説明

液晶表示装置

【課題】トップゲート型の薄膜トランジスタのオフリーク電流を低減させ、表示品質を向上させることが可能な技術を提供することである。
【解決手段】
ゲート線からの走査信号に同期しドレイン線からの映像信号を画素電極に出力する薄膜トランジスタが形成される第1基板を有する液晶表示装置であって、ゲート電極が半導体層よりも第1基板よりも遠い側に形成され、ドレイン電極がドレイン線に接続される第1の薄膜トランジスタと、第1の薄膜トランジスタと直列に接続され、ソース電極が画素電極に電気的に接続される第2の薄膜トランジスタと、半導体層と第1基板との間に形成され、第1基板側から入射されるバックライト光を遮光する遮光層とを備え、前記遮光層は、平面的に見て、第1の薄膜トランジスタと重畳して形成され、第1の薄膜トランジスタ側に入射するバックライト光を遮光すると共に、第2の薄膜トランジスタ側に入射するバックライト光は通過させる液晶表示装置である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶表示装置に係わり、特に、画素毎に形成されるトップゲート型の薄膜トランジスタの遮光に関する。
【背景技術】
【0002】
液晶表示装置は、薄膜トランジスタ等が形成される第1基板と、カラーフィルタ等が形成される第2基板とを、液晶層を介して対向配置される構成となっている。特に、図14に示すように、2つのトップゲート型の薄膜トランジスタTFT1,TFT2からなるダブルゲート構造を有する薄膜トランジスタを用いた従来の液晶表示装置は、X方向に延在しY方向に並設される走査信号線(ゲート線)GLと、Y方向に延在しX方向に並設される映像信号線(ドレイン線)DLとにより囲まれる領域毎に画素電極PXが形成され、画素の領域を構成している。このゲート線GLとドレイン線DLとが交差する領域の近傍には、直列に接続される2つの薄膜トランジスタTFT1,TFT2が形成され、該2つの薄膜トランジスタTFT1,TFT2を介して映像信号が、薄膜トランジスタTFT2のソース電極STから画素電極PXに供給される構成となっている。このとき、図14に示すK−K’線での断面図である図15から明らかなように、2つの薄膜トランジスタTFT1,TFT2を形成する半導体層PSは、金属薄膜等で形成されるゲート線GLよりも第1基板SUB1に近い側に積層される構成となっている。このために、矢印で示すバックライト光BLが半導体層PSに入射することに伴って生じる光リーク電流を抑制するために、バックライト光BLを遮光するための遮光層を形成することが提案されている。なお、図15中において、絶縁膜PAS1〜PAS5は半導体層PS等の各薄膜層を絶縁する薄膜層であり、第1基板SUB1の最上層の薄膜層は配向膜ORIである。
【0003】
遮光層が形成される液晶表示装置として、例えば、特許文献1に記載の液晶表示装置がある。この特許文献1に記載の液晶表示装置では、画素毎に1つの薄膜トランジスタを配置する場合、半導体層の面積よりも遮光層の面積を小さく形成すると共に、遮光層が薄膜トランジスタのソース電極側すなわち画素電極と接続される側を覆うように配置される構成となっている。また、ダブルゲート構造を有するトップゲート型の薄膜トランジスタを用いる場合には、画素電極に近い側の薄膜トランジスタを遮光膜で遮光する構成となっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2001−33822号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、図16に示す画素の等価回路に示すように、また、薄膜トランジスタTFTのソース電極側には映像信号を所定期間保持するための容量(保持容量)Cstが形成されていると共に、薄膜トランジスタのゲート電極とソース電極との間にも容量(ゲート・ソース間容量)Cgsが形成されている。トップゲート型の薄膜トランジスタを遮光層で覆う構成とした場合、前述する容量Cst,Cgsに加えて、薄膜トランジスタTFTのドレイン電極には遮光層SFとの間に容量C1が形成されると共に、遮光層SFとゲート線GLとの間の容量C2及び遮光層SFと薄膜トランジスタとの間の容量C3が形成されることとなる。この場合、薄膜トランジスタTFTのゲート電極とソース電極との間の容量は、遮光層SFを介して直列接続される容量C2と容量C3とで形成される容量と、ゲート・ソース間容量Cgsとの合計容量となる。このとき、トップゲート型の薄膜トランジスタTFTを用いた場合、ソース電極と遮光層SFとは1層分の絶縁膜を介して重畳配置されることとなるので、遮光層SFと薄膜トランジスタとの間の容量C3も非常に大きな容量となる。このために、遮光層SFを設けることにより、薄膜トランジスタTFTのゲート・ソース間の容量が大幅に増加することとなり、ゲートオフ時のフィードスルー電圧が増大してしまうことが懸念される。従って、特許文献1に記載の構成においては画素電極に直接接続される側の薄膜トランジスタが遮光層で覆われる構成となっているので、ゲートオフ時フィードスルー電圧が増大し、表示品質が低下してしまうことが懸念される。
【0006】
特に、ゲート線GLから薄膜トランジスタTFTに供給される走査信号(ゲート信号)はゲート線の配線負荷により表示領域内で遅延量が異なるため、負極書き込み時において、ゲート線GLの負荷が小さく、ゲート波形が急峻に変化する場合では、フィードスルー電圧が大きくなる。一方、ゲート線GLの負荷が大きく、矩形状の走査信号波形(ゲート波形)がなまる場合には、再書き込みにより、フィードスルー電圧が小さくなる。このために、画素電極と接続される薄膜トランジスタを覆うようにして遮光膜を形成した場合、表示領域内でフィードスルー電圧のずれが発生し、表示面内で保持電圧が変化し、この電圧変化が画質への影響として、残像や面内輝度の差が大きくなってしまうことが懸念される。
