説明

液晶表示装置及び電子機器

【課題】電極形状に局所的な形状のバラツキが発生した場合でも、表示ムラが発生しにくく、画像表示領域全体で均一な画質を得ることができる液晶表示装置を提供する。
【解決手段】本発明の液晶表示装置は、同一基板上に画素電極9と共通電極19とが絶縁膜を介して積層されてなるFFS方式の液晶表示装置であって、画素電極9には複数の帯状電極9cが設けられ、帯状電極9cの幅をL、隣接する帯状電極同士の間に配置されたスリットScの幅をS、スリットScの長さをM、帯状電極9cとX軸との成す角度をθとしたときに、画素電極9は、比L/S、長さM、及び角度θのうちの少なくとも1つが不規則に形成された電極パターンを備えている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置及び電子機器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置の一形態として、液晶層に基板面方向の電界を作用させて液晶分子の配向制御を行う方式(以下、横電界方式と称する。)が知られている。横電界方式としては、IPS(In-Plane Switching)方式やFFS(Fringe-Field Switching)方式が知られている。横電界方式の液晶表示装置には、1サブ画素領域内に複数の帯状電極が形成され、帯状電極の周縁部に形成される基板水平方向の電界によって液晶分子の配向状態が制御される。帯状電極の形状は画像表示領域内で均一に形成される。例えば、帯状電極の幅をL、隣接する帯状電極同士の間に配置されるスリットの幅をSとした場合に、比L/Sは全ての帯状電極について等しく設計される。こうすることで、画像表示領域全体で均一な表示特性が実現される。
【特許文献1】特開2003−233083号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、スリットの幅Sや比L/Sは、製造誤差によって、画像表示領域全体で均一に形成されない場合がある。すなわち、帯状電極は、電極材料の表面に帯状のレジストパターンを形成し、このレジストパターンをマスクとして電極材料をエッチングすることにより形成される。レジストパターンは、露光マスクを用いて露光処理及び現像処理することにより形成されるが、露光マスクの撓みや、露光マスクを透過した光の回折等によって、レジストパターンの形状にバラツキが発生する場合がある。例えば、レジストパターンの幅をS、隣接するレジストパターン同士の間に配置されるスリットの幅をLとしたときに、比L/Sが異なる領域が1次元的又は2次元的な広がりを持って形成される場合がある。このような領域は、電圧−透過率特性が他の領域と異なるため、濃淡ムラとして視認され易く、画像の品質を低下させる原因となる。
【0004】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、画素電極を形成する際に電極形状に局所的な形状のバラツキが発生した場合でも、表示ムラが発生しにくく、画像表示領域全体で均一な画質を得ることができる液晶表示装置及び電子機器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記の課題を解決するため、本発明の液晶表示装置は、対向する一対の基板と、前記一対の基板間に挟持された液晶層と、前記一対の基板のうちの一方の基板の前記液晶層側に設けられた第1電極と、前記一方の基板の前記液晶層側において前記第1電極上に絶縁膜を介して対向配置された複数の第2電極とを備え、複数の前記第2電極が、互いに直交する第1配列軸と第2配列軸とに沿って前記一方の基板上に2次元的に配列されてなる液晶表示装置であって、前記第2電極には複数の帯状電極が設けられ、前記帯状電極の幅をL、隣接する帯状電極同士の間に配置されたスリットの幅をS、前記スリットの長さをM、前記帯状電極と前記第1配列軸との成す角度をθとしたときに、前記第2電極は、比L/S、長さM、及び角度θのうちの少なくとも1つが不規則に形成された電極パターンを備えていることを特徴とする。
この構成によれば、第2電極の形状が製造誤差によって目的とする形状から若干ずれたとしても、もともと比L/S、長さM、及び角度θのうちの少なくとも1つが不規則にばらついているので、製造誤差によるズレが目立たない。そのため、全体として、均一な画質が得られる。また、仮に製造誤差なく第2電極を形成できるとしても、この構成であれば全体として均一な画質を得ることができる。
【0006】
本発明においては、前記第2電極毎に、比L/S、長さM、及び角度θのうちの少なくとも1つが不規則に形成された複数種類の電極パターンの中から1種類の電極パターンが選択され、前記第1配列軸に沿って隣接する第2電極同士の間、及び前記第2配列軸に沿って隣接する第2電極同士の間で、選択される電極パターンの種類は不規則であることが望ましい。
この構成によれば、全ての第2電極について異なる電極パターンを設定する必要がないので、第2電極の設計が容易になる。
【0007】
本発明においては、前記第2電極毎に、比L/S、長さM、及び角度θのうちの少なくとも1つが不規則に形成された複数種類の電極パターンの中から1種類の電極パターンが選択され、互いに隣接する複数の第2電極によって構成される領域を単位領域としたときに、1つの単位領域内に配置される複数の第2電極の電極パターンの種類は互いに等しく、且つ、前記第1配列軸に沿って隣接する単位領域同士の間、及び前記第2配列軸に沿って隣接する単位領域同士の間で、選択される電極パターンの種類は不規則であることが望ましい。
この構成によれば、全ての第2電極について異なる電極パターンを設定する必要がないので、第2電極の設計が容易になる。
【0008】
本発明の液晶表示装置は、対向する一対の基板と、前記一対の基板間に挟持された液晶層と、前記一対の基板のうちの一方の基板の前記液晶層側に設けられた第1電極と、前記一方の基板の前記液晶層側において前記第1電極上に絶縁膜を介して対向配置された複数の第2電極とを備え、複数の前記第2電極が、互いに直交する第1配列軸と第2配列軸とに沿って前記一方の基板上に2次元的に配列されてなる液晶表示装置であって、前記第2電極には複数の帯状電極が設けられ、前記帯状電極の幅をL、隣接する帯状電極同士の間に配置されたスリットの幅をS、前記スリットの長さをM、前記帯状電極と前記第1配列軸との成す角度をθとしたときに、前記第2電極毎に、比L/S、長さM、及び角度θのうちの少なくとも1つが異なる複数種類の電極パターンの中から1種類の電極パターンが選択され、前記第1配列軸に沿って隣接する第2電極同士の間、及び前記第2配列軸に沿って隣接する第2電極同士の間で、選択される電極パターンの種類は不規則であることを特徴とする。
