説明

液晶表示装置

【課題】モアレ、クロストークの目立つコンテンツを画像特徴情報に基づいて画像判定して自動制御でモアレ、クロストークを抑えて見易い表示画像を得る。
【解決手段】液晶表示部5に送信される映像信号と同時に送信される画像特徴情報に基づいて、画像判定部6がモアレおよびクロストークを判定する場合、輝度を3段階の暗、中間、明に分類し、その分類毎のピクセル数で画像の特徴を判断する。高輝度ピクセル数が多い明るい被写体が所定の比率以上ある場合に、モアレが目立ち易いと画像判定部6が判断して制御電圧出力部7に判定情報を出力し、制御電圧出力部7がスイッチング液晶部5aに印加電圧を下げて印加して液晶表示部5のモアレが目立ちにくいように制御が為される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、特殊なメガネを使用することなく、3D(3次元)表示が可能な視差バリア方式による液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
この種の従来の液晶表示装置は、その一例として液晶表示装置で2D(2次元)/3D(3次元)表示の切替えを可能とし、複数の視点から異なる画像を見ることができる表示方法と、全画面で一つの画像を表示する表示方法とを切り替えることが可能な液晶表示パネルおよび液晶表示装置である。
【0003】
人の左右の眼は、左右の異なる位置から見た画像を視認しており、人間の脳は、これらの二つの左右の画像の視差によって立体感が認識されている。この立体感認識原理を利用して、左右それぞれの眼に異なる視点から見た画像を認識させることにより視差が生まれ、3D(3次元)表示を行う立体視の液晶表示装置が開発されている。
【0004】
3D(3次元)表示を行うために、視点の異なる画像を左右の目に視認させるために、表示画面に左右別々の画像を、偏光状態、表示のタイミングによって符号化され、表示画像を確認する者が着用するメガネ状の偏光システムによって左右の画像を分けて、左右の目でそれぞれ見える画像のみが視認できるようになっている。
【0005】
液晶表示パネルに光の遮断領域と透過領域とがストライプ状になっている視差バリアを組み合わせた液晶表示装置でメガネ状の偏光システムなどの視覚的補助具がなくても3D(3次元)画像が認識できるようにした3D液晶表示装置がある。
【0006】
このように、従来の液晶表示装置に、光の遮断領域と透過領域とがストライプ状になっている視差バリアを組み合わせることによって、3D(3次元)表示を行う従来の3D液晶表示装置が、例えば特許文献1に開示されている。この特許文献1では、視差バリアとしてパターン化位相差板を使用した構成が開示されている。
【0007】
また、視差バリアを組み合わせた従来の液晶表示装置において、視差バリア効果のON/OFFを切り替える方法をスイッチング液晶部などを組み合わせることにより、2D(2次元)/3D(3次元)表示の切り替えを電気的に行う従来の液晶表示装置が、特許文献2に開示されている。この特許文献2に開示されている従来の液晶表示装置では、スイッチング液晶部のON/OFFにより、視差バリアの効果を有効にした場合、3D(3次元)表示を行い、視差バリア効果を無効にすると、2D(2次元)表示を行うことができるようになっている。このような従来の3D液晶表示装置の表示制御構成について図5を用いて簡単に説明する。
【0008】
図5は、従来の3D液晶表示装置の表示制御構成例を概略的に示すブロック図である。
【0009】
図5において、従来の3D液晶表示装置100は、L側マスタカメラ101と、R側スレーブカメラ102と、これらのL側マスタカメラ101およびR側スレーブカメラ102からの映像信号が入力されて表示画面の表示制御を行うLCDC103と、LCDC103からの画像データに基づいて3D表示が為される表示画面の3D液晶表示部(LCD)104とを有している。
【0010】
また、液晶パネルの表面に液晶パララックスバリアを備え、3D映像の表示画面が見易い液晶パララックスバリアへの印加電圧値を規定した3D液晶表示装置が特許文献3に開示されている。
【0011】
図6は、特許文献3に開示されている従来の3D液晶表示装置の液晶パララックスバリアの原理図である。
【0012】
