説明

液体現像システム用導電性ローラ、その製造方法及びそれを用いた画像形成装置

【課題】生産効率が高く、植物油に対して耐性を有し、植物油に対する表面エネルギーが小さい(植物油の接触角が大きい)液体現像システム用導電性ローラを提供する。
【解決手段】表面が含フッ素光硬化性組成物の硬化物からなる表面保護層で被覆された液体現像システム用導電性ローラであって、含フッ素光硬化性組成物はフッ素化アルキル基含有(メタ)アクリレートと光重合開始剤とを含有し、フッ素化アルキル基含有(メタ)アクリレートは、末端にフッ素化アルキル基を有する官能基と、2個以上の(メタ)アクリロイル基とを有し、且つ1分子中のフッ素原子含有率が25質量%以上で、分子量が500〜4000である、液体現像システム用導電性ローラを提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液体現像剤が使用される、複写機、プリンタ等の電子写真画像形成装置に使用される導電性ローラに関する。
【背景技術】
【0002】
液体現像剤が使用される画像形成装置の導電性ローラの表面は、汚れ防止と導電性ローラの寿命を長くするため、フッ素樹脂層で被覆されている。フッ素含有率が0.05〜80質量%のフッ素含有紫外線硬化型ポリ(メタ)アクリレート系樹脂及び/又はフッ素含有紫外線硬化型ポリオレフィン系樹脂の硬化物を含む樹脂被覆層で被覆された帯電ローラが検討された(例えば、特許文献1参照)。当該フッ素含有紫外線硬化型樹脂は、照射強度100〜700mW/cm2、積算光量200〜3000mJ/cm2の範囲で硬化させる必要があり、当該帯電ローラの製造効率は高くなかった。
フッ素樹脂溶液が塗布され、次いで乾燥されて形成された表面層で被覆された帯電ローラ(例えば、特許文献2参照)、フッ素樹脂溶液が塗布され、次いで乾燥されて形成された表面層で被覆された転写ローラが検討された(例えば、特許文献3参照)。上記帯電ローラ及び転写ローラを、液体現像剤が使用される電子写真画像形成装置で使用すると、これらのローラの汚れを十分に防止できず、これらのローラの寿命は短かった。
主鎖がパーフルオロポリエーテルである非晶質フッ素樹脂層で被覆されたアニロクスローラが検討され(例えば、特許文献4参照)、また、上記非晶質フッ素樹脂層で被覆された定着ローラ及び加圧ローラが検討された(例えば、特許文献5参照)。当該非晶質フッ素樹脂層は、非晶質フッ素樹脂溶液をコーティングした後、50〜250℃で15分間以上放置して形成され、これらのローラの製造効率は高くない。更に、当該非晶質フッ素樹脂層の厚みは10nm以下であり、当該非晶質フッ素樹脂層の寿命は長くない。
【0003】
次に、液体現像剤のキャリアについて説明する。揮発性炭化水素系溶媒が、当該キャリアとして使用されている。揮発性炭化水素系溶媒がキャリアとされる液体現像剤が使用される画像形成装置は、キャリア回収装置を有しており、大型である。不揮発性のシリコーンオイルや流動パラフィンも、当該キャリアとして使用されている。シリコーンオイルや流動パラフィンがキャリアとされる液体現像剤が使用される画像形成装置により転写材に画像を形成すると、転写材にキャリアが存在し続ける。そこで、最近、植物油がキャリアとされる液体現像剤が検討されている。しかしながら、当該液体現像剤が使用される画像形成装置の導電性ローラの表面保護層は検討されていない。
【特許文献1】特開2005−352119号公報
【特許文献2】特開2006−163166号公報
【特許文献3】特開2001−100549号公報
【特許文献4】特開2002−278295号公報
【特許文献5】特開2002−268428号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の課題は、生産効率が高く、植物油に対して耐性を有し、植物油に対する表面エネルギーが小さい(植物油の接触角が大きい)液体現像システム用導電性ローラの提供である。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明は、表面が含フッ素光硬化性組成物の硬化物からなる表面保護層で被覆された液体現像システム用導電性ローラであって、含フッ素光硬化性組成物はフッ素化アルキル基含有(メタ)アクリレートと光重合開始剤とを含有し、フッ素化アルキル基含有(メタ)アクリレートは、末端にフッ素化アルキル基を有する官能基と、2個以上の(メタ)アクリロイル基とを有し、且つ1分子中のフッ素原子含有率が25質量%以上で、分子量が500〜4000である、液体現像システム用導電性ローラである。
【0006】
本発明の好ましい実施態様では、上記液体現像システム用導電性ローラにおいて、フッ素化アルキル基含有(メタ)アクリレートが下記一般式(1)
【化1】

〔式(1)中、Rは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であり、Xはヘテロ原子を有していてもよいアルキレン鎖又は下記一般式(2)
【化2】

〔式(2)中、Yは酸素原子又は硫黄原子であり、mとnは同一でも異なっていてもよい1〜4の整数であり、Rf1はフッ素化アルキル基である。〕
で表される連結基であり、Rfはフッ素化アルキル基である。〕
で表される。
【0007】
本発明の別の好ましい実施態様では、上記液体現像システム用導電性ローラにおいて、一般式(1)中のXが、下記一般式(3)
−(CH2p−Zq−(CH2r− (3)
〔式(3)中、ZはNR(Rは水素原子又は炭素数1〜24のアルキル基である。)、酸素原子、硫黄原子又はNR−SO2(Rは水素原子又は炭素数1〜24のアルキル基である。)であり、pは0〜4の整数であり、qは0又は1であり、rは0〜20の整数であり、且つ1≦p+r≦20である。〕で表されるアルキレン鎖である。
【0008】
本発明の別の好ましい実施態様では、上記液体現像システム用導電性ローラにおいて、一般式(1)中のXが、一般式(2)で表される連結基〔但し、Rf1がCn2n+1(nは1〜20の整数である。)である。〕又は一般式(3)で表されるアルキレン鎖〔但し、ZはNR(Rは水素原子又は炭素数1〜24のアルキル基である。)、酸素原子、硫黄原子又はNR−SO2(Rは水素原子又は炭素数1〜24のアルキル基である。)であり、pが1であり、qが1であり、rが0〜19の整数である。〕であり、且つ前記一般式(1)中のRfが、Rf1と同一又は異なるCn2n+1(nは1〜20の整数である。)である。
【0009】
本発明の別の好ましい実施態様では、上記液体現像システム用導電性ローラにおいて、一般式(1)中のXが、一般式(2)で表される連結基〔但し、Yが硫黄原子であり、Rf1の炭素数nが4、6又は8である。〕又は一般式(3)で表されるアルキレン鎖〔但し、ZはNR(Rは水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基である。)、硫黄原子又はNR−SO2(Rは炭素数1〜6のアルキル基である。)、且つ前記一般式(1)中のRfの炭素数nが4、6又は8である。
【0010】
本発明の別の好ましい実施態様では、上記液体現像システム用導電性ローラにおいて、フッ素化アルキル基含有(メタ)アクリレートが、3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物(a1)と、下記一般式(4)
Rf−(CH2r−Z−H (4)
〔式(4)中、rは0〜20の整数であり、RfはCn2n+1(nは1〜20の整数である。)であり、ZはNR(Rは水素原子又は炭素数1〜24のアルキル基である。)、酸素原子、硫黄原子又はNR−SO2(Rは水素原子又は炭素数1〜24のアルキル基である。)である。〕で表される化合物又は下記一般式(5)
【化3】

