液浸部材、液浸露光装置、デバイス製造方法、液体回収方法、プログラム、及び記録媒体
【課題】液浸露光における露光不良の発生を抑制する。
【解決手段】第1の態様の液浸部材3は、液浸露光装置において、光学部材8と物体との間の液体LQを通過する露光光の光路Kの周囲の少なくとも一部に配置される液浸部材3である。第1面、第1面と異なる方向を向く第2面、及び前記第1面と第2面とを結ぶ孔32を有し、第1面と対向する物体上の液体の少なくとも一部を孔32から回収可能な第1部材31と、孔32を通った液体LQを含む流体F中の気泡の膨張を抑制する第2部材34と、を備える。
【解決手段】第1の態様の液浸部材3は、液浸露光装置において、光学部材8と物体との間の液体LQを通過する露光光の光路Kの周囲の少なくとも一部に配置される液浸部材3である。第1面、第1面と異なる方向を向く第2面、及び前記第1面と第2面とを結ぶ孔32を有し、第1面と対向する物体上の液体の少なくとも一部を孔32から回収可能な第1部材31と、孔32を通った液体LQを含む流体F中の気泡の膨張を抑制する第2部材34と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液浸部材、液浸露光装置、デバイス製造方法、液体回収方法、プログラム、記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
フォトリソグラフィ工程で用いられる露光装置において、例えば下記特許文献に開示されているような、液浸空間の液体を介して露光光で基板を露光する液浸露光装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2009/0046261号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
液浸露光装置において、露光対象物の温度等に起因して露光不良が発生する可能性がある。その結果、不良デバイスが発生する可能性がある。本発明は、上記の事情に鑑み成されたものであって、液浸露光における露光不良の発生を抑制することを目的とする。また、本発明は、デバイス製造における不良デバイスの発生を抑制することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様の液浸部材は、液浸露光装置において、光学部材と物体との間の液体を通過する露光光の光路の周囲の少なくとも一部に配置される液浸部材であって、第1面、前記第1面と異なる方向を向く第2面、及び前記第1面と前記第2面とを結ぶ孔を有し、前記第1面と対向する物体上の液体の少なくとも一部を前記孔から回収可能な第1部材と、前記孔を通った前記液体を含む流体中の気泡の膨張を抑制する第2部材と、を備える。
【0006】
本発明の第2の態様の液浸部材は、液浸露光装置において、光学部材と物体との間の液体を通過する露光光の光路の周囲の少なくとも一部に配置される液浸部材であって、第1面、前記第1面と異なる方向を向く第2面、及び前記第1面と前記第2面とを結ぶ孔を有し、前記第1面と対向する物体上の液体の少なくとも一部を前記孔から回収可能な第1部材と、前記第1部材の温度を調整するための温度調整部と、を備える。
【0007】
本発明の第4の態様の液浸露光装置は、液体を介して露光光で基板を露光する液浸露光装置であって、本発明の態様の液浸部材を備える液浸露光装置。
【0008】
本発明の第5の態様のデバイス製造方法は、本発明の態様の液浸露光装置を用いて基板を露光することと、露光された前記基板を現像することと、を含む。
【0009】
本発明の第6の態様の液体回収方法は、露光光を射出可能な光学部材と物体との間の前記露光光の光路を満たすために供給された液体の少なくとも一部を回収する液体回収方法であって、第1面、前記第1面と異なる方向を向く第2面、及び前記第1面と前記第2面とを結ぶ孔を有する第1部材の前記第1面に前記物体を対向させることと、前記第1面と前記物体との間の空間から前記孔を介して、前記液体を含む流体を回収することと、を含み、前記回収は、前記孔を介して回収された前記流体中の気泡の膨張を抑制しながら行われる。
【0010】
本発明の第7の態様の液体回収方法は、露光光を射出可能な光学部材と物体との間の前記露光光の光路を満たすために供給された液体の少なくとも一部を回収する液体回収方法であって、第1面、前記第1面と異なる方向を向く第2面、及び前記第1面と前記第2面とを結ぶ孔を有する第1部材の前記第1面に前記物体を対向させることと、前記孔から前記液体の少なくとも一部を回収することと、前記液体を回収する期間の少なくとも一部で前記第1部材の温度を調整することと、を含む。
【0011】
本発明の第8の態様のデバイス製造方法は、液体を介して露光光で基板を露光することと、前記液体を本発明の態様の液体回収方法で回収することと、露光された前記基板を現像することと、を含む。
【0012】
本発明の第9の態様のプログラムは、コンピュータに、露光光を射出可能な光学部材と基板との間の前記露光光の光路を満たす液体の少なくとも一部を回収する装置の制御を実行させるプログラムであって、第1面、前記第1面と異なる方向を向く第2面、及び前記第1面と前記第2面とを結ぶ孔を有する第1部材の前記第1面に前記基板を対向させることと、前記孔から前記液体の少なくとも一部を回収することと、前記液体を回収する期間の少なくとも一部で前記第1部材の温度を調整することと、を実行させる。
【0013】
本発明の第10の態様である記録媒体は、本発明の態様のプログラムが記録されており、コンピュータで読み取り可能である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、不良デバイスの発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1実施形態に係る露光装置の一例を示す図である。
【図2】第1実施形態に係る液浸部材の一例を示す図である。
【図3】第1実施形態に係る液浸部材の一例を示す図である。
【図4】第2実施形態に係る液浸部材の一例を示す図である。
【図5】第3実施形態に係る液浸部材の一例を示す図である。
【図6】第3実施形態に係る液浸部材の一例を示す図である。
【図7】第4実施形態に係る液浸部材の一例を示す図である。
【図8】第4実施形態に係る液浸部材の一例を示す図である。
【図9】第5実施形態に係る液浸部材の一例を示す図である。
【図10】第5実施形態に係る液浸部材の一例を示す図である。
【図11】第6実施形態に係る液浸部材の一例を示す図である。
【図12】第7実施形態に係る液浸部材の一例を示す図である。
【図13】第7実施形態に係る液浸部材の一例を示す図である。
【図14】第8実施形態に係る液浸部材の一例を示す図である。
【図15】デバイス製造方法の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。以下の説明では、XYZ直交座標系を参照しつつ各部の位置関係について説明する。このXYZ直交座標系において、水平面内で互いに直交する方向をX方向及びY方向とし、X方向及びY方向のそれぞれと直交する方向をZ方向とする。X軸、Y軸、及びZ軸まわりの回転(傾斜)方向をそれぞれ、θX、θY、及びθZ方向とする。なお、以下の説明で、同様の構成要素については、同じ符号を付して重複する説明を簡略化または省略することがある。
【0017】
<第1実施形態>
第1実施形態について説明する。図1は、第1実施形態に係る液浸露光装置EXの一例を示す概略構成図である。本実施形態の液浸露光装置EXは、液体LQを介して露光光ELで基板Pを露光する液浸露光装置である。本実施形態において、露光光ELの光路Kの少なくとも一部が液体LQで満たされるように、液浸空間LSが形成される。液浸空間は、液体で満たされた部分(空間、領域)である。基板Pは、液浸空間LSの液体LQを介して露光光ELで露光される。本実施形態では、液体LQとして水(純水)を用いる。
【0018】
本実施形態の液浸露光装置EXは、マスクステージ1、基板ステージ2、照明系IL、投影系PL、液浸部材3、制御装置4、記憶装置5、及びチャンバ装置CHを備える。マスクステージ1は、マスクMを保持して移動可能である。基板ステージ2は、基板Pを保持して移動可能である。照明系ILは、マスクMを露光光ELで照明する。投影系PLは、露光光ELで照明されたマスクMのパターンの像を基板Pに投影する。液浸部材3は、基板Pとの間に液体LQを保持して液浸空間LSを形成する。制御装置4は、液浸露光装置EXの動作を制御する。記憶装置5は、制御装置4に接続され、露光に関する各種の情報を記憶する。
【0019】
本実施形態の制御装置4は、CPU等を有するコンピュータシステムを含む。本実施形態の制御装置4は、コンピュータシステムと外部装置との通信を実行可能なインターフェースを含む。制御装置4に、入力信号を入力可能な入力装置が接続されていてもよい。入力装置は、キーボード、マウス等の入力機器、あるいは外部装置からのデータを入力可能な通信装置等を含む。制御装置4は、液晶表示ディスプレイ等の表示装置を含んでいてもよいし、表示装置と接続されていてもよい。記憶装置5は、例えばRAM等のメモリ、ハードディスク、CD−ROM等の記録媒体を含む。本実施形態の記憶装置5には、コンピュータシステムを制御するオペレーティングシステム(OS)がインストールされている。記憶装置5には、制御装置4に、液体LQを介して露光光ELで基板Pを露光する液浸露光装置EXの制御を実行させるプログラムが記録されている。記憶装置5に記録されているプログラムを含む各種情報は、制御装置(コンピュータシステム)4が読み取り可能である。制御装置4は、液浸露光装置EXの各部の制御に要する各種処理を実行するASIC等の論理回路を含んでいてもよい。制御装置4の機能は、ソフトウエアで実現されていてもよいし、ハードウエアで実現されていてもよく、ハードウエアとソフトウエアとの組合せで実現されていてもよい。
【0020】
チャンバ装置CHは、少なくとも投影系PL、液浸部材3、及び基板ステージ2が配置される内部空間CSを形成する。チャンバ装置CHは、内部空間CSの環境(温度、湿度、圧力、及びクリーン度)を制御する環境制御装置を含む。
【0021】
マスクMは、基板Pに投影されるデバイスパターンが形成されたレチクルを含む。本実施形態のマスクMは、透過型マスクを含む。透過型マスクは、例えばガラス板等の透明板と、この透明板上にクロム等の遮光材料を用いて形成されたパターンとを有する。
【0022】
基板Pは、例えばデバイスを製造するための基板である。基板Pは、例えば半導体ウエハ等の基材と、この基材上に形成された感光材とを含む。感光膜は、感光材の膜である。基板Pは、例えば反射防止膜や、感光膜を保護する保護膜、デバイスの構成要素となる膜等の各種の膜を1種以上含んでいてもよい。
【0023】
照明系ILは、所定の照明領域IRに露光光ELを照射する。照明系ILは、照明領域IRに配置されたマスクMの少なくとも一部を均一な照度分布の露光光ELで照明する。照明系ILから射出される露光光ELとして、例えば水銀ランプから射出される輝線(g線、h線、i線)及びKrFエキシマレーザ光(波長248nm)等の遠紫外光(DUV光)、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)、及びF2レーザ光(波長157nm)等の真空紫外光(VUV光)等が用いられる。本実施形態では、露光光ELとして、紫外光(真空紫外光)であるArFエキシマレーザ光を用いる。
【0024】
マスクステージ1は、マスクMを保持した状態で、照明領域IRを含むベース部材6のガイド面6a上を移動可能である。マスクステージ1は、例えば米国特許第6452292号明細書に開示されているような平面モータを含む駆動システムの作動により移動する。本実施形態の平面モータは、マスクステージ1に配置された可動子と、ベース部材6に配置された固定子とを含む。本実施形態のマスクステージ1は、駆動システムの作動により、ガイド面6a上でX軸、Y軸、Z軸、θX、θY、及びθZ方向の6つの方向に移動可能である。
【0025】
投影系PLは、所定の投影領域PRに露光光ELを照射する。投影系PLは、投影領域PRに配置された基板Pの少なくとも一部に、マスクMのパターンの像を所定の投影倍率で投影する。投影系PLは、縮小系、等倍系、及び拡大系のいずれでもよい。本実施形態の投影系PLの光軸AXは、Z軸と平行である。投影系PLは、反射光学素子を含まない屈折系、屈折光学素子を含まない反射系、反射光学素子と屈折光学素子とを含む反射屈折系のいずれでもよい。投影系PLは、倒立像と正立像のいずれを形成してもよい。本実施形態の投影系PLは、投影系PLの像面に向けて露光光ELを射出する射出面7を有する。本実施形態の射出面7は、投影系PLの複数の光学素子のうち、投影系PLの像面に最も近い終端光学素子8に配置されている。本実施形態の射出面7は、−Z方向を向いており、XY平面と平行である。なお、射出面7は、−Z方向に対する凸面と凹面の少なくとも一方を含んでいてもよい。射出面7は、曲面を含んでいてもよい。本実施形態の終端光学素子8の光軸は、Z軸と平行である。本実施形態において、射出面7から射出される露光光ELは、−Z方向に進行する。
【0026】
本実施形態の基板ステージ2は、基板Pを保持した状態で、投影領域PRを含むベース部材9のガイド面9a上を移動可能である。本実施形態の基板ステージ2は、マスクステージ1と同様の駆動システムの作動により、ガイド面9a上でX軸、Y軸、Z軸、θX、θY、及びθZ方向の6つの方向に移動可能である。なお、基板ステージ2を移動させる駆動システムは、マスクステージ1を移動させる駆動システムと異なる構成でもよい。基板ステージ2を移動させる駆動システムが、平面モータを含まなくても構わない。
【0027】
本実施形態の基板ステージ2は、基板Pをリリース可能に保持する基板保持部10を含む。基板保持部10は、基板Pの表面が+Z方向を向くように基板Pを保持する。本実施形態において、基板保持部10に保持された基板Pの表面と、その基板Pの周囲に配置される基板ステージ2の上面2aとは、同一平面内に配置される(面一である)。本実施形態の上面2aは、平坦である。本実施形態において、基板保持部10に保持された基板Pの表面、及び基板ステージ2の上面2aは、XY平面とほぼ平行である。なお、基板保持部10に保持された基板Pの表面と基板ステージ2の上面2aとが同一平面内に配置されていなくてもよいし、基板Pの表面及び上面2aの少なくとも一方がXY平面と非平行でもよい。上面2aは、曲面を含んでいてもよい。
【0028】
本実施形態の基板ステージ2は、例えば米国特許出願公開第2007/0177125号明細書、及び米国特許出願公開第2008/0049209号明細書等に開示されているような、カバー部材Tをリリース可能に保持するカバー部材保持部11を含む。本実施形態の基板ステージ2の上面2aは、カバー部材保持部11に保持されたカバー部材Tの上面を含む。なお、カバー部材Tがリリース可能でなくてもよい。カバー部材Tがリリース可能でない場合に、カバー部材保持部11を省略してもよい。基板ステージ2の上面2aが、基板ステージ2に搭載されているセンサ、計測部材等の表面を含んでもよい。
【0029】
本実施形態において、マスクステージ1及び基板ステージ2の位置は、干渉計システム12によって計測される。干渉計システム12は、レーザ干渉計ユニット13、14を含む。レーザ干渉計ユニット13は、マスクステージ1に配置された計測ミラーを用いて、マスクステージ1の位置を計測可能である。レーザ干渉計ユニット14は、基板ステージ2に配置された計測ミラーを用いて、基板ステージ2の位置を計測可能である。基板Pの露光処理、あるいは所定の計測処理を実行するとき、制御装置4は、干渉計システム12の計測結果に基づいて、マスクステージ1(マスクM)及び基板ステージ2(基板P)の位置制御を実行する。なお、液浸露光装置EXの一部又は外部装置として、例えば各ステージに設けられるスケール(回折格子)を検出するエンコーダシステムを用いてもよい。また、干渉計システム12とエンコーダシステムを併用してもよい。
【0030】
本実施形態の液浸露光装置EXは、マスクMと基板Pとを所定の走査方向に同期移動しつつ、マスクMのパターンの像を基板Pに投影する走査型露光装置(所謂スキャニングステッパ)である。本実施形態において、基板Pの走査方向(同期移動方向)をY軸方向とし、マスクMの走査方向(同期移動方向)もY軸方向とする。制御装置4は、基板Pを投影系PLの投影領域PRに対してY軸方向に移動させる制御を行うとともに、この基板PのY軸方向への移動と同期して、照明系ILの照明領域IRに対してマスクMをY軸方向に移動させる制御を行いつつ、投影系PLと基板P上の液浸空間LSの液体LQとを介して基板Pに露光光ELを照射する制御を行う。
【0031】
液浸部材3は、射出面7から露光光ELを照射可能な位置に配置される物体と射出面7との間の露光光ELの光路Kが液体LQで満たされるように、物体との間で液体LQを保持して液浸空間LSを形成する。本実施形態において、射出面7から射出される露光光ELを照射可能な位置は、投影領域PRを含む。本実施形態において、射出面7から射出される露光光ELが照射可能な位置は、射出面7と対向する位置を含む。本実施形態において、射出面7と対向する位置に配置可能な物体、換言すれば、投影領域PRに配置可能な物体は、基板ステージ2、及び基板ステージ2に保持された基板Pの少なくとも一方を含む。本実施形態の液浸部材3は、終端光学素子8、及び終端光学素子8と投影領域PRに配置される物体との間の露光光ELの光路Kの周囲の少なくとも一部に配置される。本実施形態の液浸部材3は、環状の部材である。本実施形態の液浸部材3の一部は、終端光学素子8の周囲に配置される。本実施形態の液浸部材3の一部は、終端光学素子8と物体との間の露光光ELの光路Kの周囲に配置される。
【0032】
なお、液浸部材3は、環状の部材でなくてもよい。例えば液浸部材3が終端光学素子8及び光路Kの周囲の一部に配置されていてもよい。液浸部材3は、終端光学素子8の周囲の少なくとも一部に配置されていなくてもよい。例えば、液浸部材3が、射出面7と物体との間の光路Kの周囲の少なくとも一部に配置され、終端光学素子8の周囲に配置されていなくてもよい。液浸部材3が、射出面7と物体との間の光路Kの周囲の少なくとも一部に配置されていなくてもよい。例えば、液浸部材3が、終端光学素子8の周囲の少なくとも一部に配置され、射出面7と物体との間の光路Kの周囲に配置されていなくてもよい。
【0033】
液浸部材3は、投影領域PRに配置される物体の表面(上面)が対向可能な下面3aを有する。液浸部材3の下面3aは、物体の表面との間で液体LQを保持することができる。本実施形態において、一方側の射出面7及び下面3aと、他方側の物体の表面(上面)との間に液体LQが保持されることによって、液浸空間LSが形成される。本実施形態において、基板Pに露光光ELが照射されているとき、投影領域PRを含む基板Pの表面の一部の領域が液体LQで覆われるように液浸空間LSが形成される。液体LQの界面(メニスカス、エッジ)LGの少なくとも一部は、液浸部材3の下面3aと基板Pの表面との間に形成される。すなわち、本実施形態の液浸露光装置EXは、局所液浸方式を採用する。液浸空間LSの外側すなわち界面LGの外側は、気体空間GSである。
【0034】
図2(a)は、本実施形態の液浸部材を上側(+Z方向側)から見た平面図、図2(b)は、本実施形態の液浸部材を下側(−Z方向側)から見た平面図、図3は、本実施形態の液浸部材の一部を拡大して示す側断面図である。図3は、図2(a)のA−A’線断面図に相当する。本実施形態では投影領域PRに基板Pが配置されているが、投影領域PRに基板ステージ2(カバー部材T)が配置されていてもよい。
【0035】
本実施形態の液浸部材3は、プレート部20、本体部21、及び流路形成部材22を含む。プレート部20は、その少なくとも一部が射出面7に対向するように配置される。本体部21は、その少なくとも一部が終端光学素子8の側面8aに対向するように配置される。本実施形態の側面8aは、射出面7の周囲に配置されている。本実施形態の側面8aは、光路Kに対する放射方向に関して、外側に向かって上方に傾斜している。光路Kに対する放射方向は、投影系PLの光軸AXに対する放射方向を含み、Z軸と垂直な方向を含む。本実施形態において、プレート部20と本体部21とは一体である。本実施形態の流路形成部材22は、プレート部20及び本体部21と異なる部材である。本実施形態の流路形成部材22は、本体部21に支持されている。流路形成部材22は、プレート部20及び本体部21と一体でもよい。
【0036】
液浸部材3は、射出面7に面する位置に開口23を有する。射出面7から射出された露光光ELは、開口23を通過して基板Pに照射可能である。本実施形態のプレート部20は、上面20a及び下面20bを有する。上面20aは、射出面7の少なくとも一部と対向するように配置される。下面20bは、基板Pの表面と対向するように配置可能である。開口23は、上面20aと下面20bとを結ぶ孔を含む。上面20aは、開口23の上端の周囲に配置され、下面20bは、開口23の下端の周囲に配置される。本実施形態の上面20aは、XY平面とほぼ平行な平面である。上面20aの少なくとも一部が、XY平面に対して傾斜していてもよいし、曲面を含んでもよい。本実施形態の下面20bは、XY平面とほぼ平行な平面である。下面20bの少なくとも一部が、XY平面に対して傾斜していてもよいし、曲面を含んでもよい。下面20bは、基板Pの表面との間で液体LQを保持する。本実施形態の下面20bの外形は、八角形である。下面20bの外形は、任意の多角形、楕円形、円形、直線と自由曲線の少なくとも一方を含む線を輪郭とする形状等でもよい。
【0037】
本実施形態の液浸部材3は、供給口24、回収口25、回収流路26、及び排出部27を含む。供給口24は、液体LQを供給可能である。回収口25は、液体LQを回収可能である。回収口25から回収された液体LQは、回収流路26を流れる。本実施形態の排出部27は、回収流路26の液体LQと気体Gとを分離して排出する。なお、排出部27が、回収流路26の液体LQ及び気体Gを含む混相流体を排出しても構わない。
【0038】
本実施形態の供給口24は、基板Pの露光の少なくとも一部において、光路Kに液体LQを供給する。供給口24は、光路Kの近傍において、光路Kに面するように配置される。本実施形態の供給口24は、射出面7と上面20aとの間の空間SRに液体LQを供給する。供給口24から空間SRに供給された液体LQの少なくとも一部は、光路Kに供給されるとともに、開口23を介して基板P上に供給される。なお、供給口24の少なくとも一部が側面8aに面していてもよい。
【0039】
本実施形態の液浸部材3は、供給口24に接続される供給流路28を含む。供給流路28の少なくとも一部は、液浸部材3の内部に形成されている。本実施形態の供給口24は、供給流路28の一端に形成された開口を含む。本実施形態において、供給流路28の他端は、供給管29内の流路を介して液体供給装置30と接続される。液体供給装置30は、クリーンで温度調整された液体LQを送出可能である。液体供給装置30から送出された液体LQは、供給流路28を介して供給口24に供給される。