【0007】
本発明はこれらの問題点に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は、トップゲート型の薄膜トランジスタのオフリーク電流を低減させ、表示品質を向上させることが可能な技術を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
前記課題を解決すべく、本願発明の液晶表示装置は、X方向に延在しY方向に並設されるゲート線と、Y方向に延在しX方向に並設されるドレイン線と、前記ゲート線からの走査信号に同期して前記ドレイン線からの映像信号を画素電極に出力する薄膜トランジスタとが形成される第1基板と、液晶層を介して前記第1基板と対向配置される第2基板とを有する液晶表示装置であって、前記薄膜トランジスタは、ゲート電極が半導体層よりも前記第1基板よりも遠い側に形成されるトップゲート型の薄膜トランジスタからなり、前記薄膜トランジスタは、ドレイン電極が前記ドレイン線と電気的に接続される第1の薄膜トランジスタと、前記第1の薄膜トランジスタと直列に接続され、そのドレイン電極が前記第1の薄膜トランジスタのソース電極に接続され、ソース電極が前記画素電極に電気的に接続される第2の薄膜トランジスタとからなり、前記半導体層と前記第1基板との間に形成され、前記第1基板側から入射されるバックライト光を遮光する遮光層を備え、前記遮光層は、平面的に見て、前記第1の薄膜トランジスタと重畳して形成され、前記第1の薄膜トランジスタ側に入射するバックライト光を遮光すると共に、前記第2の薄膜トランジスタ側に入射するバックライト光は通過させる液晶表示装置である。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、トップゲート型の薄膜トランジスタのオフリーク電流を低減させ、表示品質を向上させることができる。
【0010】
本発明のその他の効果については、明細書全体の記載から明らかにされる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【図1】本発明の実施形態1の液晶表示装置の全体構成を説明するための図である。
【図2】本発明の実施形態1の液晶表示装置における画素の詳細構成を説明するための平面図である。
【図3】図2に示すB−B’線での断面図である。
【図4】図2に示すC−C’線での断面図である。
【図5】本発明の実施形態2の液晶表示装置における画素の詳細構成を説明するための平面図である。
【図6】図5に示すD−D’線での断面図である。
【図7】本発明の実施形態2の液晶表示装置での画像表示時におけるゲート電極及びドレイン線並びに遮光層での電位を説明するための図である。
【図8】本発明の実施形態3の液晶表示装置における画素の詳細構成を説明するための平面図である。
【図9】図8に示すF−F’線での断面図である。
【図10】図8に示すG−G’線での断面図である。
【図11】本発明の実施形態4の液晶表示装置における画素の詳細構成を説明するための平面図である。
【図12】図11に示すH−H’線での断面図である。
【図13】図11に示すJ−J’線での断面図である。
【図14】従来の液晶表示装置における画素の詳細構成を説明するための図である。
【図15】図14に示すK−K’線での断面図である。
【図16】遮光層SFを有する画素の等価回路である。
【図17】本発明の実施形態1の液晶表示装置での画像表示時におけるゲート電極及びドレイン線並びに遮光層での電位を説明するための図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本発明が適用された実施形態について、図面を用いて説明する。ただし、以下の説明において、同一構成要素には同一符号を付し繰り返しの説明は省略する。また、図中に示すX、Y、ZはそれぞれX軸、Y軸及びZ軸を示す。
【0013】
〈実施形態1〉
〈実施形態1〉
〈全体構成〉
図1は本発明の実施形態1の液晶表示装置の全体構成を説明するための図であり、以下、図1に基づいて、実施形態1の液晶表示装置の構成を説明する。図1に示すように、実施形態1の液晶表示装置は、画素電極PX等が形成される第1基板SUB1と、図示しないカラーフィルタやブラックマトリクスが形成され、第1基板SUB1に対向して配置される第2基板SUB2と、第1基板SUB1と第2基板SUB2とで挟持される図示しない液晶層とで構成される液晶表示パネルを有し、該液晶表示パネルの光源となる図示しないバックライトユニット(バックライト装置)とを組み合わせることにより、液晶表示装置が構成されている。
【0014】
第1基板SUB1と第2基板SUB2との固定及び液晶の封止は、第2基板SUB2の周辺部に環状に塗布されたシール材SLで固定され、液晶も封止される構成となっている。また、第2基板SUB2は、第1基板SUB1よりも小さな面積となっており、第1基板SUB1の図中下側の辺部を露出させるようになっている。この第1基板SUB1の辺部には、半導体チップで構成される駆動回路DRが搭載されている。この駆動回路DRは、後に詳述する表示領域ARにおける各表示画素(以下、画素と略記する)を駆動する。なお、以下の説明では、液晶表示パネルの説明においても、液晶表示装置と記す。
【0015】
