説明

液体漂白洗剤組成物

【課題】洗浄機能と漂白機能を兼ね備え、界面活性剤を高濃度に含有しても液性が良好であり、泡立ちが低減され、かつ、柔軟剤の使用に伴う黄ばみを抑制できる液体漂白洗剤組成物を提供する。
【解決手段】過酸化水素と、下記一般式(I)〜(III)のいずれかで表されるアルキレンオキサイド付加体40〜70質量%と、非石鹸系アニオン界面活性剤1〜10質量%と、飽和脂肪酸0.05〜3.0質量%とを含有する液体漂白洗剤組成物。





【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体漂白洗剤組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
衣料用の液体漂白剤には、過酸化水素が配合されている。近年、液体漂白剤に要求される機能は多岐にわたり、なかでも、襟や袖口に付着した皮脂汚れ等の非常に頑固な汚れに対して優れた漂白効果を発現することが求められている。
一方、衣料用の洗剤には、汚れに対して強い洗浄力を付与する、いわゆるヘビー化の傾向にあり、1つの洗剤で洗浄機能と漂白機能を兼ね備えた製品が望まれている。
そこで、洗浄機能と漂白機能を兼ね備えた洗剤として、過酸化水素に加えて、陰イオン界面活性剤などの界面活性剤が配合された洗浄剤組成物が提案されている(例えば、特許文献1、2参照。)。
【0003】
ところで、最近では、環境への配慮や節約志向の高まりから、液体洗剤中の界面活性剤濃度を高くするべく、液体洗剤の濃縮化が検討されている(例えば、特許文献3参照。)。
また、家庭用の洗濯機においても節水型のドラム式洗濯機が普及してきている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2005−314576号公報
【特許文献2】特開2008−163251号公報
【特許文献3】国際公開第08/001797号パンフレット
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、界面活性剤濃度の高い液体洗剤は、経時に伴い液表面において液体洗剤自体がゲル化することにより、使用性が低下しやすかった。液体洗剤がゲル化すると、液体洗剤をキャップ等に計りとるときの計量性や、キャップから洗濯機の投入口への排出性が悪くなる。
そのため、濃縮型の液体洗剤には、経時に伴ってゲル化等を起こさず、液性が良好であることが求められる。
【0006】
また、特許文献1、2に記載のように、過酸化水素と陰イオン界面活性剤を併用した洗剤は洗浄機能と漂白機能を兼ね備える一方、洗浄時に泡が立ちすぎる傾向にあった。そのため、特にドラム式洗濯機に使用すると、高気泡の影響により泡切れが悪くなりやすかった。その結果、濯ぎ時間が長くかかり、洗濯時間が延長してしまうという問題があった。
【0007】
ところで、洗濯の際には、衣類に柔軟性を付与するために、脱水工程の前などに柔軟剤が用いられる場合が多い。
本発明者らは、柔軟剤を用いて洗濯を繰り返しているうちに、衣類の種類によって、衣類自体が徐々に黄ばんでくる課題を新たに見出した。この黄ばみは、衣類の外観を損ないやすかった。
【0008】
本発明は上記事情を鑑みてなされたものであり、洗浄機能と漂白機能を兼ね備え、界面活性剤を高濃度に含有しても液性が良好であり、泡立ちが低減され、かつ、柔軟剤の使用に伴う黄ばみを抑制できる液体漂白洗剤組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明の液体漂白洗剤組成物は、過酸化水素(A)と、下記一般式(I)〜(III)のいずれかで表されるアルキレンオキサイド付加体(B)40〜70質量%と、非石鹸系アニオン界面活性剤(C)1〜10質量%と、飽和脂肪酸(D)0.05〜3.0質量%とを含有することを特徴とする。
さらに、アルカノールアミン(E)を含有することが好ましい。
【0010】
【化1】

【0011】
式(I)中、Rは炭素数9〜13の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基又はアルケニル基であり、Rは炭素数2〜4のアルキレン基であり、Rは炭素数1〜3のアルキル基であり、nはアルキレンオキサイドの平均付加モル数を示し、5〜30である。
【0012】
【化2】

【0013】
式(II)中、xおよびyはそれぞれメチレン基の数を示し、x+y=5〜13であり、zはエチレンオキサイドの平均付加モル数を示し、5〜30である。
【0014】
【化3】

