説明

添加物を含む安定ヒドロゲル組成物

本明細書は、概して、ヒドロゲル組成物、ならびにそのようなヒドロゲル組成物を用いて柔組織症状を処置する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本特許出願は、米国特許出願第12/687,048号(2010年1月13日出願)の一部継続出願である米国特許第12/714,377号(2010年2月26日出願)の一部継続出願である米国特許出願第12/956,542号(2010年11月30日出願)の一部継続出願である(これらの記載内容は各々、参照により本明細書中で援用される)。
【0002】
皮膚老化は、進行性の現象であり、長期間に亘って起こり、そして生活要因、例えばアルコール消費、タバコおよび日光曝露により影響を及ぼされ得る。顔面皮膚の老化は、萎縮、緩みおよび太ることにより特徴付け得る。萎縮は、皮膚組織の厚みの大幅な低減に対応する。皮下組織の緩みは、過剰な皮膚および下垂をもたらし、頬および眼瞼が垂れ下がるという外観を生じる。太るとは、顔面および首の底部の腫脹による超過体重の増大を指す。これらの変化は、典型的には、乾燥、弾性の損失および肌理の粗さを伴う。
【0003】
ヒアルロン酸(HA)としても知られているヒアルロナンは、結合、上皮および神経組織において、ヒト身体全体に広範に分布される非硫酸化グリコサミノグリカンである。ヒアルロナンは、皮膚の異なる層中に豊富に存在し、そこでは、例えば良好な水和を保証すること、細胞外マトリックスの編制を助けること、充填物質として作用すること、ならびに組織修復機序に関与すること、といったような多重機能を有する。しかしながら、年齢に伴って、皮膚中に存在するヒアルロナン、コラーゲン、エラスチンおよび他のマトリックスポリマーの量が減少する。例えば日光からの紫外線への反復的曝露により、皮膚細胞はヒアルロナンの産生を減少し、その分解速度が増大することの両方が起こる。このヒアルロナン損失は、種々の皮膚状態、例えば不完全、欠損、疾患および/または障害等を生じる。例えば、皮膚中の含水量と皮膚組織中のヒアルロナンレベルとの間には強力な相関が認められる。皮膚が老化すると、皮膚中のヒアルロナンの量および質が低減される。これらの変化により、皮膚が乾燥し、皺が生じる。
【背景技術】
【0004】
皮膚充填剤は、これらの皮膚症状を処置するために、失われた内因性マトリックスポリマーに取って代わり得るため、あるいは存在するマトリックスポリマーの機能を増強し/助長するため、柔組織を処置するのに、そして他の皮膚療法において有用である。従来、このような組成物は、皺、皮膚線、襞、瘢痕を充填するため、そして皮膚組織を増強するために、例えば薄唇をふっくらとさせ、あるいはくぼんだ眼または浅い頬に充填するために、美容用途に用いられてきた。皮膚充填剤組成物中に用いられる一般の一マトリックスポリマーは、ヒアルロナンである。ヒアルロナンはヒト身体に対して自然であるため、それは一般的に良好に耐容され、広範な種々の皮膚症状のためのかなり危険性の低い処置である。
【0005】
元来、ヒアルロナンを含む組成物は、天然ポリマーから製造されたが、それらは非架橋状態で存在する。天然ヒアルロナンは優れた生体適合性および水分子に対する親和性を示すが、皮膚充填剤としては不十分な生体力学的特性を示す(Tezel and Fredrickson, The Science of Hyaluronic Acid Dermal Fillers, J. Cosmet. Laser Ther. 10(1): 35-42 (2008); Kablik, et al., Comparative Physical Properties of Hyaluronic Acid Dermal Fillers, Dermatol. Surg. 35 Suppl 1: 302-312 (2009);Beasley, et al., Hyaluronic Acid Fillers: A Comprehensive Review, Facial Plast. Surg. 25(2): 86-94 (2009))(これらの記載内容は各々、参照により本明細書中で援用される)。主な一つの理由は、このポリマーは非架橋であるため、高度に溶解性であり、したがって、皮膚領域に投与されると、迅速に掃去される、ということである(Tezel、上記、 2008;Kablik、上記、2009;Beasley、上記、2009)。このin vivo掃去は、主に、ポリマーの迅速分解、主にヒアルロニダーゼによる酵素的分解、ならびにフリーラジカルによる化学的分解により、達成される。したがって、非架橋ヒアルロナンポリマーを含む組成物は依然として商業的に用いられるが、投与後2〜3日以内に分解する傾向があり、したがって、皮膚改善作用を保持するためにかなり頻繁な再注射を必要とする。
【0006】
これらのin vivo分解経路の作用を最小限にするために、マトリックスポリマーは互いに架橋されて、安定化ヒドロゲルを形成する。架橋化マトリックスポリマーを含むヒドロゲルはより堅い物質であるため、このようなヒドロゲルを含む皮膚充填剤は、注入部位にそのまま長く残存する(Tezel、上記、 2008;Kablik、上記、2009;Beasley、上記、2009)。さらに、これらのヒドロゲルは、そのより堅い性質が充填剤の機械的特性を改善して、充填剤が皮膚領域をより良好に持ち上げ、充填させることを可能にするので、皮膚充填剤としてより適している(Tezel、上記、 2008;Kablik、上記、2009;Beasley、上記、2009)。ヒアルロナンポリマーは、典型的には、架橋剤で架橋されて、ヒアルロナンポリマー間に共有結合を形成する。このような架橋化ポリマーは、非架橋化ヒアルロナン組成物よりも分解に対して耐性で、したがって頻繁な再注射を余り必要としない低水溶性ヒドロゲル網様構造を形成する。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
現在の皮膚充填剤は、種々の副作用を伴い得る。例えば、個人への皮膚充填剤の投与は、典型的には、注射器または針を用いて実施される。このような投与は、1つ以上の望ましくない副作用、例えば個人に対する疼痛および不快感、投与部位の中および下の出血、ならびに皮膚充填剤の投与の最中および後の投与部位の周辺の掻痒、炎症および刺激を生じ得る。本明細書中に開示される皮膚充填剤は、これらの副作用のうちの1つ以上を低減し、止め、または防止する作用物質を含むヒドロゲル組成物を提供することにより、これらのおよび他の望ましくない副作用に対処する。
【0008】
さらに、皮膚充填製剤は、製品が販売され得る前に厳しい要件である滅菌に耐えることができなければならない(製品は、滅菌性でなければならない)。滅菌は、蒸気滅菌、濾過、精密濾過、ガンマ線照射、ETO光により、あるいはこれらの方法の組合せにより実行され得る。皮膚充填剤は、物理的特性の実質的分解を伴わずに蒸気滅菌(オートクレーブ処理)され得ることが知られているが、皮膚充填製剤が追加の不安定成分(例えば、酸化防止剤、抗掻痒剤、抗セルライト剤、抗瘢痕形成剤、抗炎症剤、麻酔剤、抗刺激剤、血管収縮剤、血管拡張剤、抗出血剤、例えば止血剤または抗線維素溶解剤、剥離剤、張り付与剤、抗座瘡剤、色素沈着剤、抗色素沈着剤または保湿剤)を含有する場合、全皮膚充填製剤または少なくとも追加の(熱不安定性)作用物質は、伝統的に、非熱処理により、例えば濾過滅菌法により、滅菌される。したがって、既知の皮膚充填剤製品(REVITACARE(登録商標)Bio-Revitalisation、REVITACARE(登録商標)Laboratory, Saint-Ouen-I’Aumone, France)は、2つの別個のバイアルまたは容器中で販売されており、その一方のバイアルはHA(オートクレーブ滅菌される)を含有し、第二のバイアルは任意の追加の成分を含有する(第二バイアル内容物は濾過により滅菌される)。別の知られている皮膚充填剤製品であるNCTF(登録商標)135HA(Laboratories Filorga, Paris, France)は、ヒアルロナンおよび任意の追加成分の両方を保持する単一容器中で販売されており、すべて、精密濾過により滅菌されている。本明細書中に開示される皮膚充填剤は、熱処理により完全に滅菌される皮膚充填剤を開発することにより、この問題に取り組み、すなわち、本発明のいくつかの実施形態では、単一で非熱処理、例えば濾過を用いて滅菌される構成成分はない。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本明細書は、組成物を滅菌するために用いられる熱処理後に依然として安定である皮膚症状を処置するのに有用な新規の皮膚充填剤を提供する。開示される皮膚充填剤の一態様、ならびに既知の皮膚充填剤を上回る有意の区別は、本明細書中に開示される皮膚充填剤が、以下の:1)グルコサミノグリカンポリマーおよび本明細書中に開示される追加の作用物質(単数または複数)を混合すること;(2)皮膚充填剤組成物を少なくとも100℃に熱処理すること(いかなる構成成分の濾過滅菌もなし)により調製され、この場合、(3)このような処理が、ヒドロゲル組成物の所望の特性を保持するというものである。開示されるヒドロゲル組成物は、前および後オートクレーブ処理試験により示されるように、任意の有意の分解を示さない。開示ヒドロゲル組成物は、滅菌後の以下の特質のうちの1つ以上の保持により確定されるように実質的に熱安定性である:清澄性(透明性および半透明性)、均質性、押出し力、凝集力、ヒアルロナン濃度、作用物質(単数または複数)濃度、浸透性、pH、または熱処理前にヒドロゲルに望まれるその他の流動学的特質。
【0010】
本明細書中に開示されるヒドロゲル組成物は、追加の構成成分を有さないヒドロゲル組成物より大きい安定性も示し得る。理論に縛られずに考えると、われわれの製剤金属イオン封鎖剤に用いられる架橋化グリコサミノグリカンポリマーは、非反応性にさせ、それにより追加の成分(以下の実施例に記載)が分解するのを防止して、蒸気滅菌中に皮膚充填製剤の分解を引き起こす。さらに、追加の成分は親水性であり得、蒸気滅菌中のおよび/または患者への皮膚充填製剤の投与後にグリコサミノグリカンポリマーが分解するのを防止する。理論に縛られずに考えると、皮膚充填製剤中に追加の成分を組入れると、注射/移植部位でのフリーラジカル捕捉が抑制され得、それにより、患者投与後の皮膚充填剤持続期間が延長され得る。蒸気滅菌後、追加の成分は、(例えば皮下注射による)投与時に、美容的または治療的作用のために皮膚充填製剤から放出され得る。
【0011】
したがって、本明細書中の態様は、グリコサミノグリカンポリマー、ならびに酸化防止剤、抗掻痒剤、抗セルライト剤、抗瘢痕形成剤、抗炎症剤、麻酔剤、抗刺激剤、血管収縮剤、血管拡張剤、抗出血剤、例えば止血剤または抗線維素溶解剤、剥離剤、張り付与剤、抗座瘡剤、色素沈着剤、抗色素沈着剤または保湿剤から選択される少なくとも1つの作用物質を含むヒドロゲル組成物を提供する。このような組成物を製造するために有用なグリコサミノグリカンポリマーとしては、コンドロイチン硫酸塩ポリマー、デルマタン硫酸塩ポリマー、ケラタン硫酸塩ポリマーおよびヒアルロナンポリマーが挙げられるが、これらに限定されない。
【0012】
本明細書の他の態様は、本明細書中に開示されるヒドロゲル組成物の製造方法であって、a)グリコサミノグリカンポリマーおよび少なくとも1つの作用物質を混合すること;そしてb)混合物を熱処理することを包含する方法を提供し、熱処理は、本明細書中に開示される所望のヒドロゲル特性を保持する。
【0013】
本明細書のさらに他の態様は、それを必要とする個人における皮膚症状の処置方法であって、個人の皮膚領域に本明細書中に開示されるヒドロゲル組成物を投与するステップを包含する方法を提供し、ここで、投与は、皮膚症状を改善する。開示組成物により処置される皮膚症状としては、身体の部分、領域または区域の増大、再構築、疾患、障害、欠損または不完全が挙げられるが、これらに限定されない。一態様では、開示組成物により処置される皮膚症状としては、顔面増大、顔面再構築、顔面疾患、顔面障害、顔面欠損または顔面不完全が挙げられるが、これらに限定されない。一態様では、開示組成物により処置される皮膚症状としては、皮膚脱水症、皮膚弾性の欠如、皮膚の肌理の粗さ、皮膚の張りの欠如、皮膚のストレッチラインまたはマーク、皮膚蒼白、皮膚のくぼみ、こけた頬、薄唇、後眼窩欠損(retro-orbital defect)、顔面の襞または皺が挙げられるが、これらに限定されない。
【発明の効果】
【0014】
本発明の他の態様では、ヒアルロン酸ベースのポリマー、ならびに抗出血剤および血管収縮剤から選択される少なくとも1つの追加の作用物質を含むヒドロゲル組成物が提供され、ここでヒドロゲル組成物は、熱処理および/または圧力処理により、例えばオートクレーブ処理により滅菌され、少なくとも100℃の熱処理を含むプロセスで滅菌される。有利にも、熱滅菌組成物は、室温で少なくとも約3ヶ月間、例えば少なくとも24ヶ月間、少なくとも約36ヶ月間、実質的に安定である。
【0015】
いくつかの実施形態では、抗出血剤は、ε−アミノカプロン酸、トラネキサム酸およびセルピンの群から選択される抗線維素溶解剤である。いくつかの実施形態では、抗線維素溶解剤は、総組成物の約0.1%(w/w)〜約1.0%(w/w)の量で存在するトラネキサム酸である。
【0016】
いくつかの実施形態では、血管収縮剤が、ナファゾリン、エピネフリン、メトキサミン、メチルノルエピネフリン、ノルエピネフリン、オキシメタゾリン、フェニレフリン、シュードエフェドリン、シネフリン、シラゾリン、キシロメタゾリン、その類似体または誘導体、あるいはその任意の組合せである。いくつかの実施形態では、フェニレフリンは、約0.001%(w/w)〜約0.1%(w/w)の濃度で存在する。いくつかの実施形態では、組成物はさらに、総組成物の約0.1%(w/w)〜約1.0%(w/w)の量で存在する麻酔剤、例えばリドカインまたは類似の作用物質を含む。いくつかの実施形態では、組成物はさらに、総組成物の約0.01%(w/w)〜約5%(w/w)の量で存在する酸化防止剤、例えばマンニトールを含む。
【0017】
いくつかの実施形態では、ヒアルロン酸ベースのポリマーは、約5mg/g〜約40mg/gの濃度で存在し、300,000Daより大きく、約800,000Da未満の平均分子量、例えば2,000,000Daより大きく、約5,000,000Da未満の平均分子量を有する低分子量ヒアルロナンポリマーを含む。いくつかの実施形態では、ヒアルロン酸ベースのポリマーは、高分子量ヒアルロナンおよび低分子量ヒアルロナンの両方を含み、ここで、高分子量ヒアルロナンは2,000,000Daより大きい分子量を有し、低分子量ヒアルロナンは1,000,000Da未満の分子量を有する。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】AA2G(商標)(Hayashibara International, Okayama, Japan)としても知られているアスコルビル−2−グルコシドの構造を示す図である。
【図2】対照のためのプロコラーゲン(%対照);0.3%(w/w)リドカインを伴うHAベースのヒドロゲル、およびリン酸塩緩衝液中に0.6%(w/w)アスコルビル−2−グルコシド(AA2G(商標))を伴うHAベースのヒドロゲル;ならびに0.6%(w/w)アスコルビル−2−グルコシド(AA2G(商標)および0.3%(w/w)リドカインを伴うHAベースのヒドロゲルの合成を示すグラフである。
【図3】組成物における経時的(25℃で3年間に相当)押出し力を示すグラフ:対照;アスコルビル−2−グルコシド(AA2G(商標))およびリドカインを伴うHAベースのヒドロゲル;ならびにアスコルビル−2−グルコシド(AA2G(商標))、リドカインおよびTPGSを伴うHAベースのヒドロゲル。
【図4】組成物における経時的(25℃で3年間に相当)pHを示すグラフ:対照;アスコルビル−2−グルコシド(AA2G(商標))およびリドカインを伴うHAベースのヒドロゲル;ならびにアスコルビル−2−グルコシド(AA2G(商標))、リドカインおよびTPGSを伴うHAベースのヒドロゲル。
【図5】組成物における経時的(25℃で3年間に相当)tanδ1Hzを示すグラフ:対照;アスコルビル−2−グルコシド(AA2G(商標))を伴うHAベースのヒドロゲル;アスコルビル−2−グルコシド(AA2G(商標))およびリドカインを伴うHAベースのヒドロゲル;ならびにアスコルビル−2−グルコシド(AA2G(商標))、リドカインおよびTPGSを伴うHAベースのヒドロゲル。
【図6】オートクレーブ処理後(25℃で3年に相当)のアスコルビル−2−グルコシド(AA2G(商標))、リドカインおよびIPA(共溶離剤)のHPLC分析(C18カラム、溶離液:リン酸ナトリウム緩衝液(pH=2.2)/2−プロパノール 10%、0.7ml/分;260nmで検出)。
【図7】組成物における酸化防止剤の特性を比較するグラフ:対照に対する、リドカインを伴うジュビダーム(登録商標)ウルトラ、アスコルビル−2−グルコシド(AA2G(商標))およびリドカインを伴うジュビダーム(登録商標)ウルトラ。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本明細書の態様は、一部は、グリコサミノグリカンポリマーを含むヒドロゲル組成物を提供する。本明細書中に開示されるヒドロゲル組成物はさらに、2つ以上の異なるグリコサミノグリカンポリマーを含み得る。本明細書中で用いる場合、「グリコサミノグリカン」という用語は、「GAG」および「ムコ多糖」と同義であり、反復二糖単位からなる長い非分枝鎖多糖を指す。反復単位は、ヘキソサミン(窒素を含有する六炭糖)と連結されるヘキソース(六炭糖)またはヘキスロン酸、およびその製薬上許容可能な塩からなる。GAGファミリーの成員は、それらが含有するヘキソサミン、ヘキソースまたはヘキスロン酸単位の型、例えばグルクロン酸、イズロン酸、ガラクトース、ガラクトサミン、グルコサミンによって変化し、そしてグリコシド結合の形状においても変わり得る。任意のグリコサミノグリカンポリマーが、グリコサミノグリカンポリマーが皮膚の症状を改善することを条件として、本明細書中に開示されるヒドロゲル組成物において有用である。グリコサミノグリカンの非限定例としては、コンドロイチン硫酸塩、デルマタン硫酸塩、ケラタン硫酸塩、ヒアルロナンが挙げられる。グリコサミノグリカンの許容可能な塩の非限定例としては、ナトリウム塩、カリウム塩、マグネシウム塩、カルシウム塩およびその組合せが挙げられる。本明細書中に開示されるヒドロゲル組成物および方法に有用なグリコサミノグリカンおよびそれらの結果的に生じるポリマーは、例えばPiron and Tholin, Polysaccharide Crosslinking, Hydrogel Preparation, Resulting Polysaccharides(s) and Hydrogel(s), uses Thereof, U.S. Patent Publication 2003/0148995;Lebreton, Cross-Linking of Low and High Molecular Weight Polysaccharides Preparation of Injectable Monophase Hydrogels;Lebreton, Viscoelastic Solutions Containing Sodium Hyaluronate and Hydroxypropyl Methyl Cellulose, Preparation and Uses、米国特許公開第2008/0089918号;Lebreton, Hyaluronic Acid-Based Gels Including Lidocaine、米国特許公開第2010/0028438号に;ならびにこのようにして得られる多糖およびヒドロゲルは、米国特許公開第2006/0194758;およびDi Napoli, Composition and Method for Intradermal Soft Tissue Augmentation、国際特許公開WO 2004/073759に記載されており、これらの記載内容は各々、参照により本明細書中で援用される。本明細書中に開示されるヒドロゲル組成物および方法において有用なGAGは市販されており、例えばヒアルロナンベースの皮膚充填剤であるジュビダーム(登録商標)、ジュビダーム(登録商標)30、ジュビダーム(登録商標)ウルトラ、ジュビダーム(登録商標)ウルトラプラス、ジュビダーム(登録商標)ウルトラXCおよびジュビダーム(登録商標)ウルトラプラスXC(Allergan Inc, Irvine, California)である。表1は、代表的GAGを列挙する。