この構成によれば、第2電極の形状が製造誤差によって目的とする形状から若干ずれたとしても、もともと比L/S、長さM、及び角度θのうちの少なくとも1つが不規則にばらついているので、製造誤差によるズレが目立たない。そのため、全体として、均一な画質が得られる。また、全ての第2電極について異なる電極パターンを設定する必要がないので、第2電極の設計が容易になる。
【0009】
本発明の液晶表示装置は、対向する一対の基板と、前記一対の基板間に挟持された液晶層と、前記一対の基板のうちの一方の基板の前記液晶層側に設けられた第1電極と、前記一方の基板の前記液晶層側において前記第1電極上に絶縁膜を介して対向配置された複数の第2電極とを備え、複数の前記第2電極が、互いに直交する第1配列軸と第2配列軸とに沿って前記一方の基板上に2次元的に配列されてなる液晶表示装置であって、前記第2電極には複数の帯状電極が設けられ、前記帯状電極の幅をL、隣接する帯状電極同士の間に配置されたスリットの幅をS、前記スリットの長さをM、前記帯状電極と前記第1配列軸との成す角度をθとしたときに、前記第2電極毎に、比L/S、長さM、及び角度θのうちの少なくとも1つが異なる複数種類の電極パターンの中から1種類の電極パターンが選択され、互いに隣接する複数の第2電極によって構成される領域を単位領域としたときに、1つの単位領域内に配置される複数の第2電極の電極パターンの種類は互いに等しく、且つ、前記第1配列軸に沿って隣接する単位領域同士の間、及び前記第2配列軸に沿って隣接する単位領域同士の間で、選択される電極パターンの種類は不規則であることを特徴とする。
この構成によれば、第2電極の形状が製造誤差によって目的とする形状から若干ずれたとしても、もともと比L/S、長さM、及び角度θのうちの少なくとも1つが不規則にばらついているので、製造誤差によるズレが目立たない。そのため、全体として、均一な画質が得られる。また、全ての第2電極について異なる電極パターンを設定する必要がないので、第2電極の設計が容易になる。
【0010】
本発明の液晶表示装置は、対向する一対の基板と、前記一対の基板間に挟持された液晶層と、前記一対の基板のうちの一方の基板の前記液晶層側に設けられた第1電極と、前記一方の基板の前記液晶層側において前記第1電極上に絶縁膜を介して対向配置された複数の第2電極とを備え、複数の前記第2電極が、互いに直交する第1配列軸と第2配列軸とに沿って前記一方の基板上に2次元的に配列されてなる液晶表示装置であって、前記第2電極には複数の帯状電極が設けられ、前記帯状電極の幅をL、隣接する帯状電極同士の間に配置されたスリットの幅をS、前記スリットの長さをM、前記帯状電極と前記第1配列軸との成す角度をθとしたときに、前記第1配列軸に沿って隣接する帯状電極同士の間、及び前記第2配列軸に沿って隣接する帯状電極同士の間で、比L/S、長さM、及び角度θのうちの少なくとも1つが不規則に形成されていることを特徴とする。
この構成によれば、第2電極の形状が製造誤差によって目的とする形状から若干ずれたとしても、もともと比L/S、長さM、及び角度θのうちの少なくとも1つが不規則にばらついているので、製造誤差によるズレが目立たない。そのため、全体として、均一な画質が得られる。
【0011】
本発明においては、単位領域の大きさは、肉眼で視認できない大きさであることが望ましい。「肉眼で視認できない」とは、観察者が通常の使用態様で画面全体を直視する場合において視認できない若しくは注意が向かないことを意味し、顕微鏡等を用いて画像表示領域の一部を拡大観察する場合に視認できないことまでは意味しない。肉眼で視認できない大きさとしては、数百μm以下の大きさ、より好ましくは100μm以下の大きさを想定している。個人差にもよるが、数百μm以下の大きさであれば、肉眼でははっきりと視認できないと考えられるからである。単位領域の大きさは、小さすぎると、単位領域の数が増えるので、帯状電極の設計が複雑になる。したがって、単位領域に含まれる第2電極の数を一定の数以下(例えば10以下)に制限することが望ましい。
【0012】
本発明においては、前記電極パターンの種類は3種類以上であることが望ましい。
電極パターンの種類は2種類あれば表示ムラを防止する効果があるが、3種類以上とすることで、表示ムラの発生を確実に防止することができる。
【0013】
本発明の電子機器は、前述した本発明の液晶表示装置を備えていることを特徴とする。
この構成によれば、高品質な画像表示が可能な電子機器を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
[第1の実施の形態]
以下、本発明の第1実施形態に係る液晶表示装置を図面を参照して説明する。なお、以下の説明では、XYZ直交座標系を用いて部材の配置を説明する。本実施形態では、X軸方向を走査線の延在方向、Y軸方向をデータ線の延在方向、Z軸方向を観察者による画像表示領域の観察方向とする。各図面においては、各層や各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、各層や各部材毎に縮尺を異ならせてある。
【0015】
本実施形態の液晶表示装置は、液晶に対し略基板面方向の電界を印加して配向を制御することにより画像表示を行う方式のうち、FFS(Fringe Field Switching)方式と呼ばれる方式を採用した液晶表示装置である。また本実施形態の液晶表示装置は、基板上にカラーフィルタ層を具備したカラー液晶表示装置であり、R(赤)、G(緑)、B(青)の各色光を出力する3個のサブ画素で1個の画素を構成するものとなっている。以下の説明では、画像表示の最小単位となる領域を「サブ画素領域」と呼び、一組(R,G,B)のサブ画素によって構成される領域を「画素領域」と呼ぶ。また、X軸方向及び軸方向に2次元的に配列された複数の画素によって構成される領域を「画像表示領域」と呼ぶ。
【0016】