【0015】
式(III)中、Rは炭素数10〜20のアルキル基又はアルケニル基であり、pはエチレンオキサイドの平均付加モル数を示し、5〜20であり、qはプロピレンオキサイドの平均付加モル数を示し、1〜4である。
【発明の効果】
【0016】
本発明の液体漂白洗剤組成物によれば、洗浄機能と漂白機能を兼ね備え、界面活性剤を高濃度に含有しても液性が良好であり、泡立ちが低減され、かつ、柔軟剤の使用に伴う黄ばみを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
【図1】泡立ちの低減効果の評価における「洗濯槽内の泡立ちの状態」を示す写真であり、図1(a)は泡の割合が評価基準の「×」レベル、図1(b)は泡の割合が評価基準の「○」レベルをそれぞれ示す写真である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の液体漂白洗剤組成物は、過酸化水素(A)(以下、「(A)成分」という。)と、上記一般式(I)〜(III)のいずれかで表されるアルキレンオキサイド付加体(B)(以下、「(B)成分」という。)40〜70質量%と、非石鹸系アニオン界面活性剤(C)(以下、「(C)成分」という。)1〜10質量%と、飽和脂肪酸(D)(以下、「(D)成分」という。)0.05〜3.0質量%とを含有する。
また、本発明の液体漂白洗剤組成物は、アルカノールアミン(E)(以下、「(E)成分」という。)をさらに含有するのが好ましい。
【0019】
[(A)成分]
(A)成分は、過酸化水素であり、酸化力を有する。
(A)成分を用いることで、本発明の液体漂白洗剤組成物に漂白機能を付与できる。
(A)成分の含有量は、特に限定されないが、液体漂白洗剤組成物100質量%中、0.1〜5.0質量%であることが好ましく、1.0〜5.0質量%であることがより好ましい。
(A)成分の含有量が0.1質量%以上であると、高い漂白効果が得られる。一方、(A)成分の含有量が5.0質量%以下であると、安定性に優れる。従って、得られる液体漂白洗剤組成物を容器等に入れて保存したときに、容器が膨張するのを抑制でき、保存安定性が良好となる。
【0020】
[(B)成分]
(B)成分は、上記一般式(I)〜(III)のいずれかで表されるアルキレンオキサイド付加体である。
(B)成分を用いることで、本発明の液体漂白洗剤組成物は、高濃度の界面活性剤を含有してもゲル化等を起こさずに良好な液性を保持でき、界面活性剤を多量に含有することができる。
また、本発明の液体漂白洗剤組成物は、(B)成分を含有することにより、水への溶解性に優れ、高い洗浄力が得られやすくなる。加えて、高濃度の界面活性剤を含有しても粘度が著しく増大(ゲル化)せずに液性が良好で、流動性も良好な濃縮型の液体漂白洗剤組成物が得られる。
【0021】
上記一般式(I)中、Rは炭素数9〜13の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基、又は炭素数9〜13の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルケニル基である。
において、アルキル基、アルケニル基の炭素数は、洗浄力向上やゲル化防止の点から、それぞれ10〜13であることが好ましく、それぞれ11〜13であることがより好ましい。
は、炭素数2〜4のアルキレン基であり、炭素数2〜3のアルキレン基であることが好ましく、エチレン基であることがより好ましい。また、(B)成分中において、Rは、1種単独のアルキレン基であってもよく、2種以上のアルキレン基が混在していてもよい。
は、炭素数1〜3のアルキル基であり、好ましくはメチル基である。
nは、アルキレンオキサイドの平均付加モル数を示し、5〜30である。好ましくは、洗浄力や液体漂白洗剤組成物の液安定性(特に、低温での経時安定性等)の向上の点から12〜18である。
【0022】
上記一般式(II)中、xおよびyは、それぞれメチレン基の数を示し、x+y=5〜13である。好ましくは、洗浄力向上の点から9〜13である。
zは、エチレンオキサイドの平均付加モル数を示し、5〜30である。好ましくは、洗浄力や液体漂白洗剤組成物の液安定性(特に、低温での経時安定性等)の向上の点から9〜18である。
【0023】
上記一般式(III)中、Rは炭素数10〜20のアルキル基、又は炭素数10〜20のアルケニル基である。炭素数が上記範囲内であることにより、洗浄力やゲル化防止性に優れる。アルキル基、アルケニル基の炭素数は、それぞれ12〜18であることが好ましく、それぞれ12〜14であることがより好ましい。
アルキル基およびアルケニル基は、それぞれ直鎖状もしくは分岐鎖状であることが好ましい。アルキル基およびアルケニル基は、一般式(III)で表されるアルキレンオキサイド付加体の原料となるアルコール(R−OH)に由来する。該アルコールとしては、ヤシ油、パーム油、牛脂などの天然油脂由来のアルコールや、石油由来の合成アルコールなどが挙げられる。
【0024】
pは、エチレンオキサイドの平均付加モル数を示し、5〜20であり、好ましくは5〜18である。pが上記範囲内であることにより、得られる液体漂白洗剤組成物の洗浄力、特に皮脂汚れに対する洗浄力が向上する。
qは、プロピレンオキサイドの平均付加モル数を示し、1〜4であり、好ましくは1〜3である。qが上記範囲内であることにより、すすぎ時の泡切れ性が良好になると共に、液体漂白洗剤組成物がゲル化するのを防止できる。
なお、エチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドの付加方法としては特に制限されず、ランダム付加でもよいし、エチレンオキサイドを付加した後、プロピレンオキサイドを付加してもよいし、その逆のようなブロック付加でもよい。特に、エチレンオキサイドとプロピレンオキサイドを付加した後、さらにエチレンオキサイドを付加するのが好ましく、これにより末端にエチレンオキサイド鎖を有する付加体が得られる。このような付加体は、全自動洗濯機で洗濯する際のすすぎ性が特に良好となる。
【0025】
なお、上記一般式(III)で表されるアルキレンオキサイド付加体において、エチレンオキサイドおよびプロピレンオキサイドの付加モル数分布は特に限定されない。該付加モル数分布は、上記一般式(III)で表されるアルキレンオキサイド付加体の製造時の反応方法によって変動する。例えば、一般的な水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなどのアルカリ触媒を用いて、酸化エチレンを疎水性原料に付加させた場合には、比較的広い付加モル数分布となる傾向にある。また、特公平6−15038号公報に記載のAl3+、Ga3+、In3+、Tl3+、Co3+、Sc3+、La3+、Mn2+等の金属イオンを添加した酸化マグネシウム等の特定のアルコキシル化触媒を用いて、酸化エチレンを疎水基原料に付加させた場合には、比較的狭い付加モル数分布となる傾向にある。
【0026】
上記一般式(I)で表されるアルキレンオキサイド付加体(以下、「付加体(I)」という。)は、上記一般式(II)で表されるアルキレンオキサイド付加体(以下、「付加体(II)」という。)に比べて、アルキル鎖部分の分岐が少なく、界面張力低下能に優れるため、洗浄力により優れる。また、付加体(I)は、上記一般式(III)で表されるアルキレンオキサイド付加体(以下、「付加体(III)」という。)に比べても洗浄力に優れる傾向にある。
よって、本発明においては、(B)成分として付加体(I)を用いることが特に好ましい。
【0027】
(B)成分として付加体(I)を用いる場合、アルキレンオキサイドの付加モル数が異なるアルキレンオキサイド付加体の分布の割合を示すナロー率が、20質量%以上であることが好ましく、上限値としては実質的には80質量%以下であることが好ましい。当該ナロー率は、20〜60質量%であることがより好ましく、低温での経時安定性が向上するため、30〜45質量%がさらに好ましい。
当該ナロー率は高いほど、良好な洗浄力が得られる。また、当該ナロー率が20質量%以上、特に30質量%以上であると、界面活性剤の原料臭気の少ない液体漂白洗剤組成物が得られやすくなる。これは、(B)成分の製造後、(B)成分と共存する(B)成分の原料である脂肪酸エステルと、前記一般式(I)中のn=1および2のアルキレンオキサイド付加体が少なくなるためと考えられる。
【0028】
ここで、本明細書において「ナロー率」とは、アルキレンオキサイドの付加モル数が異なるアルキレンオキサイド付加体の分布の割合を示す、下記の数式(S)で表されるものを意味する。
【0029】
【数1】

