説明

液晶装置及び電子機器

【課題】スプレイ配向状態からベンド配向状態への変化の促進を向上させることが困難である。
【解決手段】互いに対向する一対の基板と、前記一対の基板間に介在する液晶19と、前記一対の基板のうちの一方の前記基板の液晶19側に設けられたゲート線93と、ゲート線93の液晶19側に設けられたゲート絶縁膜55と、ゲート絶縁膜55の液晶19側にゲート線93と交差して設けられたソース線95と、を有し、ソース線95には、ゲート線93との交差部に対応してゲート線93と重なる部位に切欠き部又は開口部99が設けられており、ゲート絶縁膜55は、前記切欠き部又は開口部99に重なる領域の少なくとも一部が除去されていることを特徴とする液晶装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液晶装置及び電子機器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、液晶の駆動方式として、OCB(Optically Compensated Bend)モードが知られている。OCBモードでは、初期的にスプレイ配向状態にある液晶をベンド配向状態に変化させた状態で、液晶の駆動を制御することによって表示が行われる。
OCBモードの液晶装置としては、従来、ゲート線とソース線とが重なる領域内でソース線に開口部を設けた構成が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】特開2003−107531号公報(第9頁、図19)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載された液晶装置では、図24(a)に示すように、ガラス基板601と、ゲート線(配線)603と、絶縁膜605と、ソース線(配線)607と、絶縁膜609と、配向膜611と、液晶613とを有する構成が採用され得る。ゲート線603は、ガラス基板601上に設けられている。ソース線607は、絶縁膜605を介してゲート線603に交差している。配向膜611には、ラビング処理などの配向処理が施されている。液晶613は、配向処理が施された配向膜611によって配向方向が規制されている。
【0005】
そして、上記特許文献1に記載された液晶装置では、ゲート線603とソース線607とが重なる領域内でソース線607に開口部615が設けられている。このため、ゲート線603とソース線607との間に電位差が発生すると、図24(a)中のZ部の拡大図である図24(b)に示すように、開口部615を貫通する電界Eが発生する。この結果、電界E中に位置する液晶613の分子613aが核となってスプレイ配向からベンド配向への変化が速やかに行われ得る。
【0006】
ところで、上記特許文献1に記載された液晶装置は、ソース線607及び液晶613の間に、ソース線607を覆う絶縁膜609と、絶縁膜609を覆う配向膜611とを有している。このため、液晶613は、これらの絶縁膜609や配向膜611によって開口部615から遠ざかってしまう。電界Eの強度は、開口部615から遠ざかるほど弱くなる。従って、上記特許文献1に記載された液晶装置では、ゲート線603とソース線607との間の電界Eを有効に利用することが困難である。
【0007】
つまり、従来の液晶装置では、スプレイ配向状態からベンド配向状態への変化の促進を向上させることが困難であるという未解決の課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明は、上述の課題の少なくとも一部を解決するためになされたものであり、以下の形態又は適用例として実現され得る。
【0009】
[適用例1]互いに対向する一対の基板と、前記一対の基板間に介在する液晶と、前記一対の基板のうちの一方の前記基板の前記液晶側に設けられた第1配線と、前記第1配線の前記液晶側に設けられた絶縁膜と、前記絶縁膜の前記液晶側に前記第1配線と交差して設けられた第2配線と、を有し、前記第2配線には、前記第1配線との交差部に対応して該第1配線と重なる部位に切欠き部又は開口部が設けられており、前記絶縁膜は、前記切欠き部又は前記開口部に重なる領域の少なくとも一部が除去されていることを特徴とする液晶装置。
【0010】
適用例1の液晶装置は、一対の基板と、液晶と、第1配線と、絶縁膜と、第2配線とを有している。一対の基板は、互いに対向している。液晶は、一対の基板間に介在している。第1配線は、一対の基板の一方の基板の液晶側に設けられている。絶縁膜は、第1配線の液晶側に設けられている。第2配線は、絶縁膜の液晶側に設けられており、第1配線に交差している。第2配線には、第1配線との交差部に対応して第1配線と重なる部位に切欠き部又は開口部が設けられている。そして、絶縁膜は、切欠き部又は開口部に重なる領域の少なくとも一部が除去されている。
【0011】
適用例1の液晶装置では、切欠き部又は開口部に重なる絶縁膜の少なくとも一部が除去されているので、切欠き部又は開口部に重なる液晶の一部が、切欠き部内又は開口部内に近づきやすくなる。このため、第1配線と第2配線との間で切欠き部又は開口部に発生する電界に液晶を近づけやすくすることができる。この結果、液晶のスプレイ配向状態からベンド配向状態への変化の促進を向上させやすくすることができる。
【0012】
[適用例2]上記の液晶装置であって、前記第2配線の前記液晶側には第2絶縁膜が設けられており、前記第2絶縁膜は、前記切欠き部又は前記開口部に重なる領域の少なくとも一部が除去されていることを特徴とする液晶装置。
【0013】
適用例2の液晶装置は、第2配線の液晶側に第2絶縁膜が設けられている。第2絶縁膜は、切欠き部又は開口部に重なる領域の少なくとも一部が除去されている。
適用例2の液晶装置では、切欠き部又は開口部に重なる第2絶縁膜の少なくとも一部が除去されているので、切欠き部又は開口部に重なる液晶の一部が、切欠き部又は開口部内に近づきやすくなる。このため、第1配線と第2配線との間で切欠き部又は開口部に発生する電界に液晶を近づけやすくすることができる。この結果、液晶のスプレイ配向状態からベンド配向状態への変化の促進を向上させやすくすることができる。
【0014】
[適用例3]互いに対向する一対の基板と、前記一対の基板間に介在する液晶と、前記一対の基板のうちの一方の前記基板の前記液晶側に設けられた第1配線と、前記第1配線の前記液晶側に設けらた絶縁膜と、前記絶縁膜の前記液晶側に前記第1配線と交差して設けられた第2配線と、前記第2配線の前記液晶側に設けられた第2絶縁膜と、を有し、前記第2配線には、前記第1配線との交差部に対応して該第1配線と重なる部位に切欠き部又は開口部が設けられており、前記第2絶縁膜は、前記切欠き部又は前記開口部に重なる領域の少なくとも一部が除去されていることを特徴とする液晶装置。
【0015】
