説明

液滴吐出ヘッド、液滴吐出装置及び液滴吐出ヘッドの製造方法

【課題】小型化及び低コスト化を実現しつつ、信頼性の向上を図るようにした液滴吐出ヘッドを提供する。
【解決手段】液滴吐出ヘッド100は、液滴を吐出するノズル孔41が形成されたノズル基板40と、ノズル孔41と連通し、底壁が振動板22となる吐出室21が形成されたキャビティ基板20と、振動板22にギャップ15をもって対向し、振動板22を駆動する個別電極12及び個別電極12を設ける凹部11が形成された電極基板10とを備え、電極基板10の凹部11の一方の端部側に、電極基板10を貫通させた封止溝穴13を形成し、個別電極12に接続するように金属材料を封止溝穴13に成膜することで、この金属材料をギャップ15の封止部とするとともに、個別電極12に電圧を印加する際の入力配線としている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、インクやその他の液体を吐出する液滴吐出ヘッド、その液滴吐出ヘッドを搭載した液滴吐出装置、及び、その液滴吐出ヘッドの製造方法に関し、特に小型化及び低コスト化を実現した液滴吐出ヘッド、その液滴吐出ヘッドを搭載した液滴吐出装置、及び、その液滴吐出ヘッドの製造方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
液滴を吐出するための液滴吐出ヘッドとして、たとえばインクジェット記録装置に搭載されるインクジェットヘッドが知られている。一般的に、このインクジェットヘッドには、半導体の微細加工技術を用いて加工形成された微小構造のアクチュエータが用いられている。この微小構造のアクチュエータを駆動させる方式としては、静電気力を駆動源として利用した静電駆動方式や、圧電素子による圧電方式、発熱素子を利用するバブルジェット(登録商標)方式等が知られている。
【0003】
このうち、静電駆動方式のアクチュエータ(以下、単に静電アクチュエータと称する)を用いたインクジェットヘッドにおいては、インク滴を吐出するための複数のノズル孔に連通している吐出室の底面が、弾性変形可能な振動板として形成されている。この振動板は、静電アクチュエータを構成する一対の電極の一方(可動電極)を構成しており、この振動板に、静電アクチュエータを構成する一対の電極の他方(固定電極)を構成する個別電極が対向配置されている。そして、対向する電極間に電圧を印加すると、これらの間に静電気力が発生し、吐出室の底面が基板の側に静電吸引あるいは静電反発されて振動し、その振動に伴って吐出室の内圧変動が生じ、ノズルからインク液滴が吐出される。
【0004】
このようなインクジェットヘッドにおいては、更なる小型化及び低コスト化が求められている。特に、小型化を実現する手段の1つとして、無機材料を用いてアクチュエータ毎に振動板と個別電極との間の隙間(ギャップ)を気密封止するようにしたものが従来から提案されている。それは、樹脂等の有機材料を用いてギャップの気密封止を行なう場合、その有機材料が毛細管現象によって延びていくため、有機材料の注入経路及び封止代を確保する必要があるが、無機材料を用いてギャップの気密封止を行なう場合、そのような必要がなく、小型化に寄与できるからである。
【0005】
また、電極配線の引き回し構造を工夫することによって、インクジェットヘッドの小型化を実現するとともに、製造工程数を低減させて低コスト化を実現する手段が提案されている。そのようなものとして、「薄層の振動板を構成する振動板基板と、振動板基板に微小間隔離れて配置され該振動板の対向電極を表面側に有する電極基板間に電圧を印加し、振動板と対向電極との間の静電力による振動板の機械的運動でインクを吐出させるインクジェットヘッドにおいて、前記電極基板の前記表面側の対向電極を該電極基板の裏面側に取り出したインクジェットヘッド」が開示されている(たとえば、特許文献1参照)。
【0006】
また、「ノズルと、該ノズルに連通するインク液室と、該インク液室の一部を構成する振動板と、電極基板上に前記振動板と対向して配置された個別電極を有し、前記振動板と前記個別電極間に電圧を印加し、静電気力で前記振動板を変形させることにより前記インク液室よりインク滴を吐出するインクジェットヘッドにおいて、前記電極基板の前記個別電極が形成されている面と反対側の面から前記個別電極に達するスルーホールを開口し、前記電極基板の個別電極が形成されている面と反対側の面から電極を取り出すインクジェットヘッド」が開示されている(たとえば、特許文献2参照)。
