液晶表示装置およびそれに用いるカラーフィルタ
【課題】バックライトに白色LEDを採用しながらも明るく深みのある赤色色度を得ることを可能とする液晶表示装置、及び上記バックライトにマッチングする赤色再現性を有する、パターン形状の良好な赤色画素を備えるカラーフィルタを提供する。
【解決手段】青色LEDと赤色発光蛍光体及び緑色発光蛍光体とを組み合わせた白色LED装置を備えるバックライト、および透明基板上に赤色画素を含む複数色の着色画素の備えるカラーフィルタを具備する液晶表示装置であって、前記白色LED装置の発光スペクトルが第1のピーク波長、第2のピーク波長、第3ピーク波長を有し、前記赤色画素が、赤色感光性着色組成物の全固形分に対して0.1重量%以上20重量%以下の多官能チオールを含む赤色感光性着色組成物の硬化物により形成され、前記液晶表示装置の赤色色度が、xy色度座標系で4点を結ぶ色度範囲内である。
【解決手段】青色LEDと赤色発光蛍光体及び緑色発光蛍光体とを組み合わせた白色LED装置を備えるバックライト、および透明基板上に赤色画素を含む複数色の着色画素の備えるカラーフィルタを具備する液晶表示装置であって、前記白色LED装置の発光スペクトルが第1のピーク波長、第2のピーク波長、第3ピーク波長を有し、前記赤色画素が、赤色感光性着色組成物の全固形分に対して0.1重量%以上20重量%以下の多官能チオールを含む赤色感光性着色組成物の硬化物により形成され、前記液晶表示装置の赤色色度が、xy色度座標系で4点を結ぶ色度範囲内である。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置に関するものであり、特に青色LEDと赤色発光蛍光体・緑色発光蛍光体とを組み合わせた白色LEDをバックライトに用い、このバックライトにマッチングした赤色再現性に優れる色材を用いた赤色着色層を備えるカラーフィルタを用いた赤色再現性に優れる液晶表示装置、およびそれに用いるカラーフィルタを提供するものである。本発明は特に車載用液晶表示装置に対し好適に用いられる。
【背景技術】
【0002】
現在、車載用液晶表示装置はカーナビゲーション装置、リアシートモニタを中心に急速に普及してきている。これに加え近年では、インスツルメントパネルへも液晶表示装置を搭載する動きもでてきており、液晶化されることで従来のアナログメータと異なる付加価値の提供が可能である。
【0003】
従来の車載用液晶表示装置は、カーナビゲーション装置・リアシートモニタともに、従来液晶装置に用いられているような冷陰極蛍光管(CCFL)がバックライトとして用いられていた。しかしながら、冷陰極蛍光管は、応答性が悪い、振動や衝撃に弱い、水銀を含むため対環境性が悪いなどの問題を有していた。
【0004】
また、自動車用部材に対し、欧州連合(EU)で2000年10月にELV規制(End of Life vehicles directive)が施行され、この規制によりEU市場で登録される乗用車やバス,トラックなどについて2003年7月1日以降,PbとHg,
Cr6+の使用量を1000ppm以下に,Cdの使用量を100ppm以下に削減することが制定された。これにより廃自動車の廃棄物の利用やリサイクル,再生が促進されることを狙いとしている。
【0005】
車載用ディスプレイにおいてもこの規制対象であり、バックライトは水銀を含む従来の冷陰極蛍光管ではなく、水銀フリーであるLED(発光ダイオード)への代替が進んでいる。
【0006】
LEDバックライトユニットとしては、赤、緑、青の 3色LED光源を用いた3波長の白色LEDや、青系のLEDから発する光をYAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)などの蛍光体に通して混色させた白色LEDなどがあり、中でも白色LEDは、近年、モバイル関連の小型液晶表示装置に広く用いられている。
【0007】
現在、バックライト用のLEDはその個体差や価格面から、3色LEDではコストメリットが小さいため、擬似白色LEDが主流であり、車載用途への冷陰極蛍光管代替品も白色LED化することが予測される。
【0008】
しかしながら、白色LEDをバックライトに用いた場合、白色LEDでは長波長領域に発光ピークを持たないことから液晶表示装置の赤色表示の色再現性が著しく悪化する問題があった。換言すれば、赤色の明るさが不足する、あるいは、警告色として不向きな暗いオレンジ色の表示となる問題があった。これに反し、車載用途ディスプレイには警告表示等で赤色の再現性が非常に重要視される。環境に優しい水銀フリーのバックライトであり、同時にコストメリットのあるLED光源をバックライトに用いる車載用液晶表示装置において、特に深い赤色再現性への強い要求があった。
【特許文献1】特開2007−477181公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上記問題点を解決するものであり、バックライトに白色LEDを採用しながらも明るく深みのある赤色色度を得ることを可能とする液晶表示装置、及び上記バックライトにマッチングする赤色再現性を有する、パターン形状の良好な赤色画素を備えるカラーフィルタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様は、青色LEDと赤色発光蛍光体及び緑色発光蛍光体とを組み合わせた白色LED装置を備えるバックライト、および透明基板上に赤色画素を含む複数色の着色画素の備えるカラーフィルタを具備する液晶表示装置であって、前記白色LED装置の発光スペクトルが、440nm以上470nm以下に第1のピーク波長、510nm以上550nm以下に第2のピーク波長、630nm以上670nm以下に第3ピーク波長を有し、前記赤色画素が、赤色感光性着色組成物の全固形分に対して0.1重量%以上20重量%以下の多官能チオールを含む赤色感光性着色組成物の硬化物により形成され、前記液晶表示装置の赤色色度が、xy色度座標系で以下の4点(0.620,0.280)、(0.620,0.300)、(0.680,0.315)、及び(0.680,0.280)を結ぶ色度範囲内であることを特徴とする液晶表示装置を提供する。
【0011】
前記カラーフィルタの赤色画素は、固形分の全有機顔料の80%以上の有機顔料CI.ピグメントナンバーPR177を含む赤色感光性着色組成物の硬化物により形成することが出来る。
【0012】
本発明の液晶表示装置に係わる白色LED装置に用いる蛍光体は、以下のものを用いることができる。
【0013】
赤色発光蛍光体としては、Euにより賦活され、第II族元素Mと、Siと、Alと、Bと、Nとを含む窒化物蛍光体で、紫外線乃至青色光を吸収して赤色に発光し、下記一般式(I)で示される赤色発光蛍光体。
【0014】
M1wAlxSiyBzN((2/3)w+x+(4/3)y+z):Eu2+ (I)
(式中、M1はMg、Ca、Sr、及びBaからなる群から選ばれる少なくとも1種であり、w、x、y、zは、0.056≦w≦9、x=1、0.056≦y≦18、0≦z≦0.5である。)
緑色発光蛍光体としては、下記一般式(II)で示される蛍光体。
【0015】
Ba5−x−yEuxM2ySimO5+2m (II)
(式中、M2はCa及びSrの少なくとも1種であり、x、y、mは、0.0001≦x≦0.3、0≦y≦0.8、2.5<m<3.5である。)
緑色発光蛍光体としては、下記一般式(III)で示される蛍光体。
【0016】
(M31−yRy)aMgM4bM5cOa+2b+(3/2)cX2 (III)
(式中、M3はCa、Sr、Ba、Zn、及びMnからなる群から選ばれる少なくとも1種、M4はSi、Ge、及びSnからなる群から選ばれる少なくとも1種、M5はB、Al、Ga、及びInからなる群から選ばれる少なくとも1種、XはF、Cl、Br、及びIからなる群から選ばれる少なくとも1種、Rは希土類元素から選択されるEuを必須とする少なくとも1種であり、y、a、b及びcは、0.0001≦y≦0.3、7.0≦a<10.0、3.0≦b<5.0、0≦c<1.0である。)
緑色発光蛍光体としては、下記一般式(IV)又は(V)で示される蛍光体。
【0017】
LXM6YOZN((2/3)X+(4/3)Y−(2/3)Z):R (IV)
又は
LXM6YQTOZN((2/3)X+(4/3)Y+T−(2/3)Z):R (V)
(式中、Lは、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、及びZnからなる群から選ばれる第II族元素の少なくとも1種であり、M6は、C、Si、Ge、Sn、Ti、Zr、及びHfからなる群から選ばれる第IV族元素の少なくとも1種であり、Rは、希土類元素であり、X、Y、T、Zは、0.5<X<1.5、1.5<Y<2.5、0<T<0.5、1.5<Z<2.5である。)
また、前記緑発光蛍光体として、下記一般式(V)で表されるものを用いることができる。
【0018】
(M71−XEuX)2SiYO2Y+2 (V)
(式中、M7はBe、Mg、Ca、Sr、Ba、Znからなる群から選ばれる第II族元素の少なくとも1種であり、X及びYは、0.001≦X≦0.2、0.9≦Y≦1.1である。)
本発明の第2の態様は、透明基板上に赤色画素を含む複数色の着色画素を備え、以上の液晶表示装置に用いることを特徴とするカラーフィルタを提供する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によると、バックライトとして青色LEDと赤色発光蛍光体及び緑色発光蛍光体とを組み合わせた白色LEDを備え、このバックライトにマッチングした赤色再現性を有するカラーフィルタを用いることで、警告色表示に好適な液晶表示装置を得ることができる。また、深みのある赤色再現性に優れたカラーフィルタを用いた液晶表示装置を得ることができる。更に、上記バックライトは水銀フリーで対環境性に優れた青色LEDと蛍光体を組み合わせた白色LEDであるため、液晶表示装置の廃棄物利用やリサイクル、再生を促進させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
【0021】
本発明の第1の実施形態に係る液晶表示装置は、バックライトとして、青色LEDと赤色発光蛍光体及び緑色発光蛍光体とを組み合わせて混色させた白色LED装置を用いるとともに、赤色画素に用いる赤色感光性着色組成物の固形分中の全有機顔料の80%以上がPR177であるものである。このような液晶表示装置の赤色色度は、第1のピーク波長が440nm以上470以下、第2のピーク波長が510nm以上550nm以下、第3のピーク波長が630nm以上670nm以下である。
【0022】
本実施形態に用いる白色LED装置は、図1に示すような発光スペクトル特性を有しており、この発光スペクトル特性は、図2に示す従来の液晶表示装置に用いられていた冷陰極蛍光管(CCFL)や、図3に示す青系のLEDから発する光をYAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)などの蛍光体に通して混色させた白色LEDの発光スペクトル特性とは明確に異なる。
【0023】
環境への対応としてCCFLの代替が進んでいる図3に示すような発光特性を有する青色LEDとYAGなどの黄色発光蛍光体とを組み合わせて混色させた白色LEDは、CCFLと異なり長波長域にピークを持たないため、2波長の光源であり、カラーフィルタを従来のCCFLに使用していたものと同一のものとした場合に、特に赤色再現性が著しく低下し、本来の赤色表示がオレンジ色に知覚されるという問題があった。
【0024】
これに対し、青色LEDと赤色発光蛍光体及び緑色発光蛍光体とを組み合わせて混色させた、図1に示すような発光特性を有する白色LEDは、発光ピークが3波長となり、青色LEDとYAGなどの黄色発光蛍光体とを混色させた白色LEDに比較し、赤色再現性が大きく向上し、赤色再現性に優れた赤色着色層を含む複数色を備えるカラーフィルタ基板を用いることで、CCFLよりも更に深紅な赤色表示を得ることができる。
【0025】
前述したように、特に車載用途の液晶表示装置は、危険色表示として赤色の再現性が重要であるため、赤色とオレンジ色を区別できることが強く望まれている。
【0026】
そこで、本実施形態に係る液晶表示装置においては、バックライトに青色LEDと赤色発光蛍光体及び緑色発光蛍光体とを組み合わせて混色させた白色LEDを用いるとともに、赤色再現性に優れる色材を用いた赤色着色層を備えるカラーフィルタを用いることで、赤色表示としてxy色度座標系で以下4点(0.620,0.280)、(0.620,0.300)、(0.680,0.315)、及び(0.680,0.280)を結ぶ色度範囲内の深紅な色度を実現することができ、上記問題を解決した。
【0027】
上記赤色色度範囲は、赤色着色層を形成する赤色着色材料の顔料種や組成を変化させ評価した結果、色再現域がNTSC50%〜95%の場合、赤色と知覚されるためには、上記色度範囲が必要であるとの知見に基づいている。
【0028】
y値がこの範囲より大きい場合、朱色〜オレンジ色に知覚され、y値がこの範囲より小さい場合、赤紫色に知覚されてしまう。
【0029】
また、本実施形態に係る液晶表示装置に用いるカラーフィルタ基板は、少なくとも透明基板上に赤色を含む複数色の画素を備えるもので、これらの複数色の画素は、有機顔料と透明樹脂を主成分として構成され、複数色には赤、緑、青(R、G、B)の組み合わせや、イエロー、マゼンタ、シアン(Y、M、C)の組み合わせ、あるいはこれにオレンジを加えた組み合わせが挙げられる。
【0030】
本実施形態に用いるカラーフィルタ基板は、赤色画素を有するカラーフィルタ(すなわちRGB系)に対して、特に好ましく適用できる。またR、G、Bに加え、Y、M、Cを同一基板に配列するカラーフィルタなどについても適用可能である。
【0031】
また、本実施形態に用いるカラーフィルタ基板は、白色LEDと組み合わせた場合に、xy色度座標系で以下の4点(0.620,0.280)、(0.620,0.300)、(0.680,0.315)、及び(0.680,0.280)を結ぶ範囲内にある深紅な色度を実現する。そのために必要な、赤色着色層形成に用いる赤色感光性着色組成物中の顔料特徴は、赤色感光性着色組成物の固形分中の全有機顔料のであるものである。
【0032】
PR177の顔料比率が80%以上であることにより、バックライトとして白色LEDを用いた液晶表示装置において、明るく深い赤色を再現することが出来る。但し、カラーフィルタ基板の赤色着色層の形成に用いられる赤色感光性着色組成物中のPR177の含有比率が高いほど、硬化系成分(開始剤)の吸収波長域が阻害され、カラーフィルタの製造工程で困難な問題が発生する場合がある。
【0033】
PR177の顔料比率が80%以上になると、赤色画素の剥がれの傾向が強くなる。
【0034】
即ち、フォトリソグラフィーの主要工程である露光工程後の現像工程で赤色画素断面のテーパ形状が維持できないという問題が生じる。透明基板上に形成する赤色画素の基板面側寸法が小さく(逆テーパ)なり、現像工程で赤色画素が剥がれやすくなるという問題が生じる場合がある。
【0035】
このように新たに生じる課題を解決するために、本実施形態に係るカラーフィルタは、多官能チオールを赤色感光性着色組成物の全固形分に対して0.1重量%以上20重量%以下含むことが望ましい。多官能チオール含有量が0.1重量%未満である場合、添加効果が不十分であり、着色層形成時の断面形状が逆デーパーとなる。また、20重量%を超えて添加すると、効果が過度となり、感度が高くなって解像度が低下してしまう。
【0036】
本実施形態に使用可能な多官能チオールは、チオール基を2個以上含有する化合物であればよく、例えば、ヘキサンジチオール、デカンジチオール、1,4-ブタンジオールビスチオプロピオネート、1,4-ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、トリメルカプトプロピオン酸トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1,4-ジメチルメルカプトベンゼン、2、4、6-トリメルカプト-s-トリアジン、2-(N,N-ジブチルアミノ)-4,6-ジメルカプト-s-トリアジン等が挙げられる。このような多官能チオールは、1種を単独で、又は2種以上混合して用いることができる。
【0037】
また、本実施形態に用いるカラーフィルタは、赤色表示においてxy色度座標系で以下の4点(0.620,0.280)、(0.620,0.300)、(0.680,0.315)、及び(0.680,0.280)を結ぶ範囲内の色度を実現できる範囲においては、赤色着色層形成に用いる赤色感光性着色組成物に、PR254などの赤色顔料やC.L.ピグメントナンバーPY150、PY139、PY138、PY185、PY13などのイエロー顔料を含んでもよい。
【0038】
以下に、本実施形態に係る液晶表示装置に用いるカラーフィルタについて、更に詳述する。
【0039】
カラーフィルタに用いられる透明基板は、可視光に対してある程度の透過率を有するものが好ましく、より好ましくは80%以上の透過率を有するものがよい。一般に、液晶表示装置に用いられているものでよく、PETなどのプラスチック基板やガラスが挙げられるが、通常はガラス基板を用いるとよい。遮光パターンを用いる場合は、あらかじめ透明基板上にクロム等の金属薄膜や遮光性樹脂によるパターンを公知の方法で形成したものを用いればよい。
【0040】
透明基板上への画素の作製方法は、公知のインクジェット法、印刷法、フォトレジスト法、エッチング法など何れの方法で作製しても構わない。しかし、高精細、分光特性の制御性及び再現性等を考慮すると、フォトレジスト法が好ましい。フォトレジスト法は、透明な樹脂中に顔料を、光開始剤、重合性モノマーと共に適当な溶剤に分散させた着色組成物を透明基板上に塗布製膜して着色層を形成し、この着色層をパターン露光し、現像することで、一色の画素を形成し、これら工程を各色毎に繰り返し行って、カラーフィルタを作製する方法である。