【0030】
式(S)中、nmaxは全体のアルキレンオキサイド付加体中に最も多く存在するアルキレンオキサイド付加体のアルキレンオキサイドの付加モル数を示す。iはアルキレンオキサイドの付加モル数を示す。Yiは全体のアルキレンオキサイド付加体中に存在するアルキレンオキサイドの付加モル数がiであるアルキレンオキサイド付加体の割合(質量%)を示す。
【0031】
前記ナロー率は、例えば付加体(I)の製造方法等によって制御することができる。
付加体(I)の製造方法としては、特に制限されるものではないが、例えば表面改質された複合金属酸化物触媒を用いて、脂肪酸アルキルエステルにエチレンオキサイドを付加重合させる方法(特開2000−144179号公報参照)により容易に製造することができる。
かかる表面改質された複合金属酸化物触媒の好適なものとしては、具体的には、金属水酸化物等により表面改質された、金属イオン(Al3+、Ga3+、In3+、Tl3+、Co3+、Sc3+、La3+、Mn2+等)が添加された酸化マグネシウム等の複合金属酸化物触媒や、金属水酸化物および/または金属アルコキシド等により表面改質されたハイドロタルサイトの焼成物触媒等である。
また、前記複合金属酸化物触媒の表面改質においては、複合金属酸化物と、金属水酸化物及び/または金属アルコキシドとの混合割合を、複合金属酸化物100質量部に対して、金属水酸化物及び/または金属アルコキシドの割合を0.5〜10.0質量部とすることが好ましく、1〜5質量部とすることがより好ましい。
【0032】
付加体(I)は、その分子構造において、親水基が分子の末端には存在せず(末端封鎖型であり)、かつ極性の高いカルボニル基をその分子中に有する。
そのため、かかる付加体(I)は、水溶液系中で分子同士の配向性が弱く、ミセルが不安定なノニオン界面活性剤であるため、高濃度でゲル化等を生じず液性が良好であり、1種単独で多量に液体漂白洗剤組成物中に配合することができると推測される。また、水への溶解性が向上すると推測される。さらに、高濃度での良好な流動性に寄与していると考えられる。従って、かかる付加体(I)が洗濯機槽内の水中へ投入された後、洗濯液中の付加体(I)の濃度が早く均一となり、洗浄初期から所定の濃度で衣類と接することができるため、高い洗浄力が得られると考えられる。
【0033】
なお、(B)成分として付加体(II)を用いる場合、市販品を用いることができる。付加体(II)の市販品としては、例えば日本触媒社製の「ソフタノール90、(上記一般式(II)中、x+y=12、z=9のポリオキシエチレンアルキルエーテルと、x+y=14、z=の9ポリオキシエチレンアルキルエーテルの混合物)」、「ソフタノール70、(上記一般式(II)中、x+y=12、z=7のポリオキシエチレンアルキルエーテルと、x+y=14、z=の7ポリオキシエチレンアルキルエーテルの混合物)」等が挙げられる。
【0034】
(B)成分は、1種または2種以上混合して用いることができる。
(B)成分の含有量は、液体漂白洗剤組成物100質量%中、40〜70質量%であり、45〜65質量%であることが好ましい。
(B)成分の含有量が40質量%以上、好ましくは45質量%以上であると、良好な洗浄力が得られる。加えて、高濃度の界面活性剤を含有する濃縮型の液体漂白洗剤組成物が得られる。また、濃縮型の液体漂白洗剤組成物としての有効性(商品価値)が高くなる。一方、(B)成分の含有量が70質量%以下、好ましくは65質量%以下であると、経時に伴う液表面での液体漂白洗剤組成物のゲル化等が起きにくくなって、液表面において皮膜が形成されにくくなる。
【0035】
[(C)成分]
(C)成分は非石鹸系アニオン界面活性剤である。
(C)成分を用いることで、主として洗濯時の柔軟剤の使用に伴う黄ばみの抑制効果が得られる。
なお、本明細書および本特許請求の範囲において「非石鹸系アニオン界面活性剤」とは、石鹸以外のアニオン界面活性剤を包含するものとする。
【0036】
(C)成分としては、石鹸以外であれば特に制限されるものではなく、例えば直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩(LAS)、アルキル硫酸塩(AS)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩(AES)、α−オレフィンスルホン酸塩(AOS)、アルカンスルホン酸塩、α−スルホ脂肪酸エステル塩(α−SF)、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩等が挙げられる。
【0037】
具体的には、炭素数8〜16のアルキル基を有するアルキルベンゼンスルホン酸塩、炭素数10〜20のアルキル基を有するアルキル硫酸塩;炭素数10〜20のアルキル基を有し、エチレンオキサイドの平均付加モル数1〜10のポリオキシエチレンアルキルエ−テル硫酸塩;炭素数10〜20のアルキル基を有するα−オレフィンスルホン酸塩、炭素数10〜20のアルキル基を有するアルカンスルホン酸塩、炭素数10〜20のアルキル基を有するα−スルホ脂肪酸メチルエステル塩、炭素数10〜20のアルキル基を有し、エチレンオキサイドの平均付加モル数1〜10のポリオキシエチレンアルキルエ−テルカルボン酸塩等が好ましく挙げられる。
上記のなかでも、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルカンスルホン酸塩が好ましく、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩がより好ましい。
【0038】
直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩としてより具体的には、アルキル基の炭素数が8〜16のものが好ましく挙げられ、当該炭素数10〜14のものがより好ましい。
【0039】
ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩としては、アルキル基の炭素数が10〜20のものが好ましく挙げられ、当該炭素数10〜14のものがより好ましく、また、エチレンオキサイドの平均付加モル数は1〜10ものが好ましく挙げられ、当該平均付加モル数1〜4がより好ましい。
また、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩を構成する全エチレンオキサイド付加体中に質量を基準として最も多く存在するエチレンオキサイド付加体のエチレンオキサイドの付加モル数を「n1max」とした際、全エチレンオキサイド付加体に対する、エチレンオキサイドの付加モル数が(n1max−1)と(n1max)と(n1max+1)のエチレンオキサイド付加体の合計の割合が55質量%以上であるものも好ましく、55〜75質量%の範囲であるものがより好ましい。前記範囲であると、柔軟剤の使用に伴う黄ばみの抑制効果がより向上する。また、液体漂白洗剤組成物の液表面において、該液体漂白洗剤組成物自体がゲル化しにくくなって皮膜が形成されにくくなる。
【0040】
アルカンスルホン酸塩としては、アルキル基の炭素数が10〜20のものが好ましく、当該炭素数10〜14のものがより好ましく、また、2級アルカンスルホン酸塩であることが好ましい。
【0041】
塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩、モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩等のアルカノールアミン塩などが挙げられる。なかでも、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩が好ましい。
【0042】
(C)成分としては、市販品を用いてよく、例えばライオン社製の「ライポンLH−200」;クラリアント・ジャパン社製の「SAS30」等が挙げられる。
【0043】
(C)成分は、1種または2種以上混合して用いることができる。
(C)成分の含有量は、液体漂白洗剤組成物100質量%中、1〜10質量%であり、1〜5質量%であることが好ましく、2〜5質量%であることがより好ましい。
(C)成分の含有量が1質量%以上であると、柔軟剤の使用に伴う黄ばみの抑制効果が得られる。一方、(C)成分の含有量が10質量%以下であると、泡の立ちすぎを抑えることができる。また、液体漂白洗剤組成物の液表面において、該液体漂白洗剤組成物自体がゲル化しにくくなって皮膜が形成されにくくなる。さらに、前記(B)成分をより多く配合でき、洗浄力をより高めることができると共に、後述の(D)成分との配合バランスもとることができる。
【0044】
本発明の液体漂白洗剤組成物において、前記(C)成分は、主として柔軟剤の使用に伴う黄ばみの抑制効果に寄与すると考えられる。
かかる効果が得られる理由としては、定かではないが、以下のように推測される。
理由の一つは、「黄ばみ」は、洗濯の際、柔軟剤の使用に伴って、衣類に鉄分等が吸着しやすくなり、この鉄分等が日干し等の影響によって変色し、衣類上に現れてくるためと考えられる。もう一つ考えられることは、柔軟基剤(柔軟性を付与する成分)が洗濯のたびに衣類に蓄積し、黄ばみを生ずることも考えられる。
本発明の液体漂白洗剤組成物においては、(B)成分と、(C)成分と、後述する(D)成分の作用によって、前記鉄分等の衣類への吸着量を低減できるため、また、(C)成分が柔軟基剤を洗濯の際に取り除くことができるために、柔軟剤の使用に伴う黄ばみが抑制されると考えられる。なかでも、特に(C)成分の前記鉄分等への作用が大きいものと推測される。
【0045】
[(D)成分]
(D)成分は飽和脂肪酸である。
(D)成分を用いることにより、主として泡立ちの低減効果が得られる。
【0046】