【0007】
【特許文献1】特開平11−320873号公報(第7頁及び第3図)
【特許文献2】特開2002−283563号公報(第3頁及び第1図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
特許文献1及び特許文献2に記載のインクジェットヘッドでは、電極基板とキャビティ基板とを接合する時に発生するガスがギャップ内に閉じ込められてしまうことになる。ギャップ内にガスが閉じ込められると、電極の表面、すなわち対向している吐出室底面及び個別電極の表面にガスが付着し、静電吸引特性あるいは静電反発特性が低下することになり、静電アクチュエータの信頼性が低下してしまう可能性が大きくなる。つまり、特許文献1及び特許文献2に記載のインクジェットヘッドでは、小型化及び低コスト化の実現と、信頼性の向上の両立を図ることができないという問題があった。
【0009】
本発明は、上記のような課題を解決するためになされたもので、小型化及び低コスト化を実現しつつ、信頼性の向上を図るようにした液滴吐出ヘッド、その液滴吐出ヘッドを搭載した液滴吐出装置、及び、その液滴吐出ヘッドの製造方法を提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明に係る液滴吐出ヘッドは、液滴を吐出するノズル孔が形成されたノズル基板と、ノズル孔と連通し、底壁が振動板となる吐出室が形成されたキャビティ基板と、振動板を駆動する個別電極が凹部内に形成された電極基板と、を備え、振動板と個別電極とが凹部に起因するギャップを介して対向しており、電極基板の凹部の一部に、電極基板を貫通させた封止溝穴を形成し、金属材料を個別電極に接続させるように封止溝穴の内壁に成膜することで金属膜を形成し、金属膜によりギャップの封止部を形成するとともに、金属膜を介して個別電極への電圧の印加を可能にすることを特徴とする。したがって、金属材料でギャップを封止しつつ、個別電極への入力配線を形成することができるので、封止部材及び入力配線を同一材料で構成でき、部品点数の削減を実現できる。すなわち、低コスト化を実現した液滴吐出ヘッドの提供が可能となる。
【0011】
本発明に係る液滴吐出ヘッドは、電極基板に凹部が複数形成され、封止溝穴を、凹部の一方の端部側であって、凹部のそれぞれに形成していることを特徴とする。したがって、構造を複雑にすることなく、低コスト化を実現することができる。
【0012】
本発明に係る液滴吐出ヘッドは、金属膜の先端部を電極基板の個別電極形成面と反対側の面に引き回して入力配線としていることを特徴とする。したがって、電極基板の裏面側からギャップを封止でき、かつ、電極基板の裏面側に入力配線を形成できるので、上記の効果に加えて、製造工数の削減を実現できる。すなわち、低コスト化を更に実現した液滴吐出ヘッドの提供が可能となる。
【0013】
本発明に係る液滴吐出ヘッドは、個別電極に電圧を印加するドライバICを、電極基板の個別電極形成面と反対側の面に実装して入力配線と導通させていることを特徴とする。したがって、ドライバICを液滴吐出ヘッド内部に閉じ込める必要がなく、部品点数及び製造工数の削減を実現できる。すなわち、上記の効果に加えて、小型化を実現した液滴吐出ヘッドの提供が可能となる。
【0014】
また、本発明に係る液滴吐出装置は、上記の液滴吐出ヘッドを搭載したことを特徴とする。したがって、上述の液滴吐出ヘッドの効果をすべて有している。
【0015】
本発明に係る液滴吐出ヘッドの製造方法は、ガラス基板に、個別電極及び個別電極を設けるための凹部を形成し、ガラス基板の凹部の一方の端部側に、ガラス基板を貫通させるように封止溝穴を形成し、ガラス基板にシリコン基板を接合し、ガラス基板のシリコン基板との接合面とは反対側の面から個別電極に接続するように金属材料を封止溝穴の内壁に成膜して堆積させて金属膜を形成し、金属膜によりギャップを封止するとともに、金属膜の先端部をガラス基板の裏面側に引き回して入力配線とし、入力配線を介して個別電極への電圧の印加を可能にすることを特徴とする。したがって、ギャップの封止と、入力配線の形成とを、1つの工程で実行できるので、部品点数及び製造工程の削減が実現できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態について説明する。
実施の形態1.
