説明

液状接着剤の塗布方法

【課題】 長尺状の連続した帳票に、ストライプ状の糊付けを行なう際に、その糊付けにおける塗布幅を容易に変更でき、均一な塗布を行なうことができ、また実用上、製造工程の準備作業に時間をかけることのない作業性の良い液状接着剤の塗布方法を提供する。
【解決手段】 長尺状の連続した帳票3に、液状の接着剤1を、連続してストライプ状に塗布する方法において、該連続帳票3に接着剤1を塗布し、直ぐにノズル2から塗布された接着剤1に、エアーを吹き付ける際に、エアーを高圧にして、ノズル2から噴出させる際の加圧条件、ノズル2の帳票3に対する噴出方向、ノズル2と帳票3との距離のいずれかを変更することにより、接着剤の塗布する幅を調整することができた。これにより、接着剤の塗布幅を容易に変更でき、均一な塗布を行なうことができ、また実用上、製造工程の準備作業に時間をかけることのない作業性の良い液状接着剤の塗布方法を見出した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長尺状の連続した帳票に、液状の接着剤を、連続してストライプ状に塗布し、直ぐにノズルからエアーを吹き付けて、ストライプ状の接着剤の塗布幅を容易に変更でき、均一な塗布を行なうことができ、また実用上、製造工程の準備作業に時間をかけることのない作業性の良い液状接着剤の塗布方法に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来から、請求書や配送伝票など種々の業務に使用する帳票として、両側縁に送り孔部を有する長尺状(ウェブ状)の連続した帳票が使用されている。また、その帳票は、1枚の用紙で製造、使用されたり、あるいは2枚以上の複数枚からなる丁合された複写帳票として製造し、用いられている。
【0003】
このような連続した帳票の一部に、流れ方向に、ストライプ状に液状の接着剤を塗布して、その接着剤の塗布された上に、別の連続した帳票を重ねて、接着させ、両者が一体化した、つまり丁合された帳票が多く使用されている。その液状接着剤の塗布方法として、例えば、特許文献1の第3図に示されているように、一方の帳票121Aに糊塗布装置122に設けてある糊供給用の円形部材(糊車)を用いて、ストライプ状に液状の接着剤を塗布して、別の帳票121Bと接着して丁合される。
【0004】
また、液状接着剤の塗布方法として、特許文献2の第5図に示されているように、接着剤21が貯えられた容器23内にローラ24が回転自在に浸透し、かつこのローラ24に対してパターンローラ25が接触し、このパターンローラ25には、一定のパターン26がその表面に形成され、このパターンローラ25に対して、印刷紙20を介して、ローラ27が接触する。これにより、接着剤21がパターンローラ25及びローラ27の回転により印刷紙20に対して塗布され、印刷紙20には、一定のパターンが塗布される。
【0005】
上記の特許文献1にあるような円形部材の糊車を用いた糊(接着剤)の塗布方法では、ストライプ状の糊付けにおける塗布幅が狭く、広くすることが困難で、かつ糊の均一な塗布を行なうことも困難である。また、特許文献2にあるようなパターンローラを用いて、糊付けする塗布方法では、ストライプ状の糊付けにおける塗布幅を変更する場合は、使用するパターンローラを交換する等の準備作業に時間が多くかかり、作業性が悪い。
【0006】
長尺状の連続した帳票に、液状接着剤を塗布する方法として、特許文献3にあるようなスプレイ塗布方法により、液状コーティング材をスプレイノズルから吹き付けて塗布することが示されている。ところが、特許文献3の場合では、高粘度または高固形分の液状コーティング材を使用し、かつ溶媒を供給する副スプレイノズルを併用したものであり、ストライプ状の糊付けにおける塗布幅を変更することについて、その具体的な手段について記載されていない。
【0007】
【特許文献1】実公平6−28291号公報
【特許文献2】特許第3189534号公報
