説明

混合器/流れ分配器を有する再生反応器のための制御燃焼

再生床逆流反応器システムの全体的効率が高められており、ここで、再生に用いられる発熱反応の位置が好適に制御されている。本発明は、燃焼を制御して、循環反応/再生方法における床再生の熱効率を向上する方法および装置を提供する。再生反応器床の熱再生方法は、(a)第1の反応体を第1の導通手段を介して第1の再生床に供給すると共に、少なくとも第2の反応体を第2の導通手段を介して第1の再生床に供給する工程と、(b)第1の再生床の出口に位置されたガス混合手段によって前記第1および第2の反応体を組み合わせると共に、この複合ガスを反応させて加熱された反応生成物を生成する工程と、(c)加熱された反応生成物を第2の再生床に通過させ、これにより、反応生成物からの熱を第2の再生床に伝達させる工程とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、広く、再生反応器に関する。更に、特に本発明は、固有の、熱的に効率的な方法での、逆流再生反応器の熱再生に係る燃焼を制御するための改良された方法および装置に関する。
【背景技術】
【0002】
再生反応器が、従来、循環的な、高温化学の実施に用いられている。典型的には、再生反応器サイクルは、対称的(両方向への同一の化学または反応)であるか、または非対称的(サイクルにおける化学または段階的な反応変化)である。対称的なサイクルは、典型的には比較的マイルドな発熱化学に用いられ、例として、再生熱酸化(「RTO」)および自己熱改質(「ATR」)が挙げられる。非対称的なサイクルは、典型的には吸熱化学の実施に用いられ、所望の吸熱化学が、異なる発熱(典型的には燃焼)化学と対にされて、この吸熱反応のための反応熱が提供される。非対称的なサイクルの例は、ウルフ(Wulff)クラッキングおよび圧力スイング改質であり、後者は、同時係属中の特許出願である特許文献1の主題である。
【0003】
従来の再生反応器は、燃料、酸化剤、または補助的量のこれらの反応体の1つの流れを、反応器の再生流路の中間部のいずれかの位置に、直接的に、再生床または領域を通過させることなく供給する。反応器の再生流路の中間部とは、主再生流がそれらの一方から他方に通過に通過する2つの再生床または領域の間の逆流反応器の領域を意味する。
【0004】
ほとんどの場合、この流れは、全体が流れ方向に対して垂直である手段を用いて、通常は反応容器側壁を介して反応器システムを貫通している、ノズル、分配器、またはバーナを介して導入される。例えば、従来のウルフ(Wulff)分解炉における発熱段階の最中には、空気が再生体を通過して軸方向に流れ、燃料が、炉の側部を貫通するノズルを介して導入されて、再生体の間の開放ゾーンにおいて空気と組み合わされる(燃焼し、および放熱する)。従来の対称的なRTO適用において、バーナは、2つの再生体の間の位置で補助的な燃焼熱を提供するよう位置される。バーナは、再生体を通過する空気と共に、または外部空気を用いて反応器の外部からの燃料を燃焼する。
【0005】
発熱段階の反応体を、再生反応器の中間部における位置に、1つまたは複数の再生体内に軸方向に位置された流路を介して導入する試みがなされてきた。例えば、セデルキスト(Sederquist)(特許文献2)は、再生床内に軸方向に位置されたパイプを用いて、再生流路の中間部付近の位置に酸化剤(空気)を運んでいる。
【0006】
ノズル、分配器、またはバーナを用いて、1種または複数種の反応体を直接的に反応器の再生流路の中間部に導入することの欠点は、このような配置は再生流路の周囲に反応体を迂回させ、従って、再生反応器システムを用いてこの反応体流を余熱することが不可能であることである。再生反応器システムの基本的な目的は、直接的に供給原料に生成熱を復熱させることにより反応を高効率で実施することである。供給原料の一部の留分を、再生システムの周囲に反応器を迂回させることは、従って、反応器システムの効率性の可能性を低減させる。
【0007】
【特許文献1】米国特許出願公開第2004/016232号明細書
【特許文献2】米国特許第4,240,805号明細書
【特許文献3】米国特許出願公開第2003/0235529A1号明細書
【非特許文献1】「Combustion Aerodynamics」、第5章、J.M.ビアー(J.M.Beer)、クリーガーパブリッシング(Krieger Publishing)、1983年
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は、特に、混合および流れ分配の両方を達成するよう構成された混合および流れ分配手段を有する点で更に有利である。混合/流れ分配装置は、双方向操作のために構成され、特に逆流反応器に有利である。制御燃焼および効果的な混合/流れ分配の両方が高い全システム効率に寄与し、これが本発明の目的である。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、圧力スイング改質などの逆流、循環反応/再生方法における、再生に用いられる発熱反応および燃料/酸化剤混合および流れ分配の位置を制御する方法および装置を提供する。再生反応器床の熱再生方法は:
(a)第1の反応体を第1の導通手段を介して第1の再生床に供給すると共に、少なくとも第2の反応体を第2の導通手段を介して第1の再生床に供給する工程、
(b)第1の再生床の出口に位置されたガス混合手段によって前記第1および第2の反応体を組み合わせると共に、この複合ガスを反応させて加熱された反応生成物を生成する工程、
(c)加熱された反応生成物を、第2の再生床全体に均一に分布させ、これにより、反応生成物からの熱を第2の再生床に効率的に伝達させる工程
を包含する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
逆流再生床反応器の基本的な2段階の非対称的なサイクルが、単一床または、2つのゾーン、第1のゾーンまたは反応ゾーン(1)と第2のゾーンまたは復熱ゾーン(7)とを有する反応器に関して図1−aおよび1−bに示されている。反応ゾーン(1)および復熱ゾーン(7)の両方は再生床を含有する。再生床は、本願明細書において用いられるところ、熱の蓄積および伝達に有効な材料を含むことが意図される。再生反応器床という用語は、化学反応を実施するためにも用い得る再生床を意味する。再生床は一般に当該技術分野において公知であり、ガラスまたはセラミックビーズまたは球、金属ビーズまたは球、セラミックまたは金属ハニカム材料、セラミックチューブ、モノリス等などの充填材料を含み得る。
【0011】
