説明

液晶表示装置

【課題】インパルス型のバックライトを備える液晶表示装置において、より最適なインパルス発光を行って、フリッカの発生を抑制する。
【解決手段】液晶表示装置100において、液晶パネル4の表示領域を複数のサブ表示領域に分割し、バックライト7を複数のサブ表示領域に対応する複数の光源Lから構成する。また、判定手段は、サブ表示領域毎に、そのサブ表示領域内の画素の画素値から算出した所定のフリッカ判定算出値と、予め設定された判定値とを比較してフリッカの発生レベルを判定し、決定手段は、判定手段により判定されたサブ表示領域毎のフリッカの発生レベルに応じて、サブ表示領域毎に、対応する光源の発光回数を決定し、発光制御手段は、1フレーム期間の各々において、決定手段により決定されたサブ表示領域毎の発光回数に従って、対応する光源Lを発光する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、2枚の電極で挟んだ液晶に電圧をかけて液晶の配列方向を変えることで、光を通過又は遮断して画像表示を行う。
液晶表示装置は、画像を切り換えてから次に画像を切り換えるまでの1フレーム期間の間、液晶に印加された電圧が保持されるホールド型の表示装置である。ところが、このようなホールド型表示装置では、動きぼけによる画質劣化の問題があった。動きぼけは、動画を見る人間の眼が動体を追従するように動くのに対して、実際に表示される画像は1フレーム期間の間静止しているために、人間の目には、動作方向にずれて二重に重なった画像が知覚されて動画がぼけているように捉えられる現象である。
【0003】
これに対し、1フレーム期間のうち、一部の期間のみバックライトをオンとして、残りの期間はバックライトをオフとするインパルス型の表示を行う液晶表示装置が知られている。インパルス型の液晶表示装置では、1フレーム期間中に画像表示期間と画像非表示期間とが含まれるため、ホールド型表示装置で問題となる動作ぼけを抑制することができる。その一方で、インパルス型の表示装置ではフリッカが発生し易いという難点がある。
【0004】
そこで、例えば、特許文献1には、現フレーム画像と前フレーム画像の動きベクトルをフレームブロック毎に検出することで、フレームブロック毎に現フレーム画像を動画像と静止画像に区別して、動画像と判定されたフレームブロックでは、対応する光源ブロックを点滅させ、静止画像と判定されたフレームブロックでは、対応する光源ブロックを常時点灯させるようにした液晶表示装置が提案されている。
【特許文献1】特開2005−99367号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記特許文献1の液晶表示装置は、表示画像が動画像であるか、或いは、静止画像であるかに応じて、バックライトの発光時間を制御するものである。しかしながら、フリッカの発生し易さは一定ではなく、静止画に近いほどフリッカがより目立つ傾向がある。
そのため、特許文献1のように、表示画像を、単に動画像と静止画像の2つに区別してバックライトを制御するだけでは、発光時間を短くしすぎてフリッカを十分に抑制できない場合や、逆に、発光時間を長くしすぎて、動きぼけを発生させてしまう恐れがある。
【0006】
本発明の課題は、インパルス型のバックライトを備える液晶表示装置において、より最適なインパルス発光を行って、フリッカの発生を抑制することである。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、液晶パネルと、当該液晶パネルに対してインパルス型の光を照射するバックライトと、を備える液晶表示装置において、
前記液晶パネルの表示領域は、複数のサブ表示領域に分割され、
前記バックライトは、前記複数のサブ表示領域に対応する複数の光源から成り、
前記サブ表示領域毎に、そのサブ表示領域内の画素の画素値から算出した所定のフリッカ判定算出値と、予め設定された判定値とを比較して、フリッカの発生レベルを判定する判定手段と、
前記サブ表示領域毎に、前記判定手段により判定された前記サブ表示領域毎のフリッカの発生レベルに応じて、対応する前記光源の発光回数を、フリッカの発生レベルが高いほど増えるように決定する決定手段と、
1フレーム期間において、前記決定手段により決定された前記サブ表示領域毎の発光回数に従って、対応する前記光源を発光させる発光制御手段と、
を備えることを特徴とする。
【0008】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の液晶表示装置において、前記発光制御手段は、前記決定手段により決定された前記発光回数が2以上である場合に、前記光源を所定時間間隔で発光させることを特徴とする。
