説明

液晶シャッタ眼鏡

【課題】液晶シャッタが閉まっているときの光漏れが低減された液晶シャッタ眼鏡を提供する。
【解決手段】ブルー相を示す液晶材料を含む液晶層を挟持する第1の基板及び第2の基板と、第1の基板と液晶層との間に設けられた櫛歯状の第1の電極及び櫛歯状の第1の共通電極と、第2の基板と液晶層との間に設けられた櫛歯状の第2の電極及び櫛歯状の第2の共通電極と、を有し、第1の電極は、第2の電極と重畳し、第1の共通電極は、第2の共通電極と重畳し、第1の電極は、第2の電極と接続する液晶シャッタ眼鏡を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶シャッタ眼鏡に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、擬似的に3次元画像の視認が可能な液晶表示装置の開発が進んでいる。例えば、人間の左右の目の視差を利用して2次元画像を3次元画像に知覚させる液晶表示装置が知られている。このような液晶表示装置の一例では、画素部で左眼用画像と右眼用画像を交互に表示させる。視認者は、液晶シャッタを備えた眼鏡(以下、液晶シャッタ眼鏡と記す)を介して該画像を視認することで、2次元画像が3次元画像に見える。このとき、液晶シャッタ眼鏡は、液晶表示装置が左眼用画像を表示している場合には、右眼に対応する液晶シャッタを閉じて視認者の右眼への光の入射を遮断しており、液晶表示装置が右眼用画像を表示している場合には、左眼に対応する液晶シャッタを閉じて視認者の左眼への光の入射を遮断している。
【0003】
このような液晶シャッタ眼鏡を用いた方式では、液晶表示装置において左眼用画像と右眼用画像を交互に表示させるため、それぞれの目に認識されるフレーム数(画像データ数に相当)は、液晶表示装置で表示される映像のフレーム数の半分となる。フレーム数が少ないと、視認者の目には画像のちらつきが認識されてしまう。よって、液晶表示装置の駆動周波数を増やし、それぞれの目に認識されるフレーム数を増やすことで、表示のちらつきを抑制する対策がとられている。
【0004】
液晶表示装置の駆動周波数の増加に対応するために、液晶シャッタ眼鏡は、液晶シャッタを高速で開閉することが求められる。液晶シャッタを高速で開閉するためには、液晶分子が高速で応答する必要がある。
【0005】
高速で応答可能な液晶モードとして、ブルー相を示す液晶(ブルー相液晶)を用いるモードが注目されている。
【0006】
ブルー相液晶を駆動する方式として、特許文献1では、同一基板上に一対の電極を設け、当該一対の電極間で、基板面に概略平行な電気力線を形成する横方向電界を発生させ、発生した横方向電界を用いて液晶分子を駆動させる方式が用いられている。
【0007】
特許文献1には、凸状に形成された絶縁層上に電極を設け、最大電界領域を基板から離れた位置に形成させることで、横方向電界を広い領域に形成し、駆動電圧を低減させる技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2005−227760号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかし、特許文献1のように、横方向電界を広い領域で得るために、絶縁材料からなる凸状の構造体を規則的に設けると、透過光の位相がずれ、透過光の偏光状態に影響を及ぼす恐れがある。
【0010】
また、金属からなる凸状の構造体、又は膜厚の厚い電極を規則的に形成すると、構造体や電極が直線偏光板のような働きをし、透過光の偏光状態に影響を及ぼす恐れがある。
【0011】
上述のように構造体等に影響を受け透過光の偏光状態が変化した場合、液晶シャッタが閉まっているときに光漏れが発生する。これによって、使用者の脳内で左眼用画像の情報と右眼用画像の情報とが混在する(以下、クロストークと記す)場合がある。クロストークが起こると、使用者が2次元画像を3次元画像として十分に知覚できない場合がある。
【0012】
したがって、本発明の一態様は、液晶シャッタが閉まっているときの光漏れが低減された液晶シャッタ眼鏡を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
液晶シャッタ眼鏡は、第1の基板と第2の基板とで、液晶層を挟持する。ここで、本発明者は、第1の基板に一対の電極を設けるだけでなく、第2の基板にも一対の電極を設け、ブルー相を示す液晶を挟持する構成に着眼した。
【0014】
ブルー相液晶を用いることで、液晶分子の応答速度は1ミリ秒以下とすることができる。よって、シャッタを高速で開閉することが可能な液晶シャッタ眼鏡を提供することができる。
【0015】
第1の基板及び第2の基板のそれぞれに、一対の電極を設けることによって、液晶層中の広い領域に、均一な横方向電界を形成することができる。広い領域に横方向電界を形成することによって、ブルー相液晶を低電圧で駆動させることができる。
【0016】
低電圧で駆動可能な液晶シャッタ眼鏡は、シャッタが開いているときに十分に光を透過することができるため、シャッタが開いているときと、閉まっているときとの光の透過率の比を高めることができる。
【0017】
また、広い領域に横方向電界を形成するために、電極の下に規則的に構造体を設けることや、電極の膜厚を大きくすることを必要としないため、構造体や電極の影響で、透過光の偏光状態が変化することを抑制することができる。したがって、液晶シャッタが閉まっているときの光漏れを低減することができる。
【0018】
本発明の一態様では、第1の電極と、第2の電極が接続している。よって、1つの電圧印加手段を用いて、第1の電極及び第2の電極に共通の電位を与えることができる。したがって、液晶シャッタ眼鏡の作製工程数の減少や、作製コストの低減を実現することができる。