図1−aに示すとおり、サイクルの第1のまたは「反応」段階の初めでは、反応ゾーン(1)は高温であり、復熱ゾーン(7)は反応ゾーン(1)より低温である。反応体原料が流路(15)を介して反応ゾーン(1)の第1の端部(3)に導入される。
【0012】
この供給流は床から吸熱して、任意により触媒上で反応して、例えば水蒸気改質などの所望の反応を生じる。この段階が進行するに伴って、温度プロファイル(2)がシステムの伝熱特性に基づいて形成される。床が適切な伝熱能で設計されている場合には、このプロファイルは比較的急な温度勾配を有し、この勾配は、段階が進行するに連れて、反応ゾーン(1)を横切って移動することとなる。
【0013】
反応ガスは、第2の端部(5)を介して高温で反応ゾーン(1)を出て、第1の端部(11)から進入し、第2の端部(9)から出て復熱ゾーン(7)を通過する。この復熱ゾーン(7)は、初めは反応ゾーン(1)より低温である。反応ガスが復熱ゾーン(7)を通過するに伴って、このガスは、サイクルの第2の段階の最中に導入される(ここでは流路(19)を介しているとして図示されている)再生原料とおよそ同一の温度である、実質的に第2の端部(9)でのゾーンの温度に近い温度に冷却される。復熱ゾーン(7)において反応ガスが冷却されるに伴って、温度勾配(4)がこのゾーンの再生床において形成され、この段階の最中に復熱ゾーン(7)を横切って移動する。反応ガスは、復熱ゾーンを(17)で出る。次いで、再生段階として称されるサイクルの第2の段階が開始される。
【0014】
再生段階が図1−bに図示されている。再生は、復熱ゾーンから反応ゾーンへの熱の伝達を伴って、反応床を後の反応サイクルのために熱的に再生する。再生ガスが、復熱ゾーン(7)に進入し(ここでは流路(19)を介しているとして図示されている)、復熱ゾーンを通過して反応ゾーンに流れる。そうすることで、温度勾配(6)および(8)は、同様に、しかしながら、反応サイクル中に発現した温度勾配とは逆の方向に床を横切って移動する。燃料および酸化剤は、復熱ゾーン(7)および反応ゾーン(1)の界面(13)に近位の領域で燃焼する。復熱ゾーンで回収された熱は、燃焼熱と一緒に反応ゾーンに伝達され、その中に配置された復熱反応床を熱的に再生する。
【0015】
従来の逆流再生反応器においては、燃料および酸化剤が、典型的には、燃料または酸化剤のいずれか、或いは両方を、典型的には、容器側壁を介してノズルまたはインジェクタで燃焼ゾーン中に噴射することにより燃焼ゾーンで組み合わされている。しかしながら、上記のとおり、このような構成はこの系の熱を最良に統合せず、その全体的な効率を低減させている。
【0016】
図2は、燃料および酸化剤の燃焼を制御して、反応器システム熱の効率的な再生を達成する手段を図示している。図2は、再生サイクルで作動するシングル反応器システムを示している。
【0017】
図を参照すると、復熱ゾーン(27)は、復熱ゾーン(27)の第1の端部(29)から進入した2種以上のガスを、その内部に配置された再生床を介して導通するガス導通手段(28)を有する。第1のガス(20)が複数の導通手段(28)の第1の端部に進入する。ガス導通手段(28)は、復熱ゾーン(27)の再生床を軸方向に移動している間に少なくとも第2のガス(本願明細書において後述の)から、ガスを、実質的に分離状態に維持するために好適である導通路またはチューブまたは他の手段を含み得る。ガス分配器(22)は、第2のガス流(25)を、導通路(23)としてここに図示されている最適な(select)導通路に導く。結果として、ガス流(25)の少なくとも一部が、復熱ゾーン(27)の軸方向への移動の最中に、ガス流(20)から分離され続けている。好ましい実施形態において、復熱ゾーンの再生床は、導通手段を含む。これにより、導通手段を移動する少なくとも2種のガスが再生床を移動する。
【0018】
本発明において用いられるところ、ガス(20)および(25)は、例えば、組み合わされたときに燃焼する燃料ガスおよび酸化剤ガスといった、組み合わされたときに発熱反応をもたらす少なくとも2種の反応体を含む。これらの反応体を実質的に分離状態に維持することによって、本発明は、発熱反応によって生じる放熱位置を制御する。「実質的に分離する」とは、これらのガスが復熱ゾーン(27)の軸方向への移動を完全に済ませた時点までに、第1のガス(20)中の反応体の、少なくとも50%、および好ましくは少なくとも75%が第2のガス(25)との反応によって消費されておらず、および第2のガス(25)中の反応体の少なくとも50%、および好ましくは少なくとも75%が第1のガス(20)との反応によって消費されていないことを意味する。このようにして、第1のガス(20)の大部分は第2のガス(25)の大部分から分離された状態で維持され、組み合わされたガス(20)および(25)の反応からの放熱の大部分はこれらのガスが復熱ゾーン(27)から出るまで発生しないこととなる。好ましい実施形態において、復熱ゾーン(27)の導通手段構造は、流れ方向と実質的に平行に配向された複数の個別の導通路を含む。このような導通路構造は、当業者には公知であろうとおり、例えば、押出ハニカムモノリスを含む、または波形状材料の積層体を含む再生床により、提供される。このような導通路構造は、床の軸方向長さの少なくとも大部分について、1つの導通路中において、隣接するものからのガスの分離を高いレベルで提供する。或いは、復熱ゾーンの再生床は、ガス(20)および(25)の実質的な分離をもたらすよう構成された充填材料または多孔性セラミックモノリスを含み得る。
【0019】
好ましい実施形態において、導通手段(28)および(23)は、適切な伝熱能を提供して、操作の空間速度条件で、図1に図示された温度プロファイル(4)および(8)を形成する材料を含む。適切な伝熱速度は、約500℃未満、より好ましくは約100℃未満および最も好ましくは約50℃未満の伝熱パラメータΔTHTによって特徴付けられる。パラメータΔTHTは、本願明細書において用いられるところ、復熱に必要とされる床−平均体積伝熱速度対床の体積伝熱係数hの比である。復熱に十分である体積伝熱速度(例えばcal/cm秒)は、ガス熱容量(例えばcal/gm ℃)でのガス流速(例えばgm/秒)と所望の端部間温度変化(反応を除く、例えば℃)との積であって、次いで、この値を、ガスによって横切られた復熱ゾーン(27)の体積(例えばcm)で除することで算出される。導通手段(28)におけるΔTHTは、ガス(20)、ガス(25)との導通手段(23)、および総ガスとの総復熱ゾーン(27)を用いて計算される。床の体積伝熱係数hは当該技術分野において公知であり、典型的には、面積に基づく係数(例えばcal/cm秒℃)および度々充填材のウェット面積として称される伝熱のための比表面積(a、例えばcm/cm)の積として算出される。
【0020】