【0040】
回収口25は、基板P上の液体LQの少なくとも一部を回収可能である。回収口25は、基板Pの露光において、基板P上の液体LQの少なくとも一部を回収する。本実施形態の回収口25は、−Z方向を向いている。基板Pの露光の少なくとも一部において、基板Pは、その表面の少なくとも一部が回収口25に面するように配置される。
【0041】
本実施形態の液浸部材3は、回収口25を有する第1部材31を含む。第1部材31は下面31b、下面31bとは異なる方向を向く上面31a、及び下面31bと上面31aとを結ぶ複数の孔(openingsあるいはpores)32を有する。本実施形態の第1部材31の下面31bは、プレート部20の下面20bの周囲の少なくとも一部に配置される。本実施形態の第1部材31の下面31bは、プレート部20の下面20bを環状に囲むように配置される。なお、複数の第1部材31が、下面20b(光路K)の周囲に離散的に配置されていてもよい。本実施形態の下面31bは、液浸部材3の下側(−Z方向側)の空間SPに面している。本実施形態の空間SPは、液浸部材3の下面3aと、下面3aに対向する物体の表面との間の空間を含む。本実施形態において、液浸部材3が基板P等の物体に対向して配置されているときに、下面31bが空間SPに面して配置されるとともに、上面31aが回収流路26に面して配置される。
【0042】
本実施形態の第1部材31は、プレート状の部材である。本実施形態の液浸部材3の下面3aは、プレート部20の下面20b及び第1部材31の下面31bを含む。図1に示したように、液浸部材3の下面3aに対向する物体上に液浸空間LSが形成されている場合、空間SPは、液浸空間(液体空間)LSと気体空間GSとを含む。
【0043】
本実施形態の第1部材31は、複数の孔(openings)32を含む。本実施形態の回収口25は、第1部材31の孔32の下端(下面31b側)の開口を含む。下面31bは孔32の下端の周囲に配置され、上面31aは孔32の上端の周囲に配置される。孔32は、上面31aと下面31bの一方から他方に向かうにつれて、その孔径が連続的又は段階的に変化してもよいし、その孔径が実質的に変化しなくてもよい。本実施形態において、孔32の孔径は、下面31bから上面31aに向かうにつれて連続的に縮小している。孔32のアスペクト比は、例えば0.1以上1以下でもよく、0.3以上0.7以下でもよい。本実施形態において、孔32のアスペクト比は、孔32の近傍での第1部材31の板厚に対する、第1部材31の下面31bにおける孔32の孔径の比率である。本実施形態において、第1部材31の板厚d1は、下面31bから上面31aに向かう方向(Z方向)の第1部材31の寸法である。孔32の孔径は、孔32の軸方向(Z方向)に直交する平面(XY面)における孔32の内寸の最大値としてもよいし、平均値としてもよい。孔32の近傍での第1部材31の板厚d1は、例えば0.1mm以上1.0mm以下でもよく、0.15mm以上0.45mm以下でもよい。なお、第1部材31として、液体LQを回収可能な孔を有する各種部材を適用可能である。例えば、第1部材31は、網目状に多数の小さい孔(気孔、pores)が形成された多孔部材であるメッシュフィルタであってもよい。第1部材31は、プレート状の部材でなくとも構わない。
【0044】
回収流路26の少なくとも一部は、液浸部材3の内部に形成されている。本実施形態において、本体部21の下端に開口33が形成されている。開口33は、下面20bの周囲の少なくとも一部に配置される。基板Pを露光するときに、開口33は、基板Pと対向する方向(−Z方向)を向いている。本実施形態の第1部材31は、開口33に配置されている。回収流路26は、本体部21と第1部材31との間の空間を含む。
【0045】
回収流路26へ回収される流体Fは、第1部材31の孔32を流通可能である。本実施形態の流体Fは、気体G及び液体LQを含む。孔32は、回収流路26に接続されている。下面31bと対向する物体上の液体LQの少なくとも一部は、孔32から回収される。孔32から回収された液体LQは、回収流路26を流れる。本実施形態において、気体空間GSの気体Gは、液浸空間LSの液体LQとともに、複数の孔32の1以上から回収される。
【0046】
本実施形態の液浸部材3は、孔32を通った流体F中の気泡の膨張を抑制する第2部材34を含む。本実施形態の第2部材34は、回収流路26内に配置されている。本実施形態の第2部材34は、網目状に多数の小さい気孔(pores)が形成されたプレート状の多孔部材である。本実施形態の第2部材34は、下面34bと、下面34bとは異なる方向を向く上面34aとを含む。本実施形態において、第2部材34の下面34bの少なくとも一部が、第1部材31の上面31aと接触している。
【0047】
なお、第2部材34の下面34bの少なくとも一部が、第1部材31の上面31aから離れていてもよい。本実施形態において、流体F中の気体Gが通過する部分の第1部材31の上面31aが、第2部材34の下面34bと接触している。なお、流体F中の気体Gが通過する部分の第1部材31の上面31aが、第2部材34の下面34bから離れており、この部分の上面31aと第2部材34の下面34bとの間隔が、第1部材31の上面31a側での孔32の孔径以下であってもよい。流体F中の気体Gが通過しない部分(以下、気体非通過部という)の第1部材31の上面31aが、第2部材34の下面34bと接触していなくてもよい。気体非通過部の少なくとも一部の上側(+Z方向側)に、第2部材34が設けられていなくてもよい。
【0048】
本実施形態において、孔32を通った流体Fは、第2部材34の気孔を流路として第2部材34を通過する。本実施形態において、第2部材34を通過する流体F中の気泡の移動が規制され、気泡の合体が抑制されることが期待できる。本実施形態の第2部材34は、流路断面(気孔)が流体F中の気泡の体積を規制するように、その気孔径が設定されている。本実施形態において、第2部材34の気孔径の平均値は、第1部材31の上面31aにおける孔32の孔径の平均値以下に設定されている。本実施形態において、第2部材34の内部での気泡の膨張が抑制されることが期待でき、気泡の膨張による流体Fの温度の変化が抑制されること等が期待できる。
【0049】
本実施形態において、流体Fが通過する部分の第2部材34の板厚d2は、流体Fが通過する部分の第1部材の板厚d1以上に設定されている。本実施形態において、第2部材34の板厚d2は、下面34bから上面34aに向かう方向の第2部材34の寸法である。本実施形態において、第2部材34の上面34a側での流体Fの温度変化の影響が、第2部材34の板厚d2の分だけ第1部材31に反映されにくくなることが期待でき、例えば基板Pの温度変化が抑制されることが期待できる。なお、第2部材34の平均板厚は、第1部材31の平均板厚以上でもよいし、第1部材31の平均板厚未満でも構わない。第2部材34は、第1部材31よりも熱伝導率が低い形成材料で形成されていてもよい。第2部材34は、ポーラスアルミナを含んでいてもよい。第2部材34として、流体Fを通す部材を適宜選択して適用可能である。第2部材34は、プレート状の部材でなくても構わない。
【0050】
本実施形態の排出部27は、第1排出口35及び第2排出口36を含む。第1排出口35は、回収流路26に面し、回収流路26から液体LQを排出する。本実施形態の第1排出口35は、回収口25よりも上方(+Z方向)において回収流路26に面するように配置されている。第2排出口36は、回収流路26に面し、回収流路26から気体Gを排出する。本実施形態の第2排出口36は、回収口25よりも上方(+Z方向)において回収流路26に面するように配置されている。本実施形態において、第1排出口35及び第2排出口36の少なくとも一方は、下方(−Z方向)を向いている。本実施形態において、第1排出口35及び第2排出口36のそれぞれが、下方を向いている。本実施形態の第1排出口35は、光路Kに対する放射方向に関して第2排出口36の外側に配置される。本実施形態の第1排出口35は、第2排出口36よりも下方に配置される。本実施形態の第2排出口36は、第1排出口35よりも、第2部材34の上面34aから離れて配置されている。本実施形態において、第1部材31の上面31aと第1排出口35との間に、第2部材34が配置されている。本実施形態において、第1排出口35の縁端が、第2部材34の上面34aと非接触である。
【0051】
上述のように、本実施形態の第1部材31は、空間SPから回収流路26へ液体LQを気体Gとともに回収する。本実施形態において、基板Pと第1部材31との間の空間SPの液体LQ及び気体Gは、第1部材31及び第2部材34を介して、回収流路26へ流れる。本実施形態において、流体F中の気泡Gbが回収流路26において流体F中で浮上し、回収流路26に気体空間と液体空間とが形成される。第1排出口35は、回収流路26の液体LQを排出し、第2排出口36は、回収流路26の気体Gを排出する。本実施形態の第1排出口35は、第2排出口36よりも気体Gの流入が抑制されている。本実施形態の第1排出口35は、実質的に回収流路26から液体LQのみを排出する。本実施形態の第2排出口36は、第1排出口35よりも液体LQの流入が抑制されている。本実施形態の第2排出口36は、実質的に回収流路26から気体Gのみを排出する。
【0052】
本実施形態の液浸部材3は、第1排出口35を有する第3部材37を含む。第3部材37は、回収流路26に面する下面37b、下面37bとは異なる方向を向く上面37a、及び下面37bと上面37aとを結ぶ複数の孔38を含む。本実施形態の第1排出口35は、第3部材37の孔38を含む。本実施形態の第3部材37は、多孔部材である。第3部材37は、気体Gの流入を抑制可能な孔を有する各種部材を適用することができる。第3部材37は、網目状に多数の小さい孔(気孔)が形成された多孔部材であるメッシュフィルタでもよい。本実施形態において、流路形成部材22の下端に、開口39が形成されている。開口39は、下方(−Z方向)を向く。本実施形態の第3部材37は、開口39に配置される。
【0053】
本実施形態の第3部材37は、プレート状の部材である。本実施形態の第3部材37は、下面37bが回収流路26に面するとともに上面37aが流路形成部材22の流路40に面するように配置される。本実施形態において、下面37bと上面37aとは、互いにほぼ平行である。第3部材37は、上面37aが+Z方向を向き、下面37bが上面37aの反対方向(−Z方向)を向くように配置される。本実施形態の第3部材37は、下面37b及び上面37aとXY平面とがほぼ平行となるように配置される。なお、第3部材37は、プレート状の部材でなくてもよい。下面37bと上面37aとが、互いに非平行でもよい。下面37bの少なくとも一部がXY平面に対して傾斜していてもよいし、曲面を含んでもよい。上面37aの少なくとも一部がXY平面に対して傾斜していてもよいし、曲面を含んでもよい。
【0054】
流体Fは、第3部材37の孔38を流通可能である。本実施形態の第1排出口35は、孔38の下端側(下面37b側)の開口を含む。孔38の下端の周囲に下面37bが配置され、孔38の上端の周囲に上面37aが配置される。回収流路26の液体LQの少なくとも一部は、孔38から排出される。本実施形態の孔38は、流路40が接続されている。本実施形態において、孔38から排出された液体LQは、流路40を流れる。本実施形態において、第1排出口35からの気体の排出が抑制されるように、下面37bが面する回収流路26と、上面37aが面する流路(空間)40との圧力差が調整される。
【0055】
本実施形態において、孔38の寸法(孔径、直径)d3、孔38の表面における液体LQの接触角(親液性)θ、液体LQの表面張力γ、下面37bが面する回収流路26の圧力Pb、及び上面37aが面する流路40の圧力Pc等のパラメータが調整されることによって、液体LQと気体Gとの界面が孔38の内側に維持される。換言すると、孔38を介して回収流路26から流路40へ気体Gが流入することが抑制され、第3部材37(第1排出口35)は、実質的に液体LQのみを排出することができる。本実施形態において、上記のパラメータが下記の式(1)を満たす。以下の説明で、式(1)を満たす回収条件を液体選択回収条件ということがある。なお、式(1)では、説明を簡単にするために第1部材31の上側の液体LQの静水圧は考慮してない。本実施形態において、孔38の寸法dが、上面37aと下面37bとの間における孔38の寸法の最小値である。寸法dは、上面37aと下面37bとの間における孔38の寸法の最小値でなくともよく、例えば平均値でもよいし、最大値でもよい。
(4×γ×cosθ)/d ≧ (Pc−Pb) ・・・(1)
【0056】
本実施形態において、第3部材37の孔38を介した液体LQの回収条件(排出条件)が液体選択回収条件になるように、回収流路26の圧力Pbと流路40の圧力Pcとの差が調整される。圧力Pcは、圧力Pbよりも低い。すなわち、第3部材37の孔38から回収流路26の液体LQが流路40に排出され、孔38から流路40への気体Gの流入が抑制されるように、回収流路26の圧力Pbと流路40の圧力Pcとの差が定められる。圧力Pbと圧力Pcの少なくとも一方が調整されることにより、第3部材37の孔38から実質的に液体LQのみが流路40に排出され、気体Gは流路40に実質的に排出されない。
【0057】
本実施形態において、第3部材37の表面の少なくとも一部は、液体LQに対して親液性である。本実施形態において、少なくとも第3部材37の孔38の表面(内面)は、液体LQに対して親液性である。本実施形態において、液体LQに対する孔38の表面の接触角は、90度よりも小さい。なお、液体LQに対する孔38の表面の接触角が、50度以下でもよいし、40度以下でもよいし、30度以下でもよいし、20度以下でもよい。
【0058】
本実施形態において、第1排出口35及び第2排出口36は、光路Kの周囲の少なくとも一部に配置される。本実施形態において、第1排出口35を有する第3部材37は、光路Kの周囲において所定間隔で複数配置される。本実施形態の第3部材37は、光路Kの周囲において4箇所に配置される。本実施形態の第2排出口36は、光路Kの周囲において所定間隔で複数配置される。本実施形態の第1排出口35は、流路40、及び排出管41内の流路を介して第1排出装置42に接続されている。本実施形態の第2排出口36は、流路43、及び排出管44内の流路を介して第2排出装置45に接続されている。本実施形態の流路43の少なくとも一部は、液浸部材3の内部に設けられている。第1排出装置42及び第2排出装置45は、例えば真空システムを含み、流体を吸引可能である。本実施形態において、第1排出装置42が作動することによって、第1排出口35からの排出動作が実行される。本実施形態において、第2排出装置45が作動することによって、第2排出口36からの排出動作が実行される。
【0059】
本実施形態の第1排出装置42は、第3部材37の上面37aが面する流路40の圧力(Pc)を調整可能である。本実施形態の第2排出装置45は、第3部材37の下面37b、及び第2部材34の上面34aが面する回収流路26の圧力(Pb)を調整可能である。本実施形態のチャンバ装置CHは、空間SPを含む内部空間CSの圧力を調整可能である。本実施形態の制御装置4は、第1排出装置42及び第2排出装置45を用いて、第3部材37が回収流路26の液体LQのみを排出するように、圧力Pb、Pcを調整する。なお、液浸露光装置EXが、第1排出装置42及び第2排出装置45の少なくとも一方を備えていてもよい。第1排出装置42及び第2排出装置45の少なくとも一方が、液浸露光装置EXに対する外部装置(以下、外部装置と略記することがある)、例えば液浸露光装置EXが設置される工場の設備でもよい。
【0060】
本実施形態において、液浸部材3の表面の少なくとも一部は、アモルファスカーボン膜で形成されている。アモルファスカーボン膜は、テトラヘドラルアモルファスカーボン膜を含んでもよい。本実施形態において、基板Pの露光において液浸空間LSの液体LQと接触する液浸部材3の表面の少なくとも一部が、アモルファスカーボン膜で形成されている。本実施形態において、プレート部20及び本体部21の基材がチタンを含み、この基材の表面にアモルファスカーボン膜が形成されている。本実施形態において、第1部材31及び第3部材37の基材がチタンを含み、この基材の表面にアモルファスカーボン膜が形成されている。アモルファスカーボン膜は、例えばCVD法(化学気相成長法)を用いて形成されてもよいし、PVD法(物理気相成長法)等を用いて形成されてもよい。プレート部20、本体部21、第1部材31、及び第3部材37の1つ以上を含む液浸部材3の基材が、ステンレス、アルミニウム等の金属を含んでもよいし、セラミックスを含んでもよい。
【0061】
次に、上記の液浸露光装置EXの動作説明と合わせて、本実施形態の液体回収法方法の一例について説明する。本実施形態の液体回収法方法は、第1部材31の下面31bに物体を対向させることを含む。本実施形態の液浸露光装置EXの制御装置4は、液浸部材3に対する基板ステージ2の位置を制御して、第1部材31の下面31bを基板Pに対向させる。本実施形態の液体回収方法は、下面31bと物体との間の空間から第1部材31の孔32を介して、液体LQを含んだ流体Fを回収することを含む。流体Fの回収は、孔32を介して回収された流体中の気泡の膨張を抑制しながら行われる。本実施形態において、制御装置4は、第1排出装置42及び第2排出装置45を制御し、第1排出装置42及び第2排出装置45の動作によって、第1部材31の下面31bと基板Pとの間の空間SPから第1部材31の孔32を介して、液体LQを含む流体Fが回収される。本実施形態の液浸露光装置EXにおいて、回収された流体Fが第2部材34の気孔を通るので、流体F中の気泡の膨張が抑制される。本実施形態において、制御装置4に上記の制御を実行させるプログラムが、記憶装置5に記憶されている。このプログラムに従って、上記の各種制御が実行される。本実施形態にあっては、気泡の膨張が抑制されるので、例えば気泡の断熱膨張に伴う流体の温度変化が抑制されることが期待でき、液浸露光において回収される流体の温度による影響が減少することが期待できる。
【0062】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について説明する。図4は、第2実施形態における液浸部材の一例を示す側断面図である。本実施形態の液浸部材3Bは、流路形成部材50、第2部材51、及び第3部材52を含む。本実施形態の第2部材51は、回収口25を通った流体中の気泡の膨張を抑制する。本実施形態の第2部材51は、回収流路26内に配置されている。本実施形態の第2部材51は、網目状に多数の小さい気孔(pores)が形成されたプレート状の多孔部材である。本実施形態の第2部材51は、下面51b、及び下面51bとは異なる方向を向く上面51aを含む。本実施形態の第2部材51は、上面51a側に配置された凹部53を含む。
【0063】
本実施形態の流路形成部材50は、第1下端部54と、光路Kに関して第1下端部54よりも内側に配置された第2下端部55を含む。第1下端部54は、第1部材31に向かって、第2下端部55よりも突出している。なお、第2下端部55が、第1部材31に向かって、第1下端部54よりも突出していても構わない。
【0064】
本実施形態の第1下端部54の少なくとも一部は、第2部材51の少なくとも一部よりも−Z方向に配置されている。本実施形態の第2下端部55の少なくとも一部は、第2部材51よりも+Z方向に配置されている。本実施形態において、第1下端部54の少なくとも一部が、第2部材51の凹部53の内側に配置されている。本実施形態において、第1下端部54の少なくとも一部が、凹部53の内壁に接触している。なお、第1下端部54が、凹部53の内壁と非接触に配置されていてもよく、この場合に凹部53が設けられていなくてもよい。また、第1下端部54の下端が、第2部材51の上端よりも+Z方向に配置されていてもよい。
【0065】
本実施形態の第3部材52は、第1排出口35を有する。本実施形態の第3部材52は、上記の液体選択回収条件を満たすように設定されている。第3部材52は、回収流路26に面する下面52b、下面52bと異なる方向を向く上面52a、及び下面52bと上面52aとを結ぶ複数の孔56を含む。本実施形態の第1排出口35は、第3部材52の孔56の下端の開口を含む。本実施形態の第3部材52は、多孔部材である。本実施形態において、上面52aと下面52bとが実質的に互いに平行である。本実施形態の孔56は、その軸方向が上面52a(下面52b)の法線方向に対して実質的に平行である。
【0066】
第3部材52は、気体Gの流入を抑制可能な孔を有する各種部材を適用することができる。第3部材52は、網目状に多数の小さい孔(気孔)が形成された多孔部材であるメッシュフィルタでもよい。本実施形態において、流路形成部材50の下端に、開口57が形成されている。開口57は、下方(−Z方向)を向く。本実施形態の開口57の縁端は、第1下端部54の一部及び第2下端部55の一部を含む。本実施形態の第3部材52は、開口57に配置される。
【0067】
本実施形態において、第3部材52の下面52bが、第1部材31に対して部分的に接近している。本実施形態の下面52bの一部は、第2部材51の凹部53の内側に配置されている。本実施形態の下面52bの一部は、凹部53の内壁と接触している。本実施形態において、1以上の孔56の縁端の少なくとも一部が、第2部材51と接触している。これにより、回収流路26における液体LQの残留を抑制可能になることが期待できる。なお、第3部材52の下面52bが、凹部53の内壁と非接触に配置されていてもよく、この場合に凹部53が設けられていなくてもよい。また、第3部材52の下端が、第2部材51の上端よりも+Z方向に配置されていても構わない。第3部材52の下面52bは、曲面を含んでいてもよい。
【0068】
本実施形態の液浸部材3Bは、液体LQに対して撥液性の撥液部材58を含む。本実施形態の撥液部材58は、第2排出口36の周囲の少なくとも一部に配置されている。本実施形態の撥液部材58は、第2排出口36を環状に囲んで配置されている。撥液部材58に対する液体LQの接触角は、90°以上でもよく、100°以上あるいは110°以上でもよい。撥液部材58によって、液体LQが第2排出口36を通ることが抑制されることが期待できる。
【0069】
<第3実施形態>
次に、第3実施形態について説明する。図5は、本実施形態における液浸部材を下側(−Z方向側)から見た平面図、図6は、本実施形態における液浸部材の一部を拡大して示す側断面図である。図6は、図5のB−B’線断面図に相当する。
【0070】
本実施形態の液浸部材3Cは、回収口25を通った流体中の気泡の膨張を抑制する第2部材60を含む。本実施形態の第2部材60は、隔壁61を含む。隔壁61の少なくとも一部は、第1部材31の複数の孔32の間に配置される。本実施形態の隔壁61は、第1部材31において気体Gが通る部分の+Z方向に配置されている。