【0019】
具体的には、本発明の一態様は、ブルー相を示す液晶材料を含む液晶層を挟持する第1の基板及び第2の基板と、第1の基板と液晶層との間に設けられた櫛歯状の第1の電極及び櫛歯状の第1の共通電極と、第2の基板と液晶層との間に設けられた櫛歯状の第2の電極及び櫛歯状の第2の共通電極と、を有し、第1の電極は、第2の電極と重畳し、第1の共通電極は、前記第2の共通電極と重畳し、第1の電極は、第2の電極と接続する液晶シャッタ眼鏡である。
【0020】
上記液晶シャッタ眼鏡において、第1の基板上に凸状の第1の構造体を有し、第1の構造体上で、第1の電極と第2の電極とが接することが好ましい。
【0021】
上記液晶シャッタ眼鏡において、第2の基板上に凸状の第2の構造体を有し、第2の構造体上で、第1の電極と第2の電極とが接することが好ましい。
【0022】
第1の電極と第2の電極の接続箇所が多いほど、電極の抵抗を低くすることができる。
【0023】
本発明の一態様では、それぞれの基板上に凸状の構造体を1以上設けることができる。構造体上において第1の電極と第2の電極が接続する箇所は、構造体及び電極が液晶シャッタのスペーサとしての機能を備えるため、セルギャップを維持する効果を奏する。
【0024】
上記液晶シャッタ眼鏡において、第1の共通電極は、第2の共通電極と接続することが好ましい。
【0025】
このような構成とすることで、第1の電極及び第2の電極と同様に、1つの電圧印加手段を用いて、第1の共通電極及び第2の共通電極に共通の電位を与えることができる。
【0026】
上記液晶シャッタ眼鏡において、第1の基板上に凸状の第3の構造体を有し、第3の構造体上で、第1の共通電極と第2の共通電極とが接することが好ましい。
【0027】
上記液晶シャッタ眼鏡において、第2の基板上に凸状の第4の構造体を有し、第4の構造体上で、第1の共通電極と第2の共通電極とが接することが好ましい。
【0028】
第1の共通電極と第2の共通電極の接続箇所が多いほど、共通電極の抵抗を低くすることができる。また、構造体上において第1の共通電極と第2の共通電極が接続する箇所は、構造体及び共通電極が液晶シャッタのスペーサとしての機能を備えるため、セルギャップを維持する効果を奏する。
【0029】
上記構成において、第1の電極、第2の電極、第1の共通電極、及び第2の共通電極は、それぞれ1.5μm未満の膜厚であることが好ましい。特に、第1の電極、第2の電極、第1の共通電極、及び第2の共通電極は、それぞれ1.0μm以下の膜厚であることが好ましい。
【0030】
電極及び共通電極の膜厚を小さくすることで、電極及び共通電極が透過光の偏光状態に影響を及ぼすことを抑制することができる。よって、液晶シャッタが閉まっているときの光漏れを低減することができる。
【0031】
上記構成において、第1の電極、第2の電極、第1の共通電極、及び第2の共通電極が、それぞれ金属膜であると、電極及び共通電極の抵抗が低くなるため好ましい。また、上記構成において、第1の電極、第2の電極、第1の共通電極、及び第2の共通電極が、それぞれ可視光に対する透光性を有する導電膜であると、液晶シャッタの開口率や光透過率を低下させないため好ましい。また、第1の電極、第2の電極、第1の共通電極、及び第2の共通電極は、金属膜と可視光に対する透光性を有する導電膜とが組み合わされた構成であっても良い。
【発明の効果】
【0032】
本発明の一態様を適用することで、液晶シャッタが閉まっているときの光漏れが低減された液晶シャッタ眼鏡を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0033】
【図1】本発明の一態様の液晶シャッタ眼鏡を説明する図。
【図2】本発明の一態様の液晶シャッタを説明する図。
【図3】本発明の一態様の液晶シャッタの作製方法を示す図。
【図4】本発明の一態様の液晶シャッタの作製方法を示す図。
【図5】実施の形態1において液晶シャッタを説明する図。
【図6】本発明の一態様の液晶シャッタを説明する図。
【図7】液晶の応答速度を説明する図。
【発明を実施するための形態】
【0034】
実施の形態について、図面を用いて詳細に説明する。但し、本発明は以下の説明に限定されず、本発明の趣旨及びその範囲から逸脱することなくその形態及び詳細を様々に変更し得ることは当業者であれば容易に理解される。従って、本発明は以下に示す実施の形態の記載内容に限定して解釈されるものではない。なお、以下に説明する発明の構成において、同一部分又は同様な機能を有する部分には同一の符号を異なる図面間で共通して用い、その繰り返しの説明は省略する。
【0035】
(実施の形態1)
本実施の形態では、本発明の一態様の液晶シャッタ眼鏡の構成について図1、図2及び図5を用いて説明する。
【0036】
図1(A)に示す本実施の形態の液晶シャッタ眼鏡10は、眼鏡のレンズに相当する領域に、右眼用液晶シャッタ11と左眼用液晶シャッタ12を有する。また、右眼用液晶シャッタ11及び左眼用液晶シャッタ12は、駆動手段(図示しない)とそれぞれ電気的に接続している。
【0037】
右眼用液晶シャッタ11及び左眼用液晶シャッタ12は、駆動手段を用い、一定の周期で閾値以上の電圧を印加することで、光透過率の高い”開状態”と、光透過率の低い”閉状態”とを交互に実現する。
【0038】
駆動手段は、左眼用画像及び右眼用画像を交互に表示する画像表示装置と同期して、画像表示装置が左眼用画像を表示する際に、左眼用液晶シャッタ12が”開状態”、かつ右眼用液晶シャッタ11が”閉状態”となり、右眼用画像を表示する際に、左眼用液晶シャッタ12が”閉状態”、かつ右眼用液晶シャッタ11が”開状態”となるように、液晶シャッタ眼鏡10を制御することができる。
【0039】