好ましい実施形態において、導通手段(28)および(23)は、600℃、より好ましくは1000℃、および最も好ましくは1300℃を超える温度に耐えることが可能である、セラミック導通路またはチューブを含む。最も好ましくは、導通手段(28)および(23)は、復熱ゾーン(27)の軸方向長さに延伸する導通路を有するセラミックハニカムを含む。
【0021】
復熱ゾーン(27)は、径方向の分散が、復熱装置の通過の最中に、反応体が実質的に分離状態に維持されるよう十分に低い限りにおいて、流れ方向に垂直な反応体の分散を許容する、充填床または発泡モノリス材料(図示せず)を含み得る。床媒体における径方向の分散および混合の計算は、当該技術分野において公知である。
【0022】
一時的に図2−aを参照すると、アパーチャ(26)を有するガス分配器(22)の軸方向断面が示されている。図2および2−aの両方を参照すると、アパーチャ(26)は、第2のガス(25)を最適な導通路(23)に優先的に導く。好ましい実施形態において、アパーチャ(26)は、最適な導通路(23)の開口部に、位置合わせされているが、シールはされていない。ノズルまたはインジェクタ(図示せず)が、第2のガス(25)の流れを最適な導通路(23)に優先的に導くよう好適に設計されたアパーチャ(26)に追加されてもよい。ガス分配器アパーチャ(26)(またはノズル/インジェクタ)を最適な導通路(23)に「シール」しないことにより、これらの導通路は、逆流または反応サイクルの最中に利用され得、このシステムの全体的効率が高められている。この「開放」ガス分配器(22)はまた、多反応器システムへの適応を促進するために「閉鎖」系より好ましく、ここで、反応器/復熱床は、処理のために、ガス流中および外に回転し得る。
【0023】
第1のガス(20)および第2のガス(25)は、導通路(28)および(23)を介して復熱ゾーン(27)を移動する。既述のサイクルから復熱ゾーンに蓄積された熱は、第1および第2のガスの両方に伝達される。加熱されたガスは、次いで、ガス混合および分配手段(24)に導入される。
【0024】
ガス混合および分配手段(24)は復熱ゾーン(27)と反応ゾーン(21)との間に配置され、復熱ゾーン(27)から出現した後にガス流(20)および(25)を混合し、次いで、ここでは反応ゾーン(21)として示されている、その内部をガスが流れることとなるゾーンを含む複数の軸方向導通路全体に混合ガスを分配させるよう機能する。
【0025】
本発明の注目すべき態様は、混合およびガス流分配装置である。意図された燃焼前に、燃料を酸化剤から効果的に分離するために用いられる導通手段は、燃料および酸化剤の燃焼のための効率的な組み合わせ、および続くゾーン全体へのガスの比較的均一な分配に対する課題である。効率的な混合および分配は、全体的なシステム効率に重要である。従って、本発明の一態様の目的は、導通路(23)を出るガスを導通路(28)を出るガスと効果的に組み合わせるための混合および流れ分配手段を提供することにある。これらの複合ガスは、次いで、続く反応ゾーン(21)を含む導通路の入口中で均一に分配される。
【0026】
本発明の一態様の目的はまた、混合および流れ分配を逆流反応器において提供することにある。より具体的には、本発明の一態様は、負に作用する逆方向の流れ分配なく、混合および流れ分配を一方の流れ方向に提供することにある。更なる目的は、高空間速度反応器において用いられる場合に特に問題となり得る混合および流れ分配装置にわたる圧力損失を最小限とする、混合および流れ分配を、逆流反応器において提供することにある。
【0027】
図3を参照すると、ガス混合手段(34)の基本的な構成の軸方向断面が、ガス渦流手段(37)の1つの断面図と一緒に示されている。
【0028】
ここに示すガス混合手段(34)は、セクション(35)内に配置されたガス渦流混合手段(37)を有するセクション(35)を含む。好ましい実施形態において、セクション(35)は断面積が実質的に等しく、およびガス渦流手段(37)が、セクション(35)内で中心に配置されている。
【0029】
ガス混合器セクション(35)は、複数のガス導通手段(28)および(23)のガス流を分割するよう配置されている。好ましい実施形態において、セクション(35)は、実質的に等しい数のガス導通手段(28)および(23)からのガス流の遮蔽を促進するために、実質的に等しい断面積を有する。好ましい実施形態においてもまた、ガス導通手段(28)および(23)は、セクション(25)の各々が、第1のガス導通手段(28)および第2のガス導通手段(23)の両方の実質的に等しいフラクションからのガス流を遮蔽するよう、復熱装置(27)内で分配される。数学的に表記すると、fAiをセクションiによって含まれる合計断面積のフラクションとして、f28iをセクションiによって遮蔽されたすべての導通手段(28)のフラクションとして、およびf23iをセクションiによって遮蔽されたすべての導通手段(23)のフラクションとして定義することが可能である。好ましい実施形態において、セクションiの各々について、値f28i、およびf23iは、fAiの約20%(即ち、fAiの値の約0.8〜1.2倍)以内であり、およびより好ましくは約10%以内であろう。更に、f20iをセクションiによって遮蔽されたガス流(20)のフラクションとして、およびf25iをセクションiによって遮蔽されたガス流(25)のフラクションとして定義することが可能である。好ましい実施形態において、セクションiの各々について、f20i、およびf25iの値は、fAiの約20%以内、およびより好ましくは約10%以内であろう。
【0030】
一時的に図3−aを参照すると、渦流混合手段(37)を有する個別のガス混合器セクション(35)の断面が示されている。本発明の一態様は、混合ガスの十分な混合および分配を維持しながら、ガス混合手段(34)の空容積を最低限とする。空容積という用語は、ガス混合器の材料構造の体積を差し引いた渦流混合器(37)およびガス混合器セクション(35)の総容積を意味する。従って、ガス混合器セクション(35)およびガス渦流手段(37)は、空容積を最小限とするよう構成され、その一方で、同時にガス導通手段(28)および(23)を出るガスの実質的なガス混合を提供するよう機能する。本発明の好ましい実施において、ガス混合器セグメント(35)寸法LおよびDは、空容積を最小限としつつも、ガス(20)および(25)の十分な混合および分配を達成するよう調整される。寸法比L/Dは、好ましくは0.1〜5.0の範囲、およびより好ましくは0.3〜2.50の範囲である。面積Aの一般セグメントについて、特徴的な直径Dは、2(A/π)1/2として計算されることが可能である。