(D)成分としては、直鎖状であっても分岐鎖状であってもよく、炭素数は8〜22が好ましく、炭素数10〜18がより好ましい。
(D)成分として具体的には、カプリル酸、カプリン酸、ラウリン酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸などが挙げられ、なかでも泡立ちの低減効果がより良好であることから、パルミチン酸であることが好ましい。
【0047】
(D)成分は、1種または2種以上混合して用いることができる。
(D)成分の含有量は、液体漂白洗剤組成物100質量%中、0.05〜3.0質量%であり、0.1〜2.0質量%であることが好ましく、0.2〜1.0質量%であることがより好ましい。
(D)成分の含有量が0.05質量%以上であると、泡立ちの低減効果が得られる。一方、(D)成分の含有量が3.0質量%以下であると、沈殿や分離が起きにくくなり、液性が良好となる。また、他の成分(特に前記(C)成分)との配合バランスをとることができる。
【0048】
本発明の液体漂白洗剤組成物において、(C)成分と(D)成分との混合割合[(C)/(D)]としては、質量比で(C)/(D)=1/ 10〜100/1であることが好ましく、(C)/(D)=1/5〜50/1であることがより好ましく、(C)/(D)=1/5〜25/1であることがさらに好ましい。
(C)/(D)の質量比が前記範囲内であると、泡立ちの低減効果と、柔軟剤の使用に伴う黄ばみの抑制効果との両方の効果が、いずれも良好に得られる。また、(C)/(D)の質量比が上限値以下であると、泡立ちの低減効果がより向上する。一方、(C)/(D)の質量比が下限値以上であると、柔軟剤の使用に伴う黄ばみの抑制効果がより向上する。
【0049】
[(E)成分]
本発明の液体漂白洗剤組成物は、前記(A)〜(D)成分に加えて、(E)成分であるアルカノールアミンを含有するのが好ましい。
(B)成分と(C)成分を併用すると、液体漂白洗剤組成物を低温で保存したり使用したりする際に白濁する場合があるが、(E)成分をさらに併用することで白濁を抑制でき、低温時における液体漂白洗剤組成物の外観安定性を向上させることができる。
(E)成分は(C)成分の対イオンである。このような(E)成分としては、炭素数1〜3のアルキル基を有するアルカノールアミンが好ましく、炭素数1〜2のアルキル基を有するアルカノールアミンがより好ましく、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンがさらに好ましい。
【0050】
(E)成分は、1種または2種以上混合して用いることができる。
(E)成分の含有量は、液体漂白洗剤組成物100質量%中、0.1〜3.0質量%であることがましく、0.5〜3.0質量%であることがより好ましく、0.5〜2.0質量%であることがさらに好ましい。
(E)成分の含有量が0.1質量%以上であれば、液体漂白洗剤組成物の外観安定性を向上させる効果が得られやすい。なお、(E)成分を併用すると、容器中で液体漂白洗剤組成物を保存している最中に、(E)成分が酸素を吸収することにより容器がへこむ場合がある。しかし、(E)成分の含有量が3.0質量%以下であれば、(E)成分の酸素吸収により容器がへこむことを抑制しやすい。
【0051】
[任意成分]
本発明の液体漂白洗剤組成物には、前記(A)〜(D)成分および(E)成分以外に、必要に応じて、その他の成分を適宜、配合することができる。
【0052】
(キレート剤)
キレート剤は、Fe3+およびCu2+に対するキレート安定化定数の対数値(logK)がそれぞれ10以上であって、Ca2+に対するキレート安定化定数の対数値(logK)がそれぞれ5.5以上であるキレート剤である。Fe3+およびCu2+に対するキレート安定化定数の対数値(logK)は、それぞれ12以上が好ましい。
本発明の液体漂白洗剤組成物中に、微量の鉄イオンまたは銅イオンが存在すると、(A)成分の安定性が低下したり、(B)成分、(C)成分、(D)成分の安定性が影響をうけたりする場合がある。これら金属イオンを封鎖するには、キレート剤が有効であり、キレート効率の指標として一般的にキレート安定度定数の対数値(logK)が用いられ、この値が大きいほどキレート効率に優れるといえる。
【0053】
キレート剤としては、エタン−1,1−ジホスホン酸、エタン−1,1,2−トリホスホン酸塩、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、エタンヒドロキシ−1,1,2−トリホスホン酸、エタン−1,2−ジカルボキシ−1,2−ジホスホン酸、メタンヒドロキシホスホン酸、ニトリロトリメチレンホスホン酸、エチレンジアミンテトラキスメチレンホスホン酸等の有機ホスホン酸誘導体が挙げられる。これらの中でも、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸、エチレンジアミンテトラキスメチレンホスホン酸が好ましく、1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸が特に好ましい。
1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸としては、市販品を用いることができ、例えばローディアジャパン社製の「フェリオックス115」;オルブライトウィルソン社製の「BRIQUEST ADPA」;キレスト社製の「キレストPH−210」;モンサント社製の「DEQUEST 2010」等が挙げられる。これらの何れを使用しても同様の効果が得られる。
【0054】
キレート剤の含有量は、液体漂白洗剤組成物100質量%中、0.05〜3.0質量%であることが好ましく、0.1〜3.0質量%であることがより好ましく、0.3〜3.0質量%であることが特に好ましい。
キレートの含有量が上記範囲内であれば、液外観がより良好になると共に、液体漂白洗剤組成物の保存安定性や、(A)成分および後述する漂白活性化剤の安定性がより向上しやすくなる。また、(E)成分を含有した液体漂白洗剤組成物では、容器のへこみ抑制効果が向上する。
【0055】
(ラジカルトラップ剤)
ラジカルトラップ剤としては、フェノール系ラジカルトラップ剤を用いるのが好ましい。
特に、液体漂白洗剤組成物のpHが5以上になると、上述したキレート剤を配合するだけでは(A)成分の分解の抑制が不十分となる場合があるが、ラジカルトラップ剤をキレート剤と併用すれば、(A)成分の分解を効果的に抑制できる。
また、誤使用などで液体漂白洗剤組成物を衣類に塗布した後、長時間放置してしまった際などには、金属分や、(A)成分と反応性の高い成分による(A)成分の異常分解が起こり、これにより衣類が損傷される場合もある。このような場合において、フェノール系ラジカルトラップ剤が液体漂白洗剤組成物に配合されていると、衣類の損傷を抑制することができる。
【0056】
フェノール系ラジカルトラップ剤とは、フェノールおよびフェノール誘導体であり、該フェノール誘導体としては、フェノール性のOH基を有する化合物、フェノール性のOH基のエステル誘導体、エーテル誘導体等が好ましく挙げられる。なお、置換位置は、オルト位、メタ位、パラ位のいずれでもよい。これらなかでも、フェノール性のOH基を有する化合物がより好ましく、特に「G.E.Penketh,J.Appl.Chem」,7,512〜521頁(1957)に記載された酸化還元電位(O.P.)が1.25V以下(より好ましくは0.75V以下)の化合物が好ましい。
このようなフェノール誘導体としては、ジメトキシフェノール、カテコール、ハイドロキノン、4−メトキシフェノール、ジブチルヒドロキシトルエン(BHT)等が挙げられ、4−メトキシフェノールが特に好ましい。
【0057】
ラジカルトラップ剤の含有量は、液体漂白洗剤組成物100質量%中、0.01〜6.0質量%であることが好ましく、0.05〜1.0質量%であることがより好ましい。
ラジカルトラップ剤の含有量が上記範囲内であれば、(A)成分の分解抑制効果が十分に得られると共に、経済性も良好となる。
【0058】
(ホウ酸化合物)
ホウ酸化合物としては、例えばオルトホウ酸(HBO);ホウ酸イオン(BO3−)もしくは(BO5−)のつくる塩、またはそれらが縮合した陰イオンの塩(縮合ホウ酸塩)等が挙げられる。
塩としては、ナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属塩;モノエタノールアミン塩、ジエタノールアミン塩等のアルカノールアミン塩;アンモニウム塩などが挙げられる。なかでも、アルカリ金属塩が好ましく、ナトリウム塩、カリウム塩がより好ましい。
【0059】
上述したホウ酸化合物のなかでも特に好適なものとしては、オルトホウ酸、ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウム、ホウ酸アンモニウム、四ホウ酸ナトリウム、四ホウ酸カリウム、四ホウ酸アンモニウム等が挙げられ、オルトホウ酸、四ホウ酸ナトリウムがより好ましい。
前記四ホウ酸ナトリウムとしては、例えば四ホウ酸ナトリウム・5水塩、四ホウ酸ナトリウム・10水塩(ホウ砂)等の含水塩が特に好ましい。
【0060】
ホウ酸化合物は、1種または2種以上混合して用いることができる。
ホウ酸化合物の含有量は特に制限されるものではなく、液体漂白洗剤組成物100質量%中、0.2〜10.0質量%であることが好ましく、1〜5質量%であることがより好ましい。なお、ホウ酸化合物として四ホウ酸ナトリウムの含水塩を用いた場合の含有量は、四ホウ酸ナトリウム(Na)換算で算出した濃度(すなわち、Na量)を示す。
ホウ酸化合物の含有量が0.2質量%以上であると、特に水性のしみ汚れに対する除去効率が向上する。一方、ホウ酸化合物の含有量が10.0質量%以下であると、液体漂白洗剤組成物の低温における保存安定性が向上する。