〔式(5)中、Yは酸素原子又は硫黄原子であり、mとnは同一でも異なっていてもよい1〜4の整数であり、RfとRf1は同一でも異なっていてもよいCn2n+1(nは1〜20の整数である。)である。〕で表される化合物(a2)とを、前記化合物(a1)1モルに対して、前記化合物(a2)を1.0〜(k−2)モル〔kは前記化合物(a1)1分子中の平均(メタ)アクリロイル基数〕の割合でマイケル付加反応させて得られる化合物である。
【0011】
本発明の別の好ましい実施態様では、上記液体現像システム用導電性ローラにおいて、化合物(a2)が、前記一般式(4)で表される化合物〔但し、ZはNR(Rは水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基である。)、硫黄原子又はNR−SO2(Rは炭素数1〜6のアルキル基である。)であり、Rf中の炭素数nが4、6又は8である〕又は前記一般式(5)で表される化合物(但し、Yが硫黄原子であり、Rf及びRf1中の炭素数nが4、6又は8である。)である。
【0012】
本発明の別の好ましい実施態様では、上記液体現像システム用導電性ローラにおいて、3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物(a1)が下記一般式(6)
【化4】

〔式(6)中、R1は水酸基、炭素数1〜24のアルキル基、炭素数1〜24のアルキルカルボニルオキシ基、CH2=CHCO2CH2−、CH2=C(CH3)CO2CH2−、繰り返し数が1以上で末端が水素原子、炭素数1〜18のアルキル基で封鎖された(ポリ)オキシアルキレン基又は炭素数1〜12のアルキロール基であり、R2は(メタ)アクリロイル基である。〕で表される化合物(a1−1)、下記一般式(7)
【化5】

