説明

液晶ポリエステル及びその製造方法

【課題】明度が高い液晶ポリエステルを提供する。
【解決手段】芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する繰返し単位(1)と、芳香族ジカルボン酸に由来する繰返し単位(2)と、芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシアミン又は芳香族ジアミンに由来する繰り返し単位(3)とを有し、前記繰返し単位(1)の含有量が、全繰返し単位の合計量に対して、50〜80モル%であり、前記繰返し単位(2)の含有量が、全繰返し単位の合計量に対して、10〜25モル%であり、前記繰返し単位(3)の含有量が、全繰返し単位の合計量に対して、10〜25モル%であり、主鎖に1,2−フェニレン骨格又は1,3−フェニレン骨格を含む繰返し単位(A)の含有量が、全繰返し単位の合計量に対して、5〜30モル%であり、流動開始温度が270〜320℃である液晶ポリエステルとする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶ポリエステル及びその製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶ポリエステルは、溶融流動性に優れ、耐熱性や強度・剛性も高いことから、電気・電子部品をはじめ各種製品・部品の材料として検討されている。液晶ポリエステルを、これに白色顔料を配合して、LED(発光ダイオード)発光装置等の反射板の材料として用いる場合、反射板の反射率が高くなるように、また反射光が色味を帯び難いように、液晶ポリエステルには高い明度が求められる。かかる液晶ポリエステルとして、例えば、特許文献1には、黄色度YIが32以下であり、明度Lが75以上である液晶ポリエステルが開示されており、具体的には、p−ヒドロキシ安息香酸に由来する繰返し単位を60モル%、テレフタル酸に由来する繰返し単位を20モル%、イソフタル酸に由来する繰返し単位を5モル%、4,4−ジヒドロキビフェニルに由来する繰返し単位を20モル%有し、流動開始温度が327℃である液晶ポリエステルや、p−ヒドロキシ安息香酸に由来する繰返し単位を60モル%、テレフタル酸に由来する繰返し単位を18モル%、イソフタル酸に由来する繰返し単位を2モル%、4,4−ジヒドロキビフェニルに由来する繰返し単位を20モル%有し、流動開始温度が360℃である液晶ポリエステルや、p−ヒドロキシ安息香酸に由来する繰返し単位を73モル%、6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸に由来する返し単位を27モル%有し、流動開始温度が290℃である液晶ポリエステルが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2004−256673号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明の目的は、さらに明度が高い液晶ポリエステルを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的を達成するため、本発明は、芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する繰返し単位(1)と、芳香族ジカルボン酸に由来する繰返し単位(2)と、芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシアミン又は芳香族ジアミンに由来する繰り返し単位(3)とを有し、前記繰返し単位(1)の含有量が、全繰返し単位の合計量に対して、50〜80モル%であり、前記繰返し単位(2)の含有量が、全繰返し単位の合計量に対して、10〜25モル%であり、前記繰返し単位(3)の含有量が、全繰返し単位の合計量に対して、10〜25モル%であり、主鎖に1,2−フェニレン骨格又は1,3−フェニレン骨格を含む繰返し単位(A)の含有量が、全繰返し単位の合計量に対して、5〜30モル%であり、流動開始温度が270〜320℃である液晶ポリエステルを提供する。
【0006】
また、本発明は、前記液晶ポリエステルの好適な製造方法であって、原料モノマーとして、芳香族ヒドロキシカルボン酸と、芳香族ジカルボン酸と、芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシアミン及び芳香族ジアミンからなる群から選ばれる少なくとも1種の芳香族化合物とを用い、前記芳香族ヒドロキシカルボン酸及び前記芳香族化合物をそれぞれ酸無水物でアシル化して、芳香族アシルオキシカルボン酸及び芳香族ジアシル化合物を得る工程(1)と、前記芳香族アシルオキシカルボン酸と前記芳香族ジアシル化合物と前記芳香族ジカルボン酸とを溶融重合させて、溶融重合物を得る工程(2)と、前記溶融重合物を固相重合させて、固相重合物を得る工程(3)とを有し、前記芳香族ヒドロキシカルボン酸の使用量が、全原料モノマーの合計量に対して、50〜80モル%であり、前記芳香族ジカルボン酸の使用量が、全原料モノマーの合計量に対して、10〜25モル%であり、前記芳香族化合物の使用量が、全原料モノマーの合計量に対して、10〜25モル%であり、主鎖に1,2−フェニレン骨格又は1,3−フェニレン骨格を含む原料モノマー(A)の使用量が、全原料モノマーの合計量に対して、5〜30モル%であり、前記工程(3)における固相重合温度の上限が220〜270℃である液晶ポリエステルの製造方法を提供する。