【表1】

【0020】
本明細書の態様は、一部は、コンドロイチン流酸塩ポリマーを含むヒドロゲル組成物を提供する。本明細書中で用いる場合、「コンドロイチン硫酸塩ポリマー」という用語は、D−グルクロン酸(GlcA)およびN−アセチル−D−ガラクトサミン(GalNAc)という2つの単糖が交互する二糖類を含む可変長の非分枝鎖硫酸化ポリマーを指す。コンドロイチン硫酸塩ポリマーは、L−イズロン酸(IdoA)にエピ化されるD−グルクロン酸残基も含み得るが、この場合、その結果生じる二糖はデルマタン硫酸塩と呼ばれる。コンドロイチン硫酸塩ポリマーは、各々が不定の位置および量で硫酸化される100を上回る個々の糖の鎖を有し得る。コンドロイチン硫酸塩ポリマーは、軟骨の重要な一つの構造構成成分であり、圧迫に対するその抵抗力の多くを提供する。任意のコンドロイチン硫酸塩ポリマーが、それが皮膚の症状を改善することを条件として、本明細書中に開示される組成物中で有用である。コンドロイチン硫酸塩の製薬上許容可能な塩の非限定例としては、コンドロイチン硫酸ナトリウム、コンドロイチン硫酸カリウム、コンドロイチン硫酸マグネシウム、コンドロイチン硫酸カルシウムおよびその組合せが挙げられる。
【0021】
本明細書の態様は、一部は、ケラタン硫酸塩ポリマーを含むヒドロゲル組成物を提供する。本明細書中で用いる場合、「ケラタン硫酸塩ポリマー」という用語は、それ自体がβ−D−ガラクトースおよびN−アセチル−D−ガラクトサミン(GalNAc)を含む二糖単位を含む可変長のポリマーおよびその製薬上許容可能な塩を指す。ケラタン硫酸塩の反復領域内の二糖はフコシル化され得るし、N−アセチルノイラミン酸は鎖の末端をキャップする。任意のケラタン硫酸塩ポリマーは、皮膚の症状を改善することを条件として、本明細書中に開示される組成物中で有用である。ケラタン硫酸塩の製薬上許容可能な塩の非限定例としては、ケラタン硫酸ナトリウム、ケラタン硫酸カリウム、ケラタン硫酸マグネシウム、ケラタン硫酸カルシウムおよびその組合せが挙げられる。
【0022】
本明細書の態様は、一部は、ヒアルロナンポリマーを含むヒドロゲル組成物を提供する。本明細書中で用いる場合、「ヒアルロン酸ポリマー」という用語は、「HAポリマー」、「ヒアルロン酸ポリマー」および「ヒアルロン酸塩ポリマー」と同義であり、それ自体が、交互するβ−1,4およびβ−1,3グリコシド結合を介して一緒に連結されるD−グルクロン酸およびD−N−アセチルグルコサミン単量体を含む二糖単位を含む陰イオン性非硫酸化グリコサミノグリカンポリマーおよびその製薬上許容可能な塩を指す。ヒアルロナンポリマーは、動物および非動物供給源から精製され得る。ヒアルロナンのポリマーは、サイズが、約5,000Da〜約20,000,000Daの範囲であり得る。任意のヒアルロナンポリマーは、皮膚の症状を改善することを条件として、本明細書中に開示される組成物中で有用である。ヒアルロナンの製薬上許容可能な塩の非限定例としては、ヒアルロナンナトリウム、ヒアルロナンカリウム、ヒアルロナンマグネシウム、ヒアルロナンカルシウムおよびその組合せが挙げられる。
【0023】
本明細書の態様は、一部は、架橋グリコサミノグリカンポリマーを含むヒドロゲル組成物を提供する。本明細書中で用いる場合、「架橋」という用語は、個々のポリマー分子または単量体鎖をより安定な構造、例えばゲルに連結する分子間結合を指す。したがって、架橋グリコサミノグリカンポリマーは、少なくとも1つの個々のポリマー分子を別の分子と連結する少なくとも1つの分子間結合を有する。グリコサミノグリカンポリマーの架橋は、典型的には、ヒドロゲルを生成する。このようなヒドロゲルは高い粘性を有し、微細針を通して押し出すためにかなりの力を要する。本明細書中に開示されるグリコサミノグリカンポリマーは、ジアルデヒドおよびジスルフィド架橋剤、例えば多官能性PEGベースの架橋剤、ジビニルスルホン、ジグリシジルエーテルおよびビス−エポキシド、ビスカルボジイミド(これらに限定されない)を用いて架橋され得る。ヒアルロナン架橋剤の非限定例としては、多官能性PEGベースの架橋剤、例えばペンタエリトリトールテトラグリシジルエーテル(PETGE)、ジビニルスルホン(DVS)、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル(BDDE)、1,2−ビス(2,3−エポキシプロポキシ)エチレン(EGDGE)、1,2,7,8−ジエポキシオクタン(DEO)、(フェニレンビス−(エチル)−カルボジイミドおよび1,6 ヘキサメチレンビス(エチルカルボジイミド)、アジピン酸ジヒドラジド(ADH)、ビス(スルホスクシンイミジル)スベラート(BS)、ヘキサメチレンジアミン(HMDA)、1−(2,3−エポキシプロピル)−2,3−エポキシシクロヘキサンまたはその組合せが挙げられる。その他の有用な架橋剤は、Stroumpoulis and Tezel, Tunably Crosslinked Polysaccharide Compositions、米国特許出願第12/910,466号(2010年10月22日出願)に開示されており、これらの記載内容は各々、参照により本明細書中で援用される。グリコサミノグリカンポリマーを架橋する方法の非限定例は、例えば に記載されている。本明細書中に開示される組成物および方法に有用なグリコサミノグリカンポリマーは、例えば、Piron and Tholin, Polysaccharide Crosslinking, Hydrogel Preparation, Resulting Polysaccharides(s) and Hydrogel(s), uses Thereof、米国特許公開第2003/0148995号;Lebreton, Cross-Linking of Low and High Molecular Weight Polysaccharides Preparation of Injectable Monophase Hydrogels;Lebreton, Viscoelastic Solutions Containing Sodium Hyaluronate and Hydroxypropyl Methyl Cellulose, Preparation and Uses、米国特許公開第2008/0089918号;Lebreton, Hyaluronic Acid-Based Gels Including Lidocaine、米国特許公開第2010/0028438号に;ならびにこのようにして得られる多糖およびヒドロゲルは、米国特許公開第2006/0194758号;およびDi Napoli, Composition and Method for Intradermal Soft Tissue Augmentation、国際特許公開WO 2004/073759に記載されており、これらの記載内容は各々、参照により本明細書中で援用される。
【0024】
本明細書に従って、製剤中の「%」は、重量単位の重量(すなわちw/w)パーセンテージと定義される。一例として、1%(w/w)は10mg/gの濃度を意味する。
【0025】
一実施形態では、ヒドロゲル組成物は架橋グリコサミノグリカンポリマーを含み、ここで、架橋グリコサミノグリカンポリマーは、本明細書中に開示されるような皮膚症状を改善するのに十分な量で存在する。この実施形態の態様では、組成物は、架橋コンドロイチン硫酸塩ポリマー、架橋デルマタン硫酸塩ポリマー、架橋ケラタン硫酸塩ポリマー、架橋ヘパランポリマー、架橋ヘパラン硫酸塩ポリマーまたは架橋ヒアルロナンポリマーを含む。この実施形態の他の態様では、組成物は、架橋グリコサミノグリカンを含み、架橋グリコサミノグリカンは、組成物中に存在する総グリコサミノグリカンの例えば約1重量%、約2重量%、約3重量%、約4重量%、約5重量%、約6重量%、約7重量%、約8重量%、約9重量%または約10重量%に相当する。この実施形態のさらに他の態様では、組成物は架橋グリコサミノグリカンを含み、架橋グリコサミノグリカンは、組成物中に存在する総グリコサミノグリカンの例えば最大1重量%、最大2重量%、最大3重量%、最大4重量%、最大5重量%、最大6重量%、最大7重量%、最大8重量%、最大9重量%または最大10重量%に相当する。この実施形態のさらに他の態様では、組成物は架橋グリコサミノグリカンを含み、架橋グリコサミノグリカンは、例えば組成物中に存在する総グリコサミノグリカンの約0重量%〜約20重量%、約1重量%〜約17重量%、約3重量%〜約15重量%または約5重量%〜約10重量%、例えば約11重量%、約15重量%または約17重量%に相当する。
【0026】
この実施形態の態様において、ヒドロゲル組成物は、架橋グリコサミノグリカンを含み、架橋グリコサミノグリカンは、例えば約2mg/g、約3mg/g、約4mg/g、約5mg/g、約6mg/g、約7mg/g、約8mg/g、約9mg/g、約10mg/g、約11mg/g、約12mg/g、約13mg/g、約13.5mg/g、約14mg/g、約15mg/g、約16mg/g、約17mg/g、約18mg/g、約19mg/gまたは約20mg/gの濃度で存在する。この実施形態の他の態様では、組成物は架橋グリコサミノグリカンを含み、架橋グリコサミノグリカンは、例えば少なくとも1mg/g、少なくとも2mg/g、少なくとも3mg/g、少なくとも4mg/g、少なくとも5mg/g、少なくとも10mg/g、少なくとも15mg/g、少なくとも20mg/gまたは少なくとも25mg/gまたは約40mg/gの濃度で存在する。この実施形態のさらに他の態様では、組成物は架橋グリコサミノグリカンを含み、架橋グリコサミノグリカンは、例えば最大1mg/g、最大2mg/g、最大3mg/g、最大4mg/g、最大5mg/g、最大10mg/g、最大15mg/g、最大20mg/g、最大25mg/gまたは最大40mg/gの濃度で存在する。この実施形態のさらに他の態様では、組成物は架橋グリコサミノグリカンを含み、グリコサミノグリカンは、例えば約7.5mg/g〜約19.5mg/g、約8.5mg/g〜約18.5mg/g、約9.5mg/g〜約17.5mg/g、約10.5mg/g〜約16.5mg/g、約11.5mg/g〜約15.5mg/gまたは約12.5mg/g〜約14.5mg/g、約40mg/gまでの濃度で存在する。
【0027】
本明細書の態様は、一部は、低分子量のヒアルロナンポリマー、高分子量のヒアルロナンポリマー、または低および高分子量の両方のヒアルロナンポリマーを含むヒドロゲル組成物を提供する。本明細書中で用いる場合、「高分子量」という用語は、「ヒアルロナン」に言及する場合、1,000,000Daまたはそれより大きい平均分子量を有するヒアルロナンポリマーを指す。高分子量ヒアルロナンポリマーの非限定例としては、約1,500,000Da、約2,000,000Da、約2,500,000Da、約3,000,000Da、約3,500,000Da、約4,000,000Da、約4,500,000Daおよび約5,000,000Daのヒアルロナンポリマーが挙げられる。本明細書中で用いる場合、「低分子量」という用語は、「ヒアルロナン」に言及する場合、1,000,000Da未満の平均分子量を有するヒアルロナンポリマーを指す。低分子量ヒアルロナンポリマーの非限定例としては、約200,000Da、約300,000Da、約400,000Da、約500,000Da、約600,000Da、約700,000Da、約800,000Daおよび約900,000Daのヒアルロナンポリマーが挙げられる。
【0028】
一実施形態では、組成物は低分子量の架橋ヒアルロナンポリマーを含む。この実施形態の態様では、組成物は、例えば約100,000Da、約200,000Da、約300,000Da、約400,000Da、約500,000Da、約600,000Da、約700,000Da、約800,000Daまたは約900,000Daの平均分子量を有する架橋ヒアルロナンポリマーを含む。この実施形態のさらに他の態様では、組成物は、例えば、最大で100,000Da、最大で200,000Da、最大で300,000Da、最大で400,000Da、最大で500,000Da、最大で600,000Da、最大で700,000Da、最大で800,000Da、最大で900,000Daまたは最大で950,000の平均分子量を有する架橋ヒアルロナンポリマーを含む。この実施形態のさらに他の態様では、組成物は、例えば約100,000Da〜約500,000Da、約200,000Da〜約500,000Da、約300,000Da〜約500,000Da、約400,000Da〜約500,000Da、約500,000Da〜約950,000Da、約600,000Da〜約950,000Da、約700,000Da〜約950,000Da、約800,000Da〜約950,000Da、約300,000Da〜約600,000Da、約300,000Da〜約700,000Da、約300,000Da〜約800,000Daまたは約400,000Da〜約700,000Daの平均分子量を有する架橋ヒアルロナンポリマーを含む。
【0029】
別の実施形態では、組成物は高分子量の架橋ヒアルロナンポリマーを含む。この実施形態の態様では、組成物は、例えば約1,000,000Da、約1,500,000Da、約2,000,000Da、約2,500,000Da、約3,000,000Da、約3,500,000Da、約4,000,000Da、約4,500,000Daまたは約5,000,000Daの平均分子量を有する架橋ヒアルロナンポリマーを含む。この実施形態のさらに他の態様では、組成物は、例えば少なくとも1,000,000Da、少なくとも1,500,000Da、少なくとも2,000,000Da、少なくとも2,500,000Da、少なくとも3,000,000Da、少なくとも3,500,000Da、少なくとも4,000,000Da、少なくとも4,500,000Daまたは少なくとも5,000,000Daの平均分子量を有する架橋ヒアルロナンポリマーを含む。この実施形態のさらに他の態様では、組成物は、例えば約1,000,000Da〜約5,000,000Da、約1,500,000Da〜約5,000,000Da、約2,000,000Da〜約5,000,000Da、約2,500,000Da〜約5,000,000Da、約2,000,000Da〜約3,000,000Da、約2,500,000Da〜約3,500,000Daまたは約2,000,000Da〜約4,000,000Daの平均分子量を有する架橋ヒアルロナンポリマーを含む。
【0030】
さらに別の実施形態では、組成物は架橋ヒアルロナンポリマーを含み、ここで、架橋ヒアルロナンポリマーは、高分子量ヒアルロナンポリマーおよび低分子量ヒアルロナンポリマーの両方の種々の割合での組合せを含む。この実施形態の態様では、組成物は架橋ヒアルロナンポリマーを含み、ここで、架橋ヒアルロナンポリマーは、高分子量ヒアルロナンポリマーおよび低分子量ヒアルロナンポリマーの両方の、約20:1、約15:1、約10:1、約5:1、約1:1、約1:5、約1:10、約1:15または約1:20の割合での組合せを含む。
【0031】
本明細書の態様は、一部は、ある程度の架橋を有する架橋グリコサミノグリカンポリマーを含むヒドロゲル組成物を提供する。本明細書中で用いる場合、「架橋の程度」という用語は、グリコサミノグリカンポリマー単量体単位、例えば架橋剤と結合されるヒアルロナンの二糖単量体単位のパーセンテージを指す。架橋の程度は、架橋剤のグリコサミノグリカンに対する重量パーセント比として表される。
【0032】
本明細書の態様は、一部は、非架橋グリコサミノグリカンポリマーを含むヒドロゲル組成物を提供する。本明細書中で用いる場合、「非架橋」という用語は、個々のグリコサミノグリカンポリマー分子または単量体鎖を連結する分子間結合の欠如を指す。したがって、非架橋グリコサミノグリカンポリマーは、分子間結合によりいかなる他のグリコサミノグリカンポリマーとも連結されない。この実施形態の態様では、組成物は、非架橋コンドロイチン硫酸塩ポリマー、非架橋デルマタン硫酸塩ポリマー、非架橋ケラタン硫酸塩ポリマー、非架橋ヘパランポリマー、非架橋ヘパラン硫酸塩ポリマーまたは非架橋ヒアルロナンポリマーを含む。非架橋グリコサミノグリカンポリマーは水溶性であり、一般的に、自然では流体のままである。したがって、グリコサミノグリカンポリマーはしばしば、滑剤としてグリコサミノグリカンポリマーベースのヒドロゲル組成物と混合されて、微細針を通した組成物の押出し工程を助長する。
【0033】
一実施形態では、組成物は非架橋グリコサミノグリカンポリマーを含み、ここで、非架橋グリコサミノグリカンポリマーは、本明細書で開示されるように、皮膚の状態を改善するのに十分な量で存在する。この実施形態の態様では、組成物は非架橋グリコサミノグリカンを含み、ここで、非架橋グリコサミノグリカンは、例えば約2mg/g、約3mg/g、約4mg/g、約5mg/g、約6mg/g、約7mg/g、約8mg/g、約9mg/g、約10mg/g、約11mg/g、約12mg/g、約13mg/g、約13.5mg/g、約14mg/g、約15mg/g、約16mg/g、約17mg/g、約18mg/g、約19mg/gまたは約20mg/g、約40mg/gまたは約60mg/gの濃度で存在する。この実施形態の他の態様では、組成物は非架橋グリコサミノグリカンを含み、この場合、非架橋グリコサミノグリカンは、例えば少なくとも1mg/g、少なくとも2mg/g、少なくとも3mg/g、少なくとも4mg/g、少なくとも5mg/g、少なくとも10mg/g、少なくとも15mg/g、少なくとも20mg/g、少なくとも25mg/g、少なくとも35mg/gまたは約40mg/gの濃度で存在する。この実施形態のさらに他の態様では、組成物は非架橋グリコサミノグリカンを含み、この場合、非架橋グリコサミノグリカンは、例えば最大で1mg/g、最大で2mg/g、最大で3mg/g、最大で4mg/g、最大で5mg/g、最大で10mg/g、最大で15mg/g、最大で20mg/gまたは最大で25mg/gの濃度で存在する。この実施形態のさらに他の態様では、組成物は非架橋グリコサミノグリカンを含み、この場合、グリコサミノグリカンは、例えば約1mg/g〜約60mg/g、約10mg/g〜約40mg/g、約7.5mg/g〜約19.5mg/g、約8.5mg/g〜約18.5mg/g、約9.5mg/g〜約17.5mg/g、約10.5mg/g約16.5mg/g、約11.5mg/g〜約15.5mg/gまたは約12.5mg/g〜約14.5mg/gの濃度で存在する。
【0034】
一実施形態では、組成物は、低分子量の非架橋ヒアルロナンポリマーを含む。この実施形態の態様では、組成物は、例えば約100,000Da、約200,000Da、約300,000Da、約400,000Da、約500,000Da、約600,000Da、約700,000Da、約800,000Daまたは約900,000Daの平均分子量を有する非架橋ヒアルロナンを含む。この実施形態のさらに他の態様では、組成物は、例えば、最大で100,000Da、最大で200,000Da、最大で300,000Da、最大で400,000Da、最大で500,000Da、最大で600,000Da、最大で700,000Da、最大で800,000Da、最大で900,000Daまたは最大で950,000の平均分子量を有する非架橋ヒアルロナンポリマーを含む。この実施形態のさらに他の態様では、組成物は、例えば約100,000Da〜約500,000Da、約200,000Da〜約500,000Da、約300,000Da〜約500,000Da、約400,000Da〜約500,000Da、約500,000Da〜約950,000Da、約600,000Da〜約950,000Da、約700,000Da〜約950,000Da、約800,000Da〜約950,000Da、約300,000Da〜約600,000Da、約300,000Da〜約700,000Da、約300,000Da〜約800,000Daまたは約400,000Da〜約700,000Daの平均分子量を有する非架橋ヒアルロナンポリマーを含む。
【0035】
別の実施形態では、組成物は高分子量の非架橋ヒアルロナンポリマーを含む。この実施形態の態様では、組成物は、例えば約1,000,000Da、約1,500,000Da、約2,000,000Da、約2,500,000Da、約3,000,000Da、約3,500,000Da、約4,000,000Da、約4,500,000Daまたは約5,000,000Daの平均分子量を有する非架橋ヒアルロナンを含む。この実施形態の他の態様では、組成物は、例えば少なくとも1,000,000Da、少なくとも1,500,000Da、少なくとも2,000,000Da、少なくとも2,500,000Da、少なくとも3,000,000Da、少なくとも3,500,000Da、少なくとも4,000,000Da、少なくとも4,500,000Daまたは少なくとも5,000,000Daの平均分子量を有する非架橋ヒアルロナンポリマーを含む。この実施形態のさらに他の態様では、組成物は、例えば約1,000,000Da〜約5,000,000Da、約1,500,000Da〜約5,000,000Da、約2,000,000Da〜約5,000,000Da、約2,500,000Da〜約5,000,000Da、約2,000,000Da〜約3,000,000Da、約2,500,000Da〜約3,500,000Daまたは約2,000,000Da〜約4,000,000Daの平均分子量を有する非架橋ヒアルロナンポリマーを含む。さらに他の態様では、組成物は、例えば2,000,000Daより大きく約3,000,000Da未満、2,000,000Daより大きく約3,500,000Da未満、2,000,000Daより大きく約4,000,000Da未満、2,000,000Daより大きく約4,500,000Da未満、2,000,000Daより大きく約5,000,000Da未満の平均分子量を有する非架橋ヒアルロナンポリマーを含む。
【0036】
別の実施形態では、組成物は非架橋ヒアルロナンポリマーを含み、ここで、非架橋ヒアルロナンポリマーは、高分子量ヒアルロナンポリマーおよび低分子量ヒアルロナンポリマーの両方の種々の割合での組合せを含む。この実施形態の態様では、組成物は非架橋ヒアルロナンポリマーを含み、ここで、非架橋ヒアルロナンポリマーは、高分子量ヒアルロナンポリマーおよび低分子量ヒアルロナンポリマーの両方の、約20:1、約15:1、約10:1、約5:1、約1:1、約1:5、約1:10、約1:15または約1:20の割合での組合せを含む。
【0037】
本明細書の態様は、一部は、実質的非架橋グリコサミノグリカンポリマーを含むヒドロゲル組成物を提供する。本明細書中で用いる場合、「実質的非架橋」という用語は、組成物の少なくとも90重量%のレベルでの本明細書中に開示される組成物中の非架橋グリコサミノグリカンポリマーの存在を指し、組成物の多くても10重量%の残りのものは、架橋グリコサミノグリカンポリマーを含めた他の構成成分からなる。この実施形態の態様では、組成物は、実質的非架橋コンドロイチン硫酸塩ポリマー、実質的非架橋デルマタン硫酸塩ポリマー、実質的非架橋ケラタン硫酸塩ポリマー、実質的非架橋ヘパランポリマー、実質的非架橋ヘパラン硫酸塩ポリマーまたは実質的非架橋ヒアルロナン硫酸塩ポリマーを含む。この実施形態の他の態様では、組成物は非架橋グリコサミノグリカンを含み、ここで、非架橋グリコサミノグリカンは、例えば組成物中に存在する総グリコサミノグリカンの約90重量%またはそれ以上、約91重量%またはそれ以上、約92重量%またはそれ以上、約93重量%またはそれ以上、約94重量%またはそれ以上、約95重量%またはそれ以上、約96重量%またはそれ以上、約97重量%またはそれ以上、約98重量%またはそれ以上あるいは約99重量%またはそれ以上、あるいは約100重量%に相当する。この実施形態のさらに他の態様では、組成物は非架橋グリコサミノグリカンを含み、この場合、非架橋グリコサミノグリカンは、例えば組成物中に存在する総グリコサミノグリカンの約90〜約100重量%、約93〜約100重量%、約95〜約100重量%または約97〜約100重量%に相当する。
【0038】