図6において、液晶パネル300の前方には、所定距離を置いて遮光バリアであるパララックスバリア301が配置される。このパララックスバリア301には、縦ストライプ状に開口部301a・・・と遮光部301b・・・が形成される。開口部301a・・・の間隔は、左眼用画素Lと右眼用画素Rの配列に対応して設定される。このパララックスバリア301により、左眼用映像と右眼用映像とが左右に分離され、この分離された映像は観察者の左眼、右眼にそれぞれ入光する。これによって観察者は正面の最適な位置で開口部301aを通して立体映像を観察することができる。
【0013】
3D映像表示を行う場合に、パララックスバリア301への印加電圧を飽和直前の電圧とする。この場合のパララックスバリア301への印加電圧は、パララックスバリア301の遮光部301bの透過率を2パーセント以上25パーセント以下の透過率とする電圧とすることが好ましく、パララックスバリア301の遮光部301bの透過率を3パーセント以上10パーセント以下の透過率とする電圧とすることがより好ましい。これによって、3D映像の表示画面に発生するモアレを低減することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0014】
【特許文献1】特開平10−229567号公報
【特許文献2】特開平10−123461号公報
【特許文献3】特開2004−294862号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
特許文献1、2に開示されている上記従来の視差バリア方式では、1次元に配列されたストライプ画像を、1次元に配列された視差バリアの開口スリットから画像を見ることから原理的にモアレ(黒い縦縞模様)が発生して、画像品質が低下するという問題があった。このため、画像品質の劣化は観測者にとって不快であり、視点が僅かに移動してもモアレが移動するので、立体画像の奥行きまたは飛出し感が損なわれるという問題もあった。このような従来の視差バリア方式では、モアレが発生するという問題が存在しているが、視差バリアとして液晶視差バリアを使用した場合、透光部と遮光部のコントラストが強い方が左右視差画像のクロストーク(ゴーストと呼ばれ二重画像になる)は低減される。このため、液晶視差バリアの遮光部の透過率をほぼ0パーセントとし、透光部と遮光部のコントラストを強くしている反面、透光部と遮光部のコントラストが強いと逆にモアレは発生しやすくなるという問題もあった。
【0016】
上記特許文献1、2の2D(2次元)/3D(3次元)切替型の液晶表示装置では、以下のような問題が発生する。
【0017】
即ち、上記特許文献1、2の2D(2次元)/3D(3次元)切替型液晶表示装置では、スイッチング液晶部のON/OFFの切り替えのみで2D(2次元)/3D(3次元)表示を切り替えていることから、3D(3次元)表示でモアレ、クロストークが発生する映像信号に対しても、3D(3次元)表示切替時に一定の条件(ON、OFF)で3D(3次元)表示の切り替えを行っている。このため、モアレ、クロストークが発生する映像信号が送られてきた場合でも、その映像信号に対してモアレ、クロストークの判定をする機能がないこと自体が問題であり、モアレ、クロストークを低減することができないという問題があった。このため、モアレ、クロストークの発生する映像信号を表示すると、観測者は不快で眼が疲れるという問題が発生する。
【0018】
図7は、被写体別輝度のヒストグラムとモアレ、クロストークとの関係を説明するための図である。
【0019】
図7に示すように、低輝度のピクセル数が多い暗い被写体の1画面中の比率が多い場合にはモアレは目立ちにくく、高輝度のピクセル数が多い明るい被写体の1画面中の比率が多い場合にはモアレは目立ちやすい、また、1画面中の高輝度、低輝度のピクセル数の比率が多く中輝度のピクセル数の比率が少ないコントラストの高い被写体の場合にはクロストークが目立ちやすい。
【0020】
一方、特許文献3では、3D液晶表示装置に送信される映像信号毎の特徴信号の送信、判定ができないという問題があった。このため、送信される映像信号に適した液晶のパララックスバリア301の印加電圧の制御ができないという問題があった。即ち、図7で前述したように、被写体の表示コンテンツ(被写体内容)によってモアレ、クロストークが目立つ場合があるが、表示コンテンツ別(被写体内容別)にモアレ、クロストークを減少させる表示制御ができないという問題があった。
【0021】