図1は、本発明の実施の形態1に係る液滴吐出ヘッド100を分解した状態を示す分解斜視図である。図2は、液滴吐出ヘッド100が組み立てられた状態の縦断面図であり、図1におけるA−A断面を示している。図1及び図2に基づいて、液滴吐出ヘッド100の構成及び動作について説明する。なお、図1を含め、以下の図面では各構成部材の大きさの関係が実際のものとは異なる場合がある。また、図の上側を上とし、下側を下として説明するものとする。
【0017】
この液滴吐出ヘッド100は、静電気力により駆動される複数の静電アクチュエータが集約されたデバイスである。実施の形態1では、液滴吐出ヘッド100がノズル基板40の表面側に設けられたノズル孔41から液滴を吐出するフェイスイジェクトタイプである場合を例に示している。また、図1には、後述する個別電極12に駆動信号を供給するためのドライバIC60と、このドライバIC60に入力信号を供給するためのFPC(Flexible Printed Circuit)50の一部を含めて示している。なお、以下の説明において、ノズル孔41が並んでいる方向を液滴吐出ヘッドの長手方向、各ノズル孔41への液体の流路が形成されている方向を液滴吐出ヘッドの短手方向とする。
【0018】
図1及び図2に示すように、この液滴吐出ヘッド100は、電極基板10、シリコン製のキャビティ基板20及びノズル基板40が下から順に積層されて構成されている。つまり、キャビティ基板20を電極基板10とノズル基板40とで上下から挟む構造となっている。このように、液滴吐出ヘッド100が3層構造である場合を例に説明するが、これに限定するものではない。たとえば、液滴吐出ヘッド100を、電極基板、キャビティ基板、リザーバ基板及びノズル基板からなる4層構造としてもよい。なお、電極基板10とキャビティ基板20とは陽極接合で、キャビティ基板20とノズル基板40とはエポキシ樹脂等の接着剤で接合する。
【0019】
[電極基板10]
電極基板10は、たとえば厚さ200μm(マイクロメートル)のホウ珪酸系の耐熱硬質ガラス等を主要な材料として形成するとよい。ここでは、電極基板10がホウ珪酸ガラスで形成されている場合を例に示すが、たとえば、電極基板10を単結晶シリコンで形成してもよい。図1及び図2に示すように、電極基板10は、キャビティ基板20の下面に接合される。この電極基板10の表面には、キャビティ基板20に形成される各吐出室21に合わせ、エッチング等により深さ約0.2μmの凹部(ガラス溝)11が設けられる。この凹部11のパターン形状は、その内部に個別電極12を設けるため、その個別電極12よりも少し大きめに作製する。
【0020】
また、各凹部11の内部(特に底部)には、キャビティ基板20の振動板22と対向するように、固定電極部となる矩形状の個別電極12が形成されている。さらに、各凹部11の一方の端部(液滴吐出ヘッド100の中央側端部)側には、電極基板10を貫通させて形成した封止溝穴13が、複数形成されている凹部11のそれぞれに形成されている。この封止溝穴13は、電極基板10の下面にかけて拡開した形状となっている。そして、図2に示すように、この封止溝穴13の内壁に金属材料を成膜することで、個別電極12に電圧を印加するための入力配線としての機能と、ギャップ15を封止するための封止部としての機能とを併せ持つ金属配線16(金属膜)を形成している。
【0021】
すなわち、個別電極12は、一定の間隔をもって振動板22に対向しており、吐出室21の下側に沿って延設され、その一端が封止溝穴13で金属配線16に接続されている。また、金属配線16は、封止溝穴13の壁面に接合するように形成されており、ギャップ15を封止するとともに、電極基板10の裏面側に引き回されるように形成されている。そして、金属配線16は、ヘッドチップの中央部へ延設され、その先端部がドライバIC60の出力側の端子部となり、ドライバIC60に実装される。一方、ドライバIC60への入力側の金属配線16aも電極基板10の裏面に形成され、FPC50に実装される。なお、この金属配線16aは、電極基板10の短手方向略中央部に形成されている。
【0022】
ギャップ15は、電極基板10とキャビティ基板20とを接合して積層体を形成した際に、振動板22と個別電極12との間に振動板22を撓ませる(変位させる)ことができるように形成される。このギャップ15の深さは、凹部11の深さ、個別電極12の厚みにより決まることになる。このギャップ15は、液滴吐出ヘッド100の吐出特性に大きく影響する。そのため、厳格な精度管理が要求される。このギャップ15は、各振動板22に対向する位置に細長い一定の深さを有するように形成されている。なお、ギャップ15は、電極基板10に凹部11を形成する他に、キャビティ基板20となるシリコン基板に凹部を形成したり、スペーサを挟むことによって設けたりすることも可能である。
【0023】
ドライバIC60は、電極基板10の裏面側であって、個別電極12の2つの電極列の間(個別電極12を作製するために電極基板10の左右に形成した凹部11の中間部、つまり短手方向略中央部)に実装され、両方の電極列に金属配線16の先端部が接続されるようになっている。そして、ドライバIC60からの駆動信号が金属配線16を介して個別電極12に供給されるようになっている。また、FPC50も、電極基板10の裏面側であって、短手方向略中央部に実装されるようになっている。そして、金属配線16aを介してFPC50とドライバIC60とを接続し、FPC50からの入力信号をドライバIC60に供給するようになっている。