本明細書の態様は、一部は、架橋グリコサミノグリカンポリマーを本質的に含有しないヒドロゲル組成物を提供する。本明細書中で用いる場合、「本質的に含有しない」(または「本質的に〜からなる」)という用語は、微量の架橋マトリックスポリマーのみが検出され得る組成物を指す。この実施形態の態様では、組成物は、架橋コンドロイチン硫酸塩ポリマーを本質的に含有しないコンドロイチン硫酸塩、架橋デルマタン硫酸塩ポリマーを本質的に含有しないデルマタン硫酸塩、架橋ケラタン硫酸塩ポリマーを本質的に含有しないケラタン硫酸塩、架橋ヘパランポリマーを本質的に含有しないヘパラン、架橋ヘパラン硫酸塩ポリマーを本質的に含有しないヘパラン硫酸塩または架橋ヒアルロナンポリマーを本質的に含有しないヒアルロナン硫酸塩を含む。
【0039】
本明細書の態様は、一部は、架橋グリコサミノグリカンポリマーを全く含有しないヒドロゲル組成物を提供する。本明細書中で用いる場合、「全く含有しない」という用語は、用いられている機器または工程の検出範囲内で架橋グリコサミノグリカンポリマーが検出され得ないか、またはその存在が確認され得ない組成物を指す。この実施形態の態様では、組成物は、架橋コンドロイチン硫酸塩ポリマーを全く含有しないコンドロイチン硫酸塩、架橋デルマタン硫酸塩ポリマーを全く含有しないデルマタン硫酸塩、架橋ケラタン硫酸塩ポリマーを全く含有しないケラタン硫酸塩、架橋ヘパランポリマーを全く含有しないヘパラン、架橋ヘパラン硫酸塩ポリマーを全く含有しないヘパラン硫酸塩、または架橋ヒアルロナンポリマーを全く含有しないヒアルロナン硫酸塩を含む。
【0040】
本明細書の態様は、一部は、ある割合の架橋グリコサミノグリカンポリマーおよび非架橋グリコサミノグリカンポリマーを含むヒドロゲル組成物を提供する。架橋および非架橋グリコサミノグリカンポリマーのこの割合は、ゲル:流体比としても知られている。任意のゲル:流体比が、本明細書中に開示される組成物を製造するに際して有用であるが、但し、このような比が本明細書中に開示されるような皮膚症状を改善する本明細書中に開示される組成物を生成することを条件とする。ゲル:流体比の非限定例としては、100:0、98:2、90:10、75:25、70:30、60:40、50:50、40:60、30:70、25:75、10:90、2:98および0:100が挙げられる。
【0041】
この実施形態の態様では、組成物は架橋グリコサミノグリカンポリマーおよび非架橋グリコサミノグリカンポリマーを含み、ここで、ゲル:流体比は、例えば約0:100、約1:99、約2:98、約3:97、約4:96、約5:95、約6:94、約7:93、約8:92、約9:91または約10:90である。この実施形態の他の態様では、組成物は架橋グリコサミノグリカンポリマーおよび非架橋グリコサミノグリカンポリマーを含み、ここで、ゲル:流体比は、例えば最大で1:99、最大で2:98、最大で3:97、最大で4:96、最大で5:95、最大で6:94、最大で7:93、最大で8:92、最大で9:91または最大で10:90である。この実施形態のさらに他の態様では、架橋グリコサミノグリカンポリマーおよび非架橋グリコサミノグリカンポリマーを含み、ここで、ゲル:流体比は、例えば約0:100〜約3:97、約0:100〜約5:95、または約0:100〜約10:90である。
【0042】
この実施形態の他の態様では、組成物は架橋グリコサミノグリカンポリマーおよび非架橋グリコサミノグリカンポリマーを含み、ここで、ゲル:流体比は、例えば約15:85、約20:80、約25:75、約30:70、約35:65、約40:60、約45:55、約50:50、約55:45、約60:40、約65:35、約70:30、約75:25、約80:20、約85:15、約90:10、約95:5、約98:2または約100:0である。この実施形態のさらに他の態様では、組成物は架橋繰り視具ポリマーおよび非架橋グリコサミノグリカンポリマーを含み、この場合、ゲル:流体比は、例えば最大で15:85、最大で20:80、最大で25:75、最大で30:70、最大で35:65、最大で40:60、最大で45:55、最大で50:50、最大で55:45、最大で60:40、最大で65:35、最大で70:30、最大で75:25、最大で80:20、最大で85:15、最大で90:10、最大で95:5、最大で98:2または最大で100:0である。この実施形態のさらに他の態様では、組成物は架橋グリコサミノグリカンポリマーおよび非架橋グリコサミノグリカンポリマーを含み、この場合、ゲル:流体比は、例えば約10:90〜約70:30、約15:85〜約70:30、約10:90〜約55:45、約80:20〜約95:5、約90:10〜約100:0、約75:25〜約100:0または約60:40〜約100:0である。
【0043】
本明細書の態様は、一部は、組成物が個人に投与される場合に有益な作用を提供する別の作用物質または作用物質の組合せをさらにまたは任意に含み得る本明細書中に開示さえるヒドロゲル組成物を提供する。このような有益な作用物質としては、酸化防止剤、抗掻痒剤、抗セルライト剤、抗瘢痕形成剤、抗炎症剤、麻酔剤、抗刺激剤、血管収縮剤、血管拡張剤、抗出血剤、例えば止血剤または抗線維素溶解剤、剥離剤、張り付与剤、抗座瘡剤、色素沈着剤、抗色素沈着剤または保湿剤が挙げられるが、これらに限定されない。
【0044】
本明細書の態様は、一部は、麻酔剤を任意に含み得る本明細書中に開示されるヒドロゲル組成物を提供する。麻酔剤は、好ましくは、局所麻酔剤、すなわち、可逆的局所知覚喪失および痛覚の損失を引き起こす麻酔剤、例えばアミノアミド局所麻酔剤およびアミノエステル局所麻酔剤である。本明細書中に開示される組成物中に含まれる麻酔剤の量は、組成物の投与時に個人が経験する疼痛を緩和するのに有効な量である。したがって、本明細書中に開示される組成物中に含まれる麻酔剤の量は、総組成物の約0.1〜約5重量%である。麻酔剤の非限定例としては、リドカイン、アンブカイン、アモラノン、アミロカイン、ベノキシネート、ベンゾカイン、ベトキシカイン、ビフェンアミン、ブピバカイン、ブタカイン、ブタンベン、ブタニリカイン、ブテタミン、ブトキシカイン、カルチカイン、クロロプロカイン、コカエチレン、コカイン、シクロメチカイン、ジブカイン、ジメチソキン、ジメトカイン、ジペロドン、ジサイクロミン、エクゴニジン、エクゴニン、塩化エチル、エチドカイン、ベータ・オイカイン、オイプロシン、フェナルコミン、フォルモカイン、ヘキシルカイン、ヒドロキシテトラカイン、イソブチルp−アミノベンゾエート、ロイシノカインメシラート、レボキサドロール、リドカイン、メピバカイン、メプリルカイン、メタブトキシカイン、塩化メチル、ミルテカイン、ナエパイン、オクタカイン、オルトカイン、オキセタザイン、パレトキシカイン、フェナカイン、フェノール、ピペロカイン、ピリドカイン、ポリドカノール、プラモキシン、プリロカイン、プロカイン、プロパノカイン、プロパラカイン、プロピポカイン、プロポキシカイン、シュードコカイン、ピロカイン、ロピバカイン、サリチルアルコール、テトラカイン、トリカイン、トリメカイン、ゾラミン、その組合せおよびその塩が挙げられる。アミノエステル局所麻酔剤の非限定例としては、プロカイン、クロロプロカイン、コカイン、シクロメチカイン、シメトカイン(ラロカイン)、プロポキシカイン、プロカイン(ノボカイン)、プロパラカイン、テトラカイン(アメトカイン)が挙げられる。アミノアミド局所麻酔剤の非限定例としては、アルチカイン、ブピバカイン、シンコカイン(ジブカイン)、エチドカイン、レボブピバカイン、リドカイン(リグノカイン)、メピバカイン、ピペロカイン、プリロカイン、ロピバカインおよびトリメカインが挙げられる。本明細書中に開示される組成物は、単一の麻酔剤または複数の麻酔剤を含み得る。組合せ局所麻酔剤の非限定例は、リドカイン/プリロカイン(EMLA)である。
【0045】
したがって、一実施形態では、本明細書中に開示される組成物は、麻酔剤およびその塩を含む。この実施形態の態様では、本明細書中に開示される組成物は、アミノアミド局所麻酔剤およびその塩、またはアミノエステル局所麻酔剤およびその塩を含む。この実施形態の他の態様では、本明細書中に開示される組成物は、プロカイン、クロロプロカイン、コカイン、シクロメチカイン、シメトカイン、プロポキシカイン、プロカイン、プロパラカイン、テトラカイン、またはその塩、またはその任意の組合せを含む。この実施形態のさらに他の態様では、本明細書中に開示される組成物は、アルチカイン、ブピバカイン、シンコカイン、エチドカイン、レボブピバカイン、リドカイン、メピバカイン、ピペロカイン、プリロカイン、ロピバカイン、トリメカイン、またはその塩、またはその任意の組合せを含む。この実施形態のさらに他の態様では、本明細書中に開示される組成物は、リドカイン/プリロカイン組合せを含む。
【0046】
この実施形態の他の態様では、本明細書中に開示される組成物は、例えば総組成物の重量の約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1.0%、約2.0%、約3.0%、約4.0%、約5.0%、約6.0%、約7.0%、約8.0%、約9.0%または約10%の量で麻酔剤を含む。さらに他の態様では、本明細書中に開示される組成物は、例えば総組成物の重量の少なくとも0.1%、少なくとも0.2%、少なくとも0.3%、少なくとも0.4%、少なくとも0.5%、少なくとも0.6%、少なくとも0.7%、少なくとも0.8%、少なくとも0.9%、少なくとも1.0%、少なくとも2.0%、少なくとも3.0%、少なくとも4.0%、少なくとも5.0%、少なくとも6.0%、少なくとも7.0%、少なくとも8.0%、少なくとも9.0%または少なくとも10%の量で麻酔剤を含む。さらに他の態様では、本明細書中に開示される組成物は、例えば総組成物の重量の最大で0.1%、最大で0.2%、最大で0.3%、最大で0.4%、最大で0.5%、最大で0.6%、最大で0.7%、最大で0.8%、最大で0.9%、最大で1.0%、最大で2.0%、最大で3.0%、最大で4.0%、最大で5.0%、最大で6.0%、最大で7.0%、最大で8.0%、最大で9.0%または最大で10%の量で麻酔剤を含む。さらなる態様では、本明細書中に開示される組成物は、例えば総組成物の重量の約0.1%〜約0.5%、約0.1%〜約1.0%、約0.1%〜約2.0%、約0.1%〜約3.0%、約0.1%〜約4.0%、約0.1%〜約5.0%、約0.2%〜約0.9%、約0.2%〜約1.0%、約0.2%〜約2.0%、約0.5%〜約1.0%または約0.5%〜約2.0%の量で麻酔剤を含む。
【0047】
別の実施形態では、本明細書中に開示される組成物は、麻酔剤を含まない。
【0048】
本明細書の態様は、一部は、酸化防止剤を任意に含み得る本明細書中に開示されるヒドロゲル組成物を提供する。本明細書中に開示される組成物中に含まれる酸化防止剤の量は、本明細書中に開示される組成物の分解、例えば組成物の酵素的分解および/または化学的分解を低減または防止するのに有効な量である。したがって、本明細書中に開示される組成物中に含まれる酸化防止剤の量は、総組成物の重量の約0.1%〜約10%である。酸化防止剤の非限定例としては、ポリオール、フラボノイド、フィトアレキシン、アスコルビン酸剤、トコフェロール、トコトリエノール、リポ酸、メラトニン、カロテノイド、その類似体または誘導体、およびその任意の組合せが挙げられる。本明細書中に開示される組成物は、単一の酸化防止剤または複数の酸化防止剤、レチノール、補酵素、イデベノン、アロプリノール、グルタチオン、亜セレン酸ナトリウムを含む。
【0049】
本明細書の態様は、一部は、ポリオールを任意に含み得る本明細書中に開示されるヒドロゲル組成物を提供する。本明細書中で用いる場合、「ポリオール」という用語は、「糖アルコール」、「多価アルコール」および「ポリアルコール」と同義であり、水素化された形態の炭水化物を指し、そのカルボニル基(アルデヒドまたはケトン、還元糖)が第一または第二ヒドロキシル基(それゆえアルコール)に還元されており、例えばマンノースからマンニトールに、キシロースからキシリトールに、そしてラクツロースからラクチトールに還元されている。ポリオールは、一般式H(HCHO)+1Hを有する。単糖および二糖はともに、ポリオールを形成し得る;しかしながら、二糖由来のポリオールは、1つのアルデヒド基のみが還元に利用可能であるため、完全に水素化されるわけではない。ポリオールの非限定例としては、グリセロール、エリトリトール、トレイトール、アラビトール、エリトリトール、リビトール、キシリトール、ガラクチトール(またはズルシトール)、グルクチオール(またはソルビトール)、イディトール、イノシトール、マンニトール、イソマルト、ラクチトール、マルチトールおよびポリグリシトールが挙げられる。ポリオールの他の非限定例は、例えば、Pharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems (Howard C. Ansel et al., eds., Lippincott Williams & Wilkins Publishers, 7th ed. 1999);Remington: The Science and Practice of Pharmacy (Alfonso R. Gennaro ed., Lippincott, Williams & Wilkins, 20th ed. 2000);Goodman & Gilman's The Pharmacological Basis of Therapeutics (Joel G. Hardman et al., eds., McGraw-Hill Professional, 10th ed. 2001);およびHandbook of Pharmaceutical Excipients (Raymond C. Rowe et al., APhA Publications, 4th edition 2003)に見出され得、これらの記載内容は各々、参照により本明細書中で援用される。
【0050】
本明細書の態様は、一部は、フラボノイドを任意に含む本明細書中に開示されるヒドロゲル組成物を提供する(表2)。フラボノイド(またはバイオフラボノイド)は、多様な有益な生化学的作用および酸化防止剤作用を有することが周知である植物中に見出されるポリフェノール系ケトン含有および非ケトン含有第二代謝物質のクラスを指す。フラボノイドの非限定例としては、C−メチル化フラボノイド、O−メチル化フラボノイド、イソフラボノイド、ネオフラボノイド、フラボノリグナン、フラノフラボノイド、ピラノフラボノイド、メチレンジオキシフラボノイド、プレニル化フラボノイド、オーロン、フラボン、フラボノール、フラボノン、フラバノノール、フラバン−3−オール、フラバン−4−オール、ロイコアントシアニジン(フラバン−3,4−ジオール)、アントシアニジンおよびタンニンが挙げられる。製薬業界で既知のこれらのおよび他の物質は、本明細書に開示される組成物中に含まれ得る、と理解される(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences Mac Publishing Company, Easton, PA 16th Edition 1980参照)。
【0051】
オーロンは、2−ベンジリデン−1−ベンゾフラン−3−オン由来の化合物である。オーロンの非限定例としては、4,5,6−トリヒドロキシ−オーロン、オーロイシジン、ヒスピドール、レプトシジン、マリチメチンおよびスルフレチンが挙げられる。
【0052】
ケトン含有フラボノイドの3つの主なクラスは、2−フェニルクロメン−4−オン(2−フェニル−1,4−ベンゾピロン)由来の化合物であるフラボン;3−フェニルクロメン−4−オン(3−フェニル−1,4−ベンゾピロン)由来の化合物であるイソフラボン;ならびに4−フェニルクマリン(4−フェニル−1,2−ベンゾピロン)由来の化合物であるネオフラボンである(表2)。フラボンは、それ自体、3−ヒドロキシル2,3−ジヒドロ官能基の存在または非存在に基づいて、以下の4つの群に分けられる:両方の官能基を欠いている2−フェニルクロメン−4−オン由来の化合物であるフラボン;3−ヒドロキシル基を有するが、しかし2,3−ジヒドロ基を欠いた3−ヒドロキシ−2−フェニルクロメン−4−オン由来の化合物であるフラボノール(3−ヒドロキシフラボン);2,3−ジヒドロ基を有するが、しかし3−ヒドロキシル基を欠いている2,3−ジヒドロ−2−フェニルクロメン−4−オン由来の化合物であるフラバノン;および両方の官能基を有する3−ヒドロキシ−2,3−ジヒドロ−2−フェニルクロメン−4−オン由来の化合物であるフラバノノール(3−ヒドロキシフラバノンまたは2,3−ジヒドロフラボノール)である。
【0053】
フラボンの非限定例としては、アカセチン、アピイン、アピゲニン、アピゲトリン、アルトインドネシアニンP、バイカレイン、バイカリン、クリシン、シナロシド、ジオスメチン、ジオスミン、オイパチリン、フラボキサート、6−ヒドロキシフラボン、ゲンクワニン、ヒンドロスミン、ルテオリン、ネペチン、ネピトリン(ネペチン7−グルコシド)、ノビレチン、オリエンチン(イソオリエンチン)、オロキシンジン、オロキシリンA、ロイフォリン、スクテラレイン、スクテラリン、タンゲリチン、テクトクリシン、テツイン、トリシン、ベロニカストロシド、ビテキシン(イソビテキシン)およびウォゴニンが挙げられる。フラボノールの非限定例としては、3−ヒドロキシフラボン、アザレアチン、フィセチン、ガランギン、ゴシペチン、ケンフェリド、ケンフェロール、イソラムネチン、モリン、ミリセチン、ナツダイダイン、パチポドール、クエルセチン、ラムナジン、ラムネチンおよびソフォリンが挙げられる。フラバノンの非限定例としては、ブチン、エリオジクチオール、ヘスペレチン、ヘスペリジン、ホモエリオジクチオール、イソサクラネチン、ナリンゲニン、ナリンギン、ピノセムブリン、ポンシリン、サクラネチン、サクラニンおよびステルビンが挙げられる。フラバノノールの非限定例としては、タキシフォリン(ジヒドロクエルセチン)およびアロマデドリン(ジヒドロケンフェロール)が挙げられる。
【0054】
イソフラボノイドとしては、イソフラボンおよびイソフラバンが挙げられる(表2)。イソフラボノイドの非限定例としては、アルピヌミソフラボン、アナギロイジソフラボンAおよびB、カリコシン、ダイドゼイン、ダイジン、デルルボン、ジ−O−メチルアルピヌミソフラボン、フォルモノネチン、ゲニステイン、ゲニスチン、グリシテイン、イプリフラボン、イリゲニン、イリジン、イリロン、4’−メチル−アルピヌミソフラボン、5−O−メチルゲニステイン、ルテオン、オノニン、オロボール、プラテンセイン、プルネチン、シュードバプチゲニン、プサイ−テクトリゲニン、プエラリン、レツシン、テクトリジン、テクトリゲニンおよびウィテオンが挙げられる。
【0055】
ネオフラボノイドとしては、4−アリールクマリン(ネオフラボン)、4−アリールクロマン、ダルベルギオンおよびダルベルギキノールが挙げられる(表2)。ネオフラボンは、4−フェニルクマリン(または4−アリール−クマリン)由来の化合物である;ネオフラベンは、4−フェニルクロメン由来の化合物である。ネオフラボノイドの非限定例としては、カロフィロリド、クタレアゲニン、ダルベルギクロメン、ダルベルギンおよびニベチンが挙げられる。
【0056】
非ケトン含有フラボノイドとしては、フラバン−3−オールおよびカテキンが挙げられる。フラバン−3−オール(フラバノール)は、2−フェニル3,4−ジヒドロ−2Hクロメン−3−オール骨格由来のフラボノイドの一クラスである。カテキンは、2つのベンゼン環(AおよB環と呼ばれる)およびジヒドロピラン複素環(C環)を、炭素3上のヒドロキシル基とともに保有する。A環はレゾルシノール部分と似ているが、一方、B環はカテコール部分に似ている。炭素2および3上の分子上には2つのキラル中心が存在する。したがって、それは、4つのジアステレオ異性体を有する。異性体のうちの2つはトランス立体配置で存在し、カテキンと呼ばれ、そして他の2つはシス立体配置で存在して、エピカテキンと呼ばれる。非ケトン含有フラボノイドの非限定例としては、アフゼレキン、アルトロメリンA、アルトロメリンB、カテキン、エピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレート、エピガロカテキンガレート、エピアフゼレキン、フィセチニドール、ガロカテキン、ガロカテキンガレート、グイブルチニドール、メシアダノール(3−O−メチルカテキン)、メスキトール、プロピルガレート、ロビネチニドールおよびテアルビギンが挙げられる。
【0057】
フラバン−4−オール(3−でオキシフラボノイド)は、2−フェニルクロマン−4−オール由来のフラボン誘導アルコールである。フラバン−4−オールの非限定例としては、アピフォロールおよびルテオフォロールが挙げられる。
【0058】
ロイコアントシアニジン(フラバン−3,4−ジオール)は、2−フェニル−3,4−ジヒドロ−2H−クロメン−3,4−ジオール由来の化合物である。フラバン−3,4−ジオールの非限定例としては、ロイコシアニジン、ロイコデルフィニジン、ロイコマルビジン、ロイコペラルゴニジン、ロイコペオニジン、ロイコロビネチニジンおよびメラカシジンが挙げられる。
【0059】
アントシアニジンは、2−フェニルクロメニリウム由来の化合物である。アントシアニジンの非限定例としては、アンチリニン、アピゲニニジン、アウランチニジン、カペンシニジン、クリサンテニン、コルムニジン、コメリニン、シアニジン、6−ヒドロキシシアニジン、シアニジン−3−(ジ−p−クマリルグルコシド)−5−グルコシド、シアノサルビアニン、デルフィニジン、ジオスメチニジン、エウロピニジン、フィセチニジン、ゲスネリジン、グイブルチニジン、ヒルスチジン、ルテオリニジン、マルビジン、5−デソキシ−マルビジン、マルビジン、ミルチリン、オエニン、ペオニジン、5−デソキシ−ペオニジン、ペラルゴニジン、ペツニジン、プリムリン、プロトシアニン、プロトデルフィン、プルケリジン、プルケリジン3−グルコシド、プルケリジン3−ラムノシド、ロビネチニジン、ロシニジン、トリセチニジン、ツリパニンおよびビオルデルフィンが挙げられる。
【0060】
タンニンは、2−フェニルクロメニリウム由来の化合物である。タンニンには以下の3つの主なクラスが存在する:加水分解型タンニン;非加水分解型タンニン(縮合タンニン;プロアントシアニジン);およびシュードタンニン。
【0061】
加水分解型タンニンは、それ自体、以下の4つの群に分けられる:オリゴマータンニン、例えばアグリコンタンニンおよびグリコシドタンニン;エラジタンニン;ガロタンニン、および非分類型タンニン。アグリコンタンニンの非限定例としては、エラグ酸、ガラギン酸および没食子酸が挙げられる。グリコシドタンニンの非限定例としては、グルコース、キニン酸およびシキミ酸が挙げられる。エラジタンニンの非限定例としては、カスタラギン(ベスカラギン)、カスタリン、カスアリクチン、カスアリイン、カスアリニン、コルヌシインE、グランジニン、ペドゥンクラギン、プニカコルテインC、プニグルコニン、プニカラギン、プニカラギンアルファ、プニカリン、2−O−ガロイル−プニカリン、スタキウリン、ストリクチニンおよびテリマグランジンIIが挙げられる。ガロタンニンの非限定例としては、コリラギン、ガロイルグルコース、ジガロイルグルコース、トリガロイルグルコース、テトラガロイルグルコース、ペンタガロイルグルコース、ヘキサガロイルグルコース、ヘプタガロイルグルコース、オクタガロイルグルコースおよびタンニン酸が挙げられる。非分類型タンニンの非限定例としては、アクチシミンA、アクチシミンB、ケブラギン酸、ケブリン酸、シンナムタンニンB1、コムブレグルチニン、ゲラニイン、グラナチンB、ロブリンA、ロブリンB、ロブリンC、ロブリンD、ロブリンE、スタキウリン、テルカチン、テルフラビンA、テルフラビンB、テルガラギン、ベスカリン、1,3,4−トリ−O−ガロイルキニン酸、3,5−ジ−O−ガロイル−シキミ酸および3,4,5−トリ−O−ガロイルシキミ酸が挙げられる。
【0062】
縮合タンニン(プロアントシアニジン)は、本質的に、フラボノイドのポリマー鎖、例えばカテキンである。縮合タンニンの非限定例としては、プロアントシアニジン、プロデルフィニジン、プロフィセチニジン、プログイブルチニジンおよびプロロビネチジンが挙げられる。
【表2−1】