【0041】
カラーフィルタの画素を構成する着色層をフォトリソ法により形成する場合、例えば、以下の方法に従う。着色剤となる顔料を透明な樹脂中に分散させた後、光開始剤、重合性モノマーと共に適当な溶剤と混合させる。着色剤となる顔料と透明樹脂を分散させる方法としてはミルベース、3本ロール、ジェットミル等様々な方法があるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0042】
カラーフィルタの画素を形成する着色組成物に用いることのできる有機顔料の具体例を、以下にカラーインデックス番号で示す。 赤色顔料としては、C.I. Pigment Red 254、PR177以外に、C.I. Pigment Red 7、9、14、41、48:1、48:2、48:3、48:4、81:1、81:2、81:3、97、122、123、146、149、168、177、178、179、180、184、185、187、192、200、202、208、210、215、216、217、220、223、224、226、227、228、240、246、255、264、272、279等が挙げられる。
【0043】
黄色顔料としては、C.I. Pigment Yellow 1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、20、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、86、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、125、126、127、128、129、137、138、139、144、146、147、148、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、193、194、199、213、214等が挙げられる。
【0044】
橙色顔料としてはC.I. Pigment Orange 36、43、51、55、59、61、71、73等が挙げられる。
【0045】
緑色顔料としては、C.I. Pigment Green 7、10、36、37等が挙げられる。
【0046】
青色顔料としては、C.I. Pigment Blue 15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64、80等が挙げられる。
【0047】
紫色顔料としては、C.I. Pigment Violet 1、19、23、27、29、30、32、37、40、42、50等があげられる。
【0048】
上記の顔料は、画素によって単独あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0049】
また、上記有機顔料と組み合わせて、彩度と明度のバランスを取りつつ良好な塗布性、感度、現像性等を確保するために、無機顔料を組み合わせて用いることも可能である。無機顔料としては、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤、群青、紺青、酸化クロム緑、コバルト緑等の金属酸化物粉、金属硫化物粉、金属粉等が挙げられる。さらに、調色のため、耐熱性を低下させない範囲内で染料を含有させることができる。
【0050】
着色組成物に用いる透明樹脂は、可視光領域の400〜700nmの全波長領域において透過率が好ましくは80%以上、より好ましくは95%以上の樹脂であるのがよい。透明樹脂には、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、および感光性樹脂が含まれる。透明樹脂には、必要に応じて、その前駆体である、放射線照射により硬化して透明樹脂を生成するモノマーもしくはオリゴマーを単独で、または2種以上混合して用いることができる。
【0051】
熱可塑性樹脂としては、例えば、ブチラール樹脂、スチレンーマレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、アルキッド樹脂、ポリスチレン、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム系樹脂、セルロース類、ポリエチレン、ポリブタジエン、ポリイミド樹脂等が挙げられる。また、熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フマル酸樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。
【0052】
感光性樹脂としては、水酸基、カルボキシル基、アミノ基等の反応性の置換基を有する線状高分子にイソシアネート基、アルデヒド基、エポキシ基等の反応性置換基を有する(メタ)アクリル化合物やケイヒ酸を反応させて、(メタ)アクリロイル基、スチリル基等の光架橋性基を該線状高分子に導入した樹脂が用いられる。また、スチレン-無水マレイン酸共重合物やα-オレフィン-無水マレイン酸共重合物等の酸無水物を含む線状高分子をヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリル化合物によりハーフエステル化したものも用いられる。
【0053】
光架橋剤として用いることのできる重合性モノマーとしては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどの各種アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルなどが代表例に挙げられる。
【0054】
これらは単独または2種以上を混合して用いることができ、さらに光硬化性を適正に保つ目的で、必要に応じ、他の重合性モノマーおよびオリゴマーを混合して用いることが出来る。
【0055】
その他の重合性モノマーおよびオリゴマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、β-カルボキシエチル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、エステルアクリレート、メチロール化メラミンの(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート等の各種アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ビニルホルムアミド、アクリロニトリル等が挙げられる。
【0056】
これらについても、単独でまたは2種類以上を混合して用いることができる。
【0057】
着色組成物を紫外線照射により硬化する場合には、着色組成物には光重合開始剤等が添加される。光重合開始剤としては、4-フェノキシジクロロアセトフェノン、4-t-ブチル-ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタン-1-オン等のアセトフェノン系化合物、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4'-メチルジフェニルサルファイド、3,3',4,4'-テトラ(t-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物、チオキサントン、2-クロルチオキサントン、2-メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン等のチオキサントン系化合物、2,4,6-トリクロロ-s-トリアジン、2-フェニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-トリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-ピペロニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4-ビス(トリクロ
ロメチル)-6-スチリル-s-トリアジン、2-(ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-メトキシ-ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4-トリクロロメチル-(ピペロニル)-6-トリアジン、2,4-トリクロロメチル(4'-メトキシスチリル)-6-トリアジン等のトリアジン系化合物、1,2-オクタンジオン,1-〔4-(フェニルチオ)-,2-(O-ベンゾイルオキシム)〕、O-(アセチル)-N-(1-フェニル-2-オキソ-2-(4'-メトキシ-ナフチル)エチリデン)ヒドロキシルアミン等のオキシムエステル系化合物、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等のホスフィン系化合物、9,10-フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアントラキノン等のキノン系化合物、ボレート系化合物、カルバゾール系化合物、イミダゾール系化合物、チタノセン系化合物等が用いられる。
【0058】
これらの光重合開始剤は1種または2種以上を混合して用いることができる。光重合開始剤の使用量は、着色組成物の全固形分量を基準として0.5〜50質量%が好ましく、より好ましくは3〜30質量%である。
【0059】
さらに、増感剤として、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4-ジメチルアミノ安息香酸メチル、4-ジメチルアミノ安息香酸エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸2-ジメチルアミノエチル、4-ジメチルアミノ安息香酸2-エチルヘキシル、N,N-ジメチルパラトルイジン、4,4'-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4'-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4'-ビス(エチルメチルアミノ)ベンゾフェノン等のアミン系化合物を併用することもできる。
【0060】
これらの増感剤は、1種または2種以上を混合して用いることができる。増感剤の使用量は、光重合開始剤と増感剤の合計量を基準として0.5〜60質量%が好ましく、より好ましくは3〜40質量%である。
【0061】
また必要に応じて、熱架橋剤としては、例えば、メラミン樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。メラミン樹脂としては、アルキル化メラミン樹脂(メチル化メラミン樹脂、ブチル化メラミン樹脂など)、混合エーテル化メラミン樹脂等があり、高縮合タイプであっても低縮合タイプであってもよい。エポキシ樹脂としては、例えば、グリセロール・ポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパン・ポリグリシジルエーテル、レゾルシン・ジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコール・ジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオール・ジグリシジルエーテル、エチレングリコール(ポリエチレングリコール)・ジグリシジルエーテル等がある。
【0062】
これらは、いずれも単独あるいは2種類以上混合して使用することができる。
【0063】
着色組成物は、必要に応じて有機溶剤を含有することができる。有機溶剤としては、例えばシクロヘキサノン、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、1-メトキシ-2-プロピルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチルベンゼン、エチレングリコールジエチルエーテル、キシレン、エチルセロソルブ、メチル-nアミルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルトルエン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブチルケトン、石油系溶剤等が挙げられ、これらを単独でもしくは混合して用いることができる。
【0064】
本実施形態に係る液晶表示装置に用いるカラーフィルタ基板の製造に際しては、まず、透明基板上に、上述の各成分を含む感光性着色組成物を塗布し、プリベークを行う。塗布する手段はスピンコート、ディップコート、ダイコートなどが通常用いられるが、40〜60cm四方程度の基板上に均一な膜厚で塗布可能な方法ならば、これらに限定されるものではない。プリベークは50〜120℃で10〜20分ほど行うことが好ましい。塗布膜厚は任意であるが、分光透過率などを考慮すると、通常はプリベーク後の膜厚で2μm程度である。
【0065】
このように感光性着色組成物を塗布し、着色層を形成した基板に対し、パターンマスクを介して露光を行う。光源には通常の高圧水銀灯などを用いればよい。
【0066】
続いて、露光された着色層に対し、現像を行う。現像液にはアルカリ性水溶液を用いる。アルカリ性水溶液の例としては、炭酸ナトリウム水溶液、炭酸水素ナトリウム水溶液、または両者の混合水溶液、もしくはそれらに適当な界面活性剤などを加えたものが挙げられる。
【0067】
現像した後、水洗し、乾燥して、任意の一色の画素が得られる。
【0068】
以上の一連の工程を、感光性着色組成物およびパターンを替え、必要な色数だけ繰り返すことで、必要な色数が組み合わされた着色パターン、すなわち複数色の画素を備えるカラーフィルタを得ることができる。
【0069】
以上のような優れた特性を示すカラーフィルタ基板と組み合わせて液晶表示装置を構成するバックライトとしての白色LED装置作製のために用いられる赤色発光蛍光体および緑色発光蛍光体について、以下に詳述する。
【0070】
(赤色発光蛍光体)
赤色発光蛍光体としては、Euにより賦活され、第II族元素M1、Si、Al、B、及びNを含む、下記一般式(I)で示される窒化物蛍光体であって、紫外線ないし青色光を吸収して赤色に発光するものを好ましく用いることができる。
【0071】
M1wAlxSiyBzN((2/3)w+x+(4/3)y+z):Eu2+ (I)
上記式(I)において、M1はMg、Ca、Sr、及びBaからなる群から選ばれる少なくとも1種であり、w、x、y、zは、好ましくは0.056≦w≦9、x=1、0.056≦y≦18、0.0005≦z≦0.5であり、より好ましくは0.04≦w≦3、x=1、0.143≦y≦8.7、0≦z≦0.5であり、最も好ましくは0.05≦w≦3、x=1、0.167≦y≦8.7、0.0005≦z≦0.5である。
【0072】
また、zは、好ましくは0.5以下、より好ましくは0.3以下であり、0.0005以上であることが望ましい。さらに好ましくは、ホウ素のモル濃度は、0.001以上であって、0.2以下に設定される。
【0073】
このような窒化物蛍光体は、Euにより賦活されるが、Euの一部を、Sc、Tm、Yb、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Luからなる群から選ばれる少なくとも一種以上の希土類元素により置換することも可能である。
【0074】
好ましい窒化物蛍光体として、一般式M11−zAlSiBzN((2/3)(1−z)+(7/3)+z):Eu2+により表されるものがある。式中、M1はMg、Ca、Sr、及びBaからなる群から選ばれる少なくとも1種であり、xの範囲は、0.001≦x≦0.3、zの範囲は、0≦z≦0.5である。
【0075】
また、他の好ましい窒化物蛍光体として、一般式M1wAlSiBzN((2/3)w+(7/3)+z):Eu2+により表されるものがある。式中、M1はMg、Ca、Sr、及びBaからなる群から選ばれる少なくとも1種であり、w及びzの範囲は、0.04≦w≦3、0≦z≦0.5である。
【0076】
M1としてCaを用いる場合、Caは好ましくは単独で使用する。ただし、Caの一部を、Sr、Mg、Ba、SrとBaなどにより置換することもできる。Caの一部をSrで置換して、窒化物蛍光体の発光波長のピークを調整することができる。
【0077】
Siも好ましくは単独で使用されるが、その一部を第IV族元素であるCやGeで置換することもできる。Siのみを使用した場合には、安価で結晶性の良好な窒化物蛍光体を得ることができる。
【0078】
賦活剤であるEuは、好ましくは単独で使用されるが、Euの一部を、Sc、Tm、Yb、Y、La、Ce、PR、Nd、Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Luにより置換してもよい。Euの一部を他の元素で置換した場合には、他の元素は共賦活剤として作用する。そうすることにより、色調を変化させることができ、発光特性の調整を行うことができる。
【0079】
Euを必須とする混合物を使用する場合、所望により配合比を変えることができる。ユーロピウムは、主に2価と3価のエネルギー準位を持つが、本実施形態に用いる窒化物蛍光体は、母体のCaに対して、Eu2+を賦活剤として用いる。Eu2+は、酸化されやすく、3価のEu2O3の組成で市販されている。しかし、市販のEu2O3では、Oの関与が大きく、良好な蛍光体が得られにくい。そのため、Eu2O3からOを、系外へ除去したものを使用することが好ましい。たとえば、ユーロピウム単体、窒化ユーロピウムを用いることが好ましい。
