液晶表示パネル、液晶表示モジュール、および液晶表示装置
【課題】他のパネルと接続されていない単独の状態の液晶表示パネルでも、ソースバスライン容量に依存する消費電流の低減を可能とする。
【解決手段】液晶表示パネルは、アクティブマトリックス型の液晶表示パネルであって、上記液晶表示パネル内における複数の画素領域の少なくとも1つに、当該画素領域内に設けられているソースバスラインS1〜SxのON/OFFを切り換える切換部Tr11〜Trxyが備えられている。
【解決手段】液晶表示パネルは、アクティブマトリックス型の液晶表示パネルであって、上記液晶表示パネル内における複数の画素領域の少なくとも1つに、当該画素領域内に設けられているソースバスラインS1〜SxのON/OFFを切り換える切換部Tr11〜Trxyが備えられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動中運の消費電流を低減させた液晶表示パネル、液晶表示モジュール、および液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、薄型、軽量、および低消費電流等の特徴を有しているため、近年、広く普及している。特に、マトリクス状に配置された絵素ごとにスイッチング素子を配したアクティブマトリクス型の液晶表示装置は、高品位の映像を提供できることから広く利用されている。
【0003】
アクティブマトリクス型の液晶表示装置においては、一方の基板に設けられた画素電極と、対向基板上に設けられた対向電極との間に印加される電圧がスイッチング素子によりスイッチングされる。これにより、両基板間に挟まれた液晶などの表示媒体の光学的変調が表示パターンとして視認される。スイッチング素子としては、一般的に薄膜トランジスタ(TFT)素子などが用いられる。
【0004】
近年、このような液晶表示装置において、消費電流を低減することが共通の課題になっている。
【0005】
特許文献1には、TFT基板上におけるソースバスラインを共有するメインパネルと、サブパネルとを備えた表示装置であって、該メインパネルに、メインパネルとサブパネルとの間におけるソースバスラインの導通をON/OFFするスイッチであるSW−TFTを備えた表示装置が開示されている。該表示装置においては、このSW−TFTを制御することによって、メインパネルのみを表示している際にサブパネルの容量が負荷にならないようにする。これにより、低消費電流化を実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−117755号公報(公開日:2004年 4月15日)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の方法のような、メインパネルとサブパネルとの間にSW−TFTを備える工夫では、メインパネル表示時のみにおいてしか消費電流を低減することができず、かつ、その際もサブパネルのソースバスライン容量に依存する消費電流しか低減することができない。つまり、サブパネルが無くメインパネルのみを備えた構成では、当該文献の方法を適用する余地が無いため、消費電流低減の効果は得られない。
【0008】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、他のパネルと接続されていない単独の状態でも、ソースバスライン容量に依存する消費電流の低減を可能とした液晶表示パネル、液晶表示モジュール、および液晶表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明に係る液晶表示パネルは、アクティブマトリックス型の液晶表示パネルであって、上記液晶表示パネル内における複数の画素領域の少なくとも1つに、当該画素領域内に設けられているソースバスラインの導通のON/OFFを切り換える切換部が備えられていることを特徴としている。
【0010】
上記の構成によれば、本発明の液晶表示パネルは、上記液晶表示パネル内における複数の画素領域の少なくとも1つに、当該画素領域内に設けられているソースバスラインの導通のON/OFFを切り換える切換部が備えられている。このため、画素領域内における切換部を制御することにより、ソースバスラインの導通のON/OFFを切り換えることができる。したがって、上記画素領域単位において、ソースバスライン容量に依存する消費電流を低減できる。
【0011】
以上のように、本発明によれば、他のパネルと接続されていない単独の状態でも、ソースバスライン容量に依存する消費電流の低減を可能とする効果を奏する。
【0012】
本発明に係る液晶表示パネルは、上記切換部を制御するための制御信号を当該切換部に伝達する配線をさらに備えていることが好ましい。
【0013】
上記の構成によれば、切換部を制御するための制御信号を当該切換部に伝達する配線を備えている。そのため、切換部の導通のON/OFFを配線を介して制御することができる。したがって、上記配線を介して液晶表示パネルの外部(たとえば所定のドライバ)から制御信号を送信することにより、上記切換部の導通のON/OFFを制御することができるという効果を奏する。
【0014】
本発明に係る液晶表示パネルにおいて、上記切換部はトランジスタであり、上記切換部内に設けられているゲートバスラインに接続され、当該ゲートバスラインを通じて入力されたゲート信号を反転させて上記トランジスタのゲートに入力する反転部をさらに備えていることが好ましい。
【0015】
上記の構成によれば、切換部はトランジスタであり、液晶表示パネルは切換部内に設けられているゲートバスラインに接続され、当該ゲートバスラインを通じて入力されたゲート信号を反転させて上記トランジスタのゲートに入力する反転部を備えている。したがって、ゲートバスラインからのゲート信号をインバータによって反転させることにより、上記切換部の導通のON/OFFを、液晶駆動用のトランジスタの導通のON/OFFに追随させて制御することができる。結果、切換部を制御するための追加のドライバおよび信号配線が不要となるので、液晶表示パネルを小型化できるという効果を奏する。
【0016】
本発明に係る液晶表示パネルにおいて、上記切換部は、複数のゲートバスラインのうち少なくとも1つに対応する上記画素領域ごとに備えられていることが好ましい。
【0017】
上記の構成によれば、切換部は、複数のゲートバスラインのうち少なくとも1つに対応する画素領域ごとに備えられている。換言すれば、少なくとも1つのゲートバスラインに対応する画素領域の全て、すなわち各画素領域内のソースバスラインの全てに切換部が備えられている。このため、低消費電流化の効果をより大きくすることができる。また、1つのゲートバスラインを制御することのみにより、ゲートバスラインに対応する箇所における上記ソースバスライン全ての導通のON/OFFを切り換えることができるという更なる効果を奏する。
【0018】
本発明に係る液晶表示パネルにおいて、上記切換部は、上記液晶表示パネル内の全画素領域に備えられていることが好ましい。
【0019】
上記の構成によれば、切換部は、液晶表示パネル内の全画素領域に備えられている。このため、全ての画素領域においてソースバスラインの導通のON/OFFを切り換えることができる。したがって、表示に寄与する必要最低限のソースバスライン容量を選択することができ、低消費電流化の効果を最大にすることができるという更なる効果を奏する。
【0020】
本発明に係る液晶表示パネルにおいて、上記切換部は、トランジスタであることが好ましい。
【0021】
上記の構成によれば、上記切換部はトランジスタである。したがって、上記切換部を半導体製造技術によって容易に設けることができるという更なる効果を奏する。
【0022】
また、上記切換部の導通のON/OFFを制御するための信号を当該切換部に伝達する配線をさらに備えている液晶表示パネルと、上記複数のソースバスラインにソース信号を供給するソースドライバと、上記複数のゲートバスラインにゲート信号を供給するゲートドライバと、上記配線に上記制御信号を供給する切換制御ドライバとを備えている液晶表示モジュールも本発明の範疇に含まれる。
【0023】
また、上記液晶表示モジュールを備えている液晶表示装置も本発明の範疇に含まれる。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係る液晶表示パネルは、以上のように、アクティブマトリックス型の液晶表示パネルであって、上記液晶表示パネル内における複数の画素領域の少なくとも1つに、当該画素領域内に設けられているソースバスラインの導通のON/OFFを切り換える切換部が備えられている。このため、上記画素領域内における切換部を制御することにより、ソースバスラインの導通のON/OFFを切り換えることができる。これにより、他のパネルと接続されていない単独の状態でも、ソースバスライン容量に依存する消費電流の低減を可能とする効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施形態に係る液晶表示モジュールの構成を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る低消費電流化の原理について説明する図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る液晶表示モジュールにおける低消費電流化を説明する図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る液晶表示モジュールにおける低消費電流化の効果について説明する図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る液晶表示モジュールにおける低消費電流化の効果について説明する図である。
【図6】本発明の一実施形態に係るソース長選択ラインを駆動する際に必要となる電力量を説明する図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る液晶表示モジュールの他の構成を示す図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る液晶表示モジュールにおける各信号のON/OFFのタイミングを示すタイミングチャートである。
【図9】本発明の一実施形態に係る液晶表示モジュールの他の構成における各信号のON/OFFのタイミングを示すタイミングチャートである。
【図10】本発明の一実施形態に係る液晶表示モジュールにおけるスイッチTrの配置の変形例を示す図である。
【図11】本発明の一実施形態に係る液晶表示モジュールにおけるスイッチTrの配置の変形例を示す図である。
【図12】本発明の一実施形態に係る液晶表示モジュールにおけるスイッチTrの配置の変形例を示す図である。
【図13】本発明の一実施形態に係る液晶表示モジュールにおけるスイッチTrの配置の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
〔実施形態1〕
本発明に係る一実施形態について、図1〜図13を参照して以下に説明する。
【0027】
(液晶表示モジュール1の構成)