このような動作により、液晶シャッタ眼鏡10を装着して画像表示装置を見る使用者の左眼には左眼用画像のみ、右眼には右眼用画像のみが入射される。そして、使用者の脳内で左眼用画像及び右眼用画像が合成され、画像表示装置に表示される画像が立体的に認識される。
【0040】
次に、右眼用液晶シャッタ11と、左眼用液晶シャッタ12の構成の一例を説明する。右眼用液晶シャッタ11と、左眼用液晶シャッタ12は同一の構成を適用することができるため、以下では、右眼用液晶シャッタ11の構成を、図1(B)を用いて説明する。
【0041】
図1(B)に示す右眼用液晶シャッタ11は、櫛歯状の電極101及び櫛歯状の共通電極102を有する。電極101及び共通電極102は、駆動手段(図示しない)とそれぞれ電気的に接続している。
【0042】
なお、駆動手段としては、右眼用液晶シャッタ11を制御する駆動手段と、左眼用液晶シャッタ12を制御する駆動手段をそれぞれ設けても良いし、1つの駆動手段で両方のシャッタの駆動を制御しても良い。
【0043】
本発明の一態様において、電極101及び共通電極102は、互いが接しないように配置されている。
【0044】
本発明の一態様では、電極及び共通電極は、平板状でなく、様々な開口パターン(スリット)を有し、屈曲部や枝分かれした櫛歯状を含む形状である。例えば、電極及び共通電極が有する形状としては、閉空間を形成せず開かれた櫛歯状のようなパターンを用いることができる。この場合、電極と共通電極とは互いの櫛歯状のパターンがかみ合うように同一の絶縁表面(例えば同一基板や同一絶縁膜)に設けることができる。電極及び共通電極の形状としては、図2(C)に示す形状も例として挙げることができる。
【0045】
図1(B)における、A−B間、C−D間及びE−F間の断面図を図1(C)に示す。
【0046】
図1(C)に示す液晶シャッタは、第1の基板121上に、第1の電極101a及び第1の共通電極102aを有する。また、第2の基板122上に、第2の電極101b及び第2の共通電極102bを有する。そして、ブルー相を示す液晶層123bが、第1の基板121と第2の基板122に挟持されている。なお、当該液晶シャッタは、第1の基板121と第1の電極101a及び第1の共通電極102aの間に、絶縁膜を有する構造であってもよい。
【0047】
図1(C)に示すように、第1の電極101aは第2の電極101bと重畳する位置にある。また、第1の共通電極102aは、第2の共通電極102bと重畳する位置にある。
【0048】
図5(B)に示すように、第1の電極101aの一部が第2の電極101bの一部と重畳する位置にあり、第1の共通電極102aの一部が第2の共通電極102bの一部と重畳する位置にある構成としても良い。図1(C)に示すように、第1の電極101aが第2の電極101bとほとんど全て重畳する位置にあり、第1の共通電極102aが第2の共通電極102bとほとんど全て重畳する位置にあると、液晶層中の広い領域に横方向電界を形成することができるため、好ましい。
【0049】
本実施の形態において、第1の電極101a及び第2の電極101b、並びに、第1の共通電極102a及び第2の共通電極102bは、それぞれ平面図でみるとほぼ同形状であり、液晶層123bを介して重畳するように配置される。このような構成とすることで、液晶層中の広い領域に横方向電界を形成することができる。
【0050】
図1(C)に示すA−B間において、第1の電極101a及び第1の共通電極102aの間には横方向電界が形成される。また、第2の電極101b及び第2の共通電極102bの間にも横方向電界が形成される。
【0051】
横方向電界は電極から高さ(膜厚)方向に離れるほど電界の強度が弱くなる。例えば、図5(A)に示すように、第1の電極101a及び第1の共通電極102aの間に形成される横方向電界は、第1の基板121に近い領域の強度に比べて、高さ方向に離れた領域、すなわち第2の基板122に近い領域の強度が弱い。しかし、本発明の一態様では、図1(C)に示すように、第1の基板121及び第2の基板122のそれぞれが一対の電極(電極及び共通電極)を備える。したがって、第1の基板121に近い領域、及び第2の基板122に近い領域のそれぞれで、横方向電界が形成されるので、高さ方向の電界強度を補うことができる。
【0052】
横方向電界の高さ方向の電界強度を補うことで、当該横方向電界の強度を強めることができる。当該横方向電界の強度を強めることで、液晶シャッタ眼鏡の駆動電圧を低減することができる。
【0053】
液晶層を介して隣接する電極と共通電極とは、電極及び共通電極にそれぞれ所定の電圧を印加した時、電極及び共通電極間に介在する液晶層の液晶が応答する距離とする。液晶層を介して隣接する電極と共通電極間の距離105は0.5μm以上20μm以下、好ましくは1μm以上5μm以下とするとよく、該距離に応じて印加する電圧を適宜制御する。また、電極の幅106及び共通電極の幅107は、電極と共通電極間の距離105と同じ長さであることが好ましい。
【0054】
一方、高さ(膜厚)方向においては、電極及び共通電極は、それぞれ1.5μm未満の膜厚であることが好ましい。特に、電極及び共通電極は、それぞれ1.0μm以下の膜厚であることが好ましい。
【0055】
電極及び共通電極の膜厚を小さくすることで、電極及び共通電極が透過光の偏光状態に影響を及ぼすことを抑制できる。よって、シャッタが閉まっているときの光漏れを低減することができる。
【0056】
図1(C)のC−D間において、第1の基板121上に凸状の構造体124aが設けられている。また、図1(C)のE−F間において、第1の基板121上に構造体125aが設けられている。
【0057】
構造体124aを覆う第1の電極101aは、第2の電極101bと接している。また、構造体125aを覆う第1の共通電極102aは、第2の共通電極102bと接している。