【0071】
本実施形態の孔32は、周期的に配列されている。本実施形態の孔32は、三角格子の格子点に位置するように、配列されている。本実施形態の隔壁61は、孔32に対応して周期的に配置されている。本実施形態の隔壁61は、格子状に設けられている。本実施形態の第2部材60は、隔壁61によって構成されるハニカム構造を含む。本実施形態の隔壁61は、第1部材31の上面31aを区画するように、配置されている。本実施形態において、第1部材31の上面31a側の空間領域は、隔壁61に囲まれた区画領域62を複数含む。本実施形態において、Z方向から平面視した状態で、区画領域62のそれぞれに第1部材31の孔32が配置される。本実施形態において、第1部材31の孔32が、区画領域62と1対1で対応している。
【0072】
なお、第1部材31における上記の気体非通過部の+Z方向に、隔壁61が設けられていなくても構わない。また、Z方向から平面視したときに、2以上の区画領域にまたがって孔32が配置されるように、隔壁61の少なくとも一部が設けられていてもよい。Z方向から平面視したときに、区画領域に2以上の孔32が配置されるように、隔壁61が設けられていてもよい。第2部材60は、網目状に多数の小さい気孔(pores)が形成された多孔部材を含んでいてもよい。例えば、第2部材60は、気孔が形成された多孔部材と、隔壁61を有する構造体とが積層された部材を含んでいてもよい。
【0073】
本実施形態において、第1部材31の孔32を通った流体Fは、区画領域62を流れる。本実施形態において、区画領域62での流体Fの流れ方向に交差する面における、隔壁61の断面は、区画領域62を流れる流体F中の気泡の体積を規制するように設定されている。Z方向から平面視したときに、気泡Gbの平均自由行程に対する孔32から隔壁61までの最短距離の比率が、0より大きく1未満であってもよい。上記の気泡Gbの平均自由行程は、隔壁61が設けられていないときに気泡Gbが隔壁61のZ方向の寸法(高さ)だけZ方向に移動する間に、気泡GbがXY面に平行な面に移動する距離の平均値である。Z方向から平面視したときに、第1部材31の孔32のピッチに対する孔32から隔壁61までの最短距離の比率が、0より大きく1/2未満であってもよい。上記のピッチは、Z方向から平面視したときの複数の孔32のピッチの平均値であってもよい。本実施形態において、隔壁61のZ方向の寸法(高さ)は、第1部材31の板厚以上である。隔壁61のZ方向の寸法は、第1部材31の板厚未満であっても構わない。
【0074】
本実施形態において、第1部材31の孔32を通った流体F中の気泡Gbが、区画領域62を通る。孔32を通った流体F中の気泡Gbの移動は、XY方向にて区画領域62内に制限されるので、気泡Gbの合体が抑制されることが期待できる。換言すると、本実施形態の隔壁61は、第1部材31から回収流路26へ向かう流体Fの流れ方向を規制する。また、隔壁61に囲まれる区画領域62の外側まで気泡Gbが膨張することが抑制されるので、気泡Gbの膨張による流体Fの温度変化を抑制可能になることが期待できる。気泡Gbは、区画領域62を通った後に区画領域62の外側まで膨張することがありえる。気泡Gbが区画領域62の外側まで膨張する位置を、隔壁61のZ方向の寸法の分だけ第1部材31から離すことができる。したがって、気泡Gbの膨張による流体Fの温度変化が第1部材31に及ぼす熱影響が、低減されることが期待できる。
【0075】
<第4実施形態>
次に、第4実施形態について説明する。図7は、本実施形態における液浸部材を下側(−Z方向側)から見た平面図、図8は、本実施形態における液浸部材を示す側断面図である。図8は、図7のC−C’線断面図に相当する。
【0076】
本実施形態の液浸部材3Dは、第1部材31及び温度調整部65を含む。本実施形態の液浸部材3Dは、第1部材31の下面31bと対向する物体との間の空間SPから、液体LQと気体Gの少なくとも一方を回収可能である。本実施形態の液浸部材3Dは、空間SPから、液体LQと気体Gとを含んだ流体Fを回収可能である。本実施形態の液浸部材3Dにおいて、温度調整部65を利用して第1部材31の温度を調整可能である。
【0077】
本実施形態の温度調整部65は、熱媒体LQ2が流れる第1熱媒体流路66、第2熱媒体流路67、及び第3熱媒体流路68を含む。以下の説明で、第1熱媒体流路66、第2熱媒体流路67、及び第3熱媒体流路68を、熱媒体流路と総称することがある。本実施形態において、熱媒体流路の少なくとも一部を流れる熱媒体LQ2と第1部材31との熱交換により、第1部材31の温度が調整される。熱媒体LQ2が単位時間に第1部材31に与える熱量は、流体Fが単位時間に第1部材31から奪う熱量の一部又は全部を相殺する量に設定されていてもよい。流体Fが第1部材31から奪う熱量は、流体F中の液体LQの気化熱の量と流体F中の気体Gの膨張熱の量の、少なくとも一方に基づいていてもよい。
【0078】
熱媒体LQ2は、液相、気相、固体相のいずれを含んでいてもよい。熱媒体LQ2は、ゲル又はゾルを含んでいてもよい。本実施形態では、熱媒体LQ2として液体を用いる。熱媒体LQ2に液体を用いる場合に、この液体の組成は、露光光ELの光路Kの少なくとも一部を満たす液体LQと同じでもよいし、異なっていてもよい。本実施形態では、熱媒体LQ2として水を用いる。熱媒体LQ2は、その溶存気体濃度と含有不純物濃度の少なくとも一方が、液体LQと同じであってもよい。熱媒体LQ2は、その溶存気体濃度及び含有不純物濃度がいずれも、液体LQと異なっていてもよい。本実施形態の液体LQは、溶存気体濃度及び含有不純物濃度がいずれも、熱媒体LQ2よりも低い。本実施形態の熱媒体流路は、第1部材31から回収された流体Fの流路と独立している。本実施形態において、熱媒体流路を流れた熱媒体LQ2は、第1部材31から回収された流体Fと合流しない(混ざり合わない)。
【0079】
本実施形態において、熱媒体流路の少なくとも一部は、第1部材31の内部に配置されている。例えば、第1部材31が複数の部材を積層した積層部材を含み、熱媒体流路の少なくとも一部が上記の積層部材の層間に配置されていてもよい。例えば、液浸部材3Dが第1部材31の内部に配置された管部材を含み、熱媒体流路が管部材の内部を含んでいてもよい。なお、熱媒体流路は、第1部材31の温度を調整可能なように熱媒体LQ2が流通可能であれば、第1部材31の外部に配置されていてもよい。例えば、熱媒体流路は、第1部材31の上面31aに配置されていてもよいし、下面31bに配置されていてもよい。熱媒体流路は、回収流路26に配置されていてもよい。熱媒体流路は、上記の第2部材の内部に配置されていてもよい。
【0080】
本実施形態において、第1部材31の孔32は、光路Kに対して放射方向に列をなして並んでいる。本実施形態において、第1熱媒体流路66及び第2熱媒体流路67は、それぞれ、光路Kに対して放射方向にのびるように配置されている。本実施形態において、第1熱媒体流路66及び第2熱媒体流路67は、孔32の列と列の間に配置されている。本実施形態では、第1熱媒体流路66と第2熱媒体流路67とが、第1部材31の板厚方向(Z方向)に並んでいる。本実施形態では、Z方向から平面視したときに、第1熱媒体流路66が第2熱媒体流路67と重なっている。本実施形態では、Z方向から平面視したときに、第1熱媒体流路66の位置が第2熱媒体流路67の位置と実質的に同じである。本実施形態の第3熱媒体流路68は、第1部材31の板厚方向に屈曲している。第1熱媒体流路66の一端は、第3熱媒体流路68の一端と接続されている。第3熱媒体流路68の他端は、第2熱媒体流路67の一端と接続されている。第1熱媒体流路66の他端は、液浸部材3Dの外部に通じている。第1熱媒体流路66の他端は、熱媒体供給装置69と接続されている。第2熱媒体流路67の他端は、液浸部材3Dの外部に通じている。第2熱媒体流路67の他端は、熱媒体供給装置69と接続されている。
【0081】
本実施形態の熱媒体供給装置69は、熱媒体流路に供給される熱媒体LQ2の温度と流量の少なくとも一方を調整可能である。本実施形態の熱媒体供給装置69は、熱源及び温度センサを含む。熱媒体供給装置69の熱源は、熱媒体流路に供給される熱媒体LQ2の温度を変化させることが可能である。熱媒体供給装置69の温度センサは、熱媒体流路に供給される熱媒体LQ2の温度を計測可能である。本実施形態において、温度センサに計測結果に基づいて熱源が制御され、熱媒体流路を流れる熱媒体LQ2の温度が管理される。熱媒体流路に供給される熱媒体LQ2の温度は、第1部材31を通った液体LQの温度以上に設定されていてもよい。熱媒体流路に供給される熱媒体LQ2の温度は、供給口24から供給される液体LQの温度以上に設定されていてもよい。液浸露光装置EXは、熱媒体供給装置69の一部又は全部を含んでもよい。熱媒体供給装置69が、液浸露光装置EXの外部装置でも構わない。
【0082】
本実施形態において、熱媒体供給装置69は、温度が管理された熱媒体LQ2を第1熱媒体流路66に供給する。第1熱媒体流路66に供給された熱媒体LQ2は、光路Kの放射方向に対して内側に向かって流れた後に、第3熱媒体流路68を通る。第3熱媒体流路68を通った熱媒体LQ2は、第2熱媒体流路67を光路Kの放射方向に対して外側に向かって流れた後に、熱媒体供給装置69に回収される。本実施形態の熱媒体供給装置69は、第2熱媒体流路67から回収された熱媒体LQ2の温度を調整した後に、第1熱媒体流路66に再度供給する。本実施形態の熱媒体供給装置69は、熱媒体流路を流れる熱媒体LQ2の温度を管理しながら、熱媒体LQ2を熱媒体流路に循環させる。なお、熱媒体LQ2は、第2熱媒体流路67を流れた後に、第2熱媒体流路67よりも下方に配置された第1熱媒体流路66を流れるようになっていても構わない。
【0083】
図7に示したように、本実施形態の温度調整部65は、複数系統の熱媒体流路を含む。複数系統の熱媒体流路は、光路Kの周囲に離散的に配列されている。複数系統の熱媒体流路は、それぞれ、熱媒体供給装置69に接続されている。本実施形態では、複数の熱媒体供給装置69が配置されている。複数系統の熱媒体流路は、複数の熱媒体供給装置69に分かれて接続されている。本実施形態では、上記の同期移動方向(Y方向)の片側の熱媒体流路が第1の熱媒体供給装置に接続され、同期移動方向のもう片側の熱媒体流路が第2の熱媒体供給装置に接続されている。
【0084】
なお、熱媒体流路の数は、1系統であってもよい。複数系統の熱媒体流路が設けられている場合に、全系統の熱媒体流路が1つの熱媒体供給装置69に接続されていてもよい。複数系統の熱媒体流路が、3以上の熱媒体供給装置69に分かれて接続されていてもよい。なお、第1熱媒体流路66と第2熱媒体流路67の一方の流路に熱媒体LQ2を供給する供給装置と、他方の流路から熱媒体LQ2を回収する回収装置と、を備え、供給装置と回収装置とが別の装置であってもよい。
【0085】
本実施形態の制御装置4は、熱媒体供給装置69を制御し、第1部材31の温度を制御する。本実施形態の制御装置4は、露光の少なくとも一部において第1部材31の温度変化が減るように、熱媒体供給装置69を制御する。本実施形態の制御装置4は、複数系統の熱媒体流路のそれぞれを流れる熱媒体LQ2について、熱媒体LQ2の温度と流量の少なくとも一方を熱媒体流路ごとに制御可能である。このように、本実施形態の制御装置4は、第1部材31の温度分布を調整可能である。上記の第1部材31の温度分布は、光路Kの周囲における第1部材31の温度分布でもよいし、光軸AXに交差する面内での第1部材31の温度分布でもよく、第1部材31の上面31a又は下面31bに平行な方向における第1部材31の温度分布でもよい。制御装置4は、第1部材31の温度が実質的に均一になるように、第1部材の温度分布を調整してもよい。なお、制御装置4は、熱媒体LQ2の温度と流量の少なくとも一方を、熱媒体流路ごとに独立して制御する代わりに、2以上の系統の熱媒体流路で同じように調整してもよい。
【0086】
本実施形態では、第1部材31の温度と関連付けられた温度を測定するための計測部70が設けられている。本実施形態の計測部70は、第1部材31を通った流体Fの少なくとも一部の温度を測定可能である。本実施形態の計測部70は、第1排出口35から排出された液体LQの温度を測定可能である。計測部70は、液浸露光装置EXの一部であってもよいし、液浸露光装置EXの外部装置であってもよい。
【0087】
本実施形態の制御装置4は、計測部70の測定結果に基づいて、熱媒体供給装置69を制御する。制御装置4は、フィードフォワード制御とフィードバック制御の少なくとも一方によって、熱媒体供給装置69を制御してもよい。例えば、基板Pの露光の少なくとも一部において、液体LQの少なくとも一部を第1部材31から回収するとともに、第1部材31を通った液体LQの温度を計測部70で測定しながら、制御装置4が計測部70の測定結果に基づいて熱媒体供給装置69をフィードバック制御してもよい。また、基板Pの露光時以外に、基板Pの露光時と同様の条件で液体LQの少なくとも一部を第1部材31から回収するとともに、第1部材31を通った液体LQの温度を計測部70で測定し、基板Pの露光の少なくとも一部において、計測部70で予め測定した結果に基づいて、熱媒体供給装置69をフィードフォワード制御してもよい。フィードフォワード制御を行うときに、計測部70で予め測定した結果や、この結果に基づいて求められた熱媒体供給装置69の制御量等の情報は、記憶装置5に記憶されていてもよい。
【0088】
なお、上記のフィードフォワード制御と上記のフィードバック制御とを併用してもよい。この場合に、第1部材31の温度を調整するときの温度の調整幅と温度を調整する頻度(周波数)の少なくとも一方が、上記のフィードフォワード制御と上記のフィードバック制御とで異なっていてもよい。例えば、制御装置4は、上記のフィードフォワード制御によって第1部材31の温度を粗調整するとともに、上記のフィードバック制御によって第1部材31の温度を微調整してもよい。
【0089】
なお、第1部材31の温度と関連づけられる温度を光路Kの周囲の複数の位置で測定し、第1部材31の温度分布を求めてもよい。例えば、流路形成部材22が、光路Kの周囲に離散的に複数設けられており、計測部70が流路形成部材22ごとに設けられていてもよい。また、複数の温度センサが、回収流路26における光路Kの周囲に離散的に配置されていてもよい。複数の温度センサが、第1部材31の内部と表面の少なくとも一方における光路Kの周囲に離散的に配置されていてもよい。制御装置4は、光路Kの周囲における第1部材31の温度分布を示す情報に基づいて、光路Kの周囲における第1部材31の温度分布を調整することもできる。
【0090】
なお、制御装置4は、計測部70以外の温度センサの計測結果に基づいて、第1部材31の温度を調整してもよい。例えば、熱媒体供給装置69において、熱媒体流路に供給する前の熱媒体LQ2の温度と、熱媒体流路から回収した後の熱媒体LQ2の温度との差分は、第1部材31の温度と関連づけられた温度を示す情報を含んでいる。制御装置4は、熱媒体流路を流れる前後の熱媒体LQ2の温度の差分を用いて、第1部材31の温度を調整してもよい。
【0091】
次に、上記の液浸露光装置EXの動作説明と合わせて、本実施形態の液体回収法方法の一例について説明する。本実施形態の液体回収法方法は、第1部材31の下面31bに物体を対向させることを含む。本実施形態の液浸露光装置EXの制御装置4は、液浸部材3に対する基板ステージ2の位置を制御して、第1部材31の下面31bを基板Pに対向させる。本実施形態の液体回収方法は、下面31bと物体との間の空間から第1部材31の孔32を介して、液体LQを含んだ流体Fを回収することを含む。本実施形態において、制御装置4は、第1排出装置42及び第2排出装置45を制御し、第1排出装置42及び第2排出装置45の動作によって、第1部材31の下面31bと基板Pとの間の空間SPから第1部材31の孔32を介して、液体LQを含む流体Fが回収される。本実施形態の液体回収方法は、液体LQを回収する期間の少なくとも一部で第1部材31の温度を調整することを含む。本実施形態において、制御装置4は、熱媒体供給装置69制御することによって、第1部材31の温度を調整する。本実施形態において、制御装置4に上記の制御を実行させるプログラムが、記憶装置5に記憶されている。このプログラムに従って、上記の各種制御が実行される。本実施形態にあっては、第1部材31の温度を調整するので、第1部材31の温度が露光に及ぼす影響を制御することができる。例えば、基板Pを露光するときに、第1部材31の温度が基板Pの温度に及ぼす影響を減らすこと等ができる。
【0092】
<第5実施形態>
次に、第5実施形態について説明する。図9は、本実施形態における液浸部材を下側(−Z方向側)から見た平面図、図10は、本実施形態における液浸部材を示す側断面図である。図10は、図9のD−D’線断面図に相当する。
【0093】
本実施形態の液浸部材3Eは、第1部材31及び温度調整部71を含む。本実施形態の液浸部材3Eにおいて、温度調整部71を利用して第1部材31の温度を調整可能である。本実施形態の温度調整部71は、熱媒体流路72を含む。本実施形態の熱媒体流路72は、管部材73の内側の空間を含む。
【0094】
本実施形態では、管部材73が第1部材31よりも回収流路26側(+Z側)に配置されている。本実施形態の管部材73は、その外壁の少なくとも一部が第1部材31の上面31aと接触している。管部材73の外壁の少なくとも一部が、上面31aから離れていても構わない。管部材73の外壁の少なくとも一部が、上記の隔壁の少なくとも一部であってもよい。
【0095】
本実施形態の熱媒体流路72は、その一端と他端とが、いずれも液浸部材3Eの外部に通じている。本実施形態の熱媒体流路72は、一端と他端とが、熱媒体供給装置69に接続されている。本実施形態の熱媒体流路72は、その一端から光路Kの放射方向に延びる第1部分と、その他端から光路Kの放射方向に延びる第2部分と、第1部分と第2部分とを接続する第3部分とを含んでいる。本実施形態において、第1部分及び第2部分は、光軸AXに交差する面内に配置されており、第3部分はこの面内で屈曲している。本実施形態では、管部材73の一端及び他端が、いずれも液浸部材3Eの外部まで延びて熱媒体供給装置69に接続されている。
【0096】
本実施形態では、複数系統の熱媒体流路72が配置されている。複数系統の熱媒体流路72は、複数の熱媒体供給装置69に分かれて接続されている。熱媒体流路72は、その一端及び他端が、同一の熱媒体供給装置69に接続されていてもよい。熱媒体流路72は、その一端が第1の熱媒体供給装置に接続されており、その他端が第1の熱媒体供給装置とは別の第2の熱媒体供給装置に接続されていてもよい。
【0097】
<第6実施形態>
次に、第6実施形態について説明する。図11は、本実施形態における液浸部材を示す側断面図である。本実施形態の液浸部材3Fは、第1部材31及び熱媒体流路75を含む。本実施形態の熱媒体流路75は、管部材76の内側の空間を含む。本実施形態では、管部材76が第1部材31よりも回収流路26側(+Z側)に配置されている。本実施形態の管部材76は、その外壁の少なくとも一部が第1部材31の上面31aと接触している。管部材76の外壁の少なくとも一部が、上面31aから離れていても構わない。管部材76の外壁の少なくとも一部が、上記の隔壁の少なくとも一部であってもよい。
【0098】
本実施形態の熱媒体流路75の一端は、熱媒体供給装置77に接続されている。本実施形態の管部材76は、その一端が液浸部材3Fの外側まで延びて熱媒体供給装置77に接続されている。熱媒体流路75の他端は、回収流路26と合流している。本実施形態において、熱媒体流路75を流れた熱媒体LQ2は、第1部材31から回収された液体LQとともに、回収流路26を流れる。本実施形態において、熱媒体LQ2は、第1部材31から回収された液体LQとともに、第1排出口35から排出される。
【0099】
本実施形態の熱媒体供給装置77は、熱媒体流路75に熱媒体LQ2を供給する。本実施形態では、熱媒体LQ2の組成が、露光光ELの光路Kの少なくとも一部を満たす液体LQと実質的に同じである。熱媒体供給装置77は、液体供給装置30と接続されている。本実施形態の液体供給装置30は、熱媒体供給装置77へ液体LQを供給する。本実施形態の熱媒体供給装置77は、供給された液体LQの温度を測定可能な温度センサや、供給された液体LQを加熱可能な熱源等を含む。本実施形態の熱媒体供給装置77は、供給された液体LQの温度を管理して熱媒体LQ2とし、熱媒体LQ2を熱媒体流路75に供給する。熱媒体流路75に供給される熱媒体LQ2の温度は、第1部材31を通った液体LQの温度以上に設定されていてもよい。熱媒体流路75に供給される熱媒体LQ2の温度は、供給口24から供給される液体LQの温度以上に設定されていてもよい。熱媒体流路75に供給される熱媒体LQ2の温度が、供給口24から供給される液体LQの温度以下である場合に、上記の熱源を省くこともできる。
なお、複数系統の熱媒体流路が設けられている場合に、1以上の系統の熱媒体流路が回収流路26と合流しており、1以上の系統の熱媒体流路が回収流路26と独立していてもよい。
【0100】
<第7実施形態>
次に、第7実施形態について説明する。図12は、本実施形態における液浸部材を下側(−Z方向側)から見た平面図、図13は、本実施形態における液浸部材を示す側断面図である。図13は、図12のE−E’線断面図に相当する。
【0101】
本実施形態の液浸部材3Gは、第1部材31及び温度調整部80を含む。本実施形態の液浸部材3Gは、第1部材31の下面31bと対向する物体との間の空間SPから、液体LQと気体Gの少なくとも一方を回収可能である。本実施形態の液浸部材3Gは、空間SPから、液体LQと気体Gとを含んだ流体Fを回収可能である。本実施形態の液浸部材3Gにおいて、温度調整部80を利用して第1部材31の温度を調整可能である。
【0102】
本実施形態の温度調整部80は、発熱体81を含む。本実施形態の発熱体81は、電力の供給を受けて熱を発することが可能である。発熱体81は、例えば半導体ヒータ、電熱線である。発熱体81は、液体LQ等の液体との接液部を有していてもよい。この接液部の少なくとも一部は、液体LQに対して撥液性を有する材質であってもよい。この接液部の少なくとも一部は、フッ素系樹脂で形成されていてもよい。
【0103】
本実施形態の発熱体81は、第1部材31よりも回収流路26側(+Z側)に配置されている。本実施形態の発熱体81は、その少なくとも一部が第1部材31の上面31aと接触している。発熱体81は、回収流路26内に、第1部材31の上面31aから離れて配置されていてもよい。発熱体81は、第1部材31の内部に配置されていてもよいし、第1部材31の下面31bに配置されていてもよい。
【0104】
