説明

液晶表示装置用カラーフィルタ基板及びその製造方法並びにそれを用いた液晶表示装置

【課題】平坦化層をポストベークしても表面に段差を発生させることなく、平坦化層からのイオンコンタミや、透明電極の膜付着が良好な液晶表示装置用カラーフィルタ基板及び液晶表示装置を提供することを目的とする。
【解決手段】ガラス基板等からなる透光性基板11上に、遮光パターン11aと、赤色パターン31Rと緑色パターン32Gと青色パターン33Bとからなる着色パターン30と、平坦化層41と、無機酸化物、無機窒化物、無機酸窒化物及び無機炭化物の群から選ばれる少なくとも1層の透光性無機膜51と、透明電極61と、を含む液晶表示装置用カラーフィルタ基板100。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、テレビ、パソコンモニター、携帯電話等、様々な情報表示端末の表示装置として広く普及している液晶表示装置のうち、液晶表示装置の表示画面に着色を行う役割を担うカラーフィルタ基板に関するものであり、特に、カラーフィルタ表面の凹凸に起因する表示品質の低下を抑制し、高品質で、信頼性に優れた液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
カラーフィルタ基板には、透過する光に着色を行うために透明基板上に複数の着色画素が形成されている。また、隣接画素への光入射や透過光を防止し、コントラストを向上させるために、各着色画素間にブラックマトリクスと呼ばれる所定のパターンとした遮光パターンが形成されている。従来、遮光パターンの材質としては、クロム膜が一般的に使用されてきたが、低反射化、環境への負荷低減、低コスト化などから、黒色樹脂を用いた遮光パターン(以下、樹脂遮光パターンと記す)への切り替えが進んでいる。
しかし、樹脂遮光パターンにおいて、クロム膜と同等の光学濃度を得るためには、膜厚を厚くする必要がある。
【0003】
所定の色、及びパターンを有する着色画素(以下、着色パターンと記す)は、着色パターンの形成時に位置ズレが生じた際に着色パターンと遮光パターンとの隙間からの光漏れを防止するために、その端部が遮光パターンにオーバーラップするように形成される。しかし、厚い膜厚となった樹脂遮光パターン上に着色パターンの端部がオーバーラップして形成されると、樹脂遮光パターン上にオーバーラップした着色パターン部位にツノ段差と呼ばれる膜隆起が起こる。液晶表示装置を得るにあたり、カラーフィルタ基板と電極基板とを所定のスペースを持たせ対向させ、両基板間に液晶を挟持封入しパネル化するが、このツノ段差は液晶配向の乱れやセルギャップの不均一性をもたらす原因となり液晶表示装置の表示品質の低下を招いていた。
【0004】
膜隆起を解決する手段として、いくつかの提案がなされている。
その1つは、樹脂遮光パターン中に分散されたカーボンブラックなどの遮光材を高濃度化して遮光性を向上し、樹脂遮光パターンを薄膜化する方式である。従来より、樹脂遮光パターンの形成には、樹脂へのパターン露光、現像という一連の処理を行うフォトリソ法を用いることが主流となっている。しかし、遮光材を高濃度化した場合、樹脂の光透過率が低下するため、樹脂にパターン露光・現像を行っても所望するパターン形状の樹脂遮光パターンが得られないとい問題が生じることになる。このため、樹脂遮光パターンをフォトリソ法で形成する方法では、パターン特性と遮光性の両立が難しく、金属薄膜のように0.1μmオーダーへの薄膜化は困難といえ、膜厚を厚くせざるを得なかった。
【0005】
また、着色パターンを積層して光パターンを形成する方法も提案されている(例えば、特許文献1参照)。しかしながらこの方法では、パターン形成する際に行われる複数回のパターン露光において積層の際のパターンの位置ズレを防止するために十分なアライメント(位置)精度が必要とされる。しかし、液晶表示装置に高精細の画像表示が要求されるにつれ着色パターンも微細、微小になってきており、位置合わせが困難になり位置ズレが生じやすくなってきている。そのため、着色パターンを積層した際の位置ズレにより着色パターン同士がオーバーラップを生じ、膜隆起が生じていた。
【0006】
そのため、膜隆起(ツノ段差)に起因する液晶配向の乱れやセルギャップの不均一性を防止する手段として、遮光パターン及び着色パターン上に液状樹脂からなる平坦化層を形
成し、平坦化層の表面にて平坦性を持たせる方法が提案されている(例えば、特許文献2参照)。この方法によれば、液状樹脂を塗布した後にプリベークと呼称される、低い温度で樹脂を加熱し樹脂を乾燥する処理が行われ、その後、ポストベークと呼称される、プリベークより高い温度で加熱を行い下地層への密着性を向上させる処理が行われ、平坦化層とする。平坦化層の材料や膜厚にもよるが、プリベークの時点では例えば1μm程度の高さのツノ段差樹脂遮光パターン上にオーバーラップした着色パターン部の厚さ)であれば、ツノ段差部位に対応する平坦化層表面部位の段差の高さを、0.5μm以下に低減することは容易である。しかし、プリベーク後に、ポストベーク処理を行うと、平坦化層が膜収縮することで下地のツノ段差の形状が平坦化層表面に現れるようになる。すなわち、遮光パターンの膜厚が厚い場合は平坦化層の表面にもツノ段差に応じた段差を発生してしまい、平坦化層の表面の段差を0.1μm以下にすることは困難であった。また、平坦化層を形成する樹脂には各種添加剤が含まれているが、平坦化層に含まれる各種添加剤により、パネル化後に液晶の駆動不良を引き起こしたりする。さらにまた、平坦化層表面には液晶の配向を変化させるために透明電極が形成されるが、各種添加剤により平坦化層への透明電極の膜付着力の低下が生じることになり、透明電極の剥離やクラックが発生するといった問題が生じていた。