また、第1基板SUB1及び第2基板SUB2としては、例えば周知のガラス基板が基材として用いられるのが一般的であるが、ガラス基板に限定されることはなく、石英ガラスやプラスチック(樹脂)のような他の絶縁性基板であってもよい。例えば、石英ガラスを用いれば、プロセス温度を高くできるため、後述する薄膜トランジスタTFTのゲート絶縁膜を緻密化できるので、信頼性を向上することができる。一方、プラスチック(樹脂)基板を用いる場合には、軽量で、耐衝撃性に優れた液晶表示装置を提供できる。
【0016】
また、実施形態1の液晶表示装置では、液晶が封入された領域の内で画素の形成される領域が表示領域ARとなる。従って、液晶が封入されている領域内であっても、画素が形成されておらず表示に係わらない領域は表示領域ARとはならない。
【0017】
実施形態1の液晶表示装置では第1基板SUB1の液晶側の面であって表示領域AR内には、図1中X方向に延在しY方向に並設される走査信号線(ゲート線)GLが形成されている。また、図1中Y方向に延在しX方向に並設される映像信号線(ドレイン線)DLが形成されている。ドレイン線DLとゲート線GLとで囲まれる矩形状の領域は画素が形成される領域を構成し、これにより、各画素は表示領域AR内においてマトリックス状に配置されている。各画素は、例えば図1中丸印Aの等価回路図A’に示すように、ゲート線GLからの走査信号によってオン/オフ駆動される2つのトップゲート型の薄膜トランジスタ(第1の薄膜トランジスタ)TFT1と薄膜トランジスタ(第2の薄膜トランジスタ)TFT2とからなるダブルゲート構造の薄膜トランジスタTFTと、このオンされた薄膜トランジスタTFT1、TFT2を介してドレイン線DLからの映像信号が供給される画素電極PXと、少なくとも表示領域ARの全面に形成され、X方向の左右(第1基板SUB1の端部)の一端又は両側からコモン線CLを介して、映像信号の電位に対して基準となる電位を有する共通信号が供給される共通電極CTとを備えている。このとき、薄膜トランジスタTFTは、直列接続される2つの薄膜トランジスタTFT1,TFT2で構成されており、いわゆるダブルゲート構造のトップゲート型薄膜トランジスタからなる。従って、一方の薄膜トランジスタTFT1はドレイン電極がドレイン線DLに接続され、ゲート電極がゲート線GLに接続されている。他方の薄膜トランジスタTFT2はソース電極が画素電極PXに接続され、ゲート電極が薄膜トランジスタTFT1と同じゲート線GLに接続されており、薄膜トランジスタTFT1のソース電極と薄膜トランジスタTFT2のドレイン電極とが電気的に接続されている。
【0018】
画素電極PXと共通電極CTとの間には、第1基板SUB1の主面に平行な成分を有する電界が生じ、この電界によって液晶の分子を駆動させるようになっている。このような液晶表示装置は、いわゆる広視野角表示ができるものとして知られ、液晶への電界の印加の特異性から、IPS(In-plane Switching)方式あるいは横電界方式と称される。また、このような構成の液晶表示装置において、液晶に電界が印加されていない場合に光透過率を最小(黒表示)とし、電界を印加することにより光透過率を向上させていくノーマリブラック表示形態で表示を行うようになっている。なお、本願発明は共通電極CTが第1基板SUB1の側に形成される液晶表示装置に限定されることはなく、共通電極CTが第2基板SUB2に形成されるTN(Twisted Nematic)方式やVA(Vertical Alignment)方式等の他の液晶表示装置にも適用可能である。また、実施形態1の液晶表示装置では、少なくとも表示領域ARの全面に共通電極CTを形成する構成としたが、これに限定されることはなく、例えば、等価回路図A’に示すように、画素毎に独立して形成される共通電極CTにコモン線CLを介して共通信号を入力する構成であってもよい。
【0019】
各ドレイン線DL及び各ゲート線GLはその端部においてシール材SLを越えてそれぞれ延在され、外部システムからの表示制御信号に基づいて映像信号や走査信号等の駆動信号を生成する駆動回路DRに接続される。ただし、実施形態1の液晶表示装置では、駆動回路DRを半導体チップで形成し第1基板SUB1に搭載する構成としているが、映像信号を出力する映像信号駆動回路と走査信号を出力する走査信号駆動回路との何れか一方又はその両方の駆動回路をフレキシブルプリント基板FPCにテープキャリア方式やCOF(Chip On Film)方式で搭載し、第1基板SUB1に接続させる構成であってもよい。
【0020】
〈画素の構成〉
図2は本発明の実施形態1の液晶表示装置における画素の詳細構成を説明するための平面図、図3は図2に示すB−B’線での断面図、図4は図2に示すC−C’線での断面図である。
【0021】
図2に示すように、ダブルゲート構造を有するトップゲート型の薄膜トランジスタTFT1,TFT2を用いた液晶表示装置は、X方向に延在しY方向に並設されるゲート線GLと、Y方向に延在しX方向に並設されるドレイン線DLとにより囲まれる領域毎に線状の画素電極PXが形成されている。このゲート線GLとドレイン線DLとが交差する領域の近傍には、2つの薄膜トランジスタTFT1,TFT2が形成されている。この2つの薄膜トランジスタTFT1,TFT2を形成する半導体層PSはドレイン線DLに沿ってゲート線GLと交差するように延在された後に、ゲート線GLの延在方向に屈曲され、ゲート線GLから延在される延在部GT1と交差するように形成されている。すなわち、実施形態1の半導体層PSでは、各画素において、X方向に延在するゲート線GLの図2中下方側で当該半導体層PSの一端側がドレイン線DLと電気的に接続されると共に、ゲート線GLの図2中上方側で当該半導体層PSの他端側がソース電極STすなわち画素電極PXと電気的に接続される構成となっている。また、ゲート線GLで2つに分割される領域でそれぞれドレイン線DL(ドレイン電極DT)又はソース電極ST(画素電極PX)と接続されている。この構成により、半導体層PSとゲート線GLとが交差する領域にゲート線GLをゲート電極とする薄膜トランジスタTFT1が形成され、半導体層PSと延在部GT1とが交差する領域に延在部GT1をゲート電極とする薄膜トランジスタTFT2が形成されている。