【発明の効果】
【0007】
本発明の液晶ポリエステルは、明度が高いので、これに白色顔料を配合してなる液晶ポリエステル組成物を用いることにより、反射率が高く、反射光が色味を帯び難い反射板を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
本発明の液晶ポリエステルは、芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する繰返し単位(1)と、芳香族ジカルボン酸に由来する繰返し単位(2)と、芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシアミン又は芳香族ジアミンに由来する繰り返し単位(3)とを有するものである。繰返し単位(1)は、芳香族ヒドロキシカルボン酸から、そのヒドロキシル基の水素原子と、そのカルボキシル基のヒドロキシル基とを除いてなる2価の残基であり、繰返し単位(2)は、芳香族ジカルボン酸から、その2つのカルボキシル基の各ヒドロキシル基を除いてなる2価の残基であり、繰返し単位(3)は、芳香族ジオールから、その2つのヒドロキシル基の各水素原子を除いてなる2価の残基であるか、芳香族ヒドロキシアミンから、そのヒドロキシル基の水素原子と、そのアミノ基の水素原子とを除いてなる2価の残基であるか、芳香族ジアミンから、その2つのアミノ基の各水素原子を除いてなる2価の残基である。
【0009】
繰返し単位(1)の例としては、下記式(1)で示される繰返し単位が挙げられ、繰返し単位(2)の例としては、下記式(2)で示される繰返し単位が挙げられ、繰返し単位(3)の例としては、下記式(3)で示される繰返し単位が挙げられる。
【0010】
(1)−O−Ar1−CO−
(2)−CO−Ar2−CO−
(3)−X−Ar3−Y−
【0011】
(Ar1は、フェニレン基、ナフチレン基又はビフェニリレン基を表す。Ar2及びAr3は、それぞれ独立に、フェニレン基、ナフチレン基、ビフェニリレン基又は下記式(4)で表される基を表す。X及びYは、それぞれ独立に、酸素原子又はイミノ基(−NH−)を表す。Ar1、Ar2又はAr3で表される前記基にある水素原子は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキル基又はアリール基で置換されていてもよい。)
【0012】
(4)−Ar4−Z−Ar5
【0013】
(Ar4及びAr5は、それぞれ独立に、フェニレン基又はナフチレン基を表す。Zは、酸素原子、硫黄原子、カルボニル基、スルホニル基又はアルキリデン基を表す。)
【0014】
前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子及びヨウ素原子が挙げられる。前記アルキル基の例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、s−ブチル基、t−ブチル基、n−ヘキシル基、2−エチルヘキシル基、n−オクチル基及びn−デシル基が挙げられ、その炭素数は、通常1〜10である。前記アリール基の例としては、フェニル基、o−トリル基、m−トリル基、p−トリル基、1−ナフチル基及び2−ナフチル基が挙げられ、その炭素数は、通常6〜20である。前記水素原子がこれらの基で置換されている場合、その数は、Ar1、Ar2又はAr3で表される前記基毎に、それぞれ独立に、通常2個以下であり、好ましくは1個以下である。
【0015】
前記アルキリデン基の例としては、メチレン基、エチリデン基、イソプロピリデン基、n−ブチリデン基及び2−エチルヘキシリデン基が挙げられ、その炭素数は通常1〜10である。
【0016】
繰返し単位(1)としては、前記式(1)において、Ar1がp−フェニレン基又は2,6−ナフチレン基であるもの、すなわち、p−ヒドロキシ安息香酸又は6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸に由来する繰返し単位が好ましい。
【0017】
繰返し単位(2)としては、前記式(2)において、Ar2がo−フェニレン基、m−フェニレン基、p−フェニレン基又は2,6−ナフチレン基であるもの、すなわち、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸又は2,6−ナフタレンジカルボン酸に由来する繰返し単位が好ましい。
【0018】
繰返し単位(3)としては、前記式(3)において、X及びYがそれぞれ酸素原子であり、Ar3がo−フェニレン基、m−フェニレン基、p−フェニレン基、4,4’−ビフェニリレン基若しくは2,6−ナフチレン基であるもの、前記式(3)において、Xが酸素原子であり、Yがイミノ基であり、Ar3がo−フェニレン基、m−フェニレン基若しくはp−フェニレン基であるもの、又は前記式(3)において、X及びYがそれぞれイミノ基であり、Ar3がo−フェニレン基、m−フェニレン基若しくはp−フェニレン基であるもの、すなわち、カテコール、レゾルシノール、ヒドロキノン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,6−ナフタレンジオール、o−アミノフェノール、m−アミノフェノール、p−アミノフェノール、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン又はp−フェニレンジアミンに由来する繰返し単位が好ましい。