【0080】
窒化物蛍光体は、さらに、Cu、Ag、Auからなる第I族元素、Ga、Inからなる第III族元素、Ti、Zr、Hf、Sn、Pbからなる第IV族元素、P、Sb、Biからなる第V族元素、及びSからなる第VI族元素から選ばれる少なくとも1種以上の元素を1〜500ppm以下含むこともできる。これらの元素を添加することにより、発光効率の調整を行うことができる。
【0081】
窒化物蛍光体では、Fe、Ni、Cr、Ti、Nb、Sm及びYbのモル濃度が、M1のモル濃度に対して0.01以下であることが好ましい。Fe、Ni、Cr、Ti、Nb、Sm及びYbを多量に含むと、発光輝度が低下するからである。
【0082】
上述の窒化物蛍光体に、さらに加える元素は、通常、酸化物、若しくは酸化水酸化物で加えられるが、これに限定されるものではなく、メタル、窒化物、イミド、アミド、若しくはその他の無機塩類でも良く、また、予め他の原料に含まれている状態でも良い。
【0083】
窒化物蛍光体の組成中には、酸素が含有されている。酸素は、原料となる各種酸化物から導入されるか、焼成中に酸素が混入してくることが考えられる。この酸素は、Eu拡散、粒成長、結晶性向上の効果を促進すると考えられる。すなわち、原料に使用される一の化合物をメタル、窒化物、酸化物と変えても同様の効果が得られるが、むしろ酸化物を用いた場合の効果が大きい場合もある。
【0084】
(緑色発光蛍光体1)
緑色発光蛍光体としては、下記一般式(II)で示されるものを挙げることができる。
【0085】
Ba5−x−yEuxM2ySimO5+2m (II)
(式中、M2はCa及びSrの少なくとも1種であり、x、y、mは、0.0001≦x≦0.3、0≦y≦0.8、2.5<m<3.5である。)
このシリケート系蛍光体は、約485nmより長波長側の光では励起効率が低くなる。そのため、485nm以下の短波長側の光により効率よく励起される。そのうち特に460nm以下の短波長側の光により高効率に励起される。
【0086】
シリケート系蛍光体を励起すると、495nmから584nmの領域に発光ピーク波長を有する光を発光する。このシリケート系蛍光体の発光ピーク波長は、蛍光体の組成を種々変更すること、励起波長を変更することにより変えることができる。
【0087】
シリケート系蛍光体の組成中のx、y、mは、0.0001≦x≦0.3、0≦y≦0.8、2.5<m<3.5の範囲であり、この範囲では495nmから584nmに発光ピーク波長を有し、緑色系から黄色系に発光する高輝度の蛍光体が得られる。このうち、xは、0.1≦x≦0.5の範囲がより好ましい。この範囲にすることにより、より高輝度にすることができるからである。また、mは、2.5<m≦3.2の範囲が好ましい。この範囲にすることにより、より高輝度にすることができるからである。なお、yを変更することにより、種々の色調を有する蛍光体を得ることができる。
【0088】
(緑色発光蛍光体2)
緑色発光蛍光体としては、下記一般式(III)で示されるものを挙げることができる。
【0089】
(M31−yRy)aMgM4bM5cOa+2b+(3/2)cX2 (III)
(式中、M3はCa、Sr、Ba、Zn、及びMnからなる群から選ばれる少なくとも1種、M4はSi、Ge、及びSnからなる群から選ばれる少なくとも1種、M5はB、Al、Ga、及びInからなる群から選ばれる少なくとも1種、XはF、Cl、Br、及びIからなる群から選ばれる少なくとも1種、Rは希土類元素から選択されるEuを必須とする少なくとも1種を有する。またy、a、b及びcは、0.0001≦y≦0.3、7.0≦a<10.0、3.0≦b<5.0、0≦c<1.0である。)
この蛍光体はCa、Sr、Ba、Zn、及びMnからなる群から選択される少なくとも1種の元素、より好ましくはCaを含む。Caを含む場合、Caの一部をMn、Sr、Baで置換したものを使用してもよい。
【0090】
この蛍光体は、Si、Ge、及びSnからなる群から選択される少なくとも1種の元素、より好ましくはSiを含む。Siを含む場合、Siの一部をGe、Snで置換したものを使用してもよい。
【0091】
この蛍光体は、F、Cl、Br、及びIからなる群から選択される少なくとも1種の元素、より好ましくはClを含む。Clを含む場合、Clの一部をF、Br、Iで置換したものも使用してもよい。
【0092】
この蛍光体は、Euを必須とする少なくとも1種の希土類元素を含む。希土類は、スカンジウム、イットリウムおよびランタノイド諸元素の計17の元素の総称であり、このうちEuが最も好ましい。Euの一部をCe、Pr、Nd、Sm、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Ybで置換したものを使用してもよい。より好ましくは、Euの一部をCe、PR、Nd、Sm、Tb、Dy、Ho、Tmで置換したものを使用してもよい。
【0093】
上記組成となるものであれば、原料は特に限定されない。例えば、単体、酸化物、炭酸塩や窒化物などを使用することができる。具体的には、M3CO3、M3O、M3や、MgO、MgCO3、Mg、M4(CO3)2、M4O2、M4や、M52(CO3)3、M52O3、M5や、M3X2、HX、X2などを使用することができる。
【0094】
上記一般式(III)で表される緑色蛍光体は、495nm以上584nm以下の緑領域から黄色領域の波長範囲に発光ピーク波長を有する。例えば、Ca、Eu、Mg、Si、O、Clの元素を有する場合は500nmから520nm付近に、Ca、Mn、Eu、Mg、Si、O、Clの元素を有する場合は530nmから570nm付近に、発光ピーク波長を有するものもある。ただし、含有する元素量や組成によってこの発光ピーク波長は変動する。
【0095】
(緑色発光蛍光体3)
緑色発光蛍光体としては、下記一般式(IV)で示されるものを挙げることができる。
【0096】
LXM6YOZN((2/3)X+(4/3)Y−(2/3)Z):R (IV)
又は
LXM6YQTOZN((2/3)X+(4/3)Y+T−(2/3)Z):R (V)
(式中、Lは、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、及びZnからなる群から選ばれる第II族元素の少なくとも1種であり、M6は、C、Si、Ge、Sn、Ti、Zr、及びHfからなる群から選ばれる第IV族元素の少なくとも1種であり、Qは、B、Al、Ga、及びInからなる群から選ばれる第III族元素の少なくとも1種であり、Rは、希土類元素であり、X、Y、T、Zは、0.5<X<1.5、1.5<Y<2.5、0<T<0.5、1.5<Z<2.5である。)
上記一般式(IV)又は(V)で表される酸窒化物蛍光体は、少なくとも一部に元素が一定の規則にしたがって配列された結晶を含むように構成され、その結晶から効率よく高輝度の光が発光される。上記一般式において、0.5<X<1.5、1.5<Y<2.5、0<T<0.5、1.5<Z<2.5に設定することで、発光部である結晶相を比較的容易に形成することができ、発光効率がよく、輝度の高い蛍光体を得ることができる。
【0097】
なお、発光輝度調整を目的に含有される結晶の割合を所望の値に設定したい場合には、上記一般式(IV)中のX、Y、Zの値により調整が可能である。ただし、上記範囲は好ましい範囲であり、本発明は上記範囲に限定されるものではない。
【0098】
また、この緑色蛍光体は、OとNとの比率を変化させることができる。また(L+M)/(O+N)で示す陽イオンと陰イオンのモル比を変化させることもでき、それによって微妙に発光スペクトルや強度を調整可能である。これは例えば、真空などの処理によりNやOを脱離させることによっても可能であり、本発明は、この方法には限定されない。
【0099】
この蛍光体の組成中には、Li、Na、K、Rb、Cs、Mn、Re、Cu、Ag、Auの少なくとも1種以上が含有されていてもよく、これらを添加することにより、輝度、量子効率等の発光効率を調整することができる。また、その他の元素も特性を損なわない程度に含まれていてもよい。
【0100】
この蛍光体に含まれる第II族元素の一部は、賦活剤Rで置換される。第II族元素と前記賦活剤Rとの混合量に対して、前記賦活剤Rの量は、(第II族元素と賦活剤Rの混合量):(賦活剤Rの量)=1:0.001〜1:0.8のモル比であることが好ましい。
【0101】
また、Lは、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Znからなる群から選ばれる少なくとも1種の第II族元素である。LはCa、Srなどの単体であってもよいが、CaとSr、CaとBa、SrとBa、CaとMgなどの複数の元素の組み合わせであってもよい。またLが複数の元素の組み合わせである場合、その組成比は変化させることができる。特に、LはMg、Ca、Sr、Ba、及びZnからなる群から選ばれるCa、Sr、Baのいずれかを必須とする少なくとも1種である第II族元素であることが好ましい。
【0102】
M6は、C、Si、Ge、Sn、Ti、Zr、Hfからなる群から選ばれる少なくとも1種以上である第IV族元素である。M6もSi、Ge等の単体であってもよく、SiとCなどの複数元素の組み合わせから成ってもよい。本発明では上述の第IV族元素を用いることができるが、特にSi、Geを用いるのが好ましい。Si、Geを用いることで安価で結晶性の良好な蛍光体を提供することができる。特に、M6は、C、Si、Ge、Sn、Ti、Hfからなる群から選ばれるSiを必須とする少なくとも1種である第IV族元素であることが好ましい。
【0103】
Qは、B、Al、Ga、Inからなる群から選ばれる少なくとも1種である第III族元素である。
【0104】
上記の蛍光体母体材料主成分のL、M6、Qは、金属、酸化物、イミド、アミド、窒化物および各種塩類などを用いることができる。
【0105】
またRは希土類元素である。具体的にRはLa、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luからなる群から選ばれる1種又は2種以上の元素である。本発明では、これらの希土類元素のうち、Euを用いることが好ましい。またEuと1種以上の希土類元素を含んでいてもよい。その場合、RとしてEuが50質量%以上、より好ましくは70%以上含有されていることが好ましい。即ち、賦活剤Rは、La、Ce、PR、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luからなる群から選ばれる、Euを必須とする少なくとも1種以上である希土類元素であることが好ましい。Eu以外の元素は、共賦活剤として作用する。
【0106】
(緑色発光蛍光体4)
緑色発光蛍光体としては、下記一般式(VI)で示されるものを挙げることができる。
【0107】
(M71−XEuX)2SiYO2Y+2 (VI)
(式中、M7はBe、Mg、Ca、Sr、Ba、Znからなる群から選ばれる少なくとも1種以上である第II族元素である。X及びYは、0.001≦X≦0.2、0.9≦Y≦1.1である。)
このシリケート系蛍光体は、約490nmより長波長側の光では励起効率が低くなる。そのため、490nm以下の短波長側の光により効率よく励起される。そのうち特に460nm以下の短波長側の光により高効率に励起される。
【0108】
このシリケート系蛍光体を励起すると490nmから580nmの領域に発光ピーク波長を有する。このシリケート系蛍光体の発光ピーク波長はシリケート系蛍光体の組成を種々変更すること、励起波長を変更することにより変えることができる。
【0109】
シリケート系蛍光体の組成中のx、yは、0.001≦X≦0.2、0.9≦Y≦1.1 の範囲であることが好ましい。この範囲では490nmから580nmに発光ピーク波長を有し、緑色系から黄色系に発光する高輝度の蛍光体となる。このうち、0.005≦x≦0.1が好ましい。この範囲にすることにより、より高輝度にすることができるからである。M7を変更することにより種々の色調を有する蛍光体を提供することができる。
【0110】
本発明液晶表示装置用バックライトの青色LEDと赤色発光蛍光体及び緑色発光蛍光体とを組み合わせて混色させた白色LEDまたは青色LEDと黄色発光蛍光体及び赤色発光蛍光体に用いられる赤色発光蛍光体及び緑色発光蛍光体の製造方法について詳述する。
【0111】
(緑色発光蛍光体5)
緑色発光蛍光体としては、下記一般式(VII)で示されるものを挙げることができる。
【0112】
M8XAYXZ (VII)
(式中、M8はMn、Ce、Euからなる群から選ばれる少なくとも1種以上の元素であり、Aは、C、Si、Ge、Sn、B、Al、Ga、Inからなる群から選ばれる少なくとも1種以上の元素であり、Xは、O、Nから選らば得れる少なくとも1種以上の元素であり、X、Y、及びZは、0.00001≦X≦0.1、0.38≦Y≦0.46、0.54≦Z≦0.62、X+Y+Z=1である。)
この蛍光体は、β型Si3N4結晶構造を持つ窒化物または酸窒化物の結晶相の固溶体を主成分として含有しており、500nm〜600nmの波長域での発光強度が高く、緑色の蛍光体として優れている。緑色発光蛍光体としては、下記一般式(VI)で示されるものを挙げることができる。Xは発光中心となる元素Mの添加量を表し、原子比で0.00001以上0.1以下となるようにするのがよい。X値が0.00001より小さいと発光中心となるMの数が少ないため発光輝度が低下する。0.1より大きいとMイオン間の干渉により濃度消光を起こして輝度が低下する。Yは母体結晶を構成する金属元素の量であり、原子比で0.38以上0.46以下となるようにするのがよい。好ましくは、Y=0.429が良い。Y値がこの範囲をはずれると結晶中の結合が不安定になりβ型Si3N4構造以外の結晶相の生成割合が増え、緑色の発光強度が低下する。Zは母体結晶を構成する非金属元素の量であり、原子比で0.54以上0.62以下となるようにするのがよい。好ましくは、Z=0.571が良い。Z値がこの範囲をはずれると結晶中の結合が不安定になりβ型Si3N4構造以外の結晶相の生成割合が増え、緑色の発光強度が低下する。
【0113】
(蛍光体の製造方法)
原料を所定の組成比となるように秤量する。製造工程中に飛散してしまうおそれ等を考慮して原料は所定の組成比よりも多く必要とする場合がある。
【0114】
秤量した原料を混合機等にて混合する。混合機は工業的に通常用いられているボールミルの他、振動ミル、ロールミル、ジェットミルなどの粉砕機を用いて粉砕して比表面積を大きくすることもできる。また、粉末の比表面積を一定範囲とするために、工業的に通常用いられている沈降槽、ハイドロサイクロン、遠心分離器などの湿式分離機;サイクロン、エアセパレータなどの乾式分級機を用いて分級することもできる。
【0115】
この混合した原料をSiC、石英、アルミナ等の坩堝に詰め、N2、H2の還元雰囲気中にて焼成を行う。焼成雰囲気はアルゴン雰囲気、アンモニア雰囲気なども使用することができる。焼成は所定の温度で数時間行う。
【0116】
焼成されたものを粉砕、分散、濾過等して目的の蛍光体粉末を得る。固液分離は濾過、吸引濾過、加圧濾過、遠心分離、デカンテーションなどの工業的に通常用いられる方法により行うことができる。乾燥は、真空乾燥機、熱風加熱乾燥機、コニカルドライヤー、ロータリーエバポレーターなどの工業的に通常用いられる装置により行うことができる。
【0117】
以下に、本発明の一実施形態に係る液晶表示装置に用いる白色LED装置バックライトの構造について詳述する。
【0118】
本発明の一実施形態に係る液晶表示装置に用いる白色LED装置バックライトの構造の一例として図4に示す組立図のような構造を挙げることができる。即ち、金属フレーム(又は樹脂枠)内に、反射シート、複数のLED(表面実装型発光装置)が側面に配置された導光板、拡散シート、2枚のプリズムシートが順次積層されて、白色LED装置バックライトが構成される。なお、複数のLED(表面実装型発光装置)は、基板に取り付けられている。
【0119】
LEDの構造の一例を図5に示す。ここで示すLEDは、表面実装型発光装置であるが、これに限定されるものではなく、従来から用いられている挿入型発光装置を用いることも可能である。前記表面実装型発光装置は、上方に開口する凹部を有する発光素子搭載筐体1の凹部の底面に、ダイボンド剤により発光素子2が貼付けられており、この発光素子2上に蛍光体3を分散した透光性樹脂4が覆っている。発光素子2の上部電極は、第1のワイヤ5により第1の外部電極6に接続され、下部電極は、第2のワイヤ7により第2の外部電極8に接続されている。なお、発光素子搭載筐体1の凹部の内面には、光反射材9が被覆されている。
【0120】
上述した発光素子は、窒化ガリウム系化合物半導体からなる発光層を有し、本実施形態で用いられる白色LED装置の発光スペクトルにおける第1のピーク波長を発光するものであり、かつ、上述した赤色発光蛍光体および緑色発光蛍光体の励起光源となるものである。窒化物系化合物半導体(一般式IniGajAlkN、但し、0≦i、0≦j、0≦k、i+j+k=1)としては、InGaNや各種不純物がドープされたGaNをはじめ、種々のものがある。この素子は、MOCVD法等により基板上にInGaNやGaN等の半導体を発光層として成長させることにより形成する。
【0121】
半導体の構造としては、MIS接合、PI接合やPN接合などを有するホモ構造、ヘテロ構造あるいはダブルヘテロ構造のものが挙げられる。この窒化物半導体層は、その材料やその混晶度によって発光波長を種々選択することができる。また、半導体活性層を量子効果が生ずる薄膜で形成した単一量子井戸構造や多量子井戸構造とすることもできる。
【0122】