適用例3の液晶装置は、一対の基板と、液晶と、第1配線と、絶縁膜と、第2配線と、第2絶縁膜とを有している。一対の基板は、互いに対向している。液晶は、一対の基板間に介在している。第1配線は、一対の基板の一方の基板の液晶側に設けられている。絶縁膜は、第1配線の液晶側に設けられている。第2配線は、絶縁膜の液晶側に設けられており、第1配線に交差している。第2絶縁膜は、第2配線の液晶側に設けられている。第2配線には、第1配線との交差部に対応して第1配線と重なる部位に切欠き部又は開口部が設けられている。そして、第2絶縁膜は、切欠き部又は開口部に重なる領域の少なくとも一部が除去されている。
【0016】
適用例3の液晶装置では、切欠き部又は開口部に重なる第2絶縁膜の少なくとも一部が除去されているので、切欠き部又は開口部に重なる液晶の一部が、切欠き部又は開口部内に近づきやすくなる。このため、第1配線と第2配線との間で切欠き部又は開口部に発生する電界に液晶を近づけやすくすることができる。この結果、液晶のスプレイ配向状態からベンド配向状態への変化の促進を向上させやすくすることができる。
【0017】
[適用例4]上記の液晶装置であって、前記第2配線の各前記切欠き部又は前記開口部が設けられた部位には、前記第2配線の少なくともいずれか一方の側端部の辺から、該第2配線の幅方向に突出させて拡張した拡張部が設けられていることを特徴とする液晶装置。
【0018】
適用例4では、第2配線の各切欠き部又は開口部が設けられた部位に、第2配線の少なくともいずれか一方の側端部の辺から、第2配線の幅方向に突出させて拡張した拡張部が設けられているので、第2配線の電気抵抗を低減することができる。
【0019】
[適用例5]上記の液晶装置を表示部として備えたことを特徴とする電子機器。
【0020】
適用例5の電子機器は、表示部としての液晶装置が、一対の基板と、液晶と、第1配線と、絶縁膜と、第2配線とを有している。一対の基板は、互いに対向している。液晶は、一対の基板間に介在している。第1配線は、一対の基板の一方の基板の液晶側に設けられている。絶縁膜は、第1配線の液晶側に設けられている。第2配線は、絶縁膜の液晶側に設けられており、第1配線に交差している。第2配線には、第1配線との交差部に対応して第1配線と重なる部位に切欠き部又は開口部が設けられている。そして、絶縁膜は、切欠き部又は開口部に重なる領域の少なくとも一部が除去されている。
この液晶装置では、切欠き部又は開口部に重なる絶縁膜の少なくとも一部が除去されているので、切欠き部又は開口部に重なる液晶の一部が、切欠き部又は開口部内に近づきやすくなる。このため、第1配線と第2配線との間で切欠き部又は開口部に発生する電界に液晶を近づけやすくすることができる。この結果、液晶のスプレイ配向状態からベンド配向状態への変化の促進を向上させやすくすることができる。
この液晶装置を表示部として備えた適用例5の電子機器では、液晶のスプレイ配向状態からベンド配向状態への変化の促進を向上させやすくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
実施形態について、液晶装置の1つである表示装置を例に、図面を参照しながら説明する。
実施形態における表示装置1は、図1に示すように、表示パネル3と、照明装置5とを有している。
【0022】
ここで、表示パネル3には、複数の画素7が設定されている。複数の画素7は、表示領域8内で、図中のX方向及びY方向に配列しており、X方向を行方向とし、Y方向を列方向とするマトリクスMを構成している。表示装置1は、照明装置5から表示パネル3に入射された光を、表示パネル3に設定されている複数の画素7から選択的に表示面9を介して表示パネル3の外に射出することで、表示面9に画像を表示することができる。なお、表示領域8とは、画像が表示され得る領域である。図1では、構成をわかりやすく示すため、画素7が誇張され、且つ画素7の個数が減じられている。
【0023】
表示パネル3は、図1中のA−A線における断面図である図2に示すように、液晶パネル11と、偏光板13a及び13bとを有している。
液晶パネル11は、駆動素子基板15と、対向基板17と、液晶19とを有している。
駆動素子基板15には、表示面9側すなわち液晶19側に、複数の画素7のそれぞれに対応して、後述するスイッチング素子などが設けられている。
【0024】
対向基板17は、駆動素子基板15よりも表示面9側で駆動素子基板15に対向し、且つ駆動素子基板15との間に隙間を有した状態で設けられている。対向基板17には、表示パネル3における表示面9の裏面に相当する面である底面23側すなわち液晶19側に、後述する対向電極などが設けられている。
【0025】
液晶19は、駆動素子基板15及び対向基板17の間に介在しており、表示パネル3の周縁よりも内側で表示領域8を囲むシール材25によって、駆動素子基板15及び対向基板17の間に封止されている。液晶19としては、ネマチック液晶が採用され得る。なお、本実施形態では、液晶19の駆動モードとして、OCB(Optically Compensated Bend)モードが採用されている。
【0026】
偏光板13aは、駆動素子基板15よりも底面23側に設けられている。偏光板13bは、対向基板17よりも表示面9側に設けられている。表示装置1では、偏光板13a及び13bは、偏光板13aにおける光の透過軸の方向と、偏光板13bにおける光の透過軸の方向とが、互いに直交する方向に設定されている。偏光板13a及び13bは、それぞれ、透過軸の方向に偏光軸を有する光を透過させることができる。
【0027】
なお、偏光板13aと駆動素子基板15との間や、偏光板13bと対向基板17との間に、光学補償フィルムを設けた構成も採用され得る。光学補償フィルムを設けることで、液晶19を表示面9の法線方向から見たときや、法線方向から傾斜した方向から見たときなどの液晶19の位相差を補償することができる。これにより、光漏れを低減することができ、コントラストの向上が図られる。
【0028】
光学補償フィルムとしては、屈折率異方性が負のディスコティック液晶分子等をハイブリッド配向させた負の一軸性媒体(例えば、富士フィルム製のWVフィルム)などが採用され得る。また、屈折率異方性が正のネマチック液晶分子等をハイブリッド配向させた正の一軸性媒体(例えば、日本石油製のNHフィルム)なども採用され得る。さらに、負の一軸性媒体と正の一軸性媒体とを組み合わせた構成も採用され得る。その他、各方向の屈折率がnx>ny>nzとなる二軸性媒体や、負のC−Plate等も採用され得る。
【0029】
照明装置5は、表示パネル3の底面23側に設けられており、導光板31と、光源33とを有している。導光板31は、図2で見て表示パネル3の下側に設けられており、表示パネル3の底面23に対向する光射出面35bを有している。
光源33は、例えば、LED(Light Emitting Diode)や冷陰極管などが採用され、図2で見て導光板31の側面35aの右方に設けられている。
【0030】