(式中、R2は(メタ)アクリロイル基であり、R3は水素原子又は炭素数1〜18のアルキルカルボニル基であり、mは3〜6の整数であり、nは0〜3の整数であり、且つm+n=6である。)で表される化合物(a1−2)、ウレタン(メタ)アクリレート(a1−3)、シアヌレート環含有トリ(メタ)アクリレート(a1−4)又はリン酸トリ(メタ)アクリレート(a1−5)である。
【0013】
本発明の別の好ましい実施態様では、上記液体現像システム用導電性ローラにおいて、3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物(a1)が、前記一般式(6)〔但し、R1が炭素数1〜4の直鎖状のアルキル基、CH2=CHCO2CH2−、CH2=C(CH3)CO2CH2−又は炭素数1〜3のアルキロール基である。〕で表される化合物、前記一般式(7)〔但し、R3が水素原子又は炭素数1〜12のアルキルカルボニル基である。〕で表される化合物、又は、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する水酸基含有(メタ)アクリレートと脂環構造を有するイソシアネート化合物とを反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレートである。
本発明の別の好ましい実施態様では、上記液体現像システム用導電性ローラにおいて、表面保護層上の大豆油の接触角が60°〜90°である。
【0014】
本発明は、表面が含フッ素光硬化性組成物の硬化物からなる表面保護層で被覆された液体現像システム用導電性ローラの製造方法であって、基体に含フッ素光硬化性組成物を塗布し、次いで、100〜500mJ/cm2の照射量の紫外線を照射して含フッ素光硬化性組成物を硬化する工程を有し、含フッ素光硬化性組成物はフッ素化アルキル基含有(メタ)アクリレートと光重合開始剤とを含有し、フッ素化アルキル基含有(メタ)アクリレートは、末端にフッ素化アルキル基を有する官能基と、2個以上の(メタ)アクリロイル基とを有し、且つ1分子中のフッ素原子含有率が25質量%以上で、分子量が500〜4000である、液体現像システム用導電性ローラの製造方法である。
【0015】
本発明は、上記液体現像システム用導電性ローラと、キャリアとして植物油を含む液体現像剤が使用される画像形成装置である。
本発明は、帯電ローラ、現像ローラ、転写ローラ、定着ローラ、感光体及び中間転写体の表面が上記表面被覆層で被覆され、キャリアとして植物油を含む液体現像剤が使用される画像形成装置である。
本発明の好ましい実施態様では、上記画像形成装置の帯電ローラ、現像ローラ、転写ローラ、定着ローラ、感光体及び中間転写体の表面被覆層上での大豆油の接触角が60°以上である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
(含フッ素光硬化性組成物)
本発明の含フッ素光硬化性組成物は、特開2005−171238号公報に記載されている組成物である。本発明のフッ素化アルキル基含有(メタ)アクリレートの(メタ)アクリロイル基は、アクリロイル基とメタクリロイル基を総称する。また、本発明のフッ素化アルキル基含有(メタ)アクリレートのフッ素化アルキル基は、アルキル基中の全ての水素原子がフッ素原子に置換されたパーフルオロアルキル基と、アルキル基中の一部の水素原子がフッ素原子で置換された官能基(例えば、HCF2CF2CF2CF2−)を総称する。当該フッ素化アルキル基は、酸素原子を含むフッ素化アルキル基(例えば、CF3−(OCF2CF22−)を包含する。
本発明のフッ素化アルキル基含有(メタ)アクリレートのフッ素化アルキル基は分子の末端に存在し、フッ素化アルキル基含有(メタ)アクリレートが架橋された際に網目の一部として取り込まれない。本発明のフッ素化アルキル基含有(メタ)アクリレートは、架橋時の架橋点となる(メタ)アクリロイル基を2個以上有し、フッ素化アルキル基含有(メタ)アクリレートが架橋された際に、強固な三次元網目構造が形成される。
【0017】
本発明のフッ素化アルキル基含有(メタ)アクリレートはフッ素原子を18質量%以上含有する。フッ素原子含有率が18重量%未満である場合、フッ素原子由来の撥油性を発現させるために、フッ素化アルキル基含有(メタ)アクリレートの使用量を多くしたり、その他のフッ素原子含有率が高い反応性化合物及び/又は非反応性化合物を併用したりする必要がある。
本発明のフッ素化アルキル基含有(メタ)アクリレートの分子量は500〜4000である。当該分子量が4000より大きくなると、含フッ素光硬化性組成物の硬化物の架橋密度が低下し、当該硬化物の力学特性が小さくなる。また、当該分子量が500より小さくなると、当該硬化物のフッ素原子含有率が小さくなり、フッ素原子由来の撥油性が十分に発言されない。
【0018】
(導電性ローラ)
本発明の導電性ローラの一例を表す断面図を図1に示す。本発明の導電性ローラ1は、導電性シャフト2の外周に導電弾性層3が設けられ、導電弾性層3の表面が表面被覆層4で被覆される構造を有している。導電性シャフト2は、直径5〜20mmの直円柱状の形状を有し、その両端部は、軸支され、駆動部品が嵌合されるための加工が施されている。導電性シャフト2の材料となる金属の具体例は、めっき鋼、アルミニウム合金、ステンレス鋼である。
【0019】
導電弾性層3は、導電性付与剤を含有したゴム組成物から形成され、導電弾性層3のJIS A硬度は、50°以下、好ましくは30°以下である。ゴム組成物に含まれるゴム成分の具体例は、アクリルニトリル−ブタジエンゴム(NBR)、エチレン−プロピレン系ゴム(EPDM)、クロロプレンゴム(CR)、エピクロルヒドリンゴム、ウレタンゴム、シリコーンゴムである。1種類のゴム成分が用いられてもよく、2種類以上のゴム成分が用いられてもよい。導電性付与剤の具体例は、カーボンブラック、酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛である。カーボンブラックのゴム成分に対する分散性と補強機能は優れているから、好ましい導電性付与剤はカーボンブラックである。ゴム組成物の抵抗値は、ゴム組成物に配合される導電性付与剤の量で調製する。ゴム成分と導電性付与剤を混練し、次いで、押出成形、プレス成形等の成形法により、導電性シャフト2とゴム組成物を一体成形して、導電性シャフト2の外周に導電弾性層3を設ける。ゴム組成物は、加硫剤、加硫促進剤、軟化剤、充填剤、加工助剤、発泡剤等の添加剤を含有していてもよい。
【0020】
ゴム成分がウレタンゴムである場合、導電弾性層3の形成方法の具体例は以下のとおりである。ポリウレタン原料、環状アミン系触媒及びカーボンブラックを混練して混合液を得、次いで、当該混合液を、接着剤が塗布された導電性シャフトが設けられ、かつ予熱された金型内に注入し、130〜160℃で15〜25分間硬化反応させる。次いで、脱型を行い、導電性シャフトの外周に導電弾性層が設けられた導電性ローラを140〜160℃で1〜2時間加熱し、その後、冷却する。
導電性シャフト2の外周に導電弾性層3を設けた後、導電弾性層3の寸法及び表面性状を整えるため、導電弾性層3に切削加工が施される。
【0021】
(含フッ素光硬化性組成物の硬化物からなる表面保護層の形成)
切削加工が施された導電性弾性層3は、含フッ素光硬化性組成物によりコーティングされる。コーティング装置の具体例は、エアーナイフコーター、キスロールコーター、メタリングバーコーター、グラビアロールコーター、リバースロールコーター、デイップコーター、ダイコーター、スプレー、それらを組み合わせた装置である。次いで、光照射により、含フッ素光硬化性組成物を重合硬化させ、含フッ素光硬化性組成物の硬化物からなる表面保護層4で被覆された液体現像用導電性ローラが得られる。光照射の際、熱をエネルギー源として併用できる。この時は、アゾビスイソブチロニトリル、ベンゾインパーオキシド、メチルエチルケトンパーオキシドナフテン酸コバルトなどの重合開始剤が併用できる。
光照射の光源は、特に制限されない。光源の具体例は、殺菌灯、紫外線用蛍光灯、カーボンアーク、キセノンランプ、複写用高圧水銀ランプ、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、無電極ランプ、メタルハライドランプ、走査型電子加速器、カーテン型電子加速器である。
表面保護層4の厚みは0.5〜20μm、体積電気抵抗は1015Ω・cm以下である。表面保護層4は、上記導電性付与剤を含有していてもよい。
【0022】
本発明の導電性ローラの具体例は、帯電ローラ、現像ローラ、転写ローラ、定着ローラである。本発明の帯電ローラ及び現像ローラの電気抵抗は、感光体にダメージを与えず、良好な画像を得る観点から、104〜1010Ω、好ましくは105〜108Ωの範囲に設定される。本発明の転写ローラの電気抵抗は、感光体上のトナー粒子を良好に転写させる観点から、107〜1012Ωの範囲に設定される。導電性ローラ1の電気抵抗の測定方法は、以下のとおりである。導電性ローラ1を金属板に水平に当て、導電性シャフト2の両端部に500gの荷重を垂直方向に加え、導電性シャフト2と金属板の間に直流電圧100Vを印加して、導電性ローラ1の電気抵抗を測定する。
【0023】
(液体現像剤)
本発明の画像形成装置で使用される液体現像剤にキャリアとして含まれる植物油の具体例は、アマニ油、MOヒマワリ油、菜種油、デバイダーオイル、HOLLキャノーラ、紅花油、オリーブ油、落花生油、ゴマ油、コーン油、大豆油、綿実油、サフラワー油である。植物油は、1種類であっても複数種の混合物であってもよい。
オレイン酸、リノール酸、リノレン酸等の不飽和結合の割合が多い脂肪酸のトリグリセライドは、酸化重合を起こす。従って、不飽和結合の割合が多い脂肪酸のトリグリセライドがキャリアとして含まれる液体現像剤が用いられる本発明の画像形成装置は、定着手段を有する必要がないか、あるいは簡素化された定着手段を有していればよい。
【0024】
本発明の画像形成装置で使用される液体現像剤は、顔料とともに、電荷制御剤、樹脂、分散剤、酸化防止剤等を含有していてもよい。電荷制御剤の具体例は、テトラエチルチタネート、テトライソプロピルチタネート、テトラ−n−プロピルチタネート、テトラ−n−ブチルチタネート、テトラ−tert−ブチルチタネート、テトラ−2−エチルヘキシルチタネート、テトラオクチルチタネート、テトラメトキシチタン;チタニルアセチルアセテート等のチタンキレート;イソプロピルトリイソステアロイルチタネート、イソプロピルトリデシルベンゼンスルホニルチタネート、イソプロピルトリス(ジオクチルピロホスフェート)チタネート、テトライソプロピルビス(ジオクチルホスファイト)チタネート、テトラオクチルビス(ジトリデシルホスファイト)チタネート、テトラ(2,2−ジアリルオキシジルメチル−1−ブチル)ビス(ジ−トリデシル)、ビス(ジオクチルパイロフォスフェート)エチレンチタネート、イソプロピルトリオクタノイルチタネート、イソプロピルジメタクリルイソステアロイルチタネート、イソプロピルイソステアロイルジアクリルチタネート、イソプロピルトリ(ジオクチルホスフェート)チタネート、イソプロピルトリクミルフェニルチタネート、イソプロピルトリ(N−アミノエチル−アミノエチル)チタネート等のチタネートカップリング剤である。
【0025】
樹脂の具体例は、エチレン・酢酸ビニル共重合体、ポリエステル樹脂、スチレン・アクリル樹脂、ロジン変性樹脂、ポリエチレン、エチレン・アクリル酸共重合体、エチレン・無水マレイン酸共重合体、ポリビニルピリジン、ポリビニルピロリドン、エチレン・メタクリル酸共重合体、エチレン・アクリル酸エステル共重合体である。上記樹脂から選ばれる1種もしくは2種以上の樹脂を用いることができる。
樹脂と塩基性高分子分散剤で処理された顔料、植物油、オレイン酸等が配合された混合物を、アトライター、サンドミル、ボールミル、振動ミル等の分散機で分散して、本発明の画像形成装置で使用される液体現像剤が得られる。本発明の画像形成装置で使用される液体現像剤の着色微粒子の好ましい一次粒子径は、個数平均粒径として1μm以下である。
【0026】
本発明の液体現像システム用導電性ローラは、以下の優れた特性を有する。
(1)フッ素原子由来の撥油性により、液体現像剤のキャリアである植物油に対する耐性と耐傷性が長期間維持され、本発明の液体現像システム用導電性ローラの寿命が長い。
(2)本発明の液体現像システム用導電性ローラは、製造時間が短く、生産性が高い。
(3)本発明の液体現像システム用導電性ローラの汚れ防止性が高い。
(4)キャリアとして植物油を含む液体現像剤が導電性ローラ表面から容易に離れ、導電性ローラからクリーニングされ廃棄される液体現像剤の量が少なく、本発明の液体現像システム用導電性ローラが使用される画像形成装置の印刷コストは安い。
(5)本発明の現像ローラは液体現像剤を正に帯電させやすく、本発明の帯電ローラは感光体を正に帯電させやすく、本発明の転写ローラは転写効率を向上させる。
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0027】
(紫外線硬化型フッ素樹脂の合成)
(合成例1)
水分離管を具備した500ml四つ口フラスコに、トリメチロールプロパン33.5g、3−パーフルオロオクチルプロピオン酸(東ソー・エフテック(株)製)123.0g、トルエン50g、シクロヘキサン50gを投入し、次いで、濃硫酸2.5gを加え、12時間共沸脱水を行った。4.5gの水が生成されたことを確認した後、一旦25℃に冷却し、アクリル酸45.0g、ハイドロキノン0.4gを加え、空気を吹き込みながら更に共沸脱水を行った。9.0gの水が生成されたことを確認した後、25℃に冷却した。反応液にトルエンを150g加え、25%水酸化ナトリウム水溶液30gで中和洗浄後、さらに20質量%の食塩水40gで3回洗浄を行った。減圧下、トルエン及びシクロヘキサンを留去して微黄色液体170gを得た。当該微黄色液体をトルエン150mlに溶解し、シリカゲルクロマトグラフィーにより精製を行った。次いで減圧下、酸素を吹き込みながらウォータバス温度50℃以下でトルエンを留去することで下記構造式(i)で示されるフッ素化アルキル基含有アク
リレート(化合物A−1)を得た。
【化6】