【0019】
繰返し単位(1)の含有量は、全繰返し単位の合計量(液晶ポリエステルを構成する各繰返し単位の質量を、その各繰返し単位の式量で割ることにより、各繰返し単位の物質量相当量(モル)を求め、それらを合計した値)に対して、好ましくは50〜80モル%、より好ましくは50〜70モル%である。繰返し単位(2)の含有量は、全繰返し単位の合計量に対して、好ましくは10〜25モル%、より好ましくは15〜25モル%である。繰返し単位(3)の含有量は、全繰返し単位の合計量に対して、好ましくは10〜25モル%、より好ましくは15〜25モル%である。
【0020】
繰返し単位(1)の含有量があまり多く、繰返し単位(2)及び(3)の含有量があまり少ないと、液晶ポリエステルの溶融温度や溶融粘度が高くなり易く、液晶ポリエステルの成形に必要な温度が高くなり易いため、液晶ポリエステルが成形時に着色し易く、成形体の明度が低下し易くなる。繰返し単位(1)の含有量があまり少なく、繰返し単位(2)及び(3)の含有量があまり多いと、液晶ポリエステルの耐熱性や強度・剛性が低下し易く、成形体が高温下で変形し易くなる。
【0021】
繰返し単位(2)の含有量と繰返し単位(3)の含有量との割合は、[繰返し単位(2)の含有量]/[繰返し単位(3)の含有量](モル/モル)で表して、通常0.9/1〜1/0.9、好ましくは0.95/1〜1/0.95、より好ましくは0.98/1〜1/0.98である。
【0022】
なお、本発明の液晶ポリエステルは、繰返し単位(1)〜(3)を、それぞれ独立に、2種以上有してもよい。また、本発明の液晶ポリエステルは、繰返し単位(1)〜(3)以外の繰返し単位を有してもよいが、その含有量は、全繰返し単位の合計量に対して、通常10モル%以下、好ましくは5モル%以下である。
【0023】
本発明の液晶ポリエステルは、繰返し単位(3)として、X及びYがそれぞれ酸素原子であるもの、すなわち、所定の芳香族ジオールに由来する繰返し単位を有することが好ましく、X及びYがそれぞれ酸素原子であるもののみを有することがより好ましい。これにより、液晶ポリエステルの溶融粘度が低くなり易く、液晶ポリエステルの成形に必要な温度を低くできるので、液晶ポリエステルが成形時に着色し難く、成形体の明度が低下し難くなる。
【0024】
本発明の液晶ポリエステルは、主鎖に1,2−フェニレン骨格又は1,3−フェニレン骨格を含む繰返し単位(A)を、全繰返し単位の合計量に対して、5〜30モル%、好ましくは8〜25モル%有するものである。繰返し単位(A)は、換言すれば、置換基や融合環を有していてもよい1,2−フェニレン基又は1,3−フェニレン基を含む繰返し単位である。
【0025】
繰返し単位(A)の含有量があまり多いと、後述のように液晶ポリエステルの流動開始温度を270℃以上とするためには、液晶ポリエステルの重合度を上げる必要があり、そのために後述の固相重合温度を高くする必要があるため、液晶ポリエステルが固相重合時に着色し易く、液晶ポリエステルの明度が低下し易くなる。繰返し単位(A)の含有量があまり少ないと、後述のように液晶ポリエステルの流動開始温度を320℃以下とするためには、液晶ポリエステルの重合度を下げる必要があり、液晶ポリエステル中に原料モノマーやオリゴマーが残存したり、液晶ポリエステルの耐熱性や強度・剛性が低下したりし易いため、成形体が高温下で発泡したり、成形体が高温下で変形したりし易くなる。
【0026】
繰返し単位(1)である繰返し単位(A)の例としては、下記式(1A)で示される繰返し単位が挙げられ、繰返し単位(2)である繰返し単位(A)の例としては、下記式(2A)で示される繰返し単位が挙げられ、繰返し単位(3)である繰返し単位(A)の例としては、下記式(3A)で示される繰返し単位が挙げられる。
【0027】
(1A)−O−Ar1A−CO−
(2A)−CO−Ar2A−CO−
(3A)−X−Ar3A−Y−
【0028】
(Ar1A、Ar2A及びAr3Aは、それぞれ独立に、o−フェニレン基、m−フェニレン基、1,2−ナフチレン基、1,3−ナフチレン基又は1,4−ナフチレン基を表す。X及びYは、それぞれ独立に、酸素原子又はイミノ基を表す。Ar1A、Ar2A又はAr3Aで表される前記基にある水素原子は、それぞれ独立に、ハロゲン原子、アルキル基又はアリール基で置換されていてもよい。)
【0029】
なお、前記ハロゲン原子、アルキル基及びアリール基の例は、それぞれ、先のAr1〜Ar3におけるハロゲン原子、アルキル基及びアリール基の例と同様である。また、本発明の液晶ポリエステルは、繰返し単位(1)である繰返し単位(A)、繰返し単位(2)である繰返し単位(A)、及び繰返し単位(3)である繰返し単位(A)を、それぞれ独立に、2種以上有してもよい。
【0030】
繰返し単位(A)としては、前記式(2A)において、Ar2Aがo−フェニレン基若しくはm−フェニレン基であるもの、前記式(3A)において、X及びYがそれぞれ酸素原子であり、Ar3Aがo−フェニレン基若しくはm−フェニレン基であるもの、前記式(3A)において、Xが酸素原子であり、Yがイミノ基であり、Ar3Aがo−フェニレン基若しくはm−フェニレン基であるもの、又は前記式(3A)において、X及びYがそれぞれイミノ基であり、Ar3Aがo−フェニレン基若しくはm−フェニレン基であるものが好ましく、すなわち、フタル酸、イソフタル酸、カテコール、レゾルシノール、o−アミノフェノール、m−アミノフェノール、o−フェニレンジアミン又はm−フェニレンジアミンに由来する繰返し単位が好ましい。
