説明

液状化粧料

【課題】 特に透明から半透明の液状化粧料において、凍結や高温保存といった過酷な条件を経ても透明性(L値)が安定に維持され、べたつきがなくやわらかな使用感を有する液状化粧料を提供する。
【解決手段】 (a)0.01〜3質量%の油分と、(b)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油及びポリオキシエチレンフィトステロールから選択される親水性界面活性剤とを含有し、L値が60以上である透明から半透明の液状化粧料であって、イソステアリルアルコールが前記(a)油分の60質量%以上を占める液状化粧料。さらに、(c)ジイソステアリン酸ポリグリセリル、セスキイソステアリン酸ソルビタン、及びセスキオレイン酸ソルビタンから選択される親油性界面活性剤を含有するのが好ましい。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、透明から半透明の液状化粧料に関する。より詳細には、べたつきがなくやわらかな使用感触を有し、なおかつ凍結、高温などの過酷な条件下での安定性にも優れた液状化粧料に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、油分を微粒子化して配合した化粧料は、肌に優しい感触を与え、皮膚への高い浸透性を示すことから、嗜好に応じた使用感触と肌改善効果を幅広く実現できるという利点を有している。しかしながら、かかる構成の化粧料は、経時安定性及び製造の簡便性という点で問題があった。
【0003】
特許文献1は、油分を微粒子化した外観上半透明から透明の液状化粧料を開示しており、(a)常温で液状の分岐飽和脂肪酸が1.0〜80.0重量%を占める油分を0.01〜3重量%と、(b)親水性界面活性剤とを配合することにより、長期安定性及び振動安定性に優れる化粧水状の化粧料が得られると記載している。
【0004】
特許文献2には、(a)イソステアリン酸が34質量%以上を占める油分を0.01〜2質量%、(b)特定の親水性界面活性剤を0.04〜1.0質量%、及び(c)特定の親油性界面活性剤を0.001〜0.75質量%配合した、外観上白濁した液状化粧料が記載されており、白濁を維持しながら界面活性剤の配合量を抑制してさっぱりした使用感を持ち、なおかつ長期安定性及び振動安定性に優れるとされている。
【0005】
特許文献3には、油性成分を微細に乳化した皮膚外用剤において、(a)常温で液状の高級アルコール及び/又は高級脂肪酸、(b)非イオン性親水性界面活性剤、(c)水溶性二価アルコール及び(d)水を混合してラメラ液晶相を形成し、それを水性溶媒で希釈することにより得られる皮膚外用剤が記載されている。この皮膚外用剤は脂肪滴の50重量%以上を(a)成分が占め、その粒子径から白濁系と考えられるが、製造方法の簡便さ、長期安定性及びべたつかない使用性の向上に特徴を有している。
【0006】
上述した特許文献1及び2に記載された化粧料では、常温で液状の分岐飽和脂肪酸、特にイソステアリン酸を油分中に所定量配合することにより、長期安定性及び振動安定性における向上は確認されているが、例えば凍結時あるいは高温での安定性に劣る場合があり、使用感のやわらかさも不十分であった。また、特許文献3に皮膚外用剤は、凍結時あるいは高温での安定性、及び使用感のやわらかさは評価されておらず、例えば二価アルコールをグリセリンに置換した場合(比較例6)、あるいは界面活性剤を置換した場合(比較例5)に所望の特性が得られない等、その処方の幅が限られていた。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第4160264号公報
【特許文献2】特開2005−255667号公報
【特許文献3】特開2010−120857号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
よって本発明は、特に透明から半透明の液状化粧料において、凍結や高温保存といった過酷な条件を経ても透明性(L値)が安定に維持され、べたつきがなくやわらかな使用感を有する液状化粧料を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
