液体電極バッテリ
外部デバイスとエネルギーを交換する電気化学バッテリ。バッテリは、正電極と、負電極と、介在電解質とを含有する容器を含み、電極および電解質は、隣接する層がそれぞれの電極・電解質界面を形成するようにバッテリの動作温度において容器内に液体材料層として存在する。正および負電流コレクタが、それぞれ正および負電極と電気接触しており、両方のコレクタは、それを通って電流が流れる回路を作成するように外部デバイスへの接続のために適合される。バッテリの中の循環生成器は、層のうちの少なくとも1つの中に循環を引き起こして、隣接する層との界面への1つの層の中の材料の流束を増加させ、それにより、より優れた電流/電力能力をバッテリに与える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本願は、米国仮特許出願第12/505,937号(2009年7月20日出願)の一部継続出願である。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、電気エネルギー貯蔵に関する。特に、液体成分および強化した電流運搬能力を有する電気化学エネルギー蓄電池デバイスまたはバッテリに関する。
【背景技術】
【0003】
時間および場所にわたる電気エネルギーの供給および需要の平衡を保つことは、商用発電機から消費者までの一連の使用における長年の問題である。供給・需要の不一致は、供給の信頼性を低減する系統的なひずみを引き起こし、消費者に不便を掛け、収益の損失を引き起こす。米国の大部分の電気エネルギー生成が化石燃料の燃焼に頼っているため、電気エネルギーの準最適管理も、汚染物質および温室効果ガスの過剰排出に貢献する。風力および太陽熱のような再生可能エネルギー源もまた、断続的にしか活発ではないため、需要と同期していない場合がある。この不一致は、それらの開発の規模を限定する。従来および再生可能電力源の両方に対する供給・需要不一致を軽減することによって、商用電気エネルギー管理を支援するために、大規模エネルギー貯蔵が使用されてもよい。
【0004】
エネルギー貯蔵への1つのアプローチは、電気化学に基づいている。市場での最も安価な商用バッテリ技術である従来の鉛酸バッテリが、大規模電気化学エネルギー貯蔵に長年使用されてきた。ありとあらゆる鉛酸電池を収納する設備が、約10MWの大容量電気貯蔵を提供するために使用されてきた。しかしながら、これらの設備は、小型でもなく、柔軟に位置もしない。約数100の充電・放電サイクルである、鉛酸バッテリの短いサイクル寿命は、毎日の電力管理等の幅広い電圧範囲にわたる頻繁な活性化を伴う用途で、それらの性能を限定する。バッテリは、速いかまたは深い充電または放電によく反応せず、それは、効率を低下させ、寿命を削減する。
【0005】
ナトリウム・硫黄(「NAS」)バッテリが、米国および日本の大規模電力管理設備に適合されてきた。NASバッテリは、固体セラミック電解質に対向して、溶融ナトリウムおよび硫黄電極を組み込む。電解質は、ナトリウムイオン伝導を最大化するために、非常に薄くなければならないが、これにより機械的に脆弱になり、個別電池の最大サイズに厳しい制限を課す。これは次に、拡張性に影響を及ぼし、すなわち、大容量は、少ない大型電池を通すよりもむしろ、多くの小さい電池を通して達成されなければならず、それは、複雑性を多いに増加させ、最終的にシステムの費用を増加させる。電池構造は、水とのナトリウムの激しい反応および空気中の迅速酸化による、複雑な状態である。
【0006】
したがって、容量、倹約、融通性、および長い寿命を組み合わせる、エネルギー貯蔵デバイスの必要性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態では、電気化学バッテリは、容器と、正電極と、負電極と、正電極と負電極との間に配置される電解質とを含み、全て、隣接する層がそれぞれの電極/電解質界面を形成するように、バッテリの動作温度において容器内の垂直スタックの中にそれぞれの液体材料層として存在する。バッテリはまた、層のうちの1つの内側で循環を生成し、それにより、電極/電解質界面のうちの1つを往復して層のうちの1つの液体材料の流動を誘発するように構成される、循環生成器も含む。
【0008】
別の実施形態では、外部デバイスとエネルギーを交換するように構成されるバッテリは、第1の化学ポテンシャルにおけるカルシウムと、混和性元素とを組み込む、第1の密度を有する導電性溶融合金の正電極と、第2の化学ポテンシャルにおけるカルシウムと、付加的な金属とを組み込む、第1の密度よりも小さい第2の密度を有する導電性液体混合物の負電極であって、第2の化学ポテンシャルは、第1の化学ポテンシャルとは異なり、正電極と負電極との間に電圧を生成する、負電極と、カルシウム陽イオンを組み込む、第1の密度よりも大きく第2の密度よりも小さい第3の密度を有する、液体電解質とを含む。液体電解質は、負および正電極と接触しており、その間にそれぞれの電極/電解質界面を形成する。負および正電極ならびに電解質は、750℃未満の動作温度であってもよい。
【0009】
別の実施形態では、外部回路から伝達される電気エネルギーを貯蔵する方法は、電気化学バッテリを提供するステップを含む。電気化学バッテリは、第1の化学ポテンシャルにおけるアルカリ土類金属を組み込む導電性液体合金の正電極と、第2の化学ポテンシャルにおけるアルカリ土類金属を組み込む導電性液体の負電極と、外部回路と接続するように構成される、負および正電極と接触している、アルカリ土類金属の陽イオンを組み込む液体電解質と、外部回路に接続するように構成される、正電極と接触している正電流コレクタと、外部回路に接続するように構成される、負電極と接触している負電流コレクタとを含む。方法は、外部回路を負および正電流コレクタに電気的に接続するステップと、正電極から陽イオンとしての電解質を通して負電極へのアルカリ土類金属の伝達を駆動するよう外部回路を操作し、それにより、外部回路から電気化学バッテリへエネルギーを送達するステップとをさらに含む。
【0010】
別の実施形態では、外部デバイスとエネルギーを交換するために構成される電気化学バッテリは、壁を有し、正電極、負電極、および介在電解質を含有する無蓋容器を含む。電極および電解質は、バッテリの動作温度において容器の壁の内側で液体材料層として存在し、正電極および負電極のうちの1つは、電解質の上に配置される。蓋は、容器の最上部を閉じる。正電流コレクタは、正電極と電気接触している。負電流コレクタは、負電極と電気接触している。正電流コレクタおよび負電流コレクタは、それを通って電流が流れる回路を作成するように、外部デバイスへの接続のために適合され、電解質の上に配置される電極と接触している電流コレクタは、蓋から吊るされ、複合導電性構造を含む。構造は、壁から離間された電解質の上に配置される電極を保持し、該1つの電極の液体材料によって湿潤されない第1の物質である、第1の部材と、該1つの電極の液体材料によって湿潤される第2の物質である、第1の部材内の第2の導電性部材とを含む。
【0011】
別の実施形態では、外部デバイスとエネルギーを交換する方法は、外部エネルギー交換デバイスおよびバッテリを提供するステップを含む。バッテリは、正電極、負電極、および介在電解質を含有する容器であって、正および負電極ならびに電解質は、隣接する層がそれぞれの電極/電解質界面を形成するように、容器内の垂直スタックの中の液体材料層として存在する、容器と、正電極と電気接触している正電流コレクタと、負電極と電気接触している負電流コレクタと、外部エネルギー交換デバイスを正および負電流コレクタに接続し、それにより、それを通って電流が流れる回路を作成する電気接続とを含む。方法は、電極/電解質界面のうちの1つを往復する層のうちの少なくとも1つの流束を増加させるよう、層のうちの少なくとも1つの内側で循環を生成するために、バッテリで通常動作エネルギーを使用する。
【0012】
さらに別の実施形態では、電気化学バッテリは、外部デバイスとエネルギーを交換するように構成される。バッテリは、アルカリ土類金属と、付加的な元素とを組み込む、導電性溶融正電極と、アルカリ土類金属を組み込む、導電性液体負電極と、それとともにそれぞれの電解質・電極界面を形成するように、正電極と負電極との間に配置される、アルカリ土類金属の陽イオンを組み込む、液体電解質とを含む。正電極、負電極、および液体電解質は、垂直スタックの中にそれぞれの液体材料のそれぞれの液体層として存在し、アルカリ土類金属は、前記正電極および負電極の中にそれぞれの異なる化学ポテンシャルにおいて存在し、それにより、その間で電圧を発する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
以下の本発明の説明は、添付図面を参照し、同一の参照数字は、類似の機能的要素を指定する。
【図1】図1は、本発明に従って構築された、自己分離型アルカリ土類金属イオンエネルギー貯蔵バッテリを示す、垂直断面図である。
【図2】図2A〜2Cは、本発明に従って構築された、自己分離型アルカリ土類金属イオンエネルギー貯蔵バッテリの充電過程を図示する、垂直断面図である。
【図3】図3A〜3Cは、本発明に従って構築された、自己分離型アルカリ土類金属イオンエネルギー貯蔵バッテリの放電過程を図示する、垂直断面図である。
【図4】図4は、本発明に従って構築された、自己分離型アルカリ土類金属イオンエネルギー貯蔵バッテリの別の実施形態を示す、垂直断面図である。
【図5】図5A〜5Bは、本発明に従って構築された、懸垂構造によって保持される液体金属負電極を有するバッテリの充電過程を図示する、垂直断面図である。
【図6】図6Aは、本発明に従って構築された、懸垂構造によって保持される液体負電極を有するバッテリを図示する、垂直断面図であり、図6B〜6Cは、図6Aに示されたデバイスに好適な代替的負電流コレクタの大きい縮尺での垂直断面図である。
【図7】図7は、多孔性電極セパレータを有する、本発明に従って構築された液体層バッテリを図示する、垂直断面図である。
【図8】図8〜14は、本発明に従って構築されたバッテリ実施形態であって、1つ以上の自由対流セルが、異なる熱管理デバイスを備える循環生成器によって、その液体構成物質のうちの少なくとも1つにおいて推進される、実施形態の垂直断面図である。
【図9】図8〜14は、本発明に従って構築されたバッテリ実施形態であって、1つ以上の自由対流セルが、異なる熱管理デバイスを備える循環生成器によって、その液体構成物質のうちの少なくとも1つにおいて推進される、実施形態の垂直断面図である。
【図10】図8〜14は、本発明に従って構築されたバッテリ実施形態であって、1つ以上の自由対流セルが、異なる熱管理デバイスを備える循環生成器によって、その液体構成物質のうちの少なくとも1つにおいて推進される、実施形態の垂直断面図である。
【図11】図8〜14は、本発明に従って構築されたバッテリ実施形態であって、1つ以上の自由対流セルが、異なる熱管理デバイスを備える循環生成器によって、その液体構成物質のうちの少なくとも1つにおいて推進される、実施形態の垂直断面図である。
【図12】図8〜14は、本発明に従って構築されたバッテリ実施形態であって、1つ以上の自由対流セルが、異なる熱管理デバイスを備える循環生成器によって、その液体構成物質のうちの少なくとも1つにおいて推進される、実施形態の垂直断面図である。
【図13】図8〜14は、本発明に従って構築されたバッテリ実施形態であって、1つ以上の自由対流セルが、異なる熱管理デバイスを備える循環生成器によって、その液体構成物質のうちの少なくとも1つにおいて推進される、実施形態の垂直断面図である。
【図14】図8〜14は、本発明に従って構築されたバッテリ実施形態であって、1つ以上の自由対流セルが、異なる熱管理デバイスを備える循環生成器によって、その液体構成物質のうちの少なくとも1つにおいて推進される、実施形態の垂直断面図である。
【図15】図15〜18は、本発明に従って構築されたバッテリ実施形態であって、1つ以上の循環セルが、異なる磁気誘導デバイスを備える循環生成器によって、その液体構成物質のうちの少なくとも1つにおいて誘導される、実施形態の垂直断面図である。
【図16】図15〜18は、本発明に従って構築されたバッテリ実施形態であって、1つ以上の循環セルが、異なる磁気誘導デバイスを備える循環生成器によって、その液体構成物質のうちの少なくとも1つにおいて誘導される、実施形態の垂直断面図である。
【図17】図15〜18は、本発明に従って構築されたバッテリ実施形態であって、1つ以上の循環セルが、異なる磁気誘導デバイスを備える循環生成器によって、その液体構成物質のうちの少なくとも1つにおいて誘導される、実施形態の垂直断面図である。
【図18】図15〜18は、本発明に従って構築されたバッテリ実施形態であって、1つ以上の循環セルが、異なる磁気誘導デバイスを備える循環生成器によって、その液体構成物質のうちの少なくとも1つにおいて誘導される、実施形態の垂直断面図である。
【図19】図19は、本発明に従って構築された、単一のアルカリ土類金属イオンエネルギー貯蔵バッテリユニットを示す、斜視図である。
【図20】図20は、4つのバッテリユニットの線形アセンブリを示す斜視図である。
【図21】図21は、16ユニットアレイを示す、斜視図である。
【0014】
図中の特徴は必ずしも一定の縮尺ではない。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書で使用されるように、「バッテリ」は、正電極と、負電極と、電解質とを備える、個々の電気化学電池または電池ユニット、および複数の電気化学電池を備える構成を含有してもよいことが理解されるであろう。図1を参照して、概して10で示される、アルカリ土類金属イオンエネルギー蓄電池またはバッテリは、活性金属電極とも呼ばれる、負電極としての機能を果たす溶融金属体14、合金電極とも呼ばれる、正電極としての機能を果たす導電性多元素液体16、および介在イオン伝導性電解質20といった、3つに明確に異なる液体構成物質を取り込む。
【0016】
導電性液体層14、16、および20は、絶縁内側シース24に機械的支持を例示的に提供する、導電性容器22に閉じ込められる。シース24は、容器22を通した負電極14と正電極16との間の電気伝導による短絡を防止する。
【0017】
容器22は、例示的に導電性である蓋26によって覆われる。電気絶縁シール29は、容器22から蓋26を電気的に隔離し、溶融構成物質および蒸気を容器22内に閉じ込める。負電極14と接触している蓋26の一部分は、蓋26と接触している負端子28を介して、電子が外部源またはシンク(図示せず)まで通過してもよい、負電流コレクタ27として機能する。正電極16と接触している容器22の一部分は、容器22に接続された正端子30を介して、電子が外部源またはシンクまで通過してもよい、バッテリ10の正電流コレクタ23として機能する。負端子28および正端子30の配置は、より大きいバッテリを形成するように、1つの電池ユニットの負端子28を別の電池ユニット10の正端子30に接続することによって、個々の電池ユニットを直列に配設することを促進してもよい。
【0018】
負電極14に重層する不活性ガス層32は、充電および放電中に、または温度変化による、バッテリ10の3相系の大域的体積変化に適応してもよい。随意で、蓋26またはシール29は、安全圧力弁(図示せず)を取り込む。
【0019】
容器22および蓋26はそれぞれ、必要電子伝導性と、機械的強度と、液体電極14および16ならびに電解質20による化学攻撃への抵抗性とを有する材料である。シース24は、電子絶縁材料であり、2つの液体電極14および16ならびに溶融電解質20に対して耐食性であってもよい。窒化ホウ素、窒化アルミニウム、アルミナ、およびマグネシアが、シース材料候補である。シール29は、マグネシアセメント、アルミノほう酸ガラス、および当業者に公知であるような他の高温封止剤等の1つ以上の材料で形成されてもよい。
【0020】
電極14および16ならびに電解質20は、構造、頑健性、および電気エネルギーの迅速かつ効率的な受容および送達の単純性および節約に適合する化学および物理的特性を確立するように構成される。液体電解質20とともに電極14および16用の導電性液体を使用することは、電極14および16における活性アルカリ土類金属およびその陽イオンの容易な酸化および還元を促進する。液体電極の電子伝導性は、3相交差に限定されるよりもむしろ、液体電極・電解質界面全体にわたる部位で電子移動が発生することを可能にすることによって、電池10の動作中に高電流密度を推進する。さらに、両方の電極における反応が完全に液体状態で発生するため、反応速度は、明確に異なる生成物相の核生成によって抑制されない。したがって、電池10の構成物質は、高温電子冶金産業、例えば、亜アルミニウムの電解生産で観察される大きさである、約1A/cm2の極めて高い電流密度と一致する。
【0021】
溶融電極14および16の化学組成は、それぞれの異なる熱力学的活量において、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、またはバリウム等の活性アルカリ土類金属を組み込むように、合同的に編成され、それにより、電極14および16の間で電圧を生成する。負14および正16電極の間で活性アルカリ土類金属の熱力学的活量格差を作成するために、電極14および16のうちの少なくとも1つは、アルカリ土類金属以外の1つ以上の付加的な元素を含む。任意の付加的な元素が、例えば、アルカリ土類金属とともに液体合金を形成するよう、電極14または16の液体組成において混和性であってもよく、または動作条件下でアルカリ土類金属を伴う化合物中に存在してもよい。1つ以上の付加的な元素は、電池10が充電状態であるときに、負電極14と比較して、活性アルカリ土類金属の比較的低い熱力学的活量の環境として正電極16を構成するように選択される。正合金16を参照して本明細書で使用されるように、「合金電極」は、従来的に合金と呼ばれる液相溶液だけでなく、活性アルカリ土類金属および1つ以上の付加的な元素の液相化合物も包含する。
【0022】
活性アルカリ土類金属に加えて、電極14および16用の付加的な元素を選択する最に、電極14および16における化学平衡および溶液熱力学だけでなく、電解質20との相互作用、ならびにそれらの相対密度および液体範囲も考慮されなければならない。活性アルカリ土類金属に加えた電極14または16の中の任意の元素は、理想的には、電荷輸送のための競合経路を提供し、規定の電極反応を回避する方法で、電解質中のイオンと相互作用するべきではない。
【0023】
したがって、活性金属の活性を低減するように合金電極16に取り込むために適切であってもよい元素は、アルミニウム、スズ、鉛、ゲルマニウム、インジウム、ビスマスおよびアンチモン等のプニクトゲン、ならびにテルルおよびセレン等のカルコゲンを含んでもよい。電極14および16は、当業者に公知であるように、例えば、物理的特性を調整するか、または放電の程度の電気化学的監視を可能にするように、他の種を含んでもよい。例えば、銅、シリコン、鉄、またはガリウム等の1つ以上の付加的な遷移金属または半金属が、密度および/または融点を調整するように、より少量で追加されてもよい。
【0024】
全液体アルカリ土類金属イオンエネルギー貯蔵バッテリ10の電極14および16でのベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、またはバリウム等のアルカリ土類金属の使用は、従来のバッテリ材料に優るいくつかの利点を有してもよい。例えば、単一の電池の中の例示的なカルシウム・半金属結合によって生成される電圧は、約0.5V、0.75V、またはそれ以上であってもよく、類似リチウムまたはナトリウムベースのシステムの対応する電圧を超え、モル基準でより大きいエネルギー容量と相関する。また、例えば、カルシウムおよびマグネシウムも、鉛またはアルカリ金属と比較して比較的安価であり、大気中で安全に取り扱われてもよく、水と激しく反応せず、素手で持つことができるという点で、アルカリ金属よりも管理しやすい。アルカリ金属陽イオンが単一の正電荷を帯びている一方で、アルカリ土類金属陽イオンは、+2電荷を帯びており、その結果として、アルカリ金属セルと比較して、アルカリ土類金属イオンエネルギー蓄電池10の二重電荷容量を理論上は利用可能にする。
【0025】
バッテリ10の電解質20は、本明細書では活性陽イオンとも呼ばれる、活性アルカリ土類金属の陽イオンを溶解させる、溶融塩、および1つ以上の支持化合物であってもよい。電解質20の電気伝導度は、0.01ジーメンス/cm以上、0.05ジーメンス/cm、またはより大きい値であってもよい。
【0026】
例示的に、溶融塩は、活性アルカリ土類金属の塩化物等の塩化物である。代替として、活性アルカリ土類金属の塩は、例えば、非塩素ハロゲン化物、ビストリフリミド、フルオロスルホンアミン、過塩素酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩、テトラフルオロホウ酸、炭酸塩、または水酸化物であってもよい。支持化合物は、典型的には、イオン伝導性を強化するように、および/または電解質を通した電子伝導性を抑制するように添加される。支持電解質は、前述の陰イオンのうちのいずれかと、アルカリ性またはアルカリ土類金属、イミド、アミン、アンモニウム、ホスホニウム、またはピロリジニウム等の陽イオンとを備えてもよい。
【0027】
電解質20への他の添加物は、粘度を低減し、融点を低下させ、密度を改変し、または蒸気圧を低減してもよい。支持電解質および任意の他の添加物は、例示的に、反応化合物よりも負である形成の自由エネルギーを有するため、支持電解質および任意の添加物の陽イオン構成物質は、電極反応を活性アルカリ土類金属の酸化および還元に限定するために、活性金属電極14から合金電極16へ活性アルカリ土類金属を移動させることと関連するものよりも、極値の電位で、または高い値の電池電圧で電着する。電解質組成の選択を知らせる、これらおよび他の考慮事項が、当業者に公知である。
【0028】
活性アルカリ土類金属がカルシウムである場合、電解質20はさらに、溶融塩化カルシウムの中の元素カルシウムの可溶性を低減するように、錯体リガンドを含んでもよい。比較的低い電荷密度を有する、大きい一価の陽イオンによって送達されるリガンドは、Ca2+等の二価陽イオンを錯体化してもよい。例えば、塩化カリウム、塩化ナトリウム、または他の適切なアルカリ金属・ハロゲン化物塩の添加によって導入される塩化物陰イオンは、カルシウム・ハロゲン化物混合物の中のカルシウム金属の可溶性を低下させてもよい。5mol%から50mol%のCaCl2における、体系KCl−KI−KBr−CaCl2の中の電解質組成は、イオン伝導性、融解温度、および錯体化作用の所望の組み合わせを提供してもよい。
【0029】
電極14および16ならびに電解質20の組成は、全液体動作が、例示的には300℃または400℃から750℃の間の適度に上昇した温度で発生するように、編成されてもよい。例えば、約300℃または400℃よりも高い温度での動作は、電極反応速度および電解質20におけるイオン移動を促進する。しかしながら、電池構成物質の揮発、構造的な弱さ、補助材料の化学攻撃、および電極14および16ならびに電解質20の流動性を維持するために必要とされる電力等の困難が、動作温度が上昇するにつれてさらに起こり得る。750℃以下の動作は、関連欠点を伴わずに高温の動力学的利点を得てもよい。
【0030】
電極14および16ならびに電解質20はさらに、それらの密度がバッテリ10におけるそれらの機能に従って順序付けられるように編成されてもよい。図1に示されるように増加する、または負電極14/電解質20/正電極16の順序で減少する、それぞれの密度を有する実施形態は、融解時に、図示された垂直積層状構造に自発的に自己分離し、ビレットからの単純な製造を提供してもよい。