【特許文献1】特開平10−268292号公報
【特許文献2】特開2004−184664号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、上記の問題を解決するためになされたものであり、平坦化層を塗布、形成後にポストベークしても、下層のツノ段差に起因する段差が平坦化層表面に発生することがなく、また、平坦化層からのイオンコンタミや、透明電極の膜付着が良好なカラーフィルタ基板及び液晶表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に於いて上記課題を達成するために、まず請求項1においては、透光性基板上に、遮光パターンと、前記遮光パターンにオーバーラップする部位を有する着色パターンと、平坦化層と、無機酸化物、無機窒化物、無機酸窒化物、及び無機炭化物の群から選ばれる少なくとも1層の透光性無機膜と、透明電極と、を含むことを特徴とする液晶表示装置用カラーフィルタ基板としたものである。
【0009】
また、請求項2においては、前記平坦化層の厚みをD、前記着色パターンの厚みをA、前記遮光パターンの厚みをB、前記遮光パターン上の前記着色パターンのオーバーラップ部の厚みをCとした時、
前記平坦化層の厚みDは、D>(B+C−A)の条件を満たしていることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置用カラーフィルタ基板としたものである。
【0010】
また、請求項3においては、
前記着色パターンの厚みをA、前記着色パターンのオーバーラップ部の厚さをCとしたとき、前記オーバーラップ部の厚さCは、C<(A/2)の条件を満たしていることを特徴とする請求項1または2に記載の液晶表示装置用カラーフィルタ基板としたものである。
【0011】
また、請求項4においては、
(a)透光性基板上に感光性遮光層を形成し、パターン露光、現像等のパターニング処理を行って遮光パターンを形成する工程と、
(b)前記透光性基板及び前記遮光パターン上に感光性着色層を形成し、ハーフトーン部
を有する露光マスクを用いてパターン露光し、パターニング処理を行って着色パターンを形成する工程と、
(c)樹脂溶液を塗布して所定厚の樹脂層を形成し、プリベーク処理して平坦化層を形成する工程と、
(d)前記平坦化層上に無機酸化物、無機窒化物、無機酸窒化物及び無機炭化物の群から選ばれる少なくとも1層の透光性無機膜を形成する工程と、
(e)前記透光性無機膜が形成された前記平坦化層を所定の温度でポストベークする工程と、
(f)前記透光性無機膜上に透明電極を形成する工程と、
を含むことを特徴とする液晶表示装置用カラーフィルタ基板の製造方法としたものである。
【0012】
さらにまた、請求項5においては、
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の液晶表示装置用カラーフィルタ基板を用いて作製したことを特徴とする液晶表示装置としたものである。
【発明の効果】
【0013】
本発明のカラーフィルタ基板は、平坦化層をポストベークしても平坦化層表面に下層のツノ段差に起因する段差を発生させることなく、平坦化層からのイオンコンタミや、透明電極の膜付着が良好なカラーフィルタ基板を作製できる。
また、本発明のカラーフィルタ基板を用いて液晶表示装置を作製することにより、カラーフィルタ基板表面の段差に起因する液晶配向の乱れの無い表示品質の優れた液晶表示装置が得られ、かつ、長期にわたり優れた表示品質が保持できる液晶表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施の形態につき説明する。
図1は、本発明の液晶表示装置用カラーフィルタ基板の一実施例を示す部分模式構成断面図である。
本発明の液晶表示装置用カラーフィルタ基板100は、ガラス基板等からなる透光性基板11上に、遮光パターン11a、赤色パターン31Rと緑色パターン32Gと青色パターン33Bとからなる着色パターン30、平坦化層41、無機酸化物、無機窒化物、無機酸窒化物、無機炭化物の群から選ばれる少なくとも1層の透光性無機膜51と、透明電極61と、を設けたものである。
【0015】
本発明の液晶表示装置用カラーフィルタ基板100は、80〜130℃の温度でプリベーク処理した平坦化層41上に無機酸化物、無機窒化物、無機酸窒化物、無機炭化物の群から選ばれる少なくとも1層の透光性無機膜51を形成し、しかる後に平坦化層41を所定の温度(200〜250℃)でポストベークするところに特徴を有する。
透光性無機膜51を有しない平坦化層41では、ポストベーク時に平坦化層41が膜収縮し、その際に、下地のツノ段差の凹凸が平坦化層表面に現れる。
しかし、ポストベーク前に平坦化層表面に透光性無機膜51を形成しておけば、ポストベーク時に生じる平坦化層の膜収縮を透光性無機膜51が押さえることになり、平坦化層41表面には下地のツノ段差の凹凸が現れない。
【0016】
