説明

液晶表示装置

【課題】安価にパーシャル表示できるとともに、SOG技術の拡大、狭額縁化などにも対応することのできる液晶表示装置を提供する。
【解決手段】基板2上にマトリクス状に配置された液晶画素PXと、列毎に設けられ各列のそれぞれの液晶画素と接続するソース線にソース信号を供給するソースドライバ6と、行毎に設けられ各行のそれぞれの液晶画素と接続するゲート線にゲート信号を供給するゲートドライバ5と、パーシャル表示のためのアレイ制御信号を出力するコントローラ3と、アレイ制御信号からパーシャル表示を開始するゲート線のアドレスを指定するパーシャル開始アドレスとパーシャル表示を終了するゲート線のアドレスを指定するパーシャル終了アドレスとを取得するレシーバ部7と、レシーバ部からのパーシャル開始アドレス、パーシャル終了アドレスを示すデータに基づいてゲートドライバに対してゲート線を駆動する範囲を制御する信号を出力するデコーダ部8とを備えた液晶表示装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、パーシャル表示を行う液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、コンピュータ、カーナビゲーションシステム、あるいはテレビ受信機等の表示装置として広く利用されている。なかでも、どこにでも持ち運べる携帯用の表示装置、大画面の表示装置に対するニーズが高まっている。このようなニーズに応えるため、軽量化、使用時間の長時間化、低消費電力化が求められている。これらの課題を解決するためには、電源用バッテリーの高性能化に加え、表示装置自体の消費電力を下げることが効果的である。
【0003】
低消費電力を実現する液晶表示装置として、パーシャル表示が可能な液晶表示装置が知られている。パーシャル表示は、画面の一部分に画像を表示する方式で、例えば、同一表示パネル上に、それぞれ別個に駆動可能な複数の領域を設けて、それぞれを個別に駆動制御することで実現することができる。しかし、この方式では任意の位置に任意のパターンを表示したいとする要求に対応することは困難である。
そこで、任意位置に任意のパターンをパーシャル表示できると共に、必要に応じてその際の消費電力を低減することのできる表示装置が開示されている(例えば、特許文献1、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2001−356746号公報
【特許文献2】特開2003−5727号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述の液晶表示装置では、例えば、パーシャル駆動に対応したゲートドライバIC、ソースドライバICなどの駆動回路を必要とし、また、パーシャル表示の制御のための駆動タイミングを実現するためのタイミングコントローラICの開発が必要となる。さらに、パーシャル駆動を実現するために、部品数が増加する。
この結果、製品のコスト増につながると共に、駆動回路をアレイ内に設けることが困難なことから、SOG技術の拡大、狭額縁化などを進めることが困難であるとの指摘もされていた。
【0005】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであって、安価にパーシャル表示できるとともに、SOG技術の拡大、狭額縁化などにも対応することのできる液晶表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するための本発明に係る液晶表示装置は、基板上にマトリクス状に配置された液晶画素と、列毎に設けられ各列のそれぞれの液晶画素と接続するソース線にソース信号を供給するソースドライバと、行毎に設けられ各行のそれぞれの液晶画素と接続するゲート線にゲート信号を供給するゲートドライバと、パーシャル表示のためのアレイ制御信号を出力するコントローラと、前記アレイ制御信号から、パーシャル表示を開始するゲート線のアドレスを指定するパーシャル開始アドレスとパーシャル表示を終了するゲート線のアドレスを指定するパーシャル終了アドレスとを取得するレシーバ部と、前記レシーバ部からの前記パーシャル開始アドレス、パーシャル終了アドレスを示すデータに基づいて前記ゲートドライバに対してゲート線を駆動する範囲を制御する信号を出力するデコーダ部とを備えたことを特徴としている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、安価にパーシャル表示できるとともに、SOG技術の拡大、狭額縁化などにも対応することのできる液晶表示装置を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0008】