【0031】
加えて、ガス混合器(34)に起因し得る総容積は、復熱床および改質床の総体積に関連して調整されることが好ましい。ガス混合器は、好ましくは、復熱ゾーン、反応ゾーンおよびガス混合手段の合計体積の約20%未満、およびより好ましくは10%未満の総容積を有する。
【0032】
図4を参照すると、本発明において用いられる混合器/流れ分配器手段(44)の単純な実施形態が示されている。第1の集束ゾーン(41)は、図示のとおり、このゾーンに進入するガスを集束するよう機能する。混合器ゾーン(42)は、図2の導通路(28)および(23)において図示されているとおり、前においては分離されていた、進入するガスを混合するよう機能する。これらのガスが燃料および酸化剤を含む場合、混合器ゾーンは、反応器内の位置での効率的な燃焼のためにガスを完全に混合するために寄与する。この図示において、燃焼の実質的に大部分は、領域(41)、(42)および(43)に近位して生じることとなる。
【0033】
既述のとおり、燃焼したガスは、その後の反応ゾーンに均一に分配されることが好ましい。従って、燃焼ガスは、発散ゾーン(43)を通って導かれるが、ここで、排出されるガスの流路はその出口アパーチャ(45)の全体に比較的均一に分布している。
【0034】
混合器分配器手段(44)は、反応ゾーンにおいて受けると予期される高温に耐えることが可能である材料から作製または組み立てられている。好ましい実施形態において、混合器分配器(44)は、600℃、より好ましくは1000℃、および最も好ましくは1300℃を超える温度に耐えることが可能である材料から構成されている。メタンの水蒸気改質について、例えば、反応ゾーン温度は、典型的には、1000℃を超えている。好ましい実施形態において、混合器分配器手段(44)は、例えばアルミナまたはシリコンカーバイドなどのセラミック材料から構成されている。
【0035】
図5および6は、本発明において用いられ得る混合器/流れ分配器手段の更なる実施形態を図示している。図5を参照すると、混合器/流れ分配器は、進入するガスを集束するよう機能する円錐形状のガス集束ゾーン(51)を有する。ガスチャンバ(52)内に、軸方向アパーチャ(53)を介して集束されたガス流は、次いで、図5−aに図示されているとおり、第1の渦流チャンバ(55)に径方向に流れる。(55)内の複数の第1の渦流羽根が、円周渦流を付与しながら進入するガスを径方向外方に向けさせる。円周方向に渦流するガスがチャンバ(54)を通過し、第2の渦流チャンバ(56)にその周縁を通って進入する。ガスは、(56)内の第2の渦流羽根を過ぎて径方向内方に向けられて第2のガスチャンバ(52’)に進入するが、ガス混合および渦流は、アパーチャ(57)を介して発散ゾーン(58)に進入するまで継続される。
【0036】
径方向に傾斜した翼として示されているが、チャンバ(55)および(56)の渦流羽根は、当業者により、代替的に構成および作製されていてもよいが、ただし、渦流生成デバイスにより形成されるガス渦流は、アパーチャ(57)を介したコーンへの入口で特定される、約0.1〜約1.3、好ましくは約0.4〜約1.0の範囲のスワール数を形成する。円錐状エキスパンダ(58)は、約20および65°の間の角度を有する。これらのスワール数を達成する代替的な構成は、当業者には明らかであり得る。当業者はまた、どのようにスワール数を求めるかを認識しており、および非特許文献1に準拠して導くことができる。アパーチャ(59)を通って発散ゾーン(58)を出るガスは、アパーチャ(59)の断面積の全体に比較的均一に分配されている。「比較的均一に分配されている」という用語は、軸方向へのガス速度の均一性を指す。アパーチャ(59)内の断面積の各エレメントが、計算上の流体力学または実験的計測値の一方により、関連する軸流速度のために評価されることが可能である。比較的均一に分配されたとは、断面積の少なくとも70%についての軸流速度が、アパーチャ(59)全体の平均軸流速度の+/−50%以内であることを意味する。好ましくは、断面積の少なくとも80%についての軸流速度が、平均軸流速度の+/−25%以内である。より好ましくは、断面積の少なくとも90%についての軸流速度が、平均軸流速度の+/−15%以内である。
【0037】
本発明を用いる当業者は、混合器/流れ分配器が、軸BBについて実質的に対称的であり、実質的に逆流と同様に機能することを認識するであろう。混合器のガス混合機能は逆流におけるプロセス的役割を果たさないが、逆流方向における混合器/流れ分配器の構成は、ガスの流路を許容する必要がある一方で、逆流方向にアパーチャ(50)を出るに伴って比較的均一に分配されたガスを提供する。
【0038】
図6は、図5の第1および第2の渦流混合器の代替的な実施形態を図示する。図6を参照すると、集束されたガスは、オリフィス(67)を通過して、チャンバ(62)へ入る。図6の実施形態において、渦流生成チャンバ(63)を全体的に軸方向に通過する前は、ガスは、チャンバ(62)内を径方向外方に移動する。渦流生成チャンバ(63)内の流路(65)は、周速成分をガスに付与し、これが、次いで、渦流して流れるに伴って、チャンバ(62’)内に入る。図6−aに図示されているとおり、流路(65)は、部分的に軸方向であると共に部分的に円周方向である経路に沿って配向されている一組の円柱状の流路として構成され得る。例えば羽根の間に形成された螺旋状の流路または空隙といった、当該技術分野において公知である代替的な渦流形成流路形状が、渦流生成チャンバ(63)において用いられ得る。渦流から得られるスワール数は、アパーチャ(67)を介してコーンの入口で特定されて、約0.1〜約1.3、好ましくは約0.4〜約1.0であるべきである。円錐状エキスパンダ(68)は、約20〜65°の角度を有するべきである。
【0039】
シングル混合器/分配器手段は、図4、5、および6に記載のとおり、単独の混合エレメントとして逆流反応器内において用いられ得、または混合手段(34)を含むセグメント(35)に類似の複数の平行混合セグメントとして再現され得る。複数の平行セグメント(34)の拡張された組について、図4、5、および6に記載の個別の混合器は、大型アレイにおける容易な充填のために六角形の外部断面形状であり得る。ガス混合を達成する代替的な手段が、当業者により特定され得る。
【0040】
再度図2を参照すると、ガス混合手段(24)は、導通路(23)および(28)からのガスを組み合わせ、および反応ゾーン(21)にわたって、またはその中で複合ガスを再分配するよう構成されている。
【0041】