【0031】
また、本発明の液晶ポリエステルは、ヒドロキシナフトエ酸、ナフタレンジカルボン酸又はナフタレンジオールに由来する繰返し単位の如き、ナフタレン環を含む繰返し単位の含有量が、全繰返し単位の合計量に対して、好ましくは0〜30モル%、より好ましくは0〜25モル%、さらに好ましくは0〜20モル%である。これにより、液晶ポリエステルの明度が向上し易くなる。
【0032】
本発明の液晶ポリエステルは、その流動開始温度が、270〜320℃、好ましくは290〜320℃である。流動開始温度は、フロー温度又は流動温度とも呼ばれ、毛細管レオメーターを用いて、9.8MPa(100kg/cm2)の荷重下、4℃/分の速度で昇温しながら、液晶ポリエステルを溶融させ、内径1mm及び長さ10mmのノズルから押し出すときに、4800Pa・s(48000ポイズ)の粘度を示す温度であり、液晶ポリエステルの分子量の目安となるものである(小出直之編、「液晶ポリマー−合成・成形・応用−」、株式会社シーエムシー、1987年6月5日、p.95参照)。
【0033】
流動開始温度があまり高いと、液晶ポリエステルの成形に必要な温度が高くなるため、液晶ポリエステルが成形時に着色し易く、成形体の明度が低下し易くなる。流動開始温度があまり低いと、液晶ポリエステルの耐熱性や強度・剛性が低下し易く、成形体が高温下で変形し易くなる。
【0034】
本発明の液晶ポリエステルは、それを構成する繰返し単位に対応する種類及び量の原料モノマーを、所定の条件で重合(重縮合)させることにより製造することができる。
【0035】
原料モノマーとしては、芳香族ヒドロキシカルボン酸と、芳香族ジカルボン酸と、芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシアミン及び芳香族ジアミンからなる群から選ばれる少なくとも1種の芳香族化合物とが用いられる。
【0036】
芳香族ヒドロキシカルボン酸は、p−ヒドロキシ安息香酸及び6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物であることが好ましい。芳香族ジカルボン酸は、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸及び2,6−ナフタレンジカルボン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物であることが好ましい。前記芳香族化合物は、カテコール、レゾルシノール、ヒドロキノン、o−アミノフェノール、m−アミノフェノール、p−アミノフェノール、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル及び2,6−ナフタレンジオールからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物であることが好ましい。
【0037】
芳香族ヒドロキシカルボン酸の使用量は、全原料モノマーの合計量(液晶ポリエステルを構成する各繰返し単位を与える各原料モノマーの質量を、その各原料モノマーの分子量で割ることにより、各原料モノマーの物質量(モル)を求め、それらを合計した値)に対して、50〜80モル%、好ましくは50〜70モル%である。芳香族ジカルボン酸の使用量は、全原料モノマーの合計量に対して、10〜25モル%、好ましくは15〜25モル%である。前記芳香族化合物の使用量は、全原料モノマーの合計量に対して、10〜25モル%、好ましくは15〜25モル%である。
【0038】
芳香族ジカルボン酸の使用量と前記芳香族化合物の使用量との割合は、[芳香族ジカルボン酸の使用量]/[前記芳香族化合物の使用量](モル/モル)で表して、通常0.9/1〜1/0.9、好ましくは0.95/1〜1/0.95、より好ましくは0.98/1〜1/0.98である。
【0039】
なお、原料モノマーとして、芳香族ヒドロキシカルボン酸、芳香族ジカルボン酸及び前記芳香族化合物以外の化合物を用いてもよいが、その使用量は、全原料モノマーの合計量に対して、通常10モル%以下、好ましくは5モル%以下である。
【0040】
前記芳香族化合物としては、芳香族ジオールを用いることが好ましく、芳香族ジオールのみを用いることがより好ましい。
【0041】
主鎖に1,2−フェニレン骨格又は1,3−フェニレン骨格を含む原料モノマー(A)の使用量は、全原料モノマーの合計量に対して、5〜30モル%、好ましくは8〜25モル%である。原料モノマー(A)は、換言すれば、置換基や融合環を有していてもよい1,2−フェニレン基又は1,3−フェニレン基を含む化合物である。
【0042】
原料モノマー(A)は、フタル酸、イソフタル酸、カテコール、レゾルシノール、o−アミノフェノール、m−アミノフェノール、o−フェニレンジアミン及びm−フェニレンジアミンからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物であることが好ましい。
【0043】
