説明

液状組成物用容器

【課題】液状組成物を安定して吐出させることができる液状組成物用容器を提供する。
【解決手段】容器100は、液状組成物160を吐出させるものであって、内袋120、シリンダ110、ピストン140およびノズル130を備え、内袋120は、フレキシブルな素材からなるフレキシブル部121を有し、この内袋120には、液状組成物160が充填され、シリンダ110は、内袋120を内部に収納し、このシリンダ110は、フレキシブル部121よりも硬い素材からなり、ピストン140は、シリンダ110の内部に移動自在に取り付けられ、このピストン140は、液状組成物160を容器100の外部に押し出し、ノズル130は、ピストン140によって押し出される液状組成物160を容器100の外部に吐出させる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、液状組成物を保存および塗布するときに用いられる液状組成物用容器に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体パッケージの組立工程において、半導体素子または放熱部材などを、リードフレームまたは有機基板などの支持体に接着する際に、室温で液状の接着剤である液状組成物が広く用いられている。この液状組成物としては、室温で低粘度の樹脂バインダーに、比重の重い無機フィラーを分散させたものが多く用いられる。
【0003】
この液状組成物は、通常、樹脂製のシリンダを備える液状組成物容器に充填されて用いられる。液状組成物が充填された液状組成物容器は、機械的な力または空気圧によって一定量の液状組成物を吐出し、液状組成物を支持体に塗布する。
【0004】
液状組成物を支持体に塗布するときの作業性を良くするために、液状組成物が低粘度であることが好ましい。また、液状組成物は加熱などにより固化するが、樹脂バインダーとして硬化性樹脂が使用される場合には、硬化時間短縮のために硬化性樹脂の反応性が優れていることが好ましい。しかし、粘度が低い液状組成物は、保管中に無機フィラーの沈降が生じやすい。また、反応性が優れている液状組成物は、保管中に反応が進行するおそれがある。
【0005】
そこで、無機フィラーの沈降の抑制、反応の抑制および長期間保存のために、良好な作業性および硬化性を有する低粘度の液状組成物は、−15℃または−40℃といった低温で保存される。低温に冷却された液状組成物は、高粘度の状態となる。低温で保存された液状組成物が使用されるとき、液状組成物は、低粘度となるように室温に戻されてから使用されるのが一般的である。
【0006】
ところで、液状組成物の熱膨張係数とシリンダの熱膨張係数とが異なるので、液状組成物の入った液状組成物容器を冷却保管するとき、液状組成物がシリンダよりも収縮する。そのため、液状組成物とシリンダの間に隙間が生じやすい。また、冷却された液状組成物の入った液状組成物容器の温度を室温に戻すとき、外側から温度が上昇するので、シリンダが液状組成物よりも先に膨張し、液状組成物とシリンダの間に隙間が生じやすい。この液状組成物とシリンダとの間に生じた隙間によって、液状組成物の入った液状組成物容器を室温に戻したとき、液状組成物内に気泡が生じる。この気泡は、圧力損失の原因となったり、液状組成物が吐出されずに空気のみが吐出される空打ちの原因となったりするので、液状組成物容器の吐出安定性を悪化させる。
【0007】
このような問題に対して、例えば、特許文献1には、ペースト状組成物を収容するシリンダと、シリンダに形成したノズル部に着脱自在に装着したノズルキャップと、シリンダに着脱自在に装着したヘッドキャップと、シリンダの内部に移動自在に配設したペースト状組成物を圧送するピストンとを備え、ヘッドキャップはシリンダの内部と外部との気圧差をなくすための通気部を有するディスペンサー用注射筒が提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開2004−174348
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
この特許文献1に記載のディスペンサー用注射筒においては、ヘッドキャップがシリンダの内部と外部との気圧差をなくし、シリンダのノズル部とノズルキャップとの間の僅かな隙間からシリンダの内部への空気または気体の侵入を抑制することができる。しかし、このディスペンサー用注射筒では、ペースト状組成物の入ったディスペンサー用注射筒を冷却保管するとき、および冷却したディスペンサー用注射筒の温度を室温に戻すとき、ペースト状組成物の収縮と膨張にシリンダの収縮と膨張が追随しない。そのため、このディスペンサー用注射筒は、シリンダとピストンとの間に冷却保管前から存在する空気が、ペースト状組成物とシリンダの間に侵入することを防ぐことができない。その結果、ペースト状組成物とシリンダの間に隙間が生じるので、ペースト状組成物内の気泡の発生を抑制することができない。