【0061】
(ポリオール化合物)
ポリオール化合物は、隣り合う炭素原子の両方にそれぞれ1つずつヒドロキシル基を有する部位が1つ以上存在する化合物である。このような化合物の具体例としては、下記(1)〜(4)に示す化合物が好適であり、下記(1)〜(4)に示す化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種を用いることが好ましい。
(1):グリセリン、ジグリセリン、トリグリセリン、アルキル(炭素数1〜10)ポリグリセリルエーテル(例えば、アルキル(炭素数1〜10)ジグリセリルエーテル、アルキル(炭素数1〜10)トリグリセリルエーテル)。
(2):ソルビトール、マンニトール、マルチトース、イノシトール、及びフィチン酸から選ばれる糖アルコール類。
(3):グルコース、アピオース、アラビノース、ガラクトース、リキソース、マンノース、ガロース、アルドース、イドース、タロース、キシロース、及びフルクトースから選ばれる還元糖類、及びこれらの誘導体(アルキル(ポリ)グリコシド等)。
(4)デンプン、デキストラン、キサンタンガム、グアガム、カードラン、プルラン、アミロース、及びセルロースから選ばれる多糖類。
【0062】
ポリオール化合物は、上述したホウ酸化合物と相乗的に作用して液体漂白洗剤組成物の洗浄力を向上させる。ポリオール化合物の含有量は、液体漂白洗剤組成物100質量%中、0.3〜35.0質量%であることが好ましく、1〜30質量%であることがより好ましく、2〜20質量%であることが特に好ましい。
ポリオール化合物の含有量が上記範囲内であれば、液体漂白洗剤組成物の洗浄力が向上する。
【0063】
また、ポリオール化合物は、上述したホウ酸化合物とのモル比が、ポリオール化合物/ホウ酸化合物=1.0〜12.0となるように調整するのが好ましく、より好ましくは1.5〜10.0であり、さらに好ましくは1.5〜6.0であり、特に好ましくは2.0〜4.0である。
ポリオール化合物とホウ酸化合物のモル比が上記範囲内であれば、優れたpHジャンプ効果が得られるようになる。さらに、(A)成分および後述する漂白活性化剤の安定性がより向上しやすくなるので、優れた漂白効果が得られるようになる。
【0064】
(界面活性剤)
本発明の液体漂白洗剤組成物においては、前記(B)〜(D)成分を除く界面活性剤を用途に応じて配合してもよく、例えばノニオン界面活性剤、両性界面活性剤、アミドアミン塩型界面活性剤などを用いることができる。
ノニオン界面活性剤としては、長鎖アルコールにエチレンオキシドを付加したアルコールエトキシレート、アルキルフェノール、高級脂肪酸又は高級アミン等のアルキレンオキサイド付加体、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンブロックコポリマー、脂肪酸アルカノールアミン、脂肪酸アルカノールアミド、多価アルコール脂肪酸エステル又はそのアルキレンオキサイド付加体、多価アルコール脂肪酸エーテル、アルキルアミンオキサイド、アルケニルアミンオキサイド、硬化ヒマシ油のアルキレンオキサイド付加体、糖脂肪酸エステル、N−アルキルポリヒドロキシ脂肪酸アミド、アルキルグリコシド等が挙げられる。
【0065】
両性界面活性剤としては、アルキルベタイン型、アルキルアミドベタイン型、イミダゾリン型、アルキルアミノスルホン型、アルキルアミノカルボン酸型、アルキルアミドカルボン酸型、アミドアミノ酸型又はリン酸型の両性界面活性剤等が挙げられる。
アミドアミン塩型界面活性剤としては、カプリル酸ジメチルアミノプロピルアミド、カプリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ラウリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ミリスチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、パルミチン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ステアリン酸ジメチルアミノプロピルアミド、ベヘニン酸ジメチルアミノプロピルアミド、オレイン酸ジメチルアミノプロピルアミド等の長鎖脂肪族アミドアルキル3級アミンの塩;パルミチン酸ジエタノールアミノプロピルアミド塩、ステアリン酸ジエタノールアミノプロピルアミド塩等が挙げられる。
【0066】
(漂白活性化剤)
漂白活性化剤としては、テトラアセチルエチレンジアミン、ペンタアセチルグルコース、オクタノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、ノナノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、デカノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、ウンデカノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデカノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、オクタノイルオキシ安息香酸、ノナノイルオキシ安息香酸、デカノイルオキシ安息香酸、ウンデカノイルオキシ安息香酸、ドデカノイルオキシ安息香酸、オクタノイルオキシベンゼン、ノナノイルオキシベンゼン、デカノイルオキシベンゼン、ウンデカノイルオキシベンゼン、ドデカノイルオキシベンゼン等の有機過酸前駆体等が挙げられる。これらのなかでも、ノナノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデカノイルオキシベンゼンスルホン酸ナトリウム、デカノイルオキシ安息香酸が好ましく使用できる。
【0067】
漂白活性化剤は、1種または2種以上混合して用いることができる。
漂白活性化剤の含有量は、液体漂白洗剤組成物100質量%中、0.1〜5.0質量%であることが好ましく、0.1〜2.0質量%であることがより好ましい。
漂白活性化剤の含有量が上記範囲内であれば、液体漂白洗剤組成物の漂白力および保存安定性が向上すると共に、経済性も良好となる。
【0068】
(pH調整剤)
pH調整剤としては、塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸;p−トルエンスルホン酸、クエン酸、ホスホン酸誘導体等の有機酸;ホウ酸ナトリウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、アンモニア等を使用できる。
pH調整剤は、1種または2種以上混合して用いることができる。
pH調整剤は、本発明の液体漂白洗剤組成物の25℃でのpHを、好ましくはpH2〜7に調整する量が適宜添加される。
【0069】
(ハイドロトロープ剤)
ハイドロトロープ剤としては、水混和性の有機溶剤が挙げられる。具体的には、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール等のアルコール類;プロピレングリコール、ブチレングリコール、ヘキシレングリコール等のグリコール類;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、質量平均分子量が約200のポリエチレングリコール、質量平均分子量が約400のポリエチレングリコール、ジプロピレングリコール等のポリグリコール類;ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のアルキルエーテル類などが挙げられる。
ハイドロトロープ剤の含有量は、液体漂白洗剤組成物100質量%中、0.1〜15.0質量%であることが好ましい。
【0070】
(減粘剤・可溶化剤)
減粘剤・可溶化剤としては、p−トルエンスルホン酸、安息香酸塩、尿素などが挙げられる。
減粘剤・可溶化剤の含有量は、液体漂白洗剤組成物100質量%中、0.01〜10.0質量%であることが好ましい。
【0071】
(無機塩類)
無機塩類としては、塩化ナトリウム、塩化カリウム、硫酸ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウムなどが使用できる。
【0072】
(香料)
液体漂白洗剤組成物には、商品の付加価値向上等を目的として、芳香のための香料を配合してもよい。
香料としては、特開2003−268398号公報に記載の香料成分が挙げられる。香料の含有量は、液体漂白洗剤組成物100質量%中、0.01〜2.0質量%であることが好ましい。
【0073】
(水)
本発明にかかる液体漂白洗剤組成物において、水の含有量は、液体漂白洗剤剤組成物100質量%中、10〜50質量%であることが好ましく、20〜40質量%であることがより好ましい。該範囲であれば、「濃縮型」として安定な液体漂白洗剤組成物が得られやすくなる。
【0074】
[液体漂白洗剤組成物の物性]
(pH)
液体漂白洗剤組成物は、25℃でのpHが2〜7であることが好ましい。pHが上記範囲内であれば、液体漂白洗剤組成物の保存安定性を良好に維持できる。pHが7を超えると、各成分(特に(A)成分)の分解が起こり、本発明の効果が十分に得られにくくなる場合がある。
液体漂白洗剤組成物のpHは、上述したpH調整剤により調整できる。
なお、液体漂白洗剤組成物(25℃に調温)のpHは、pHメーター(東亜ディーケーケー社製、「HM−30G」)等により測定される値を示す。
【0075】
(粘度)
液体漂白洗剤組成物は、25℃での粘度が、10〜300mPa・sであることが好ましい。粘度が上記範囲内であれば、液体漂白洗剤組成物をキャップ等に計りとるときのキャップ計量性を良好に維持できる。
