説明

液相エッチング装置

【課題】加工速度が速く微細加工の可能な液相エッチング装置を提供する。
【解決手段】真空チェンバー10と、前記真空チェンバー内に備えられ、真空雰囲気で、被処理物30に化学反応性液体を吹き付けるノズル50機構を有する液相エッチング装置であって、少なくとも前記ノズル機構が、耐腐食性処理されており、前記耐腐食性処理が、前記ノズル機構の露出部に前記液体に対する腐食耐性を有する物質の薄膜を形成する処理であって、前記処理が、プラズマを用いた表面処理であることを特徴とする液相エッチング装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体などの被処理物表面を加工する技術分野であって、微細な形状を形成する分野、例えば、半導体装置の製造、MEMS(Micro-Electro- Mechanical-System)デバイスなどに係る液相エッチング方法及び液晶エッチング装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
微細な加工の典型的例である半導体の加工(エッチング)工程では、反応性のガスをプラズマ状態にして半導体表面に照射し、半導体を所望の形状に加工する。
【0003】
図9を参考に簡単に説明すると、真空チェンバー1には真空を作り出すための真空ポンプ2が接続されている。真空チェンバー1内に被処理物、例えばシリコンウエーハ3を載置し、所望のガスを導入したのち、プラズマ4を発生させ、被処理物の表面と相互作用を発生させ、被処理物を処理する。図9では被処理物をエッチングする。
【0004】
なお、特開平9−27654号公報に示すように、従来のエッチングは、液体中に固体試料を浸して処理することが多かった。しかしながら、液体中でのエッチングは、エッチングの処理速度は十分速いものの、エッチングが等方的に行われてしまう欠点があり、微細な加工には適さないとされている。
【0005】
エッチングにプラズマを用いる理由は、微細化な加工における高精度化の要求に応えるため、エッチングの異方性を可能にするためである。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、プラズマをエッチングに用いると、加工速度が犠牲になってしまう。その結果、半導体産業分野では典型的には1枚のウエーハを処理するのに10分ほどの時間がかかっていた。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明のエッチング装置は、被処理物である固体もしくは固体の集合体あるいはジェル状の物体に、化学反応性液体を所定速度で吹き付けてエッチングすることを特徴とする。
【0008】
本発明のエッチング装置は、被処理物を保持する機構と保持された被処理物に化学反応性液体を吹き付ける為のノズル構造を有することを特徴とする。
【0009】
本発明の液相エッチング方法と液相エッチング装置を用いることで、エッチング速度を大幅に向上させることが出来る。
【0010】
すなわち本発明の液相エッチング装置は、真空チェンバーと、前記真空チェンバー内に備えられ、真空雰囲気で、被処理物に化学反応性液体を吹き付けるノズル機構を有する液相エッチング装置であって、少なくとも前記ノズル機構が、耐腐食性処理されており、前記耐腐食性処理が、前記ノズル機構の露出部に前記液体に対する腐食耐性を有する物質の薄膜を形成する処理であって、前記処理が、プラズマを用いた表面処理であることを特徴とする。
【0011】
また本発明は、上記液相エッチング装置において、さらに、前記被処理物の保持台と、前記ノズル機構の出口に設けられる荷電機構と、前記保持台に電圧を印加する電圧印加機構とを有し、前記荷電機構は吹き出された前記液体の粒子に電荷を与え、前記電圧印加機構は電荷を与えられた前記液体粒子を加速することが出来るものを含む。
【0012】
また本発明は、上記液相エッチング装置において、磁界印加機構をさらに有し、前記磁界印加機構は、前記液体粒子の軌道を制御することが出来ることを特徴とする。
【0013】
また本発明は、上記液相エッチング装置において、液体供給装置をさらに有し、前記液体供給装置は、前記ノズル機構に対し、前記液体を連続的または間歇的に供給することを特徴とする。
【0014】