【0010】
本発明の目的は、液状組成物内の気泡の発生を抑制することができ、気泡による圧力損失および空打ちの発生を低減させることができることで、液状組成物を安定して吐出させることができる液状組成物用容器を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
(1)
本発明の一局面に係る液状組成物用容器は、液状組成物を吐出させるものであって、内袋、シリンダ、ピストンおよびノズルを備える。内袋は、フレキシブルな素材からなるフレキシブル部を有する。また、この内袋には、液状組成物が充填される。シリンダは、内袋を内部に収納する。また、このシリンダは、フレキシブル部よりも硬い素材からなる。ピストンは、シリンダの内部に移動自在に取り付けられる。そして、このピストンには、液状組成物を液状組成物用容器の外部に押し出す。ノズルは、ピストンによって押し出される液状組成物を液状組成物用容器の外部に吐出させる。
【0012】
液状組成物容器に入った液状組成物を冷却保管するとき、および冷却された液状組成物容器に入った液状組成物の温度を室温に戻すとき、液状組成物の収縮と膨張にフレキシブル部が追随するので、液状組成物と内袋との間に隙間が生じにくい。このため、液状組成物内での気泡の発生を抑制することができる。したがって、気泡による圧力損失および空打ちの発生を低減させることができる。よって、液状組成物用容器は液状組成物を安定して吐出させることができる。
【0013】
(2)
上述(1)の液状組成物用容器において、ノズルは、内袋に取り付けられる。また、この液状組成物用容器では、内袋から液状組成物が直接送られる。そして、ノズルおよび前記内袋の少なくとも一方は、シリンダに着脱自在に取り付けられる。
【0014】
内袋から液状組成物が直接送られる。このため、この液状組成物用容器では、シリンダには液状組成物が付着しないので、シリンダを再利用することができる。したがって、ユーザは、液状組成物用容器の使用コストを低減させることができる。
【0015】
(3)
上述(1)または(2)の液状組成物用容器において、ピストンは、内袋に設けられている。
【0016】
ピストンは、内袋に設けられている。このため、この液状組成物用容器では、内袋をシリンダに取り付けると同時にピストンをシリンダに取り付けることができる。したがって、ピストンをシリンダに設置する手間を省くことができる。
【0017】
(4)
上述(1)〜(3)の液状組成物用容器において、内袋は、折り目が形成されている。
【0018】
内袋は、折り目が形成されている。このため、この液状組成物用容器では、ピストンで内袋の液状組成物が押し出されると、内袋が折り目に沿って折り畳まれるので、液状組成物が内袋から押し出されやすい。このため、液状組成物が内袋中に残存する量を低減させることができる。
【0019】
(5)
本発明の一局面に係る液状組成物用容器は、液状組成物を吐出させるものであって、シリンダ、枠体、ピストンおよびノズルを備える。シリンダは、フレキシブルな素材からなるフレキシブル部を有する。このシリンダには、液状組成物が充填される。枠体は、フレキシブル部よりも硬い素材からなる。この枠体は、フレキシブル部を覆う。ピストンは、シリンダの内部に移動自在に取り付けられる。このピストンは、液状組成物を液状組成物用容器の外部に押し出す。ノズルは、液状組成物を液状組成物用容器の外部に吐出させる。
【0020】
枠体が取り外された液状組成物容器に入った液状組成物を冷却保管するとき、および冷却した液状組成物容器に入った液状組成物の温度を室温に戻すとき、液状組成物の収縮と膨張に追随してフレキシブル部が収縮と膨張するので、液状組成物とシリンダとの間に隙間が生じにくい。これにより、液状組成物内での気泡の発生を抑制することができる。その結果、気泡による圧力損失および空打ちの発生を低減させることができる。
【0021】
枠体でフレキシブル部が覆われたシリンダに沿ってピストンを押し出すことによって、シリンダの液状組成物を液状組成物用容器の外部に、安定して吐出させることができる。
【0022】
(6)
上述(5)の液状組成物用容器において、フレキシブル部は、シリンダの両端近傍を除く部分に形成されている。
【0023】
フレキシブル部がシリンダの両端近傍を除く部分に形成されることで、液状組成物の収縮と膨張に追随して収縮と膨張するフレキシブル部を広く形成することができる。このため、液状組成物とシリンダの間に隙間がより生じにくい。したがって、液状組成物内の気泡の発生をより抑制することができる。