【0031】
アルカリ土類金属イオンバッテリ10におけるエネルギー貯蔵は、その動作温度を獲得または維持する任意の特定の方法に限定されない。層14、16、および20のうちのいずれかを形成する構成物質は、容器22への移動を可能にするように、十分な過熱で異なる過熱チャンバの中で融解させられてもよい。別のアプローチでは、例えば、容器22の壁の内側に配置される外部ヒータ(図示せず)が、動作前または動作中に使用されてもよい。代替として、バッテリ10は、引加された過電圧を通して、動作中に自己発熱してもよい。溶融構成物質において温度プロファイルを達成し、管理するための技法、溶融塩および液体金属とともに使用するための装置の構築等の、液体アルカリ土類金属電極を使用して電力貯蔵を実装することに潜在的に役立つ、電子冶金システムの他の実用的側面は、当業者に公知であり、その全ての開示全体が参照することにより本明細書に組み込まれる、例えば、2007年8月15日出願の共同所有された係属米国特許第11/839,413号および2009年7月20日出願の第12/505,937号、ならびに米国特許第4,999,097号および第5,185,068号で説明されている。
【0032】
例示的なアルカリ土類金属イオンバッテリ10は、電気化学経路を介して、2つの溶融導電性電極14および16の間で、本明細書では活性アルカリ土類金属と呼ばれるアルカリ土類金属を輸送することによって、エネルギーを受容または送達する。活性アルカリ土類金属の陽イオンを備える液体電解質20は、充電または放電中に活性アルカリ土類金属のイオン輸送を可能にする。
【0033】
図2A−2Cは、充電中の電池10の機能を図示する。図2Aは、非充電または放電状態の電池10を示す。充電前に、正電極16は、活性アルカリ土類金属の原子を含有する。負電極14は、活性金属・電解質界面42において電解質20と接触する。正電極16は、合金・電解質界面46において電解質20と接触する。
【0034】
図2Bを参照して、充電を開始するために、端子28および30は、正電極16から電解質20を通して、負電極14の中のより高い化学ポテンシャルにおける中性金属へと活性アルカリ土類金属の輸送を駆動する、外部充電回路48に接続される。充電中に、電子電流は、外部回路から負電流コレクタ27を通って、負電極14の中へ、および活性金属・電解質界面42へと進行する。活性陽イオンM2+は、活性金属・電解質界面42に向かって電解質20を横断する。活性陽イオンおよび電子は、界面42において接触し、還元半電池反応M2++2e−→Mで消費される。半電池反応で作成される中性の活性アルカリ土類金属原子Mは、負電極14のものになる。活性アルカリ土類金属Mが負電極14の中に蓄積するにつれて、活性金属・電解質界面42は、負電流コレクタ27からさらに遠く離れる。合金・電解質界面46において、正電極の中の活性アルカリ土類金属Mの原子は、半電池反応M→M2++2e−で酸化される。活性陽イオンM2+が電解質20に進入するにつれて、電子は、外部充電回路48へと正電流コレクタ23を通過するように解放される。活性アルカリ土類金属原子Mの酸化は、正電極16を収縮させ、合金・電解質界面46は、正電流コレクタ23に向かって移動する。
【0035】
図2Cは、その最終充電状態のバッテリ10を示す。充電は、活性アルカリ土類金属の原子の損失によって、少なくとも正電極16の組成を変化させている。合金電極16は、原則として、活性アルカリ土類金属を名目上含まなくてもよく、したがって、充電・放電サイクルの中のこの時点で、実際には、合金、混合物、または化合物でなくてもよい。負電極14の厚さは、正電極16を犠牲にして増大している。充電過程が活性陽イオンに関して保守的であるため、電解質20の厚さは、理想的には不変である。
【0036】
溶融活性金属電極14に堆積させられる活性アルカリ土類金属は、いずれの外部電子経路も2つの電極14および16を接合しない限り、無期限に持続してもよい、貯蔵された電気エネルギーを表す。電池10における半電池反応は、電解質と接触している電極14および16において残存する、液相生成物を生成する。電極14および16ならびに電解質20が液体範囲温度である間に、活性アルカリ土類金属および活性陽イオンは、電気化学経路を介した放電を機械化するために利用可能なままである。この可逆性は、エネルギー貯蔵のための活性アルカリ土類金属イオンバッテリに適する。
【0037】
図3A−3Cは、バッテリ10を放電することを図示する。図3Aは、充電状態の電池10を示す。図3Bを参照すると、端子28および30を外部負荷49に接続することによって、放電を開始する。放電中、活性アルカリ土類金属は、負電極14から活性陽イオンとしての電解質20を通って自発的に移動し、正電極16の中のより低い化学ポテンシャルにおける中性金属に戻る。電子電流は、正電流コレクタ23および正電極16を通って合金・電解質界面46へとセルの中へ進行する。活性陽イオンM2+は、合金・電解質界面46に向かって電解質20を横断する。活性陽イオンM2+および電子は、半電池反応M2++2e−→Mで界面46において消費される。産生される中性の活性アルカリ土類金属原子Mは、正電極16のものになる。活性アルカリ土類金属Mが負電極16の中に蓄積するにつれて、合金・電解質界面46は、正電流コレクタ23からさらに遠く離れる。活性金属・電解質界面42において、負電極16の中の活性アルカリ土類金属Mの原子は、半電池反応M→M2++2e−で酸化される。産生される活性陽イオンM2+が電解質20に進入するにつれて、解放された電子は、外部負荷49へと負電流コレクタ27を通過する。活性アルカリ土類金属原子の酸化は、負電流コレクタ27に向かった活性金属・電解質界面42の移動とともに、負電極14の摩耗を引き起こす。
【0038】
図3Cは、その最終放電状態の電池10を示す。充電は、活性アルカリ土類金属の降着により、少なくとも正電極16の組成を変化させている。正電極16の厚さは、負電極14を犠牲にして増大している。放電過程が活性陽イオンに関して保守的であるため、電解質20の厚さは、理想的には不変である。充電・放電サイクルの全体を通した電解質層の実質的に一定の厚さは、電極本体と比較して相対的に薄い電解質層の使用を可能にする。溶融ハロゲン化物の本質的に低い抵抗性と組み合わせられた薄い電解質層は、電解質と関連付けられるオーム過電圧を最小化する。それぞれ、負電極14および正電極16によって収容することができる、活性アルカリ土類金属の量のうちの少ないほうと同じくらいの大きさである電池10のエネルギー容量は、原則として、電解質20の質量またはその関連IR降下を増加させることなく、電極14および16の中の材料の量を増加させることによって、増強させることができる。例えば、電解質20の厚さは、電極14および16のいずれか一方の厚さの約10%、20%、または50%のみであってもよい。
【0039】
本明細書ではカルシウム・ビスマスバッテリと呼ばれる、例示的実施形態では、バッテリ10の活性アルカリ土類金属は、カルシウム(ρliquid≒1.4g/ml)であり、合金電極16の中のカルシウム活性を希釈する付加的な元素は、ビスマス(ρ=9.8g/ml、Tm=271℃)である。電解質20は、例えば、密度を増加させるように添加された10mol%のKIを伴う25mol%のCaCl2における、KCl−CaCl2共晶混合物(Tm=600℃)に基づく。KCl、CaCl2、およびKIの液体密度は、それぞれ、1.5g/ml、2.07g/ml、および2.33g/mlである。電池10の動作温度は、例示的に約700℃である。容器22および蓋26は、例示的に軟鋼である。
【0040】
カルシウムに加えて、例示的な活性金属電極14は、実施形態での電極14の液体範囲が、カルシウムの融点(850℃)よりも低い、適度に上昇した温度範囲内であるように、マグネシウムを備えてもよい。活性金属電極14の中のカルシウムを希釈することにより、電極14のカルシウムの活性を必然的に低減し、バッテリ10によって送達可能な電圧を低減する。電圧の比較的顕著な低減は、カルシウム・マグネシウム2成分系のような結果として生じる体系が、理想からの負の偏差を示す、固体状態の化合物を形成するときに、期待されるものである。電池電圧の容認できない低下を伴わずに、動作温度を所望の適度に上昇した温度範囲内にするように十分な量で、電極14の中に、活性アルカリ土類金属に加えて、別の金属、例えば、別のアルカリ土類金属を含むことが可能であることが発見されている。例えば、80原子パーセントの濃度までマグネシウムを添加することにより、カルシウムイオン電池の電圧を約0.1Vだけ低下させながら、700℃未満の融解温度を活性金属電極14に与えてもよい。活性イオンとしてCa2+を有する電池の活性金属電極14の中のカルシウム濃度は、原子基準で約80%、50%、30%、20%、または10%未満であってもよく、例えば、平衡が、マグネシウム、リチウム、またはナトリウムである。活性金属電極14の中のカルシウム濃度は、原子基準で約20%、40%、または60%よりも大きくてもよい。
【0041】
電池が完全に充電されると(図3A)、例示的なカルシウム・ビスマスバッテリ10の溶融活性金属電極14は、マグネシウムの中の約20原子パーセントのカルシウムの本体であり(ρliquid=1.5g/ml、Tm≒650℃)、合金電極16は、溶融ビスマスの本体である。放電後(図3C)、活性金属電極14は、カルシウムが比較的枯渇している。活性金属電極14から失われているカルシウムは、ビスマス・カルシウム合金となっている正電極16に移動させられている。完全に充電されたカルシウム・ビスマス電池の開回路電圧は、約1Vであってもよい。
【0042】
本明細書ではマグネシウム・アンチモンバッテリと呼ばれる、別の例示的実施形態では、図4に示されたバッテリ50の活性アルカリ土類金属は、マグネシウム(ρ=1.5g/ml、Tm=650℃)であり、合金電極16の中のカルシウム活性を希釈する付加的な元素は、アンチモン(ρ=6.5g/ml、Tm=630℃)である。電極14および16の間に存在する電解質20は、塩化マグネシウムを備える。マグネシウム・アンチモン電池は、例示的に約700℃で動作する。容器22および蓋26は、例示的に黒鉛から造形される。絶縁シース24は、窒化ホウ素でできていてもよい。容器22の底部に圧縮嵌合される、例示的にタングステンの金属栓が、正電流コレクタ23として機能する。電解質20の中の塩化マグネシウム等の溶融塩は、合金電極16等の溶融金属よりも容器22の黒鉛底部を容易に湿潤し、それにより、正電極16と容器22との間の電子伝導を阻止する。金属栓は、溶融正電極16と正端子30との間の導電性経路を確保する。
【0043】
バッテリ50が完全に充電されたとき、電極14および16のそれぞれは、図3Aのバッテリ10について示されるように、そのそれぞれの名目上純粋な液体要素である。放電後、バッテリ50(図4)の中の活性金属電極14は、単元素のままであるが、図3Cのバッテリ10について示されるように、バッテリ50が充電されたときよりも質量が小さい。バッテリ50(図4)の中の活性金属電極14から失われているマグネシウムは、アンチモン・マグネシウム合金となっている正電極16に移動させられている。700℃でのアンチモンの中のマグネシウムの合金化電位は、約0.5Vである。
【0044】
例えば、カルシウム・ビスマスまたはマグネシウム・アンチモン電池の実際の開回路電圧は、ネルンストの式によって表されるように、電極の中の活性アルカリ土類金属の活性によって影響される。活性は、その期待電圧よりも大きい、または小さい値に、電池の開回路電圧を偏移してもよい、大きな非理想性を示してもよい。活性アルカリ土類金属の質量が電極間を移動するにつれて、それぞれの化学ポテンシャルの変化が開回路電池電圧を変化させるため、充電・放電サイクルにわたって一定ではない。
【0045】
代替実施形態では、バッテリ10(図1)および50(図4)について示されるような容器22の内面を電気的に絶縁することの経費および複雑性は、容器22から電極層を隔離する、電解質20より上側に配置されたその電極層と接触している、電流コレクタを提供することによって排除される。図5Aを参照すると、アルカリ土類金属イオンエネルギー貯蔵バッテリ60では、例示的に適所に固定される、導電性構造62は、蓋26の外側に延在し、バッテリ60の負端子28を構成するシャフト62aと、容器22の内側から離して負電極14の液体金属を保持し、負電流コレクタ27としての機能を果たす接触部分62bとを備える。例示的に窒化ホウ素またはアルミナの絶縁ブッシング64は、蓋26から伝導性構造62のシャフト62aを分離する。
【0046】
構造62は、容器22から離して活性電極14を保持し、絶縁シース24を取り除く。図5Bを参照すると、放電中に、合金電極16の体積が増加するにつれて、電解質20は、活性アルカリ土類金属電極14の周囲に押し上げられる。構造62は、電池が完全に放電されたとき、および常に、溶融電極14のうちのいくらかが負電流コレクタ27と電解質20との間にとどまるように構成される。
【0047】
表面張力は、構造62の接触部分の周囲で溶融活性・金属電極14を適所に維持する。接触部分は、例えば、積層に折り畳まれた、またはらせんあるいは管にコイル状になったメッシュ材料であってもよい。メッシュは、同様の間隔を伴って、直径約0.1から1mmの撚り糸から成ってもよい。代替として、透過性接触部分は、スポンジである。
【0048】
電極14の組成に応じて、構造62は、例えば、電極14の材料によって湿潤される、炭素、軟鋼、あるいは、例えば、ニッケルおよび/またはクロムを含有する、合金鋼でできていてもよい。構造62上の湿潤可能な表面は、負電極14とその電流コレクタ27との間の良好な電気接触を推進する。しかしながら、接触部分62bの外部を湿潤する電極14からの材料が離脱し、電解質20の表面上で容器22の導電性壁まで浮遊する場合、バッテリ60の電流運搬効率が、電極14の材料と壁との間の不要な反応によって劣化される場合がある。
【0049】
図6Aを参照すると、別の代替実施形態では、バッテリ70の中の負電極層14は、蓋26から吊るされた、概して72で示された導電性複合構造によって、液体電解質20より上側で、かつ容器22の内側から離して適所に保持される。
【0050】
複合構造72は、蓋26の中心で電気絶縁ブッシング74を通って上方に延在するシャフト72aを備え、そのシャフトの上端は、バッテリの負端子28を構成する。ブッシング74は、窒化ホウ素またはアルミナ等の好適な剛体の耐高温性材料であってもよい。シャフト72aは、電極層14の材料が湿潤する、鋼鉄またはステンレス鋼等の高導電性材料である。
【0051】
構造72の下端は、負電流コレクタ27および電極層14用の格納の両方を構成する、シャフト72aを包囲する、逆カップ72bまたは同程度のケージを含む。カップ72bは、電極層14が湿潤しない軟鋼等の材料である。表面張力は、電極層14の液体材料をシャフト72aに保持するが、カップには保持しない。したがって、構造72は、電極層14の材料のより良好な格納を提供し、それを容器22の壁から離して保つ一方で、負電流コレクタ27とその電極層14との間で良好の電気接続を確保してもよい。
【0052】
他の複合コレクタ/構造72と同様の最上部電極用の格納構造が、電極層14に構想されてもよい。例えば、構造72のカップ72bの中への湿潤可能なシャフト延長は、図6Bに示されるような、湿潤不可能な格納カップの周縁のちょうど内側に位置する同じ材料のリング76に、または図6Cに示されるような、湿潤不可能な格納カップ72bの最上部の内側の同じ材料の層78に置換されてもよい。
【0053】
別の代替実施形態では、アルカリ土類金属イオンエネルギー貯蔵バッテリは、容器22の震盪または傾斜中に2つの導電性液体の混合を妨げることによって、強化した頑健性のために構成される。図7を参照すると、補強バッテリ80では、電解質によって浸潤される電極セパレータ84が、活性電極14と合金電極16との間に間置され、摩擦によってシース24に保持される。電極セパレータ84は、例示的に、溶融電解質20と接触して安定し、溶融電解質20によって湿潤され、電極14および16のいずれか一方によって湿潤されない、材料である。セパレータ84は、電極14および16の間のイオンの容易な移動を可能にするほど大きい穴または他の多孔性を伴って透過されるが、セパレータ84と電池80の構成物質14、16および20との間の表面張力関係は、負14および正16電極の間の接触を妨害し、それにより、短絡を抑止する。増強電池80は、より近い負・正電極間隔を伴って構築されてもよく、セパレータ84が欠けている電池と比較して、より少ない電解質20、したがって、より優れた電圧効率に転換する。
【0054】
電池80の活性アルカリ土類金属がカルシウムであるとき、セパレータ84は、例示的にアルミナである。電極セパレータ84の他の好適な材料は、マグネシア、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、および石英ガラス等のセラミックを含んでもよい。例示的に、セパレータの細孔は、直径約1から5mmである。電極14および16ならびに電解質20の表面張力値に応じて、細孔は、より大きいか、または小さくてもよい。
【0055】
固定セパレータ84は、界面42および46の位置がほとんど移動しない動作条件、例えば、比較的短い充電持続時間、または低電流密度での充電に最も適切であってもよい。しかしながら、例示的な電池が高容量で充電または放電する場合、界面42または46は、固定セパレータ84を通って移動してもよい。これらの条件下での動作のために、電池80は、2つの界面42および46の間の距離以下の厚さを有する浮動セパレータを伴って構築されてもよい。
【0056】
例示的なバッテリの電極および電解質を構成するもの等の液体を通る分子の伝導性拡散は、固体よりも桁違いに速いが、全液体バッテリを通る電流は、層14、16、および20のうちのいずれかにおける比較的大きい拡散距離により、質量移動が限定されてもよい。例えば、マイクロまたはナノスケールのインターカラント粒子を使用したリチウムイオンバッテリでは、約10−12cm2/sの拡散性が、バッテリの充電および放電を持続する速度でのLi+イオンの完全浸透のために十分である。対照的に、例示的なバッテリでは、拡散距離は、数ミリメートルまたは多数のセンチメートルでさえあってもよい。したがって、質量輸送制限が、液体電極14および16ならびに液体電解質20における高い拡散係数にもかかわらず、例示的なバッテリの適正な機能を妨げる場合がある。例えば、電極反応のうちの1つにおける反応物が消費されるにつれて、拡散は、容易な電極反応速度によって可能となる電池電流をサポートすることができる速度で、それぞれの電極/電解質界面においてそれを置換しない場合がある。
【0057】
例示的なバッテリにおける不十分な質量輸送は、他の機構を通して、例示的なバッテリの充電および放電動作をさらに損なう場合がある。図2A−2Cを参照して上記で説明されるような例示的なアルカリ土類金属イオンバッテリの充電中に、活性アルカリ土類金属は、合金電極16から合金・電解質界面46にわたって駆動される。合金電極16の内部から界面46付近の領域を補充する十分な質量輸送がないと、電解質20と反応する電極16の部分は、充電が進行するにつれて金属が欠乏する。この枯渇が持続するにつれて、充電回路48の継続的動作が、界面46において他の望ましくない電極反応を誘発する場合がある。
【0058】
同様に、上記で規定される所望の電極反応は、電極/電解質界面付近の反応の集中によって阻害される場合がある。例示的なアルカリ土類金属イオンバッテリの場合、放電は、図3A−3Cを参照して上記で説明される、それぞれの電極/電解質界面におけるアルカリ土類金属の異なる活性に依存する。負電極14から合金電極16への活性アルカリ土類金属の移動中、活性金属反応生成物の濃度が合金・電解質界面46における合金電極16の中で増加するにつれて、活性アルカリ土類金属を合金電極16の中へ移動させる電気化学電池反応の駆動力が減少する。界面46における濃度が電極の大域的組成を反映しないように、合金電極16の中の活性アルカリ土類金属が界面46付近に偏って位置する場合、例示的なバッテリによって送達される電圧は、均一な電極組成を用いて可能となるものと比較して低下する。界面46付近の活性アルカリ土類金属の十分な局所濃度のために、バッテリの放電が完全に停止してもよい。
【0059】
したがって、充電および放電中に液体層14、16、および20の組成の均質化に貢献する伝導性拡散以外の質量輸送機構は、例示的なバッテリの最適な動作を達成する際に重要であってもよい。対照的に、従来の高温電気化学金属抽出システムでは、電解還元は、濃度勾配が作用していない、実質的に液体の金属体の金属含有量を増強する。したがって、金属間質量輸送が比較的重要でないと、そのような過程は、実際には、短絡を回避するために液体層内の移動を最小化するように構成されてもよい。
【0060】
本明細書の以下で説明される代替的実施形態は、例えば、アルカリ土類金属イオンバッテリ等のバッテリの中の液体材料層内で対流を生成することによって、一方または両方の電極/電解質界面への活性種の輸送を強化するように構成される。輸送強化は、液体層14、16、および20のうちの1つ以上の中で液体材料の混合を引き起こし、それぞれの電極/電解質界面を往復して材料を運搬してもよい、1つ以上の浮力または重力駆動または磁気誘導対流または循環セルを生成すること等によって、液体層14、16、および20のうちの1つ以上の内側で流動を誘発する機能を特色とする。輸送強化へのアプローチは、高温液体・電極バッテリとの関連において、具体的に本明細書で説明されているが、説明される強化はまた、例えば、燃料電池等の、例えば、選択された電解採取システムまたは低温デバイスの中の液体成分を有する他の電気化学システムで有用であってもよい。
【0061】
例示的な貯蔵デバイスの液体構成物質において誘発される流動は、電極/電解質界面を往復して種の強化された輸送を提供し、バッテリ生産性を有意に強化するために、非常に高速である必要はない。実際、液体中の10−5cm2/sの拡散率で、わずか約0.1mm/sの液体流速が、液体中において、独力で拡散によって引き起こされるよりも、電極/電解質界面で多くの活性種を提供すると示すことができる。例示的に、本貯蔵デバイスは、0.1から1.0mm/sの範囲内の流速を生じさせるべきである。
【0062】
例示的なバッテリにおいて流動を誘発することへの1つのアプローチでは、循環生成器が、液体構成物質14、16、および20のうちの少なくとも1つにおいて温度勾配を生じさせる、または発生させる。結果として生じる密度の不均一性は、液体構成物質において、レイリー・ベナールセルと呼ばれることもある、重力または浮力駆動対流セルを生成してもよい。これらの初期自由対流セルは、次に、隣接する構成物質において同様の循環を誘発し、バッテリの液体構成物質の全てではないがいくらかの混合をもたらしてもよい。循環生成器は、バッテリの電極または電解質層のうちの少なくとも1つの中で1つ以上の自由対流セルを開始して、規定の目的を達成するように、種々の異なる熱流管理デバイスを含んでもよい。バッテリは、通常動作中にその中に存在する熱エネルギー、例えば、バッテリの構成物質を溶融状態で維持する、またはその充電/放電によってバッテリのジュール加熱から生成される熱を利用するように構成されてもよい。別の実施形態においては、バッテリは、付加的な熱源を組み込んでもよい。
【0063】
容器22を封入する熱絶縁筐体は、循環生成器の一部を形成してもよい。循環生成器はさらに、絶縁の壁の中に1つ以上の熱管理デバイスを含む。熱管理デバイスは、熱が、バッテリの液体構成物質14、16、および20のうちの少なくとも1つから優先的または非対称的に離れて伝導されてもよいように、熱伝達経路を提供するように構成されてもよい。構成物質における結果として生じる温度勾配は、その構成物質内で自由または重力駆動対流を生成する。したがって、例えば、フローセルで使用されるような、強制対流を生じさせるポンプシステムの費用および複雑性を伴うことなく、強化された質量輸送が電極14および16の間で達成される。