まず、本実施形態に係る液晶表示モジュール1の構成について、図1を参照して説明する。図1は、液晶表示モジュール1の構成を示す図である。この図に示すように、液晶表示モジュール1は、ソース長選択ドライバ2、ソースドライバ4、ゲートドライバ6、ソースバスラインS1〜Sx、ゲートバスラインG1〜Gy、ソース長選択ラインSB1〜SByとを備えている。液晶表示モジュール1の一部が液晶表示パネルであり、上記液晶表示パネルは、ソースバスラインS1〜Sx、ゲートバスラインG1〜Gy、およびソース長選択ラインSB1〜SByを備えている。ここで、xはソースバスラインのライン数を表す。yは、ゲートバスラインのライン数およびソース長選択ラインのライン数を表す。xおよびyは、それぞれ任意の整数を取り得る。なお、本実施形態の液晶表示モジュール1では、ゲートバスラインのライン数と、ソース長選択ラインのライン数とは同じである。
【0028】
複数のソースバスラインS1〜Sxと、複数のゲートバスラインG1〜Gyとは、互いに直交する。まずソースバスラインS1〜Sxは、互いに略平行に配置され、その一端がソースドライバ4に接続されている。ソースドライバ4は、ソースバスラインS1〜Sxに所望の電圧(ソース信号)を出力する。一方、ゲートバスラインG1〜Gyは、互いに略平行に配置され、その一端がゲートドライバ6に接続されている。ゲートドライバ6は、各ゲートバスラインに所望の電圧(ゲート信号)を出力する。
【0029】
互いに隣接する2つのゲートバスラインと、互いに隣接する2つのソースバスラインとによって囲まれた1つの領域が、画像表示の最小単位である1つの画素領域に相当する。ゲートドライバ6は、所定のタイミングにおいて、各ゲートバスラインG1〜Gyに所定の電圧の信号を出力することによって、各画素領域に1つずつ備えられているTFT素子であるTFT11〜TFTxyの導通のON/OFFを制御する。例えば、ゲートバスラインG1にHレベル信号を出力することによって、G1に接続されているTFT11〜TFTx1をONする。同様に、ゲートバスラインG2にHレベル信号を出力することによって、G2に接続されているTFT12〜TFTx2をONする。ゲートドライバ6は、各ゲートバスラインG1〜Gyを、G1、G2、・・・Gyの順にスキャンする。
【0030】
ソース長選択ラインSB1〜SByは、各図面において太く示されたラインであり、その一端がソース長選択ドライバ2に接続されている。また、各画素において、当該画素内のソースバスラインに設けられている電気的スイッチ(Tr)に接続されている。たとえば、ソース長選択ラインSB1にはTr11〜Trx1が接続され、ソース長選択ラインSB2にはTr12〜〜Trx2が接続され、ソース長選択ラインSByにはTr1y〜Trxyが接続されている。
【0031】
ソース長選択ラインSB1〜SByは、電気的スイッチであるTr11〜Trxy(トランジスタ)の導通のON/OFFを制御することによって、各ソースバスラインの導通の有無を切り換える。これにより例えば、ソースバスラインS1におけるTr11をONし、Tr12をOFFにすることによって、ソースドライバ4からソースバスラインS1に出力された電圧を、Tr11においては導通させるが、Tr12においては導通させないことができる。したがって、Tr12より先のソースバスラインS1において負荷となる容量成分を削減できる。
【0032】
なお、ソース長選択ドライバ2は、表示装置における表示タイミングと同期させることによって電気的スイッチの制御を行なう。
【0033】
スイッチTrは画素領域ごとに1つずつ備えられている。また、液晶表示モジュール1は、ソースドライバ4から出力された電圧をラインごとに制御できる。詳しくは後述するが、本発明においてはこの原理を用いて、駆動中の液晶表示モジュール1において、ソースバスライン容量に依存する消費電流の低減を実現する。なお、液晶表示モジュール1は、画素ごとに液晶容量CLC11〜CLCxyを有しており、対向電極COM11〜COMxyを備えている。
【0034】
(低消費電流化の原理)
次に、本発明における低消費電流化の原理について図2を参照して説明する。図2は、低消費電流化の原理について説明する図である。一般に、ソースバスラインの容量は当該ソースバスラインの長さに比例する。図中のC(G1)〜C(G4)は、該当ゲートラインに相当するソースバスラインの容量を示している。図2(a)に示すように、本実施形態の液晶表示モジュール1は、液晶表示パネル内において図中の左側からゲートバスラインG1の画素が選択されている場合に、ゲートバスラインG1とG2との間のソースバスラインの導通を、トランジスタなどの電気的スイッチを用いてOFFにする。これにより、ソースバスラインの容量はゲートバスラインG1までのソースバスラインの容量に低減し、G2以降のソースバスラインの容量は消費電流に寄与しない。同様に、図2(b)に示すように、ゲートバスラインG2までの画素が選択されている場合に、ゲートバスラインG2と、G3との間のソースバスラインの導通をOFFにする。これにより、ソースバスラインの容量はゲートバスラインG2までの容量となり、G3以降のソースバスラインの容量は消費電流に寄与しない。
【0035】
なお、従来技術においては、ソースバスラインの導通を制御しないため、液晶表示パネル内におけるどのゲートバスラインの画素を選択したとしても、ソースバスラインの容量は最大ライン分、すなわちC(G1)+C(G2)+C(G3)+C(G4)となる。したがって、本発明は、このような従来技術に比べて、パネル駆動の際の消費電流を低減させることができる。
【0036】
(液晶表示モジュール1における低消費電流化)
次に、液晶表示モジュール1における低消費電流化について図3を参照して説明する。図3は、液晶表示モジュール1’における低消費電流化を説明する図である。
【0037】
図3に示す液晶表示モジュール1’は、3×3のアクティブマトリックス型のモジュールである。具体的には、3本のソースバスライン(S1、S2、S3)と、3本のゲートバスライン(G1、G2、G3)とを備えている。さらに、図中において太線で示したソース長選択ラインSB1、SB2、およびSB3を備えており、ソースバスラインの導通をラインごとに制御できる。
【0038】
図3に示すように、ゲートバスラインG1に接続されているトランジスタを選択する場合、ソース長選択ドライバ2は、SB1に接続されているトランジスタをOFFする信号をSB1に出力する。また、SB2およびSB3には、SB2およびSB3に接続されているトランジスタをONする信号を出力する。これにより、ソースバスラインS1〜S3の容量成分は、図示した有効バスライン長の長さに応じた値となる。一般に、ソースバスラインの容量成分はその長さに比例するため、図3の構成によって容量成分を低減できる。したがって、容量成分に起因する消費電流を低減できる。
【0039】
同様に、ゲートバスラインG2に接続されているトランジスタを選択する場合、ソース長選択ドライバ2は、SB2に接続されているトランジスタをOFFする信号をSB2に出力する。また、SB1には、SB1に接続されているトランジスタをONする信号を出力する。SB3には、SB3に接続されているトランジスタをOFFする信号を出力する。これにより、ソースバスラインS1〜S3の容量成分は、ソース長選択ラインSB3の手前までとなるため、容量成分を低減できる。したがって、容量成分に起因する消費電流を低減できる。なお、ゲートバスラインG3に接続されているトランジスタを選択する場合の容量成分は、従来技術と変わらない。
【0040】
これにより、例えば854本ゲートバスライン数を有する表示装置を備えたモバイル機器においては、最終ゲートスキャンライン以外の853本のラインにおいて、容量成分の低減による低消費電流化が実現される。したがって、画素数が多く、高解像度の液晶表示モジュールほど、本発明による効果はより高く得られる。
【0041】
なお、図1〜図3には、ソース長選択ドライバの出力バスラインを、ラインごとに束ねた形をとっており、ラインごとにソースバスライン容量を低減した例を示した。しかし本発明はこの工夫に限定されず、ただ1つの画素のみを低消費電流化の対象とすることもできる。これについては、参照する図面を替えて詳しくは後述する。
【0042】
(低消費電流化の効果)
次に、液晶表示モジュール1における低消費電流化の効果について図4および図5を参照して説明する。図4は、図3に示した液晶表示モジュール1’のソースバスラインにおける実効容量値と、従来技術の液晶表示モジュールのソースバスラインにおける実効容量値とを比較して示す図である。実効容量値は、ゲートバスラインG1〜G3をそれぞれ選択した場合のソースバスラインの容量をフレーム単位で平均化した値である。なお、ここでは、各ゲートバスラインの選択は、3分の1フレームずつとしている。また、Csbはソースバスライン1本における容量成分である。
【0043】
図4に示すように、従来技術においては、ゲートバスラインG1、G2、およびG3のうちどのゲートバスラインまでの画素を選択したとしても、ソースバスラインの容量はソースバスラインの長さに相当するCsbとなる。一方、液晶表示モジュール1’においては、ゲートバスラインG1を選択した場合には、図3を参照して説明したように、ソースバスラインS1、S2、およびS3各々のラインにおいて、ライン全体の3分の1程度の容量に低減することができる。同様に、ゲートバスラインG2を選択した場合には、ソースバスラインS1、S2、およびS3各々のラインにおいて、ライン全体の3分の2程度の容量に低減することができる。ゲートバスラインG3を選択した場合には、従来技術と同じ、ソースバスラインの長さに相当する容量になる。以上のことから、実効容量値は従来技術と比較して、3分の2倍となり、ソースバスライン容量に依存する消費電流が3分の1程度低減できる。
【0044】
(低消費電流化の効果を示す具体値の例)
図5は、3原色RGB各々に対応するソースバスライン480本、およびゲートバスライン854本を有する、液晶表示モジュール1と従来技術であるソース長選択ラインを備えない液晶表示モジュールとの電力消費を比較する図である。図4を参照して説明したように、ソース長選択ラインを備えない液晶表示モジュールにおける消費電流は、どのゲートバスラインを選択した場合においても、ソースバスラインの長さに相当する容量となる。したがって、実効容量値は、480×3×Csbとなる。
【0045】
一方、本発明に係る液晶表示モジュール1においては、ゲートバスラインG1を選択した場合のソースバスラインの容量は、ゲートバスライン854本のうちの1本分に対応するソースバスラインの容量となるため、480×3×Csb×1÷854となる。同様に、ゲートバスラインGnを選択した場合の容量は、480×3×Csb×n÷854となり、ゲートバスラインG854を選択した場合のソースバスラインの容量は、480×3×Csb×854÷854となる。以上のことから実行容量値は、1÷2×(480×3)×Csbとなり、ソースバスライン容量に依存する消費電流が2分の1程度低減できる。
【0046】