【0024】
(7)
上述(5)または(6)の液状組成物用容器において、シリンダは、枠体の設置位置を決めるための位置決め部が設けられている。
【0025】
位置決め部によって枠体がシリンダに設置されるので、枠体はフレキシブル部を確実に覆うことができる。そのため、枠体は、フレキシブル部の形状を保持することができ、ピストンのスムーズな動きを実現することができる。
【発明の効果】
【0026】
本発明に係る液状組成物用容器によれば、液状組成物内の気泡の発生を抑制することができ、気泡による圧力損失および空打ちの発生を低減させることができることで、液状組成物を安定して吐出させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0027】
【図1】本発明の第1実施形態に係る液状組成物用容器の使用状態を説明するための側面図である。
【図2】図1に示した液状組成物用容器の使用状態を説明するための側断面図である。
【図3】本発明の第1実施形態に係る液状組成物用容器の保管状態を説明するための側面図である。
【図4】図3に示した液状組成物用容器の保管状態を説明するための側断面図である。
【図5】ピストンが押し込まれた状態の液状組成物用容器を示す側断面図である。
【図6】本発明の第1実施形態の変形例に係る液状組成物用容器の保管状態を説明するための側断面図である。
【図7】本発明の第2実施形態に係る液状組成物用容器の使用状態を説明するための側面図である。
【図8】図7に示した液状組成物用容器の使用状態を説明するための側断面図である。
【図9】図7のA−A線断面図である。
【図10】本発明の第2実施形態に係る液状組成物用容器の保管状態を説明するための側面図である。
【図11】図10に示した液状組成物用容器の保管状態を説明するための側断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
(第1実施形態)
第1実施形態に係る液状組成物用容器(以下、単に「容器」という)100は、使用状態において、図1、2に示されるように、主に、シリンダ110、内袋120、ノズル130、およびピストン140から構成される。なお、容器100の使用状態とは、液状組成物160を対象物に塗布するときの状態をいう。
また、使用状態の容器100を保管状態にした容器100aは、図3、4に示されるように、主に、内袋120およびノズルキャップ150から構成される。なお、容器100aの保管状態とは、液状組成物160を保管するときの状態をいう。容器100aについては、容器100と共通の構成の説明を適宜省略する。
【0029】
<シリンダ>
図1、2に示されるように、シリンダ110は、円筒形状に形成され、フランジ部111と、第1凸溝112とを備える。シリンダ110の素材としては、後述する内袋120のフレキシブル部121よりも硬く、かつ、液状組成物160を塗布するときにピストン140の移動をガイドすることができる硬さを持つ素材が用いられる。具体的に、シリンダ110の素材としては、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポりエチレンテレフタラート、ポリテトラフルオルエチレン等の合成樹脂などが用いられる。
【0030】
フランジ部111は、シリンダ110の上端部の外周縁から外方向に張り出して形成される。このフランジ部111には、ピストン140を下方(図2の白抜き矢印の方向)に押し出すディスペンサー(図示せず)が取り付けられる。
【0031】
第1凸溝112は、シリンダ110の下端近傍の内周面に、らせん状に形成される。この第1凸溝112は、断面が凸形状の溝であり(図2参照)、後述する内袋120の第1凹溝126と螺合する。
【0032】
<内袋>
図2、3に示されるように、内袋120は、フレキシブル部121と、ノズル取付部122とを備える。フレキシブル部121は袋状に形成され、ノズル取付部122は筒形状に形成される。
【0033】
フレキシブル部121は、開口部123と、窪み部124と、複数の折り目125とを有する。開口部123とノズル取付部122の上端部とが繋ぎ合わされることによって、フレキシブル部121はノズル取付部122に取り付けられる。この窪み部124は、フレキシブル部121と接しているピストン140の下端部の形状に沿って窪んだ形状を呈している。この窪み部124によって、ピストン140はフレキシブル部121と密着して接することができる。これにより、ピストン140と内袋120との間に隙間が生じにくい。
【0034】