本発明は、上記従来の問題を解決するもので、モアレ、クロストークの目立つコンテンツを画像特徴情報に基づいて画像判定して自動制御でモアレ、クロストークを抑えて見易い表示画像を得ることができる液晶表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0022】
本発明の液晶表示装置は、映像入力装置からの映像信号に基づいて液晶表示部により画像表示する液晶表示装置において、該映像信号から画像特徴情報を取得する特徴情報取得部と、該特徴情報取得部で取得した画像特徴情報に基づいてモアレおよびクロストークのいずれかを判定して判定情報を出力可能とする画像判定部と、該液晶表示部を制御して該モアレおよび該クロストークのいずれかを低減するように該判定情報に応じた制御電圧を該液晶表示部に出力する制御電圧出力部とを有するものであり、そのことにより上記目的が達成される。
【0023】
また、好ましくは、本発明の液晶表示装置における特徴情報取得部は、前記画像特徴情報として前記映像信号の中から輝度信号の輝度範囲別ピクセル数をそれぞれ取得する。
【0024】
さらに、好ましくは、本発明の液晶表示装置における画像特徴情報は、1画面毎の全画素に対してかまたは、所定画素数置きに取得され、該1画面の各画素毎の輝度値が少なくとも3段階の輝度範囲のどの範囲に属するかを判断して順次カウントして、該1画面の輝度比率として集計されている。
【0025】
さらに、好ましくは、本発明の液晶表示装置における画像判定部は、前記画像特徴情報に基づいて前記モアレおよび前記クロストークのいずれかを判定して判定情報を出力する。
【0026】
さらに、好ましくは、本発明の液晶表示装置における画像判定部は、前記輝度比率または前記輝度別ピクセル数に基づいて、テーブルから、前記液晶表示部に出力する制御電圧に対応した値を取り出して前記判定情報として出力する。
【0027】
さらに、好ましくは、本発明の液晶表示装置における制御電圧出力部は、前記モアレおよび前記クロストークのいずれかを低減するように、前記画像判定部からの判定情報に応じて2D(2次元)/3D(3次元)表示切替用のスイッチング液晶部に前記制御電圧を出力する。
【0028】
さらに、好ましくは、本発明の液晶表示装置における制御電圧出力部が前記制御電圧を出力する前記液晶表示部の出力先は、2D(2次元)/3D(3次元)表示切替用のスイッチング液晶部である。
【0029】
さらに、好ましくは、本発明の液晶表示装置におけるスイッチング液晶部が、光の遮断領域と透過領域とがストライプ状になっている視差バリアの効果をオン/オフ切り替えることにより、前記2D(2次元)/3D(3次元)表示の切り替えを行う。
【0030】
さらに、好ましくは、本発明の液晶表示装置における映像入力装置は、受信装置、3Dカメラおよび情報記録再生装置のいずれかである。
【0031】
さらに、好ましくは、本発明の液晶表示装置において、1画面の各画素毎の輝度値が集計されて少なくとも高輝度、中輝度および低輝度の3段階の輝度範囲の輝度範囲別ピクセル数または輝度比率として前記画像特徴情報が取得され、該高輝度の輝度範囲別ピクセル数または該高輝度の比率が所定値以上である場合に、モアレが目立ち易いと前記画像判定部が判断して前記制御電圧出力部に判定情報を出力し、該制御電圧出力部が前記スイッチング液晶部に印加電圧を下げて印加して前記液晶表示部のモアレが目立ちにくいように制御が為される。
【0032】
さらに、好ましくは、本発明の液晶表示装置において、1画面の各画素毎の輝度値が集計されて少なくとも高輝度、中輝度および低輝度の3段階の輝度範囲の輝度範囲別ピクセル数または輝度比率として前記画像特徴情報が取得され、該低輝度と該高輝度のピクセル数または該低輝度と該高輝度の輝度比率が所定値よりも多く、該中輝度のピクセル数または該中輝度の輝度比率が所定値よりも少ない場合に、クロストークが目立つ表示画像であると前記画像判定部が判断して、液晶視差バリアの遮光部の遮光率が高くなるように、前記制御電圧出力部に判定情報を出力し、該制御電圧出力部が前記スイッチング液晶部に印加電圧を上げて印加して前記液晶表示部のクロストークが目立ちにくいように制御が為される。
【0033】
さらに、好ましくは、本発明の液晶表示装置において、前記クロストークを抑制するべく、前記スイッチング液晶部への印加電圧を予め上げて、該クロストークが安定して低減される制御電圧に設定し、モアレ発生の画像特徴情報により、該制御電圧を下げた制御を行うように構成されている。
【0034】