図1は、本実施形態の液晶表示装置100の等価回路図である。液晶表示装置100の画像表示領域を構成するマトリクス状に形成された複数のサブ画素領域には、画素電極9と画素電極9をスイッチング制御するためのTFT30とが形成されている。画素電極9と共通電極19との間には液晶層50が介在している。共通電極19は走査線駆動回路102から延びる共通線3bと電気的に接続されており、複数のサブ画素において共通の電位に保持されるようになっている。
【0017】
データ線駆動回路101から延びるデータ線6aがTFT30のソースと電気的に接続されている。データ線駆動回路101は、画像信号S1、S2、…、Snを、データ線6aを介して各サブ画素に供給する。前記画像信号S1〜Snはこの順に線順次に供給しても構わないし、相隣接する複数のデータ線6a同士に対して、グループ毎に供給するようにしてもよい。
【0018】
TFT30のゲートには、走査線駆動回路102から延びる走査線3aが電気的に接続されている。走査線駆動回路102から所定のタイミングで走査線3aにパルス的に供給される走査信号G1、G2、…、Gmが、この順に線順次でTFT30のゲートに印加されるようになっている。
【0019】
画素電極9は、TFT30のドレインに電気的に接続されている。スイッチング素子であるTFT30が走査信号G1、G2、…、Gmの入力により一定期間だけオン状態とされることで、データ線6aから供給される画像信号S1、S2、…、Snが所定のタイミングで画素電極9に書き込まれるようになっている。画素電極9を介して液晶に書き込まれた所定レベルの画像信号S1、S2、…、Snは、画素電極9と液晶を介して対向する共通電極19との間で一定期間保持される。
【0020】
図2は、液晶表示装置100の任意の1サブ画素領域の平面図である。液晶表示装置100のサブ画素領域には、平面視略梯子状を成すY軸方向に長手の画素電極(第2電極)9と、画素電極9と平面的に重なって配置された平面略矩形状の共通電極(第1電極)19とが設けられている。画素電極9は、概略X軸方向に延びる複数本(図示では15本)の帯状電極9cと、これらの帯状電極9cの両端部と接続された平面視略矩形枠状の枠体部9aとを備えている。
【0021】
画素電極9には、X軸と略平行に延在する複数のスリットSc(スリット状の開口部)が設けられている。スリットScの枠体部9a側の両端部には、スリットScの中心を通ってX軸に平行な軸から離間する方向に湾曲した湾曲部Se,Sfが形成されている。スリットScにおいて湾曲部Se,Sf以外の部分は、直線状に形成された直線部Sdとされている。直線部Sdは、X軸に対して若干傾いて配置されている。本実施形態の場合、直線部Sdは、X軸から時計回りに鋭角θだけ交差する方向に延びている。湾曲部Seは、直線部Sdのデータ線6aとは反対側の端部に設けられており、スリットSc(直線部Sd)の中央部における中心線(Y軸に平行な線)と比較してデータ線6aから離間するにしたがって走査線3aに近接するように湾曲している。湾曲部Sfは、直線部Sdのデータ線6a側の端部に設けられており、スリットSc(直線部Sd)の中央部における中心線(Y軸に平行な線)と比較してデータ線6aに接近するにしたがって走査線3aから離間するように湾曲している。
【0022】
画素電極9には、複数のスリットScにより、互いに平行にY軸方向に配列された複数の帯状電極9cが形成されている。帯状電極9cの枠体部9aと接続される両端部には、帯状電極9cの中心を通ってX軸に平行な軸から離間する方向に湾曲した湾曲部9e,9fが形成されている。帯状電極9cにおいて湾曲部9e,9f以外の部分は、直線状に形成された直線部9dとされている。直線部9dは、X軸に対して若干傾いて配置されている。本実施形態の場合、直線部9dの延在方向は、X軸に対して時計回りの方向に角度θだけ鋭角に交差する方向である。湾曲部9eは、直線部9dのデータ線6aとは反対側の端部に設けられており、帯状電極9c(直線部9d)の中央部における中心線(Y軸に平行な線)と比較してデータ線6aから離間するにしたがって走査線3aに近接するように湾曲している。湾曲部9fは、直線部9dのデータ線6a側の端部に設けられており、帯状電極9c(直線部9d)の中央部における中心線(Y軸に平行な線)と比較してデータ線6aに接近するにしたがって走査線3aから離間するように湾曲している。
【0023】
図2において、湾曲部9e、9fは、滑らかな曲線状に形成されているが、湾曲部9e,9fを複数の直線部、或いは曲線部と直線部とにより形成しても良い。この場合、直線部や曲線部は、液晶分子が回転する方向と同方向の回転を液晶分子に付与する電界が発生する傾斜部を備えていることが望ましい。図2の液晶表示装置の場合、湾曲部9e,9fの端部(枠体部9aとの接続部)以外の部分が前記傾斜部となっている。
【0024】
本実施形態の場合、スリットScの直線部Sdの幅S(直線部Sdと直交する方向の幅)は、全てのスリットScにおいて等しく形成されている。直線部Sdの長さ(直線部Sdの延在方向と平行な方向の長さ)は、画素電極9のY軸方向両端部に形成されたスリットSを除き、全てのスリットSにおいて等しく形成されている。また、直線部SdとX軸との成す角度θは、全てのスリットSにおいて等しく形成されている。
【0025】
一方、直線部Sd同士のY軸方向の間隔(S1,S2)は、画素電極9内で不規則に形成されている。それにより、帯状電極9cの直線部9dのY軸方向の幅(L1,L2)は、画素電極9内で不規則に形成されている。直線部9dの該直線部9dと直交する方向の幅をL、直線部Sdの該直線部Sdと直交する方向の幅をSとしたときに、1つのサブ画素領域内に配置される複数の帯状電極同士の間で、比L/Sは不規則に形成されている。
【0026】
なお、図2では1つの画素電極9のみを示したが、画素電極9の形状は各サブ画素領域について共通である。すなわち、画素電極9は、1つのサブ画素領域内では、比L/Sが不規則に形成された電極パターンを備えているが、X軸方向及びY軸方向にマトリクス状に配列された複数のサブ画素領域同士の間では、各画素電極9の電極パターンは全て等しく形成されている。
【0027】