【0028】
(合成例2)
200ml反応フラスコにジペンタエリスリトールヒドロキシペンタアクリレート15.7g(0.03モル)、トリエチルアミン2g、酢酸エチル10gを投入し、撹拌下パーフルオロオクチルエチルメルカプタン28.8g(0.06モル)を徐々に加えた(反応温度は35℃まで上昇した)。加え終わった後、さらに50℃で3時間撹拌した。撹拌終了後、酢酸エチル60gを加えた後、1規定塩酸100mlで有機層を洗浄した。更に水100mlで2回洗浄した後、有機層を分取した。50℃以下の条件で反応溶媒を、エバポレーターを用いて減圧留去した後、さらに真空ポンプで乾燥することで、前記構造式(ii)で示されるフッ素化アルキル基含有アクリレート(化合物A−2)を得た。
【化7】

【0029】
(合成例3)
200ml反応フラスコにトリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート(東亜合成(株)製アロニックスM−315)21.2g(0.05モル)、トリエチルアミン1.0g、酢酸エチル15gを加え、次いで、室温でパーフルオロヘキシルエチルメルカプタン19.0g(0.05モル)を撹拌しながら滴下した(反応温度は35℃まで上昇した)。投入後、さらに50℃で3時間撹拌し、50℃以下で減圧下、酢酸エチル、トリエチルアミンを留去することで下記構造式(iii)で示されるフッ素化アルキル基含有アクリレート(化合物A−3)を得た。
【化8】

【0030】
(合成例4)
合成例3において、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート(東亜合成(株)製アロニックスM−315)21.2g(0.05モル)の代わりに、EO変性リン酸トリアクリレート15.1g(0.05モル)を、パーフルオロヘキシルエチルメルカプタン19.0g(0.05モル)の代わりに、パーフルオロオクチルエチルメルカプタン24.0g(0.05モル)を用いた以外は合成例3と同様にして、構造式(iv)で示されるフッ素化アルキル基含有アクリレート(化合物A−4)を得た。
【化9】

合成したフッ素化アルキル基含有アクリレートの性状を表1に示す。
【0031】
【表1】

【0032】
(フッ素化合物からなる塗膜の形成)
表2に記載される各種フッ素化合物の塗液を、厚さ168μmのPETフィルム上にスピンコートにより塗布し、平滑性のある均一な表面状態の塗膜が形成されたことを確認した。そして、加熱または紫外線照射を行って塗膜形成を完結させた。加熱しても固化しない場合は、そのままで測定試料とした。紫外線照射は、UV照射装置(入江(株)製トスキュア401)を用いて行った。
塗膜が形成されたPETフィルムを3cm四方に切り出して測定試料として用いた。測定試料上の大豆油(日清オイリオグループ(株)製)の接触角を、接触角測定装置(協和界面科学(株)製DropMasterDM700)を用いて、25℃、湿度53%の環境下で測定した。測定時の液滴量を1μLとし、100ms値と5900ms値を求めた。測定結果を表3に示す。
【0033】
【表2】

試料1及び2はフルオロカーボンに、試料7〜12はTHFに溶解して塗布した。
【0034】
【表3】

【0035】
フッ素樹脂(試料1、2及び7)から形成された塗膜、フッ素系表面改質剤(試料8)から形成された塗膜及びフッ素化アルキル基含有アクリレートを含む組成物(試料9〜12)から形成された塗膜が、優れた撥油性を有していた。
そこで、試料1、2及び7〜12から形成された塗膜のそれぞれに大豆油を滴下して接触角を測定し、次いで、これらの試料の表面をBEMCOT(旭化成せんい(株)製)で油皮膜が残らないように清掃してから再度接触角を測定する工程を5回繰り返した。その5回目の測定値を表4に示す。
【0036】
【表4】