【0064】
したがって、図8を参照して、例示的実施形態では、バッテリ90は、その中の電解質層20の高さで、熱絶縁筐体96から容器22の対向側まで延在する金属棒の形態で熱管理デバイス98を組み込む。デバイス98は、事実上、容器がこれらの場所であまり絶縁されないように、容器22の伝導性壁と密接に熱接触している。デバイス98は、容器22と外側空間との間に熱伝達経路を提供する。したがって、デバイス98付近の液体電解質20は、バッテリ90の中心よりも低温であり、したがって、より密度が高く、電解質20の中の液体材料をこれらの場所で沈下させる。したがって、容器22を介した熱の放散(Q)は、図8の透視で示された円形矢印によって示されるように、電解質層20の中に1つ以上の対流セルを生成する。例示的に、容器22への正端子30の接続は、その電極を介した熱放散を最小化するように、示されるように負電極14より上側に位置する。この場合、誘発された温度勾配は、熱管理デバイス98のみによって制御されてもよい。
【0065】
いったん対流セルが層20の中に確立されると、それと上側にある液体層14および下側にある液体層16との間の界面境界が、これらの層の中で移動を引き起こし、これらの層の中の円形矢印によって示されるように、層14および16の中で同様の循環を引き起こしてもよい。したがって、容器22の中の各層で誘発される流動が、これらの層の間の界面に反応物質を導入し、かつそこから生成物を運搬し、それにより、バッテリ90の中で所望の電気化学反応を推進してもよい。
【0066】
図9は、熱管理デバイス98(例えば、金属棒)が、電解質20の下に配置される電極層のうちの1つの高さで筐体96の中に存在するように、図8に示されたバッテリ90と同様の別の実施形態を示す。例示的に、アルカリ土類金属イオンバッテリでは、正電極層16は、容器22の底部において電解質20の下にある。図9のバッテリは、図8のバッテリ10と同じ構成要素を含み、多かれ少なかれ同じように動作するため、その共通構成要素は、同じ識別数字を有する。また、図示を簡単にするために、端子28および30(図1)は、図9および後続の図面から省略されている。
【0067】
図8のバッテリ90で発生するのと同様に、容器22の側壁およびデバイス98を介して正電極層16の側面から除去される熱は、図9の透視で示された円形矢印によって示されるように、その液体材料の対流を引き起こす温度勾配をその中に生じさせる。これは、層16と20との間の界面を往復する構成要素の電極16内の流束を増加させ、それにより、そこで所望の電気化学反応を推進してもよい。例示的に金属または半金属である、正電極層16は、電解質層20、例えば、塩よりも密度が高いため、この実施形態は、図8のデバイスの電解質層20の場合よりも、電極層16の中で初期対流セルを発生させるために大きい温度勾配を必要としてもよい。
【0068】
図9に示されていないが、電極層16の中の初期対流セルは、図8に示されたものと同様に、隣接する電解質層20の中の流動または循環等を電極層14の中へ誘発してもよい。
【0069】
図10は、より長い、または深いことを除いて、図9のデバイスと本質的に同じであるバッテリ90を図示する。この場合、熱管理デバイス98は、筐体96に沿って離間され、図9の円形矢印によって示されるように電極層16の中での細長い円筒形対流セルの発生を促すように、熱が容器全体に沿った容器22の側壁を介して放散されるように設計されている。
【0070】
図8−10に示されるように筐体96の両側に個々の熱放散デバイス98を提供する代わりに、プレートの形態のデバイス98が使用されてもよく、これらのプレートは、作用液体構成物質において必要な温度勾配を生じて、その対流を引き起こすように設計され、寸法決定されている。
【0071】
図11は、図9に示されたバッテリと同様のバッテリを図示し、容器22の内部底壁は、間隔が電極層16の中で決定サイズの安定した対流セルの形成を推進する、離間した尖部22aを伴って形成される。以前の貯蔵デバイス90の場合のように、これらの初期対流セルは、重層液体層20の中で液体材料の同様の循環を推進してもよい。
【0072】
図12は、熱絶縁筐体96と、正電極層16の高さで金属リングの形態の単一の熱管理デバイス98とをその中に有する、円筒幾何学形状のバッテリを示す。この実施形態では、円環の形態の対流セルが電極層16の中で形成されるように、バッテリ90の縦軸の全周囲で容器22およびデバイス98を介して、熱がデバイスの内部から放射状に放散される。前述の実施形態のように、電極層16の中のこの対流は、容器22内の隣接する液体層20の中で同様の循環を誘発してもよい。また、リングは、そのような対流をその中に誘発するように、層14または20の高さに位置することもできる。
【0073】
図13は、図9に示されたものと同様のバッテリ90を図示し、単一の熱管理デバイス98、例えば、金属棒は、この場合は電極層16である、バッテリの液体構成物質のうちの1つの高さで、筐体96の片側だけに位置する。バッテリ90からのこの非対称的な熱の除去は依然として、その図で示されるように、作用構成物質、すなわち、電極16における重力または浮力駆動対流を設定する。実際に、筐体96の別の側面等の別の部分よりも容器22の一方の側面で薄い、および/または小さい熱伝導性を有する、筐体96の壁の一部分を含む熱管理デバイス98を採用することによって、温度勾配が、バッテリの液体構成物質のうちの1つ以上で生成されてもよい。次いで、容器22のあまり絶縁されていない側の液体層16は、容器の中の他の場所の液体よりも低温となり、したがって、密度が高くなり、それを沈下させ、それにより、図13の円形矢印によって示されるように、層16の中の液体材料の自由対流混合を推進する。
【0074】
デバイスの蓋26および電流コレクタ27を介して、熱が容器22の内容物から抽出または放散される、エネルギー貯蔵デバイスまたはバッテリ90を図示する、図14をここで参照されたい。この場合、熱管理デバイス98、例えば、金属棒またはプレートは、絶縁筐体96の片側を通って延在し、蓋26と接触している。蓋26は、例示的に負電極14である、容器22の最上部付近で電解質20の上に配置される電極のうちの1つと接触している。熱(Q)は、そのコレクタ27を含む蓋26およびデバイス98を介して、電極層14から引き出される。これは、その中に自由対流セルを生成する、温度勾配を電極層14の中に生成する。これらは次に、図13の円形矢印によって示されるように、下位電解質層20の中に同様の流動を誘発してもよい。
【0075】
熱管理デバイス98が、本明細書では正電極層16である、バッテリの液体構成物質のうちの1つの中へ熱を導入して、その中で熱を補う、バッテリ90を示す、図15をここで参照されたい。この実施形態では、デバイス98は、筐体96の底壁を取って外部電流源104まで延在するリード線によって活性化される、容器22の底壁の中の発熱体102を含む。熱は、示されるような電極16の中の対流セルの生成を推進するように、筐体96の壁のうちの1つ以上を通して放散される。
【0076】
示されたバッテリ90の例示的実施形態では、バッテリの液体構成物質のうちの1つまたはもう1つにおいて生成される対流セルは、バッテリの中に存在する熱エネルギーの制御された管理によって生じる温度勾配によって引き起こされる、浮力または重力駆動対流セルである。
【0077】
例示的なバッテリの中の反応種または生成物の輸送を強化することへの別のアプローチでは、バッテリが充電または放電されているときに流れる電流によって引き起こされる磁気誘導が、液体構成物質のうちの1つ以上において流動を誘発する。この種類の循環生成器は、電流コレクタ23および27のうちの少なくとも1つの周囲で、またはそれに隣接して磁場を引き起こす、そのコレクタへの電流経路を生成する。生成される磁場は、そのコレクタと接触している電極層の中の電流と共同作用して、その層の液体材料を循環させる撹拌力をその中に生じる。この液体材料の循環は、関連電極/電解質界面に材料を導入し、かつそこから材料を運搬し、したがって、バッテリの電流密度を強化し、および/または所望の電気化学反応を推進してもよい。そのような循環を推進する、種々の異なる電流コレクタ設計が開示されている。
【0078】
図16は、例えば、容器22の最上部付近で、その電極、すなわち、電解質20の上に配置される電極層の中へ蓋26から下方に突出する、突出105、例えば、隆起または突起の形態で磁気誘導デバイス103を備える、循環生成器を取り込むバッテリ100を図示する。例示的に、最上電極層は、負電極14である。したがって、この場合、突出105はまた、負電流コレクタ27も構成する。再度、図8−15で描写されたバッテリの実施形態におけるものと同等である、図16に示されたバッテリ100の構成要素は、同じ識別数字を持つ。
【0079】
バッテリ100がバッテリの正30および負28端子(図2)に接続された外部電源(図示せず)によって充電されているとき、電子は、充電源から蓋26およびその突出負電流コレクタ27、105を介して、負電極層14の中へ流れる。突出105は、それを通る電流(I)が、突出の縦軸を多かれ少なかれ中心とする方位磁場Bを生じ、電極層14の中への分岐経路を辿るように成形される。電極層14の中の分岐電荷担体流Iの水平成分との磁場Bの相互作用は、図16の円形矢印によって示されるように、その中に1つ以上の循環セルの発生を引き起こす撹拌力(
【0080】
【数1】
)を電極層の中に生じさせる。この循環は、上記で説明されるように、電極14の内面から電解質層20との界面へ反応物質を運び、界面材料を内部に運搬してもよい。
【0081】
他のバッテリの実施形態のように、層14の中の循環は次に、下位層の循環を誘発してもよい。
【0082】
バッテリ100が外部負荷(図示せず)に接続され、放電しているとき、電流は、図16の矢印Iによって示された方向から逆方向に流れ、突出105の中へ集中し、同様の効果を生じる液体材料の同様の循環を電極層14の中に生成する。
【0083】
図17は、電極層のそれぞれの電流コレクタの構成によって、電解質20の下に、例えば、容器22の底部に配置される電極層の中に、循環セルが推進される、同様のバッテリ100を図示する。例示的に、電解質20の下に配置される層は、バッテリの正電極層16である。正電流コレクタ23の中の隆起または突起等の突出105の形態の誘導デバイス103は、正電極16の中へ延在する。ここで、容器22の床面は、突出105のための隙間を提供するように、および電流をそこに閉じ込めるように、中心開口部107aを有する電気絶縁層107によって覆われている。その突出105を通る電流は、図16に示されたバッテリ100の電極層14の中に生成されるのと同様に、電極層16の中の液体材料の循環を推進するように、バッテリ100が充電または放電されているときに層16の中の分岐または集中電流と相互作用する磁場をその周囲に生じさせる。
【0084】
いくつかの用途では、図16および17で描写されたバッテリ100の中の磁気誘導デバイスは、同時に電極層14および16の両方の中に循環を推進するように、単一のバッテリに組み込まれてもよい。
【0085】
図18では、例えば、容器22の最上部付近で、電解質20の上に配置される電極層の中に磁気誘導によって循環を生じる、別のバッテリの実施形態110が描写されている。例示的に、電解質20の上に配置される電極は、バッテリ110の負電極層14である。この実施形態では、バッテリ110は、容器22の中の中心を外れた場所で、キャップ112から電極14の中へ垂直に下方に延在する、多かれ少なかれ円筒形の突出114を有する、負電流コレクタを備える、磁気誘導デバイス103を備える循環生成器である。また、キャップ112に接続された上端を有し、突出114と実質的平行に、容器22の側壁の近くに垂直に下方に延在する、負端子116が提供される。その端子116の自由下端は、同様のバッテリまたは他のエネルギー交換デバイスの正端子に接続されるように適合される。
【0086】
充電サイクル中、電子が矢印Iの方向へ端子116に沿って流れ、突出114へおよび電極14の中へ流れると、図中に示されるように容器22の中へ延在する磁束線である、磁場Bが端子116の周囲に生成される。磁場Bは、突出114から電極層14の中へ流れる電子と相互作用し、上記で説明されるように、電解質層20との電極14の界面を往復して新たな材料を循環させてもよい、垂直撹拌力Fを電極の中に生じる。貯蔵デバイス110が放電しているとき、突出114および端子116に沿って逆方向に流れる電流を伴って、同様の循環セルが層14の中に形成される。
【0087】
アルカリ土類金属イオンセル10(図1−3)、50(図4)、60(図5Aおよび5B)、70(図6)、または80(図7)は、特にバッテリ90(図8−15)、100(図16−17)、または110(図18)のうちのいずれかで示されるような構成要素を生じる循環を装備するときに、電気を急速に受容および送出し、それにより、需要・供給の不一致を埋めることが可能であってもよい。例示的なエネルギー蓄電池は、地理的な場所への制限を伴わずに、北極の寒さおよび砂漠の暑さ等の極端な温度で動作してもよく、移動式構造で実現可能である。電力容量は大きく、約10m2/MWであり、種々の大規模および商用電力管理用途への適合のために拡張可能である。
【0088】
アルカリ土類金属イオンエネルギー蓄電池の容量を拡張して、約数MWの大規模用途の要件にそれを適合させる際に、いくつかのアプローチが可能である。1つのアプローチでは、電極14および16の質量を増加させ、それにより、電池内の移動に利用可能なアルカリ土類金属の質量を増加させることによって、拡張性が単一の大型アルカリ土類金属イオンエネルギー貯蔵バッテリユニットで利用されてもよい。別のアプローチでは、直列に接続された多くのより小さいアルカリ土類金属イオンユニットを含むバッテリが、大規模システムで役立つために必要な電子工学とより実用的と統合された、より高いバッテリ電圧を与えてもよい。さらに別のアプローチでは、ユニットの大型アレイが、個別電池の誤動作による故障に対する増加した頑健性のために、直列または並列接続で相互接続されてもよい。
【0089】
一実施形態では、図1に示された種類の単一のアルカリ土類金属イオンバッテリユニット10が、以下の方法でより使用可能な電圧のバッテリを作製するために使用される。図19は、図1に示された種類の構成の電池10を斜視図で示す。電池10は、例示的に、各辺が長さ10cmの立方体である。図20は、直列に接続された4つのそのようなバッテリユニット10で形成された線形アセンブリ120を示す。図21では、4つの線形アセンブリ120が、直列に接続された16個のユニット10のアレイ122を形成するように接合されており、充電中の電子移動の方向は矢印124によって示される。そのようなアレイは、例示的に、約100Vの開回路電圧を有するバッテリを作成するように、96個の電池のモジュールへと6つの高さに積層され、電気的に接合される。
【0090】
アルカリ土類金属イオンエネルギー貯蔵バッテリの1つの潜在的な用途は、大規模発電機にある。エネルギー需要の日周的変動は、発電所の効率を低減し、それにより、24時間の最適出力レベルでの発電機動作を妨げることによって、排出を増加させる。1MWよりも大きい電力容量を伴う大容量電気エネルギー貯蔵装置は、低需要期間中に発電機から貯蔵デバイスへ電力をダウンロードし、次いで、より高い需要の時間中に電力をグリッドにアップロードし、発電所が一定のレベルで動作することを可能にすることによって達成される、負荷平準化を可能にすることができる。
【0091】
アルカリ土類金属イオンエネルギー貯蔵バッテリの第2の潜在的な用途は、再生可能エネルギー源変換器にある。供給の変動性により、再生可能エネルギー源によって生成される電力の管理が困難になる。風力および太陽エネルギー等のエネルギー源は、断続的にしか生成しない。十分な電力貯蔵がないと、風が止まった、または空が曇った場合に動作するために、付加的な発電機が待機して必要とされる。過剰な発電機の形態の活用されていない資本は、再生可能エネルギー源の開発の規模を限定する場合がある。再生可能エネルギー源と併せて使用される、信頼できる高容量電気貯蔵デバイスは、専用負荷平準化を提供し、それにより、グリッド上での再生可能エネルギー源の実装を支援することができる。そのような組み合わせはまた、燃料の周期的送達が困難となる、遠隔のグリッド外の場所にある発電機の代替案として、断続的再生可能エネルギー源の使用を支援することもできる。
【0092】
アルカリ土類金属イオンエネルギー貯蔵バッテリの第3の潜在的な用途は、送電線を支援している。送電および配電システムには、概して、貯蔵容量がないため、グリッドは瞬間需要を満たさなければならない。送電線への負荷がその容量に近づくにつれて、その効率を減少させる、多大な抵抗損を被る。さらに、結果として生じる抵抗加熱がシステム構成要素を融解させ、送電線の故障を引き起こし得る。負荷中心における供給を高めるために利用可能な必要電力容量(数十MW)の携帯用発電機は、騒々しく、汚染し、周期的な燃料補給を必要とする場合がある。容量限界に達する際に送電線をアップグレードまたは交換することは、非常に効果であり、しばしば一般市民の反対に遭う。建設は5年ほども長くかかり得る。
【0093】
負荷中心付近に位置する、再配置可能なアルカリ土類金属イオンエネルギー貯蔵ユニットは、1日のピーク時間中に送電線によって運ばれるエネルギーの一部分を供給し、それにより、送電線への負荷需要を軽減することができる。理想的には、貯蔵ユニットは、典型的には約500MWである、送電線の容量のかなりの部分、例えば、少なくとも2%から20%を提供してもよい。そのようなユニットは、送電線のアップグレードの必要性を保留することができる。または、システム故障後に緊急電力を供給するように、または新しい送電線の建築中に電力送達を維持するように、携帯用アルカリ土類金属イオンエネルギー貯蔵ユニットを配備し、次いで、必要なくなると移転させることができる。
【0094】
負荷中心からの配電システムは、たとえはるかに低い負荷でも、同様の問題を抱えており、携帯用電力貯蔵ユニットを使用して同様に対処することができる。電気の一定の供給を必要とする商用消費者は、特に停電の影響を受けやすい。補助発電機は、完全出力レベルに達するために時間を必要とするため、バックアップのために理想的とは言えない。これらの消費者は、グリッド停電の場合に電気をそのような施設に提供するように構成される、バックアップ電力システムまたは無停電電力システム(「UPS」)から利益を享受する。電力が遮断されたときに放電するように構成される、充電されたアルカリ土類金属イオンエネルギー貯蔵ユニットが、その役割で機能することができる。
【0095】
最後に、電圧の不規則性に敏感な施設は、送達された電力の電圧低下または他の不一致によって悪影響を及ぼされ得る。放電して所望の電力レベルからの逸脱を排除するように構成される、充電されたアルカリ土類金属イオンエネルギー貯蔵ユニットの形態のUPSは、高い電力品質を確保するように、グリッドと施設との間の緩衝装置の役割を果たすことができる。
【0096】
本発明の具体的な特徴は、いくつかの実施形態および図面に含まれ、他のものには含まれないが、各特徴は、本発明による他の特徴のうちのいずれかまたは全てと組み合わせられてもよいことに留意されたい。したがって、前述の内容は、例えば、大規模および商用エネルギー管理のためのエネルギー貯蔵への極めて有利なアプローチを表すことが分かるであろう。本明細書で採用される用語および表現は、限定ではなく説明の用語として使用され、そのような用語および表現の使用において、図示および説明される特徴またはそれらの部分の同等物を排除するという意図はないが、種々の修正が請求される本発明の範囲内で可能であることが認識される。
【技術分野】
【0001】
(関連出願)
本願は、米国仮特許出願第12/505,937号(2009年7月20日出願)の一部継続出願である。
【0002】
(発明の分野)
本発明は、電気エネルギー貯蔵に関する。特に、液体成分および強化した電流運搬能力を有する電気化学エネルギー蓄電池デバイスまたはバッテリに関する。
【背景技術】
【0003】
時間および場所にわたる電気エネルギーの供給および需要の平衡を保つことは、商用発電機から消費者までの一連の使用における長年の問題である。供給・需要の不一致は、供給の信頼性を低減する系統的なひずみを引き起こし、消費者に不便を掛け、収益の損失を引き起こす。米国の大部分の電気エネルギー生成が化石燃料の燃焼に頼っているため、電気エネルギーの準最適管理も、汚染物質および温室効果ガスの過剰排出に貢献する。風力および太陽熱のような再生可能エネルギー源もまた、断続的にしか活発ではないため、需要と同期していない場合がある。この不一致は、それらの開発の規模を限定する。従来および再生可能電力源の両方に対する供給・需要不一致を軽減することによって、商用電気エネルギー管理を支援するために、大規模エネルギー貯蔵が使用されてもよい。
【0004】
エネルギー貯蔵への1つのアプローチは、電気化学に基づいている。市場での最も安価な商用バッテリ技術である従来の鉛酸バッテリが、大規模電気化学エネルギー貯蔵に長年使用されてきた。ありとあらゆる鉛酸電池を収納する設備が、約10MWの大容量電気貯蔵を提供するために使用されてきた。しかしながら、これらの設備は、小型でもなく、柔軟に位置もしない。約数100の充電・放電サイクルである、鉛酸バッテリの短いサイクル寿命は、毎日の電力管理等の幅広い電圧範囲にわたる頻繁な活性化を伴う用途で、それらの性能を限定する。バッテリは、速いかまたは深い充電または放電によく反応せず、それは、効率を低下させ、寿命を削減する。
【0005】
ナトリウム・硫黄(「NAS」)バッテリが、米国および日本の大規模電力管理設備に適合されてきた。NASバッテリは、固体セラミック電解質に対向して、溶融ナトリウムおよび硫黄電極を組み込む。電解質は、ナトリウムイオン伝導を最大化するために、非常に薄くなければならないが、これにより機械的に脆弱になり、個別電池の最大サイズに厳しい制限を課す。これは次に、拡張性に影響を及ぼし、すなわち、大容量は、少ない大型電池を通すよりもむしろ、多くの小さい電池を通して達成されなければならず、それは、複雑性を多いに増加させ、最終的にシステムの費用を増加させる。電池構造は、水とのナトリウムの激しい反応および空気中の迅速酸化による、複雑な状態である。
【0006】
したがって、容量、倹約、融通性、および長い寿命を組み合わせる、エネルギー貯蔵デバイスの必要性がある。
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0007】
一実施形態では、電気化学バッテリは、容器と、正電極と、負電極と、正電極と負電極との間に配置される電解質とを含み、全て、隣接する層がそれぞれの電極/電解質界面を形成するように、バッテリの動作温度において容器内の垂直スタックの中にそれぞれの液体材料層として存在する。バッテリはまた、層のうちの1つの内側で循環を生成し、それにより、電極/電解質界面のうちの1つを往復して層のうちの1つの液体材料の流動を誘発するように構成される、循環生成器も含む。
【0008】