上記課題を解決するために、本発明者等は鋭意検討を重ねた結果、イソステアリルアルコールを油分の60質量%以上を占めるように配合し、特定の親水性界面活性剤と組み合わせることにより、過酷な条件下でも優れた安定性を示し、やわらかな使用感を有する液状化粧料が得られることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち本発明は、(a)0.01〜3質量%の油分と、(b)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油及びポリオキシエチレンフィトステロールから選択される親水性界面活性剤とを含有し、L値が60以上である透明から半透明の液状化粧料であって、イソステアリルアルコールが前記(a)油分の60質量%以上を占めることを特徴とする化粧料を提供する。
【発明の効果】
【0011】
本発明の化粧料は、油分を微粒子化して配合した液状化粧料が有する利点、即ち、嗜好に応じた使用感触と肌改善効果の幅広く実現という利点を有している上、凍結や高温などの過酷な条件下でも安定性を保ち、べたつきがなくやわらかな使用感を得ることができる。
【発明を実施するための形態】
【0012】
本発明の化粧料は、微粒子化した油分を水性媒体中に含む液状化粧料であり、より具体的には、化粧水を代表例とする透明又は半透明の液状化粧料である。化粧水は一般に、水不溶性物質を可溶化して熱力学的に安定化させ外観を透明液状としたもの指すが、本発明における液状化粧料は、前記の透明可溶化型以外にも、マイクロエマルション、リピッドナノスフィア技術を採用した透明から半透明の化粧水、あるいは、化粧水タイプの透明から半透明のエッセンス(美容液)を含む。
【0013】
本明細書における「透明から半透明」とは、そのL値が60以上のものを意味する。L値とはLab表色系におけるLの値を意味し、例えば、Color−EYE7000(GretagMacbeth社製)等の公知の色差計、又は公知の分光光度計を用いて測定することができる値である。
水性媒体中に分散される油分微粒子の粒径は、化粧料が透明から半透明の外観を有する範囲であれば特に限定されないが、通常は約100nm以下の平均粒径とするのが好ましい。
【0014】
本発明の化粧料は、(a)油分及び(b)親水性界面活性剤を必須成分として含有する。
本発明の化粧料における(a)油分は、その60質量%以上をイソステアリルアルコールが占めている。イソステアリルアルコールが占める割合が60質量%未満であると、使用性のやわらかさに欠けるものとなり、凍結時又は高温での安定性も低下する。
【0015】
本発明で使用されるイソステアリルアルコール以外の油分としては、化粧料等に従来から使用されている油分から選択でき、特に限定されるものではない。例えば、油脂類、ロウ類、炭化水素油、高級脂肪酸、高級アルコール、エステル油、シリコーン油、さらには油溶性薬剤等が挙げられる。
具体例を挙げれば、アボガド油、ツバキ油、タートル油、マカデミアナッツ油、トウモロコシ油、ミンク油、オリーブ油、ナタネ油、卵黄油、ゴマ油、パーシック油、小麦胚芽油、サザンカ油、ヒマシ油、アマニ油、サフラワー油、綿実油、エノ油、大豆油、落花生油、茶実油、カヤ油、コメヌカ油、シナギリ油、日本キリ油、ホホバ油、胚芽油、トリイソオクタン酸グリセリン、トリイソパルミチン酸グリセリン、イソパルミチン酸オクチル、イソステアリン酸イソプロピル、イソステアリン酸イソステアリル、イソステアリン酸イソセチル、イソステアリン酸ヘキシル、イソステアリン酸ミリスチル、オクタン酸イソセチル、イソオクタン酸セチル、オクタン酸イソステアリル、イソノナン酸イソデシル、ジメチルオクタン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸オレイル、エルカ酸イソステアリル、ステアリン酸イソセチル、ステアリン酸オクチル、パルミチン酸イソステアリル、パルミチン酸イソセチル、パルミチン酸オクチル、ミリスチン酸イソステアリル、ミリスチン酸イソセチル、ミリスチン酸オクチルドデシル、ミリスチン酸デシル、パルミチン酸イソプロピル、ミリスチン酸イソプロピル、トリイソステアリン酸トリメチロールプロパン、ジカプリン酸ネオペンチルグリコール、セバシン酸ジオクチル、12−ステアロイルオキシステアリン酸オクチルドデシル、ステアロイルグルタミン酸ジオクチルドデシル、アジピン酸ジオクチル、リンゴ酸ジイソステアリル、メトキシケイ皮酸オクチル、乳酸オクチルドデシル、乳酸イソステアリル、パラジメチルアミノ安息香酸オクチル、流動パラフィン、スクワラン、イソパラフィン、α−オレフィンオリゴマー、ポリブテン、揮発性環状シリコーン、揮発性ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルシリコーン、オレイルアルコール、2−オクチルドデカノール、カカオ脂、ヤシ油、馬脂、硬化ヤシ油、パーム油、牛脂、羊脂、硬化牛脂、パーム核油、豚脂、牛骨脂、モクロウ核油、硬化油、牛脚脂、モクロウ、硬化ヒマシ油、ミツロウ、カンデリラロウ、綿ロウ、カルナウバロウ、ベイベリーロウ、イボタロウ、鯨ロウ、モンタンロウ、ヌカロウ、ラノリン、カポックロウ、酢酸ラノリン、液状ラノリン、サトウキビロウ、ラノリン脂肪酸イソプロピル、ラウリン酸ヘキシル、還元ラノリン、ジョジョバロウ、硬質ラノリン、セラックロウ、コレステロール、フィトステロール、マイクロクリスタリンワックス、ベヘニルアルコール、ステアリルアルコール、セチルアルコール、ベヘニン酸、ステアリン酸、イソステアリン酸、オレイン酸、ミリスチン酸等である。これらは一種を単独でまたは二種以上を組み合わせて用いることができる。
【0016】
本発明の化粧料においては、イソステアリルアルコールが油分の60質量%以上を占めることが必須であり、他の油分の配合量は必然的に油分の40質量%未満となる。従って、上記したような各種油分、例えば、イソステアリン酸等の高級脂肪酸等の各々の配合量は、最大で40質量%、例えば30質量%未満、あるいは20質量%未満、あるいは10質量%未満、あるいは1質量%未満等となる。
【0017】
本発明の化粧料における油分の配合量は、0.01〜3質量%、好ましくは0.1〜1質量%、より好ましくは0.2〜0.8質量%である。油分の配合量が0.01質量%未満では所定の効果が得られず、3質量%を越えると、それを乳化するための界面活性剤も増加して、べたついた使用感となる傾向がある。
【0018】
本発明の化粧料における(b)親水性界面活性剤は、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油及びポリオキシエチレンフィトステロールから選択される1種又は2種の混合物である。
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油は、20〜100のエチレンオキサイド単位を持つ硬化ヒマシ油誘導体であり、例えば、POE(40)硬化ヒマシ油、POE(60)硬化ヒマシ油、POE(100)硬化ヒマシ油等が挙げられる。ニッコールHCO(日光ケミカルズ)、EMALEX HC(日本エマルジョン)、ユニオックスHC(日油)等の市販品を使用してもよい。
ポリオキシエチレンフィトステロールは、10〜50のエチレンオキサイド単位を持つフィトステロール誘導体であり、例えばPOE(10)フィトステロール、POE(20)フィトステロール、POE(30)フィトステロール等が挙げられる。ニッコールBPS(日光ケミカルズ)等の市販品を使用することもできる。
【0019】
本発明の化粧料における(b)親水性界面活性剤の配合量は、好ましくは0.01〜3質量%、より好ましくは0.05〜1質量%、さらに好ましくは0.1〜0.2質量%である。0.01質量%未満であると安定な乳化が困難になり、3質量%を越えて配合するとべたつきを生ずる場合がある。
【0020】
本発明の化粧料は、(c)親油性界面活性剤を更に含有するのが好ましい。親油性界面活性剤を配合することにより特に高温保存時の安定性が更に向上する。
本発明における(c)親油性界面活性剤は、ジイソステアリン酸ポリグリセリル、セスキイソステアリン酸ソルビタン、及びセスキオレイン酸ソルビタンから選択される1種又は2種以上の混合物である。
【0021】
ジイソステアリン酸ポリグリセリルは、親油性界面活性剤として作用するジイソステアリン酸ジグリセリル、ジイソステアリン酸トリグリセリル等を含み、例えば、WOGEL−18DV (マツモトファインケミカル)、コスモール42V(日清オイリオ)、EMALEX DISG(日本エマルジョン)、リソレックス PGIS(高級アルコール工業)等の市販品が使用できる。