また、ヒドロキシナフトエ酸、ナフタレンジカルボン酸及びナフタレンジオールの如き、ナフタレン環を含む原料モノマーの使用量は、全原料モノマーの合計量に対して、好ましくは0〜30モル%、より好ましくは0〜25モル%、さらに好ましくは0〜20モル%である。
【0044】
液晶ポリエステルの製造は、まず、工程(1)として、芳香族ヒドロキシカルボン酸及び芳香族化合物をそれぞれ酸無水物でアシル化して、芳香族アシルオキシカルボン酸及び芳香族ジアシル化合物を得、次いで、工程(2)として、芳香族アシルオキシカルボン酸と芳香族ジアシル化合物と芳香族ジカルボン酸とを溶融重合させて、溶融重合物を得、次いで、工程(3)として、溶融重合物を固相重合させて、固相重合物を得ることにより行う。
【0045】
工程(1)で用いられる酸無水物は、脂肪酸無水物であることが好ましく、その例としては、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸、無水イソ酪酸、無水吉草酸、無水ピバル酸、無水2−エチルヘキサン酸、無水モノクロロ酢酸、無水ジクロロ酢酸、無水トリクロロ酢酸、無水モノブロモ酢酸、無水ジブロモ酢酸、無水トリブロモ酢酸、無水モノフルオロ酢酸、無水ジフルオロ酢酸、無水トリフルオロ酢酸、無水グルタル酸、無水マレイン酸、無水コハク酸及び無水β−ブロモプロピオン酸が挙げられ、それらの2種以上を用いてもよい。中でも、無水酢酸、無水プロピオン酸、無水酪酸及び無水イソ酪酸が好ましく、無水酢酸がより好ましい。
【0046】
酸無水物の使用量は、芳香族ヒドロキシカルボン酸のヒドロキシル基並びに前記芳香族化合物のヒドロキシル基及びアミノ基の合計量に対して、好ましくは1〜1.1モル倍、より好ましくは1.01〜1.08モル倍である。酸無水物の量があまり多いと、液晶ポリエステルが着色し易く、液晶ポリエステルの明度が低下し易い。酸無水物の量があまり少ないと、液晶ポリエステルの重合度が低くなり易く、液晶ポリエステル中に原料モノマーやオリゴマーが残存したり、液晶ポリエステルの耐熱性や強度・剛性が低下したりし易いため、成形体が高温下で発泡したり、成形体が高温下で変形したりし易くなる。
【0047】
工程(1)は、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下に、130〜180℃で行うことが好ましい。なお、工程(1)では、芳香族ジカルボン酸が存在していてもよい。
【0048】
工程(2)は、窒素ガス等の不活性ガスの雰囲気下に、130〜400℃で行うことが好ましく、150〜350℃で行うことが好ましい。また、工程(2)は、副生カルボン酸や未反応の酸無水物を留去しながら、0.1〜50℃/分の速度で昇温することにより行うことが好ましく、0.3〜5℃/分の速度で昇温しながら行うことがより好ましい。
【0049】
また、工程(1)及び/又は(2)は、触媒の存在下に行うことが好ましい。これにより、アシル化及び/又は溶融重合が円滑に進行し、液晶ポリエステルの明度が向上し易くなる。
【0050】
触媒の例としては、酢酸マグネシウム、酢酸第一錫、テトラブチルチタネート、酢酸鉛、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、三酸化アンチモン等の金属化合物、4−(ジメチルアミノ)ピリジンの如き4−(ジアルキルアミノ)ピリジン等のピリジン化合物、及び1−メチルイミダゾールの如き1−アルキルイミダゾール等のイミダゾール化合物が挙げられる。中でも、液晶ポリエステルの明度の点から、イミダゾール化合物が好ましい。
【0051】
触媒の使用量は、全原料モノマーの合計100質量部に対して、好ましくは0.005〜1質量部、より好ましくは0.05〜0.5質量部である。
【0052】
工程(3)は、固相重合温度の上限を220〜270℃、好ましくは225〜265℃、より好ましくは230〜255℃として行われる。固相重合温度の上限があまり高いと、液晶ポリエステルが固相重合時に着色し易く、液晶ポリエステルの明度が低下し易くなる。固相重合温度の上限があまり低いと、液晶ポリエステルの重合度が低くなり易く、液晶ポリエステル中に原料モノマーやオリゴマーが残存したり、液晶ポリエステルの耐熱性や強度・剛性が低下したりし易いため、成形体が高温下で発泡したり、成形体が高温下で変形したりし易くなる。
【0053】
また、工程(3)は、窒素ガス等の不活性ガスの雰囲気下に、上限温度まで昇温し、その上限温度で3〜20時間保持することにより行うことが好ましい。
【0054】
こうして得られる本発明の液晶ポリエステルは、明度が高く、具体的にはJIS Z8729によるL***表色系の明度L*で表して、好ましくは86以上、より好ましくは87以上である。
【0055】
本発明の液晶ポリエステルは、明度が高いので、これに白色顔料を配合してなる本発明の液晶ポリエステル組成物は、反射板の材料として好適に用いられる。
【0056】
白色顔料としては、例えば、酸化亜鉛、硫化亜鉛、鉛白、酸化チタン等の無機化合物が好ましく用いられ、必要に応じてそれらの2種以上を用いることもできる。中でも酸化チタンが好ましい。
【0057】
白色顔料の粒径は、白色顔料が液晶ポリエステルに分散し易く、高い反射率を有する反射板が得られ易いことから、体積平均値で表して、好ましくは0.05〜2μmであり、より好ましくは0.1〜1μmであり、さらに好ましくは0.15〜0.5μmであり、特に好ましくは0.2〜0.4μmである。
【0058】