以上のようにして得られた白色LED装置およびカラーフィルタを備えた液晶表示装置の構成についての一例を、以下に説明する。
【0123】
図6は、本発明の一実施形態に係る液晶表示装置の概略断面図である。図6に示す液晶表示装置は、TFT駆動型液晶表示装置の典型例であり、離間対向して配置された透明基板11,21を備え、それらの間には、液晶(LC)が封入されている。本発明の一実施形態に係る液晶表示装置には、TN(Twisted Nematic)、STN(Super Twisted Nematic)、IPS(In-Planes Switching)、VA(Vertical Alignment)、OCB(Optically Compensated Birefringence)、強誘電性液晶等の液晶を適用することができる。
【0124】
第1の透明基板11の内面には、TFT(Thin Film Transistor)アレイ12が形成されており、その上には例えばITOからなる透明電極層13が形成されている。透明電極層13の上には、配向層14が設けられている。また、透明基板11の外面には、偏光板15が形成されている。
【0125】
他方、第2の透明基板21の内面には、カラーフィルタ22が形成されている。カラーフィルタ22を構成する赤色、緑色および青色のフィルタセグメントは、ブラックマトリックス(図示せず)により分離されている。カラーフィルタ22を覆って、必要に応じて透明保護膜(図示せず) が形成され、さらにその上に、例えばITOからなる透明電極層23が形成され、透明電極層23を覆って配向層24が設けられている。また、透明基板21の外面には、偏光板25が形成されている。なお、偏光板15の下方には、バックライトユニット30が設けられる。
【実施例】
【0126】
以下の実施例により、本発明を具体的に説明するが、本発明は、これに限定されるものではない。
【0127】
[ バックライトの作製 ]
(白色LED装置バックライト作製例1)
正及び負の一対の外部電極がインサートされて閉じられた金型内に、筺体の主面に対向する下面側にあたるゲートから、溶融したポリフタルアミド樹脂を流し込み、硬化させて、筺体を形成する。筺体は、発光素子を収納可能な開口部を有し、この開口部底面から正及び負の外部電極が一方の主面が露出されるように一体的に成形されている。
【0128】
筺体側面から露出した正及び負の外部電極の各アウタリード部は、発光面と反対側の面の両端部で内側に折り曲げられている。このように形成された開口部の底面に対し、主波長ピークが455nmであるLEDチップをエポキシ樹脂にてダイボンドし、各外部電極とワイヤにて電気的に接続する。
【0129】
次に、シリコーン樹脂組成物3gに対して、525nm付近に発光ピークを持つハロシリケートCa8MgSi4O16Cl2:Euを約0.25g、660nm付近に発光ピークを持つ窒化物蛍光体CaAlSiBN3:Eu約0.06gを添加し、混合する。
【0130】
こうして得られた透光性樹脂を筺体開口部内に、開口部の両端部上面と同一平面ラインまで充填させる。最後に、70℃で3時間、更に150℃で1時間、熱処理を施す。このようにして、白色LED装置であるバックライト(1)を得た
(白色LEDバックライト作製例2)
白色LED装置の作製において、シリコーン樹脂組成物3gに対して、530nm付近に発光ピークを持つシリケート系蛍光体(Br,Sr)2SiO4:Euを約0.22g、660nm付近に発光ピークを持つ窒化物蛍光体CaAlSiBN3:Eu約0.04gを添加し、混合する以外は、上記作製例1と同様にして白色LED装置であるバックライト(2)を得た。
【0131】
バックライト(1)およびバックライト(2)について、最大発光強度を1とした場合の相対発光強度スペクトルを図7に示す。
【0132】
以上の2種のバックライトに組み合わせるカラーフィルタの赤色着色層作製用赤色感光性着色組成物は、有機顔料としてPR254、PR177及びPY150を用い、更に多官能チオールとしてトリメチロールプロパントリス(3-メルカプトブチレート)(以下TPMB)の添加量を振って、下記表1に示すような顔料比率およびTPMB量(固形分中重量比)の赤色感光性着色組成物1〜9を得た。
【表1】
【0133】
上記表1に示す赤色感光性着色組成物1、4、5、8、及び9を用い、バックライト(1)と組み合わせた際にx=0.620になるように膜厚を調整し、赤色着色層1〜5を形成し、バックライト(1)と赤色着色層1〜5との組合せを実施例1〜5とした。
【0134】
実施例1〜5で用いた赤色着色層1〜5の分光透過率特性を図8に示す。
【0135】
実施例1〜5で用いた赤色感光性着色組成物を用い、バックライト(1)と組み合わせた際にx=0.680になるように膜厚を調整し、赤色着色層6〜10を形成し、バックライト(1)との組合せを実施例6〜10とした。
【0136】
実施例6〜10で用いた赤色着色層6〜10の分光透過率特性を図9に示す。
【0137】
また、赤色感光性着色組成物1を用い、バックライト(2)と組み合わせた際にx=0.620になるように膜厚を調整し、赤色着色層11を形成し、バックライト(2)と赤色着色層11との組合せを比較例1とした。
【0138】
赤色感光性着色組成物6を用い、バックライト(2)と組み合わせた際にx=0.620になるように膜厚を調整し、赤色着色層13を形成し、バックライト(2)と赤色着色層13との組合せを比較例2とした。
【0139】
赤色感光性着色組成物2、3、7を用い、バックライト(1)と組み合わせた際にx=0.620になるように膜厚を調整し、赤色着色層14〜16を形成し、バックライト(1)と赤色着色層14〜16との組合せを比較例3〜5とした。
【0140】
比較例1〜5で用いた赤色着色層11〜16の分光透過率を図10に示す。
【0141】
比較例1〜5で用いた赤色感光性着色組成物とバックライトと同一の組み合わせで、x=0.680になるように膜厚を調整して赤色着色層17〜22を形成し、その組合せを比較例6〜10とした。
【0142】
比較例6〜10で用いた赤色着色層17〜22の分光透過率を図11に示す。
【0143】
以下、実施例、比較例の評価項目について説明する。
【0144】
[ 評価項目 ]
(バックライトにおける深紅性)
I:青色LEDと赤色発光蛍光体及び緑色発光蛍光体とを組み合わせて混色させた白色LEDであって、第1のピーク波長450〜470nm、第2のピーク波長510〜550nm、第3のピーク波長630〜670nmの三波長の白色LEDであるバックライト。
【0145】
II:青色LEDに黄蛍光体を組み合わせた2波長白色LEDバックライト。
【0146】
(カラーフィルタ赤色着色層形成に用いる赤色感光性着色組成物:顔料における深紅性)
A:赤色着色層形成に用いる赤色感光性着色組成物がPR177を固形分中の全有機顔料の80%以上含む。
【0147】
B:赤色着色層形成に用いる赤色感光性着色組成物がPR177を固形分中の全有機顔料の80%未満含む。
【0148】
(カラーフィルタ赤色着色層形成に用いる赤色感光性着色組成物:多官能チオール)
(1)赤色着色層形成に用いる赤色感光性着色組成物が多官能チオール(TPMB)を赤色感光性着色組成物の全固形分に対して0.1重量%以上20重量%以下含む。
【0149】
(2)赤色着色層形成に用いる赤色感光性着色組成物が多官能チオール(TPMB)を含まないもしくは赤色感光性着色組成物の全固形分に対して0.1重量%未満含む。
【0150】
(3)赤色着色層形成に用いる赤色感光性着色組成物が多官能チオール(TPMB)を赤色感光性着色組成物の全固形分に対して20重量%より多く含む。
【0151】
(赤色表示知覚評価)
○:赤色着色層の色度値がxy色度座標系で(0.620,0.280)、(0.620,0.300)、(0.680,0.315)、及び(0.680,0.280)を結ぶ色度範囲内であり、赤色に知覚される。
【0152】
×:赤色着色層の色度値がxy色度座標系で(0.620,0.280)、(0.620,0.300)、(0.680,0.315)、及び(0.680,0.280)を結ぶ色度範囲外で赤色に知覚されない。
【0153】
(y値が範囲より大きい場合、朱〜オレンジ色に知覚。y値が範囲より小さい場合、赤紫色に知覚)
(断面形状評価)
○:断面形状が順テーパー
×:断面形状が逆テーパー
(解像性評価)
○:20μmピッチのストライプパターンを解像可能
×:20μmピッチのストライプパターンを解像不可
[ 評価結果 ]
実施例1〜5の評価結果を表2に、実施例6〜10の評価結果を表3に、比較例1〜5の結果を表4に、比較例6〜10の結果を表5にそれぞれ示す。
【表2】
【0154】
【表3】
【0155】
【表4】
【0156】
【表5】
【0157】
上記表2、表3の結果より、青色LEDと赤色発光蛍光体及び緑色発光蛍光体とを組み合わせて混色させた白色LEDからなるバックライト(バックライト評価:I)と、深紅性の高い顔料PR177を有機顔料全固形分中に80%以上含む(顔料評価:A)赤色感光性着色組成物を用いて形成されたカラーフィルタとを組合せた場合(実施例1〜5)は、いずれも赤色表示特性が良好であった。
【0158】
また、青色LEDと赤色発光蛍光体及び緑色発光蛍光体とを組み合わせて混色させた白色LEDからなるバックライト(バックライト評価:I)と、深紅性の高い顔料PR177を有機顔料全固形分中に80%以上含む(顔料評価:A)赤色感光性着色組成物を用いて形成されたカラーフィルタとを組合せた場合、有機顔料中にイエロー顔料PY150を含んでいても(実施例3)、赤色表示特性としては規定色度範囲内となり、良好であった。このように、調色としてイエロー顔料を含む場合でも実施可能であるが、イエロー顔料での調色により、含まない系と比較すると深紅性は劣るため、過剰に含有することは望ましくない。
【0159】
上記表4及び表5に示すように、青色LEDと黄色発光蛍光体とを組み合わせて混色させた白色LED(バックライト評価:II)からなるバックライトを用いたのでは、深紅性の高い顔料PR177を有機顔料全固形分中に80%以上含む(顔料評価:A)赤色感光性着色組成物を用いて形成されたカラーフィルタを用いたとしても(比較例1及び6)、赤色表示特性は不良であった。
【0160】
また、バックライトの種類にかかわらず、深紅性の高い顔料PR177を有機顔料全固形分中に80%未満しか含まない(顔料評価:B)赤色感光性着色組成物を用いて形成されたカラーフィルタを用いた場合(顔料評価:B)には(比較例2、9)、赤色表示特性が不良であった。
【0161】
以上の結果より、バックライトが青色LEDと緑色発光蛍光体及び赤色発光蛍光体とを混色させた白色LEDであり、カラーフィルタの赤色着色層を形成する赤色感光性着色組成物が深紅性の高い顔料PR177を80%以上含む場合、赤色表示の際、xy色度座標系で4点(0.620,0.280)、(0.620,0.300)、(0.680,0.315)、及び(0.680,0.280)を結ぶ色度範囲内の赤色に知覚され得る深紅な色度を達成することが可能となることがわかった。
【図面の簡単な説明】
【0162】
【図1】青色LEDと赤色発光蛍光体及び緑色発光蛍光体とを組み合わせて混色させた白色LEDの発光特性を示す特性図。
【図2】冷陰極蛍光管(CCFL)の発光特性を示す特性図。
【図3】擬似白色LEDの発光特性を示す特性図。
【図4】LEDバックライトの構造を示す図。
【図5】白色LED装置の構造を示す断面図。
【図6】液晶表示装置の構造例を示す概略断面図。
【図7】バックライト(1)及び(2)の発光特性を示す特性図。
【図8】赤色着色層1〜5の分光透過率を示す特性図。
【図9】赤色着色層6〜10の分光透過率を示す特性図。
【図10】赤色着色層11〜16の分光透過率を示す特性図。
【図11】赤色着色層17〜22の分光透過率を示す特性図。
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置に関するものであり、特に青色LEDと赤色発光蛍光体・緑色発光蛍光体とを組み合わせた白色LEDをバックライトに用い、このバックライトにマッチングした赤色再現性に優れる色材を用いた赤色着色層を備えるカラーフィルタを用いた赤色再現性に優れる液晶表示装置、およびそれに用いるカラーフィルタを提供するものである。本発明は特に車載用液晶表示装置に対し好適に用いられる。
【背景技術】
【0002】
現在、車載用液晶表示装置はカーナビゲーション装置、リアシートモニタを中心に急速に普及してきている。これに加え近年では、インスツルメントパネルへも液晶表示装置を搭載する動きもでてきており、液晶化されることで従来のアナログメータと異なる付加価値の提供が可能である。
【0003】
従来の車載用液晶表示装置は、カーナビゲーション装置・リアシートモニタともに、従来液晶装置に用いられているような冷陰極蛍光管(CCFL)がバックライトとして用いられていた。しかしながら、冷陰極蛍光管は、応答性が悪い、振動や衝撃に弱い、水銀を含むため対環境性が悪いなどの問題を有していた。
【0004】
また、自動車用部材に対し、欧州連合(EU)で2000年10月にELV規制(End of Life vehicles directive)が施行され、この規制によりEU市場で登録される乗用車やバス,トラックなどについて2003年7月1日以降,PbとHg,
Cr6+の使用量を1000ppm以下に,Cdの使用量を100ppm以下に削減することが制定された。これにより廃自動車の廃棄物の利用やリサイクル,再生が促進されることを狙いとしている。
【0005】
車載用ディスプレイにおいてもこの規制対象であり、バックライトは水銀を含む従来の冷陰極蛍光管ではなく、水銀フリーであるLED(発光ダイオード)への代替が進んでいる。
【0006】
LEDバックライトユニットとしては、赤、緑、青の 3色LED光源を用いた3波長の白色LEDや、青系のLEDから発する光をYAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)などの蛍光体に通して混色させた白色LEDなどがあり、中でも白色LEDは、近年、モバイル関連の小型液晶表示装置に広く用いられている。
【0007】
現在、バックライト用のLEDはその個体差や価格面から、3色LEDではコストメリットが小さいため、擬似白色LEDが主流であり、車載用途への冷陰極蛍光管代替品も白色LED化することが予測される。
【0008】
しかしながら、白色LEDをバックライトに用いた場合、白色LEDでは長波長領域に発光ピークを持たないことから液晶表示装置の赤色表示の色再現性が著しく悪化する問題があった。換言すれば、赤色の明るさが不足する、あるいは、警告色として不向きな暗いオレンジ色の表示となる問題があった。これに反し、車載用途ディスプレイには警告表示等で赤色の再現性が非常に重要視される。環境に優しい水銀フリーのバックライトであり、同時にコストメリットのあるLED光源をバックライトに用いる車載用液晶表示装置において、特に深い赤色再現性への強い要求があった。
【特許文献1】特開2007−477181公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上記問題点を解決するものであり、バックライトに白色LEDを採用しながらも明るく深みのある赤色色度を得ることを可能とする液晶表示装置、及び上記バックライトにマッチングする赤色再現性を有する、パターン形状の良好な赤色画素を備えるカラーフィルタを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記課題を解決するため、本発明の第1の態様は、青色LEDと赤色発光蛍光体及び緑色発光蛍光体とを組み合わせた白色LED装置を備えるバックライト、および透明基板上に赤色画素を含む複数色の着色画素の備えるカラーフィルタを具備する液晶表示装置であって、前記白色LED装置の発光スペクトルが、440nm以上470nm以下に第1のピーク波長、510nm以上550nm以下に第2のピーク波長、630nm以上670nm以下に第3ピーク波長を有し、前記赤色画素が、赤色感光性着色組成物の全固形分に対して0.1重量%以上20重量%以下の多官能チオールを含む赤色感光性着色組成物の硬化物により形成され、前記液晶表示装置の赤色色度が、xy色度座標系で以下の4点(0.620,0.280)、(0.620,0.300)、(0.680,0.315)、及び(0.680,0.280)を結ぶ色度範囲内であることを特徴とする液晶表示装置を提供する。
【0011】
前記カラーフィルタの赤色画素は、固形分の全有機顔料の80%以上の有機顔料CI.ピグメントナンバーPR177を含む赤色感光性着色組成物の硬化物により形成することが出来る。
【0012】
本発明の液晶表示装置に係わる白色LED装置に用いる蛍光体は、以下のものを用いることができる。
【0013】
赤色発光蛍光体としては、Euにより賦活され、第II族元素Mと、Siと、Alと、Bと、Nとを含む窒化物蛍光体で、紫外線乃至青色光を吸収して赤色に発光し、下記一般式(I)で示される赤色発光蛍光体。
【0014】
M1wAlxSiyBzN((2/3)w+x+(4/3)y+z):Eu2+ (I)
(式中、M1はMg、Ca、Sr、及びBaからなる群から選ばれる少なくとも1種であり、w、x、y、zは、0.056≦w≦9、x=1、0.056≦y≦18、0≦z≦0.5である。)
緑色発光蛍光体としては、下記一般式(II)で示される蛍光体。
【0015】
Ba5−x−yEuxM2ySimO5+2m (II)
(式中、M2はCa及びSrの少なくとも1種であり、x、y、mは、0.0001≦x≦0.3、0≦y≦0.8、2.5<m<3.5である。)
緑色発光蛍光体としては、下記一般式(III)で示される蛍光体。
【0016】