フッ素化アルキル基含有アクリレートを含む組成物(試料9〜12)から形成された塗膜は、清掃の影響をほとんど受けず、当該塗膜の撥油性は清掃によりほとんど低下しなかった。
【0037】
(シアン液体現像剤の調整)
Pigment Blue15:3 35質量部を、ポリエステル樹脂(大日本インキ化学工業(株)製プラスディックDL−90)と高分子系分散剤(味の素ファインテクノ(株)製アジスパーPB−822)が8対2の質量比で混合された混合物65質量部と混練粉砕してシアン顔料を作製した。次いで、容量500mlのステンレス容器に直径3ミリのジルコニアボール450g、大豆油(日清オイリオグループ(株)製、トリグリセライドのオレイン酸成分は23.3質量%)150g、オレイン酸(関東化学(株)製)50g、分散剤(味の素ファインテクノ(株)製アジスパーPA111)0.11g、シアン顔料35gを入れて、市販の攪拌機トルネードSM型プロベラ攪拌羽根を用い、回転数504ppmで24時間分散混合して着色剤分散液であるシアン液体現像剤を作製した。
【0038】
(フッ素化合物から形成された塗膜で被覆されたITO電極へのシアン着色微粒子の付着性評価)
ITO電極に試料2の塗膜(大豆油の接触角100ms値が57.9°)、試料6の塗膜(大豆油の接触角100ms値が47.9°)、試料7の塗膜(大豆油の接触角100ms値が84.8°)、試料12の塗膜(大豆油の接触角100ms値が63.9°)をそれぞれ形成し、撥油性ITO電極を得た。次いで、シアン液体現像液の25℃における撥油性ITO電極への付着性を図2に示す電気泳動実験装置を用いて測定した。
【0039】
図2(A)は、測定セルを示す斜視図であり、図2(B)は、電極部を説明する斜視図である。測定セル5は、ガラス、合成樹脂等の電気絶縁性部材からなる容器6内に陽極側電極部7および陰極側電極部8が設置されている。また、陽極側電極部7に設けた陽極端子9には、電流供給装置(図示せず)に結合された給電用の陽極側リード線10が接続されており、陰極側電極部8に設けた陰極端子11には、電流供給装置(図示せず)に結合された陰極側リード線12が接続されている。陽極側電極部7および陰極側電極部8は、その上部に両電極部を所定の間隔を設けて保持するための保持部材取付溝13が設けられており、保持部材の取り付けによって測定中に両者が所定の間隔に保持される。また、陽極電極部7および陰極電極部8の下部には、顔料分散液が円滑に供給されるように、流通溝14が設けられている。
【0040】
図2(B)に陽極電極部を示して説明するが、陰極電極部も同様の構造および部材から形成されている。陽極電極部7は、ポリアセタール樹脂(POM)のような、耐油、および耐溶剤性が大きな樹脂に陽極係合用突起15を設けた成形体が用いられる。陽極係合用突起15には、陽極16が対極との間隔を一定に保持する絶縁性部材からなるスペーサ17とともに取り付けられている。陽極16は、透明なガラス板上に、電流を印加した場合に印加電流によって溶出等をしないITO透明導電膜18を形成した電極である。透明ガラス板上にITO透明導電膜を形成したものを用いることによって、所定の時間の通電による電気泳動の後に、陽極電極部から取り外した陽極上に析出した顔料の光学的な観察および測定を容易に行うことが可能となる。
【0041】
撥油性ITO電極を陰極、表面に何も塗布されていないITO電極を陽極とし、300Vの直流電圧を電気泳動実験装置に10秒間印加し、正帯電したシアン着色微粒子を電気泳動させ、撥油性ITO電極に付着させた。ITO電極を測定セルから取外し、次いで、それぞれの電極上に付着したシアン着色微粒子を転写紙(富士ゼロックスオフィスサプライ(株)製J紙)上に押圧して転写し、着色ベタ像を得た。得られた着色ベタ像の濃度を1日放置後に反射濃度計(X-Rite社製モデル520型分光濃度計)を用いて、反射濃度として測定した。撥油性(接触角が大きくなるほど、撥油性機能が高いと判断した)は、転写紙上の着色ベタ像の反射濃度(OD値)が低いほど高いと考えた。測定した反射濃度(OD値)と接触角の関係を図3に示す。大豆油がキャリアとされる液体現像剤は、大豆油の接触角が60°以上になる皮膜にはほとんど付着しないことが確認された。
【0042】
(実施例1)
(帯電ローラの作製)
EPDM、加硫剤、オイル、発泡剤及びカーボンブラックを混練して押出成形し、次いで、成形体をUHFと熱風を併用した連続加硫槽で加硫し、内径5mm、外径12mmのホースを得た。一方、ポリエーテルブロックアミドエラストマー(宇部興産(株)製PAE1200U)100質量部とカーボンブラック(ライオン・アクゾ(株)製ケッチェンブラックEC)15質量をKCK混練機(有限会社ケイシーケイ応用技術研究所製)により混練した。更に、ホットメルト接着用熱可塑性ポリウレタン(日本ミラクトラン(株)製E780P128)100質量部とカーボンブラック(ライオン・アクゾ(株)製ケッチェンブラックEC)25質量をKCK混練機(有限会社ケイシーケイ応用技術研究所製)により混練した。次いで、ブラベンダーφ20押出機((株)東洋精機製作所製)を2台用い、外側の層の外周面を規制する部分に波形の凹凸を有するクロスヘッドから、熱可塑性ポリウレタン組成物が内側、ポリエーテルブロックアミドエラストマーが外側となるように上記ホース上に押出成形し、多層ホースを得た。当該多層ホースを切断して、長さ225mmの多層ホースを得、次いで、長さ225mmの多層ホースに長さ240mmのシャフト(SUS301、φ6)を挿入した。シャフトが挿入された多層ホースを120℃で15分間加熱して多層ホースを収縮させると共に熱可塑性ポリウレタン層と発泡ゴム層を接着させ、厚み2mmでJIS A硬度40°の導電弾性層を有する帯電ローラ基体を得た。当該帯電ローラ基体を、表面粗さRzが2μmとなるように研磨した。研磨された表面上での大豆油の接触角の5900ms値は58°であった。
【0043】
試料9の含フッ素紫外線硬化性性組成物をメチルセルソルブに溶解し、固形分濃度5質量%の塗布液を調製した。試料9の含フッ素紫外線硬化性性組成物が溶解された塗布液を、旭サナック(株)製スプレー塗装機を用いて、表面粗さRzが2μmの帯電ローラ基体の下から上に、当該帯電ローラ基体を120rpmで回転させながら塗布した。その後、同じ操作を再度繰り返した。次に、含フッ素紫外線硬化性性組成物が塗布された帯電ローラ基体を、円筒チューブ回転乾燥用紫外線照射装置(日本文化精工(株)製NPT453)を用いて120rpmで回転させながら、照射量160mJ/cm2の紫外線を20秒照射し、厚み1μmの表面保護層で被覆された液体現像システム用帯電ローラを作製した。得られた帯電ローラの表面保護層上での大豆油の接触角の5900ms値は69.0°、仕事関数は5.71eVであった。
【0044】
導電性ローラの仕事関数の測定方法は下記のとおりである。導電性ローラを1〜1.5cmの幅で切断し、稜線に沿って横方向に切断して図4(a)に示す形状の測定用試料片を得る。測定用試料片を、図4(b)に示すように、測定光が照射される方向に対して照射面が平行になるように、表面分析装置(理研計器(株)製AC−2型)のサンプルステージに固定する。次いで、単光色の励起エネルギー(photon enegy)を、低い方から高い方にスキャンしながら測定用試料片に照射し、規格化光電子収率(emission yield)を測定する。この時、照射光量は500nW、温度は25℃、相対湿度は53%であった。励起エネルギーを横軸、規格化光電子収率を縦軸にして描いたグラフの屈曲点における励起エネルギーが仕事関数である。仕事関数は、光電子の放出が始まるエネルギー値である。
【0045】
(現像ローラの作製)
数平均分子量8000、分子量分布2の末端アリル化ポリオキシプロピレン重合体100質量部、ポリシロキサン系硬化剤(SiH価0.36モル/100g)6.6質量部、塩化白金酸の10質量%イソプロピルアルコール溶液0.06質量部及びカーボンブラック(三菱化学(株)製3030B)7質量部を混合し、10mmHg以下で120分間、減圧脱泡した。得られた組成物をシャフト(SUS301、φ8)の周りに被覆し、金型内で120℃で30分間硬化させ、厚み6mmでJIS A硬度15°の導電弾性層を有する現像ローラ基体を得た。当該現像ローラ基体を、表面粗さRzが3μmとなるように研磨した。研磨された表面上での大豆油の接触角の5900ms値は58°であった。
【0046】
試料10の含フッ素紫外線硬化性性組成物をメチルセルソルブに溶解し、固形分濃度5質量%の塗布液を調製した。試料10の含フッ素紫外線硬化性性組成物が溶解された塗布液を、旭サナック(株)製スプレー塗装機を用いて、表面粗さRzが3μmの現像ローラ基体の下から上に、当該現像ローラ基体を120rpmで回転させながら塗布した。その後、同じ操作を再度繰り返した。次に、含フッ素紫外線硬化性性組成物が塗布された現像ローラ基体を、円筒チューブ回転乾燥用紫外線照射装置(日本文化精工(株)製NPT453)を用いて120rpmで回転させながら、照射量160mJ/cm2の紫外線を20秒照射し、厚み1μmの表面保護層で被覆された液体現像システム用現像ローラを作製した。得られた現像ローラの表面保護層上での大豆油の接触角の5900ms値は68.9°、仕事関数は5.68eVであった。
【0047】
(二次転写ローラの作製)
エピクロルヒドリンゴム(日本ゼオン(株)製ゼクロンG3100)100質量部に液状NBR27質量部、カーボンブラック25質量部、炭酸カルシウム100質量部、酸化亜鉛5質量部、表面処理硫黄1質量部、加硫促進剤及び加硫助剤をオープンロールで混練してゴム組成物を得た。当該ゴム組成物を押出成形し、次いで、成形体をUHFと熱風を併用した連続加硫槽で加硫し、内径5mm、外径12mmのホースを得た。一方、ポリエーテルブロックアミドエラストマー(宇部興産(株)製PAE1200U)100質量部とカーボンブラック(ライオン・アクゾ(株)製ケッチェンブラックEC)15質量をKCK混練機(有限会社ケイシーケイ応用技術研究所製)により混練した。更に、ホットメルト接着用熱可塑性ポリウレタン(日本ミラクトラン(株)製E780P128)100質量部とカーボンブラック(ライオン・アクゾ(株)製ケッチェンブラックEC)25質量をKCK混練機(有限会社ケイシーケイ応用技術研究所製)により混練した。次いで、ブラベンダーφ20押出機((株)東洋精機製作所製)を2台用い、外側の層の外周面を規制する部分に波形の凹凸を有するクロスヘッドから、熱可塑性ポリウレタン組成物が内側、ポリエーテルブロックアミドエラストマーが外側となるように上記ホース上に押出成形し、多層ホースを得た。当該多層ホースを切断して、長さ225mmの多層ホースを得、次いで、長さ225mmの多層ホースに長さ240mmのシャフト(SUS301、φ10)を挿入した。シャフトが挿入された多層ホースを120℃で15分間加熱して多層ホースを収縮させると共に熱可塑性ポリウレタン層とゴム層を接着させ、厚み6mmでJIS A硬度30°の導電弾性層を有する二次転写ローラ基体を得た。当該二次転写ローラ基体を、表面粗さRzが2μmとなるように研磨した。研磨された表面上での大豆油の接触角の5900ms値は37°であった。
【0048】
試料11の含フッ素紫外線硬化性性組成物をメチルセルソルブに溶解し、固形分濃度5質量%の塗布液を調製した。試料11の含フッ素紫外線硬化性性組成物が溶解された塗布液を、旭サナック(株)製スプレー塗装機を用いて、表面粗さRzが2μmの二次転写ローラ基体の下から上に、当該帯電ローラ基体を120rpmで回転させながら塗布した。その後、同じ操作を2度繰り返した。次に、含フッ素紫外線硬化性性組成物が塗布された二次転写ローラ基体を、円筒チューブ回転乾燥用紫外線照射装置(日本文化精工(株)製NPT453)を用いて120rpmで回転させながら、照射量160mJ/cm2の紫外線を20秒照射し、厚み1.5μmの表面保護層で被覆された液体現像システム用二次転写ローラを作製した。得られた二次転写ローラの表面保護層上での大豆油の接触角の5900ms値は68.9°、仕事関数は5.66eVであった。
【0049】
(定着ローラの作製)
シロキサンベースポリマーとしてメチルビニルシロキサン単位を0.15モル%含有するポリジメチルシロキサン(重合度約5000)100質量部、導電性カーボンブラック(電気化学工業(株)製デンカブラックHS−100)20質量部、酸化亜鉛と酸化スズとの固溶体(三井金属鉱業(株)製パストラン2100) 3質量部及び2,5−ジメチル−2,5−ジ−t−ブチルパーオキシヘキサン15質量部を混練し、シリコーン組成物を調製した。次に、直径42mmの鉄製シャフトを当該シリコーン組成物で被覆した。その後、シリコーン組成物で被覆されたシャフトを金型内で170℃で10分間加熱してプレス加硫を行い、次いで、200℃で4時間加熱して二次加硫を行って、厚み2mmでJIS A硬度25°の導電弾性層を有する定着ローラ基体を得た。当該定着ローラ基体を、表面粗さRzが3μmとなるように研磨した。研磨された表面上での大豆油の接触角の5900ms値は61°であった。
【0050】
試料12の含フッ素紫外線硬化性性組成物をメチルセルソルブに溶解し、固形分濃度5質量%の塗布液を調製した。試料12の含フッ素紫外線硬化性性組成物が溶解された塗布液を、旭サナック(株)製スプレー塗装機を用いて、表面粗さRzが3μmの二次転写ローラ基体の下から上に、当該帯電ローラ基体を120rpmで回転させながら塗布した。その後、同じ操作を4度繰り返した。次に、含フッ素紫外線硬化性性組成物が塗布された定着ローラ基体を、円筒チューブ回転乾燥用紫外線照射装置(日本文化精工(株)製NPT453)を用いて120rpmで回転させながら、照射量160mJ/cm2の紫外線を20秒照射し、厚み2.5μmの表面保護層で被覆された液体現像システム用定着ローラを作製した。得られた定着ローラの表面保護層上での大豆油の接触角の5900ms値は68.8°、仕事関数は5.67eVであった。
上記帯電ローラ、現像ローラ、二次転写ローラ及び定着ローラの表面保護層の厚み、これらのローラの仕事関数及びこれらのローラの表面保護層上での大豆油の接触角の5900ms値を表5に示す。
【0051】
【表5】