なお、ここでいう体積平均粒径は、白色顔料を走査形電子顕微鏡(SEM:Scanning Electron Microscope)で撮影し、得られたSEM写真を画像解析装置(例えば(株)ニレコの「ルーゼックスIIIU」)で解析して、一次粒子の各粒径区間における粒子量(%)を求め、それらを体積基準で累積した分布曲線において、累積度が50%であるときの粒径である。
【0059】
本発明の液晶ポリエステル組成物における白色顔料の含有量は、液晶ポリエステル100質量部に対して、好ましくは20〜200質量部であり、より好ましくは25〜150質量部であり、さらに好ましくは40〜100質量部である。
【0060】
白色顔料の好ましい例である酸化チタンは、その結晶形が、ルチル型であってもよいし、アナターゼ型であってもよく、両者が混在していてもよいが、高い反射率を有し、耐候性にも優れる反射板が得られ易いことから、ルチル型の酸化チタンを含むものが好ましく、実質的にルチル型の酸化チタンのみからなるものがより好ましい。
【0061】
酸化チタンには、表面処理が施されていてもよい。例えば、無機金属酸化物を用いて表面処理を施すことにより、分散性や耐候性を向上させることができる。無機金属酸化物としては、酸化アルミニウム(アルミナ)を用いることが好ましい。なお、耐熱性や強度の点からは、表面処理が施されていない酸化チタンを用いることが好ましい。
【0062】
酸化チタンの製造方法は、塩素法でもよいし、硫酸法でもよいが、ルチル型の酸化チタンを製造する場合は、塩素法が好ましい。塩素法により酸化チタンを製造する場合、まず、チタン源である鉱石(ルチル鉱やイルメナイト鉱から得られる合成ルチル鉱)と塩素とを1000℃付近で反応させて粗四塩化チタンを得、この粗四塩化チタンを精留で精製した後、酸素で酸化することが好ましい。
【0063】
本発明の液晶ポリエステル組成物は、充填材、白色顔料以外の添加剤、液晶ポリエステル以外の樹脂等の他の成分を1種以上含んでもよい。
【0064】
充填材は、繊維状充填材であってもよいし、板状充填材であってもよいし、繊維状及び板状以外で、球状その他の粒状充填材であってもよい。また、充填材は、無機充填材であってもよいし、有機充填材であってもよい。繊維状無機充填材の例としては、ガラス繊維;パン系炭素繊維、ピッチ系炭素繊維等の炭素繊維;シリカ繊維、アルミナ繊維、シリカアルミナ繊維等のセラミック繊維;及びステンレス繊維等の金属繊維が挙げられる。また、チタン酸カリウムウイスカー、チタン酸バリウムウイスカー、ウォラストナイトウイスカー、ホウ酸アルミニウムウイスカー、窒化ケイ素ウイスカー、炭化ケイ素ウイスカー等のウイスカーも挙げられる。繊維状有機充填材の例としては、ポリエステル繊維及びアラミド繊維が挙げられる。板状無機充填材の例としては、タルク、マイカ、グラファイト、ウォラストナイト、ガラスフレーク、硫酸バリウム及び炭酸カルシウムが挙げられる。マイカは、白雲母であってもよいし、金雲母であってもよいし、フッ素金雲母であってもよいし、四ケイ素雲母であってもよい。粒状無機充填材の例としては、シリカ、アルミナ、酸化チタン、ガラスビーズ、ガラスバルーン、窒化ホウ素、炭化ケイ素及び炭酸カルシウムが挙げられる。液晶ポリエステル組成物中の充填材の含有量は、液晶ポリエステル100質量部に対して、通常0〜100質量部である。
【0065】
白色顔料以外の添加剤の例としては、酸化防止剤、熱安定剤、光安定剤、帯電防止剤、界面活性剤、難燃剤が挙げられる。また、白色顔料以外の着色剤として、白色顔料以外の顔料や染料を用いてもよい。白色顔料以外の添加剤の含有量は、液晶ポリエステル100質量部に対して、通常0〜5質量部である。
【0066】
液晶ポリエステル以外の樹脂の例としては、ポリプロピレン、ポリアミド、液晶ポリエステル以外のポリエステル、ポリスルホン、ポリフェニレンスルフィド、ポリエーテルケトン、ポリカーボネート、ポリフェニレンエーテル、ポリエーテルイミド等の液晶ポリエステル以外の熱可塑性樹脂;及びフェノール樹脂、エポキシ樹脂、ポリイミド樹脂、シアネート樹脂等の熱硬化性樹脂が挙げられる。液晶ポリエステル以外の樹脂の含有量は、液晶ポリエステル100質量部に対して、通常0〜20質量部である。
【0067】
本発明の液晶ポリエステル組成物は、液晶ポリエステル、白色顔料及び必要に応じて用いられる他の成分を、押出機を用いて溶融混練し、ストランド状に押し出し、ペレット化することにより調製することが好ましい。押出機としては、シリンダーと、シリンダー内に配置された1本以上のスクリュウと、シリンダーに設けられた1箇所以上の供給口とを有するものが、好ましく用いられ、さらにシリンダーに設けられた1箇所以上のベント部を有するものが、より好ましく用いられる。
【0068】
こうして得られる本発明の液晶ポリエステル組成物を成形することにより、反射率が高く、反射光が色味を帯び難い反射板を得ることができる。液晶ポリエステル組成物の成形法としては、溶融成形法が好ましく、その例としては、射出成形法、Tダイ法やインフレーション法等の押出成形法、圧縮成形法、ブロー成形法、真空成形法及びプレス成形が挙げられる。中でも射出成形法が好ましい。射出成形法によれば、薄肉部を有する反射板や、複雑な形状の反射板を容易に得ることができ、特に薄肉部の厚みが0.01mm〜3.0mm、好ましくは0.02〜2.0mm、より好ましくは0.05〜1.0mmである小型の反射板を得るには、射出成形法が適している。