セスキイソステアリン酸ソルビタンとしては、エステモール182V(日清オイリオ)、EMALEX SPIS−150(日本エマルジョン)、ニッコール SI−15RV(日光ケミカルズ)等、セスキオレイン酸ソルビタンとしては、EMALEX SPO−150(日本エマルジョン)、ニッコール SO−15V(日光ケミカルズ)、NOFABLE SO−852S(日油)、コスモール82(日清オイリオ)等の市販品も好ましく使用される。
【0022】
本発明の化粧料における(c)親油性界面活性剤の配合量は、好ましくは0.01〜2質量%、より好ましくは0.01〜1.5質量%、さらに好ましくは0.05〜1質量%である。
【0023】
また、本発明の化粧料は、塩型薬剤を安定に配合することができる。従って、本発明の化粧料は、(d)塩型薬剤を更に含有するのが好ましい。
本発明における(d)塩型薬剤は、塩を形成可能な水溶性の薬剤を意味し、化粧料等に通常配合されうる水溶性薬剤であれば特に限定されない。L−アスコルビン酸およびその誘導体の塩、トラネキサム酸およびその誘導体の塩、アルコキシサリチル酸およびその誘導体の塩、グルタチオンおよびその誘導体の塩などが好ましい例として挙げられるが、これら例示に限定されるものでない。
【0024】
L−アスコルビン酸は、一般にビタミンCと言われ、強い還元作用により細胞呼吸作用、酵素賦活作用、膠原形成作用を有し、かつメラニン還元作用を有する。L−アスコルビン酸誘導体としては、L−アスコルビン酸モノリン酸エステル、L−アスコルビン酸−2−硫酸エステルなどのL−アスコルビン酸モノエステル類;L−アスコルビン酸トリリン酸エステルなどのL−アスコルビン酸トリエステル類;L−アスコルビン酸2−グルコシドなどのL−アスコルビン酸グルコシド類などが挙げられる。本発明ではL−アスコルビン酸、L−アスコルビン酸リン酸エステル、L−アスコルビン酸−2−硫酸エステル、L−アスコルビン酸2−グルコシドの各塩の形で好適に用いられる。
【0025】
トラネキサム酸誘導体としては、トラネキサム酸の二量体、(例えば、塩酸トランス−4−(トランス−アミノメチルシクロヘキサンカルボニル)アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸、等)、トラネキサム酸とハイドロキキノンのエステル体(例えば、4−(トランス−アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸4’−ヒドロキシフェニルエステル、等)、トラネキサム酸とゲンチシン酸のエステル体(例えば、2−(トランス−4−アミノメチルシクロヘキシルカルボニルオキシ)−5−ヒドロキシ安息香酸、等)、トラネキサム酸のアミド体(例えば、トランス−4−アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸メチルアミド、トランス−4−(p−メトキシベンゾイル)アミノメチルシクロヘキサンカルボン酸、トランス−4−グアニジノメチルシクロヘキサンカルボン酸、等)などが挙げられる。本発明ではトラネキサム酸の塩あるいはトラネキサム酸誘導体の塩の形で好適に用いられる。
【0026】
アルコキシサリチル酸は、サリチル酸の3位、4位または5位のいずれかの水素原子がアルコキシ基にて置換されたものであり、置換基であるアルコキシ基は、好ましくはメトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基のいずれかであり、さらに好ましくはメトキシ基またはエトキシ基である。具体的に化合物名を例示すれば、3−メトキシサリチル酸、3−エトキシサリチル酸、4−メトキシサリチル酸、4−エトキシサリチル酸、4−プロポキシサリチル酸、4−イソプロポキシサリチル酸、4−ブトキシサリチル酸、5−メトキシサリチル酸、5−エトキシサリチル酸、5−プロポキシサリチル酸などが挙げられる。本発明ではアルコキシサリチル酸およびその誘導体(エステルなど)の各塩の形で好適に用いられる。
【0027】
上記薬剤の塩としては、特に限定されないが、例えば、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩のようなアルカリ金属塩またはアルカリ土類金属塩のほか、アンモニウム塩、アミノ酸塩等の塩が挙げられる。
【0028】