〔第1の実施の形態〕
以下、本発明の一実施形態に係る液晶表示装置について添付図面を参照して説明する。
【0009】
図1は、液晶表示装置の概略の回路構成を示す図である。
図1に示すように、液晶表示装置は、表示パネル1および表示パネル1を制御するコントローラ3を備えている。
【0010】
表示パネル1は一対の電極基板であるアレイ基板2および対向基板(不図示)間に液晶層(不図示)を挟持した構造である。
表示パネル1は、ガラス板等の光透過性絶縁基板であるアレイ基板2上にマトリクス状に配列されるm×n個の液晶画素PX、液晶画素PXの行毎に接続されているm本のゲート線G1〜Gm、液晶画素PXの列毎にそれぞれ接続されたn本の信号線S1〜Snを備えている。
【0011】
更にアレイ基板2は、ゲート線G1〜Gmの駆動を制御するゲートドライバ5、ソース線S1〜Snの駆動を制御するソースドライバ6、レシーバ7およびデコーダ8を備えている。
【0012】
コントローラ3は、液晶画素PXに印加される液晶駆動電圧を制御して表示パネル1の透過率を制御する。コントローラ3は、パーシャル表示のためのアレイ制御信号を3線シリアル信号(SPI準拠)としてレシーバ7に対して出力すると共に、ゲートドライバ5ソースドライバ6、レシーバ7及びデコーダに対して各種タイミング信号(不図示)を出力する。アレイ制御信号には、パーシャル表示用のゲート線のアドレス、表示データなどが含まれている。
【0013】
ゲートドライバ5は、液晶画素PXを行単位に選択するように複数のゲート線G1〜Gmを順次駆動する。ゲートドライバ5はゲート線Gを選択するために、例えばシフトレジスタ回路を用いて構成される。ソースドライバ6は、各行の液晶画素PXが対応ゲート線Gの駆動によって選択される期間において、画素電圧Vsを複数のソース線S1〜Snにそれぞれ出力する。
【0014】
レシーバ7は、コントローラ3から受信したアレイ制御信号から、パーシャル表示用アドレス、表示データを取り出す。そして、パーシャル表示用アドレスをデコーダ8に出力し、表示データをソースドライバ6に出力する。
【0015】
デコーダ8は、パーシャル表示用アドレスで指定された表示開始アドレスと表示終了アドレスから、駆動するゲート線の範囲を選択する信号を生成してゲートドライバ5に出力する。ゲートドライバ5は、指定された範囲のゲート線を駆動し、ソースドライバ6は、そのゲート線の駆動に合わせて表示データに対応する画素電圧Vsをソース線S1〜Snにそれぞれ出力する。
【0016】
図2は、アレイ制御信号の内容を示す図である。
上述のように、アレイ制御信号は、SPI(Serial Peripheral Interface:3線シリアルインターフェース)に準拠して、3本の制御信号で構成されている。この3本のアレイ制御信号には、チップセレクト(CS)、シリアルクロック(SCLK)、シリアルデータ(SDI)の各信号が割り付けられている。
【0017】
チップセレクト(CS)がONとなっている場合に、レシーバ7は、アレイ制御信号の処理を実行する。シリアルクロック(SCLK)は、レシーバ7がアレイ制御信号を処理する際の基準クロックである。
【0018】
シリアルデータ(SDI)は、表示モード、パーシャル開始アドレス、パーシャル終了アドレス、表示データを含み、シリアルクロック(SCLK)に同期して順次レシーバ7にシリアル信号として入力される。
表示モードは、全画面表示かパーシャル表示かを区別する信号である。パーシャル開始アドレスは、パーシャル表示を開始するゲート線のアドレスを指定する。パーシャル終了アドレスは、パーシャル表示を終了するゲート線のアドレスを指定する。表示データは、液晶画素PXに書込む画素電圧Vsに対応したデータである。
【0019】
この表示モード、パーシャル開始アドレス、パーシャル終了アドレスは、例えば、ユーザによる操作機器(不図示)からの設定入力に従って発生するパーシャル表示に関する情報をコントローラ3が受信して生成する。表示データは、外部から入力される映像信号に基づいてコントローラ3が生成する。
なお、表示モードがパーシャル表示のときは、シリアルデータSDIには、パーシャル開始アドレス、パーシャル終了アドレスが含まれるが、全画面表示のときは、これらのデータは含まれない。
【0020】
本実施の形態では、表示モード8bit、パーシャル開始アドレス9bit、パーシャル終了アドレス9bitとして記載しているが、本発明はこの形態に限られるものではない。
【0021】
図3は、レシーバ7の構成と動作を説明するための図である。
