説明

液処理装置、液処理方法及び記憶媒体

【課題】置換される液体の種類に応じて処理槽内の流れを調節することが可能な液処理装置等を提供する。
【解決手段】内部に被処理基板Wを収容し、液処理が行われる処理槽22は上部に開口部222が形成されると共に、下部には置換液の供給、及び液体の排出が行われる下部ポート226が設けられ、この開口部222に対して着脱自在に構成された蓋部23には液体の供給、気体の排出を行うための上部ポート234が設けられている。搬送機構4は、保管部5と処理槽22との間で、上部ポート234から供給された液体の流れを調節するために、被処理基板Wとの間に交換可能に取り付けられ、互いに開口面積が異なる孔部が形成された第1の整流板または第2の整流板を搬送し、乾燥雰囲気形成部は乾燥防止用の液体が満たされた処理槽22内を高圧流体の雰囲気とした後、減圧して被処理基板Wを乾燥する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、被処理基板に対して処理液を用いて液処理を行う技術に関する。
【背景技術】
【0002】
被処理基板である例えば半導体ウエハ(以下、ウエハという)の表面に集積回路の積層構造を形成する半導体装置の製造工程においては、薬液などの処理液によりウエハ表面の微小なごみや自然酸化膜を除去するなど、液体を利用してウエハ表面を処理する液処理工程が設けられている。
【0003】
液処理に際してウエハ表面に供給された処理液は、例えばウエハを鉛直軸周りに回転させて処理液を振り切る振切乾燥などにより除去されるが、半導体装置の高集積化に伴い、いわゆるパターン倒れの問題が大きくなってきている。パターン倒れは、例えばウエハ表面に残った液体を乾燥させる際に、パターンを形成する凹凸の例えば凸部の左右に残っている液体が不均一に乾燥することにより、この凸部を左右に引っ張る表面張力のバランスが崩れて液体の多く残っている方向に凸部が倒れる現象である。
【0004】
こうしたパターン倒れを抑えつつウエハ表面に残った液体を除去する手法として超臨界状態や亜臨界状態の流体(以下、これらをまとめて高圧流体という)を用いた乾燥方法が知られている。乾燥処理では超臨界流体と亜臨海流体は、ほぼ同じ作用を示すので以下超臨界流体の例について説明すると、超臨界流体は、液体と比べて粘度が小さく、また液体を溶解する能力も高いことに加え、超臨界流体と平衡状態にある液体や気体との間で界面が存在しない。そこで、液体の付着した状態のウエハを超臨界流体と置換し、しかる後、超臨界流体を気体に状態変化させると、表面張力の影響を受けることなく液体を乾燥させることができる。
【0005】
そこで本発明者らは処理槽内にウエハを収容し、供給する液体の種類を変えながらウエハを液中に浸漬した状態で表面の処理を行った後、当該ウエハ周囲の流体を液体から超臨界流体に置換することにより、パターン倒れの発生を抑えつつ液処理を行う技術の開発を進めている。この技術では、ウエハ表面に供給される液の流れを調節するために、処理槽内に整流板を設けることを検討している。ところが整流板は、液体同士の混合を促進して、ウエハ表面を均一に処理する役割が求められたり、反対に液体同士の混合を抑制して効率よく置換を進める役割が必要とされたりするため、ある液の置換に好適な整流板を選択すると、他の液体の置換にはふさわしくない流れの状態を作り出してしまう場合があることが分かった。
【0006】
ここで特許文献1には複数の洗浄工程を同一の洗浄槽内で行うワンバス方式の洗浄装置において、洗浄槽内に垂直保持された半導体基板の上部に、当該半導体基板の直径より大きい開口部を有する処理液ノズルを設け、半導体基板の表面に処理液の膜状流を形成しながら洗浄を行う技術が記載されているが、整流板に関する記載はない。
【0007】
また特許文献2には、扁平な洗浄処理容器内の扁平な面に平行に基板を配置して、この基板と平行に一方向に洗浄液を流して基板の洗浄を行う際に、洗浄液の供給部にルーバ状の整流部材を設け、洗浄液の流れを均一化する技術が記載されている。しかしながら特許文献2に係わる基板洗浄装置では、同種の洗浄液を整流する技術が記載されているだけであり、置換される液体が切り替えられる場合の整流部材の構成は明らかでない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第3937508号公報:段落0012、図1
【特許文献2】特開2002−224627号公報:段落0056、図8
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、置換される液体の種類に応じて処理槽内の流れを調節することが可能な液処理装置、液処理方法及びこの方法を記憶した記憶媒体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る液処理装置は、上部には開口が形成されると共に、下部には、内部の気体と置換される置換液の供給、及び液体の排出が行われる下部ポートが設けられ、内部に収容した被処理基板の液処理を行うための処理槽と、
この処理槽内へ液体を供給し、また気体を排出するための上部ポートが設けられ、前記開口を気密に塞ぐ着脱自在な蓋部と、
前記上部ポートから供給された液体の流れを調節するために、前記被処理基板と前記上部ポートとの間に交換可能に取り付けられ、互いに開口面積が異なる孔部が形成された第1の整流板及び第2の整流板と、
前記処理槽の外部にて、前記第1の整流板及び第2の整流板を保管する保管部と、
前記処理槽内の置換液を、上部ポートから供給される処理液に置換するときには、前記第1の整流板を処理槽に装着し、その後、当該処理槽内の液体を、上部ポートから供給される他の液体に置換するときには、前記第2の整流板を装着するために、前記保管部と前記処理槽との間で前記第1の整流板または第2の整流板を搬送する搬送機構と、
前記他の液体を処理槽内に供給した後において、前記処理槽内を超臨界状態または亜臨界状態の高圧流体の雰囲気とした後、減圧により当該高圧流体を気体にして被処理基板を乾燥するための乾燥雰囲気形成部と、を備えたことを特徴とする。
【0011】
前記液処理装置は以下の特徴を備えていてもよい。
(a)前記蓋部は、前記第1の整流板と一体に構成された第1の蓋部と、前記第2の整流板と一体に構成された第2の蓋部とに分かれており、前記搬送機構は、当該第1の蓋部または第2の蓋部を前記保管部と処理槽との間で搬送すること。
(b)前記第1の整流板と第2の整流板とは、孔数、孔径の少なくとも一方を変えることにより、孔部の開口面積を異ならせていること。
(c)前記第1の整流板と第2の整流板とのうち、一方の整流板の孔部の開口面積を他方の整流板の孔部の開口面積より小さくすることにより、当該一方の整流板が取り付けられている際の処理槽内の液体同士の混合度合いを大きくしたこと。
【0012】
(d)前記第1の整流板と第2の整流板とのうち、一方の整流板の孔部の開口面積を他方の整流板の孔部の開口面積より大きくすることにより、当該一方の整流板が配置された期間中における処理槽内の液体同士の混合を抑えて、液体の置換が行われやすくなるようにしたこと。
(e)前記蓋部を取り外した状態で処理槽を収容し、この処理槽内を高圧流体の雰囲気とする処理が行われる外部容器を備え、当該処理槽には、蓋部の取り付け、取り外しが行われる位置と、前記外部容器との間で処理槽を移動させる移動機構が設けられていること。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、被処理基板の液処理を行う処理槽に対して、第1の整流板と第2の整流板とを交換することができるので、置換される液体の種類に応じた整流作用を発揮させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本実施の形態の液処理装置及びウエハの受け渡し機構の一例を示す斜視図である。