【0024】
個別電極12は、たとえばスパッタリング等により、酸化錫を不純物としてドープした、可視光領域で透明のITO(Indium Tin Oxide:インジウム錫酸化物)を約0.1μmの厚さで凹部11の内側に成膜することで形成される。ここで、個別電極12の材料は、ITOに限定するものではなく、クロム等の金属等を材料に用いてもよいが、本実施の形態では、ギャップ15内の観察がし易い、透明であるので放電したかどうかの確認が行い易い等の理由でITOを用いることとする。
【0025】
金属配線16及び金属配線16aは、電極基板10に成膜し易い、つまりガラス材料に密着し易く、ガラス材料に被覆し易い材料であればよく、特に構成材料を限定するものではない。たとえば、金属配線16及び金属配線16aは、Cr(クロム)、Ni(ニッケル)、Cr/Au(クロム/金)、Ti/Pt(チタン/白金)、ITO等の金属材料で形成するとよい。なお、金属配線16と、金属配線16aとを、同じ材料で形成してもよく、異なる材料で形成してもよい。
【0026】
さらに、電極基板10には、深さ約100μmのリザーバ31となる凹部31aが形成されている。この凹部31aは、キャビティ基板20に形成されたリザーバ用貫通穴31bと連通することで、リザーバ31を形成するようになっている。このリザーバ31は、各吐出室21にインク等の液体を供給する共通液体室としての機能を有する。また、リザーバ31(凹部31a)の底面には、液体供給口17を形成している。この液体供給口17は、外部のタンク(図示省略)から供給された液体をリザーバ31に取り入れる際の流路となるものである。
【0027】
この液滴吐出ヘッド100は、複数の個別電極12が長辺及び短辺を有する長方形状に形成されており、この個別電極12が、互いの長辺が平行になるように配置されている。そして、図1では、個別電極12の短辺方向に伸びる2つの電極列を示している。なお、個別電極12の短辺が長辺に対して斜めに形成されており、個別電極12が細長い平行四辺形状になっている場合には、長辺方向に直角方向に伸びる電極列を形成するようにすればよい。また、ここで示した凹部11の深さやギャップ15の深さ、個別電極12の厚み等は一例であり、ここで示す値に限定するものではない。
【0028】
[キャビティ基板20]
キャビティ基板20は、たとえば厚さ約50μmの(110)面方位のシリコン単結晶基板(以下、単にシリコン基板という)を主要な材料として構成されている。このシリコン基板にドライエッチングまたは異方性ウエットエッチングのいずれかあるいは双方を行い、底壁が可撓性を有する振動板22となる吐出室(または、インク圧力室)21を複数形成する。この吐出室21は、個別電極12の電極列に対応して形成されており、インク等の液体が一時的に保持されて吐出圧が加えられるようになっている。また、吐出室21は、紙面手前側から奥側にかけて平行に並んで形成されているものとする。
【0029】
また、キャビティ基板20の下面(電極基板10と対向する面)には、振動板22と個別電極12との間を電気的に絶縁するためのTEOS膜(ここでは、Tetraethyl orthosilicate Tetraethoxysilane:テトラエトキシシラン(珪酸エチル)を用いてできるSiO2 膜をいう)である絶縁膜(図示省略)をプラズマCVD(Chemical Vapor Deposition:TEOS−pCVDともいう)法を用いて、0.1μm程度成膜している。これは、振動板22の駆動時における絶縁破壊及び短絡を防止するためと、インク等の液体によるエッチングを防止するためのものである。
【0030】
ここでは、絶縁膜がTEOS膜である場合を示しているが、これに限定するものではなく、絶縁性能が向上する物質であればよい。たとえば、Al23(酸化アルミニウム(アルミナ))を用いてもよい。また、キャビティ基板20の上面にも、図示省略の液体保護膜となるSiO2 膜(TEOS膜を含む)を、プラズマCVD法又はスパッタリング法により成膜するとよい。液体保護膜を成膜することによって、インク等の液体で流路が腐食されるのを防止できるからである。この液体保護膜の応力と絶縁膜の応力とを相殺させ、振動板22の反りを小さくできるという効果もある。
【0031】
なお、振動板22は、高濃度のボロンドープ層で形成するようにしてもよい。水酸化カリウム水溶液等のアルカリ溶液による単結晶シリコンのエッチングにおけるエッチングレートは、ドーパントがボロンの場合、約5×1019atoms/cm3 以上の高濃度の領域において、非常に小さくなる。このため、振動板22の部分を高濃度のボロンドープ層とし、アルカリ溶液による異方性エッチングによって吐出室21を形成する際に、ボロンドープ層が露出してエッチングレートが極端に小さくなる、いわゆるエッチングストップ技術を用いることにより、振動板22を所望の厚さに形成することができる。
【0032】