【0022】
このように、2つの薄膜トランジスタTFT1,TFT2とは同一の半導体層PSに沿って形成される構成となっているので、2つの薄膜トランジスタTFT1,TFT2によりダブルゲート構造の薄膜トランジスタTFTが形成されている。さらには、このダブルゲート構造の薄膜トランジスタTFTの内で、ドレイン電極がドレイン線DLと直接に接続される薄膜トランジスタTFT1の側にのみ、遮光層SFが重畳して形成される構成となっている。すなわち、液晶表示装置の表示面側である第1基板SUB1の液晶面側から平面的に見て薄膜トランジスタTFT1のチャネル領域と重畳する位置に遮光層SFが形成され、薄膜トランジスタTFT2のチャネル領域には遮光層SFが形成されない構成となっている。特に、図4に示すように、実施形態1の遮光層SFは、薄膜トランジスタTFT1のチャネル領域を第1基板SUB1の側から覆うのみの構成となっており、薄膜トランジスタTFT1のチャネル領域に図中に矢印で示すバックライト光BLが入射することを防止している。
【0023】
また、実施形態1の遮光層SFは、半導体層PSに沿った断面図である図4から明らかなように、例えば金属薄膜等の遮光性を有する薄膜材料からなり、特定の電位に固定されない遮光層SFが第1基板SUB1の液晶層側(対向面側)に形成されている。このとき、前述するように、遮光層SFはダブルゲート構造の薄膜トランジスタTFTを形成する一方の薄膜トランジスタである薄膜トランジスタTFT1のチャネル領域を覆うように形成されている。このとき、薄膜トランジスタTFT1のチャネル方向の遮光層SFの大きさは、少なくとも当該薄膜トランジスタTFT1のチャネル長よりも大きく形成され、薄膜トランジスタTFT1のチャネル領域を覆う構成となる。
【0024】
すなわち、実施形態1の遮光層SFの一端は薄膜トランジスタTFT1のチャネル領域よりもドレイン領域側に形成され、遮光層SFの他端は薄膜トランジスタTFT1のチャネル領域よりもソース領域側に形成され、遮光層SFの形成に伴う寄生容量が小さくなるように形成されている。なお、遮光層SFの他端側の形成位置は、薄膜トランジスタTFT1のチャネル領域のソース側の端部から薄膜トランジスタTFT2のドレイン領域までの間の領域の形成される構成であってもよい。従って、実施形態1のダブルゲート構造の薄膜トランジスタにおいては、ドレイン線DLに直接接続される薄膜トランジスタTFT1のチャネル領域は遮光層SFと重畳して形成され、ソース電極STすなわち画素電極PXに直接接続される薄膜トランジスタTFT2のチャネル領域は遮光層SFが重畳されない構成となる。
【0025】
次に、図3及び図4に基づいて、実施形態1の画素構造について詳細に説明する。第1基板SUB1の上面には遮光層SFが形成され、その上面に該遮光層SFをも覆うようにして絶縁膜PAS1が形成され、該絶縁膜PAS1の上層に半導体層PSが形成されている。実施形態1の半導体層PSは、例えば、周知のアモルファスシリコン層を形成した後に、レーザーアニール等で多結晶化した低温ポリシンコン(LTPS)層からなる。このとき、実施形態1の半導体層PSにおいても、従来の半導体層と同様に、半導体層PSの延在方向に対して、ゲート電極GT,GT1に対応するチャネル領域を挟むようにして不純物濃度の高い領域が形成され、該不純物濃度の高い領域の内の一方の領域がドレイン領域(例えば、図4中のゲート電極GTの左側領域)となり、他方の領域(例えば、図4中のゲート電極GTの右側領域)がソース領域となる。ただし、半導体層PSのドレイン領域とチャネル層との間の領域、及びソース領域とチャネル層との間の領域に、不純物濃度の低い領域を設けたLDD(Lightly Doped Drain)構造であってもよい。また、半導体層PSは低温ポリシリコンに限定されることはなく、高温ポリシリコンや微結晶シリコン等であってもよい。
【0026】
半導体層PSの上面には、絶縁膜PAS1の上面をも覆うようにして絶縁膜PAS2が形成されており、この絶縁膜PAS2の上面にゲート線GL、及びゲート線GLから延在する延在部GT1が形成され、薄膜トランジスタTFT1,TFT2のゲート絶縁膜として機能する構成となっている。このとき、半導体層PSと絶縁膜PAS2を介して重畳するゲート線GLは薄膜トランジスタTFT1のゲート電極GTとなり、半導体層PSと絶縁膜PAS2を介して重畳する延在部GT1は薄膜トランジスタTFT2のゲート電極となる。
【0027】
ゲート線GLの上面には、延在部GT1及び絶縁膜PAS2の表面も覆うようにして絶縁膜PAS3が形成されて、該絶縁膜PAS3の表面に薄膜トランジスタTFT2のソース電極ST及びドレイン線DLが形成されている。このとき、半導体層PSの一端側の上層には、絶縁膜PAS2,PAS3を貫通して半導体層PSの表面に至るコンタクトホールが形成されており、該コンタクトホールを介して半導体層PSの一端側とドレイン線DLとが電気的に接続され、薄膜トランジスタTFT1のドレイン電極DTを形成している。同様にして、半導体層PSの他端側にも絶縁膜PAS2,PAS3を貫通して半導体層PSの表面に至る図示しないコンタクトホールが形成されており、該コンタクトホールを介して半導体層PSの他端側とソース電極STとが電気的に接続され、薄膜トランジスタTFT2のソース電極STを形成している。
【0028】