【0009】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は2に記載の液晶表示装置において、前記所定のフリッカ判定算出値は、連続するフレームにおける画像信号の差分であることを特徴とする。
【0010】
請求項4に記載の発明は、液晶パネルと、当該液晶パネルに対してインパルス型の光を照射するバックライトと、を備える液晶表示装置において、
前記液晶パネルの表示領域は、複数のサブ表示領域に分割され、
前記バックライトは、前記複数のサブ表示領域に対応する複数の光源から成り、
各フレーム期間において、前記サブ表示領域毎に、そのサブ表示領域内の画素の画素値から算出した所定のフリッカ判定算出値と、予め設定された判定値とを比較して、フリッカの発生レベルを判定する判定手段と、
前記サブ表示領域毎に、前記判定手段により判定された前記サブ表示領域毎のフリッカの発生レベルに応じて、対応する前記光源の発光回数を、フリッカの発生レベルが高いほど増えるように決定する決定手段と、
1フレーム期間において、前記決定手段により決定された前記サブ表示領域毎の発光回数に従って、対応する前記光源を発光させる発光制御手段と、
を備え、
前記所定のフリッカ判定算出値は、連続するフレームにおける画像信号の差分であり、
前記発光制御手段は、前記決定手段により決定された前記発光回数が2以上である場合に、前記光源を所定時間間隔で発光させ、
前記光源は、所定の間隔を隔てて対向配置された2枚の基板を備え、一方の基板の対向面にカソード電極と接続された励起源を、一方の基板の対向面にアノード電極と接続された蛍光体層を備えて成る面光源であり、
前記電子放出層はカーボンナノチューブから成ることを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、液晶パネルの表示領域が複数のサブ表示領域に分割され、バックライトが、複数のサブ表示領域に対応する複数の光源から成り、判定手段により、サブ表示領域毎に、そのサブ表示領域内の画素の画素値から算出した所定のフリッカ判定算出値と、予め設定された判定値とが比較されて、フリッカの発生レベルが判定され、決定手段により、サブ表示領域毎に、判定手段により判定されたサブ表示領域毎のフリッカの発生レベルに応じて、対応する光源の発光回数が、フリッカの発生レベルが高いほど増えるように決定され、発光制御手段により、1フレーム期間において、決定手段により決定されたサブ表示領域毎の発光回数に従って、対応する光源が発光される。
すなわち、液晶パネルの表示領域を分割したサブ表示領域毎に、所定のフリッカ判定算出値と予め設定された判定値とに基づいて、フリッカの発生レベルが判定され、各サブ表示領域に対応する光源が、判定されたフリッカの発生レベルに応じた発光回数だけ発光される。また、1フレーム期間内の光源の発光回数は、対応するサブ表示領域におけるフリッカの発生レベルが高いほど多くなり、フリッカの発生レベルが低いほど少なくなる。したがって、表示画像を単に動画像と静止画像とに区別してバックライトの発光時間を可変制御する場合と比較して、より適切な発光が可能となって、フリッカの発生をより一層抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。なお、発明の範囲は図示例に限定されない。
【0013】
本実施形態の液晶表示装置100は、例えば、図1に示すように、信号入力部1、映像処理部2、タイミング制御部3、液晶パネル4、走査線駆動部5及び信号線駆動部6、バックライト7、バックライト制御部8、フレームメモリ9、フレームメモリ10、差分算出部11、制御部12等を備える。
【0014】
信号入力部1は、例えば、テレビジョン放送信号を受信するアンテナ及びチューナや、外部装置からの画像信号を受信する各種映像端子等を備えて構成され、入力される画像信号を受信して映像処理部2に出力する。
【0015】
映像処理部2は、信号入力部1から供給される画像信号に基づいて、RGBの画像信号を生成し、液晶パネル4の画素数に応じたスケーリング処理を行って、1フレーム分の画像信号を生成する。さらに、1フレーム分の画像信号に対して各種の画質補正を行った後に、フレームメモリ9に出力する。
【0016】
タイミング制御部3は、信号入力部1から供給される画像信号に基づいて、1ライン期間を示すタイミング信号と、1フレーム期間を示すタイミング信号を生成して、液晶表示装置100の各部に供給する。
【0017】
液晶パネル4は、例えば、アクティブマトリクス駆動方式による液晶パネル4であり、所定の間隔を隔てて配設された一対の基板の間に液晶が封入されて成る。これら一対の基板は、偏光軸が直交した2枚の偏光板で挟まれ、背面側にはバックライト7が配設されている。