別の実施形態では、外部デバイスとエネルギーを交換するように構成されるバッテリは、第1の化学ポテンシャルにおけるカルシウムと、混和性元素とを組み込む、第1の密度を有する導電性溶融合金の正電極と、第2の化学ポテンシャルにおけるカルシウムと、付加的な金属とを組み込む、第1の密度よりも小さい第2の密度を有する導電性液体混合物の負電極であって、第2の化学ポテンシャルは、第1の化学ポテンシャルとは異なり、正電極と負電極との間に電圧を生成する、負電極と、カルシウム陽イオンを組み込む、第1の密度よりも大きく第2の密度よりも小さい第3の密度を有する、液体電解質とを含む。液体電解質は、負および正電極と接触しており、その間にそれぞれの電極/電解質界面を形成する。負および正電極ならびに電解質は、750℃未満の動作温度であってもよい。
【0009】
別の実施形態では、外部回路から伝達される電気エネルギーを貯蔵する方法は、電気化学バッテリを提供するステップを含む。電気化学バッテリは、第1の化学ポテンシャルにおけるアルカリ土類金属を組み込む導電性液体合金の正電極と、第2の化学ポテンシャルにおけるアルカリ土類金属を組み込む導電性液体の負電極と、外部回路と接続するように構成される、負および正電極と接触している、アルカリ土類金属の陽イオンを組み込む液体電解質と、外部回路に接続するように構成される、正電極と接触している正電流コレクタと、外部回路に接続するように構成される、負電極と接触している負電流コレクタとを含む。方法は、外部回路を負および正電流コレクタに電気的に接続するステップと、正電極から陽イオンとしての電解質を通して負電極へのアルカリ土類金属の伝達を駆動するよう外部回路を操作し、それにより、外部回路から電気化学バッテリへエネルギーを送達するステップとをさらに含む。
【0010】
別の実施形態では、外部デバイスとエネルギーを交換するために構成される電気化学バッテリは、壁を有し、正電極、負電極、および介在電解質を含有する無蓋容器を含む。電極および電解質は、バッテリの動作温度において容器の壁の内側で液体材料層として存在し、正電極および負電極のうちの1つは、電解質の上に配置される。蓋は、容器の最上部を閉じる。正電流コレクタは、正電極と電気接触している。負電流コレクタは、負電極と電気接触している。正電流コレクタおよび負電流コレクタは、それを通って電流が流れる回路を作成するように、外部デバイスへの接続のために適合され、電解質の上に配置される電極と接触している電流コレクタは、蓋から吊るされ、複合導電性構造を含む。構造は、壁から離間された電解質の上に配置される電極を保持し、該1つの電極の液体材料によって湿潤されない第1の物質である、第1の部材と、該1つの電極の液体材料によって湿潤される第2の物質である、第1の部材内の第2の導電性部材とを含む。
【0011】
別の実施形態では、外部デバイスとエネルギーを交換する方法は、外部エネルギー交換デバイスおよびバッテリを提供するステップを含む。バッテリは、正電極、負電極、および介在電解質を含有する容器であって、正および負電極ならびに電解質は、隣接する層がそれぞれの電極/電解質界面を形成するように、容器内の垂直スタックの中の液体材料層として存在する、容器と、正電極と電気接触している正電流コレクタと、負電極と電気接触している負電流コレクタと、外部エネルギー交換デバイスを正および負電流コレクタに接続し、それにより、それを通って電流が流れる回路を作成する電気接続とを含む。方法は、電極/電解質界面のうちの1つを往復する層のうちの少なくとも1つの流束を増加させるよう、層のうちの少なくとも1つの内側で循環を生成するために、バッテリで通常動作エネルギーを使用する。
【0012】
さらに別の実施形態では、電気化学バッテリは、外部デバイスとエネルギーを交換するように構成される。バッテリは、アルカリ土類金属と、付加的な元素とを組み込む、導電性溶融正電極と、アルカリ土類金属を組み込む、導電性液体負電極と、それとともにそれぞれの電解質・電極界面を形成するように、正電極と負電極との間に配置される、アルカリ土類金属の陽イオンを組み込む、液体電解質とを含む。正電極、負電極、および液体電解質は、垂直スタックの中にそれぞれの液体材料のそれぞれの液体層として存在し、アルカリ土類金属は、前記正電極および負電極の中にそれぞれの異なる化学ポテンシャルにおいて存在し、それにより、その間で電圧を発する。
【図面の簡単な説明】
【0013】
以下の本発明の説明は、添付図面を参照し、同一の参照数字は、類似の機能的要素を指定する。
【図1】図1は、本発明に従って構築された、自己分離型アルカリ土類金属イオンエネルギー貯蔵バッテリを示す、垂直断面図である。
【図2】図2A〜2Cは、本発明に従って構築された、自己分離型アルカリ土類金属イオンエネルギー貯蔵バッテリの充電過程を図示する、垂直断面図である。
【図3】図3A〜3Cは、本発明に従って構築された、自己分離型アルカリ土類金属イオンエネルギー貯蔵バッテリの放電過程を図示する、垂直断面図である。
【図4】図4は、本発明に従って構築された、自己分離型アルカリ土類金属イオンエネルギー貯蔵バッテリの別の実施形態を示す、垂直断面図である。
【図5】図5A〜5Bは、本発明に従って構築された、懸垂構造によって保持される液体金属負電極を有するバッテリの充電過程を図示する、垂直断面図である。
【図6】図6Aは、本発明に従って構築された、懸垂構造によって保持される液体負電極を有するバッテリを図示する、垂直断面図であり、図6B〜6Cは、図6Aに示されたデバイスに好適な代替的負電流コレクタの大きい縮尺での垂直断面図である。
【図7】図7は、多孔性電極セパレータを有する、本発明に従って構築された液体層バッテリを図示する、垂直断面図である。
【図8】図8〜14は、本発明に従って構築されたバッテリ実施形態であって、1つ以上の自由対流セルが、異なる熱管理デバイスを備える循環生成器によって、その液体構成物質のうちの少なくとも1つにおいて推進される、実施形態の垂直断面図である。
【図9】図8〜14は、本発明に従って構築されたバッテリ実施形態であって、1つ以上の自由対流セルが、異なる熱管理デバイスを備える循環生成器によって、その液体構成物質のうちの少なくとも1つにおいて推進される、実施形態の垂直断面図である。
【図10】図8〜14は、本発明に従って構築されたバッテリ実施形態であって、1つ以上の自由対流セルが、異なる熱管理デバイスを備える循環生成器によって、その液体構成物質のうちの少なくとも1つにおいて推進される、実施形態の垂直断面図である。
【図11】図8〜14は、本発明に従って構築されたバッテリ実施形態であって、1つ以上の自由対流セルが、異なる熱管理デバイスを備える循環生成器によって、その液体構成物質のうちの少なくとも1つにおいて推進される、実施形態の垂直断面図である。
【図12】図8〜14は、本発明に従って構築されたバッテリ実施形態であって、1つ以上の自由対流セルが、異なる熱管理デバイスを備える循環生成器によって、その液体構成物質のうちの少なくとも1つにおいて推進される、実施形態の垂直断面図である。
【図13】図8〜14は、本発明に従って構築されたバッテリ実施形態であって、1つ以上の自由対流セルが、異なる熱管理デバイスを備える循環生成器によって、その液体構成物質のうちの少なくとも1つにおいて推進される、実施形態の垂直断面図である。
【図14】図8〜14は、本発明に従って構築されたバッテリ実施形態であって、1つ以上の自由対流セルが、異なる熱管理デバイスを備える循環生成器によって、その液体構成物質のうちの少なくとも1つにおいて推進される、実施形態の垂直断面図である。
【図15】図15〜18は、本発明に従って構築されたバッテリ実施形態であって、1つ以上の循環セルが、異なる磁気誘導デバイスを備える循環生成器によって、その液体構成物質のうちの少なくとも1つにおいて誘導される、実施形態の垂直断面図である。
【図16】図15〜18は、本発明に従って構築されたバッテリ実施形態であって、1つ以上の循環セルが、異なる磁気誘導デバイスを備える循環生成器によって、その液体構成物質のうちの少なくとも1つにおいて誘導される、実施形態の垂直断面図である。
【図17】図15〜18は、本発明に従って構築されたバッテリ実施形態であって、1つ以上の循環セルが、異なる磁気誘導デバイスを備える循環生成器によって、その液体構成物質のうちの少なくとも1つにおいて誘導される、実施形態の垂直断面図である。
【図18】図15〜18は、本発明に従って構築されたバッテリ実施形態であって、1つ以上の循環セルが、異なる磁気誘導デバイスを備える循環生成器によって、その液体構成物質のうちの少なくとも1つにおいて誘導される、実施形態の垂直断面図である。
【図19】図19は、本発明に従って構築された、単一のアルカリ土類金属イオンエネルギー貯蔵バッテリユニットを示す、斜視図である。
【図20】図20は、4つのバッテリユニットの線形アセンブリを示す斜視図である。
【図21】図21は、16ユニットアレイを示す、斜視図である。
【0014】
図中の特徴は必ずしも一定の縮尺ではない。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本明細書で使用されるように、「バッテリ」は、正電極と、負電極と、電解質とを備える、個々の電気化学電池または電池ユニット、および複数の電気化学電池を備える構成を含有してもよいことが理解されるであろう。図1を参照して、概して10で示される、アルカリ土類金属イオンエネルギー蓄電池またはバッテリは、活性金属電極とも呼ばれる、負電極としての機能を果たす溶融金属体14、合金電極とも呼ばれる、正電極としての機能を果たす導電性多元素液体16、および介在イオン伝導性電解質20といった、3つに明確に異なる液体構成物質を取り込む。
【0016】
導電性液体層14、16、および20は、絶縁内側シース24に機械的支持を例示的に提供する、導電性容器22に閉じ込められる。シース24は、容器22を通した負電極14と正電極16との間の電気伝導による短絡を防止する。
【0017】
容器22は、例示的に導電性である蓋26によって覆われる。電気絶縁シール29は、容器22から蓋26を電気的に隔離し、溶融構成物質および蒸気を容器22内に閉じ込める。負電極14と接触している蓋26の一部分は、蓋26と接触している負端子28を介して、電子が外部源またはシンク(図示せず)まで通過してもよい、負電流コレクタ27として機能する。正電極16と接触している容器22の一部分は、容器22に接続された正端子30を介して、電子が外部源またはシンクまで通過してもよい、バッテリ10の正電流コレクタ23として機能する。負端子28および正端子30の配置は、より大きいバッテリを形成するように、1つの電池ユニットの負端子28を別の電池ユニット10の正端子30に接続することによって、個々の電池ユニットを直列に配設することを促進してもよい。
【0018】
負電極14に重層する不活性ガス層32は、充電および放電中に、または温度変化による、バッテリ10の3相系の大域的体積変化に適応してもよい。随意で、蓋26またはシール29は、安全圧力弁(図示せず)を取り込む。
【0019】
容器22および蓋26はそれぞれ、必要電子伝導性と、機械的強度と、液体電極14および16ならびに電解質20による化学攻撃への抵抗性とを有する材料である。シース24は、電子絶縁材料であり、2つの液体電極14および16ならびに溶融電解質20に対して耐食性であってもよい。窒化ホウ素、窒化アルミニウム、アルミナ、およびマグネシアが、シース材料候補である。シール29は、マグネシアセメント、アルミノほう酸ガラス、および当業者に公知であるような他の高温封止剤等の1つ以上の材料で形成されてもよい。
【0020】
電極14および16ならびに電解質20は、構造、頑健性、および電気エネルギーの迅速かつ効率的な受容および送達の単純性および節約に適合する化学および物理的特性を確立するように構成される。液体電解質20とともに電極14および16用の導電性液体を使用することは、電極14および16における活性アルカリ土類金属およびその陽イオンの容易な酸化および還元を促進する。液体電極の電子伝導性は、3相交差に限定されるよりもむしろ、液体電極・電解質界面全体にわたる部位で電子移動が発生することを可能にすることによって、電池10の動作中に高電流密度を推進する。さらに、両方の電極における反応が完全に液体状態で発生するため、反応速度は、明確に異なる生成物相の核生成によって抑制されない。したがって、電池10の構成物質は、高温電子冶金産業、例えば、亜アルミニウムの電解生産で観察される大きさである、約1A/cm2の極めて高い電流密度と一致する。
【0021】
溶融電極14および16の化学組成は、それぞれの異なる熱力学的活量において、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、またはバリウム等の活性アルカリ土類金属を組み込むように、合同的に編成され、それにより、電極14および16の間で電圧を生成する。負14および正16電極の間で活性アルカリ土類金属の熱力学的活量格差を作成するために、電極14および16のうちの少なくとも1つは、アルカリ土類金属以外の1つ以上の付加的な元素を含む。任意の付加的な元素が、例えば、アルカリ土類金属とともに液体合金を形成するよう、電極14または16の液体組成において混和性であってもよく、または動作条件下でアルカリ土類金属を伴う化合物中に存在してもよい。1つ以上の付加的な元素は、電池10が充電状態であるときに、負電極14と比較して、活性アルカリ土類金属の比較的低い熱力学的活量の環境として正電極16を構成するように選択される。正合金16を参照して本明細書で使用されるように、「合金電極」は、従来的に合金と呼ばれる液相溶液だけでなく、活性アルカリ土類金属および1つ以上の付加的な元素の液相化合物も包含する。
【0022】
活性アルカリ土類金属に加えて、電極14および16用の付加的な元素を選択する最に、電極14および16における化学平衡および溶液熱力学だけでなく、電解質20との相互作用、ならびにそれらの相対密度および液体範囲も考慮されなければならない。活性アルカリ土類金属に加えた電極14または16の中の任意の元素は、理想的には、電荷輸送のための競合経路を提供し、規定の電極反応を回避する方法で、電解質中のイオンと相互作用するべきではない。
【0023】
したがって、活性金属の活性を低減するように合金電極16に取り込むために適切であってもよい元素は、アルミニウム、スズ、鉛、ゲルマニウム、インジウム、ビスマスおよびアンチモン等のプニクトゲン、ならびにテルルおよびセレン等のカルコゲンを含んでもよい。電極14および16は、当業者に公知であるように、例えば、物理的特性を調整するか、または放電の程度の電気化学的監視を可能にするように、他の種を含んでもよい。例えば、銅、シリコン、鉄、またはガリウム等の1つ以上の付加的な遷移金属または半金属が、密度および/または融点を調整するように、より少量で追加されてもよい。
【0024】
全液体アルカリ土類金属イオンエネルギー貯蔵バッテリ10の電極14および16でのベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、またはバリウム等のアルカリ土類金属の使用は、従来のバッテリ材料に優るいくつかの利点を有してもよい。例えば、単一の電池の中の例示的なカルシウム・半金属結合によって生成される電圧は、約0.5V、0.75V、またはそれ以上であってもよく、類似リチウムまたはナトリウムベースのシステムの対応する電圧を超え、モル基準でより大きいエネルギー容量と相関する。また、例えば、カルシウムおよびマグネシウムも、鉛またはアルカリ金属と比較して比較的安価であり、大気中で安全に取り扱われてもよく、水と激しく反応せず、素手で持つことができるという点で、アルカリ金属よりも管理しやすい。アルカリ金属陽イオンが単一の正電荷を帯びている一方で、アルカリ土類金属陽イオンは、+2電荷を帯びており、その結果として、アルカリ金属セルと比較して、アルカリ土類金属イオンエネルギー蓄電池10の二重電荷容量を理論上は利用可能にする。
【0025】
バッテリ10の電解質20は、本明細書では活性陽イオンとも呼ばれる、活性アルカリ土類金属の陽イオンを溶解させる、溶融塩、および1つ以上の支持化合物であってもよい。電解質20の電気伝導度は、0.01ジーメンス/cm以上、0.05ジーメンス/cm、またはより大きい値であってもよい。
【0026】
例示的に、溶融塩は、活性アルカリ土類金属の塩化物等の塩化物である。代替として、活性アルカリ土類金属の塩は、例えば、非塩素ハロゲン化物、ビストリフリミド、フルオロスルホンアミン、過塩素酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩、テトラフルオロホウ酸、炭酸塩、または水酸化物であってもよい。支持化合物は、典型的には、イオン伝導性を強化するように、および/または電解質を通した電子伝導性を抑制するように添加される。支持電解質は、前述の陰イオンのうちのいずれかと、アルカリ性またはアルカリ土類金属、イミド、アミン、アンモニウム、ホスホニウム、またはピロリジニウム等の陽イオンとを備えてもよい。
【0027】
電解質20への他の添加物は、粘度を低減し、融点を低下させ、密度を改変し、または蒸気圧を低減してもよい。支持電解質および任意の他の添加物は、例示的に、反応化合物よりも負である形成の自由エネルギーを有するため、支持電解質および任意の添加物の陽イオン構成物質は、電極反応を活性アルカリ土類金属の酸化および還元に限定するために、活性金属電極14から合金電極16へ活性アルカリ土類金属を移動させることと関連するものよりも、極値の電位で、または高い値の電池電圧で電着する。電解質組成の選択を知らせる、これらおよび他の考慮事項が、当業者に公知である。
【0028】
活性アルカリ土類金属がカルシウムである場合、電解質20はさらに、溶融塩化カルシウムの中の元素カルシウムの可溶性を低減するように、錯体リガンドを含んでもよい。比較的低い電荷密度を有する、大きい一価の陽イオンによって送達されるリガンドは、Ca2+等の二価陽イオンを錯体化してもよい。例えば、塩化カリウム、塩化ナトリウム、または他の適切なアルカリ金属・ハロゲン化物塩の添加によって導入される塩化物陰イオンは、カルシウム・ハロゲン化物混合物の中のカルシウム金属の可溶性を低下させてもよい。5mol%から50mol%のCaCl2における、体系KCl−KI−KBr−CaCl2の中の電解質組成は、イオン伝導性、融解温度、および錯体化作用の所望の組み合わせを提供してもよい。
【0029】
電極14および16ならびに電解質20の組成は、全液体動作が、例示的には300℃または400℃から750℃の間の適度に上昇した温度で発生するように、編成されてもよい。例えば、約300℃または400℃よりも高い温度での動作は、電極反応速度および電解質20におけるイオン移動を促進する。しかしながら、電池構成物質の揮発、構造的な弱さ、補助材料の化学攻撃、および電極14および16ならびに電解質20の流動性を維持するために必要とされる電力等の困難が、動作温度が上昇するにつれてさらに起こり得る。750℃以下の動作は、関連欠点を伴わずに高温の動力学的利点を得てもよい。
【0030】
電極14および16ならびに電解質20はさらに、それらの密度がバッテリ10におけるそれらの機能に従って順序付けられるように編成されてもよい。図1に示されるように増加する、または負電極14/電解質20/正電極16の順序で減少する、それぞれの密度を有する実施形態は、融解時に、図示された垂直積層状構造に自発的に自己分離し、ビレットからの単純な製造を提供してもよい。
【0031】
アルカリ土類金属イオンバッテリ10におけるエネルギー貯蔵は、その動作温度を獲得または維持する任意の特定の方法に限定されない。層14、16、および20のうちのいずれかを形成する構成物質は、容器22への移動を可能にするように、十分な過熱で異なる過熱チャンバの中で融解させられてもよい。別のアプローチでは、例えば、容器22の壁の内側に配置される外部ヒータ(図示せず)が、動作前または動作中に使用されてもよい。代替として、バッテリ10は、引加された過電圧を通して、動作中に自己発熱してもよい。溶融構成物質において温度プロファイルを達成し、管理するための技法、溶融塩および液体金属とともに使用するための装置の構築等の、液体アルカリ土類金属電極を使用して電力貯蔵を実装することに潜在的に役立つ、電子冶金システムの他の実用的側面は、当業者に公知であり、その全ての開示全体が参照することにより本明細書に組み込まれる、例えば、2007年8月15日出願の共同所有された係属米国特許第11/839,413号および2009年7月20日出願の第12/505,937号、ならびに米国特許第4,999,097号および第5,185,068号で説明されている。
【0032】
例示的なアルカリ土類金属イオンバッテリ10は、電気化学経路を介して、2つの溶融導電性電極14および16の間で、本明細書では活性アルカリ土類金属と呼ばれるアルカリ土類金属を輸送することによって、エネルギーを受容または送達する。活性アルカリ土類金属の陽イオンを備える液体電解質20は、充電または放電中に活性アルカリ土類金属のイオン輸送を可能にする。
【0033】
図2A−2Cは、充電中の電池10の機能を図示する。図2Aは、非充電または放電状態の電池10を示す。充電前に、正電極16は、活性アルカリ土類金属の原子を含有する。負電極14は、活性金属・電解質界面42において電解質20と接触する。正電極16は、合金・電解質界面46において電解質20と接触する。
【0034】
図2Bを参照して、充電を開始するために、端子28および30は、正電極16から電解質20を通して、負電極14の中のより高い化学ポテンシャルにおける中性金属へと活性アルカリ土類金属の輸送を駆動する、外部充電回路48に接続される。充電中に、電子電流は、外部回路から負電流コレクタ27を通って、負電極14の中へ、および活性金属・電解質界面42へと進行する。活性陽イオンM2+は、活性金属・電解質界面42に向かって電解質20を横断する。活性陽イオンおよび電子は、界面42において接触し、還元半電池反応M2++2e−→Mで消費される。半電池反応で作成される中性の活性アルカリ土類金属原子Mは、負電極14のものになる。活性アルカリ土類金属Mが負電極14の中に蓄積するにつれて、活性金属・電解質界面42は、負電流コレクタ27からさらに遠く離れる。合金・電解質界面46において、正電極の中の活性アルカリ土類金属Mの原子は、半電池反応M→M2++2e−で酸化される。活性陽イオンM2+が電解質20に進入するにつれて、電子は、外部充電回路48へと正電流コレクタ23を通過するように解放される。活性アルカリ土類金属原子Mの酸化は、正電極16を収縮させ、合金・電解質界面46は、正電流コレクタ23に向かって移動する。
【0035】
図2Cは、その最終充電状態のバッテリ10を示す。充電は、活性アルカリ土類金属の原子の損失によって、少なくとも正電極16の組成を変化させている。合金電極16は、原則として、活性アルカリ土類金属を名目上含まなくてもよく、したがって、充電・放電サイクルの中のこの時点で、実際には、合金、混合物、または化合物でなくてもよい。負電極14の厚さは、正電極16を犠牲にして増大している。充電過程が活性陽イオンに関して保守的であるため、電解質20の厚さは、理想的には不変である。
【0036】
溶融活性金属電極14に堆積させられる活性アルカリ土類金属は、いずれの外部電子経路も2つの電極14および16を接合しない限り、無期限に持続してもよい、貯蔵された電気エネルギーを表す。電池10における半電池反応は、電解質と接触している電極14および16において残存する、液相生成物を生成する。電極14および16ならびに電解質20が液体範囲温度である間に、活性アルカリ土類金属および活性陽イオンは、電気化学経路を介した放電を機械化するために利用可能なままである。この可逆性は、エネルギー貯蔵のための活性アルカリ土類金属イオンバッテリに適する。
【0037】