本実施形態の発熱体81は、配線等を介して、図示略のコントローラと電気的に接続されている。上記のコントローラは、発熱体81の発熱量を制御可能である。上記のコントローラの一部又は全部が、液浸露光装置EXに含まれていてもよい。上記のコントローラは、液浸露光装置EXの外部装置であってもよい。本実施形態の制御装置4は、上記のコントローラを制御して、発熱体81の発熱量を制御可能である。本実施形態の制御装置4は、発熱体81の発熱量を制御することによって、第1部材31の温度を調整可能である。本実施形態の制御装置4は、露光の少なくとも一部において第1部材31の温度変化が減るように、発熱体81を制御する。
【0105】
本実施形態では、光路Kの周囲に複数の発熱体81が離散的に配置されている。本実施形態の制御装置4は、複数の発熱体81のそれぞれの発熱量を、発熱体81ごとに制御可能である。このように、本実施形態の制御装置4は、第1部材31の温度分布を調整可能である。上記の第1部材31の温度分布は、光路Kの周囲における第1部材31の温度分布であってもよいし、光軸AXに交差する面内での第1部材31の温度分布であってもよく、第1部材31の上面31a又は下面31bに平行な方向における第1部材31の温度分布であってもよい。制御装置4は、複数の発熱体81の発熱量を発熱体81ごとに制御する代わりに、2以上の発熱体81の発熱量を同様に制御してもよい。
【0106】
本実施形態では、第1部材31の温度と関連付けられた温度を測定するための計測部82が設けられている。本実施形態の計測部82は、第1部材31の温度を直接的に測定可能である。本実施形態の計測部82は、第1部材31よりも回収流路26側(+Z側)に配置されている。本実施形態の計測部82は、その少なくとも一部が第1部材31の上面31aと接触している。計測部82は、第1部材31の内部に配置されていてもよいし、第1部材31の下面31bに配置されていてもよい。計測部82は、液浸露光装置EXの一部であってもよいし、液浸露光装置EXの外部装置であってもよい。
【0107】
本実施形態では、光路Kの周囲における第1部材31に、複数の計測部82が配置されている。本実施形態では、複数の計測部82の測定結果に基づいて、第1部材31の温度分布を求めることができる。第1部材31の温度分布を求める上で、複数の計測部82の測定結果に補間処理等を行ってもよい。この補間処理は、制御装置4が実行してもよいし、制御装置4以外の装置あるいは液浸露光装置EXの外部装置が実行してもよい。
【0108】
本実施形態の制御装置4は、計測部82の測定結果に基づいて、発熱体81を制御する。本実施形態の制御装置4は、複数の計測部82の測定結果に基づいて、上記の第1部材31の温度分布を調整する。制御装置4は、フィードフォワード制御とフィードバック制御の少なくとも一方によって、発熱体81を制御してもよい。例えば、第1部材31を通った液体LQの温度を計測部82で測定しながら、制御装置4が計測部82の測定結果に基づいて発熱体81をフィードバック制御してもよい。また、基板Pの露光の少なくとも一部において、露光よりも前に計測部82で予め測定した結果に基づいて、発熱体81をフィードフォワード制御してもよい。フィードフォワード制御を行うときに、計測部82で予め測定した結果や、この結果に基づいて求められた発熱体81の制御量等の情報は、記憶装置5に記憶されていてもよい。また、制御装置4は、上記のフィードフォワード制御によって第1部材31の温度を粗調整するとともに、上記のフィードバック制御によって第1部材31の温度を微調整してもよい。
【0109】
なお、上記の実施形態でした熱媒体を利用した温度調整部と、発熱体を利用した温度調整部とを併用して、第1部材31の温度を調整してもよい。この場合に、熱媒体を利用した温度調整部と、発熱体を利用した温度調整部の一方をフィードフォワード制御し、他方をフィードバック制御してもよいし、いずれもフィードフォワード制御又はフィードバック制御してもよい。第1部材31の温度を調整するときの温度の調整幅と調整の頻度(周波数)の少なくとも一方が、熱媒体を利用した温度調整部と、発熱体を利用した温度調整部とで異なっていてもよい。例えば、制御装置4は、熱媒体を利用した温度調整部をフィードフォワード制御することよって第1部材31の温度を粗調整するとともに、発熱体を利用した温度調整部をフィードバック制御することよって第1部材31の温度を微調整してもよい。
【0110】
<第8実施形態>
次に、第8実施形態について説明する。図14は、本実施形態における液浸部材を示す側断面図である。本実施形態の液浸部材3Hは、第1部材31、第2部材34、及び温度調整部85を含む。本実施形態の液浸部材3Hは、第1部材31の下面31bと対向する物体との間の空間SPから、液体LQと気体Gの少なくとも一方を回収可能である。本実施形態の液浸部材3Hは、空間SPから、液体LQと気体Gとを含んだ流体Fを回収可能である。本実施形態において、第2部材34の板厚は、第1部材31の板厚よりも大きく設定されている。第2部材34の板厚は、第1部材31の板厚以下に設定されていても構わない。本実施形態の液浸部材3Hにおいて、温度調整部85を利用して第1部材31の温度を調整可能である。
【0111】
本実施形態の温度調整部85は、熱媒体LQ2が流れる第1熱媒体流路86、第2熱媒体流路87、及び第3熱媒体流路88を含む。以下の説明で、第1熱媒体流路86、第2熱媒体流路87、及び第3熱媒体流路88を、熱媒体流路と総称することがある。本実施形態の熱媒体流路は、Z方向から平面視したとき平面配置が、第4実施形態で説明した熱媒体流路と同様である(図7参照)。本実施形態の熱媒体流路の平面配置は、上記の各実施形態で説明した熱媒体流路のいずれかと同じであってもよいし、いずれとも異なっていてもよい。本実施形態では、熱媒体流路の少なくとも一部が第2部材34の内部に設けられている。本実施形態の温度調整部85は、第2部材34の温度を調整可能である。本実施形態の温度調整部85は、第2部材34を通る流体Fの少なくとも一部の温度を調整可能である。本実施形態の温度調整部85は、第2部材34を通る流体Fと第2部材34の少なくとも一方を介して、第1部材31の温度を調整可能である。
【0112】
本実施形態において、第1熱媒体流路86及び第2熱媒体流路87は、それぞれ、光路Kに対して放射方向にのびるように配置されている。本実施形態では、第1熱媒体流路86と第2熱媒体流路87とが、第1部材31の板厚方向(Z方向)に並んでいる。本実施形態の第3熱媒体流路88は、第1部材31の板厚方向に屈曲している。第1熱媒体流路86の一端は、第3熱媒体流路88の一端と接続されている。第3熱媒体流路88の他端は、第2熱媒体流路87の一端と接続されている。第1熱媒体流路86の他端は、液浸部材3Hの外部に通じている。第1熱媒体流路86の他端は、熱媒体供給装置69と接続されている。第2熱媒体流路87の他端は、液浸部材3Hの外部に通じている。第2熱媒体流路67の他端は、熱媒体供給装置69と接続されている。
【0113】
本実施形態において、熱媒体供給装置69から液浸部材3Hに供給された熱媒体LQ2は、第1熱媒体流路86を流れた後に、第3熱媒体流路88を流れる。本実施形態において、第3熱媒体流路88を流れた熱媒体LQ2は、第1熱媒体流路86よりも上方に配置された第2熱媒体流路87を流れた後に、熱媒体供給装置69に回収される。なお、熱媒体LQ2は、第2熱媒体流路87を流れた後に、第2熱媒体流路87よりも下方に配置された第1熱媒体流路86を流れるようになっていても構わない。
【0114】
本実施形態において、流体Fの回収は、液体LQを回収する期間の少なくとも一部で、孔32を介して回収された流体中の気泡の膨張を抑制しながら行われる。また、本実施形態において、流体Fの回収は、液体LQを回収する期間の少なくとも一部で、第1部材31の温度を調整しながら行われる。
【0115】
<デバイス製造方法>
次に、デバイス製造方法について説明する。図15は、本実施形態のデバイス製造方法の一例を示すフローチャートである。半導体デバイス等のマイクロデバイスは、マイクロデバイスの機能・性能設計を行うステップ201、この設計ステップに基づいたマスク(レチクル)を製作するステップ202、デバイスの基材である基板を製造するステップ203、基板に成膜処理や露光処理、現像処理、エッチング処理等の各種基板処理を行う基板処理ステップ204、デバイスの組立を行うステップ205、製造されたデバイスを検査するステップ206等を経て製造される。基板処理ステップ204は、上記の実施形態に従って露光光で基板を露光すること、及び露光された基板を現像することを含む。本実施形態のデバイス組立ステップ205は、例えばダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程などの加工プロセスを含む。本実施形態において、記憶装置5に記憶されているプログラムが制御装置4に読み込まれることにより、基板ステージ2、液浸部材3、液体供給装置30、第1排出装置42、及び第2排出装置45等、液浸露光装置EXの各種の装置が協働して、液浸空間LSが形成された状態で、基板Pの液浸露光等、各種の処理を実行する。
【0116】
なお、上述の各実施形態において、「光路Kに対する放射方向」は、投影領域PR近傍における投影系PLの光軸に対する放射方向とみなしてもよい。投影系PLは、例えば国際公開第2004/019128号パンフレットに開示されているような、終端光学素子8の入射側(物体面側)の光路も液体LQで満たされる投影光学系でもよい。また、投影系PLを用いない露光装置及び露光方法に、上述の各実施形態で説明した構成要素を適用してもよい。例えば、レンズ等の光学部材と基板との間に液浸空間を形成し、その光学部材を介して、基板に露光光を照射する露光装置及び露光方法に、上述の各実施形態で説明した構成要素を適用してもよい。
【0117】
液体LQは、水以外の液体でもよい。液体LQは、露光光ELに対して透過性であり、露光光ELに対して高い屈折率を有し、投影系PLあるいは基板Pの表面を形成する感光材(フォトレジスト)等の膜に対して安定なものでもよい。液体LQは、ハイドロフロロエーテル(HFE)、過フッ化ポリエーテル(PFPE)、フォンブリンオイル等のフッ素系液体でもよい。また、液体LQが、種々の流体、例えば、超臨界流体でもよい。
【0118】
液浸露光装置EXは、例えばマスクMと基板Pとを静止した状態でマスクMのパターンを一括露光し、基板Pを順次ステップ移動させるステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置(ステッパ)でもよい。液浸露光装置EXは、ステップ・アンド・リピート方式の露光において、第1パターンと基板Pとをほぼ静止した状態で、投影光学系を用いて第1パターンの縮小像を基板P上に転写した後、第2パターンと基板Pとをほぼ静止した状態で、投影光学系を用いて第2パターンの縮小像を第1パターンと部分的に重ねて基板P上に一括露光する露光装置(スティッチ方式の一括露光装置)でもよい。液浸露光装置EXは、基板P上で少なくとも2つのパターンを部分的に重ねて転写し、基板Pを順次移動させるステップ・アンド・スティッチ方式の露光装置でもよい。液浸露光装置EXは、例えば米国特許第6611316号明細書に開示されているような、2つのマスクのパターンを、投影光学系を介して基板上で合成し、1回の走査露光によって基板上の1つのショット領域をほぼ同時に二重露光する露光装置でもよい。液浸露光装置EXは、プロキシミティ方式の露光装置、ミラープロジェクション・アライナー等でもよい。液浸露光装置EXは、例えば国際公開第2001/035168号パンフレットに開示されているような、干渉縞を基板P上に形成することによって基板P上にライン・アンド・スペースパターンを露光する露光装置(リソグラフィシステム)でもよい。
【0119】
液浸露光装置EXは、例えば米国特許第6341007号明細書、米国特許第6208407号明細書、及び米国特許第6262796号明細書等に開示されているような、複数の基板ステージを備えたツインステージ型の露光装置でもよい。例えば、液浸露光装置EXが2つの基板ステージを備えている場合、射出面7と対向するように配置可能な物体は、一方の基板ステージ、その一方の基板ステージの基板保持部に保持された基板、他方の基板ステージ、及びその他方の基板ステージの基板保持部に保持された基板の少なくとも一つを含む。液浸露光装置EXは、例えば米国特許第6897963号明細書、及び米国特許出願公開第2007/0127006号明細書等に開示されているような、基板を保持する基板ステージと、基準マークが形成された基準部材と各種の光電センサの少なくとも一方を搭載し、露光対象の基板を保持しない計測ステージとを備えた露光装置でもよい。この場合、射出面7と対向するように配置可能な物体は、基板ステージ、その基板ステージの基板保持部に保持された基板、及び計測ステージの少なくとも一つを含む。また、液浸露光装置EXは、複数の基板ステージと計測ステージとを備えた露光装置でもよい。
【0120】
基板Pの基材は、半導体デバイス製造用の半導体ウエハを含んでもよいし、例えばディスプレイデバイス用のガラス基板、薄膜磁気ヘッド用のセラミックウエハ、あるいは露光装置で用いられるマスクまたはレチクルの原版(合成石英、シリコンウエハ)等を含んでもよい。液浸露光装置EXは、基板Pに半導体素子パターンを露光する半導体素子製造用の露光装置でもよいし、液晶表示素子製造用又はディスプレイ製造用の露光装置でもよく、薄膜磁気ヘッド、撮像素子(CCD)、マイクロマシン、MEMS、DNAチップ、あるいはレチクル又はマスクなどを製造用の露光装置でもよい。
【0121】
マスクMとしては、例えば米国特許第6778257号明細書に開示されているような、露光すべきパターンの電子データに基づいて透過パターン又は反射パターン、あるいは発光パターンを形成する可変成形マスク(電子マスク、アクティブマスク、あるいはイメージジェネレータとも呼ばれる)を用いてもよい。また、非発光型画像表示素子を備える可変成形マスクに代えて、自発光型画像表示素子を含むパターン形成装置を備えるようにしてもよい。
【0122】
上述の実施形態の液浸露光装置EXは、上述の各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が終了した後、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は温度及びクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
【0123】
上述の各実施形態の要件は、適宜組み合わせることができる。また、各実施形態で説明した構成要素の1以上を用いない場合もある。法令で許容される限りにおいて、各実施形態及び変形例で引用した露光装置等に関する全ての公開公報及び米国特許の開示を援用して本文の記載の一部とする。
【符号の説明】
【0124】
1・・・マスクステージ、2・・・基板ステージ、3、3B〜3H・・・液浸部材、4・・・制御装置、5・・・記憶装置、7・・・射出面、8・・・終端光学素子、24・・・供給口、25・・・回収口、26・・・回収流路、31・・・第1部材、32・・・孔、34、51、60・・・第2部材、61・・・隔壁、65・・・温度調整部、66・・・第1熱媒体流路、67・・・第2熱媒体流路、68・・・第3熱媒体流路、70・・・計測部、71・・・温度調整部、72・・・熱媒体流路、75・・・熱媒体流路、80・・・温度調整部、81・・・発熱体、82・・・計測部、85・・・温度調整部、86・・・第1熱媒体流路、87・・・第2熱媒体流路、88・・・第3熱媒体流路、EL・・・露光光、EX・・・液浸露光装置、F・・・流体、G・・・気体、IL・・・照明系、K・・・光路、LQ・・・液体、LS・・・液浸空間、LQ2・・・熱媒体、P・・・基板
【技術分野】
【0001】
本発明は、液浸部材、液浸露光装置、デバイス製造方法、液体回収方法、プログラム、記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
フォトリソグラフィ工程で用いられる露光装置において、例えば下記特許文献に開示されているような、液浸空間の液体を介して露光光で基板を露光する液浸露光装置が知られている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】米国特許出願公開第2009/0046261号明細書
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
液浸露光装置において、露光対象物の温度等に起因して露光不良が発生する可能性がある。その結果、不良デバイスが発生する可能性がある。本発明は、上記の事情に鑑み成されたものであって、液浸露光における露光不良の発生を抑制することを目的とする。また、本発明は、デバイス製造における不良デバイスの発生を抑制することを目的の1つとする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明の第1の態様の液浸部材は、液浸露光装置において、光学部材と物体との間の液体を通過する露光光の光路の周囲の少なくとも一部に配置される液浸部材であって、第1面、前記第1面と異なる方向を向く第2面、及び前記第1面と前記第2面とを結ぶ孔を有し、前記第1面と対向する物体上の液体の少なくとも一部を前記孔から回収可能な第1部材と、前記孔を通った前記液体を含む流体中の気泡の膨張を抑制する第2部材と、を備える。
【0006】
本発明の第2の態様の液浸部材は、液浸露光装置において、光学部材と物体との間の液体を通過する露光光の光路の周囲の少なくとも一部に配置される液浸部材であって、第1面、前記第1面と異なる方向を向く第2面、及び前記第1面と前記第2面とを結ぶ孔を有し、前記第1面と対向する物体上の液体の少なくとも一部を前記孔から回収可能な第1部材と、前記第1部材の温度を調整するための温度調整部と、を備える。
【0007】
本発明の第4の態様の液浸露光装置は、液体を介して露光光で基板を露光する液浸露光装置であって、本発明の態様の液浸部材を備える液浸露光装置。
【0008】
本発明の第5の態様のデバイス製造方法は、本発明の態様の液浸露光装置を用いて基板を露光することと、露光された前記基板を現像することと、を含む。
【0009】
本発明の第6の態様の液体回収方法は、露光光を射出可能な光学部材と物体との間の前記露光光の光路を満たすために供給された液体の少なくとも一部を回収する液体回収方法であって、第1面、前記第1面と異なる方向を向く第2面、及び前記第1面と前記第2面とを結ぶ孔を有する第1部材の前記第1面に前記物体を対向させることと、前記第1面と前記物体との間の空間から前記孔を介して、前記液体を含む流体を回収することと、を含み、前記回収は、前記孔を介して回収された前記流体中の気泡の膨張を抑制しながら行われる。
【0010】
本発明の第7の態様の液体回収方法は、露光光を射出可能な光学部材と物体との間の前記露光光の光路を満たすために供給された液体の少なくとも一部を回収する液体回収方法であって、第1面、前記第1面と異なる方向を向く第2面、及び前記第1面と前記第2面とを結ぶ孔を有する第1部材の前記第1面に前記物体を対向させることと、前記孔から前記液体の少なくとも一部を回収することと、前記液体を回収する期間の少なくとも一部で前記第1部材の温度を調整することと、を含む。
【0011】
本発明の第8の態様のデバイス製造方法は、液体を介して露光光で基板を露光することと、前記液体を本発明の態様の液体回収方法で回収することと、露光された前記基板を現像することと、を含む。
【0012】
本発明の第9の態様のプログラムは、コンピュータに、露光光を射出可能な光学部材と基板との間の前記露光光の光路を満たす液体の少なくとも一部を回収する装置の制御を実行させるプログラムであって、第1面、前記第1面と異なる方向を向く第2面、及び前記第1面と前記第2面とを結ぶ孔を有する第1部材の前記第1面に前記基板を対向させることと、前記孔から前記液体の少なくとも一部を回収することと、前記液体を回収する期間の少なくとも一部で前記第1部材の温度を調整することと、を実行させる。
【0013】
本発明の第10の態様である記録媒体は、本発明の態様のプログラムが記録されており、コンピュータで読み取り可能である。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、不良デバイスの発生を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】第1実施形態に係る露光装置の一例を示す図である。
【図2】第1実施形態に係る液浸部材の一例を示す図である。
【図3】第1実施形態に係る液浸部材の一例を示す図である。
【図4】第2実施形態に係る液浸部材の一例を示す図である。
【図5】第3実施形態に係る液浸部材の一例を示す図である。
【図6】第3実施形態に係る液浸部材の一例を示す図である。
【図7】第4実施形態に係る液浸部材の一例を示す図である。
【図8】第4実施形態に係る液浸部材の一例を示す図である。
【図9】第5実施形態に係る液浸部材の一例を示す図である。
【図10】第5実施形態に係る液浸部材の一例を示す図である。
【図11】第6実施形態に係る液浸部材の一例を示す図である。
【図12】第7実施形態に係る液浸部材の一例を示す図である。
【図13】第7実施形態に係る液浸部材の一例を示す図である。
【図14】第8実施形態に係る液浸部材の一例を示す図である。
【図15】デバイス製造方法の一例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明するが、本発明はこれに限定されない。以下の説明では、XYZ直交座標系を参照しつつ各部の位置関係について説明する。このXYZ直交座標系において、水平面内で互いに直交する方向をX方向及びY方向とし、X方向及びY方向のそれぞれと直交する方向をZ方向とする。X軸、Y軸、及びZ軸まわりの回転(傾斜)方向をそれぞれ、θX、θY、及びθZ方向とする。なお、以下の説明で、同様の構成要素については、同じ符号を付して重複する説明を簡略化または省略することがある。
【0017】
<第1実施形態>
第1実施形態について説明する。図1は、第1実施形態に係る液浸露光装置EXの一例を示す概略構成図である。本実施形態の液浸露光装置EXは、液体LQを介して露光光ELで基板Pを露光する液浸露光装置である。本実施形態において、露光光ELの光路Kの少なくとも一部が液体LQで満たされるように、液浸空間LSが形成される。液浸空間は、液体で満たされた部分(空間、領域)である。基板Pは、液浸空間LSの液体LQを介して露光光ELで露光される。本実施形態では、液体LQとして水(純水)を用いる。
【0018】
本実施形態の液浸露光装置EXは、マスクステージ1、基板ステージ2、照明系IL、投影系PL、液浸部材3、制御装置4、記憶装置5、及びチャンバ装置CHを備える。マスクステージ1は、マスクMを保持して移動可能である。基板ステージ2は、基板Pを保持して移動可能である。照明系ILは、マスクMを露光光ELで照明する。投影系PLは、露光光ELで照明されたマスクMのパターンの像を基板Pに投影する。液浸部材3は、基板Pとの間に液体LQを保持して液浸空間LSを形成する。制御装置4は、液浸露光装置EXの動作を制御する。記憶装置5は、制御装置4に接続され、露光に関する各種の情報を記憶する。