【図2】前記液処理装置の全体構成を示す模式図である。
【図3】前記液処理装置に設けられる処理槽の一部破断斜視図である。
【図4】前記処理槽及び超臨界処理用の外部容器の構成を示す第1の説明図である。
【図5】前記処理槽及び外部容器の第2の説明図である。
【図6】前記液処理装置に設けられている、整流板の搬送機構の構成を示す第1の斜視図である。
【図7】前記整流板の搬送機構を示す第2の斜視図である。
【図8】前記整流板の外観構成を示す斜視図である。
【図9】第1の整流板の孔部の位置を示す平面図である。
【図10】第2の整流板の孔部の位置を示す平面図である。
【図11】前記液処理装置の作用を示す第1の説明図である。
【図12】前記液処理装置の作用を示す第2の説明図である
【図13】前記液処理装置の作用を示す第3の説明図である
【図14】前記液処理装置の作用を示す第4の説明図である
【図15】前記液処理装置の作用を示す第5の説明図である
【図16】前記液処理装置の作用を示す第6の説明図である
【図17】前記液処理装置の作用を示す第7の説明図である
【図18】前記液処理装置の作用を示す第8の説明図である
【図19】前記液処理装置の作用を示す第9の説明図である
【図20】前記液処理装置の作用を示す第10の説明図である
【図21】前記液処理装置の作用を示す第11の説明図である
【図22】前記液処理装置の作用を示す第12の説明図である
【図23】前記液処理装置の作用を示す第13の説明図である
【図24】前記液処理装置の作用を示す第14の説明図である
【図25】他の例に係わる整流板の孔部の位置を示す平面図である。
【図26】他の例に関わる液処理装置における蓋部の搬送機構の構成例を示す縦断側面図である。
【図27】前記他の例に関わる液処理装置の作用を示す第1の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明の液処理装置を備えたシステムの一例として、被処理基板であるウエハWに処理液を供給して液処理を行う液処理装置2について説明する。図1は本実施の形態の液処理装置2及びこの液処理装置2にウエハWを搬入する機構の構成を示す一部破断斜視図である。液処理装置2は外部に設けられたウエハの搬送機構からのアクセスが可能な筐体101内の例えば床面上に配置されており、その上方側の空間には、液処理装置2と外部のウエハ搬送機構との間でウエハWの受け渡しを行う受け渡し機構が設けられている。本例では、この受け渡し機構として、ウエハWを保持して搬送する受け渡しアーム11と、液処理装置2への搬入出前後のウエハWが載置される搬入出棚12とが設けられている。図1では、搬入出棚12の設けられている方向を前方として説明を行う。
【0016】
受け渡しアーム11は、例えば筐体101内の底部に配置されている液処理装置2の上方側、後方寄りの位置に配置されており、真空チャックが設けられたフォーク111などによって、ウエハWを1枚ずつ保持することが可能な、例えば6軸の多関節アームである。また受け渡しアーム11は、仕切板105や支持台106によって仕切られた空間内に設置されており、受け渡しアーム41の作動によって発生するパーティクルなどがウエハWの搬送される空間へと進入しにくくなるようにしている。図中、104はウエハWの受け渡しを行う空間に受け渡しアーム11を進入させるためのアクセス口である。
【0017】
搬入出棚12は、例えば液処理装置2の上方側、前方寄りの位置に設けられており、ウエハWを1枚ずつ水平に保持する例えば3本の昇降ピンを介して外部のウエハ搬送機構と受け渡しアーム11との間でのウエハWの受け渡しを可能にする。搬入出棚12を手前側から見ると、上面に向かって開口している処理槽22の上方側、側方寄りの位置に配置されている。この配置によりウエハWを上下方向に搬送するための搬送経路が確保され、搬入出棚12と干渉することなく迅速にウエハWを処理槽22から搬入出することができる。搬入出棚12は図1に示した如く1つだけ設ける場合に限定されず、搬入用と搬出用の2つの搬入出棚12を設け、液処理後のウエハWの再汚染を抑えてもよい。
【0018】
図1中、103は液処理の前後のウエハWが搬入出される搬入出口であり、外部のウエハ搬送機構は、この搬入出口103を介して筐体101内に進入する。また102は筐体101内に清浄空気のダウンフローを形成するためのFFU(Fan Filter Unit)、107は当該ダウンフローの排気口である。
【0019】
この筐体101内に設けられた液処理装置2は、液処理を行った後、高圧流体、例えば超臨界流体を利用することにより表面に気液界面を形成せずにウエハWを乾燥することができる。図2に示すように液処理装置2は、ウエハWに対する液処理が実行される処理槽22と、液処理を行う際にこの処理槽22を密閉する蓋部23と、超臨界流体を用いてウエハWを乾燥する処理を行う際に処理槽22を収容する外部容器21とを備えている。
【0020】
図4、図5に示すように外部容器21は、例えば縦方向に扁平な直方体形状の耐圧容器として構成されており、その内部には処理槽22を収容することが可能な空間が形成されている。図2に示すように外部容器21には例えば抵抗発熱体からなるヒーター212が設けられていて、電源部213からの給電により、外部容器21の本体を加熱し、これにより後述する乾燥防止用の液体を加熱して超臨界状態にすることができる。ヒーター212などにより構成される加熱機構は、本実施の形態の乾燥雰囲気形成部の一部を構成している。
【0021】
図3に示すように処理槽22は1枚、または複数枚のウエハWを縦向きに格納することが可能な容器であり、後述する処理液や乾燥防止用の液体中に浸漬した状態でウエハWを保持することができる。処理槽22は、外部容器21の内部空間より幅の狭い、縦方向に扁平な形状となっており、外部容器21は前記空間内に処理槽22を収容することができる。
【0022】
ここで処理槽22に複数枚のウエハWを格納する場合には、例えば隣り合うウエハWにて、パターンが形成される面同士を対向させるように配置することにより当該面へのパーティクル等の付着を避けるようにするとよい。ウエハWの枚数が奇数枚の場合には、残る1枚のウエハWは、パターンの形成面を他のウエハW側に向け、処理槽22の壁面に対向させないようにすることが好ましい。
【0023】
図3に示すように処理槽22の上面には開口部222が設けられており、受け渡しアーム11に保持されたウエハWはこの開口部を介して処理槽22内に搬入される。
一方、処理槽22の底部はウエハWの形状に沿って湾曲した形状となっており、ウエハWを格納する空間の下部側にはウエハWを保持するためのウエハ保持部材223が設けられている。ウエハ保持部材223には、ウエハWの形状に沿った不図示の溝が形成されており、ウエハWの周縁部をこの溝内に嵌合させることによりウエハWを縦向きに保持することができる。またウエハ保持部材223は、処理槽22に供給された液体が各ウエハWの表面に十分に接触し、且つ、ウエハWを保持したフォーク111が処理槽22内に進入しても、ウエハWやフォーク111が他のウエハWや処理槽22本体と干渉しないように溝の配置位置や溝同士の間隔が調整されている。