ドレイン線DL及びソース電極STの表面には、絶縁膜PAS3の表面も覆うようにして、有機絶縁膜材料で形成され第1基板SUB1の液晶面側の平坦化膜としても機能するなる絶縁膜PAS4が形成され、該絶縁膜PAS4の表面に面状の共通電極CTが形成されている。この共通電極CTは、周知のITO(Indium Tin Oxide)やAZO(Aluminum doped Zinc Oxide)、GZO(Gallium doped Zinc Oxide)等の透明導電膜材料で形成される。該共通電極CTの表面には、絶縁膜PAS4の表面をも覆うようにして容量絶縁膜としても機能する絶縁膜PAS5が形成され、該絶縁膜PAS5の表面に画素電極PXが形成されている。このとき、液晶面側から見て、画素電極PXの端部とソース電極STとが重畳するようにして形成されている。さらには、画素電極PXの端部とソース電極STとの重畳領域には、絶縁膜PAS5の表面から絶縁膜PAS4を介してソース電極STの表面に至るコンタクトホールCHが形成され、該コンタクトホールCHを介してソース電極STと画素電極PXとが電気的に接続されている。また、絶縁膜PAS5の表面には、画素電極PXをも覆うようにして周知の配向膜ORIが形成されている。
【0029】
さらには、図3に示すように、X方向に延在して形成されるゲート線GLに沿った方向においては、遮光層SFは半導体層PSの幅よりも大きく形成される構成となっているので、図3中に矢印BLで示す第1基板SUB1の裏面側から入射されるバックライト光が半導体層PSのチャネル領域に入射することを防止できる。
【0030】
以上説明したように、実施形態1の液晶表示装置では、ゲート電極が半導体層よりも前記液晶層に近い側すなわちゲート電極が半導体層よりも第1基板SUB1から遠い側に形成されるトップゲート型の薄膜トランジスタTFTで構成されている。また、ドレイン側がドレイン線DLと電気的に直接に接続される薄膜トランジスタTFT1と、該薄膜トランジスタTFT1と直列に接続され、そのドレイン側が薄膜トランジスタTFT1のソース側に接続され、そのソース側が画素電極PXに電気的に直接に接続される薄膜トランジスタTFT2との、ダブルゲート構造の薄膜トランジスタTFTで構成されている。
【0031】
前記半導体層と前記第1基板との間に形成され、前記第1基板側から入射されるバックライト光を遮光する遮光層が、平面的に見て、薄膜トランジスタTFT1とのみ重畳して形成され、薄膜トランジスタTFT1の側に入射するバックライト光を遮光すると共に、薄膜トランジスタTFT2の側に入射するバックライト光は通過させる構成となっているので、薄膜トランジスタTFTのオフ時におけるバックライト光BLの照射に起因するリーク電流いわゆるホトコンによるオフリークは、遮光層SFで遮光される一方の薄膜トランジスタTFT1により低減できる。その結果、画素の保持電圧の変動を抑制することができるので、画素の薄膜トランジスタTFTのホトコン起因のオフリークによる縦スメアの発生を抑制することができ、画像品質を向上させることができる。
【0032】
〈実施形態2〉
図5は本発明の実施形態2の液晶表示装置における画素の詳細構成を説明するための平面図、図6は図5に示すD−D’線での断面図であり、以下、図5及び図6に基づいて、実施形態2の液晶表示装置について説明する。ただし、実施形態2の液晶表示装置は、遮光層SFの構成が異なるのみで、他の構成は実施形態1と同様の構成となる。従って、以下の説明では、遮光層SFについて詳細に説明する。また、図5に示すE−E’線での断面構造は、図4に示す断面構造と同じである。
【0033】
図5から明らかなように、実施形態2の遮光層SFは、ダブルゲート構造の薄膜トランジスタTFTを構成する薄膜トランジスタTFT1と共に、ゲート線GLに沿ってX方向に延在し、ゲート線GLと重畳するようにして形成されている。さらには、ゲート線GLから延在する延在部GT1の一部とも重畳して形成されており、この延在部GT1と重畳する遮光層SFの端部が平面的に見て半導体層PSと重畳しないように延在されている。この構成により、遮光層SFが薄膜トランジスタTFT2と重畳しない、すなわち薄膜トランジスタTFT2のソース領域及びドレイン領域並びにチャネル領域と重畳しない構成となっている。また、実施形態2の構成においても、X方向に延在する薄膜トランジスタTFT2の半導体層PSに、Y方向に延在する延在部GT1が重畳し、この重畳領域が薄膜トランジスタTFT2のチャネル領域となるように、薄膜トランジスタTFT2のドレイン領域及びソース領域が形成されている。
【0034】
従って、実施形態2の薄膜トランジスタTFT2においても、当該薄膜トランジスタTFT2のソース電極となる延在部GT1とソース領域(ソース電極を含む)との間の容量は、ゲート・ソース間容量Cgs(図16中に示す)のみとなる。その結果、遮光層SFを設けた構成であっても、実施形態1と同様に、画素電極PXに直接接続される薄膜トランジスタTFT2のゲートオフ時におけるフィードスルー電圧の増大を防止することが可能となるので、表示品質を向上させることができる。
【0035】
また、図6に示すように、ゲート絶縁膜として機能し比較的膜厚が薄い絶縁膜PAS2と絶縁膜PAS1とを介して、実施形態2の遮光層SFはゲート線GLと重畳配置される構成となっている。さらには、実施形態2の遮光層SFは、絶縁膜PAS1,PAS2,PAS3及び半導体層PS並びにゲート線GLを介して、ドレイン線DLと重畳される構成となっている。従って、遮光層SFとドレイン電極DT(ドレイン線DL)との間の容量(図16中の容量C1に相当する)よりも、遮光層SFとゲート電極GT(ゲート線GL)との間の容量(図16中の容量C2に相当する)が非常に大きく構成されることとなる。よって、薄膜トランジスタTFT1の寄生容量は遮光層SFとゲート電極GT(ゲート線GL)との間の容量C2が支配的となる。