基板の上面には、p行の走査線X(X〜X)及びq列の信号線Y(Y〜Y)が互いに直交するように配列され、走査線Xと信号線Yの各交点には、アクティブ素子としての薄膜トランジスタ(TFT: Thin Film Transistor)を備える画素…がマトリクス状に配設されている。各画素には画素電極が形成され、画素電極に対向して、対向する基板に対向電極が形成されている。また、画素電極と対向電極との対向面にはそれぞれ配向膜が形成されている。
【0018】
走査線駆動部5は、液晶パネル4における走査線X(X〜X)の各々に対応して設けられており、タイミング制御部3からのタイミング信号に従って、各走査線Xを順に選択して、同一の走査線X上に連なるTFTをオン/オフさせる。
信号線駆動部6は、液晶パネル4における信号線Y(Y〜Y)の各々に対応して設けられており、走査線駆動部5による各走査線Xの走査に同期して、映像処理部2から入力される画像信号に応じた電圧を信号線Yに対して印加する。
走査線駆動部5及び信号線駆動部6により走査線Xと信号線Yとが駆動されると、それらの交点にある画素のTFTがオンとなって画素電極に電荷が蓄積され、その画素電極と対向電極との間に挟持されている液晶の配列方向が変化して、配向膜と偏光板とともに、バックライト7から照射される光を画素単位で通過或いは遮断させる。
【0019】
ここで、本実施形態の液晶パネル4の表示領域は、図2(a)に示すように、縦n個×横m個のサブ表示領域にマトリクス状に分割されている。
例えば、本実施形態の液晶パネル4が、768行(p行)×1024列(q列)の画素から成る場合に、64行×64列の画素を含む領域を一つのサブ表示領域として表示領域を分割すると、液晶パネル4の表示領域全体が、縦12個(n個)×横16個(m個)のサブ表示領域から構成されることとなる。
【0020】
バックライト7は、液晶パネル4の背面側に設けられ、短い期間でのパルス発光が可能なインパルス型のバックライトである。このバックライト7は、図2(b)に示すように、液晶パネル4における縦n個×横m個のサブ表示領域に1対1で対応する縦n個×横m個の光源Lから成り、バックライト制御部8による駆動に応じて、各光源Lを個別にインパルス発光させることができる。
【0021】
バックライト7を構成する各光源Lは、例えば、蛍光体に電子等の励起源を照射して発光させる面光源であり、図3に示すように、所定の間隔を隔てて2枚の基板71、72が平行に対向配置され、一方の基板71の対向面に、カソード電極73と接続された電子放出層74が形成されている。電子放出層74は、例えば、単層構造又は多層構造を有するカーボンナノチューブ(CNT: Carbon Nanotube)等から成り、カソード電極73を介して基板71上に塗布されている。
また、もう一方の基板72の対向面には、アノード電極75と接続された蛍光体層76が形成されている。
このようなバックライト7において、カソード電極73とアノード電極75とに駆動電圧が印加されると、電子放出層74から電子が放出されて蛍光体層76に衝突し、蛍光体層76を発光させる。
【0022】
また、電子放出層74と蛍光体層76との間の電子放出領域に、水銀粒子等を封入するように構成しても良い。これにより、電子放出層74から放出された電子が水銀粒子に衝突して水銀粒子から紫外線が発生し、この紫外線が蛍光体層76を発光させる。
また、励起源として、紫外線を発光する紫外線LED等を用いても良い。
【0023】
なお、以下の説明では、液晶パネル4の表示領域のうち、左上のサブ表示領域をS(1、1)、右上のサブ表示領域をS(m、1)、左下のサブ表示領域をS(1、n)、右下のサブ表示領域をS(m、n)とする。また、液晶パネル4の各サブ表示領域に対応して設けられているバックライト7の光源Lのうち、サブ表示領域S(1、1)に対応する左上の光源をL(1、1)、サブ表示領域S(m、1)に対応する右上の光源をL(m、1)、サブ表示領域S(1、n)に対応する左下の光源をL(1、n)、サブ表示領域S(m、n)に対応する右下の光源をL(m、n)として説明する。
【0024】
フレームメモリ9は、入力される画像信号をフレーム単位で蓄積し、フレームメモリ10及び差分算出部11に出力する。また、フレームメモリ10は、フレームメモリ9から入力される画像信号を1フレーム分遅延させて差分算出部11に出力する。
【0025】
差分算出部11は、例えば、減算器により構成され、フレームメモリ9及びフレームメモリ10から入力される画像信号に基づいて、1つのフレームを等分割した縦n個×横m個のサブ表示領域毎に、連続するフレーム間の画像信号の差分を算出する。