【0024】
図3に示すように処理槽22の底面には、処理槽22内の気体と置換される置換液であるDIW(DeionIzed Water)を供給し、また各種液体や超臨界流体を排出するための開口部224が設けられている。図2に示すように、この開口部224は流体の供給・排出ポート226を介して供給・排出ライン34に接続されている。後述するように処理槽22は横方向に移動することができるので、供給・排出ライン34は例えば耐圧性を備えたフレキシブル配管などにより構成され、処理槽22の移動に伴って変形することができる。供給・排出ポート226は本実施の形態の下部ポートに相当する。また、超臨界流体を排出して減圧により超臨界流体を気体にするという観点においては、供給・排出ポート226は乾燥雰囲気形成部の一部としての機能を兼ね備えていることにもなる。
【0025】
図2に示すように供給・排出ポート226に接続された供給・排出ライン34の他端側には、複合バルブなどからなる切り替えバルブV6が設けられており、この切り替えバルブV6は、処理槽内の気体と置換される液体であるDIWを供給するDIW供給部311及び、例えば外部の除害設備や処理液の回収設備などへと続く配管ラインが接続されている。
【0026】
処理槽22は、例えば幅の狭い側面部にて厚板状の封止板221に固定されている。そしてこの封止板221を横方向に移動させることによって、受け渡しアーム11との間でのウエハWの受け渡しが行われる受け渡し位置と後述する蓋部23の取り付け、取り外しが行われる位置や、外部容器21との間で処理槽22を移動させることができる。また後述するように本例に係わる液処理装置2では、ウエハWの受け渡し位置において、整流板27の取り替えも行うことができる。
【0027】
さらに封止板221は、図2に破線で示すように、処理槽12が外部容器21内に収容されたときに、当該外部容器21の開口部211を塞ぐ役割も果たしている。外部容器21の開口部211の周囲には不図示のOリングが設けられており、封止板221は、このOリングを押しつぶして外部容器21内の処理空間を密閉することができる。
【0028】
図4、図5に示すように封止板221は台座部26に支持されており、例えばこの台座部26には処理槽22を移動させる方向に沿って当該台座部26を切り抜いた走行軌道261が形成されている。一方、封止板221の下端部には、当該走行軌道261内に向けて下方側に伸びだした走行部材225が設けられている。そして図2、図4に示すように、この走行部材225には走行軌道261に沿って掛け渡されたボールネジ263が貫通していて、これら走行部材225とボールネジ263とでボールネジ機構を構成している。
【0029】
そしてボールネジ263の一端に設けられた駆動部262(図2)により当該ボールネジ263を左右いずれかの方向に回転させることにより、走行軌道261内で走行部材225が走行し、これによりウエハWの受け渡し位置から、蓋部23の下方位置や外部容器21に処理槽22を移動させることができる。そしてこれとは反対に、ボールネジ263を反対方向に回転させることにより、外部容器21の内部から受け渡し位置へ向けて処理槽22を移動させることができる。これらの観点において、ボールネジ263や走行部材225、駆動部262は、処理槽22の移動機構に相当する。但し処理槽22を移動させる移動機構は、上述したボールネジ機構の例に限定されるものではなく、例えばリニアモータや伸縮アーム、エアシリンダーなどを用いてもよい。
【0030】
また図1、図4〜5に示すように液処理装置2には、封止板221や処理槽22が移動する領域を側面から覆うように、壁部24が設けられている。壁部24は封止板221の走行方向に沿って伸びる2枚の側壁部材241と、外部容器21の開口部211と対向するように設けられた前方壁部材242とから構成されている。そして前記2枚の側壁部材241の奥手側の一端は、例えば外部容器21の側壁面に強固に固定されており、これにより壁部24は外部容器21と一体になっている。
【0031】
また液処理装置2は、外部容器21内で超臨界流体を利用したウエハWの乾燥を行う際に封止板221が受ける内圧に抗して、当該封止板221を外部容器21側へ向けて押さえつけるための固定板25を備えている。この固定板25は、処理槽22及び封止板221が横方向に移動する領域から退避した位置と、封止板221を外部容器21側へ向けて側面側から押さえる位置との間を、不図示の駆動機構により横方向に移動可能なように構成されている。
【0032】
一方、2枚の側壁部材241には、左右方向に移動する固定板25を貫通させることが可能な嵌入孔243が形成されており、壁部24(側壁部材241)の外方で待機している固定板25は、一方側の側壁部材241の嵌入孔243を通り抜けて封止板221を固定する位置へと移動することができる。また封止板221を固定する位置まで移動した固定板25は、その左右両端部が各側壁部材241の嵌入孔243に嵌め込まれた状態となり、この結果、固定板25がかんぬきのように側壁部材241に係止され、外部容器21内の圧力に抗して封止板221を押さえつけることができる(図5参照)。
【0033】
次いで処理槽22に処理液や乾燥防止用の液体などを供給する蓋部23について説明する。図1、図2に示すように蓋部23は既述のウエハWの受け渡し位置と、外部容器21との間に配置されており、これらの位置の間を横方向に移動する処理槽22の上方側にて、例えば壁部24(側壁部材241)に支持されている。
【0034】
蓋部23は、処理槽22の上面に形成された開口部222を気密に塞いで当該処理槽22を密閉する役割を果たし、当該開口部222の形状に合わせて例えば前後方向に細長い部材により形成されている。蓋部23の下面には、周縁部から中央部へ向けて深くなる凹部233が形成されており、この凹部233の頂端には、蓋部23を形成する部材内を貫通し、処理槽22に流体を供給し、また処理槽22内の流体を排出するための上部ポートである供給・排出ポート234が開口している。
【0035】
図2に示すように供給・排出ポート234は、複合バルブなどからなる切り替えバルブV4と接続されており、当該バルブV4には液供給ライン32を介してDIW供給部311、DHF供給部312及びIPA供給部313が接続されている。DHF供給部312は供給・排出ポート234を介して処理槽22内に処理液であるDHF(Diluted Hydro Fluoric acid、希フッ酸)を供給する役割を果たす。
【0036】
またDIW供給部311は既述の置換用の液体の供給に加えDHFによる処理を終えた後の処理槽22にDIWを供給する役割も兼ね備え、この場合のDIWは液処理を終えたあとのウエハWのリンス洗浄を行うリンス液に相当する。そしてIPA供給部313は、リンス洗浄を終えた後のウエハWの乾燥を防ぐために、乾燥防止用の液体であるIPAを供給する役割を果たしている。ここで図2中に示したV1〜V3は開閉弁である。
【0037】
さらに既述の切り替えバルブV4には、外部の除害設備や処理液の回収設備などへと続く排出ライン33が接続されており、当該排出ライン33やここに設けられている開閉バルブV5などは、供給・排出ポート234側に接続されている。
【0038】
このような構成を備えた蓋部23は、図1に示すように昇降機構238を介して壁部24に支持されている。この結果、蓋部23を処理槽22に取り付け、開口部222を塞いで密閉する密閉位置と、この密閉位置から上方側へ退避させることにより処理槽22から蓋部23を取り外し、開口部222を開放する開放位置との間で蓋部23を昇降させることができる。蓋部23を取り外すことにより、横方向に処理槽22を自由に移動させて、受け渡しアーム11との間でウエハWの受け渡しを行ったり、外部容器21内に処理槽22を収容したりすることが可能になる。