【0019】
本実施形態の制御装置4は、CPU等を有するコンピュータシステムを含む。本実施形態の制御装置4は、コンピュータシステムと外部装置との通信を実行可能なインターフェースを含む。制御装置4に、入力信号を入力可能な入力装置が接続されていてもよい。入力装置は、キーボード、マウス等の入力機器、あるいは外部装置からのデータを入力可能な通信装置等を含む。制御装置4は、液晶表示ディスプレイ等の表示装置を含んでいてもよいし、表示装置と接続されていてもよい。記憶装置5は、例えばRAM等のメモリ、ハードディスク、CD−ROM等の記録媒体を含む。本実施形態の記憶装置5には、コンピュータシステムを制御するオペレーティングシステム(OS)がインストールされている。記憶装置5には、制御装置4に、液体LQを介して露光光ELで基板Pを露光する液浸露光装置EXの制御を実行させるプログラムが記録されている。記憶装置5に記録されているプログラムを含む各種情報は、制御装置(コンピュータシステム)4が読み取り可能である。制御装置4は、液浸露光装置EXの各部の制御に要する各種処理を実行するASIC等の論理回路を含んでいてもよい。制御装置4の機能は、ソフトウエアで実現されていてもよいし、ハードウエアで実現されていてもよく、ハードウエアとソフトウエアとの組合せで実現されていてもよい。
【0020】
チャンバ装置CHは、少なくとも投影系PL、液浸部材3、及び基板ステージ2が配置される内部空間CSを形成する。チャンバ装置CHは、内部空間CSの環境(温度、湿度、圧力、及びクリーン度)を制御する環境制御装置を含む。
【0021】
マスクMは、基板Pに投影されるデバイスパターンが形成されたレチクルを含む。本実施形態のマスクMは、透過型マスクを含む。透過型マスクは、例えばガラス板等の透明板と、この透明板上にクロム等の遮光材料を用いて形成されたパターンとを有する。
【0022】
基板Pは、例えばデバイスを製造するための基板である。基板Pは、例えば半導体ウエハ等の基材と、この基材上に形成された感光材とを含む。感光膜は、感光材の膜である。基板Pは、例えば反射防止膜や、感光膜を保護する保護膜、デバイスの構成要素となる膜等の各種の膜を1種以上含んでいてもよい。
【0023】
照明系ILは、所定の照明領域IRに露光光ELを照射する。照明系ILは、照明領域IRに配置されたマスクMの少なくとも一部を均一な照度分布の露光光ELで照明する。照明系ILから射出される露光光ELとして、例えば水銀ランプから射出される輝線(g線、h線、i線)及びKrFエキシマレーザ光(波長248nm)等の遠紫外光(DUV光)、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)、及びF2レーザ光(波長157nm)等の真空紫外光(VUV光)等が用いられる。本実施形態では、露光光ELとして、紫外光(真空紫外光)であるArFエキシマレーザ光を用いる。
【0024】
マスクステージ1は、マスクMを保持した状態で、照明領域IRを含むベース部材6のガイド面6a上を移動可能である。マスクステージ1は、例えば米国特許第6452292号明細書に開示されているような平面モータを含む駆動システムの作動により移動する。本実施形態の平面モータは、マスクステージ1に配置された可動子と、ベース部材6に配置された固定子とを含む。本実施形態のマスクステージ1は、駆動システムの作動により、ガイド面6a上でX軸、Y軸、Z軸、θX、θY、及びθZ方向の6つの方向に移動可能である。
【0025】
投影系PLは、所定の投影領域PRに露光光ELを照射する。投影系PLは、投影領域PRに配置された基板Pの少なくとも一部に、マスクMのパターンの像を所定の投影倍率で投影する。投影系PLは、縮小系、等倍系、及び拡大系のいずれでもよい。本実施形態の投影系PLの光軸AXは、Z軸と平行である。投影系PLは、反射光学素子を含まない屈折系、屈折光学素子を含まない反射系、反射光学素子と屈折光学素子とを含む反射屈折系のいずれでもよい。投影系PLは、倒立像と正立像のいずれを形成してもよい。本実施形態の投影系PLは、投影系PLの像面に向けて露光光ELを射出する射出面7を有する。本実施形態の射出面7は、投影系PLの複数の光学素子のうち、投影系PLの像面に最も近い終端光学素子8に配置されている。本実施形態の射出面7は、−Z方向を向いており、XY平面と平行である。なお、射出面7は、−Z方向に対する凸面と凹面の少なくとも一方を含んでいてもよい。射出面7は、曲面を含んでいてもよい。本実施形態の終端光学素子8の光軸は、Z軸と平行である。本実施形態において、射出面7から射出される露光光ELは、−Z方向に進行する。
【0026】
本実施形態の基板ステージ2は、基板Pを保持した状態で、投影領域PRを含むベース部材9のガイド面9a上を移動可能である。本実施形態の基板ステージ2は、マスクステージ1と同様の駆動システムの作動により、ガイド面9a上でX軸、Y軸、Z軸、θX、θY、及びθZ方向の6つの方向に移動可能である。なお、基板ステージ2を移動させる駆動システムは、マスクステージ1を移動させる駆動システムと異なる構成でもよい。基板ステージ2を移動させる駆動システムが、平面モータを含まなくても構わない。
【0027】
本実施形態の基板ステージ2は、基板Pをリリース可能に保持する基板保持部10を含む。基板保持部10は、基板Pの表面が+Z方向を向くように基板Pを保持する。本実施形態において、基板保持部10に保持された基板Pの表面と、その基板Pの周囲に配置される基板ステージ2の上面2aとは、同一平面内に配置される(面一である)。本実施形態の上面2aは、平坦である。本実施形態において、基板保持部10に保持された基板Pの表面、及び基板ステージ2の上面2aは、XY平面とほぼ平行である。なお、基板保持部10に保持された基板Pの表面と基板ステージ2の上面2aとが同一平面内に配置されていなくてもよいし、基板Pの表面及び上面2aの少なくとも一方がXY平面と非平行でもよい。上面2aは、曲面を含んでいてもよい。
【0028】
本実施形態の基板ステージ2は、例えば米国特許出願公開第2007/0177125号明細書、及び米国特許出願公開第2008/0049209号明細書等に開示されているような、カバー部材Tをリリース可能に保持するカバー部材保持部11を含む。本実施形態の基板ステージ2の上面2aは、カバー部材保持部11に保持されたカバー部材Tの上面を含む。なお、カバー部材Tがリリース可能でなくてもよい。カバー部材Tがリリース可能でない場合に、カバー部材保持部11を省略してもよい。基板ステージ2の上面2aが、基板ステージ2に搭載されているセンサ、計測部材等の表面を含んでもよい。
【0029】
本実施形態において、マスクステージ1及び基板ステージ2の位置は、干渉計システム12によって計測される。干渉計システム12は、レーザ干渉計ユニット13、14を含む。レーザ干渉計ユニット13は、マスクステージ1に配置された計測ミラーを用いて、マスクステージ1の位置を計測可能である。レーザ干渉計ユニット14は、基板ステージ2に配置された計測ミラーを用いて、基板ステージ2の位置を計測可能である。基板Pの露光処理、あるいは所定の計測処理を実行するとき、制御装置4は、干渉計システム12の計測結果に基づいて、マスクステージ1(マスクM)及び基板ステージ2(基板P)の位置制御を実行する。なお、液浸露光装置EXの一部又は外部装置として、例えば各ステージに設けられるスケール(回折格子)を検出するエンコーダシステムを用いてもよい。また、干渉計システム12とエンコーダシステムを併用してもよい。
【0030】
本実施形態の液浸露光装置EXは、マスクMと基板Pとを所定の走査方向に同期移動しつつ、マスクMのパターンの像を基板Pに投影する走査型露光装置(所謂スキャニングステッパ)である。本実施形態において、基板Pの走査方向(同期移動方向)をY軸方向とし、マスクMの走査方向(同期移動方向)もY軸方向とする。制御装置4は、基板Pを投影系PLの投影領域PRに対してY軸方向に移動させる制御を行うとともに、この基板PのY軸方向への移動と同期して、照明系ILの照明領域IRに対してマスクMをY軸方向に移動させる制御を行いつつ、投影系PLと基板P上の液浸空間LSの液体LQとを介して基板Pに露光光ELを照射する制御を行う。
【0031】
液浸部材3は、射出面7から露光光ELを照射可能な位置に配置される物体と射出面7との間の露光光ELの光路Kが液体LQで満たされるように、物体との間で液体LQを保持して液浸空間LSを形成する。本実施形態において、射出面7から射出される露光光ELを照射可能な位置は、投影領域PRを含む。本実施形態において、射出面7から射出される露光光ELが照射可能な位置は、射出面7と対向する位置を含む。本実施形態において、射出面7と対向する位置に配置可能な物体、換言すれば、投影領域PRに配置可能な物体は、基板ステージ2、及び基板ステージ2に保持された基板Pの少なくとも一方を含む。本実施形態の液浸部材3は、終端光学素子8、及び終端光学素子8と投影領域PRに配置される物体との間の露光光ELの光路Kの周囲の少なくとも一部に配置される。本実施形態の液浸部材3は、環状の部材である。本実施形態の液浸部材3の一部は、終端光学素子8の周囲に配置される。本実施形態の液浸部材3の一部は、終端光学素子8と物体との間の露光光ELの光路Kの周囲に配置される。
【0032】
なお、液浸部材3は、環状の部材でなくてもよい。例えば液浸部材3が終端光学素子8及び光路Kの周囲の一部に配置されていてもよい。液浸部材3は、終端光学素子8の周囲の少なくとも一部に配置されていなくてもよい。例えば、液浸部材3が、射出面7と物体との間の光路Kの周囲の少なくとも一部に配置され、終端光学素子8の周囲に配置されていなくてもよい。液浸部材3が、射出面7と物体との間の光路Kの周囲の少なくとも一部に配置されていなくてもよい。例えば、液浸部材3が、終端光学素子8の周囲の少なくとも一部に配置され、射出面7と物体との間の光路Kの周囲に配置されていなくてもよい。
【0033】
液浸部材3は、投影領域PRに配置される物体の表面(上面)が対向可能な下面3aを有する。液浸部材3の下面3aは、物体の表面との間で液体LQを保持することができる。本実施形態において、一方側の射出面7及び下面3aと、他方側の物体の表面(上面)との間に液体LQが保持されることによって、液浸空間LSが形成される。本実施形態において、基板Pに露光光ELが照射されているとき、投影領域PRを含む基板Pの表面の一部の領域が液体LQで覆われるように液浸空間LSが形成される。液体LQの界面(メニスカス、エッジ)LGの少なくとも一部は、液浸部材3の下面3aと基板Pの表面との間に形成される。すなわち、本実施形態の液浸露光装置EXは、局所液浸方式を採用する。液浸空間LSの外側すなわち界面LGの外側は、気体空間GSである。
【0034】
図2(a)は、本実施形態の液浸部材を上側(+Z方向側)から見た平面図、図2(b)は、本実施形態の液浸部材を下側(−Z方向側)から見た平面図、図3は、本実施形態の液浸部材の一部を拡大して示す側断面図である。図3は、図2(a)のA−A’線断面図に相当する。本実施形態では投影領域PRに基板Pが配置されているが、投影領域PRに基板ステージ2(カバー部材T)が配置されていてもよい。
【0035】
本実施形態の液浸部材3は、プレート部20、本体部21、及び流路形成部材22を含む。プレート部20は、その少なくとも一部が射出面7に対向するように配置される。本体部21は、その少なくとも一部が終端光学素子8の側面8aに対向するように配置される。本実施形態の側面8aは、射出面7の周囲に配置されている。本実施形態の側面8aは、光路Kに対する放射方向に関して、外側に向かって上方に傾斜している。光路Kに対する放射方向は、投影系PLの光軸AXに対する放射方向を含み、Z軸と垂直な方向を含む。本実施形態において、プレート部20と本体部21とは一体である。本実施形態の流路形成部材22は、プレート部20及び本体部21と異なる部材である。本実施形態の流路形成部材22は、本体部21に支持されている。流路形成部材22は、プレート部20及び本体部21と一体でもよい。
【0036】
液浸部材3は、射出面7に面する位置に開口23を有する。射出面7から射出された露光光ELは、開口23を通過して基板Pに照射可能である。本実施形態のプレート部20は、上面20a及び下面20bを有する。上面20aは、射出面7の少なくとも一部と対向するように配置される。下面20bは、基板Pの表面と対向するように配置可能である。開口23は、上面20aと下面20bとを結ぶ孔を含む。上面20aは、開口23の上端の周囲に配置され、下面20bは、開口23の下端の周囲に配置される。本実施形態の上面20aは、XY平面とほぼ平行な平面である。上面20aの少なくとも一部が、XY平面に対して傾斜していてもよいし、曲面を含んでもよい。本実施形態の下面20bは、XY平面とほぼ平行な平面である。下面20bの少なくとも一部が、XY平面に対して傾斜していてもよいし、曲面を含んでもよい。下面20bは、基板Pの表面との間で液体LQを保持する。本実施形態の下面20bの外形は、八角形である。下面20bの外形は、任意の多角形、楕円形、円形、直線と自由曲線の少なくとも一方を含む線を輪郭とする形状等でもよい。
【0037】
本実施形態の液浸部材3は、供給口24、回収口25、回収流路26、及び排出部27を含む。供給口24は、液体LQを供給可能である。回収口25は、液体LQを回収可能である。回収口25から回収された液体LQは、回収流路26を流れる。本実施形態の排出部27は、回収流路26の液体LQと気体Gとを分離して排出する。なお、排出部27が、回収流路26の液体LQ及び気体Gを含む混相流体を排出しても構わない。
【0038】
本実施形態の供給口24は、基板Pの露光の少なくとも一部において、光路Kに液体LQを供給する。供給口24は、光路Kの近傍において、光路Kに面するように配置される。本実施形態の供給口24は、射出面7と上面20aとの間の空間SRに液体LQを供給する。供給口24から空間SRに供給された液体LQの少なくとも一部は、光路Kに供給されるとともに、開口23を介して基板P上に供給される。なお、供給口24の少なくとも一部が側面8aに面していてもよい。
【0039】
本実施形態の液浸部材3は、供給口24に接続される供給流路28を含む。供給流路28の少なくとも一部は、液浸部材3の内部に形成されている。本実施形態の供給口24は、供給流路28の一端に形成された開口を含む。本実施形態において、供給流路28の他端は、供給管29内の流路を介して液体供給装置30と接続される。液体供給装置30は、クリーンで温度調整された液体LQを送出可能である。液体供給装置30から送出された液体LQは、供給流路28を介して供給口24に供給される。
【0040】
回収口25は、基板P上の液体LQの少なくとも一部を回収可能である。回収口25は、基板Pの露光において、基板P上の液体LQの少なくとも一部を回収する。本実施形態の回収口25は、−Z方向を向いている。基板Pの露光の少なくとも一部において、基板Pは、その表面の少なくとも一部が回収口25に面するように配置される。
【0041】
本実施形態の液浸部材3は、回収口25を有する第1部材31を含む。第1部材31は下面31b、下面31bとは異なる方向を向く上面31a、及び下面31bと上面31aとを結ぶ複数の孔(openingsあるいはpores)32を有する。本実施形態の第1部材31の下面31bは、プレート部20の下面20bの周囲の少なくとも一部に配置される。本実施形態の第1部材31の下面31bは、プレート部20の下面20bを環状に囲むように配置される。なお、複数の第1部材31が、下面20b(光路K)の周囲に離散的に配置されていてもよい。本実施形態の下面31bは、液浸部材3の下側(−Z方向側)の空間SPに面している。本実施形態の空間SPは、液浸部材3の下面3aと、下面3aに対向する物体の表面との間の空間を含む。本実施形態において、液浸部材3が基板P等の物体に対向して配置されているときに、下面31bが空間SPに面して配置されるとともに、上面31aが回収流路26に面して配置される。
【0042】
本実施形態の第1部材31は、プレート状の部材である。本実施形態の液浸部材3の下面3aは、プレート部20の下面20b及び第1部材31の下面31bを含む。図1に示したように、液浸部材3の下面3aに対向する物体上に液浸空間LSが形成されている場合、空間SPは、液浸空間(液体空間)LSと気体空間GSとを含む。
【0043】
本実施形態の第1部材31は、複数の孔(openings)32を含む。本実施形態の回収口25は、第1部材31の孔32の下端(下面31b側)の開口を含む。下面31bは孔32の下端の周囲に配置され、上面31aは孔32の上端の周囲に配置される。孔32は、上面31aと下面31bの一方から他方に向かうにつれて、その孔径が連続的又は段階的に変化してもよいし、その孔径が実質的に変化しなくてもよい。本実施形態において、孔32の孔径は、下面31bから上面31aに向かうにつれて連続的に縮小している。孔32のアスペクト比は、例えば0.1以上1以下でもよく、0.3以上0.7以下でもよい。本実施形態において、孔32のアスペクト比は、孔32の近傍での第1部材31の板厚に対する、第1部材31の下面31bにおける孔32の孔径の比率である。本実施形態において、第1部材31の板厚d1は、下面31bから上面31aに向かう方向(Z方向)の第1部材31の寸法である。孔32の孔径は、孔32の軸方向(Z方向)に直交する平面(XY面)における孔32の内寸の最大値としてもよいし、平均値としてもよい。孔32の近傍での第1部材31の板厚d1は、例えば0.1mm以上1.0mm以下でもよく、0.15mm以上0.45mm以下でもよい。なお、第1部材31として、液体LQを回収可能な孔を有する各種部材を適用可能である。例えば、第1部材31は、網目状に多数の小さい孔(気孔、pores)が形成された多孔部材であるメッシュフィルタであってもよい。第1部材31は、プレート状の部材でなくとも構わない。
【0044】
回収流路26の少なくとも一部は、液浸部材3の内部に形成されている。本実施形態において、本体部21の下端に開口33が形成されている。開口33は、下面20bの周囲の少なくとも一部に配置される。基板Pを露光するときに、開口33は、基板Pと対向する方向(−Z方向)を向いている。本実施形態の第1部材31は、開口33に配置されている。回収流路26は、本体部21と第1部材31との間の空間を含む。
【0045】
回収流路26へ回収される流体Fは、第1部材31の孔32を流通可能である。本実施形態の流体Fは、気体G及び液体LQを含む。孔32は、回収流路26に接続されている。下面31bと対向する物体上の液体LQの少なくとも一部は、孔32から回収される。孔32から回収された液体LQは、回収流路26を流れる。本実施形態において、気体空間GSの気体Gは、液浸空間LSの液体LQとともに、複数の孔32の1以上から回収される。
【0046】
本実施形態の液浸部材3は、孔32を通った流体F中の気泡の膨張を抑制する第2部材34を含む。本実施形態の第2部材34は、回収流路26内に配置されている。本実施形態の第2部材34は、網目状に多数の小さい気孔(pores)が形成されたプレート状の多孔部材である。本実施形態の第2部材34は、下面34bと、下面34bとは異なる方向を向く上面34aとを含む。本実施形態において、第2部材34の下面34bの少なくとも一部が、第1部材31の上面31aと接触している。
【0047】
なお、第2部材34の下面34bの少なくとも一部が、第1部材31の上面31aから離れていてもよい。本実施形態において、流体F中の気体Gが通過する部分の第1部材31の上面31aが、第2部材34の下面34bと接触している。なお、流体F中の気体Gが通過する部分の第1部材31の上面31aが、第2部材34の下面34bから離れており、この部分の上面31aと第2部材34の下面34bとの間隔が、第1部材31の上面31a側での孔32の孔径以下であってもよい。流体F中の気体Gが通過しない部分(以下、気体非通過部という)の第1部材31の上面31aが、第2部材34の下面34bと接触していなくてもよい。気体非通過部の少なくとも一部の上側(+Z方向側)に、第2部材34が設けられていなくてもよい。
【0048】
本実施形態において、孔32を通った流体Fは、第2部材34の気孔を流路として第2部材34を通過する。本実施形態において、第2部材34を通過する流体F中の気泡の移動が規制され、気泡の合体が抑制されることが期待できる。本実施形態の第2部材34は、流路断面(気孔)が流体F中の気泡の体積を規制するように、その気孔径が設定されている。本実施形態において、第2部材34の気孔径の平均値は、第1部材31の上面31aにおける孔32の孔径の平均値以下に設定されている。本実施形態において、第2部材34の内部での気泡の膨張が抑制されることが期待でき、気泡の膨張による流体Fの温度の変化が抑制されること等が期待できる。
【0049】
本実施形態において、流体Fが通過する部分の第2部材34の板厚d2は、流体Fが通過する部分の第1部材の板厚d1以上に設定されている。本実施形態において、第2部材34の板厚d2は、下面34bから上面34aに向かう方向の第2部材34の寸法である。本実施形態において、第2部材34の上面34a側での流体Fの温度変化の影響が、第2部材34の板厚d2の分だけ第1部材31に反映されにくくなることが期待でき、例えば基板Pの温度変化が抑制されることが期待できる。なお、第2部材34の平均板厚は、第1部材31の平均板厚以上でもよいし、第1部材31の平均板厚未満でも構わない。第2部材34は、第1部材31よりも熱伝導率が低い形成材料で形成されていてもよい。第2部材34は、ポーラスアルミナを含んでいてもよい。第2部材34として、流体Fを通す部材を適宜選択して適用可能である。第2部材34は、プレート状の部材でなくても構わない。
【0050】
本実施形態の排出部27は、第1排出口35及び第2排出口36を含む。第1排出口35は、回収流路26に面し、回収流路26から液体LQを排出する。本実施形態の第1排出口35は、回収口25よりも上方(+Z方向)において回収流路26に面するように配置されている。第2排出口36は、回収流路26に面し、回収流路26から気体Gを排出する。本実施形態の第2排出口36は、回収口25よりも上方(+Z方向)において回収流路26に面するように配置されている。本実施形態において、第1排出口35及び第2排出口36の少なくとも一方は、下方(−Z方向)を向いている。本実施形態において、第1排出口35及び第2排出口36のそれぞれが、下方を向いている。本実施形態の第1排出口35は、光路Kに対する放射方向に関して第2排出口36の外側に配置される。本実施形態の第1排出口35は、第2排出口36よりも下方に配置される。本実施形態の第2排出口36は、第1排出口35よりも、第2部材34の上面34aから離れて配置されている。本実施形態において、第1部材31の上面31aと第1排出口35との間に、第2部材34が配置されている。本実施形態において、第1排出口35の縁端が、第2部材34の上面34aと非接触である。
【0051】