請求項2に係る発明は、図4に示すように、下地の基板に直接に接していて、遮光パターンとオーバーラップしない着色パターン部位の厚みをA、前記遮光パターンとオーバーラップしない着色パターン部位上の平坦化層の厚みをD、遮光パターン上にオーバーラップした着色パターン部の厚みをC(以下、ツノ段差厚みC、と記す)、遮光パターンの厚みをB、とした時、平坦化層の厚みDは、D>(B+C−A)の条件を満たすカラーフィルタ基板としている。
これは、平坦化層の厚みDがツノ段差厚みC(遮光パターン上にオーバーラップした着色パターン部の厚みC)以下の膜厚であると、平坦化層となる樹脂を塗布後乾燥した時点でツノ段差厚みの影響を受けてしまい平坦化層表面に段差が生じ、その後に透光性無機膜を形成してもツノ段差低減の効果が得られないためである。なお、樹脂の塗布膜厚が厚すぎると、平坦化層表面に塗布ムラによる段差が生じ易いといった問題や、平坦化層41の硬化時の膜収縮力による透光性無機膜への影響が大きくなるといった問題があるためである。
【0017】
請求項3に係る発明は、図4に示すように、上述したと同様に着色パターンの厚みをA、ツノ段差厚みをCとしたとき、ツノ段差厚みCは、C<(A/2)の条件を満たしていることが必要である。
これは、着色樹脂層をパターン露光する際、遮光パターンと着色樹脂層のオーバーラップ部の露光量を制御できるハーフトーン部を有する露光マスク(図5(a)参照)を用いてパターン露光することにより、ツノ段差さの低減を図るようにしたものである
以下、本発明の液晶表示装置用カラーフィルタ基板の製造方法について説明する。
図2(a)〜(f)及び図3(g)〜(i)は、本発明の液晶表示装置用カラーフィルタ基板の製造方法の一実施例を工程順に示す部分模式構成断面図である。
まず、ガラス基板等からなる透光性基板11上に感光性樹脂にカーボンブラック等の遮光材を分散した黒色感光性樹脂溶液をスピンナー等にて塗布し、予備乾燥して黒色感光性樹脂層21を形成する(図2(a)参照)。ついで、黒色感光性樹脂層21にパターン露光、現像等のパターニング処理を行って、遮光パターン21aを形成する(図2(b)参照)。
遮光パターン21aの膜厚に特に制限はないが、含有するカーボンブラック量から必要な光学濃度を得るために膜厚を設定することが望ましい。およそ1〜2μm程度である。
黒色感光性樹脂層21の形成方法としては、スピンコート法やスリットコート法、バーコート法などの塗布法や、インクジェット法、印刷法などを用いることができる。
【0018】
上記遮光材としては、カーボンブラックの他に、酸化チタン、酸窒化チタン、四酸化鉄などの金属酸化物分や顔料、その他既知の遮光材料を用いることができる。さらには、遮光層の色調を調整するために、補色の顔料を必要に応じて混合してもよい。
【0019】
次に、感光性樹脂に赤色顔料を分散した赤色感光性樹脂溶液をスピンナー等にて遮光パターン21aが形成された透光性基板11上に塗布し、予備乾燥して赤色感光性樹脂層31を形成する(図2(c)参照)。ついで、遮光パターンと赤色感光性樹脂層とのオーバーラップ部にハーフトーン部82を有し、その他の部位は光透過部もしくは遮光部とすることで、遮光パターンと赤色感光性樹脂層とのオーバーラップ部と、その他の部位との露光量を異ならせてパターン露光することができる露光マスク80(図5(a)参照)を用いてパターン露光し、現像等の一連のパターニング処理を行って、赤色パターン31Rを形成する(図2(d)参照)。
【0020】
上記感光性樹脂としては、水酸基、カルボキシル基、アミノ基等の反応性の置換基を有する線状高分子にイソシアネート基、アルデヒド基、エポキシ基等の反応性置換基を有する(メタ)アクリル化合物やケイヒ酸を反応させて、(メタ)アクリロイル基、スチリル基等の光架橋性基を該線状高分子に導入した樹脂が用いられる。また、スチレン−無水マレイン酸共重合物やα−オレフィン−無水マレイン酸共重合物等の酸無水物を含む線状高分子をヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート等の水酸基を有する(メタ)アクリル化合物によりハーフエステル化したものも用いることができる。
【0021】
用いることのできる重合性モノマーおよびオリゴマーとしては、メチル(メタ)アクリ
レート、エチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、β−カルボキシエチル(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールAジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジグリシジルエーテルジ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、トリシクロデカニル(メタ)アクリレート、エステルアクリレート、メチロール化メラミンの(メタ)アクリル酸エステル、エポキシ(メタ)アクリレート、ウレタンアクリレート等の各種アクリル酸エステルおよびメタクリル酸エステル、(メタ)アクリル酸、スチレン、酢酸ビニル、ヒドロキシエチルビニルエーテル、エチレングリコールジビニルエーテル、ペンタエリスリトールトリビニルエーテル、(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシメチル(メタ)アクリルアミド、N−ビニルホルムアミド、アクリロニトリル等が挙げられる。これらは、単独でまたは2種類以上混合して用いることができる。
【0022】