【特許文献3】特公平7−8343号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記のように、長尺状の連続した帳票に、連続してストライプ状に糊付けする液状接着剤の塗布方法が提案されているが、塗布幅を容易に変更でき、均一な塗布を行なうことができ、また製造工程における作業性の良い塗布方法として、十分に満足できる方法が見出されていないのが、現状である。したがって、上記のような課題を解決するために、本発明は、長尺状の連続した帳票に、ストライプ状の糊付けを行なう際に、その糊付けにおける塗布幅を容易に変更でき、均一な塗布を行なうことができ、また実用上、製造工程の準備作業に時間をかけることのない作業性の良い液状接着剤の塗布方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
以上の状況を鑑み、鋭意研究開発を進め、特許請求の範囲の請求項1において、長尺状の連続した帳票に、液状の接着剤を、連続してストライプ状に塗布する方法において、該連続帳票に接着剤を塗布し、直ぐにノズルから塗布された接着剤に、エアーを吹き付ける際に、エアーを高圧にして、ノズルから噴出させる際の加圧条件、ノズルの帳票に対する噴出方向、ノズルと帳票との距離のいずれかを変更することにより、接着剤の塗布する幅を調整することができることを特徴とすることで、上記の課題を解決することができた。
【0010】
請求項2の発明は、前記請求項1に記載の液状接着剤の塗布方法において、塗布した接着剤が乾燥固化する前に、他の長尺状の連続帳票を重ねて、該接着剤により、両方の帳票を接着させ、両者を一体化させて、丁合された帳票を作製することを特徴とする。
【発明の効果】
【0011】
本発明は、長尺状の連続した帳票に、液状の接着剤を、連続してストライプ状に塗布する方法において、該連続帳票に接着剤を塗布し、直ぐにノズルから塗布された接着剤に、エアーを吹き付ける際に、エアーを高圧にして、ノズルから噴出させる際の加圧条件、ノズルの帳票に対する噴出方向、ノズルと帳票との距離のいずれかを変更することにより、接着剤の塗布する幅を調整することができた。これにより、接着剤の塗布幅を容易に変更でき、均一な塗布を行なうことができ、また実用上、製造工程の準備作業に時間をかけることのない作業性の良い液状接着剤の塗布方法を見出した。また、塗布した接着剤が乾燥固化する前に、他の長尺状の連続帳票を重ねて、該接着剤により、両方の帳票を接着させ、両者を一体化させて、丁合された帳票を作製することができ、効率良く複写帳票等の丁合された帳票が得られた。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1は、本発明の液状接着剤の塗布方法の一つの実施形態を示す概略説明図である。連続した帳票3の巻取りが図示した方向に回転し、ピン送りロール6を経由して、連続帳票3が搬送され、タンク21から供給される液状の接着剤1を糊付け用ノズル20から、連続して吐出して、長尺状の連続した帳票3の表面に、ストライプ状に、連続して接着剤1を塗布し、すぐに、すなわち接着剤が乾燥していない状態で、つまり塗布された接着剤の表面が皮膜になっていないで液体の状態の時に、塗布された接着剤1に、ノズル2からエアーを吹き付けて、接着剤の塗布する幅を広くしている。そして、連続帳票3が矢印の方向に搬送され、乾燥機5から赤外線が照射され、乾燥機を通過した接着剤は乾燥固化する。
【0013】
図2のa)は、連続帳票3の表面に、接着剤1が塗布されてエアーを吹き付ける前の、接着剤1が塗布された直後の状態を示すもので、接着剤の塗布された幅がK0で示され、塗布された接着剤の表面は凸状の形を有している。その状態から、図2のb)に示すように、塗布された接着剤1に対して、ノズル2からエアーを吹き付けることで、連続帳票3の表面の接着剤1は横に広がって、接着剤表面が平坦化し、塗布幅がK1となった。つまり、均一に接着剤が塗布された状態となった。
【0014】
図3は、本発明の液状接着剤の塗布方法で使用するエアーの加圧条件が変更された際に、接着剤の塗布幅が変化することを説明する概略図である。液状の接着剤1が、まず糊付け用ノズルから、連続して吐出されて、連続帳票3の表面に、13で示される凸形状の液滴の接着剤1が付着する。尚、その凸状の接着剤1の塗布幅はL0である。この状態から、塗布された接着剤1に、ノズル2からエアーを第1の加圧条件(P1)で吹き付けることにより、接着剤1が横に広がって、接着剤1の塗布幅がL1となる。さらに、ノズル2からの加圧条件を強めることにより、第2の加圧条件(P2)でエアーを接着剤1に吹き付けることにより、接着剤1がさらに横に広がって、接着剤1の塗布幅はL2となる。エアーノズル2の近傍のみを示したが、エアーレギュレーター等により圧力調整されたエアーがノズル2から噴出される。