サブ画素領域には、Y軸方向に延びるデータ線6aと、X軸方向に延びる走査線3aとが形成されている。データ線6aと走査線3aとの交差部の近傍には、TFT30が設けられている。TFT30は走査線3aと部分的に重なるように形成されたアモルファスシリコンからなる半導体層35と、半導体層35と一部平面的に重なって形成されたソース電極6b及びドレイン電極32とを備えている。走査線3aは半導体層35と平面的に重なる位置でTFT30のゲート電極として機能する。ソース電極6bは、データ線6aから分岐されて半導体層35に延びている。ドレイン電極32上には、画素電極9が配置されており、両者が平面的に重なる位置には画素コンタクトホール45が設けられている。そして、画素コンタクトホール45を介してドレイン電極32と画素電極9とが電気的に接続されている。
【0028】
図3は、図2のA−A′線に沿う断面図である。液晶表示装置100は、TFTアレイ基板10と、TFTアレイ基板10と対向配置された対向基板20と、TFTアレイ基板10と対向基板20との間に挟持された液晶層50と、TFTアレイ基板10の外面側(液晶層50と反対側)に設けられた第1偏光板14と、対向基板20の外面側に設けられた第2偏光板24と、第1偏光板14の外面側に設けられた照明装置90と、を備えている。そして、導光板91と反射板92とを備えた照明装置90によって第1偏光板14の外面側から照明光が照射される構成となっている。
【0029】
TFTアレイ基板10は、ガラスや石英、プラスチック等の透光性の基板本体10Aを基体としてなり、基板本体10Aの内面側(液晶層50側)には、走査線3aが形成されており、走査線3aを覆って、酸化シリコン等の透明絶縁膜からなるゲート絶縁膜11が形成されている。
【0030】
ゲート絶縁膜11上には、アモルファスシリコンの半導体層35が形成されており、半導体層35に一部乗り上げるようにしてソース電極6bと、ドレイン電極32とが設けられている。半導体層35は、ゲート絶縁膜11を介して走査線3aと対向しており、当該対向領域で走査線3aがTFT30のゲート電極を構成するようになっている。
【0031】
半導体層35、ソース電極6b、及びドレイン電極32を覆って、酸化シリコン等からなる第1層間絶縁膜12が形成されている。第1層間絶縁膜12上に、ITO等の透明導電材料からなる平面ベタ状の共通電極19が形成されている。共通電極19を覆って、酸化シリコン等からなる第2層間絶縁膜13が形成されており、第2層間絶縁膜13上にITO等の透明導電材料からなる画素電極9がパターン形成されている。
【0032】
第1層間絶縁膜12及び第2層間絶縁膜13を貫通してドレイン電極32に達する画素コンタクトホール45が形成されている。そして、画素コンタクトホール45内に画素電極9の一部が埋設されて、画素電極9とドレイン電極32とが電気的に接続されている。画素コンタクトホール45の形成領域に対応して共通電極19にも開口部が設けられており、共通電極19と画素電極9とが接触しないようになっている。
【0033】
画素電極9を覆う第2層間絶縁膜13上の領域には、ポリイミド等からなる第1配向膜18が形成されている。第1配向膜18はラビング処理等の配向処理を施されて液晶を所定方向に配向させるようになっている。第1配向膜18による配向規制方向は、本実施形態の場合、走査線3aの延在方向と平行であり、画素電極9のスリットSの延在方向とは交差する方向である。
【0034】
対向基板20は、ガラスや石英、プラスチック等の透光性の基板本体20Aを基体としてなり、基板本体20Aの内面側(液晶層50側)には、カラーフィルタ層22が設けられている。カラーフィルタ層22は、サブ画素領域に対応して配置されており、例えばアクリルなどで構成されて各サブ画素の表示色に対応する色材を含有している。
【0035】
カラーフィルタ層22の内面側には、ポリイミド等からなる第2配向膜28が形成されている。第2配向膜28はTFTアレイ基板10側の第1配向膜18と同様の構成であり、第2配向膜28による配向規制方向は、第1配向膜18の配向規制方向と反平行であり、したがって液晶層50は、TFTアレイ基板10と対向基板20との間で、水平配向の初期配向状態を呈する。
【0036】
図4は、液晶表示装置100を構成する光学素子等の光学軸の配置関係の説明図である。第1偏光板14の透過軸155はY軸と平行である。第2偏光板24の透過軸153はX軸と平行である。配向膜18,28は平面視同一方向にラビング処理されており、その方向は、ラビング方向151である。ラビング方向(配向規制方向)151はX軸方向と平行である。画素電極9と共通電極19との間に発生する横電界の方向158は、画素電極に形成される帯状電極9cの延在方向と直交する方向である。帯状電極9cはX軸から時計回りに5°〜15°で交差する方向に延びている。そのため、画素電極9と共通電極19との間に発生する横電界の方向158は、Y軸から時計回りに5°〜15°(図4では符号θで示している)を成す方向である。
【0037】
上記構成の液晶表示装置100では、TFT30を介して画素電極9に画像信号(電圧)を供給することで、画素電極9と共通電極19との間に基板面方向の電界を生じさせ、この電界によって液晶を駆動する。そして、サブ画素領域毎に透過率を変更させて表示を行う。すなわち、画素電極9に電圧を印加しない状態において、液晶層50を構成する液晶分子は、ラビング方向と平行に水平配向している。そして、画素電極9及び共通電極19を介して画素電極9を構成する帯状電極9cの延在方向に対して直交する方向の電界を液晶層50に発生させると、液晶分子が基板面内で回転し、電界の方向と平行な方向に配向する。
【0038】
照明装置90から射出された照明光は、第1偏光板14を透過することで、第1偏光板14の透過軸に沿う直線偏光に変換され、液晶層50に入射する。そして、液晶層50がオフ状態(非選択状態)であれば、液晶層50に入射した直線偏光は、入射時と同一の偏光状態で液晶層50から出射する。この直線偏光は、直線偏光と直交する透過軸を有する第2偏光板24に吸収されて、サブ画素領域が暗表示となる。一方、液晶層50がオン状態(選択状態)であれば、液晶層50に入射した直線偏光は、液晶層50により所定の位相差(1/2波長)が付与されて、入射時の偏光方向から90°回転した直線偏光に変換されて液晶層50から射出される。この直線偏光は、第2偏光板24の透過軸と平行であるため、偏光板24を透過して表示光として視認され、サブ画素領域が明表示となる。以上により、ノーマリブラックモードの液晶表示装置が実現される。