(M31−yRy)aMgM4bM5cOa+2b+(3/2)cX2 (III)
(式中、M3はCa、Sr、Ba、Zn、及びMnからなる群から選ばれる少なくとも1種、M4はSi、Ge、及びSnからなる群から選ばれる少なくとも1種、M5はB、Al、Ga、及びInからなる群から選ばれる少なくとも1種、XはF、Cl、Br、及びIからなる群から選ばれる少なくとも1種、Rは希土類元素から選択されるEuを必須とする少なくとも1種であり、y、a、b及びcは、0.0001≦y≦0.3、7.0≦a<10.0、3.0≦b<5.0、0≦c<1.0である。)
緑色発光蛍光体としては、下記一般式(IV)又は(V)で示される蛍光体。
【0017】
LXM6YOZN((2/3)X+(4/3)Y−(2/3)Z):R (IV)
又は
LXM6YQTOZN((2/3)X+(4/3)Y+T−(2/3)Z):R (V)
(式中、Lは、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、及びZnからなる群から選ばれる第II族元素の少なくとも1種であり、M6は、C、Si、Ge、Sn、Ti、Zr、及びHfからなる群から選ばれる第IV族元素の少なくとも1種であり、Rは、希土類元素であり、X、Y、T、Zは、0.5<X<1.5、1.5<Y<2.5、0<T<0.5、1.5<Z<2.5である。)
また、前記緑発光蛍光体として、下記一般式(V)で表されるものを用いることができる。
【0018】
(M71−XEuX)2SiYO2Y+2 (V)
(式中、M7はBe、Mg、Ca、Sr、Ba、Znからなる群から選ばれる第II族元素の少なくとも1種であり、X及びYは、0.001≦X≦0.2、0.9≦Y≦1.1である。)
本発明の第2の態様は、透明基板上に赤色画素を含む複数色の着色画素を備え、以上の液晶表示装置に用いることを特徴とするカラーフィルタを提供する。
【発明の効果】
【0019】
本発明によると、バックライトとして青色LEDと赤色発光蛍光体及び緑色発光蛍光体とを組み合わせた白色LEDを備え、このバックライトにマッチングした赤色再現性を有するカラーフィルタを用いることで、警告色表示に好適な液晶表示装置を得ることができる。また、深みのある赤色再現性に優れたカラーフィルタを用いた液晶表示装置を得ることができる。更に、上記バックライトは水銀フリーで対環境性に優れた青色LEDと蛍光体を組み合わせた白色LEDであるため、液晶表示装置の廃棄物利用やリサイクル、再生を促進させることが可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明の実施の形態について、詳細に説明する。
【0021】
本発明の第1の実施形態に係る液晶表示装置は、バックライトとして、青色LEDと赤色発光蛍光体及び緑色発光蛍光体とを組み合わせて混色させた白色LED装置を用いるとともに、赤色画素に用いる赤色感光性着色組成物の固形分中の全有機顔料の80%以上がPR177であるものである。このような液晶表示装置の赤色色度は、第1のピーク波長が440nm以上470以下、第2のピーク波長が510nm以上550nm以下、第3のピーク波長が630nm以上670nm以下である。
【0022】
本実施形態に用いる白色LED装置は、図1に示すような発光スペクトル特性を有しており、この発光スペクトル特性は、図2に示す従来の液晶表示装置に用いられていた冷陰極蛍光管(CCFL)や、図3に示す青系のLEDから発する光をYAG(イットリウム・アルミニウム・ガーネット)などの蛍光体に通して混色させた白色LEDの発光スペクトル特性とは明確に異なる。
【0023】
環境への対応としてCCFLの代替が進んでいる図3に示すような発光特性を有する青色LEDとYAGなどの黄色発光蛍光体とを組み合わせて混色させた白色LEDは、CCFLと異なり長波長域にピークを持たないため、2波長の光源であり、カラーフィルタを従来のCCFLに使用していたものと同一のものとした場合に、特に赤色再現性が著しく低下し、本来の赤色表示がオレンジ色に知覚されるという問題があった。
【0024】
これに対し、青色LEDと赤色発光蛍光体及び緑色発光蛍光体とを組み合わせて混色させた、図1に示すような発光特性を有する白色LEDは、発光ピークが3波長となり、青色LEDとYAGなどの黄色発光蛍光体とを混色させた白色LEDに比較し、赤色再現性が大きく向上し、赤色再現性に優れた赤色着色層を含む複数色を備えるカラーフィルタ基板を用いることで、CCFLよりも更に深紅な赤色表示を得ることができる。
【0025】
前述したように、特に車載用途の液晶表示装置は、危険色表示として赤色の再現性が重要であるため、赤色とオレンジ色を区別できることが強く望まれている。
【0026】
そこで、本実施形態に係る液晶表示装置においては、バックライトに青色LEDと赤色発光蛍光体及び緑色発光蛍光体とを組み合わせて混色させた白色LEDを用いるとともに、赤色再現性に優れる色材を用いた赤色着色層を備えるカラーフィルタを用いることで、赤色表示としてxy色度座標系で以下4点(0.620,0.280)、(0.620,0.300)、(0.680,0.315)、及び(0.680,0.280)を結ぶ色度範囲内の深紅な色度を実現することができ、上記問題を解決した。
【0027】
上記赤色色度範囲は、赤色着色層を形成する赤色着色材料の顔料種や組成を変化させ評価した結果、色再現域がNTSC50%〜95%の場合、赤色と知覚されるためには、上記色度範囲が必要であるとの知見に基づいている。
【0028】
y値がこの範囲より大きい場合、朱色〜オレンジ色に知覚され、y値がこの範囲より小さい場合、赤紫色に知覚されてしまう。
【0029】
また、本実施形態に係る液晶表示装置に用いるカラーフィルタ基板は、少なくとも透明基板上に赤色を含む複数色の画素を備えるもので、これらの複数色の画素は、有機顔料と透明樹脂を主成分として構成され、複数色には赤、緑、青(R、G、B)の組み合わせや、イエロー、マゼンタ、シアン(Y、M、C)の組み合わせ、あるいはこれにオレンジを加えた組み合わせが挙げられる。
【0030】
本実施形態に用いるカラーフィルタ基板は、赤色画素を有するカラーフィルタ(すなわちRGB系)に対して、特に好ましく適用できる。またR、G、Bに加え、Y、M、Cを同一基板に配列するカラーフィルタなどについても適用可能である。
【0031】
また、本実施形態に用いるカラーフィルタ基板は、白色LEDと組み合わせた場合に、xy色度座標系で以下の4点(0.620,0.280)、(0.620,0.300)、(0.680,0.315)、及び(0.680,0.280)を結ぶ範囲内にある深紅な色度を実現する。そのために必要な、赤色着色層形成に用いる赤色感光性着色組成物中の顔料特徴は、赤色感光性着色組成物の固形分中の全有機顔料のであるものである。
【0032】
PR177の顔料比率が80%以上であることにより、バックライトとして白色LEDを用いた液晶表示装置において、明るく深い赤色を再現することが出来る。但し、カラーフィルタ基板の赤色着色層の形成に用いられる赤色感光性着色組成物中のPR177の含有比率が高いほど、硬化系成分(開始剤)の吸収波長域が阻害され、カラーフィルタの製造工程で困難な問題が発生する場合がある。
【0033】
PR177の顔料比率が80%以上になると、赤色画素の剥がれの傾向が強くなる。
【0034】
即ち、フォトリソグラフィーの主要工程である露光工程後の現像工程で赤色画素断面のテーパ形状が維持できないという問題が生じる。透明基板上に形成する赤色画素の基板面側寸法が小さく(逆テーパ)なり、現像工程で赤色画素が剥がれやすくなるという問題が生じる場合がある。
【0035】
このように新たに生じる課題を解決するために、本実施形態に係るカラーフィルタは、多官能チオールを赤色感光性着色組成物の全固形分に対して0.1重量%以上20重量%以下含むことが望ましい。多官能チオール含有量が0.1重量%未満である場合、添加効果が不十分であり、着色層形成時の断面形状が逆デーパーとなる。また、20重量%を超えて添加すると、効果が過度となり、感度が高くなって解像度が低下してしまう。
【0036】
本実施形態に使用可能な多官能チオールは、チオール基を2個以上含有する化合物であればよく、例えば、ヘキサンジチオール、デカンジチオール、1,4-ブタンジオールビスチオプロピオネート、1,4-ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリス(3-メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、トリメルカプトプロピオン酸トリス(2-ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1,4-ジメチルメルカプトベンゼン、2、4、6-トリメルカプト-s-トリアジン、2-(N,N-ジブチルアミノ)-4,6-ジメルカプト-s-トリアジン等が挙げられる。このような多官能チオールは、1種を単独で、又は2種以上混合して用いることができる。
【0037】
また、本実施形態に用いるカラーフィルタは、赤色表示においてxy色度座標系で以下の4点(0.620,0.280)、(0.620,0.300)、(0.680,0.315)、及び(0.680,0.280)を結ぶ範囲内の色度を実現できる範囲においては、赤色着色層形成に用いる赤色感光性着色組成物に、PR254などの赤色顔料やC.L.ピグメントナンバーPY150、PY139、PY138、PY185、PY13などのイエロー顔料を含んでもよい。
【0038】
以下に、本実施形態に係る液晶表示装置に用いるカラーフィルタについて、更に詳述する。
【0039】
カラーフィルタに用いられる透明基板は、可視光に対してある程度の透過率を有するものが好ましく、より好ましくは80%以上の透過率を有するものがよい。一般に、液晶表示装置に用いられているものでよく、PETなどのプラスチック基板やガラスが挙げられるが、通常はガラス基板を用いるとよい。遮光パターンを用いる場合は、あらかじめ透明基板上にクロム等の金属薄膜や遮光性樹脂によるパターンを公知の方法で形成したものを用いればよい。
【0040】
透明基板上への画素の作製方法は、公知のインクジェット法、印刷法、フォトレジスト法、エッチング法など何れの方法で作製しても構わない。しかし、高精細、分光特性の制御性及び再現性等を考慮すると、フォトレジスト法が好ましい。フォトレジスト法は、透明な樹脂中に顔料を、光開始剤、重合性モノマーと共に適当な溶剤に分散させた着色組成物を透明基板上に塗布製膜して着色層を形成し、この着色層をパターン露光し、現像することで、一色の画素を形成し、これら工程を各色毎に繰り返し行って、カラーフィルタを作製する方法である。
【0041】
カラーフィルタの画素を構成する着色層をフォトリソ法により形成する場合、例えば、以下の方法に従う。着色剤となる顔料を透明な樹脂中に分散させた後、光開始剤、重合性モノマーと共に適当な溶剤と混合させる。着色剤となる顔料と透明樹脂を分散させる方法としてはミルベース、3本ロール、ジェットミル等様々な方法があるが、特にこれらに限定されるものではない。
【0042】
カラーフィルタの画素を形成する着色組成物に用いることのできる有機顔料の具体例を、以下にカラーインデックス番号で示す。 赤色顔料としては、C.I. Pigment Red 254、PR177以外に、C.I. Pigment Red 7、9、14、41、48:1、48:2、48:3、48:4、81:1、81:2、81:3、97、122、123、146、149、168、177、178、179、180、184、185、187、192、200、202、208、210、215、216、217、220、223、224、226、227、228、240、246、255、264、272、279等が挙げられる。
【0043】
黄色顔料としては、C.I. Pigment Yellow 1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、20、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、86、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、125、126、127、128、129、137、138、139、144、146、147、148、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、193、194、199、213、214等が挙げられる。
【0044】
橙色顔料としてはC.I. Pigment Orange 36、43、51、55、59、61、71、73等が挙げられる。
【0045】
緑色顔料としては、C.I. Pigment Green 7、10、36、37等が挙げられる。
【0046】
青色顔料としては、C.I. Pigment Blue 15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64、80等が挙げられる。
【0047】
紫色顔料としては、C.I. Pigment Violet 1、19、23、27、29、30、32、37、40、42、50等があげられる。
【0048】
上記の顔料は、画素によって単独あるいは2種以上を組み合わせて用いることができる。
【0049】
また、上記有機顔料と組み合わせて、彩度と明度のバランスを取りつつ良好な塗布性、感度、現像性等を確保するために、無機顔料を組み合わせて用いることも可能である。無機顔料としては、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤、群青、紺青、酸化クロム緑、コバルト緑等の金属酸化物粉、金属硫化物粉、金属粉等が挙げられる。さらに、調色のため、耐熱性を低下させない範囲内で染料を含有させることができる。
【0050】
着色組成物に用いる透明樹脂は、可視光領域の400〜700nmの全波長領域において透過率が好ましくは80%以上、より好ましくは95%以上の樹脂であるのがよい。透明樹脂には、熱可塑性樹脂、熱硬化性樹脂、および感光性樹脂が含まれる。透明樹脂には、必要に応じて、その前駆体である、放射線照射により硬化して透明樹脂を生成するモノマーもしくはオリゴマーを単独で、または2種以上混合して用いることができる。
【0051】
熱可塑性樹脂としては、例えば、ブチラール樹脂、スチレンーマレイン酸共重合体、塩素化ポリエチレン、塩素化ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル-酢酸ビニル共重合体、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン系樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル系樹脂、アルキッド樹脂、ポリスチレン、ポリアミド樹脂、ゴム系樹脂、環化ゴム系樹脂、セルロース類、ポリエチレン、ポリブタジエン、ポリイミド樹脂等が挙げられる。また、熱硬化性樹脂としては、例えば、エポキシ樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ロジン変性マレイン酸樹脂、ロジン変性フマル酸樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、フェノール樹脂等が挙げられる。
【0052】
感光性樹脂としては、水酸基、カルボキシル基、アミノ基等の反応性の置換基を有する線状高分子にイソシアネート基、アルデヒド基、エポキシ基等の反応性置換基を有する(メタ)アクリル化合物やケイヒ酸を反応させて、(メタ)アクリロイル基、スチリル基等の光架橋性基を該線状高分子に導入した樹脂が用いられる。また、スチレン-無水マレイン酸共重合物やα-オレフィン-無水マレイン酸共重合物等の酸無水物を含む線状高分子をヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリル化合物によりハーフエステル化したものも用いられる。
【0053】
光架橋剤として用いることのできる重合性モノマーとしては、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、エチレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、プロピレンオキサイド変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレートなどの各種アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステルなどが代表例に挙げられる。
【0054】
これらは単独または2種以上を混合して用いることができ、さらに光硬化性を適正に保つ目的で、必要に応じ、他の重合性モノマーおよびオリゴマーを混合して用いることが出来る。
【0055】
その他の重合性モノマーおよびオリゴマーとしては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2-ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、β-カルボキシエチル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、1,6-ヘキサンジオールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、エステルアクリレート、メチロール化メラミンの(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート等の各種アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N-ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N-ビニルホルムアミド、アクリロニトリル等が挙げられる。