【0039】
上述のように蓋部23は昇降機構238によって昇降自在に構成されているので、供給・排出ポート234に接続された液供給ライン32や排出ライン33は、フレキシブル配管などにより構成され、蓋部23の移動に伴って変形することができる。なお、図示の便宜上、図1以外の図においては蓋部23の昇降機構238の記載は省略してある。
【0040】
以上に説明した構成を備えた本実施の形態に係わる液処理装置2では、供給・排出ポート234から供給された各種液体の流れを調節するために、当該供給・排出ポート234と処理槽22との間に整流板27が配置される。背景技術にて説明したように、整流板27は置換される液体の種類に応じて必要とされる機能が異なる場合があるところ、本実施の形態に係わる液処理装置2は、複数種類の整流板27a、27bを取り替えることにより、置換される液体の種類に適した流れの調節(整流作用)を行うことができる。以下、整流板27a、27b及びその取り替えを行う機構の構成について説明する。
【0041】
図1に示すように、本例の液処理装置2は、整流板27a、27bの保管部に相当する保管棚5と、この保管棚5と処理槽22との間で整流板27a、27bを搬送する搬送機構4とを備えている。保管棚5は、例えば受け渡しアーム11から見て、処理槽22を囲む壁部24の右手側の前方位置に配置され、液処理装置2を覆う筐体101の側壁面に取り付けられている。図6に示すように保管棚5は、例えば2段の棚板51を備え、各棚板51上の所定の位置に整流板27a、27bを1つずつ保管することができる。保管棚5と筐体101の側壁面との接続部は開口しており、搬送機構4はこの開口を介して整流板27a、27bにアクセスすることができる。
【0042】
搬送機構4は、前記壁部24の側方位置であって保管棚5と同じ面側に配置されており、当該保管棚5と、ウエハWの受け渡し位置まで移動した処理槽22との双方にアクセスすることが可能である(図1)。図6、図7に示すように本例の搬送機構4は、その先端部に整流板27a、27bを把持するチャック部41を備えたアーム部42と、当該アーム部42を支持する支軸43と、この支軸43を昇降、回転駆動する駆動部44と、当該駆動部を横方向へ移動可能なように支える基台部45とを備えている。
【0043】
チャック部41は、図8に示すように整流板27(27a、27b)に設けられた取手部271を掴んでこれを把持する役割を果たす。また、アーム部42は周囲の壁部24を跨いで処理槽22に整流板27a、27bを取り付けることができるように、チャック部41の設けられた先端側が下向きに折れ曲がっている。
【0044】
以上の構成を備えた搬送機構4は、図6に示すようにアーム部42を保管棚5に向け、各棚板51の高さ位置に合わせてチャック部41を進入させて整流板27a、27bを把持する。そして基台部45上の駆動部44を後退させ、支軸43を伸張させた後、アーム部42の向きを変えることにより、図7に示すように処理槽22の開口部222上方位置まで整流板27a、27bを搬送し、アーム部42を降下させることにより、処理槽22に整流板27a、27bを取り付けることができる。
【0045】
処理槽22に取り付けられる整流板27a、27bは、供給・排出ポート234から凹部233内に供給された液体を分散して処理槽22内に供給する役割を果たす。整流板27a、27bは開口部222に嵌合させて処理槽22への取り付けができるように、当該開口部222の形状に対応した細長い板状の部材から構成されている。整流板27a、27bには孔部272が形成されており、この孔部272の孔数や孔径を変更することにより、置換される液体の種類に応じた整流作用を得ることができる。
【0046】
例えば図9に示した整流板27aは、置換液であるDIWと処理液であるDHFとの置換に適した整流作用を発揮するように設計された孔部272を備えている。例えばDHFは、ウエハWの表面に形成された自然酸化膜などを除去する役割を果たすが、DHFの濃度が処理槽22内で不均一であると、DHFによる液処理のむらが発生してしまうおそれがある。
【0047】
そこで本例に係わる整流板27aでは、例えば短辺が約5mm、長辺が約365mmの面内に、直径2mmの孔部272を2つ設けた構成となっている。これら孔部272のトータルの開口面積を小さくすることにより、孔部272を通り抜けるDHFの流速を大きくすると共に、当該DHFの流れを大きく収縮、拡大させることができる。この結果、供給・排出ポート234と処理槽22内の液体との混合を促進して、処理槽22内のDHFの濃度を均一にしながらDIWとDHFとの置換を進めることができる。
【0048】
図中、破線で示した円は、供給・排出ポート234の開口部の下方位置を示しており、各孔部272はこの開口部の下方位置からずれた位置に配置されている。これにより、供給・排出ポート234から吐出された流体は、整流板27にぶつかって流れ方向を変えてから各孔部272を通流するので整流板27を設けることによる分散作用を確実に発揮させることができる。本例では、整流板27aは第1の整流板に相当している。
【0049】
一方、図10は、DHFによるウエハWの処理を終え、再びDIWで満たされた状態の処理槽22内を、乾燥防止用の液体であるIPAに置換する際に取り付けられる整流板27bを示している。DIWやIPAはウエハWに対しては殆ど不活性であり、ウエハWに接触する際の処理槽22内の濃度が不均一であっても処理むらを生じるなどの不具合はない。このため、DIWとIPAとの混合を抑えつつ、これらの液体が2相に分かれた状態でIPAによりDIWを押し出す流れを形成することができれば比較的短い時間で液体の置換を終えることができる。
【0050】
そこで当該整流板27bは、整流板27aと同様の平面内に、例えば直径1mmの孔部272が5個ずつ、2列に並べて、合計10個設けられている。このように多数の孔部272を設けることにより、トータルの開口面積が大きくなり、各孔部272を通過するIPAの平均流速が小さくなる。この結果、孔部272を通過する前後でのIPAの流れの乱れが小さくなり、DIWとIPAとの混合を抑えながら短い時間で液体の置換を実施できる。本例の整流板27bは第2の整流板に相当している。
【0051】
以上に説明した構成を備えた液処理装置2は、図2に示すように制御部6と接続されている。制御部6は例えば図示しないCPUと記憶部とを備えたコンピュータからなり、記憶部には液処理装置2の作用、即ち外部からウエハWを受け取って処理槽22に搬入して液処理を行い、次いで超臨界流体を利用して乾燥を行ってから、外部のウエハ搬送機構に処理後のウエハWを受け渡すための動作に係わる制御についてのステップ(命令)群が組まれたプログラムが記録されている。このプログラムは、例えばハードディスク、コンパクトディスク、マグネットオプティカルディスク、メモリーカード等の記憶媒体に格納され、そこからコンピュータにインストールされる。
【0052】