【0039】
ここで、図2に示したように、1画素電極内には、帯状電極9cの幅LとスリットScの幅Sとの比L/SがY軸方向において不規則に形成された電極パターンが形成されている。そのため、画素電極9を形成する工程で、製造誤差によって、画素電極の形状が目的とする形状から若干ずれたとしても、もともと比L/Sの大きさが不規則にばらついているので、製造誤差によるズレが目立たない。そのため、全体として、均一な画質が得られる。
【0040】
なお、本実施形態では、画素電極9の電極パターンを全ての画素電極について等しく形成したが、画素電極9の電極パターンは、画素電極9毎、或いは複数の画素電極9からなる単位領域毎に異ならせても良い。
【0041】
図5(a)は、画素電極9の電極パターンをX軸方向及びY軸方向において不規則に形成した場合の画像表示領域の平面模式図である。図5(a)では、比L/Sが不規則に形成された電極パターンを3種類用意し(電極パターンA、電極パターンA、電極パターンA)、画素電極9毎に、3種類の電極パターンA、A、Aの中から1種類の電極パターンを選択している。X軸に沿って隣接する画素電極9同士の間、及びY軸に沿って隣接する画素電極9同士の間では、選択される電極パターンの種類は不規則である。
【0042】
なお、図5(a)では電極パターンの種類を3種類としたが、電極パターンの種類は3種類に限らず、2種類、又は4種類以上とすることもできる。
【0043】
図5(b)は、互いに隣接する複数の画素電極9によって構成される領域を単位領域とし、単位領域毎に、画素電極9の電極パターンを不規則に形成した場合の画像表示領域の平面模式図である。図5(b)では、比L/Sが不規則に形成された電極パターンを3種類用意し(電極パターンA、電極パターンA、電極パターンA)、X軸に沿って隣接する3つの画素電極9によって構成される単位領域毎(この場合、画素領域毎)に、3種類の電極パターンA、A、Aの中から1種類の電極パターンを選択している。1つの単位領域内に配置される複数の画素電極9の電極パターンの種類は互いに等しいが、X軸に沿って隣接する単位領域同士の間、及びY軸に沿って隣接する単位領域同士の間では、選択される電極パターンの種類は不規則である。
【0044】
なお、図5(b)では電極パターンの種類を3種類としたが、電極パターンの種類は3種類に限らず、2種類、又は4種類以上とすることもできる。
【0045】
また、単位領域は、X軸に沿って隣接する3つの画素電極9によって構成される領域に限らず、X軸に沿って隣接する2つ又は4つ以上の画素電極9によって構成される領域、或いはY軸に沿って隣接する2つ以上の画素電極9によって構成される領域としても良い。さらに、X軸に沿って隣接するm列分の画素電極及びY軸に沿って隣接するn行分の画素電極によって構成される領域(m列×n行分の複数の画素電極9からなる領域)を単位領域として、単位領域毎に、選択される画素電極9の電極パターンを不規則に形成しても良い。
【0046】
この場合、単位領域の大きさは、肉眼で視認できない大きさであることが望ましい。「肉眼で視認できない」とは、観察者が通常の使用態様で画面全体を直視する場合において視認できない若しくは注意が向かないことを意味し、顕微鏡等を用いて画像表示領域の一部を拡大観察する場合に視認できないことまでは意味しない。肉眼で視認できない大きさとしては、数百μm以下の大きさ、より好ましくは100μm以下の大きさを想定している。個人差にもよるが、数百μm以下の大きさであれば、肉眼でははっきりと視認できないと考えられるからである。単位領域の大きさは、小さすぎると、単位領域の数が増えるので、帯状電極の設計が複雑になる。したがって、単位領域に含まれる画素電極9の数を一定の数以下(例えば10以下)に制限することが望ましい。
【0047】
図5(c)は、画素電極9の電極パターンを全ての画素電極9について異ならせた場合の画像表示領域の平面模式図である。図5(c)では、比L/Sが不規則に形成された電極パターンをサブ画素領域の数だけ用意する。この場合、X軸に沿って隣接する帯状電極同士の間、及びY軸に沿って隣接する帯状電極同士の間で、比L/Sが不規則に形成されることとなる。
【0048】
[第2の実施の形態]
図6は、本発明の第2実施形態に係る液晶表示装置200の任意の1サブ画素領域における平面構成図である。本実施形態において、第1実施形態に係る液晶表示装置と共通の構成については、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0049】
本実施形態の場合、スリットScの直線部Sdの幅S(直線部Sdと直交する方向の幅)は、全てのスリットScにおいて等しく形成されている。しかしながら、直線部Sd同士のY軸方向の間隔は、画素電極9内で不規則に形成されている。また、直線部Sdの長さ(直線部Sdの延在方向と平行な方向の長さ、或いはX軸方向の長さ(W1,W2))や、直線部SdとX軸との成す角度(θ,θ)も、画素電極9内で不規則に形成されている。そのため、直線部Sdの長さをM、直線部SdとX軸との成す角度をθとしたときに、1画素電極内で、長さM及び角度θが不規則に形成された電極パターンが形成されている。
【0050】
なお、図6では1つの画素電極9のみを示したが、画素電極9の形状は各サブ画素領域について共通である。すなわち、画素電極9は、1つのサブ画素領域内では、長さM及び角度θが不規則に形成された電極パターンを備えているが、X軸方向及びY軸方向にマトリクス状に配列された複数のサブ画素領域同士の間では、各画素電極9の電極パターンは全て等しく形成されている。
【0051】
本実施形態の液晶表示装置200によれば、画素電極9を形成する工程で、製造誤差によって、画素電極の形状が目的とする形状から若干ずれたとしても、もともと長さM及び角度θが不規則にばらついているので、製造誤差によるズレが目立たない。そのため、全体として、均一な画質が得られる。
【0052】
なお、本実施形態では、1画素電極内において、長さM及び角度θの全てを不規則に形成したが、長さMと角度θは、少なくとも一方が不規則に形成されていれば良く、それにより本実施形態と同様の効果が得られる。
【0053】