好ましい実施形態において、第1および第2のガスは燃料および酸化剤を含む。燃料は、水素、一酸化炭素、炭化水素、含酸素化合物、石油化学製品流、またはこれらの混合物を含み得る。酸化剤は、典型的には、酸素を含有するガスを含み、通例、空気のようにNと混合される。燃料および酸化剤のガス混合器(24)での混合において、ガスは燃焼するが、燃焼の相当な割合は反応ゾーン(21)への入口に近位で生じる。
【0042】
反応ゾーンの入口に近位での燃料および酸素含有ガスの燃焼は、反応ゾーン(21)を、燃焼ガスがこのゾーンを横切って移動するに伴って加熱する(または再加熱する)熱い燃焼ガスを形成する。酸素含有ガス/燃料混合物の組成は、反応ゾーンの所望の温度を提供するために調節される。組成、それ故温度は、混合物の燃焼性部分対非燃焼性部分の割合により調節される。例えば、HO、CO、およびNなどの非燃焼性ガスを、燃焼温度を低下させるために混合物に添加することが可能である。好ましい実施形態において、非燃焼性ガスは、水蒸気、燃焼ガスまたは酸素欠乏空気を、混合物の少なくとも1つの成分として含む。熱い燃焼生成物は、反応ゾーンを通過する。燃焼生成物の流れが温度勾配を反応ゾーン内に確立し、この勾配は、反応ゾーンを通って軸方向に移動する。再生段階の初めでは、この出口温度は、先行する改質段階の改質原料の入口温度に実質的に等しい(典型的には25℃以内で)こととなる。再生段階が進行するに伴って、この出口温度は、徐々に、次いで温度勾配が改質床の端部に近づくに連れて急速に高まることとなり、および段階の最後までには反応原料の温度を50〜500℃上回ることが可能である。
【0043】
本願明細書に記載の制御された燃焼逆流再生反応器システムは、特許文献3に記載の圧力スイング改質などの水蒸気改質反応に特に良好に好適である。
【0044】
図1が、圧力スイング改質へのその適用を図示するために用いられ得る。改質段階とも呼ばれる、サイクルの第1の段階の初めでは、改質ゾーン(1)は高温であり、復熱ゾーン(7)は、改質ゾーン(1)より低い温度である。炭化水素含有原料が流路(15)を介して、改質ゾーン(1)の第1の端部(3)に、水蒸気と一緒に導入され得る。炭化水素は、吸熱水蒸気改質反応を受けるいずれかの材料であり得、メタン、石油ガス、石油蒸留物、ケロシン、ジェット燃料、燃料油、暖房用オイル、ディーゼル燃料および軽油、ガソリンおよびアルコールが挙げられる。好ましくは、炭化水素は、メタンおよび/または反応器の温度および圧力で気体である炭化水素を含む気体材料であろう。好ましくは、水蒸気は、約1〜約3(炭化水素中の炭素のみを考慮し、存在し得るCOまたはCO種の炭素は考慮しない)の間の水蒸気対炭素比をもたらす量での炭化水素に対する割合で存在するであろう。
【0045】
この供給流は床から吸熱して、触媒および加熱で合成ガスに転化される。この段階が進行するに伴って、温度プロファイル(2)がシステムの伝熱特性に基づいて形成される。床が適切な伝熱能で設計されている場合には、本願明細書に記載のとおり、このプロファイルは比較的急な温度勾配を有し、この勾配は、段階が進行するに連れて、改質ゾーン(1)を横切って移動することとなる。
【0046】
合成ガスは、第2の端部(5)を介して高温で改質床(1)を出て、図2に示すとおり混合器(24)を通過し、次いで、第1の端部(11)から進入し、第2の端部(9)から出て復熱ゾーン(7)を通過する。この復熱ゾーン(7)は、初めは改質ゾーン(1)より低温である。合成ガスが復熱ゾーン(7)を通過するに伴って、この合成ガスは、サイクルの第2の段階の最中に流路(19)を介して導入される再生原料とおよそ同一の温度である、実質的に第2の端部(9)でのゾーンの温度に近い温度に冷却される(例えば、約20℃〜約600℃)。復熱ゾーン(7)において合成ガスが冷却されるに伴って、温度勾配(4)が形成され、この段階の最中に復熱ゾーン(7)を横切って移動する。
【0047】
段階間の点では、温度勾配は、実質的に改質ゾーン(1)および復熱ゾーン(7)を横切って移動している。ゾーンは、上記の改質段階の最中に比較可能な時間で勾配が共に横切って移動するようなサイズとされる。それぞれのゾーンの出口付近に存在する温度勾配を除いて、復熱ゾーン(7)は、この時点で高温であり、および改質ゾーン(1)は低温である。入口端部(3)付近の改質ゾーン(1)の温度は、この時点では、流路(15)を介して進入する炭化水素原料の温度に近づく温度に冷却されている(例えば、約20℃〜約600℃)。
【0048】
合成ガスが、復熱ゾーン(7)の第2の端部(9)で出口流路(17)を介して回収された後、再生段階とも呼ばれるサイクルの第2の段階が開始される。図1−bにおいて図示されている再生段階は、基本的に、復熱床(7)からの、改質器床(1)および界面(13)での発熱反応への熱の伝達を含む。そうすることで、温度勾配6および8は、改質の最中に、同様に、しかしながら、勾配2および4とは逆の方向に床を横切って移動する。酸素含有ガスおよび燃料を含む再生ガスは、復熱ゾーン(7)の第2の端部(9)に導入される。図2を参照して記載したとおり、酸素含有ガスは、実質的に燃料から分離された復熱ゾーンを通って導通される。燃料および酸化剤は混合器(24)により界面(13)で組み合わされ、実質的に復熱ゾーン(7)および反応ゾーン(1)の界面で燃焼される。燃焼は、復熱ゾーン(7)および改質ゾーン(1)の界面(13)に近位の領域で生じる。「近位の領域」という用語は、本発明においては、再生段階燃焼が以下の2つの目的を達成することとなる、PSR床の領域を意味する:(a)改質ゾーンの端部(5)が、再生段階の終了時に少なくとも800℃、および好ましくは少なくとも1000℃の温度であるような改質ゾーンの加熱;および(b)その後の改質段階において合成ガス顕熱を許容するその機能を実施することが可能であるよう、十分な程度への復熱ゾーンの冷却。本願明細書に記載の特定の再生実施形態に応じて、界面に近位の領域は、復熱ゾーン(7)の容積の0%〜約50%を含むことが可能であり、および改質ゾーン(1)の容積の0%〜約50%を含むことが可能である。本発明の好ましい実施形態において、再生段階燃焼の90%超が、界面に近位の領域において生じ、この領域の容積は復熱ゾーン(7)の容積の約20%未満および改質ゾーン(1)の容積の約20%未満を含む。
【0049】
改質ゾーンは、この時点では、再度、触媒改質に好適な改質温度である。
【実施例】
【0050】
実施例1
以下は、メタン水蒸気改質の実施に用いられる非対称的な逆流反応器システムの実施例である。反応器は、吸熱改質段階が反応器(図示せず)を通って上方に流れると共に、発熱燃料燃焼段階が反応器(図示のとおり)を通って下方に流れる図2に示される向きで用いられる。反応器の直径(断熱材の内部)は2.5インチである。床構成要素は、断熱材内に適合する約2.5インチの直径を有する。改質または反応ゾーン(21)は、改質触媒で薄め塗装されている、2.5インチ長の400セル/インチハニカムから構成される。