また本発明は、上記液相エッチング装置において、界面活性剤供給機構をさらに有し、前記界面活性剤供給機構は、前記被処理物に界面活性剤を吹き付ける吹き出し部と、前記吹き出し部に前記界面活性剤を供給する供給装置を有することを特徴とする。
【0015】
また本発明は、上記液相エッチング装置において、前記真空雰囲気が、1E−3Torrより高真空の真空雰囲気であることを特徴とする。
【0016】
また本発明は、上記液相エッチング装置において、前記ノズル機構は、被処理物に化学反応性液体を時速1万Km以上で吹き付けるように構成されたものを含む。
【0017】
また本発明は、上記液相エッチング装置において、前記ノズル機構は、前記被処理物に、前記液体を、クリティカルディメンジョンの大きさよりも小さな液体粒子として吹き付けるように構成されたモノを含む。
【0018】
また本発明は、上記液相エッチング装置において、前記ノズル機構は、前記液体の粒子に電荷を与える工程と、前記荷電された液体粒子に電界または磁界を作用させ、前記対象物の表面に前記液体粒子を加速誘引あるいは減速させて衝突させるように構成されたものを含む。
【0019】
また本発明は、上記液相エッチング装置において、保持機構を有し、前記保持機構と電気的に絶縁される前記被処理物については、前記被処理物の表面に必要な電子を供給するように構成されたものを含む。
【発明の効果】
【0020】
以上説明したように本発明は、エッチングに用いる液体を高速で被処理物に吹き付ける液相エッチング装置を提供するものであって、ドライエッチングの有する異方性などの微細加工性能を維持しつつ、エッチング速度を大幅に向上させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0021】
本発明は、液体を極めて高速度で被処理物に吹き付ける技術を主体とすることにより、(1)液体を用いることによる高速エッチング性と、(2)プラズマを用いることによる異方的エッチング性、という両方の特徴を同時に実現するものであり、高速処理が可能で、かつ極めてシャープな異方性を保有する加工技術を提供できるものである。
【0022】
超高速で液滴を衝突させることができるシステムでは、液滴が衝突する際に、被処理物の極表面でプラズマが発生する効果もあり、本発明の特徴をより顕著に発揮出来る。
【0023】
本発明は、プラズマを用いる現行の「エッチング工程」を処理能力の高い液相での処理に転換することを可能にするものであり、その結果、生産性は数倍から一桁向上する。半導体産業は、製造装置への莫大な投資を必要とする。その投資に見合うチップ単価を実現することが大変困難であり、所謂シリコンサイクルへの対応が極めて難しい産業である。従って、エッチングの処理時間が一桁向上させることが出来れば、生産性が向上し、産業構造を一変させることが期待される。
【0024】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。尚、各図において、基本的な機能を同一とする箇所には同一番号を付している。
【0025】
(実施の形態)
本発明の一実施の形態を、実施例1を用いて説明する。図1は、実施の形態に用いる液相エッチング装置を説明する図である。以下、図1を参照しながら、実施例1に係るエッチング装置の概略を説明する。真空チェンバー10には真空を作り出すための真空ポンプ20が接続されている。真空チェンバー10内に、保持台40と複数のノズル50が設置される。保持台40は、固体もしくは固体の集合体あるいはジェル状の物体などの被処理物30を保持できる。ノズル50は、所望の液体を供給する液体供給装置60に接続されており、被処理物30に化学反応性の液体70を粒子状にして吹き付けることが出来る。被処理物30をエッチング出来る種々の液体70の内から、それぞれの被処理物に適した溶剤を選択して使用する。
【0026】
真空槽をおよそ1E−3Torrより高い真空度(即ち、低圧力)に保ち、ノズル50から時速1000km以上の速度で液体70を吹き付ける。吹き付けられた液体70は被処理物表面31に付着すると同時にエッチングが行われる。
【0027】
被処理物表面31での液体70のヌレ性が悪い場合には、界面活性剤供給装置80の吹付け部81から界面活性剤を非処理物表面に吹き付ける。界面活性剤の吹きつけは、液体70の吹きつけの前でも良いし、同時でもあってもよく、あるいは液体70を吹付けた直後であってもよい。界面活性剤が存在することによって、液体70が被処理物表面31に行き渡り、エッチングが均一に行われる。