紫外線照射により硬化する場合には、光重合開始剤等が添加される。光重合開始剤としては、4−フェノキシジクロロアセトフェノン、4−t−ブチル−ジクロロアセトフェノン、ジエトキシアセトフェノン、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−ブタン−1−オン等のアセトフェノン系化合物、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンジルジメチルケタール等のベンゾイン系化合物、ベンゾフェノン、ベンゾイル安息香酸、ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、ヒドロキシベンゾフェノン、アクリル化ベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4'−メチルジフェニルサルファイド、3,3',4,4'−テトラ(t−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン等のベンゾフェノン系化合物、チオキサントン、2−クロルチオキサントン、2−メチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジイソプロピルチオキサントン、2,4−ジエチルチオキサントン等のチオキサントン系化合物、2,4,6−トリクロロ−s−トリアジン、2−フェニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−メトキシフェニル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(p−トリル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−ピペロニル−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−スチリル−s−トリアジン、2−(ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2−(4−メトキシ−ナフト−1−イル)−4,6−ビス(トリクロロメチル)−s−トリアジン、2,4−トリクロロメチル−(ピペロニル)−6−トリアジン、2,4−トリクロロメチル(4'−メトキシスチリル)−6−トリアジン等のトリアジン系化合物、1,2−オクタンジオン,1−〔4−(フェニルチオ)−,2−(O−ベンゾイルオキシム)〕、O−(アセチル)−N−(1−フェニル−2−オキソ−2−(4'−メトキシ−ナフチル)エチリデン)ヒドロキシルアミン等のオキシムエステル系化合物、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド等のホスフィン系化合物、9,10−フェナンスレンキノン、カンファーキノン、エチルアントラキノン等のキノン系化合物、ボレート系化合物、カルバゾール系化合物、イミダゾール系化合物、チタノセン系化合物等が用いられる。これらの光重合開始剤は1種または2種以上混合して用いることができる。光重合開始剤の使用量は、着色組成物の全固形分量を基準として0.5〜50重量%が好ましく、より好ましくは3〜30重量%である。
【0023】
さらに、増感剤として、トリエタノールアミン、メチルジエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、4−ジメチルアミノ安息香酸メチル、4−ジメチルアミノ安息香酸エチル、4−ジメチルアミノ安息香酸イソアミル、安息香酸2−ジメチルアミノエチル、4−ジメチルアミノ安息香酸2−エチルヘキシル、N,N−ジメチルパラトルイジン、4,4'−ビス(ジメチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4'−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノン、4,4'−ビス(エチルメチルアミノ)ベンゾフェノン等のアミン系化合
物を併用することもできる。これらの増感剤は1種または2種以上混合して用いることができる。増感剤の使用量は、光重合開始剤と増感剤の合計量を基準として0.5〜60重量%が好ましく、より好ましくは3〜40重量%である。
【0024】
さらに、連鎖移動剤としての働きをする多官能チオールを含有させることができる。多官能チオールは、チオール基を2個以上有する化合物であればよく、例えば、ヘキサンジチオール、デカンジチオール、1,4−ブタンジオールビスチオプロピオネート、1,4−ブタンジオールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオグリコレート、エチレングリコールビスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリスチオグリコレート、トリメチロールプロパントリスチオプロピオネート、トリメチロールプロパントリス(3−メルカプトブチレート)、ペンタエリスリトールテトラキスチオグリコレート、ペンタエリスリトールテトラキスチオプロピオネート、トリメルカプトプロピオン酸トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレート、1,4−ジメチルメルカプトベンゼン、2、4、6−トリメルカプト−s−トリアジン、2−(N,N−ジブチルアミノ)−4,6−ジメルカプト−s−トリアジン等が挙げられる。これらの多官能チオールは、1種または2種以上混合して用いることができる。多官能チオールの使用量は、着色組成物の全固形分量を基準として0.1〜30重量%が好ましく、より好ましくは1〜20重量%である。0.1質量%未満では多官能チオールの添加効果が不充分であり、30質量%を越えると感度が高すぎて逆に解像度が低下する。