【0051】
入口端部に位置され、1.19インチの全高に積層された無触媒性400セル/インチハニカムの種々の長さの復熱ゾーン(27)を作製した。
【0052】
図2および2−aに図示した分配器手段(22)を、復熱ハニカム上に置いた。これは、管の1つのスポークが中心に延伸している、0.25インチ(外径)ステンレス鋼管の1.8インチ直径リング、およびリングの下側に製造された0.034インチ内径のサイズの7つの噴口(スポークの中間部に1つおよびリングの周囲に等間隔で分離された6つ)から構成されていた。再生サイクルの最中に、リングにおけるオリフィスが、燃料(25)を、導通手段(23)(即ち)7つの混合器セグメントの各々のほぼ中心上に位置された7つの流れで流出させる。燃焼空気(20)を、上部から分配器(22)の周囲を導通手段(28)に流下させた。
【0053】
復熱ゾーンを移動させた後、ガス(20)および(25)を、ガス混合器(24)により組み合わせた。混合器(24)を、7つのセグメント(中央に1つ、および縁部の周囲に6つ)で、図3に図示したように作製した。仕切(39)の長さは、約0.73インチで設定して、7つのセグメントについて等しい断面積を提供した。セグメント高さ(L)が0.375インチである一方でセグメント特徴(D)が0.95インチであり、結果的に約0.40のセグメントL/Dであった。0.125インチ不活性アルミナビーズの0.500インチ長領域が、ガス混合器および反応ゾーンの上限の間に介在されて、混合ガスが更に分散されている。
【0054】
混合器(34)を等しいセグメント面積を有するよう設計したため、7つのセグメントの各々についてのFAi値は1/7または14.3%であった。各分配器オリフィスが主に1つのセグメントを供給するため、f25iについての値は、分配器の性能によって定義されていた。操作の前に、分配器の性能を反応器の外で計測した。分配器についてのf25i値は:中心オリフィスについては15.5%、およびリング周囲の6つのオリフィスについては13.9%、14.5%、14.1%、14.1%、13.8%、14.3%であった。これはFAiからの8.3%の最大偏差を表す。
【0055】
反応器の上下のバルブを用いて、逆流操作の交番流れを制御した。逆流反応器システムを以下のサイクルで実験した:46.8SLM空気および137.SLM窒素を含む酸化剤(20)の流れと、16SLMの水素を含む燃料(25)の流れとからなる15秒の再生;これに続く、11.9SLMのメタンおよび28.2SLMの水蒸気を含む13.5秒の改質(アップフロー);これに続く、28.2SLMの水蒸気を含む1.5秒の生成物パージ(アップフロー)。再生サイクルは約1.7atm absで操作し、および改質サイクルは2.0atm absで操作した。すべての流れは、約250℃の温度で反応器に供給される。
【0056】
逆流反応器を上述の流れを有するこの構成で操作し、すべて復熱ゾーン(27)内の第1の再生ハニカムモノリス床の上部からの計測で、温度を、再生段階の最中に、復熱ゾーン(27)内の3つの位置並びに復熱および改質ゾーンの間の界面(13)に近位の1つの位置で5回連続して計測した。温度計測値は図7−aに示されている。
【0057】
ガス分配器、導通手段およびガス混合器の代わりに、改質および復熱ゾーンの間に位置された燃料分配器ディスクに連結した燃料挿入チューブを用いて比較例を実施した。この例については、復熱ゾーン(27)の底の0.19インチを、0.125インチ直径アルミナ球を含有する0.5インチ長の再生床で置き換えた。このように構成することで、比較例の燃料挿入チューブおよび分配器は、燃料ガスを復熱ゾーン(27)と改質器ゾーン(21)との間の領域に噴射した。比較例の装置を上記の実施例と実質的に同等に操作し、図7−bに示した実質的に同様の温度計測値を得た。
【0058】
本願明細書に記載の制御燃焼系は、他の、非対称的な逆流再生反応器システムに利用し得る。図1−bおよび図2に関連して記載した再生(発熱)段階は、圧力スイング改質について上述したとおり燃焼であることができ、または部分酸化などの他の発熱反応であることが可能である。部分酸化に適用されるところ、発熱段階の最中に供給される流れは、炭化水素含有流れ、および準化学量論的量の酸化剤を含む流れを含む。準化学量論的であるとは、炭化水素含有流れを完全に酸化するために必要とされるであろうより少ない酸化剤を意味する。これらの2つの流れは、上記図2に関して記載したとおり、実質的に分離状態に維持されるであろう。典型的には、遅い流速を有する流れは流れ(25)として供給され、および速い流速を有する流れは流れ(20)として供給されることとなる。吸熱反応段階は、圧力スイング改質について上述したとおり水蒸気改質であることが可能であり、または他の吸熱反応であることが可能である。吸熱反応段階の最中に、図1−aに関して記載したとおり、吸熱反応体は、流路15を介して供給され、反応ゾーン(1)で加熱および反応され、復熱ゾーン(7)で冷却され、流路(17)を介して反応生成物が収集される。触媒を、一方のまたは両方のゾーンで用いて反応を促進してもよい。本発明で用いられるために好ましい吸熱反応としては、水蒸気改質、乾燥(CO2)改質、熱分解、触媒分解、脱水素、および脱水が挙げられる。本発明で用いられるために好ましい熱分解反応としては、エタン、ナフサ、または軽油クラッキングなどの水蒸気分解反応、アセチレンへのメタン水素化熱分解などの水素化熱分解反応、および水素および硫黄へのH2S熱分解などの非炭化水素分解反応が挙げられる。本発明で用いられるために好ましい脱水素反応としては、プロパン脱水素などのアルカン脱水素およびエチルベンゼン脱水素などのアルキル−芳香族脱水素が挙げられる。本発明で用いられるために好ましい脱水反応としては、メタノールおよびエタノール脱水が挙げられる。
【0059】
実施例2
制御燃焼逆流再生反応は、再生熱酸化(「RTO」)方法に利用し得る。RTO方法は、従来、より大量の空気流からの比較的低レベルの汚染物の燃焼に用いられている。図8−aはRTO反応器の従来の構成を図示し、図8−bは制御燃焼でのRTO逆流反応器を図示する。
【0060】
図8−aを参照すると、方法は、一般に、2つの再生体(801、802)と、この間のバーナ(803)とから構成される。汚染空気(804)が第1の再生体(801)中で加熱され、補助熱が、2つの再生体の間に位置されたバーナ(803)中での燃料(805)の燃焼によって提供され、および生成物が冷却されて、第2の再生体を清浄な空気(806)として出る。流れ(804aおよび806a)に切り替える、頻繁な流れ反転が用いられて、(加熱または冷却)顕熱を、2つの再生体(801、802)の間で前後に移動させ続けている。再生床系(801、802)のすべてまたは一部が、汚染物の焼却を向上させるために、中に触媒を含んでいてもよい。典型的には、RTO系は、各再生体の冷入口での分配容積(807)、およびバーナに起因する燃焼が生じる空容積(808)を含む。