【0028】
一例として、液体70を時速1万キロメートル以上の速度に加速して被処理物30に到達させると、一部の液体成分が高いエネルギーを得てプラズマ化することがある。発生するプラズマは、被処理物表面31を活性化させ、エッチング処理速度をさらに加速させる効果がある。
【0029】
ここで、ノズル50の耐腐食性加工に関して説明する。
【0030】
ノズルを作製する為の材料は必ずしも耐腐食性に優れた物質であるとは限らない。耐腐食性が十分でない材料を用いてノズルを作製する場合には、ノズルの加工に適した物質を用いてノズルの母体形状を形成し、エッチング用液体に直接触れる表面を耐腐食性の物質で被覆する必要がある。その被覆処理は、直接、所望の耐腐食性物質を主体としたプラズマをノズル表面に照射するか、もしくは、母体の物質と反応して耐腐食性のある物質を生成するプラズマをノズルの表面に照射するというものである。ノズル表面に耐腐食性物質を被覆することによって、使用するエッチング液に対する耐腐食性を大幅に向上する事が可能となる。
【0031】
次に、本発明の実施の形態の他の処理工程について実施例2を用いて説明する。図2A−2D、図3A−3Cおよび図4は実施例2を説明する。図2A−2Dは実施例2に係るフォトレジストをマスクとし被処理物として半導体を用いた場合の処理を示す工程図、図3A−3Dは実施例2に係る被覆物質をマスクとし被処理物として半導体を用いた場合の処理を示す工程図、図4は実施例2に係る被処理物として半導体を用いた場合のエッチング装置を説明する図である。
【0032】
以下に、被処理物30に微細な加工を施す一例として、微細加工の中で最も先端的な半導体装置の加工プロセスについて説明する。
【0033】
半導体の加工は2002年において、既に0.25ミクロンよりも超微細な加工が一般である。従って、これをエッチング処理する液体70の微粒子の大きさは0.2ミクロンよりも小さい必要がある。なお、微粒子の大きさは、加工の対象となる寸法を決定する要因(クリティカルディメンジョン)よりも小さければよいので、必要とされる加工精度が大きなものであれば、それにあわせた粒子の大きさを選ぶ事ができる。実施例2では、0.2ミクロンよりも小さな微粒子を形成するためのノズル50や、図4に示すように、より高速の液体微粒子を形成する為の超音速ノズル(Supersonic Nozzle)51を具備したエッチング装置を使用する。なお、本願において超音速ノズルは、液体微粒子を時速1000km以上の速度で吹き付ける。より好ましくは、液体微粒子を時速3000km以上の速度に加速して吹きつける。
【0034】
図2を参照しながら、加工の対象となる半導体基板を説明する。半導体基板の一例として、ここでは半導体素子を形成するに必要な物質の薄膜100を形成したシリコンウエーハ90を用いる。加工の対象となる半導体基板は、シリコン基板や、シリコン酸化膜、シリコン窒化膜、希土類の酸化膜、アルミや銅などの金属膜を形成したシリコン基板などである。
【0035】
被処理材料の薄膜100をエッチングするための液体は、色々考えられるが、加工の対象となる半導体基板の材料に適した溶剤を選択して使用する。
【0036】
真空チェンバー10内の真空度はおよそ1E-3Torrより高い真空度に保ち、ノ
ズル50からおよそ時速1000km以上の速度で液体70を吹き付ける。吹き付けられた液体が被処理物表面31に付着すると同時にエッチングが行われる。被処理物表面31と液体70の関係で界面活性剤を利用する事によって液体が被処理物表面31に行き渡り均質なエッチングに効果を発揮する。被処理物表面31での液体70のヌレ性が悪い場合には、界面活性剤を非処理物表面に吹き付けることによって、液体70が被処理物の表面31の全体に行き渡り、エッチングが均一に行われる。
【0037】
一例であるが、時速およそ1万kmを超える高速で液体70が被処理物に到達すると、
一部の液体成分が高いエネルギーを得てプラズマ化する事がある。このようにして発生するプラズマは被処理物表面を活性化させ、エッチング速度を一層加速させる効果がある。
【0038】