上述のようにレシーバ7は、アレイ基板2上に設けられている。そして、レシーバ7には、レベルシフタ11(11a,11b,11c)、サンプリング信号生成回路12、シリアル・パラレル変換回路13、格納メモリ14(14a,14b,14c,14d)及び制御回路15が備えられている。
【0022】
レベルシフタ11は、アレイ制御信号の信号レベルを変換する。シリアル・パラレル変換回路13は、シリアルデータ(SDI)に含まれる各データを順次受信してパラレルデータに変換して格納メモリ14に出力する。格納メモリ14は、シリアルデータ(SDI)に含まれる各データを、それぞれ表示モード格納メモリ14a、開始アドレス格納メモリ14b、終了アドレス格納メモリ14c、表示データ格納メモリ14dに保存するためのバッファである。サンプリング信号生成回路12は、シリアル・パラレル変換回路13から格納メモリ14へデータ出力のタイミングを指示する信号を生成する。制御回路15は、各部の動作を統括して制御する。なお、図3では、制御回路15のブロック中に開始・終了アドレスに関する概略の処理内容を表示している。
【0023】
続いて、レシーバ7の動作について説明する。
チップセレクト(CS)がONとなったときからサンプリング信号生成回路12が動作を開始する。サンプリング信号生成回路12とシリアル・パラレル変換回路13は入力されるシリアルクロック(SCLK)を基準クロックとして用いて動作を実行する。
【0024】
シリアルデータ(SDI)は、シリアル・パラレル変換回路13を構成するシフトレジスタをシリアルクロック(SCLK)に同期して移動する。そして、所定数のbitがシリアル・パラレル変換回路13に入力されたタイミングで、サンプリング信号生成回路12からタイミング信号が出力される。このタイミング信号によって、シリアル・パラレル変換回路13から格納メモリ14にデータが取り込まれる。
【0025】
例えば、シリアルデータ(SDI)の最初の8bitが入力されたタイミングで、そのデータが表示モード格納メモリ14aに格納される。シリアルデータ(SDI)の続く9bitが入力されたタイミングで、そのデータが開始アドレス格納メモリ14bに格納される。シリアルデータ(SDI)の続く9bitが入力されたタイミングで、そのデータが終了アドレス格納メモリ14cに格納される。シリアルデータ(SDI)の続く所定bitが入力されたタイミングで、そのデータが表示データ格納メモリ14dに格納される。
【0026】
制御回路15は、表示モード格納メモリ14aに格納されたデータを読み込み、表示モードが全画面表示かパーシャル表示かを判別する。
表示モードがパーシャル表示であった場合は、シリアルデータ(SDI)中のパーシャル開始アドレス、パーシャル終了アドレスを、この表示パネル1でパーシャル表示をする際の開始アドレス、終了アドレスとする。なお、表示パネル1によって表示サイズが異なる場合もあるため、制御回路15が、自身の表示パネルのサイズに合わせて開始アドレス、終了アドレスを変換して格納メモリ14b、14cに格納しても良い。
【0027】
表示モードが全画面表示であった場合は、シリアルデータ(SDI)中にはパーシャル開始アドレス、パーシャル終了アドレスは含まれていない。従って、このときは制御回路15は、表示パネル1の第1ラインのアドレスを開始アドレス格納メモリ14bにセットし、表示パネル1の最終ラインのアドレスを終了アドレス格納メモリ14cにセットする。
【0028】
この開始アドレス格納メモリ14b及び終了アドレス格納メモリ14cに格納されたデータに従って、デコーダ8は、ゲートドライバ5の走査範囲を制御する。
【0029】
図4は、全画面表示時の、デコーダ8とゲートドライバ5との信号の接続を模式的に示す図である。
図4に描かれたシフトレジスタ(SR1、・・・)とゲート信号(Gate1、・・・)を出力するバッファとはゲートドライバ5に設けられている。図4に描かれた複数の第1スイッチ(SWa1、・・・)及び第2スイッチ(SWb1、・・・)はデコーダ8に設けられている。
【0030】
表示モードが全画面表示のときは、デコーダ8は第1スイッチの内、スイッチSWa1のみONとし、残りのスイッチ(SWa2、・・・)をOFFとする。そして、第2スイッチの全てのスイッチ(SWb1、・・・)をONとする。
このようにスイッチを切り替えることによって、垂直スタートパルスSTVは、図で太い線で示すように先頭のシフトレジスタSR1に入力される。そしてシフトレジスタは、最終段までパルスシフト動作を実行する。従って、先頭のゲートから最終段のゲートまでスキャンが行われる。
【0031】
図5は、パーシャル表示時の、デコーダ8とゲートドライバ5との信号の接続を模式的に示す図である。