特に制御部6は、図2に示すように各種バルブV1〜V6や駆動部262、電源部213などに制御信号を出力し、処理槽22や蓋部23の移動タイミングや移動距離、処理槽22内に供給される流体の供給位置やタイミング、流体の種類の切り替え、処理槽22から流体を排出する位置やタイミングの切り替え、並びに流体の供給、排出量の調整などを行うことができる。さらに制御部6は、供給される液体の種類に応じて適切な整流板27a、27bを選択して処理槽22に取り付けるように、搬送機構4を作動させる役割も果たしている。また外部容器21内の温度についても不図示の温度検出部にて検出した温度に基づき、電源部213から供給される電力量を増減して、外部容器21に収容された処理槽22内の流体を所望の温度に加熱することができるようになっている。
【0053】
以上に説明した構成を備えた液処理装置2の作用について図11〜図24を参照しながら説明する。はじめに、外部のウエハ搬送機構が搬入出口103を介して筐体101内に進入し、ウエハWを搬入出棚12の昇降ピンに受け渡したら、受け渡しアーム11は昇降ピンで支持されたウエハWの下方にフォーク111を進入させ、次いで昇降ピンを降下させることによりフォーク111にウエハWを受け取る。このとき、ウエハWを搬入可能な処理槽22は、内部に液体が満たされていない、空の状態で受け渡し位置にて待機している。
【0054】
搬入出棚12からウエハWを受け取った受け渡しアーム11は、ウエハWを縦向きに起こすと共にフォーク111の先端が処理槽22の開口部に向くように各回転軸を回転させた後、図11に示すようにフォーク111を降下させてウエハWを処理槽22内に搬入する(但し図11ではフォーク111の記載を省略してある)。こうして処理槽22内に所定枚数のウエハWが収容されたら、処理槽22からフォーク111を退避させる。
【0055】
ウエハWが処理槽内に収容されたら、搬送機構4のアーム部42を移動させて保管棚5から整流板27aを取り出して、図12に示すように処理槽22の開口部222上方位置まで搬送し、当該開口部222に嵌合させて整流板27aの取り付けを行う。整流板27aの取り付けを終えたら、蓋部23の装着が行われる位置へ処理槽22を移動させる。なお図示の便宜上、図8、図12、図19以外では、各整流板27a、27bの取手部271の記載は省略してある。
【0056】
図13に示すように、蓋部23の装着位置に処理槽22が到着したら、開放位置にて待機していた蓋部23を降下させ、処理槽22上に蓋部23を載置して開口部222を気密に塞ぎ、処理槽22内を密閉する。このとき切り替えバルブV4、V6は、例えばいずれのラインに対しても閉の状態となっていて(図13中に「S」の符号を付してある。他図においても同じ)、処理槽22に対しては流体の供給、排出は行われていない。
【0057】
蓋部23が取り付けられたら、図14に示すように下部側の切り替えバルブV6のDIW供給部311に接続されたバルブ部を開として(図14中に「O」の符号を付してある。他図においても同じ)、DIWを受け入れる一方、上部側の切り替えバルブV4では排出ライン33に接続されたバルブ部を開として、処理槽22内の気体を排出する。この動作により、密閉された処理槽22内は、下部側から上部側へ向けて気体が液体であるDIWへと次第に置換されてく。このようにDIWを下方側の供給・排出ポート226から供給することにより、処理槽22内にはしぶきや気泡が形成されにくく、表面に気泡などが付着したままの状態でウエハWがDIW内に浸漬されるといった状態の発生を抑えることができる。
【0058】
処理槽22及び蓋部23の凹部233内がDIWで置換された状態となったら、図15に示すように上部側の切り替えバルブV4の液供給ライン32に接続されたバルブ部を開とすると共に、液供給ライン32から排出ライン33へ向けてDIW供給部311よりDIWを流す。この動作により、供給・排出ポート234の上流側である液供給ライン32、切替バルブV4内、及び供給・排出ポート234よりも排出ライン33側の系内に残存している気体をDIWで置換し、後段のDHFなどの供給動作の際における処理槽22内への気体の再進入を抑えることができる。このとき、下部側の切り替えバルブV6は全閉として、排出ライン33側に向けて流れるDIWや気泡が処理槽22側へと流入しないようにするとよい。
【0059】
処理槽22、蓋部23の凹部233内、供給・排出ポート234やこれよりも上流側の液供給ライン32、下流側の排出ライン33内がDIWに置換されたら、図16に示すように上部側の切り替えバルブV4では、排出ライン33へ接続されたバルブ部を閉とし、液供給ライン32側は開のままとしておく。一方、下部側の切り替えバルブV6では、処理槽22内の液体を外部へ排出する配管ラインに接続されたバルブ部を開く。こうして下部側の供給・排出ポート226から処理槽22内の液体を抜きつつ、上部側の供給・排出ポート234では例えば排出量と同量の処理液であるDHFをDHF供給部312より供給する。
【0060】
この結果、上部側の供給・排出ポート234から供給されたDHFが整流板27aの孔部272を通過して処理槽22内に分散供給され、処理槽22内のフッ化水素濃度が上昇して、ウエハWの表面に形成された不要な自然酸化膜などが除去される。このとき、整流板27aに設けられている孔部272が2個だけであり、トータルの開口面積が比較的小さいことにより、当該孔部272を通流するDHFの流速が大きくなり、またDHFの流れも大きく収縮、拡大する。この結果、DHFの流れの乱れが大きくなり、DIWとDHFとが処理槽22内で混合され、より均一な状態でウエハW液処理を行うことができる。ここで供給・排出ポート234から供給されるDHFの単位時間あたりの供給量は、例えばDHF供給部312に設けられた不図示の流量調節弁で調整可能な範囲内で、最も処理むらが小さくなる供給量を予備実験などにより決定しておくとよい。
【0061】
またこのとき、予め処理槽22内がDIWで満たされていることにより、上部側の供給・排出ポート234よりDHFを供給しても、しぶきや泡が発生しにくい。また予め処理槽22内を満たしているDIWについても、下部側の供給・排出ポート226より供給され、ウエハWの表面に付着している気泡が少ないことから、ウエハWの表面にDHFが満遍なく行き渡り、処理むらの発生が抑えられる。
【0062】
そして処理槽22内に上部側から下部側へ向けて流れるDHFの流れを形成することにより、処理槽22のパーティクルの巻き上げを抑え、ウエハWへの再付着を抑制しつつパーティクルを処理槽22から排出することができる。このような上部側から下部側へ向けた流れを形成することによるパーティクルの再付着抑制効果は、後段のリンス液(DIW)や乾燥防止液(IPA)への置換動作においても同様に発揮される。
【0063】
処理槽22内のDIWをDHFと置換し、予め設定した時間だけ液処理を行ったら、図17に示すように上部側の供給・排出ポート234へ向けて供給される液体をDHFからDIWに切り替えて処理槽22内をDIWに置換する。このとき処理槽22内に供給されるDIWは、ウエハWの表面からDHFを除去するリンス液としての役割を果たし、DHFがDIWに置換されることにより、ウエハWの液処理が停止される。
【0064】
このときにも孔部272を通過するDIWの流れが乱れてDHFとDIWとの混合が促進されることにより、ウエハWの面内全体でDIWとDHFとの混合流体の濃度がより均一な状態に保たれ、処理むらの発生を抑えつつ液処理を停止することができる。
【0065】
処理槽22内のDHFをDIWに置換したら、各バルブV4、V6を閉じ、蓋部23を開放位置まで上昇させて、整流板27a、27bの取り替えが行われる受け渡し位置まで処理槽22を移動させる(図18)。ここで蓋部23を取り外す際に、凹部233内を満たしていたDIWが流れ落ちることになるが、蓋部23を取り外す位置における処理槽22の下方側に受け皿を設け、流れ落ちたDIWを外部に排出するようにしてもよい。