(d)塩型薬剤は1種または2種以上を組み合わせて配合することができ、その配合量は任意である。通常は、液状化粧料全量に対して、0.1〜30.0質量%程度の範囲で配合される。
【0029】
また、本発明においては、上記以外にも、液状化粧料に通常用いられる各種成分を、本発明の効果を阻害しない範囲で適宜配合してもよい。具体例を挙げれば、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、1,4−ブチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ポリエチレングリコール等のグリコール類;グリセリン、ジグリセリン、ポリグリセリン等のグリセリン類;ソルビトール、マンニトール、マルチトール、キシリトール、エリスリトール等の糖アルコール類;フルクトース、グルコース、ガラクトース、マルトース、ラクトース、トレハロース等の糖類;タルク、カオリン、雲母、シリカ、ゼオライト等の無機粉末;ポリアミド樹脂粉末(ナイロン粉末)、ポリエチレン粉末、ポリメタクリル酸メチル粉末、ポリスチレン粉末、スチレンとアクリル酸の共重合体樹脂粉末、セルロース粉末等の有機粉末;二酸化チタン、酸化亜鉛等の無機白色顔料;酸化鉄(ベンガラ)等の無機赤色系顔料;黄酸化鉄、黄土等の無機黄色系顔料;黒酸化鉄、カーボンブラック等の黒色系顔料;酸化クロム、水酸化クロム、チタン酸コバルト等の無機緑色系顔料;群青、紺青等の無機青色系顔料;酸化チタンコーテッドマイカ、着色酸化チタンコーテッドマイカ、オキシ塩化ビスマス、魚鱗箔等のパール顔料;アルミニウムパウダー、カッパーパウダー等の金属粉末顔料;赤色201号、赤色202号、赤色204号、赤色205号、赤色220号、赤色226号、赤色228号、赤色405号、橙色203号、橙色204号、黄色205号、黄色401号、及び青色404号等の有機顔料;赤色3号、赤色104号、赤色106号、赤色227号、赤色230号、赤色401号、赤色505号、橙色205号、黄色4号、黄色5号、黄色202号、黄色203号、緑色3号及び青色1号などのジルコニウム、バリウム又はアルミニウムレーキ等の有機顔料;クロロフィル、β−カロチン等の天然色素;アラビアガム、トラガントガム、ガラクタン、グアガム、キャロブガム、カラヤガム、ジェランガム、カラギーナン等の植物系高分子;キサンタンガム、デキストラン、サクシノグルカン、プルラン等の微生物系高分子;コラーゲン、カゼイン、アルブミン、ゼラチン等の動物系高分子;カルボキシメチルデンプン、メチルヒドロキシプロピルデンプン等のデンプン系高分子;メチルセルロース、エチルセルロース、メチルヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、セルロース硫酸ナトリウム、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロースナトリウム、結晶セルロース等のセルロース系高分子;アルギン酸ナトリウム、アルギン酸プロピレングリコールエステル等のアルギン酸系高分子;ポリビニルアルコール、ポリビニルアセテート、ポリビニルメチルエーテル、ポリビニルピロリドン、ビニルピロリドンとビニルアセテート共重合物、カルボキシビニルポリマー等のビニル系高分子;ポリアクリル酸ナトリウム、ポリエチルアクリレート、ポリアクリル酸アルカノールアミン、アルキルメタクリレートとジメチルアミノエチルメタクリレート共重合物、ポリ2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ポリメタクリロイルオキシトリメチルアンモニウム等のアクリル系高子;ビタミンB6塩酸塩、パントテニルエチルエーテル等のビタミン類;紫外線吸収剤、キレート剤、殺菌剤、消炎剤、防腐剤、植物抽出液、アミノ酸、清涼剤等の薬剤;エタノール、イソプロピルアルコール等の低級アルコール等が含まれる。
【0030】
本発明の透明から半透明の液状化粧料は、スキンケアを目的とした化粧水、美容液等として用いられる他、サンスクリーン基剤、サンタン基剤、洗浄基剤として用いることができる。このうち特に化粧水として用いるのが好ましい。
本発明の化粧料は、化粧水等の液状化粧料に通常用いられる方法に従って製造することができる。具体的には、水溶性成分を水に溶解して水相とし、油分等の水不溶性成分を両親媒性成分(界面活性剤)と混合し、それを水相に添加して攪拌することにより調製される。