液体漂白洗剤組成物の粘度は、上述した無機塩類により調整できる。
なお、液体漂白洗剤組成物(25℃に調温)の粘度は、B型粘度計(TOKIMEC社製)等により測定される値を示す。
【0076】
[液体漂白洗剤組成物の製造]
液体漂白洗剤組成物は、常法に準じて製造できる。例えば、上述した(A)〜(D)成分と、必要に応じて(E)成分および任意成分とを、各成分の純分換算量で所望の含有量になるように、水(例えばイオン交換水など)等の溶媒に溶解して混合し、さらに必要に応じてpH調整剤を用いて所定のpHになるように調整することで得られる。
【0077】
[使用方法]
液体漂白洗剤組成物の使用方法は、通常の使用方法、すなわち液体漂白洗剤組成物(本発明品)を、洗濯時に洗濯物と一緒に水に投入する方法、泥汚れや皮脂汚れに本発明品を直接塗布する方法、本発明品を予め水に溶かして衣類を浸漬する方法等が挙げられる。また、本発明品を洗濯物に塗布後、適宜放置し、その後、通常の洗濯液を用いて通常の洗濯を行う方法も好ましい。その際、本発明品の使用量は、従来の洗浄機能と漂白機能を兼ね備えた洗剤の使用量よりも、実質上半量以下に少なくすることができる。
【0078】
以上説明した、本発明の液体漂白洗剤組成物によれば、(A)成分を含有することで漂白効果が得られ、(B)成分を含有することで洗浄効果が得られるので、漂白機能と洗浄機能を兼ね備える。
また、(B)成分を含有することで、本発明の液体漂白洗剤組成物は、高濃度の界面活性剤を含有してもゲル化等を起こさずに良好な液性を保持でき、界面活性剤を多量に含有することができるので、いわゆる「濃縮型」の液体漂白洗剤組成物として使用できる。
加えて、本発明の液体漂白洗剤組成物は、(D)成分を併用することで泡立ちの低減効果も得られるので、特にドラム式洗濯機にも好適に用いることができる。
さらに、本発明の液体漂白洗剤組成物は、(C)成分を含有することで洗濯時の柔軟剤の使用に伴う黄ばみの抑制効果が得られる。
さらに、(E)成分を含有することで、低温時の外観安定性をさらに向上させる効果が得られる。
【実施例】
【0079】
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0080】
[使用原料]
(A)成分として、以下に示す化合物を用いた。
A−1:過酸化水素(三菱ガス化学社製)。
【0081】
(B)成分として、以下に示す化合物を用いた。
B−1:C1123CO(OC15OCH、ナロー率33質量%、合成品。
B−2:C1123CO(OC15OCHと、C1327CO(OC15OCHとの質量比で8/2の混合物、ナロー率33質量%、合成品。
B−3:C1123CO(OC15OCH、ナロー率45質量%、合成品。
B−4:C1123CO(OC15OCHと、C1327CO(OC15OCHとの質量比で8/2の混合物、ナロー率45質量%、合成品。
B−5:ポリオキシエチレンアルキルエーテル(日本触媒社製、「ソフタノール90」、上記一般式(II)中、x+y=12、z=9のポリオキシエチレンアルキルエーテルと、x+y=14、z=の9ポリオキシエチレンアルキルエーテルの混合物)。
B−6:天然アルコール(C12/C14=7/3)に、16モルのエチレンオキサイドと2モルのプロピレンオキサイドをランダム付加させて得られたノニオン界面活性剤、合成品。
B−7(比較品):C1327O(CO)15H、三菱化学社製のDiadolアルコ−ル(分岐率50質量%)の、エチレンオキサイドの平均付加モル数15モル付加物、合成品。
【0082】
各(B)成分は、それぞれ以下のようにして調製した。なお、B−1〜B−4は、前記付加体(I)に相当し、B−5は前記付加体(II)に相当し、B−6は前記付加体(III)に相当する。
B−1の調製:
特開2000−144179号公報に記載の実施例における製造例1に準じて製造した合成品を用いた。
すなわち、化学組成が2.5MgO・Al・nHOである水酸化アルミナ・マグネシウム(協和化学工業社製、「キョーワード300」)を600℃で1時間、窒素雰囲気下で焼成して得られた焼成水酸化アルミナ・マグネシウム(未改質)触媒2.2gと、0.5規定の水酸化カリウムエタノール溶液2.9mLと、ラウリン酸メチルエステル350gとを4Lオートクレーブに仕込み、オートクレーブ内で触媒の改質を行った。次いで、オートクレーブ内を窒素で置換した後、昇温を行い、温度を180℃、圧力を0.3MPaに維持しつつ、エチレンオキサイド1079gを導入し、撹拌しながら反応させた。
さらに、反応液を80℃に冷却し、水159gと、濾過助剤として活性白土および珪藻土をそれぞれ5g添加した後、触媒を濾別し、B−1を得た。
なお、触媒に対するアルカリ添加量を調節することにより、ナロー率33質量%のB−1を得た。
【0083】
B−2の調製:
ラウリン酸メチルエステル単独の代わりに、ラウリン酸メチルエステル280gおよびミリスチン酸メチルエステル70gをそれぞれ用い、エチレンオキサイド1052gを導入した以外は、(B−1)と同様にして、(B−2)を得た。
なお、触媒に対するアルカリ添加量を調節することにより、ナロー率33質量%のB−2を得た。
【0084】
B−3の調製:
ラウリン酸メチルエステル350gを用い、エチレンオキサイド1079gを導入した以外は、(B−1)と同様にして、(B−3)を得た。
なお、触媒に対するアルカリ添加量を調節することにより、ナロー率45質量%のB−3を得た。
【0085】
B−4の調製:
ラウリン酸メチルエステル単独の代わりに、ラウリン酸メチルエステル280gおよびミリスチン酸メチルエステル70gをそれぞれ用い、エチレンオキサイド1052gを導入した以外は、B−1)と同様にして、(B−4)を得た。
なお、触媒に対するアルカリ添加量を調節することにより、ナロー率45質量%のB−4を得た。
【0086】
B−6の調製:
P&G社製のアルコール「CO−1270」224.4gと、30質量%NaOH水溶液2.0gとを耐圧型反応容器中に採取し、容器内を窒素置換した。次に温度100℃、圧力2.0kPa以下で30分間脱水してから、温度を160℃まで昇温した。アルコールを攪拌しながら酸化エチレン(ガス状)704gとプロピレンオキサイド116gを、吹き込み管を使って、反応温度が180℃を超えないように添加速度を調整しながらアルコールの液中に徐々に加えて反応させた。
酸化エチレンとプロピレンオキサイドの添加終了後、温度180℃、圧力0.3MPa以下で30分間熟成した後、温度180℃、圧力6.0kPa以下で10分間、未反応の酸化エチレンとプロピレンオキサイドを留去した。
次に、温度を100℃以下まで冷却した後、反応物の1質量%水溶液のpHが約7になるように、70質量%p−トルエンスルホン酸を加えて中和し、(B−6)を得た。
【0087】
B−7の調製:
トリデシルアルコール186g、30質量%NaOH水溶液2.0gを、耐圧型反応容器中にそれぞれ採取し、容器内を窒素置換した。
次に、温度100℃、圧力2.0kPa以下で30分間脱水してから、温度を160℃まで昇温した。アルコールを撹拌しながら酸化エチレン(ガス状)660gを、吹き込み管を使って、反応温度が180℃を超えないように添加速度を調整しながらアルコールの液中に徐々に加えた。
酸化エチレンの添加終了後、温度180℃、圧力0.3MPa以下で30分間熟成した後、温度180℃、圧力6.0kPa以下で10分間、未反応の酸化エチレンを留去した。
次に、温度を100℃以下まで冷却した後、反応物の1質量%水溶液のpHが約7になるように、p−トルエンスルホン酸(70質量%水溶液)を加えて中和し、B−7(比較品)を得た。
【0088】
なお、B−1〜B−4のナロー率は、以下のようにして求めた。
高速液体クロマトグラフィー(HPLC)を用い、下記測定条件により、得られた合成品におけるエチレンオキサイドの付加モル数が異なるエチレンオキサイド付加体の分布を測定した。そして、B−1〜B−4のナロー率(質量%)を前記数式(S)に基づいて算出した。
(HPLCによるエチレンオキサイド付加体の分布の測定条件)
装置 :LC−6A(島津製作所社製)。
検出器 :SPD−10A。
測定波長:220nm。
カラム :Zorbax C8 (Du Pont社製)。
移動相 :アセトニトリル/水=60/40(体積比)。
流速 :1mL/分。
温度 :20℃。
【0089】
(C)成分として、以下に示す化合物を用いた。
C−1:LAS、直鎖アルキル(炭素数10〜14)ベンゼンスルホン酸[ライオン社製、「ライポンLH−200(LAS−H)」、純分96質量%)]を、モノエタノ−ルアミン(日本触媒社製)で中和したものを示す。直鎖アルキル(炭素数10〜14)ベンゼンスルホン酸のモノエタノールアミン塩として平均分子量381。表中の配合量は、当該モノエタノールアミン塩としての値(質量%)を示す。
【0090】
C−2:AES、炭素数C12〜13ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸ナトリウム(エチレンオキサイドの平均付加モル数2)、合成品。
【0091】
C−2(AES)の調製;
4Lのオートクレーブ中に、Neodol23アルコール[シェルケミカルズ社製、C12、13アルコール(炭素数12のアルコールと、炭素数13のアルコールとの質量比1/1の混合物)、分岐率20質量%]400gと、水酸化カリウム触媒0.8gとを仕込み、オートクレーブ内を窒素置換し、撹拌しながら昇温した。その後、温度180℃、圧力0.3MPaに維持しながらエチレンオキサイド272gを導入し、エチレンオキサイドの平均付加モル数2の反応物を得た。