【表2−2】



【表2−3】



【表2−4】


【0063】
本明細書の態様は、一部は、フィトアレキシンを任意に含み得る本明細書中に開示されるヒドロゲル組成物を提供する。フィトアレキシンは、不適合病原体感染に応答する植物によりde novoで合成される酸化防止剤作用を有する抗菌性分子のクラスを指す。フィトアレキシンの非限定例としては、レスベラトロール(3,5,4’−トリヒドロキシ−トランス−スチルベン)、アリキシン(3−ヒドロキシ−5−メトキシ−6−メチル−2−ペンチル−4H−ピラン−4−オン)、グリセオリン、ファセオリンおよびメジカルピンが挙げられる。
【0064】
本明細書の態様は、一部は、任意にアスコルビン酸剤を含み得る本明細書中に開示されるヒドロゲル組成物を提供する。アスコルビン酸(ビタミンC)、(5R)−[(1S)−1,2−ジヒドロキシエチル]−3,4−ジヒドロキシフラン−2(5H)−オンは、活性酸素種、例えば過酸化水素を還元し、それにより中和する、動物および植物の両方に見出される単糖酸化還元(レドックス)触媒である。アスコルビン酸は、陽子移動により2つの不安定なケトン互変異性体に相互変換もするが、しかしそれはエノール型で最も安定である。エノールのヒドロキシルの陽子は除去される。次いで、その結果生じた酸化物陰イオンからの一対の電子が押し下げて、2または3位置にケトンを形成し、二重結合からの電子が3または2位置にそれぞれ移動して、カルボアニオンを生成し、これが陽子を拾い集めて、2つの考え得る形態、すなわち1−カルボキシル−2−ケトンおよび1−カルボキシル−3−ケトンを生じる。アスコルビン酸剤の非限定例としては、アスコルビン酸ならびにアスコルビン酸のナトリウム、カリウムおよびカルシウム塩、長鎖脂肪酸を伴うアスコルビン酸の脂溶性エステル(アスコルビルパルミテートまたはアスコルビルステアレート)、マグネシウムアスコルビルホスフェート(MAP)、ナトリウムアスコルビルホスフェート(SAP)およびアスコルビン酸2−グルコシド(AA2GTM)、二ナトリウムアスコルビルスルフェート、ビタゲンが挙げられる。
【0065】
本明細書の態様は、一部は、トコフェロールおよび/またはトコトリエノールを任意に含み得る本明細書中に開示されるヒドロゲル組成物を提供する。トコフェロールおよびトコトリエノールは、ビタミンEと集合的に呼ばれる酸化防止剤の一群を含む。すべてがクロマノール環を特徴とし、水素原子を付与してフリーラジカルを低減し得るヒドロキシル基、ならびに生物学的膜中への透過を可能にする疎水性側鎖を伴う。トコフェロールおよびトコトリエノールはともに、アルファ、ベータ、ガンマおよびデルタ型で生じ、クロマノール環上のメチル基の数および位置により決定される。トコトリエノールは、環で同一メチル構造を有するが、しかし疎水性側鎖中の3つの二重結合の存在により類似とコフェノールと異なる。尾部の不飽和は、トコトリエノールに単一立体異性体炭素のみ(したがって、構造式当たり2つの考え得る異性体で、このうち1つは天然に生じる)を提供するが、一方、トコフェロールは3つの中心(そして構造式当たり8つの考え得る立体異性体で、その1つは天然に生じる)を有する。概して、トコトリエノールの非天然I−異性体は、ほぼすべてのビタミン活性を欠き、そしてトコフェロールの考え得る8つの異性体のうちの半数(環−尾部接合部に2Sキラリティを有するもの)も、ビタミン活性を欠く。活性を保持する立体異性体のうち、メチル化増大、特にアルファ型への完全メチル化は、ビタミン活性を増大する。ビタミンEの非限定例としては、トコフェロール(例えば、α−トコフェロール、β−トコフェロール、γ−トコフェロールおよびδ−トコフェロール)、トコフェロール類似体および誘導体(例えば、トコフェリルアセテート、ナトリウムトコフェリルホスフェート(STP)、ポリオキシエタニル−α−トコフェリルセバケートおよびトコフェロールポリエチレングリコール1000スクシネート(TPGS))、トコトリエノール(例えば、α−トコトリエノール、β−トコトリエノール、γ−トコトリエノールおよびδ−トコトリエノール)、トコトリエノール類似体および誘導体が挙げられる。
【0066】
本明細書の態様は、一部は、リポ酸(LA)を任意に含み得る本明細書中に開示されるヒドロゲル組成物を提供する。リポ酸 (R)−5−(1,2−ジチオラン−3−イル)ペンタン酸は、ジスルフィド結合を介して結合される(C6およびC8の)2つの隣接イオウ原子を含有し、したがって酸化されているとされる(しかしどちらか一方のイオウ原子がより高い酸化状態で存在し得る)オクタン酸由来の有機イオウ化合物である。C6の炭素原子はキラルであり、分子は2つのエナンチオマー R−(+)−リポ酸(RLA)およびS−(−)−リポ酸(SLA)として、ならびにラセミ混合物 R/S−リポ酸(R/S−LA)として存在し得る。R−(+)−エナンチオマーのみが自然で存在し、4つのミトコンドリア酵素複合体の必須補因子である。
【0067】
本明細書の態様は、一部は、メラトニンを任意に含み得る本明細書中に開示されるヒドロゲル組成物を提供する。メラトニン、 N−アセチル−5−メトキシトリプタミンは、動物、植物および微生物中に見出される広播性の強力な酸化防止剤である。
【0068】
本明細書の態様は、一部は、カロテノイドを任意に含み得る本明細書中に開示されるヒドロゲル組成物を提供する。カロテノイドは、植物、ならびにいくつかの他の光合成生物体、例えば藻類、いくつかの種類の真菌、いくつかの細菌および少なくとも1つの種のアブラムシの葉緑体および有色体中に天然に存在するテトラテルペノイドである。構造的に、テトラテルペンは、炭化水素環により終結され得る40炭素骨格を生じる8つのイソプレン単位から生化学的に合成される。600を超える既知のカルテノイドが存在する;それらは、2つのクラス、すなわちキサントフィル(酸素を含有する)およびカロテン(純粋に炭化水素であり、酸素を含有しない)に分けられる。
【0069】
化学的には、カロテン、例えばリコペンは、分子当たり40個の炭素原子、可変数の水素原子を含有し、他の元素を含有しない多価不飽和炭化水素である。いくつかのカロテンは、分子の一端または両端で、炭化水素環により終結される。カロテンの非限定例としては、α−カロテン、β−カロテン、γ−カロテン、δ−カロテン、ε−カロテン、ζ−カロテン、リコペンが挙げられる。
【0070】
分子当たり40個の炭素原子を含有するキサントフィル炭化水素は、ヒドロキシル基および/または水素原子の対(酸素原子により置換される)を含有する。この理由のため、それらは純炭化水素カロテンより極性がある。いくつかのキサントフィルは、分子の一端または両端で、炭化水素環により終結される。キサントフィルの非限定例としては、ルテイン、ゼアキサチン、ネオキサンチン、ビオラキサンチン、α−クリプトキサンチンおよびβ−クリプトキサンチンが挙げられる。
【0071】
本明細書の態様は、一部は、ビタミンAを任意に含み得る本明細書中に開示されるヒドロゲル組成物を提供する。ビタミンAとしては、レチノール、レチナールおよびレチノイン酸、ならびにポリエン鎖中に見出される5つの二重結合のうちの4つのトランスまたはシス立体配置に起因するレチノール[(2E,4E,6E,8E)−3,7−ジメチル−9−(2,6,6−トリメチルシクロヘキセ−1−エニル)ノナ−2,4,6,8−テトラエン−1−オール]、レチナールおよびレチノイン酸の異なる幾何異性体が挙げられる。ビタミンAの非限定例としては、レチノール、レチナール、レチノイン酸、レチノールの異性体、レチナールの異性体、レチノイン酸の異性体、トレチノイン、イソとレチノインおよびレチニルパルミテートが挙げられる。
【0072】
一実施形態では、本明細書中に開示される組成物は、グリコサミノグリカンポリマーの分解を低減するかまたは防止するのに十分な量で、酸化防止剤を含む。この実施形態の態様では、本明細書中に開示される組成物は、ポリオール、フラボノイド、フィトアレキシン、アスコルビン酸剤、トコフェロール、トコトリエノール、リポ酸、メラトニン、カロテノイド、その類似体または誘導体、あるいはその任意の組合せを含む。
【0073】
この実施形態の他の態様では、本明細書中に開示される組成物は、総組成物の重量の、例えば約0.01%、約 0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1.0%、約2.0%、約3.0%、約4.0%、約5.0%、約6.0%、約7.0%、約8.0%、約9.0%または約10%の量で、酸化防止剤を含む。さらに他の態様では、本明細書中に開示される組成物は、総組成物の重量の、例えば少なくとも0.1%、少なくとも0.2%、少なくとも0.3%、少なくとも0.4%、少なくとも0.5%、少なくとも0.6%、少なくとも0.7%、少なくとも0.8%、少なくとも0.9%、少なくとも1.0%、少なくとも2.0%、少なくとも3.0%、少なくとも4.0%、少なくとも5.0%、少なくとも6.0%、少なくとも7.0%、少なくとも8.0%、少なくとも9.0%または少なくとも10%の量で、酸化防止剤を含む。さらに他の態様では、本明細書中に開示される組成物は、総組成物の重量の、例えば、最大で0.1%、最大で0.2%、最大で0.3%、最大で0.4%、最大で0.5%、最大で0.6%、最大で0.7%、最大で0.8%、最大で0.9%、最大で1.0%、最大で2.0%、最大で3.0%、最大で4.0%、最大で5.0%、最大で6.0%、最大で7.0%、最大で8.0%、最大で9.0%または最大で10%の量で、酸化防止剤を含む。さらなる態様では、本明細書中に開示される組成物は、総組成物の重量の、例えば、約0.1%〜約0.5%、約0.1%〜約1.0%、約0.1%〜約2.0%、約0.1%〜約3.0%、約0.1%〜約4.0%、約0.1%〜約5.0%、約0.2%〜約0.9%、約0.2%〜約1.0%、約0.2%〜約2.0%、約0.5%〜約1.0%または約0.5%〜約2.0%の量で、酸化防止剤を含む。
【0074】
別の実施形態では、本明細書中に開示される組成物は、酸化防止剤を含まない。
【0075】
本明細書の態様は、一部は、血管収縮剤を任意に含み得る本明細書中に開示されるヒドロゲル組成物を提供する。本明細書中に開示される組成物中に含まれる血管収縮剤の量は、組成物の投与時または投与後に個人が経験する出血を低減し、停止し、および/または防止するために有効な量である。血管収縮剤の非限定例としては、α1受容体アゴニスト、例えば2−(1−ナフチルメチル)−2−イミダゾリン(ナファゾリン)、(R)−4−(1−ヒドロキシ−2−(メチルアミノ)エチル)ベンゼン−1,2−ジオール(エピネフリン)、2−アミノ−1−(2,5−ジメトキシフェニル)プロパン−1−オール(メトキサミン)、4−[(1R,2S)−2−アミノ−1−ヒドロキシプロピル]ベンゼン−1,2−ジオール(メチルノルエピネフリン)、4−[(1R)−2−アミノ−1−ヒドロキシエチル]ベンゼン−1,2−ジオール(ノルエピネフリン)、3−(4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール−2−イルメチル)−2,4−ジメチル−6−tert−ブチル−フェノール(オキシメタゾリン)、(R)−3−[−1−ヒドロキシ−2−(メチルアミノ)エチル]フェノール(フェニレフリンまたはネオ−シネフリン)、(R,R)−2−メチルアミノ−1−フェニルプロパン−1−オール(シュードエフェドリン)、4−[1−ヒドロキシ−2−(メチルアミノ)エチル]フェノール(シネフリンまたはオキセドリン)、2−[(2−シクロプロピルフェノキシ)メチル]−4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール(シラゾリン)、2−[(4−tert−ブチル−2,6−ジメチルフェニル)メチル]−4,5−ジヒドロ−1H−イミダゾール(キシロメタゾリン)、その類似体または誘導体、およびその任意の組合せが挙げられる。本明細書中に開示される組成物は、単一血管収縮剤または複数の血管収縮剤を含み得る。
【0076】
したがって、一実施形態では、本明細書中に開示される組成物は、血管収縮剤を含み得る。この実施形態の態様では、本明細書中に開示される組成物は、α1受容体アゴニストを含む。この実施形態の態様では、本明細書中に開示される組成物は、ナファゾリン、エピネフリン、メトキサミン、メチルノルエピネフリン、ノルエピネフリン、オキシメタゾリン、フェニレフリン、シュードエフェドリン、シネフリン、シラゾリン、キシロメタゾリン、その類似体または誘導体、あるいはその任意の組合せを含む。
【0077】
この実施形態の他の態様では、本明細書中に開示される組成物は、総組成物の重量の、例えば約0.001%、約0.01%、約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、 約0.9%、約1.0%、約2.0%、約3.0%、約4.0%、約5.0%、約6.0%、約7.0%、約8.0%、約9.0%または約10%の量で、血管収縮剤を含む。さらに他の態様では、本明細書中に開示される組成物は、総組成物の重量の、例えば、少なくとも0.1%、少なくとも0.2%、少なくとも0.3%、少なくとも0.4%、少なくとも0.5%、少なくとも0.6%、少なくとも0.7%、少なくとも0.8%、少なくとも0.9%、少なくとも1.0%、少なくとも2.0%、少なくとも3.0%、少なくとも4.0%、少なくとも5.0%、少なくとも6.0%、少なくとも7.0%、少なくとも8.0%、少なくとも9.0%または少なくとも10%の量で、血管収縮剤を含む。さらに他の態様では、本明細書中に開示される組成物は、総組成物の重量の、例えば最大で0.1%、最大で0.2%、最大で0.3%、最大で0.4%、最大で0.5%、最大で0.6%、最大で0.7%、最大で0.8%、最大で0.9%、最大で1.0%、最大で2.0%、最大で3.0%、最大で4.0%、最大で5.0%、最大で6.0%、最大で7.0%、最大で8.0%、最大で9.0%または最大で10%の量で、血管収縮剤を含む。さらなる態様では、本明細書中に開示される組成物は、総組成物の重量の、例えば約0.1%〜約0.5%、約0.1%〜約1.0%、約0.1%〜約2.0%、約0.1%〜約3.0%、約0.1%〜約4.0%、約0.1%〜約5.0%、約0.2%〜約0.9%、約0.2%〜約1.0%、約0.2%〜約2.0%、約0.5%〜約1.0%または約0.5%〜約2.0%の量で、血管収縮剤を含む。
【0078】
別の実施形態では、本明細書中に開示される組成物は、血管収縮剤を含まない。
【0079】
本明細書の態様は、一部は、抗出血剤を任意に含み得る本明細書中に開示されるヒドロゲル組成物を提供する。抗出血剤としては、止血剤および抗線維素溶解剤が挙げられる。止血剤は、血管破裂の場合の出血を低減し、停止し、および/または防止するよう作用する分子である。止血剤の一クラスは、ビタミンKおよびその類似体または誘導体である。ビタミンKおよびその2−メチル−1,4−ナフトキノン誘導体は、ある種のタンパク質の翻訳後修飾に必要とされ、主に血液凝固のために必要とされるが、しかし骨およびその他の組織における代謝経路にも関与する親油性、疎水性ビタミンの一群である。細胞におけるビタミンKの機能は、タンパク質中のグルタメートをガンマ−カルボキシグルタメート(gla)に転化することである。抗線維素溶解剤は、血餅形成を促進するよう作用する分子である。抗線維素溶解剤としては、アミノカプロン酸(ε−アミノカプロン酸)およびトラネキサム酸が挙げられる。これらのリシン様薬剤は、プラスミノーゲン活性剤(主に、t−PAおよびu−PA)によりその前駆体プラスミノーゲンからの線維素溶解酵素プラスミンの形成を妨げる。これらの薬剤は、酵素またはプラスミノーゲンのリシン結合部位を可逆的に遮断し、したがって、プラスミン形成を停止し、それにより線維素溶解および血餅の分解を防止する。本明細書中に開示される組成物中に含まれる抗出血剤の量は、組成物の投与時または投与後に個人が経験する出血を低減し、停止し、および/または防止するために有効な量である。エタンシラート(ジシネン/ジシノン)は、別の止血剤である。抗出血剤の非限定例としては、止血剤、例えばキトサン、エタンシラート、デスモプレッシン、ビタミンKまたはビタミンK類似体、例えばビタミンK(フィロキノン、フィトメナジオンまたはフィトナジオン)、ビタミンK(メナキノンまたはメナテトレノン)、ビタミンK(メナジオン)、ビタミンK(メナジオール)、ビタミンK(4−アミノ−2−メフィル−1−ナフトール塩酸塩)、ビタミンK、ビタミンK、ビタミンK、ビタミンKおよびビタミンK10、抗線維素溶解剤、例えばアミノカプロン酸(ε−アミノカプロン酸)、トラネキサム酸、セルピン、例えばアプロチニン、α1−アンチトリプシン、C1−阻害剤、カモスタット、その類似体または誘導体、ならびにその任意の組合せが挙げられる。本明細書中に開示される組成物は、単一抗出血剤または複数の抗出血剤を含み得る。
【0080】
したがって、一実施形態では、本明細書中に開示される組成物は抗出血剤を含む。この実施形態の態様では、本明細書中に開示される組成物は、止血剤または抗線維素溶解剤を含む。この実施形態の態様では、本明細書中に開示される組成物は、ビタミンKまたはビタミンK類似体、例えばビタミンK、ビタミンK、ビタミンK、ビタミンK、ビタミンK、ビタミンK、ビタミンK、ビタミンK、ビタミンKおよびビタミンK10、ε−アミノカプロン酸、トラネキサム酸、セルピン、例えばアプロチニン、α1−アンチトリプシン、C1−阻害剤、カモスタット、その類似体または誘導体、ならびにその任意の組合せを含む。
【0081】
この実施形態の他の態様では、本明細書中に開示される組成物は、総組成物の重量の、例えば約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1.0%、約2.0%、約3.0%、約4.0%、約5.0%、約6.0%、約7.0%、約8.0%、約9.0%または約10%量で、抗出血剤を含む。さらに他の態様では、本明細書中に開示される組成物は、総組成物の重量の、例えば少なくとも0.1%、少なくとも0.2%、少なくとも0.3%、少なくとも0.4%、少なくとも0.5%、少なくとも0.6%、少なくとも0.7%、少なくとも0.8%、少なくとも0.9%、少なくとも1.0%、少なくとも2.0%、少なくとも3.0%、少なくとも4.0%、少なくとも5.0%、少なくとも6.0%、少なくとも7.0%、少なくとも8.0%、少なくとも9.0%または少なくとも10%の量で、抗出血剤を含む。さらに他の態様では、本明細書中に開示される組成物は、総組成物の重量の、例えば最大で0.1%、最大で0.2%、最大で0.3%、最大で0.4%、最大で0.5%、最大で0.6%、最大で0.7%、最大で0.8%、最大で0.9%、最大で1.0%、最大で2.0%、最大で3.0%、最大で4.0%、最大で5.0%、最大で6.0%、最大で7.0%、最大で8.0%、最大で9.0%または最大で10%の量で、抗出血剤を含む。さらなる態様では、本明細書中に開示される組成物は、総組成物の重量の、例えば約0.1%〜約0.5%、約0.1%〜約1.0%、約0.1%〜約2.0%、約0.1%〜約3.0%、約0.1%〜約4.0%、約0.1%〜約5.0%、約0.2%〜約0.9%、約0.2%〜約1.0%、約0.2%〜約2.0%、約0.5%〜約1.0%または約0.5%〜約2.0%の量で、抗出血剤を含む。
【0082】
別の実施形態では、本明細書中に開示される組成物は、抗出血剤を含まない。
【0083】
本明細書の態様は、一部は、抗掻痒剤を任意に含み得る本明細書中に開示されるヒドロゲル組成物を提供する。本明細書中に開示される組成物中に含まれる抗掻痒剤の量は、組成物の投与時に個人が経験する掻痒応答を緩和するために有効な量である。抗掻痒剤の非限定例としては、メチルスルホニルメタン、重炭酸ナトリウム、カラミン、アラントイン、カオリン、ペパーミント、ティーツリーオイル、樟脳、メントール、ヒドロコルチゾン、その類似体または誘導体、ならびにその任意の組合せが挙げられる。本明細書中に開示される組成物は、単一抗掻痒剤または複数の抗掻痒剤を含み得る。
【0084】
したがって、一実施形態では、本明細書中に開示される組成物は、抗掻痒剤を含む。この実施形態の態様では、本明細書中に開示される組成物は、メチルスルホニルメタン、重炭酸ナトリウム、カラミン、アラントイン、カオリン、ペパーミント、ティーツリーオイル、樟脳、メントール、ヒドロコルチゾン、その類似体または誘導体、ならびにその任意の組合せを含む。
【0085】
この実施形態の他の態様では、本明細書中に開示される組成物は、総組成物の重量の、例えば約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1.0%、約2.0%、約3.0%、約4.0%、約5.0%、約6.0%、約7.0%、約8.0%、約9.0%または約10%の量で、抗掻痒剤を含む。さらに他の態様では、本明細書中に開示される組成物は、総組成物の重量の、例えば少なくとも0.1%、少なくとも0.2%、少なくとも0.3%、少なくとも0.4%、少なくとも0.5%、少なくとも0.6%、少なくとも0.7%、少なくとも0.8%、少なくとも0.9%、少なくとも1.0%、少なくとも2.0%、少なくとも3.0%、少なくとも4.0%、少なくとも5.0%、少なくとも6.0%、少なくとも7.0%、少なくとも8.0%、少なくとも9.0%または少なくとも10%の量で、抗掻痒剤を含む。さらに他の態様では、本明細書中に開示される組成物は、総組成物の重量の、例えば最大で0.1%、最大で0.2%、最大で0.3%、最大で0.4%、最大で0.5%、最大で0.6%、最大で0.7%、最大で0.8%、最大で0.9%、最大で1.0%、最大で2.0%、最大で3.0%、最大で4.0%、最大で5.0%、最大で6.0%、最大で7.0%、最大で8.0%、最大で9.0%または最大で10%の量で、抗掻痒剤を含む。さらなる態様では、本明細書中に開示される組成物は、総組成物の重量の、例えば約0.1%〜約0.5%、約0.1%〜約1.0%、約0.1%〜約2.0%、約0.1%〜約3.0%、約0.1%〜約4.0%、約0.1%〜約5.0%、約0.2%〜約0.9%、約0.2%〜約1.0%、約0.2%〜約2.0%、約0.5%〜約1.0%または約0.5%〜約2.0%の量で、抗掻痒剤を含む。
【0086】
別の実施形態では、本明細書中に開示される組成物は、抗掻痒剤を含まない。
【0087】
本明細書の態様は、一部は、抗セルライト剤を任意に含み得る本明細書中に開示されるヒドロゲル組成物を提供する。本明細書中に開示される組成物中に含まれる抗セルライト剤の量は、組成物の投与時に個人が経験する脂肪沈着を緩和するために有効な量である。抗セルライト剤の非限定例としては、フォルスコリン、キサンチン化合物、例えばカフェイン、テオフィリン、テオブロミンおよびアミノフィリン(これらに限定されない)、その類似体または誘導体、ならびにその任意の組合せが挙げられる。本明細書中に開示される組成物は、単一抗セルライト剤または複数の抗セルライト剤を含み得る。
【0088】
したがって、一実施形態では、本明細書中に開示される組成物は抗セルライト剤を含む。この実施形態の態様では、本明細書中に開示される組成物は、フォルスコリン、キサンチン化合物、その類似体または誘導体、あるいはその任意の組合せを含む。
【0089】
この実施形態の他の態様では、本明細書中に開示される組成物は、総組成物の重量の、例えば約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1.0%、約2.0%、約3.0%、約4.0%、約5.0%、約6.0%、約7.0%、約8.0%、約9.0%または約10%の量で、抗セルライト剤を含む。さらに他の態様では、本明細書中に開示される組成物は、総組成物の重量の、例えば少なくとも0.1%、少なくとも0.2%、少なくとも0.3%、少なくとも0.4%、少なくとも0.5%、少なくとも0.6%、少なくとも0.7%、少なくとも0.8%、少なくとも0.9%、少なくとも1.0%、少なくとも2.0%、少なくとも3.0%、少なくとも4.0%、少なくとも5.0%、少なくとも6.0%、少なくとも7.0%、少なくとも8.0%、少なくとも9.0%または少なくとも10%の量で、抗セルライト剤を含む。さらに他の態様では、本明細書中に開示される組成物は、総組成物の重量の、例えば最大で0.1%、最大で0.2%、最大で0.3%、最大で0.4%、最大で0.5%、最大で0.6%、最大で0.7%、最大で0.8%、最大で0.9%、最大で1.0%、最大で2.0%、最大で3.0%、最大で4.0%、最大で5.0%、最大で6.0%、最大で7.0%、最大で8.0%、最大で9.0%または最大で10%の量で、抗セルライト剤を含む。さらなる態様では、本明細書中に開示される組成物は、総組成物の重量の、例えば約0.1%〜約0.5%、約0.1%〜約1.0%、約0.1%〜約2.0%、約0.1%〜約3.0%、約0.1%〜約4.0%、約0.1%〜約5.0%、約0.2%〜約0.9%、約0.2%〜約1.0%、約0.2%〜約2.0%、約0.5%〜約1.0%または約0.5%〜約2.0%の量で、抗セルライト剤を含む。
【0090】
別の実施形態では、本明細書中に開示される組成物は抗セルライト剤を含まない。
【0091】
本明細書の態様は、一部は、抗瘢痕形成剤を任意に含み得る本明細書中に開示されるヒドロゲル組成物を提供する。本明細書中に開示される組成物中に含まれる抗瘢痕形成剤の量は、組成物の投与時に個人が経験する瘢痕形成応答を緩和するために有効な量である。抗瘢痕形成剤の非限定例としては、IFN−γ、フルオロウラシル、ポリ(乳酸−コ−グリコール酸)、メチル化ポリエチレングリコール、ポリ乳酸、ポリエチレングリコール、その類似体または誘導体、ならびにその任意の組合せが挙げられる。本明細書中に開示される組成物は、単一抗瘢痕形成剤または複数の抗瘢痕形成剤を含み得る。
【0092】
したがって、一実施形態では、本明細書中に開示される組成物は抗瘢痕形成剤を含む。この実施形態の態様では、本明細書中に開示される組成物は、IFN−γ、フルオロウラシル、ポリ(乳酸−コ−グリコール酸)、メチル化ポリエチレングリコール、ポリ乳酸、ポリエチレングリコール、その類似体または誘導体、あるいはその任意の組合せを含む。
【0093】
この実施形態の他の態様では、本明細書中に開示される組成物は、総組成物の重量の、例えば約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1.0%、約2.0%、約3.0%、約4.0%、約5.0%、約6.0%、約7.0%、約8.0%、約9.0%または約10%の量で、抗瘢痕形成剤を含む。さらに他の態様では、本明細書中に開示される組成物は、総組成物の重量の、例えば少なくとも0.1%、少なくとも0.2%、少なくとも0.3%、少なくとも0.4%、少なくとも0.5%、少なくとも0.6%、少なくとも0.7%、少なくとも0.8%、少なくとも0.9%、少なくとも1.0%、少なくとも2.0%、少なくとも3.0%、少なくとも4.0%、少なくとも5.0%、少なくとも6.0%、少なくとも7.0%、少なくとも8.0%、少なくとも9.0%または少なくとも10%の量で、抗瘢痕形成剤を含む。さらに他の態様では、本明細書中に開示される組成物は、総組成物の重量の、例えば最大で0.1%、最大で0.2%、最大で0.3%、最大で0.4%、最大で0.5%、最大で0.6%、最大で0.7%、最大で0.8%、最大で0.9%、最大で1.0%、最大で2.0%、最大で3.0%、最大で4.0%、最大で5.0%、最大で6.0%、最大で7.0%、最大で8.0%、最大で9.0%または最大で10%の量で、抗瘢痕形成剤を含む。さらなる態様では、本明細書中に開示される組成物は、総組成物の重量の、例えば約0.1%〜約0.5%、約0.1%〜約1.0%、約0.1%〜約2.0%、約0.1%〜約3.0%、約0.1%〜約4.0%、約0.1%〜約5.0%、約0.2%〜約0.9%、約0.2%〜約1.0%、約0.2%〜約2.0%、約0.5%〜約1.0%または約0.5%〜約2.0%の量で、抗瘢痕形成剤を含む。
【0094】
別の実施形態では、本明細書中に開示される組成物は抗瘢痕形成剤を含まない。
【0095】
本明細書の態様は、一部は、抗炎症剤を任意に含み得る本明細書中に開示されるヒドロゲル組成物を提供する。本明細書中に開示される組成物中に含まれる抗炎症剤の量は、組成物の投与時に個人が経験する炎症および/または刺激応答を緩和するために有効な量である。抗炎症剤の非限定例としては、デキサメタゾン、プレドニソロン、コルチコステロン、ブデソニド、エストロゲン、スルファサラジン、メサラミン、セチリジン、ジフェンヒドラミン、アンチピリン、メチルサリチレート、ロラタジン、チモール(2−イソプロピル−5−メチルフェノール)、カルバクロール(5−イソプロピル−2−メチルフェノール)、ビサボロール(6−メチル−2−(4−メチルシクロヘキセ−3−エニル)ヘプト−5−エン−2−オール)、アラントイン、オイカリプトール、フェナゾン(アンチピリン)、プロピフェナゾンが挙げられ、そして非ステロイド系抗炎症剤(NSAID)としては、限定せずに、プロピオン酸誘導体、例えばイブプロフェン、ナプロキセン、フェノプロフェン、ケトプロフェン、フルルビプロフェンおよびオキサプロジン;酢酸誘導体、例えばインドメタシン、スリンダク、エトドラク、ケトロラク、ジクロフェナクおよびナブメトン;エノール酸(オキシカム)誘導体、例えばピロキシカム、メロキシカム、テノキシカム、ドロキシカム、ロルノキシカム、イソキシカム;フェナム酸誘導体、例えばメフェナム酸、メクロフェナム酸、フルフェナム酸およびトルフェナム酸;ならびに選択的COX−2阻害剤(コキシブ)、例えばセレコキシブ、ロフェコキシブ、バルデコキシブ、パレコキシブ、ルミラコキシブ、エトリコキシブおよびフィロコキシブ、その類似体または誘導体、ならびにその任意の組合せが挙げられる。本明細書中に開示される組成物は、単一抗炎症剤または複数の抗炎症剤を含み得る。
【0096】
したがって、一実施形態では、本明細書中に開示される組成物は抗炎症剤を含む。この実施形態の態様では、本明細書中に開示される組成物は、デキサメタゾン、プレドニソロン、コルチコステロン、ブデソニド、エストロゲン、スルファサラジン、メサラミン、セチリジン、ジフェンヒドラミン、アンチピリン、メチルサリチレート、ロラタジン、チモール(2−イソプロピル−5−メチルフェノール)、カルバクロール(5−イソプロピル−2−メチルフェノール)、ビサボロール(6−メチル−2−(4−メチルシクロヘキセ−3−エニル)ヘプト−5−エン−2−オール)、アラントイン、オイカリプトール、フェナゾン(アンチピリン)、プロピフェナゾン、NSAID、その類似体または誘導体、あるいはその任意の組合せを含む。
【0097】