光源33からの光は、導光板31の側面35aに入射される。導光板31に入射された光は、導光板31の中で反射を繰り返しながら光射出面35bから射出される。光射出面35bから射出された光は、表示パネル3の底面23から、偏光板13aを介して表示パネル3に入射される。なお、導光板31には、必要に応じて、光射出面35bに拡散板が設けられ、底面35cに反射板が設けられる。
【0031】
表示パネル3に設定されている複数の画素7は、それぞれ、表示面9から射出する光の色が、図3に示すように、赤系(R)、緑系(G)及び青系(B)のうちの1つに設定されている。つまり、マトリクスMを構成する複数の画素7は、Rの光を射出する画素7rと、Gの光を射出する画素7gと、Bの光を射出する画素7bとを含んでいる。
なお、以下においては、画素7という表記と、画素7r、7g及び7bという表記とが、適宜、使いわけられる。
【0032】
ここで、Rの色は、純粋な赤の色相に限定されず、橙等を含む。Gの色は、純粋な緑の色相に限定されず、青緑や黄緑を含む。Bの色は、純粋な青の色相に限定されず、青紫や青緑等を含む。他の観点から、Rの色を呈する光は、光の波長のピークが、可視光領域で570nm以上の範囲にある光であると定義され得る。また、Gの色を呈する光は、光の波長のピークが500nm〜565nmの範囲にある光であると定義され得る。Bの色を呈する光は、光の波長のピークが415nm〜495nmの範囲にある光であると定義され得る。
【0033】
マトリクスMでは、Y方向に沿って並ぶ複数の画素7が、1つの画素列41を構成している。1つの画素列41内の各画素7は、光の色がR、G及びBのうちの1つに設定されている。つまり、マトリクスMは、複数の画素7rがY方向に配列した画素列41rと、複数の画素7gがY方向に配列した画素列41gと、複数の画素7bがY方向に配列した画素列41bとを有している。そして、マトリクスMでは、画素列41r、画素列41g及び画素列41bが、この順でX方向に沿って反復して並んでいる。
なお、以下においては、画素列41という表記と、画素列41r、画素列41g及び画素列41bという表記とが、適宜、使いわけられる。
【0034】
ここで、液晶パネル11の駆動素子基板15及び対向基板17のそれぞれの構成について、詳細を説明する。
駆動素子基板15は、図3中のC−C線における断面図である図4に示すように、第1基板51を有している。第1基板51は、例えばガラスや石英などの光透過性を有する材料で構成されており、表示面9側に向けられた第1面53aと、底面23側に向けられた第2面53bとを有している。
【0035】
第1基板51の第1面53aには、ゲート絶縁膜55が設けられている。ゲート絶縁膜55の表示面9側には、絶縁膜57が設けられている。絶縁膜57の表示面9側には、配向膜59が設けられている。
また、駆動素子基板15には、各画素7に対応して、スイッチング素子の1つであるTFT(Thin Film Transistor)素子61と、画素電極63とが、第1基板51の第1面53a側に設けられている。
【0036】
第1基板51の第1面53aと、各画素電極63との間には、容量線65が設けられている。容量線65は、X方向に沿って並ぶ複数の画素7間にわたって一連した状態で設けられている。容量線65の材料としては、例えば、モリブデン、タングステン、クロムなどの金属や、これらを含む合金などが採用され得る。
TFT素子61は、ゲート電極71と、半導体層73と、ソース電極75と、ドレイン電極77とを有している。
【0037】
ゲート電極71は、第1基板51の第1面53aに設けられており、ゲート絶縁膜55によって表示面9側から覆われている。なお、ゲート電極71の材料としては、例えば、モリブデン、タングステン、クロムなどの金属や、これらを含む合金などが採用され得る。また、ゲート絶縁膜55の材料としては、例えば、酸化シリコンや窒化シリコンなどの光透過性を有する材料が採用され得る。
半導体層73は、例えばアモルファスシリコンで構成されており、ゲート絶縁膜55を挟んでゲート電極71に対向する位置に設けられている。
【0038】
ソース電極75は、ゲート絶縁膜55の表示面9側に設けられており、一部が半導体層73に重なっている。ドレイン電極77は、ゲート絶縁膜55の表示面9側に設けられており、一部が半導体層73に重なっている。上記の構成を有するTFT素子61は、半導体層73がゲート電極71と、ソース電極75及びドレイン電極77との間に位置する所謂ボトムゲート型である。
そして、TFT素子61は、絶縁膜57によって表示面9側から覆われている。なお、絶縁膜57の材料としては、例えば、酸化シリコン、窒化シリコン、アクリル系の樹脂などの光透過性を有する材料が採用され得る。
【0039】
画素電極63は、例えばITO(Indium Tin Oxide)等の酸化導電膜や、Mg及びAg等の金属が光透過性を有するように薄膜化したものなどの光透過性を有する材料で構成され、絶縁膜57の表示面9側に設けられている。画素電極63は、絶縁膜57に設けられたコンタクトホール79を介してドレイン電極77につながっている。
配向膜59は、例えばポリイミドなどの光透過性を有する材料で構成されており、絶縁膜57及び画素電極63を表示面9側から覆っている。なお、配向膜59には、配向処理が施されている。
【0040】
対向基板17は、第2基板81を有している。第2基板81は、例えばガラスや石英などの光透過性を有する材料で構成されており、表示面9側に向けられた外向面82aと、底面23側に向けられた対向面82bとを有している。
第2基板81の対向面82bには、各画素7を区画する光吸収層83が領域84にわたって設けられている。表示装置1では、各画素7は、光吸収層83によって囲まれた領域であると定義され得る。光吸収層83は、例えば、カーボンブラックやクロムなどの光吸収性が高い材料を含有する樹脂などで構成されており、平面視で格子状に設けられている。
【0041】
また、第2基板81の対向面82bには、光吸収層83によって囲まれた各領域、すなわち各画素7の領域を底面23側から覆うカラーフィルタ85が設けられている。
ここで、カラーフィルタ85は、入射された光のうち所定の波長域の光を透過させることができる。カラーフィルタ85は、画素7r、画素7g及び画素7bごとに異なる色に着色された樹脂などで構成されている。画素7rに対応するカラーフィルタ85は、Rの光を透過させることができる。画素7gに対応するカラーフィルタ85はGの光を透過させ、画素7bに対応するカラーフィルタ85はBの光を透過させることができる。なお、以下において、各カラーフィルタ85に対してR、G及びBが識別される場合に、カラーフィルタ85r、85g及び85bという表記が用いられる。
【0042】
光吸収層83及びカラーフィルタ85の底面23側には、オーバーコート層87が設けられている。オーバーコート層87は、光透過性を有する樹脂などで構成されており、光吸収層83及びカラーフィルタ85を底面23側から覆っている。