図3A−3Cは、バッテリ10を放電することを図示する。図3Aは、充電状態の電池10を示す。図3Bを参照すると、端子28および30を外部負荷49に接続することによって、放電を開始する。放電中、活性アルカリ土類金属は、負電極14から活性陽イオンとしての電解質20を通って自発的に移動し、正電極16の中のより低い化学ポテンシャルにおける中性金属に戻る。電子電流は、正電流コレクタ23および正電極16を通って合金・電解質界面46へとセルの中へ進行する。活性陽イオンM2+は、合金・電解質界面46に向かって電解質20を横断する。活性陽イオンM2+および電子は、半電池反応M2++2e−→Mで界面46において消費される。産生される中性の活性アルカリ土類金属原子Mは、正電極16のものになる。活性アルカリ土類金属Mが負電極16の中に蓄積するにつれて、合金・電解質界面46は、正電流コレクタ23からさらに遠く離れる。活性金属・電解質界面42において、負電極16の中の活性アルカリ土類金属Mの原子は、半電池反応M→M2++2e−で酸化される。産生される活性陽イオンM2+が電解質20に進入するにつれて、解放された電子は、外部負荷49へと負電流コレクタ27を通過する。活性アルカリ土類金属原子の酸化は、負電流コレクタ27に向かった活性金属・電解質界面42の移動とともに、負電極14の摩耗を引き起こす。
【0038】
図3Cは、その最終放電状態の電池10を示す。充電は、活性アルカリ土類金属の降着により、少なくとも正電極16の組成を変化させている。正電極16の厚さは、負電極14を犠牲にして増大している。放電過程が活性陽イオンに関して保守的であるため、電解質20の厚さは、理想的には不変である。充電・放電サイクルの全体を通した電解質層の実質的に一定の厚さは、電極本体と比較して相対的に薄い電解質層の使用を可能にする。溶融ハロゲン化物の本質的に低い抵抗性と組み合わせられた薄い電解質層は、電解質と関連付けられるオーム過電圧を最小化する。それぞれ、負電極14および正電極16によって収容することができる、活性アルカリ土類金属の量のうちの少ないほうと同じくらいの大きさである電池10のエネルギー容量は、原則として、電解質20の質量またはその関連IR降下を増加させることなく、電極14および16の中の材料の量を増加させることによって、増強させることができる。例えば、電解質20の厚さは、電極14および16のいずれか一方の厚さの約10%、20%、または50%のみであってもよい。
【0039】
本明細書ではカルシウム・ビスマスバッテリと呼ばれる、例示的実施形態では、バッテリ10の活性アルカリ土類金属は、カルシウム(ρliquid≒1.4g/ml)であり、合金電極16の中のカルシウム活性を希釈する付加的な元素は、ビスマス(ρ=9.8g/ml、Tm=271℃)である。電解質20は、例えば、密度を増加させるように添加された10mol%のKIを伴う25mol%のCaCl2における、KCl−CaCl2共晶混合物(Tm=600℃)に基づく。KCl、CaCl2、およびKIの液体密度は、それぞれ、1.5g/ml、2.07g/ml、および2.33g/mlである。電池10の動作温度は、例示的に約700℃である。容器22および蓋26は、例示的に軟鋼である。
【0040】
カルシウムに加えて、例示的な活性金属電極14は、実施形態での電極14の液体範囲が、カルシウムの融点(850℃)よりも低い、適度に上昇した温度範囲内であるように、マグネシウムを備えてもよい。活性金属電極14の中のカルシウムを希釈することにより、電極14のカルシウムの活性を必然的に低減し、バッテリ10によって送達可能な電圧を低減する。電圧の比較的顕著な低減は、カルシウム・マグネシウム2成分系のような結果として生じる体系が、理想からの負の偏差を示す、固体状態の化合物を形成するときに、期待されるものである。電池電圧の容認できない低下を伴わずに、動作温度を所望の適度に上昇した温度範囲内にするように十分な量で、電極14の中に、活性アルカリ土類金属に加えて、別の金属、例えば、別のアルカリ土類金属を含むことが可能であることが発見されている。例えば、80原子パーセントの濃度までマグネシウムを添加することにより、カルシウムイオン電池の電圧を約0.1Vだけ低下させながら、700℃未満の融解温度を活性金属電極14に与えてもよい。活性イオンとしてCa2+を有する電池の活性金属電極14の中のカルシウム濃度は、原子基準で約80%、50%、30%、20%、または10%未満であってもよく、例えば、平衡が、マグネシウム、リチウム、またはナトリウムである。活性金属電極14の中のカルシウム濃度は、原子基準で約20%、40%、または60%よりも大きくてもよい。
【0041】
電池が完全に充電されると(図3A)、例示的なカルシウム・ビスマスバッテリ10の溶融活性金属電極14は、マグネシウムの中の約20原子パーセントのカルシウムの本体であり(ρliquid=1.5g/ml、Tm≒650℃)、合金電極16は、溶融ビスマスの本体である。放電後(図3C)、活性金属電極14は、カルシウムが比較的枯渇している。活性金属電極14から失われているカルシウムは、ビスマス・カルシウム合金となっている正電極16に移動させられている。完全に充電されたカルシウム・ビスマス電池の開回路電圧は、約1Vであってもよい。
【0042】
本明細書ではマグネシウム・アンチモンバッテリと呼ばれる、別の例示的実施形態では、図4に示されたバッテリ50の活性アルカリ土類金属は、マグネシウム(ρ=1.5g/ml、Tm=650℃)であり、合金電極16の中のカルシウム活性を希釈する付加的な元素は、アンチモン(ρ=6.5g/ml、Tm=630℃)である。電極14および16の間に存在する電解質20は、塩化マグネシウムを備える。マグネシウム・アンチモン電池は、例示的に約700℃で動作する。容器22および蓋26は、例示的に黒鉛から造形される。絶縁シース24は、窒化ホウ素でできていてもよい。容器22の底部に圧縮嵌合される、例示的にタングステンの金属栓が、正電流コレクタ23として機能する。電解質20の中の塩化マグネシウム等の溶融塩は、合金電極16等の溶融金属よりも容器22の黒鉛底部を容易に湿潤し、それにより、正電極16と容器22との間の電子伝導を阻止する。金属栓は、溶融正電極16と正端子30との間の導電性経路を確保する。
【0043】
バッテリ50が完全に充電されたとき、電極14および16のそれぞれは、図3Aのバッテリ10について示されるように、そのそれぞれの名目上純粋な液体要素である。放電後、バッテリ50(図4)の中の活性金属電極14は、単元素のままであるが、図3Cのバッテリ10について示されるように、バッテリ50が充電されたときよりも質量が小さい。バッテリ50(図4)の中の活性金属電極14から失われているマグネシウムは、アンチモン・マグネシウム合金となっている正電極16に移動させられている。700℃でのアンチモンの中のマグネシウムの合金化電位は、約0.5Vである。
【0044】
例えば、カルシウム・ビスマスまたはマグネシウム・アンチモン電池の実際の開回路電圧は、ネルンストの式によって表されるように、電極の中の活性アルカリ土類金属の活性によって影響される。活性は、その期待電圧よりも大きい、または小さい値に、電池の開回路電圧を偏移してもよい、大きな非理想性を示してもよい。活性アルカリ土類金属の質量が電極間を移動するにつれて、それぞれの化学ポテンシャルの変化が開回路電池電圧を変化させるため、充電・放電サイクルにわたって一定ではない。
【0045】
代替実施形態では、バッテリ10(図1)および50(図4)について示されるような容器22の内面を電気的に絶縁することの経費および複雑性は、容器22から電極層を隔離する、電解質20より上側に配置されたその電極層と接触している、電流コレクタを提供することによって排除される。図5Aを参照すると、アルカリ土類金属イオンエネルギー貯蔵バッテリ60では、例示的に適所に固定される、導電性構造62は、蓋26の外側に延在し、バッテリ60の負端子28を構成するシャフト62aと、容器22の内側から離して負電極14の液体金属を保持し、負電流コレクタ27としての機能を果たす接触部分62bとを備える。例示的に窒化ホウ素またはアルミナの絶縁ブッシング64は、蓋26から伝導性構造62のシャフト62aを分離する。
【0046】
構造62は、容器22から離して活性電極14を保持し、絶縁シース24を取り除く。図5Bを参照すると、放電中に、合金電極16の体積が増加するにつれて、電解質20は、活性アルカリ土類金属電極14の周囲に押し上げられる。構造62は、電池が完全に放電されたとき、および常に、溶融電極14のうちのいくらかが負電流コレクタ27と電解質20との間にとどまるように構成される。
【0047】
表面張力は、構造62の接触部分の周囲で溶融活性・金属電極14を適所に維持する。接触部分は、例えば、積層に折り畳まれた、またはらせんあるいは管にコイル状になったメッシュ材料であってもよい。メッシュは、同様の間隔を伴って、直径約0.1から1mmの撚り糸から成ってもよい。代替として、透過性接触部分は、スポンジである。
【0048】
電極14の組成に応じて、構造62は、例えば、電極14の材料によって湿潤される、炭素、軟鋼、あるいは、例えば、ニッケルおよび/またはクロムを含有する、合金鋼でできていてもよい。構造62上の湿潤可能な表面は、負電極14とその電流コレクタ27との間の良好な電気接触を推進する。しかしながら、接触部分62bの外部を湿潤する電極14からの材料が離脱し、電解質20の表面上で容器22の導電性壁まで浮遊する場合、バッテリ60の電流運搬効率が、電極14の材料と壁との間の不要な反応によって劣化される場合がある。
【0049】
図6Aを参照すると、別の代替実施形態では、バッテリ70の中の負電極層14は、蓋26から吊るされた、概して72で示された導電性複合構造によって、液体電解質20より上側で、かつ容器22の内側から離して適所に保持される。
【0050】
複合構造72は、蓋26の中心で電気絶縁ブッシング74を通って上方に延在するシャフト72aを備え、そのシャフトの上端は、バッテリの負端子28を構成する。ブッシング74は、窒化ホウ素またはアルミナ等の好適な剛体の耐高温性材料であってもよい。シャフト72aは、電極層14の材料が湿潤する、鋼鉄またはステンレス鋼等の高導電性材料である。
【0051】
構造72の下端は、負電流コレクタ27および電極層14用の格納の両方を構成する、シャフト72aを包囲する、逆カップ72bまたは同程度のケージを含む。カップ72bは、電極層14が湿潤しない軟鋼等の材料である。表面張力は、電極層14の液体材料をシャフト72aに保持するが、カップには保持しない。したがって、構造72は、電極層14の材料のより良好な格納を提供し、それを容器22の壁から離して保つ一方で、負電流コレクタ27とその電極層14との間で良好の電気接続を確保してもよい。
【0052】
他の複合コレクタ/構造72と同様の最上部電極用の格納構造が、電極層14に構想されてもよい。例えば、構造72のカップ72bの中への湿潤可能なシャフト延長は、図6Bに示されるような、湿潤不可能な格納カップの周縁のちょうど内側に位置する同じ材料のリング76に、または図6Cに示されるような、湿潤不可能な格納カップ72bの最上部の内側の同じ材料の層78に置換されてもよい。
【0053】
別の代替実施形態では、アルカリ土類金属イオンエネルギー貯蔵バッテリは、容器22の震盪または傾斜中に2つの導電性液体の混合を妨げることによって、強化した頑健性のために構成される。図7を参照すると、補強バッテリ80では、電解質によって浸潤される電極セパレータ84が、活性電極14と合金電極16との間に間置され、摩擦によってシース24に保持される。電極セパレータ84は、例示的に、溶融電解質20と接触して安定し、溶融電解質20によって湿潤され、電極14および16のいずれか一方によって湿潤されない、材料である。セパレータ84は、電極14および16の間のイオンの容易な移動を可能にするほど大きい穴または他の多孔性を伴って透過されるが、セパレータ84と電池80の構成物質14、16および20との間の表面張力関係は、負14および正16電極の間の接触を妨害し、それにより、短絡を抑止する。増強電池80は、より近い負・正電極間隔を伴って構築されてもよく、セパレータ84が欠けている電池と比較して、より少ない電解質20、したがって、より優れた電圧効率に転換する。
【0054】
電池80の活性アルカリ土類金属がカルシウムであるとき、セパレータ84は、例示的にアルミナである。電極セパレータ84の他の好適な材料は、マグネシア、窒化アルミニウム、窒化ホウ素、および石英ガラス等のセラミックを含んでもよい。例示的に、セパレータの細孔は、直径約1から5mmである。電極14および16ならびに電解質20の表面張力値に応じて、細孔は、より大きいか、または小さくてもよい。
【0055】
固定セパレータ84は、界面42および46の位置がほとんど移動しない動作条件、例えば、比較的短い充電持続時間、または低電流密度での充電に最も適切であってもよい。しかしながら、例示的な電池が高容量で充電または放電する場合、界面42または46は、固定セパレータ84を通って移動してもよい。これらの条件下での動作のために、電池80は、2つの界面42および46の間の距離以下の厚さを有する浮動セパレータを伴って構築されてもよい。
【0056】
例示的なバッテリの電極および電解質を構成するもの等の液体を通る分子の伝導性拡散は、固体よりも桁違いに速いが、全液体バッテリを通る電流は、層14、16、および20のうちのいずれかにおける比較的大きい拡散距離により、質量移動が限定されてもよい。例えば、マイクロまたはナノスケールのインターカラント粒子を使用したリチウムイオンバッテリでは、約10−12cm2/sの拡散性が、バッテリの充電および放電を持続する速度でのLi+イオンの完全浸透のために十分である。対照的に、例示的なバッテリでは、拡散距離は、数ミリメートルまたは多数のセンチメートルでさえあってもよい。したがって、質量輸送制限が、液体電極14および16ならびに液体電解質20における高い拡散係数にもかかわらず、例示的なバッテリの適正な機能を妨げる場合がある。例えば、電極反応のうちの1つにおける反応物が消費されるにつれて、拡散は、容易な電極反応速度によって可能となる電池電流をサポートすることができる速度で、それぞれの電極/電解質界面においてそれを置換しない場合がある。
【0057】
例示的なバッテリにおける不十分な質量輸送は、他の機構を通して、例示的なバッテリの充電および放電動作をさらに損なう場合がある。図2A−2Cを参照して上記で説明されるような例示的なアルカリ土類金属イオンバッテリの充電中に、活性アルカリ土類金属は、合金電極16から合金・電解質界面46にわたって駆動される。合金電極16の内部から界面46付近の領域を補充する十分な質量輸送がないと、電解質20と反応する電極16の部分は、充電が進行するにつれて金属が欠乏する。この枯渇が持続するにつれて、充電回路48の継続的動作が、界面46において他の望ましくない電極反応を誘発する場合がある。
【0058】
同様に、上記で規定される所望の電極反応は、電極/電解質界面付近の反応の集中によって阻害される場合がある。例示的なアルカリ土類金属イオンバッテリの場合、放電は、図3A−3Cを参照して上記で説明される、それぞれの電極/電解質界面におけるアルカリ土類金属の異なる活性に依存する。負電極14から合金電極16への活性アルカリ土類金属の移動中、活性金属反応生成物の濃度が合金・電解質界面46における合金電極16の中で増加するにつれて、活性アルカリ土類金属を合金電極16の中へ移動させる電気化学電池反応の駆動力が減少する。界面46における濃度が電極の大域的組成を反映しないように、合金電極16の中の活性アルカリ土類金属が界面46付近に偏って位置する場合、例示的なバッテリによって送達される電圧は、均一な電極組成を用いて可能となるものと比較して低下する。界面46付近の活性アルカリ土類金属の十分な局所濃度のために、バッテリの放電が完全に停止してもよい。
【0059】
したがって、充電および放電中に液体層14、16、および20の組成の均質化に貢献する伝導性拡散以外の質量輸送機構は、例示的なバッテリの最適な動作を達成する際に重要であってもよい。対照的に、従来の高温電気化学金属抽出システムでは、電解還元は、濃度勾配が作用していない、実質的に液体の金属体の金属含有量を増強する。したがって、金属間質量輸送が比較的重要でないと、そのような過程は、実際には、短絡を回避するために液体層内の移動を最小化するように構成されてもよい。
【0060】
本明細書の以下で説明される代替的実施形態は、例えば、アルカリ土類金属イオンバッテリ等のバッテリの中の液体材料層内で対流を生成することによって、一方または両方の電極/電解質界面への活性種の輸送を強化するように構成される。輸送強化は、液体層14、16、および20のうちの1つ以上の中で液体材料の混合を引き起こし、それぞれの電極/電解質界面を往復して材料を運搬してもよい、1つ以上の浮力または重力駆動または磁気誘導対流または循環セルを生成すること等によって、液体層14、16、および20のうちの1つ以上の内側で流動を誘発する機能を特色とする。輸送強化へのアプローチは、高温液体・電極バッテリとの関連において、具体的に本明細書で説明されているが、説明される強化はまた、例えば、燃料電池等の、例えば、選択された電解採取システムまたは低温デバイスの中の液体成分を有する他の電気化学システムで有用であってもよい。
【0061】
例示的な貯蔵デバイスの液体構成物質において誘発される流動は、電極/電解質界面を往復して種の強化された輸送を提供し、バッテリ生産性を有意に強化するために、非常に高速である必要はない。実際、液体中の10−5cm2/sの拡散率で、わずか約0.1mm/sの液体流速が、液体中において、独力で拡散によって引き起こされるよりも、電極/電解質界面で多くの活性種を提供すると示すことができる。例示的に、本貯蔵デバイスは、0.1から1.0mm/sの範囲内の流速を生じさせるべきである。
【0062】
例示的なバッテリにおいて流動を誘発することへの1つのアプローチでは、循環生成器が、液体構成物質14、16、および20のうちの少なくとも1つにおいて温度勾配を生じさせる、または発生させる。結果として生じる密度の不均一性は、液体構成物質において、レイリー・ベナールセルと呼ばれることもある、重力または浮力駆動対流セルを生成してもよい。これらの初期自由対流セルは、次に、隣接する構成物質において同様の循環を誘発し、バッテリの液体構成物質の全てではないがいくらかの混合をもたらしてもよい。循環生成器は、バッテリの電極または電解質層のうちの少なくとも1つの中で1つ以上の自由対流セルを開始して、規定の目的を達成するように、種々の異なる熱流管理デバイスを含んでもよい。バッテリは、通常動作中にその中に存在する熱エネルギー、例えば、バッテリの構成物質を溶融状態で維持する、またはその充電/放電によってバッテリのジュール加熱から生成される熱を利用するように構成されてもよい。別の実施形態においては、バッテリは、付加的な熱源を組み込んでもよい。
【0063】
容器22を封入する熱絶縁筐体は、循環生成器の一部を形成してもよい。循環生成器はさらに、絶縁の壁の中に1つ以上の熱管理デバイスを含む。熱管理デバイスは、熱が、バッテリの液体構成物質14、16、および20のうちの少なくとも1つから優先的または非対称的に離れて伝導されてもよいように、熱伝達経路を提供するように構成されてもよい。構成物質における結果として生じる温度勾配は、その構成物質内で自由または重力駆動対流を生成する。したがって、例えば、フローセルで使用されるような、強制対流を生じさせるポンプシステムの費用および複雑性を伴うことなく、強化された質量輸送が電極14および16の間で達成される。
【0064】
したがって、図8を参照して、例示的実施形態では、バッテリ90は、その中の電解質層20の高さで、熱絶縁筐体96から容器22の対向側まで延在する金属棒の形態で熱管理デバイス98を組み込む。デバイス98は、事実上、容器がこれらの場所であまり絶縁されないように、容器22の伝導性壁と密接に熱接触している。デバイス98は、容器22と外側空間との間に熱伝達経路を提供する。したがって、デバイス98付近の液体電解質20は、バッテリ90の中心よりも低温であり、したがって、より密度が高く、電解質20の中の液体材料をこれらの場所で沈下させる。したがって、容器22を介した熱の放散(Q)は、図8の透視で示された円形矢印によって示されるように、電解質層20の中に1つ以上の対流セルを生成する。例示的に、容器22への正端子30の接続は、その電極を介した熱放散を最小化するように、示されるように負電極14より上側に位置する。この場合、誘発された温度勾配は、熱管理デバイス98のみによって制御されてもよい。
【0065】
いったん対流セルが層20の中に確立されると、それと上側にある液体層14および下側にある液体層16との間の界面境界が、これらの層の中で移動を引き起こし、これらの層の中の円形矢印によって示されるように、層14および16の中で同様の循環を引き起こしてもよい。したがって、容器22の中の各層で誘発される流動が、これらの層の間の界面に反応物質を導入し、かつそこから生成物を運搬し、それにより、バッテリ90の中で所望の電気化学反応を推進してもよい。
【0066】
図9は、熱管理デバイス98(例えば、金属棒)が、電解質20の下に配置される電極層のうちの1つの高さで筐体96の中に存在するように、図8に示されたバッテリ90と同様の別の実施形態を示す。例示的に、アルカリ土類金属イオンバッテリでは、正電極層16は、容器22の底部において電解質20の下にある。図9のバッテリは、図8のバッテリ10と同じ構成要素を含み、多かれ少なかれ同じように動作するため、その共通構成要素は、同じ識別数字を有する。また、図示を簡単にするために、端子28および30(図1)は、図9および後続の図面から省略されている。
【0067】
図8のバッテリ90で発生するのと同様に、容器22の側壁およびデバイス98を介して正電極層16の側面から除去される熱は、図9の透視で示された円形矢印によって示されるように、その液体材料の対流を引き起こす温度勾配をその中に生じさせる。これは、層16と20との間の界面を往復する構成要素の電極16内の流束を増加させ、それにより、そこで所望の電気化学反応を推進してもよい。例示的に金属または半金属である、正電極層16は、電解質層20、例えば、塩よりも密度が高いため、この実施形態は、図8のデバイスの電解質層20の場合よりも、電極層16の中で初期対流セルを発生させるために大きい温度勾配を必要としてもよい。
【0068】
図9に示されていないが、電極層16の中の初期対流セルは、図8に示されたものと同様に、隣接する電解質層20の中の流動または循環等を電極層14の中へ誘発してもよい。
【0069】
図10は、より長い、または深いことを除いて、図9のデバイスと本質的に同じであるバッテリ90を図示する。この場合、熱管理デバイス98は、筐体96に沿って離間され、図9の円形矢印によって示されるように電極層16の中での細長い円筒形対流セルの発生を促すように、熱が容器全体に沿った容器22の側壁を介して放散されるように設計されている。
【0070】
図8−10に示されるように筐体96の両側に個々の熱放散デバイス98を提供する代わりに、プレートの形態のデバイス98が使用されてもよく、これらのプレートは、作用液体構成物質において必要な温度勾配を生じて、その対流を引き起こすように設計され、寸法決定されている。
【0071】
図11は、図9に示されたバッテリと同様のバッテリを図示し、容器22の内部底壁は、間隔が電極層16の中で決定サイズの安定した対流セルの形成を推進する、離間した尖部22aを伴って形成される。以前の貯蔵デバイス90の場合のように、これらの初期対流セルは、重層液体層20の中で液体材料の同様の循環を推進してもよい。
【0072】