キャビティ基板20には、電極基板10に形成された凹部31aと連通するリザーバ用貫通穴31bが形成されている。つまり、リザーバ用貫通穴31bを凹部31aと連通させることでリザーバ31の容積を確保するようにしている。また、キャビティ基板20には、外部電極端子としての共通電極端子27が形成されている。この共通電極端子27は、FPC50と接続され、図示省略の外部の発振回路等から振動板22に個別電極12と反対の極性の電荷を供給する際の端子となるものである。
【0033】
[ノズル基板40]
ノズル基板40は、たとえば厚さ50μmのシリコン基板を主要な材料としており、各吐出室21と連通するノズル孔41が形成されている。そして、各ノズル孔41からは、振動板22の変位により加圧された吐出室21内の液体が液滴として外部に吐出されるようになっている。なお、図2に示すように、ノズル孔41を複数段(たとえば、2段)で形成すると、液滴を吐出する際の直進性の向上が期待できる。また、ノズル基板40には、リザーバ31と吐出室21とを連通させるための連通溝45、及び振動板22の変位によりリザーバ31側の液体に加わる圧力変動を吸収し、ノズル間のクロストークを抑制するリザーバダイアフラム46がキャビティ基板20との接合面側に形成されている。
【0034】
連通溝45は、キャビティ基板20のリザーバ用貫通穴31bと吐出室21との間に対向する位置に形成され、リザーバダイアフラム46は、キャビティ基板20のリザーバ用貫通穴31bに対向する位置に形成されている。そして、ノズル基板40は、連通溝45及びリザーバダイアフラム46が形成されている面で、キャビティ基板20の吐出室21が形成される面と接合される。なお、ここでは、ノズル孔41を有するノズル基板40を上面とし、電極基板10を下面として説明するが、実際に用いられる場合には、ノズル基板40の方が電極基板10よりも下面となることが多い。
【0035】
図2に示すように、この実施の形態1に係る液滴吐出ヘッド100では、吐出室21にノズル孔41から吐出させる液体を貯めておき、吐出室21の底壁である振動板22を撓ませることにより、吐出室21内の圧力を高め、ノズル孔41から液滴を吐出させるようになっている。なお、図2では液滴吐出ヘッド100の一部を短手方向から見ている状態を図示している。また、金属配線16を構成する金属材料を封止溝穴13に成膜、堆積させることによって、ギャップ15を封止するようになっている。こうすることによって、金属配線16の形成と同時に、ギャップ15の封止部を形成することができる。そして、ギャップ15内への水分等の混入を防止でき、振動板22が個別電極12に貼りつくことを防ぐことができる。
【0036】
本実施の形態1では、金属配線16を構成する金属材料を成膜、堆積させているので、従来の封止用接着剤の注入経路及び封止代(封止用接着剤が毛細管現象により延びていく長さ)を確保する必要がなく、液滴吐出ヘッド100の小型化を実現することができる。また、金属配線16を電極基板10の裏面側に引き回して入力配線とし、電極基板10の裏面側にドライバIC60を実装するようになっているので、ドライバIC60を液滴吐出ヘッド100の内部に収容しなくて済み、液滴吐出ヘッド100の更なる小型化を実現することができる。
【0037】
ここで、液滴吐出ヘッド100の動作について説明する。ドライバIC60は、電極基板10の裏面側に実装され、ギャップ15を封止し、かつ電極基板10の裏面に引き回された金属配線16の先端部(出力側)及びFPC50との端子部(入力側)に接続され、個別電極12に電荷の供給及び停止を制御する。つまり、ドライバIC60には、FPC50及び金属配線16aを介して図示省略の制御部から駆動信号(パルス電圧)が供給されており、その駆動信号に基づいて個別電極12への電荷の供給及び停止が制御されている。また、リザーバ31には、液体供給口17を介して外部からインク等の液体が供給されている。さらに、吐出室21には、連通溝45を介してリザーバ31から液体が供給されている。
【0038】
そして、ドライバIC60は、たとえば24kHzで発振し、選択された個別電極12に0V〜30V程度のパルス電圧を印加して電荷供給を行ない、この個別電極12を正に帯電させる。このとき、対応するキャビティ基板20の振動板22には共通電極端子27を介して負の極性を有する電荷が供給され、この振動板22を相対的に負に帯電させる。そのため、選択された個別電極12とそれに対応する振動板22との間では静電気力が発生することになる。個別電極12と振動板22との間に静電気力が発生すると、振動板22は、その静電気力によって個別電極12側に引き寄せられて撓むことになる。これにより吐出室21の容積は広がる。
【0039】
次に、個別電極12へのパルス電圧の供給を止めると、振動板22と個別電極12との間の静電気力がなくなり、振動板22は元の状態に復元する。このとき、吐出室21の内部の圧力が急激に上昇し、その圧力により差分の液滴がノズル孔41から吐出されることになる。この液滴が、たとえば記録紙に着弾することによって印刷等が行われるようになっている。その後、液体がリザーバ31から連通溝45を通じて吐出室21内に補給され、初期状態に戻る。このような方法は、引き打ちと呼ばれるものであるが、バネ等を用いて液滴を吐出する押し打ちと呼ばれる方法もある。
【0040】