【0015】
このように、連続帳票に塗布された接着剤に、エアーを吹き付ける際に、エアーを高圧にして、ノズルから噴出させる際のエアーの加圧条件を変更、制御することにより、帳票に対する接着剤の塗布する幅を適宜変更させ、調整することができる。図3では、ノズル2の帳票3に対するエアーの噴出方向や、ノズル2と帳票3との距離を変更するものではなく、エアーの加圧条件のみを変化させたものである。図示したものはノズル2が、この位置に固定され、長尺状の連続した帳票3が、塗布幅のL1、L2と直交する方向に搬送されて、帳票3の表面にストライプ状に、連続して液状接着剤が塗布される。
【0016】
また、図4は、本発明の液状接着剤の塗布方法で使用するエアーノズルの帳票に対する噴出方向が変更された際に、接着剤の塗布幅が変化することを説明する概略図である。液状の接着剤1が、まず糊付け用ノズルから、連続して吐出されて、連続帳票3の表面に、13で示される凸形状の液滴の接着剤1が付着する。尚、その凸状の接着剤1の塗布幅はL0である。この状態から、塗布された接着剤1に、ノズル2からエアーを第1の加圧条件(P1)で吹き付けることにより、接着剤1が横に広がって、接着剤1の塗布幅がL1となる。この状態から、ノズル2が帳票3に対して斜めに角度αだけ回転した状態(破線部)となって、加圧条件(P2)により、エアーを接着剤1に吹き付けることにより、最初の接着剤の塗布幅L0の状態から、接着剤1の塗布幅がL2となる。
【0017】
上記のように、ノズル2が帳票3に対して回転移動し、その回転する角度条件を変更、制御することにより、すなわちノズル2の帳票3に対する噴出方向を変更、制御することにより、帳票に対する接着剤の塗布する幅を適宜変更させ、調整することができる。図示したものはノズル2に対して、長尺状の連続した帳票3が、塗布幅のL1、L2と直交する方向に搬送されて、帳票3の表面にストライプ状に、連続して液状接着剤が塗布される。
【0018】
また、図5は、本発明の液状接着剤の塗布方法で使用するエアーノズルと帳票との距離が変更された際に、接着剤の塗布幅が変化することを説明する概略図である。液状の接着剤1が、まず糊付け用ノズルから、連続して吐出されて、連続帳票3の表面に、13で示される凸形状の液滴の接着剤1が付着する。尚、その凸状の接着剤1の塗布幅はL0である。この状態から、塗布された接着剤1に、ノズル2からエアーを第1の加圧条件(P1)で吹き付けることにより、接着剤1が横に広がって、接着剤1の塗布幅がL1となる。この状態から、ノズル2が帳票3に対して垂直方向に遠ざかる位置に移動して(破線部)、加圧条件(P2)により、エアーを接着剤1に吹き付けることにより、最初の接着剤の塗布幅L0の状態から、接着剤1の塗布幅がL2となる。
【0019】
上記のように、ノズル2が帳票3に対して、両者の距離(間隔)が変更されるように、移動することにより、つまりノズル2と帳票3との距離を変更、制御することにより、帳票に対する接着剤の塗布する幅を適宜変更させ、調整することができる。図示したものはノズル2に対して、長尺状の連続した帳票3が、塗布幅のL1、L2と直交する方向に搬送されて、帳票3の表面にストライプ状に、連続して液状接着剤が塗布される。尚、図5ではノズル2が移動して、ノズル2と帳票3との距離が変化することを説明したが、これに限らず、ノズル2は移動せず固定され、帳票3全体が移動して、ノズル2と帳票3との距離を変更させてもよい。
【0020】
エアーを吹き付ける際に、エアーを高圧にして、ノズルから噴出させる際の加圧条件、ノズルの帳票に対する噴出方向、あるいはノズルと帳票との距離、これらの3つの条件のうち、一つの条件のみを変更させたり、また上記の3つの条件のうち、2つの条件、あるいは3つの条件を変更して、接着剤の塗布する幅を調整することも可能である。但し、製造工程における簡単に、短時間に条件を変更できるものとして、上記の3つの条件のうち、エアーの加圧条件のみを変更させることが挙げられ、好ましく行なわれる。なぜならば、ノズルの帳票に対する噴出方向、あるいはノズルと帳票との距離の条件は、それぞれ条件変更には人手による微調整に手間がかかったりする。それに対して、エアーの加圧条件を変更するには、例えばエアーレギュレーターによる圧力調整用のダイヤルを動かして、容易に圧力条件が変更でき、接着剤の塗布する幅を調整することができる。