半導体装置を製造するにあたって、0.25ミクロンよりもさらに微細な0.1ミクロンの寸法で加工を行うことが必要な場合がある。その際は、図2Bに示すように、薄膜100の上にフォトレジスト110を形成し、それをマスクとして用い、所謂リソグラフィ方法によって、所望のパターンおよび寸法での処理を実現することが出来る。その際に、液相エッチングに対する耐腐食性をフォトレジストに与えるために、図2Bに示すように、フォトレジスト110の表面をプラズマ120で予めプラズマ処理する事が好ましい。
【0039】
有機物で構成されるフォトレジストの表面をプラズマで処理すると、その表面で有機物の重合反応などがおきる。その反応により有機物表面の架橋などが進行することにより、図2Cに示すように、耐腐食性のフォトレジスト111を得る事ができる。プラズマ120は、希ガスによるプラズマの場合や、フォトレジスト110を構成する物質との相互作用や、使用する溶剤、酸、アルカリなどのエッチング液70との相互作用を考慮して最適なプラズマを決定する事ができる。
【0040】
使用する溶剤や酸、アルカリ等のエッチング液70の組み合わせによっては、主に有機物で構成されるフォトレジスト110ではどうしても十分な耐腐食性が得られない場合が出てくる。
【0041】
その際は、図3に示すように、十分な耐腐食性を有する物質によって構成される被覆物質130を、被処理物100の表面に被着させ、この被覆物質130をマスクにして液相エッチングを実施する。なお、実施例2では、被処理物はシリコン基板90の表面に形成した薄膜100に相当する。
【0042】
最初に、フォトレジスト110をマスクに、被覆物質130をエッチングできる溶剤や酸、アルカリなどのエッチング液70を用いて、被覆物質130をエッチングする。
【0043】
その後、パターニングされた被覆物質131をマスクにして、図4に示すように、真空チェンバー10内で、被処理物100をエッチングする為の溶剤や酸、アルカリなどのエッチング液70を超音速ノズル51から吹き付けて被処理物100を液相エッチングし、所望の加工を施す。なお、真空チェンバー10内の真空槽は1E−3Torrより高い真空度(即ち、低圧力)に保ち、ノズル50から時速1000km以上の速度で液体70を吹き付ける。上記のように真空度を保つのは、上記化学反応性液体がジェット噴射された際に音速を越えて衝撃波などが発生することを防止するためである。
【0044】
以上説明した方法により、半導体基板や加工対象の薄膜をマスクパターン通りに極めて微細に加工することが出来る。
【0045】
さらに、本発明の実施の形態の更に他の処理工程について、実施例3を用いて説明する。精密加工が要求される半導体デバイスの製造などにおいては、エッチング溝のオーバーハングやテーパの形成は加工精度を悪くする。そこで、平面の固体表面から垂直方向に溝を掘り込むエッチング方法が強く要求される。
【0046】
実施例3では、図5及び図6を用いて、エッチング処理時に電界もしくは磁界を利用して垂直方向に溝を掘り込むエッチング方法を説明する。
【0047】
図5は本発明の実施例3に係る被処理物に電界を印加し液体70を加速しているエッチング装置を説明する図、図6は本発明の実施例3に係る真空チェンバーに磁界を加え、液体70を回転方向に加速しているエッチング装置を説明する図である。
【0048】
図5に示すように、ノズル50の出口もしくは出口付近に荷電機構140を設け、射出する微粒子化した液体(すなわち、液体粒子)70に電荷を与える。この電荷を利用して射出する微粒子化した液体70に方向性を自由に与える事ができる。そのために、半導体固体を保持する保持台に電圧を印加できる電圧印加機構150を持たせる。
【0049】
ノズル50から吹き出した液体70は、先ず、荷電機構140で電荷を与えられ、電圧印加機構150によって加速されて、被処理物30に到達する。印加可能な電圧は装置の構造や使用する液体の電気的特性で放電や漏電などにより制限される。この問題については、後に、実施例5で説明するが、エッチングに使用した液体の気化を促すシステムと組み合わせて、電圧の印加を間歇的に行うことにより、漏電などの影響を防止出来る。
【0050】
また、図6に示すように、磁界を印加する磁界印加機構160を用いることによって、液体71を回転方向に加速することが出来、運動する軌道を変化させる事も可能であり、自由に方向を制御する事ができる様になる。尚、71は軌道を回転させられた液体である。
【0051】
