説明

液晶表示装置

【課題】機種判別用の専用配線や専用端子を不要としつつ、液晶表示パネルの機種判別を容易にすることができる液晶表示装置を提供することを目的とする。
【解決手段】第1ガラス基板21および第2ガラス基板22と、COG(Chip On Glass)方式により第1ガラス基板21上に実装されたIC(COG−IC)23と、を備える液晶表示パネル20を備える。COG−IC23に接続される電源配線26とGND配線27との間に介在し、液晶表示パネル20の機種に応じて異なる電気抵抗値を有する抵抗体として、機種判別用透明電極配線28を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、液晶表示パネルを備える液晶表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示パネルの機種を判別する際に、外観上で判別しにくい機種判別を容易にするために、液晶表示パネルに液晶駆動用端子とは別に、識別用端子を設けた構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−119682号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記従来の技術では、電気検査だけで機種判別をしようとすると、識別用端子として少なくとも2つの端子が必要となる。そして、それに伴い、液晶表示パネルと当該液晶表示パネルを制御する制御基板との間を接続する電子部品(例えばFPC(フレキシブルプリント基板)やピン)の配線本数を、液晶表示パネルの制御に必要な本数より2本以上増やす必要が生ずる。その結果、液晶駆動回路基板上に形成されるパターン配線のレイアウトの自由度や当該液晶駆動回路基板の実装部品の配置の自由度が減少したり、使用できるコネクタの種類が限定されたりするという問題があった。
【0005】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、機種判別用の専用配線や専用端子を不要としつつ、液晶表示パネルの機種判別を容易にすることができる液晶表示装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
この発明に係る液晶表示装置は、絶縁性基板と、COG(Chip On Glass)方式により絶縁性基板上に実装されたICと、を備える液晶表示パネルと、ICに接続される複数の配線と、複数の配線のうちの任意の2つの配線間に介在し、液晶表示パネルの機種に応じて異なる電気抵抗値を有する抵抗体と、を備えたものである。
【発明の効果】
【0007】
この発明によれば、機種判別用の専用配線や専用端子を不要としつつ、液晶表示パネルの機種判別を容易にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【図1】本発明の実施の形態1における液晶表示パネルを備える液晶表示装置の一例を示す分解図である。
【図2】図1に示す液晶表示装置の配線構造の概略図である。
【図3】機種判別用透明電極配線のパターン太さおよび長さによって電気抵抗値を調整する方法の一例を示す図(a)、(b)、(c)である。
【図4】従来の技術の構成を用いた場合(a)の配線接続状態と、実施の形態1の構成を用いた場合(b)の配線接続状態とを概略的に示す図である。
【図5】本発明の実施の形態2における液晶表示装置の配線接続状態の概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1における液晶表示パネル20を備える液晶表示装置10の一例を示す分解図である。図1に示すように、液晶表示装置10は、液晶表示パネル20と、液晶表示パネル20を制御する液晶駆動回路およびFPCコネクタ32が搭載された液晶駆動回路基板(制御基板)31と、液晶表示パネル20と液晶駆動回路基板31とを接続するFPC(フレキシブルプリント基板)24と、を有する。
【0010】
液晶表示パネル20は、互いに対向して配置された第1ガラス基板21(絶縁性基板)と第2ガラス基板22(絶縁性基板)とからなる。第1ガラス基板21は、第2ガラス基板22に比べて面積が広く、第2ガラス基板22とは重ならない部位を有している。この重ならない部位における第1ガラス基板21側の表面には、COG(Chip On Glass)方式によりIC23が実装されている。以下、このIC23を「COG−IC23」と称する。液晶表示パネル20の画素の表示/非表示の制御は、COG−IC23によって行われる。