次に、以上の実効容量値を用いて実際の消費電流の数値を算出する。ここでは、ソース反転周期50KHz、Csb30pF、およびソース振幅4.5Vという条件である。この場合、ソース長選択ラインを備えない従来技術に係るソースバスライン容量に依存する消費電流は、50KHz×30pF×480×3×4.5V=9.72mAとなる。一方、本発明に係るソースバスライン容量に依存する消費電流は、50KHz×30pF×480×3×4.5V÷2=4.86mAとなる。すなわち、上記の条件においては、4.86mAの電流を削減できる。換言すれば50%の低消費電流化を実現できる。
【0047】
(ソース長選択ライン駆動に伴う電力消費)
次に、ソース長選択ラインを駆動する際に必要となる電流について説明する。ここでは一例として、図6に示した条件において必要となる電力量について説明する。すなわち、ソース長選択ラインの容量をゲートバスラインと同一容量である30pF、ソース長選択ラインのライン数を854本、ソース長選択ラインにおける導通のON/OFFの電圧差を15V、ソース長選択ラインの導通のON/OFF周期を60Hzとする。なお、ソース長選択ラインのライン数854本は、表示デバイスの解像度が480×RGB×854であるFWVGAとして見積もっており、電圧差15Vは電気的スイッチであるトランジスタのONを10V、OFFを−5Vとして見積もっており、導通のON/OFF周期60Hzは、一般的なFWVGAの周波数として見積もっている。なお、詳しくは後述するが、ソース長選択ラインの駆動においては、1ラインごとに1回のONと1回のOFFしかしないため、導通のON/OFF周期を60Hzに抑えることができる。
【0048】
上記条件における全てのソース長選択ライン容量に依存する消費電流は、60Hz×30pF×854本×15Vとなるため、0.023mAとなる。図5を参照して説明したように、略同条件におけるソース長選択ラインによる電流低減量は4.86mAであるため、ソース長選択ライン駆動に伴う電流消費量を考慮しても、従来技術と比較して47%程度の低消費電流化が実現できる。
【0049】
〔実施形態2〕
本発明に係る第2の実施形態について、図7〜図9を参照して以下に説明する。
【0050】
(液晶表示モジュール8の構成の変形例)
まず、本実施形態に係る液晶表示モジュール8の構成について、図7を参照して説明する。図7は、液晶表示モジュール8の構成を示す図である。本実施形態の液晶表示モジュール8と実施形態1の液晶表示モジュール1とは、多くの点において共通している。このため、本実施形態においては、液晶表示モジュール8における液晶表示モジュール1との相違点についてのみ説明する。
【0051】
液晶表示モジュール8は、各ソースバスラインにおいて、画素ごとにTrを取り付けることによってソースバスラインの導通のON/OFFを切り換える点においては、液晶表示モジュール1と同様である。しかし切り換えの手法が異なり、本実施形態ではインバータを活用する。すなわち図7に示すように、液晶表示モジュール8においては、Trへの入力信号をゲートバスラインに接続したインバータを介して送る。
【0052】
例えば、ソースバスラインS1におけるTr11への入力信号は、ゲートバスラインG1に接続されたIv(インバータ)11を介して送られる。具体的には、Iv11は、ゲートバスラインG1を通じて入力されたゲート信号を反転させてTr11のゲートに入力する。同様に、Tr21への入力信号はゲートバスラインG1に接続されたIv21を介して送られ、Trx1への入力信号はゲートバスラインG1に接続されたIvx1を介して送られる。同様に、ゲートバスラインG2に接続されたIv12、Iv22、およびIvx2各々を介してTr12、Tr22、およびTrx2各々に入力信号を送られる。同様に、ゲートバスラインGyに接続されたIv1y、およびIv2y〜Ivxy各々を介してTr1y、およびTr2y〜Trxy各々に入力信号が送られる。
【0053】
換言すれば、1つの画素に、1つのTrと1つのIvとが備えられている。以上のように、実施形態1の液晶表示モジュール1と同様に、液晶表示モジュール8はラインごとにソースバスラインの容量を低減することができる。
【0054】
液晶表示モジュール8における低消費電流化の効果は、液晶表示モジュール1と同様となる。また、液晶表示モジュール8は、液晶表示モジュール1のようにソース長選択ドライバを備える必要がないため、回路を縮小できる。
【0055】
(液晶表示モジュール1のタイミングチャート)
以下に、液晶表示モジュール1における各信号のON/OFFのタイミングについて図8を参照して説明する。
【0056】
図8は、図1に示した液晶表示モジュール1における各信号のON/OFFのタイミングを示すタイミングチャートである。図8に示すVSYNCは、フレームごとに出力される信号であり、画面における垂直方向のタイミングを計るための信号である。S(1−x)は、ソースドライバ4から各ソースバスラインS1〜Sxに出力される、各ソースバスラインは、所望の電圧が出力される。G1は、ゲートドライバ6からゲートバスラインG1に出力される信号を示す。同様に、G2、およびGyは、それぞれゲートドライバ6からゲートバスラインG2、およびゲートバスラインGyに出力される信号を示す。SB1は、ソース長選択ドライバ2からソース長選択ラインSB1に出力される信号を示す。
【0057】
同様に、SB2およびSBy各々は、ソース長選択ドライバ2からソース長選択ラインSB2およびSBy各々に出力されるソース長選択信号を示す。なお、ゲートバスラインG1〜Gyのスキャン方向すなわちスキャン順はこの順とする。また、図8に示すように、ゲートバスラインG1をスキャンしている間は、他のゲートバスラインG2、およびGyに対応するソース長選択ラインSB2およびSByに出力されるソース長選択信号はONとなっている。これにより、1フレーム内において1つのソース長選択ラインを1回のみOFFにし、その後ONにすることさえすればよいので、より一層の低消費電流化を実現することができる。
【0058】
次に、図示した点線内における各信号をON/OFFするタイミングについて説明する。まず、aに示すように、ソース長選択ラインSB1をOFFにする。これにより、Tr11、およびTr21〜Trx1が十分にOFFになった後に、bに示すようにゲートバスラインG1をONにすることによって、ソースバスラインS1〜Sxに所望の電圧を供給する。その後、ソースバスラインS1〜Sxの電位と、液晶容量CLC11、およびCLC21〜CLCx1の電位とが等しくなった際に、cに示すようにゲートバスラインG1をOFFにする。
【0059】
ゲートバスラインG1をOFFにした後に、dに示すようにソース長選択ラインSB1をONにする。ゲートバスラインG2とそれに対応するソース長選択ラインSB2、およびゲートバスラインGyとそれに対応するソース長選択ラインSByについても、ゲートバスラインG1をOFFにした後に、それぞれ同様のタイミングにより各信号をON/OFFする。
【0060】
以上のタイミングにおいて各信号をON/OFFすることによって、ソースバスラインS1〜Sxにおける容量成分は、ゲートドライバ6から信号が出力されているゲートバスラインG1〜Gyまでの長さに略応じた量となり、消費電流を低減させることができる。また、ソースバスラインS1〜Sxに所望の電圧を供給する前に、ソース長選択ラインSB1をOFF、また、ゲートラインG1がOFFした後にソース長選択ラインSB1をONしているため、液晶表示の画面に悪影響を与える虞はない。
【0061】
(液晶表示モジュール8のタイミングチャート)
次に、液晶表示モジュール8における各信号のON/OFFのタイミングについて図9を参照して説明する。図9は、図7に示した液晶表示モジュール8において各信号をON/OFFするタイミングを示すタイミングチャートである。液晶表示モジュール8におけるタイミングチャートについては、液晶表示モジュール1におけるタイミングチャートとの相違点についてのみ説明する。
【0062】
Tr(SL1)は、ゲートバスラインG1に接続されたIv11、Iv21、およびIvx1からの出力をゲート入力とするTr11、Tr21、およびTrx1を示す。同様に、Tr(SL2)はTr12、Tr22、およびTrx2を示す。Tr(SLy)はTr1y、Tr2y、およびTrxyを示す。Stateに示す導通は、対応するトランジスタにおけるソースとドレインとが導通していることを示しており、遮断は、ソースとドレインとが遮断していることを示す。
【0063】
まず、eに示すように、ゲートバスラインG1をONとすると、e’に示すように、それと略同時にゲートバスラインG1に接続されたIv11、Iv21、およびIvx1からの出力はOFFとなる。これによって、各Ivに接続されたTr(SL1)におけるソースとドレインとの間の導通は遮断される。次に、この状態において、ソースバスラインS1〜Sxに所望の電位の信号(ON信号)を供給する。
【0064】
その後、ソースバスラインS1〜Sxの電位と、それぞれに対応する液晶容量CLC11、およびCLC21〜CLCx1の電位とが等しくなった際に、fに示すようにゲートバスラインG1をOFFにする(OFF信号出力)。ゲートバスラインG1をOFFにするのと略同時に、f’に示すようにIv11、およびIv21〜Ivx1からの出力はONとなり、各Ivに接続されたTr(SL1)におけるソースとドレインとの間が導通する。
【0065】
同様に、ゲートバスラインG2と、該ゲートバスラインG2に接続されているIv12、およびIv22〜Ivx2とについても、ゲートバスラインG1をOFFにした後に、それぞれ同様のタイミングにより各信号をON/OFFする。さらに、ゲートバスラインGyと、該ゲートバスラインGyに接続されているIv1y、およびIv2y〜Ivxyとについても、ゲートバスラインG2をOFFにした後に、それぞれ同様のタイミングにより各信号をON/OFFする。
【0066】
以上のタイミングにおいて各信号をON/OFFすることによって、ソースバスラインS1〜Sxにおける容量成分は、ゲートドライバ6から信号が出力されているゲートバスラインまでの長さに応じた量となり、消費電流を低減させることができる。
【0067】
(スイッチTrの配置の変形例)
次に、液晶表示モジュール1におけるTrの配置の変形例について図10〜図13を参照して説明する。図10〜図13においては、液晶表示モジュール1の変形例として説明するが、液晶表示モジュール8についても同様の構成が可能である。なお、図10〜図13においては、ソースバスライン1440本(x=1440)、ゲートバスライン854本(y=854)、ソース反転周期50KHz,ソース振幅4.5V、および1ソースバスライン当たりのCsb30pFという条件の液晶表示モジュールを示す。
【0068】
図10(a)は、液晶表示パネル内において最もソースドライバに近接したゲートバスラインであるゲートバスラインG1における1つの画素のみにTr11を1つ配置した、液晶表示モジュール10の上面図である。図10(b)は、図10(a)の構成における電流消費量の効果を示す図である。図10(c)は、ソースバスラインの容量に起因する消費電流の数値を示す図である。