この実施形態の他の態様では、本明細書中に開示される組成物は、総組成物の重量の、例えば少なくとも約0.001%、少なくとも約0.01%、約0.1%、約0.2%、約0.3%、約0.4%、約0.5%、約0.6%、約0.7%、約0.8%、約0.9%、約1.0%、約2.0%、約3.0%、約4.0%、約5.0%、約6.0%、約7.0%、約8.0%、約9.0%または約10%の量で、抗炎症剤を含む。さらに他の態様では、本明細書中に開示される組成物は、総組成物の重量の、例えば少なくとも0.1%、少なくとも0.2%、少なくとも0.3%、少なくとも0.4%、少なくとも0.5%、少なくとも0.6%、少なくとも0.7%、少なくとも0.8%、少なくとも0.9%、少なくとも1.0%、少なくとも2.0%、少なくとも3.0%、少なくとも4.0%、少なくとも5.0%、少なくとも6.0%、少なくとも7.0%、少なくとも8.0%、少なくとも9.0%または少なくとも10%の量で、抗炎症剤を含む。さらに他の態様では、本明細書中に開示される組成物は、総組成物の重量の、例えば最大で0.1%、最大で0.2%、最大で0.3%、最大で0.4%、最大で0.5%、最大で0.6%、最大で0.7%、最大で0.8%、最大で0.9%、最大で1.0%、最大で2.0%、最大で3.0%、最大で4.0%、最大で5.0%、最大で6.0%、最大で7.0%、最大で8.0%、最大で9.0%または最大で10%の量で、抗炎症剤を含む。さらなる態様では、本明細書中に開示される組成物は、総組成物の重量の、例えば約0.1%〜約0.5%、約0.1%〜約1.0%、約0.1%〜約2.0%、約0.1%〜約3.0%、約0.1%〜約4.0%、約0.1%〜約5.0%、約0.2%〜約0.9%、約0.2%〜約1.0%、約0.2%〜約2.0%、約0.5%〜約1.0%または約0.5%〜約2.0%の量で、抗炎症剤を含む。
【0098】
別の実施形態では、本明細書中に開示される組成物は抗炎症剤を含まない。
【0099】
本明細書の態様は、一部は、複素弾性率、弾性率、粘性率および/またはタンジェントデルタ(tan δ)を示す本明細書中に開示されるヒドロゲル組成物を提供する。本明細書中に開示される組成物は、力が適用された(応力、変形)場合、弾性構成成分(固体様、例えば架橋グリコサミノグリカンポリマー)および粘性構成成分(液体様、例えば非架橋グリコサミノグリカンポリマーまたは担体相)を有するという点で、粘弾性である。この特性を説明する流動学的属性は複素弾性率(G)であり、これは、変形に対する組成物の総抵抗を定義する。複素弾性率は、実数および虚数部分を有する複合数値である:G=G’+iG”。Gの絶対値は、Abs(G)=Sqrt(G’+G”)である。複素弾性率は、弾性率(G’)および粘性率(G”)の和であると定義される(Falcone, et al., Temporary Polysaccharide Dermal Fillers: A Model for Persistence Based on Physical Properties, Dermatol Surg. 35(8): 1238-1243 (2009);Tezel、上記、2008;Kablik、上記、2009;Beasley、上記、2009;これらの記載内容は各々、参照により本明細書中で援用される)。
【0100】
弾性率または弾性の係数は、変形に抵抗するヒドロゲル材料の能力、あるいは逆に、力がそれに適用された場合に非恒久的に変形される対象の傾向を指す。弾性率は、組成物の堅さを特性化し、そしてそれが組成物の動きからのエネルギーの貯蔵を説明するため、貯蔵弾性率としても知られる。弾性率は、弾性および強度間の相互作用を説明し(G’=応力/歪み)、したがって、組成物の硬度または柔軟度の定量的測定値を提供する。物体の弾性率は、弾性変形領域におけるその応力−歪み曲線の勾配と定義される:λ=応力/歪み(ここで、λは弾性率(パスカルの単位)であり;応力は、変形を引き起こす力を力が適用される面積で割った値であり;そして歪みは、応力により引き起こされる変化対対象の元の状態に対する比である)。力が適用される速度に左右されるが、堅い組成物ほどより高い弾性率を有し、例えば注入のように、材料を所定の距離に変形するためにはより大きな力を要する。方向を含めて応力が測定されるべき方法を具体的に記述により、多数の型の弾性率が定義され得る。3つの主な弾性率は、引張り弾性率、剪断弾性率および体積弾性率である。
【0101】
粘性率は、粘性消散として失われるエネルギーを記述するため、損失弾性率としても知られている。tanδは、粘性率と弾性率の比である:tanδ=G”/G’(Falcone、上記、2009)。本明細書中に開示されるtanδ値に関しては,tanδは、1Hzの周波数での動的弾性率から得られる.tanδが低いほど、組成物はより堅く、より硬く、またはより弾性である。
【0102】
別の実施形態では、本明細書中に開示される組成物は、ある弾性率を示す。この実施形態の態様では、ヒドロゲル組成物は、例えば約25Pa、約50Pa、約75Pa、約100Pa、約125Pa、約150Pa、約175Pa、約200Pa、約250Pa、約300Pa、約350Pa、約400Pa、約450Pa、約500Pa、約550Pa、約600Pa、約650Pa、約700Pa、約750Pa、約800Pa、約850Pa、約900Pa、約950Pa、約1,000Pa、約1,200Pa、約1,300Pa、約1,400Pa、約1,500Pa、約1,600Pa、約1700Pa、約1800Pa、約1900Pa、約2,000Pa、約2,100Pa、約2,200Pa、約2,300Pa、約2,400Paまたは約2,500Paの弾性率を示す。この実施形態の他の態様では、ヒドロゲル組成物は、例えば少なくとも25Pa、少なくとも50Pa、少なくとも75Pa、少なくとも100Pa、少なくとも125Pa、少なくとも150Pa、少なくとも175Pa、少なくとも200Pa、少なくとも250Pa、少なくとも300Pa、少なくとも350Pa、少なくとも400Pa、少なくとも450Pa、少なくとも500Pa、少なくとも550Pa、少なくとも600Pa、少なくとも650Pa、少なくとも700Pa、少なくとも750Pa、少なくとも800Pa、少なくとも850Pa、少なくとも900Pa、少なくとも950Pa、少なくとも1,000Pa、少なくとも1,200Pa、少なくとも1,300Pa、少なくとも1,400Pa、少なくとも1,500Pa、少なくとも1,600Pa、少なくとも1700Pa、少なくとも1800Pa、少なくとも1900Pa、少なくとも2,000Pa、少なくとも2,100Pa、少なくとも2,200Pa、少なくとも2,300Pa、少なくとも2,400Paまたは少なくとも2,500Paの弾性率を示す。この実施形態のさらに他の態様では、ヒドロゲル組成物は、例えば最大で25Pa、最大で50Pa、最大で75Pa、最大で100Pa、最大で125Pa、最大で150Pa、最大で175Pa、最大で200Pa、最大で250Pa、最大で300Pa、最大で350Pa、最大で400Pa、最大で450Pa、最大で500Pa、最大で550Pa、最大で600Pa、最大で650Pa、最大で700Pa、最大で750Pa、最大で800Pa、最大で850Pa、最大で900Pa、最大で950Pa、最大で1,000Pa、最大で1,200Pa、最大で1,300Pa、最大で1,400Pa、最大で1,500Paまたは最大で1,600Paの弾性率を示す。この実施形態のさらに他の態様では、ヒドロゲル組成物は、例えば約25Pa〜約150Pa、約25Pa〜約300Pa、約25Pa〜約500Pa、約25Pa〜約800Pa、約125Pa〜約300Pa、約125Pa〜約500Pa、約125Pa〜約800Pa、約500Pa〜約1,600Pa、約600Pa〜約1,600Pa、約700Pa〜約1,600Pa、約800Pa〜約1,600Pa、約900Pa〜約1,600Pa、約1,000Pa〜約1,600Pa、約1,100Pa〜約1,600Pa、約1,200Pa〜約1,600Pa、約500Pa〜約2,500Pa、約1,000Pa〜約2,500Pa、約1,500Pa〜約2,500Pa、約2,000Pa〜約2,500Pa、約1,300Pa〜約1,600Pa、約1,400Pa〜約1,700Pa、約1,500Pa〜約1,800Pa、約1,600Pa〜約1,900Pa、約1,700Pa〜約2,000Pa、約1,800Pa〜約2,100Pa、約1,900Pa〜約2,200Pa、約2,000Pa〜約2,300Pa、約2,100Pa〜約2,400Paまたは約2,200Pa〜約2,500Paの弾性率を示す。
【0103】
別の実施形態では、本明細書中に開示されるヒドロゲル組成物は、ある粘性率を示す。この実施形態の態様では、ヒドロゲル組成物は、例えば約10Pa、約20Pa、約30Pa、約40Pa、約50Pa、約60Pa、約70Pa、約80Pa、約90Pa、約100Pa、約150Pa、約200Pa、約250Pa、約300Pa、約350Pa、約400Pa、約450Pa、約500Pa、約550Pa、約600Pa、約650Paまたは約700Paの粘性率を示す。この実施形態の他の態様では、ヒドロゲル組成物は、例えば最大で10Pa、最大で20Pa、最大で30Pa、最大で40Pa、最大で50Pa、最大で60Pa、最大で70Pa、最大で80Pa、最大で90Pa、最大で100Pa、最大で150Pa、最大で200Pa、最大で250Pa、最大で300Pa、最大で350Pa、最大で400Pa、最大で450Pa、最大で500Pa、最大で550Pa、最大で600Pa、最大で650Paまたは最大で700Paの粘性率を示す。この実施形態のさらに他の態様では、ヒドロゲル組成物は、例えば約10Pa〜約30Pa、約10Pa〜約50Pa、約10Pa〜約100Pa、約10Pa〜約150Pa、約70Pa〜約100Pa、約50Pa〜約350Pa、約150Pa〜約450Pa、約250Pa〜約550Pa、約350Pa〜約700Pa、約50Pa〜約150Pa、約100Pa〜約200Pa、約150Pa〜約250Pa、約200Pa〜約300Pa、約250Pa〜約350Pa、約300Pa〜約400Pa、約350Pa〜約450Pa、約400Pa〜約500Pa、約450Pa〜約550Pa、約500Pa〜約600Pa、約550Pa〜約650Paまたは約600Pa〜約700Paの粘性率を示す。
【0104】
別の実施形態では、本明細書中に開示されるヒドロゲル組成物は、あるtanδを示す。この実施形態の態様では、ヒドロゲル組成物は、例えば約0.1、約0.2、約0.3、約0.4、約0.5、約0.6、約0.7、約0.8、約0.9、約1.0、約1.1、約1.2、約1.3、約1.4、約1.5、約1.6、約1.7、約1.8、約1.9、約2.0、約2.1、約2.2、約2.3、約2.4または約2.5のtanαを示す。この実施形態の他の態様では、ヒドロゲル組成物は、例えば最大で0.1、最大で0.2、最大で0.3、最大で0.4、最大で0.5、最大で0.6、最大で0.7、最大で0.8、最大で0.9、最大で1.0、最大で1.1、最大で1.2、最大で1.3、最大で1.4、最大で1.5、最大で1.6、最大で1.7、最大で1.8、最大で1.9、最大で2.0、最大で2.1、最大で2.2、最大で2.3、最大で2.4または最大で2.5のtanαを示す。この実施形態のさらに他の態様では、ヒドロゲル組成物は、例えば約0.1〜0.3、約0.3〜約0.5、約0.5〜約0.8、約1.1〜約1.4、約1.4〜約1.7、約0.3〜約0.6、約0.1〜約0.5、約0.5〜約0.9、約0.1〜約0.6、約0.1〜約1.0、約0.5〜約1.5、約1.0〜約2.0または約1.5〜約2.5のtanαを示す。
【0105】
本明細書の態様は、一部は、透明性および/または半透明性を有する本明細書中に開示されるヒドロゲル組成物を提供する。透明性(明瞭性または透明度とも呼ばれる)は、光が物質を通過し得る物理的特性であるが、一方、半透明性(半透明または半透明の)は、光が散乱的に通過し得るだけである。逆の特性は、不透明性である。透明物質は透き通っているが、一方、半透明物質はそれを通してはっきりと透けて見えない。本明細書中に開示される絹フィブロインヒドロゲルは、透明性および半透明性といったような光学的特性を示すことも、示さないこともあり得る。ある場合には、例えば表面の皮膚線の充填の場合、不透明ヒドロゲルを有することが有益であろう。他の場合、例えば眼を充填するためのレンズまたは「体液」の開発の場合、半透明ヒドロゲルを有することが有益であろう。これらの特性は、ヒドロゲル材料の構造的分布に影響を及ぼすことにより改質され得る。ヒドロゲルの光学特性を制御するために用いられる因子としては、ポリマー濃度、ゲル結晶性およびヒドロゲル均質性が挙げられるが、これらに限定されない。
【0106】
光が物質にぶつかると、それは、いくつかの異なる方法でそれと相互作用し得る。この相互作用は、光の性質(その波長、周波数、エネルギー等)および物質の性質によって決まる。光波は、反射および透過と屈折を伴う透過との何らかの組合せにより、対象と相互作用する。したがって、光学的に透明な物質は、それに当たる光の多くを透過させ、光はほとんど反射されない。光を透過させない物質は、光学的に不透明または単に不透明と呼ばれる。
【0107】
一実施形態では、本明細書中に開示されるヒドロゲル組成物は光学的に透明である。この実施形態の態様では、ヒドロゲル組成物は、例えば約75%の光、約80%の光、約85%の光、約90%の光、約95%の光または約100%の光を透過する。この実施形態の他の態様では、ヒドロゲル組成物は、例えば少なくとも75%の光、少なくとも80%の光、少なくとも85%の光、少なくとも90%の光または少なくとも95%の光を透過する。この実施形態のさらに他の態様では、ヒドロゲル組成物は、例えば約75%〜約100%の光、約80%〜約100%の光、約85%〜約100%の光、約90%〜約100%の光または約95%ないし約100%の光を透過する。
【0108】
別の実施形態では、本明細書中に開示されるヒドロゲル組成物は光学的に不透明である。この実施形態の態様では、ヒドロゲル組成物は、例えば約5%の光、約10%の光、約15%の光、約20%の光、約25%の光、約30%の光、約35%の光、約40%の光、約45%の光、約50%の光、約55%の光、約60%の光、約65%の光または約70%の光を透過する。この実施形態の他の態様では、ヒドロゲル組成物は、例えば最大で5%の光、最大で10%の光、最大で15%の光、最大で20%の光、最大で25%の光、最大で30%の光、最大で35%の光、最大で40%の光、最大で45%の光、最大で50%の光、最大で55%の光、最大で60%の光、最大で65%の光、最大で70%の光または最大で75%の光を透過する。この実施形態の他の態様では、ヒドロゲル組成物は、例えば約5%〜約15%、約5%〜約20%、約5%〜約25%、約5%〜約30%、約5%〜約35%、約5%〜約40%、約5%〜約45%、約5%〜約50%、約5%〜約55%、約5%〜約60%、約5%〜約65%、約5%〜約70%、約5%〜約75%、約15%〜約20%、約15%〜約25%、約15%〜約30%、約15%〜約35%、約15%〜約40%、約15%〜約45%、約15%〜約50%、約15%〜約55%、約15%〜約60%、約15%〜約65%、約15%〜約70%、約15%〜約75%、約25%〜約35%、約25%〜約40%、約25%〜約45%、約25%〜約50%、約25%〜約55%、約25%〜約60%、約25%〜約65%、約25%〜約70%または約25%〜約75%の光を透過する。
【0109】
一実施形態では、本明細書中に開示されるヒドロゲル組成物は光学的に半透明である。この実施形態の態様では、ヒドロゲル組成物は、例えば約75%の光、約80%の光、約85%の光、約90%の光、約95%の光または約100%の光を散乱的に透過する。この実施形態の他の態様では、ヒドロゲル組成物は、例えば少なくとも75%の光、少なくとも80%の光、少なくとも85%の光、少なくとも90%の光または少なくとも95%の光を散乱的に透過する。この実施形態のさらに他の態様では、ヒドロゲル組成物は、例えば約75%〜約100%の光、約80%〜約100%の光、約85%〜約100%の光、約90%〜約100%の光または約95%〜約100%の光を散乱的に透過する。
【0110】
本明細書中に開示されるヒドロゲル組成物は、ヒドロゲルを粒子に粉砕し、任意に、担体相、例えば水または生理食塩溶液と混合して、注射可能なまたは局所的物質、例えば溶液、油、ローション、ゲル、軟膏、クリーム、スラリー、軟膏剤またはペーストを生成することにより、さらに加工処理され得る。したがって、開示ヒドロゲル組成物は、単相または多相組成物であり得る。ヒドロゲルは、直径約10μm〜約1000μm、例えば約15μm〜約30μm、約50μm〜約75μm、約100μm〜約150μm、約200μm〜約300μm、約450μm〜約550μm、約600μm〜約700μm、約750μm〜約850μmまたは約900μm〜約1,000μmの粒子サイズに粉砕され得る。
【0111】
本明細書の態様は、一部は、注射可能である本明細書中に開示される組成物を提供する。本明細書中で用いる場合、「注射可能な」という用語は、微細な針を伴う注射用具を用いて個人の皮膚領域に組成物を投与するために必要な特性を有する物質を指す。本明細書中で用いる場合、「微細な針」という用語は、27ゲージまたはそれより小さい針を指す。本明細書中に開示される組成物の注射可能性は、上記のようなヒドロゲル粒子をある大きさに作製することにより成し遂げられ得る。
【0112】
この実施形態の態様では、本明細書中に開示されるヒドロゲル組成物は、微細な針を通して注射可能である。この実施形態の他の態様では、本明細書中に開示されるヒドロゲル組成物は、例えば約27ゲージ、約30ゲージまたは約32ゲージの針を通して注射可能である。この実施形態のさらに他の態様では、本明細書中に開示されるヒドロゲル組成物は、例えば22ゲージ以下、27ゲージ以下、30ゲージ以下または32ゲージ以下の針を通して注射可能である。この実施形態のさらに他の態様では、本明細書中に開示されるヒドロゲル組成物は、例えば約22ゲージ〜約35ゲージ、22ゲージ〜約34ゲージ、22ゲージ〜約33ゲージ、22ゲージ〜約32ゲージ、約22ゲージ〜約27ゲージまたは約27ゲージ〜約32ゲージの針を通して注射可能である。
【0113】
この実施形態の態様では、本明細書中に開示されるヒドロゲル組成物は、100mm/分の速度で、約60N、約55N、約50N、約45N、約40N、約35N、約30N、約25N、約20Nまたは約15Nの押出力で、注射され得る。この実施形態の他の態様では、本明細書中に開示されるヒドロゲル組成物は、約60N以下、約55N以下、約50N以下、約45N以下、約40N以下、約35N以下、約30N以下、約25N以下、約20N以下、約15N以下、約10N以下または約5N以下の押出力で、27ゲージ針を通して注射され得る。この実施形態のさらに他の態様では、本明細書中に開示されるヒドロゲル組成物は、約60N以下、約55N以下、約50N以下、約45N以下、約40N以下、約35N以下、約30N以下、約25N以下、約20N以下、約15N以下、約10N以下または約5N以下の押出力で、30ゲージ針を通して注射され得る。この実施形態のさらに他の態様では、本明細書中に開示されるヒドロゲル組成物は、約60N以下、約55N以下、約50N以下、約45N以下、約40N以下、約35N以下、約30N以下、約25N以下、約20N以下、約15N以下、約10N以下または約5N以下の押出力で、32ゲージ針を通して注射され得る。
【0114】
本明細書の態様は、一部は、凝集性(cohesivity)を示す本明細書中に開示されるヒドロゲル組成物を提供する。凝集性(凝集度、凝集吸引力、凝集力または圧縮力とも呼ばれる)は、分子を結びつけるよう作用する物質内の分子様物間の分子間吸引力により引き起こされる物質の物理学的特性である。凝集性は、グラム・力(gmf)で表される。凝集性は、他の因子の中でも特に、遊離グリコサミノグリカンポリマーの最初の分子量比、グリコサミノグリカンポリマーの架橋の程度、架橋後の残留遊離グリコサミノグリカンポリマーの量、ならびにヒドロゲル組成物のpHによる影響を受ける。組成物は、投与の部位に局在化されたままであるのに十分に凝集性であるべきである。さらに、ある種の用途においては、機械的負荷循環の事象では、組成物が、その形状を、したがってその機能を保持するためには十分な凝集性が重要である。したがって、一実施形態では、本明細書中に開示されるヒドロゲル組成物は、水と同等の凝集性を示す。さらに別の実施形態では、本明細書中に開示されるヒドロゲル組成物は、投与部位に局在化されたままであるのに十分な凝集性を示す。さらに別の実施形態では、本明細書中に開示されるヒドロゲル組成物は、その形状を保持するのに十分な凝集性を示す。さらなる実施形態では、本明細書中に開示されるヒドロゲル組成物は、その形状および機能を保持するために十分な凝集性を示す。
【0115】
本明細書の態様は、一部は、生理学的に許容可能な浸透圧を示す本明細書中に開示されるヒドロゲル組成物を提供する。本明細書中で用いる場合、「浸透圧」という用語は、溶液中の浸透活性溶質の濃度を指す。本明細書中で用いる場合、「生理学的に許容可能な浸透圧」という用語は、生きている生物体の正常機能と一致するかまたはその特徴を示す浸透圧を指す。したがって、本明細書中に開示されるヒドロゲル組成物の投与は、哺乳動物に投与される場合、長期または恒久的有害作用を実質的に有さない浸透圧を示す。浸透圧は、溶媒1リットル当たりの浸透活性溶質のオスモル(オスモル/LまたはOsm/L)で表される。浸透圧は、溶質のモル数ではなく浸透活性溶質粒子のモル数を測定するため、モル濃度とは異なる。溶液中で解離し得る化合物がある一方で、解離し得ない化合物もあるため、相違が生じる。溶液の浸透圧は、以下の式から算定され得る:オスモル/L=Σφη(式中、φは浸透係数であり、これは溶液の非理想性の程度を説明する;ηは、分子が解離する粒子(例えばイオン)の数である;ならびにCは、溶質のモル濃度である;そしてiは、特定の溶質がどれであるかを表す指数である)。本明細書中に開示されるヒドロゲル組成物の浸透圧は、溶液を測定する慣用的方法を用いて測定され得る。
【0116】
一実施形態では、本明細書中に開示されるヒドロゲル組成物は、生理学的に許容可能な浸透圧を示す。この実施形態の態様では、ヒドロゲル組成物は、例えば約100mOsm/L、約150mOsm/L、約200mOsm/L、約250mOsm/L、約300mOsm/L、約350mOsm/L、約400mOsm/L、約450mOsm/Lまたは約500mOsm/Lの浸透圧を示す。この実施形態の他の態様では、ヒドロゲル組成物は、例えば少なくとも100mOsm/L、少なくとも150mOsm/L、少なくとも200mOsm/L、少なくとも250mOsm/L、少なくとも300mOsm/L、少なくとも350mOsm/L、少なくとも400mOsm/L、少なくとも450mOsm/Lまたは少なくとも500mOsm/Lの浸透圧を示す。この実施形態のさらに他の態様では、ヒドロゲル組成物は、例えば最大で100mOsm/L、最大で150mOsm/L、最大で200mOsm/L、最大で250mOsm/L、最大で300mOsm/L、最大で350mOsm/L、最大で400mOsm/L、最大で450mOsm/Lまたは最大で500mOsm/Lの浸透圧を示す。この実施形態のさらに他の態様では、ヒドロゲル組成物は、例えば約100mOsm/L〜約500mOsm/L、約200mOsm/L〜約500mOsm/L、約200mOsm/L〜約400mOsm/L、約300mOsm/L〜約400mOsm/L、約270mOsm/L〜約390mOsm/L、約225mOsm/L〜約350mOsm/L、約250mOsm/L〜約325mOsm/L、約275mOsm/L〜約300mOsm/Lまたは約285mOsm/L〜約290mOsm/Lの浸透圧を示す。
【0117】
本明細書の態様は、一部は、生理学的に許容可能な浸透圧を示す本明細書中に開示されるヒドロゲル組成物を提供する。本明細書中で用いる場合、「浸透圧」という用語は、身体中の溶媒のキロ当たりの浸透活性溶質の濃度を指す。本明細書中で用いる場合、「生理学的に許容可能な浸透圧」という用語は、生きている生物体の正常機能と一致するかまたはその特徴を示す浸透圧を指す。したがって、本明細書中に開示されるヒドロゲル組成物の投与は、哺乳動物に投与される場合、長期または恒久的有害作用を実質的に有さない浸透圧を示す。浸透圧は、溶媒1キログラム当たりの浸透活性溶質のオスモル(オスモル/kgまたはOsm/kg)で表され、その溶液中に存在する全溶質のモル数の和と等しい。溶液の浸透圧は、浸透圧計を用いて測定され得る。現代の研究室で最も一般に用いられる計器は、氷点降下型浸透圧計である。この計器は、浸透圧増大に伴って溶液中で起こる氷点の変化(氷点降下型浸透圧計)、あるいは浸透圧増大に伴って溶液中で起こる蒸気圧の変化(蒸気圧降下型浸透圧計)を測定する。
【0118】
一実施形態では、本明細書中に開示されるヒドロゲル組成物は、生理学的に許容可能な浸透圧を示す。この実施形態の態様では、ヒドロゲル組成物は、例えば約100mOsm/kg、約150mOsm/kg、約200mOsm/kg、約250mOsm/kg、約300mOsm/kg、約350mOsm/kg、約400mOsm/kg、約450mOsm/kgまたは約500mOsm/kgの浸透圧を示す。この実施形態の他の態様では、ヒドロゲル組成物は、例えば少なくとも100mOsm/kg、少なくとも150mOsm/kg、少なくとも200mOsm/kg、少なくとも250mOsm/kg、少なくとも300mOsm/kg、少なくとも350mOsm/kg、少なくとも400mOsm/kg、少なくとも450mOsm/kgまたは少なくとも500mOsm/Lの浸透圧を示す。この実施形態のさらに他の態様では、ヒドロゲル組成物は、例えば最大で100mOsm/kg、最大で150mOsm/kg、最大で200mOsm/kg、最大で250mOsm/kg、最大で300mOsm/kg、最大で350mOsm/kg、最大で400mOsm/kg、最大で450mOsm/kgまたは最大で500mOsm/kgの浸透圧を示す。この実施形態のさらに他の態様では、ヒドロゲル組成物は、例えば約100mOsm/kg〜約500mOsm/kg、約200mOsm/kg〜約500mOsm/kg、約200mOsm/kg〜約400mOsm/kg、約300mOsm/kg〜約400mOsm/kg、約270mOsm/kg〜約390mOsm/kg、約225mOsm/kg〜約350mOsm/kg、約250mOsm/kg〜約325mOsm/kg、約275mOsm/kg〜約300mOsm/kgまたは約285mOsm/kg〜約290mOsm/kgの浸透圧を示す。
【0119】
本明細書の態様は、一部は、実質的安定性を示す本明細書中に開示されるヒドロゲル組成物を提供する。本明細書中で用いる場合、「安定性」または「安定な」という用語は、本明細書中に開示されるヒドロゲル組成物に言及する場合、個人への投与前に保存される間、任意の実質的または有意程度に劣化し、分解し、破壊する傾向がない組成物を指す。本明細書中で用いる場合、「実質的熱安定性」、「実質的に熱安定性の」、「オートクレーブ安定性の」または「上記滅菌安定性の」という用語は、本明細書中に開示されるような熱処理に付された場合に実質的に安定である本明細書中に開示されるヒドロゲル組成物を指す。
【0120】
本明細書中に開示されるヒドロゲル組成物の安定性は、ヒドロゲル組成物を、正常圧での、または圧力下(例えばオートクレーブ処理)で、熱処理、例えば蒸気滅菌に付すことにより確定され得る。好ましくは熱処理は、約1分〜約10分間、少なくとも約100℃の温度で実行される。本明細書中に開示されるヒドロゲル組成物の実質的安定性は、1)滅菌後の本明細書中に開示されるヒドロゲル組成物の押出力の変化(ΔF)を確定することにより(この場合、(特定添加物を有するヒドロゲル組成物の押出力)−(付加添加物を有さないヒドロゲル組成物の押出力)により測定して、2Nより低い押出力の変化が、実質的に安定なヒドロゲル組成物を示す);および/または2)滅菌後の本明細書中に開示されるヒドロゲル組成物の流動学的特性の変化を確定することにより(この場合、(添加物を有するゲル製剤のtanδ1Hz)−(添加物を有さないゲル製剤のtanδ1Hz)により測定して、0.1未満のtanδ1Hzの変化が、実質的に安定なヒドロゲル組成物を示す)、評価され得る。したがって、本明細書中に開示される実質的安定ヒドロゲル組成物は、滅菌後に以下の特質のうちの1つ以上を保持する:均質性、押出力、凝集性、ヒアルロナン濃度、作用物質(単数または複数)濃度、浸透圧、pH、または熱処理前にヒドロゲルにより所望されるその他の流動学的特質。
【0121】
一実施形態では、グリコサミノグリカンポリマーおよび本明細書中に開示される少なくとも1つの作用物質を含むヒドロゲル組成物は、本明細書中に開示される所望のヒドロゲル特性を維持する熱処理を用いて、加工処理される。この実施形態の態様では、グリコサミノグリカンポリマーおよび本明細書中に開示される少なくとも1つの作用物質を含むヒドロゲル組成物は、例えば約100℃、約105℃、約110℃、約115℃、約120℃、約125℃または約130℃の熱処理を用いて加工処理される。この実施形態の他の態様では、グリコサミノグリカンポリマーおよび本明細書中に開示される少なくとも1つの作用物質を含むヒドロゲル組成物は、例えば少なくとも100℃、少なくとも105℃、少なくとも110℃、少なくとも115℃、少なくとも120℃、少なくとも125℃または少なくとも130℃の熱処理を用いて加工処理される。この実施形態のさらに他の態様では、グリコサミノグリカンポリマーおよび本明細書中に開示される少なくとも1つの作用物質を含むヒドロゲル組成物は、例えば約100℃〜約120℃、約100℃〜約125℃、約100℃〜約130℃、約100℃〜約135℃、約110℃〜約120℃、約110℃〜約125℃、約110℃〜約130℃、約110℃〜約135℃、約120℃〜約125℃、約120℃〜約130℃、約120℃〜約135℃、約125℃〜約130℃または約125℃〜約135℃の熱処理を用いて加工処理される。
【0122】
本明細書中に開示されるヒドロゲル組成物の長期安定性は、ヒドロゲル組成物を、熱処理、例えば約45℃の環境で約60日間貯蔵に付すことにより確定され得る。本明細書中に開示されるヒドロゲル組成物の長期安定性は、1)45℃熱処理後のヒドロゲル組成物の透明度および色を査定することにより(透明および無色ヒドロゲル組成物は実質液に安定なヒドロゲル組成物を示す);2)45℃熱処理後の本明細書中に開示されるヒドロゲル組成物の押出力の変化(ΔF)を確定することにより(この場合、(45℃熱処理前の特定添加物を有するヒドロゲル組成物の押出力)−(45℃熱処理後の特定添加物を有するヒドロゲル組成物の押出力)により測定して、2Nより低い押出力の変化が、実質的に安定なヒドロゲル組成物を示す);および/または3)滅菌後の本明細書中に開示されるヒドロゲル組成物の流動学的特性の変化を確定することにより(この場合、(45℃熱処理前の特定添加物を有するゲル製剤のtanδ1Hz)−(45℃熱処理後の特定添加物を有するゲル製剤のtanδ1Hz)により測定して、0.1未満のtanδ1Hzの変化が、実質的に安定なヒドロゲル組成物を示す)、評価され得る。したがって、本明細書中に開示されるヒドロゲル組成物の長期安定性は、45℃熱処理後の以下の特質のうちの1つ以上の保持により評価される:透明度(透明性および半透明性)、均質性および凝集性。