【0025】
また、必要に応じて有機溶剤を含有することができる。有機溶剤としては、例えばシクロヘキサノン、エチルセロソルブアセテート、ブチルセロソルブアセテート、1−メトキシ−2−プロピルアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチル
ベンゼン、エチレングリコールジエチルエーテル、キシレン、エチルセロソルブ、メチル−nアミルケトン、プロピレングリコールモノメチルエーテルトルエン、メチルエチルケトン、酢酸エチル、メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、イソブチルケトン、石油系溶剤等が挙げられ、これらを単独でもしくは混合して用いる。
【0026】
赤色顔料としては、例えばC.I. Pigment Red 7、9、14、41、48:1、48:2、48:3、48:4、81:1、81:2、81:3、97、122、123、146、149、168、177、178、179、180、184、185、187、192、200、202、208、210、215、216、217、220、223、224、226、227、228、240、246、254、255、264、272、279等を使用することができる。赤色感光性樹脂溶液には、黄色顔料、橙色顔料を併用することもできる。
【0027】
黄色顔料としてはC.I. Pigment Yellow 1、2、3、4、5、6、10、12、13、14、15、16、17、18、20、24、31、32、34、35、35:1、36、36:1、37、37:1、40、42、43、53、55、60、61、62、63、65、73、74、77、81、83、86、93、94、95、97、98、100、101、104、106、108、109、110、113、114、115、116、117、118、119、120、123、125、126、127、128、129、137、138、139、144、146、147、148、150、151、152、153、154、155、156、161、162、164、166、167、168、169、170、171、172、173、174、175、176、177、179、180、181、182、185、187、188、193、194、199、213、214等が挙げられる。橙色顔料としてはC.I. Pigment Orange 36、43、51、55、59、61、71、73等が挙げられる
また、上記有機顔料と組み合わせて、彩度と明度のバランスを取りつつ良好な塗布性、感度、現像性等を確保するために、無機顔料を組み合わせて用いることも可能である。無機顔料としては、黄色鉛、亜鉛黄、べんがら(赤色酸化鉄(III))、カドミウム赤、群青、紺青、酸化クロム緑、コバルト緑等の金属酸化物粉、金属硫化物粉、金属粉等が挙げられる。さらに、調色のため、耐熱性を低下させない範囲内で染料を含有させることができる。
【0028】
赤色感光性樹脂層31のパターン露光にハーフトーン部82を有する露光マスク80を用いているが、これは赤色感光性樹脂層31をパターン露光し、現像等のパターニング処理を行うと、遮光パターン21aの端部上にツノ段差が発生する。このツノ段差を減少させるためにハーフトーン部82を有する露光マスク80を用いる。すなわち、遮光パターン21aと赤色感光性樹脂層31とのオーバーラップ部分に相当する領域にハーフトーン部82を設け、遮光パターン21aと赤色感光性樹脂層31とのオーバーラップ部分への露光量を減らすことで、現像後に得られるオーバーラップ部位の着色パターンの膜厚を、その他の赤色パターン部の膜厚よりも薄くすることができ、ツノ段差の厚み(オーバーラップ部の厚み)を減少させるものである(図5(a)参照)。
なお、図5(a)に示す露光マスク80において、青色パターンや緑色パターンを形成する部位には赤色パターンを形成しないよう、遮光層81を形成している。また、ハーフトーン部82の間の部位は、露光光をそのまま透過させ赤色パターンを形成する光透過部である。
【0029】
このハーフトーン部82を有する露光マスク80を用いてパターン露光することにより遮光パターン21a端部上の赤色感光性樹脂層31のツノ段差を大幅に低減することができる。
ハーフトーン部82を有する露光マスク80の遮光層81としては、一般のハードマスク等に使用されているクロム、酸化クロム等の材料が、ハーフトーン部82としては、インジウム錫酸化物などの無機酸化膜、その他無機窒化膜等からなる半透過膜を使用することができる。またハーフトーン部82は、複数の微細な遮光ドットの大きさを適宜変化させたり、遮光ドットの配置密度を変えて形成しても構わない。なお、ハーフトーン部82の透過率は、着色感光性樹脂層の感度、膜厚等によって変わってくるので、光透過部位の光透過率を100%として20〜80%の範囲で適宜設定すればよい。
【0030】
次に、上記感光性樹脂に緑色顔料を分散した緑色感光性樹脂溶液をスピンナー等にて遮光パターン21a及び赤色パターン31Rが形成された透光性基板11上に塗布し、予備乾燥して緑色感光性樹脂層を形成する(特に図示せず)。ついで、上述したのと同様に、遮光パターン21aと緑色感光性樹脂層とのオーバーラップ部と、緑色パターン形成部との露光量を異ならせることのできる、ハーフトーン部82と光透過部と光遮光部とを有する露光マスク80(図5(a)参照)を用いてパターン露光し、現像等の一連のパターニング処理を行って、緑色パターン32Gを形成する(図2(e)参照)。