なお、液滴吐出ヘッド100のリザーバ31への液滴の供給は、たとえば液体供給口17に接続された図示省略の液滴供給管により行われている。また、FPC50は、FPC50の長手方向が電極列を形成する個別電極12の短辺方向と平行となるようにドライバIC60と接続されている。たとえば、個別電極12の短辺が長辺に対して斜めになっており、個別電極12が細長い平行四辺形状になっている場合には、個別電極12の長辺と直角方向にFPC50を接続すればよい。これにより、複数の電極列を有する液滴吐出ヘッド100とFPC50とをコンパクトに接続することができる。
【0041】
次に、液滴吐出ヘッド100の製造工程について説明する。図3及び図4は、電極基板10の製造工程の一例を示した縦断面図である。図5及び図6は、液滴吐出ヘッド100の製造工程の一例を示した縦断面図である。まず、図3及び図4に基づいて、電極基板10の製造工程について説明し、次に、図5及び図6に基づいて、作製した電極基板10を用いて液滴吐出ヘッド100を製造する製造工程について説明する。なお、実際には、シリコンウエハから複数個分の液滴吐出ヘッドの部材を同時形成するのが一般的であるが、図3〜図6ではその一部分だけを簡略化して示している。
【0042】
最初に、電極基板10の製造工程について説明する。まず、厚さ約200μmの両面鏡面のホウ珪酸系の耐熱硬質ガラス10’を用意し、片面にエッチングマスクとなるCr膜80をスパッタリング法等を用いて約0.1μm形成する(図3(a))。次に、耐熱硬質ガラス10’のCr膜80を形成した面の表面にレジスト81を塗布し、凹部11を作りこむためのレジストパターニングを施し、Cr膜80を硝酸セリウムアンモニウム水溶液等を用いてエッチングする(図3(b))。そして、耐熱硬質ガラス10’を、フッ化アンモニウム水溶液等を用いて0.2μmエッチングし、凹部11を形成し、レジスト81を剥離する(図3(c))。このとき、残ったCr膜80も除去する。なお、Cr膜80だけではなく、Cr膜80の表面にAu膜を形成してもよい。
【0043】
耐熱硬質ガラス10’の凹部11を形成した面に、スパッタリング法等を用いてITO膜12’を0.1μm形成する(図3(d))。このITO膜12’の上面にレジスト(図示省略)を塗布し、個別電極12にのみITO膜12’が残るようにレジストパターニングを施す。そして、硝酸と塩酸の混合液等を用いてITO膜12’をエッチングし、個別電極12となるITOパターンを形成して、レジストを剥離する(図4(e))。その後、耐熱硬質ガラス10’のリザーバ31となる凹部31aとする部分をサンドブラスト法等により約100μm削り、凹部31aを形成する(図4(f))。
【0044】
それから、耐熱硬質ガラス10’の凹部11を形成した面(個別電極12の形成面)の反対側の面(裏面)から封止溝穴13及び液体供給口17となる部分をドライエッチング、サンドブラスト法または切削加工等によって掘る(図4(g))。この封止溝穴13は、凹部11の端部(液滴吐出ヘッド100の中央側端部)側に形成され、耐熱硬質ガラス10’の裏面側と凹部11とを連通するようになっている。また、液体供給口17は、凹部31aが形成されている部分に形成され、耐熱硬質ガラス10’の裏面側と凹部31aとを連通するようになっている。このような製造工程で電極基板10を作製する。
【0045】
続いて、液滴吐出ヘッド100の製造工程について説明する。上記工程で作製した電極基板10を用意する(図5(a))。それから、(110)を面方位とする酸素濃度の低いSiキャビティ基板(以下、シリコン基板20’と称する)を用意する。このシリコン基板20’の下面(電極基板10との接合面)を鏡面研磨して220μm程度の厚みにする。なお、図示していないが、シリコン基板20’の下面には、振動板22の厚みと同等の厚みの高濃度ボロンドープ層が熱拡散法により形成されており、また、ボロンドープ層の下面には、絶縁膜が形成されているものとする。
【0046】
そして、このシリコン基板20’と電極基板10とを360℃に加熱した後、電極基板10に負極、シリコン基板20’に正極を接続して、800Vの電圧を印加して陽極接合する(図5(b))。陽極接合時に酸素等のガスが発生するが、電極基板10に形成した封止溝穴13によってギャップ15が大気開放されており、発生ガスがギャップ15内に閉じ込められることはない。陽極接合後、シリコン基板20’の上面(電極基板10との接合面の反対側の面)を研削加工し、シリコン基板20’の厚みを約60μmにする。
【0047】
その後、加工変質層を除去する為に、CMP(Chemical Mechanical Polish)加工を施し、シリコン基板20’の上面を約10μm研磨する。これによりシリコン基板20’の厚みが約50μmとなる(図5(c))。次に、電極基板10とシリコン基板20’との接合済み基板の上面にTEOS膜(図示省略)を形成し、シリコン基板20’の上面に、吐出室21及び凹部31aを作りこむためのパターニングをTEOS膜に施す。そして、水酸化カリウム水溶液等を用いてエッチングし、吐出室21及び凹部31aを形成する(図6(d))。
【0048】
シリコン基板20’のエッチング工程では、ボロンドープ層で極端にエッチングレートが小さくなることを利用した、いわゆるエッチングストップ技術を用いて、振動板22の厚さ、吐出室21の容積を高精度で形成している。たとえば、初めに35重量%の水酸化カリウム水溶液を使用し、その後、3重量%の水酸化カリウム水溶液を使用する2段階のエッチングを実施すれば、3重量%の水酸化カリウム水溶液を使用するエッチング処理において、先に形成していたボロンドープ層がエッチングストップ層として作用し、このボロンドープ層が振動板22として形成されることになる。これにより、振動板22の面荒れを抑制し、厚み精度を0.80±0.05μm以下にすることができ、液滴吐出ヘッド100の吐出性能の安定化を図ることができる。