表示モードがパーシャル表示のときは、デコーダ8は第1スイッチの内、開始アドレスに対応するスイッチのみONとし、残りのスイッチをOFFとする。ここでは、スイッチSWa3のみONとなっている。第2スイッチは、第1スイッチとは逆にアクティブ時にOFF(開放)し、非アクティブ時にON(導通)する。従って、通常時は第2スイッチはONとなっており、終了アドレスに対応して選択されたスイッチのみがOFFとされる。この結果、スイッチSWb1〜SWb4がONとなり、スイッチSWb5のみがOFFとなる。
【0032】
このようにスイッチを切り替えることによって、垂直スタートパルスSTVは、開始アドレスに対応するシフトレジスタSR3に入力され、終了アドレスに対応するシフトレジスタSR5までパルスシフト動作を実行する。従って、パーシャル開始アドレスのゲートからパーシャル終了アドレスのゲートまでスキャンが行われる。
【0033】
図6は、デコーダ8のパーシャル開始アドレスデコード回路を示す図である。
【0034】
図6で、パーシャル開始アドレスを表す9ビットの信号(P[0]、・・・、P[8])及びその反転信号(/P[0]、・・・、/P[8])は18本のアドレスバスに割り付けられている。そして、アドレスデコード回路を介して、第1のスイッチを制御する第1のスイッチ信号(Partial[1]、・・・)及びその反転信号(/Partial[1]、・・・)が出力される。
【0035】
なお、図6に示すパーシャル開始アドレスを表す18本のアドレスバス配線とAND回路に接続する配線は、図6中の○印で示すコンタクトホールを介して接続される。
パーシャル開始アドレスを表す18本のアドレスバス配線と結線するコンタクトホール位置の信号が9AND回路に入力されて、第1のスイッチ信号(Partial[1]、・・・)及びその反転信号(/Partial[1]、・・・)にデコードされる。
【0036】
図7は、9AND回路の動作を説明する図である。
図7(1)に示す9AND回路は、入力bit(n0、・・・、n8)が全て”1”のときにのみ、出力信号Partialが”1”となる論理回路である。
【0037】
いまパーシャル開始アドレスが「3」である場合、信号P[0]=P[1]=”1”であり、信号P[2]=・・・=P[8]=”0”である。また、信号/P[0]=/P[1]=”0”であり、信号/P[2]=・・・=/P[8]=”1”である。
【0038】
従って、図7(2)に示すように、9AND回路の入力として、信号値が”1”となっている信号P[0]=P[1]、及び信号/P[2]=・・・=/P[8]を選択すれば、信号Gate3をONとすることができる。
【0039】
このようなデコード回路を実現するために図6に示すように、コンタクトホール位置が第1のスイッチ信号(Partial[1]、・・・)毎に割り付けられている。例えば、パーシャル開始アドレスが「3」である場合、信号P[0]=P[1]にコンタクトホール位置が割り付けられ、さらに信号/P[2]=・・・=/P[8]にコンタクトホール位置が割り付けられている。
【0040】
なお、9AND回路の出力信号として、第1のスイッチ信号Partial[m]のみでなく、その反転信号/Partial[m]を生成しているのは、この2つの信号を用いてトランスファーゲートを構成し、閾値変動の少ない信号を得るためである。
【0041】
図8は、デコーダ8のパーシャル終了アドレスデコード回路を示す図である。
この回路は第2のスイッチを制御する第2のスイッチ信号(Line[1]、・・・)及びその反転信号(/Line[1]、・・・)を生成する回路である。この回路は、図7に示すパーシャル開始アドレスデコード回路と同様にコンタクトホール位置をアドレスバス配線に割り付けることで第2スイッチのON−OFFを制御する。
【0042】
いまパーシャル終了アドレスが「5」である場合、信号L[0]=L[2]=”1”であり、信号L[1]=L[3]=・・・=L[8]=”0”である。また、信号/L[0]=/L[2]=”0”であり、信号/L[1]=/L[3]=・・・=/L[8]=”1”である。
【0043】
従って、9AND回路の入力として、信号値が”1”となっている信号L[0]=L[2]、及び信号/L[1]=/L[3]=・・・=/L[8]を選択すれば、信号Gate5をOFFとすることができる。
【0044】
このようなデコード回路を実現するために図6に示すように、コンタクトホール位置が第1のスイッチ信号(Line[1]、・・・)毎に割り付けられている。例えば、パーシャル終了アドレスが「5」である場合、信号L[0]=L[2]にコンタクトホール位置が割り付けられ、さらに信号/L[1]=/L[3]=・・・=/L[8]にコンタクトホール位置が割り付けられている。
【0045】