【0058】
このように、第1の電極101aと第2の電極101bを接続することで、1つの電圧印加手段で、第1の電極101a及び第2の電極101bに共通の電位を与えることができる。同様に、第1の共通電極102aと第2の共通電極102bを接続することで、1つの電圧印加手段で、第1の共通電極102a及び第2の共通電極102bに共通の電位を与えることができる。したがって、液晶シャッタ眼鏡の作製工程数の減少や、作製コストの低減を実現することができる。
【0059】
本発明の一態様は、第1の基板121のみに構造体を備える構成に限られない。例えば、図2(A)に示すように第2の基板122上に凸状の構造体124bを設け、構造体124bを覆う第2の電極101bが、第1の電極101aと接する構成としても良い。また、図2(B)に示すように、凸状の構造体126aを覆う第1の電極101aと構造体126bを覆う第2の電極101bが接する構成としても良い。
【0060】
また、第1の電極101aと第2の電極101bの接続箇所は、1つの液晶シャッタに1箇所以上あれば良い。
【0061】
また、第1の共通電極102aと第2の共通電極102bの接続箇所は無くても構わないが、1つの液晶シャッタに1箇所以上あると好ましい。
【0062】
液晶シャッタ眼鏡が備える電圧印加手段としては、例えば、トランジスタを用いたスイッチング素子等が挙げられる。なお、各液晶シャッタにスイッチング素子を備えた構造であってもよい。
【0063】
液晶層123bには、ブルー相を示す液晶材料を用いる。
【0064】
なお、液晶材料とは、液晶層に用いる液晶を含む混合物をさす。
【0065】
液晶の応答速度について図7(A)、(B)を用いて説明する。図7(A)、(B)は、最大透過率を100%として規格化した規格化透過率と時間の図である。図7(A)はブルー相を示す液晶を用いた場合、図7(B)は垂直配向(VA)モードの液晶を用いた場合である。図7(A)に示すように、ブルー相を示す液晶を用いることで、立ち上がり時間(規格化透過率10%から規格化透過率90%に達するまでに要する時間)401及び立ち下がり時間(規格化透過率90%から規格化透過率10%に達するまでに要する時間)402を、従来例である垂直配向(VA)モードの液晶の立ち上がり時間403および立ち下がり時間404より短くすることができる。具体的には、ブルー相を示す液晶の立ち上がり時間は、200マイクロ秒以下とすることができる。一方、垂直配向(VA)モードの液晶の立ち上がり時間は、ブルー相を示す液晶よりも長く、1〜2ミリ秒を要する。
【0066】
このように、ブルー相を示す液晶材料は、応答速度が従来の液晶材料よりも短く、高速応答が可能であるため、液晶シャッタ眼鏡の高性能化が可能になる。
【0067】
なお、図示していないが、第1の基板121及び第2の基板122には、偏光板、反射防止膜などの光学フィルムなどが適宜設けられている。状況に応じては、偏光板及び位相差板による円偏光を用いてもよい。
【0068】
以上に示すように、本実施の形態の液晶シャッタ眼鏡は、ブルー相液晶を用いることで、液晶分子の応答速度は1ミリ秒以下とすることができる。よって、シャッタを高速で開閉することが可能な液晶シャッタ眼鏡を提供することができる。
【0069】
また、第1の基板及び第2の基板のそれぞれに、一対の電極を設けることによって、液晶層中の広い領域に、均一な横方向電界を形成することができる。広い領域に横方向電界を形成することによって、ブルー相液晶を低電圧で駆動させることができる。
【0070】
また、第1の基板及び第2の基板のそれぞれに一対の電極を設けることによって、それぞれの電極の膜厚が小さくても液晶層中の広い領域に均一な横方向電界を形成することができるため、電極等が透過光の偏光状態に影響を及ぼすことを防ぐことができる。したがって、液晶シャッタが閉まっているときの光漏れを低減することができる。これによって、液晶シャッタ眼鏡を用いた場合の右眼用画像及び左眼用画像のクロストークを抑制することができる。
【0071】
本発明の一態様は、ブルー相液晶を用いる。ブルー相液晶はラビング処理が不要であることや、セルギャップの厚さ方向にマージンが広いことから、液晶シャッタ眼鏡が一般の眼鏡のように湾曲した形状を有していても、適用することができる。
【0072】
本発明の一態様では、第1の電極及び第2の電極が接続している。よって、1つの電圧印加手段を用いて、第1の電極及び第2の電極に共通の電位を与えることができる。したがって、液晶シャッタ眼鏡の作製工程数の減少や、作製コストの低減を実現することができる。
【0073】
(実施の形態2)
本実施の形態では、本発明の一態様に適用できる液晶シャッタの作製方法について、図3を用いて説明する。
【0074】
本実施の形態は、図1(C)に示す構成の液晶シャッタの作製方法を説明する。
【0075】
第1の基板121、及び第2の基板122としては、バリウムホウケイ酸ガラスやアルミノホウケイ酸ガラスなどのガラス基板、石英基板、プラスチック基板など、可視光に対する透光性を有する基板を用いることができる。
【0076】
まず、第1の基板121上に、凸状の構造体124a、125aを作製する(図3(A)参照)。なお、当該液晶シャッタは、第1の基板121と凸状の構造体124a及び125aの間に、絶縁膜を有する構造であってもよい。
【0077】
構造体124a、125aは絶縁性材料(有機材料及び無機材料)、及び導電性材料(有機材料及び無機材料)で形成することができる。有機系絶縁材料である可視光硬化性樹脂、紫外線硬化性樹脂または熱硬化性樹脂を用いるのが好ましい。例えば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、アミン樹脂などを用いることができる。また、導電性樹脂や金属材料で形成してもよい。なお、構造体124a、125aは複数の絶縁性材料または複数の導電性材料の薄膜を積層した構造であってもよい。