【0066】
DIWで満たされた処理槽22が受け渡し位置に到達したら、搬送機構4を作動させ、整流板27aを取り外して保管棚5へ戻す。そして、図19に示すようにIPAへの置換用の整流板27bを取り出して処理槽22の開口部222に取り付けた後、処理槽22を移動させ、再度、蓋部23を装着する。
【0067】
蓋部23が装着されたら、まず下部側の切り替えバルブV6のDIW供給部311に接続されたバルブ部と、上部側の切り替えバルブV4の排出側のバルブ部とを開き、DIWを供給して蓋部23の凹部233内の気体を追い出す(不図示)。しかる後、図20に示すように上部側の切り替えバルブV4のIPA供給部313に接続されたバルブ部、及び下部側の切り替えバルブV6の排出ライン33に接続されたバルブ部を開として、処理槽22内のDIWをIPAに置換する。このIPAは液処理を行った後のウエハWの乾燥を防止し、パターン倒れの発生を防ぐ役割を果たすと共に、超臨界流体を用いてウエハWを乾燥する後段の処理において超臨界流体の原料となる。
【0068】
このとき、整流板27bには合計10個の孔部272が設けられており、トータルの開口面積が比較的大きいことにより、当該孔部272を通流するIPAの流速が小さくなる。IPAは、DIW中に溶解可能であるが、下部側からDIWを抜き出しつつ上部側からIPAをゆっくりと供給すると、IPAとDIWとの比重差により、図20にイメージ的に示すように両液体の相がほぼ分離した状態を維持したまま処理槽22内のDIWを効率的に置換することが可能であることを発明者らは把握している。IPAとDIWとがほぼ分離された状態を保ったまま置換を行うことが可能な供給・排出ポート234からのIPAの単位時間あたりの供給量についても予備実験などにより把握しておくとよい。
【0069】
そして処理槽22内がIPAに置換されたら、上部側、下部側の切り替えバルブV4、V6を全て閉にして、処理槽22における液体の供給、排出を停止した後、蓋部23を開放位置まで上昇させて処理槽22から蓋部23を取り外す(図21)。このときにも蓋部23の凹部233からはIPAが流れ落ちる可能性があるが、当該IPAは処理槽22の下方側に設けた受け皿を介して外部に排出したり、回収したりするとよい。
【0070】
蓋部23が取り外されたら、受け渡し位置まで処理槽22を移動させ、搬送機構4にて整流板27bを取り外した後(不図示)、外部容器21内まで処理槽22を移動させる(図22)。そして固定板25を移動させ、封止板221を側面側から押さえ、図23に示すように電源部213をオンの状態にして、ヒーター212に電力を供給し、処理槽22内を例えば100℃〜300℃の範囲の270℃に加熱する。ここで処理槽22は整流板27bを取り付けたままの状態で外部容器21内に搬入してもよく、また、処理槽22を外部容器21に収容したら直ちにIPAの蒸発が開始されるようにヒーター212は常時、加熱状態にしておいてもよい。
【0071】
処理槽22を加熱したとき、外部容器21の開口部211は封止板221で封止され、供給・排出ポート226の下流の切り替えバルブV6も全て閉の状態となっているので、処理槽22内のIPAが蒸発して気体となる際に、IPAの体積の膨張に伴って外部容器21(処理槽22)内の圧力が上昇する。さらにこの密閉された雰囲気内での加熱を継続し、IPAを昇温、昇圧すると、IPAの温度及び圧力が臨界点に到達し、処理槽22の内部が超臨界状態のIPAで満たされた状態となる。
【0072】
この結果、ウエハWの表面は液体のIPAから超臨界状態のIPAに置換されていくことになるが、平衡状態において液体と超臨界流体との間には界面が形成されないので、パターン倒れを引き起こすことなくウエハW表面の流体を超臨界流体に置換することができる。こうしてIPAの加熱を開始して所定の時間が経過し、処理槽22内のIPAが液体から超臨界流体に変化して超臨界流体雰囲気となったら、図24に示すように切り替えバルブV6の外部に接続されたバルブ部を開き、IPAを排出して外部容器21(処理槽22)内の超臨界雰囲気を減圧する。
【0073】
このとき外部容器21内をIPAの凝縮温度以上に維持しておくことにより、再度の液化を防ぎつつIPAを排出することが可能となり、パターン倒れの発生を防ぎつつウエハWを乾燥することができる。
ウエハWの乾燥が終了したら固定板25を移動させて封止板221の固定を解除し、受け渡し位置まで処理槽22を移動させ、搬入時とは逆の順序でウエハWを取り出し、外部の搬送手段に乾燥したウエハWを受け渡して液処理を終える。
【0074】
本実施の形態に関わる液処理装置2によれば以下の効果がある。ウエハWの液処理を行う処理槽22に対して、第1の整流板(整流板27a)と第2の整流板(整流板27b)とを交換可能に取り付けることができる。この結果、置換される液体の種類に応じて、流体の混合を促進させて処理槽22内の液体の濃度が均一な状態を維持しながら置換を行ったり、反対に液体同士の混合を抑えつつ短時間で置換を行ったりすることができる。
【0075】
また液処理を行った後は、処理槽22内を乾燥防止用の液体で満たした状態で超臨界流体によるウエハWの乾燥を開始するので、ウエハWが気体の雰囲気に晒されず、パターン倒れの発生が抑えられる。
このほか、下部側の供給・排出ポート226に接続される配管は、DIW供給部311及び外部に接続される配管ラインの2本だけとする一方、上部側の供給・排出ポート234にはDIW供給部311、DHF供給部312、IPA供給部313及び外部への4本の配管ラインが接続されている。このように高圧雰囲気となる外部容器21内に収容される供給・排出ポート226に接続される配管ラインを減らすことにより、例えば耐圧構造を必要とする配管を短くするなどして装置コストの上昇を抑えることができる。
【0076】
そして液処理装置2にて取り替えられる整流板27a、27bは、2枚に限定されず、置換する液体、置換される液体の組み合わせに基づいて3枚以上の整流板27の取り替えを行ってもよい。例えば図25には、DHFによる液処理を終えた後、処理槽22内の液体をDHFからDIWに置換する際に取り付けられる整流板27cを示している。例えばDHFにより不要な自然酸化膜などが十分に除去された状態となっていれば、DHFの濃度が急激に変化してもウエハWに処理むらが発生しない場合もある。この場合には、DHFとDIWとを迅速に置換して、液処理装置2全体の処理時間を短くした方が好ましいこともある。
【0077】
そこで液体同士の混合を抑えつつ置換を行うため、整流板27cに配置する孔部272のトータルの開口面積を大きくする手法を採用することが考えられる。このとき既述のDIWからIPAへの置換と比較して、DIWとDHFは比重が近いため、液体同士が互いに混合しやすい。そこで本例の整流板27cは、図25に示すように例えば直径1mmの孔部272を1列あたり17個、合計34個設け、図10に示した整流板27bと比較してトータルの開口面積をさらに大きくしている。
【0078】
この結果、孔部272から流出するDIWの流速をさらに小さくして、互いの混合を抑えつつDHWからDIWへの液体の置換を行うことができる。従ってこの例では、はじめのDIWからDHFへの置換では整流板27aが取り付けられ、DHFからDIWへの置換では整流板27cが取り付けられる。そしてDIWからIPAの置換では整流板27bが取り付けられて各々の液体に応じた整流効果が発揮されることになる。このとき液処理時に取り付けられる整流板27a(第1の整流板)から見て、整流板27c、27bはいずれも第2の整流板に相当していることになる。孔部272のトータルの開口面積は、孔数、孔径の少なくとも一方を変えることにより変化させることができる。
