説明

液化ガスの制御された貯蔵法

【解決手段】液化天然ガスのような液化したガスを、取り囲まれ断熱された容器(10)の中に制御された状態で貯蔵するための方法及び装置であって、液体の一部分が抜き出され、過冷するために外部冷却ユニット(22)へ送られ、過冷された液体は、容器内からの圧力及び温度信号に応じて作動する制御システム(59)の制御の下に、1つ又は複数の弁制御式ヘッダー(44、46、48)を経由して、容器(10)に再び導入され、過冷の程度は、容器に漏れ込む熱に合わせられ、過冷された液体の大部分又は全部が、貯蔵された液体の安定した状態を維持し、その蒸発を最小にするために、貯蔵されている液体へと直接に再び導入される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液化ガスの貯蔵状態を制御するための方法及び装置に関する。本発明は、特に、海洋を航行するタンカーの液化天然ガス(LNG)の貯蔵に関係しており、有用である。
【背景技術】
【0002】
天然ガスや大気のようなガスを、所与の寸法の容器に入れて貯蔵又は運搬することのできる液体の形態で貯蔵及び運搬すれば、嵩に関して相当に有利になる。しかしながら、そのような極低温液体の低い温度に対しては、容器の設計及び操作に多くの厳格な要件が課される。容器は、機械的に強く、低い貯蔵温度と、貯蔵温度と周囲の温度の間の加熱と冷却の際の膨張及び収縮応力とに耐えられなければならない。容器は、例え完全でなくとも取り囲んで高度の断熱性を持たせ、熱の漏れ込みと、その結果生じる液体の蒸発とを最小限に抑えることが不可欠である。
【0003】
壁と壁の間に隙間を有する二重壁容器を使用すると熱の漏れ込みを低く抑えることができ、隙間を真空にするか、隙間に他の断熱材を使用すると更に効果的であることが分かっている。それにも関わらず、熱の漏れ込みは避けられず、液体の蒸発に繋がる。熱の漏れ込みは、容器内に熱サイホン作用を発生させる傾向があり、壁に隣接する液体は、熱の漏れ込みによって温められるので密度が下がり、表面に向かって上昇する。壁に隣接する上向きの動きは、対応して、容器の中心又はその付近の液体に下方のき動きを強いることになる。熱サイホン作用は、貯蔵状態の制御を難しくする。特に、壁近くで上昇する温かい液体が表面に達すると、沸騰し、更に蒸気を作り、上部空間圧力を上げることになる。
【0004】
再び液化させるか、或いは、熱の漏れ込みから生じる蒸気を何らかの方法で処理するには、一般的には追加の手段が必要である。蒸発した物質を排気するのは一般的に望ましくなく、天然ガスの場合には、引火性があり、含まれているメタン成分と他の炭化水素が温室効果ガスとして作用するため、特に望ましくない。
【0005】
蒸気を容器の外囲器内に保持するため、様々な提案が行われている。米国特許第3918265号は、LNGのような低温液体混合物用の複数の貯蔵区画からの冷却損失を低減するための初期プロセスについて述べており、ここでは、処理液体混合物は、一つの区画から抜き出され、過冷され、全ての貯蔵区画に循環されるが、その際、過冷された混合物の大部分は、液体混合物が抜き出される貯蔵区画へと循環される。過冷された液体の冷却値は、周囲からの熱による冷却値の損失を十分補えると言われている。
【0006】
前記特許によって提案されている過冷された液体を導入すると、容器内の制御可能な状態を維持するという問題が加わることになる。例えば、過冷された液体を循環させると、蒸発が抑制されるので、容器のアレージ空間に半真空状態ができ、外側の物質が引き込まれる危険性を伴うことになる。大気中の酸素を容器に引き込むのは、容器内に可燃性又は爆発性の混合物が生じることに繋がる危険があるので、特に避けなければならない。それに関連して、半真空が容器構造に過度の応力を掛けることも問題である。
【0007】
また、過冷された液体の再循環は、貯蔵されている液体内に層形成を促す。過冷された物質は、貯蔵されている本体より密度が高いので、沈んで、高密度の下部層を形成し、順次軽い層が液体表面に向かって形成されるよう促すことになる。従って、軽い最上部層が特に蒸発し易くなる。更に、最上部層から軽い留分が蒸発すると、その密度が下部層に比べて高くなり、突然自己攪拌を起こして各層が混合し、強烈な沸騰作用を引き起こしかねない。