オーバーコート層87の底面23側には、対向電極89が設けられている。対向電極89は、例えばITO等の酸化導電膜や、Mg及びAg等の金属が光透過性を有するように薄膜化したものなどの光透過性を有する材料で構成されている。
【0043】
対向電極89は、マトリクスMを構成する複数の画素7間にわたって一連した状態で設けられている。つまり、対向電極89は、マトリクスMを構成する複数の画素7に平面視で重なる領域に設けられており、複数の画素7間にわたって共通して機能する。なお、対向電極89は、図示しない共通線につながっている。
対向電極89の底面23側には、配向膜91が設けられている。配向膜91は、例えばポリイミドなどの光透過性を有する材料で構成されており、対向電極89を底面23側から覆っている。配向膜91には、配向処理が施されている。
【0044】
駆動素子基板15及び対向基板17の間に介在する液晶19は、配向膜59と配向膜91との間に介在している。表示装置1では、図2に示すシール材25は、図4に示す第1基板51の第1面53aと、第2基板81の対向面82bとによって挟持されている。つまり、表示装置1では、液晶19は、第1基板51及び第2基板81によって保持されている。なお、シール材25は、配向膜59及び配向膜91の間に設けられていてもよい。この場合、液晶19は、駆動素子基板15及び対向基板17に保持されているとみなされ得る。
【0045】
ここで、各画素7におけるTFT素子61及び画素電極63の配置について説明する。
画素電極63は、平面図である図5に示すように、画素7の領域にわたって設けられている。そして、画素電極63の周縁部は、領域84に重なっている。なお、図5では、構成をわかりやすく示すため、画素電極63にハッチングが施されている。
【0046】
TFT素子61は、図5で見て下側の領域84内に設けられており、ドレイン電極77が領域84内から画素7の領域内に延長されている。X方向に隣り合う画素7間において、ゲート電極71同士は、ゲート線93によって接続されている。また、Y方向に隣り合う画素7間において、ソース電極75同士は、ソース線95によって接続されている。なお、図5では、構成をわかりやすく示すため、ゲート線93にハッチングが施されている。
【0047】
ここで、ゲート電極71は、X方向に沿って並ぶ複数の画素7間にわたって一連したゲート線93として設けられている。そして、画素7ごとにゲート線93に対向する位置に半導体層73が設けられている。各ゲート線93において、平面視で半導体層73に重なる領域がゲート電極71であると定義され得る。
なお、図4におけるTFT素子61、画素電極63及び容量線65の断面は、図5中のF−F線における断面に相当している。
【0048】
表示装置1では、複数のゲート線93と複数のソース線95とが、図6に示すように、格子状に配線されている。複数のゲート線93は、Y方向に互いに間隔をあけた状態で、X方向に沿って延びている。複数のソース線95は、X方向に互いに間隔をあけた状態で、Y方向に沿って延びている。各画素7は、各ゲート線93と各ソース線95との交差に対応して設定されている。
X方向に沿って延びる各容量線65は、Y方向に間隔をあけた状態で各ゲート線93に隣り合っている。そして、各画素電極63と各容量線65との間に補助容量97が形成される。
【0049】
また、表示装置1では、図5に示すように、各ソース線95に複数の開口部99が設けられている。各ソース線95において各開口部99は、ソース線95と各ゲート線93とが交差する部位に設けられている。各開口部99は、ソース線95と各ゲート線93とが平面視で重なる領域に設けられている。なお、各開口部99は、図5中のH部の拡大図である図7に示すように、Y方向の幅W1がゲート線93の幅W2以下に設定されている。また、X方向において、各開口部99は、ソース線95の輪郭を構成する第1辺101と第2辺103との間に位置している。第1辺101は、Y方向に延びている。第2辺103は、図5に示すように、ソース電極75がソース線95から分岐する側の辺であり、第1辺101に対峙している。
【0050】
表示装置1では、ゲート線93とソース線95との間に介在するゲート絶縁膜55に、図7中のJ−J線における断面図である図8(a)に示すように、開口部105が設けられている。表示装置1では、開口部105は、ソース線95の開口部99ごとに設けられている。各開口部105は、対応する各開口部99の平面視での輪郭内に設けられている。これにより、ゲート線93とソース線95との短絡を抑制しやすくすることができるという効果の1つが得られる。
そして、各開口部105内には、絶縁膜57が及んでいる。この結果、絶縁膜57を覆う配向膜59には、各開口部99に平面視で重なる領域に、ゲート線93に向かって凹となる凹部107が形成される。各凹部107内には、液晶19が及ぶ。
【0051】
ここで、表示装置1では、配向膜59及び配向膜91のそれぞれに、X方向に沿ってラビング処理を施すことによって、配向処理が施されている。このような配向処理が施された配向膜59及び配向膜91の間に介在する液晶19は、初期的に、図9(a)に示すようなスプレイ配向状態となっている。そして、表示を行う際には、図9(b)に示すようなベンド配向状態に変化させてから使用される。
【0052】
スプレイ配向状態からベンド配向状態への変化は、液晶19を電界にさらすことによって実現され得る。ベンド配向状態では、液晶19の分子19aが弓なりに並んでおり、その弓なり形状の曲がり度合いを変えることで透過率を変調することによって階調表示が行われる。
【0053】
表示装置1では、ゲート線93とソース線95との間を所定の電位差にすることによって、前述した開口部99に電界が発生する。
ゲート線93とソース線95との間に電位差が生じると、ゲート線93とソース線95との間には、電界の様子を模式的に示す断面図である図8(b)に示すように、開口部99を貫く電界Eが発生する。表示装置1では、例えば、5Vの矩形波の交流電圧をゲート線93とソース線95との間に印加することにより、開口部99を貫く電界Eを発生させることができる。
【0054】
この電界Eには、ゲート線93から開口部99を貫く縦方向の成分が含まれる。電界Eにさらされた液晶19の分子19aのうちの分子19a1は、図8(b)に示すように、電界Eの縦方向の成分によって、立ち上がろうとする。
また、電界Eには、開口部99を貫いてからソース線95に至るまでに、Y方向に沿った横方向の成分が含まれる。液晶19の分子19aは、初期的に、ラビング処理の方向に沿って配向する。表示装置1では、ラビング処理の方向がX方向に沿っているので、分子19aは、初期的にX方向に沿って配向している。
【0055】
初期的にX方向に沿って配向している分子19aのうちの分子19a2は、図8(b)に示すように、電界EのY方向に沿った横方向の成分によって、Y方向に配向しようとする。つまり、分子19a2は、電界EのY方向に沿った横方向の成分によって、回転しようとする。