【0052】
(中間転写ベルトの作製)
塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体30質量部、導電性カーボンブラック10質量部及びメチルアルコール70質量部からなる分散液を、アルミニウムを蒸着した厚さ130μmのポリエチレンテレフタレートフィルムのアルミニウム層上に塗布し、次いで、塗布された分散液を乾燥して、アルミニウム層上に厚み20μmの中間導電層を形成した。その後、ノニオン系水性ウレタンエマルジョン(固形分62質量%)55重量部、ポリテトラフルオロエチレンエマルジョン(固形分60質量%)11.6質量部、導電性酸化スズ25質量部、ポリテトラフルオロエチレン微粒子(max粒子径0.3μm以下)34質量部、ポリエチレンエマルジョン(固形分35質量%)5重量部及びイオン交換水20質量部からなる分散液を、上記中間導電層上にロールコーティング法で塗工し、次いで塗膜を乾燥して、上記中間導電層上に厚み10μmの半導電性表面層を形成し、積層体フィルムを作製した。当該積層体フィルムを、長さ540mmに切断し、次いで、半導電性表面層を上にして当該積層体フィルムの端部を合わせ、超音波溶着を行って、転写ベルトを得た。当該中間転写ベルトの体積抵抗は2.5×1010Ω・cm、当該中間転写ベルトの仕事関数は5.37eV、光電子の放出が始まるときの当該中間転写ベルトの規格化光電子収率6.90であった。
【0053】
試料11の含フッ素紫外線硬化性性組成物をTHFに溶解した溶液を、当該中間転写ベルトにスプレー塗布し、次いで、含フッ素紫外線硬化性組成物が塗布された中間転写ベルトを2.5m/minで回転させながら、照射量が160mJ/cm2の紫外線を20秒間照射し、厚み約2μmの表面保護層を有する中間転写体(3)を得た。中間転写体(3)の仕事関数は5.66eVであった。
【0054】
(有機感光体ドラムの作製)
ポリカーボネート樹脂(帝人化成(株)製TS−2020)21質量部、無金属フタロシアニン(大日本インキ化学工業(株)製)2質量部、ヒドラゾン化合物(アナン(株)製)10質量部、トルエン180質量部及び3,5−ジメチル−3’ ,5’−ジターシャリーブチル−4,4’ジフェノキノン5質量部を、ペイントコンディショナー中で10時間混合し塗布液を得た。次いで、当該塗布液を、Φ40のアルミ素管にリングコート法で塗布して塗膜を形成し、その後、当該塗膜を乾燥して、有機感光体ドラム(膜厚22μm)を作製した。試料10の含フッ素紫外線硬化性性組成物をメチルセルソルブに溶解し、固形分濃度5質量%の塗布液を調製した。試料10の含フッ素紫外線硬化性性組成物が溶解された塗布液を、旭サナック(株)製スプレー塗装機を用いて、有機感光体ドラムの下から上に、当該ドラムを120rpmで回転させながら塗布した。その後、同じ操作を再度繰り返した。次に、含フッ素紫外線硬化性性組成物が塗布された有機感光体ドラムを、円筒チューブ回転乾燥用紫外線照射装置(日本文化精工(株)製NPT453)を用いて120rpmで回転させながら、照射量160mJ/cm2の紫外線を20秒照射し、厚み1μmの表面保護層で被覆された液体現像システム用有機感光体ドラムを作製した。
【0055】
次いで、当該有機感光体ドラムの半減衰露光量及び光減衰残留電位(露光量1μJ/cm2後の電位)を、以下に記載される光減衰曲線に基づいて求めた。ドラムテスター(QEA社製PDT−2000LTM)を用い、プロセススピードを206m/min、印加電圧を5.2kV、表面電位を600Vに設定し、帯電露光を行って光減衰曲線を描いた。結果を表5に示す。表5には、上記有機感光体ドラム上の菜種油、ヒマワリ油、サフラワー油の接触角の5900ms値も示す。更に、表面保護層が形成されていない有機感光体ドラムの半減衰露光量及び光減衰残留電位、表面保護層が形成されていない有機感光体ドラム上の菜種油、ヒマワリ油、サフラワー油の接触角の5900ms値も測定した。
【0056】
【表6】