【0036】
その結果、薄膜トランジスタTFT1をオンさせるための走査信号が入力された際、遮光層SFとゲート電極GT(ゲート線GL)との間の容量結合により遮光層SFの電位もゲート電極GTの電位と同様に変動し、この電位がバックゲートとして働くので、薄膜トランジスタTFT1のオン電流量を増加させることができ、画素書き込み特性を改善し、画素電圧の収束を低減できるという格別の効果を得ることができる。
【0037】
次に、図7に本発明の実施形態2の液晶表示装置での画像表示時におけるゲート電極及びドレイン線並びに遮光層での電位を説明するための図、図17に本発明の実施形態1の液晶表示装置での画像表示時におけるゲート電極及びドレイン線並びに遮光層での電位を説明するための図を示し、以下、図7及び図17に基づいて、実施形態2の遮光層SFの効果について説明する。
【0038】
実施形態1の遮光層SFは薄膜トランジスタTFT1の形成領域にのみ形成されると共に、薄膜トランジスタTFT1のドレイン領域が形成される半導体層PSも構成となっている。このために、遮光層SFが薄膜トランジスタTFT1の形成領域にのみに形成される実施形態1の構成では、実施形態2の構成に比較して、遮光層SFの形成に伴う全容量に対して遮光層SFとドレイン線DL(ドレイン電極DT)との間の容量C1が支配的となる。その結果、図17中に太線で示す遮光層SFの電位VSFが、カップリングによりドレイン電圧VDLの変動に伴い、電位差V3で大きく変動することとなる。さらには、走査信号の入力時(ゲート電位VGTが高電位時)におけるゲート電位VGTと遮光層SFの電位VSFとの電位差は、電位差V2となる。
【0039】
これに対して、図7に示すように、実施形態2遮光膜SFは、薄膜トランジスタTFT1のチャネル領域と重畳する領域と共に、ゲート線GL及び延在部GL1と重畳する領域にも形成されているので、遮光層SFの形成に伴う全容量に対する遮光層SFとドレイン線DL(ドレイン電極DT)との間の容量C1の比は小さくすることができ、ゲート線(ゲート電極GT)との間の容量C2の比は大きくすることができる。その結果、カップリングに起因するドレイン電位VDLの変動に伴う遮光層SFの電位VSFの変動を電位差V3よりも非常に小さくできるという格別の効果を得ることができる。さらには、走査信号の入力時におけるゲート電位VGTと遮光層SFの電位VSFとの電位差も、電位差V2よりも非常に小さい電位差V1にできるという格別の効果を得ることができる。
【0040】
〈実施形態3〉
図8は本発明の実施形態3の液晶表示装置における画素の詳細構成を説明するための平面図、図9は図8に示すF−F’線での断面図、図10は図8に示すG−G’線での断面図である。以下、図8〜図10に基づいて、実施形態3の液晶表示装置について説明する。ただし、実施形態3の液晶表示装置は、ダブルゲート構造を有するトップゲート型の薄膜トランジスタTFTを形成する半導体層PS及び遮光層SFの構成が異なるのみで、他の構成は実施形態2と同様の構成となる。従って、以下の説明では、半導体層PS及び遮光層SFについて詳細に説明する。
【0041】
図8に示すように、実施形態3のダブルゲート構造の薄膜トランジスタTFTでは、半導体層PSをU字状に形成すると共に、同一のゲート線GLと2回交差するように形成することにより、ドレイン線DLの一部を薄膜トランジスタTFT1のドレイン電極DTとして使用すると共に、ゲート線GLの一部を薄膜トランジスタTFT1,TFT2のゲート電極GTとする構成となっている。すなわち、実施形態3の半導体層PSは、ゲート線GLの図中上側すなわち画素電極PXと同じ側からゲート線GLと交差するようして、ドレイン線DLと重畳し図中下側に延在している。また、半導体層PSはゲート線GLと交差した後にX方向に屈曲されてX方向に延在し、その後にY方向に屈曲されてY方向にゲート線GLと交差するようして延在した後に、ソース電極STと電気的に接続される構成となっている。すなわち、半導体層PSは一対のゲート線GLとドレイン線DLとで囲まれる領域である画素電極PXが形成される画素領域に、半導体層PSの一端と他端とが配置される構成となっている。
【0042】
この構成により、画素の図中右下側のドレイン線DL及びゲート線GL並びに半導体層PSが交差する領域にゲート線GLをゲート電極GTとする薄膜トランジスタTFT1が形成される。さらには、薄膜トランジスタTFT1と直列接続され、画素の図中中央下側のゲート線GL及び半導体層PSが交差する領域にゲート線GLをゲート電極GTとする薄膜トランジスタTFT2が形成され、ダブルゲート構造の薄膜トランジスタTFTが形成される。このとき、実施形態3のダブルゲート構造の薄膜トランジスタTFTにおいても、ドレイン線DLに近い側に形成されるすなわちドレイン線DLに直接接続される薄膜トランジスタTFT1と重畳するようにして遮光層SFが形成されると共に、ソース電極STすなわち画素電極PXに直接接続される薄膜トランジスタTFT2に重畳する遮光層SFは形成されない構成となっている。すなわち、図10に示すように、ドレイン電極DTとなるドレイン線DLに直接接続される薄膜トランジスタTFT1のチャネル領域の第1基板SUB1側のみに遮光層SFが形成され、薄膜トランジスタTFT2のチャネル領域の第1基板SUB1側には遮光層SFが形成されない構成となっている。従って、実施形態2と同様に、第1基板SUB1の裏面側から矢印で示すバックライト光BLが入射した場合であっても、このバックライト光が薄膜トランジスタTFT1のチャネル領域に入射することを防止できるので、実地形態2と同様の効果を得ることができる。
【0043】