図12は、熱絶縁筐体96と、正電極層16の高さで金属リングの形態の単一の熱管理デバイス98とをその中に有する、円筒幾何学形状のバッテリを示す。この実施形態では、円環の形態の対流セルが電極層16の中で形成されるように、バッテリ90の縦軸の全周囲で容器22およびデバイス98を介して、熱がデバイスの内部から放射状に放散される。前述の実施形態のように、電極層16の中のこの対流は、容器22内の隣接する液体層20の中で同様の循環を誘発してもよい。また、リングは、そのような対流をその中に誘発するように、層14または20の高さに位置することもできる。
【0073】
図13は、図9に示されたものと同様のバッテリ90を図示し、単一の熱管理デバイス98、例えば、金属棒は、この場合は電極層16である、バッテリの液体構成物質のうちの1つの高さで、筐体96の片側だけに位置する。バッテリ90からのこの非対称的な熱の除去は依然として、その図で示されるように、作用構成物質、すなわち、電極16における重力または浮力駆動対流を設定する。実際に、筐体96の別の側面等の別の部分よりも容器22の一方の側面で薄い、および/または小さい熱伝導性を有する、筐体96の壁の一部分を含む熱管理デバイス98を採用することによって、温度勾配が、バッテリの液体構成物質のうちの1つ以上で生成されてもよい。次いで、容器22のあまり絶縁されていない側の液体層16は、容器の中の他の場所の液体よりも低温となり、したがって、密度が高くなり、それを沈下させ、それにより、図13の円形矢印によって示されるように、層16の中の液体材料の自由対流混合を推進する。
【0074】
デバイスの蓋26および電流コレクタ27を介して、熱が容器22の内容物から抽出または放散される、エネルギー貯蔵デバイスまたはバッテリ90を図示する、図14をここで参照されたい。この場合、熱管理デバイス98、例えば、金属棒またはプレートは、絶縁筐体96の片側を通って延在し、蓋26と接触している。蓋26は、例示的に負電極14である、容器22の最上部付近で電解質20の上に配置される電極のうちの1つと接触している。熱(Q)は、そのコレクタ27を含む蓋26およびデバイス98を介して、電極層14から引き出される。これは、その中に自由対流セルを生成する、温度勾配を電極層14の中に生成する。これらは次に、図13の円形矢印によって示されるように、下位電解質層20の中に同様の流動を誘発してもよい。
【0075】
熱管理デバイス98が、本明細書では正電極層16である、バッテリの液体構成物質のうちの1つの中へ熱を導入して、その中で熱を補う、バッテリ90を示す、図15をここで参照されたい。この実施形態では、デバイス98は、筐体96の底壁を取って外部電流源104まで延在するリード線によって活性化される、容器22の底壁の中の発熱体102を含む。熱は、示されるような電極16の中の対流セルの生成を推進するように、筐体96の壁のうちの1つ以上を通して放散される。
【0076】
示されたバッテリ90の例示的実施形態では、バッテリの液体構成物質のうちの1つまたはもう1つにおいて生成される対流セルは、バッテリの中に存在する熱エネルギーの制御された管理によって生じる温度勾配によって引き起こされる、浮力または重力駆動対流セルである。
【0077】
例示的なバッテリの中の反応種または生成物の輸送を強化することへの別のアプローチでは、バッテリが充電または放電されているときに流れる電流によって引き起こされる磁気誘導が、液体構成物質のうちの1つ以上において流動を誘発する。この種類の循環生成器は、電流コレクタ23および27のうちの少なくとも1つの周囲で、またはそれに隣接して磁場を引き起こす、そのコレクタへの電流経路を生成する。生成される磁場は、そのコレクタと接触している電極層の中の電流と共同作用して、その層の液体材料を循環させる撹拌力をその中に生じる。この液体材料の循環は、関連電極/電解質界面に材料を導入し、かつそこから材料を運搬し、したがって、バッテリの電流密度を強化し、および/または所望の電気化学反応を推進してもよい。そのような循環を推進する、種々の異なる電流コレクタ設計が開示されている。
【0078】
図16は、例えば、容器22の最上部付近で、その電極、すなわち、電解質20の上に配置される電極層の中へ蓋26から下方に突出する、突出105、例えば、隆起または突起の形態で磁気誘導デバイス103を備える、循環生成器を取り込むバッテリ100を図示する。例示的に、最上電極層は、負電極14である。したがって、この場合、突出105はまた、負電流コレクタ27も構成する。再度、図8−15で描写されたバッテリの実施形態におけるものと同等である、図16に示されたバッテリ100の構成要素は、同じ識別数字を持つ。
【0079】
バッテリ100がバッテリの正30および負28端子(図2)に接続された外部電源(図示せず)によって充電されているとき、電子は、充電源から蓋26およびその突出負電流コレクタ27、105を介して、負電極層14の中へ流れる。突出105は、それを通る電流(I)が、突出の縦軸を多かれ少なかれ中心とする方位磁場Bを生じ、電極層14の中への分岐経路を辿るように成形される。電極層14の中の分岐電荷担体流Iの水平成分との磁場Bの相互作用は、図16の円形矢印によって示されるように、その中に1つ以上の循環セルの発生を引き起こす撹拌力(
【0080】
【数1】
)を電極層の中に生じさせる。この循環は、上記で説明されるように、電極14の内面から電解質層20との界面へ反応物質を運び、界面材料を内部に運搬してもよい。
【0081】
他のバッテリの実施形態のように、層14の中の循環は次に、下位層の循環を誘発してもよい。
【0082】
バッテリ100が外部負荷(図示せず)に接続され、放電しているとき、電流は、図16の矢印Iによって示された方向から逆方向に流れ、突出105の中へ集中し、同様の効果を生じる液体材料の同様の循環を電極層14の中に生成する。
【0083】
図17は、電極層のそれぞれの電流コレクタの構成によって、電解質20の下に、例えば、容器22の底部に配置される電極層の中に、循環セルが推進される、同様のバッテリ100を図示する。例示的に、電解質20の下に配置される層は、バッテリの正電極層16である。正電流コレクタ23の中の隆起または突起等の突出105の形態の誘導デバイス103は、正電極16の中へ延在する。ここで、容器22の床面は、突出105のための隙間を提供するように、および電流をそこに閉じ込めるように、中心開口部107aを有する電気絶縁層107によって覆われている。その突出105を通る電流は、図16に示されたバッテリ100の電極層14の中に生成されるのと同様に、電極層16の中の液体材料の循環を推進するように、バッテリ100が充電または放電されているときに層16の中の分岐または集中電流と相互作用する磁場をその周囲に生じさせる。
【0084】
いくつかの用途では、図16および17で描写されたバッテリ100の中の磁気誘導デバイスは、同時に電極層14および16の両方の中に循環を推進するように、単一のバッテリに組み込まれてもよい。
【0085】
図18では、例えば、容器22の最上部付近で、電解質20の上に配置される電極層の中に磁気誘導によって循環を生じる、別のバッテリの実施形態110が描写されている。例示的に、電解質20の上に配置される電極は、バッテリ110の負電極層14である。この実施形態では、バッテリ110は、容器22の中の中心を外れた場所で、キャップ112から電極14の中へ垂直に下方に延在する、多かれ少なかれ円筒形の突出114を有する、負電流コレクタを備える、磁気誘導デバイス103を備える循環生成器である。また、キャップ112に接続された上端を有し、突出114と実質的平行に、容器22の側壁の近くに垂直に下方に延在する、負端子116が提供される。その端子116の自由下端は、同様のバッテリまたは他のエネルギー交換デバイスの正端子に接続されるように適合される。
【0086】
充電サイクル中、電子が矢印Iの方向へ端子116に沿って流れ、突出114へおよび電極14の中へ流れると、図中に示されるように容器22の中へ延在する磁束線である、磁場Bが端子116の周囲に生成される。磁場Bは、突出114から電極層14の中へ流れる電子と相互作用し、上記で説明されるように、電解質層20との電極14の界面を往復して新たな材料を循環させてもよい、垂直撹拌力Fを電極の中に生じる。貯蔵デバイス110が放電しているとき、突出114および端子116に沿って逆方向に流れる電流を伴って、同様の循環セルが層14の中に形成される。
【0087】
アルカリ土類金属イオンセル10(図1−3)、50(図4)、60(図5Aおよび5B)、70(図6)、または80(図7)は、特にバッテリ90(図8−15)、100(図16−17)、または110(図18)のうちのいずれかで示されるような構成要素を生じる循環を装備するときに、電気を急速に受容および送出し、それにより、需要・供給の不一致を埋めることが可能であってもよい。例示的なエネルギー蓄電池は、地理的な場所への制限を伴わずに、北極の寒さおよび砂漠の暑さ等の極端な温度で動作してもよく、移動式構造で実現可能である。電力容量は大きく、約10m2/MWであり、種々の大規模および商用電力管理用途への適合のために拡張可能である。
【0088】
アルカリ土類金属イオンエネルギー蓄電池の容量を拡張して、約数MWの大規模用途の要件にそれを適合させる際に、いくつかのアプローチが可能である。1つのアプローチでは、電極14および16の質量を増加させ、それにより、電池内の移動に利用可能なアルカリ土類金属の質量を増加させることによって、拡張性が単一の大型アルカリ土類金属イオンエネルギー貯蔵バッテリユニットで利用されてもよい。別のアプローチでは、直列に接続された多くのより小さいアルカリ土類金属イオンユニットを含むバッテリが、大規模システムで役立つために必要な電子工学とより実用的と統合された、より高いバッテリ電圧を与えてもよい。さらに別のアプローチでは、ユニットの大型アレイが、個別電池の誤動作による故障に対する増加した頑健性のために、直列または並列接続で相互接続されてもよい。
【0089】
一実施形態では、図1に示された種類の単一のアルカリ土類金属イオンバッテリユニット10が、以下の方法でより使用可能な電圧のバッテリを作製するために使用される。図19は、図1に示された種類の構成の電池10を斜視図で示す。電池10は、例示的に、各辺が長さ10cmの立方体である。図20は、直列に接続された4つのそのようなバッテリユニット10で形成された線形アセンブリ120を示す。図21では、4つの線形アセンブリ120が、直列に接続された16個のユニット10のアレイ122を形成するように接合されており、充電中の電子移動の方向は矢印124によって示される。そのようなアレイは、例示的に、約100Vの開回路電圧を有するバッテリを作成するように、96個の電池のモジュールへと6つの高さに積層され、電気的に接合される。
【0090】
アルカリ土類金属イオンエネルギー貯蔵バッテリの1つの潜在的な用途は、大規模発電機にある。エネルギー需要の日周的変動は、発電所の効率を低減し、それにより、24時間の最適出力レベルでの発電機動作を妨げることによって、排出を増加させる。1MWよりも大きい電力容量を伴う大容量電気エネルギー貯蔵装置は、低需要期間中に発電機から貯蔵デバイスへ電力をダウンロードし、次いで、より高い需要の時間中に電力をグリッドにアップロードし、発電所が一定のレベルで動作することを可能にすることによって達成される、負荷平準化を可能にすることができる。
【0091】
アルカリ土類金属イオンエネルギー貯蔵バッテリの第2の潜在的な用途は、再生可能エネルギー源変換器にある。供給の変動性により、再生可能エネルギー源によって生成される電力の管理が困難になる。風力および太陽エネルギー等のエネルギー源は、断続的にしか生成しない。十分な電力貯蔵がないと、風が止まった、または空が曇った場合に動作するために、付加的な発電機が待機して必要とされる。過剰な発電機の形態の活用されていない資本は、再生可能エネルギー源の開発の規模を限定する場合がある。再生可能エネルギー源と併せて使用される、信頼できる高容量電気貯蔵デバイスは、専用負荷平準化を提供し、それにより、グリッド上での再生可能エネルギー源の実装を支援することができる。そのような組み合わせはまた、燃料の周期的送達が困難となる、遠隔のグリッド外の場所にある発電機の代替案として、断続的再生可能エネルギー源の使用を支援することもできる。
【0092】
アルカリ土類金属イオンエネルギー貯蔵バッテリの第3の潜在的な用途は、送電線を支援している。送電および配電システムには、概して、貯蔵容量がないため、グリッドは瞬間需要を満たさなければならない。送電線への負荷がその容量に近づくにつれて、その効率を減少させる、多大な抵抗損を被る。さらに、結果として生じる抵抗加熱がシステム構成要素を融解させ、送電線の故障を引き起こし得る。負荷中心における供給を高めるために利用可能な必要電力容量(数十MW)の携帯用発電機は、騒々しく、汚染し、周期的な燃料補給を必要とする場合がある。容量限界に達する際に送電線をアップグレードまたは交換することは、非常に効果であり、しばしば一般市民の反対に遭う。建設は5年ほども長くかかり得る。
【0093】
負荷中心付近に位置する、再配置可能なアルカリ土類金属イオンエネルギー貯蔵ユニットは、1日のピーク時間中に送電線によって運ばれるエネルギーの一部分を供給し、それにより、送電線への負荷需要を軽減することができる。理想的には、貯蔵ユニットは、典型的には約500MWである、送電線の容量のかなりの部分、例えば、少なくとも2%から20%を提供してもよい。そのようなユニットは、送電線のアップグレードの必要性を保留することができる。または、システム故障後に緊急電力を供給するように、または新しい送電線の建築中に電力送達を維持するように、携帯用アルカリ土類金属イオンエネルギー貯蔵ユニットを配備し、次いで、必要なくなると移転させることができる。
【0094】
負荷中心からの配電システムは、たとえはるかに低い負荷でも、同様の問題を抱えており、携帯用電力貯蔵ユニットを使用して同様に対処することができる。電気の一定の供給を必要とする商用消費者は、特に停電の影響を受けやすい。補助発電機は、完全出力レベルに達するために時間を必要とするため、バックアップのために理想的とは言えない。これらの消費者は、グリッド停電の場合に電気をそのような施設に提供するように構成される、バックアップ電力システムまたは無停電電力システム(「UPS」)から利益を享受する。電力が遮断されたときに放電するように構成される、充電されたアルカリ土類金属イオンエネルギー貯蔵ユニットが、その役割で機能することができる。
【0095】
最後に、電圧の不規則性に敏感な施設は、送達された電力の電圧低下または他の不一致によって悪影響を及ぼされ得る。放電して所望の電力レベルからの逸脱を排除するように構成される、充電されたアルカリ土類金属イオンエネルギー貯蔵ユニットの形態のUPSは、高い電力品質を確保するように、グリッドと施設との間の緩衝装置の役割を果たすことができる。
【0096】
本発明の具体的な特徴は、いくつかの実施形態および図面に含まれ、他のものには含まれないが、各特徴は、本発明による他の特徴のうちのいずれかまたは全てと組み合わせられてもよいことに留意されたい。したがって、前述の内容は、例えば、大規模および商用エネルギー管理のためのエネルギー貯蔵への極めて有利なアプローチを表すことが分かるであろう。本明細書で採用される用語および表現は、限定ではなく説明の用語として使用され、そのような用語および表現の使用において、図示および説明される特徴またはそれらの部分の同等物を排除するという意図はないが、種々の修正が請求される本発明の範囲内で可能であることが認識される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
外部デバイスとエネルギーを交換するように構成されるバッテリであって、該バッテリは、
アルカリ土類金属と少なくとも1つの付加的な元素とを備える、第1の密度を有する第1の導電性溶融正電極と、
該アルカリ土類金属を備える、第2の密度を有する第1の導電性液体負電極と、
該第1の負電極および第1の正電極と接触している、該アルカリ土類金属の陽イオンを備える、第3の密度を有する第1の液体電解質と、
該外部デバイスに接続するように構成される、該第1の正電極と電気接触している第1の正電流コレクタと、
該外部デバイスに接続するように構成される、該第1の負電極と電気接触している第1の負電流コレクタと
を備え、該アルカリ土類金属は、該第1の正電極および第1の負電極の中においてそれぞれの異なる化学ポテンシャルにおいて存在し、該第1の正電極と第1の負電極との間に電圧を生じさせる、バッテリ。
【請求項2】
アルカリ土類金属を備える第2の導電性溶融正電極と、
該アルカリ土類金属を備える第2の導電性液体負電極と、
該第2の負電極および第2の正電極と接触している、該アルカリ土類金属の陽イオンを備える第2の液体電解質と、
該第2の正電極と電気接触している第2の正電流コレクタと、
該第2の負電極と電気接触している第2の負電流コレクタと
をさらに備え、該アルカリ土類金属は、該第2の正電極および第2の負電極の中においてそれぞれの異なる化学ポテンシャルにおいて存在し、該第2の正電極と第2の負電極との間に電圧を生じさせ、該第2の負電流コレクタおよび第2の正電流コレクタは、該第1の負電流コレクタおよび第1の正電流コレクタと直列または並列に接続される、請求項1に記載のバッテリ。
【請求項3】
複数の電気接続している電池をさらに備え、各電池は、
前記アルカリ土類金属を備える導電性溶融正電極と、
アルカリ土類金属を備える導電性液体負電極と、
該負電極および正電極と接触している、該アルカリ土類金属の陽イオンを備える液体電解質と、
該負電極と電気接触している負電流コレクタと、
該正電極と電気接触している正電流コレクタと
を有し、該複数の電気接続している電池の該それぞれの負電流コレクタおよび正電流コレクタは、該第1の負電流コレクタおよび第1の正電流コレクタと電気的に接続される、請求項1に記載のバッテリ。
【請求項4】
前記アルカリ土類金属は、マグネシウムである、請求項1に記載のバッテリ。
【請求項5】
前記アルカリ土類金属は、カルシウムである、請求項1に記載のバッテリ。
【請求項6】
前記第1の負電極は、付加的な金属をさらに備える、請求項1に記載のバッテリ。
【請求項7】
前記付加的な金属は、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、およびバリウムのうちの1つである、請求項6に記載のバッテリ。
【請求項8】
前記アルカリ土類金属は、カルシウムであり、前記付加的な金属は、ベリリウム、マグネシウム、ストロンチウム、およびバリウムのうちの1つである、請求項6に記載のバッテリ。
【請求項9】
前記付加的な金属は、マグネシウムである、請求項8に記載のバッテリ。
【請求項10】
前記少なくとも1つの付加的な元素は、スズ、鉛、ビスマス、アンチモン、テルル、およびセレンのうちの少なくとも1つを備える、請求項1に記載のバッテリ。
【請求項11】
前記第1の正電極は、前記アルカリ土類金属および前記少なくとも1つの付加的な元素の液相溶液である、請求項1に記載のバッテリ。
【請求項12】
前記第1の液体電解質は、前記アルカリ土類金属の塩化物を備える、請求項1に記載のバッテリ。
【請求項13】
前記第1の液体電解質は、0.01S/cmもの電気伝導度を有する、請求項1に記載のバッテリ。
【請求項14】
前記液体電解質は、ハロゲン化物イオンをさらに備える、請求項13に記載のバッテリ。
【請求項15】
前記第1の液体電解質は、ハロゲン化物、ビストリフリミド、フルオロスルホンアミン、過塩素酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩、テトラフルオロホウ酸、炭酸塩、および水酸化物の群から選択される陰イオンをさらに備える、請求項13に記載のバッテリ。
【請求項16】
前記第1の液体電解質は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、イミド、アミン、アンモニウム、ホスホニウム、およびピロリジニウムの群から選択される陽イオンをさらに備える、請求項13に記載のバッテリ。
【請求項17】
前記第1の負電極、第1の電解質、および第1の正電極は、750℃未満の動作温度である、請求項1に記載のバッテリ。
【請求項18】
前記第1の正電極は、第1の密度を有し、
前記第1の負電極は、該第1の密度よりも小さい第2の密度を有し、
前記液体電解質は、該第1の密度よりも大きく、該第2の密度よりも小さい第3の密度を有する、請求項1に記載のバッテリ。
【請求項19】
前記第1の液体電解質は、前記第1の正電極と前記第1の負電極との間に配置されて、それらとそれぞれの電解質・電極界面を形成し、
該第1の正電極、第1の負電極、および第1の液体電解質は、垂直スタックの中においそれぞれの液体材料層として存在する、請求項1に記載のバッテリ。
【請求項20】
前記第1の正電極と第1の負電極との間に配置される前記第1の液体電解質によって湿潤可能であるが、前記第1の負電極または前記第1の正電極によって湿潤可能ではない材料のセパレータをさらに備える、請求項19に記載のバッテリ。
【請求項21】
前記第1の負電極は、前記第1の電解質の上に配置され、前記第1の負電流コレクタは、表面張力によって前記容器から離して該第1の負電極を保持する部分を備える、請求項1に記載のバッテリ。
【請求項22】
前記第1の負電極は、前記第1の電解質の上に配置され、前記第1の負電流コレクタは、
前記容器から離して該負電極を保持し、該負電極の前記液体材料によって湿潤されない第1の物質である、第1の部材を有する複合導電性構造と、
該負電極の該液体材料によって湿潤される第2の物質である、該第1の部材内の第2の導電性部材と
を含む、請求項19に記載のバッテリ。
【請求項23】
前記第1の部材は、逆カップ状構造であり、前記第2の部材は、中心シャフト、リング、およびプレートから成る群より選択される、請求項22に記載のバッテリ。
【請求項24】
前記第1の物質は、炭素または軟鋼合金であり、前記第2の物質は、鋼鉄またはステンレス鋼である、請求項22に記載のバッテリ。
【請求項25】
導電性容器をさらに備え、該導電性容器は、前記第1の正電極、前記第1の負電極、および前記第1の液体電解質を閉じ込め、前記第1の正電流コレクタとして機能する、請求項19に記載のバッテリ。
【請求項26】
前記バッテリは、外部デバイスと電気エネルギーを交換するように動作可能である、請求項1に記載のバッテリ。
【請求項27】
前記バッテリの中に循環生成器をさらに備え、該循環生成器は、前記層のうちの1つの中に循環を生成し、それにより、前記電極/電解質界面のうちの1つを往復して該1つの層の液体材料の流動を誘発する、請求項19に記載のバッテリ。
【請求項28】
前記1つの層の中の前記液体材料の流動は、前記層のうちの別の層の中に循環を誘発する、請求項27に記載のバッテリ。
【請求項29】
前記液体材料の流動は、0.1mm/sよりも大きい流速を有する、請求項27に記載のバッテリ。
【請求項30】
前記循環生成器は、前記1つの層の中に温度勾配を生じさせるように構成され、それにより、該1つの層の前記液体材料の重力駆動対流を誘発する、請求項27に記載のバッテリ。
【請求項31】
前記正電極、前記負電極、および前記液体電解質を閉じ込める熱伝導性容器をさらに備え、前記循環生成器は、前記容器を封入する熱絶縁筐体をさらに備え、熱管理デバイスは、該容器と外側空間との間の該筐体の壁を通して、前記1つの液体層の高さで熱伝達経路を提供し、それにより、前記温度勾配を生じさせる、請求項30に記載のバッテリ。
【請求項32】
前記正電極、前記負電極、および前記液体電解質を閉じ込める熱伝導性容器をさらに備え、前記循環生成器は、前記容器を封入する熱絶縁筐体をさらに備え、熱管理デバイスは、該筐体の別の部分と比較して、該筐体の第1の壁の厚さおよび/または熱伝導性の低減を含む、請求項30に記載のバッテリ。
【請求項33】
前記熱管理デバイスは、加熱デバイスを備える、請求項30に記載のバッテリ。