【特許文献1】米国特許第3,918,265号明細書
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
従って、熱の漏れ込みから生じる蒸気を制御するための解決法は、一般的に、蒸気を再び液化し、それらを貯蔵されている本体に戻すことに求められてきた。これは、主にメタンと窒素の混合物であるLNGでは、蒸気(「ボイルオフ」として知られている)の組成が、液体の組成と異なり、一般的に窒素の比率が遙かに高いという点で、別の問題を引き起こす。ボイルオフの窒素含有率が高いほど、再液化は難しい。ボイルオフの窒素含有率は、運搬されるLNGの組成によって変化する。ボイルオフ内の窒素の留分が高いほど、全体の再液化を実現するために冷媒を膨張させる圧力と温度は低くなる。
【0009】
冷媒を膨張させる圧力を下げると、冷却装置が大型で経費の掛かるものになり、電力消費も増える。実際、ボイルオフの窒素含有率は、運搬されるLNGの組成によって相当に変動するので、ボイルオフを確実に全体的に液化するためには、冷却装置は、LNG現物市場に存在するような、最小限の望ましい周囲の状況を満足するように設計されなければならない。この問題に対する従来の解決法は、ボイルオフの一部を排気して冷却装置のサイズを制限する方法である。先に述べたように、この解決法は、環境的に受け入れられない。ここで注目して頂きたいのは、蒸気を再液化するための冷却装置は、熱の漏れ込みだけでなく、蒸気の圧縮熱に対処しなければならないということである。これは、冷却装置のサイズを、20から30%増す。
【0010】
更に、再液化した天然蒸気は窒素含有率が高いので、貯蔵されている本体より密度が高い。これは、重い再循環物質が容器の底に向かって沈むため、層形成の可能性を増す。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明の目的は、液化ガスの貯蔵時に、予測できる安定したやり方で過冷処理を使用することである。
従って、或る態様では、本発明は、液化ガスを制御された状態で貯蔵するための装置を提供しており、前記装置は、液体空間とアレージ空間を提供し、外部冷却ユニットと、過冷するために液体の一部を抜き出して冷却ユニットへ送るための手段と、過冷された液体を容器に再導入するための1つ又は複数のヘッダーとを有する、取り囲まれ断熱された容器を備えており、前記アレージ空間には少なくとも1つの弁制御式ヘッダーと少なくとも1つの圧力センサーが含まれており、前記液体空間には少なくとも1つの弁制御式ヘッダーと少なくとも1つの温度センサーが含まれており、前記装置は、圧力センサーと温度センサーからの信号に応じて、ヘッダー弁を作動させる制御システムを更に含んでいることを特徴としている。
【0012】
別の態様では、本発明は、液体空間とアレージ空間を提供する取り囲まれ断熱された容器に入った液化ガスを制御された状態で貯蔵するための方法を提供しており、液体の一部が抜き出され、外部冷却ユニットで過冷され、そこから、過冷された液体は、1つ又は複数のヘッダーを通して容器に再び導入される方法であって、前記アレージ空間の圧力はその中の少なくとも1つの圧力センサーによって監視され、前記液体空間の温度はその中の少なくとも1つの温度センサーによって監視され、前記両センサーからの信号は、過冷された液体をアレージ空間及び/又は液体空間に再び導入するために、アレージ空間内の少なくとも1つの弁制御式ヘッダーと液体空間内の少なくとも1つの弁制御式ヘッダーとを操作する制御システムに送られることを特徴としている。
【0013】
本発明は、海洋を航行するタンカーにLNGを貯蔵するのに特に適しており、ここでは主にその適用に関して説明している。しかしながら、本発明は、例えば、液体空気のような他の極低温液体混合物、又は、例えば液体アルゴン、液体水素、液体ヘリウム、液体窒素及び液体酸素のような一般的な極低温液体の貯蔵、及び断熱路上タンカー、断熱鉄道タンカー及び断熱静置タンクを含む他の形態の容器にも適用できる旨理解されたい。
【0014】
本発明は、如何なる外部環境条件又はタンク負荷レベルであっても、タンク内に安定した状態を維持できるタンク管理システムを提供している。複数の温度感知、ヘッダーの数と場所、及び異なるヘッダーへの流れの分配によって、タンク内の全域に、適切な温度レベルを課し、維持できるようになっている。タンク内の異なる場所の状態を感知し、対応する修正動作を行うことによって、異なる温度の液体の層による制御できない層形成の問題、及び突然の圧力上昇による液体の自己攪拌の問題を避けることができる。