液状組成物160が冷却保管されるとき、および冷却された液状組成物160を室温に戻すとき、液状組成物160は収縮および膨張する。フレキシブル部121の素材としては、液状組成物160の収縮および膨張に追随して収縮および膨張することができるフレキシブルなものであればよく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポりエチレンテレフタラート、ポリテトラフルオルエチレン等の合成樹脂などが挙げられる。
【0035】
ノズル取付部122は、第1凹溝126と、内筒127と、外筒128とを備える。第1凹溝126は、ノズル取付部122の上端近傍の外周面に、らせん状に形成される。この第1凹溝126は、断面が凹形状の溝であり(図2参照)、第1凸溝112と螺合する。第1凹溝126が第1凸溝112に沿ってスライドしつつ、ノズル取付部122がシリンダ110にねじ込まれることで、ノズル取付部122はシリンダ110に固定される。これにより、内袋120は、シリンダ110に取り付けられる。
【0036】
内筒127は、筒形状に形成され、ノズル取付部122の下端部に配置される。フレキシブル部121から押し出されてきた液状組成物160は、内筒127の内部を通過し、ノズル130へと送り込まれる。
【0037】
外筒128は、内筒127よりも大径の筒形状に形成され、内筒127の一部を覆うようにして配置される。外筒128と内筒127との間には、隙間が設けられる。外筒128の内周面には、らせん状に形成された第2凸溝129が設けられる。第2凸溝129は、断面が凸形状の溝であり(図2参照)、後述するノズル130の第2凹溝131と螺合する。
【0038】
<ノズル>
図2に示されるように、ノズル130は、第2凹溝131と、吐出部132とを備える。第2凹溝131は、ノズル130の上端近傍の外周面に、らせん状に形成される。第2凹溝131は、断面が凹形状の溝であり、第2凸溝129と螺合する。第2凹溝131が第2凸溝129に沿ってスライドしつつ、ノズル130がノズル取付部122にねじ込まれることで、ノズル130はノズル取付部122に固定される。このようにして、ノズル130は、内袋120に取り付けられる。
【0039】
吐出部132は、筒形状に形成され、ノズル130の下端部に配置される。ピストン140によって内袋120から押し出されてきた液状組成物160は、吐出部132の内部を通過し、容器100の外部に吐出される。
【0040】
<ピストン>
ピストン140は、シリンダ110の内部を上下方向に移動自在に取り付けられる。このピストン140は、シリンダ110に取り付けられたとき、シリンダ110の内周面に密着する円柱形状に形成される。
【0041】
<ノズルキャップ>
図3、4に示されるように、ノズルキャップ150は、内筒127を覆う形状に形成される。ノズルキャップ150の上端近傍の外周面には、らせん状に形成された第2凹溝151が設けられる。第2凹溝151は、断面が凹形状の溝であり(図4参照)、第2凸溝129と螺合する。第2凹溝151が第2凸溝129に沿ってスライドしつつ、ノズルキャップ150がノズル取付部122にねじ込まれることで、ノズルキャップ150はノズル取付部122に固定される。これにより、ノズルキャップ150は、内袋120に取り付けられ、内筒127を閉塞する。
【0042】
<液状組成物>
液状組成物160は、例えば、半導体素子や放熱部材などをリードフレームや有機基板などの支持体に接着するためのものであって、例えば、室温で液状である接着剤などが挙げられる。この接着剤は、室温で低粘度の樹脂バインダーに、比重の重い無機フィラーを分散させたもの等である。
【0043】
<使用状態の液状組成物用容器>
ユーザは、液状組成物160を充填した内袋120に、シリンダ110と、ノズル130と、ピストン140とを取り付けることで、使用状態の容器100を得る(図1、2参照)。
【0044】
次に、ユーザは、使用状態の容器100にディスペンサー(図示せず)を取り付ける。ピストン140は、ディスペンサーからの機械的な力または空気圧によって、シリンダ110に沿って下方(図2の白抜き矢印の方向)に押し込まれる。これにより、液状組成物160は、ピストン140によって押し出される。ピストン140で押し出された液状組成物160は、フレキシブル部121、ノズル取付部122、ノズル130の各内部を順に通過して、容器100の外部へ吐出される。
【0045】
図5に示されるように、ピストン140で液状組成物160がフレキシブル部121から押し出されるにつれて、フレキシブル部121は折り目125に沿って折り畳まれる。これにより、液状組成物160は、ピストン140によって内袋120から押し出されやすくなる。
【0046】
<保管状態の液状組成物用容器>