【0069】
図10(a)に示す液晶表示モジュール10は、ソースバスラインS1とゲートバスラインG1とが交差する画素1つのみに、図示しないソース長選択ドライバ2に接続されたソース長選択ラインSB1を介してTr11が配置されている。この配置においては、ゲートバスラインG1をスキャンする場合に、Tr11をOFFにすることによって、ソースバスラインS1における容量を低減できる。すなわち、ソースバスラインS1においては、ゲートバスライン854本のうちの約1本分の長さに対応する容量に起因する電流しか消費されないため、ソースバスラインS1における電流消費量は、Csb×1÷854となる。ソースバスラインS2〜S1440までのソースバスライン1439本についてはTrが配置されていないため、電流低減の効果はない。以上のことから、ゲートバスラインG1をスキャンする場合における電流消費量は、図10(b)に示すように、Csb×1÷854+Csb×1439となる。
【0070】
また、ゲートバスラインG2〜G854のいずれかのゲートバスラインまでをスキャンする場合は、ゲートバスラインG2〜G854に該当するソースバスラインを選択するためにTr11をONにする必要がある。このため電流低減の効果はない。
【0071】
図5において説明した公式を用いて、この配置におけるゲートバスラインG1〜G854までを各々スキャンした場合におけるソースバスライン充放電にかかる電流値の平均を算出すると、図10(c)に示すように、9.719992mAとなる。すなわち、Tr11を配置しない場合である9.720000mAより約0.00008%の電流が低減できる。
【0072】
(一列の画素全てにTrがある場合)
次に、液晶表示パネル内において最もソースドライバに近接したゲートバスラインであるゲートバスラインG1における全ての画素ごとにTrを配置した場合について、図11を参照して説明する。
【0073】
図11(a)は、ゲートバスラインG1における全ての画素ごとにTrを配置した液晶表示モジュール12を示す図である。図11(b)は、図11(a)の構成における消費電流低減の効果を示す図である。図11(c)は、ソースバスラインの容量に起因する消費電流の数値を示す図である。
【0074】
図11(a)に示す液晶表示モジュール12では、ゲートバスラインG1に接続されている全ての画素にスイッチTrが設けられている。たとえばTr11がソースバスラインS1に設けられ、Tr21がS2に設けられ、同様にSxにTrx1が設けられている。Tr11〜Trx1は、いずれも、図示しないソース長選択ドライバ2に接続されたソース長選択ラインSB1を介して互いに接続されている。
【0075】
この配置においては、ゲートバスラインG1をスキャンする際、Tr11〜Trx1をOFFにする。これにより、ソースバスラインS1〜S1440における、ソースバスライン容量に起因する消費電流を低減できる。具体的には、全てのソースバスラインS1〜S1440において、ゲートバスライン854本のうちの約1本分の長さに相当する容量となるため、ソースバスラインS1〜S1440における容量は、Csb÷854×1440となる。
【0076】
なお、ゲートバスラインG2〜G854のいずれかのゲートバスラインまでをスキャンする場合は、ゲートバスラインG2〜G854に該当するソースバスラインを選択するためにTr11〜Trx1をONにする必要がある。このため、これらのスキャン時には電流低減効果はない。
【0077】
以上のことから、この配置におけるゲートバスラインG1〜G854までを各々スキャンした場合におけるソースバスライン充放電にかかる電流値の平均を算出すると、図11(c)に示すように、9.709mAとなる。すなわち、Tr11〜Trx1を配置しない場合である9.720mAに比べて約0.1%の電流が低減できる。
【0078】
(一例の画素全てにスイッチTrがある場合の他の例)
次に、液晶表示パネル内における任意の1本のゲートバスラインGy’における全ての画素ごとにTrを配置した場合について、図12を参照して説明する。
【0079】
図12(a)は、ゲートバスラインGy’における全ての画素ごとにTrを配置した液晶表示モジュール14を示す図である。図12(b)は、図12(a)の構成における消費電流低減の効果を示す図である。図12(c)は、ソースバスラインの容量に起因する消費電流の数値を示す図である。なお、ここでは一例として、ゲートバスラインGy’はソースドライバから数えて427本目(パネルの中央に相当)であるゲートバスラインG427として、また、ソース長選択ラインSBy’はソースドライバから数えて427本目であるソース長選択ラインSB427であるとする。
【0080】
図12(a)に示す液晶表示モジュール14では、ゲートバスラインG427に接続されている全ての画素にスイッチTrが設けられている。たとえばTr1y’がソースバスラインS1に設けられ、Tr2y’がS2に設けられ、同様にSxにTrxy’が設けられている。Tr1y’〜Trxy’は、いずれも、図示しないソース長選択ドライバ2に接続されたソース長選択ラインSBy’を介互いに接続されている。
【0081】
この配置においては、ゲートバスラインG1〜G427各々をスキャンする場合に、Tr1y’〜Trxy’をOFFにすることによって、ソースバスラインS1〜S1440におけるソースバスライン容量に起因する消費電流を低減できる。すなわち、全てのソースバスラインS1〜S1440において、ゲートバスラインG1〜G427の428本、すなわちゲートバスライン854本の半分の容量となるため、ソースバスラインS1〜S1440における容量は、Csb÷2×1440となる。
【0082】
なお、ゲートバスラインG428〜G854のいずれかのゲートバスラインまでをスキャンする場合は、ゲートバスラインG428〜G854に該当するソースバスラインを選択するためにTr1y’〜Trxy’をONにする必要がある。このため電流低減の効果はない。
【0083】
以上のことから、この配置におけるゲートバスラインG1〜G854までを各々スキャンした場合におけるソースバスライン充放電にかかる電流値の平均を算出すると、図12(c)に示すように、7.301mAとなる。すなわち、Tr1y’〜Trxy’を配置しない場合である9.720mAに比べて約24.9%の消費電流が低減できる。
【0084】
(全画素にスイッチTrを設ける例)
次に、液晶表示パネル内における全画素にTrを配置した例について、図13を参照して説明する。図13(a)は、液晶表示パネル内の全画素にTrを配置した液晶表示モジュール16を示す図である。図13(b)は、図13(a)の構成における電流低減の効果を示す図である。図13(c)は、ソースバスラインの容量に起因する電流低減の数値を示す図である。なお、ゲートバスラインGy’は、ゲートバスラインG2〜G853のいずれかを示す。また、ソース長選択ラインSBy’はSB2〜SB853のいずれかを示す。
【0085】
図13(a)に示す液晶表示モジュール16では、全画素に個別にTrが設けられている。この配置においては、ゲートバスラインG1〜Gyのいずれかをスキャンする際、スキャン対象のゲートバスラインを含む各画素内のTrをOFFする。たとえば、ゲートバスラインG1をスキャンする場合は、ゲートバスラインG1を含む各画素内のTr11〜Tr1xを、いずれもONする。これにより、ソースバスラインS1〜Syにおけるソースバスライン容量に依存する消費電流を低減できる。
【0086】
たとえばx=1440かつy=854の場合、全てのソースバスラインS1〜S1440において、スキャン対象のゲートバスラインGy’までしか導通させない。換言すれば、全てのソースバスラインS1〜S1440において、スキャン対象のゲートバスラインよりも後段の部分では、ソースバスライン容量に起因する消費電流が発生しない。
【0087】
このため、ゲートバスラインG1をスキャンする場合の容量はCsb÷854×1440となり、ゲートバスラインG427をスキャンする場合の容量はCsb÷427×1440となる。同様に、一例として、ゲートバスラインG700をスキャンする場合の容量はCsb÷700×1440となる。
【0088】
以上のことから、この配置におけるゲートバスラインG1〜G854までを各々スキャンした場合におけるソースバスライン充放電にかかる電流値の平均を算出すると、図13(c)に示すように、4.860mAとなる。すなわち、Trを配置しない場合である9.720mAより約50.0%の電流が低減できる。
【0089】
(付記事項)
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明は、アクティブマトリクス型の液晶表示パネル、当該パネルを備えた液晶表示モジュール、および当該液晶表示モジュールを備えた液晶表示装置などとして、広く利用できる。
【符号の説明】
【0091】
1、1’、8、10、12、14、16 液晶表示モジュール
2 ソース長選択ドライバ(切換制御ドライバ)
4 ソースドライバ
6 ゲートドライバ
Tr11〜Trxy トランジスタ(切換部)
SB1〜SBy ソース長選択ライン(配線)
S1〜Sx ソースバスライン
G1〜Gy ゲートバスライン
IV11〜IVxy インバータ(反転部)
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動中運の消費電流を低減させた液晶表示パネル、液晶表示モジュール、および液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、薄型、軽量、および低消費電流等の特徴を有しているため、近年、広く普及している。特に、マトリクス状に配置された絵素ごとにスイッチング素子を配したアクティブマトリクス型の液晶表示装置は、高品位の映像を提供できることから広く利用されている。
【0003】
アクティブマトリクス型の液晶表示装置においては、一方の基板に設けられた画素電極と、対向基板上に設けられた対向電極との間に印加される電圧がスイッチング素子によりスイッチングされる。これにより、両基板間に挟まれた液晶などの表示媒体の光学的変調が表示パターンとして視認される。スイッチング素子としては、一般的に薄膜トランジスタ(TFT)素子などが用いられる。
【0004】
近年、このような液晶表示装置において、消費電流を低減することが共通の課題になっている。
【0005】
特許文献1には、TFT基板上におけるソースバスラインを共有するメインパネルと、サブパネルとを備えた表示装置であって、該メインパネルに、メインパネルとサブパネルとの間におけるソースバスラインの導通をON/OFFするスイッチであるSW−TFTを備えた表示装置が開示されている。該表示装置においては、このSW−TFTを制御することによって、メインパネルのみを表示している際にサブパネルの容量が負荷にならないようにする。これにより、低消費電流化を実現している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2004−117755号公報(公開日:2004年 4月15日)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の方法のような、メインパネルとサブパネルとの間にSW−TFTを備える工夫では、メインパネル表示時のみにおいてしか消費電流を低減することができず、かつ、その際もサブパネルのソースバスライン容量に依存する消費電流しか低減することができない。つまり、サブパネルが無くメインパネルのみを備えた構成では、当該文献の方法を適用する余地が無いため、消費電流低減の効果は得られない。