【請求項34】
前記容器を覆う、前記負電極と接触している蓋をさらに備え、
前記1つの層は、該負電極であり、
前記熱絶縁筐体は、該蓋を封入し、
前記熱管理デバイスは、該蓋と外側空間との間の該筐体の壁を通して、該蓋の高さで熱伝達経路を提供し、それにより、前記温度勾配を生じさせる、請求項30に記載のバッテリ。
【請求項35】
前記循環生成器は、前記正電極および前記負電極のうちの1つの中の電流と磁場との共同作用によって、前記1つの層の中に循環を生成するように構成される、請求項27に記載のバッテリ。
【請求項36】
前記正電流コレクタおよび前記負電流コレクタのうちの1つは、そのそれぞれの電極の中への突出を含み、それにより、該突出を通って流れる電流が、その周囲に磁場を作成し、そのそれぞれの電極の中への分岐または集中経路を辿り、該磁場と電流とは、その液体材料を循環させる撹拌力をそのそれぞれの電極の中に生じさせるように共同作用する、請求項27に記載のバッテリ。
【請求項37】
外部エネルギー交換デバイスをさらに備え、該外部エネルギー交換デバイスは、前記正電流コレクタおよび前記負電流コレクタに接続されて、それを通って前記電流が流れる回路を作成する、請求項36に記載のバッテリ。
【請求項38】
前記1つの層は、前記負電極であり、前記負電流コレクタは、該負電極の中へ実質的に垂直に突出する突出を含み、該突出と実質的に平行な負端子をさらに備え、該負電流コレクタに電気接続される第1端と、前記外部デバイスへの接続のために適合される第2端とを有することにより、前記バッテリが該外部デバイスとの回路内にあるときに、電流が該負電極を往復して該突出を通り、および該負端子を通って流れ、それにより、その周囲に磁場を生じさせ、該磁場は、その液体材料を循環させる撹拌力をその中に生じさせるように、該負電極の中の電流と共同作用する、請求項27に記載のバッテリ。
【請求項39】
前記容器は、円筒形であり、中心軸を有し、前記突出は、該容器の中の該中心軸と非対称および平行に配置される、請求項38に記載のバッテリ。
【請求項40】
外部デバイスとエネルギーを交換するように構成されるバッテリであって、該バッテリは、
第1の化学ポテンシャルにおけるカルシウムと、混和性元素とを備える、第1の密度を有する導電性溶融合金の正電極と、
第2の化学ポテンシャルにおけるカルシウムと、付加的な金属とを備える、該第1の密度よりも小さい第2の密度を有する導電性液体混合物の負電極であって、該第2の化学ポテンシャルは、該第1の化学ポテンシャルとは異なり、該正電極と負電極との間に電圧を生成する、負電極と、
該負電極および正電極と接触し、それらとともにそれぞれの電極/電解質界面を形成するカルシウム陽イオンを備える、該第1の密度よりも大きく該第2の密度よりも小さい第3の密度を有する液体電解質と
を備え、該負電極および正電極ならびに該電解質は、750℃未満の動作温度にある、バッテリ。
【請求項41】
前記電圧は、少なくとも0.5Vである、請求項40に記載のバッテリ。
【請求項42】
前記付加的な金属は、マグネシウムである、請求項40に記載のバッテリ。
【請求項43】
前記負電極は、約40原子パーセント未満のカルシウムである、請求項40に記載のバッテリ。
【請求項44】
前記負電極は、約60原子パーセント以上のカルシウムである、請求項40に記載のバッテリ。
【請求項45】
前記混和性元素は、ビスマスである、請求項40に記載のバッテリ。
【請求項46】
前記混和性元素は、アルミニウムである、請求項40に記載のバッテリ。
【請求項47】
前記電解質は、塩化カルシウムを備える、請求項40に記載のバッテリ。
【請求項48】
前記電解質は、少なくとも1つのハロゲン化カリウムをさらに備える、請求項47に記載のバッテリ。
【請求項49】
前記負電極と正電極との間に配置される前記電解質によって湿潤可能であるが、該負電極または正電極によって湿潤可能ではない材料のセパレータをさらに備える、請求項40に記載のバッテリ。
【請求項50】
前記負電流コレクタは、表面張力によって前記負電極を含有する部分を備える、請求項40に記載のバッテリ。
【請求項51】
前記正電極、負電極、および電解質は、それぞれの液体材料のそれぞれの液体層として存在し、前記層のうちの1つの中に循環を生成し、それにより、前記電極/電解質界面のうちの1つを往復して該1つの層の液体材料の流動を誘発する、前記バッテリの中の循環生成器をさらに備える、請求項40に記載のバッテリ。
【請求項52】
前記循環生成器は、前記1つの層の中に温度勾配を生じるように構成され、それにより、該1つの層の前記液体材料の重力駆動対流を誘発する、請求項51に記載のバッテリ。
【請求項53】
前記循環生成器は、磁場と、前記正電極および前記負電極のうちの1つの中の電流との共同作用によって、前記1つの層の中に循環を生成するように構成される、請求項51に記載のバッテリ。
【請求項54】
外部回路から伝達される電気エネルギーを貯蔵する方法であって、該方法は、
電気化学バッテリを提供することであって、該電気化学バッテリは、
第1の化学ポテンシャルにおけるアルカリ土類金属を備える導電性液体合金の正電極と、
第2の化学ポテンシャルにおける該アルカリ土類金属を備える導電性液体の負電極と、
該外部回路と接続するように構成される、該負電極および正電極と接触している、該アルカリ土類金属の陽イオンを備える液体電解質と、
該外部回路に接続するように構成される、該正電極と接触している正電流コレクタと、
該外部回路に接続するように構成される、該負電極と接触している負電流コレクタと
を備える、ことと、
該外部回路を該負電流コレクタおよび正電流コレクタに電気的に接続することと、
該正電極から陽イオンとしての該電解質を介して該負電極へのアルカリ土類金属の伝達を駆動するように該外部回路を操作し、それにより、該外部回路から該電気化学バッテリへエネルギーを送達することと
を含む、方法。
【請求項55】
外部負荷を前記負電流コレクタおよび正電流コレクタに電気的に接続し、それにより、前記電解質を介してイオン的に前記負電極から前記正電極へのアルカリ土類金属の同時伝達を可能にし、それにより、前記電気化学電池から該外部負荷までエネルギーを送達することをさらに含む、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記外部回路は、発電所である、請求項54に記載の方法。
【請求項57】
前記外部回路および前記外部負荷のうちの少なくとも1つは、送電線である、請求項55に記載の方法。
【請求項58】
前記外部回路は、再生可能エネルギー源から変換されたエネルギーを送達する、請求項54に記載の方法。
【請求項59】
前記電池は、無停電電力供給の一部である、請求項54に記載の方法。
【請求項60】
前記電解質ならびに前記正電極および負電極は、750℃未満の動作温度である、請求項54に記載の方法。
【請求項61】
前記液体電解質は、表面上の前記正電極に接触するように構成され、該正電極からアルカリ土類金属を伝達することは、該表面上に1A/cm2よりも大きい電流を構成する、請求項54に記載の方法。
【請求項62】
前記正電極、負電極、および電解質は、それぞれの液体材料のそれぞれの液体層として存在し、電極/電解質界面のうちの1つを往復する1つの層の材料の流束を増加させるように、該層のうちの少なくとも1つの中に循環を生成するために、前記バッテリにおいて通常の動作エネルギーを使用することをさらに含む、請求項54に記載の方法。
【請求項63】
外部デバイスとエネルギーを交換する方法であって、該方法は、
外部エネルギー交換デバイスを提供することと、
バッテリを提供することであって、該バッテリは、正電極、負電極、および介在電解質を含有する容器であって、該正電極および負電極ならびに電解質が、隣接する層がそれぞれの電極/電解質界面を形成するように、垂直スタックの中の液体材料層として存在する、容器と、該正電極と電気接触している正電流コレクタと、該負電極と電気接触している負電流コレクタと、電気接続とを含み、該電気接続は、該外部エネルギー交換デバイスを該正電流コレクタおよび負電流コレクタに接続し、それにより、自身を通って電流が流れる回路を作成する、ことと、
該電極/電解質界面のうちの1つを往復する1つの層の材料の流束を増加させるように、該層のうちの少なくとも1つの中に循環を生成するために、該バッテリにおいて通常の動作エネルギーを使用することと
を含む、方法。
【請求項64】
前記循環は、
前記容器を熱的に絶縁することと、
前記少なくとも1つの層の中に温度勾配を生じさせるように、該容器から熱を放散することであって、該温度勾配は、その前記液体材料の重力駆動対流を引き起こす、ことと
によって生成される、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記循環は、
前記電流コレクタのうちの少なくとも1つを形成することであって、該1つの電流コレクタと接触している前記電極の中へ延在する突出を伴っている、ことと、
前記バッテリの充電および放電中に前記回路の中の電流の経路を方向付けることであって、それにより、該少なくとも1つの電流コレクタに近接する磁場を生じさせ、該磁場は、該少なくとも1つの電流コレクタと接触している該電極を往復する電流と共同作用して、その中に撹拌力を誘発する、ことと
によって生成される、請求項63に記載の方法。
【請求項66】
外部デバイスとエネルギーを交換する電気化学バッテリであって、該バッテリは、
壁を有し、正電極、負電極、および介在電解質を含有する無蓋容器であって、該電極および該電解質は、該バッテリの動作温度において該容器の壁の中の垂直スタックの中に液体材料層として存在し、該正電極および該負電極のうちの1つは、該電解質上に配置される、無蓋容器と、
該容器の最上部を閉じる蓋と、
該正電極と電気接触している正電流コレクタと、
該負電極と電気接触している負電流コレクタと
を備え、該正電流コレクタおよび該負電流コレクタは、それを通って電流が流れる回路を作成するように、該外部デバイスへの接続のために適合され、
該1つの電極と電気接触している該電流コレクタは、該蓋から吊るされ、該壁から離して該1つの電極を保持し、該1つの電極の液体材料によって湿潤されない第1の物質である第1の部材と、該1つの電極の液体材料によって湿潤される第2の物質である、該第1の部材内の第2の導電性部材とを含む複合導電性構造を備える、バッテリ。
【請求項67】
前記第1の部材は、逆カップ状構造であり、前記第2の部材は、中心シャフト、リング、およびプレートから成る群より選択される、請求項66に記載のバッテリ。
【請求項68】
前記1つの電極は、アルカリ土類金属を備え、前記第1の物質は、炭素または軟鋼合金であり、前記第2の物質は、鋼鉄またはステンレス鋼である、請求項66に記載のバッテリ。
【請求項69】
電気化学バッテリであって、
正電極と、
負電極と、
該正電極と該負電極との間に配置される電解質と、
隣接する層がそれぞれの電極/電解質界面を形成するように、該正電極、該負電極、および該電解質が、該バッテリの動作温度において垂直スタックの中にそれぞれの液体材料層として存在する容器と、
前記層のうちの少なくとも1つの中に循環を生成し、それにより、該電極/電解質界面のうちの1つを往復して該1つの層の液体材料の流動を誘発するように構成される循環生成器と
を備える、バッテリ。
【請求項70】
前記1つの層の中の前記液体材料の流動は、前記層のうちの別の層の中に循環を誘発する、請求項69に記載のバッテリ。
【請求項71】
前記負電極と電気接触し、外部デバイスへの接続のために構成される負電流コレクタと、
前記正電極と電気接触し、該外部デバイスへの接続のために構成される正電流コレクタと
をさらに備える、請求項69に記載のバッテリ。
【請求項72】
前記循環生成器は、前記1つの層の中に温度勾配を生じるように構成され、それにより、該1つの層の前記液体材料の重力駆動対流を誘発する、請求項69に記載のバッテリ。
【請求項73】
前記容器は、熱伝導性であり、
前記循環生成器は、該容器を封入する熱絶縁筐体と、前記1つの層の高さにある該筐体の第1の壁の中の熱管理デバイスとを備え、該熱管理デバイスは、該容器と外側空間との間の第1の壁を通る熱伝達経路を提供して、その液体材料の重力駆動対流を引き起こす温度勾配が該1つの層の中に発生させられる、請求項69に記載のバッテリ。
【請求項74】
前記熱管理デバイスは、1つ以上の熱伝導性部材を備え、該熱伝導性部材は、前記第1の壁を通って延在し、前記容器と密接に熱接触している、請求項73に記載のバッテリ。
【請求項75】
前記容器および筐体は、円筒形であり、前記1つ以上の熱伝導性部材は、金属リングを含む、請求項74に記載のバッテリ。
【請求項76】
前記容器および前記筐体は、長方形であり、前記1つ以上の熱伝導性部材は、前記第1の壁の長さに沿って離間している金属棒を含む、請求項74に記載のバッテリ。
【請求項77】
前記1つ以上の熱管理デバイスは、1つ以上の付加的な熱伝導性部材を含み、該付加的な熱伝導性部材は、前記第1の壁と反対側の前記筐体の第2の壁を通って延在し、前記容器と密接に熱接触している、請求項74に記載のバッテリ。
【請求項78】
前記熱管理デバイスは、前記筐体の別の部分と比較して、前記第1の壁の厚さおよび/熱伝導性が低減していることを含む、請求項73に記載のバッテリ。
【請求項79】
前記1つの層は、前記電解質である、請求項73に記載のバッテリ。
【請求項80】
前記1つの層は、前記正電極および前記負電極のうちの1つであり、前記電解質の下に配置される、請求項73に記載のバッテリ。
【請求項81】
前記容器は、熱伝導性であり、
前記循環生成器は、該容器を封入する熱絶縁筐体と、前記1つの層の高さにある前記バッテリ中の熱管理デバイスとを備え、該熱管理デバイスは、その液体材料の重力駆動対流を引き起こす温度勾配を該1つの層の中に発生させる、請求項69に記載のバッテリ。
【請求項82】
前記熱管理デバイスは、加熱デバイスを含む、請求項81に記載のバッテリ。
【請求項83】
前記容器を覆い、該容器から電気的に絶縁される導電性蓋をさらに備え、
前記1つの層は、前記正電極および前記負電極のうちの1つであり、前記電解質の上に配置され、
前記循環生成器は、該容器および該蓋を封入する熱絶縁筐体と、該蓋における該筐体の該壁の中の熱管理デバイスとを備え、該蓋と外側空間との間の壁を通る熱伝達経路を提供して、その液体材料の重力駆動対流を引き起こす温度勾配が前記1つの層の中に発生させられる、請求項69に記載のバッテリ。
【請求項84】
前記熱管理デバイスは、前記壁を通って延在し、前記蓋と密接に熱接触している1つ以上の熱伝導性部材を備える、請求項83に記載のバッテリ。
【請求項85】
前記循環生成器は、前記正電極および前記負電極のうちの1つの中の電流と磁場との共同作用によって、前記1つの層の中に循環を生成するように構成される、請求項69に記載のバッテリ。
【請求項86】
前記1つの層は、前記正電極および前記負電極のうちの1つであり、前記電解質の下に配置され、
該1つの層と接触している前記電流コレクタは、該1つの層の中へ突出する突出を含み、それにより、突出を通って流れる電流が、その周囲に磁場を作成し、該1つの層の中の分岐または集中経路を辿り、該磁場と電流とは、その液体材料を循環させる撹拌力を該1つの層の中に生じさせるように共同作用する、請求項71に記載のバッテリ。
【請求項87】
外部エネルギー交換デバイスと、
前記正電流コレクタおよび負電流コレクタを前記外部エネルギー交換デバイスに接続する電気接続であって、該外部エネルギー交換デバイスは、自身を通って前記電流が流れる回路を作成するように構成される、電気接続と
をさらに備える、請求項86に記載のバッテリ。
【請求項88】
前記1つの層は、前記正電極および前記負電極のうちの1つであり、前記電解質の上に配置され、
該層と接触している前記電流コレクタは、前記1つの層の中へ突出する突出を含み、それにより、該突出を通って流れる電流が、その周囲に磁場を作成し、該1つの層の中の分岐または集中経路を辿り、該磁場と電流とは、その液体材料を循環させる撹拌力を該1つの層の中に生じさせるように共同作用する、請求項71に記載のバッテリ。
【請求項89】
外部エネルギー交換デバイスと、
それを通って前記電流が流れる回路を作成するように構成される、前記正電流コレクタおよび負電流コレクタを前記外部エネルギー交換デバイスに接続する電気接続と
をさらに備える、請求項88に記載のバッテリ。
【請求項90】
前記1つの層は、前記正電極および前記負電極のうちの1つであり、前記電解質の上に配置され、
該1つの層と接触している前記電流コレクタは、該1つの層の中へ実質的に垂直に突出する突出を含み、それにより、前記バッテリが前記外部デバイスとの回路内にあるときに、電流が該1つの層を往復して該突出を通って流れ、該突出と実質的に平行な端子をさらに備え、該1つの層と接触している該電流コレクタに電気的に接続される第1端と、該外部デバイスへの接続のために適合される第2端とを有するため、該バッテリが該外部デバイスとの回路内にあるときに、該電流が該端子を通って流れ、それにより、その周囲に磁場を生じさせ、該1つの層を往復する経路を辿り、該磁場は、その液体材料を循環させる撹拌力を該1つの層の中に生じさせるように、該1つの層の中の該電流と共同作用する、請求項71に記載のバッテリ。
【請求項91】
外部エネルギー交換デバイスと、
自身を通って電流が流れる回路を作成するために、該外部エネルギー交換デバイスと、それぞれ前記1つの層および前記端子と接触していない前記電流コレクタとの間の電気接続と
をさらに備える、請求項90に記載のバッテリ。
【請求項92】
前記容器は、円筒形であり、中心軸を有し、前記突出は、該容器の中の該中心軸と非対称および平行に配置される、請求項90に記載のバッテリ。
【請求項93】
電流コレクタをさらに備え、該電流コレクタは、前記電解質層の上に前記1つの電極を保持し、該1つの電極の液体材料によって湿潤されない第1の物質である第1の部材と、該1つの電極の該液体材料によって湿潤される第2の物質である、該第1の部材内の第2の導電性部材とを含む複合導電性構造を含む、前記正電極および前記負電極のうちの1つと接触している電流コレクタをさらに備える、請求項69に記載のバッテリ。
【請求項94】
前記第1の物質は、逆カップ状構造を含み、前記第2の部材は、中心シャフト、リング、およびプレートから成る群より選択される、請求項93に記載のバッテリ。
【請求項95】
前記1つの電極は、アルカリ土類金属であり、前記第1の物質は、炭素または軟鋼合金であり、前記第2の物質は、鋼鉄またはステンレス鋼である、請求項93に記載のバッテリ。
【請求項96】
前記液体材料の流動は、0.1mm/sよりも大きい流速を有する、請求項69に記載のバッテリ。
【請求項97】
前記バッテリは、電流が、前記外部デバイスおよび前記電流コレクタを含む回路を通って流れるときに、電極/電解質界面への活性種の流束が、対流拡散のみによって引き起こされる該電極/電解質界面への活性種の流束よりも大きくなるように構成される、請求項71に記載のバッテリ。
【請求項1】
外部デバイスとエネルギーを交換するように構成されるバッテリであって、該バッテリは、
アルカリ土類金属と少なくとも1つの付加的な元素とを備える、第1の密度を有する第1の導電性溶融正電極と、
該アルカリ土類金属を備える、第2の密度を有する第1の導電性液体負電極と、
該第1の負電極および第1の正電極と接触している、該アルカリ土類金属の陽イオンを備える、第3の密度を有する第1の液体電解質と、
該外部デバイスに接続するように構成される、該第1の正電極と電気接触している第1の正電流コレクタと、
該外部デバイスに接続するように構成される、該第1の負電極と電気接触している第1の負電流コレクタと
を備え、該アルカリ土類金属は、該第1の正電極および第1の負電極の中においてそれぞれの異なる化学ポテンシャルにおいて存在し、該第1の正電極と第1の負電極との間に電圧を生じさせる、バッテリ。
【請求項2】
アルカリ土類金属を備える第2の導電性溶融正電極と、
該アルカリ土類金属を備える第2の導電性液体負電極と、
該第2の負電極および第2の正電極と接触している、該アルカリ土類金属の陽イオンを備える第2の液体電解質と、
該第2の正電極と電気接触している第2の正電流コレクタと、
該第2の負電極と電気接触している第2の負電流コレクタと
をさらに備え、該アルカリ土類金属は、該第2の正電極および第2の負電極の中においてそれぞれの異なる化学ポテンシャルにおいて存在し、該第2の正電極と第2の負電極との間に電圧を生じさせ、該第2の負電流コレクタおよび第2の正電流コレクタは、該第1の負電流コレクタおよび第1の正電流コレクタと直列または並列に接続される、請求項1に記載のバッテリ。
【請求項3】
複数の電気接続している電池をさらに備え、各電池は、
前記アルカリ土類金属を備える導電性溶融正電極と、
アルカリ土類金属を備える導電性液体負電極と、
該負電極および正電極と接触している、該アルカリ土類金属の陽イオンを備える液体電解質と、
該負電極と電気接触している負電流コレクタと、
該正電極と電気接触している正電流コレクタと
を有し、該複数の電気接続している電池の該それぞれの負電流コレクタおよび正電流コレクタは、該第1の負電流コレクタおよび第1の正電流コレクタと電気的に接続される、請求項1に記載のバッテリ。
【請求項4】
前記アルカリ土類金属は、マグネシウムである、請求項1に記載のバッテリ。
【請求項5】
前記アルカリ土類金属は、カルシウムである、請求項1に記載のバッテリ。
【請求項6】
前記第1の負電極は、付加的な金属をさらに備える、請求項1に記載のバッテリ。
【請求項7】
前記付加的な金属は、ベリリウム、マグネシウム、カルシウム、ストロンチウム、およびバリウムのうちの1つである、請求項6に記載のバッテリ。
【請求項8】
前記アルカリ土類金属は、カルシウムであり、前記付加的な金属は、ベリリウム、マグネシウム、ストロンチウム、およびバリウムのうちの1つである、請求項6に記載のバッテリ。
【請求項9】
前記付加的な金属は、マグネシウムである、請求項8に記載のバッテリ。
【請求項10】
前記少なくとも1つの付加的な元素は、スズ、鉛、ビスマス、アンチモン、テルル、およびセレンのうちの少なくとも1つを備える、請求項1に記載のバッテリ。
【請求項11】
前記第1の正電極は、前記アルカリ土類金属および前記少なくとも1つの付加的な元素の液相溶液である、請求項1に記載のバッテリ。
【請求項12】
前記第1の液体電解質は、前記アルカリ土類金属の塩化物を備える、請求項1に記載のバッテリ。
【請求項13】
前記第1の液体電解質は、0.01S/cmもの電気伝導度を有する、請求項1に記載のバッテリ。
【請求項14】
前記液体電解質は、ハロゲン化物イオンをさらに備える、請求項13に記載のバッテリ。
【請求項15】
前記第1の液体電解質は、ハロゲン化物、ビストリフリミド、フルオロスルホンアミン、過塩素酸塩、ヘキサフルオロリン酸塩、テトラフルオロホウ酸、炭酸塩、および水酸化物の群から選択される陰イオンをさらに備える、請求項13に記載のバッテリ。
【請求項16】
前記第1の液体電解質は、アルカリ金属、アルカリ土類金属、イミド、アミン、アンモニウム、ホスホニウム、およびピロリジニウムの群から選択される陽イオンをさらに備える、請求項13に記載のバッテリ。
【請求項17】
前記第1の負電極、第1の電解質、および第1の正電極は、750℃未満の動作温度である、請求項1に記載のバッテリ。
【請求項18】
前記第1の正電極は、第1の密度を有し、
前記第1の負電極は、該第1の密度よりも小さい第2の密度を有し、
前記液体電解質は、該第1の密度よりも大きく、該第2の密度よりも小さい第3の密度を有する、請求項1に記載のバッテリ。
【請求項19】
前記第1の液体電解質は、前記第1の正電極と前記第1の負電極との間に配置されて、それらとそれぞれの電解質・電極界面を形成し、