【0011】
図2は、図1に示す液晶表示装置10の配線構造の概略図であり、COG−IC/制御基板間通信配線25のガラス部25a付近を拡大して示した図である。COG−IC23の入力端子は、COG−IC/制御基板間通信配線25のガラス部25aの一端と接続されている。このガラス部25aは、第1ガラス基板21上に形成された透明電極からなる。ガラス部25aの他端には、FPC24上に形成されたFPC部25b(後述する図4参照)が接続される。また、このFPC部25bにおける非ガラス部側の端部は、液晶駆動回路基板31上のFPCコネクタ32に接続される。
【0012】
また、COG−IC23の電源端子およびGND端子は、電源配線26のガラス部26aおよびGND配線27のガラス部27aにそれぞれ接続されている。これらのガラス部26a、27aは、第1ガラス基板21上に形成された透明電極からなる。これらのガラス部26a、27aの他端には、FPC24上に形成されたFPC部26b、27b(後述する図4参照)が接続される。また、これらのFPC部26b、27bにおける非ガラス部側の端部は、液晶駆動回路基板31上のFPCコネクタ32に接続される。
【0013】
図2に示すように、電源配線26のガラス部26aとGND配線27のガラス部27aとの間には、液晶表示パネル20の機種に応じて異なる電気抵抗値を有する抵抗体として、機種判別用透明電極配線28が設けられている。この機種判別用透明電極配線28の電気抵抗値、すなわち、電源配線26のガラス部26aとGND配線27のガラス部27aとの間の電気抵抗値は、機種判別用透明電極配線28の太さや長さによって調節することが可能である。
【0014】
具体的には、上記電気抵抗値は、機種判別用透明電極配線28のシート抵抗値にパターン長を掛けた値をパターン幅で割った値となる。図3は、機種判別用透明電極配線28のパターン幅および長さによって電気抵抗値を調整する方法の一例を示す図である。図3(a)はパターン幅が0.04mmでパターン長が約10mmである例を示し、図3(b)は図3(a)に比べてパターン幅が2倍の0.08mmとなっている例を示し、図3(c)は図3(a)に比べてパターン長が長く約18mmとなっている例を示している。例えば、シート抵抗10Ω/□(オーム/スクエア)の透明電極を使用したとすると、図3(a)、(b)、(c)における電源配線26とGND配線27の間の電気抵抗値は、それぞれ、約2.5kΩ、約1.2kΩ、約4.5kΩとなる。
【0015】
図4は、従来の技術の構成を用いた場合(a)の配線接続状態と、実施の形態1の構成を用いた場合(b)の配線接続状態とを概略的に示す図である。図4(a)に示す従来の技術の構成では、液晶表示パネル20の機種判別のために、機種判別専用配線29を備えている。液晶表示パネル20の機種判別は、液晶表示パネル20が液晶駆動回路基板31に取り付けられた状態で、液晶駆動回路基板31に備えられた機種判別用パッド33と検査装置(図示省略)とを接続し、電気抵抗値やオープン/ショートの状態を検知することで行うことができる。
【0016】
図4(a)に示す従来の技術の構成では、液晶表示パネル20の機種判別を行う場合に、機種判別専用配線29が必要となる。これに対し、図4(b)に示す本実施形態の構成の場合には、電源配線26のガラス部26aとGND配線27のガラス部27aとの間に設けられた機種判別用透明電極配線28を利用して、機種判別を行うことができる。このため、機種判別専用配線29が不要となるので、FPC24およびFPCコネクタ32のピン数が少なくて済む。
【0017】
以上説明したように、実施の形態1の構成によれば、COG−IC23の入力端子に接続された複数の配線(COG−IC/制御基板間通信配線25、電源配線26、GND配線27)のうちの2種類の配線(本実施形態では、一例として電源配線26とGND配線27)間を抵抗体(機種判別用透明電極配線28)で接続するだけで、液晶表示パネル20の機種判別ができるようになる。このため、制御基板(液晶駆動回路基板31)の設計自由度を高めたり、部品の価格を低減したりすることが可能となる。
【0018】
実施の形態2.