以上説明したように、図6、図8に示すデコード回路では、1本のゲート線を選択する回路に工夫をこらし、アドレスバス配線と結線するコンタクトホール位置を規定することによって、デコード回路の大幅な簡素化を図っている。
【0046】
図に示した例では、アドレスバス幅を9bitとしているため、ゲート本数が512本までは、デコーダの回路面積を変更せずに対応することができる。さらにゲート本数が増えた場合には、アドレスバス幅を10bitとすればゲート本数が1024本まで対応でき、アドレスバス幅を11bitとすればゲート本数が2048本まで対応できる。
このようにゲート本数増加に対する回路面積の増加は僅かであり、従って、SOG化、狭額縁化にとって極めて有効である。
【0047】
[適用事例]
本発明の上述の実施の形態によれば、シリアルで送られてくる開始アドレスと終了アドレスをアレイ基板に内蔵された回路がデコードして、表示パネルの「任意」の一部分の書き換えを可能としている。ここで、画素PXをSRAMで構成すれば、書き換え部分以外の領域は、画素SRAMで保持できるため消費電力を低減することができる。
【0048】
なお、本実施の形態では、画素のメモリ回路をSRAMで構成しているが、SRAMの代わりにDRAMであっても良い。
【0049】
例えば、携帯電話液晶画面で、画面の一部分に時計の動画像を表示し、残りの部分には静止画を表示する場合、時計部分のみを更新表示すれば良いため、電池の消費を低く抑えることができる。
【0050】
図9は、レターボックス表示への適用を示す図である。
図9(1)は、デジタルビデオカメラ(DVC)あるいは液晶テレビなどでアスペクト比4:3の表示パネルに、NTSC規格によるアスペクト比4:3の映像を表示する通常の状態を示している。 図9(2)は、アスペクト比4:3の表示パネルに、PAL、HDなどの規格によるアスペクト比16:9の映像を表示した状態を示している。この表示では、映像が不自然に歪められている。
【0051】
このため、図9(3)に示すように、画面の上下にサイドブラックと呼ばれる黒マスク部を固定して設け、それ以外の部分に映像を表示するレターボックス表示によって、画質の低下を防止することができる。
【0052】
しかしながら、従来の液晶パネルでは、NTSC、PAL,HDなど走査本数が異なる規格に対しては、間引きによる擬似表示を行うか、異なる規格毎に処理回路を設けるなど個別の対応が必要であった。
【0053】
これまで、異なる2つの規格を取り入れた表示装置が知られている。本願発明を適用することにより、異なる規格についての数の制限を受けることが少なくなる。即ち、特別なハードウエア、間引き処理、補間処理を必要とせず、パーシャル表示開始アドレスと終了アドレスとを指定することによって、2以上の異なる規格の表示を容易に実現することができる。
【0054】
[実施の形態の効果]
以上説明した本実施の形態を用いることで、種々の効果を奏することができる。
【0055】
(1)本実施の形態では、パーシャル表示に用いる制御信号を3本のみとすることが可能となっている。また、本実施の形態のパーシャル表示用のデコード回路を採用することにより、コンパクトな構成とすることができる。
これにより、従来、アレイ基板の外に設けられていたタイミングコントローラ、パーシャルアドレス・デコード回路、パーシャル対応ゲートドライバICなどの駆動回路を、画素トランジスタと同じプロセスで製造し(COG技術)、全てアレイ基板内に集積することが可能となった。
【0056】
(2)本実施の形態では、任意の開始アドレスと、任意の終了アドレスを指定することで表示の一部分の書き換えを可能としている。このように簡便な方式でパーシャル表示を可能としているため、特別なハードウエア、間引き処理、補間処理を必要とせず、2以上の異なる規格の表示を容易に実現することができる。
【0057】
(3)本実施の形態と画素SRAMあるいは画素DRAMとを組合せることによって低消費電力化を実現することができる。
【0058】
なお、この発明は、上記実施形態そのままに限定されるものではなく、実施段階ではその要旨を逸脱しない範囲で構成要素を変形して具体化できる。また、上記実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合せにより種々の発明を形成できる。例えば、実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削除してもよい。更に、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組み合せてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】液晶表示装置の概略の回路構成を示す図。