ユーザは、使用状態の容器100からシリンダ110、ノズル130およびピストン140を取り外す(図1、2参照)。次に、ユーザは、内袋120にノズルキャップ150を取り付けることで、保存状態の容器100aを得る(図3、4参照)。保管状態の容器100aに入った液状組成物160が冷却保管される。なお、ユーザは、保管状態の容器100aを使用状態の容器100に戻したとき、冷却された液状組成物160を室温に戻してから、液状組成物160を塗布する。
【0047】
<第1実施形態における効果>
以上のように、本実施形態に係る容器100においては、容器100に入った液状組成物160を冷却保管するとき、および冷却された容器100に入った液状組成物160の温度を室温に戻すとき、液状組成物160の収縮と膨張にフレキシブル部121が追随するので、液状組成物160と内袋120との間に隙間が生じにくい。このため、液状組成物160内での気泡の発生を抑制することができる。したがって、気泡による圧力損失および空打ちの発生を低減させることができる。よって、容器100は、液状組成物160を安定して吐出させることができる。
【0048】
また、本実施形態では、液状組成物160は、シリンダ110には接触せずに、内袋120からノズル130に直接送られる。このため、シリンダ110には液状組成物160が付着しないので、シリンダ110を再利用することができる。このため、ユーザは、容器100の使用コストを低減させることができる。
【0049】
また、本実施形態では、ピストン140で内袋120の液状組成物160を押し出すと、内袋120が折り目125に沿って折り畳まれるので、液状組成物160が内袋120から押し出されやすい。このため、液状組成物160が内袋120中に残存する量を低減させることができる。
【0050】
<第1実施形態の変形例>
(a)
図6に示されるように、容器100bでは、ピストン140は、上面が開口したフレキシブル部121bと繋ぎ合わされていてもよい。容器100bでは、内袋120をシリンダ110に取り付けると同時にピストン140をシリンダ110に取り付けることができる。このため、ピストン140をシリンダ110に取り付ける手間を省くことができる。また、ピストン140がフレキシブル部121bと繋ぎ合わされ、かつ、ピストン140と液状組成物160とが直接接しているので、ピストン140と液状組成物160との間に隙間が生じにくい。他の符号は、先の実施形態の符号で示したものと同一のものを示す。
【0051】
(b)
内袋120がシリンダ110に着脱自在に取り付けられる構造ではなく、内袋120に取り付けられたノズル130が、シリンダ110に着脱自在に取り付けられる構造であってもよい。
【0052】
(第2実施形態)
第2実施形態に係る容器100cは、使用状態において、図7〜9に示されるように、主に、シリンダ110c、枠体170、ノズル130、およびピストン140から構成される。容器100cの使用状態とは、液状組成物160を対象物に塗布するときの状態をいう。
また、使用状態の容器100を保管状態にした容器100dは、図10、11に示されるように、主に、シリンダ110c、ピストン140、ノズルキャップ150、ヘッドキャップ180から構成される。なお、容器100dの保管状態とは、液状組成物160を保管するときの状態をいう。容器100dについては、容器100cと共通の構成の説明を適宜省略する。また、上記第1実施形態と同一の構成については、第1実施形態と同一の符号を付し適宜その説明を省略する。
【0053】
<シリンダ>
図7、8に示されるように、シリンダ110cは、円筒形状に形成され、フランジ部111cと、ノズル取付部113cと、フレキシブル部114cとを備える。
【0054】
フランジ部111cは、シリンダ110cの上端部の外周縁から外方向に張り出して形成される。フランジ部111cには、ピストン140を下方(図2の白抜き矢印の方向)に押し出すディスペンサー(図示せず)が取り付けられる。フランジ部111cは、下端近傍の外周面に沿って形成される第1位置決め部115cを有する。第1位置決め部115cは、断面が凹形状の溝であり(図8参照)、後述する枠体170の第1突起部174と嵌合する。
【0055】
ノズル取付部113cは、フランジ部111cの下方に設けられ、内筒116cと、外筒117cと、第2位置決め部118cとを備える。
【0056】
内筒116cは、筒形状に形成され、ノズル取付部113cの下端部に配置される。フレキシブル部114cから押し出されてきた液状組成物160は、内筒116cの内部を通過し、ノズル130へと送り込まれる。
【0057】