【0008】
本発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、その目的は、他のパネルと接続されていない単独の状態でも、ソースバスライン容量に依存する消費電流の低減を可能とした液晶表示パネル、液晶表示モジュール、および液晶表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明に係る液晶表示パネルは、アクティブマトリックス型の液晶表示パネルであって、上記液晶表示パネル内における複数の画素領域の少なくとも1つに、当該画素領域内に設けられているソースバスラインの導通のON/OFFを切り換える切換部が備えられていることを特徴としている。
【0010】
上記の構成によれば、本発明の液晶表示パネルは、上記液晶表示パネル内における複数の画素領域の少なくとも1つに、当該画素領域内に設けられているソースバスラインの導通のON/OFFを切り換える切換部が備えられている。このため、画素領域内における切換部を制御することにより、ソースバスラインの導通のON/OFFを切り換えることができる。したがって、上記画素領域単位において、ソースバスライン容量に依存する消費電流を低減できる。
【0011】
以上のように、本発明によれば、他のパネルと接続されていない単独の状態でも、ソースバスライン容量に依存する消費電流の低減を可能とする効果を奏する。
【0012】
本発明に係る液晶表示パネルは、上記切換部を制御するための制御信号を当該切換部に伝達する配線をさらに備えていることが好ましい。
【0013】
上記の構成によれば、切換部を制御するための制御信号を当該切換部に伝達する配線を備えている。そのため、切換部の導通のON/OFFを配線を介して制御することができる。したがって、上記配線を介して液晶表示パネルの外部(たとえば所定のドライバ)から制御信号を送信することにより、上記切換部の導通のON/OFFを制御することができるという効果を奏する。
【0014】
本発明に係る液晶表示パネルにおいて、上記切換部はトランジスタであり、上記切換部内に設けられているゲートバスラインに接続され、当該ゲートバスラインを通じて入力されたゲート信号を反転させて上記トランジスタのゲートに入力する反転部をさらに備えていることが好ましい。
【0015】
上記の構成によれば、切換部はトランジスタであり、液晶表示パネルは切換部内に設けられているゲートバスラインに接続され、当該ゲートバスラインを通じて入力されたゲート信号を反転させて上記トランジスタのゲートに入力する反転部を備えている。したがって、ゲートバスラインからのゲート信号をインバータによって反転させることにより、上記切換部の導通のON/OFFを、液晶駆動用のトランジスタの導通のON/OFFに追随させて制御することができる。結果、切換部を制御するための追加のドライバおよび信号配線が不要となるので、液晶表示パネルを小型化できるという効果を奏する。
【0016】
本発明に係る液晶表示パネルにおいて、上記切換部は、複数のゲートバスラインのうち少なくとも1つに対応する上記画素領域ごとに備えられていることが好ましい。
【0017】
上記の構成によれば、切換部は、複数のゲートバスラインのうち少なくとも1つに対応する画素領域ごとに備えられている。換言すれば、少なくとも1つのゲートバスラインに対応する画素領域の全て、すなわち各画素領域内のソースバスラインの全てに切換部が備えられている。このため、低消費電流化の効果をより大きくすることができる。また、1つのゲートバスラインを制御することのみにより、ゲートバスラインに対応する箇所における上記ソースバスライン全ての導通のON/OFFを切り換えることができるという更なる効果を奏する。
【0018】
本発明に係る液晶表示パネルにおいて、上記切換部は、上記液晶表示パネル内の全画素領域に備えられていることが好ましい。
【0019】
上記の構成によれば、切換部は、液晶表示パネル内の全画素領域に備えられている。このため、全ての画素領域においてソースバスラインの導通のON/OFFを切り換えることができる。したがって、表示に寄与する必要最低限のソースバスライン容量を選択することができ、低消費電流化の効果を最大にすることができるという更なる効果を奏する。
【0020】
本発明に係る液晶表示パネルにおいて、上記切換部は、トランジスタであることが好ましい。
【0021】
上記の構成によれば、上記切換部はトランジスタである。したがって、上記切換部を半導体製造技術によって容易に設けることができるという更なる効果を奏する。
【0022】
また、上記切換部の導通のON/OFFを制御するための信号を当該切換部に伝達する配線をさらに備えている液晶表示パネルと、上記複数のソースバスラインにソース信号を供給するソースドライバと、上記複数のゲートバスラインにゲート信号を供給するゲートドライバと、上記配線に上記制御信号を供給する切換制御ドライバとを備えている液晶表示モジュールも本発明の範疇に含まれる。
【0023】
また、上記液晶表示モジュールを備えている液晶表示装置も本発明の範疇に含まれる。
【発明の効果】
【0024】
本発明に係る液晶表示パネルは、以上のように、アクティブマトリックス型の液晶表示パネルであって、上記液晶表示パネル内における複数の画素領域の少なくとも1つに、当該画素領域内に設けられているソースバスラインの導通のON/OFFを切り換える切換部が備えられている。このため、上記画素領域内における切換部を制御することにより、ソースバスラインの導通のON/OFFを切り換えることができる。これにより、他のパネルと接続されていない単独の状態でも、ソースバスライン容量に依存する消費電流の低減を可能とする効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の一実施形態に係る液晶表示モジュールの構成を示す図である。
【図2】本発明の一実施形態に係る低消費電流化の原理について説明する図である。
【図3】本発明の一実施形態に係る液晶表示モジュールにおける低消費電流化を説明する図である。
【図4】本発明の一実施形態に係る液晶表示モジュールにおける低消費電流化の効果について説明する図である。
【図5】本発明の一実施形態に係る液晶表示モジュールにおける低消費電流化の効果について説明する図である。
【図6】本発明の一実施形態に係るソース長選択ラインを駆動する際に必要となる電力量を説明する図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る液晶表示モジュールの他の構成を示す図である。
【図8】本発明の一実施形態に係る液晶表示モジュールにおける各信号のON/OFFのタイミングを示すタイミングチャートである。
【図9】本発明の一実施形態に係る液晶表示モジュールの他の構成における各信号のON/OFFのタイミングを示すタイミングチャートである。
【図10】本発明の一実施形態に係る液晶表示モジュールにおけるスイッチTrの配置の変形例を示す図である。
【図11】本発明の一実施形態に係る液晶表示モジュールにおけるスイッチTrの配置の変形例を示す図である。
【図12】本発明の一実施形態に係る液晶表示モジュールにおけるスイッチTrの配置の変形例を示す図である。
【図13】本発明の一実施形態に係る液晶表示モジュールにおけるスイッチTrの配置の変形例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
〔実施形態1〕
本発明に係る一実施形態について、図1〜図13を参照して以下に説明する。
【0027】
(液晶表示モジュール1の構成)
まず、本実施形態に係る液晶表示モジュール1の構成について、図1を参照して説明する。図1は、液晶表示モジュール1の構成を示す図である。この図に示すように、液晶表示モジュール1は、ソース長選択ドライバ2、ソースドライバ4、ゲートドライバ6、ソースバスラインS1〜Sx、ゲートバスラインG1〜Gy、ソース長選択ラインSB1〜SByとを備えている。液晶表示モジュール1の一部が液晶表示パネルであり、上記液晶表示パネルは、ソースバスラインS1〜Sx、ゲートバスラインG1〜Gy、およびソース長選択ラインSB1〜SByを備えている。ここで、xはソースバスラインのライン数を表す。yは、ゲートバスラインのライン数およびソース長選択ラインのライン数を表す。xおよびyは、それぞれ任意の整数を取り得る。なお、本実施形態の液晶表示モジュール1では、ゲートバスラインのライン数と、ソース長選択ラインのライン数とは同じである。
【0028】
複数のソースバスラインS1〜Sxと、複数のゲートバスラインG1〜Gyとは、互いに直交する。まずソースバスラインS1〜Sxは、互いに略平行に配置され、その一端がソースドライバ4に接続されている。ソースドライバ4は、ソースバスラインS1〜Sxに所望の電圧(ソース信号)を出力する。一方、ゲートバスラインG1〜Gyは、互いに略平行に配置され、その一端がゲートドライバ6に接続されている。ゲートドライバ6は、各ゲートバスラインに所望の電圧(ゲート信号)を出力する。
【0029】
互いに隣接する2つのゲートバスラインと、互いに隣接する2つのソースバスラインとによって囲まれた1つの領域が、画像表示の最小単位である1つの画素領域に相当する。ゲートドライバ6は、所定のタイミングにおいて、各ゲートバスラインG1〜Gyに所定の電圧の信号を出力することによって、各画素領域に1つずつ備えられているTFT素子であるTFT11〜TFTxyの導通のON/OFFを制御する。例えば、ゲートバスラインG1にHレベル信号を出力することによって、G1に接続されているTFT11〜TFTx1をONする。同様に、ゲートバスラインG2にHレベル信号を出力することによって、G2に接続されているTFT12〜TFTx2をONする。ゲートドライバ6は、各ゲートバスラインG1〜Gyを、G1、G2、・・・Gyの順にスキャンする。
【0030】
ソース長選択ラインSB1〜SByは、各図面において太く示されたラインであり、その一端がソース長選択ドライバ2に接続されている。また、各画素において、当該画素内のソースバスラインに設けられている電気的スイッチ(Tr)に接続されている。たとえば、ソース長選択ラインSB1にはTr11〜Trx1が接続され、ソース長選択ラインSB2にはTr12〜〜Trx2が接続され、ソース長選択ラインSByにはTr1y〜Trxyが接続されている。
【0031】