【図2】アレイ制御信号の内容を示す図。
【図3】レシーバの構成と動作を説明するための図。
【図4】全画面表示時のデコーダとゲートドライバとの信号の接続を模式的に示す図。
【図5】パーシャル表示時のデコーダとゲートドライバとの信号の接続を模式的に示す図。
【図6】デコーダのパーシャル開始アドレスデコード回路を示す図。
【図7】9AND回路の動作を説明する図。
【図8】デコーダのパーシャル終了アドレスデコード回路を示す図。
【図9】レターボックス表示への適用を示す図。
【符号の説明】
【0060】
PX…液晶画素、G1〜Gm…ゲート線、S1〜Sn…ソース線、SDI…シリアルデータ、SWa…スイッチ、SWb…スイッチ、1…表示パネル、2…アレイ基板、3…コントローラ、5…ゲートドライバ、6…ソースドライバ、7…レシーバ、8…デコーダ、11…レベルシフタ、12…サンプリング信号生成回路、13…シリアル・パラレル変換回路、14…格納メモリ、15…制御回路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基板上にマトリクス状に配置された液晶画素と、
列毎に設けられ各列のそれぞれの液晶画素と接続するソース線にソース信号を供給するソースドライバと、
行毎に設けられ各行のそれぞれの液晶画素と接続するゲート線にゲート信号を供給するゲートドライバと、
パーシャル表示のためのアレイ制御信号を出力するコントローラと、
前記アレイ制御信号から、パーシャル表示を開始するゲート線のアドレスを指定するパーシャル開始アドレスとパーシャル表示を終了するゲート線のアドレスを指定するパーシャル終了アドレスとを取得するレシーバ部と、
前記レシーバ部からの前記パーシャル開始アドレス、パーシャル終了アドレスを示すデータに基づいて前記ゲートドライバに対してゲート線を駆動する範囲を制御する信号を出力するデコーダ部と
を備えたことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記アレイ制御信号は、3線シリアルインターフェースに準拠して、3つの制御信号で構成されていることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記3つの制御信号は、
前記レシーバ部に処理の実行を指示するチップセレクト信号と、
前記レシーバ部が処理を実行する際のクロック信号と、
全画面表示とパーシャル表示とを区分する表示モード、前記パーシャル開始アドレス、前記パーシャル終了アドレス及び前記ソース信号を前記ソースドライバが生成するための表示データを含むシリアルデータ信号と
を備えたことを特徴とする請求項2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記ゲートドライバは、垂直パルス信号をシフトさせて前記ゲート信号を出力する複数のシフトレジスタと、前記複数のシフトレジスタの接続を切り替える複数のスイッチとを有し、
前記デコーダ部は、前記パーシャル開始アドレス、パーシャル終了アドレスから前記複数のスイッチのそれぞれを制御する信号を生成するスイッチ制御信号生成部を有すること
を特徴とする請求項3に記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記スイッチ制御信号生成部は、
前記パーシャル開始アドレス、パーシャル終了アドレスを表すアドレスバス配線と結線するコンタクトホールの位置を規定して前記複数のスイッチのそれぞれを制御する信号を生成することを特徴とする請求項4に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記レシーバ部と前記デコーダ部とが、前記基板上に設けられていることを特徴とする請求項5に記載の液晶表示装置。
【請求項7】
前記液晶画素は、SRAMであることを特徴とする請求項6に記載の液晶表示装置。
【請求項8】
前記パーシャル開始アドレス、パーシャル終了アドレスが、走査本数の異なる規格毎に異なっていることを特徴とする請求項7に記載の液晶表示装置。
【請求項9】
前記液晶画素は、DRAMであることを特徴とする請求項6に記載の液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−128014(P2010−128014A)
【公開日】平成22年6月10日(2010.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−300006(P2008−300006)
【出願日】平成20年11月25日(2008.11.25)
【出願人】(302020207)東芝モバイルディスプレイ株式会社 (2,170)
【Fターム(参考)】