外筒117cは、内筒116cよりも大径の筒形状に形成され、内筒116cの一部を覆うようにして配置される。外筒117cと内筒116cとの間には、隙間が設けられる。外筒117cの内周面には、らせん状に形成された第2凸溝119cが設けられる。第2凸溝119cは、断面が凸形状の溝であり(図8参照)、ノズル130の第2凹溝131と螺合する。第2凹溝131が第2凸溝119cに沿ってスライドしつつ、ノズル130がノズル取付部113cにねじ込まれることで、ノズル130はノズル取付部113cに固定される。これにより、ノズル130は、シリンダ110cに取り付けられる。
【0058】
フランジ部111c、ノズル取付部113cおよび枠体170の素材としては、フレキシブル部114cよりも硬く、かつ、液状組成物160を塗布するときにピストン140の移動をガイドすることができる硬さを持つ素材が用いられる。具体的に、フランジ部111c、ノズル取付部113cおよび枠体170の素材としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポりエチレンテレフタラート、ポリテトラフルオルエチレン等の合成樹脂などが用いられる。
【0059】
フレキシブル部114cは、フランジ部111cとノズル取付部113cとの間を繋ぎ、フランジ部111cおよびノズル取付部113cと一体的となるようにして設けられる。フレキシブル部114cの素材としては、液状組成物160の収縮および膨張に追随して収縮および膨張することができるフレキシブルなものであればよく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポりエチレンテレフタラート、ポリテトラフルオルエチレン等の合成樹脂などが挙げられる。
【0060】
<枠体>
図8、9に示されるように、枠体170は、半円筒形状の第1カバー171と、半円筒形状の第2カバー172とを備える。枠体170は、フレキシブル部114cの全外周面と、フランジ部111cの外周面の一部と、ノズル取付部113cの外周面の一部とを覆う。
【0061】
第1カバー171は、一対の取付爪173と、第1突起部174と、第2突起部175とを有する(図8、9)。一対の取付爪173は、後述する第2カバー172の一対の掛合部176にそれぞれ着脱自在に取り付けられる。
【0062】
第1突起部174および第2突起部175は、いずれも断面が凸形状の溝である(図8参照)。枠体170がシリンダ110cに取り付けられたとき、第1突起部174は第1位置決め部115cと嵌合し、第2突起部175は第2位置決め部118cと嵌合する。
【0063】
第2カバー172は、一対の掛合部176と、第1突起部174と、第2突起部175とを有する。一対の掛合部176は、取付爪173が掛り合うことのできる窪んだ形状に形成される。一対の取付爪173が一対の掛合部176にそれぞれ着脱自在に取り付けられるので、第1カバー171は、第2カバー172に着脱可能に取り付けられる。これにより、使用したシリンダ110cから取り外された枠体170は、他のシリンダ110cに取り付けられて再利用することができる。
【0064】
<ヘッドキャップ>
ヘッドキャップ180は、フランジ部111cに着脱自在に取り付けられる。フランジ部111cに取り付けられたヘッドキャップ180は、シリンダ110cの上方側の開口を閉塞する。
【0065】
<使用状態の液状組成物用容器>
ユーザは、液状組成物160が充填されていない状態のシリンダ110cに、枠体170およびノズル130を取り付ける。次に、ユーザは、シリンダ110cに液状組成物160を充填する。さらに、ユーザは、シリンダ110cにピストン140を取り付けるこてとで、使用状態の容器100cを得る(図7〜9参照)。なお、液状組成物160は、使用状態となる前の容器100cに予め充填されていてもよい。
【0066】
さらに、ユーザは、使用状態の容器100cにディスペンサー(図示せず)を取り付ける。ピストン140は、ディスペンサーからの機械的な力または空気圧によって、枠体170で覆われたシリンダ110cに沿って下方(図8の白抜き矢印の方向)に押し込まれる。これにより、液状組成物160は、ピストン140によって押し出される。ピストン140で押し出された液状組成物160は、フレキシブル部114c、ノズル取付部113c、ノズル130の各内部を順に通過して、容器100cの外部へ吐出される。
【0067】
<保管状態の液状組成物用容器>
ユーザは、使用状態の容器100cから枠体170およびノズル130を取り外す(図7〜9参照)。次に、ユーザは、シリンダ110にノズルキャップ150およびヘッドキャップ180を取り付けることで、保管状態の容器100dを得る(図10、11参照)。保管状態の容器100dに入った液状組成物160が冷却保管される。なお、ユーザは、保管状態の容器100dを使用状態の容器100cに戻したとき、冷却された液状組成物160を室温に戻してから、液状組成物160を塗布する。