図5は、本発明の実施の形態2における液晶表示装置40の配線接続状態の概略図である。尚、実施の形態1と同一部分または相当部分は同一符号を付し説明を省略する。本実施形態では、COG−IC/制御基板間通信配線25の信号がオープンコレクタ出力である構成を例に挙げて説明を行う。
【0019】
オープンコレクタ出力を有する回路の場合には、通常、外部にプルアップ抵抗が必要となる。本実施形態では、図5に示すように、隣接するCOG−IC/制御基板間通信配線25のガラス部25aと電源配線26のガラス部26aとが、プルアップ抵抗として機能する機種判別用透明電極配線28を介して接続されている。つまり、本実施形態の液晶表示装置10は、液晶表示パネル20の機種毎に、プルアップ抵抗として機能する機種判別用透明電極配線28の形状を変え、COG−IC/制御基板間通信配線25と電源配線26の間の電気抵抗値が異なるように設計されている。
【0020】
以上説明した実施の形態2の構成によれば、プルアップ抵抗を液晶表示パネル20に内蔵することで外部部品を削減することができる。そして、COG−IC23の入力端子に接続された複数の配線(COG−IC/制御基板間通信配線25、電源配線26、GND配線27)のうちの2種類の配線(本実施形態では、一例として、隣接するCOG−IC/制御基板間通信配線25と電源配線26)間をプルアップ抵抗として機能する抵抗体(機種判別用透明電極配線28)で接続するだけで機種の判別ができるようになる。このため、本実施形態の構成によっても、制御基板(液晶駆動回路基板31)の設計自由度を高めたり、部品の価格を低減したりすることが可能となる。
【0021】
ところで、上述した実施の形態1または2においては、電源配線26とGND配線27との間、またはCOG−IC/制御基板間通信配線25と電源配線26との間に、液晶表示パネル20の機種判別のための抵抗体である機種判別用透明電極配線28を介在させるようにしている。しかしながら、本発明における抵抗体の配置場所は、上記のものに限定されず、例えば、これらのCOG−IC/制御基板間通信配線25、電源配線26およびGND配線27のうちの任意の2つの配線間であってもよい。なお、これらのCOG−IC/制御基板間通信配線25間に機種判別用透明電極配線28を介在させる場合、通信用出力回路は大電流用に作られていないことが多いため、機種判別用透明電極配線28の抵抗値を大きくする必要がある。
【0022】
また、上述した実施の形態1または2においては、第1ガラス基板21上に、抵抗体である機種判別用透明電極配線28を備えるようにしている。しかしながら、抵抗体の配置部位は、上記に限定されず、FPC24上であってもよい。
【0023】
また、上述した実施の形態2においては、プルアップ抵抗として機能するように機種判別用透明電極配線28を配置している。しかしながら、本発明における抵抗体は、プルダウン抵抗として機能するように配置されたものであってもよい。
【符号の説明】
【0024】
10、40 液晶表示装置
20 液晶表示パネル
21 第1ガラス基板
22 第2ガラス基板
23 COG−IC
24 FPC(フレキシブルプリント基板)
25 COG−IC/制御基板間通信配線
26 電源配線
27 GND配線
25a、26a、27a ガラス部
25b、26b、27b FPC部
28 機種判別用透明電極配線
31 液晶駆動回路基板
32 FPCコネクタ
33 機種判別用パッド

【特許請求の範囲】
【請求項1】
絶縁性基板と、COG(Chip On Glass)方式により前記絶縁性基板上に実装されたICと、を備える液晶表示パネルと、
前記ICに接続される複数の配線と、
前記複数の配線のうちの任意の2つの配線間に介在し、前記液晶表示パネルの機種に応じて異なる電気抵抗値を有する抵抗体と、
を備えたことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記任意の2つの配線は、前記複数の配線のうちの隣接する2つの配線であることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記複数の配線は、FPC(フレキシブルプリント基板)を介して、前記液晶表示パネルを制御する制御基板に接続される配線であることを特徴とする請求項1または2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記抵抗体は、前記絶縁性基板上に透明電極により形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記抵抗体は、前記絶縁性基板上に設けられたプルアップ抵抗またはプルダウン抵抗であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−8400(P2012−8400A)
【公開日】平成24年1月12日(2012.1.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−145313(P2010−145313)
【出願日】平成22年6月25日(2010.6.25)
【出願人】(000006013)三菱電機株式会社 (33,312)
【Fターム(参考)】