【0061】
ここで、本発明の図8−bを参照すると、2つの再生体(801、802)は実質的に平行な導通路を有する充填物で作製され、これらの導通路は、実質的に流れ方向と同軸的に配向されている。2つの再生体の間には混合デバイス(809)が位置されている。汚染空気(804)が第1の再生床中で加熱される。各再生床の冷入口で、分配容積(807)中に位置された燃料分配手段(810)は、補助燃料(805)を再生体内の選択された数の導通路に入れる。この燃料は第1の再生体中で加熱され、次いで、加熱された汚染空気と混合器(809)中で混合され、その結果燃焼して流れ中に熱を放出する。燃焼生成物は冷却されて、第2の再生床を清浄な空気(806)として出る。流れ(804a、810a、807a、805a、806a)に切り替える、頻繁な流れ反転が用いられて、(加熱または冷却)顕熱を、2つの再生体の間で前後に移動させ続けている。再生床系(801、802)のすべてまたは一部が、汚染物の焼却を向上させるために触媒を含んでいてもよい。
【0062】
図示のとおり、分配器(810)および再生体(801)の間にはシールは必要ない。燃焼は、ガスが加熱されるまでは生じず、この加熱は復熱ゾーンのその移動の最中に生じることとなる。本願明細書に教示したとおり、燃料の大部分が空気の大部分から分離されている限りにおいては、熱放出の大部分は混合器(809)までは発生しないであろう。熱放出の大部分が、混合器(809)でまたはその後に生じる限りにおいては、再生反応器は、高効率で機能することとなる。
【0063】
実施例3−自己熱改質(「ATR」)
制御燃焼逆流再生反応器は、自己熱改質(「ATR」)のために利用され得る。RTO用途において、酸化剤(空気)の量は、従来、汚染物および補助燃料の化学量論的燃焼に必要な量よりはるかに多い。また、進入する汚染空気は、周囲条件の圧力および温度に近い。ATRについて、酸化剤は、準化学量論的量で存在し、およびいずれの希釈剤も不在であり得る。燃料は補助材料ではなく、改質されるべき原材料である。圧力および原料温度は、典型的には実質的により高い。これらの差にもかかわらず、適用はRTO用途と実質的に同一の構成要素を含み、および図8−bに図示されている。好ましくは、最大の体積流速における原料油流れ(804)は、再生体(801)導通路の大部分に、進入分配容積(807)を介して分配されることとなる。より低い体積流速を有する原料油流れ(805)は、分配器(810)を介して最適な導通路に分配される。酸化剤、燃料および任意により水蒸気またはCO2は再生体(801)中で加熱され、および混合器(809)で混合されるとすぐ、発熱自己熱改質反応が生じる。反応は、再生体(801および802)のすべてまたは一部に入れられた触媒によって補助されることが可能である。反応は、混合器の後に再生体(802)内に実質的に閉じ込められ、および混合器の後に再生体(802)内で冷却が生じる。冷却合成ガスが、反応器の生成物(806)である。頻繁な流れ反転(流れ804a、805a、806aを介した)が用いられて、(加熱または冷却)顕熱を、2つの再生体の間で前後に移動させ続けている。
【0064】
本発明が、本願明細書において詳細に説明されたが、当業者は、特許請求の範囲の範囲内である本発明の他の実施形態を認識するであろう。
【図面の簡単な説明】
【0065】
【図1−a】逆流反応器における熱再生の概略図である。
【図1−b】逆流反応器における熱再生の概略図である。
【図2】発熱反応の位置を制御するための手段を有する再生床反応器の概略図、および前記反応器におけるガス分配器部分の軸方向断面図である。
【図3】ガス混合器の軸方向断面図およびその中のガス渦流手段の断面図である。
【図4】ガス混合器/流れ分配装置の断面図を示す。
【図5】ガス混合器/流れ分配装置の断面図である。
【図5−a】面AAに沿った図5の装置の図である。
【図6】ガス混合器/流れ分配装置の断面図である。
【図6−a】流れ渦流器の図示である。
【図7−a】本発明の実施形態についての、温度対再生床の頂部からの距離のグラフである。
【図7−b】燃料挿入デバイスについての、温度対対再生床の頂部からの距離のグラフである。
【図8−a】従来の再生熱酸化(「RTO」)反応器の概略図である。
【図8−b】制御された燃焼のRTO反応器の図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
循環逆流反応器システムにおける2種以上の反応体間の発熱反応の位置を制御する方法であって、
(a)第1の反応体を第1の導通手段を介して第1の再生床に供給すると共に、少なくとも第2の反応体を第2の導通手段を介して前記第1の再生床に供給する工程;
(b)前記第1の再生床の出口に位置されたガス混合手段によって、前記第1および第2の反応体を組み合わせ、この複合ガスを反応させて加熱された反応生成物を生成する工程;および
(c)前記加熱された反応生成物を第2の再生床を通過させ、これにより前記反応生成物からの熱を前記第2の再生床に伝達させる工程
を含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
前記循環逆流反応器システムは、反応ゾーンおよび復熱ゾーン、並びにそれらの間に位置されたガス混合手段を含むことを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記第1および第2の導通手段は、前記第1の再生床を軸方向に横切り、第1および第2のガスを前記ガス混合手段を通過させることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ガス混合手段は、前記第1および第2の導通手段と軸方向に位置合わせされたセグメントを含むことを特徴とする請求項3に記載の方法。
【請求項5】
前記ガス混合器セグメントは、面積がほぼ等しい軸方向断面積を含むことを特徴とする請求項4に記載の方法。
【請求項6】
前記ガス混合器セグメントは、その中を流れるガスを渦流させるよう機能するガス渦流手段を含むことを特徴とする請求項5に記載の方法。
【請求項7】
前記第1および第2の導通手段からのガスは、前記ガス混合器セグメント中に流れ、その中で組み合わされ、燃焼し、前記第2の再生床を通過することを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項8】