例えば、フレームメモリ9から取り込んだフレームを現フレームとして、フレームメモリ10から取り込んだフレームを前フレームとした場合に、差分算出部11は、現フレームと前フレームとの同一サブ表示領域において、同一位置にある互いに対応する画素同士の画素値の差分絶対値を求める。そして、サブ表示領域毎に、画素値の差分絶対値の平均値を算出する。差分算出部11により検出されたサブ表示領域毎の現フレームと前フレームとの差分絶対値は、後述する所定のフリッカ判定算出値Cとして、そのサブ表示領域におけるフリッカの発生レベルの判定に用いられる。
なお、所定のフリッカ判定算出値Cは任意であり、例えば、サブ表示領域内の隣接画素毎の輝度レベル差の偏差を用いても良い。また、例えば、一定期間内のフレームにおける連続するフレーム間の差分値の統計を用いても良い。
【0026】
制御部12は、例えば、CPU(Central Processing Unit)121、CPU121のワークエリアとして用いられるRAM(Random Access Memory)122、データの書換え及び消去が可能なEEPROM(Electrically Erasable Programmable ROM)等から成る参照テーブル123、CPU121によって実行される各種プログラムを格納するROM(Read Only Memory)124等を備えて構成される。
【0027】
CPU121は、液晶表示装置100の各部から入力される入力信号に応じて、ROM124に格納された各種プログラムを実行するとともに、実行にかかるプログラムに基づいて各部に出力信号を出力することにより、液晶表示装置100の動作全般を統括制御する。
【0028】
参照テーブル123は、フリッカの発生レベルを判定するための判定値(例えば、判定値J1、J2)を予め記憶しており、後述する判定プログラム124bの実行において、フリッカの発生レベルを判定する際に参照される。
図4に、参照テーブル123の一例を示す。図4に示すように、参照テーブル123には、フリッカの発生レベルを判定するための判定値として判定値J1、J2が記憶されており、差分算出部11において算出された所定のフリッカ判定算出値Cと比較されることにより、フリッカの発生レベルが3段階に判定される。例えば、図4の参照テーブル123では、所定のフリッカ判定算出値Cが判定値J2以上である場合には、フリッカ発生レベルが「1(低い)」と判定され、判定値J1以上且つ判定値J2未満である場合には、フリッカ発生レベルが「2(中程度)」と判定され、判定値J1未満である場合には、フリッカ発生レベルが「3(高い)」と判定される。
ここで、フリッカ発生レベル「1」は最も動画領域の多い画像、すなわち、フリッカの発生頻度の低い画像を示しており、フリッカ発生レベル「3」は最も静止領域が多い画像、すなわち、フリッカの発生頻度の高い画像を示している。また、フリッカ発生レベル「2」はフリッカの発生頻度が中程度の画像を示している。
【0029】
また、参照テーブル123は、各フリッカ発生レベル1〜3に対応する光源Lの発光回数Nを記憶しており、後述する決定プログラム124cの実行において、判定されたフリッカ発生レベルに応じて発光回数Nを決定する際に参照される。
図4の参照テーブル123によれば、判定プログラム124bの実行において判定されたフリッカ発生レベルが「1」である場合には、発光回数Nが「1回」と決定され、フリッカ発生レベルが「2」である場合には、発光回数Nが「2回」と決定され、フリッカ発生レベルが「3」である場合には、発光回数Nが「3回」と決定される。
このように、フリッカ発生レベルに対応付けられた発光回数Nは、フリッカの発生レベルが高いほど大きい値となっている。
【0030】
ROM124は、プログラム格納エリアに、算出プログラム124a、判定プログラム124b、決定プログラム124c、発光制御プログラム124d等を格納している。
【0031】
算出プログラム124aは、例えば、CPU121に、サブ表示領域毎に、そのサブ表示領域内の画素の画素値から所定のフリッカ判定算出値Cを算出する機能を実現させるためのプログラムである。
具体的には、CPU121は、サブ表示領域の各々について、フレームメモリ9から入力される現フレームの画像信号と、フレームメモリ10から入力される当該現フレームの1フレーム前の画像信号である前フレームの画像信号との差分絶対値を算出する。
例えば、液晶パネル4の表示領域が、縦12個(n個)×横16個(m個)のサブ表示領域から構成されている場合には、192個のサブ表示領域の各々について、現フレームと前フレームとの画像信号の差分絶対値を算出する。この差分絶対値は、所定のフリッカ判定算出値Cとしてフリッカの発生レベルの判定に用いられる。