【0068】
<第2実施形態における効果>
以上のように、本実施形態に係る容器100cにおいては、容器100cに入った液状組成物160を冷却保管するとき、および冷却した容器100cに入った液状組成物160の温度を室温に戻すとき、液状組成物160の収縮と膨張に追随してフレキシブル部114cが収縮と膨張するので、液状組成物160とシリンダ110cの間に隙間が生じにくい。これにより、液状組成物160内での気泡の発生を抑制することができる。その結果、気泡による圧力損失および空打ちの発生を低減させることができる。
【0069】
枠体170でフレキシブル部114cが覆われたシリンダ110cに沿ってピストン140を押し出すことによって、シリンダ110cの液状組成物160を容器100cの外部に、安定して吐出させることができる。
【0070】
また、本実施形態では、フレキシブル部114cがシリンダ110cの両端近傍を除く部分に形成されることで、液状組成物160の収縮と膨張に追随して収縮と膨張するフレキシブル部114cを広く形成することができる。これにより、液状組成物160とシリンダ110cとの間に隙間がより生じにくい。その結果、液状組成物160内での気泡の発生をより抑制することができる。
【0071】
また、本実施形態では、第1位置決め部115cおよび第2位置決め部118cによって枠体170がシリンダ110cに設置されるので、枠体170はフレキシブル部114cを確実に覆うことができる。そのため、枠体170は、フレキシブル部114cの形状を円筒形状に保持することができ、ピストン140のスムーズな動きを実現することができる。
【符号の説明】
【0072】
100、100a、100b、100c、100d 容器(液状組成物用容器)
110、110c シリンダ
114c フレキシブル部
115c 第1位置決め部(位置決め部)
118c 第2位置決め部(位置決め部)
120 内袋
121、121b フレキシブル部
125 折り目
130 ノズル
140 ピストン
160 液状組成物
170 枠体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
液状組成物を吐出させるための液状組成物用容器であって、
フレキシブルな素材からなるフレキシブル部を有し、前記液状組成物が充填される内袋と、
前記内袋を内部に収納し、前記フレキシブル部よりも硬い素材からなるシリンダと、
前記シリンダの内部に移動自在に取り付けられ、前記液状組成物を該液状組成物用容器の外部に押し出すピストンと、
前記ピストンによって押し出される液状組成物を該液状組成物用容器の外部に吐出させるノズルとを備えることを特徴とする液状組成物用容器。
【請求項2】
前記ノズルは、前記内袋に取り付けられ、
前記ノズルおよび前記内袋の少なくとも一方は、前記シリンダに着脱自在に取り付けられることを特徴とする請求項1に記載の液状組成物用容器。
【請求項3】
前記ピストンは、前記内袋に設けられていることを特徴とする請求項1または2に記載の液状組成物用容器。
【請求項4】
前記内袋は、折り目が形成されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の液状組成物用容器。
【請求項5】
液状組成物を吐出させるための液状組成物用容器であって、
フレキシブルな素材からなるフレキシブル部を有し、前記液状組成物が充填されるシリンダと、
前記フレキシブル部よりも硬い素材からなり、該フレキシブル部を覆う枠体と、
前記シリンダの内部に移動自在に取り付けられ、前記液状組成物を該液状組成物用容器の外部に押し出すピストンと、
前記液状組成物を該液状組成物用容器の外部に吐出させるノズルとを備えることを特徴とする液状組成物用容器。
【請求項6】
前記フレキシブル部は、前記シリンダの両端近傍を除く部分に形成されていることを特徴とする請求項5に記載の液状組成物用容器。
【請求項7】
前記シリンダは、前記枠体の設置位置を決めるための位置決め部が設けられていることを特徴とする請求項5または6に記載の液状組成物用容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2012−20763(P2012−20763A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−159835(P2010−159835)
【出願日】平成22年7月14日(2010.7.14)
【出願人】(000002141)住友ベークライト株式会社 (2,927)
【Fターム(参考)】