【0015】
本発明の独特の利点は、過冷、例えば冷却速度を、熱の漏れ込み速度に合わせることができる点である。これは、理想的な状態の下では、貯蔵されている液体の蒸発が殆ど、又は全く起こらないことを意味している。液体の温度センサーによって、抜き出された液体に加えられる冷却のレベルと、それを再び導入する速度と場所を、熱の漏れ込みと実質的に平衡し、熱の漏れ込みレベルの変化に従って調整されるように制御することができる。アレージ空間圧力センサーによって、蒸気凝縮速度を、半真空状態から生じる外部物質の進入又は構造的損傷のような問題の危険性があるほど遅くもなく、過度の内部圧力から生じる望ましくない排気又は構造的損傷の危険性が生じるほど速くもないように制御することによって、アレージ空間の圧力を制御することができる。
【0016】
本発明は、更に、液体の大部分又は全部を、容器内に変動のない安定した熱的状態を提供できるように維持することで、エネルギー消費の点でも利点を提供する。具体的には、本発明は、蒸発した物質を再液化するための高いエネルギーコストと、液体と蒸発したLNG混合物の中の成分の比率が異なることによって生じる付帯問題とを回避する。
【0017】
液体は、容器の底又は底近くに配置されている水中ポンプ手段によって、容器から抜き出されるのが望ましい。LNGタンカーでは、水中ポンプ手段は、荷が積み込まれた状態でも、荷揚げされた状態でも、液体空間内に在るように配置しなければならない。制御システムは、ポンプの作動状態を優勢な温度と圧力の要件に合わせることができるので、ポンプは、制御システムによって操作するのが望ましい。連続して運転すると安定した貯蔵状態を提供し易いので、連続して運転するのが望ましい。
【0018】
外部冷却ユニットは、調整可能な型式のユニットであるのが望ましく、制御システムによって操作されるのが望ましい。冷却レベル、従って過冷の程度は、圧力センサーと温度センサーから受け取った信号に従って、制御システムが変更する。
【0019】
多くの異なる調整可能な冷却サイクルを使用することができるが、好適な選択は、例えばEP−A−1 120615号に開示されているブレイトンサイクルである。LNG冷却では、好適な冷媒流体は窒素である。典型的なブレイトンサイクルでは、窒素作動流体は、通常は中間冷却を間に挟んでいる複数の圧縮段階を有するモーター駆動コンプレッサーと、後置冷却器と、熱交換器と、ターボエキスパンダーと、コンテンサーとを備えた回路を繰り返し通過する。ターボエキスパンダーは、通常はコンプレッサーを駆動するのに必要なエネルギーの一部を供給する際に、外部仕事を実行することによって作動流体を膨張させて冷却性能を作り出す。この用例では、ブレイトンサイクルのターボエキスパンダーは、5バールを越え、通常は10バール程度の吐出圧力を有しており、冷却ユニット全体の寸法を縮小できるようになっているのが望ましい。
【0020】
過冷の程度は、ポンプの選択、その流量、及び熱の漏れ込みで必要になる冷却速度によって決まる。145,000mのLNG搬器のポンプ流量130m/hrでの典型的な過冷値は、貯蔵されている液体の液化温度より10°K低い。ポンプ流量、液体の過冷、冷却ユニットのサイズ、及びターボエキスパンダーの吐出圧力は、すべて最適化されなければならない。
【0021】
過冷された液体の全部又は大部分は、液体空間に再び導入されるのが望ましい。過冷の程度と過冷された物質の戻し速度は、必要なアレージ空間圧力を維持できるほどの少量の蒸発が起きるように調整される。アレージ空間自体にヘッダーを設けると、過冷された液体をアレージ空間へ直接戻して蒸気を直接凝縮させることができ、必要に応じて必要な圧力を迅速に回復させることのできる安全装置を付け加えることになる。アレージ空間には単一のヘッダーで、普通は十分である。
【0022】
液体空間内にはヘッダーが1つあれば十分だが、2つ以上のヘッダーを使用するのが好ましく、一杯に積み込まれた容器容積内の異なる高さに2つ又は3つあるのが望ましい。追加のヘッダーがあれば、貯蔵されている液体内の温度の追加的制御、具体的には温度勾配の制御ができるようになり、安定した液体貯蔵状態を維持し易くなる。荷揚げされた状態では、前記追加のヘッダーは、アレージ空間内にあり、通常は使用されない。