【0078】
構造体124a、125aの形状は、先端が平面の柱状、錐形で、断面が台形の形状、または、錐形の先端が丸いドーム状などを用いることができる。構造体124a、125aは電極及び共通電極の被覆性が高くなるように、表面に段差が少なく曲面を有するリブ状の形状が好ましい。また、液晶シャッタの開口率や光透過率を低下させないため、構造体124a、125aは可視光に対して透光性を有する材料が好ましい。
【0079】
また、構造体124aと125aで、構造体を形成している材料、形状はそれぞれ異なってもよい。
【0080】
構造体124a、125aの形成方法は特に限定されず、材料に応じて、蒸着法、スパッタリング法、CVD(Chemical Vapor Deposition)法などの乾式法、又はスピンコート法、ディップ法、スプレー塗布法、液滴吐出法(インクジェット法)、ナノインプリント法、各種印刷法(スクリーン印刷、オフセット印刷)等などの湿式法を用い、必要に応じてエッチング法(ドライエッチング又はウエットエッチング)により所望のパターンに加工すればよい。
【0081】
次に、第1の電極101a及び第1の共通電極102aを形成する(図3(B)参照)。
【0082】
第1の電極101a及び第1の共通電極102aは、第1の基板121上に導電膜を成膜し、該導電膜を選択的にエッチングして形成することができる。本実施の形態では、第1の電極101aを、第1の基板121上に選択的に設けるだけでなく、構造体124aの上面及び側面を覆う領域にも設ける。また、第1の共通電極102aを、第1の基板121上に選択的に設けるだけでなく、構造体125aの上面及び側面を覆う領域にも設ける。また、図3(B)のA−B間において、第1の電極101aと第1の共通電極102aは、等間隔で設けられていることが好ましい。
【0083】
第1の電極101a及び第1の共通電極102aの膜厚は、1.5μm未満の膜厚であることが好ましい。特に、1.0μm以下の膜厚であることが好ましい。
【0084】
第1の電極101a及び第1の共通電極102aの膜厚を小さくすることで、第1の電極101a及び第1の共通電極102aが透過光の偏光状態に影響を及ぼすことを抑制できる。よって、液晶シャッタが閉まっているときの光漏れを低減することができる。
【0085】
第1の電極101a及び第1の共通電極102aは、アルミニウム、金、白金、銀、ニッケル、タングステン、クロム、モリブデン、鉄、コバルト、銅、パラジウム、又はチタン等の金属材料を用いることができる。または、それら金属材料の窒化物(例えば、窒化チタン)等を用いてもよい。
【0086】
また、第1の電極101a及び第1の共通電極102aは、可視光に対して透光性を有することが好ましい。可視光に対して透光性を有する導電膜としては、酸化インジウム酸化スズ混合酸化物、酸化インジウム酸化亜鉛混合酸化物、有機インジウム、有機スズ、酸化タングステンを含むインジウム酸化物、酸化タングステンを含むインジウム亜鉛酸化物、酸化チタンを含むインジウム酸化物、酸化チタンを含むインジウム錫酸化物、グラフェンなどを用いて形成することができる。また、金属材料(又はその窒化物)を用いる場合、透光性を有する程度に薄く成膜しても良い。
【0087】
また、導電性高分子(導電性ポリマーともいう)を含む導電性組成物を用いて形成することができる。導電性組成物を用いて形成した画素電極は、シート抵抗が10000Ω/□以下、波長550nmにおける透光率が70%以上であることが好ましい。また、導電性組成物に含まれる導電性高分子の抵抗率が0.1Ω・cm以下であることが好ましい。
【0088】
導電性高分子としては、いわゆるπ電子共役系導電性高分子が用いることができる。例えば、ポリアニリンまたはその誘導体、ポリピロールまたはその誘導体、ポリチオフェンまたはその誘導体、またはアニリン、ピロールおよびチオフェンの2種以上からなる共重合体若しくはその誘導体等が挙げられる。
【0089】
第1の電極101a及び第1の共通電極102aを形成する工程と同様の材料及び方法で、第2の基板122上に、第2の電極101b及び第2の共通電極102bを形成する(図3(C))。図3(C)のA−B間において、第2の電極101bと第2の共通電極102bは、等間隔で設けられていることが好ましい。
【0090】
第2の電極101b及び第2の共通電極102bは、第2の基板122上に導電膜を成膜し、該導電膜を選択的にエッチングして形成することができる。
【0091】
第2の電極101b及び第2の共通電極102bの膜厚は、1.5μm未満の膜厚であることが好ましい。特に、1.0μm以下の膜厚であることが好ましい。
【0092】
第2の電極101b及び第2の共通電極102bの膜厚を小さくすることで、第2の電極101b及び第2の共通電極102bが透過光の偏光状態に影響を及ぼすことを抑制できる。よって、液晶シャッタが閉まっているときの光漏れを低減することができる。
【0093】
そして図4(A)に示すように、第1の基板121と第2の基板122とを、液晶層123aを間に挟持させてシール材で固着する。液晶層123aを形成する方法として、滴下法や、第1の基板121と第2の基板122とを貼り合わせてから毛細管現象を用いて液晶を注入する注入法を用いることができる。
【0094】
液晶層123aには、ブルー相を示す液晶材料を用いる。液晶層123aは、液晶、カイラル剤、光硬化樹脂、及び光重合開始剤を含む液晶材料を用いて形成する。
【0095】
液晶層123aの厚さ(膜厚)の最大値は1μm以上20μm以下とすることが好ましい。
【0096】