ソース長選択ラインSB1〜SByは、電気的スイッチであるTr11〜Trxy(トランジスタ)の導通のON/OFFを制御することによって、各ソースバスラインの導通の有無を切り換える。これにより例えば、ソースバスラインS1におけるTr11をONし、Tr12をOFFにすることによって、ソースドライバ4からソースバスラインS1に出力された電圧を、Tr11においては導通させるが、Tr12においては導通させないことができる。したがって、Tr12より先のソースバスラインS1において負荷となる容量成分を削減できる。
【0032】
なお、ソース長選択ドライバ2は、表示装置における表示タイミングと同期させることによって電気的スイッチの制御を行なう。
【0033】
スイッチTrは画素領域ごとに1つずつ備えられている。また、液晶表示モジュール1は、ソースドライバ4から出力された電圧をラインごとに制御できる。詳しくは後述するが、本発明においてはこの原理を用いて、駆動中の液晶表示モジュール1において、ソースバスライン容量に依存する消費電流の低減を実現する。なお、液晶表示モジュール1は、画素ごとに液晶容量CLC11〜CLCxyを有しており、対向電極COM11〜COMxyを備えている。
【0034】
(低消費電流化の原理)
次に、本発明における低消費電流化の原理について図2を参照して説明する。図2は、低消費電流化の原理について説明する図である。一般に、ソースバスラインの容量は当該ソースバスラインの長さに比例する。図中のC(G1)〜C(G4)は、該当ゲートラインに相当するソースバスラインの容量を示している。図2(a)に示すように、本実施形態の液晶表示モジュール1は、液晶表示パネル内において図中の左側からゲートバスラインG1の画素が選択されている場合に、ゲートバスラインG1とG2との間のソースバスラインの導通を、トランジスタなどの電気的スイッチを用いてOFFにする。これにより、ソースバスラインの容量はゲートバスラインG1までのソースバスラインの容量に低減し、G2以降のソースバスラインの容量は消費電流に寄与しない。同様に、図2(b)に示すように、ゲートバスラインG2までの画素が選択されている場合に、ゲートバスラインG2と、G3との間のソースバスラインの導通をOFFにする。これにより、ソースバスラインの容量はゲートバスラインG2までの容量となり、G3以降のソースバスラインの容量は消費電流に寄与しない。
【0035】
なお、従来技術においては、ソースバスラインの導通を制御しないため、液晶表示パネル内におけるどのゲートバスラインの画素を選択したとしても、ソースバスラインの容量は最大ライン分、すなわちC(G1)+C(G2)+C(G3)+C(G4)となる。したがって、本発明は、このような従来技術に比べて、パネル駆動の際の消費電流を低減させることができる。
【0036】
(液晶表示モジュール1における低消費電流化)
次に、液晶表示モジュール1における低消費電流化について図3を参照して説明する。図3は、液晶表示モジュール1’における低消費電流化を説明する図である。
【0037】
図3に示す液晶表示モジュール1’は、3×3のアクティブマトリックス型のモジュールである。具体的には、3本のソースバスライン(S1、S2、S3)と、3本のゲートバスライン(G1、G2、G3)とを備えている。さらに、図中において太線で示したソース長選択ラインSB1、SB2、およびSB3を備えており、ソースバスラインの導通をラインごとに制御できる。
【0038】
図3に示すように、ゲートバスラインG1に接続されているトランジスタを選択する場合、ソース長選択ドライバ2は、SB1に接続されているトランジスタをOFFする信号をSB1に出力する。また、SB2およびSB3には、SB2およびSB3に接続されているトランジスタをONする信号を出力する。これにより、ソースバスラインS1〜S3の容量成分は、図示した有効バスライン長の長さに応じた値となる。一般に、ソースバスラインの容量成分はその長さに比例するため、図3の構成によって容量成分を低減できる。したがって、容量成分に起因する消費電流を低減できる。
【0039】
同様に、ゲートバスラインG2に接続されているトランジスタを選択する場合、ソース長選択ドライバ2は、SB2に接続されているトランジスタをOFFする信号をSB2に出力する。また、SB1には、SB1に接続されているトランジスタをONする信号を出力する。SB3には、SB3に接続されているトランジスタをOFFする信号を出力する。これにより、ソースバスラインS1〜S3の容量成分は、ソース長選択ラインSB3の手前までとなるため、容量成分を低減できる。したがって、容量成分に起因する消費電流を低減できる。なお、ゲートバスラインG3に接続されているトランジスタを選択する場合の容量成分は、従来技術と変わらない。
【0040】
これにより、例えば854本ゲートバスライン数を有する表示装置を備えたモバイル機器においては、最終ゲートスキャンライン以外の853本のラインにおいて、容量成分の低減による低消費電流化が実現される。したがって、画素数が多く、高解像度の液晶表示モジュールほど、本発明による効果はより高く得られる。
【0041】
なお、図1〜図3には、ソース長選択ドライバの出力バスラインを、ラインごとに束ねた形をとっており、ラインごとにソースバスライン容量を低減した例を示した。しかし本発明はこの工夫に限定されず、ただ1つの画素のみを低消費電流化の対象とすることもできる。これについては、参照する図面を替えて詳しくは後述する。
【0042】
(低消費電流化の効果)
次に、液晶表示モジュール1における低消費電流化の効果について図4および図5を参照して説明する。図4は、図3に示した液晶表示モジュール1’のソースバスラインにおける実効容量値と、従来技術の液晶表示モジュールのソースバスラインにおける実効容量値とを比較して示す図である。実効容量値は、ゲートバスラインG1〜G3をそれぞれ選択した場合のソースバスラインの容量をフレーム単位で平均化した値である。なお、ここでは、各ゲートバスラインの選択は、3分の1フレームずつとしている。また、Csbはソースバスライン1本における容量成分である。
【0043】
図4に示すように、従来技術においては、ゲートバスラインG1、G2、およびG3のうちどのゲートバスラインまでの画素を選択したとしても、ソースバスラインの容量はソースバスラインの長さに相当するCsbとなる。一方、液晶表示モジュール1’においては、ゲートバスラインG1を選択した場合には、図3を参照して説明したように、ソースバスラインS1、S2、およびS3各々のラインにおいて、ライン全体の3分の1程度の容量に低減することができる。同様に、ゲートバスラインG2を選択した場合には、ソースバスラインS1、S2、およびS3各々のラインにおいて、ライン全体の3分の2程度の容量に低減することができる。ゲートバスラインG3を選択した場合には、従来技術と同じ、ソースバスラインの長さに相当する容量になる。以上のことから、実効容量値は従来技術と比較して、3分の2倍となり、ソースバスライン容量に依存する消費電流が3分の1程度低減できる。
【0044】
(低消費電流化の効果を示す具体値の例)
図5は、3原色RGB各々に対応するソースバスライン480本、およびゲートバスライン854本を有する、液晶表示モジュール1と従来技術であるソース長選択ラインを備えない液晶表示モジュールとの電力消費を比較する図である。図4を参照して説明したように、ソース長選択ラインを備えない液晶表示モジュールにおける消費電流は、どのゲートバスラインを選択した場合においても、ソースバスラインの長さに相当する容量となる。したがって、実効容量値は、480×3×Csbとなる。
【0045】
一方、本発明に係る液晶表示モジュール1においては、ゲートバスラインG1を選択した場合のソースバスラインの容量は、ゲートバスライン854本のうちの1本分に対応するソースバスラインの容量となるため、480×3×Csb×1÷854となる。同様に、ゲートバスラインGnを選択した場合の容量は、480×3×Csb×n÷854となり、ゲートバスラインG854を選択した場合のソースバスラインの容量は、480×3×Csb×854÷854となる。以上のことから実行容量値は、1÷2×(480×3)×Csbとなり、ソースバスライン容量に依存する消費電流が2分の1程度低減できる。
【0046】
次に、以上の実効容量値を用いて実際の消費電流の数値を算出する。ここでは、ソース反転周期50KHz、Csb30pF、およびソース振幅4.5Vという条件である。この場合、ソース長選択ラインを備えない従来技術に係るソースバスライン容量に依存する消費電流は、50KHz×30pF×480×3×4.5V=9.72mAとなる。一方、本発明に係るソースバスライン容量に依存する消費電流は、50KHz×30pF×480×3×4.5V÷2=4.86mAとなる。すなわち、上記の条件においては、4.86mAの電流を削減できる。換言すれば50%の低消費電流化を実現できる。
【0047】
(ソース長選択ライン駆動に伴う電力消費)
次に、ソース長選択ラインを駆動する際に必要となる電流について説明する。ここでは一例として、図6に示した条件において必要となる電力量について説明する。すなわち、ソース長選択ラインの容量をゲートバスラインと同一容量である30pF、ソース長選択ラインのライン数を854本、ソース長選択ラインにおける導通のON/OFFの電圧差を15V、ソース長選択ラインの導通のON/OFF周期を60Hzとする。なお、ソース長選択ラインのライン数854本は、表示デバイスの解像度が480×RGB×854であるFWVGAとして見積もっており、電圧差15Vは電気的スイッチであるトランジスタのONを10V、OFFを−5Vとして見積もっており、導通のON/OFF周期60Hzは、一般的なFWVGAの周波数として見積もっている。なお、詳しくは後述するが、ソース長選択ラインの駆動においては、1ラインごとに1回のONと1回のOFFしかしないため、導通のON/OFF周期を60Hzに抑えることができる。
【0048】
上記条件における全てのソース長選択ライン容量に依存する消費電流は、60Hz×30pF×854本×15Vとなるため、0.023mAとなる。図5を参照して説明したように、略同条件におけるソース長選択ラインによる電流低減量は4.86mAであるため、ソース長選択ライン駆動に伴う電流消費量を考慮しても、従来技術と比較して47%程度の低消費電流化が実現できる。
【0049】
〔実施形態2〕
本発明に係る第2の実施形態について、図7〜図9を参照して以下に説明する。
【0050】
(液晶表示モジュール8の構成の変形例)
まず、本実施形態に係る液晶表示モジュール8の構成について、図7を参照して説明する。図7は、液晶表示モジュール8の構成を示す図である。本実施形態の液晶表示モジュール8と実施形態1の液晶表示モジュール1とは、多くの点において共通している。このため、本実施形態においては、液晶表示モジュール8における液晶表示モジュール1との相違点についてのみ説明する。
【0051】
液晶表示モジュール8は、各ソースバスラインにおいて、画素ごとにTrを取り付けることによってソースバスラインの導通のON/OFFを切り換える点においては、液晶表示モジュール1と同様である。しかし切り換えの手法が異なり、本実施形態ではインバータを活用する。すなわち図7に示すように、液晶表示モジュール8においては、Trへの入力信号をゲートバスラインに接続したインバータを介して送る。
【0052】