【0021】
また、図6に本発明の液状接着剤の塗布方法の他の実施形態である概略説明図を示す。この場合は、液状の接着剤を長尺状の連続した帳票3の表面に、タンク21から供給される液状の接着剤1を糊付け用ノズル20から、連続して吐出して、長尺状の連続した帳票3の表面に、ストライプ状に、連続して接着剤1を塗布し、すぐに、塗布された接着剤1に、ノズル2からエアーを吹き付けて、接着剤の塗布する幅を広くし、その塗布された接着剤が乾燥固化する前に、他の長尺状の連続帳票4を接着剤を間にして、連続帳票3と重ねて、乾燥機5を通過させることにより、連続帳票3と連続帳票4が、その接着剤により、接着して、一体化し、丁合された2パートの帳票が作製される。この接着剤の塗布、エアー吹き付け、連続帳票3と連続帳票4と重ね合わせの工程は、丁合機10で行われる。
【0022】
図6では、巻取り状の連続帳票3が図示した方向に回転し、ピン送りロール6を経由して、糊付け用ノズル20から、接着剤1が連続帳票3の上に、ストライプ状に連続して塗布される。その塗布された接着剤1にノズル2からエアーが吹き付けられて、接着剤の塗布幅が広がる。そして、接着剤が塗布された連続帳票3が、搬送され、図示した巻取り状の連続帳票4が図示した方向に回転し、ロール8を経由して、ロール9により接着剤の塗布された部分を加圧するように、ロール9と図示しない相対するロールあるいは平板との間に、連続帳票3と連続帳票4が圧着され、接着剤を介して、連続帳票3と連続帳票4とが重なる。その重なった状態のまま、両者が矢印の方向に搬送され、乾燥機5から赤外線が照射され、乾燥機を通過した接着剤は乾燥固化して、両者の帳票は強固に接着する。
【0023】
尚、図示したものは丁合機10を横から見た概略図であるが、連続帳票3は接着剤を塗布された後、搬送され、ピン送りロール7のピン12に連続帳票3の端にあるマージナルパンチ11を通して、ピン送りロール7が回転することで(図7を参照)、連続帳票3、4は丁合機10に対して、前後、左右の位置が規制された状態で、矢印の方向に搬送される。そして、ピン送りロール7の真上にロール9が図示されているが、実際はロール9とピン送りロール7とは直接に接触していない。ピン送りロール7は連続帳票3の端部に位置し、ロール9は接着剤が塗布された部分を加圧する位置のみに連続帳票4と接触し、ピン送りロール7とは接触しない位置にある。
【0024】
図6で示したものは、2パートの丁合された帳票であるが、これに限らず、3パート以上の丁合された帳票にも、本発明は適用でき、パート数が増加するのに対応して、その連続した帳票の巻取り、本発明の液状接着剤の塗布方法を適用した装置等を、丁合機に増設して、3パート以上の丁合された帳票を作製することができる。図1、6、7で示した連続帳票の搬送は、全てピン送りロールを使用したが、それに限らず、連続帳票を挟んだ状態での一対のニップロールによる圧着、回転させて搬送したり、あるいは両者を併用したりすることができる。糊付け用ノズル20から、連続して吐出して、連続帳票の表面に、ストライプ状に、接着剤を塗布し、その塗布された接着剤に、ノズル2からエアーを吹き付けて、接着剤の塗布幅を広くする際に、高圧のエアーが連続帳票に当たって、帳票がばたついたりして、帳票の搬送が不安定になりやすいので、上記のニップロールを使用して帳票の搬送を安定させることが好ましい。
【0025】
上記の説明では、液状接着剤の塗布方式として、ノズルから空気圧によって、液体の接着剤を押出す空気圧送式で説明したが、これに限らず、ピストンによってホッパーからの液体の吸込みとノズルからの押出しを繰り返すピストン式、あるいはギアポンプ式、バルブ式、スクリューポンプ式等も適用できる。
【0026】