上述のように、本実施形態の第1部材31は、空間SPから回収流路26へ液体LQを気体Gとともに回収する。本実施形態において、基板Pと第1部材31との間の空間SPの液体LQ及び気体Gは、第1部材31及び第2部材34を介して、回収流路26へ流れる。本実施形態において、流体F中の気泡Gbが回収流路26において流体F中で浮上し、回収流路26に気体空間と液体空間とが形成される。第1排出口35は、回収流路26の液体LQを排出し、第2排出口36は、回収流路26の気体Gを排出する。本実施形態の第1排出口35は、第2排出口36よりも気体Gの流入が抑制されている。本実施形態の第1排出口35は、実質的に回収流路26から液体LQのみを排出する。本実施形態の第2排出口36は、第1排出口35よりも液体LQの流入が抑制されている。本実施形態の第2排出口36は、実質的に回収流路26から気体Gのみを排出する。
【0052】
本実施形態の液浸部材3は、第1排出口35を有する第3部材37を含む。第3部材37は、回収流路26に面する下面37b、下面37bとは異なる方向を向く上面37a、及び下面37bと上面37aとを結ぶ複数の孔38を含む。本実施形態の第1排出口35は、第3部材37の孔38を含む。本実施形態の第3部材37は、多孔部材である。第3部材37は、気体Gの流入を抑制可能な孔を有する各種部材を適用することができる。第3部材37は、網目状に多数の小さい孔(気孔)が形成された多孔部材であるメッシュフィルタでもよい。本実施形態において、流路形成部材22の下端に、開口39が形成されている。開口39は、下方(−Z方向)を向く。本実施形態の第3部材37は、開口39に配置される。
【0053】
本実施形態の第3部材37は、プレート状の部材である。本実施形態の第3部材37は、下面37bが回収流路26に面するとともに上面37aが流路形成部材22の流路40に面するように配置される。本実施形態において、下面37bと上面37aとは、互いにほぼ平行である。第3部材37は、上面37aが+Z方向を向き、下面37bが上面37aの反対方向(−Z方向)を向くように配置される。本実施形態の第3部材37は、下面37b及び上面37aとXY平面とがほぼ平行となるように配置される。なお、第3部材37は、プレート状の部材でなくてもよい。下面37bと上面37aとが、互いに非平行でもよい。下面37bの少なくとも一部がXY平面に対して傾斜していてもよいし、曲面を含んでもよい。上面37aの少なくとも一部がXY平面に対して傾斜していてもよいし、曲面を含んでもよい。
【0054】
流体Fは、第3部材37の孔38を流通可能である。本実施形態の第1排出口35は、孔38の下端側(下面37b側)の開口を含む。孔38の下端の周囲に下面37bが配置され、孔38の上端の周囲に上面37aが配置される。回収流路26の液体LQの少なくとも一部は、孔38から排出される。本実施形態の孔38は、流路40が接続されている。本実施形態において、孔38から排出された液体LQは、流路40を流れる。本実施形態において、第1排出口35からの気体の排出が抑制されるように、下面37bが面する回収流路26と、上面37aが面する流路(空間)40との圧力差が調整される。
【0055】
本実施形態において、孔38の寸法(孔径、直径)d3、孔38の表面における液体LQの接触角(親液性)θ、液体LQの表面張力γ、下面37bが面する回収流路26の圧力Pb、及び上面37aが面する流路40の圧力Pc等のパラメータが調整されることによって、液体LQと気体Gとの界面が孔38の内側に維持される。換言すると、孔38を介して回収流路26から流路40へ気体Gが流入することが抑制され、第3部材37(第1排出口35)は、実質的に液体LQのみを排出することができる。本実施形態において、上記のパラメータが下記の式(1)を満たす。以下の説明で、式(1)を満たす回収条件を液体選択回収条件ということがある。なお、式(1)では、説明を簡単にするために第1部材31の上側の液体LQの静水圧は考慮してない。本実施形態において、孔38の寸法dが、上面37aと下面37bとの間における孔38の寸法の最小値である。寸法dは、上面37aと下面37bとの間における孔38の寸法の最小値でなくともよく、例えば平均値でもよいし、最大値でもよい。
(4×γ×cosθ)/d ≧ (Pc−Pb) ・・・(1)
【0056】
本実施形態において、第3部材37の孔38を介した液体LQの回収条件(排出条件)が液体選択回収条件になるように、回収流路26の圧力Pbと流路40の圧力Pcとの差が調整される。圧力Pcは、圧力Pbよりも低い。すなわち、第3部材37の孔38から回収流路26の液体LQが流路40に排出され、孔38から流路40への気体Gの流入が抑制されるように、回収流路26の圧力Pbと流路40の圧力Pcとの差が定められる。圧力Pbと圧力Pcの少なくとも一方が調整されることにより、第3部材37の孔38から実質的に液体LQのみが流路40に排出され、気体Gは流路40に実質的に排出されない。
【0057】
本実施形態において、第3部材37の表面の少なくとも一部は、液体LQに対して親液性である。本実施形態において、少なくとも第3部材37の孔38の表面(内面)は、液体LQに対して親液性である。本実施形態において、液体LQに対する孔38の表面の接触角は、90度よりも小さい。なお、液体LQに対する孔38の表面の接触角が、50度以下でもよいし、40度以下でもよいし、30度以下でもよいし、20度以下でもよい。
【0058】
本実施形態において、第1排出口35及び第2排出口36は、光路Kの周囲の少なくとも一部に配置される。本実施形態において、第1排出口35を有する第3部材37は、光路Kの周囲において所定間隔で複数配置される。本実施形態の第3部材37は、光路Kの周囲において4箇所に配置される。本実施形態の第2排出口36は、光路Kの周囲において所定間隔で複数配置される。本実施形態の第1排出口35は、流路40、及び排出管41内の流路を介して第1排出装置42に接続されている。本実施形態の第2排出口36は、流路43、及び排出管44内の流路を介して第2排出装置45に接続されている。本実施形態の流路43の少なくとも一部は、液浸部材3の内部に設けられている。第1排出装置42及び第2排出装置45は、例えば真空システムを含み、流体を吸引可能である。本実施形態において、第1排出装置42が作動することによって、第1排出口35からの排出動作が実行される。本実施形態において、第2排出装置45が作動することによって、第2排出口36からの排出動作が実行される。
【0059】
本実施形態の第1排出装置42は、第3部材37の上面37aが面する流路40の圧力(Pc)を調整可能である。本実施形態の第2排出装置45は、第3部材37の下面37b、及び第2部材34の上面34aが面する回収流路26の圧力(Pb)を調整可能である。本実施形態のチャンバ装置CHは、空間SPを含む内部空間CSの圧力を調整可能である。本実施形態の制御装置4は、第1排出装置42及び第2排出装置45を用いて、第3部材37が回収流路26の液体LQのみを排出するように、圧力Pb、Pcを調整する。なお、液浸露光装置EXが、第1排出装置42及び第2排出装置45の少なくとも一方を備えていてもよい。第1排出装置42及び第2排出装置45の少なくとも一方が、液浸露光装置EXに対する外部装置(以下、外部装置と略記することがある)、例えば液浸露光装置EXが設置される工場の設備でもよい。
【0060】
本実施形態において、液浸部材3の表面の少なくとも一部は、アモルファスカーボン膜で形成されている。アモルファスカーボン膜は、テトラヘドラルアモルファスカーボン膜を含んでもよい。本実施形態において、基板Pの露光において液浸空間LSの液体LQと接触する液浸部材3の表面の少なくとも一部が、アモルファスカーボン膜で形成されている。本実施形態において、プレート部20及び本体部21の基材がチタンを含み、この基材の表面にアモルファスカーボン膜が形成されている。本実施形態において、第1部材31及び第3部材37の基材がチタンを含み、この基材の表面にアモルファスカーボン膜が形成されている。アモルファスカーボン膜は、例えばCVD法(化学気相成長法)を用いて形成されてもよいし、PVD法(物理気相成長法)等を用いて形成されてもよい。プレート部20、本体部21、第1部材31、及び第3部材37の1つ以上を含む液浸部材3の基材が、ステンレス、アルミニウム等の金属を含んでもよいし、セラミックスを含んでもよい。
【0061】
次に、上記の液浸露光装置EXの動作説明と合わせて、本実施形態の液体回収法方法の一例について説明する。本実施形態の液体回収法方法は、第1部材31の下面31bに物体を対向させることを含む。本実施形態の液浸露光装置EXの制御装置4は、液浸部材3に対する基板ステージ2の位置を制御して、第1部材31の下面31bを基板Pに対向させる。本実施形態の液体回収方法は、下面31bと物体との間の空間から第1部材31の孔32を介して、液体LQを含んだ流体Fを回収することを含む。流体Fの回収は、孔32を介して回収された流体中の気泡の膨張を抑制しながら行われる。本実施形態において、制御装置4は、第1排出装置42及び第2排出装置45を制御し、第1排出装置42及び第2排出装置45の動作によって、第1部材31の下面31bと基板Pとの間の空間SPから第1部材31の孔32を介して、液体LQを含む流体Fが回収される。本実施形態の液浸露光装置EXにおいて、回収された流体Fが第2部材34の気孔を通るので、流体F中の気泡の膨張が抑制される。本実施形態において、制御装置4に上記の制御を実行させるプログラムが、記憶装置5に記憶されている。このプログラムに従って、上記の各種制御が実行される。本実施形態にあっては、気泡の膨張が抑制されるので、例えば気泡の断熱膨張に伴う流体の温度変化が抑制されることが期待でき、液浸露光において回収される流体の温度による影響が減少することが期待できる。
【0062】
<第2実施形態>
次に、第2実施形態について説明する。図4は、第2実施形態における液浸部材の一例を示す側断面図である。本実施形態の液浸部材3Bは、流路形成部材50、第2部材51、及び第3部材52を含む。本実施形態の第2部材51は、回収口25を通った流体中の気泡の膨張を抑制する。本実施形態の第2部材51は、回収流路26内に配置されている。本実施形態の第2部材51は、網目状に多数の小さい気孔(pores)が形成されたプレート状の多孔部材である。本実施形態の第2部材51は、下面51b、及び下面51bとは異なる方向を向く上面51aを含む。本実施形態の第2部材51は、上面51a側に配置された凹部53を含む。
【0063】
本実施形態の流路形成部材50は、第1下端部54と、光路Kに関して第1下端部54よりも内側に配置された第2下端部55を含む。第1下端部54は、第1部材31に向かって、第2下端部55よりも突出している。なお、第2下端部55が、第1部材31に向かって、第1下端部54よりも突出していても構わない。
【0064】
本実施形態の第1下端部54の少なくとも一部は、第2部材51の少なくとも一部よりも−Z方向に配置されている。本実施形態の第2下端部55の少なくとも一部は、第2部材51よりも+Z方向に配置されている。本実施形態において、第1下端部54の少なくとも一部が、第2部材51の凹部53の内側に配置されている。本実施形態において、第1下端部54の少なくとも一部が、凹部53の内壁に接触している。なお、第1下端部54が、凹部53の内壁と非接触に配置されていてもよく、この場合に凹部53が設けられていなくてもよい。また、第1下端部54の下端が、第2部材51の上端よりも+Z方向に配置されていてもよい。
【0065】
本実施形態の第3部材52は、第1排出口35を有する。本実施形態の第3部材52は、上記の液体選択回収条件を満たすように設定されている。第3部材52は、回収流路26に面する下面52b、下面52bと異なる方向を向く上面52a、及び下面52bと上面52aとを結ぶ複数の孔56を含む。本実施形態の第1排出口35は、第3部材52の孔56の下端の開口を含む。本実施形態の第3部材52は、多孔部材である。本実施形態において、上面52aと下面52bとが実質的に互いに平行である。本実施形態の孔56は、その軸方向が上面52a(下面52b)の法線方向に対して実質的に平行である。
【0066】
第3部材52は、気体Gの流入を抑制可能な孔を有する各種部材を適用することができる。第3部材52は、網目状に多数の小さい孔(気孔)が形成された多孔部材であるメッシュフィルタでもよい。本実施形態において、流路形成部材50の下端に、開口57が形成されている。開口57は、下方(−Z方向)を向く。本実施形態の開口57の縁端は、第1下端部54の一部及び第2下端部55の一部を含む。本実施形態の第3部材52は、開口57に配置される。
【0067】
本実施形態において、第3部材52の下面52bが、第1部材31に対して部分的に接近している。本実施形態の下面52bの一部は、第2部材51の凹部53の内側に配置されている。本実施形態の下面52bの一部は、凹部53の内壁と接触している。本実施形態において、1以上の孔56の縁端の少なくとも一部が、第2部材51と接触している。これにより、回収流路26における液体LQの残留を抑制可能になることが期待できる。なお、第3部材52の下面52bが、凹部53の内壁と非接触に配置されていてもよく、この場合に凹部53が設けられていなくてもよい。また、第3部材52の下端が、第2部材51の上端よりも+Z方向に配置されていても構わない。第3部材52の下面52bは、曲面を含んでいてもよい。
【0068】
本実施形態の液浸部材3Bは、液体LQに対して撥液性の撥液部材58を含む。本実施形態の撥液部材58は、第2排出口36の周囲の少なくとも一部に配置されている。本実施形態の撥液部材58は、第2排出口36を環状に囲んで配置されている。撥液部材58に対する液体LQの接触角は、90°以上でもよく、100°以上あるいは110°以上でもよい。撥液部材58によって、液体LQが第2排出口36を通ることが抑制されることが期待できる。
【0069】
<第3実施形態>
次に、第3実施形態について説明する。図5は、本実施形態における液浸部材を下側(−Z方向側)から見た平面図、図6は、本実施形態における液浸部材の一部を拡大して示す側断面図である。図6は、図5のB−B’線断面図に相当する。
【0070】
本実施形態の液浸部材3Cは、回収口25を通った流体中の気泡の膨張を抑制する第2部材60を含む。本実施形態の第2部材60は、隔壁61を含む。隔壁61の少なくとも一部は、第1部材31の複数の孔32の間に配置される。本実施形態の隔壁61は、第1部材31において気体Gが通る部分の+Z方向に配置されている。
【0071】
本実施形態の孔32は、周期的に配列されている。本実施形態の孔32は、三角格子の格子点に位置するように、配列されている。本実施形態の隔壁61は、孔32に対応して周期的に配置されている。本実施形態の隔壁61は、格子状に設けられている。本実施形態の第2部材60は、隔壁61によって構成されるハニカム構造を含む。本実施形態の隔壁61は、第1部材31の上面31aを区画するように、配置されている。本実施形態において、第1部材31の上面31a側の空間領域は、隔壁61に囲まれた区画領域62を複数含む。本実施形態において、Z方向から平面視した状態で、区画領域62のそれぞれに第1部材31の孔32が配置される。本実施形態において、第1部材31の孔32が、区画領域62と1対1で対応している。
【0072】
なお、第1部材31における上記の気体非通過部の+Z方向に、隔壁61が設けられていなくても構わない。また、Z方向から平面視したときに、2以上の区画領域にまたがって孔32が配置されるように、隔壁61の少なくとも一部が設けられていてもよい。Z方向から平面視したときに、区画領域に2以上の孔32が配置されるように、隔壁61が設けられていてもよい。第2部材60は、網目状に多数の小さい気孔(pores)が形成された多孔部材を含んでいてもよい。例えば、第2部材60は、気孔が形成された多孔部材と、隔壁61を有する構造体とが積層された部材を含んでいてもよい。
【0073】
本実施形態において、第1部材31の孔32を通った流体Fは、区画領域62を流れる。本実施形態において、区画領域62での流体Fの流れ方向に交差する面における、隔壁61の断面は、区画領域62を流れる流体F中の気泡の体積を規制するように設定されている。Z方向から平面視したときに、気泡Gbの平均自由行程に対する孔32から隔壁61までの最短距離の比率が、0より大きく1未満であってもよい。上記の気泡Gbの平均自由行程は、隔壁61が設けられていないときに気泡Gbが隔壁61のZ方向の寸法(高さ)だけZ方向に移動する間に、気泡GbがXY面に平行な面に移動する距離の平均値である。Z方向から平面視したときに、第1部材31の孔32のピッチに対する孔32から隔壁61までの最短距離の比率が、0より大きく1/2未満であってもよい。上記のピッチは、Z方向から平面視したときの複数の孔32のピッチの平均値であってもよい。本実施形態において、隔壁61のZ方向の寸法(高さ)は、第1部材31の板厚以上である。隔壁61のZ方向の寸法は、第1部材31の板厚未満であっても構わない。
【0074】
本実施形態において、第1部材31の孔32を通った流体F中の気泡Gbが、区画領域62を通る。孔32を通った流体F中の気泡Gbの移動は、XY方向にて区画領域62内に制限されるので、気泡Gbの合体が抑制されることが期待できる。換言すると、本実施形態の隔壁61は、第1部材31から回収流路26へ向かう流体Fの流れ方向を規制する。また、隔壁61に囲まれる区画領域62の外側まで気泡Gbが膨張することが抑制されるので、気泡Gbの膨張による流体Fの温度変化を抑制可能になることが期待できる。気泡Gbは、区画領域62を通った後に区画領域62の外側まで膨張することがありえる。気泡Gbが区画領域62の外側まで膨張する位置を、隔壁61のZ方向の寸法の分だけ第1部材31から離すことができる。したがって、気泡Gbの膨張による流体Fの温度変化が第1部材31に及ぼす熱影響が、低減されることが期待できる。
【0075】
<第4実施形態>
次に、第4実施形態について説明する。図7は、本実施形態における液浸部材を下側(−Z方向側)から見た平面図、図8は、本実施形態における液浸部材を示す側断面図である。図8は、図7のC−C’線断面図に相当する。
【0076】
本実施形態の液浸部材3Dは、第1部材31及び温度調整部65を含む。本実施形態の液浸部材3Dは、第1部材31の下面31bと対向する物体との間の空間SPから、液体LQと気体Gの少なくとも一方を回収可能である。本実施形態の液浸部材3Dは、空間SPから、液体LQと気体Gとを含んだ流体Fを回収可能である。本実施形態の液浸部材3Dにおいて、温度調整部65を利用して第1部材31の温度を調整可能である。
【0077】
本実施形態の温度調整部65は、熱媒体LQ2が流れる第1熱媒体流路66、第2熱媒体流路67、及び第3熱媒体流路68を含む。以下の説明で、第1熱媒体流路66、第2熱媒体流路67、及び第3熱媒体流路68を、熱媒体流路と総称することがある。本実施形態において、熱媒体流路の少なくとも一部を流れる熱媒体LQ2と第1部材31との熱交換により、第1部材31の温度が調整される。熱媒体LQ2が単位時間に第1部材31に与える熱量は、流体Fが単位時間に第1部材31から奪う熱量の一部又は全部を相殺する量に設定されていてもよい。流体Fが第1部材31から奪う熱量は、流体F中の液体LQの気化熱の量と流体F中の気体Gの膨張熱の量の、少なくとも一方に基づいていてもよい。
【0078】
熱媒体LQ2は、液相、気相、固体相のいずれを含んでいてもよい。熱媒体LQ2は、ゲル又はゾルを含んでいてもよい。本実施形態では、熱媒体LQ2として液体を用いる。熱媒体LQ2に液体を用いる場合に、この液体の組成は、露光光ELの光路Kの少なくとも一部を満たす液体LQと同じでもよいし、異なっていてもよい。本実施形態では、熱媒体LQ2として水を用いる。熱媒体LQ2は、その溶存気体濃度と含有不純物濃度の少なくとも一方が、液体LQと同じであってもよい。熱媒体LQ2は、その溶存気体濃度及び含有不純物濃度がいずれも、液体LQと異なっていてもよい。本実施形態の液体LQは、溶存気体濃度及び含有不純物濃度がいずれも、熱媒体LQ2よりも低い。本実施形態の熱媒体流路は、第1部材31から回収された流体Fの流路と独立している。本実施形態において、熱媒体流路を流れた熱媒体LQ2は、第1部材31から回収された流体Fと合流しない(混ざり合わない)。
【0079】
本実施形態において、熱媒体流路の少なくとも一部は、第1部材31の内部に配置されている。例えば、第1部材31が複数の部材を積層した積層部材を含み、熱媒体流路の少なくとも一部が上記の積層部材の層間に配置されていてもよい。例えば、液浸部材3Dが第1部材31の内部に配置された管部材を含み、熱媒体流路が管部材の内部を含んでいてもよい。なお、熱媒体流路は、第1部材31の温度を調整可能なように熱媒体LQ2が流通可能であれば、第1部材31の外部に配置されていてもよい。例えば、熱媒体流路は、第1部材31の上面31aに配置されていてもよいし、下面31bに配置されていてもよい。熱媒体流路は、回収流路26に配置されていてもよい。熱媒体流路は、上記の第2部材の内部に配置されていてもよい。
【0080】
本実施形態において、第1部材31の孔32は、光路Kに対して放射方向に列をなして並んでいる。本実施形態において、第1熱媒体流路66及び第2熱媒体流路67は、それぞれ、光路Kに対して放射方向にのびるように配置されている。本実施形態において、第1熱媒体流路66及び第2熱媒体流路67は、孔32の列と列の間に配置されている。本実施形態では、第1熱媒体流路66と第2熱媒体流路67とが、第1部材31の板厚方向(Z方向)に並んでいる。本実施形態では、Z方向から平面視したときに、第1熱媒体流路66が第2熱媒体流路67と重なっている。本実施形態では、Z方向から平面視したときに、第1熱媒体流路66の位置が第2熱媒体流路67の位置と実質的に同じである。本実施形態の第3熱媒体流路68は、第1部材31の板厚方向に屈曲している。第1熱媒体流路66の一端は、第3熱媒体流路68の一端と接続されている。第3熱媒体流路68の他端は、第2熱媒体流路67の一端と接続されている。第1熱媒体流路66の他端は、液浸部材3Dの外部に通じている。第1熱媒体流路66の他端は、熱媒体供給装置69と接続されている。第2熱媒体流路67の他端は、液浸部材3Dの外部に通じている。第2熱媒体流路67の他端は、熱媒体供給装置69と接続されている。
【0081】
本実施形態の熱媒体供給装置69は、熱媒体流路に供給される熱媒体LQ2の温度と流量の少なくとも一方を調整可能である。本実施形態の熱媒体供給装置69は、熱源及び温度センサを含む。熱媒体供給装置69の熱源は、熱媒体流路に供給される熱媒体LQ2の温度を変化させることが可能である。熱媒体供給装置69の温度センサは、熱媒体流路に供給される熱媒体LQ2の温度を計測可能である。本実施形態において、温度センサに計測結果に基づいて熱源が制御され、熱媒体流路を流れる熱媒体LQ2の温度が管理される。熱媒体流路に供給される熱媒体LQ2の温度は、第1部材31を通った液体LQの温度以上に設定されていてもよい。熱媒体流路に供給される熱媒体LQ2の温度は、供給口24から供給される液体LQの温度以上に設定されていてもよい。液浸露光装置EXは、熱媒体供給装置69の一部又は全部を含んでもよい。熱媒体供給装置69が、液浸露光装置EXの外部装置でも構わない。