【0031】
緑色顔料としては、例えばC.I.Pigment Green 7、10、36、37等を用いることができる。緑色感光性樹脂溶液には赤色感光性樹脂溶液と同様の黄色顔料を併用することができる。
【0032】
次に、上記感光性樹脂に青色顔料を分散した青色感光性樹脂溶液をスピンナー等にて遮光パターン21a、赤色パターン31R及び緑色パターン32Gが形成された透光性基板
11上に塗布し、予備乾燥して青色感光性樹脂層を形成する(特に図示せず)。ついで、上述したのと同様に、遮光パターン21aと青色感光性樹脂層とのオーバーラップ部と、緑色パターン形成部との露光量を異ならせることのできる、ハーフトーン部82と光透過部と、光遮光部とを有する露光マスク80(図5(a)参照)を用いてパターン露光し、現像等の一連のパターニング処理を行って、青色パターン33Bを形成し、赤色パターン31R、緑色パターン32G、青色パターン33Bからなる着色パターン30を形成する(図2(f)参照)。
【0033】
青色顔料としては、例えばC.I. Pigment Blue 15、15:1、15:2、15:3、15:4、15:6、16、22、60、64、80等の青色顔料、好ましくはC.I. Pigment Blue 15:6を用いることができる。また、青色着色組成物には、C.I. Pigment Violet 1、19、23、27、29、30、32、37、40、42、50等の紫色顔料、好ましくはC.I. Pigment Violet 23を併用することができる。
【0034】
ここで、着色パターン30については、赤色パターン31R、緑色パターン32G、青色パターン33BのR、G、B3色の事例について説明したが、これはあくまでも一例であって、この他にイエロー、マゼンダ、シアン(YMC)の組み合わせが挙げられ、適宜設定できる。
【0035】
次に、樹脂溶液を塗布し、80〜130℃の温度範囲でプリベーク処理して、溶媒が飛散した状態の平坦化層41を形成する(図3(g)参照)。
平坦化層41は、上記赤色パターン31R、緑色パターン32G、青色パターン33Bを形成した際、遮光パターン21aとのオーバーラップ部に形成されたツノ段差を低減するためのものである。
【0036】
プリベーク処理としては、真空乾燥法、真空加熱乾燥法、ホットプレートやIRヒーターなどを用いた加熱乾燥法、加熱送風による乾燥法などを、必要に応じて組み合わせて使用することも可能である。
【0037】
樹脂溶液の樹脂材料としては、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリイミド樹脂などの熱硬化性樹脂、光感光性樹脂を1種類もしくは混合して用いることができる。溶媒としては、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエチルエーテルなどのグリコールジエーテル系や、エチレングリコールモノブチルエーテルなどのグリコールエーテル系、エチレングリコールモノエチルエーテルアセテートなどのグリコールエステル系、γブチルラクトンや、アミド系の溶剤を使用することができる。
【0038】
樹脂溶液の塗布方法としては、スリットコート法、スピンコート法、ディップコート法などの塗布法や転写法、印刷法、フラッシュ蒸着法やCVD法などのドライコーティング法などを用いることができる。特に、表面の凹凸を平坦化させるために、スリットコート法を用いることがより好ましい。
【0039】
平坦化層41の膜厚は、遮光パターン21aとのオーバーラップ部に形成されたツノ段差の厚みよりも厚膜であることが望ましい。具体的には、着色パターン30の厚みをA、遮光パターン21aの厚みをB、遮光パターン21aとのオーバーラップ部に形成されたツノ段差の厚み(遮光パターン上にオーバーラップした着色パターン部の厚み)をCとした時に、平坦化層41の膜厚Dは(B+C−A)以上であることが好ましく、上限としては5μm以下、より好ましくは3μm以下である。これは、ツノ段差以下の膜厚であると、塗布後乾燥した時点で下地のツノ段差の影響を受けてしまい、その後に透光性無機膜を形成してもツノ段差低減の効果が得られないためで、また厚すぎると、塗布ムラが生じ易くなり、また、平坦化層41の硬化時に膜収縮の力が大きくなり、平坦化層41の膜収縮を透光性無機膜で防止出来なくなるという影響があるためである。
【0040】
次に、平坦化層41上に、蒸着法、プラズマ支援蒸着法、スパッタ法、CVD法、イオンプレーティング法などを用いて、酸化ケイ素、酸化アルミニウム、インジウム錫酸化物、アルミニウム亜鉛酸化物、インジウム亜鉛酸化物などの無機酸化物、窒化珪素などの無機窒化物、酸窒化珪素などの無機酸窒化物、炭化水素、炭化珪素、炭酸化ケイ素などの無機炭化物の群から選ばれる単層膜もしくは多層膜の透光性無機膜51を形成する(図3(h)参照)。
【0041】
透光性無機膜51の膜厚は、5nm〜500nmの範囲で使用でき、10nm〜100nmの膜厚にすることがより好ましい。これは、あまり膜厚を厚くしすぎると、平坦化層をポストベークする際の硬化収縮時に無機膜に割れや剥がれが生じ易かったり、透過率を損なうためである。また、膜厚が薄すぎると、硬化時に膜収縮する平坦化層41を透光性無機膜で固定出来なくなることで平坦化膜の表面を硬化する効果が小さくなりツノ段差が生じ易くなる。また、平坦化層に含まれる各種添加剤が透光性無機膜を通過し易くなり、イオンコンタミのバリア効果も乏しくなったりするためである。