ここで、液晶19の分子19aは、スプレイ配向状態からベンド配向状態になるまでの間にツイスト配向状態を経る。ツイスト配向状態では、分子19aはラビング処理の方向とは平面視で交差する方向に配向する。つまり、液晶19の分子19aは、スプレイ配向状態からスプレイ配向の方向とは平面視で交差する方向に回転すると、ツイスト配向状態となる。
【0056】
表示装置1では、電界EのY方向に沿った横方向の成分によって、液晶19の分子19aがツイスト配向状態になろうとする作用と、電界Eの縦方向の成分によって、分子19aが立ち上がろうとする作用とが働く。これらの作用によって、各開口部99の近傍に、スプレイ配向状態からベンド配向状態への変化の核となる転移核が発生する。
そして、転移核が発生した状態で画素電極63と対向電極89との間に、例えば5Vの矩形波の交流電圧を印加することにより、画素電極63と対向電極89との間の広い範囲で液晶19が駆動される。この結果、各開口部99の近傍に発生した転移核を起点としてベンド配向状態の領域が広がり、液晶19がベンド配向状態に変化する。
【0057】
上記の構成を有する表示装置1では、液晶19をベンド配向状態に維持して照明装置5から表示パネル3に光を照射した状態で、液晶19の配向状態を画素7ごとに変化させることにより、表示が制御される。液晶19の配向状態は、TFT素子61のOFF状態及びON状態を切り替えることによって変化し得る。また、液晶19は、対向電極89を所定の電位に保つことによってベンド配向状態に維持され得る。
【0058】
各ゲート線93には、図6に示すように、走査信号G1,G2,…,Gnが供給される。各ソース線95には、画像信号S1,S2,…,Smが供給される。走査信号G1,G2,…,Gnは、図10に示すように、それぞれ、1フレーム期間内に1回だけ、1フレーム期間よりも短い期間t1にわたってHiレベルの選択電位に維持される。あるタイミングで選択電位となり得るのは、走査信号G1,G2,…,Gnのうちの1つだけである。
【0059】
ゲート線93が選択電位となると、このゲート線93につながるTFT素子61がON状態となる。TFT素子61がON状態となっている期間において、ソース線95に供給された画像信号S1,S2,…,Smが、TFT素子61を介して画素電極63に印加される(図6)。画素電極63に印加された所定のレベルの画像信号S1,S2,…,Smと、対向電極89の電位とで定まる電圧が駆動電圧となる。
【0060】
この駆動電圧は、液晶19の容量及び補助容量97により一定時間保持される。この駆動電圧により、画素電極63と対向電極89との間には、電界が形成される。そして、駆動電圧が印加された画素電極63と対向電極89との間に位置する液晶19は、駆動電圧のレベルに応じて分子19aの配向状態が変化する。これにより、液晶19に入射された光が変調されて階調表示が行われる。
【0061】
図11(a)は、TFT素子61がOFF状態のときの偏光状態を示す図であり、図11(b)は、TFT素子61がON状態のときの偏光状態を示す図である。
表示装置1では、偏光板13aの透過軸111は、図11(a)及び図11(b)に示すように、平面視でX方向から反時計方向に45度だけ傾いている。また、偏光板13bの透過軸113は、平面視でX方向から時計方向に45度だけ傾いている。
また、配向膜59のラビング処理の方向(以下、ラビング方向と呼ぶ)115は、平面視でX方向に沿っている。配向膜91のラビング方向117も、平面視でX方向に沿っている。
【0062】
照明装置5から偏光板13aに入射された入射光は、偏光板13aの透過軸111の方向に沿った偏光軸を有する直線偏光119として液晶19に入射される。
ここで、液晶19は、TFT素子61がOFF状態のときに、入射光に略1/2波長の位相差を付与するリタデーションに設定されている。
従って、TFT素子61がOFF状態のときに液晶19に入射された直線偏光119は、図11(a)に示すように、平面視で直線偏光119の偏光軸に直交する偏光軸を有する直線偏光121として偏光板13bに向けて射出される。
偏光板13bに向けて射出された直線偏光121は、偏光軸が偏光板13bの透過軸113の方向に沿っているため、偏光板13bを透過する。
【0063】
他方で、TFT素子61がON状態のときに、直線偏光119は、図11(b)に示すように、偏光状態が維持されたまま直線偏光119として偏光板13bに向けて射出される。偏光板13bに向けて射出された直線偏光119は、偏光軸の方向が偏光板13bの透過軸113の方向に対して直交しているため、偏光板13bによって吸収される。
【0064】
表示装置1では、TFT素子61がOFF状態のときに表示面9から光が射出され、TFT素子61がON状態のときに表示面9からの光の射出が遮断される所謂ノーマリホワイトの表示モードが採用されている。しかしながら、表示モードは、ノーマリホワイトに限定されず、ノーマリブラックも採用され得る。偏光板13aの透過軸111の方向と、偏光板13bの透過軸113の方向とを互いに合わせれば、ノーマリブラックが達成され得る。
【0065】
ここで、表示装置1の製造方法について説明する。
表示装置1の製造方法は、基板の製造工程と、液晶パネル11の製造工程と、表示パネル3の製造工程と、表示装置1の製造工程とに大別される。
まず、基板の製造工程について説明する。
基板の製造工程は、駆動素子基板15の製造工程と、対向基板17の製造工程とに大別される。
【0066】
駆動素子基板15の製造工程では、図12(a)に示すように、まず、第1基板51の第1面53aに、ゲート電極71(ゲート線93)と、容量線65とを形成する。ゲート電極71(ゲート線93)及び容量線65は、第1面53aに金属膜を形成してから、金属膜を、例えば、フォトリソグラフィ技術やエッチング技術を活用してパターニングすることによって形成され得る。
次いで、ゲート電極71(ゲート線93)及び容量線65を覆うゲート絶縁膜55を形成する。ゲート絶縁膜55は、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)技術、PVD(Physical Vapor Deposition)技術、蒸着技術などを活用することによって、窒化シリコンや酸化シリコンなどで形成され得る。
【0067】
次いで、図12(b)に示すように、ゲート絶縁膜55上に、半導体層73を形成してから、半導体層73の一部に重なるソース電極75とドレイン電極77とを形成する。なお、ソース電極75がつながるソース線95は、ソース電極75を形成するときに、ソース電極75とともに形成される。ソース電極75及びドレイン電極77並びにソース線95は、ゲート絶縁膜55上に金属膜を形成してから、金属膜を、例えば、フォトリソグラフィ技術やエッチング技術を活用してパターニングすることによって形成され得る。このとき、ソース線95には、図5に示す複数の開口部99が設けられる。
