:ライオン(株)製、ディゾルビンZ
※11:旭硝子(株)製、液体苛性カリ
※12:三井東圧(株)製、エナジコール L−AH を水酸化カリウムにて中和作成
※13:ライオン(株)、フェリオックス115
※14:大阪化成(株)製、イソプロピルメチルフェノール
※15:サイデン化学(株)製、サイビノール PE−3日本油脂(株)製、
※16:癸巳化成(株)製、赤色401号
※17:パルミチン酸 NAA−160 を水酸化カリウムにて中和作成
※18:ダイワ化学(株)製、黄色4号

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(A)下記一般式(1)
1COOM (1)
(式中、R1は炭素数5〜21の直鎖又は分岐鎖の一価炭化水素基を示し、水素原子の一部が水酸基で置換されていてもよい。Mは水素原子、アルカリ金属、アルカリ土類金属、置換もしくは非置換のアンモニウム、又はアミノ酸を示す。)
で表される脂肪酸又はその塩と、
(B)両性界面活性剤及び/又は半極性界面活性剤と、
(C)下記(i)〜(v)からなる群から選ばれるエステル基を有する1種又は2種以上の香料成分を組成物に対して0.06〜1.0質量%を含有する液体洗浄剤組成物。
(i)下記一般式(2)で表される化合物
【化1】

(R2及びR3は独立に、炭素数8〜20の直鎖又は分岐鎖のアルキル基又はアルケニル基を示す。)
(ii)下記一般式(3)又は(4)で表される化合物
【化2】

(式中、R4、R5,R7及びR8は独立に、炭素数1〜20の直鎖、分岐鎖、又は環状の一価炭化水素基を示し、水素原子の一部又は全部がヒドロキシ基又は炭素数1〜6のアルコキシ基と置換されていてもよい。R6及びR9は独立に炭素数1〜4のアルキル基を示す。)
(iii)下記一般式(5)、(6)又は(7)で表される化合物
【化3】

(式中、R10及びR11は独立に、炭素数1〜3の直鎖のアルキレン基、又は炭素数2〜3のアルケニレン基、R12は炭素数2〜4の分岐鎖のアルキレン基を示す。)
(iv)下記一般式(8)又は(9)で表される化合物
【化4】

(v)酢酸セドリル、エチルサフラネート、酢酸グアヤック、ジベスコン、メチルペンチルオキソシクロヘキセンカルボン酸エチル、酢酸−3−ペンチルテトラヒドロプラニル、及び酢酸トリシクロデセニル、
【請求項2】
(C)/((A)+(B))で表される質量比が0.006〜0.1である請求項1記載の液体洗浄剤組成物。
【請求項3】
(C)成分が、ステアリン酸エチル、オレイン酸エチル、2−メチルペンタン酸エチル、酢酸リナリル、タンジェリノール、酢酸ターピニル、ケイ皮酸エチル、イソ酪酸フェニルエチル、酢酸ジメチルベンジルカルビニル、酢酸p−t−ブチルシクロヘキシル、酢酸o−t−ブチルシクロヘキシル、酢酸セドリル、エチルサフラネート、酢酸グアヤック、ジベスコン、メチルペンチルオキソシクロヘキセンカルボン酸エチル、酢酸−3−ペンチルテトラヒドロプラニル、及び酢酸トリシクロデセニルから選ばれる1種又は2種以上であることを特徴とする請求項1又は2記載の液体洗浄剤組成物。
【請求項4】
フォーマー容器充填用である請求項1〜3のいずれか1項記載の液体洗浄剤組成物。

【公開番号】特開2008−94903(P2008−94903A)
【公開日】平成20年4月24日(2008.4.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−276123(P2006−276123)
【出願日】平成18年10月10日(2006.10.10)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】