【0056】
これらについても、単独でまたは2種類以上を混合して用いることができる。
【0057】
着色組成物を紫外線照射により硬化する場合には、着色組成物には光重合開始剤等が添加される。光重合開始剤としては、4-フェノキシジクロロアセトフェノン、4-t-ブチル-ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1-(4-イソプロピルフェニル)-2-ヒドロキシ-2-メチルプロパン-1-オン、1-ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2-ベンジル-2-ジメチルアミノ-1-(4-モルフォリノフェニル)-ブタン-1-オン等のアセトフェノン系化合物、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4-フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4-ベンゾイル-4'-メチルジフェニルサルファイド、3,3',4,4'-テトラ(t-ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物、チオキサントン、2-クロルチオキサントン、2-メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4-ジイソプロピルチオキサントン、2,4-ジエチルチオキサントン等のチオキサントン系化合物、2,4,6-トリクロロ-s-トリアジン、2-フェニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-メトキシフェニル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(p-トリル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-ピペロニル-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4-ビス(トリクロ
ロメチル)-6-スチリル-s-トリアジン、2-(ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2-(4-メトキシ-ナフト-1-イル)-4,6-ビス(トリクロロメチル)-s-トリアジン、2,4-トリクロロメチル-(ピペロニル)-6-トリアジン、2,4-トリクロロメチル(4'-メトキシスチリル)-6-トリアジン等のトリアジン系化合物、1,2-オクタンジオン,1-〔4-(フェニルチオ)-,2-(O-ベンゾイルオキシム)〕、O-(アセチル)-N-(1-フェニル-2-オキソ-2-(4'-メトキシ-ナフチル)エチリデン)ヒドロキシルアミン等のオキシムエステル系化合物、ビス(2,4,6-トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6-トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等のホスフィン系化合物、9,10-フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアントラキノン等のキノン系化合物、ボレート系化合物、カルバゾール系化合物、イミダゾール系化合物、チタノセン系化合物等が用いられる。
【0058】
これらの光重合開始剤は1種または2種以上を混合して用いることができる。光重合開始剤の使用量は、着色組成物の全固形分量を基準として0.5〜50質量%が好ましく、より好ましくは3〜30質量%である。
【0059】
さらに、増感剤として、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4-ジメチルアミノ安息香酸メチル、4-ジメチルアミノ安息香酸エチル、4-ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸2-ジメチルアミノエチル、4-ジメチルアミノ安息香酸2-エチルヘキシル、N,N-ジメチルパラトルイジン、4,4'-ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4'-ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4'-ビス(エチルメチルアミノ)ベンゾフェノン等のアミン系化合物を併用することもできる。
【0060】
これらの増感剤は、1種または2種以上を混合して用いることができる。増感剤の使用量は、光重合開始剤と増感剤の合計量を基準として0.5〜60質量%が好ましく、より好ましくは3〜40質量%である。
【0061】
また必要に応じて、熱架橋剤としては、例えば、メラミン樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。メラミン樹脂としては、アルキル化メラミン樹脂(メチル化メラミン樹脂、ブチル化メラミン樹脂など)、混合エーテル化メラミン樹脂等があり、高縮合タイプであっても低縮合タイプであってもよい。エポキシ樹脂としては、例えば、グリセロール・ポリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパン・ポリグリシジルエーテル、レゾルシン・ジグリシジルエーテル、ネオペンチルグリコール・ジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオール・ジグリシジルエーテル、エチレングリコール(ポリエチレングリコール)・ジグリシジルエーテル等がある。
【0062】
これらは、いずれも単独あるいは2種類以上混合して使用することができる。
【0063】
着色組成物は、必要に応じて有機溶剤を含有することができる。有機溶剤としては、例えばシクロヘキサノン、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、1-メトキシ-2-プロピルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチルベンゼン、エチレングリコールジエチルエーテル、キシレン、エチルセロソルブ、メチル-nアミルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルトルエン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブチルケトン、石油系溶剤等が挙げられ、これらを単独でもしくは混合して用いることができる。
【0064】
本実施形態に係る液晶表示装置に用いるカラーフィルタ基板の製造に際しては、まず、透明基板上に、上述の各成分を含む感光性着色組成物を塗布し、プリベークを行う。塗布する手段はスピンコート、ディップコート、ダイコートなどが通常用いられるが、40〜60cm四方程度の基板上に均一な膜厚で塗布可能な方法ならば、これらに限定されるものではない。プリベークは50〜120℃で10〜20分ほど行うことが好ましい。塗布膜厚は任意であるが、分光透過率などを考慮すると、通常はプリベーク後の膜厚で2μm程度である。
【0065】
このように感光性着色組成物を塗布し、着色層を形成した基板に対し、パターンマスクを介して露光を行う。光源には通常の高圧水銀灯などを用いればよい。
【0066】
続いて、露光された着色層に対し、現像を行う。現像液にはアルカリ性水溶液を用いる。アルカリ性水溶液の例としては、炭酸ナトリウム水溶液、炭酸水素ナトリウム水溶液、または両者の混合水溶液、もしくはそれらに適当な界面活性剤などを加えたものが挙げられる。
【0067】
現像した後、水洗し、乾燥して、任意の一色の画素が得られる。
【0068】
以上の一連の工程を、感光性着色組成物およびパターンを替え、必要な色数だけ繰り返すことで、必要な色数が組み合わされた着色パターン、すなわち複数色の画素を備えるカラーフィルタを得ることができる。
【0069】
以上のような優れた特性を示すカラーフィルタ基板と組み合わせて液晶表示装置を構成するバックライトとしての白色LED装置作製のために用いられる赤色発光蛍光体および緑色発光蛍光体について、以下に詳述する。
【0070】
(赤色発光蛍光体)
赤色発光蛍光体としては、Euにより賦活され、第II族元素M1、Si、Al、B、及びNを含む、下記一般式(I)で示される窒化物蛍光体であって、紫外線ないし青色光を吸収して赤色に発光するものを好ましく用いることができる。
【0071】
M1wAlxSiyBzN((2/3)w+x+(4/3)y+z):Eu2+ (I)
上記式(I)において、M1はMg、Ca、Sr、及びBaからなる群から選ばれる少なくとも1種であり、w、x、y、zは、好ましくは0.056≦w≦9、x=1、0.056≦y≦18、0.0005≦z≦0.5であり、より好ましくは0.04≦w≦3、x=1、0.143≦y≦8.7、0≦z≦0.5であり、最も好ましくは0.05≦w≦3、x=1、0.167≦y≦8.7、0.0005≦z≦0.5である。
【0072】
また、zは、好ましくは0.5以下、より好ましくは0.3以下であり、0.0005以上であることが望ましい。さらに好ましくは、ホウ素のモル濃度は、0.001以上であって、0.2以下に設定される。
【0073】
このような窒化物蛍光体は、Euにより賦活されるが、Euの一部を、Sc、Tm、Yb、Y、La、Ce、Pr、Nd、Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Luからなる群から選ばれる少なくとも一種以上の希土類元素により置換することも可能である。
【0074】
好ましい窒化物蛍光体として、一般式M11−zAlSiBzN((2/3)(1−z)+(7/3)+z):Eu2+により表されるものがある。式中、M1はMg、Ca、Sr、及びBaからなる群から選ばれる少なくとも1種であり、xの範囲は、0.001≦x≦0.3、zの範囲は、0≦z≦0.5である。
【0075】
また、他の好ましい窒化物蛍光体として、一般式M1wAlSiBzN((2/3)w+(7/3)+z):Eu2+により表されるものがある。式中、M1はMg、Ca、Sr、及びBaからなる群から選ばれる少なくとも1種であり、w及びzの範囲は、0.04≦w≦3、0≦z≦0.5である。
【0076】
M1としてCaを用いる場合、Caは好ましくは単独で使用する。ただし、Caの一部を、Sr、Mg、Ba、SrとBaなどにより置換することもできる。Caの一部をSrで置換して、窒化物蛍光体の発光波長のピークを調整することができる。
【0077】
Siも好ましくは単独で使用されるが、その一部を第IV族元素であるCやGeで置換することもできる。Siのみを使用した場合には、安価で結晶性の良好な窒化物蛍光体を得ることができる。
【0078】
賦活剤であるEuは、好ましくは単独で使用されるが、Euの一部を、Sc、Tm、Yb、Y、La、Ce、PR、Nd、Sm、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Luにより置換してもよい。Euの一部を他の元素で置換した場合には、他の元素は共賦活剤として作用する。そうすることにより、色調を変化させることができ、発光特性の調整を行うことができる。
【0079】
Euを必須とする混合物を使用する場合、所望により配合比を変えることができる。ユーロピウムは、主に2価と3価のエネルギー準位を持つが、本実施形態に用いる窒化物蛍光体は、母体のCaに対して、Eu2+を賦活剤として用いる。Eu2+は、酸化されやすく、3価のEu2O3の組成で市販されている。しかし、市販のEu2O3では、Oの関与が大きく、良好な蛍光体が得られにくい。そのため、Eu2O3からOを、系外へ除去したものを使用することが好ましい。たとえば、ユーロピウム単体、窒化ユーロピウムを用いることが好ましい。
【0080】
窒化物蛍光体は、さらに、Cu、Ag、Auからなる第I族元素、Ga、Inからなる第III族元素、Ti、Zr、Hf、Sn、Pbからなる第IV族元素、P、Sb、Biからなる第V族元素、及びSからなる第VI族元素から選ばれる少なくとも1種以上の元素を1〜500ppm以下含むこともできる。これらの元素を添加することにより、発光効率の調整を行うことができる。
【0081】
窒化物蛍光体では、Fe、Ni、Cr、Ti、Nb、Sm及びYbのモル濃度が、M1のモル濃度に対して0.01以下であることが好ましい。Fe、Ni、Cr、Ti、Nb、Sm及びYbを多量に含むと、発光輝度が低下するからである。
【0082】
上述の窒化物蛍光体に、さらに加える元素は、通常、酸化物、若しくは酸化水酸化物で加えられるが、これに限定されるものではなく、メタル、窒化物、イミド、アミド、若しくはその他の無機塩類でも良く、また、予め他の原料に含まれている状態でも良い。
【0083】
窒化物蛍光体の組成中には、酸素が含有されている。酸素は、原料となる各種酸化物から導入されるか、焼成中に酸素が混入してくることが考えられる。この酸素は、Eu拡散、粒成長、結晶性向上の効果を促進すると考えられる。すなわち、原料に使用される一の化合物をメタル、窒化物、酸化物と変えても同様の効果が得られるが、むしろ酸化物を用いた場合の効果が大きい場合もある。
【0084】
(緑色発光蛍光体1)
緑色発光蛍光体としては、下記一般式(II)で示されるものを挙げることができる。
【0085】
Ba5−x−yEuxM2ySimO5+2m (II)
(式中、M2はCa及びSrの少なくとも1種であり、x、y、mは、0.0001≦x≦0.3、0≦y≦0.8、2.5<m<3.5である。)
このシリケート系蛍光体は、約485nmより長波長側の光では励起効率が低くなる。そのため、485nm以下の短波長側の光により効率よく励起される。そのうち特に460nm以下の短波長側の光により高効率に励起される。
【0086】
シリケート系蛍光体を励起すると、495nmから584nmの領域に発光ピーク波長を有する光を発光する。このシリケート系蛍光体の発光ピーク波長は、蛍光体の組成を種々変更すること、励起波長を変更することにより変えることができる。
【0087】
シリケート系蛍光体の組成中のx、y、mは、0.0001≦x≦0.3、0≦y≦0.8、2.5<m<3.5の範囲であり、この範囲では495nmから584nmに発光ピーク波長を有し、緑色系から黄色系に発光する高輝度の蛍光体が得られる。このうち、xは、0.1≦x≦0.5の範囲がより好ましい。この範囲にすることにより、より高輝度にすることができるからである。また、mは、2.5<m≦3.2の範囲が好ましい。この範囲にすることにより、より高輝度にすることができるからである。なお、yを変更することにより、種々の色調を有する蛍光体を得ることができる。
【0088】
(緑色発光蛍光体2)
緑色発光蛍光体としては、下記一般式(III)で示されるものを挙げることができる。
【0089】
(M31−yRy)aMgM4bM5cOa+2b+(3/2)cX2 (III)
(式中、M3はCa、Sr、Ba、Zn、及びMnからなる群から選ばれる少なくとも1種、M4はSi、Ge、及びSnからなる群から選ばれる少なくとも1種、M5はB、Al、Ga、及びInからなる群から選ばれる少なくとも1種、XはF、Cl、Br、及びIからなる群から選ばれる少なくとも1種、Rは希土類元素から選択されるEuを必須とする少なくとも1種を有する。またy、a、b及びcは、0.0001≦y≦0.3、7.0≦a<10.0、3.0≦b<5.0、0≦c<1.0である。)
この蛍光体はCa、Sr、Ba、Zn、及びMnからなる群から選択される少なくとも1種の元素、より好ましくはCaを含む。Caを含む場合、Caの一部をMn、Sr、Baで置換したものを使用してもよい。
【0090】
この蛍光体は、Si、Ge、及びSnからなる群から選択される少なくとも1種の元素、より好ましくはSiを含む。Siを含む場合、Siの一部をGe、Snで置換したものを使用してもよい。
【0091】
この蛍光体は、F、Cl、Br、及びIからなる群から選択される少なくとも1種の元素、より好ましくはClを含む。Clを含む場合、Clの一部をF、Br、Iで置換したものも使用してもよい。
【0092】
この蛍光体は、Euを必須とする少なくとも1種の希土類元素を含む。希土類は、スカンジウム、イットリウムおよびランタノイド諸元素の計17の元素の総称であり、このうちEuが最も好ましい。Euの一部をCe、Pr、Nd、Sm、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Ybで置換したものを使用してもよい。より好ましくは、Euの一部をCe、PR、Nd、Sm、Tb、Dy、Ho、Tmで置換したものを使用してもよい。
【0093】
上記組成となるものであれば、原料は特に限定されない。例えば、単体、酸化物、炭酸塩や窒化物などを使用することができる。具体的には、M3CO3、M3O、M3や、MgO、MgCO3、Mg、M4(CO3)2、M4O2、M4や、M52(CO3)3、M52O3、M5や、M3X2、HX、X2などを使用することができる。
【0094】
上記一般式(III)で表される緑色蛍光体は、495nm以上584nm以下の緑領域から黄色領域の波長範囲に発光ピーク波長を有する。例えば、Ca、Eu、Mg、Si、O、Clの元素を有する場合は500nmから520nm付近に、Ca、Mn、Eu、Mg、Si、O、Clの元素を有する場合は530nmから570nm付近に、発光ピーク波長を有するものもある。ただし、含有する元素量や組成によってこの発光ピーク波長は変動する。