【0068】
次いで、各開口部99内のゲート絶縁膜55に、図8(a)に示す複数の開口部105を形成する。各開口部105は、例えば、フォトリソグラフィ技術やエッチング技術を活用して各開口部105内に相当するゲート絶縁膜55を除去することによって形成され得る。
【0069】
なお、表示装置1の製造方法では、ソース線95を形成してからゲート絶縁膜55に開口部105を形成する順序が採用されているが、ソース線95及び開口部105の形成順序はこれに限定されない。開口部105を形成してからソース線95を形成する順序も採用され得る。しかしながら、ゲート線93とソース線95との短絡を低く抑えるという観点から、ソース線95を形成してからゲート絶縁膜55に開口部105を形成する順序が好ましい。これは、開口部105内にソース線95の材料が及んだ状態すなわちゲート線93とソース線95とが短絡した状態から、開口部105内のソース線95の材料を除去してゲート線93とソース線95とを絶縁状態にすることが困難であるためである。
【0070】
次いで、ソース電極75及びドレイン電極77並びにソース線95を覆う絶縁膜57を形成する。絶縁膜57は、例えば、CVD(Chemical Vapor Deposition)技術、PVD(Physical Vapor Deposition)技術、蒸着技術などを活用することによって、窒化シリコンや酸化シリコンなどで形成され得る。また、絶縁膜57は、例えば、スピンコート技術を活用することによって、アクリル系の樹脂などによっても形成され得る。
【0071】
次いで、図12(c)に示すように、絶縁膜57に、ドレイン電極77に至るコンタクトホール79を形成してから、絶縁膜57上にコンタクトホール79を覆う画素電極63を形成する。コンタクトホール79は、例えば、フォトリソグラフィ技術やエッチング技術を活用することによって形成され得る。画素電極63は、絶縁膜57上にITOやMgやAgなどの膜を形成してから、この膜を、例えば、フォトリソグラフィ技術やエッチング技術を活用してパターニングすることによって形成され得る。
【0072】
次いで、図12(d)に示すように、絶縁膜57上に、ポリイミドなどの樹脂で画素電極63を覆う樹脂膜59aを形成する。樹脂膜59aは、例えば、スピンコート技術を活用することにより形成され得る。
次いで、樹脂膜59aにラビング処理を施すことにより、図4に示す配向膜59が形成される。これにより、駆動素子基板15が製造され得る。
【0073】
対向基板17の製造工程では、図13(a)に示すように、まず、第2基板81の対向面82bに、光吸収層83を、平面視で格子状に形成する。光吸収層83は、対向面82bに、カーボンブラックやクロムなどを含有する樹脂膜を形成してから、樹脂膜を、例えば、フォトリソグラフィ技術を活用してパターニングすることによって形成され得る。
【0074】
次いで、図13(b)に示すように、光吸収層83によって囲まれる各画素7の領域内に、カラーフィルタ85を形成する。カラーフィルタ85は、R、G及びBの各光に対応する着色剤が含有された樹脂を、各画素7の領域内に配置することによって形成され得る。なお、各画素7の領域内への樹脂の配置は、例えば、インクジェット技術や蒸着技術を活用することにより行われ得る。
次いで、光吸収層83及びカラーフィルタ85上にオーバーコート層87を形成する。オーバーコート層87は、例えばスピンコート技術を活用して、光透過性を有する樹脂で形成され得る。
【0075】
次いで、図13(c)に示すように、オーバーコート層87上に対向電極89を形成する。対向電極89は、例えばスパッタリング技術を活用して、オーバーコート層87上にITOやMgやAgなどの膜を形成することにより形成され得る。
次いで、ポリイミドなどの樹脂で対向電極89を覆う樹脂膜91aを形成する。樹脂膜91aは、例えば、スピンコート技術を活用することにより形成され得る。
次いで、樹脂膜91aにラビング処理を施すことにより、図4に示す配向膜91が形成される。これにより、対向基板17が製造され得る。
【0076】
液晶パネル11の製造工程では、まず、駆動素子基板15と対向基板17とを、駆動素子基板15及び対向基板17のいずれか一方に平面視で環状に設けられたシール材25(図2)を介して接合する。このとき、シール材25は、平面視で環状の輪郭の一部を欠いた状態で設けられる。シール材25の環状の輪郭の一部を欠いた部分は、液晶19の注入口となる。
次いで、液晶19を注入口から注入してから、注入口を塞いで液晶19を封入する。これにより、図2に示す液晶パネル11が製造され得る。
【0077】
表示パネル3の製造工程では、図4に示す偏光板13a及び13bを液晶パネル11に設ける。偏光板13aは第1基板51の第2面53bに設けられ、偏光板13bは、第2基板81の外向面82aに設けられる。これにより、表示パネル3が製造され得る。
なお、偏光板13a及び13bは、液晶パネル11を製造する前に、第1基板51及び第2基板81に設けられ得る。
表示装置1の製造工程では、表示パネル3と照明装置5とを組み合わせることにより、表示装置1が製造され得る。
【0078】
なお、表示装置1において、ゲート絶縁膜55が絶縁膜に対応し、絶縁膜57が第2絶縁膜に対応し、ゲート線93が第1配線に対応し、ソース線95が第2配線に対応し、X方向が第1方向に対応し、Y方向が第2方向に対応している。
表示装置1では、各ソース線95に複数の開口部99が設けられている。各ソース線95において各開口部99は、平面視でソース線95とゲート線93とが重なる部位に設けられている。ゲート線93とソース線95との間に電圧を印加することにより、開口部99を貫く電界Eを発生させることができる。この電界Eにより、各開口部99の近傍に位置する液晶19に、スプレイ配向状態からベンド配向状態への転移核を発生させやすくすることができる。
【0079】
また、表示装置1では、開口部99ごとに、ゲート絶縁膜55に複数の開口部105が設けられている。各開口部105は、平面視で開口部99に重なる領域に設けられている。ゲート絶縁膜55に開口部105が設けられることによって、開口部99に平面視で重なる領域にある液晶19を開口部99に近づけることができる。このため、開口部99を貫通する電界Eを有効に利用することができる。この結果、スプレイ配向状態からベンド配向状態への変化の促進を向上させることができる。
【0080】
また、表示装置1では、平面視でソース線95とゲート線93とが重なる部位に各開口部99が設けられているので、ゲート線93とソース線95との間の寄生容量を低減することができる。これにより、表示装置1における表示品位の向上が図られる。
【0081】
なお、表示装置1では、ボトムゲート型のTFT素子61が採用されているが、TFT素子61はこれに限定されない。TFT素子61は、半導体層73がゲート電極71並びにソース電極75及びドレイン電極77よりも底面23側に位置する所謂トップゲート型も採用され得る。