カイラル剤は、液晶を螺旋構造に配向させ、ブルー相を発現させるために用いる。例えば、5重量%以上のカイラル剤を混合させた液晶材料を液晶層に用いればよい。
【0097】
カイラル剤は、液晶に対する相溶性が良く、かつ捩れ力の強い材料を用いる。また、R体、S体のどちらか片方の材料が良く、R体とS体の割合が50:50のラセミ体は使用しない。
【0098】
液晶は、サーモトロピック液晶、低分子液晶、高分子液晶、強誘電液晶、反強誘電液晶等を用いる。
【0099】
上記液晶材料は、条件により、コレステリック相、コレステリックブルー相、スメクチック相、スメクチックブルー相、キュービック相、カイラルネマチック相、等方相等を示す。
【0100】
ブルー相であるコレステリックブルー相及びスメクチックブルー相は、螺旋ピッチが500nm以下とピッチの比較的短いコレステリック相またはスメクチック相を有する液晶材料にみられる。液晶材料の配向は二重ねじれ構造を有する。ブルー相は、可視光の波長以下の秩序を有しているため無色であり、電圧印加によって配向秩序が変化して光学的変調作用が生じる。ブルー相は光学的に等方であるため視野角依存性がなく、配向膜を形成しなくとも良いため、配向膜形成に係るプロセスを削減することで、コスト削減が可能である。
【0101】
また、ブルー相は狭い温度範囲でしか発現が容易でない。よって、発現する温度範囲を広くするために、液晶材料に、光硬化樹脂及び光重合開始剤を添加し、高分子安定化処理を行うことが好ましい。高分子安定化処理は、液晶、カイラル剤、光硬化樹脂、及び光重合開始剤を含む液晶材料に、光硬化樹脂、及び光重合開始剤が反応する波長の光を照射して行う。この高分子安定化処理は、温度制御を行い、等方相を示した状態で光照射して行っても良いし、ブルー相を示した状態で光照射して行ってもよい。
【0102】
例えば、液晶層の温度を制御し、ブルー相を発現した状態で液晶層に光を照射することにより高分子安定化処理を行う。但し、これに限定されず、ブルー相と等方相間の相転移温度から+10℃以内、好ましくは+5℃以内の等方相を発現した状態で液晶層に光を照射することにより高分子安定化処理を行ってもよい。ブルー相と等方相間の相転移温度とは、昇温時にブルー相から等方相に転移する温度、又は降温時に等方相からブルー相に相転移する温度をいう。高分子安定化処理の一例としては、液晶層を等方相まで加熱した後、徐々に降温させてブルー相にまで相転移させ、ブルー相が発現する温度を保持した状態で光を照射することができる。他にも、液晶層を徐々に加熱して等方相に相転移させた後、ブルー相と等方相間の相転移温度から+10℃以内、好ましくは+5℃以内の状態(等方相を発現した状態)で光を照射することができる。また、液晶材料に含まれる光硬化樹脂として、紫外線硬化樹脂(UV硬化樹脂)を用いる場合、液晶層に紫外線を照射すればよい。なお、ブルー相を発現させなくとも、ブルー相と等方相間の相転移温度から+10℃以内、好ましくは+5℃以内の状態(等方相を発現した状態)で光を照射して高分子安定化処理を行えば、応答速度を1ミリ秒以下とでき、高速応答が可能である。
【0103】
光硬化樹脂は、アクリレート、メタクリレートなどの単官能モノマーでもよく、ジアクリレート、トリアクリレート、ジメタクリレート、トリメタクリレートなどの多官能モノマーでもよく、これらを混合させたものでもよい。また、液晶性のものでも非液晶性のものでもよく、両者を混合させてもよい。光硬化樹脂は、用いる光重合開始剤が反応する波長の光で硬化する樹脂を選択すれば良く、代表的には紫外線硬化樹脂を用いることができる。
【0104】
光重合開始剤は、光照射によってラジカルを発生させるラジカル重合開始剤でもよく、酸を発生させる酸発生剤でもよく、塩基を発生させる塩基発生剤でもよい。
【0105】
具体的には、液晶材料として、JC−1041XX(チッソ株式会社製)と4−シアノ−4’−ペンチルビフェニルの混合物を用いることができ、カイラル剤としては、ZLI−4572(メルク株式会社製)を用いることができ、光硬化樹脂は、2−エチルヘキシルアクリレート、RM257(メルク株式会社製)、トリメチロールプロパントリアクリレート等から適宜選択して用いることができ、光重合開始剤としては2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノンを用いることができる。
【0106】
シール材としては、代表的には可視光硬化性、紫外線硬化性または熱硬化性の樹脂を用いるのが好ましい。代表的には、アクリル樹脂、エポキシ樹脂、アミン樹脂などを用いることができる。また、光(代表的には紫外線)重合開始剤、熱硬化剤、フィラー、カップリング剤を含んでもよい。
【0107】
本実施の形態では、液晶層123aに、光130を照射して高分子安定化処理を行い、液晶層123bを形成する(図4(B)参照)。光130は、液晶層123aに含まれる光硬化樹脂、及び光重合開始剤が反応する波長の光とする。この光照射による高分子安定化処理により、液晶層123bがブルー相を示す温度範囲を広く改善することができる。
【0108】
シール材に紫外線などの光硬化樹脂を用い、滴下法で液晶層を形成する場合など、高分子安定化処理の光照射工程によってシール材の硬化も行ってもよい。
【0109】
そして、第1の基板121の外側(液晶層123bと反対側)、及び第2の基板122の外側(液晶層123bと反対側)に偏光板を設ける。また、偏光板の他、位相差板、反射防止膜などの光学フィルムなどを設けてもよい。例えば、偏光板及び位相差板による円偏光を用いてもよい。
【0110】
以上の工程で、本実施の形態の液晶シャッタを作製することができる。
【0111】