【0095】
(緑色発光蛍光体3)
緑色発光蛍光体としては、下記一般式(IV)で示されるものを挙げることができる。
【0096】
LXM6YOZN((2/3)X+(4/3)Y−(2/3)Z):R (IV)
又は
LXM6YQTOZN((2/3)X+(4/3)Y+T−(2/3)Z):R (V)
(式中、Lは、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、及びZnからなる群から選ばれる第II族元素の少なくとも1種であり、M6は、C、Si、Ge、Sn、Ti、Zr、及びHfからなる群から選ばれる第IV族元素の少なくとも1種であり、Qは、B、Al、Ga、及びInからなる群から選ばれる第III族元素の少なくとも1種であり、Rは、希土類元素であり、X、Y、T、Zは、0.5<X<1.5、1.5<Y<2.5、0<T<0.5、1.5<Z<2.5である。)
上記一般式(IV)又は(V)で表される酸窒化物蛍光体は、少なくとも一部に元素が一定の規則にしたがって配列された結晶を含むように構成され、その結晶から効率よく高輝度の光が発光される。上記一般式において、0.5<X<1.5、1.5<Y<2.5、0<T<0.5、1.5<Z<2.5に設定することで、発光部である結晶相を比較的容易に形成することができ、発光効率がよく、輝度の高い蛍光体を得ることができる。
【0097】
なお、発光輝度調整を目的に含有される結晶の割合を所望の値に設定したい場合には、上記一般式(IV)中のX、Y、Zの値により調整が可能である。ただし、上記範囲は好ましい範囲であり、本発明は上記範囲に限定されるものではない。
【0098】
また、この緑色蛍光体は、OとNとの比率を変化させることができる。また(L+M)/(O+N)で示す陽イオンと陰イオンのモル比を変化させることもでき、それによって微妙に発光スペクトルや強度を調整可能である。これは例えば、真空などの処理によりNやOを脱離させることによっても可能であり、本発明は、この方法には限定されない。
【0099】
この蛍光体の組成中には、Li、Na、K、Rb、Cs、Mn、Re、Cu、Ag、Auの少なくとも1種以上が含有されていてもよく、これらを添加することにより、輝度、量子効率等の発光効率を調整することができる。また、その他の元素も特性を損なわない程度に含まれていてもよい。
【0100】
この蛍光体に含まれる第II族元素の一部は、賦活剤Rで置換される。第II族元素と前記賦活剤Rとの混合量に対して、前記賦活剤Rの量は、(第II族元素と賦活剤Rの混合量):(賦活剤Rの量)=1:0.001〜1:0.8のモル比であることが好ましい。
【0101】
また、Lは、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、Znからなる群から選ばれる少なくとも1種の第II族元素である。LはCa、Srなどの単体であってもよいが、CaとSr、CaとBa、SrとBa、CaとMgなどの複数の元素の組み合わせであってもよい。またLが複数の元素の組み合わせである場合、その組成比は変化させることができる。特に、LはMg、Ca、Sr、Ba、及びZnからなる群から選ばれるCa、Sr、Baのいずれかを必須とする少なくとも1種である第II族元素であることが好ましい。
【0102】
M6は、C、Si、Ge、Sn、Ti、Zr、Hfからなる群から選ばれる少なくとも1種以上である第IV族元素である。M6もSi、Ge等の単体であってもよく、SiとCなどの複数元素の組み合わせから成ってもよい。本発明では上述の第IV族元素を用いることができるが、特にSi、Geを用いるのが好ましい。Si、Geを用いることで安価で結晶性の良好な蛍光体を提供することができる。特に、M6は、C、Si、Ge、Sn、Ti、Hfからなる群から選ばれるSiを必須とする少なくとも1種である第IV族元素であることが好ましい。
【0103】
Qは、B、Al、Ga、Inからなる群から選ばれる少なくとも1種である第III族元素である。
【0104】
上記の蛍光体母体材料主成分のL、M6、Qは、金属、酸化物、イミド、アミド、窒化物および各種塩類などを用いることができる。
【0105】
またRは希土類元素である。具体的にRはLa、Ce、Pr、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luからなる群から選ばれる1種又は2種以上の元素である。本発明では、これらの希土類元素のうち、Euを用いることが好ましい。またEuと1種以上の希土類元素を含んでいてもよい。その場合、RとしてEuが50質量%以上、より好ましくは70%以上含有されていることが好ましい。即ち、賦活剤Rは、La、Ce、PR、Nd、Sm、Eu、Gd、Tb、Dy、Ho、Er、Tm、Yb、Luからなる群から選ばれる、Euを必須とする少なくとも1種以上である希土類元素であることが好ましい。Eu以外の元素は、共賦活剤として作用する。
【0106】
(緑色発光蛍光体4)
緑色発光蛍光体としては、下記一般式(VI)で示されるものを挙げることができる。
【0107】
(M71−XEuX)2SiYO2Y+2 (VI)
(式中、M7はBe、Mg、Ca、Sr、Ba、Znからなる群から選ばれる少なくとも1種以上である第II族元素である。X及びYは、0.001≦X≦0.2、0.9≦Y≦1.1である。)
このシリケート系蛍光体は、約490nmより長波長側の光では励起効率が低くなる。そのため、490nm以下の短波長側の光により効率よく励起される。そのうち特に460nm以下の短波長側の光により高効率に励起される。
【0108】
このシリケート系蛍光体を励起すると490nmから580nmの領域に発光ピーク波長を有する。このシリケート系蛍光体の発光ピーク波長はシリケート系蛍光体の組成を種々変更すること、励起波長を変更することにより変えることができる。
【0109】
シリケート系蛍光体の組成中のx、yは、0.001≦X≦0.2、0.9≦Y≦1.1 の範囲であることが好ましい。この範囲では490nmから580nmに発光ピーク波長を有し、緑色系から黄色系に発光する高輝度の蛍光体となる。このうち、0.005≦x≦0.1が好ましい。この範囲にすることにより、より高輝度にすることができるからである。M7を変更することにより種々の色調を有する蛍光体を提供することができる。
【0110】
本発明液晶表示装置用バックライトの青色LEDと赤色発光蛍光体及び緑色発光蛍光体とを組み合わせて混色させた白色LEDまたは青色LEDと黄色発光蛍光体及び赤色発光蛍光体に用いられる赤色発光蛍光体及び緑色発光蛍光体の製造方法について詳述する。
【0111】
(緑色発光蛍光体5)
緑色発光蛍光体としては、下記一般式(VII)で示されるものを挙げることができる。
【0112】
M8XAYXZ (VII)
(式中、M8はMn、Ce、Euからなる群から選ばれる少なくとも1種以上の元素であり、Aは、C、Si、Ge、Sn、B、Al、Ga、Inからなる群から選ばれる少なくとも1種以上の元素であり、Xは、O、Nから選らば得れる少なくとも1種以上の元素であり、X、Y、及びZは、0.00001≦X≦0.1、0.38≦Y≦0.46、0.54≦Z≦0.62、X+Y+Z=1である。)
この蛍光体は、β型Si3N4結晶構造を持つ窒化物または酸窒化物の結晶相の固溶体を主成分として含有しており、500nm〜600nmの波長域での発光強度が高く、緑色の蛍光体として優れている。緑色発光蛍光体としては、下記一般式(VI)で示されるものを挙げることができる。Xは発光中心となる元素Mの添加量を表し、原子比で0.00001以上0.1以下となるようにするのがよい。X値が0.00001より小さいと発光中心となるMの数が少ないため発光輝度が低下する。0.1より大きいとMイオン間の干渉により濃度消光を起こして輝度が低下する。Yは母体結晶を構成する金属元素の量であり、原子比で0.38以上0.46以下となるようにするのがよい。好ましくは、Y=0.429が良い。Y値がこの範囲をはずれると結晶中の結合が不安定になりβ型Si3N4構造以外の結晶相の生成割合が増え、緑色の発光強度が低下する。Zは母体結晶を構成する非金属元素の量であり、原子比で0.54以上0.62以下となるようにするのがよい。好ましくは、Z=0.571が良い。Z値がこの範囲をはずれると結晶中の結合が不安定になりβ型Si3N4構造以外の結晶相の生成割合が増え、緑色の発光強度が低下する。
【0113】
(蛍光体の製造方法)
原料を所定の組成比となるように秤量する。製造工程中に飛散してしまうおそれ等を考慮して原料は所定の組成比よりも多く必要とする場合がある。
【0114】
秤量した原料を混合機等にて混合する。混合機は工業的に通常用いられているボールミルの他、振動ミル、ロールミル、ジェットミルなどの粉砕機を用いて粉砕して比表面積を大きくすることもできる。また、粉末の比表面積を一定範囲とするために、工業的に通常用いられている沈降槽、ハイドロサイクロン、遠心分離器などの湿式分離機;サイクロン、エアセパレータなどの乾式分級機を用いて分級することもできる。
【0115】
この混合した原料をSiC、石英、アルミナ等の坩堝に詰め、N2、H2の還元雰囲気中にて焼成を行う。焼成雰囲気はアルゴン雰囲気、アンモニア雰囲気なども使用することができる。焼成は所定の温度で数時間行う。
【0116】
焼成されたものを粉砕、分散、濾過等して目的の蛍光体粉末を得る。固液分離は濾過、吸引濾過、加圧濾過、遠心分離、デカンテーションなどの工業的に通常用いられる方法により行うことができる。乾燥は、真空乾燥機、熱風加熱乾燥機、コニカルドライヤー、ロータリーエバポレーターなどの工業的に通常用いられる装置により行うことができる。
【0117】
以下に、本発明の一実施形態に係る液晶表示装置に用いる白色LED装置バックライトの構造について詳述する。
【0118】
本発明の一実施形態に係る液晶表示装置に用いる白色LED装置バックライトの構造の一例として図4に示す組立図のような構造を挙げることができる。即ち、金属フレーム(又は樹脂枠)内に、反射シート、複数のLED(表面実装型発光装置)が側面に配置された導光板、拡散シート、2枚のプリズムシートが順次積層されて、白色LED装置バックライトが構成される。なお、複数のLED(表面実装型発光装置)は、基板に取り付けられている。
【0119】
LEDの構造の一例を図5に示す。ここで示すLEDは、表面実装型発光装置であるが、これに限定されるものではなく、従来から用いられている挿入型発光装置を用いることも可能である。前記表面実装型発光装置は、上方に開口する凹部を有する発光素子搭載筐体1の凹部の底面に、ダイボンド剤により発光素子2が貼付けられており、この発光素子2上に蛍光体3を分散した透光性樹脂4が覆っている。発光素子2の上部電極は、第1のワイヤ5により第1の外部電極6に接続され、下部電極は、第2のワイヤ7により第2の外部電極8に接続されている。なお、発光素子搭載筐体1の凹部の内面には、光反射材9が被覆されている。
【0120】
上述した発光素子は、窒化ガリウム系化合物半導体からなる発光層を有し、本実施形態で用いられる白色LED装置の発光スペクトルにおける第1のピーク波長を発光するものであり、かつ、上述した赤色発光蛍光体および緑色発光蛍光体の励起光源となるものである。窒化物系化合物半導体(一般式IniGajAlkN、但し、0≦i、0≦j、0≦k、i+j+k=1)としては、InGaNや各種不純物がドープされたGaNをはじめ、種々のものがある。この素子は、MOCVD法等により基板上にInGaNやGaN等の半導体を発光層として成長させることにより形成する。
【0121】
半導体の構造としては、MIS接合、PI接合やPN接合などを有するホモ構造、ヘテロ構造あるいはダブルヘテロ構造のものが挙げられる。この窒化物半導体層は、その材料やその混晶度によって発光波長を種々選択することができる。また、半導体活性層を量子効果が生ずる薄膜で形成した単一量子井戸構造や多量子井戸構造とすることもできる。
【0122】
以上のようにして得られた白色LED装置およびカラーフィルタを備えた液晶表示装置の構成についての一例を、以下に説明する。
【0123】
図6は、本発明の一実施形態に係る液晶表示装置の概略断面図である。図6に示す液晶表示装置は、TFT駆動型液晶表示装置の典型例であり、離間対向して配置された透明基板11,21を備え、それらの間には、液晶(LC)が封入されている。本発明の一実施形態に係る液晶表示装置には、TN(Twisted Nematic)、STN(Super Twisted Nematic)、IPS(In-Planes Switching)、VA(Vertical Alignment)、OCB(Optically Compensated Birefringence)、強誘電性液晶等の液晶を適用することができる。
【0124】
第1の透明基板11の内面には、TFT(Thin Film Transistor)アレイ12が形成されており、その上には例えばITOからなる透明電極層13が形成されている。透明電極層13の上には、配向層14が設けられている。また、透明基板11の外面には、偏光板15が形成されている。
【0125】
他方、第2の透明基板21の内面には、カラーフィルタ22が形成されている。カラーフィルタ22を構成する赤色、緑色および青色のフィルタセグメントは、ブラックマトリックス(図示せず)により分離されている。カラーフィルタ22を覆って、必要に応じて透明保護膜(図示せず) が形成され、さらにその上に、例えばITOからなる透明電極層23が形成され、透明電極層23を覆って配向層24が設けられている。また、透明基板21の外面には、偏光板25が形成されている。なお、偏光板15の下方には、バックライトユニット30が設けられる。
【実施例】
【0126】
以下の実施例により、本発明を具体的に説明するが、本発明は、これに限定されるものではない。
【0127】
[ バックライトの作製 ]
(白色LED装置バックライト作製例1)
正及び負の一対の外部電極がインサートされて閉じられた金型内に、筺体の主面に対向する下面側にあたるゲートから、溶融したポリフタルアミド樹脂を流し込み、硬化させて、筺体を形成する。筺体は、発光素子を収納可能な開口部を有し、この開口部底面から正及び負の外部電極が一方の主面が露出されるように一体的に成形されている。
【0128】
筺体側面から露出した正及び負の外部電極の各アウタリード部は、発光面と反対側の面の両端部で内側に折り曲げられている。このように形成された開口部の底面に対し、主波長ピークが455nmであるLEDチップをエポキシ樹脂にてダイボンドし、各外部電極とワイヤにて電気的に接続する。
【0129】
次に、シリコーン樹脂組成物3gに対して、525nm付近に発光ピークを持つハロシリケートCa8MgSi4O16Cl2:Euを約0.25g、660nm付近に発光ピークを持つ窒化物蛍光体CaAlSiBN3:Eu約0.06gを添加し、混合する。
【0130】
こうして得られた透光性樹脂を筺体開口部内に、開口部の両端部上面と同一平面ラインまで充填させる。最後に、70℃で3時間、更に150℃で1時間、熱処理を施す。このようにして、白色LED装置であるバックライト(1)を得た
(白色LEDバックライト作製例2)
白色LED装置の作製において、シリコーン樹脂組成物3gに対して、530nm付近に発光ピークを持つシリケート系蛍光体(Br,Sr)2SiO4:Euを約0.22g、660nm付近に発光ピークを持つ窒化物蛍光体CaAlSiBN3:Eu約0.04gを添加し、混合する以外は、上記作製例1と同様にして白色LED装置であるバックライト(2)を得た。
【0131】
バックライト(1)およびバックライト(2)について、最大発光強度を1とした場合の相対発光強度スペクトルを図7に示す。
【0132】
以上の2種のバックライトに組み合わせるカラーフィルタの赤色着色層作製用赤色感光性着色組成物は、有機顔料としてPR254、PR177及びPY150を用い、更に多官能チオールとしてトリメチロールプロパントリス(3-メルカプトブチレート)(以下TPMB)の添加量を振って、下記表1に示すような顔料比率およびTPMB量(固形分中重量比)の赤色感光性着色組成物1〜9を得た。
【表1】
【0133】
上記表1に示す赤色感光性着色組成物1、4、5、8、及び9を用い、バックライト(1)と組み合わせた際にx=0.620になるように膜厚を調整し、赤色着色層1〜5を形成し、バックライト(1)と赤色着色層1〜5との組合せを実施例1〜5とした。
【0134】
実施例1〜5で用いた赤色着色層1〜5の分光透過率特性を図8に示す。
【0135】
実施例1〜5で用いた赤色感光性着色組成物を用い、バックライト(1)と組み合わせた際にx=0.680になるように膜厚を調整し、赤色着色層6〜10を形成し、バックライト(1)との組合せを実施例6〜10とした。
【0136】
実施例6〜10で用いた赤色着色層6〜10の分光透過率特性を図9に示す。
【0137】
また、赤色感光性着色組成物1を用い、バックライト(2)と組み合わせた際にx=0.620になるように膜厚を調整し、赤色着色層11を形成し、バックライト(2)と赤色着色層11との組合せを比較例1とした。
【0138】
赤色感光性着色組成物6を用い、バックライト(2)と組み合わせた際にx=0.620になるように膜厚を調整し、赤色着色層13を形成し、バックライト(2)と赤色着色層13との組合せを比較例2とした。
【0139】
赤色感光性着色組成物2、3、7を用い、バックライト(1)と組み合わせた際にx=0.620になるように膜厚を調整し、赤色着色層14〜16を形成し、バックライト(1)と赤色着色層14〜16との組合せを比較例3〜5とした。
【0140】
比較例1〜5で用いた赤色着色層11〜16の分光透過率を図10に示す。
【0141】