【0049】
その後、シリコン基板20’の上面に残ったTEOS膜を除去する。このとき、凹部31aにはシリコン薄膜が残る。これを除去するために、シリコンマスクをシリコン基板20’の表面に取り付け、RIEドライエッチングを行い、凹部31aのみにプラズマを当て、開口してキャビティ基板20が完成する。それから、接合済み基板を乾燥し、ギャップ15内部の水分を除去する。そして、金属材料(たとえば、Crや、Ni、Cr/Au、Ti/Ptなど)をシリコンマスク等を用いて、スパッタリング法により封止溝穴13やドライバIC60への入力配線部に部分的に成膜する(図6(e))。
【0050】
これによって、ギャップ15が封止され、ギャップ15内が密閉状態になる。同時に、成膜された金属材料は、個別電極12であるITO膜12’と接続され、ドライバIC60への引き回し配線となる。すなわち、封止溝穴13に成膜された金属材料は、ギャップ15の封止部材となるとともに、個別電極12に電荷を供給する金属配線16になるのである。また、ドライバIC60への入力配線部に成膜された金属材料は、FPC50とドライバIC60とを接続するための金属配線16aとなるのである。最後に、ノズル基板40をエポキシ系接着剤によりキャビティ基板20に接着し、ドライバIC60を電極基板10の裏面に実装する(図6(f))。そして、ダイシングを行い、個々の液滴吐出ヘッド100に切断することで、液滴吐出ヘッド100が完成する。
【0051】
このように構成された液滴吐出ヘッド100においては、電極基板10の裏面側から金属材料でギャップ15を封止しつつ、金属配線16を裏面に引き回すことができる。これにより、ギャップ15内に水分等が混入せず、振動板22が個別電極12に貼りつくことを防ぐことができ、かつ、ドライバIC60を電極基板10の裏面に実装できる。したがって、従来のもの(電極基板の表面側に実装するもの)と比較し、リザーバ基板等でドライバIC60を閉じ込める必要がなく、部品点数や製造工数の削減を実現できる。すなわち、液滴吐出ヘッド100は、小型化及び低コスト化を実現したものとなる。
【0052】
この実施の形態1では、液滴吐出ヘッド100が電極基板10、キャビティ基板20及びノズル基板40を積層させた3層構造である場合を例に説明したが、これに限定するものではない。たとえば、リザーバを独立して形成したリザーバ基板を追加して、電極基板、キャビティ基板、リザーバ基板及びノズル基板を積層させた4層構造の液滴吐出ヘッドについても適用することができる。また、液滴吐出ヘッド100は、ノズル基板40の上面に設けたノズル孔41から液滴を吐出させるフェイスエジェクトタイプである場合を例に説明したが、液滴を基板の端部に設けたノズル孔から吐出させるエッジエジェクトタイプとしてもよい。
【0053】
実施の形態2.
図7は、実施の形態1に係る液滴吐出ヘッド100を搭載した液滴吐出装置200の一例を示した斜視図である。また、図8は、液滴吐出装置200の主要な構成手段の一例を表す図である。図7及び図8に基づいて、実施の形態2に係る液滴吐出装置200について説明する。この液滴吐出装置200は、液滴吐出方式(インクジェット方式)による印刷を目的とする、いわゆる一般的なシリアル型のインクジェットプリンタである。また、搭載される液滴吐出ヘッド100は、上述したように小型化及び低コスト化を実現したものであるので、液滴吐出装置200も小型化及び低コスト化に優れたものとなる。
【0054】
液滴吐出装置200は、被印刷物であるプリント紙210が支持されるドラム201と、プリント紙210にインクを吐出し、記録を行う液滴吐出ヘッド100とで主に構成される。また、液滴吐出ヘッド100にインクを供給するための図示省略のインク供給手段がある。プリント紙210は、ドラム201の軸方向に平行に設けられた紙圧着ローラ203により、ドラム201に圧着して保持されるようになっている。このドラム201の軸方向に平行に設けられている送りネジ204によって液滴吐出ヘッド100が保持されるようになっている。
【0055】
そして、この送りネジ204が回転することによって液滴吐出ヘッド100がドラム201の軸方向に移動する。一方、ドラム201は、ベルト205等を介してモータ206により回転駆動されるようになっている。また、プリント制御手段207は、印画データ及び制御信号に基づいて送りネジ204及びモータ206を駆動させるようになっている。さらに、プリント制御手段207は、図示省略の発振駆動回路を駆動させて振動板22を制御しながらプリント紙210に印刷を行わせるようになっている。
【0056】
ここでは、液体をインクとしてプリント紙210に吐出するようにしている場合を例に説明したが、これに限定するものではない。たとえば、カラーフィルタとなる基板に吐出させる用途においては、カラーフィルタ用の顔料を含む液体であってもよい。また、有機化合物等の電界発光素子を用いた表示パネル(OLED等)の基板に吐出させる用途においては、発光素子となる化合物を含む液体であってもよい。さらに、基板上に配線する用途においては、導電性金属を含む液体であってもよい。