【0057】
含フッ素紫外線硬化性組成物の硬化物からなる、厚み1μmの表面保護層で被覆された有機感光体ドラムの光感度は、表面保護層が形成されていない有機感光体ドラムの光感度より少し低かった。しかしながら、厚み1μmの表面保護層で被覆された有機感光体ドラムは、実用上問題がない光感度を有していた。また、含フッ素紫外線硬化性組成物の硬化物からなる表面保護層上の菜種油、ヒマワリ油、サフラワー油の接触角は、含フッ素紫外線硬化性組成物の硬化物からなる表面保護層上の大豆油の接触角とほぼ同じであった。
【0058】
(マゼンタ、イエロー及びブラック液体現像剤の調製)
シアン液体現像剤(C)の調整方法で使用されたPigment Blue15:3に代えて、マゼンタ顔料のPigment Red57:1、イエロー顔料のPigment Yellow74、ブラック顔料のカーボンブラック(粒子径40nm、窒素吸着比表面積55m2/g)を用い、マゼンタ液体現像剤(M)、イエロー液体現像剤(Y)、ブラック液体現像剤(K)を作製した。
【0059】
(液体現像方式のタンデムプリンタによる印字試験)
次に、図5に示す液体現像方式のタンデムプリンタの現像容器21K、21C、21M、21Yに、上記で作製した各色の液体現像剤を貯蔵して、印字試験を行った。
液体現像方式のタンデムプリンタによる画像形成の概略を説明する。入力された画像信号に基づいて、露光ユニット22により変調されたレーザ光が、帯電ローラ40K、40C、40M、40Yにより、それぞれ、帯電された感光体20K、20C、20M、20Y上に照射され、感光体20K、20C、20M、20Y上に静電潜像が形成される。次いで、現像容器21K、21C、21M、21Yに貯蔵された各色の液体現像剤が、現像ローラ30K、30C、30M、30Yを経て、感光体20K、20C、20M、20Yに供給され、感光体20K、20C、20M、20Y上に形成された静電潜像が現像される。現像された感光体20K、20C、20M、20Y上の各色のトナー像が中間転写ベルト23上に順次一次転写され、トナー像が形成される。中間転写ベルト23は、無端ベルトであり、ベルト駆動ローラ25とテンションローラ26との間に張架され、感光体20K、20C、20M、20Yと当接しながら駆動ローラ25により回転駆動される。中間転写ベルト23上に形成されたトナー像は、二次転写ローラ24が配置された二次転写位置において、カセット29から供給される転写材に二次転写される。二次転写位置を通過した転写材は、加圧ローラ28により定着ローラ27に押圧され、転写材上のトナー像が定着される。
【0060】
印字試験は下記の条件下で行われた。
プロセス速度:206m/min
印加電圧:5.5kV
現像バイアス:350V
現像ローラ30K、30C、30M、30Y上のトナー層厚:10μm
1次転写電圧:650V
2次転写電圧:1.5kV
転写体:三菱製紙(株)製EP−L微塗工81.4gsm
定着ローラ27温度:110℃
上記液体現像システム用帯電ローラが、帯電ローラ40K、40C、40M、40Yとして使用された。上記液体現像システム用現像ローラが、現像ローラ30K、30C、30M、30Yとして使用された。上記液体現像システム用中間転写ベルト、液体現像システム用二次転写ローラ、液体現像システム用定着ローラが、それぞれ、中間転写ベルト23、二次転写ローラ24、定着ローラ27として使用された。上記有機感光体ドラムが、感光体20K、20C、20M、20Yとして使用された。1000枚の転写材に印字し、その後、感光体20K、20C、20M、20Y(感光体4色分)、帯電ローラ40K、40C、40M、40Y(帯電ローラ4色分)、中間転写ベルト23、二次転写ローラ24、定着ローラ27のそれぞれからクリーニングされた液体現像剤の量を求めた。また、表面保護層が形成されていない帯電ローラ、現像ローラ、中間転写ベルト、二次転写ローラ及び定着ローラが使用されたタンデムプリンタによる印字試験も行った。印字試験の結果を表7に示す。
【0061】
【表7】

【0062】
表面が含フッ素光硬化性組成物の硬化物からなる表面保護層で被覆された液体現像システム用帯電ローラ、現像ローラ、中間転写ベルト、二次転写ローラ、定着ローラのそれぞれに付着した液体現像剤の量は、表面保護層が形成されていない液体現像システム用帯電ローラ、現像ローラ、中間転写ベルト、二次転写ローラ、定着ローラのそれぞれに付着した液体現像剤の量よりもかなり少なかった。従って、下記(1)及び(2)として示される結論を導き出せると考えられる。
(1)液体現像剤は、含フッ素紫外線硬化性組成物の硬化物からなる表面保護層で被覆された液体現像システム用帯電ローラ、現像ローラ、中間転写ベルト、二次転写ローラ及び定着ローラの非画像部に付着しがたい。
(2)上記帯電ローラ、現像ローラ、中間転写ベルト、二次転写ローラ及び定着ローラが使用される画像形成装置は、転写効率が高い。
【0063】
なお、シアン液体現像剤の仕事関数は5.40eV、マゼンタ液体現像剤の仕事関数は5.47eV、イエロー液体現像剤の仕事関数は5.42eV、ブラック液体現像剤の仕事関数は5.45eV、これらの液体現像剤のキャリアとして用いられているオレイン酸の仕事関数は5.45eV、同じく大豆油の仕事関数は5.50eVであった。これらの仕事関数は、以下のようにして測定した。最初に、図6(a)及び(b)に示す、直径13mm、高さ5mmのステンレス製円盤の中央に直径10mmで深さ1mmの収容凹部を有する測定セルの凹部内に試料を入れた。次いで、ナイフエッジを使用して試料の表面を均して平らにした。その後、試料を充填した測定セルを用いて上記した方法により仕事関数を測定した。液体現像システム用帯電ローラ、現像ローラ、中間転写ベルト、二次転写ローラ及び定着ローラの仕事関数は、各液体現像剤の仕事関数より大きい。従って、各液体現像剤が、本発明の画像形成装置の帯電ローラ、現像ローラ、中間転写ベルト、二次転写ローラ及び定着ローラに接触すると、各液体現像剤は正に帯電し得るが、負に帯電し得ない帯電特性を有すると考えられる。当該帯電特性は、各液体現像剤を感光体から中間転写体へ電圧を印可して一次転写し、次いで、中間転写体から転写材へ電圧を印可して二次転写する画像形成方法において、有利な特性である。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】導電性ローラの断面図
【図2】撥油性ITO電極へのシアン着色微粒子の付着性測定に使用されるセルを説明する図
【図3】撥油性ITO電極に付着したシアン着色微粒子の濃度と接触角の相関図
【図4】導電性ローラの仕事関数の測定方法を説明する図。(a)は測定試料片の形状を示す斜視図、(b)は測定状態を示す図
【図5】液体現像方式タンデムプリンタの模式図
【図6】液体の仕事関数の測定に使用される測定セルを説明する図。(a)は正面図、(b)は側面図
【符号の説明】
【0065】
1…導電性ローラ、2…シャフト、3…導電弾性層、4…表面被覆層、5…測定セル、6…容器、7…陽極側電極部、8…陰極側電極部、9…陽極端子、10…陽極側リード線、11…陰極端子、12…陰極側リード線、13…保持部材取付溝、14…流通溝、15…陽極係合用突起、16…陽極、17…スペーサ、18…透明導電膜、20K、20C、20M、20Y…感光体、21K、21C、21M、21Y…現像容器、22…露光ユニット、23…中間転写ベルト、24…二次転写ローラ、25…ベルト駆動ローラ、26…テンションローラ、27…定着ローラ、28…加圧ローラ、29…カセット、30K、30C、30M、30Y…現像ローラ、40K、40C、40M、40Y…帯電ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
表面が含フッ素光硬化性組成物の硬化物からなる表面保護層で被覆された液体現像システム用導電性ローラであって、含フッ素光硬化性組成物はフッ素化アルキル基含有(メタ)アクリレートと光重合開始剤とを含有し、フッ素化アルキル基含有(メタ)アクリレートは、末端にフッ素化アルキル基を有する官能基と、2個以上の(メタ)アクリロイル基とを有し、且つ1分子中のフッ素原子含有率が25質量%以上で、分子量が500〜4000である、液体現像システム用導電性ローラ。
【請求項2】
フッ素化アルキル基含有(メタ)アクリレートが下記一般式(1)
【化1】