上記構成により、以下、本発明の作用を説明する。
【0035】
本発明においては、映像入力装置からの映像信号に基づいて液晶表示部により画像表示する液晶表示装置において、映像信号から画像特徴情報を取得する特徴情報取得部と、特徴情報報取部で取得した画像特徴情報に基づいてモアレおよびクロストークのいずれかを判定して判定情報を出力可能とする画像判定部と、液晶表示部を制御してモアレおよびクロストークのいずれかを低減するように判定情報に応じた制御電圧を液晶表示部に出力する制御電圧出力部とを有している。
【0036】
これによって、明るさなどを示す映像信号の画像特徴情報からモアレおよびクロストークのいずれかを予め判定し、その判定結果を示す判定情報に応じて液晶表示部への電圧を制御する。このように、モアレ、クロストークの目立つコンテンツを画像特徴情報に基づいて画像判定して、自動制御でモアレ、クロストークを抑えて見易い表示画像を得ることが可能となる。
【発明の効果】
【0037】
以上により、本発明によれば、モアレ、クロストークの目立つコンテンツを画像特徴情報に基づいて画像判定して、自動制御でモアレ、クロストークを抑えて見易い表示画像を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0038】
【図1】本発明の実施形態1における液晶表示装置の要部構成例を示すブロック図である。
【図2】被写体の輝度別のヒストグラムとモアレの補正を説明するための図である。
【図3】コントラストの高い被写体の輝度別のヒストグラムとクロストーク抑制処理との関係を説明するための図である。
【図4】0〜255の電圧設定値を示すテーブルである。
【図5】従来の3D液晶表示装置の表示制御構成例を概略的に示すブロック図である。
【図6】特許文献3に開示されている従来の3D液晶表示装置の液晶パララックスバリアの原理図である。
【図7】被写体の輝度別のヒストグラムとモアレ、クロストークとの関係を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0039】
以下に、本発明の液晶表示装置の実施形態1について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0040】
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1における液晶表示装置の要部構成例を示すブロック図である。
【0041】
図1において、本実施形態1の液晶表示装置1は、被写体を撮像して映像信号を得るL(左)側マスタカメラ2と、被写体を撮像して映像信号を得るR(右)側スレーブカメラ3と、これらのL側マスタカメラ2およびR側スレーブカメラ3からの映像信号が入力されて所定の信号処理が為されてカラー画像信号を得ると共に表示画面の表示制御を行うLCDC4と、LCDC4からのカラー画像信号に基づいて2Dまたは3D表示が為される表示画面部としての液晶表示部(LCD)5と、LCDC4に表示用に入力される映像信号とは別に、その映像信号から得られた、明るさの比率を示す画像特徴情報に基づいて、モアレ、クロストークを判定して判定情報を出力する画像判定部6と、画像判定部6からの判定情報に基づいて液晶表示部5のスイッチング液晶部5aに制御電圧(印加電圧)を出力する制御電圧出力部7(SWLCD・電圧DAC)とを有し、判定された判定情報から液晶表示部5のスイッチング液晶部5aの制御を行ってモアレおよびクロストークを低減するようになっている。
【0042】
L側マスタカメラ2およびR側スレーブカメラ3において、各CPU(制御部)で構成される特徴情報取得部2a,3aがそれぞれカメラ側でLCDC4に送信されるべき映像信号から、画素の明るさの比率を示す画像特徴情報を1画面(動画の場合は1フレーム)毎に取得するようになっている。即ち、特徴情報取得部2a,3aではそれぞれ、1画面の各画素毎の輝度値が、3段階の低輝度、中輝度、高輝度のどの輝度範囲に属するかを判断して順次カウントし、1画面中の全画素に対して低輝度、中輝度、高輝度の輝度比率として集計したものを画像特徴情報とする。特徴情報取得部2a,3aはそれぞれ、画像特徴情報として映像信号の中から輝度信号の輝度別ピクセル数をそれぞれ取得する。
【0043】