【0032】
判定プログラム124bは、例えば、CPU121に、サブ表示領域毎に、そのサブ表示領域内の画素の画素値から算出した所定のフリッカ判定算出値Cと、予め定められた判定値とを比較して、フリッカの発生レベルを判定する機能を実現させるためのプログラムである。
具体的には、CPU121は、算出プログラム124aの実行により、サブ表示領域の所定のフリッカ判定算出値C(現フレームと前フレームとの画像信号の差分絶対値)が算出されると、当該所定のフリッカ判定算出値Cを、参照テーブル123に記憶された判定値J1、J2と比較して、フリッカの発生レベルを判定する。
前述したように、例えば、現フレームと前フレームとの画像信号の差分絶対値が判定値J2以上である場合には、フリッカ発生レベル「1」、すなわち、動画領域が多くフリッカが目立たない領域であると判定される。また、例えば、現フレームと前フレームとの画像信号の差分絶対値が判定値J1未満である場合には、フリッカ発生レベル「3」、すなわち、静止領域が多くフリッカが目立つ領域であると判定される。
CPU121は、かかる判定プログラム124bを実行することにより、判定手段として機能する。
【0033】
決定プログラム124cは、例えば、CPU121に、サブ表示領域毎に、判定プログラム124bの実行により判定されたサブ表示領域毎のフリッカの発生レベルに応じて、対応する光源Lの発光回数Nを、フリッカの発生レベルが高いほど増えるように決定する機能を実現させるためのプログラムである。
具体的には、CPU121は、判定プログラム124bの実行によりフリッカの発生レベルが判定されると、参照テーブル123から、判定されたフリッカ発生レベルに対応付けられている発光回数Nを読み出し、これを対応する光源Lの発光回数Nとして決定する。
例えば、フリッカの発生レベルが「1」である場合には、対応する光源Lの発光回数Nは「1回」であると決定される。また、例えば、フリッカの発生レベルが「3」である場合には、対応する光源Lの発光回数Nは「3回」であると決定される。
CPU121は、かかる決定プログラム124cを実行することにより、決定手段として機能する。
【0034】
発光制御プログラム124dは、例えば、CPU121に、1フレーム期間において、決定プログラム124cの実行により決定されたサブ表示領域毎の発光回数Nに従って、対応する光源Lを発光させる機能を実現させるためのプログラムである。
CPU121は、かかる発光制御プログラム124dを実行することにより、バックライト制御部8とともに発光制御手段として機能する。
【0035】
ここで、発光制御プログラム124dによる光源Lの発光制御処理についてより具体的に説明する。
【0036】
CPU121は、サブ表示領域に対応する光源Lの発光回数Nが決定されると、決定された発光回数Nに従って、光源Lの発光量を決定する。
光源Lの発光量は、時間積分効果によって周期T全体で画像信号に応じた輝度レベルとなるように、発光回数Nに応じて調整される。例えば、光源Lの発光回数Nが「3回」であると判定された場合には、光源Lの1回の発光あたりの発光量は、発光回数Nが「1回」である場合の1/3の発光量とされる。
【0037】
CPU121は、フリッカ発生レベルに応じて、光源Lの発光回数Nと発光量とを決定すると、走査線駆動部5及び信号線駆動部6の駆動により、液晶パネル4における各サブ表示領域に画像信号をロードするとともに、バックライト制御部8の駆動により、バックライト7における各サブ表示領域に対応する光源Lを、決定した発光回数Nだけ、決定した発光量で発光させる。
これにより、各サブ表示領域に対応する光源Lが、各サブ表示領域の画像信号から求めたフリッカの発生し易さに応じて、フリッカの抑制に最も効果的な発光回数Nで発光されることとなる。
【0038】
なお、本実施形態では、光源Lの発光時間t、(すなわち、1回の発光あたりの発光時間t及び各発光回数Nでのトータル発光時間t2)が予め定められているものとする。この発光時間tは、1つのサブ表示領域の画像表示に要する周期Tに比べて短い値であって、消費電力や部材の寿命、装置の固体差等を考慮して、フリッカと動きぼけの両方を低減させるための最適値となるように設定されている。
例えば、周期Tのうち、サブ表示領域内の画素に対して画像信号に応じた電荷を蓄積するのに要する時間(画像データのロード時間)をTd、液晶の応答時間をTsとした場合、光源Lの発光時間tは、0<t<T−(Td+Ts)の範囲で設定されることとなる。