本発明の一態様の液晶シャッタ眼鏡は、ブルー相液晶を用いる。ブルー相液晶は、横方向電界で電気光学効果を制御するため、セルギャップの厚さ方向にはマージンが広い。例えば、ブルー相液晶を、一般的な数μm程度のセルギャップで使用することができる。または、ブルー相液晶を、10〜20μmのセルギャップで使用することも可能である。本発明では、ブルー相液晶を用いるため、狭いセルギャップを要求されない。したがって、製造中の歩留まりの低下を抑制することができる。
【0112】
また、ブルー相液晶を用いるモードでは、ブルー相の安定化のためのUV硬化工程が必要となるが、一般的な液晶工程で必要な工程の一部(配向膜塗布工程やラビング処理などの配向処理、ならびにこれらの工程前後の洗浄工程及びベーク工程)が不要となるため、液晶シャッタ眼鏡の作製工程の短縮、コストの削減、高い歩留まりの確保等が実現できる。また、ラビング処理によって引き起こされる静電破壊を防止することができ、作製工程中の液晶シャッタ眼鏡の不良や破損を軽減することができる。
【0113】
以上、本実施の形態に示した液晶シャッタの作製方法を適用することで、液晶シャッタが閉まっているときの光漏れが低減された液晶シャッタ眼鏡を提供することができる。これによって、液晶シャッタ眼鏡のクロストークを抑制することができる。
【0114】
本実施の形態は、他の実施の形態と自由に組み合わせることができる。
【0115】
(実施の形態3)
本実施の形態では、本発明の一態様の液晶シャッタの別の構成について図6を用いて説明する。
【0116】
本実施の形態の液晶シャッタの構成を説明する。
【0117】
図6(A)に示す液晶シャッタ15は、櫛歯状の電極301、櫛歯状の共通電極302を有する。電極301と共通電極302は、駆動手段(図示しない)とそれぞれ電気的に接続している。
【0118】
本発明の一態様において、電極301及び共通電極302は、互いが接しないように配置されている。
【0119】
電極301は、金属膜201及び可視光に対する透光性を有する導電膜211で構成されている。同様に、共通電極302は、金属膜202及び可視光に対する透光性を有する導電膜212で構成されている。
【0120】
図6(A)における、G−H間、I−J間及びK−L間の断面図を図6(B)に示す。
【0121】
図6(B)に示す液晶シャッタは、第1の基板221上に、第1の電極211aと、第1の共通電極212aを有する。また、第2の基板222上に、第2の電極211bと、第2の共通電極212bを有する。そして、ブルー相を示す液晶層223bが、第1の基板221と第2の基板222に挟持されている。なお、当該液晶シャッタは、第1の基板221と第1の電極211a及び第1の共通電極212aの間に、絶縁膜を有する構造であってもよい。
【0122】
図6(B)に示すように、第1の電極211aは第2の電極211bと重畳する位置にある。また、第1の共通電極212aは、第2の共通電極212bと重畳する位置にある。
【0123】
本実施の形態において、第1の電極211a及び第2の電極211b、並びに、第1の共通電極212a及び第2の共通電極212bは、それぞれ平面図でみるとほぼ同形状であり、液晶層223bを介して重畳するように配置される。このような構成とすることで、液晶層中の広い領域に横方向電界を形成することができる。
【0124】
図6(B)に示すG−H間において、第1の電極211a及び第1の共通電極212aの間には横方向電界が形成される。また、第2の電極211b及び第2の共通電極212bの間にも横方向電界が形成される。
【0125】
図6(B)の第1の電極211a及び第2の電極211bは、図6(A)に示す導電膜211に対応し、第1の共通電極212a及び第2の共通電極212bは、図6(A)に示す導電膜212に対応する。つまり、第1の電極211a、第1の共通電極212a、第2の電極211b、及び第2の共通電極212bは、可視光に対する透光性を有する導電膜から形成されている。このような構成とすることで、液晶シャッタの開口率や光透過率を低下させないため好ましい。
【0126】
図6(B)のI−J間において、第2の基板222上には、第1の金属膜201b(図6(A)に示す金属膜201に対応)が形成され、第1の金属膜201b上に第2の電極211bが設けられている。同様に、図6(B)のK−L間において、第2の基板222上には、第2の金属膜202b(図6(A)に示す金属膜202に対応)が形成され、第2の金属膜202b上に第2の共通電極212bが設けられている。液晶シャッタの電極及び共通電極において、液晶シャッタの非開口部となる領域に金属膜を形成することで、電極の抵抗を下げることができるため好ましい。なお、当該液晶シャッタは、第2の基板222と第1の金属膜201b及び第2の金属膜202bの間に、絶縁膜を有する構造であってもよい。
【0127】
上述の可視光に対する透光性を有する導電膜及び金属膜は、実施の形態2で挙げた材料を用いて形成することができる。
【0128】
図6(B)のI−J間において、第1の基板221上に構造体224aが設けられている。また、図6(B)のK−L間において、第1の基板221上に構造体225aが設けられている。なお、当該液晶シャッタは、第1の基板221と構造体224a及び構造体225aの間に、絶縁膜を有する構造であってもよい。
【0129】
本実施の形態の構造体は、実施の形態1の構造体と同様の構成を適用することができる。
【0130】
構造体224aを覆う第1の電極211aは、第2の電極211bと接している。また、構造体225aを覆う第1の共通電極212aは、第2の共通電極212bと接している。
【0131】
このように、第1の電極211aと第2の電極211bを接続することで、1つの電圧印加手段で、第1の電極及び第2の電極に共通の電位を与えることができる。
【0132】
同様に、第1の共通電極212aと第2の共通電極212bを接続することで、1つの電圧印加手段で、第1の共通電極及び第2の共通電極に共通の電位を与えることができる。