【0123】
この実施形態の態様では、ヒドロゲル組成物は、例えば約3ヵ月、約6ヵ月、約9ヵ月、約12ヵ月、約15ヵ月、約18ヵ月、約21ヵ月、約24ヵ月、約27ヵ月、約30ヵ月、約33ヵ月または約36ヵ月の間、室温で実質的に安定である。この実施形態の他の態様では、ヒドロゲル組成物は、例えば少なくとも3ヵ月、少なくとも6ヵ月、少なくとも9ヵ月、少なくとも12ヵ月、少なくとも15ヵ月、少なくとも18ヵ月、少なくとも21ヵ月、少なくとも24ヵ月、少なくとも27ヵ月、少なくとも30ヵ月、少なくとも33ヵ月または少なくとも36ヵ月の間、室温で実質的に安定である。この実施形態の他の態様では、ヒドロゲル組成物は、例えば約3ヵ月〜約12ヵ月、約3ヵ月〜約18ヵ月、約3ヵ月〜約24ヵ月、約3ヵ月〜約30ヵ月、約3ヵ月〜約36ヵ月、約6ヵ月〜約12ヵ月、約6ヵ月〜約18ヵ月、約6ヵ月〜約24ヵ月、約6ヵ月〜約30ヵ月、約6ヵ月〜約36ヵ月、約9ヵ月〜約12ヵ月、約9ヵ月〜約18ヵ月、約9ヵ月〜約24ヵ月、約9ヵ月〜約30ヵ月、約9ヵ月〜約36ヵ月、約12ヵ月〜約18ヵ月、約12ヵ月〜約24ヵ月、約12ヵ月〜約30ヵ月、約12ヵ月〜約36ヵ月、約18ヵ月〜約24ヵ月、約18ヵ月〜約30ヵ月または約18ヵ月〜約36ヵ月の間、室温で実質的に安定である。
【0124】
本明細書の態様は、一部は、製薬上許容可能な組成物である本明細書中に開示されるヒドロゲル組成物を提供する。本明細書中で用いる場合、「製薬上許容可能な」という用語は、個人に投与された場合に有害な、アレルギー性の、またはその他の不都合な反応を生じない任意の分子実体または組成物を意味する。製薬上許容可能なヒドロゲル組成物は、医学的および獣医学的用途のために有用である。製薬上許容可能なヒドロゲル組成物は、単独で、あるいは他の補足的活性成分、作用物質、薬剤またはホルモンと組合せて、個人に投与され得る。
【0125】
本明細書の態様は、一部は、製薬上許容可能な賦形剤を含む本明細書中に開示されるヒドロゲル組成物を提供する。本明細書中で用いる場合、「薬理学的に許容可能な賦形剤」という用語は、「薬理学的賦形剤」または「賦形剤」と同義であり、哺乳動物に投与される場合に長期または恒久的有害作用を実質的に有さない任意の賦形剤を指し、そして例えば安定化剤、増嵩剤、凍結保護剤、溶解保護剤、添加物、ビヒクル、担体、希釈剤または補助剤のような化合物を包含する。賦形剤は、一般的に、活性成分と混合されるか、あるいは活性成分を希釈または封入させ、そして固体、半固体または液体物質であり得る。本明細書中に開示されるような薬学的組成物は、製薬上許容可能な組成物中への活性成分の加工処理を促す製薬上許容可能な1つ以上の賦形剤を含み得る、ということも想定される。任意の薬理学的に許容可能な賦形剤が活性成分と不適合性でない限り、製薬上許容可能な組成物中でのその使用が意図される。薬理学的に許容可能な賦形剤の非限定例は、例えばPharmaceutical Dosage Forms and Drug Delivery Systems (Howard C. Ansel et al., eds., Lippincott Williams & Wilkins Publishers, 7th ed. 1999);Remington: The Science and Practice of Pharmacy (Alfonso R. Gennaro ed., Lippincott, Williams & Wilkins, 20th ed. 2000);Goodman & Gilman's The Pharmacological Basis of Therapeutics (Joel G. Hardman et al., eds., McGraw-Hill Professional, 10th ed. 2001);およびHandbook of Pharmaceutical Excipients (Raymond C. Rowe et al., APhA Publications, 4th edition 2003)(これらの記載内容は各々、参照により本明細書中で援用される)に見出され得る。
【0126】
本明細書中に開示されるヒドロゲル組成物は、任意に、その他の製薬上許容可能な構成成分、例えば緩衝剤、防腐剤、等張化剤、塩、酸化防止剤、浸透圧調節剤、乳化剤、湿潤剤、甘味剤または風味剤等(これらに限定されない)を含み得る、ということもさらに想定される。
【0127】
製薬上許容可能な緩衝剤は、本明細書中に開示されるヒドロゲル組成物を調製するために用いられ得る緩衝剤であるが、但し、その結果生じる調製物は製薬上許容可能であることを条件とする。製薬上許容可能な緩衝剤の非限定例としては、酢酸塩緩衝剤、ホウ酸塩緩衝剤、クエン酸塩緩衝剤、中性緩衝化生理食塩水、リン酸塩緩衝剤およびリン酸塩緩衝化生理食塩水が挙げられる。任意の濃度の製薬上許容可能な緩衝剤が本明細書中に開示される薬学的組成物を処方するのに有用であり得るが、但し、治療的有効量の活性成分がこの有効濃度の緩衝剤を用いて回収されることを条件とする。生理学的に許容可能な緩衝剤の濃度の非限定例は、約0.lmM〜約900mMの範囲内である。製薬上許容可能な緩衝剤のpHは調整され得るが、但し、その結果生じる調製物は製薬上許容可能であることを条件とする。酸または塩基は、必要な場合、薬学的組成物のpHを調整するために用いられ得ることが理解される。任意の緩衝化pHレベルが薬学的組成物を処方するのに有用であり得るが、但し、この有効pHレベルを用いて、治療的有効量のマトリックスポリマー活性成分が回収されることを条件とする。生理学的に許容可能なpHの非限定例は、約pH5.0〜約pH8.5の範囲内である。例えば本明細書中に開示されるヒドロゲル組成物のpHは、約5.0〜約8.0、または約6.5〜約7.5、約7.0〜約7.4または約7.1〜約7.3であり得る。
【0128】
製薬上許容可能な防腐剤としては、ピロ亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、ブチル化ヒドロキシアニソールおよびブチル化ヒドロキシトルエンが挙げられるが、これらに限定されない。製薬上許容可能な防腐剤としては、塩化ベンズアルコニウム、クロロブタノール、チメロサール、酢酸フェニル水銀、硝酸フェニル水銀、安定化オキシクロロ組成物、例えばPURITE(登録商標)(Allergan, Inc. Irvine, CA)、ならびにキレート化剤、例えばDTPAまたはDTPA−ビスアミド、カルシウムDTPAおよびCaNaDTPA−ビスアミドが挙げられるが、これらに限定されない。
【0129】
本明細書中に開示されるヒドロゲル組成物に有用な製薬上許容可能な等張化剤としては、例えば塩化ナトリウムおよび塩化カリウムのような塩;ならびにグリセリンが挙げられるが、これらに限定されない。組成物は塩として提供され得、多数の酸、例えば塩酸、硫酸、酢酸、乳酸、酒石酸、リンゴ酸、コハク酸等(これらに限定されない)を用いて生成され得る。塩は、対応する遊離塩基形態より、水性または他のプロトン性溶媒中により可溶性である傾向を有する。製薬業界で既知のこれらのおよび他の物質が、本明細書中に開示されるヒドロゲル組成物中に含まれ得ることが理解される。薬理学的に許容可能な構成成分のその他の非限定例は、例えばAnsel、上記、(1999);Gennaro、上記、(2000);Hardman、上記、(2001);およびRowe、上記、(2003)(これらの記載内容は各々、参照により本明細書中で援用される)に見出され得る。
【0130】
本明細書の態様は、一部は、本明細書中に開示されるヒドロゲル組成物を投与することによる個人の柔組織症状の処置方法を提供する。本明細書中で用いる場合、「処置すること」という用語は、柔組織の不完全、欠損、疾患および/または障害により特徴付けられる柔組織症状の美容的または臨床的症候を個人において低減するかまたは排除すること;あるいは柔組織の不完全、欠損、疾患および/または障害により特徴付けられる症状の美容的または臨床的症候の開始を、個人において遅延するかまたは防止することを指す。例えば、「処置すること」という用語は、柔組織の欠損、疾患および/または障害により特徴付けられる症状の症候を、例えば少なくとも20%、少なくとも30%、少なくとも40%、少なくとも50%、少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%または少なくとも100%低減することを意味し得る。柔組織の欠損、疾患および/または障害により特徴付けられる症状を処置することにおける本明細書中に開示されるヒドロゲル組成物の有効性は、1つ以上の美容的、臨床的症候、および/またはその症状に関連した生理学的指標を観察することにより決定され得る。柔組織の欠損、疾患および/または障害の改善は、併用療法の必要性の低減によっても示され得る。当業者は、特定の柔組織の欠損、疾患および/または障害に関連した適切な症候または指標を知るであろうし、そして個人が、本明細書中に開示される化合物または組成物による処置のための候補であるか否かを確定する方法が分かるであろう。
【0131】
ヒドロゲル組成物は、個人に投与される。個人は、典型的には、任意の年齢、性別または人種のヒトである。典型的には、柔組織症状を処置するための従来の手法のための候補である任意の個人は、本明細書中に開示される方法のための候補である。老化皮膚の徴候を経験している対象は成人であるが、しかし早発性老化または処置に適したその他の皮膚症状(例えば瘢痕)を経験している対象も、本明細書中に開示されるヒドロゲル組成物で処置され得る。さらに、当該開示ヒドロゲル組成物および方法は、現行の柔組織移植技術では技術的に可能でないかまたは審美的に許容可能でない可能性がある身体の一部または領域の小/中程度の拡大、形状変化または輪郭変更を求めている個人に適用し得る。術前評価は、典型的には、当該手法のすべての関連する危険性および利益を開示する十分なインフォームド・コンセントのほかに、日常の病歴および身体検査を包含する。
【0132】
本明細書中に開示されるヒドロゲル組成物および方法は、柔組織症状を処置するのに有用である。柔組織症状としては、柔組織の不完全、欠損、疾患および/または障害が挙げられるが、これらに限定されない。柔組織症状の非限定例としては、乳房の不完全、欠損、疾患および/または障害、例えば乳房増大、乳房再構築、乳房固定、小乳房、胸郭形成不全、ポーランド症候群、被膜収縮および/または破裂のような移植片合併症のための欠損;顔面不完全、欠損、疾患および/または障害、例えば顔面増大、顔面再構築、メソセラピー、パリー・ロンベルグ症候群、深在性紅斑性狼瘡、皮膚のくぼみ、瘢痕、こけた頬、薄唇、鼻の不完全または欠損、眼窩後不完全または欠損、顔面の襞、線および/または皺、例えば眉間線、鼻唇線、口周囲線および/またはマリオネット線、および/または顔面のその他の輪郭変形部または不完全部;首の不完全、欠損、疾患および/または障害;皮膚の不完全、欠損、疾患および/または障害;その他の柔組織の不完全、欠損、疾患および/または障害、例えば上腕、前腕、手、肩、背中、胴体、例えば腹部、臀部、大腿部、下肢、例えばふくらはぎ、足部、例えば足底脂肪パッド、眼、生殖器、あるいはその他の身体の部分、領域または区域、あるいはこれらの身体の部分、領域または区域に影響を及ぼす疾患または障害;尿失禁、糞便失禁、他の型の失禁;ならびに逆流性食道炎(GERD)が挙げられる。本明細書中で用いる場合、「メソセラピー」という用語は、皮膚の非外科的美容的処置技法、例えば表皮、真皮−表皮接合部および/または真皮中に小多重液滴として投与される作用物質の表皮内、真皮内および/または皮下注射を指す。
【0133】
本明細書中に開示されるような方法のいずれかとともに用いられるヒドロゲル組成物の量は、典型的には、個人および/または医師により所望される変更および/または改善、所望される柔組織症状症候の低減および/または排除、所望される臨床的および/または美容的効果、ならびに処置されている身体の部分または領域に基づいて決定される。組成物投与の有効性は、以下の臨床的および/または美容的測定値のうちの1つ以上により明示され得る:柔組織形状の変更および/または改善、柔組織サイズの変更および/または改善、柔組織輪郭の変更および/または改善、組織機能の変更および/または改善、組織内部成長指示および/または新規コラーゲン沈着、組成物の生着持続、患者の満足度および/または生活の質の改善、ならびに移植可能な外来物質の使用減少。
【0134】
例えば、乳房増大手法に関しては、組成物および方法の有効性は、以下の臨床的および/または美容的測定値のうちの1つ以上により明示され得る:乳房サイズ増大、乳房形状変更、乳房輪郭変更、生着持続、被膜収縮の危険の低減、脂肪壊死嚢胞形成率の減少、患者の満足および/または生活の質の改善、ならびに乳房移植の使用減少。
【0135】
別の例として、顔面柔組織の処置における組成物および方法の有効性は、以下の臨床的および/または美容的測定値のうちの1つ以上により明示され得る:顔面特徴のサイズ、形状および/または輪郭の増大、例えば、口唇、頬または眼領域のサイズ、形状および/または輪郭の増大;顔面特徴のサイズ、形状および/または輪郭の変更、例えば口唇、頬または眼領域形状のサイズ、形状および/または輪郭の変更;皮膚の皺、襞または線の低減または排除;皮膚の皺、襞または線に対する抵抗性;皮膚の再水分補給;皮膚に対する弾性増大;皮膚の粗さの低減または排除;皮膚の張りの増大および/または改善;ストレッチラインまたはマークの低減または排除;皮膚の色調、つや、光沢および/または輝きの増大および/または改善;肌色の増大および/または改善、皮膚の血色の悪さの低減または排除;組成物の生着持続;副作用現象;患者の満足および/または生活の質の改善。
【0136】
さらに別の例として、尿失禁手法に関しては、括約筋支持のための組成物および方法の有効性は、以下の臨床的測定値のうちの1つ以上により明示され得る:失禁頻度の減少、生着持続、患者の満足および/または生活の質の改善、ならびに移植可能な外来充填剤の使用減少。
【0137】
この実施形態の態様では、投与されるヒドロゲル組成物の量は、例えば約0.01g、約0.05g、約0.1g、約0.5g、約1g、約5g、約10g、約20g、約30g、約40g、約50g、約60g、約70g、約80g、約90g、約100g、約150gまたは約200gである。この実施形態の他の態様では、投与されるヒドロゲル組成物の量は、例えば約0.01g〜約0.1g、約0.1g〜約1g、約1g〜約10g、約10g〜約100gまたは約50g〜約200gである。この実施形態のさらに他の態様では、投与されるヒドロゲル組成物の量は、例えば約0.01mL、約0.05mL、約0.1mL、約0.5mL、約1mL、約5mL、約10mL、約20mL、約30mL、約40mL、約50mL、約60mL、約70g、約80mL、約90mL、約100mL、約150mLまたは約200mLである。この実施形態の他の態様では、投与されるヒドロゲル組成物の量は、例えば約0.01mL〜約0.1mL、約0.1mL〜約1mL、約1mL〜約10mL、約10mL〜約100mLまたは約50mL〜約200mLである。
【0138】
処置の持続期間は、典型的には、個人および/または医師により所望される美容的および/または臨床的効果、ならびに処置されている身体の部分または領域に基づいて決定される。この実施形態の態様では、本明細書中に開示されるヒドロゲル組成物は、例えば約6ヵ月、約7ヵ月、約8ヵ月、約9ヵ月、約10ヵ月、約11ヵ月、約12ヵ月、約13ヵ月、約14ヵ月、約15ヵ月、約18ヵ月または約24ヵ月の間、柔組織症状を処置し得る。この実施形態の他の態様では、本明細書中に開示されるヒドロゲル組成物の投与は、例えば少なくとも6ヵ月、少なくとも7ヵ月、少なくとも8ヶ月、少なくとも9ヵ月、少なくとも10ヶ月、少なくとも11ヶ月、少なくとも12ヵ月、少なくとも13ヶ月、少なくとも14ヶ月、少なくとも15ヵ月、少なくとも18ヵ月または少なくとも24ヵ月の間、柔組織症状を処置し得る。この実施形態のさらなる態様では、本明細書中に開示さえるヒドロゲル組成物の投与は、例えば約6ヵ月〜約12ヵ月、約6ヵ月〜約15ヵ月、約6ヵ月〜約18ヵ月、約6ヵ月〜約21ヵ月、約6ヵ月〜約24ヵ月、約9ヵ月〜約12ヵ月、約9ヵ月〜約15ヵ月、約9ヵ月〜約18ヵ月、約9ヵ月〜約21ヵ月、約6ヵ月〜約24ヵ月、約12ヵ月〜約15ヵ月、約12ヵ月〜約18ヵ月、約12ヵ月〜約21ヵ月、約12ヵ月〜約24ヵ月、約15ヵ月〜約18ヵ月、約15ヵ月〜約21ヵ月、約15ヵ月〜約24ヵ月、約18ヵ月〜約21ヵ月、約18ヵ月〜約24ヵ月または約21ヵ月〜約24ヵ月の間、柔組織症状を処置し得る。
【0139】
本明細書の態様は、一部は、本明細書中に開示されるヒドロゲル組成物を投与することを提供する。本明細書中で用いる場合、「投与すること」という用語は、個人に本明細書中に開示される組成物を提供する任意の臨床的、療法的または実験的に有益な結果を生じる可能性のある送達機序を意味する。個人に組成物を投与するために用いられる実際の送達機序は、例えば皮膚症状の型、皮膚症状の位置、皮膚症状の原因、皮膚症状の重症度、所望の軽減程度、所望の軽減持続期間、用いられる特定の組成物、用いられる特定組成物の排出速度、用いられる特定組成物の薬動力学、用いられる特定組成物中に含まれる他の化合物の性質、特定投与経路、個人の特定の特質、病歴および危険因子、例えば年齢、体重、全身健康状態等、あるいはその任意の組合せ(これらに限定されない)といった因子を考慮にすることによって、当業者により決定され得る。この実施形態の一態様では、本明細書中に開示される組成物は、注射により個人の皮膚領域に投与される。
【0140】
個人患者へのヒドロゲル組成物の投与経路は、典型的には、個人および/または医師により所望される美容的および/または臨床的効果、ならびに処置されている身体の部分または領域に基づいて決定される。本明細書中に開示される組成物は、当業者に既知の任意の手段により、例えば注射針付き注射器、ピストル(例えば、ハイドロニューマチック圧縮ピストル)、カテーテルにより、局所的に、あるいは直接外科的埋込みにより、投与され得る。本明細書中に開示されるヒドロゲル組成物は、皮膚領域、例えば真皮領域または皮下組織領域に投与され得る。例えば、本明細書中に開示されるヒドロゲル組成物は、直径約0.26mm〜約0.4mm、長さ約4mm〜約14mmの針を用いて注射され得る。代替的には、針は、21〜32Gであり、そして約4mm〜約70mmの長さを有し得る。好ましくは、針は使い捨て針である。針は、注射器、カテーテルおよび/またはピストルと組合せられ得る。
【0141】
さらに、本明細書中に開示される組成物は、1回、あるいは複数回に亘って、投与され得る。結局、用いられる時機は、品質管理標準に従う。例えば、本明細書中に開示されるヒドロゲル組成物は、1回、あるいは数日または数週間の間隔を置いた期間で数回に亘って、投与され得る。例えば、個人は、1、2、3、4、5、6または7日毎に、あるいは1、2、3または4週間毎に、本明細書中に開示されるヒドロゲル組成物を投与され得る。個人への本明細書中に開示されるヒドロゲル組成物の投与は、月に1回または隔月ベースであり得るし、あるいは3、6、9または12ヶ月毎に投与され得る。
【0142】
乳房柔組織置換手法に関しては、投与経路としては、腋窩、乳輪周囲および/または炎症経路が挙げられる。代替的には、あるいはさらに、組成物は、経腋窩的内視鏡胸筋下アプローチを通して送達され得る。顔面柔組織置換手法に関しては、投与経路は、前頭、側頭、頬骨、眼周囲、下顎骨、口腔周囲または顎経路であり得る。尿失禁手法では、投与経路は、経尿道または尿道周囲経路を含み得る。代替的にはまたはさらに、投与は、順行性経路を介して送達され得る。本明細書中に開示される経路は、所望の臨床的効果を達成するための多重経路の使用を除外しない。
【0143】
本明細書の態様は、一部は、真皮領域を提供する。本明細書中で用いる場合、「真皮領域」という用語は、表皮−真皮接合部、表在性真皮(真皮乳頭領域)および深部真皮(網様領域)を含めた真皮を含む皮膚の領域を指す。皮膚は、3つの主要層、すなわち表皮(防水を提供し、感染に対するバリアとして役立つ)、真皮(皮膚の付属物のための場所として役立つ)、ならびに皮下組織(皮下脂肪層)で構成される。表皮は血管を含有せず、真皮からの拡散により栄養が提供される。表皮を造り上げる主な種類の細胞は、ケラチノサイト、メラノサイト、ランゲルハンス細胞およびメルケル細胞である。
【0144】
真皮は、結合組織からなり、応力および歪みから身体を守る表皮の下の皮膚の層である。真皮は、基底膜により表皮にしっかりと結合される。それは、触覚および温覚を提供する多数の機械的受容器/神経終末も保有する。それは、毛包、汗腺、皮脂腺、アポクリン腺、リンパ管および血管を含有する。真皮中の血管は栄養を提供し、そしてそれ自体の細胞から、ならびに表皮の基底層からの老廃物除去を提供する。真皮は、構造的に以下の2つの区域に分けられる:表皮に隣接する表在性区域(乳頭領域と呼ばれる)、および網様領域として既知の深部のより厚い区域。
【0145】
乳頭領域は、疎性輪紋状結合組織からなる。それは、表皮の方向に伸びる乳頭と呼ばれるその指様突起にちなんで命名されている。乳頭は、表皮と嵌合して、皮膚の2つの層の間の結合を強くする「でこぼこの」表面を真皮に提供する。網様領域は、乳頭状領域の深部に存在し、通常は乳頭領域よりもずっと厚い。それは、密な不規則結合組織からなり、その全体を作り上げる密な濃度のコラーゲン、弾性および網様繊維からその名を得ている。これらのタンパク質繊維は、強さ、伸展性および弾性というその特性を真皮に与える。毛根、皮脂腺、汗腺、受容器、爪および血管も、網様領域内に存在する。入れ墨のインクは真皮に保持される。妊娠線も真皮に位置する。
【0146】
皮下組織は、真皮の下に存在する。その目的は、皮膚の真皮領域をその下にある骨および筋肉に付着し、ならびにそれに血管および神経を供給することである。それは、疎性結合組織およびエラスチンからなる。主な細胞型は、繊維芽細胞、マクロファージおよび脂肪細胞である(皮下組織は、体脂肪の50%を含有する)。脂肪は、身体のための詰め物および絶縁体として役立つ。
【0147】
この実施形態の態様では、本明細書中に開示されるヒドロゲル組成物は、真皮領域または皮下組織領域への注射により、個人の皮膚領域に投与される。この実施形態の態様では、本明細書中に開示されるヒドロゲル組成物は、例えば表皮−真皮接合部領域、乳頭領域、網様領域またはその任意の組合せへの注射により、個人の真皮領域に投与される。
【0148】
本明細書の態様は、一部は、個人の柔組織症状の処置方法であって、個人の柔組織症状の部位に本明細書中に開示されるヒドロゲル組成物を投与し、組成物の投与は柔組織症状を改善して、それにより柔組織症状を処置するステップを包含する方法を開示する。この実施形態の態様では、柔組織症状は、乳房組織症状、顔面組織症状、首症状、皮膚症状、上腕症状、前腕症状、手症状、肩症状、背中症状、胴体、例えば腹部症状、臀部症状、大腿症状、下肢症状、例えばふくらはぎ症状、足症状、例えば足底脂肪パッド症状、眼症状、生殖器症状、あるいは別の身体の部分、領域または区域に作用する症状である。
【0149】
本明細書の他の態様は、一部は、皮膚の処置方法であって、本明細書中に開示されるヒドロゲル組成物を皮膚症状に罹患している個人に投与し、組成物の投与は皮膚症状を改善して、それにより皮膚症状を処置するステップを包含する方法を開示する。この実施形態の態様では、皮膚症状は、皮膚の脱水症であり、それを処置する方法であって、皮膚脱水症に罹患している個人に本明細書中に開示されるヒドロゲル組成物を投与し、組成物の投与は皮膚に水分を再補給して、それにより皮膚脱水症を処置することを包含する方法を開示する。この実施形態の別の態様では、皮膚の弾性の欠乏の処置方法が、皮膚の弾性の欠乏を蒙っている個人に本明細書中に開示されるヒドロゲル組成物を投与し、組成物の投与が皮膚の弾性を増大して、それにより皮膚の弾性欠乏を処置するステップを包含する。この実施形態のさらに別の態様では、皮膚の肌理の粗さを処置する方法が、皮膚の肌理の粗さを蒙っている個人に本明細書中に開示されるヒドロゲル組成物を投与し、組成物の投与が皮膚の肌理の粗さを低減して、それにより皮膚の肌理の粗さを処置するステップを包含する。この実施形態のさらに別の態様では、皮膚の張りの欠乏の処置方法が、皮膚の張りの欠乏を蒙っている個人に本明細書中に開示されるヒドロゲル組成物を投与し(この場合、組成物の投与が皮膚の張りを作る)、それにより皮膚の張りの欠乏を処理するステップを包含する。
【0150】
この実施形態のさらなる態様では、皮膚のストレッチラインまたはマークの処置方法が、皮膚のストレッチラインまたはマークに悩まされている個人に本明細書中に開示されるヒドロゲル組成物を投与し、組成物の投与は皮膚を低減するかまたは排除して、それにより皮膚のストレッチラインまたはマークを処置するステップを包含する。この実施形態の別の態様では、皮膚の肌色の悪さを処置する方法が、皮膚の肌色の悪さを蒙っている個人に本明細書中に開示されるヒドロゲル組成物を投与し、組成物の投与は皮膚の色調または輝きを増大して、それにより皮膚の肌色の悪さを処置するステップを包含する。この実施形態の別の態様では、皮膚の皺を処置する方法が、皮膚の皺を蒙っている個人に本明細書中に開示されるヒドロゲル組成物を投与し、組成物の投与は皮膚の皺を低減し、排除して、それにより皮膚の皺を処置するステップを包含する。この実施形態のさらに別の態様では、皮膚の皺を処置する方法が、本明細書中に開示されるヒドロゲル組成物を個人に投与し、組成物の投与が皮膚を皮膚の皺に対して抵抗性を持つものとして、それにより皮膚の皺を処置するステップを包含する。
【0151】
本発明の別の態様では、ヒアルロン酸(HA)、ならびに皺低減、酸化防止、止血、血管収縮、抗掻痒、抗炎症、および抗刺激成分からなる群から選択される少なくとも1つの追加の成分を含む安定皮膚充填製剤が提供され、ここで、皮膚充填製剤の安定性は、(a)約120℃〜約135℃での蒸気滅菌、ならびに(b)約45℃で約32日からなる群から選択される熱処理に皮膚充填製剤を付すことにより決定され、透明、均質および凝集性であるという皮膚充填剤特質のうちの1つ以上を熱処理後に実質的に保持し、そして熱処理後に皮膚充填製剤の実質的分解を伴わない。追加の成分は、ビタミンCまたはビタミンEであり得る。
【0152】
本発明のこの態様では、製剤は、少なくとも2年間、透明、均質および凝集性であるという皮膚充填剤特質のうちの1つ以上を室温で実質的に保持し、皮膚充填製剤の実質的分解を伴わないことにより確定されるように安定である。いくつかの実施形態では、製剤は少なくとも3年間安定である。
【0153】
追加の成分は、追加の構成成分を有さないHAゲル製剤と比較して、改善された流動学的特性を製剤に提供して、投与において必要とされる押出力より低くなる結果をもたらす。
【0154】
本発明のさらに別の態様では、患者の微細な線、皺、繊維芽細胞枯渇または瘢痕の処置方法であって、ヒアルロン酸(HA)、ならびに皺低減、酸化防止、止血、血管収縮、抗掻痒、抗炎症および抗刺激成分からなる群から選択される少なくとも1つの追加の成分を含む蒸気滅菌安定皮膚充填製剤の有効量を患者に投与するステップを包含する方法が提供され、前記製剤は透明、均質、単相、凝集性、安定であり、蒸気滅菌後に分解されず、微細な線、皺、繊維芽細胞枯渇または瘢痕の出現が減少される
【0155】
本発明のさらに別の態様では、患者の微細な線、皺、繊維芽細胞枯渇または瘢痕の処置方法であって、約1〜約40mg/gの架橋ヒアルロン酸(HA)、ならびに皺低減、酸化防止、止血、血管収縮、抗掻痒、抗炎症および抗刺激成分からなる群から選択される少なくとも1つの追加の成分を含む蒸気滅菌安定皮膚充填製剤の患者への局所注射のステップを包含する方法が提供され、前記製剤は透明、均質、凝集性、安定であり、蒸気滅菌後に分解されず、微細な線、皺、繊維芽細胞枯渇または瘢痕の出現が注射により減少される。
【0156】
本発明のさらなる一態様では、ヒアルロン酸、ならびにAA2Gおよびデクスパンテノールからなる群から選択される少なくとも1つの追加の成分を含む蒸気滅菌安定皮膚充填製剤であって、皮膚充填製剤の安定性が追加の成分の付加により有意に増大される製剤が提供される。
【実施例】
【0157】
以下の実施例は目下意図される代表的実施形態を例証するが、しかし、開示されるヒドロゲル組成物、ならびにこのようなヒドロゲル組成物を用いた柔組織増大の方法を限定するものではない。
【0158】
実施例1
ゲル凝集力の確定方法
この実施例は、HAベースのゲル組成物の凝集力を立証し、定量するために実施され得る試験を例証する。
【0159】
先ず、試験されるべき0.2gまたは0.4gのゲル組成物をガラス製注射器に入れる。次に、0.2g以上のリン酸塩緩衝液を注射器に付加し、混合物を約1時間、十分に混合して、均質混合物を得る。その後、均質化混合物を2000tr/分で5分間遠心分離して気泡を除去し、任意の粒子のデカンテーションをさせる。次いで、注射器を垂直位置に保持して、注射器と18G針を用いて一滴のエオシン着色剤をゲルの表面に沈着させる。10分後、染料はゲル全体に徐々に拡散した。
【0160】
ゲルの希釈、均質化およびデカンテーション後、相対的に低い凝集力のゲルは、相分離を示す(粒子を有さない上部希釈低粘性相と、裸眼または顕微鏡下で見えるデカント化粒子からなる下部相)。同一条件下で、高凝集性ゲルは実質的に相分離を示さず、染料は凝集性製剤中に分散するのを防止される。一方、相対的低凝集性ゲルは、明瞭な相分離を示す。
【0161】
実施例2
HAベースのゲル製剤押出可能性に及ぼす水溶性分子の作用
活性成分をHAベースのゲルマトリックス中に混入して、約130℃〜約135℃の温度で、約1分〜約10分間、蒸気滅菌によりオートクレーブ処理した。オートクレーブ処理後、ならびに室温で3年に相当する期間後に、ヒドロゲル特性、アスペクト(すなわち、色/透明性/均質性)および押出力を分析した。製剤はすべて、透明、均質、無色であって、オートクレーブ処理後ならびに3年に相当する時点で、許容可能な押出力特性を有した(表3)。これらの結果は、試験ゲルが分解を示さず、このことはゲルが安定で、当該成分の混入がヒドロゲルの特性および構造に影響を及ぼさなかったことを示した、ということを示す。