また、ユーザの視覚特性を考慮して、フリッカと動きぼけのうち、画質により大きな影響を与えるフリッカを優先的に低減させることができる値に設定されても良い。
【0039】
ここで、図5を参照しながら、1サブ表示領域の画像表示にかかる周期Tにおける画像ロード、液晶応答、光源発光のタイミングについて説明する。
例えば、サブ表示領域S(1、1)について、フリッカ発生レベル「1」、光源Lの発光回数N「1回」が決定された場合、CPU121は、図5(a)に示すように、タイミング制御部3からのタイミング信号に従って、画像データのロード時間Tdにおいて、走査線駆動部5及び信号線駆動部6により、サブ表示領域S(1、1)の画素に対応する走査線X及び信号線Yに画像信号に応じた電圧を印加して、フレームメモリ9からの画像信号をサブ表示領域S(1、1)の画素に設定する。
すると、液晶の応答時間Tsにおいて、サブ表示領域S(1、1)内の画素の液晶が配列方向を変化させる。
次いで、CPU121は、タイミング信号から送られてくるサブ表示領域S(1、1)の液晶が安定したタイミングを示すタイミング信号に従って、そのサブ表示領域S(1、1)に対応する光源Lを、決定した発光量で1回だけ発光させ、発光時間tが経過すると光源Lを消灯させる。
【0040】
また、例えば、サブ表示領域S(n、m)について、フリッカ発生レベル「3」、光源Lの発光回数N「3回」が決定された場合、CPU121は、図5(b)に示すように、タイミング制御部3からのタイミング信号に従って、画像データのロード時間Tdにおいて、走査線駆動部5及び信号線駆動部6により、サブ表示領域S(n、m)の画素に対応する走査線X及び信号線Yに画像信号に応じた電圧を印加して、フレームメモリ9からの画像信号をサブ表示領域S(n、m)の画素に設定する。
すると、液晶の応答時間Tsにおいて、サブ表示領域S(n、m)内の画素の液晶が配列方向を変化させる。
次いで、CPU121は、タイミング信号から送られてくるサブ表示領域S(n、m)の液晶が安定したタイミングを示すタイミング信号に従って、そのサブ表示領域(n、m)に対応する光源Lを、1回につきtの間、決定した発光量で発光させ、この発光を所定時間間隔で、間欠的に3回繰り返す。また、3回目の発光の発光時間tが経過して、合計発光時間がtとなると光源Lを消灯させる。
【0041】
これにより、フリッカが目立たないサブ表示領域S(1、1)について、光源の発光回数を増やさずに済むこととなり、制御が容易となる。また、フリッカが目立つサブ表示領域S(n、m)について、発光回数を増やして光源Lを間欠的に発光させることができ、フリッカをより効果的に抑制することができる。
【0042】
CPU121は、上記処理を、1フレーム期間内に、液晶パネル4の表示領域に含まれる12個(n個)×16個(m個)のサブ表示領域S(1、1)〜S(n、m)の各々について行う。したがって、各サブ表示領域の光源Lが最適な発光回数だけ発光することとなり、サブ表示領域単位でフリッカが低減された1画面分の画像が液晶パネル4上に提示されることとなる。
【0043】
なお、走査の順序及び光源Lを発光させる順序は任意であり、走査と発光をサブ表示領域毎に順次行っていく方法に限られない。例えば、複数のサブ表示領域(例えば、横方向に並ぶS(1、1)〜S(m、1))を走査して、対応する光源L(例えば、L(1、1)〜L(m、1))を一斉に発光させる方法や、1画面全体の走査を終了してから全光源Lを一斉に発光させる方法等を用いても良い。
【0044】
次に、図6のフローチャートを参照しながら、本実施形態におけるフリッカの発生レベルの判定と、判定されたフリッカの発生レベルに基づく画像表示処理の流れについて説明する。
【0045】
まず、ステップS1において、一つのサブ表示領域について、所定のフリッカ判定算出値Cとして、連続するフレーム(例えば、現フレーム及び前フレーム)の画像信号の差分絶対値を算出する。次いで、ステップS2において、算出した所定のフリッカ判定算出値Cを、参照テーブル123から読み出した判定値J1、J2と比較して、そのサブ表示領域におけるフリッカの発生レベルを判定する。さらに、ステップS3において、判定されたフリッカの発生レベルに応じて、そのサブ表示領域に対応する光源Lの発光回数N及び発光量を決定する。
ステップS4において、走査線駆動部5及び信号線駆動部6は、対応する走査線X及び信号線Yをそのサブ表示領域の画素に画像データをロードする。すると、ステップS5において、ロードされた画像データに応じてサブ表示領域の画素の液晶が応答する。
液晶が応答すると、ステップS6において、そのサブ表示領域に対応する光源Lを、決定された発光回数Nと発光量とに応じて発光させ、本処理を終了する。
【0046】