該第1の正電極、第1の負電極、および第1の液体電解質は、垂直スタックの中においそれぞれの液体材料層として存在する、請求項1に記載のバッテリ。
【請求項20】
前記第1の正電極と第1の負電極との間に配置される前記第1の液体電解質によって湿潤可能であるが、前記第1の負電極または前記第1の正電極によって湿潤可能ではない材料のセパレータをさらに備える、請求項19に記載のバッテリ。
【請求項21】
前記第1の負電極は、前記第1の電解質の上に配置され、前記第1の負電流コレクタは、表面張力によって前記容器から離して該第1の負電極を保持する部分を備える、請求項1に記載のバッテリ。
【請求項22】
前記第1の負電極は、前記第1の電解質の上に配置され、前記第1の負電流コレクタは、
前記容器から離して該負電極を保持し、該負電極の前記液体材料によって湿潤されない第1の物質である、第1の部材を有する複合導電性構造と、
該負電極の該液体材料によって湿潤される第2の物質である、該第1の部材内の第2の導電性部材と
を含む、請求項19に記載のバッテリ。
【請求項23】
前記第1の部材は、逆カップ状構造であり、前記第2の部材は、中心シャフト、リング、およびプレートから成る群より選択される、請求項22に記載のバッテリ。
【請求項24】
前記第1の物質は、炭素または軟鋼合金であり、前記第2の物質は、鋼鉄またはステンレス鋼である、請求項22に記載のバッテリ。
【請求項25】
導電性容器をさらに備え、該導電性容器は、前記第1の正電極、前記第1の負電極、および前記第1の液体電解質を閉じ込め、前記第1の正電流コレクタとして機能する、請求項19に記載のバッテリ。
【請求項26】
前記バッテリは、外部デバイスと電気エネルギーを交換するように動作可能である、請求項1に記載のバッテリ。
【請求項27】
前記バッテリの中に循環生成器をさらに備え、該循環生成器は、前記層のうちの1つの中に循環を生成し、それにより、前記電極/電解質界面のうちの1つを往復して該1つの層の液体材料の流動を誘発する、請求項19に記載のバッテリ。
【請求項28】
前記1つの層の中の前記液体材料の流動は、前記層のうちの別の層の中に循環を誘発する、請求項27に記載のバッテリ。
【請求項29】
前記液体材料の流動は、0.1mm/sよりも大きい流速を有する、請求項27に記載のバッテリ。
【請求項30】
前記循環生成器は、前記1つの層の中に温度勾配を生じさせるように構成され、それにより、該1つの層の前記液体材料の重力駆動対流を誘発する、請求項27に記載のバッテリ。
【請求項31】
前記正電極、前記負電極、および前記液体電解質を閉じ込める熱伝導性容器をさらに備え、前記循環生成器は、前記容器を封入する熱絶縁筐体をさらに備え、熱管理デバイスは、該容器と外側空間との間の該筐体の壁を通して、前記1つの液体層の高さで熱伝達経路を提供し、それにより、前記温度勾配を生じさせる、請求項30に記載のバッテリ。
【請求項32】
前記正電極、前記負電極、および前記液体電解質を閉じ込める熱伝導性容器をさらに備え、前記循環生成器は、前記容器を封入する熱絶縁筐体をさらに備え、熱管理デバイスは、該筐体の別の部分と比較して、該筐体の第1の壁の厚さおよび/または熱伝導性の低減を含む、請求項30に記載のバッテリ。
【請求項33】
前記熱管理デバイスは、加熱デバイスを備える、請求項30に記載のバッテリ。
【請求項34】
前記容器を覆う、前記負電極と接触している蓋をさらに備え、
前記1つの層は、該負電極であり、
前記熱絶縁筐体は、該蓋を封入し、
前記熱管理デバイスは、該蓋と外側空間との間の該筐体の壁を通して、該蓋の高さで熱伝達経路を提供し、それにより、前記温度勾配を生じさせる、請求項30に記載のバッテリ。
【請求項35】
前記循環生成器は、前記正電極および前記負電極のうちの1つの中の電流と磁場との共同作用によって、前記1つの層の中に循環を生成するように構成される、請求項27に記載のバッテリ。
【請求項36】
前記正電流コレクタおよび前記負電流コレクタのうちの1つは、そのそれぞれの電極の中への突出を含み、それにより、該突出を通って流れる電流が、その周囲に磁場を作成し、そのそれぞれの電極の中への分岐または集中経路を辿り、該磁場と電流とは、その液体材料を循環させる撹拌力をそのそれぞれの電極の中に生じさせるように共同作用する、請求項27に記載のバッテリ。
【請求項37】
外部エネルギー交換デバイスをさらに備え、該外部エネルギー交換デバイスは、前記正電流コレクタおよび前記負電流コレクタに接続されて、それを通って前記電流が流れる回路を作成する、請求項36に記載のバッテリ。
【請求項38】
前記1つの層は、前記負電極であり、前記負電流コレクタは、該負電極の中へ実質的に垂直に突出する突出を含み、該突出と実質的に平行な負端子をさらに備え、該負電流コレクタに電気接続される第1端と、前記外部デバイスへの接続のために適合される第2端とを有することにより、前記バッテリが該外部デバイスとの回路内にあるときに、電流が該負電極を往復して該突出を通り、および該負端子を通って流れ、それにより、その周囲に磁場を生じさせ、該磁場は、その液体材料を循環させる撹拌力をその中に生じさせるように、該負電極の中の電流と共同作用する、請求項27に記載のバッテリ。
【請求項39】
前記容器は、円筒形であり、中心軸を有し、前記突出は、該容器の中の該中心軸と非対称および平行に配置される、請求項38に記載のバッテリ。
【請求項40】
外部デバイスとエネルギーを交換するように構成されるバッテリであって、該バッテリは、
第1の化学ポテンシャルにおけるカルシウムと、混和性元素とを備える、第1の密度を有する導電性溶融合金の正電極と、
第2の化学ポテンシャルにおけるカルシウムと、付加的な金属とを備える、該第1の密度よりも小さい第2の密度を有する導電性液体混合物の負電極であって、該第2の化学ポテンシャルは、該第1の化学ポテンシャルとは異なり、該正電極と負電極との間に電圧を生成する、負電極と、
該負電極および正電極と接触し、それらとともにそれぞれの電極/電解質界面を形成するカルシウム陽イオンを備える、該第1の密度よりも大きく該第2の密度よりも小さい第3の密度を有する液体電解質と
を備え、該負電極および正電極ならびに該電解質は、750℃未満の動作温度にある、バッテリ。
【請求項41】
前記電圧は、少なくとも0.5Vである、請求項40に記載のバッテリ。
【請求項42】
前記付加的な金属は、マグネシウムである、請求項40に記載のバッテリ。
【請求項43】
前記負電極は、約40原子パーセント未満のカルシウムである、請求項40に記載のバッテリ。
【請求項44】
前記負電極は、約60原子パーセント以上のカルシウムである、請求項40に記載のバッテリ。
【請求項45】
前記混和性元素は、ビスマスである、請求項40に記載のバッテリ。
【請求項46】
前記混和性元素は、アルミニウムである、請求項40に記載のバッテリ。
【請求項47】
前記電解質は、塩化カルシウムを備える、請求項40に記載のバッテリ。
【請求項48】
前記電解質は、少なくとも1つのハロゲン化カリウムをさらに備える、請求項47に記載のバッテリ。
【請求項49】
前記負電極と正電極との間に配置される前記電解質によって湿潤可能であるが、該負電極または正電極によって湿潤可能ではない材料のセパレータをさらに備える、請求項40に記載のバッテリ。
【請求項50】
前記負電流コレクタは、表面張力によって前記負電極を含有する部分を備える、請求項40に記載のバッテリ。
【請求項51】
前記正電極、負電極、および電解質は、それぞれの液体材料のそれぞれの液体層として存在し、前記層のうちの1つの中に循環を生成し、それにより、前記電極/電解質界面のうちの1つを往復して該1つの層の液体材料の流動を誘発する、前記バッテリの中の循環生成器をさらに備える、請求項40に記載のバッテリ。
【請求項52】
前記循環生成器は、前記1つの層の中に温度勾配を生じるように構成され、それにより、該1つの層の前記液体材料の重力駆動対流を誘発する、請求項51に記載のバッテリ。
【請求項53】
前記循環生成器は、磁場と、前記正電極および前記負電極のうちの1つの中の電流との共同作用によって、前記1つの層の中に循環を生成するように構成される、請求項51に記載のバッテリ。
【請求項54】
外部回路から伝達される電気エネルギーを貯蔵する方法であって、該方法は、
電気化学バッテリを提供することであって、該電気化学バッテリは、
第1の化学ポテンシャルにおけるアルカリ土類金属を備える導電性液体合金の正電極と、
第2の化学ポテンシャルにおける該アルカリ土類金属を備える導電性液体の負電極と、
該外部回路と接続するように構成される、該負電極および正電極と接触している、該アルカリ土類金属の陽イオンを備える液体電解質と、
該外部回路に接続するように構成される、該正電極と接触している正電流コレクタと、
該外部回路に接続するように構成される、該負電極と接触している負電流コレクタと
を備える、ことと、
該外部回路を該負電流コレクタおよび正電流コレクタに電気的に接続することと、
該正電極から陽イオンとしての該電解質を介して該負電極へのアルカリ土類金属の伝達を駆動するように該外部回路を操作し、それにより、該外部回路から該電気化学バッテリへエネルギーを送達することと
を含む、方法。
【請求項55】
外部負荷を前記負電流コレクタおよび正電流コレクタに電気的に接続し、それにより、前記電解質を介してイオン的に前記負電極から前記正電極へのアルカリ土類金属の同時伝達を可能にし、それにより、前記電気化学電池から該外部負荷までエネルギーを送達することをさらに含む、請求項54に記載の方法。
【請求項56】
前記外部回路は、発電所である、請求項54に記載の方法。
【請求項57】
前記外部回路および前記外部負荷のうちの少なくとも1つは、送電線である、請求項55に記載の方法。
【請求項58】
前記外部回路は、再生可能エネルギー源から変換されたエネルギーを送達する、請求項54に記載の方法。
【請求項59】
前記電池は、無停電電力供給の一部である、請求項54に記載の方法。
【請求項60】
前記電解質ならびに前記正電極および負電極は、750℃未満の動作温度である、請求項54に記載の方法。
【請求項61】
前記液体電解質は、表面上の前記正電極に接触するように構成され、該正電極からアルカリ土類金属を伝達することは、該表面上に1A/cm2よりも大きい電流を構成する、請求項54に記載の方法。
【請求項62】
前記正電極、負電極、および電解質は、それぞれの液体材料のそれぞれの液体層として存在し、電極/電解質界面のうちの1つを往復する1つの層の材料の流束を増加させるように、該層のうちの少なくとも1つの中に循環を生成するために、前記バッテリにおいて通常の動作エネルギーを使用することをさらに含む、請求項54に記載の方法。
【請求項63】
外部デバイスとエネルギーを交換する方法であって、該方法は、
外部エネルギー交換デバイスを提供することと、
バッテリを提供することであって、該バッテリは、正電極、負電極、および介在電解質を含有する容器であって、該正電極および負電極ならびに電解質が、隣接する層がそれぞれの電極/電解質界面を形成するように、垂直スタックの中の液体材料層として存在する、容器と、該正電極と電気接触している正電流コレクタと、該負電極と電気接触している負電流コレクタと、電気接続とを含み、該電気接続は、該外部エネルギー交換デバイスを該正電流コレクタおよび負電流コレクタに接続し、それにより、自身を通って電流が流れる回路を作成する、ことと、
該電極/電解質界面のうちの1つを往復する1つの層の材料の流束を増加させるように、該層のうちの少なくとも1つの中に循環を生成するために、該バッテリにおいて通常の動作エネルギーを使用することと
を含む、方法。
【請求項64】
前記循環は、
前記容器を熱的に絶縁することと、
前記少なくとも1つの層の中に温度勾配を生じさせるように、該容器から熱を放散することであって、該温度勾配は、その前記液体材料の重力駆動対流を引き起こす、ことと
によって生成される、請求項63に記載の方法。
【請求項65】
前記循環は、
前記電流コレクタのうちの少なくとも1つを形成することであって、該1つの電流コレクタと接触している前記電極の中へ延在する突出を伴っている、ことと、
前記バッテリの充電および放電中に前記回路の中の電流の経路を方向付けることであって、それにより、該少なくとも1つの電流コレクタに近接する磁場を生じさせ、該磁場は、該少なくとも1つの電流コレクタと接触している該電極を往復する電流と共同作用して、その中に撹拌力を誘発する、ことと
によって生成される、請求項63に記載の方法。
【請求項66】
外部デバイスとエネルギーを交換する電気化学バッテリであって、該バッテリは、
壁を有し、正電極、負電極、および介在電解質を含有する無蓋容器であって、該電極および該電解質は、該バッテリの動作温度において該容器の壁の中の垂直スタックの中に液体材料層として存在し、該正電極および該負電極のうちの1つは、該電解質上に配置される、無蓋容器と、
該容器の最上部を閉じる蓋と、
該正電極と電気接触している正電流コレクタと、
該負電極と電気接触している負電流コレクタと
を備え、該正電流コレクタおよび該負電流コレクタは、それを通って電流が流れる回路を作成するように、該外部デバイスへの接続のために適合され、
該1つの電極と電気接触している該電流コレクタは、該蓋から吊るされ、該壁から離して該1つの電極を保持し、該1つの電極の液体材料によって湿潤されない第1の物質である第1の部材と、該1つの電極の液体材料によって湿潤される第2の物質である、該第1の部材内の第2の導電性部材とを含む複合導電性構造を備える、バッテリ。
【請求項67】
前記第1の部材は、逆カップ状構造であり、前記第2の部材は、中心シャフト、リング、およびプレートから成る群より選択される、請求項66に記載のバッテリ。
【請求項68】
前記1つの電極は、アルカリ土類金属を備え、前記第1の物質は、炭素または軟鋼合金であり、前記第2の物質は、鋼鉄またはステンレス鋼である、請求項66に記載のバッテリ。
【請求項69】
電気化学バッテリであって、
正電極と、
負電極と、
該正電極と該負電極との間に配置される電解質と、
隣接する層がそれぞれの電極/電解質界面を形成するように、該正電極、該負電極、および該電解質が、該バッテリの動作温度において垂直スタックの中にそれぞれの液体材料層として存在する容器と、
前記層のうちの少なくとも1つの中に循環を生成し、それにより、該電極/電解質界面のうちの1つを往復して該1つの層の液体材料の流動を誘発するように構成される循環生成器と
を備える、バッテリ。
【請求項70】
前記1つの層の中の前記液体材料の流動は、前記層のうちの別の層の中に循環を誘発する、請求項69に記載のバッテリ。
【請求項71】
前記負電極と電気接触し、外部デバイスへの接続のために構成される負電流コレクタと、
前記正電極と電気接触し、該外部デバイスへの接続のために構成される正電流コレクタと
をさらに備える、請求項69に記載のバッテリ。
【請求項72】
前記循環生成器は、前記1つの層の中に温度勾配を生じるように構成され、それにより、該1つの層の前記液体材料の重力駆動対流を誘発する、請求項69に記載のバッテリ。
【請求項73】
前記容器は、熱伝導性であり、
前記循環生成器は、該容器を封入する熱絶縁筐体と、前記1つの層の高さにある該筐体の第1の壁の中の熱管理デバイスとを備え、該熱管理デバイスは、該容器と外側空間との間の第1の壁を通る熱伝達経路を提供して、その液体材料の重力駆動対流を引き起こす温度勾配が該1つの層の中に発生させられる、請求項69に記載のバッテリ。
【請求項74】
前記熱管理デバイスは、1つ以上の熱伝導性部材を備え、該熱伝導性部材は、前記第1の壁を通って延在し、前記容器と密接に熱接触している、請求項73に記載のバッテリ。
【請求項75】
前記容器および筐体は、円筒形であり、前記1つ以上の熱伝導性部材は、金属リングを含む、請求項74に記載のバッテリ。
【請求項76】
前記容器および前記筐体は、長方形であり、前記1つ以上の熱伝導性部材は、前記第1の壁の長さに沿って離間している金属棒を含む、請求項74に記載のバッテリ。
【請求項77】
前記1つ以上の熱管理デバイスは、1つ以上の付加的な熱伝導性部材を含み、該付加的な熱伝導性部材は、前記第1の壁と反対側の前記筐体の第2の壁を通って延在し、前記容器と密接に熱接触している、請求項74に記載のバッテリ。
【請求項78】
前記熱管理デバイスは、前記筐体の別の部分と比較して、前記第1の壁の厚さおよび/熱伝導性が低減していることを含む、請求項73に記載のバッテリ。
【請求項79】
前記1つの層は、前記電解質である、請求項73に記載のバッテリ。
【請求項80】
前記1つの層は、前記正電極および前記負電極のうちの1つであり、前記電解質の下に配置される、請求項73に記載のバッテリ。
【請求項81】
前記容器は、熱伝導性であり、
前記循環生成器は、該容器を封入する熱絶縁筐体と、前記1つの層の高さにある前記バッテリ中の熱管理デバイスとを備え、該熱管理デバイスは、その液体材料の重力駆動対流を引き起こす温度勾配を該1つの層の中に発生させる、請求項69に記載のバッテリ。
【請求項82】
前記熱管理デバイスは、加熱デバイスを含む、請求項81に記載のバッテリ。
【請求項83】
前記容器を覆い、該容器から電気的に絶縁される導電性蓋をさらに備え、
前記1つの層は、前記正電極および前記負電極のうちの1つであり、前記電解質の上に配置され、
前記循環生成器は、該容器および該蓋を封入する熱絶縁筐体と、該蓋における該筐体の該壁の中の熱管理デバイスとを備え、該蓋と外側空間との間の壁を通る熱伝達経路を提供して、その液体材料の重力駆動対流を引き起こす温度勾配が前記1つの層の中に発生させられる、請求項69に記載のバッテリ。
【請求項84】
前記熱管理デバイスは、前記壁を通って延在し、前記蓋と密接に熱接触している1つ以上の熱伝導性部材を備える、請求項83に記載のバッテリ。
【請求項85】
前記循環生成器は、前記正電極および前記負電極のうちの1つの中の電流と磁場との共同作用によって、前記1つの層の中に循環を生成するように構成される、請求項69に記載のバッテリ。
【請求項86】
前記1つの層は、前記正電極および前記負電極のうちの1つであり、前記電解質の下に配置され、
該1つの層と接触している前記電流コレクタは、該1つの層の中へ突出する突出を含み、それにより、突出を通って流れる電流が、その周囲に磁場を作成し、該1つの層の中の分岐または集中経路を辿り、該磁場と電流とは、その液体材料を循環させる撹拌力を該1つの層の中に生じさせるように共同作用する、請求項71に記載のバッテリ。
【請求項87】
外部エネルギー交換デバイスと、
前記正電流コレクタおよび負電流コレクタを前記外部エネルギー交換デバイスに接続する電気接続であって、該外部エネルギー交換デバイスは、自身を通って前記電流が流れる回路を作成するように構成される、電気接続と
をさらに備える、請求項86に記載のバッテリ。
【請求項88】
前記1つの層は、前記正電極および前記負電極のうちの1つであり、前記電解質の上に配置され、
該層と接触している前記電流コレクタは、前記1つの層の中へ突出する突出を含み、それにより、該突出を通って流れる電流が、その周囲に磁場を作成し、該1つの層の中の分岐または集中経路を辿り、該磁場と電流とは、その液体材料を循環させる撹拌力を該1つの層の中に生じさせるように共同作用する、請求項71に記載のバッテリ。
【請求項89】
外部エネルギー交換デバイスと、
それを通って前記電流が流れる回路を作成するように構成される、前記正電流コレクタおよび負電流コレクタを前記外部エネルギー交換デバイスに接続する電気接続と
をさらに備える、請求項88に記載のバッテリ。
【請求項90】
前記1つの層は、前記正電極および前記負電極のうちの1つであり、前記電解質の上に配置され、
該1つの層と接触している前記電流コレクタは、該1つの層の中へ実質的に垂直に突出する突出を含み、それにより、前記バッテリが前記外部デバイスとの回路内にあるときに、電流が該1つの層を往復して該突出を通って流れ、該突出と実質的に平行な端子をさらに備え、該1つの層と接触している該電流コレクタに電気的に接続される第1端と、該外部デバイスへの接続のために適合される第2端とを有するため、該バッテリが該外部デバイスとの回路内にあるときに、該電流が該端子を通って流れ、それにより、その周囲に磁場を生じさせ、該1つの層を往復する経路を辿り、該磁場は、その液体材料を循環させる撹拌力を該1つの層の中に生じさせるように、該1つの層の中の該電流と共同作用する、請求項71に記載のバッテリ。
【請求項91】
外部エネルギー交換デバイスと、
自身を通って電流が流れる回路を作成するために、該外部エネルギー交換デバイスと、それぞれ前記1つの層および前記端子と接触していない前記電流コレクタとの間の電気接続と
をさらに備える、請求項90に記載のバッテリ。
【請求項92】
前記容器は、円筒形であり、中心軸を有し、前記突出は、該容器の中の該中心軸と非対称および平行に配置される、請求項90に記載のバッテリ。
【請求項93】
電流コレクタをさらに備え、該電流コレクタは、前記電解質層の上に前記1つの電極を保持し、該1つの電極の液体材料によって湿潤されない第1の物質である第1の部材と、該1つの電極の該液体材料によって湿潤される第2の物質である、該第1の部材内の第2の導電性部材とを含む複合導電性構造を含む、前記正電極および前記負電極のうちの1つと接触している電流コレクタをさらに備える、請求項69に記載のバッテリ。
【請求項94】
前記第1の物質は、逆カップ状構造を含み、前記第2の部材は、中心シャフト、リング、およびプレートから成る群より選択される、請求項93に記載のバッテリ。
【請求項95】
前記1つの電極は、アルカリ土類金属であり、前記第1の物質は、炭素または軟鋼合金であり、前記第2の物質は、鋼鉄またはステンレス鋼である、請求項93に記載のバッテリ。
【請求項96】
前記液体材料の流動は、0.1mm/sよりも大きい流速を有する、請求項69に記載のバッテリ。
【請求項97】
前記バッテリは、電流が、前記外部デバイスおよび前記電流コレクタを含む回路を通って流れるときに、電極/電解質界面への活性種の流束が、対流拡散のみによって引き起こされる該電極/電解質界面への活性種の流束よりも大きくなるように構成される、請求項71に記載のバッテリ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5A】
【図5B】
【図6A】
【図6B】
【図6C】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【公表番号】特表2012−533865(P2012−533865A)
【公表日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−521614(P2012−521614)
【出願日】平成22年7月20日(2010.7.20)
【国際出願番号】PCT/US2010/002035
【国際公開番号】WO2011/011056
【国際公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(596060697)マサチューセッツ インスティテュート オブ テクノロジー (233)
【Fターム(参考)】
【公表日】平成24年12月27日(2012.12.27)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年7月20日(2010.7.20)
【国際出願番号】PCT/US2010/002035
【国際公開番号】WO2011/011056
【国際公開日】平成23年1月27日(2011.1.27)
【出願人】(596060697)マサチューセッツ インスティテュート オブ テクノロジー (233)
【Fターム(参考)】
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