次に、上記で得られたアルコールエトキシレート280gを、撹拌装置付の500mLフラスコにとり、窒素置換後、液体無水硫酸(サルファン)67gを反応温度40℃に保ちながらゆっくりと滴下した。滴下終了後、1時間撹拌を続け(硫酸化反応)、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸を得た。さらに、これを水酸化ナトリウム水溶液で中和することにより、C−2(AES)を得た。
【0092】
C−3:SAS、セカンダリーアルカンスルホン酸Na(クラリアント・ジャパン社製、「SAS30」)。
【0093】
C−4:NRES、アルキル(炭素数12〜13)エトキシ硫酸エステルナトリウム(エチレンオキサイドの平均付加モル数2)、合成品。
【0094】
C−4(NRES)の調製
原料アルコ−ルとして、サソ−ル社製のサフォ−ル23(炭素数12のアルコールと炭素数13のアルコールとの質量比で55:45の混合物、直鎖率50質量%)を用いた。なお、「直鎖率」とは、全高級アルコールに対する、直鎖状の高級アルコールの割合(質量%)を示す。
4Lのオートクレーブ中に、前記原料アルコ−ル400gと、Al/Mg/Mnで構成される複合金属酸化物ルイス酸焼結固体触媒0.4gとを仕込み、オートクレーブ内を窒素置換し、撹拌しながら昇温した。その後、温度180℃、圧力を0.3MPaに維持しながらエチレンオキサイド54gを導入し、反応物を得た。
次に、上記で得られたアルコールエトキシレート274gを、撹拌装置付の500mLフラスコにとり、窒素置換後、液体無水硫酸(サルファン)81gを反応温度40℃に保持してゆっくりと滴下した。滴下終了後、1時間撹拌を続け、目的とするポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸を得た。さらに、これを水酸化ナトリウム水溶液で中和することにより、C−4(NRES)を得た。
【0095】
(D)成分として、以下に示す化合物を用いた。
D−1:パルミチン酸(日本油脂社製、「NAA−160」)。
D−2:ラウリン酸(日本油脂社製、「NAA−122」)。
D−3:ミリスチン酸(日本油脂社製、「NAA−142」)。
D−4:ステアリン酸(日本油脂社製、「NAA−180」)。
D−5(比較品):オレイン酸(日本油脂社製、「エキストラオレイン」)。
【0096】
(E)成分として、以下に示す化合物を用いた。
E−1:モノエタノールアミン(日本触媒社製、「モノエタノールアミン」)。
【0097】
任意成分として、以下に示す化合物等を用いた。
キレート剤:1−ヒドロキシエタン−1,1−ジホスホン酸(ローディアジャパン社製、「フェリオックス115」)。
ホウ酸化合物:四ホウ酸ナトリウム・5水塩(Borax社製、「Neobor」)。
ラジカルトラップ剤:4−メトキシフェノール(川口化学工業社製、「MQ−F」)。
ハイドロトロープ剤A:エタノール(NEDO社製、「95vol%合成エタノール」)。
ハイドロトロープ剤B:ポリエチレングリコール(ライオン社製、「PEG#1000」)。
香料:特開2003−268398号公報の表7〜14に記載の香料組成物A。
【0098】
[実施例1〜29、比較例1〜7]
<液体漂白洗剤組成物の調製>
表1〜4に示す組成の液体漂白洗剤組成物を、常法に準じて、以下のように製造した。
まず、2cmの撹拌子の入った円筒ガラス瓶(直径50mm、高さ100mm)に、(B)成分を入れた。次に、任意成分の混合溶液、および(E)成分(実施例25〜29の場合)を入れて、400rpmで撹拌子を撹拌させた。次いで、(C)成分を入れて撹拌し、混合した。その後、全体量(全体量を100質量部とする。)が93質量部になるように精製水を入れ、撹拌混合した後、液温を40〜50℃にし、(D)成分を入れて撹拌した。次いで、25℃まで冷却した後、pHを4〜6に調整し、(A)成分を入れて攪拌した。最後に、全体量が100質量%になるように精製水を加えた後、pHを再度調整して液体漂白洗剤組成物を製造した。
pHの調整は、pH調整剤(硫酸または水酸化ナトリウム)を適量添加することにより行った。また、2度目のpH調整は、液体漂白洗剤組成物の25℃でのpHが表1〜4に示す値となるように行った。
なお、表1〜4中の配合量の単位は質量%であり、純分換算量を示す。
得られた液体漂白洗剤組成物について、以下に示す評価を行った。ただし、液性の評価(2)については、実施例25〜29で得られた液体漂白洗剤組成物のみ行った。
【0099】
<評価>
(水性しみ汚れの洗浄力の評価)
沸騰させた水道水(3°DH硬水)1Lに、ティーバッグ(三井農林社製、「日東紅茶アールグレイ」)5個を投入し、5分間軽く撹拌した後ティーバッグを取り出し、そこに30cm角の大きさの布(綿ブロード#100)を1枚浸漬させ、30分間放置した。次いで、布を取り出し、吊るし干しで風乾させた後、2cm角の大きさに切り出し、汚染布として用いた。
プラスチック製シャーレ(直径9cm)の上に、上記汚染布5枚を重ならないように広げ、汚染布1枚につき液体漂白洗剤組成物を0.24mL滴下し、蓋をせずに、25℃・45%RHの室内で6時間放置した。次いで、洗浄試験機(Terg−O−Tometer)を用いて、水道水(15℃、4°DH硬水)900mLに、放置後の汚染布と、衣料用粉末洗剤(ライオン社製、「トップ」)0.6gと、チャージ布(綿メリヤス布)30gを添加して、120rpmで10分間洗浄した。次いで、汚染布に含まれる洗剤溶液の重さが、汚染布と同じ重さになるまで脱水した後、水道水(15℃、4°DH硬水)900mLで3分間濯ぐという工程を2回繰り返し、最後に脱水した。次いで、脱水した汚染布をアイロンで乾燥した。
【0100】
洗浄前の汚染布および洗浄後の汚染布5枚について、それぞれ反射率を測色色差計(日本電色社製「SE2000」)で測定し、洗浄率(%)を下記式(1)より算出した。汚染布5枚の洗浄率の平均値を洗浄力とした。結果を表1〜4に示す。
洗浄率(%)=(洗浄前の汚染布の反射率−洗浄後の汚染布の反射率)/(洗浄前の汚染布の反射率−未汚染布(白布)の反射率)×100 ・・・(1)
式(1)中、未汚染布とは、紅茶液に浸していない布(綿ブロード#100)のことである。
【0101】
(黄ばみの抑制効果の評価)
1)洗浄処理方法;
市販の綿タオル(綿100質量%)10枚と、被洗物(衣類)全体としての質量(600g)を確保するために用いた市販の綿肌シャツ(男性用、サイズLL)3枚とを、全自動洗濯機(東芝社製、「AW−80VC(WL)」)に投入し、水量を12Lに設定し、液体漂白洗剤組成物を4mLの割合で洗濯槽に投入し、柔軟剤(ライオン社製、「ふんわりソフラン」)3.7mLを柔軟剤投入口に入れ、お任せコ−スで洗浄(6分間)、すすぎ2回、脱水(6分間)を順次行う洗浄処理を行った。この洗浄処理を30回繰り返した。なお、洗濯に用いる水には、水道水を用いた。
【0102】
2)黄ばみ度合の評価;
上記の洗浄処理を30回繰り返した綿タオルを、室内で乾燥させた。
上記の洗浄処理前の綿タオル、および上記の洗浄処理を30回繰り返して乾燥させた後の綿タオル(洗浄処理後の綿タオル)を、測色色差計(日本電色社製、「SE2000」)を用いてそれぞれ測定し、測色色差計の測定値(b値)から下記式(2)により黄ばみ度合を求めた。そして、下記評価基準に基づいて、黄ばみの抑制効果を評価した。結果を表1〜4に示す。なお、◎、○を合格と判定した。
黄ばみ度合=洗浄処理後の綿タオルのb値―洗浄処理前の綿タオルのb値 ・・・(2)
評価基準;
◎:黄ばみ度合 0.5未満。
○:黄ばみ度合 0.5以上、1.5未満。
△:黄ばみ度合 1.5以上、2.5未満。
×:黄ばみ度合 2.5以上。
【0103】
(泡立ちの低減効果の評価)
市販の綿肌シャツ(男性用、サイズLL)7枚を、ドラム式洗濯機(パナソニック社製、「NA−V81」)に投入し、液体漂白洗剤組成物を35mLの割合で洗濯槽に投入し、乾燥を含まない洗濯のみのコ−ス(お任せコ−ス:水位・高、洗浄25分間、すすぎ2回、脱水3分間)に設定してスタ−トボタンを押し、洗濯開始から25分後の洗濯槽内の泡立ちの状態を目視により観察した。
泡立ちの状態は、ドラム式洗濯機のフロント扉(円形状)の面を占める泡の割合を指標とし、下記評価基準に基づいて、泡立ちの低減効果を評価した。結果を表1〜4に示す。なお、◎、○、△を合格と判定した。
図1に、本評価における洗濯槽内の泡立ちの状態を示す。図1(a)は、泡の割合が評価基準の「×」レベルを示す図であり、図1(b)は、泡の割合が評価基準の「○」レベルを示す図である。
評価基準;
◎:フロント扉の面を占める泡の割合が1/4未満であった。
○:フロント扉の面を占める泡の割合が1/2未満であった。
△:フロント扉の面を占める泡の割合が3/4未満であった。
×:フロント扉の面をほぼいっぱいの泡が占めた。
【0104】
(液性の評価(1):25℃での液性評価)
液体漂白洗剤組成物150mLを、直径50mm、高さ100mmの円筒ガラス瓶に収容し、フタを閉めて密封した。この状態で、25℃の恒温室に保存し、24時間後の液の外観を目視により観察し、下記評価基準に基づいて、液体漂白洗剤組成物の液性を評価した。結果を表1〜4に示す。なお、○を合格と判定した。
評価基準;
○:均一な外観を呈していた。
△:ごく少量の沈殿物、または僅かに分離が認められた。
×:多量の沈殿物もしくは分離が認められた、またはゲル化していた。
【0105】
(液性の評価(2):5℃での液性評価)
液体漂白洗剤組成物150mLを、直径50mm、高さ100mmの円筒ガラス瓶に収容し、フタを閉めて密封した。この状態で、5℃の恒温槽に保存し、24時間後の液の外観を目視により観察し、下記評価基準に基づいて、液体漂白洗剤組成物の液性を評価した。結果を表3に示す。なお、○を合格と判定した。
評価基準;
○:均一な外観を呈していた。
△:ごく少量の沈殿物、または僅かに分離が認められた。
×:多量の沈殿物もしくは分離が認められた、またはゲル化していた。
【0106】
【表1】