【0042】
次に、透光性無機膜51が形成された平坦化層41を所定の温度でポストベーク処理する。平坦化層41のポストベーク条件は特に制限はなく、使用する平坦化層41の材料と溶剤に応じて、温度と時間を適宜設定することが好ましい。およそ、200℃〜250℃で30分〜1時間がポストベーク条件の目安となる。
【0043】
最後に、透光性無機膜51上に透明電極61を形成して、本発明の液晶表示装置用カラーフィルタ基板100を得ることができる。
ここで、透明電極は、室温成膜後にオーブン中で加熱して結晶化させてもよい。また、加熱しながら成膜しても良い。この場合、下地から結晶方位のそろった膜を形成できるため、内部応力が低く、クラック耐性の良い透明電極膜を形成することができる。
【0044】
透光性無機膜51及び透明電極61は、基板全面にベタで形成後、必要に応じて、不要部をエッチング処理して所定のパターンにパターニングしてもよく、また、透明電極61の上には、配向制御膜、フォトスペーサー、位相差膜などの機能層を設けてもよい。
【0045】
以下実施例により本発明を詳細に説明する。
【実施例1】
【0046】
まず、無アルカリガラスからなる透光性基板11上に、感光性アクリル樹脂にカーボンブラックを分散させた黒色感光性樹脂溶液をスピンコート法にて塗布し、ホットプレートにてプレベークして黒色感光層21を形成した(図2(a)参照)。ついで、フォトマスクで所定のパターン露光、アルカリ現像、ポストベークすることにより、1μm厚の遮光パターン21a形成した(図2(b)参照)。
【0047】
次に、感光性アルカリ樹脂中に、赤色の顔料を分散させた赤色感光性樹脂溶液をスピンコート法にて塗布し、ホットプレートにてプレベークして赤色感光性樹脂層31形成した(図2(c)参照)。ついで、露光波長における透過率がおおよそ50%のハーフトーン部82を有する露光マスク80(図5(a)参照)を用いてパターン露光し、アルカリ現像、ポストベークすることにより、開口部の膜厚が2μmの赤色パターン31Rを形成した(図2(d)参照)。
【0048】
次に、感光性樹脂に緑色顔料を分散した緑色感光性樹脂溶液をスピンコート法にて遮光
パターン21a及び赤色パターン31Rが形成された透光性基板11上に塗布し、プレベークして緑色感光性樹脂層を形成し(特に図示せず)、露光波長における透過率がおおよそ50%のハーフトーン部82を有する露光マスク80(図5(a)参照)を用いてパターン露光し、アルカリ現像、ポストベークすることにより、開口部での膜厚が2μmの緑色パターン32Gを形成した(図2(e)参照)。
【0049】
次に、感光性樹脂に青色顔料を分散した青色感光性樹脂溶液をスピンナー等にて遮光パターン21a、赤色パターン31R及び緑色パターン32Gが形成された透光性基板11上に塗布し、プレベークして青色感光性樹脂層を形成し(特に図示せず)、露光波長における透過率がおおよそ50%のハーフトーン部82を有する露光マスク80(図5(a)参照)を用いてパターン露光し、アルカリ現像、ポストベークすることにより、青色パターン33Bを形成し、赤色パターン31R、緑色パターン32G、青色パターン33Bからなる着色パターン30を形成した(図2(f)参照)。
ここで、各着色パターン30と遮光パターン21aとのオーバーラップ部の膜厚は1〜1.5μmとなり(遮光パターン膜厚と合わせると2〜2.5μm)、開口部の着色パターンの膜厚との段差として約0.5μmのツノ段差が発生した。
【0050】
次に、熱硬化型の1液タイプのエポキシ樹脂溶液をスリットコート法により塗工し、80〜130℃の温度範囲でプリベーク処理して、2μm厚の平坦化層41を形成した(図3(g)参照)。
【0051】
次に、スパッタ法により、平坦化層41上に20nm厚の酸窒化珪素膜からなる透光性無機膜51を形成した(図3(h)参照)。
【0052】
次に、230℃オーブン中で平坦化層41のポストベーク処理を30分行った。
最後に、250℃のオーブンで10分加熱して透明電極成膜前の下処理を行い、250℃に加熱しながらインジウム錫酸化物(ITO)を加熱スパッタにて成膜し、150nm厚の透明電極61を形成し、本発明の液晶表示装置用カラーフィルタ基板100を得た(図3(i)参照)。
【0053】
得られた液晶表示装置用カラーフィルタ基板100に形成した平坦化層表面の、下層のツノ段差部位に対応した平坦化層表面部位の凹凸量は検出限界以下であり、表面平坦性に優れた基板を作製することができた。また、透光性無機膜51には、剥離やクラックなどの膜欠陥は生じなかった。
【0054】
この液晶表示装置用カラーフィルタ基板100に、ポリイミド膜を塗布、加熱硬化後にラビング処理を行い、駆動電極基板をシール材を用いて貼り合わせ内部に液晶材料を封入し、液晶表示装置を作製した。その結果、画素内における配向不良はなく、表示品質に優れた液晶表示装置が得られた。
【実施例2】
【0055】
実施例2は比較ための比較例である
実施例2においては、平坦化層41の膜厚を2μmから1μmにした以外は上記実施例1と同様の工程、製造条件で、比較例の液晶表示装置用カラーフィルタ基板を作製した。
その結果、下層のツノ段差部位に対応した平坦化層表面部位の凹凸は0.5〜1μm発生し、平坦化層41の効果が見られなかった。