【0023】
前記ヘッダー又は各ヘッダーは、複数の噴射ノズルを含んでいるのが望ましい。アレージ空間のヘッダーは、蒸発した物質との熱交換を促すため、噴射ノズルを下向きに向けるのが望ましい。液体空間ヘッダーでは、噴射ノズルを上向きに向けるのが望ましい。これは、再導入される過冷された液体は、その密度のために容器内で降下する傾向を有しているので、これを上向きに向けて、壁で加熱された液体が引き起こす熱サイホン効果に対抗させて混合の手段とし、内部温度勾配の無い液体の塊を作り出すのを支援することを意味している。
【0024】
制御システムに必要な圧力信号を提供するには、通常はアレージ空間に1つの圧力センサーで十分である。しかしながら、液体内に温度差があればこれを表示して、制御システムが、再導入される液体の場所、体積及び/又は温度を調整し、貯蔵されている液体全体に亘って均一な温度を回復できるようにするためには、液体空間内に、2つ以上の温度センサーを有することが好ましく、2つ又は3つあるのが望ましい。
【0025】
液体とアレージ空間との相対的な体積は、容器が、積み込まれている状態にあるか、荷揚げされた状態にあるかによって決まる。LNGタンカーは、荷揚げされた状態では、或る量の液体を、バラストとしてだけではなく、タンクを低温に維持して積み込み時に液体の過度の蒸発を避けるために保持している。
【0026】
制御システムは、適切な回路によって冷却ユニットと、液体抜き出し手段と、圧力及び温度センサーと、各ヘッダー用の制御弁とに連結されているプログラム可能な電子ユニットであるのが望ましい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0027】
本発明について、例を挙げて、本発明による制御システムを装備したLNGタンカーの概略断面を示す添付図面を参照しながら説明する。
タンカーは、LNG内容物12とアレージ空間14を有する満載状態にある二重壁式貯蔵タンク10を備えている。可変周波数(可変速度)駆動装置18を有する水中再循環ポンプ16は、タンク10の底付近に配置されている。吐出上昇管19は、全体を参照番号22で示している冷却ユニットの一部を形成する熱交換器26に液体を送るため、ポンプ16から伸びている。圧力制御弁21が組み込まれているパイプ20は、上昇管19からタンク10の底付近までの戻り管を形成し、液体をタンク10に戻して、タンク圧を制御すること、具体的には一定のタンク圧を維持することを支援している。
【0028】
冷却ユニット22は、冷却能力が調整可能で、先に述べたブライトンサイクルで作動しており、作動流体として窒素を使用している。ユニットのモーター、コンプレッサー、クーラー及びターボエキスパンダーは、図示していない。ユニットは、熱交換器26からのLNG吐出温度を監視する温度センサー(図示せず)を含んでいる。
【0029】
熱交換器26からの吐出管28は、3つの管30、34、38に分かれており、それぞれに調整可能制御弁32、36、40が設けられている。管32は、スプレーヘッダ44に連結されており、下向きの噴射ノズル45を有し、アレージ空間14に配置されている。管38は、ヘッダー48に連結されており、上向きのノズル49を有し、タンク10の底付近に配置されている。荷揚げ後は、通例、タンク内に少量の液体が、バラストとして、且つタンク温度を低く維持するために入れられているので、液体ヘッダー48は、普通は、LNG積み込み港と荷揚げ港の間の行きと戻りの両方の旅程の間を通して、液体内に配置されている。
【0030】
管34は、ヘッダー46に連結されており、上向きのノズル47を有しており、タンク10が満載状態にあるときは、液体の上部に配置されている。荷揚げ後の戻りの旅程の間は、ヘッダー46は、普通はアレージ空間内にある。
【0031】