【表3】

【0162】
実施例3
HAベースのゲル製剤押出可能性および安定性に及ぼすビタミンC誘導体の作用
アスコルビン酸を、1%(w/w)の濃度で、HAベースのゲルマトリックス中に混入し、ゲルのpHを約7に調整して、次に、約130℃〜約135℃の温度で、約1分〜約10分間、蒸気滅菌によりオートクレーブ処理した。オートクレーブ処理前は透明で無色であったが、ゲルは、オートクレーブ処理後は、透明であるがしかし黄色になり、このことは、試験ゲルが分解されたことを示している。
【0163】
実施例4
HAベースのゲル製剤押出可能性および安定性に及ぼすビタミンC誘導体の作用
リン酸アスコルビルマグネシウム(MAP)を、0.6%(w/w)、1%(w/w)または2%(w/w)の濃度で、HAベースのゲルマトリックス中に混入し、ゲルのpHを約7に調整して、次に、実施例3と同様にオートクレーブ処理した。オートクレーブ処理の前および後の両方で、ゲルは透明で無色であった。押出力および分解の両方を用いて、ゲルの流動学的特性を査定した。以下の方法に従って、制御応力流量計を用いて、時間の一関数として分解を測定した:0.8%(w/w)制御歪みでの0.05Hzから10Hzへの周波数掃引。
ΔTanδ 1Hz=(Tanδ 1Hz試験ゲル)−(Tanδ 1Hz対照ゲル)(式中、Tanδ 1Hzは、粘性率対弾性率の比である)。0.1未満のΔTanδ 1Hzは検出可能な分解が存在しないことを実証しており、これは、試験ゲルが安定であったことを示す。流動学的分析は、試験ゲルが許容可能な押出力特性を有するが、しかし試験ゲルはオートクレーブ処理後に分解を示し、このことはゲルが不安定であることを示す、ということを示した(表4)。
【表4】

【0164】
実施例5
HAベースのゲル製剤押出可能性および安定性に及ぼすビタミンC誘導体の作用
リン酸アスコルビルナトリウム(SAP)を、0.6%(w/w)、1%(w/w)または2%(w/w)の濃度で、HAベースのゲルマトリックス中に混入し、ゲルのpHを約7に調整して、次に、実施例3と同様にオートクレーブ処理した。オートクレーブ処理の前および後の両方で、ゲルは透明で無色であった。流動学的分析は、試験ゲルが許容可能な押出力特性を有し、そして試験ゲルは対照に比して分解を示さず、これはゲルが安定であったことを示している、ということを示した(表5)。
【表5】

【0165】
実施例6
HAベースのゲル製剤の押出可能性および安定性に及ぼすビタミンC誘導体の作用
アスコルビン酸2−グルコシド(AA2G(商標))を、0.6%(w/w)、1%(w/w)または2%(w/w)の濃度で、HAベースのゲルマトリックス中に混入し、ゲルのpHを約7に調整して、次に、実施例3と同様にオートクレーブ処理した。オートクレーブ処理の前および後の両方で、ゲルは透明で無色であった。流動学的分析は、試験ゲルが許容可能な押出力特性を有し、そして試験ゲルは対照に比して分解を示さず、これはゲルが安定であったことを示している、ということを示した(表6)。試験ゲルの分解は、アスコルビン酸2−グルコシドの濃度が増大すると、減少したが、これは、アスコルビン酸2−グルコシド濃度が高いほどゲル安定性は増大する、ということを示す。
【表6】

【0166】
実施例7
HAベースのゲル製剤長期安定性に及ぼすビタミンC誘導体の作用
実施例6で調製した製剤を、45℃で32日間の保存寿命に関して試験して、いかなる添加物をも有さないHAベースのゲルマトリックスと比較した。試験期間後、ゲルは透明で無色であった。意外にも、流動学的分析は、アスコルビン酸2−グルコシド(AA2G(商標))を有する試験ゲルはすべて、試験期間中に分解を示さないだけでなく、これらのゲルは経時的安定性の増大も示す、ということを示した(表4からのΔTanδ 1Hz値を、表7からのΔTanδ 1Hz値と比較)。
【表7】


【0167】
実施例8
HAベースのゲル製剤の押出可能性および安定性に及ぼすビタミンE誘導体の作用
酢酸トコフェリルを、0.5%(w/w)または1.2%(w/w)の濃度で、HAベースのゲルマトリックス中に混入し、実施例3と同様にゲルをオートクレーブ処理した。オートクレーブ処理後、ゲルは不透明で白色であった。
【0168】
実施例9
HAベースのゲル製剤の押出可能性および安定性に及ぼすビタミンE誘導体の作用
リン酸トコフェリルナトリウム(STP)を、0.4%(w/w)または1.2%(w/w)の濃度で、HAベースのゲルマトリックス中に混入し、ゲルを実施例3と同様にオートクレーブ処理した。オートクレーブ処理後、ゲルは不透明で白色であった。
【0169】
実施例10
HAベースのゲル製剤の押出可能性および安定性に及ぼすビタミンE誘導体の作用
セバシン酸ポリオキシエタニル−α−トコフェリル 0.7%(w/w)を、HAベースのゲルマトリックス中に混入し、ゲルを実施例3と同様にオートクレーブ処理した。オートクレーブ処理後、ゲルは透明であったが、不均質であった。
【0170】
実施例11
HAベースのゲル製剤の押出可能性および安定性に及ぼすビタミンE誘導体の作用
トコフェロールポリエチレングリコール1000コハク塩(TPGS)を、1%(w/w)、3.5%(w/w)または7%(w/w)の濃度で、HAベースのゲルマトリックス中に混入し、ゲルを実施例3と同様にオートクレーブ処理した。オートクレーブ処理の前および後の両方で、ゲルは透明で無色であった。流動学的分析は、試験ゲルが許容可能な押出力特性を有し、そして試験ゲルは対照に比して分解を示さず、これはゲルが安定であったことを示している、ということを示した(表8)。
【表8】

【0171】
実施例12
HAベースのゲル製剤の押出可能性および安定性に及ぼすビタミンC誘導体、ビタミンE誘導体および麻酔剤の作用
リドカインを、0.3%(w/w)の濃度で、0.6%(w/w)アスコルビン酸2−グルコシド(AA2G(商標))または0.6%(w/w)アスコルビン酸2−グルコシド(AA2G(商標))および1.5%(w/w)TPGSを含むHAベースのゲルマトリックス中に混入し、ゲルを実施例3と同様にオートクレーブ処理した。オートクレーブ処理の前および後の両方で、ゲルは透明で無色であった。流動学的分析は、試験ゲルが許容可能な押出力特性を有し、そして試験ゲルは対照に比して分解を示さず、これはゲルが安定であったことを示している、ということを示した(表9)。
【表9】


【0172】
実施例13
HAベースのゲル製剤の長期安定性に及ぼすビタミンC誘導体、ビタミンE誘導体および麻酔剤の作用
実施例12で調製した製剤を、45℃で48日間の保存寿命に関して試験して、いかなる添加物をも有さないHAベースのゲルマトリックスと比較した。試験期間後、ゲルは透明で無色であった。意外にも、流動学的分析は、0.3%(w/w)リドカイン、ならびに0.6%(w/w)アスコルビン酸2−グルコシド(AA2G(商標))または0.6%(w/w)アスコルビン酸2−グルコシド(AA2G(商標))および1.5%(w/w)TPGSを含む試験ゲルが、試験期間中に分解を示さないだけでない、ということを示した(表10)。
【表10】


【0173】
押出力、pHおよび分解の安定性を、それぞれ図3、4および5に経時的に示す。HPLC分析(C18カラム;溶離液:リン酸ナトリウム緩衝液(pH2.2)、2−プロパノール10%、0.7ml/分;260nmで検出)は、オートクレーブ処理および3年保存寿命後の成分を確証した(図6)。
【0174】
実施例14
ビタミンC誘導体はコラーゲン合成を促進する
ヒト皮膚繊維芽細胞を、12ウェルプレート中で培養した。集密時に、100μLの各化合物:HAベースのゲルマトリックス+0.3%(w/w)リドカイン;HAベースのゲルマトリックス+0.3(w/w)リドカインおよび0.6%(w/w)アスコルビン酸2−グルコシド(AA2G(商標))を培養挿入物(多孔性 0.4μm)中に沈着させて、これをそれ自体、繊維芽細胞単層上に載せた。平行して、処理を伴わない対照を実施した。培養を72時間インキュベートして、各実験条件を三重反復実験で実行した。インキュベーション終了時に、顕微鏡観察およびMTT還元検定により、細胞生存度を立証した。ELISAキットを用いて、プロコラーゲンI分泌を測定した。0.3%(w/w)リドカインを含有するヒアルロン酸中の0.6%(w/w)アスコルビン酸2−グルコシド(AA2G(商標))の存在は、第3因子によるプロコラーゲン合成を増大し(+292%)、一方、0.3%(w/w)リドカインを有するゲルは、プロコラーゲン分泌の40%の増大を示した(図2参照)。
【0175】
実施例15
ビタミンC誘導体はHAベースのゲル製剤を酸化的分解から保護する
HAベースのゲルマトリックス酸化的分解に及ぼすアスコルビン酸2−グルコシド(AA2G(商標))の作用を試験した。フリーラジカルに対するHAベースのゲルマトリックスの抵抗性の試験を可能にするので、酸化試験を用いた。以下の方法に従って、制御応力流量計で測定される拡散ゲルの表面の1/7比のH2230%の付加により、フリーラジカルによる分解を、流量計(Haake Rheostress 600)でシミュレートした:35℃で3600s中の、0.8%制御歪みで1Hzの周波数。時間値は5Pa/sで得る。
【0176】
さらに、HAベースのゲルマトリックス+0.3(w/w)リドカインおよび0.6%(w/w)アスコルビン酸2−グルコシド(AA2G(商標))(15 800 s)対HAベースのゲルマトリックス+0.3%(w/w)リドカイン(4 942 s)に関する酸化防止特性の比較は、アスコルビン酸2−グルコシド(AA2G(商標))およびリドカインを含有するゲルが、フリーラジカル活性に関して、より安定である、ということを示した(図7)。アスコルビン酸2−グルコシド(AA2G(商標))は、第3因子による酸化的分解に対して保護した。
【0177】
実施例16
埋込み試験
0.6%(w/w)アスコルビン酸2−グルコシド(AA2G(商標))を含有するゲルを、ラットの深部真皮および皮下組織中に埋め込んだ。1週間目の組織学的評価は、すべての埋込み部位(試験および対照)における埋込み物周囲のいくつかの単核細胞(リンパ球および形質細胞)を示した。それらは、マクロファージも伴っていた。アスコルビン酸2−グルコシド(AA2G(商標))を含有するゲルは、低炎症性であるようであった。試験試料(AA2G(商標)を有するナトリウムHA)における刺激指数は、9.9で、これに比して対照(ナトリウムHAのみ)では12.3であった。表11は、1週間目、1ヶ月目および3ヶ月目の組織学的結果を示す。各埋込み時間に関する試験ゲルの刺激スコアは、対照より低い。

【表11】


【0178】
実施例17
HAベースのゲル製剤の押出可能性および安定性に及ぼす保湿剤の作用
デキサパンテノールを、1%(w/w)の濃度で、0.3%(w/w)リドカインを含有するHAベースのゲルマトリックス中に混入し、ゲルを実施例3と同様にオートクレーブ処理した。オートクレーブ処理の前および後の両方で、ゲルは透明で無色であった。流動学的分析は、試験ゲルが許容可能な押出力特性を有し、そして試験ゲルは対照に比して分解を示さず、これは試験ゲルが安定であったことを示している、ということを示した(表12)。
【表12】


【0179】
実施例18
HAベースのゲル製剤の長期安定性に及ぼす保湿剤の作用
実施例17で調製した製剤を、45℃で30日間の保存寿命に関して試験して、任意の添加物を有さないHAベースのゲルマトリックスと比較した。試験期間後、ゲルは透明で無色であった。意外にも、流動学的分析は、デキサパンテノールを有する試験ゲルが、試験期間中に分解を示さないだけでなく、これらのゲルは経時的安定性増大も示す、ということを示した(表12からのΔTanδ 1Hz値を、表13からのΔTanδ 1Hz値と比較)。
【表13】

【0180】
実施例19
HAベースのゲル製剤の押出可能性および安定性に及ぼす血管収縮剤の作用
重酒石酸エピネフリンを、10ppm(1ppmは約0.1mg/g)の濃度で、HAベースのゲルマトリックス中に混入し、ゲルを実施例3と同様にオートクレーブ処理した。オートクレーブ処理の前および後の両方で、ゲルは透明で無色であった。流動学的分析は、10ppm重酒石酸エピネフリンを含む試験ゲルが許容可能な押出力特性を有したが、試験ゲルはオートクレーブ処理後に分解を示し、これはゲルが不安定であったことを示している、ということを示した(表14)。
【表14】

【0181】
実施例20
HAベースのゲル製剤の押出可能性および安定性に及ぼす血管収縮剤および麻酔剤の作用
重酒石酸エピネフリンを、10ppmの濃度で、0.3%(w/w)リドカインを含むHAベースのゲルマトリックス中に混入し、ゲルを実施例3と同様にオートクレーブ処理した。オートクレーブ処理の前に得られたゲルは透明で無色であったが、オートクレーブ処理後に得られたゲルは透明であるが有色であった。流動学的分析は、試験ゲルが許容可能な押出力特性を有することを示した(表15)。
【表15】


【0182】
実施例21
HAベースのゲル製剤の長期安定性に及ぼす血管収縮剤および麻酔剤の作用
実施例20で調製した製剤を、45℃で60日間の保存寿命に関して試験して、任意の添加物を有さないHAベースのゲルマトリックスと比較した。試験期間後、ゲルは透明でわずかに有色であった。流動学的分析は、0.3%(w/w)リドカインおよび10ppm重酒石酸エピネフリンを有するゲルが、試験期間中に試験ゲルの分解を示し、これは、ゲルが経時的に不安定であったことを示す、ということを示した(表13からのΔTanδ 1Hz値を、表16からのΔTanδ 1Hz値と比較)。
【表16】

【0183】
実施例22
HAベースのゲル製剤の押出可能性および安定性に及ぼす血管収縮剤および酸化防止剤の作用
エピネフリンを、10ppmの濃度で、0.9(w/w)または4.5%(w/w)マンニトールを含むHAベースのゲルマトリックス中に混入し、ゲルを実施例3と同様にオートクレーブ処理した。4.5%(w/w)マンニトールを有するゲルはオートクレーブ処理の前および後に透明で無色であったが、一方、0.9%(w/w)マンニトールを有するゲルはわずかに有色であった。流動学的分析は、0.3%(w/w)リドカイン、10ppm重酒石酸エピネフリン、ならびに0.9(w/w)または4.5%(w/w)マンニトールを有する試験ゲルが許容可能な押出力特性を有し、そして試験ゲルは対照に比して分解を示さなかったが、これはゲルが安定であったことを示している、ということを示した(表17)。
【表17】


【0184】
実施例23
HAベースのゲル製剤の長期安定性に及ぼす血管収縮剤および酸化防止剤の作用
実施例22で調製した製剤を、45℃で60日間の保存寿命に関して試験して、いかなる添加物をも有さないHAベースのゲルマトリックスと比較した。試験期間後、ゲルは透明でわずかに有色であった。流動学的分析は、0.3%(w/w)リドカインおよび10ppm重酒石酸エピネフリン、ならびに0.9(w/w)または4.5%(w/w)マンニトールを有するゲルが、試験期間中に分解を示さず、これは、ゲルが経時的に安定であったことを示す、ということを示した(表18)。4.5%(w/w)マンニトールを有するゲルは、経時的により安定であった(表17からのΔTanδ 1Hz値を、表18からのΔTanδ 1Hz値と比較)。
【表18】

【0185】
実施例24
HAベースのゲル製剤の押出可能性および安定性に及ぼす血管収縮剤、酸化防止剤および麻酔剤の作用
重酒石酸エピネフリンを、20ppmの濃度で、0.3%(w/w)リドカインおよび4.5%(w/w)マンニトールを含むHAベースのゲルマトリックス中に混入し、ゲルを実施例3と同様にオートクレーブ処理した。ゲルはオートクレーブ処理前には透明で無色であったが、しかしオートクレーブ処理後はわずかに有色であった。流動学的分析は、20ppm重酒石酸エピネフリン、0.3%(w/w)リドカインおよび4.5%(w/w)マンニトールを有する試験ゲルが許容可能な押出力特性を有し、そして試験ゲルは対照に比して分解を示さなかったが、これはゲルが安定であったことを示している、ということを示した(表19)。
【表19】

【0186】
実施例25
HAベースのゲル製剤の長期安定性に及ぼす血管収縮剤、酸化防止剤および麻酔剤の作用
実施例24で調製した製剤を、45℃で60日間の保存寿命に関して試験して、いかなる添加物をも有さないHAベースのゲルマトリックスと比較した。試験期間後、ゲルは透明でわずかに有色であった。流動学的分析は、20ppm重酒石酸エピネフリン、0.3%(w/w)リドカインおよび4.5%(w/w)マンニトールを有する試験ゲルが、試験期間中に試験ゲルの分解を示さなかった、ということを示した。
【表20】

【0187】
実施例26
HAベースのゲル製剤の押出可能性および安定性に及ぼす血管収縮剤および麻酔剤の作用
シネフリンを、100ppmの濃度で、0.3%(w/w)リドカインを含むHAベースのゲルマトリックス中に混入し、ゲルを実施例3と同様にオートクレーブ処理した。ゲルはオートクレーブ処理の前および後の両方で透明で無色であった。流動学的分析は、100ppmシネフリンおよび0.3%(w/w)リドカインを有する試験ゲルが許容可能な押出力特性を有し、そして試験ゲルは対照に比して分解を示さなかったが、これはゲルが安定であったことを示している、ということを示した(表21)。
【表21】

【0188】
実施例27
HAベースのゲル製剤の長期安定性に及ぼす血管収縮剤および麻酔剤の作用
実施例26で調製した製剤を、45℃で60日間の保存寿命に関して試験して、0.3%(w/w)リドカインを有するHAベースのゲルマトリックスと比較した。試験期間後、ゲルは透明で無色であった。流動学的分析は、100ppmシネフリンおよび0.3%(w/w)リドカインを有する試験ゲルが、試験期間中に分解を示さなかった、ということを示した。
【表22】

【0189】
実施例28
HAベースのゲル製剤の押出可能性および安定性に及ぼす血管収縮剤および麻酔剤の作用
フェニレフリンを、100ppmの濃度で、0.3%(w/w)リドカインを含むHAベースのゲルマトリックス中に混入し、ゲルを実施例3と同様にオートクレーブ処理した。ゲルはオートクレーブ処理の前および後の両方で透明で無色であった。流動学的分析は、100ppmフェニレフリンおよび0.3%(w/w)リドカインを有する試験ゲルが許容可能な押出力特性を有し、そして試験ゲルは対照に比して分解を示さなかったが、これはゲルが安定であったことを示している、ということを示した(表23)。
【表23】

【0190】
実施例29
HAベースのゲル製剤の長期安定性に及ぼす血管収縮剤および麻酔剤の作用
実施例28で調製した製剤を、45℃で60日間の保存寿命に関して試験して、0.3%(w/w)リドカインを有するHAベースのゲルマトリックスと比較した。試験期間後、ゲルは透明で無色であった。流動学的分析は、100ppmフェニレフリンおよび0.3%(w/w)リドカインを有する試験ゲルが、試験期間中に分解を示さなかった、ということを示した。
【表24】