また、この液晶表示装置用カラーフィルタ基板を用いて作製した液晶表示装置を駆動した結果、ツノ段差部分において液晶の配向不良が生じ、表示品質が低下した。
【実施例3】
【0056】
実施例3は比較ための比較例である
実施例3においては、平坦化層41のみ形成して、透光性無機膜51を形成しなかった以外は上記実施例1と同様の工程、製造条件にて液晶表示装置用カラーフィルタ基板を作製した。
その結果、平坦化層41表面の段差量は0.5μmとなった。その後、ITO膜(酸化インジウムと酸化スズからなる混合酸化物膜)からなる透明電極61を形成したが、透明電極61表面には平坦化層41表面の段差量を反映した段差量が残った。
この液晶表示装置用カラーフィルタ基板を用いて、液晶表示装置を駆動した結果、透明電極61表面の段差部分において液晶の配向不良が生じ、表示品質が低下した。
【実施例4】
【0057】
実施例4は比較ための比較例である
実施例4においては、平坦化層41をポストベークした後に、酸窒化珪素膜からなる透光性無機膜51を形成した以外は、上記実施例と同様の工程、製造条件にて液晶表示装置用カラーフィルタ基板を作製した。
その結果、透光性無機膜51を形成した後の透光性無機膜51表面の段差量は、平坦化層41表面の段差量を反映し、0.5μm生じた。
この液晶表示装置用カラーフィルタ基板を用いて、液晶表示装置を駆動した結果、透光性無機膜51表面の段差部分において液晶の配向不良が生じ、表示品質が低下した。
【図面の簡単な説明】
【0058】
【図1】本発明の液晶表示装置用カラーフィルタ基板の一実施例を示す部分模式構成断面図である。
【図2】(a)〜(f)は、液晶表示装置用カラーフィルタ基板の製造方法の工程の一部を示す部分模式構成断面図である。
【図3】(g)〜(i)は、液晶表示装置用カラーフィルタ基板の製造方法の工程の一部を示す部分模式構成断面図である。
【図4】液晶表示装置用カラーフィルタ基板の一部を模式的に示した説明図である。
【図5】(a)は、ハーフトーン部を有する露光マスクの一例を示す模式構成断面図である。(b)は、ハーフトーン部を有する露光マスクのハーフトーン部と液晶表示装置用カラーフィルタ基板との位置関係を示すための説明図である。
【符号の説明】
【0059】
11……透光性基板
21……黒色感光性樹脂層
21a……遮光パターン
31……赤色感光性樹脂層
30……着色パターン
31R……赤色パターン
31G……緑色パターン
31B……青色パターン
41……平坦化層
51……透光性無機膜
61……透明電極
71……透光性基板
80……ハーフトーン部を有する露光マスク
81……遮光層
82……ハーフトーン部
A……着色パターンの厚み
B……遮光パターンの厚み
C……ツノ段差(遮光パターン上にオーバーラップした着色パターンの厚み)
D……平坦化層の厚み

【特許請求の範囲】
【請求項1】
透光性基板上に、遮光パターンと、前記遮光パターンにオーバーラップする部位を有する着色パターンと、平坦化層と、無機酸化物、無機窒化物、無機酸窒化物及び無機炭化物の群から選ばれる少なくとも1層の透光性無機膜と、透明電極と、を含むことを特徴とする液晶表示装置用カラーフィルタ基板。
【請求項2】
前記平坦化層の厚みをD、前記着色パターンの厚みをA、前記遮光パターンの厚みをB、前記遮光パターン上の前記着色パターンのオーバーラップ部の厚みをCとした時、
前記平坦化層の厚みDは、D>(B+C−A)の条件を満たしていることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置用カラーフィルタ基板。
【請求項3】
前記着色パターンの厚みをA、前記着色パターンのオーバーラップ部の厚さをCとしたとき、
前記オーバーラップ部の厚さCは、C<(A/2)の条件を満たしていることを特徴とする請求項1または2に記載の液晶表示装置用カラーフィルタ基板。
【請求項4】
(a)透光性基板上に感光性遮光層を形成し、パターン露光、現像等のパターニング処理を行って遮光パターンを形成する工程と、
(b)前記透光性基板及び前記遮光パターン上に感光性着色層を形成し、ハーフトーン部を有する露光マスクを用いてパターン露光し、パターニング処理を行って着色パターンを形成する工程と、
(c)樹脂溶液を塗布して所定厚の樹脂層を形成し、プリベーク処理して平坦化層を形成する工程と、
(d)前記平坦化層上に無機酸化物、無機窒化物、無機酸窒化物及び無機炭化物の群から選ばれる少なくとも1層の透光性無機膜を形成する工程と、
(e)前記透光性無機膜が形成された前記平坦化層を所定の温度でポストベークする工程と、
(f)前記透光性無機膜上に透明電極を形成する工程と、
を含むことを特徴とする液晶表示装置用カラーフィルタ基板の製造方法。
【請求項5】
請求項1乃至3のいずれか一項に記載の液晶表示装置用カラーフィルタ基板を用いて作製したことを特徴とする液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2009−98567(P2009−98567A)
【公開日】平成21年5月7日(2009.5.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−272406(P2007−272406)
【出願日】平成19年10月19日(2007.10.19)
【出願人】(000003193)凸版印刷株式会社 (10,630)
【Fターム(参考)】