画像判定部6は、送信される映像信号のモアレおよびクロストークの判定情報を、その画像特徴情報として低輝度、中輝度、高輝度の輝度比率(または輝度別ピクセル数)に基づいて、テーブルから、スイッチング液晶部5aへの印加電圧(制御電圧)に対応した値を取り出して判定情報として出力する。
【0044】
制御電圧出力部7は、画像判定部6からの判定情報に基づいて、2D/3D切替型液晶表示部である液晶表示部5に表示されるモアレおよびクロストークのいずれかを低減するように、液晶表示部5のスイッチング液晶部5aへの印加電圧(制御電圧)を出力制御するようになっている。
【0045】
スイッチング液晶部5aは、光の遮断領域と透過領域とがストライプ状になっている視差バリアの効果をON/OFF切り替えることができる。このスイッチング液晶部5aにより、2D(2次元)/3D(3次元)表示の切り替えを電気的に行うことができる。スイッチング液晶部5aのON/OFFにより、視差バリアの効果を有効にした場合、3D(3次元)表示を行い、視差バリア効果を無効にすると、2D(2次元)表示を行うことができる。
【0046】
上記構成により、液晶表示部5で表示される映像信号の画像特徴情報の一例として、カメラ側において、映像信号内の輝度信号から輝度別ピクセル数(輝度比率)を取得し、この輝度比率を基に、テーブルから、画像判定部6がモアレまたはクロストークの発生を予め予測したデータを取り出して、その輝度比率に応じた判定情報として制御電圧出力部7に出力する。制御電圧出力部7では、テーブルからのデータである判定情報に応じて、液晶表示部5の2D/3D切替用のスイッチング液晶部5aへの印加電圧を、液晶表示部5がモアレおよびクロストークが低減された表示を行うように制御する。
【0047】
図2は、被写体の輝度別のヒストグラムとモアレの補正を説明するための図である。
【0048】
図2に示すように、液晶表示部5に送信される映像信号と同時に送信される画像特徴情報に基づいて、画像判定部6がモアレおよびクロストークを判定する場合、図2に示すように、輝度を3段階の暗、中間、明に分類し、その分類毎のピクセル数で画像の特徴を判断する。図2では、高輝度ピクセル数が多い明るい被写体が所定の比率以上ある場合に、モアレが目立ち易いと画像判定部6が判断して制御電圧出力部7に判定情報を出力し、制御電圧出力部7がスイッチング液晶部5aに印加電圧を下げて印加して液晶表示部5のモアレが目立ちにくいように制御が為される。このとき、視差バリアの遮光部の遮光率が下げられている。
【0049】
このように、高輝度のピクセル数が多い明るい被写体の比率が所定の比率よりも多い場合に、モアレが目立ち易いと画像判定部6が判断して制御電圧出力部7に判定情報を出力し、制御電圧出力部7がスイッチング液晶部5aに印加電圧を下げて印加して液晶表示部5のモアレが目立ちにくいように制御が為される。
【0050】
図3は、コントラストの高い被写体のヒストグラムとクロストーク抑制処理との関係を説明するための図である。
【0051】
図3に示すように、1画面中に、低輝度と高輝度のピクセル数が多く、中輝度のピクセル数が少ない場合であって、表示画像の暗い被写体と明るい被写体のピクセル数が所定の比率よりも多い場合、被写体のコントラストが高いと判断される。この場合に、1画面の各画素毎の輝度値が集計されて高輝度、中輝度および低輝度の3段階の輝度範囲の輝度比率として画像特徴情報が取得され、低輝度と高輝度のピクセル数が所定数よりも多く、中輝度のピクセル数が所定数よりも少ない場合に、クロストークが目立つ表示画像であると画像判定部6が判断して、液晶視差バリアの遮光部の遮光率が高くなるように制御電圧出力部7に判定情報を出力し、制御電圧出力部7がスイッチング液晶部5aに印加電圧を上げて印加して、2D(2次元)/3D(3次元)切替型の液晶表示部5のクロストークが目立ちにくいように制御が為される。このとき、視差バリアの遮光部の遮光率が更に高められている。
【0052】
このように、液晶表示部5に送信される映像信号と同時に画像判定部6に送信される画像特徴情報に基づく判定は、3段階に分類された輝度範囲別のピクセル数の組み合わせ(または輝度比率)によって行なわれる。それぞれの輝度比率(または輝度範囲別のピクセル数)に沿って予め実験によって決定されている輝度別ピクセル数の組み合わせ(または輝度比率)と、これに対応付けられた液晶表示部5の2D(2次元)/3D(3次元)切替用のスイッチング液晶部5aへの印加電圧とから適正な電圧値に調整して、モアレおよびクロストークが低減された見やすい表示にすることが可能である。
【0053】