【0069】
こうして得られる本発明の反射板は、電気、電子、自動車、機械等の分野で光反射、特に可視光反射のための反射板として好適に用いられる。例えば、ハロゲンランプ、HID等の光源装置のランプリフレクターや、LEDや有機EL等の発光素子を用いた発光装置や表示装置の反射板として好適に用いられる。特に、LEDを用いた発光装置の反射板として好適に用いられる。
【実施例】
【0070】
〔液晶ポリエステルの流動開始温度の測定〕
フローテスター((株)島津製作所の「CFT−500型」)を用いて、液晶ポリエステル約2gを、内径1mm及び長さ10mmのノズルを有するダイを取り付けたシリンダーに充填し、9.8MPa(100kg/cm2)の荷重下、4℃/分の速度で昇温しながら、液晶ポリエステルを溶融させ、ノズルから押し出し、4800Pa・s(48000ポイズ)の粘度を示す温度を測定した。
【0071】
〔液晶ポリエステルの明度の測定〕
測色色差計(日本電色工業(株)の「ZE−2000」)を用いて測定した。
【0072】
実施例1
攪拌装置、トルクメータ、窒素ガス導入管、温度計及び還流冷却器を備えた反応器に、p−ヒドロキシ安息香酸994.5g(7.2モル)、テレフタル酸299.0g(1.8モル)、イソフタル酸99.7g(0.6モル)、4,4’−ジヒドロキシビフェニル446.9g(2.4モル)、無水酢酸1298.6g(12.7モル)及び1−メチルイミダゾール0.2gを入れ、反応器内のガスを窒素ガスで置換した後、窒素ガス気流下、攪拌しながら、室温から150℃まで30分かけて昇温し、150℃で1時間還流させた。次いで、1−メチルイミダゾール0.9gを加え、副生酢酸及び未反応の無水酢酸を留去しながら、150℃から320℃まで2時間50分かけて昇温し、トルクの上昇が認められた時点で、反応器から内容物を取り出し、室温まで冷却した。得られた固形物を、粉砕機で粉砕して、窒素雰囲気下、室温から230℃まで1時間かけて昇温し、230℃から260℃まで2時間かけて昇温し、260℃で10時間保持することにより、固相重合させた後、冷却して、粉末状の液晶ポリエステルを得た。
【0073】
全原料モノマーに対するp−ヒドロキシ安息香酸、テレフタル酸、イソフタル酸及び4,4’−ジヒドロキシビフェニルの各使用割合(モル%)を表1に示す。また、p−ヒドロキシ安息香酸のヒドロキシル基及び4,4’−ジヒドロキシビフェニルのヒドロキシル基の合計量に対する無水酢酸の使用割合(モル倍)を表1に示す。また、得られた液晶ポリエステルの流動開始温度を表1に示す。また、得られた液晶ポリエステルの明度L*を、固相重合前の明度L*と共に表1に示す。
【0074】
実施例2〜6、比較例1〜4
全原料モノマーに対するp−ヒドロキシ安息香酸、テレフタル酸、イソフタル酸及び4,4’−ジヒドロキシビフェニルの各使用割合(モル%)、p−ヒドロキシ安息香酸のヒドロキシル基及び4,4’−ジヒドロキシビフェニルのヒドロキシル基の合計量に対する無水酢酸の使用割合(モル倍)、並びに固相重合温度の上限を表1に示す値になるようにしたこと以外は、実施例1と同様の操作により、液晶ポリエステルを得た。得られた液晶ポリエステルの流動開始温度を表1に示す。また、得られた液晶ポリエステルの明度L*を、固相重合前の明度L*と共に表1に示す。
【0075】
【表1】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
芳香族ヒドロキシカルボン酸に由来する繰返し単位(1)と、芳香族ジカルボン酸に由来する繰返し単位(2)と、芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシアミン又は芳香族ジアミンに由来する繰り返し単位(3)とを有し、前記繰返し単位(1)の含有量が、全繰返し単位の合計量に対して、50〜80モル%であり、前記繰返し単位(2)の含有量が、全繰返し単位の合計量に対して、10〜25モル%であり、前記繰返し単位(3)の含有量が、全繰返し単位の合計量に対して、10〜25モル%であり、主鎖に1,2−フェニレン骨格又は1,3−フェニレン骨格を含む繰返し単位(A)の含有量が、全繰返し単位の合計量に対して、5〜30モル%であり、流動開始温度が270〜320℃である液晶ポリエステル。
【請求項2】
前記繰返し単位(1)が、p−ヒドロキシ安息香酸又は6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸に由来する繰返し単位であり、前記繰返し単位(2)が、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸又は2,6−ナフタレンジカルボン酸に由来する繰返し単位であり、前記繰返し単位(3)が、カテコール、レゾルシノール、ヒドロキノン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル、2,6−ナフタレンジオール、o−アミノフェノール、m−アミノフェノール、p−アミノフェノール、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン又はp−フェニレンジアミンに由来する繰返し単位である請求項1に記載の液晶ポリエステル。
【請求項3】