【0082】
また、表示装置1では、配向膜59及び配向膜91のそれぞれに、X方向に沿ってラビング処理が施される場合を例に説明したが、ラビング方向はこれに限定されず、配向膜59及び配向膜91のラビング方向が互いに同じ方向であれば、任意の方向が採用され得る。
【0083】
また、表示装置1では、ゲート絶縁膜55に開口部105を設けた構成を例に説明したが、表示装置1の構成はこれに限定されない。表示装置1の構成としては、図14(a)に示すように、絶縁膜57に開口部125を設けた構成も採用され得る。開口部125は、開口部99に平面視で重なる領域に設けられる。この開口部125は、開口部99に平面視で重なる領域があれば、開口部99の平面視での輪郭の外側に及んでいても、内側に収まっていてもよい。絶縁膜57に開口部125を設けた構成においても、ゲート絶縁膜55に開口部105を設けた構成と同様の効果が得られる。
【0084】
さらに、表示装置1の構成としては、図14(b)に示すように、ゲート絶縁膜55に開口部105を設け、且つ絶縁膜57に開口部125を設けた構成も採用され得る。図14(b)に示す構成では、平面視で開口部99に重なる液晶19の一部が開口部99内に一層近づきやすくなる。このため、ゲート線93とソース線95との間で開口部99を貫通する電界E(図8(b)参照)に液晶19を一層近づけやすくすることができる。この結果、液晶19のスプレイ配向状態からベンド配向状態への変化の促進を一層向上させやすくすることができる。
【0085】
また、表示装置1では、ソース線95に開口部99を設けた場合を例に説明したが、ソース線95はこれに限定されず、開口部99に替えて、図15に示す切欠き部127を設けた構成も採用され得る。図15に示す例では、切欠き部127は、第1辺101側から第2辺103側へ向かって、ソース線95のX方向における幅方向に刻まれている。換言すれば、切欠き部127は、第2辺103側から第1辺101側へ向かって開口されている。なお、この例では、切欠き部127の開口が第1辺101側に設けられているが、開口の向きは第2辺103側であってもよい。
切欠き部127が採用された表示装置1においても、開口部99が採用された表示装置1と同様の効果が得られる。
【0086】
また、切欠き部127が採用された場合において、配向膜59に対するラビング処理は、図15中のL1の向きに、すなわち切欠き部127の開口側から奥側に向かって施されることが好ましい。
ここで、開口部99が採用される場合、配向膜59に形成される凹部107は、図7中のK−K線における断面図である図16に示すように、2つの凸部131によって挟まれている。配向膜59に凹部107があると、凹部107内にラビング処理などで配向処理を十分に施すことが困難となる場合がある。配向膜59に配向処理が不十分な領域があると、液晶19がこの領域を起点としてベンド配向状態からスプレイ配向状態に戻りやすくなってしまう。
【0087】
他方で、切欠き部127が採用された構成では、図15中のN−N線における断面図である図17に示すように、2つの凸部131のうちの一方を低くすることができる。そして、配向膜59に対するラビング処理をL1の向きに施せば、ラビング処理にかかるラビング布の毛先が、平面視で切欠き部127の内側に重なる領域の配向膜59に接触しやすい。このため、切欠き部127の内側に重なる領域の配向膜59に十分な配向処理を施しやすくすることができ、ベンド配向状態からスプレイ配向状態に戻りにくくすることができる。
なお、各切欠き部127は、開口が第1辺101側に設けられた構成に限られず、開口が第2辺103側に設けられた構成も採用され得る。この場合、ラビング処理の向きは、第2辺103から第1辺101へ向かう向きに設定される。
このような切欠き部127の効果は、ゲート絶縁膜55及び絶縁膜57のうちで絶縁膜57だけに開口部125が設けられた構成(図14(a))や、ゲート絶縁膜55及び絶縁膜57のそれぞれに開口部105及び開口部125のそれぞれが設けられた構成(図14(b))においても得られる。
【0088】
また、表示装置1では、ソース線95に複数の開口部99を設けた場合を例に説明したが、ソース線95の構成はこれに限定されない。例えばソース線95は、図18に示すように、第1辺101側及び第2辺103側に拡張部135を設けた構成も採用され得る。各拡張部135は、ゲート線93に交差する第1辺101及び第2辺103のそれぞれにおいて開口部99に対峙する各位置に設けられる。
また、切欠き部127が採用される場合では、拡張部135は、図19に示すように、切欠き部127の開口側とは反対側(この場合には第2辺103側)に設けられ得る。この場合、拡張部135は、ゲート線93に交差する第2辺103において切欠き部127に対峙する位置に設けられる。なお、切欠き部127の開口が第2辺103側に設けられている場合には、拡張部135は、開口側とは反対側の第1辺101側に設けられる。
各拡張部135が設けられたソース線95は、開口部99や切欠き部127をX方向に沿って切断したときの断面積が拡大されるので、電気抵抗の低減が図られる。なお、拡張部135のY方向における幅W3は、開口部99や切欠き部127の幅W1よりも大きい値に設定されることが、電気抵抗の低減という観点から好ましい。
【0089】
また、表示装置1では、ソース線95がゲート線93よりも表示面9側に位置し、且つソース線95に開口部99を設けた構成を例に説明したが、ソース線95及びゲート線93はこれに限定されない。ソース線95及びゲート線93は、平面図である図20に示すように、ゲート線93がソース線95よりも表示面9側に位置し、且つゲート線93に開口部99を設けた構成も採用され得る。
【0090】
この構成においても、開口部99に替えて上述した切欠き部127が採用され得る。切欠き部127が採用された場合、配向膜59に対するラビング処理は、Y方向に沿って、且つ切欠き形状の開口側から奥側に向かって施されることが好ましい。
【0091】
図20に示す構成の場合、第1基板51の第1面53aには、図20中のQ−Q線における断面図である図21に示すように、ソース線95と、ソース線95を覆う絶縁膜141とが設けられている。
ゲート線93(ゲート電極71)は、絶縁膜141上に設けられている。そして、ソース電極75は、ゲート絶縁膜55からソース線95に至るコンタクトホール143を介してソース線95につながっている。
【0092】
絶縁膜141は、図20中のW−W線における断面図である図22に示すように、ゲート線93の開口部99に平面視で重なる領域に、開口部147が設けられる。そして、ゲート絶縁膜55の開口部105や、絶縁膜57の開口部125は、ゲート線93の開口部99に平面視で重なる領域に任意に設けられ得る。液晶19のスプレイ配向状態からベンド配向状態への変化の促進を向上させるという観点から、絶縁膜141の開口部147に加えて、開口部105及び開口部125の少なくとも一方を設けることが好ましい。