制御システムは、通常は貨物制御室に配置されているプログラム可能な電子制御器の形態をしたタンク管理ユニット50を備えている。圧力センサー52は、液体の高さに関係なくアレージ空間14内に在るように、タンク10内の或る点に配置されている。センサー52は、信号配線53でユニット50に連結されている。3つの温度センサー54、56、58は、タンク10内に、タンク10が満載状態にあるときには液体内の異なる高さに配置されている。荷揚げ後の戻りの旅程の間は、センサー54と56は、普通はアレージ空間内にあるが、センサー58は、バラスト液体内に在るように配置されている。温度センサー54、56、58は、それぞれ信号配線55、57、59でユニット50に連結されている。
【0032】
制御配線は、タンク管理ユニット50から各システム構成要素まで配線されている。配線60、62、64は、それぞれ調整可能制御弁32、36、40に連結されている。配線68は、圧力制御弁21に連結されている。配線70は、ポンプ16用の可変周波数駆動装置18に連結されている。
【0033】
使用時、タンク管理ユニット50は、圧力センサー52及び温度センサー54、56、58から、タンク10内の各位置における状態を表示する連続する信号を受け取る。冷却ユニット22、制御弁32、36、40、及びポンプ16に関しては可変周波数駆動装置18と圧力逃がし弁21の作動及び/又は調整を適切に制御することによって、全ての液面レベルに対して、タンク10内に最適貯蔵状態を維持することができる。
【0034】
ポンプ16によって冷却ユニット22に戻されるLNGは、圧力制御弁21によって一定の上限圧力に維持され、又は可変周波数駆動装置18によって最低必要な上限圧力に維持され、それによってポンピング出力が最小化される。LNGは、熱交換器26内で、低温の窒素作動流体と間接的に接触することにより過冷される。過冷された液体は、次に、1つ又は複数のヘッダー44、46、48を経由して、圧力センサーと温度センサーによって検出されたタンクの状態に従って変化する流量で、タンク10に戻される。通常、積載状態の航程の間は、上部ヘッダー44はスプレー散布に使用され、中間及び低部ヘッダー46、48は液体混合に使用される。バラストを積んだ航程の間は、ヘッダー44と46はスプレー散布に使用され、低部ヘッダー48は液体混合に使用される。多くの場合、ヘッダー46だけを使って、冷却し、同時に上向きの液体の運動を比較的高温のタンクの壁によって生じる熱サイホン効果に対向させることで十分である。
【0035】
ヘッダー44、46、48を通る流れは、それぞれの弁32、36、40によって、上部空間圧力と液体温度に従って制御され、冷却ユニット22に掛かる負荷が変えられる。ユニット22は、熱交換器26からのLNG吐出温度を監視し、LNG温度が下がればユニット22への電力供給を減らし、LNG温度が上昇すれば電力供給を増すことによって変化に対応する。
【0036】
圧力センサー52が上部空間圧力の低下を検出した場合は、過冷されてタンク10に戻されるLNGの量を、弁32、36、40の内の1つ又はそれ以上によって戻りの流れを絞ることによって、及び/又は可変周波数駆動装置18によってポンプ速度を絞ることによって、少なくする。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明による制御システムを装備したLNGタンカーの概略断面を示す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液体空間とアレージ空間を提供し、外部冷却ユニットと、過冷するために前記液体の一部を抜き出して前記冷却ユニットへ送るための手段と、前記過冷された液体を前記容器に再導入するための1つ又は複数のヘッダーとを有する、取り囲まれ断熱された容器を備えている、液化したガスを制御された状態で貯蔵するための装置において、前記アレージ空間には少なくとも1つの弁制御式ヘッダーと少なくとも1つの圧力センサーが含まれており、前記液体空間には少なくとも1つの弁制御式ヘッダーと少なくとも1つの温度センサーが含まれており、前記装置は、前記圧力センサーと前記温度センサーからの信号に応じて、前記ヘッダー弁を作動させる制御システムを更に含んでいることを特徴とする装置。
【請求項2】
前記外部冷却ユニットは調整可能な型式のユニットである、請求項1に記載の装置。
【請求項3】
前記外部冷却ユニットは、前記制御システムによって操作される、請求項1又は2に記載の装置。
【請求項4】
前記外部冷却ユニットはブレイトン冷却サイクルを使用している、請求項1乃至3の何れか1項に記載の装置。
【請求項5】