このようなスイッチング液晶部5aに対する電圧制御方法としては、画像判定部6からの判定情報に応じて制御電圧出力部7が、2D(2次元)/3D(3次元)表示切替用のスイッチング液晶部5aに出力する制御電圧が、輝度階調値0〜255に合わせて2D(2次元)/3D(3次元)切替型液晶表示部5のスイッチング液晶部5aの印加電圧MIN(約2V)〜MAX(約7V)を0〜255段階に割り振っている。印加電圧が2V以下であると3Dに見えにくなくなる。したがって、スイッチング液晶部5aへの印加電圧は約2V〜7Vの電圧範囲に制御されている。
【0054】
前述したように、印加電圧MIN(約2V)〜MAX(約7V)の範囲を255段階の電圧値に対応させているが、高輝度のピクセル数の1画面中の比率が所定比率よりも多い場合には印加電圧を下げて液晶視差バリアの遮光部の遮光率を下げ、モアレを抑制する。また、1画面中に、低輝度と高輝度のピクセル数が多く、中輝度のピクセル数が少ない場合は印加電圧を上げて液晶視差バリアの遮光部の遮光率を上げ、クロストークを低減する。液晶視差バリアの遮光部の遮光率が高いと逆にモアレは発生しやすくなる。この画像判断は、動画の場合は1画面(毎フレームまたはフレーム間引き)毎に行う。画面全体の明るさを3段階(低輝度、中輝度、高輝度)に分けてその比率に応じてスイッチング液晶部5aへの印加電圧を設定してテーブル化している。このテーブルでは、低輝度、中輝度、高輝度の輝度比率に対応した0〜255階調データ(約2V〜7Vの電圧範囲)として入っている。逆に、0〜255階調データ(約2V〜7Vの電圧範囲)に対応した低輝度、中輝度、高輝度の輝度比率の範囲とは何かについて実験値から求めている。なお、ここでは、輝度を3段階に分けているがこれに限らず、4段階であっても5段階であってもよい。
【0055】
上記構成により、まず、映像信号の画像特徴情報としてヒストグラムの輝度範囲別ピクセル数を画像特徴情報として読み出し、その輝度範囲別ピクセル数(または輝度比率)に基づいて、電圧設定範囲の中から3D(3次元)で鑑賞できる電圧範囲の中でモアレおよびクロストークが低減される輝度階調値に対応する電圧に割り当てられる。
【0056】
次に、液晶表示部5に送られるべき映像信号から得られた画像特徴情報(輝度範囲別ピクセル数または輝度比率)に基づいて、割り当てられた輝度階調値に対応する印加電圧を2D(2次元)/3D(3次元)切替型液晶表示部5のスイッチング液晶部5aに印加することによって、モアレおよびクロストークが低減された眼の疲れない表示画像が表示可能となる。
【0057】
2D(2次元)/3D(3次元)切替型の液晶表示部5の3D(3次元)表示時のクロストークは2D(2次元)/3D(3次元)スイッチング液晶部5aへの印加電圧を上げた状態で低減することが可能であるため、制御はクロストークが安定して低減される印加電圧に設定し、モアレ発生の画像特徴信号が送られてきた場合に、印加電圧を下げた制御を行うように構成してもよく、これにより、より効率的な液晶表示部5の制御を行うことが可能となる。
【0058】
このように、図1に示す本実施形態1の表示制御方法では、液晶表示部5の2D(2次元)/3D(3次元)切替用のスイッチング液晶部5aへの印加電圧を制御することにより、モアレおよびクロストークを低減することが可能であることから、液晶表示部5に送信される映像信号と同時にその映像信号から得た画像特徴情報を画像判定部6に送信し、画像判定部6においてその画像特徴情報からモアレおよびクロストークの判定を行い、その判定結果(判定情報)を基に制御電圧出力部7がスイッチング液晶部5aへの印加電圧制御を行って、3D(3 次元)表示時に、モアレおよびクロストークを低減した眼の疲れない映像を得ることができる。
【0059】
送られてくる映像信号毎に2D(2次元)/3D(3次元)切替用のスイッチング液晶部5aの電圧制御を行う場合、その映像信号からその都度、画像特徴情報(画像特徴信号)を取得し、画像判定部6がモアレおよびクロストークを判定して、制御電圧出力部7が液晶表示部5の2D(2次元)/3D(3次元)切替用のスイッチング液晶部5aへの印加電圧を決定する。
【0060】
3D(3次元)で立体視できる電圧範囲(約2V〜約7V)の実験結果からスイッチング液晶部5aへの印加電圧を高くするとクロストークが低減され、その印加電圧を低くするとモアレを低減することが可能である。
【0061】