以上説明した本実施形態における液晶表示装置100によれば、液晶パネル4の表示領域が複数のサブ表示領域に分割され、バックライト7が、複数のサブ表示領域に対応する複数の光源Lから成り、判定手段(判定プログラム124b)により、サブ表示領域毎に、そのサブ表示領域内の画素の画素値から算出した所定のフリッカ判定算出値Cと、予め設定された判定値J1、J2とが比較されて、フリッカの発生レベルが判定され、決定手段(決定プログラム124c)により、サブ表示領域毎に、判定手段(判定プログラム124b)により判定されたサブ表示領域毎のフリッカの発生レベルに応じて、対応する光源Lの発光回数Nが決定され、発光制御手段(発光制御プログラム124d)により、1フレーム期間において、決定手段(決定プログラム124c)により決定されたサブ表示領域毎の発光回数Nに従って、対応する光源Lが発光される。
すなわち、液晶パネル4の表示領域を分割したサブ表示領域毎に、所定のフリッカ判定算出値Cと予め設定された判定値とに基づいて、フリッカの発生レベルが判定され、各サブ表示領域に対応する光源Lが、判定されたフリッカの発生レベルに応じた発光回数Nだけ発光される。また、1フレーム期間内の光源Lの発光回数Nは、対応するサブ表示領域におけるフリッカの発生レベルが高いほど多くなり、フリッカの発生レベルが低いほど少なくなる。したがって、表示画像を単に動画像と静止画像とに区別してバックライト7の発光時間を可変制御する場合と比較して、適切な発光が可能となって、フリッカの発生をより一層抑制できる。
【0047】
すなわち、フリッカが目立つサブ表示領域に対応する光源を、発光回数を増やして間欠的に発光させることができ、一方、フリッカが目立たないサブ表示領域に対応する光源を、発光回数を増やさずに発光させることができ、フリッカをより効果的且つ効率的に抑制することができる。
また、フリッカをサブ表示領域単位で低減させることができるため、画面全体のフリッカがより一層低減することとなる。
【0048】
また、発光制御手段(発光制御プログラム124d、バックライト制御部8)により、決定手段(決定プログラム124c)により決定された発光回数Nが2以上である場合に、光源Lが所定時間間隔で発光される。したがって、フリッカの目立つサブ表示領域に対応する光源Lが間欠的に発光されることとなり、フリッカをより効果的に抑制することができる。
【0049】
また、所定のフリッカ判定算出値Cは、連続するフレームにおける画像信号の差分であるため、簡易な方法でフリッカの発生レベルを判定するための値を算出することができる。
【0050】
さらに、光源Lは、所定の間隔を隔てて対向配置された2枚の基板71、72を備え、一方の基板71の対向面にカソード電極73と接続された電子放出層74を、一方の基板72の対向面にアノード電極75と接続された蛍光体層76を備えて成る面光源であり、電子放出層74はカーボンナノチューブから成る。
したがって、より均一な光を表示領域に向けて照射させることができる。また、カーボンナノチューブは、電界放出が容易であるため、低電力化を図ることができる。
【0051】
なお、本発明の範囲は上記実施形態に限られることなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲において種々の改良並びに設計の変更を行っても良い。
【0052】
例えば、サブ表示領域の分割方法は任意であり、等分割でなくとも良い。
また、フリッカの発生レベルをより細かく判定しても良い。逆に、フリッカの発生有り/無しを判定する2値判定であっても良い。
また、上記実施形態では、バックライトとして電子放出型のバックライトを用いたが、その他、有機ELや、LED(Light Emitting Diode)、CCFL(冷陰極管:Cold Cathode Fluorescent Lamp)、EEFL(熱陰極管:External Electrode Fluorescent Lamp)等を用いたバックライトであっても良い。また、バックライトは直下型に限られず、サイドエッジ型等であっても良い。
また、フリッカの発生レベルの判定方法は任意の方法を用いることができる。例えば、液晶パネル側に設けられた光センサ等の測定装置により輝度レベルの時間変動を測定し、これを所定のフリッカ判定算出値としてフリッカの発生レベルを判定しても良い。
また、上記実施形態では、光源の発光時間が予め設定されており、発光回数に応じて発光量を調整することにより所望の輝度を得る場合について説明したが、フレーム期間毎に発光時間が可変に調整されることとしても良い。この場合において、発光量は固定であってもフレーム期間毎に可変であっても良い。
【図面の簡単な説明】