前記第1および第2の導通手段からのガスは各々、前記ガス混合器セグメント間でほぼ等しく分割されることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項9】
前記燃焼は、前記ガス混合手段と前記第2の再生床の間の界面に近位して生じることを特徴とする請求項7に記載の方法。
【請求項10】
前記ガス混合手段は、600℃を超える温度に耐えることが可能な材料から作製されることを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項11】
前記ガス混合器は、セラミックを含むことを特徴とする請求項10に記載の方法。
【請求項12】
前記ガス混合手段は、
a.集束ゾーン;
b.少なくとも1つのガス渦流生成ゾーン;および
c.発散ゾーン
を含むことを特徴とする請求項2に記載の方法。
【請求項13】
前記少なくとも1つのガス渦流生成ゾーンは、前記集束ゾーンから前記渦流生成ゾーンに進入するガスに、円周ガス速度を付与するよう機能する羽根を含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項14】
前記発散ゾーンは、その出口アパーチャから出るガスを、その全体にわたって均一に分配するよう機能することを特徴とする請求項13に記載の方法。
【請求項15】
前記第1および第2の導通手段は、前記第1および第2の反応体が前記第1の再生床を移動している間、前記第1および第2の反応体の分離を維持し、前記第1の再生床においてこのようなガスの少なくとも50パーセントが反応しないよう機能することを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項16】
前記循環逆流反応器システムの吸熱反応は、水蒸気改質、二酸化炭素改質、熱分解、触媒分解、脱水素、脱水またはこれらの組み合わせを含むことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記熱分解反応は、エタン、ナフサ、軽油またはこれらの組み合わせの水蒸気分解反応を含むことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項18】
前記脱水素反応は、アルカン脱水素、アルキル−芳香族脱水素またはこれらの組み合わせを含むことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項19】
前記脱水反応は、メタノール脱水、エタノール脱水またはこれらの組み合わせを含むことを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記熱分解反応は、アセチレンを生成するメタン水素化熱分解を含む水素化熱分解反応を含むことを特徴とする請求項16に記載の方法。
【請求項21】
前記第1の反応体は、CO、H、炭化水素、含酸素化合物、石油化学製品またはこれらの混合物を含む燃料であることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項22】
前記第2の反応体は、酸素含有ガスであることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項23】
前記導通手段は、500℃未満の伝熱パラメータΔTHTを有する材料を含むことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項24】
前記導通手段は、セラミックハニカムを含むことを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項25】
前記ガス渦流手段は、0.1〜1.3の範囲のスワール数を有するとして特徴付けられることを特徴とする請求項6に記載の方法。
【請求項26】
前記発散ゾーンは、20°〜65°の間のテーパ角度を有する円錐状エキスパンダを含むことを特徴とする請求項12に記載の方法。
【請求項27】
燃焼が制御され、ガスの混合および分配手段を有する逆流再生反応器であって、
a.第1および第2の端部を有する複数の導通路を有する第1のゾーンであって、前記第1のゾーンを通じて少なくとも2種のガスを分離することが可能である第1のゾーン;
b.少なくとも2種のガスを、前記第1のゾーン内の個別の前記導通路の前記第1の端部に噴射する手段;
c.前記導通路の前記第2の端部に配置されて、前記第1および第2のガスを混合するよう機能する混合手段;および
d.前記混合ガスを受けるよう位置する第2のゾーン
を含むことを特徴とする反応器。

【図1−a】
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【図1−b】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図5−a】
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【図6】
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【図6−a】
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【図7−a】
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【図7−b】
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【図8−a】
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【図8−b】
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【公表番号】特表2009−521317(P2009−521317A)
【公表日】平成21年6月4日(2009.6.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−547623(P2008−547623)
【出願日】平成18年12月21日(2006.12.21)
【国際出願番号】PCT/US2006/049077
【国際公開番号】WO2007/079030
【国際公開日】平成19年7月12日(2007.7.12)
【出願人】(390023630)エクソンモービル リサーチ アンド エンジニアリング カンパニー (442)
【氏名又は名称原語表記】EXXON RESEARCH AND ENGINEERING COMPANY
【Fターム(参考)】