【0082】
本実施形態において、熱媒体供給装置69は、温度が管理された熱媒体LQ2を第1熱媒体流路66に供給する。第1熱媒体流路66に供給された熱媒体LQ2は、光路Kの放射方向に対して内側に向かって流れた後に、第3熱媒体流路68を通る。第3熱媒体流路68を通った熱媒体LQ2は、第2熱媒体流路67を光路Kの放射方向に対して外側に向かって流れた後に、熱媒体供給装置69に回収される。本実施形態の熱媒体供給装置69は、第2熱媒体流路67から回収された熱媒体LQ2の温度を調整した後に、第1熱媒体流路66に再度供給する。本実施形態の熱媒体供給装置69は、熱媒体流路を流れる熱媒体LQ2の温度を管理しながら、熱媒体LQ2を熱媒体流路に循環させる。なお、熱媒体LQ2は、第2熱媒体流路67を流れた後に、第2熱媒体流路67よりも下方に配置された第1熱媒体流路66を流れるようになっていても構わない。
【0083】
図7に示したように、本実施形態の温度調整部65は、複数系統の熱媒体流路を含む。複数系統の熱媒体流路は、光路Kの周囲に離散的に配列されている。複数系統の熱媒体流路は、それぞれ、熱媒体供給装置69に接続されている。本実施形態では、複数の熱媒体供給装置69が配置されている。複数系統の熱媒体流路は、複数の熱媒体供給装置69に分かれて接続されている。本実施形態では、上記の同期移動方向(Y方向)の片側の熱媒体流路が第1の熱媒体供給装置に接続され、同期移動方向のもう片側の熱媒体流路が第2の熱媒体供給装置に接続されている。
【0084】
なお、熱媒体流路の数は、1系統であってもよい。複数系統の熱媒体流路が設けられている場合に、全系統の熱媒体流路が1つの熱媒体供給装置69に接続されていてもよい。複数系統の熱媒体流路が、3以上の熱媒体供給装置69に分かれて接続されていてもよい。なお、第1熱媒体流路66と第2熱媒体流路67の一方の流路に熱媒体LQ2を供給する供給装置と、他方の流路から熱媒体LQ2を回収する回収装置と、を備え、供給装置と回収装置とが別の装置であってもよい。
【0085】
本実施形態の制御装置4は、熱媒体供給装置69を制御し、第1部材31の温度を制御する。本実施形態の制御装置4は、露光の少なくとも一部において第1部材31の温度変化が減るように、熱媒体供給装置69を制御する。本実施形態の制御装置4は、複数系統の熱媒体流路のそれぞれを流れる熱媒体LQ2について、熱媒体LQ2の温度と流量の少なくとも一方を熱媒体流路ごとに制御可能である。このように、本実施形態の制御装置4は、第1部材31の温度分布を調整可能である。上記の第1部材31の温度分布は、光路Kの周囲における第1部材31の温度分布でもよいし、光軸AXに交差する面内での第1部材31の温度分布でもよく、第1部材31の上面31a又は下面31bに平行な方向における第1部材31の温度分布でもよい。制御装置4は、第1部材31の温度が実質的に均一になるように、第1部材の温度分布を調整してもよい。なお、制御装置4は、熱媒体LQ2の温度と流量の少なくとも一方を、熱媒体流路ごとに独立して制御する代わりに、2以上の系統の熱媒体流路で同じように調整してもよい。
【0086】
本実施形態では、第1部材31の温度と関連付けられた温度を測定するための計測部70が設けられている。本実施形態の計測部70は、第1部材31を通った流体Fの少なくとも一部の温度を測定可能である。本実施形態の計測部70は、第1排出口35から排出された液体LQの温度を測定可能である。計測部70は、液浸露光装置EXの一部であってもよいし、液浸露光装置EXの外部装置であってもよい。
【0087】
本実施形態の制御装置4は、計測部70の測定結果に基づいて、熱媒体供給装置69を制御する。制御装置4は、フィードフォワード制御とフィードバック制御の少なくとも一方によって、熱媒体供給装置69を制御してもよい。例えば、基板Pの露光の少なくとも一部において、液体LQの少なくとも一部を第1部材31から回収するとともに、第1部材31を通った液体LQの温度を計測部70で測定しながら、制御装置4が計測部70の測定結果に基づいて熱媒体供給装置69をフィードバック制御してもよい。また、基板Pの露光時以外に、基板Pの露光時と同様の条件で液体LQの少なくとも一部を第1部材31から回収するとともに、第1部材31を通った液体LQの温度を計測部70で測定し、基板Pの露光の少なくとも一部において、計測部70で予め測定した結果に基づいて、熱媒体供給装置69をフィードフォワード制御してもよい。フィードフォワード制御を行うときに、計測部70で予め測定した結果や、この結果に基づいて求められた熱媒体供給装置69の制御量等の情報は、記憶装置5に記憶されていてもよい。
【0088】
なお、上記のフィードフォワード制御と上記のフィードバック制御とを併用してもよい。この場合に、第1部材31の温度を調整するときの温度の調整幅と温度を調整する頻度(周波数)の少なくとも一方が、上記のフィードフォワード制御と上記のフィードバック制御とで異なっていてもよい。例えば、制御装置4は、上記のフィードフォワード制御によって第1部材31の温度を粗調整するとともに、上記のフィードバック制御によって第1部材31の温度を微調整してもよい。
【0089】
なお、第1部材31の温度と関連づけられる温度を光路Kの周囲の複数の位置で測定し、第1部材31の温度分布を求めてもよい。例えば、流路形成部材22が、光路Kの周囲に離散的に複数設けられており、計測部70が流路形成部材22ごとに設けられていてもよい。また、複数の温度センサが、回収流路26における光路Kの周囲に離散的に配置されていてもよい。複数の温度センサが、第1部材31の内部と表面の少なくとも一方における光路Kの周囲に離散的に配置されていてもよい。制御装置4は、光路Kの周囲における第1部材31の温度分布を示す情報に基づいて、光路Kの周囲における第1部材31の温度分布を調整することもできる。
【0090】
なお、制御装置4は、計測部70以外の温度センサの計測結果に基づいて、第1部材31の温度を調整してもよい。例えば、熱媒体供給装置69において、熱媒体流路に供給する前の熱媒体LQ2の温度と、熱媒体流路から回収した後の熱媒体LQ2の温度との差分は、第1部材31の温度と関連づけられた温度を示す情報を含んでいる。制御装置4は、熱媒体流路を流れる前後の熱媒体LQ2の温度の差分を用いて、第1部材31の温度を調整してもよい。
【0091】
次に、上記の液浸露光装置EXの動作説明と合わせて、本実施形態の液体回収法方法の一例について説明する。本実施形態の液体回収法方法は、第1部材31の下面31bに物体を対向させることを含む。本実施形態の液浸露光装置EXの制御装置4は、液浸部材3に対する基板ステージ2の位置を制御して、第1部材31の下面31bを基板Pに対向させる。本実施形態の液体回収方法は、下面31bと物体との間の空間から第1部材31の孔32を介して、液体LQを含んだ流体Fを回収することを含む。本実施形態において、制御装置4は、第1排出装置42及び第2排出装置45を制御し、第1排出装置42及び第2排出装置45の動作によって、第1部材31の下面31bと基板Pとの間の空間SPから第1部材31の孔32を介して、液体LQを含む流体Fが回収される。本実施形態の液体回収方法は、液体LQを回収する期間の少なくとも一部で第1部材31の温度を調整することを含む。本実施形態において、制御装置4は、熱媒体供給装置69制御することによって、第1部材31の温度を調整する。本実施形態において、制御装置4に上記の制御を実行させるプログラムが、記憶装置5に記憶されている。このプログラムに従って、上記の各種制御が実行される。本実施形態にあっては、第1部材31の温度を調整するので、第1部材31の温度が露光に及ぼす影響を制御することができる。例えば、基板Pを露光するときに、第1部材31の温度が基板Pの温度に及ぼす影響を減らすこと等ができる。
【0092】
<第5実施形態>
次に、第5実施形態について説明する。図9は、本実施形態における液浸部材を下側(−Z方向側)から見た平面図、図10は、本実施形態における液浸部材を示す側断面図である。図10は、図9のD−D’線断面図に相当する。
【0093】
本実施形態の液浸部材3Eは、第1部材31及び温度調整部71を含む。本実施形態の液浸部材3Eにおいて、温度調整部71を利用して第1部材31の温度を調整可能である。本実施形態の温度調整部71は、熱媒体流路72を含む。本実施形態の熱媒体流路72は、管部材73の内側の空間を含む。
【0094】
本実施形態では、管部材73が第1部材31よりも回収流路26側(+Z側)に配置されている。本実施形態の管部材73は、その外壁の少なくとも一部が第1部材31の上面31aと接触している。管部材73の外壁の少なくとも一部が、上面31aから離れていても構わない。管部材73の外壁の少なくとも一部が、上記の隔壁の少なくとも一部であってもよい。
【0095】
本実施形態の熱媒体流路72は、その一端と他端とが、いずれも液浸部材3Eの外部に通じている。本実施形態の熱媒体流路72は、一端と他端とが、熱媒体供給装置69に接続されている。本実施形態の熱媒体流路72は、その一端から光路Kの放射方向に延びる第1部分と、その他端から光路Kの放射方向に延びる第2部分と、第1部分と第2部分とを接続する第3部分とを含んでいる。本実施形態において、第1部分及び第2部分は、光軸AXに交差する面内に配置されており、第3部分はこの面内で屈曲している。本実施形態では、管部材73の一端及び他端が、いずれも液浸部材3Eの外部まで延びて熱媒体供給装置69に接続されている。
【0096】
本実施形態では、複数系統の熱媒体流路72が配置されている。複数系統の熱媒体流路72は、複数の熱媒体供給装置69に分かれて接続されている。熱媒体流路72は、その一端及び他端が、同一の熱媒体供給装置69に接続されていてもよい。熱媒体流路72は、その一端が第1の熱媒体供給装置に接続されており、その他端が第1の熱媒体供給装置とは別の第2の熱媒体供給装置に接続されていてもよい。
【0097】
<第6実施形態>
次に、第6実施形態について説明する。図11は、本実施形態における液浸部材を示す側断面図である。本実施形態の液浸部材3Fは、第1部材31及び熱媒体流路75を含む。本実施形態の熱媒体流路75は、管部材76の内側の空間を含む。本実施形態では、管部材76が第1部材31よりも回収流路26側(+Z側)に配置されている。本実施形態の管部材76は、その外壁の少なくとも一部が第1部材31の上面31aと接触している。管部材76の外壁の少なくとも一部が、上面31aから離れていても構わない。管部材76の外壁の少なくとも一部が、上記の隔壁の少なくとも一部であってもよい。
【0098】
本実施形態の熱媒体流路75の一端は、熱媒体供給装置77に接続されている。本実施形態の管部材76は、その一端が液浸部材3Fの外側まで延びて熱媒体供給装置77に接続されている。熱媒体流路75の他端は、回収流路26と合流している。本実施形態において、熱媒体流路75を流れた熱媒体LQ2は、第1部材31から回収された液体LQとともに、回収流路26を流れる。本実施形態において、熱媒体LQ2は、第1部材31から回収された液体LQとともに、第1排出口35から排出される。
【0099】
本実施形態の熱媒体供給装置77は、熱媒体流路75に熱媒体LQ2を供給する。本実施形態では、熱媒体LQ2の組成が、露光光ELの光路Kの少なくとも一部を満たす液体LQと実質的に同じである。熱媒体供給装置77は、液体供給装置30と接続されている。本実施形態の液体供給装置30は、熱媒体供給装置77へ液体LQを供給する。本実施形態の熱媒体供給装置77は、供給された液体LQの温度を測定可能な温度センサや、供給された液体LQを加熱可能な熱源等を含む。本実施形態の熱媒体供給装置77は、供給された液体LQの温度を管理して熱媒体LQ2とし、熱媒体LQ2を熱媒体流路75に供給する。熱媒体流路75に供給される熱媒体LQ2の温度は、第1部材31を通った液体LQの温度以上に設定されていてもよい。熱媒体流路75に供給される熱媒体LQ2の温度は、供給口24から供給される液体LQの温度以上に設定されていてもよい。熱媒体流路75に供給される熱媒体LQ2の温度が、供給口24から供給される液体LQの温度以下である場合に、上記の熱源を省くこともできる。
なお、複数系統の熱媒体流路が設けられている場合に、1以上の系統の熱媒体流路が回収流路26と合流しており、1以上の系統の熱媒体流路が回収流路26と独立していてもよい。
【0100】
<第7実施形態>
次に、第7実施形態について説明する。図12は、本実施形態における液浸部材を下側(−Z方向側)から見た平面図、図13は、本実施形態における液浸部材を示す側断面図である。図13は、図12のE−E’線断面図に相当する。
【0101】
本実施形態の液浸部材3Gは、第1部材31及び温度調整部80を含む。本実施形態の液浸部材3Gは、第1部材31の下面31bと対向する物体との間の空間SPから、液体LQと気体Gの少なくとも一方を回収可能である。本実施形態の液浸部材3Gは、空間SPから、液体LQと気体Gとを含んだ流体Fを回収可能である。本実施形態の液浸部材3Gにおいて、温度調整部80を利用して第1部材31の温度を調整可能である。
【0102】
本実施形態の温度調整部80は、発熱体81を含む。本実施形態の発熱体81は、電力の供給を受けて熱を発することが可能である。発熱体81は、例えば半導体ヒータ、電熱線である。発熱体81は、液体LQ等の液体との接液部を有していてもよい。この接液部の少なくとも一部は、液体LQに対して撥液性を有する材質であってもよい。この接液部の少なくとも一部は、フッ素系樹脂で形成されていてもよい。
【0103】
本実施形態の発熱体81は、第1部材31よりも回収流路26側(+Z側)に配置されている。本実施形態の発熱体81は、その少なくとも一部が第1部材31の上面31aと接触している。発熱体81は、回収流路26内に、第1部材31の上面31aから離れて配置されていてもよい。発熱体81は、第1部材31の内部に配置されていてもよいし、第1部材31の下面31bに配置されていてもよい。
【0104】
本実施形態の発熱体81は、配線等を介して、図示略のコントローラと電気的に接続されている。上記のコントローラは、発熱体81の発熱量を制御可能である。上記のコントローラの一部又は全部が、液浸露光装置EXに含まれていてもよい。上記のコントローラは、液浸露光装置EXの外部装置であってもよい。本実施形態の制御装置4は、上記のコントローラを制御して、発熱体81の発熱量を制御可能である。本実施形態の制御装置4は、発熱体81の発熱量を制御することによって、第1部材31の温度を調整可能である。本実施形態の制御装置4は、露光の少なくとも一部において第1部材31の温度変化が減るように、発熱体81を制御する。
【0105】
本実施形態では、光路Kの周囲に複数の発熱体81が離散的に配置されている。本実施形態の制御装置4は、複数の発熱体81のそれぞれの発熱量を、発熱体81ごとに制御可能である。このように、本実施形態の制御装置4は、第1部材31の温度分布を調整可能である。上記の第1部材31の温度分布は、光路Kの周囲における第1部材31の温度分布であってもよいし、光軸AXに交差する面内での第1部材31の温度分布であってもよく、第1部材31の上面31a又は下面31bに平行な方向における第1部材31の温度分布であってもよい。制御装置4は、複数の発熱体81の発熱量を発熱体81ごとに制御する代わりに、2以上の発熱体81の発熱量を同様に制御してもよい。
【0106】
本実施形態では、第1部材31の温度と関連付けられた温度を測定するための計測部82が設けられている。本実施形態の計測部82は、第1部材31の温度を直接的に測定可能である。本実施形態の計測部82は、第1部材31よりも回収流路26側(+Z側)に配置されている。本実施形態の計測部82は、その少なくとも一部が第1部材31の上面31aと接触している。計測部82は、第1部材31の内部に配置されていてもよいし、第1部材31の下面31bに配置されていてもよい。計測部82は、液浸露光装置EXの一部であってもよいし、液浸露光装置EXの外部装置であってもよい。
【0107】
本実施形態では、光路Kの周囲における第1部材31に、複数の計測部82が配置されている。本実施形態では、複数の計測部82の測定結果に基づいて、第1部材31の温度分布を求めることができる。第1部材31の温度分布を求める上で、複数の計測部82の測定結果に補間処理等を行ってもよい。この補間処理は、制御装置4が実行してもよいし、制御装置4以外の装置あるいは液浸露光装置EXの外部装置が実行してもよい。
【0108】
本実施形態の制御装置4は、計測部82の測定結果に基づいて、発熱体81を制御する。本実施形態の制御装置4は、複数の計測部82の測定結果に基づいて、上記の第1部材31の温度分布を調整する。制御装置4は、フィードフォワード制御とフィードバック制御の少なくとも一方によって、発熱体81を制御してもよい。例えば、第1部材31を通った液体LQの温度を計測部82で測定しながら、制御装置4が計測部82の測定結果に基づいて発熱体81をフィードバック制御してもよい。また、基板Pの露光の少なくとも一部において、露光よりも前に計測部82で予め測定した結果に基づいて、発熱体81をフィードフォワード制御してもよい。フィードフォワード制御を行うときに、計測部82で予め測定した結果や、この結果に基づいて求められた発熱体81の制御量等の情報は、記憶装置5に記憶されていてもよい。また、制御装置4は、上記のフィードフォワード制御によって第1部材31の温度を粗調整するとともに、上記のフィードバック制御によって第1部材31の温度を微調整してもよい。
【0109】
なお、上記の実施形態でした熱媒体を利用した温度調整部と、発熱体を利用した温度調整部とを併用して、第1部材31の温度を調整してもよい。この場合に、熱媒体を利用した温度調整部と、発熱体を利用した温度調整部の一方をフィードフォワード制御し、他方をフィードバック制御してもよいし、いずれもフィードフォワード制御又はフィードバック制御してもよい。第1部材31の温度を調整するときの温度の調整幅と調整の頻度(周波数)の少なくとも一方が、熱媒体を利用した温度調整部と、発熱体を利用した温度調整部とで異なっていてもよい。例えば、制御装置4は、熱媒体を利用した温度調整部をフィードフォワード制御することよって第1部材31の温度を粗調整するとともに、発熱体を利用した温度調整部をフィードバック制御することよって第1部材31の温度を微調整してもよい。
【0110】
<第8実施形態>
次に、第8実施形態について説明する。図14は、本実施形態における液浸部材を示す側断面図である。本実施形態の液浸部材3Hは、第1部材31、第2部材34、及び温度調整部85を含む。本実施形態の液浸部材3Hは、第1部材31の下面31bと対向する物体との間の空間SPから、液体LQと気体Gの少なくとも一方を回収可能である。本実施形態の液浸部材3Hは、空間SPから、液体LQと気体Gとを含んだ流体Fを回収可能である。本実施形態において、第2部材34の板厚は、第1部材31の板厚よりも大きく設定されている。第2部材34の板厚は、第1部材31の板厚以下に設定されていても構わない。本実施形態の液浸部材3Hにおいて、温度調整部85を利用して第1部材31の温度を調整可能である。
【0111】
本実施形態の温度調整部85は、熱媒体LQ2が流れる第1熱媒体流路86、第2熱媒体流路87、及び第3熱媒体流路88を含む。以下の説明で、第1熱媒体流路86、第2熱媒体流路87、及び第3熱媒体流路88を、熱媒体流路と総称することがある。本実施形態の熱媒体流路は、Z方向から平面視したとき平面配置が、第4実施形態で説明した熱媒体流路と同様である(図7参照)。本実施形態の熱媒体流路の平面配置は、上記の各実施形態で説明した熱媒体流路のいずれかと同じであってもよいし、いずれとも異なっていてもよい。本実施形態では、熱媒体流路の少なくとも一部が第2部材34の内部に設けられている。本実施形態の温度調整部85は、第2部材34の温度を調整可能である。本実施形態の温度調整部85は、第2部材34を通る流体Fの少なくとも一部の温度を調整可能である。本実施形態の温度調整部85は、第2部材34を通る流体Fと第2部材34の少なくとも一方を介して、第1部材31の温度を調整可能である。
【0112】
本実施形態において、第1熱媒体流路86及び第2熱媒体流路87は、それぞれ、光路Kに対して放射方向にのびるように配置されている。本実施形態では、第1熱媒体流路86と第2熱媒体流路87とが、第1部材31の板厚方向(Z方向)に並んでいる。本実施形態の第3熱媒体流路88は、第1部材31の板厚方向に屈曲している。第1熱媒体流路86の一端は、第3熱媒体流路88の一端と接続されている。第3熱媒体流路88の他端は、第2熱媒体流路87の一端と接続されている。第1熱媒体流路86の他端は、液浸部材3Hの外部に通じている。第1熱媒体流路86の他端は、熱媒体供給装置69と接続されている。第2熱媒体流路87の他端は、液浸部材3Hの外部に通じている。第2熱媒体流路67の他端は、熱媒体供給装置69と接続されている。
【0113】
本実施形態において、熱媒体供給装置69から液浸部材3Hに供給された熱媒体LQ2は、第1熱媒体流路86を流れた後に、第3熱媒体流路88を流れる。本実施形態において、第3熱媒体流路88を流れた熱媒体LQ2は、第1熱媒体流路86よりも上方に配置された第2熱媒体流路87を流れた後に、熱媒体供給装置69に回収される。なお、熱媒体LQ2は、第2熱媒体流路87を流れた後に、第2熱媒体流路87よりも下方に配置された第1熱媒体流路86を流れるようになっていても構わない。
【0114】
本実施形態において、流体Fの回収は、液体LQを回収する期間の少なくとも一部で、孔32を介して回収された流体中の気泡の膨張を抑制しながら行われる。また、本実施形態において、流体Fの回収は、液体LQを回収する期間の少なくとも一部で、第1部材31の温度を調整しながら行われる。
【0115】
<デバイス製造方法>
次に、デバイス製造方法について説明する。図15は、本実施形態のデバイス製造方法の一例を示すフローチャートである。半導体デバイス等のマイクロデバイスは、マイクロデバイスの機能・性能設計を行うステップ201、この設計ステップに基づいたマスク(レチクル)を製作するステップ202、デバイスの基材である基板を製造するステップ203、基板に成膜処理や露光処理、現像処理、エッチング処理等の各種基板処理を行う基板処理ステップ204、デバイスの組立を行うステップ205、製造されたデバイスを検査するステップ206等を経て製造される。基板処理ステップ204は、上記の実施形態に従って露光光で基板を露光すること、及び露光された基板を現像することを含む。本実施形態のデバイス組立ステップ205は、例えばダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程などの加工プロセスを含む。本実施形態において、記憶装置5に記憶されているプログラムが制御装置4に読み込まれることにより、基板ステージ2、液浸部材3、液体供給装置30、第1排出装置42、及び第2排出装置45等、液浸露光装置EXの各種の装置が協働して、液浸空間LSが形成された状態で、基板Pの液浸露光等、各種の処理を実行する。