また、本実施形態では、画素電極9の電極パターンを全ての画素電極について等しく形成したが、画素電極9の電極パターンは、画素電極9毎、或いは複数の画素電極9からなる単位領域毎に異ならせても良い。
【0054】
例えば、図5(a)に示したように、長さMと角度θとのうちの少なくとも1つが不規則に形成された電極パターンを複数種類用意し(図5(a)では電極パターンA、電極パターンA、電極パターンA)、画素電極9毎に、複数種類の電極パターンA、A、Aの中から1種類の電極パターンを選択しても良い。この場合、X軸に沿って隣接する画素電極9同士の間、及びY軸に沿って隣接する画素電極9同士の間では、選択される電極パターンの種類は不規則である。
【0055】
また、図5(b)に示したように、長さMと角度θとのうちの少なくとも1つが不規則に形成された電極パターンを複数種類用意し(図5(b)では電極パターンA、電極パターンA、電極パターンA)、互いに隣接する複数の画素電極9によって構成される単位領域毎に、前記複数種類の電極パターンA、A、Aの中から1種類の電極パターンを選択しても良い。1つの単位領域内に配置される複数の画素電極9の電極パターンの種類は互いに等しいが、X軸に沿って隣接する単位領域同士の間、及びY軸に沿って隣接する単位領域同士の間では、選択される電極パターンの種類は不規則である。
【0056】
また、図5(c)に示したように、長さMと角度θとのうちの少なくとも1つが不規則に形成された電極パターンをサブ画素領域の数だけ用意し、全ての画素電極の電極パターンを異ならせても良い。この場合、X軸に沿って隣接する帯状電極同士の間、及びY軸に沿って隣接する帯状電極同士の間で、長さMと角度θとのうちの少なくとも1つが不規則に形成されることとなる。
【0057】
[第3の実施の形態]
図7は、本発明の第3実施形態に係る液晶表示装置300の任意の1サブ画素領域における平面構成図である。本実施形態において、第1実施形態及び第2実施形態に係る液晶表示装置と共通の構成については、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0058】
本実施形態の液晶表示装置300は、画素電極9がいわゆるマルチドメイン構造となっている。すなわち、画素電極9に形成されるスリットScの延在方向は、サブ画素領域において走査線3aに近接する側の半分の領域と走査線3aから離間する側の他の半分の領域とで異なっている。複数のスリットScのうち走査線3aに近接する側の半分の領域に形成されたスリットScは、データ線6aから離間するにしたがって走査線3aから離間するように延在している。また、複数のスリットScのうち走査線3aから離間する側の半分の領域に形成されたスリットScは、データ線6aから離間するにしたがって走査線3aに近接するように延在している。スリットScには湾曲部は形成されていない。したがって、スリットScは直線部のみで形成されており、帯状電極9cにも湾曲部は形成されない。
【0059】
本実施形態の場合、スリットScの長さ(スリットScの延在方向と平行な方向の長さ)は、全てのスリットScにおいて等しく形成されている。しかしながら、スリット同士のY軸方向の間隔は、画素電極内で不規則に形成されている。また、スリットScの幅(スリットScと直交する方向の幅)や、スリットScとX軸との成す角度も、画素電極9内で不規則に形成されている。そのため、スリットScの長さをM、スリットScとX軸との成す角度をθとしたときに、1画素電極内で、角度θが不規則に形成された電極パターンが形成されている。
【0060】
なお、図7では1つの画素電極9のみを示したが、画素電極9の形状は各サブ画素領域について共通である。すなわち、画素電極9は、1つのサブ画素領域内では、角度θが不規則に形成された電極パターンを備えているが、X軸方向及びY軸方向にマトリクス状に配列された複数のサブ画素領域同士の間では、各画素電極9の電極パターンは全て等しく形成されている。
【0061】
本実施形態の液晶表示装置300によれば、画素電極9を形成する工程で、製造誤差によって、画素電極の形状が目的とする形状から若干ずれたとしても、もともと角度θが不規則にばらついているので、製造誤差によるズレが目立たない。そのため、全体として、均一な画質が得られる。
【0062】
なお、本実施形態では、1画素電極内において角度θを不規則に形成したが、角度θの代わりに、帯状電極の幅Lとスリットの幅Sとの比L/Sや、スリットの長さMを不規則に形成してもよく、それにより本実施形態と同様の効果が得られる。
【0063】
また、本実施形態では、画素電極9の電極パターンを全ての画素電極について等しく形成したが、画素電極9の電極パターンは、画素電極9毎、或いは複数の画素電極9からなる単位領域毎に異ならせても良い。
【0064】
例えば、図5(a)に示したように、比L/S、長さM、又は角度θのうちの少なくとも1つが不規則に形成された電極パターンを複数種類用意し(図5(a)では電極パターンA、電極パターンA、電極パターンA)、画素電極9毎に、複数種類の電極パターンA、A、Aの中から1種類の電極パターンを選択しても良い。この場合、X軸に沿って隣接する画素電極9同士の間、及びY軸に沿って隣接する画素電極9同士の間では、選択される電極パターンの種類は不規則である。
【0065】
また、図5(b)に示したように、比L/S、長さM、又は角度θのうちの少なくとも1つが不規則に形成された電極パターンを複数種類用意し(図5(b)では電極パターンA、電極パターンA、電極パターンA)、互いに隣接する複数の画素電極9によって構成される単位領域毎に、前記複数種類の電極パターンA、A、Aの中から1種類の電極パターンを選択しても良い。1つの単位領域内に配置される複数の画素電極9の電極パターンの種類は互いに等しいが、X軸に沿って隣接する単位領域同士の間、及びY軸に沿って隣接する単位領域同士の間では、選択される電極パターンの種類は不規則である。
【0066】
また、図5(c)に示したように、比L/S、長さM、又は角度θのうちの少なくとも1つが不規則に形成された電極パターンをサブ画素領域の数だけ用意し、全ての画素電極の電極パターンを異ならせても良い。この場合、X軸に沿って隣接する帯状電極同士の間、及びY軸に沿って隣接する帯状電極同士の間で、比L/S、長さM、又は角度θのうちの少なくとも1つが不規則に形成されることとなる。
【0067】
[第4の実施の形態]