前記液体空間には2つ以上のヘッダーが含まれている、請求項1乃至4の何れか1項に記載の装置。
【請求項6】
前記又は各ヘッダーは複数の噴射ノズルを含んでいる、請求項1乃至5の何れか1項に記載の装置。
【請求項7】
前記アレージ空間内の前記噴射ノズルは下向きに向けられている、請求項6に記載の装置。
【請求項8】
前記液体空間内の前記噴射ノズルは上向きに向けられている、請求項6又は7に記載の装置。
【請求項9】
2つ又はそれ以上の温度センサーが前記液体空間内に配置されている、請求項1乃至8の何れか1項に記載の装置。
【請求項10】
前記容器から液体を抜き出すための手段は、前記容器の底又は底付近に配置されている水中ポンプである、請求項1乃至9の何れか1項に記載の装置。
【請求項11】
前記水中ポンプは、前記制御システムによって操作される、請求項10に記載の装置。
【請求項12】
前記水中ポンプは可変周波数駆動装置を有している、請求項11に記載の装置。
【請求項13】
液体空間とアレージ空間を提供する取り囲まれ断熱された容器に入った液化ガスを制御された状態で貯蔵するための方法であって、液体の一部分が抜き出され、外部冷却ユニットで過冷され、そこから、前記過冷された液体は、1つ又は複数のヘッダーを通して前記容器に再び導入される方法において、前記アレージ空間の圧力は、その中の少なくとも1つの圧力センサーによって監視され、前記液体空間の温度は、その中の少なくとも1つの温度センサーによって監視され、前記両センサーからの信号は、前記過冷された液体を前記アレージ空間及び/又は前記液体空間に再び導入するために、前記アレージ空間内の少なくとも1つの弁制御式ヘッダーと前記液体空間内の少なくとも1つの弁制御式ヘッダーとを操作する制御システムに送られることを特徴とする方法。
【請求項14】
前記外部冷却ユニットは調整可能な型式のユニットである、請求項13に記載の方法。
【請求項15】
冷却のレベルは、前記圧力センサーと前記温度センサーから受け取る信号に従って、前記制御システムによって変更される、請求項13又は14に記載の方法。
【請求項16】
冷却サイクルはブレイトンサイクルである、請求項13乃至15の何れか1項に記載の方法。
【請求項17】
LNG冷却のために使用され、冷媒流体は窒素である、請求項13乃至16の何れか1項に記載の方法。
【請求項18】
前記過冷された液体の全部又は大部分は、前記液体空間に再び導入される、請求項13乃至17の何れか1項に記載の方法。
【請求項19】
過冷の程度と過冷された物質の戻し速度は、必要なアレージ空間圧力を維持できるほどの少量の蒸発が起きるように調整される、請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記過冷された液体は、前記貯蔵されている液体内へと上向きの方向に再び導入される、請求項13乃至19の何れか1項に記載の方法。
【請求項21】
液体は、前記容器の底又は底付近に配置されている水中ポンプによって、前記容器から抜き出される、請求項13乃至20の何れか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記ポンプは、前記制御システムによって、優勢な温度と圧力の要件に合わせるように操作される、請求項21に記載の方法。
【請求項23】
前記ポンプは連続して運転される、請求項21又は22に記載の方法。
【請求項24】
前記ポンプには可変周波数駆動装置が装備されている、請求項21乃至23の何れか1項に記載の方法。

【図1】
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【公表番号】特表2007−504414(P2007−504414A)
【公表日】平成19年3月1日(2007.3.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−525213(P2006−525213)
【出願日】平成16年9月1日(2004.9.1)
【国際出願番号】PCT/IB2004/003012
【国際公開番号】WO2005/022027
【国際公開日】平成17年3月10日(2005.3.10)
【出願人】(599067318)クライオスター・ソシエテ・パール・アクシオンス・サンプリフィエ (7)
【Fターム(参考)】