【0133】
したがって、液晶シャッタ眼鏡の作製工程数の減少や、作製コストの低減を実現することができる。
【0134】
液晶層223bには、ブルー相を示す液晶材料を用いる。
【0135】
なお、図示していないが、第1の基板221及び第2の基板222には、偏光板、反射防止膜などの光学フィルムなどが適宜設けられている。
【0136】
以上に示すように、本実施の形態の液晶シャッタは、第1の基板及び第2の基板のそれぞれに、一対の電極を設けることによって、液晶層中の広い領域に、均一な横方向電界を形成することができる。広い領域に横方向電界を形成することによって、ブルー相液晶を低電圧で駆動させることができる。
【0137】
また、本実施の形態の液晶シャッタは、電極及び共通電極において、開口部には可視光に対する透光性を有する導電膜を用い、非開口部には金属膜を用いる。このような構成とすることで、液晶シャッタ眼鏡の開口率や光透過率の低下を抑制することができる。さらに、電極及び共通電極の抵抗を下げることができる。
【0138】
また、第1の基板及び第2の基板のそれぞれに一対の電極を設けることによって、それぞれの電極の膜厚が小さくても液晶層中の広い領域に均一な横方向電界を形成することができるため、電極等が透過光の偏光状態に影響を及ぼすことを防ぐことができる。したがって、液晶シャッタが閉まっているときの光漏れを低減することができる。これによって、液晶シャッタ眼鏡を用いた場合の右眼用画像及び左眼用画像のクロストークを抑制することができる。
【0139】
本発明の一態様では、第1の電極及び第2の電極が接続している。さらに、第1の共通電極及び第2の共通電極が接続している。よって、1つの電圧印加手段を用いて、第1の電極及び第2の電極、並びに第1の共通電極及び第2の共通電極にそれぞれ共通の電位を与えることができる。したがって、液晶シャッタ眼鏡の作製工程数の減少や、作製コストの低減を実現することができる。
【0140】
本実施の形態は、他の実施の形態と自由に組み合わせることができる。
【符号の説明】
【0141】
10 液晶シャッタ眼鏡
11 右眼用液晶シャッタ
12 左眼用液晶シャッタ
15 液晶シャッタ
101 電極
101a 第1の電極
101b 第2の電極
102 共通電極
102a 第1の共通電極
102b 第2の共通電極
121 第1の基板
122 第2の基板
123a 液晶層
123b 液晶層
124a 構造体
124b 構造体
125a 構造体
126a 構造体
126b 構造体
130 光
201 金属膜
201b 第1の金属膜
202 金属膜
202b 第2の金属膜
211 導電膜
211a 第1の電極
211b 第2の電極
212 導電膜
212a 第1の共通電極
212b 第2の共通電極
221 第1の基板
222 第2の基板
223b 液晶層
224a 構造体
225a 構造体
301 電極
302 共通電極

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ブルー相を示す液晶材料を含む液晶層を挟持する第1の基板及び第2の基板と、
前記第1の基板と前記液晶層との間に設けられた櫛歯状の第1の電極及び櫛歯状の第1の共通電極と、
前記第2の基板と前記液晶層との間に設けられた櫛歯状の第2の電極及び櫛歯状の第2の共通電極と、を有し、
前記第1の電極は、前記第2の電極と重畳し、
前記第1の共通電極は、前記第2の共通電極と重畳し、
前記第1の電極は、前記第2の電極と接続する液晶シャッタ眼鏡。
【請求項2】
請求項1において、
前記第1の基板上に凸状の第1の構造体を有し、
前記第1の構造体上で、前記第1の電極と前記第2の電極とが接する液晶シャッタ眼鏡。
【請求項3】
請求項2において、
前記第2の基板上に凸状の第2の構造体を有し、
前記第2の構造体上で、前記第1の電極と前記第2の電極とが接する液晶シャッタ眼鏡。
【請求項4】
請求項1乃至請求項3のいずれか一項において、
前記第1の共通電極は、前記第2の共通電極と接続する液晶シャッタ眼鏡。
【請求項5】
請求項4において、
前記第1の基板上に凸状の第3の構造体を有し、
前記第3の構造体上で、前記第1の共通電極と前記第2の共通電極とが接する液晶シャッタ眼鏡。
【請求項6】
請求項4又は請求項5において、
前記第2の基板上に凸状の第4の構造体を有し、
前記第4の構造体上で、前記第1の共通電極と前記第2の共通電極とが接する液晶シャッタ眼鏡。
【請求項7】
請求項1乃至請求項6のいずれか一項において、
前記第1の電極、前記第2の電極、前記第1の共通電極、及び前記第2の共通電極は、それぞれ1.5μm未満の膜厚である液晶シャッタ眼鏡。
【請求項8】
請求項1乃至請求項7のいずれか一項において、
前記第1の電極、前記第2の電極、前記第1の共通電極、及び前記第2の共通電極は、それぞれ金属膜を備える液晶シャッタ眼鏡。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8のいずれか一項において、
前記第1の電極、前記第2の電極、前記第1の共通電極、及び前記第2の共通電極は、それぞれ可視光に対する透光性を有する導電膜を備える液晶シャッタ眼鏡。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2012−128408(P2012−128408A)
【公開日】平成24年7月5日(2012.7.5)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−249460(P2011−249460)
【出願日】平成23年11月15日(2011.11.15)
【出願人】(000153878)株式会社半導体エネルギー研究所 (5,264)
【Fターム(参考)】