さらに、本発明の実施の形態の別の処理工程について実施例4を用いて説明する。液体を噴射するノズル50は、一つだけでもエッチング処理に用いることは出来るが、被処理物である固体などは一定の面積を持っているため、単一のノズルしかない場合には、処理される場所によって微細化した液体微粒子の表面への入射角度が変動する。これは、点光源で照明される平面が、場所によって異なった照度を示すことと同等の現象である。そこで、被処理物の表面全体で均一な処理を行うためには複数のノズルを用いることが有効である。そこで、実施例4では、複数のノズルを有する例を説明する。
【0052】
図7は本発明の実施例4に係るエッチング装置であって半導体チップ毎にノズルを設けた構造を説明する図、図8は本発明の実施例4に係るMEMSを利用し無数の微細ノズルを設置したエッチング装置を説明する図である。
【0053】
例えば、シリコン半導体の製造工程では約1cm程度の間隔で複数のチップ170が形成される。図7の様に、個々のチップ170の直上に位置合わせしたノズル50を設置する事で、液体70の角度の変動を最小限にする事ができる。また、チップ毎に複数のノズルを設置して、更に角度変化の影響を小さくする事も可能である。
【0054】
また、図8のように、例えば、MEMSやマイクロマシンニングを応用したマイクロノズル52を利用し、数ミクロン間隔でノズルを並べても良い。その際には被処理物の表面積全面に対応する面積にノズルを敷き詰めてエッチングする事もできるし、一定の面積のノズルを設置して、ノズル自体もしくは、被処理物を移動させる事によって、被処理物の表面全面をエッチングする事もできる。尚、図8においては説明の為、各ノズルを拡大して描いている。
【0055】
さらに、本発明の実施の形態のさらに別の処理工程について実施例5を用いて説明する。液相エッチングに使用する溶剤や酸、アルカリなどのエッチング液の特性によって、エッチングに使用された液体が真空チェンバー10内で気化するまでの時間が変動する。
【0056】
気化速度が十分速い場合は、吹付けられた液体は所定のエッチングに必要な時間を経過後、直ぐに気化するため問題は生じない。ところが、気化速度が遅い場合、エッチングに必要な所定の時間を超えて残留し、エッチング処理の不具合の原因となる場合がある。そこで、気化速度が遅い場合には、エッチング用液体の吹き出し量を制御することにより、液体が過剰に供給されることを防止する必要がある。この問題の解決のためには、液体供給装置60が間歇吹き出し回路または間歇吹き出し装置(図示せず)を有し、ノズルからの液体の吹き出しを間歇的に行うことにより、一旦吹き出されて、エッチングに供されている液体が蒸発するに必要な時間帯を設ける事が望ましい。
【0057】
以上の実施の形態において、化学反応性液体を吹き付けるのは、超音速度で行うことが好ましいが、一部の液体成分またはほとんどの液体成分がプラズマ化する速度でも良い。
【産業上の利用可能性】
【0058】
以上説明したように本発明は、エッチングに用いる液体を高速で被処理物に吹き付ける液相エッチング装置を提供するものであって、ドライエッチングの有する異方性などの微細加工性能を維持しつつ、エッチング速度を大幅に向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0059】
【図1】本発明の実施の形態に係る液相エッチング装置の概念断面図
【図2A】本発明の実施の形態に係る他の処理工程を示す工程図
【図2B】本発明の実施の形態に係る他の処理工程を示す工程図
【図2C】本発明の実施の形態に係る他の処理工程を示す工程図
【図2D】本発明の実施の形態に係る他の処理工程を示す工程図
【図3A】本発明の実施の形態に係る他の処理工程を示す工程図
【図3B】本発明の実施の形態に係る他の処理工程を示す工程図
【図3C】本発明の実施の形態に係る他の処理工程を示す工程図
【図4】本発明の実施の形態に係る液相エッチング装置の概念断面図
【図5】本発明の実施の形態に係るさらに他の液相エッチング装置の概念断面図
【図6】本発明の実施の形態係るさらに他の液相エッチング装置の概念断面図
【図7】本発明の実施の形態に係る別の液相エッチング装置の概念断面図
【図8】本発明の実施の形態に係る別の液相エッチング装置の概念断面図
【図9】従来のプラズマエッチング装置の構造断面図
【符号の説明】
【0060】
10 真空チェンバー
20 真空ポンプ
30 被処理物
31 被処理物表面
40 保持台
50 ノズル