〔式(1)中、Rは水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基であり、Xはヘテロ原子を有していてもよいアルキレン鎖又は下記一般式(2)
【化2】

〔式(2)中、Yは酸素原子又は硫黄原子であり、mとnは同一でも異なっていてもよい1〜4の整数であり、Rf1はフッ素化アルキル基である。〕
で表される連結基であり、Rfはフッ素化アルキル基である。〕
で表される、請求項1に記載の液体現像システム用導電性ローラ。
【請求項3】
一般式(1)中のXが、下記一般式(3)
−(CH2p−Zq−(CH2r− (3)
〔式(3)中、ZはNR(Rは水素原子又は炭素数1〜24のアルキル基である。)、酸素原子、硫黄原子又はNR−SO2(Rは水素原子又は炭素数1〜24のアルキル基である。)であり、pは0〜4の整数であり、qは0又は1であり、rは0〜20の整数であり、且つ1≦p+r≦20である。〕で表されるアルキレン鎖である、請求項2に記載の液体現像システム用導電性ローラ。
【請求項4】
一般式(1)中のXが、一般式(2)で表される連結基〔但し、Rf1がCn2n+1(nは1〜20の整数である。)である。〕又は一般式(3)で表されるアルキレン鎖〔但し、ZはNR(Rは水素原子又は炭素数1〜24のアルキル基である。)、酸素原子、硫黄原子又はNR−SO2(Rは水素原子又は炭素数1〜24のアルキル基である。)であり、pが1であり、qが1であり、rが0〜19の整数である。〕であり、且つ前記一般式(1)中のRfが、Rf1と同一又は異なるCn2n+1(nは1〜20の整数である。)である、請求項2又は3に記載の液体現像システム用導電性ローラ。
【請求項5】
一般式(1)中のXが、一般式(2)で表される連結基〔但し、Yが硫黄原子であり、Rf1の炭素数nが4、6又は8である。〕又は一般式(3)で表されるアルキレン鎖〔但し、ZはNR(Rは水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基である。)、硫黄原子又はNR−SO2(Rは炭素数1〜6のアルキル基である。)、且つ前記一般式(1)中のRfの炭素数nが4、6又は8である、請求項4に記載の液体現像システム用導電性ローラ。
【請求項6】
フッ素化アルキル基含有(メタ)アクリレートが、3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物(a1)と、下記一般式(4)
Rf−(CH2r−Z−H (4)
〔式(4)中、rは0〜20の整数であり、RfはCn2n+1(nは1〜20の整数である。)であり、ZはNR(Rは水素原子又は炭素数1〜24のアルキル基である。)、酸素原子、硫黄原子又はNR−SO2(Rは水素原子又は炭素数1〜24のアルキル基である。)である。〕で表される化合物又は下記一般式(5)
【化3】

〔式(5)中、Yは酸素原子又は硫黄原子であり、mとnは同一でも異なっていてもよい1〜4の整数であり、RfとRf1は同一でも異なっていてもよいCn2n+1(nは1〜20の整数である。)である。〕で表される化合物(a2)とを、前記化合物(a1)1モルに対して、前記化合物(a2)を1.0〜(k−2)モル〔kは前記化合物(a1)1分子中の平均(メタ)アクリロイル基数〕の割合でマイケル付加反応させて得られる化合物である、請求項2に記載の液体現像システム用導電性ローラ。
【請求項7】
化合物(a2)が、前記一般式(4)で表される化合物〔但し、ZはNR(Rは水素原子又は炭素数1〜6のアルキル基である。)、硫黄原子又はNR−SO2(Rは炭素数1〜6のアルキル基である。)であり、Rf中の炭素数nが4、6又は8である〕又は前記一般式(5)で表される化合物(但し、Yが硫黄原子であり、Rf及びRf1中の炭素数nが4、6又は8である。)である、請求項6に記載の液体現像システム用導電性ローラ。
【請求項8】
3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物(a1)が下記一般式(6)
【化4】

〔式(6)中、R1は水酸基、炭素数1〜24のアルキル基、炭素数1〜24のアルキルカルボニルオキシ基、CH2=CHCO2CH2−、CH2=C(CH3)CO2CH2−、繰り返し数が1以上で末端が水素原子、炭素数1〜18のアルキル基で封鎖された(ポリ)オキシアルキレン基又は炭素数1〜12のアルキロール基であり、R2は(メタ)アクリロイル基である。〕で表される化合物(a1−1)、下記一般式(7)
【化5】

(式中、R2は(メタ)アクリロイル基であり、R3は水素原子又は炭素数1〜18のアルキルカルボニル基であり、mは3〜6の整数であり、nは0〜3の整数であり、且つm+n=6である。)で表される化合物(a1−2)、ウレタン(メタ)アクリレート(a1−3)、シアヌレート環含有トリ(メタ)アクリレート(a1−4)又はリン酸トリ(メタ)アクリレート(a1−5)である、請求項6又は7に記載の液体現像システム用導電性ローラ。
【請求項9】
3個以上の(メタ)アクリロイル基を有する化合物(a1)が、前記一般式(6)〔但し、R1が炭素数1〜4の直鎖状のアルキル基、CH2=CHCO2CH2−、CH2=C(CH3)CO2CH2−又は炭素数1〜3のアルキロール基である。〕で表される化合物、前記一般式(7)〔但し、R3が水素原子又は炭素数1〜12のアルキルカルボニル基である。〕で表される化合物、又は、2個以上の(メタ)アクリロイル基を有する水酸基含有(メタ)アクリレートと脂環構造を有するイソシアネート化合物とを反応させて得られるウレタン(メタ)アクリレートである、請求項6〜8のいずれかに記載の液体現像システム用導電性ローラ。
【請求項10】
表面保護層上の大豆油の接触角が60°〜90°である、請求項1〜9のいずれかに記載の液体現像システム用導電性ローラ。
【請求項11】
基体に含フッ素光硬化性組成物を塗布し、次いで、100〜500mJ/cm2の照射量の紫外線を照射して含フッ素光硬化性組成物を硬化する、表面が含フッ素光硬化性組成物の硬化物からなる表面保護層で被覆された液体現像システム用導電性ローラの製造方法であって、含フッ素光硬化性組成物はフッ素化アルキル基含有(メタ)アクリレートと光重合開始剤とを含有し、フッ素化アルキル基含有(メタ)アクリレートは、末端にフッ素化アルキル基を有する官能基と、2個以上の(メタ)アクリロイル基とを有し、且つ1分子中のフッ素原子含有率が25質量%以上で、分子量が500〜4000である、液体現像システム用導電性ローラの製造方法。
【請求項12】
請求項1〜10のいずれかに記載の液体現像システム用導電性ローラと、キャリアとして植物油を含む液体現像剤が使用される画像形成装置。
【請求項13】
帯電ローラ、現像ローラ、転写ローラ、定着ローラ、感光体及び中間転写体の表面が請求項1に記載された表面被覆層で被覆され、キャリアとして植物油を含む液体現像剤が使用される画像形成装置。
【請求項14】
帯電ローラ、現像ローラ、転写ローラ、定着ローラ、感光体及び中間転写体の表面被覆層上での大豆油の接触角が60°以上である、請求項13に記載された画像形成装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2008−116783(P2008−116783A)
【公開日】平成20年5月22日(2008.5.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−301259(P2006−301259)
【出願日】平成18年11月7日(2006.11.7)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】