図20に示す構成においても、ソース線95に開口部99を設けた構成と同様の効果が得られる。なお、図20に示す構成では、絶縁膜141が絶縁膜に対応し、ゲート絶縁膜55が第2絶縁膜に対応し、ソース線95が第1配線に対応し、ゲート線93が第2配線に対応し、Y方向が第1方向に対応し、X方向が第2方向に対応する。
【0093】
表示装置1では、ソース線95やゲート線93に切欠き部127が設けられる場合に、切欠き部127がX方向又はY方向に延びている(刻まれている)場合を例に説明したが、切欠き部127の方向はこれらに限定されず、X方向及びY方向の双方に平面視で交差する第3方向とすることができる。この場合、切欠き部127が延びる(刻まれる)方向に応じてラビング処理が施される向きが設定されればよい。
また、表示装置1では、X方向とY方向とが互いに直交する場合を例に説明したが、これに限定されず、X方向とY方向とが互いに交差していれば、X方向とY方向との間の角度は任意の角度に設定され得る。
【0094】
上述した表示装置1は、例えば、図23に示す電子機器500の表示部510に適用され得る。この電子機器500は、携帯電話機である。この電子機器500は、操作ボタン511を有している。表示部510は、操作ボタン511で入力した内容や着信情報を始めとする様々な情報について表示を行うことができる。この電子機器500では、表示装置1が適用された表示部510において、スプレイ配向状態からベンド配向状態への変化の促進を向上させることができる。
【0095】
なお、電子機器500としては、携帯電話機に限られず、モバイルコンピュータ、デジタルスチルカメラ、デジタルビデオカメラ、カーナビゲーションシステム用の表示機器などの車載機器、オーディオ機器等の種々の電子機器が挙げられる。また、表示パネル3や液晶パネル11は、プロジェクタ等の投写型表示装置にライトバルブとして適用され得る。
【図面の簡単な説明】
【0096】
【図1】本発明の実施形態における表示装置の主要構成を示す分解斜視図。
【図2】図1中のA−A線における断面図。
【図3】本実施形態における複数の画素の一部を示す平面図。
【図4】図3中のC−C線における断面図。
【図5】本実施形態におけるTFT素子及び画素電極の配置を説明する平面図。
【図6】本実施形態における駆動素子基板の等価回路図。
【図7】図5中のH部の拡大図。
【図8】図7中のJ−J線における断面図。
【図9】本実施形態における液晶の配向状態を模式的に示す断面図。
【図10】本実施形態における各ゲート線に供給される走査信号のタイミングチャート。
【図11】本実施形態における表示装置の偏光状態を説明する図。
【図12】本実施形態における駆動素子基板の製造工程を説明する図。
【図13】本実施形態における対向基板の製造工程を説明する図。
【図14】本実施形態における表示装置の他の構成例を説明する断面図。
【図15】本実施形態におけるソース線の他の構成例を説明する平面図。
【図16】図7中のK−K線における断面図。
【図17】図15中のN−N線における断面図。
【図18】本実施形態におけるソース線の別の構成例を説明する平面図。
【図19】本実施形態におけるソース線のさらに別の構成例を説明する平面図。
【図20】本実施形態におけるゲート線及びソース線の他の構成例を説明する平面図。
【図21】図20中のQ−Q線における断面図。
【図22】図20中のW−W線における断面図。
【図23】本実施形態における表示装置を適用した電子機器の斜視図。
【図24】従来技術を説明する断面図。
【符号の説明】
【0097】
1…表示装置、3…表示パネル、7…画素、8…表示領域、9…表示面、11…液晶パネル、15…駆動素子基板、17…対向基板、19…液晶、23…底面、51…第1基板、53a…第1面、53b…第2面、55…ゲート絶縁膜、57…絶縁膜、59…配向膜、59a…樹脂膜、71…ゲート電極、75…ソース電極、81…第2基板、82a…外向面、82b…対向面、89…対向電極、91…配向膜、93…ゲート線、95…ソース線、99…開口部、101…第1辺、103…第2辺、105…開口部、125…開口部、127…切欠き部、131…凸部、135…拡張部、141…絶縁膜、147…開口部、500…電子機器、510…表示部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
互いに対向する一対の基板と、
前記一対の基板間に介在する液晶と、
前記一対の基板のうちの一方の前記基板の前記液晶側に設けられた第1配線と、
前記第1配線の前記液晶側に設けられた絶縁膜と、
前記絶縁膜の前記液晶側に前記第1配線と交差して設けられた第2配線と、を有し、
前記第2配線には、前記第1配線との交差部に対応して該第1配線と重なる部位に切欠き部又は開口部が設けられており、
前記絶縁膜は、前記切欠き部又は前記開口部に重なる領域の少なくとも一部が除去されていることを特徴とする液晶装置。
【請求項2】
前記第2配線の前記液晶側には第2絶縁膜が設けられており、
前記第2絶縁膜は、前記切欠き部又は前記開口部に重なる領域の少なくとも一部が除去されていることを特徴とする請求項1に記載の液晶装置。
【請求項3】
互いに対向する一対の基板と、
前記一対の基板間に介在する液晶と、
前記一対の基板のうちの一方の前記基板の前記液晶側に設けられた第1配線と、
前記第1配線の前記液晶側に設けらた絶縁膜と、
前記絶縁膜の前記液晶側に前記第1配線と交差して設けられた第2配線と、
前記第2配線の前記液晶側に設けられた第2絶縁膜と、を有し、
前記第2配線には、前記第1配線との交差部に対応して該第1配線と重なる部位に切欠き部又は開口部が設けられており、
前記第2絶縁膜は、前記切欠き部又は前記開口部に重なる領域の少なくとも一部が除去されていることを特徴とする液晶装置。
【請求項4】
前記第2配線の各前記切欠き部又は前記開口部が設けられた部位には、前記第2配線の少なくともいずれか一方の側端部の辺から、該第2配線の幅方向に突出させて拡張した拡張部が設けられていることを特徴とする請求項1乃至3のいずれか一項に記載の液晶装置。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれか一項に記載の液晶装置を表示部として備えたことを特徴とする電子機器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【公開番号】特開2009−139790(P2009−139790A)
【公開日】平成21年6月25日(2009.6.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−317986(P2007−317986)
【出願日】平成19年12月10日(2007.12.10)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】