51 超音速ノズル
52 マイクロノズル
60 液体供給装置
70 液体
71 軌道を回転した液体
80 界面活性剤供給装置
81 吹き出し部
90 シリコンウエーハ
100 薄膜
101 エッチング処理された薄膜
110 フォトレジスト
111 耐腐食性のフォトレジスト
120 プラズマ
130 被覆物質
131 パターニングされた被覆物質
140 荷電機構
150 電圧印加機構
160 磁界印加機構
170 チップ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
真空チェンバーと、前記真空チェンバー内に備えられ、真空雰囲気で、被処理物に化学反応性液体を吹き付けるノズル機構を有する液相エッチング装置であって、少なくとも前記ノズル機構が、耐腐食性処理されており、前記耐腐食性処理が、前記ノズル機構の露出部に前記液体に対する腐食耐性を有する物質の薄膜を形成する処理であって、前記処理が、プラズマを用いた表面処理であることを特徴とする液相エッチング装置。
【請求項2】
さらに、前記被処理物の保持台と、前記ノズル機構の出口に設けられる荷電機構と、前記保持台に電圧を印加する電圧印加機構とを有し、前記荷電機構は吹き出された前記液体の粒子に電荷を与え、前記電圧印加機構は電荷を与えられた前記液体粒子を加速することが出来る請求項1記載の液相エッチング装置。
【請求項3】
磁界印加機構をさらに有し、前記磁界印加機構は、前記液体粒子の軌道を制御することが出来ることを特徴とする請求項1記載の液相エッチング装置。
【請求項4】
液体供給装置をさらに有し、前記液体供給装置は、前記ノズル機構に対し、前記液体を連続的または間歇的に供給することを特徴とする請求項1記載の液相エッチング装置。
【請求項5】
界面活性剤供給機構をさらに有し、前記界面活性剤供給機構は、前記被処理物に界面活性剤を吹き付ける吹き出し部と、前記吹き出し部に前記界面活性剤を供給する供給装置を有することを特徴とする請求項1記載の液相エッチング装置。
【請求項6】
前記真空雰囲気が、1E−3Torrより高真空の真空雰囲気であることを特徴とする請求項1記載の液相エッチング装置。
【請求項7】
前記ノズル機構は、被処理物に化学反応性液体を時速1万Km以上で吹き付けるように構成された請求項1記載の液相エッチング装置。
【請求項8】
前記ノズル機構は、前記被処理物に、前記液体を、クリティカルディメンジョンの大きさよりも小さな液体粒子として吹き付けるように構成された請求項1記載の液相エッチング装置。
【請求項9】
前記ノズル機構は、前記液体の粒子に電荷を与える工程と、前記荷電された液体粒子に電界または磁界を作用させ、前記対象物の表面に前記液体粒子を加速誘引あるいは減速させて衝突させるように構成された請求項1記載の液相エッチング装置
エッチング方法。
【請求項10】
保持機構を有し、前記保持機構と電気的に絶縁される前記被処理物については、前記被処理物の表面に必要な電子を供給するように構成された請求項9記載の液相エッチング装置

【図1】
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【図2A】
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【図2B】
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【図2C】
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【図2D】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2008−294461(P2008−294461A)
【公開日】平成20年12月4日(2008.12.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−183012(P2008−183012)
【出願日】平成20年7月14日(2008.7.14)
【分割の表示】特願2005−502805(P2005−502805)の分割
【原出願日】平成16年2月23日(2004.2.23)
【出願人】(000005821)パナソニック株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】