【実施例】
【0031】
本発明について以下に実施例を挙げてさらに詳述するが、本発明はこれらの実施例により何ら限定されるものではない。なお、配合量は特記しない限り質量%を意味する。
【0032】
(実施例1〜11及び比較例1〜8)
下記の表1〜表4に示す処方で液状化粧料(化粧水)を調製し、それらの特性を下記の評価方法、評価基準に従って評価した。それらの結果を表に併せて示す。
「使用性の評価方法」
実施例及び比較例の各サンプルを、10名の専門パネルに実際に使用してもらい、使用性(べたつきのなさ、及びやわらかさ)について評価した。下記評価点基準に従って各パネルに5段階官能評価してもらい、その合計点により下記評価基準に基づいて判定した。
「評価点基準」
5:非常に優れている
4:優れている
3:普通
2:劣る
1:非常に劣る
「評価基準」
◎:合計点が40点以上
○:合計点が30〜39点
△:合計点が20〜29点
×:合計点が19点以下
【0033】
「安定性の評価方法」
各サンプルの安定性を以下の条件で評価した。
・60℃保管品の安定性:60℃に1週間保管後にL値の変動を評価。
・50℃保管品の安定性:50℃に2ヶ月間保管後にL値の変動を評価。
・凍結・融解後の安定性:凍結後、室温にて融解して室温に戻った後にL値の変動を評価。
「評価基準」
○:L値の変動が±3未満
○△:L値の変動が±3以上かつ±4未満
△:L値の変動が±4以上かつ±10未満
×:L値の変動が±10以上
【0034】
【表1】

【0035】
【表2】

【0036】
【表3】

【0037】
【表4】

【0038】
表1〜表4に示した結果から明らかなように、イソステアリルアルコールを油分の60質量%以上を占めるように配合し、特定の親水性界面活性剤と組み合わせて調製した液状化粧料(実施例1〜11)は、極めて良好な使用性(べたつきのなさ、やわらかさ)を有し、50℃又は60℃の高温保存あるいは凍結・溶解という過酷な条件を経ても安定性に優れたものであった。それに対して、イソステアリルアルコールを含まない、又はその配合量が油分の60質量%未満である比較例1〜6及び8では、特にやわらかな使用性が得られず、安定性も格段に劣るものとなった。一方、イソステアリルアルコールが油分の60質量%以上を占めていても、油分の配合量が3質量%を越えている比較例7は、べたつきを生じ、使用性において劣っていた。
【0039】
(実施例12〜13及び比較例9)
塩型薬剤(4−メトキシサリチル酸カリウム塩)を配合した下記表5に示す処方で液状化粧料を調製し、前記と同様の評価を行った。結果を表5に併記する。
【0040】
【表5】

【0041】
表5に示した結果から、イソステアリルアルコールが油分の60質量%以上を占めるように配合された実施例12及び13では、塩型薬剤である4−メトキシサリチル酸カリウムを安定に配合することができ、やわらかな使用感も維持されるが、イソステアリルアルコールの配合量が所定量に満たない比較例9では、その使用性は劣化し、特に高温保存時の安定性が格段に低下した。
【0042】
実施例14:半透明化粧水
配合成分 配合量(質量%)
エタノール 5
グリセリン 5
ジプロピレングリコール 7
ブチレングリコール 5
エリスリトール 1
キシリトール 1
PEG/PPG−17/4ジメチルエーテル 3
POE(30)フィトステロール 0.14
セスキオレイン酸ソルビタン 0.02
イソステアリルアルコール 0.3
α‐オレフィンオリゴマー 0.2
キサンタンガム 0.1
クエン酸 適量
クエン酸ナトリウム 適量
メタリン酸ナトリウム 適量
フェノキシエタノール 適量
香料 適量
イオン交換水 残余
【0043】
製造方法:常法に従って水に水溶性成分を順次溶解し水相を調整した。水不溶性成分は両親媒性成分と混合後に水相に添加した。
【0044】
実施例15:半透明化粧水
配合成分 配合量(質量%)
グリセリン 10
ジプロピレングリコール 7
ブチレングリコール 5
POE(10)メチルグルコシド 2
エリスリトール 1
PEG−400 1
PEG/PPG−14/7ジメチルエーテル 1
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(60EO) 0.16
ジイソステアリン酸ポリグリセリル−2 0.08
イソステアリルアルコール 0.3