また、図9に示すように、実施形態3のダブルゲート構造の薄膜トランジスタTFTでは、薄膜トランジスタTFT1と薄膜トランジスタTFT2とがゲート線GLの延在方向に沿って並設される構成となっている。このために、実施形態2と同様に、各画素に対応する遮光層SFを画素領域内に設けたのみでは、遮光層SFとゲート線GLとが重畳する領域の面積が減少してしまうこととなる。従って、実施形態3の遮光層SFにおいては、薄膜トランジスタTFT1と重畳する遮光層SFをゲート線GLの延在方向であるX方向に延在して形成する際に、X方向に隣接する画素(隣接画素)の薄膜トランジスタTFT2の近傍にまでそれぞれ延在させる構成としている。すなわち、ゲート線GLに沿って、薄膜トランジスタTFT2の形成されない領域に遮光膜SFを形成する構成としている。この構成とすることにより、ゲート線GLの延在方向に沿って2つの薄膜トランジスタTFT1,TFT2が隣接配置される構成であっても、遮光層SFとゲート線GLとの重畳面積を十分大きくすることが可能となるので、遮光層SFとゲート線GL(ゲート電極GT)との容量(結合容量)を十分に大きくすることが可能となる。従って、実地形態2と同様の効果を得るために必要となる遮光層SFとゲート線GL(ゲート電極GT)との容量(結合容量)を確保することができる。
【0044】
〈実施形態4〉
図11は本発明の実施形態4の液晶表示装置における画素の詳細構成を説明するための平面図、図12は図11に示すH−H’線での断面図、図13は図11に示すJ−J’線での断面図である。以下、図11〜図13に基づいて、実施形態4の液晶表示装置について説明する。ただし、実施形態4の液晶表示装置は、マルチゲート構造を有するトップゲート型の薄膜トランジスタTFTとして、3つのゲート構造を有するトップゲート型の薄膜トランジスタ(以下、トリプルゲート構造を有するトップゲート型の薄膜トランジスタと記す)TFTの構成が異なるのみで、他の構成は実施形態3と同様の構成となる。従って、以下の説明では、トリプルゲート構造を有するトップゲート型の薄膜トランジスタTFTについて詳細に説明する。
【0045】
図11に示すように、実施形態4のトリプルゲート構造の薄膜トランジスタTFTでは、半導体層PSをS字状に形成すると共に、同一のゲート線GLと3回交差するように形成することにより、ドレイン線DLの一部を薄膜トランジスタTFT1のドレイン電極DTとして使用すると共に、ゲート線GLの一部を薄膜トランジスタTFT1,TFT2,TFT3のゲート電極GTとする構成となっている。すなわち、実施形態4の半導体層PSは、ゲート線GLの図中下側すなわち図中下側画素の側からゲート線GLと交差するようして、ドレイン線DLと重畳し図中上側に延在している。また、半導体層PSはゲート線GLと交差した後にX方向に屈曲されてX方向に延在し、その後にY方向に屈曲されてY方向にゲート線GLと交差した後に、再度、X方向に屈曲されてX方向に延在し、その後にY方向に屈曲されてY方向にゲート線GLと交差するようして延在した後に、ソース電極STと電気的に接続される構成となっている。すなわち、実施形態1と同様に、一対のゲート線GLとドレイン線DLとで囲まれる領域である画素電極PXが形成される画素領域に半導体層PSの他端が配置されと共に、Y方向に隣接される画素領域に半導体層PSの一端が配置される構成となっている。
【0046】
この構成により、画素の図中右下側のドレイン線DL及びゲート線GL並びに半導体層PSが交差する領域にゲート線GLをゲート電極GTとする薄膜トランジスタTFT1が形成される。また、薄膜トランジスタTFT1の図中右側において、ゲート線GL及び半導体層PSが交差する領域にゲート線GLをゲート電極GTとする薄膜トランジスタTFT3が形成され、薄膜トランジスタTFT1と直列接続される構成となっている。さらには、薄膜トランジスタTFT3の図中右側において、ゲート線GL及び半導体層PSが交差する領域にゲート線GLをゲート電極GTとする薄膜トランジスタTFT2が形成され、薄膜トランジスタTFT3を介して薄膜トランジスタTFT1〜TFT3が直列接続される構成となり、トリプルゲート構造の薄膜トランジスタTFTが形成される。このとき、実施形態4のトリプルゲート構造の薄膜トランジスタTFTにおいても、ソース電極STすなわち画素電極PXに直接接続される薄膜トランジスタTFT2にのみ遮光層SFが重畳して形成されない構成となっており、ドレイン線DLに近い側に形成されるすなわちドレイン線DLに直接接続される薄膜トランジスタTFT1、及び薄膜トランジスタTFT1と薄膜トランジスタTFT2に直列接続される薄膜トランジスタTFT3は、遮光層SFが重畳して形成される構成となっている。
【0047】
このように、実施形態4の構成においては、実施形態3の薄膜トランジスタTFT1と薄膜トランジスタTFT2との間に、遮光層SFに覆われる薄膜トランジスタTFT3が形成される構成となっている。すなわち、図13に示すように、ドレイン電極DTとなるドレイン線DLに直接接続される薄膜トランジスタTFT1、及び該薄膜トランジスタTFT1に直接接続される薄膜トランジスタTFT3のチャネル領域の第1基板SUB1側のみに遮光層SFが形成され、薄膜トランジスタTFT2のチャネル領域の第1基板SUB1側には遮光層SFが形成されない構成となっている。従って、実施形態3と同様に、第1基板SUB1の裏面側から矢印で示すバックライト光BLが入射した場合であっても、このバックライト光が薄膜トランジスタTFT1,TFT3のチャネル領域に入射することを防止できるので、実施形態3と同様の効果を得ることができる。
【0048】