比較例1〜5で用いた赤色感光性着色組成物とバックライトと同一の組み合わせで、x=0.680になるように膜厚を調整して赤色着色層17〜22を形成し、その組合せを比較例6〜10とした。
【0142】
比較例6〜10で用いた赤色着色層17〜22の分光透過率を図11に示す。
【0143】
以下、実施例、比較例の評価項目について説明する。
【0144】
[ 評価項目 ]
(バックライトにおける深紅性)
I:青色LEDと赤色発光蛍光体及び緑色発光蛍光体とを組み合わせて混色させた白色LEDであって、第1のピーク波長450〜470nm、第2のピーク波長510〜550nm、第3のピーク波長630〜670nmの三波長の白色LEDであるバックライト。
【0145】
II:青色LEDに黄蛍光体を組み合わせた2波長白色LEDバックライト。
【0146】
(カラーフィルタ赤色着色層形成に用いる赤色感光性着色組成物:顔料における深紅性)
A:赤色着色層形成に用いる赤色感光性着色組成物がPR177を固形分中の全有機顔料の80%以上含む。
【0147】
B:赤色着色層形成に用いる赤色感光性着色組成物がPR177を固形分中の全有機顔料の80%未満含む。
【0148】
(カラーフィルタ赤色着色層形成に用いる赤色感光性着色組成物:多官能チオール)
(1)赤色着色層形成に用いる赤色感光性着色組成物が多官能チオール(TPMB)を赤色感光性着色組成物の全固形分に対して0.1重量%以上20重量%以下含む。
【0149】
(2)赤色着色層形成に用いる赤色感光性着色組成物が多官能チオール(TPMB)を含まないもしくは赤色感光性着色組成物の全固形分に対して0.1重量%未満含む。
【0150】
(3)赤色着色層形成に用いる赤色感光性着色組成物が多官能チオール(TPMB)を赤色感光性着色組成物の全固形分に対して20重量%より多く含む。
【0151】
(赤色表示知覚評価)
○:赤色着色層の色度値がxy色度座標系で(0.620,0.280)、(0.620,0.300)、(0.680,0.315)、及び(0.680,0.280)を結ぶ色度範囲内であり、赤色に知覚される。
【0152】
×:赤色着色層の色度値がxy色度座標系で(0.620,0.280)、(0.620,0.300)、(0.680,0.315)、及び(0.680,0.280)を結ぶ色度範囲外で赤色に知覚されない。
【0153】
(y値が範囲より大きい場合、朱〜オレンジ色に知覚。y値が範囲より小さい場合、赤紫色に知覚)
(断面形状評価)
○:断面形状が順テーパー
×:断面形状が逆テーパー
(解像性評価)
○:20μmピッチのストライプパターンを解像可能
×:20μmピッチのストライプパターンを解像不可
[ 評価結果 ]
実施例1〜5の評価結果を表2に、実施例6〜10の評価結果を表3に、比較例1〜5の結果を表4に、比較例6〜10の結果を表5にそれぞれ示す。
【表2】
【0154】
【表3】
【0155】
【表4】
【0156】
【表5】
【0157】
上記表2、表3の結果より、青色LEDと赤色発光蛍光体及び緑色発光蛍光体とを組み合わせて混色させた白色LEDからなるバックライト(バックライト評価:I)と、深紅性の高い顔料PR177を有機顔料全固形分中に80%以上含む(顔料評価:A)赤色感光性着色組成物を用いて形成されたカラーフィルタとを組合せた場合(実施例1〜5)は、いずれも赤色表示特性が良好であった。
【0158】
また、青色LEDと赤色発光蛍光体及び緑色発光蛍光体とを組み合わせて混色させた白色LEDからなるバックライト(バックライト評価:I)と、深紅性の高い顔料PR177を有機顔料全固形分中に80%以上含む(顔料評価:A)赤色感光性着色組成物を用いて形成されたカラーフィルタとを組合せた場合、有機顔料中にイエロー顔料PY150を含んでいても(実施例3)、赤色表示特性としては規定色度範囲内となり、良好であった。このように、調色としてイエロー顔料を含む場合でも実施可能であるが、イエロー顔料での調色により、含まない系と比較すると深紅性は劣るため、過剰に含有することは望ましくない。
【0159】
上記表4及び表5に示すように、青色LEDと黄色発光蛍光体とを組み合わせて混色させた白色LED(バックライト評価:II)からなるバックライトを用いたのでは、深紅性の高い顔料PR177を有機顔料全固形分中に80%以上含む(顔料評価:A)赤色感光性着色組成物を用いて形成されたカラーフィルタを用いたとしても(比較例1及び6)、赤色表示特性は不良であった。
【0160】
また、バックライトの種類にかかわらず、深紅性の高い顔料PR177を有機顔料全固形分中に80%未満しか含まない(顔料評価:B)赤色感光性着色組成物を用いて形成されたカラーフィルタを用いた場合(顔料評価:B)には(比較例2、9)、赤色表示特性が不良であった。
【0161】
以上の結果より、バックライトが青色LEDと緑色発光蛍光体及び赤色発光蛍光体とを混色させた白色LEDであり、カラーフィルタの赤色着色層を形成する赤色感光性着色組成物が深紅性の高い顔料PR177を80%以上含む場合、赤色表示の際、xy色度座標系で4点(0.620,0.280)、(0.620,0.300)、(0.680,0.315)、及び(0.680,0.280)を結ぶ色度範囲内の赤色に知覚され得る深紅な色度を達成することが可能となることがわかった。
【図面の簡単な説明】
【0162】
【図1】青色LEDと赤色発光蛍光体及び緑色発光蛍光体とを組み合わせて混色させた白色LEDの発光特性を示す特性図。
【図2】冷陰極蛍光管(CCFL)の発光特性を示す特性図。
【図3】擬似白色LEDの発光特性を示す特性図。
【図4】LEDバックライトの構造を示す図。
【図5】白色LED装置の構造を示す断面図。
【図6】液晶表示装置の構造例を示す概略断面図。
【図7】バックライト(1)及び(2)の発光特性を示す特性図。
【図8】赤色着色層1〜5の分光透過率を示す特性図。
【図9】赤色着色層6〜10の分光透過率を示す特性図。
【図10】赤色着色層11〜16の分光透過率を示す特性図。
【図11】赤色着色層17〜22の分光透過率を示す特性図。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
青色LEDと赤色発光蛍光体及び緑色発光蛍光体とを組み合わせた白色LED装置を備えるバックライト、および透明基板上に赤色画素を含む複数色の着色画素の備えるカラーフィルタを具備する液晶表示装置であって、前記白色LED装置の発光スペクトルが、440nm以上470nm以下に第1のピーク波長、510nm以上550nm以下に第2のピーク波長、630nm以上670nm以下に第3ピーク波長を有し、前記赤色画素が、赤色感光性着色組成物の全固形分に対して0.1重量%以上20重量%以下の多官能チオールを含む赤色感光性着色組成物の硬化物により形成され、前記液晶表示装置の赤色色度が、xy色度座標系で以下の4点(0.620,0.280)、(0.620,0.300)、(0.680,0.315)、及び(0.680,0.280)を結ぶ色度範囲内であることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記赤色画素が、固形分の全有機顔料の80%以上の有機顔料CI.ピグメントナンバーPR177を含む赤色感光性着色組成物の硬化物により形成されたことを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記赤色発光蛍光体は、Euにより賦活され、第II族元素M、Si、Al、B、及びNを含む、下記一般式(I)で表される窒化物蛍光体であり、紫外線ないし青色光を吸収して赤色発光することを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
M1wAlxSiyBzN((2/3)w+x+(4/3)y+z):Eu2+ (I)
(式中、M1はMg、Ca、Sr、及びBaからなる群から選ばれる少なくとも1種であり、w、x、y、zは、0.056≦w≦9、x=1、0.056≦y≦18、0≦z≦0.5である。)
【請求項4】
前記緑色発光蛍光体は、下記一般式(II)で表されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の液晶表示装置。
Ba5−x−yEuxM2ySimO5+2m (II)
(式中、M2はCa及びSrの少なくとも1種であり、x、y、mは、0.0001≦x≦0.3、0≦y≦0.8、2.5<m<3.5である。)
【請求項5】
前記緑色発光蛍光体は、下記一般式(III)で表されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の液晶表示装置。
(M31−yRy)aMgM4bM5cOa+2b+(3/2)cX2 (III)
(式中、M3はCa、Sr、Ba、Zn、及びMnからなる群から選ばれる少なくとも1種、M4はSi、Ge、及びSnからなる群から選ばれる少なくとも1種、M5はB、Al、Ga、及びInからなる群から選ばれる少なくとも1種、XはF、Cl、Br、及びIからなる群から選ばれる少なくとも1種、Rは希土類元素から選択されるEuを必須とする少なくとも1種であり、y、a、b及びcは、0.0001≦y≦0.3、7.0≦a<10.0、3.0≦b<5.0、0≦c<1.0である。)
【請求項6】
前記緑色発光蛍光体は、下記一般式(IV)又は(V)で表されることを特徴とする請求項1又は2に記載の液晶表示装置。
LXM6YOZN((2/3)X+(4/3)Y−(2/3)Z):R (IV)
又は
LXM6YQTOZN((2/3)X+(4/3)Y+T−(2/3)Z):R (V)
(式中、Lは、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、及びZnからなる群から選ばれる第II族元素の少なくとも1種であり、M6は、C、Si、Ge、Sn、Ti、Zr、及びHfからなる群から選ばれる第IV族元素の少なくとも1種であり、Qは、B、Al、Ga、及びInからなる群から選ばれる第III族元素の少なくとも1種であり、Rは、希土類元素であり、X、Y、T、Zは、0.5<X<1.5、1.5<Y<2.5、0<T<0.5、1.5<Z<2.5である。)
【請求項7】
前記緑色発光蛍光体は、下記一般式(VI)で表されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の液晶表示装置。
(M71−XEuX)2SiYO2Y+2 (VI)
(式中、M7はBe、Mg、Ca、Sr、Ba、及びZnからなる群から選ばれる第II族元素の少なくとも1種であり、X及びYは、0.001≦X≦0.2、0.9≦Y≦1.1である。)
【請求項8】
前記緑色発光蛍光体は、下記一般式(VII)で表されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の液晶表示装置。
M8XAYXZ (VII)
(式中、M8はMn、Ce、Euからなる群から選ばれる少なくとも1種以上の元素であり、Aは、C、Si、Ge、Sn、B、Al、Ga、Inからなる群から選ばれる少なくとも1種以上の元素であり、Xは、O、Nから選らば得れる少なくとも1種以上の元素であり、X、Y、及びZは、0.00001≦X≦0.1、0.38≦Y≦0.46、0.54≦Z≦0.62、X+Y+Z=1である。)
【請求項9】
透明基板上に赤色画素を含む複数色の着色画素を備え、請求項1〜7に記載の液晶表示装置に用いることを特徴とするカラーフィルタ。
【請求項1】
青色LEDと赤色発光蛍光体及び緑色発光蛍光体とを組み合わせた白色LED装置を備えるバックライト、および透明基板上に赤色画素を含む複数色の着色画素の備えるカラーフィルタを具備する液晶表示装置であって、前記白色LED装置の発光スペクトルが、440nm以上470nm以下に第1のピーク波長、510nm以上550nm以下に第2のピーク波長、630nm以上670nm以下に第3ピーク波長を有し、前記赤色画素が、赤色感光性着色組成物の全固形分に対して0.1重量%以上20重量%以下の多官能チオールを含む赤色感光性着色組成物の硬化物により形成され、前記液晶表示装置の赤色色度が、xy色度座標系で以下の4点(0.620,0.280)、(0.620,0.300)、(0.680,0.315)、及び(0.680,0.280)を結ぶ色度範囲内であることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記赤色画素が、固形分の全有機顔料の80%以上の有機顔料CI.ピグメントナンバーPR177を含む赤色感光性着色組成物の硬化物により形成されたことを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記赤色発光蛍光体は、Euにより賦活され、第II族元素M、Si、Al、B、及びNを含む、下記一般式(I)で表される窒化物蛍光体であり、紫外線ないし青色光を吸収して赤色発光することを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
M1wAlxSiyBzN((2/3)w+x+(4/3)y+z):Eu2+ (I)
(式中、M1はMg、Ca、Sr、及びBaからなる群から選ばれる少なくとも1種であり、w、x、y、zは、0.056≦w≦9、x=1、0.056≦y≦18、0≦z≦0.5である。)
【請求項4】
前記緑色発光蛍光体は、下記一般式(II)で表されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の液晶表示装置。
Ba5−x−yEuxM2ySimO5+2m (II)
(式中、M2はCa及びSrの少なくとも1種であり、x、y、mは、0.0001≦x≦0.3、0≦y≦0.8、2.5<m<3.5である。)
【請求項5】
前記緑色発光蛍光体は、下記一般式(III)で表されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の液晶表示装置。
(M31−yRy)aMgM4bM5cOa+2b+(3/2)cX2 (III)
(式中、M3はCa、Sr、Ba、Zn、及びMnからなる群から選ばれる少なくとも1種、M4はSi、Ge、及びSnからなる群から選ばれる少なくとも1種、M5はB、Al、Ga、及びInからなる群から選ばれる少なくとも1種、XはF、Cl、Br、及びIからなる群から選ばれる少なくとも1種、Rは希土類元素から選択されるEuを必須とする少なくとも1種であり、y、a、b及びcは、0.0001≦y≦0.3、7.0≦a<10.0、3.0≦b<5.0、0≦c<1.0である。)
【請求項6】
前記緑色発光蛍光体は、下記一般式(IV)又は(V)で表されることを特徴とする請求項1又は2に記載の液晶表示装置。
LXM6YOZN((2/3)X+(4/3)Y−(2/3)Z):R (IV)
又は
LXM6YQTOZN((2/3)X+(4/3)Y+T−(2/3)Z):R (V)
(式中、Lは、Be、Mg、Ca、Sr、Ba、及びZnからなる群から選ばれる第II族元素の少なくとも1種であり、M6は、C、Si、Ge、Sn、Ti、Zr、及びHfからなる群から選ばれる第IV族元素の少なくとも1種であり、Qは、B、Al、Ga、及びInからなる群から選ばれる第III族元素の少なくとも1種であり、Rは、希土類元素であり、X、Y、T、Zは、0.5<X<1.5、1.5<Y<2.5、0<T<0.5、1.5<Z<2.5である。)
【請求項7】
前記緑色発光蛍光体は、下記一般式(VI)で表されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の液晶表示装置。
(M71−XEuX)2SiYO2Y+2 (VI)
(式中、M7はBe、Mg、Ca、Sr、Ba、及びZnからなる群から選ばれる第II族元素の少なくとも1種であり、X及びYは、0.001≦X≦0.2、0.9≦Y≦1.1である。)
【請求項8】
前記緑色発光蛍光体は、下記一般式(VII)で表されることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の液晶表示装置。
M8XAYXZ (VII)
(式中、M8はMn、Ce、Euからなる群から選ばれる少なくとも1種以上の元素であり、Aは、C、Si、Ge、Sn、B、Al、Ga、Inからなる群から選ばれる少なくとも1種以上の元素であり、Xは、O、Nから選らば得れる少なくとも1種以上の元素であり、X、Y、及びZは、0.00001≦X≦0.1、0.38≦Y≦0.46、0.54≦Z≦0.62、X+Y+Z=1である。)
【請求項9】
透明基板上に赤色画素を含む複数色の着色画素を備え、請求項1〜7に記載の液晶表示装置に用いることを特徴とするカラーフィルタ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−151245(P2009−151245A)
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−331148(P2007−331148)
【出願日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【出願人】(000226057)日亜化学工業株式会社 (993)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年7月9日(2009.7.9)
【国際特許分類】
【出願日】平成19年12月21日(2007.12.21)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【出願人】(000226057)日亜化学工業株式会社 (993)
【Fターム(参考)】
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