ヒドロキシエチルセルロース 0.1
クエン酸 適量
クエン酸ナトリウム 適量
エデト酸2ナトリウム 適量
フェノキシエタノール 適量
香料 適量
イオン交換水 残余
【0045】
製造方法:常法に従って水に水溶性成分を順次溶解し水相を調整した。水不溶性成分は両親媒性成分と混合後に水相に添加した。
【0046】
実施例16:美白用半透明化粧水
配合成分 配合量(質量%)
エタノール 7
グリセリン 4
ジプロピレングリコール 5
ブチレングリコール 3
POE(10)メチルグルコシド 1
PEG−20 1
PEG/PPG−14/7ジメチルエーテル 1
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(60EO) 0.16
ジイソステアリン酸ポリグリセリル−2 0.08
イソステアリルアルコール 0.18
イソステアリン酸 0.06
α‐オレフィンオリゴマー 0.06
グリチルリチン酸ジカリウム 0.1
酢酸トコフェロール 0.1
トラネキサム酸 2
オウゴンエキス 0.1
ジオウエキス 0.1
ユキノシタエキス 0.1
オドリコソウエキス 0.1
クエン酸 適量
クエン酸ナトリウム 適量
エデト酸3ナトリウム 適量
フェノキシエタノール 適量
香料 適量
イオン交換水 残余
【0047】
製造方法:常法に従って水に水溶性成分を順次溶解し水相を調整した。水不溶性成分は両親媒性成分と混合後に水相に添加した。
【0048】
実施例17:美白用半透明化粧水
配合成分 配合量(質量%)
エタノール 8
グリセリン 3
ジプロピレングリコール 5
ブチレングリコール 3
POE(10)メチルグルコシド 1
PEG−20 1
PEG/PPG−14/7ジメチルエーテル 1
ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油(60EO) 0.16
ジイソステアリン酸ポリグリセリル−2 0.08
イソステアリルアルコール 0.18
イソステアリン酸 0.06
α‐オレフィンオリゴマー 0.06
グリチルリチン酸ジカリウム 0.1
アスコルビン酸グルコシド 2
塩酸アルギニン 0.1
水酸化カリウム 0.4
オウゴンエキス 0.1
ジオウエキス 0.1
ユキノシタエキス 0.1
オドリコソウエキス 0.1
クエン酸 適量
クエン酸ナトリウム 適量
エデト酸2ナトリウム 適量
パラベン 適量
香料 適量
イオン交換水 残余
【0049】
製造方法:常法に従って水に水溶性成分を順次溶解し水相を調整した。水不溶性成分は両親媒性成分と混合後に水相に添加した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)0.01〜3質量%の油分と、
(b)ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油及びポリオキシエチレンフィトステロールから選択される親水性界面活性剤とを含有し、L値が60以上である透明から半透明の液状化粧料であって、
イソステアリルアルコールが前記(a)油分の60質量%以上を占めることを特徴とする化粧料。
【請求項2】
(c)ジイソステアリン酸ポリグリセリル、セスキイソステアリン酸ソルビタン、及びセスキオレイン酸ソルビタンから選択される親油性界面活性剤を更に含有することを特徴とする、請求項1に記載の化粧料。
【請求項3】
前記(b)親水性界面活性剤の配合量が0.01〜3質量%であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の化粧料。
【請求項4】
前記(c)親油性界面活性剤の配合量が0.01〜2質量%であることを特徴とする、請求項2又は3に記載の化粧料。
【請求項5】
(d)塩型薬剤を更に含有することを特徴とする、請求項1から4のいずれか一項に記載の化粧料。

【公開番号】特開2013−60398(P2013−60398A)
【公開日】平成25年4月4日(2013.4.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−200427(P2011−200427)
【出願日】平成23年9月14日(2011.9.14)
【出願人】(000001959)株式会社 資生堂 (1,748)
【Fターム(参考)】