以上により、本実施形態1によれば、図2に示すように、液晶表示部5に送信される映像信号と同時に送信される画像特徴情報に基づいて、画像判定部6がモアレおよびクロストークを判定する場合、輝度を3段階の暗、中間、明に分類し、その分類毎のピクセル数で画像の特徴を判断する。高輝度ピクセル数が多い明るい被写体が所定の比率以上ある場合に、モアレが目立ち易いと画像判定部6が判断して制御電圧出力部7に判定情報を出力し、制御電圧出力部7がスイッチング液晶部5aに印加電圧を下げて印加して液晶表示部5のモアレが目立ちにくいように制御が為される。また、図3に示すように、高輝度ピクセル数と低輝度ピクセル数が所定の比率以上あり中輝度ピクセル数が所定以下の場合に、クロストークが目立ち易いと画像判定部6が判断して制御電圧出力部7に判定情報を出力し、制御電圧出力部7がスイッチング液晶部5aに印加電圧を上げて印加して液晶表示部5のクロストークが目立ちにくいように制御が為される。
【0062】
このように、モアレおよびクロストークが発生している映像信号が送られてきた場合に、送られてきた映像信号の特徴である輝度信号から輝度別ピクセル数をカウントして映像信号の状態、モアレまたはクロストークが発生する映像かどうかを判定し、2D(2次元)/3D(3次元)切替用のスイッチング液晶部5aへの印加電圧を、送られてくる映像信号に合わせて制御することが可能である。これによって、モアレおよびクロストークを低減した眼の疲れない映像を得ることが可能となる。
【0063】
なお、本実施形態1では、映像入力装置としてL側マスタカメラ2およびR側スレーブカメラ3の3Dカメラを用いたが、これに限らず、映像入力装置としてテレビジョンや携帯電話装置などの受信装置であってもよく、DVD等から映像情報を得る情報記録再生装置であってもよい。
【0064】
また、本実施形態1では、特徴情報取得部2a,3aが画像特徴情報として映像信号の中から輝度信号の輝度範囲別ピクセル数をそれぞれ取得し、画像特徴情報は、1画面毎の全画素に対して取得され、1画面の各画素毎の輝度値が3段階の輝度範囲のどの範囲に属するかを判断して順次カウントして、1画面の輝度比率として集計されるが、これに限らず、画像特徴情報は、1画面毎の全画素のうち所定数の画素置きに取得して、1画面の各画素毎の輝度値が3段階の輝度範囲のどの範囲に属するかを判断して順次カウントして、1画面の輝度比率として集計してもよい。
【0065】
以上のように、本発明の好ましい実施形態1を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態1に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態1の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。本明細書において引用した特許、特許出願および文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、特殊なメガネを使用することなく、3D(3次元)表示が可能な視差バリア方式による液晶表示装置の分野において、本発明によれば、モアレ、クロストークの目立つコンテンツを画像特徴情報に基づいて画像判定して自動制御でモアレ、クロストークを抑えて見易い表示画像を得ることができる。
【符号の説明】
【0067】
1 液晶表示装置
2 L(左)側マスタカメラ(画像入力装置)
2a、3a 特徴情報取得部
3 R(右)側スレーブカメラ(画像入力装置)
4 LCDC(表示制御部)
5 液晶表示部(LCD)
5a スイッチング液晶部
6 画像判定部
7 制御電圧出力部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
映像入力装置からの映像信号に基づいて液晶表示部により画像表示する液晶表示装置において、
該映像信号から画像特徴情報を取得する特徴情報取得部と、
該特徴情報報取部で取得した画像特徴情報に基づいてモアレおよびクロストークのいずれかを判定して判定情報を出力可能とする画像判定部と、
該液晶表示部を制御して該モアレおよび該クロストークのいずれかを低減するように該判定情報に応じた制御電圧を該液晶表示部に出力する制御電圧出力部とを有する液晶表示装置。
【請求項2】
請求項1に記載の液晶表示装置において、