例えば、ソースバスラインS1におけるTr11への入力信号は、ゲートバスラインG1に接続されたIv(インバータ)11を介して送られる。具体的には、Iv11は、ゲートバスラインG1を通じて入力されたゲート信号を反転させてTr11のゲートに入力する。同様に、Tr21への入力信号はゲートバスラインG1に接続されたIv21を介して送られ、Trx1への入力信号はゲートバスラインG1に接続されたIvx1を介して送られる。同様に、ゲートバスラインG2に接続されたIv12、Iv22、およびIvx2各々を介してTr12、Tr22、およびTrx2各々に入力信号を送られる。同様に、ゲートバスラインGyに接続されたIv1y、およびIv2y〜Ivxy各々を介してTr1y、およびTr2y〜Trxy各々に入力信号が送られる。
【0053】
換言すれば、1つの画素に、1つのTrと1つのIvとが備えられている。以上のように、実施形態1の液晶表示モジュール1と同様に、液晶表示モジュール8はラインごとにソースバスラインの容量を低減することができる。
【0054】
液晶表示モジュール8における低消費電流化の効果は、液晶表示モジュール1と同様となる。また、液晶表示モジュール8は、液晶表示モジュール1のようにソース長選択ドライバを備える必要がないため、回路を縮小できる。
【0055】
(液晶表示モジュール1のタイミングチャート)
以下に、液晶表示モジュール1における各信号のON/OFFのタイミングについて図8を参照して説明する。
【0056】
図8は、図1に示した液晶表示モジュール1における各信号のON/OFFのタイミングを示すタイミングチャートである。図8に示すVSYNCは、フレームごとに出力される信号であり、画面における垂直方向のタイミングを計るための信号である。S(1−x)は、ソースドライバ4から各ソースバスラインS1〜Sxに出力される、各ソースバスラインは、所望の電圧が出力される。G1は、ゲートドライバ6からゲートバスラインG1に出力される信号を示す。同様に、G2、およびGyは、それぞれゲートドライバ6からゲートバスラインG2、およびゲートバスラインGyに出力される信号を示す。SB1は、ソース長選択ドライバ2からソース長選択ラインSB1に出力される信号を示す。
【0057】
同様に、SB2およびSBy各々は、ソース長選択ドライバ2からソース長選択ラインSB2およびSBy各々に出力されるソース長選択信号を示す。なお、ゲートバスラインG1〜Gyのスキャン方向すなわちスキャン順はこの順とする。また、図8に示すように、ゲートバスラインG1をスキャンしている間は、他のゲートバスラインG2、およびGyに対応するソース長選択ラインSB2およびSByに出力されるソース長選択信号はONとなっている。これにより、1フレーム内において1つのソース長選択ラインを1回のみOFFにし、その後ONにすることさえすればよいので、より一層の低消費電流化を実現することができる。
【0058】
次に、図示した点線内における各信号をON/OFFするタイミングについて説明する。まず、aに示すように、ソース長選択ラインSB1をOFFにする。これにより、Tr11、およびTr21〜Trx1が十分にOFFになった後に、bに示すようにゲートバスラインG1をONにすることによって、ソースバスラインS1〜Sxに所望の電圧を供給する。その後、ソースバスラインS1〜Sxの電位と、液晶容量CLC11、およびCLC21〜CLCx1の電位とが等しくなった際に、cに示すようにゲートバスラインG1をOFFにする。
【0059】
ゲートバスラインG1をOFFにした後に、dに示すようにソース長選択ラインSB1をONにする。ゲートバスラインG2とそれに対応するソース長選択ラインSB2、およびゲートバスラインGyとそれに対応するソース長選択ラインSByについても、ゲートバスラインG1をOFFにした後に、それぞれ同様のタイミングにより各信号をON/OFFする。
【0060】
以上のタイミングにおいて各信号をON/OFFすることによって、ソースバスラインS1〜Sxにおける容量成分は、ゲートドライバ6から信号が出力されているゲートバスラインG1〜Gyまでの長さに略応じた量となり、消費電流を低減させることができる。また、ソースバスラインS1〜Sxに所望の電圧を供給する前に、ソース長選択ラインSB1をOFF、また、ゲートラインG1がOFFした後にソース長選択ラインSB1をONしているため、液晶表示の画面に悪影響を与える虞はない。
【0061】
(液晶表示モジュール8のタイミングチャート)
次に、液晶表示モジュール8における各信号のON/OFFのタイミングについて図9を参照して説明する。図9は、図7に示した液晶表示モジュール8において各信号をON/OFFするタイミングを示すタイミングチャートである。液晶表示モジュール8におけるタイミングチャートについては、液晶表示モジュール1におけるタイミングチャートとの相違点についてのみ説明する。
【0062】
Tr(SL1)は、ゲートバスラインG1に接続されたIv11、Iv21、およびIvx1からの出力をゲート入力とするTr11、Tr21、およびTrx1を示す。同様に、Tr(SL2)はTr12、Tr22、およびTrx2を示す。Tr(SLy)はTr1y、Tr2y、およびTrxyを示す。Stateに示す導通は、対応するトランジスタにおけるソースとドレインとが導通していることを示しており、遮断は、ソースとドレインとが遮断していることを示す。
【0063】
まず、eに示すように、ゲートバスラインG1をONとすると、e’に示すように、それと略同時にゲートバスラインG1に接続されたIv11、Iv21、およびIvx1からの出力はOFFとなる。これによって、各Ivに接続されたTr(SL1)におけるソースとドレインとの間の導通は遮断される。次に、この状態において、ソースバスラインS1〜Sxに所望の電位の信号(ON信号)を供給する。
【0064】
その後、ソースバスラインS1〜Sxの電位と、それぞれに対応する液晶容量CLC11、およびCLC21〜CLCx1の電位とが等しくなった際に、fに示すようにゲートバスラインG1をOFFにする(OFF信号出力)。ゲートバスラインG1をOFFにするのと略同時に、f’に示すようにIv11、およびIv21〜Ivx1からの出力はONとなり、各Ivに接続されたTr(SL1)におけるソースとドレインとの間が導通する。
【0065】
同様に、ゲートバスラインG2と、該ゲートバスラインG2に接続されているIv12、およびIv22〜Ivx2とについても、ゲートバスラインG1をOFFにした後に、それぞれ同様のタイミングにより各信号をON/OFFする。さらに、ゲートバスラインGyと、該ゲートバスラインGyに接続されているIv1y、およびIv2y〜Ivxyとについても、ゲートバスラインG2をOFFにした後に、それぞれ同様のタイミングにより各信号をON/OFFする。
【0066】
以上のタイミングにおいて各信号をON/OFFすることによって、ソースバスラインS1〜Sxにおける容量成分は、ゲートドライバ6から信号が出力されているゲートバスラインまでの長さに応じた量となり、消費電流を低減させることができる。
【0067】
(スイッチTrの配置の変形例)
次に、液晶表示モジュール1におけるTrの配置の変形例について図10〜図13を参照して説明する。図10〜図13においては、液晶表示モジュール1の変形例として説明するが、液晶表示モジュール8についても同様の構成が可能である。なお、図10〜図13においては、ソースバスライン1440本(x=1440)、ゲートバスライン854本(y=854)、ソース反転周期50KHz,ソース振幅4.5V、および1ソースバスライン当たりのCsb30pFという条件の液晶表示モジュールを示す。
【0068】
図10(a)は、液晶表示パネル内において最もソースドライバに近接したゲートバスラインであるゲートバスラインG1における1つの画素のみにTr11を1つ配置した、液晶表示モジュール10の上面図である。図10(b)は、図10(a)の構成における電流消費量の効果を示す図である。図10(c)は、ソースバスラインの容量に起因する消費電流の数値を示す図である。
【0069】
図10(a)に示す液晶表示モジュール10は、ソースバスラインS1とゲートバスラインG1とが交差する画素1つのみに、図示しないソース長選択ドライバ2に接続されたソース長選択ラインSB1を介してTr11が配置されている。この配置においては、ゲートバスラインG1をスキャンする場合に、Tr11をOFFにすることによって、ソースバスラインS1における容量を低減できる。すなわち、ソースバスラインS1においては、ゲートバスライン854本のうちの約1本分の長さに対応する容量に起因する電流しか消費されないため、ソースバスラインS1における電流消費量は、Csb×1÷854となる。ソースバスラインS2〜S1440までのソースバスライン1439本についてはTrが配置されていないため、電流低減の効果はない。以上のことから、ゲートバスラインG1をスキャンする場合における電流消費量は、図10(b)に示すように、Csb×1÷854+Csb×1439となる。
【0070】
また、ゲートバスラインG2〜G854のいずれかのゲートバスラインまでをスキャンする場合は、ゲートバスラインG2〜G854に該当するソースバスラインを選択するためにTr11をONにする必要がある。このため電流低減の効果はない。
【0071】
図5において説明した公式を用いて、この配置におけるゲートバスラインG1〜G854までを各々スキャンした場合におけるソースバスライン充放電にかかる電流値の平均を算出すると、図10(c)に示すように、9.719992mAとなる。すなわち、Tr11を配置しない場合である9.720000mAより約0.00008%の電流が低減できる。
【0072】
(一列の画素全てにTrがある場合)
次に、液晶表示パネル内において最もソースドライバに近接したゲートバスラインであるゲートバスラインG1における全ての画素ごとにTrを配置した場合について、図11を参照して説明する。
【0073】
図11(a)は、ゲートバスラインG1における全ての画素ごとにTrを配置した液晶表示モジュール12を示す図である。図11(b)は、図11(a)の構成における消費電流低減の効果を示す図である。図11(c)は、ソースバスラインの容量に起因する消費電流の数値を示す図である。
【0074】
図11(a)に示す液晶表示モジュール12では、ゲートバスラインG1に接続されている全ての画素にスイッチTrが設けられている。たとえばTr11がソースバスラインS1に設けられ、Tr21がS2に設けられ、同様にSxにTrx1が設けられている。Tr11〜Trx1は、いずれも、図示しないソース長選択ドライバ2に接続されたソース長選択ラインSB1を介して互いに接続されている。
【0075】
この配置においては、ゲートバスラインG1をスキャンする際、Tr11〜Trx1をOFFにする。これにより、ソースバスラインS1〜S1440における、ソースバスライン容量に起因する消費電流を低減できる。具体的には、全てのソースバスラインS1〜S1440において、ゲートバスライン854本のうちの約1本分の長さに相当する容量となるため、ソースバスラインS1〜S1440における容量は、Csb÷854×1440となる。