【0107】
【表2】

【0108】
【表3】

【0109】
【表4】

【0110】
表1〜3から明らかなように、各実施例で得られた液体漂白洗剤組成物は、洗浄機能と漂白機能を兼ね備え、(B)成分(界面活性剤)を高濃度に含有しても液性が良好であり、泡立ちが低減され、かつ、柔軟剤の使用に伴う黄ばみを抑制されることが確認できた。
また、実施例1〜4の対比から、(D)成分としてパルミチン酸を含有する実施例1の液体漂白洗剤組成物は、泡立ちの低減効果がより高いことが確認できた。
さらに、実施例1、8〜10と、実施例11、12との対比から、(B)成分として付加体(I)を含有する実施例1、8〜10の液体漂白洗剤組成物は、水性しみ汚れの洗浄力がより高いことが確認できた。
【0111】
また、(A)〜(D)成分に加え、(E)成分を含有する実施例25〜29で得られた液体漂白洗剤組成物は、5℃で保存しても液性(外観安定性)が良好であることが確認された。
なお、実施例29は、(B)成分に加え、一般に使用される長鎖アルコールにエチレンオキサイドを付加したアルコールエトキシレート(B−7)を10質量%含有させた例であるが、得られた液体漂白洗剤組成物は、洗浄機能と漂白機能を兼ね備え、界面活性剤を高濃度に含有しても液性が良好であり、泡立ちが低減され、かつ、柔軟剤の使用に伴う黄ばみを抑制されることが確認できた。
【0112】
一方、表4から明らかなように、(A)〜(D)成分のうち、(A)成分を欠く比較例1で得られた液体漂白洗剤組成物は、水性しみ汚れの洗浄力が低いことが確認された。
(A)〜(D)成分のうち、(D)成分の含有割合が0.05質量%未満の比較例2、および(D)成分として不飽和脂肪酸のオレイン酸を含有する比較例5で得られた液体漂白洗剤組成物は、いずれも、泡立ちの低減効果が低いことが確認された。
(A)〜(D)成分のうち、(C)成分の含有割合が1質量%未満の比較例3で得られた液体漂白洗剤組成物は、黄ばみの抑制効果が低く、(C)成分の含有割合が10質量%超の比較例4で得られた液体漂白洗剤組成物は、泡立ちの低減効果が低いことが確認された。
(A)〜(D)成分のうち、(B)成分の比較品を含有する比較例6で得られた液体漂白洗剤組成物は、液体漂白洗剤組成物の製造の際、粘度が著しく増加(ゲル化)したため、調製することができなかった。そのため、水性しみ汚れの洗浄力、黄ばみの抑制効果、および泡立ちの低減効果の評価を実施することができなかった。
(A)〜(D)成分のうち、(D)成分の含有割合が3.0質量%超の比較例7で得られた液体漂白洗剤組成物は、液体漂白洗剤組成物の製造の際、沈殿物や分離が生じたため、調製することができなかった。そのため、水性しみ汚れの洗浄力、黄ばみの抑制効果、および泡立ちの低減効果の評価を実施することができなかった。







【特許請求の範囲】
【請求項1】
過酸化水素(A)と、下記一般式(I)〜(III)のいずれかで表されるアルキレンオキサイド付加体(B)40〜70質量%と、非石鹸系アニオン界面活性剤(C)1〜10質量%と、飽和脂肪酸(D)0.05〜3.0質量%とを含有することを特徴とする液体漂白洗剤組成物。
【化1】

[式(I)中、Rは炭素数9〜13の直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基又はアルケニル基であり、Rは炭素数2〜4のアルキレン基であり、Rは炭素数1〜3のアルキル基であり、nはアルキレンオキサイドの平均付加モル数を示し、5〜30である。]
【化2】

[式(II)中、xおよびyはそれぞれメチレン基の数を示し、x+y=5〜13であり、zはエチレンオキサイドの平均付加モル数を示し、5〜30である。]
【化3】

[式(III)中、Rは炭素数10〜20のアルキル基又はアルケニル基であり、pはエチレンオキサイドの平均付加モル数を示し、5〜20であり、qはプロピレンオキサイドの平均付加モル数を示し、1〜4である。]
【請求項2】
さらに、アルカノールアミン(E)を含有することを特徴とする請求項1に記載の液体漂白洗剤組成物。

【図1】
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【公開番号】特開2010−229405(P2010−229405A)
【公開日】平成22年10月14日(2010.10.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−47146(P2010−47146)
【出願日】平成22年3月3日(2010.3.3)
【出願人】(000006769)ライオン株式会社 (1,816)
【Fターム(参考)】