さらには、図12に示すように、実施形態4のトリプルゲート構造の薄膜トランジスタTFTにおいても、薄膜トランジスタTFT1,TFT3と重畳する遮光層SFをゲート線GLの延在方向であるX方向に延在して形成する際に、X方向に隣接する画素(隣接画素)の薄膜トランジスタTFT2の近傍にまでそれぞれ延在させる構成としている。すなわち、ゲート線GLに沿って、薄膜トランジスタTFT2の形成されない領域に遮光膜SFを形成する構成としている。従って、実施形態3と同様に、遮光層SFとゲート線GLとの重畳面積を十分大きくすることが可能となり、遮光層SFとゲート線GL(ゲート電極GT)との容量(結合容量)を十分に大きくすることが可能となる。
【0049】
また、実施形態4の構成では、直列接続される3つの薄膜トランジスタTFT1〜TFT3の内で、2つの薄膜トランジスタTFT1,TFT3が遮光層SFで遮光される構成となっているので、薄膜トランジスタTFT1〜TFT3のオフ時のバックライト光が半導体層に入射することに伴って生じる光リーク電流をさらに抑制することが可能となり、さらに表示品質を向上できるという格別の効果を得ることができる。
【0050】
なお、実施形態1〜4の液晶表示装置では、薄膜トランジスタTFT1,TFT2,TFT3として、低温多結晶シリコン薄膜を半導体層PSとして用いた場合について説明したが、例えば、微結晶シリコン薄膜を半導体層PSとする薄膜トランジスタTFT1,TFT2,TFT3であってもよい。
【0051】
また、実施形態1〜4の液晶表示装置では、線状の画素電極PXがY方向のみに伸延するいわゆるシングルドメインの場合について説明したが、線状の画素電極の伸延方向がY方向に対して2つ以上の方向に傾斜して形成されるいわゆるマルチドメイン構成であってもよい。
【0052】
以上、本発明者によってなされた発明を、前記発明の実施形態に基づき具体的に説明したが、本発明は、前記発明の実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々変更可能である。
【符号の説明】
【0053】
SUB1……第1基板、SUB2……第2基板、SL……シール材、DR……駆動回路
FPC……フレキシブルプリント基板、AR……表示領域、DL……ドレイン線
GL……ゲート線、CT……共通電極、CL……コモン線、GT……ゲート電極
GT1……延在部、TFT,TFT1〜TFT3……薄膜トランジスタ、SF……遮光層
PX……画素電極、DT……ドレイン電極、PS……半導体層、ST……ソース電極
PAS1〜PAS5……絶縁膜、ORI……配向膜、CH……コンタクトホール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
X方向に延在しY方向に並設されるゲート線と、Y方向に延在しX方向に並設されるドレイン線と、前記ゲート線からの走査信号に同期して前記ドレイン線からの映像信号を画素電極に出力する薄膜トランジスタとが形成される第1基板と、液晶層を介して前記第1基板と対向配置される第2基板とを有する液晶表示装置であって、
前記薄膜トランジスタは、ゲート電極が半導体層よりも前記第1基板よりも遠い側に形成されるトップゲート型の薄膜トランジスタからなり、
前記薄膜トランジスタは、ドレイン電極が前記ドレイン線と電気的に接続される第1の薄膜トランジスタと、
前記第1の薄膜トランジスタと直列に接続され、そのドレイン電極が前記第1の薄膜トランジスタのソース電極に接続され、ソース電極が前記画素電極に電気的に接続される第2の薄膜トランジスタとからなり、
前記半導体層と前記第1基板との間に形成され、前記第1基板側から入射されるバックライト光を遮光する遮光層を備え、
前記遮光層は、平面的に見て、前記第1の薄膜トランジスタと重畳して形成され、
前記第1の薄膜トランジスタ側に入射するバックライト光を遮光すると共に、前記第2の薄膜トランジスタ側に入射するバックライト光は通過させることを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】
前記遮光層は、平面的に見て、前記第1の薄膜トランジスタと共に、前記ゲート線と重畳して配置されることを特徴とする請求項1に記載の液晶表示装置。
【請求項3】
前記遮光層は、前記半導体層及び前記ゲート線と絶縁膜を介して形成される導電性薄膜からなり、画素毎に電気的に独立して形成されていることを特徴とする請求項2に記載の液晶表示装置。
【請求項4】
前記第1の薄膜トランジスタと前記第2の薄膜トランジスタとは前記ゲート線に沿ってその延在方向に対して隣接して配置され、
前記遮光層は前記ゲート線に沿って形成されると共に、当該ゲート線の延在方向に隣接する画素毎に形成される前記第2の薄膜トランジスタとの間の領域を覆うようにして形成されることを特徴とする請求項1乃至3の内の何れかに記載の液晶表示装置。
【請求項5】
前記半導体層は、前記ゲート線と2箇所で交差するU字状に形成されることを特徴とする請求項4に記載の液晶表示装置。
【請求項6】
前記遮光膜は、前記第1の薄膜トランジスタのチャネル領域のX方向およびY方向の幅以上に形成されることを特徴とする請求項1乃至5の内の何れかに記載の液晶表示装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2013−76864(P2013−76864A)
【公開日】平成25年4月25日(2013.4.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−216936(P2011−216936)
【出願日】平成23年9月30日(2011.9.30)
【出願人】(502356528)株式会社ジャパンディスプレイイースト (2,552)
【Fターム(参考)】