【0053】
【図1】本実施形態における液晶表示装置の要部構成を例示するブロック図である。
【図2】図2(a)は、液晶パネルの表示領域を構成するサブ表示領域について説明する図であり、図2(b)は、各サブ表示領域に対応して設けられた光源について説明する図である。
【図3】光源の側面断面図である。
【図4】参照テーブルを例示する図である。
【図5】1サブ表示領域の画像表示に要する周期における画像ロード、液晶応答、光源発光のタイミングについて説明する図である。
【図6】フリッカの発生レベルの判定と、判定されたフリッカの発生レベルに基づく画像表示処理の流れについて説明する図である。
【符号の説明】
【0054】
100 液晶表示装置
4 液晶パネル
7 バックライト
71、72 基板
73 カソード電極
74 電子放出層
75 アノード電極
76 蛍光体層
121 CPU(判定手段、決定手段、発光制御手段)
124a 判定プログラム(判定手段)
124b 決定プログラム(決定手段)
124c 発光制御プログラム(発光制御手段)
L 光源
N 発光回数

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液晶パネルと、当該液晶パネルに対してインパルス型の光を照射するバックライトと、を備える液晶表示装置において、
前記液晶パネルの表示領域は、複数のサブ表示領域に分割され、
前記バックライトは、前記複数のサブ表示領域に対応する複数の光源から成り、
前記サブ表示領域毎に、そのサブ表示領域内の画素の画素値から算出した所定のフリッカ判定算出値と、予め設定された判定値とを比較して、フリッカの発生レベルを判定する判定手段と、
前記サブ表示領域毎に、前記判定手段により判定された前記サブ表示領域毎のフリッカの発生レベルに応じて、対応する前記光源の発光回数を、フリッカの発生レベルが高いほど増えるように決定する決定手段と、
1フレーム期間において、前記決定手段により決定された前記サブ表示領域毎の発光回数に従って、対応する前記光源を発光させる発光制御手段と、
を備えることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記発光制御手段は、前記決定手段により決定された前記発光回数が2以上である場合に、前記光源を所定時間間隔で発光させることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記所定のフリッカ判定算出値は、連続するフレームにおける画像信号の差分であることを特徴とする請求項1又は2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
液晶パネルと、当該液晶パネルに対してインパルス型の光を照射するバックライトと、を備える液晶表示装置において、
前記液晶パネルの表示領域は、複数のサブ表示領域に分割され、
前記バックライトは、前記複数のサブ表示領域に対応する複数の光源から成り、
各フレーム期間において、前記サブ表示領域毎に、そのサブ表示領域内の画素の画素値から算出した所定のフリッカ判定算出値と、予め設定された判定値とを比較して、フリッカの発生レベルを判定する判定手段と、
前記サブ表示領域毎に、前記判定手段により判定された前記サブ表示領域毎のフリッカの発生レベルに応じて、対応する前記光源の発光回数を、フリッカの発生レベルが高いほど増えるように決定する決定手段と、
1フレーム期間において、前記決定手段により決定された前記サブ表示領域毎の発光回数に従って、対応する前記光源を発光させる発光制御手段と、
を備え、
前記所定のフリッカ判定算出値は、連続するフレームにおける画像信号の差分であり、
前記発光制御手段は、前記決定手段により決定された前記発光回数が2以上である場合に、前記光源を所定時間間隔で発光させ、
前記光源は、所定の間隔を隔てて対向配置された2枚の基板を備え、一方の基板の対向面にカソード電極と接続された励起源を、一方の基板の対向面にアノード電極と接続された蛍光体層を備えて成る面光源であり、
前記電子放出層はカーボンナノチューブから成ることを特徴とする液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2010−8871(P2010−8871A)
【公開日】平成22年1月14日(2010.1.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−170346(P2008−170346)
【出願日】平成20年6月30日(2008.6.30)
【出願人】(000201113)船井電機株式会社 (7,855)
【Fターム(参考)】