前記繰返し単位(A)が、フタル酸、イソフタル酸、カテコール、レゾルシノール、o−アミノフェノール、m−アミノフェノール、o−フェニレンジアミン又はm−フェニレンジアミンに由来する繰返し単位である請求項1又は2に記載の液晶ポリエステル。
【請求項4】
前記繰返し単位(3)が、芳香族ジオールに由来する繰り返し単位である請求項1〜3のいずれかに記載の液晶ポリエステル。
【請求項5】
ナフタレン環を含む繰返し単位の含有量が、全繰返し単位の合計量に対して、0〜30モル%である請求項1〜4のいずれかに記載の液晶ポリエステル。
【請求項6】
明度L*が86以上である請求項1〜5のいずれかに記載の液晶ポリエステル。
【請求項7】
原料モノマーとして、芳香族ヒドロキシカルボン酸と、芳香族ジカルボン酸と、芳香族ジオール、芳香族ヒドロキシアミン及び芳香族ジアミンからなる群から選ばれる少なくとも1種の芳香族化合物とを用い、前記芳香族ヒドロキシカルボン酸及び前記芳香族化合物をそれぞれ酸無水物でアシル化して、芳香族アシルオキシカルボン酸及び芳香族ジアシル化合物を得る工程(1)と、前記芳香族アシルオキシカルボン酸と前記芳香族ジアシル化合物と前記芳香族ジカルボン酸とを溶融重合させて、溶融重合物を得る工程(2)と、前記溶融重合物を固相重合させて、固相重合物を得る工程(3)とを有し、前記芳香族ヒドロキシカルボン酸の使用量が、全原料モノマーの合計量に対して、50〜80モル%であり、前記芳香族ジカルボン酸の使用量が、全原料モノマーの合計量に対して、10〜25モル%であり、前記芳香族化合物の使用量が、全原料モノマーの合計量に対して、10〜25モル%であり、主鎖に1,2−フェニレン骨格又は1,3−フェニレン骨格を含む原料モノマー(A)の使用量が、全原料モノマーの合計量に対して、5〜30モル%であり、前記工程(3)における固相重合温度の上限が220〜270℃である液晶ポリエステルの製造方法。
【請求項8】
前記芳香族ヒドロキシカルボン酸が、p−ヒドロキシ安息香酸及び6−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物であり、前記芳香族ジカルボン酸が、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸及び2,6−ナフタレンジカルボン酸からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物であり、前記芳香族化合物が、カテコール、レゾルシノール、ヒドロキノン、o−アミノフェノール、m−アミノフェノール、p−アミノフェノール、o−フェニレンジアミン、m−フェニレンジアミン、p−フェニレンジアミン、4,4’−ジヒドロキシビフェニル及び2,6−ナフタレンジオールからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物である請求項7に記載の液晶ポリエステルの製造方法。
【請求項9】
前記原料モノマー(A)が、フタル酸、イソフタル酸、カテコール、レゾルシノール、o−アミノフェノール、m−アミノフェノール、o−フェニレンジアミン及びm−フェニレンジアミンからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物である請求項7又は8に記載の液晶ポリエステルの製造方法。
【請求項10】
前記芳香族化合物が、芳香族ジオールである請求項7〜9のいずれかに記載の液晶ポリエステルの製造方法。
【請求項11】
ナフタレン環を含む原料モノマーの使用量が、全原料モノマーの合計量に対して、0〜30モル%である請求項7〜10のいずれかに記載の液晶ポリエステルの製造方法。
【請求項12】
前記酸無水物が無水酢酸である請求項7〜11のいずれかに記載の液晶ポリエステルの製造方法。
【請求項13】
前記酸無水物の使用量が、前記芳香族ヒドロキシカルボン酸のヒドロキシル基並びに前記芳香族化合物のヒドロキシル基及びアミノ基の合計量に対して、1〜1.1モル倍である請求項7〜12のいずれかに記載の液晶ポリエステルの製造方法。
【請求項14】
前記工程(1)及び/又は(2)を触媒の存在下に行う請求項7〜13のいずれかに記載の液晶ポリエステルの製造方法。
【請求項15】
前記触媒がイミダゾール化合物である請求項14に記載の液晶ポリエステルの製造方法。
【請求項16】
請求項1〜6のいずれかに記載の液晶ポリエステルと、白色顔料とを含む液晶ポリエステル組成物。
【請求項17】
前記白色顔料が酸化チタンである請求項16に記載の液晶ポリエステル組成物。
【請求項18】
前記白色顔料の含有量が、前記液晶ポリエステル100質量部に対して、20〜200質量部である請求項16又は17に記載の液晶ポリエステル組成物。
【請求項19】
請求項16〜18のいずれかに記載の液晶ポリエステル組成物を成形してなる反射板。
【請求項20】
請求項19に記載の反射板と発光素子とを有する発光装置。
【請求項21】
前記発光素子がLEDである請求項20に記載の発光装置。

【公開番号】特開2012−177103(P2012−177103A)
【公開日】平成24年9月13日(2012.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−14869(P2012−14869)
【出願日】平成24年1月27日(2012.1.27)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【Fターム(参考)】