前記特徴情報取得部は、前記画像特徴情報として前記映像信号の中から輝度信号の輝度範囲別ピクセル数をそれぞれ取得する液晶表示装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の液晶表示装置において、
前記画像特徴情報は、1画面毎の全画素に対してかまたは、所定画素数置きに取得され、該1画面の各画素毎の輝度値が少なくとも3段階の輝度範囲のどの範囲に属するかを判断して順次カウントして、該1画面の輝度比率として集計されている液晶表示装置。
【請求項4】
請求項1に記載の液晶表示装置において、
前記画像判定部は、前記画像特徴情報に基づいて前記モアレおよび前記クロストークのいずれかを判定して判定情報を出力する液晶表示装置。
【請求項5】
請求項2または3に記載の液晶表示装置において、
前記画像判定部は、前記輝度比率または前記輝度別ピクセル数に基づいて、テーブルから、前記液晶表示部に出力する制御電圧に対応した値を取り出して前記判定情報として出力する液晶表示装置。
【請求項6】
請求項1に記載の液晶表示装置において、
前記制御電圧出力部は、前記モアレおよび前記クロストークのいずれかを低減するように、前記画像判定部からの判定情報に応じて2D(2次元)/3D(3次元)表示切替用のスイッチング液晶部に前記制御電圧を出力する液晶表示装置。
【請求項7】
請求項1に記載の液晶表示装置において、
前記制御電圧出力部が前記制御電圧を出力する前記液晶表示部の出力先は、2D(2次元)/3D(3次元)表示切替用のスイッチング液晶部である液晶表示装置。
【請求項8】
請求項6または7に記載の液晶表示装置において、
前記スイッチング液晶部が、光の遮断領域と透過領域とがストライプ状になっている視差バリアの効果をオン/オフ切り替えることにより、前記2D(2次元)/3D(3次元)表示の切り替えを行う液晶表示装置。
【請求項9】
請求項1に記載の液晶表示装置において、
前記映像入力装置は、受信装置、3Dカメラおよび情報記録再生装置のいずれかである液晶表示装置。
【請求項10】
請求項6または7に記載の液晶表示装置において、
1画面の各画素毎の輝度値が集計されて少なくとも高輝度、中輝度および低輝度の3段階の輝度範囲の輝度範囲別ピクセル数または輝度比率として前記画像特徴情報が取得され、該高輝度の輝度範囲別ピクセル数または該高輝度の比率が所定値以上である場合に、モアレが目立ち易いと前記画像判定部が判断して前記制御電圧出力部に判定情報を出力し、該制御電圧出力部が前記スイッチング液晶部に印加電圧を下げて印加して前記液晶表示部のモアレが目立ちにくいように制御が為される液晶表示装置。
【請求項11】
請求項6または7に記載の液晶表示装置において、
1画面の各画素毎の輝度値が集計されて少なくとも高輝度、中輝度および低輝度の3段階の輝度範囲の輝度範囲別ピクセル数または輝度比率として前記画像特徴情報が取得され、該低輝度と該高輝度のピクセル数または該低輝度と該高輝度の輝度比率が所定値よりも多く、該中輝度のピクセル数または該中輝度の輝度比率が所定値よりも少ない場合に、クロストークが目立つ表示画像であると前記画像判定部が判断して、前記制御電圧出力部に判定情報を出力し、該制御電圧出力部が前記スイッチング液晶部に印加電圧を下げて印加して前記液晶表示部のクロストークが目立ちにくいように制御が為される液晶表示装置。
【請求項12】
請求項6または7に記載の液晶表示装置において、
前記クロストークを抑制するべく、前記スイッチング液晶部への印加電圧を予め上げて、該クロストークが安定して低減される制御電圧に設定し、モアレ発生の画像特徴情報により、該制御電圧を下げた制御を行うように構成されている液晶表示装置。

【図1】
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【図6】
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【図7】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−137696(P2012−137696A)
【公開日】平成24年7月19日(2012.7.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−291371(P2010−291371)
【出願日】平成22年12月27日(2010.12.27)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】