【0079】
また搬送機構4や保管棚5の構成についても図6、図7に図示した例に限定されるものではなく他の構成を採用してもよい。例えば図26、図27に示した液処理装置2aは、蓋部23a、23b(第1、第2の蓋部)と整流板27a、27b(第1、第2の整流板)とが一体に構成され、処理槽22に装着する蓋部23a、23bを変更することにより整流板27a、27bの取り替えを行うものである。
【0080】
図26に示すように各蓋部23a、23bはこれら蓋部23a、23bを昇降させる昇降機構238a、238bによって上方側から支持されている。そして不図示の駆動部により、これらの昇降機構238a、238bを走行レール28上にて横方向に移動させることにより、整流板27a、27b及びこれと一体に構成された蓋部23a、23bを処理槽22の開口部222に対向させることができる。
【0081】
そして蓋部23a、23bと整流板27a、27bとが処理槽22の開口部222の上方位置に到達したら、図27に示すように昇降機構238a、238bを作動させて蓋部23a、23bを降下させ、前記開口部222を気密に塞ぐことにより、蓋部23a、23bの装着と整流板27a、27bの取り付けとが同時に行われる。
【0082】
整流板27aと一体に構成された蓋部23aの供給・排出ポート234aには、例えばDIW供給部311、DHF供給部312が接続され、当該蓋部23aを装着した状態で置換液であるDIWからDHFへの置換、DHFからDIWへの置換が行われる。一方、整流板27bと一体に構成された蓋部23bの供給・排出ポート234bには、IPA供給部313が接続され、当該処理槽22に蓋部23bを装着してDIWからIPAへの置換が行われる。
図26、図27に示した液処理装置2aの例においては、昇降機構238a、238b、走行レール28並びに各昇降機構238a、238bを走行レール28上で移動させる不図示の駆動部が搬送機構に相当し、処理槽22の上方側の空間が整流板27a、27bの保管部に相当している。
【0083】
また超臨界流体雰囲気の形成は、処理槽22を外部容器21内に収容して行う場合に限定されない。例えば処理槽22と蓋部23とを耐圧構造として互いに強く締結し、これら処理槽22と蓋部23にヒーターを設けて内部のIPAを加熱し、処理槽22内を超臨界流体雰囲気としてウエハWの乾燥を行ってもよい。この場合にも、液体の置換時に整流板27a、27bを取り替える本発明は適用することができる。
【0084】
さらに乾燥雰囲気形成部は、処理槽22内のIPAを加熱して超臨界流体雰囲気とする場合に限定されない。例えば二酸化炭素の超臨界流体を溜めた容器などからなる高圧流体供給部を処理槽22及び外部容器21に接続し、外部から超臨界流体を供給しながら乾燥防止用の液体(IPAなど)を排出することにより、処理槽22内を超臨界流体雰囲気としてもよい。この後、処理槽22内を減圧することにより、ウエハWの乾燥が行われる。このとき外部容器21には例えば超臨界流体供給ポートを設け、この超臨界流体供給ポートを介して外部の高圧流体供給部からの超臨界流体の供給が行う構成などが考えられる。
【0085】
このように処理槽22に接続された高圧流体供給部54から超臨界流体を供給することにより、超臨界流体雰囲気を形成する手法は、外部容器21内に処理槽22を収容した状態で行う場合に限らず、先に例示したように処理槽22に蓋部23を取り付けた状態のまま超臨界流体によるウエハWの乾燥を行う場合にも適用することができる。
【0086】
以上、ウエハWに対する液処理を行ったあと、超臨界流体を利用してウエハWを乾燥する各種の液処理装置2、2aについて説明したが、ウエハWを処理する処理液はDHFに限定されるものではない。例えばウエハWに付着したパーティクルや有機性の汚染物質を除去するためのSC1液(アンモニアと過酸化水素水の混合液)などで他の種類の処理液を利用した液処理にも本発明は適用できる。また上述の各種の液処理装置2ではウエハWを縦置きの状態で保持する処理槽22の例を示したが、ウエハWを横置きの状態で保持する処理槽22にも本発明は適用することができる。
【0087】
そして上述の各実施の形態では、第1の整流板(整流板27a)よりも第2の整流板(整流板27b、27c)の方が、孔部272のトータルの開口面積が大きな場合の例を示した。しかしながら、選択する処理液など、置換される液体の種類や性状に応じて、第1の整流板の方が第2の整流板よりもトータルの開口面積が大きくなる構成を採用してもよいことは勿論である。 またウエハWを乾燥する高圧流体雰囲気は、超臨界流体雰囲気に限らず、亜臨界流体雰囲気であってもよい。
【0088】
以上に説明した各例では、DIW(置換液)による気体との置換→DHFによる液処理→DIWによるリンス洗浄→IPAによる乾燥防止の順に処理槽22内の液体を置換し、最後に高圧流体(超臨界流体や亜臨界流体)を用いてウエハWを乾燥する例について説明した。但し、ウエハWを収容した処理槽22内の液体を置換して液処理を行うにあたり、置換する液体や置換される液体の種類に応じて適切な開口面積を有する整流板27を選択する技術の有効性は、高圧流体を用いたウエハWの乾燥を伴う液処理への適用に限定されるものではない。例えばDIW(置換液)→DHF(処理液)→DIW(リンス液)→SC1(処理液)→DIW(リンス液と乾燥防止液とを兼ねる)の順に処理槽22内の液体を置換して液処理を行った後、IPA蒸気の雰囲気中にウエハWを引き上げて乾燥を行う場合などであっても本発明は適用できる。この場合にも置換する液体、置換される液体の組み合わせに応じて適切な整流板27が選択される。
【実施例】
【0089】
図9、図10、図25に示した整流板27a〜27cを用いて、処理槽22内を各種の液体で置換する実験をおこなった。
A.実験条件
図9に示した整流板27aを「整流板1」、図10に示した整流板27bを「整流板2」、図25に示した整流板27cを「整流板3」とした。
(実験1)
1枚のウエハW(直径300mm)を収容し、整流板1〜3のいずれかを取り付けた容量350ccの処理槽22内に予めDIWを満たしておき、DHF(49wt%フッ酸:DIW=1:200)を1L/分で150秒間供給して自然酸化膜除去の面内均一性を調べた。
(実験2)
(実験1)において、予め満たしておく液体を(実験1)と同濃度のDHFに変更し、置換する液体をDIWに変更して処理槽22から流出する液体の比抵抗の変化を計測した。
(実験3)
(実験1)において、置換する液体をIPAに変更し、処理槽22から流出する液体中のIPA濃度を計測した。但し本実験では整流板3については実験を行わなかった。
【0090】
B.実験結果
(実験1〜3)の結果を(表1)に示す。
(表1)

【0091】
(表1)に示した(実験1)の結果によれば「整流板1」にてDHFによる液処理の面内均一性が最も良好である一方、「整流板3」は面内均一性が最も悪かった。そして「整流板2」は面内均一性が整流板1、3の間の結果が得られた。これはDHFの供給量を一定とした場合に、孔部272のトータルの開口面積を小さくすることにより、処理槽22内でのDHFの流れを乱れさせて、液体の混合を促進するという作用と整合する結果であるといえる。