【0076】
なお、ゲートバスラインG2〜G854のいずれかのゲートバスラインまでをスキャンする場合は、ゲートバスラインG2〜G854に該当するソースバスラインを選択するためにTr11〜Trx1をONにする必要がある。このため、これらのスキャン時には電流低減効果はない。
【0077】
以上のことから、この配置におけるゲートバスラインG1〜G854までを各々スキャンした場合におけるソースバスライン充放電にかかる電流値の平均を算出すると、図11(c)に示すように、9.709mAとなる。すなわち、Tr11〜Trx1を配置しない場合である9.720mAに比べて約0.1%の電流が低減できる。
【0078】
(一例の画素全てにスイッチTrがある場合の他の例)
次に、液晶表示パネル内における任意の1本のゲートバスラインGy’における全ての画素ごとにTrを配置した場合について、図12を参照して説明する。
【0079】
図12(a)は、ゲートバスラインGy’における全ての画素ごとにTrを配置した液晶表示モジュール14を示す図である。図12(b)は、図12(a)の構成における消費電流低減の効果を示す図である。図12(c)は、ソースバスラインの容量に起因する消費電流の数値を示す図である。なお、ここでは一例として、ゲートバスラインGy’はソースドライバから数えて427本目(パネルの中央に相当)であるゲートバスラインG427として、また、ソース長選択ラインSBy’はソースドライバから数えて427本目であるソース長選択ラインSB427であるとする。
【0080】
図12(a)に示す液晶表示モジュール14では、ゲートバスラインG427に接続されている全ての画素にスイッチTrが設けられている。たとえばTr1y’がソースバスラインS1に設けられ、Tr2y’がS2に設けられ、同様にSxにTrxy’が設けられている。Tr1y’〜Trxy’は、いずれも、図示しないソース長選択ドライバ2に接続されたソース長選択ラインSBy’を介互いに接続されている。
【0081】
この配置においては、ゲートバスラインG1〜G427各々をスキャンする場合に、Tr1y’〜Trxy’をOFFにすることによって、ソースバスラインS1〜S1440におけるソースバスライン容量に起因する消費電流を低減できる。すなわち、全てのソースバスラインS1〜S1440において、ゲートバスラインG1〜G427の428本、すなわちゲートバスライン854本の半分の容量となるため、ソースバスラインS1〜S1440における容量は、Csb÷2×1440となる。
【0082】
なお、ゲートバスラインG428〜G854のいずれかのゲートバスラインまでをスキャンする場合は、ゲートバスラインG428〜G854に該当するソースバスラインを選択するためにTr1y’〜Trxy’をONにする必要がある。このため電流低減の効果はない。
【0083】
以上のことから、この配置におけるゲートバスラインG1〜G854までを各々スキャンした場合におけるソースバスライン充放電にかかる電流値の平均を算出すると、図12(c)に示すように、7.301mAとなる。すなわち、Tr1y’〜Trxy’を配置しない場合である9.720mAに比べて約24.9%の消費電流が低減できる。
【0084】
(全画素にスイッチTrを設ける例)
次に、液晶表示パネル内における全画素にTrを配置した例について、図13を参照して説明する。図13(a)は、液晶表示パネル内の全画素にTrを配置した液晶表示モジュール16を示す図である。図13(b)は、図13(a)の構成における電流低減の効果を示す図である。図13(c)は、ソースバスラインの容量に起因する電流低減の数値を示す図である。なお、ゲートバスラインGy’は、ゲートバスラインG2〜G853のいずれかを示す。また、ソース長選択ラインSBy’はSB2〜SB853のいずれかを示す。
【0085】
図13(a)に示す液晶表示モジュール16では、全画素に個別にTrが設けられている。この配置においては、ゲートバスラインG1〜Gyのいずれかをスキャンする際、スキャン対象のゲートバスラインを含む各画素内のTrをOFFする。たとえば、ゲートバスラインG1をスキャンする場合は、ゲートバスラインG1を含む各画素内のTr11〜Tr1xを、いずれもONする。これにより、ソースバスラインS1〜Syにおけるソースバスライン容量に依存する消費電流を低減できる。
【0086】
たとえばx=1440かつy=854の場合、全てのソースバスラインS1〜S1440において、スキャン対象のゲートバスラインGy’までしか導通させない。換言すれば、全てのソースバスラインS1〜S1440において、スキャン対象のゲートバスラインよりも後段の部分では、ソースバスライン容量に起因する消費電流が発生しない。
【0087】
このため、ゲートバスラインG1をスキャンする場合の容量はCsb÷854×1440となり、ゲートバスラインG427をスキャンする場合の容量はCsb÷427×1440となる。同様に、一例として、ゲートバスラインG700をスキャンする場合の容量はCsb÷700×1440となる。
【0088】
以上のことから、この配置におけるゲートバスラインG1〜G854までを各々スキャンした場合におけるソースバスライン充放電にかかる電流値の平均を算出すると、図13(c)に示すように、4.860mAとなる。すなわち、Trを配置しない場合である9.720mAより約50.0%の電流が低減できる。
【0089】
(付記事項)
本発明は上述した実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能である。すなわち、請求項に示した範囲で適宜変更した技術的手段を組み合わせて得られる実施形態についても本発明の技術的範囲に含まれる。
【産業上の利用可能性】
【0090】
本発明は、アクティブマトリクス型の液晶表示パネル、当該パネルを備えた液晶表示モジュール、および当該液晶表示モジュールを備えた液晶表示装置などとして、広く利用できる。
【符号の説明】
【0091】
1、1’、8、10、12、14、16 液晶表示モジュール
2 ソース長選択ドライバ(切換制御ドライバ)
4 ソースドライバ
6 ゲートドライバ
Tr11〜Trxy トランジスタ(切換部)
SB1〜SBy ソース長選択ライン(配線)
S1〜Sx ソースバスライン
G1〜Gy ゲートバスライン
IV11〜IVxy インバータ(反転部)
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アクティブマトリックス型の液晶表示パネルであって、
上記液晶表示パネル内における複数の画素領域の少なくとも1つに、当該画素領域内に設けられているソースバスラインの導通のON/OFFを切り換える切換部が備えられていることを特徴とする液晶表示パネル。
【請求項2】
上記切換部を制御するための制御信号を当該切換部に伝達する配線をさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示パネル。
【請求項3】
上記切換部はトランジスタであり、
上記切換部内に設けられているゲートバスラインに接続され、当該ゲートバスラインを通じて入力されたゲート信号を反転させて上記トランジスタのゲートに入力する反転部をさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示パネル。
【請求項4】
上記切換部は、複数のゲートバスラインのうち少なくとも1つに対応する上記画素領域ごとに備えられていることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の液晶表示パネル。
【請求項5】
上記切換部は、上記液晶表示パネル内の全画素領域に備えられていることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の液晶表示パネル。
【請求項6】
上記切換部は、トランジスタであることを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の液晶表示パネル。
【請求項7】
請求項2に記載の液晶表示パネルと、上記複数のソースバスラインにソース信号を供給するソースドライバと、上記複数のゲートバスラインにゲート信号を供給するゲートドライバと、上記配線に上記制御信号を供給する切換制御ドライバとを備えていることを特徴とする液晶表示モジュール。
【請求項8】
請求項7に記載の液晶表示モジュールを備えた液晶表示装置。
【請求項1】
アクティブマトリックス型の液晶表示パネルであって、
上記液晶表示パネル内における複数の画素領域の少なくとも1つに、当該画素領域内に設けられているソースバスラインの導通のON/OFFを切り換える切換部が備えられていることを特徴とする液晶表示パネル。
【請求項2】
上記切換部を制御するための制御信号を当該切換部に伝達する配線をさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示パネル。
【請求項3】
上記切換部はトランジスタであり、
上記切換部内に設けられているゲートバスラインに接続され、当該ゲートバスラインを通じて入力されたゲート信号を反転させて上記トランジスタのゲートに入力する反転部をさらに備えていることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示パネル。
【請求項4】
上記切換部は、複数のゲートバスラインのうち少なくとも1つに対応する上記画素領域ごとに備えられていることを特徴とする請求項1から3の何れか1項に記載の液晶表示パネル。
【請求項5】
上記切換部は、上記液晶表示パネル内の全画素領域に備えられていることを特徴とする請求項1から4の何れか1項に記載の液晶表示パネル。
【請求項6】
上記切換部は、トランジスタであることを特徴とする請求項1から5の何れか1項に記載の液晶表示パネル。
【請求項7】
請求項2に記載の液晶表示パネルと、上記複数のソースバスラインにソース信号を供給するソースドライバと、上記複数のゲートバスラインにゲート信号を供給するゲートドライバと、上記配線に上記制御信号を供給する切換制御ドライバとを備えていることを特徴とする液晶表示モジュール。
【請求項8】
請求項7に記載の液晶表示モジュールを備えた液晶表示装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【公開番号】特開2010−266597(P2010−266597A)
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−116640(P2009−116640)
【出願日】平成21年5月13日(2009.5.13)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成21年5月13日(2009.5.13)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】
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