本発明の液状接着剤の塗布方法において、使用する液状接着剤としては、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、フェノール系、アクリル系、エポキシ系、シアノアクリレート系、ゴム系等の少なくとも1種または2種以上の混合物であり、これらの樹脂を溶剤に溶かしてもよいし、水に分散させた、いわゆるエマルジョンとして用いることができる。本発明では、液状接着剤を帳票に、連続してストライプ状に塗布するものであるが、帳票として1パートで製造する場合は、その帳票に塗布される接着剤は、乾燥固化した後に、例えば連続帳票を枚葉上に切断し、その後に切断された帳票同士を重ね合わせて、加熱及び加圧して帳票を接着することができる。また、帳票を2パート以上で製造する場合は、その帳票に塗布される接着剤は、乾燥固化して、その接着剤と接触する帳票同士が接着する。
【0027】
液状接着剤として、溶剤を使用したものは排気ダクトを設けたりして、環境対策が必要であるが、樹脂エマルジョンタイプの液状接着剤は、そのような対策の必要がなく、製造工程に簡単に適用することができ、好ましく用いられる。その樹脂エマルジョンタイプの液状接着剤として、具体的には酢酸ビニル樹脂系エマルジョン、酢酸ビニル共重合樹脂系エマルジョン、アクリル酸エステル重合樹脂系エマルジョン、アクリル酸エステル共重合樹脂系エマルジョン、エポキシ樹脂系エマルジョン、ウレタン樹脂系エマルジョン、ポリエステル樹脂系エマルジョン、アクリル−シリコーン樹脂系エマルジョン、フッ素樹脂系エマルジョン等が挙げられる。
【実施例1】
【0028】
以下、実施例を挙げて、本発明を更に具体的に説明する。尚、以下に示す部又は%の単位は、特に断りのない限り、質量基準である。上質紙(坪量64g/m2)からなり、長尺の連続帳票の巻取りを用意し、図1に示すように、連続帳票3として、上記の上質紙の巻取りの帳票を使用した。連続した帳票3の巻取りが図示した方向に回転し、ピン送りロール6の代わりに、連続帳票3を挟む状態で、一対のニップロールにより、連続帳票3を搬送し、タンク21から供給される液状の接着剤1を糊付け用ノズル20から、連続して吐出して、長尺状の連続した帳票3の表面に、ストライプ状に、連続して接着剤1を塗布し、すぐに、塗布された接着剤1に、ノズル2からエアーを吹き付けて、接着剤の塗布する幅を広くする。そして、連続帳票3が矢印の方向に搬送され、乾燥機5から赤外線が照射され、乾燥機を通過した接着剤は乾燥固化する。その接着剤の塗布条件は以下のようにした。また、乾燥機は赤外線照射方式のものを使用した。
【0029】
液状接着剤;エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂エマルジョン
ノズル;エアー吹き付け用ノズル(エアーノズル)の先端部の口径は0.4mm
エアーノズルからエアーを噴出させる際の加圧条件;0.2MPa
エアーノズルの帳票に対する噴出方向;図4で示す実線で示したノズルと帳票との関係を満足させるもの。(図2の角度αは0°)
エアーノズルと帳票との距離;20mm
【0030】
上記の塗布条件により、帳票に対する接着剤の塗布幅は4mmであった。この条件から、ノズルと帳票との距離の条件のみを、10mmに変更し、その他の条件は変更しないようにしたところ、帳票に対する接着剤の塗布幅は8mmとなった。
【実施例2】
【0031】
上質紙(坪量64g/m2)からなり、長尺の連続帳票(シート)の巻取りを用意し、図6に示すような丁合機10において、連続帳票3として、上記の上質紙の巻取りの帳票を使用し、また複写用紙(坪量38g/m2)の裏面にカーボンインキが所定のパターンで印刷された連続帳票の巻取りを用意して、その複写用紙からなるものを連続帳票4として使用した。まず、連続した帳票3の巻取りが図示した方向に回転し、ピン送りロール6の代わりに、連続帳票3を挟む状態で、一対のニップロールにより、連続帳票3を搬送し、タンク21から供給される液状の接着剤1を糊付け用ノズル20から、連続して吐出して、長尺状の連続した帳票3の表面に、ストライプ状に、連続して接着剤1を塗布し、すぐに、塗布された接着剤1に、ノズル2からエアーを吹き付けて、接着剤の塗布する幅を広くする。
【0032】