【0092】
これに対して(実験2)の結果では、「整流板3」において最も短い時間(目標の比抵抗値まで約10分)でDHFからDIWへの液体の置換が実行され(比抵抗の上昇速度が大きく)、「整流板1」では液体の置換に要する時間が最も長かった(目標値まで55分以上)。そして「整流板2」は液体の置換に要する時間が整流板1、3の中間であった(目標値まで約12分)。これについてもDIWの供給量を一定としたとき、孔部272のトータルの開口面積を大きくすることにより、処理槽22内でのDIWの混合を抑え、より短い時間で液体の置換を進行させるという作用と整合する結果が得られた。
【0093】
そして(実験3)に示すように置換される液体の比重差が大きい、DIWとIPAとでは、「整流板2」の開口面積にて十分に短い時間(例えば100秒未満)で処理槽22内の液体をほぼ100%のIPAに置換することができた。なお(表1)において(実験3)の結果を「△」と表示しているのは、単位時間あたりのIPAの供給量を1L/分から徐々に少なくしていった別実験を行ったとき、「整流板1」でも目標時間内にIPAへの置換を行うことができる場合があることが確認されたからである。
【符号の説明】
【0094】
V1〜V3、V5
開閉バルブ
V4、V6 切り替えバルブ
W ウエハ
2、2a 液処理装置
21、21A
外部容器
211 開口部
212 ヒーター
22 処理槽
221 封止板
222 開口部
23、23a〜23b
蓋部
234 供給・排出ポート
238 昇降機構
27、27a〜27c
整流板
311 DIW供給部
312 DHF供給部
313 IPA供給部
34 供給・排出ライン
4 搬送機構
41 チャック部
5 保管棚
6 制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上部には開口が形成されると共に、下部には、内部の気体と置換される置換液の供給、及び液体の排出が行われる下部ポートが設けられ、内部に収容した被処理基板の液処理を行うための処理槽と、
この処理槽内へ液体を供給し、また気体を排出するための上部ポートが設けられ、前記開口を気密に塞ぐ着脱自在な蓋部と、
前記上部ポートから供給された液体の流れを調節するために、前記被処理基板と前記上部ポートとの間に交換可能に取り付けられ、互いに開口面積が異なる孔部が形成された第1の整流板及び第2の整流板と、
前記処理槽の外部にて、前記第1の整流板及び第2の整流板を保管する保管部と、
前記処理槽内の置換液を、上部ポートから供給される処理液に置換するときには、前記第1の整流板を処理槽に装着し、その後、当該処理槽内の液体を、上部ポートから供給される他の液体に置換するときには、前記第2の整流板を装着するために、前記保管部と前記処理槽との間で前記第1の整流板または第2の整流板を搬送する搬送機構と、
前記他の液体を処理槽内に供給した後において、前記処理槽内を超臨界状態または亜臨界状態の高圧流体の雰囲気とした後、減圧により当該高圧流体を気体にして被処理基板を乾燥するための乾燥雰囲気形成部と、を備えたことを特徴とする液処理装置。
【請求項2】
前記蓋部は、前記第1の整流板と一体に構成された第1の蓋部と、前記第2の整流板と一体に構成された第2の蓋部とに分かれており、前記搬送機構は、当該第1の蓋部または第2の蓋部を前記保管部と処理槽との間で搬送することを特徴とする請求項1に記載の液処理装置。
【請求項3】
前記第1の整流板と第2の整流板とは、孔数、孔径の少なくとも一方を変えることにより、孔部の開口面積を異ならせていることを特徴とする請求項1または2に記載の液処理装置。
【請求項4】
前記第1の整流板と第2の整流板とのうち、一方の整流板の孔部の開口面積を他方の整流板の孔部の開口面積より小さくすることにより、当該一方の整流板が取り付けられている際の処理槽内の液体同士の混合度合いを大きくしたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか一つに記載の液処理装置。
【請求項5】
前記第1の整流板と第2の整流板とのうち、一方の整流板の孔部の開口面積を他方の整流板の孔部の開口面積より大きくすることにより、当該一方の整流板が配置された期間中における処理槽内の液体同士の混合を抑えて、液体の置換が行われやすくなるようにしたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか一つに記載の液処理装置。
【請求項6】
前記蓋部を取り外した状態で処理槽を収容し、この処理槽内を高圧流体の雰囲気とする処理が行われる外部容器を備え、当該処理槽には、蓋部の取り付け、取り外しが行われる位置と、前記外部容器との間で処理槽を移動させる移動機構が設けられていることを特徴とする請求項1ないし5のいずれか一つに記載の液処理装置。
【請求項7】
上部には開口が形成されると共に、下部には、内部の気体と置換される置換液の供給、及び液体の排出が行われる下部ポートが設けられた処理槽に被処理基板を収容する工程と、
被処理基板を収容した処理槽に、孔部を備えた第1の整流板を取り付けると共に、この処理槽内へ液体を供給し、また気体を排出するための上部ポートが設けられた蓋部により、当該処理槽の開口を気密に塞ぐ工程と、
前記上部ポートから処理液を供給し、この処理液の流れを前記第1の整流板により調節しながら前記処理槽内の置換液を処理液に置換する工程と、
前記第1の整流板に替えて、当該第1の整流板とは開口面積が異なる孔部が形成された第2の整流板を処理槽に取り付け、前記蓋部により開口を気密に塞ぐ工程と、
前記上部ポートから他の液体を供給し、この他の液体の流れを前記第2の整流板により調節しながら前記処理液による処理後の処理槽内の液体を、当該他の液体に置換する工程と、
前記他の液体を処理槽内に供給した後において、前記処理槽内を超臨界状態または亜臨界状態の高圧流体の雰囲気とした後、減圧により当該高圧流体を気体にして被処理基板を乾燥する工程と、を含むことを特徴とする液処理方法。
【請求項8】
前記蓋部は、前記第1の整流板と一体に構成された第1の蓋部と、前記第2の整流板と一体に構成された第2の蓋部とに分かれており、当該第1の整流板を処理槽に取り付けたときには、第1の蓋部にて前記開口を塞ぎ、当該第2の整流板を処理槽に取り付けたときには第2の蓋部にて前記開口を塞ぐことを特徴とする請求項7に記載の液処理方法。
【請求項9】
前記処理槽内を他の液体で満たした後において、前記蓋部を取り外し、当該処理槽を外部容器に搬入する工程を含み、この処理槽内を高圧流体雰囲気とする工程は、当該処理槽を外部容器に搬入してから行われることを特徴とする請求項7または8に記載の液処理方法。
【請求項10】
処理液により被処理基板を処理する液処理装置に用いられるコンピュータプログラムを格納した記憶媒体であって、
前記プログラムは請求項7ないし9のいずれか一つに記載された液処理方法を実行するためにステップが組まれていることを特徴とする記憶媒体。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2012−124283(P2012−124283A)
【公開日】平成24年6月28日(2012.6.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−272922(P2010−272922)
【出願日】平成22年12月7日(2010.12.7)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】