図8は、本発明の第4実施形態に係る液晶表示装置の任意の1サブ画素領域における平面構成図である。本実施形態において、第1実施形態及び第2実施形態に係る液晶表示装置と共通の構成については、同じ符号を付し、詳細な説明は省略する。
【0068】
第1実施形態から第3実施形態までの液晶表示装置では、1画素電極内に、スリットの形状又は配置が不規則に形成された電極パターンが形成されていた。すなわち、帯状電極の幅をL、隣接する帯状電極同士の間に配置されたスリットの幅をS、スリットの長さをM、帯状電極とX軸との成す角度をθとしたときに、画素電極は、比L/S、長さM、及び角度θのうちの少なくとも1つが不規則に形成された電極パターンを備えていた。しかしながら、図5のような構成の場合、1画素電極内で、比L/S、長さM、及び角度θは必ずしも不規則に形成されている必要はない。
【0069】
例えば、図8(a)に示した電極パターンAと、図8(b)に示した電極パターンAと、図8(c)に示した電極パターンAとを用意し、画素電極毎に、電極パターンA、電極パターンA、及び電極パターンAの中から1種類の電極パターンを選択する。そして、図5(a)に示したように、X軸に沿って隣接する画素電極同士の間、及びY軸に沿って隣接する画素電極同士の間で、選択される電極パターンの種類を不規則に形成する。
【0070】
電極パターンA、電極パターンA、及び電極パターンAは、比L/Sの大きさが互いに異なっている。すなわち、電極パターンAでは、スリットScの幅はS1、帯状電極9cの幅はL1であり、1画素電極内で、比L1/S1は一定の大きさで形成されている。また、長さM及び角度θも、全てのスリットScで等しく形成されている。電極パターンAでは、スリットScの幅はS1、帯状電極9cの幅はL2(<L1)であり、1画素電極内で、比L2/S1は一定の大きさで形成されている。また、長さM及び角度θも、全てのスリットScで等しく形成されている。電極パターンAでは、スリットScの幅はS1、帯状電極9cの幅はL3(<L2)であり、1画素電極内で、比L3/S1は一定の大きさで形成されている。また、長さM及び角度θも、全てのスリットScで等しく形成されている。
【0071】
図8では、比L/Sの大きさを互いに異ならせた3つの電極パターンを用意したが、電極パターンの種類はこのようなものに限定されない。すなわち、比L/S、長さM、及び角度θのうちの少なくとも1つが異なる複数種類の電極パターンを用意し、画素電極毎に、前記複数種類の電極パターンの中から1種類の電極パターンを選択すれば良い。そして、図5(a)に示したように、X軸に沿って隣接する画素電極同士の間、及びY軸に沿って隣接する画素電極同士の間で、選択される電極パターンの種類を不規則に形成する。異なる電極パターン同士の間では、比L/S、長さM、及び角度θは、少なくとも1つが異なっていれば良く、比L/S、長さM、及び角度θが画素電極内で不規則に形成されている必要はない。
【0072】
同様の電極パターンを用いて、図5(b)に示したような電極パターンの配置を行うこともできる。すなわち、互いに隣接する複数の画素電極によって構成される領域を単位領域としたときに、1つの単位領域内に配置される複数の画素電極の電極パターンの種類を互いに等しくし、且つ、X軸に沿って隣接する単位領域同士の間、及びY軸に沿って隣接する単位領域同士の間で、選択される電極パターンの種類を不規則に形成する。
【0073】
さらに、同様の電極パターンを用いて、図5(c)に示したような電極パターンの配置を行うこともできる。すなわち、電極パターンをサブ画素領域の数だけ用意し、全ての画素電極の電極パターンを異ならせても良い。この場合、X軸に沿って隣接する帯状電極同士の間、及びY軸に沿って隣接する帯状電極同士の間で、比L/S、長さM、及び角度θのうちの少なくとも1つを不規則に形成される。
【0074】
いずれの場合も、画素電極を形成する工程で、製造誤差によって、画素電極の形状が目的とする形状から若干ずれたとしても、もともと画素電極同士の間で、比L/S、長さM、及び角度θのうちの少なくとも1つが不規則にばらついているので、製造誤差によるズレが目立たない。そのため、全体として、均一な画質が得られる。
【0075】
[電子機器]
図9は、本発明の電子機器の一例である携帯電話1300の斜視図である。携帯電話1300は、本発明の液晶表示装置を小サイズの表示部1301として備え、複数の操作ボタン1302、受話口1303、及び送話口1304を備えて構成されている。携帯電話1300は、前述した実施形態の液晶表示装置を備えているので、均一な画質を有する画像表示が可能である。
【0076】
なお、上記実施の形態の液晶表示装置は、上記携帯電話に限らず、電子ブック、パーソナルコンピュータ、ディジタルスチルカメラ、液晶テレビ、ビューファインダ型あるいはモニタ直視型のビデオテープレコーダ、カーナビゲーション装置、ページャ、電子手帳、電卓、ワードプロセッサ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネルを備えた機器等々の画像表示手段として好適に用いることができ、いずれの電子機器においても、均一な画質を有する画像表示が可能である。
【図面の簡単な説明】
【0077】
【図1】第1実施形態の液晶表示装置の等価回路図である。
【図2】液晶表示装置の1サブ画素の平面図である。
【図3】図2のA−A′断面図である。
【図4】液晶表示装置の光学軸の配置関係の説明図である。
【図5】電極パターンの配置のバリエーションを示す平面模式図である。
【図6】第2実施形態の液晶表示装置の1サブ画素の平面図である。
【図7】第3実施形態の液晶表示装置の1サブ画素の平面図である。
【図8】第4実施形態の液晶表示装置の電極パターンの説明図である。
【図9】電子機器の一例である携帯電話の斜視図である。
【符号の説明】
【0078】
9…画素電極(第2電極)、9c…帯状電極、10…TFTアレイ基板、13…第2層間絶縁膜、19…共通電極(第1電極)、20…対向基板、50…液晶層、100,200,300…液晶表示装置、1300…携帯電話(電子機器)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