連続帳票3は接着剤1を塗布された後、搬送され、図示した巻取り状の連続帳票4が図示した方向に回転し、ロール8を経由し、ロール9と図示しない相対するロールあるいは平板との間で、連続帳票3と連続帳票4が接着剤1を介して、圧着され、連続帳票3と連続帳票4とが重なる。その重なった状態のまま、両者が矢印の方向に搬送され、赤外線照射方式の乾燥機5から赤外線が照射され、乾燥機を通過した接着剤が乾燥固化して、両者の帳票が強固に接着する。連続帳票3、4の搬送は、それぞれの巻取りを回転駆動させる駆動部、またピン送りロール6、7の代わりに使用した一対のニップロールが回転する駆動部などを利用する。尚、上記のロール9と相対するロールあるいは平板により、連続帳票3と連続帳票4とが接着剤1を介して、圧着され、そのロール9とは幅方向で異なる位置に、一対のニップロールにより、連続帳票3と連続帳票4とが丁合機10に対して、前後、左右の位置が規制された状態で、矢印の方向に搬送される。接着剤の塗布条件は以下のようにした。
【0033】
液状接着剤;エチレン−酢酸ビニル共重合樹脂エマルジョン
ノズル;エアー吹き付け用ノズル(エアーノズル)の先端部の口径は0.4mm
エアーノズルからエアーを噴出させる際の加圧条件;0.2MPa
エアーノズルの帳票に対する噴出方向;図4で示す実線で示したノズルと帳票との関係を満足させるもの。(図2の角度αは0°)
エアーノズルと帳票との距離;20mm
【0034】
上記の塗布条件により、帳票に対する接着剤の塗布幅は4mmであった。この条件から、ノズルと帳票との距離の条件のみを、5mmに変更し、その他の条件は変更しないようにしたところ、帳票に対する接着剤の塗布幅は10mmとなった。接着剤の塗布幅は4mmと10mmの両方の場合とも、連続帳票3と連続帳票4とが塗布された接着剤により強固に接着し、両者は一体化し、2パートの丁合された帳票を作製することができた。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の液状接着剤の塗布方法の一つの実施形態を示す概略説明図である。
【図2】接着剤が連続帳票に塗布されてエアーを吹き付ける前と吹き付けた後の接着剤の塗布幅の変化を説明する概略図である。
【図3】本発明の液状接着剤の塗布方法で使用するエアーの加圧条件が変更された際に、接着剤の塗布幅が変化することを説明する概略図である。
【図4】本発明の液状接着剤の塗布方法で使用するエアーノズルの帳票に対する噴出方向が変更された際に、接着剤の塗布幅が変化することを説明する概略図である。
【図5】本発明の液状接着剤の塗布方法で使用するエアーノズルと帳票との距離が変更された際に、接着剤の塗布幅が変化することを説明する概略図である。
【図6】本発明の液状接着剤の塗布方法の他の実施形態を示す概略説明図である。
【図7】ピン送りロールにより、連続帳票が搬送されることを説明する概略図である。
【符号の説明】
【0036】
1 接着剤
2 (エアー)ノズル
3 帳票
4 他の連続帳票
5 乾燥機
6 ピン送りロール
7 ピン送りロール
8 ロール
9 ロール
10 丁合機
11 マージナルパンチ
12 ピン
13 付着した接着剤の表面の凸形状
20 糊付け用ノズル
21 タンク
0 接着剤の塗布された幅
1 接着剤の塗布された幅
0 接着剤の塗布された幅
1 接着剤の塗布された幅
2 接着剤の塗布された幅
1 エアーの加圧条件
2 エアーの加圧条件


【特許請求の範囲】
【請求項1】
長尺状の連続した帳票に、液状の接着剤を、連続してストライプ状に塗布する方法において、該連続帳票に接着剤を塗布し、直ぐにノズルから塗布された接着剤に、エアーを吹き付ける際に、エアーを高圧にして、ノズルから噴出させる際の加圧条件、ノズルの帳票に対する噴出方向、ノズルと帳票との距離のいずれかを変更することにより、接着剤の塗布する幅を調整することができることを特徴とする液状接着剤の塗布方法。
【請求項2】
前記の液状接着剤の塗布方法において、塗布した接着剤が乾燥固化する前に、他の長尺状の連続帳票を重ねて、該接着剤により、両方の帳票を接着させ、両者を一体化させて、丁合された帳票を作製することを特徴とする請求項1に記載の液状接着剤の塗布方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2006−55715(P2006−55715A)
【公開日】平成18年3月2日(2006.3.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−238407(P2004−238407)
【出願日】平成16年8月18日(2004.8.18)
【出願人】(000002897)大日本印刷株式会社 (14,506)
【Fターム(参考)】