【0057】
一方、液滴吐出ヘッド100をディスペンサとし、生体分子のマイクロアレイとなる基板に吐出する用途に用いる場合では、DNA(Deoxyribo Nucleic Acids:デオキシリボ核酸)や、RNA(Ribo Nucleic Acid:リボ核酸)、PNA(Peptide Nucleic Acids:ペプチド核酸)等のタンパク質プローブを含む液体を吐出させるようにしてもよい。その他、布等の染料の吐出等にも利用することができる。
【0058】
本発明の実施の形態に係る液滴吐出ヘッド、液滴吐出装置及び液滴吐出ヘッドの製造方法は、上述の実施の形態で説明した内容に限定されるものではなく、本発明の思想の範囲内において変更することができる。たとえば、液滴吐出ヘッド100の構成基板の積層数を上述した3層や4層に限定するものではなく、金属材料も上述した具体的な材料に限定するものではない。また、液滴吐出ヘッド100の製造工程においても、上述した製造工程に限定するものではない。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】実施の形態1に係る液滴吐出ヘッドを分解した状態を示す分解斜視図である。
【図2】液滴吐出ヘッドが組み立てられた状態の縦断面図である。
【図3】電極基板の製造工程の一例を示した縦断面図である。
【図4】電極基板の製造工程の一例を示した縦断面図である。
【図5】液滴吐出ヘッドの製造工程の一例を示した縦断面図である。
【図6】液滴吐出ヘッドの製造工程の一例を示した縦断面図である。
【図7】液滴吐出ヘッドを搭載した液滴吐出装置の一例を示した斜視図である。
【図8】液滴吐出装置の主要な構成手段の一例を表す図である。
【符号の説明】
【0060】
10 電極基板、10’ 耐熱硬質ガラス、11 凹部、12 個別電極、12’ ITO膜、13 封止溝穴、15 ギャップ、16 金属配線、16a 金属配線、17 液体供給口、20 キャビティ基板、20’ シリコン基板、21 吐出室、22 振動板、27 共通電極端子、31 リザーバ、31a 凹部、31b リザーバ用貫通穴、40 ノズル基板、41 ノズル孔、45 連通溝、46 リザーバダイアフラム、80 Cr膜、81 レジスト、100 液滴吐出ヘッド、200 液滴吐出装置、201 ドラム、203 紙圧着ローラ、204 ネジ、205 ベルト、206 モータ、207 プリント制御手段、210 プリント紙。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液滴を吐出するノズル孔が形成されたノズル基板と、
前記ノズル孔と連通し、底壁が振動板となる吐出室が形成されたキャビティ基板と、
前記振動板を駆動する個別電極が凹部内に形成された電極基板と、を備え、
前記振動板と前記個別電極とが前記凹部に起因するギャップを介して対向しており、
前記電極基板の前記凹部の一部に、前記電極基板を貫通させた封止溝穴を形成し、
金属材料を前記個別電極に接続させるように前記封止溝穴の内壁に成膜することで金属膜を形成し、
前記金属膜により前記ギャップの封止部を形成するとともに、前記金属膜を介して前記個別電極への電圧の印加を可能にする
ことを特徴とする液滴吐出ヘッド。
【請求項2】
前記電極基板に前記凹部が複数形成され、
前記封止溝穴を、
前記凹部の一方の端部側であって、前記凹部のそれぞれに形成している
ことを特徴とする請求項1に記載の液滴吐出ヘッド。
【請求項3】
前記金属膜の先端部を前記電極基板の前記個別電極形成面と反対側の面に引き回して入力配線としている
ことを特徴とする請求項1又は2に記載の液滴吐出ヘッド。
【請求項4】
前記個別電極に電圧を印加するドライバICを、
前記電極基板の前記個別電極形成面と反対側の面に実装して前記入力配線と導通させている
ことを特徴とする請求項3に記載の液滴吐出ヘッド。
【請求項5】
前記請求項1〜4のいずれかに記載の液滴吐出ヘッドを搭載した
ことを特徴とする液滴吐出装置。
【請求項6】
ガラス基板に、個別電極及び前記個別電極を設けるための凹部を形成し、
前記ガラス基板の前記凹部の一方の端部側に、前記ガラス基板を貫通させるように封止溝穴を形成し、
前記ガラス基板にシリコン基板を接合し、
前記ガラス基板の前記シリコン基板との接合面とは反対側の面から前記個別電極に接続するように金属材料を前記封止溝穴の内壁に成膜して堆積させて金属膜を形成し、
前記金属膜により前記ギャップを封止するとともに、前記金属膜の先端部を前記ガラス基板の裏面側に引き回して入力配線とし、
前記入力配線を介して前記個別電極への電圧の印加を可能にする
ことを特徴とする液滴吐出ヘッドの製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2009−269331(P2009−269331A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−123020(P2008−123020)
【出願日】平成20年5月9日(2008.5.9)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】