【0116】
なお、上述の各実施形態において、「光路Kに対する放射方向」は、投影領域PR近傍における投影系PLの光軸に対する放射方向とみなしてもよい。投影系PLは、例えば国際公開第2004/019128号パンフレットに開示されているような、終端光学素子8の入射側(物体面側)の光路も液体LQで満たされる投影光学系でもよい。また、投影系PLを用いない露光装置及び露光方法に、上述の各実施形態で説明した構成要素を適用してもよい。例えば、レンズ等の光学部材と基板との間に液浸空間を形成し、その光学部材を介して、基板に露光光を照射する露光装置及び露光方法に、上述の各実施形態で説明した構成要素を適用してもよい。
【0117】
液体LQは、水以外の液体でもよい。液体LQは、露光光ELに対して透過性であり、露光光ELに対して高い屈折率を有し、投影系PLあるいは基板Pの表面を形成する感光材(フォトレジスト)等の膜に対して安定なものでもよい。液体LQは、ハイドロフロロエーテル(HFE)、過フッ化ポリエーテル(PFPE)、フォンブリンオイル等のフッ素系液体でもよい。また、液体LQが、種々の流体、例えば、超臨界流体でもよい。
【0118】
液浸露光装置EXは、例えばマスクMと基板Pとを静止した状態でマスクMのパターンを一括露光し、基板Pを順次ステップ移動させるステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置(ステッパ)でもよい。液浸露光装置EXは、ステップ・アンド・リピート方式の露光において、第1パターンと基板Pとをほぼ静止した状態で、投影光学系を用いて第1パターンの縮小像を基板P上に転写した後、第2パターンと基板Pとをほぼ静止した状態で、投影光学系を用いて第2パターンの縮小像を第1パターンと部分的に重ねて基板P上に一括露光する露光装置(スティッチ方式の一括露光装置)でもよい。液浸露光装置EXは、基板P上で少なくとも2つのパターンを部分的に重ねて転写し、基板Pを順次移動させるステップ・アンド・スティッチ方式の露光装置でもよい。液浸露光装置EXは、例えば米国特許第6611316号明細書に開示されているような、2つのマスクのパターンを、投影光学系を介して基板上で合成し、1回の走査露光によって基板上の1つのショット領域をほぼ同時に二重露光する露光装置でもよい。液浸露光装置EXは、プロキシミティ方式の露光装置、ミラープロジェクション・アライナー等でもよい。液浸露光装置EXは、例えば国際公開第2001/035168号パンフレットに開示されているような、干渉縞を基板P上に形成することによって基板P上にライン・アンド・スペースパターンを露光する露光装置(リソグラフィシステム)でもよい。
【0119】
液浸露光装置EXは、例えば米国特許第6341007号明細書、米国特許第6208407号明細書、及び米国特許第6262796号明細書等に開示されているような、複数の基板ステージを備えたツインステージ型の露光装置でもよい。例えば、液浸露光装置EXが2つの基板ステージを備えている場合、射出面7と対向するように配置可能な物体は、一方の基板ステージ、その一方の基板ステージの基板保持部に保持された基板、他方の基板ステージ、及びその他方の基板ステージの基板保持部に保持された基板の少なくとも一つを含む。液浸露光装置EXは、例えば米国特許第6897963号明細書、及び米国特許出願公開第2007/0127006号明細書等に開示されているような、基板を保持する基板ステージと、基準マークが形成された基準部材と各種の光電センサの少なくとも一方を搭載し、露光対象の基板を保持しない計測ステージとを備えた露光装置でもよい。この場合、射出面7と対向するように配置可能な物体は、基板ステージ、その基板ステージの基板保持部に保持された基板、及び計測ステージの少なくとも一つを含む。また、液浸露光装置EXは、複数の基板ステージと計測ステージとを備えた露光装置でもよい。
【0120】
基板Pの基材は、半導体デバイス製造用の半導体ウエハを含んでもよいし、例えばディスプレイデバイス用のガラス基板、薄膜磁気ヘッド用のセラミックウエハ、あるいは露光装置で用いられるマスクまたはレチクルの原版(合成石英、シリコンウエハ)等を含んでもよい。液浸露光装置EXは、基板Pに半導体素子パターンを露光する半導体素子製造用の露光装置でもよいし、液晶表示素子製造用又はディスプレイ製造用の露光装置でもよく、薄膜磁気ヘッド、撮像素子(CCD)、マイクロマシン、MEMS、DNAチップ、あるいはレチクル又はマスクなどを製造用の露光装置でもよい。
【0121】
マスクMとしては、例えば米国特許第6778257号明細書に開示されているような、露光すべきパターンの電子データに基づいて透過パターン又は反射パターン、あるいは発光パターンを形成する可変成形マスク(電子マスク、アクティブマスク、あるいはイメージジェネレータとも呼ばれる)を用いてもよい。また、非発光型画像表示素子を備える可変成形マスクに代えて、自発光型画像表示素子を含むパターン形成装置を備えるようにしてもよい。
【0122】
上述の実施形態の液浸露光装置EXは、上述の各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が終了した後、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は温度及びクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
【0123】
上述の各実施形態の要件は、適宜組み合わせることができる。また、各実施形態で説明した構成要素の1以上を用いない場合もある。法令で許容される限りにおいて、各実施形態及び変形例で引用した露光装置等に関する全ての公開公報及び米国特許の開示を援用して本文の記載の一部とする。
【符号の説明】
【0124】
1・・・マスクステージ、2・・・基板ステージ、3、3B〜3H・・・液浸部材、4・・・制御装置、5・・・記憶装置、7・・・射出面、8・・・終端光学素子、24・・・供給口、25・・・回収口、26・・・回収流路、31・・・第1部材、32・・・孔、34、51、60・・・第2部材、61・・・隔壁、65・・・温度調整部、66・・・第1熱媒体流路、67・・・第2熱媒体流路、68・・・第3熱媒体流路、70・・・計測部、71・・・温度調整部、72・・・熱媒体流路、75・・・熱媒体流路、80・・・温度調整部、81・・・発熱体、82・・・計測部、85・・・温度調整部、86・・・第1熱媒体流路、87・・・第2熱媒体流路、88・・・第3熱媒体流路、EL・・・露光光、EX・・・液浸露光装置、F・・・流体、G・・・気体、IL・・・照明系、K・・・光路、LQ・・・液体、LS・・・液浸空間、LQ2・・・熱媒体、P・・・基板
【特許請求の範囲】
【請求項1】
液浸露光装置において、光学部材と物体との間の液体を通過する露光光の光路の周囲の少なくとも一部に配置される液浸部材であって、
第1面、前記第1面と異なる方向を向く第2面、及び前記第1面と前記第2面とを結ぶ孔を有し、前記第1面と対向する物体上の液体の少なくとも一部を前記孔から回収可能な第1部材と、
前記孔を通った前記液体を含む流体中の気泡の膨張を抑制する第2部材と、を備える液浸部材。
【請求項2】
前記第2部材が前記気泡の合体を抑制する、請求項1に記載の液浸部材。
【請求項3】
前記第2部材が前記流体の流路を含み、該流路の流路断面が前記気泡の体積を規制するように設定されている、請求項1又は2に記載の液浸部材。
【請求項4】
前記第2部材が前記流体の流路を仕切る隔壁を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の液浸部材。
【請求項5】
前記第2部材の少なくとも一部が、前記第1部材と接触している、請求項1〜4のいずれか一項に記載の液浸部材。
【請求項6】
前記孔から回収された前記液体が流れる回収流路と、
前記回収流路の液体と気体とから前記液体が分離されて流入する流入口と、を備え、
前記第2部材は、前記第1部材と前記流入口との間に配置されている、請求項1〜5のいずれか一項に記載の液浸部材。
【請求項7】
前記第2部材は、前記流入口の縁端の少なくとも一部と接触している、請求項6に記載の液浸部材。
【請求項8】
前記第1部材の温度を調整するための温度調整部を備える請求項1〜7のいずれか一項記載の液浸部材。
【請求項9】
液浸露光装置において、光学部材と物体との間の液体を通過する露光光の光路の周囲の少なくとも一部に配置される液浸部材であって、
第1面、前記第1面と異なる方向を向く第2面、及び前記第1面と前記第2面とを結ぶ孔を有し、前記第1面と対向する物体上の液体の少なくとも一部を前記孔から回収可能な第1部材と、
前記第1部材の温度を調整するための温度調整部と、を備える液浸部材。
【請求項10】
前記物体と前記第1面との間の気体の少なくとも一部と前記液体とを含んだ流体を前記孔から回収する、請求項9に記載の液浸部材。
【請求項11】
前記温度調整部は、前記第1部材の温度を調整するための熱媒体が流れる第1流路を有する、請求項8〜10のいずれか一項に記載の液浸部材。
【請求項12】
前記第1流路の少なくとも一部が前記第1部材の内部に設けられている、請求項11に記載の液浸部材。
【請求項13】
前記第1部材の温度を調整するために、前記第1流路に流れる前記熱媒体の流量と温度との少なくとも一方が制御される請求項11又は12記載の液浸部材。
【請求項14】
前記第1流路の少なくとも一部は、前記光路に対して放射方向にのびるように配置される、請求項11〜13のいずれか一項に記載の液浸部材。
【請求項15】
前記孔を通った前記液体が流れる第2流路を備え、
前記第1流路が前記第2流路と独立している、請求項11〜14のいずれか一項に記載の液浸部材。
【請求項16】
前記孔を通った前記液体が流れる第2流路を備え、
前記第1流路の少なくとも一部が前記第2流路と合流している、請求項11〜14のいずれか一項に記載の液浸部材。
【請求項17】
前記温度調整部は、前記第1部材を加熱可能な発熱体を有する、請求項8〜16のいずれか一項に記載の液浸部材。
【請求項18】
前記温度調整部により、前記第1面に平行な方向における前記第1部材の温度分布が調整される、請求項8〜16のいずれか一項に記載の液浸部材。
【請求項19】
前記温度調整部は、前記第1部材の温度情報に基づいて制御される、請求項8〜18に記載の液浸部材。
【請求項20】
前記温度調整部は、前記第1部材の温度を計測する第1温度計測部を使って得られる前記第1部材の温度情報に基づいて制御される、請求項8〜19のいずれか一項に記載の液浸部材。
【請求項21】
液体を介して露光光で基板を露光する液浸露光装置であって、
請求項1〜20のいずれか一項に記載の液浸部材を備える液浸露光装置。
【請求項22】
前記孔を通った前記液体の温度を計測する第2温度計測部を備える、請求項21に記載の液浸露光装置。
【請求項23】
請求項20又は21に記載の液浸露光装置を用いて基板を露光することと、
露光された前記基板を現像することと、を含むデバイス製造方法。
【請求項24】
露光光を射出可能な光学部材と物体との間の前記露光光の光路を満たすために供給された液体の少なくとも一部を回収する液体回収方法であって、
第1面、前記第1面と異なる方向を向く第2面、及び前記第1面と前記第2面とを結ぶ孔を有する第1部材の前記第1面に前記物体を対向させることと、
前記第1面と前記物体との間の空間から前記孔を介して、前記液体を含む流体を回収することと、を含み、
前記回収は、前記孔を介して回収された前記流体中の気泡の膨張を抑制しながら行われる液体回収方法。
【請求項25】
前記回収を行う期間の少なくとも一部で前記第1部材の温度を調整することと、を含む請求項24に記載の液体回収方法。
【請求項26】
露光光を射出可能な光学部材と物体との間の前記露光光の光路を満たすために供給された液体の少なくとも一部を回収する液体回収方法であって、
第1面、前記第1面と異なる方向を向く第2面、及び前記第1面と前記第2面とを結ぶ孔を有する第1部材の前記第1面に前記物体を対向させることと、
前記孔から前記液体の少なくとも一部を回収することと、
前記液体を回収する期間の少なくとも一部で前記第1部材の温度を調整することと、を含む液体回収方法。
【請求項27】
前記第1部材の温度を調整することは、前記第1部材に熱媒体を介して熱を伝えることを含む、請求項25または26に記載の液体回収方法。
【請求項28】
前記熱媒体は、溶存気体濃度と含有不純物濃度の少なくとも一方が前記液体と異なる液体である、請求項27に記載の液体回収方法。
【請求項29】
前記液体を加熱して前記熱媒体にする、請求項27に記載の液体回収方法。
【請求項30】
前記熱媒体を第1流路に流すことと、
前記孔から回収された前記液体を前記第1流路と独立した第2流路に流すことと、を含む請求項27〜29のいずれか一項に記載の液体回収方法。
【請求項31】
前記熱媒体を第1流路に流すことと、
前記孔から回収された前記液体が流れる第2流路に前記第1流路を流れた前記熱媒体の少なくとも一部を合流させることと、を含む請求項27〜29のいずれか一項に記載の液体回収方法。
【請求項32】
前記第1部材の温度を調整することは、前記第1部材に発熱体を接触させることを含む、請求項25〜31のいずれか一項に記載の液体回収方法。
【請求項33】
前記第1部材の温度情報に基づいて前記第1部材の温度を調整する、請求項25〜32のいずれか一項に記載の液体回収方法。
【請求項34】
前記第1部材の温度を測定しながら前記第1部材の温度を調整する、請求項25〜33のいずれか一項に記載の液体回収方法。
【請求項35】
液体を介して露光光で基板を露光することと、
前記液体を請求項24〜34のいずれか一項に記載の液体回収方法で回収することと、
露光された前記基板を現像することと、を含むデバイス製造方法。
【請求項36】
コンピュータに、露光光を射出可能な光学部材と基板との間の前記露光光の光路を満たす液体の少なくとも一部を回収する装置の制御を実行させるプログラムであって、
第1面、前記第1面と異なる方向を向く第2面、及び前記第1面と前記第2面とを結ぶ孔を有する第1部材の前記第1面に前記基板を対向させることと、
前記孔から前記液体の少なくとも一部を回収することと、
前記液体を回収する期間の少なくとも一部で前記第1部材の温度を調整することと、を実行させるプログラム。
【請求項37】
請求項36に記載のプログラムが記録されており、コンピュータで読み取り可能である記録媒体。
【請求項1】
液浸露光装置において、光学部材と物体との間の液体を通過する露光光の光路の周囲の少なくとも一部に配置される液浸部材であって、
第1面、前記第1面と異なる方向を向く第2面、及び前記第1面と前記第2面とを結ぶ孔を有し、前記第1面と対向する物体上の液体の少なくとも一部を前記孔から回収可能な第1部材と、
前記孔を通った前記液体を含む流体中の気泡の膨張を抑制する第2部材と、を備える液浸部材。
【請求項2】
前記第2部材が前記気泡の合体を抑制する、請求項1に記載の液浸部材。
【請求項3】
前記第2部材が前記流体の流路を含み、該流路の流路断面が前記気泡の体積を規制するように設定されている、請求項1又は2に記載の液浸部材。
【請求項4】
前記第2部材が前記流体の流路を仕切る隔壁を含む、請求項1〜3のいずれか一項に記載の液浸部材。
【請求項5】
前記第2部材の少なくとも一部が、前記第1部材と接触している、請求項1〜4のいずれか一項に記載の液浸部材。
【請求項6】
前記孔から回収された前記液体が流れる回収流路と、
前記回収流路の液体と気体とから前記液体が分離されて流入する流入口と、を備え、
前記第2部材は、前記第1部材と前記流入口との間に配置されている、請求項1〜5のいずれか一項に記載の液浸部材。
【請求項7】
前記第2部材は、前記流入口の縁端の少なくとも一部と接触している、請求項6に記載の液浸部材。
【請求項8】
前記第1部材の温度を調整するための温度調整部を備える請求項1〜7のいずれか一項記載の液浸部材。
【請求項9】
液浸露光装置において、光学部材と物体との間の液体を通過する露光光の光路の周囲の少なくとも一部に配置される液浸部材であって、
第1面、前記第1面と異なる方向を向く第2面、及び前記第1面と前記第2面とを結ぶ孔を有し、前記第1面と対向する物体上の液体の少なくとも一部を前記孔から回収可能な第1部材と、
前記第1部材の温度を調整するための温度調整部と、を備える液浸部材。
【請求項10】
前記物体と前記第1面との間の気体の少なくとも一部と前記液体とを含んだ流体を前記孔から回収する、請求項9に記載の液浸部材。
【請求項11】
前記温度調整部は、前記第1部材の温度を調整するための熱媒体が流れる第1流路を有する、請求項8〜10のいずれか一項に記載の液浸部材。
【請求項12】
前記第1流路の少なくとも一部が前記第1部材の内部に設けられている、請求項11に記載の液浸部材。
【請求項13】
前記第1部材の温度を調整するために、前記第1流路に流れる前記熱媒体の流量と温度との少なくとも一方が制御される請求項11又は12記載の液浸部材。
【請求項14】
前記第1流路の少なくとも一部は、前記光路に対して放射方向にのびるように配置される、請求項11〜13のいずれか一項に記載の液浸部材。
【請求項15】
前記孔を通った前記液体が流れる第2流路を備え、
前記第1流路が前記第2流路と独立している、請求項11〜14のいずれか一項に記載の液浸部材。
【請求項16】
前記孔を通った前記液体が流れる第2流路を備え、
前記第1流路の少なくとも一部が前記第2流路と合流している、請求項11〜14のいずれか一項に記載の液浸部材。
【請求項17】
前記温度調整部は、前記第1部材を加熱可能な発熱体を有する、請求項8〜16のいずれか一項に記載の液浸部材。
【請求項18】
前記温度調整部により、前記第1面に平行な方向における前記第1部材の温度分布が調整される、請求項8〜16のいずれか一項に記載の液浸部材。
【請求項19】
前記温度調整部は、前記第1部材の温度情報に基づいて制御される、請求項8〜18に記載の液浸部材。
【請求項20】
前記温度調整部は、前記第1部材の温度を計測する第1温度計測部を使って得られる前記第1部材の温度情報に基づいて制御される、請求項8〜19のいずれか一項に記載の液浸部材。
【請求項21】
液体を介して露光光で基板を露光する液浸露光装置であって、
請求項1〜20のいずれか一項に記載の液浸部材を備える液浸露光装置。
【請求項22】
前記孔を通った前記液体の温度を計測する第2温度計測部を備える、請求項21に記載の液浸露光装置。
【請求項23】
請求項20又は21に記載の液浸露光装置を用いて基板を露光することと、
露光された前記基板を現像することと、を含むデバイス製造方法。
【請求項24】
露光光を射出可能な光学部材と物体との間の前記露光光の光路を満たすために供給された液体の少なくとも一部を回収する液体回収方法であって、
第1面、前記第1面と異なる方向を向く第2面、及び前記第1面と前記第2面とを結ぶ孔を有する第1部材の前記第1面に前記物体を対向させることと、
前記第1面と前記物体との間の空間から前記孔を介して、前記液体を含む流体を回収することと、を含み、
前記回収は、前記孔を介して回収された前記流体中の気泡の膨張を抑制しながら行われる液体回収方法。
【請求項25】
前記回収を行う期間の少なくとも一部で前記第1部材の温度を調整することと、を含む請求項24に記載の液体回収方法。
【請求項26】
露光光を射出可能な光学部材と物体との間の前記露光光の光路を満たすために供給された液体の少なくとも一部を回収する液体回収方法であって、
第1面、前記第1面と異なる方向を向く第2面、及び前記第1面と前記第2面とを結ぶ孔を有する第1部材の前記第1面に前記物体を対向させることと、
前記孔から前記液体の少なくとも一部を回収することと、
前記液体を回収する期間の少なくとも一部で前記第1部材の温度を調整することと、を含む液体回収方法。
【請求項27】
前記第1部材の温度を調整することは、前記第1部材に熱媒体を介して熱を伝えることを含む、請求項25または26に記載の液体回収方法。
【請求項28】
前記熱媒体は、溶存気体濃度と含有不純物濃度の少なくとも一方が前記液体と異なる液体である、請求項27に記載の液体回収方法。
【請求項29】
前記液体を加熱して前記熱媒体にする、請求項27に記載の液体回収方法。
【請求項30】
前記熱媒体を第1流路に流すことと、
前記孔から回収された前記液体を前記第1流路と独立した第2流路に流すことと、を含む請求項27〜29のいずれか一項に記載の液体回収方法。
【請求項31】
前記熱媒体を第1流路に流すことと、
前記孔から回収された前記液体が流れる第2流路に前記第1流路を流れた前記熱媒体の少なくとも一部を合流させることと、を含む請求項27〜29のいずれか一項に記載の液体回収方法。
【請求項32】
前記第1部材の温度を調整することは、前記第1部材に発熱体を接触させることを含む、請求項25〜31のいずれか一項に記載の液体回収方法。
【請求項33】
前記第1部材の温度情報に基づいて前記第1部材の温度を調整する、請求項25〜32のいずれか一項に記載の液体回収方法。
【請求項34】
前記第1部材の温度を測定しながら前記第1部材の温度を調整する、請求項25〜33のいずれか一項に記載の液体回収方法。
【請求項35】
液体を介して露光光で基板を露光することと、
前記液体を請求項24〜34のいずれか一項に記載の液体回収方法で回収することと、
露光された前記基板を現像することと、を含むデバイス製造方法。
【請求項36】
コンピュータに、露光光を射出可能な光学部材と基板との間の前記露光光の光路を満たす液体の少なくとも一部を回収する装置の制御を実行させるプログラムであって、
第1面、前記第1面と異なる方向を向く第2面、及び前記第1面と前記第2面とを結ぶ孔を有する第1部材の前記第1面に前記基板を対向させることと、
前記孔から前記液体の少なくとも一部を回収することと、
前記液体を回収する期間の少なくとも一部で前記第1部材の温度を調整することと、を実行させるプログラム。
【請求項37】
請求項36に記載のプログラムが記録されており、コンピュータで読み取り可能である記録媒体。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2012−59761(P2012−59761A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−198949(P2010−198949)
【出願日】平成22年9月6日(2010.9.6)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願日】平成22年9月6日(2010.9.6)
【出願人】(000004112)株式会社ニコン (12,601)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]