対向する一対の基板と、前記一対の基板間に挟持された液晶層と、前記一対の基板のうちの一方の基板の前記液晶層側に設けられた第1電極と、前記一方の基板の前記液晶層側において前記第1電極上に絶縁膜を介して対向配置された複数の第2電極とを備え、複数の前記第2電極が、互いに直交する第1配列軸と第2配列軸とに沿って前記一方の基板上に2次元的に配列されてなる液晶表示装置であって、
前記第2電極には複数の帯状電極が設けられ、
前記帯状電極の幅をL、隣接する帯状電極同士の間に配置されたスリットの幅をS、前記スリットの長さをM、前記帯状電極と前記第1配列軸との成す角度をθとしたときに、前記第2電極は、比L/S、長さM、及び角度θのうちの少なくとも1つが不規則に形成された電極パターンを備えていることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記第2電極毎に、比L/S、長さM、及び角度θのうちの少なくとも1つが不規則に形成された複数種類の電極パターンの中から1種類の電極パターンが選択され、
前記第1配列軸に沿って隣接する第2電極同士の間、及び前記第2配列軸に沿って隣接する第2電極同士の間で、選択される電極パターンの種類は不規則であることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記第2電極毎に、比L/S、長さM、及び角度θのうちの少なくとも1つが不規則に形成された複数種類の電極パターンの中から1種類の電極パターンが選択され、
互いに隣接する複数の第2電極によって構成される領域を単位領域としたときに、1つの単位領域内に配置される複数の第2電極の電極パターンの種類は互いに等しく、且つ、前記第1配列軸に沿って隣接する単位領域同士の間、及び前記第2配列軸に沿って隣接する単位領域同士の間で、選択される電極パターンの種類は不規則であることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
対向する一対の基板と、前記一対の基板間に挟持された液晶層と、前記一対の基板のうちの一方の基板の前記液晶層側に設けられた第1電極と、前記一方の基板の前記液晶層側において前記第1電極上に絶縁膜を介して対向配置された複数の第2電極とを備え、複数の前記第2電極が、互いに直交する第1配列軸と第2配列軸とに沿って前記一方の基板上に2次元的に配列されてなる液晶表示装置であって、
前記第2電極には複数の帯状電極が設けられ、
前記帯状電極の幅をL、隣接する帯状電極同士の間に配置されたスリットの幅をS、前記スリットの長さをM、前記帯状電極と前記第1配列軸との成す角度をθとしたときに、前記第2電極毎に、比L/S、長さM、及び角度θのうちの少なくとも1つが異なる複数種類の電極パターンの中から1種類の電極パターンが選択され、
前記第1配列軸に沿って隣接する第2電極同士の間、及び前記第2配列軸に沿って隣接する第2電極同士の間で、選択される電極パターンの種類は不規則であることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項5】
対向する一対の基板と、前記一対の基板間に挟持された液晶層と、前記一対の基板のうちの一方の基板の前記液晶層側に設けられた第1電極と、前記一方の基板の前記液晶層側において前記第1電極上に絶縁膜を介して対向配置された複数の第2電極とを備え、複数の前記第2電極が、互いに直交する第1配列軸と第2配列軸とに沿って前記一方の基板上に2次元的に配列されてなる液晶表示装置であって、
前記第2電極には複数の帯状電極が設けられ、
前記帯状電極の幅をL、隣接する帯状電極同士の間に配置されたスリットの幅をS、前記スリットの長さをM、前記帯状電極と前記第1配列軸との成す角度をθとしたときに、前記第2電極毎に、比L/S、長さM、及び角度θのうちの少なくとも1つが異なる複数種類の電極パターンの中から1種類の電極パターンが選択され、
互いに隣接する複数の第2電極によって構成される領域を単位領域としたときに、1つの単位領域内に配置される複数の第2電極の電極パターンの種類は互いに等しく、且つ、前記第1配列軸に沿って隣接する単位領域同士の間、及び前記第2配列軸に沿って隣接する単位領域同士の間で、選択される電極パターンの種類は不規則であることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項6】
対向する一対の基板と、前記一対の基板間に挟持された液晶層と、前記一対の基板のうちの一方の基板の前記液晶層側に設けられた第1電極と、前記一方の基板の前記液晶層側において前記第1電極上に絶縁膜を介して対向配置された複数の第2電極とを備え、複数の前記第2電極が、互いに直交する第1配列軸と第2配列軸とに沿って前記一方の基板上に2次元的に配列されてなる液晶表示装置であって、
前記第2電極には複数の帯状電極が設けられ、
前記帯状電極の幅をL、隣接する帯状電極同士の間に配置されたスリットの幅をS、前記スリットの長さをM、前記帯状電極と前記第1配列軸との成す角度をθとしたときに、前記第1配列軸に沿って隣接する帯状電極同士の間、及び前記第2配列軸に沿って隣接する帯状電極同士の間で、比L/S、長さM、及び角度θのうちの少なくとも1つが不規則に形成されていることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項7】
1つの単位領域に含まれる前記第2電極の数は10以下であることを特徴とする請求項3又は5に記載の液晶表示領域。
【請求項8】
前記電極パターンの種類は3種類以上であることを特徴とする請求項2〜5のいずれか1項に記載の液晶表示装置。
【請求項9】
請求項1〜8のいずれか1項に記載の液晶表示装置を備えていることを特徴とする電子機器。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate


【公開番号】特開2009−237228(P2009−237228A)
【公開日】平成21年10月15日(2009.10.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−82820(P2008−82820)
【出願日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(304053854)エプソンイメージングデバイス株式会社 (2,386)
【Fターム(参考)】