【0191】
実施例30
HAベースのゲル製剤の押出可能性および安定性に及ぼす血管収縮剤および麻酔剤の作用
ナファゾリンを、100ppmの濃度で、0.3%(w/w)リドカインを含むHAベースのゲルマトリックス中に混入し、ゲルを実施例3と同様にオートクレーブ処理した。ゲルはオートクレーブ処理の前および後の両方で透明で無色であった。流動学的分析は、100ppmナファゾリンおよび0.3%(w/w)リドカインを有する試験ゲルが許容可能な押出力特性を有し、そして試験ゲルは対照に比して分解を示さなかったが、これはゲルが安定であったことを示している、ということを示した(表25)。
【表25】

【0192】
実施例31
HAベースのゲル製剤の長期安定性に及ぼす血管収縮剤および麻酔剤の作用
実施例30で調製した製剤を、45℃で60日間の保存寿命に関して試験して、0.3%(w/w)リドカインを有するHAベースのゲルマトリックスと比較した。試験期間後、ゲルは透明で無色であった。流動学的分析は、100ppmナファゾリンおよび0.3%(w/w)リドカインを有する試験ゲルが、試験期間中に分解を示さなかった、ということを示した。
【表26】

【0193】
実施例32
HAベースのゲル製剤の押出可能性および安定性に及ぼす抗出血剤および麻酔剤の作用
トラネキサム酸を、0.4%(w/w)の濃度で、0.3%(w/w)リドカインを含むHAベースのゲルマトリックス中に混入し、ゲルを実施例3と同様にオートクレーブ処理した。ゲルはオートクレーブ処理の前および後の両方で透明で無色であった。流動学的分析は、0.4%(w/w)トラネキサム酸および0.3%(w/w)リドカインを有する試験ゲルが許容可能な押出力特性を有し、そして試験ゲルは対照に比して分解を示さなかったが、これはゲルが安定であったことを示している、ということを示した(表27)。
【表27】

【0194】
実施例33
HAベースのゲル製剤の長期安定性に及ぼす抗出血剤および麻酔剤の作用
実施例32で調製した製剤を、45℃で60日間の保存寿命に関して試験して、0.3%(w/w)リドカインを有するHAベースのゲルマトリックスと比較した。試験期間後、ゲルは透明で無色であった。流動学的分析は、ゲルが試験期間中に安定である、ということを示した。
【表28】

【0195】
実施例34
皺の処置のための皮膚充填剤組成物の使用
この実施例は、皺を処置するための本明細書中に開示される組成物および方法の使用を例証する。
【0196】
37歳女性は、眼の周囲の微細な線ならびに口腔側面に深い皺を呈する。当該人物の術前評価には、手法に関連する危険および利益のすべてを開示する十分なインフォームドコンセントのほかに、日常の病歴および身体検査が含まれる。個人を評価する医師は、彼女が、本明細書中に開示される組成物および方法を用いる柔組織処置のための候補である、ということを決定する。本明細書中に開示されるようなヒドロゲル組成物、例えば実施例11、12、17、22、14、26、28、30および32の組成物のうちの1つを、患部領域の表在性筋系下に、週1回、3週間;約1.0mL〜約2.0mLの組成物を患部照合領域に、皮下投与する。次いで、個人を約7日間モニタリングする。医師は顔面領域を評価し、処置が成功した、と決定する。当該女性およびその医師はともに、彼女がより若く見えるようになったため、手法の結果に満足している。当該手法の約1ヵ月後に、女性は、生活の質が改善したことを示す。
【0197】
実施例35
皺の処置のための皮膚充填剤組成物の使用
この実施例は、皺を処置するための本明細書中に開示される組成物および方法の使用を例証する。
【0198】
59歳男性は、その眉毛の間ならびに鼻唇襞に皺を呈する。当該人物の術前評価には、手法に関連する危険および利益のすべてを開示する十分なインフォームドコンセントのほかに、日常の病歴および身体検査が含まれる。個人を評価する医師は、彼が、本明細書中に開示される組成物および方法を用いる柔組織処置のための候補である、ということを決定する。本明細書中に開示されるようなヒドロゲル組成物、例えば実施例11、12、17、22、24、26、28、30および32の組成物を、患部領域の表在性筋系下に、3ヶ月毎に1回;約1.5mL〜約3.0mLの組成物を各患部領域に、皮下投与する。次いで、個人を約7日間モニタリングする。医師は顔面領域を評価し、処置が成功した、と決定する。当該男性およびその医師はともに、彼がより若く見えるようになったため、手法の結果に満足している。当該手法の約1ヵ月後に、男性は、生活の質が改善したことを示す。
【0199】
実施例36
皺の処置のための皮膚充填剤組成物の使用
この実施例は、皺を処置するための本明細書中に開示される組成物および方法の使用を例証する。
【0200】
35歳女性は、額を横断する微細な線を呈する。当該人物の術前評価には、手法に関連する危険および利益のすべてを開示する十分なインフォームドコンセントのほかに、日常の病歴および身体検査が含まれる。個人を評価する師は、彼女が、本明細書中に開示される組成物および方法を用いる柔組織処置のための候補である、ということを決定する。本明細書中に開示されるようなヒドロゲル組成物、例えば実施例11、12、17、22、24、26、28、30および32の組成物を、患部領域の表在性筋系下に、週1回、2週間;約1.0mL〜約2.0mLの組成物を患部照合領域に、皮下投与する。次いで、個人を約7日間モニタリングする。医師は顔面領域を評価し、処置が成功した、と決定する。当該女性およびその医師はともに、彼女がより若く見えるようになったため、手法の結果に満足している。当該手法の約1ヵ月後に、女性は、生活の質が改善したことを示す。
【0201】
実施例37
皺の処置のための皮膚充填剤組成物の使用
この実施例は、皺を処置するための本明細書中に開示される組成物および方法の使用を例証する。
【0202】
44歳女性は、老化によるコラーゲンの損失に起因する右頬面の凹凸のある肌理を呈する。当該人物の術前評価には、手法に関連する危険および利益のすべてを開示する十分なインフォームドコンセントのほかに、日常の病歴および身体検査が含まれる。個人を評価する医師は、彼女が、本明細書中に開示される組成物および方法を用いる柔組織処置のための候補である、ということを決定する。本明細書中に開示されるようなヒドロゲル組成物、例えば実施例11、12、17、22、24、26、28、30および32の組成物を、患部領域の表在性筋系下に、週1回、3週間;約3.0mL〜約4.0mLの組成物を患部照合領域に、皮下投与する。次いで、個人を約7日間モニタリングする。医師は顔面領域を評価し、処置が成功した、と決定する。当該女性およびその医師はともに、彼女がより若く見えるようになったため、手法の結果に満足している。当該手法の約1ヵ月後に、女性は、生活の質が改善したことを示す。
【0203】
実施例38
皺の処置のための皮膚充填剤組成物の使用
この実施例は、皺を処置するための本明細書中に開示される組成物および方法の使用を例証する。
【0204】
62歳女性は、額を横断する、眼の側面の、そして鼻唇襞の皺を呈する。当該人物の術前評価には、手法に関連する危険および利益のすべてを開示する十分なインフォームドコンセントのほかに、日常の病歴および身体検査が含まれる。個人を評価する医師は、彼女が、本明細書中に開示される組成物および方法を用いる柔組織処置のための候補である、ということを決定する。本明細書中に開示されるようなヒドロゲル組成物、例えば実施例11、12、17、22、24、26、28、30および32の組成物を、患部領域の表在性筋系下に;約1.5mL〜約2.5mLの組成物を各患部領域に、皮下投与する。次いで、個人を約7日間モニタリングする。医師は顔面領域を評価し、処置が成功した、と決定する。当該女性およびその医師はともに、彼女がより若く見えるようになったため、手法の結果に満足している。当該手法の約1ヵ月後に、女性は、生活の質が改善したことを示す。
【0205】
実施例39
瘢痕の処置のための皮膚充填剤組成物の使用
この実施例は、瘢痕を処置するための本明細書中に開示される組成物および方法の使用を例証する。
【0206】
35歳男性は、その下顎を横断する深い瘢痕を呈する。当該人物の術前評価には、手法に関連する危険および利益のすべてを開示する十分なインフォームドコンセントのほかに、日常の病歴および身体検査が含まれる。個人を評価する医師は、彼が、本明細書中に開示される組成物および方法を用いる柔組織処置のための候補である、ということを決定する。本明細書中に開示されるようなヒドロゲル組成物、例えば実施例11、12、17、22、24、26、28、30および32の組成物を、患部領域の表在性筋系下に;約1.0mL〜約2.0mLの組成物を患部領域に、皮下投与する。次いで、個人を約7日間モニタリングする。医師は顔面領域を評価し、処置が成功した、と決定する。当該男性およびその医師はともに、彼がより若く見えるようになったため、手法の結果に満足している。当該手法の約1ヵ月後に、男性は、生活の質が改善したことを示す。
【0207】
実施例40
頬の顔面欠損の処置のための皮膚充填剤組成物の使用
この実施例は、頬の顔面欠損を処置するための本明細書中に開示される組成物および方法の使用を例証する。
【0208】
28歳女性は、痩せた顔面を呈する。頬の輪郭が余りふくよかでないため、彼女は顔が老けて、悲しげで、不機嫌に見えると感じた。当該人物の術前評価には、手法に関連する危険および利益のすべてを開示する十分なインフォームドコンセントのほかに、日常の病歴および身体検査が含まれる。個人を評価する医師は、彼女が、本明細書中に開示される組成物および方法を用いる柔組織処置のための候補である、ということを決定する。本明細書中に開示されるようなヒドロゲル組成物、例えば実施例11、12、17、22、24、26、28、30および32の組成物を、照合領域の表在性筋系下に;約15mLの組成物を左および右頬に、皮下投与する。次いで、個人を約7日間モニタリングする。医師は顔面領域を評価し、処置が成功した、と決定する。当該女性およびその医師はともに、彼女がより若く見えるようになったため、手法の結果に満足している。当該手法の約1ヵ月後に、女性は、生活の質が改善したことを示す。
【0209】
実施例41
眼瞼の顔面不完全の処置のための皮膚充填剤組成物の使用
この実施例は、眼瞼の顔面不完全を処置するための本明細書中に開示される組成物および方法の使用を例証する。
【0210】
37歳女性は、眼の落ちくぼみを呈し、この外観のために彼女は老けて険しく見える。当該人物の術前評価には、手法に関連する危険および利益のすべてを開示する十分なインフォームドコンセントのほかに、日常の病歴および身体検査が含まれる。個人を評価する医師は、彼女が、本明細書中に開示される組成物および方法を用いる柔組織処置のための候補である、ということを決定する。本明細書中に開示されるようなヒドロゲル組成物、例えば実施例11、12、17、22、24、26、28、30および32の組成物を、上眼瞼領域の表在性筋系下に;約2.5mLの組成物を左および右眼瞼領域に、皮下投与する。次いで、個人を約7日間モニタリングする。医師は眼瞼領域を評価し、処置が成功した、と決定する。当該女性およびその医師はともに、彼女がより若く見えるようになったため、手法の結果に満足している。当該手法の約1ヵ月後に、女性は、生活の質が改善したことを示す。
【0211】
実施例42
皺の処置のための皮膚充填剤組成物の使用
この実施例は、皺を処置するための本明細書中に開示される組成物および方法の使用を例証する。
【0212】
55歳女性は、眼および頬領域周囲の皺を呈する。当該人物の術前評価には、手法に関連する危険および利益のすべてを開示する十分なインフォームドコンセントのほかに、日常の病歴および身体検査が含まれる。個人を評価する医師は、彼女が、本明細書中に開示される組成物および方法を用いる柔組織処置のための候補である、ということを決定する。本明細書中に開示されるようなヒドロゲル組成物、例えば実施例11、12、17、22、24、26、28、30および32の組成物を、上眼瞼および頬領域の表在性筋系下に;約1.5mLの組成物を左および右眼瞼および頬領域に、皮下投与する。次いで、個人を約7日間モニタリングする。医師は顔面領域を評価し、処置が成功した、と決定する。当該女性およびその医師はともに、彼女がより若く見えるようになったため、手法の結果に満足している。当該手法の約1ヵ月後に、女性は、生活の質が改善したことを示す。
【0213】
実施例43
乳房欠損の処置のための皮膚充填剤組成物の使用
この実施例は、乳房欠損を処置するための本明細書中に開示される組成物および方法の使用を例証する。
【0214】
32歳女性は、彼女の乳房移植の医療部分が可視であり、これが彼女の胸骨の「骨性」外観を目立たせたという不満を呈する。さらに、彼女は乳房が離れすぎていると感じた。当該人物の術前評価には、手法に関連する危険および利益のすべてを開示する十分なインフォームドコンセントのほかに、日常の病歴および身体検査が含まれる。個人を評価する医師は、彼女が、本明細書中に開示される組成物および方法を用いる柔組織処置のための候補である、ということを決定する。本明細書中に開示されるようなヒドロゲル組成物、例えば実施例11、12、17、22、24、26、28、30および32の組成物を、外側胸骨および内側乳房全体に両側的に、右に15mL、左に10mLで、皮下投与する。組成物を涙様方式で投与して、表面積体容積比を増大する。次いで、個人を約7日間モニタリングする。医師は乳房を評価し、処置が成功したと決定する。当該女性およびその医師はともに、手法の結果に満足している。当該手法の約1ヵ月後に、女性は、生活の質が改善したことを示す。
【0215】
実施例44
乳房増大のための皮膚充填剤組成物の使用
この実施例は、乳房増大のための本明細書中に開示される組成物および方法の使用を例証する。
【0216】
28歳女性は、小乳房または乳房形成不全を呈する。当該人物の術前評価には、手法に関連する危険および利益のすべてを開示する十分なインフォームドコンセントのほかに、日常の病歴および身体検査が含まれる。個人を評価する医師は、彼女が、本明細書中に開示される組成物および方法を用いる柔組織処置のための候補である、ということを決定する。本明細書中に開示されるようなヒドロゲル組成物、例えば実施例11、12、17、22、24、26、28、30および32の組成物を、腋窩、乳輪周囲および乳房下経路を用いて両側に、右に90mLおよび左に145mLで、皮下投与する。組成物を涙様方式で投与して、表面積体容積比を増大する。次いで、個人を約7日間モニタリングする。医師は乳房を評価し、処置が成功したと決定する。当該女性およびその医師はともに、手法の結果に満足している。当該手法の約1ヵ月後に、女性は、生活の質が改善したことを示す。
【0217】
結びに際して、本明細書の態様を種々の実施形態に関して記載してきたが、開示された具体例は本明細書中に開示された対象物の原理の例証に過ぎないことを当業者は容易に認識する、と理解されるべきである。したがって、開示される対象物は、如何なる点でも、本明細書中に記載される特定の方法、プロトコールおよび/または試薬等に限定されない、と理解されるはずである。したがって、本明細書中の教示に従って、当業者は、本明細書の精神を逸脱せずに、開示対象物に対する多数のおよび種々の修正または変更をなし得るし、あるいはその代替的形状を作製し得る。添付の特許請求の範囲に定義されるような本発明の精神を逸脱せずに、変更が細部に亘ってなされ得る。最後に、本明細書中で用いられる用語は、特定の実施形態のみを説明するためのものであって、本発明の範囲を限定するものではなく、本発明は、特許請求の範囲によってのみ限定される。さらに、上記の説明に含入されるかまたは添付の図面に示される内容は、例証として解釈されるに過ぎず、限定的なものではない。したがって、本発明は、明確に、図示され、記述されるようなものに限定されない。
【0218】
本発明のある実施形態は、本発明を実行するために本発明人等に既知の最良の方式を含めて、本明細書中に記載される。もちろん、これらの記載された実施形態に関する変法は、前記の説明を読めば、当業者に明らかになる。本発明人は、当業者が適切な場合はこのような変法を用いることを予期するし、そして本発明人等は、本発明が本明細書中に具体的に記載されたものとは別の方法で実行されることを意図する。したがって、本発明は、適用可能な規則により許される場合、これに添付される特許請求の範囲に列挙される対象物のすべての修正物および等価物を包含する。さらに、本明細書中に別記しない限り、あるいはそうでない場合は、本文により明瞭に否定されない限り、そのすべての考え得る変法における上記の要素の任意の組合せが本発明に包含される。
【0219】
本明細書中に開示される本発明の代替的要素または実施形態の群分けは、限定的であると解釈されるべきでない。各群の成員は、個別に、あるいはその群の他の成員または本明細書中に見出される他の要素との任意の組合せで、言及され、特許請求され得る。便宜上、および/または特許可能性という理由のために、ある群の1つ以上の成員が、ある群に含まれるか、または削除され得ることが予期される。任意のこのような含入または削除が生じる場合、修正され、したがって添付の特許請求の範囲に用いられるすべてのマーカッシュ群の文面を満たすような群を含有すると考えられる。
【0220】
別記しない限り、本明細書および特許請求の範囲で用いられる成分、特性、例えば分子量、反応条件等の量を表す数値はすべて、「約」という用語によりすべての場合に修飾されていると理解されるべきである。本明細書中で用いる場合、「約」という用語は、そのように限定される項目、パラメーターまたは用語が、記述された項目、パラメーターまたは擁護の値を、プラスまたはマイナス10、好ましくは5、最も好ましくは1%上回るかまたは下回る範囲を包含する、ということを意味する。したがって、そうではないと示されない限り、明細書および添付の特許請求の範囲中に記述されるパラメーター数値は、本発明により得られるよう求められる所望の特性によって変わり得る近似値である。最低限、そして特許請求の範囲の範囲と等価の見解の適用を限定するものとしてではなく、各パラメーター数値は、少なくとも、報告される有効数字の数にかんがみて、そして普通の丸めの技術を適用することにより、解釈されるべきである。広範囲の発明を記述する数値範囲およびパラメーターが近似値であるにもかかわらず、具体的例において記述される数値はできるだけ正確に報告される。しかしながら、任意の数値は、必然的に、それらのそれぞれの試験測定値に見出される標準偏差に起因する一定の誤差を本来的に含有する。
【0221】
本発明を記述する文脈(特に、以下の特許請求の範囲の文脈で)で用いられる「1つの(a)」、「1つの(an)」、「その(the)」という用語、ならびに類似の指示用語は、本明細書中で別記しない限り、または文脈で明らかに否定されない限り、単数および複数の両方を包含すると解釈されるべきである。本明細書中の値の範囲の列挙は、単に、その範囲内にある各々の別個の値に個別に言及することの略記法として役立つよう意図される。別記しない限り、各々の個々の値は、それが本明細書中で個別に列挙されるかのように、明細書中に組入れられる。本明細書中で記述される方法はすべて、別記しない限り、または文脈により明白に否定されない限り、任意の適切な順序で実施され得る。本明細書中で提供される任意のおよびすべての例、または例示を示す表現(例えば「このような」)は、単に本発明をより良好に解明するためのものであって、別の状況で特許請求される本発明の範囲を限定するものではない。明細書中の表現は、いずれも本発明の実行に不可欠な任意の非特許請求要素を示すと解釈されるべきでない。
【0222】
本明細書中に開示される具体的実施形態は、〜からなる、または本質的に〜からなるという表現を用いて、特許請求の範囲でさらに限定され得る。特許請求の範囲で用いられる場合、出願された場合でも、補正により付加された場合でも、「〜からなる」という移行用語は、特許請求の範囲に明記されない任意の要素、ステップまたは成分を除外する。「本質的に〜からなる」という移行用語は、請求の範囲を特定物質またはステップに、そして基本的および新規の特質(単数または複数)に実質的に影響を及ぼさないものに限定する。そのように特許請求される本発明の実施形態は、本明細書中に本来的にまたは明白に記述され、可能にされる。
【0223】
本発明の明細書中で言及され、特定される特許、特許公開およびその他の出版物はすべて、例えば、本発明と結びつけて用いられ得るこのような出版物中に記述される組成物および方法を記述し、開示する目的のためにその記載内容が参照により本明細書で個別におよび明示的に援用される。これらの出版物は、本出願の出願日前に、それらの開示のために専ら提供されている。この点で、従来の発明に基づいて、あるいは任意の他の理由のために、このような開示に先行する資格を本発明人等が与えられないという認められた事実と解釈されるべきものは何もない。日付に関する陳述、またはこれらの文書の内容に関する表現はすべて、出願人等に利用可能な情報に基づいており、これらの文書の日付または内容の正確さに関して如何なる容認も与えない。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
架橋ヒアルロン酸ベースのポリマー、ならびに抗出血剤および/または血管収縮剤からなる群から選択される少なくとも1つの追加の作用物質を含むヒドロゲル組成物であって、オートクレーブ処理中に実質的に安定であり、かつ室温で少なくとも12ヶ月間、実質的に安定である組成物。
【請求項2】
前記抗出血剤が、ε−アミノカプロン酸、トラネキサム酸およびセルピンから選択される抗線維素溶解剤である、請求項1記載の組成物。
【請求項3】
前記抗線維素溶解剤が、総組成物の約0.1%(w/w)〜約1.0%(w/w)の量で存在するトラネキサム酸である、請求項2記載の組成物。
【請求項4】
前記血管収縮剤が、ナファゾリン、エピネフリン、メトキサミン、メチルノルエピネフリン、ノルエピネフリン、オキシメタゾリン、フェニレフリン、シュードエフェドリン、シネフリン、シラゾリン、キシロメタゾリン、その類似体または誘導体、あるいはその任意の組合せである、前記請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項5】
フェニレフリンが約0.001%(w/w)〜約0.1%(w/w)の濃度で存在する、請求項4記載の組成物。
【請求項6】
前記組成物がさらに麻酔剤を含む、前記請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項7】
前記麻酔剤が、総組成物の約0.1%(w/w)〜約1.0%(w/w)の量で存在するリドカインである、請求項6記載の組成物。
【請求項8】
前記組成物が酸化防止剤をさらに含む、前記請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項9】
前記酸化防止剤が、総組成物の約0.01%(w/w)〜約5%(w/w)の量で存在するマンニトールである、請求項8記載の組成物。
【請求項10】
前記組成物が室温で約24ヶ月〜約36ヶ月間、実質的に安定である、前記請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項11】
前記ヒアルロナンポリマーが約5mg/g〜約40mg/gの濃度で存在する、前記請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項12】
前記追加の作用物質がヒアルロナンベースのヒドロゲルに付加されている、前記請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項13】
前記ヒアルロナンポリマーが低分子量ヒアルロナンを含む、前記請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項14】
前記低分子量ヒアルロナンポリマーが300,000Daより大きく、約800,000Da未満の平均分子量を有する、請求項13記載の組成物。
【請求項15】
前記ヒアルロナンポリマーが高分子量ヒアルロナンを含む、前記請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項16】
前記高分子量ヒアルロナンポリマーが2,000,000Daより大きく、約5,000,000Da未満の平均分子量を有する、請求項15記載の組成物。
【請求項17】
前記ヒアルロナンポリマーが高分子量ヒアルロナンおよび低分子量ヒアルロナンの両方を含む、前記請求項のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項18】
前記高分子量ヒアルロナンが2,000,000Daより大きい分子量を有し、前記低分子量ヒアルロナンが1,000,000Da未満の分子量を有する、請求項17記載の組成物。
【請求項19】
皮膚の症状の処置を、それを必要とする個人において行う方法であって、前記個人の皮膚領域に前記請求項のいずれか一項に記載の組成物を投与するステップを包含し、前記投与が前記症状を改善することを包含する方法。
【請求項20】
前記皮膚症状が、身体の部分、領域または区域の増大、再構築、疾患、障害、欠損または不完全である、請求項19記載の方法。
【請求項21】
前記皮膚症状が、顔面増大、顔面再構築、顔面疾患、顔面障害、顔面欠損または顔面不完全である、請求項19記載の方法。
【請求項22】
前記皮膚症状が、皮膚脱水症、皮膚弾性の欠如、皮膚の肌理の粗さ、皮膚の張りの欠如、皮膚のストレッチラインまたはマーク、皮膚蒼白、皮膚のくぼみ、こけた頬、薄唇、後眼窩欠損、顔面の襞または皺である、請求項19記載の方法。
【請求項23】
前記皺が、眉間線、鼻唇線、口周囲線またはマリオネット線である、請求項25記載の方法。
【請求項24】
前記皮膚症状が、パリー・ロンベルグ症候群または紅斑性狼瘡である、請求項19記載の方法。
【請求項25】
ヒアルロン酸(HA)、ならびに皺低減、酸化防止、止血、血管収縮、抗掻痒、抗炎症、および抗刺激成分からなる群から選択される少なくとも1つの追加の成分を含む、安定皮膚充填剤。
【請求項26】
前記皮膚充填製剤の安定性が、(a)約120℃〜約135℃での蒸気滅菌、ならびに(b)約45℃で約32日からなる群から選択される熱処理に皮膚充填製剤を付すことにより決定される請求項25記載の皮膚充填製剤であって、透明、均質および凝集性であるという皮膚充填剤特質のうちの1つ以上を熱処理後に実質的に保持し、そして熱処理後に皮膚充填製剤の実質的分解を伴わない製剤。
【請求項27】
前記HAが架橋されている、請求項25または26記載の皮膚充填製剤。
【請求項28】
前記HAが約1mg/g〜約40mg/gの量で存在する、請求項25〜27のいずれか一項に記載の皮膚充填製剤。
【請求項29】
前記追加の成分がビタミンCである、請求項25〜28のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項30】
前記追加の成分がビタミンEである、請求項25〜29のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項31】
前記製剤が、少なくとも2年間、透明、均質および凝集性である皮膚充填剤特質のうちの1つ以上を室温で実質的に保持し、かつ皮膚充填製剤の実質的分解を伴わないことにより確定されるように安定である、請求項25〜30のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項32】
前記製剤が少なくとも3年間安定である、請求項31記載の製剤。
【請求項33】
前記追加の成分が約0.001%w/w〜約10%w/wの量で存在する、請求項25〜32のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項34】
前記追加の成分が、追加の構成成分を有さないHAゲル製剤と比較して、改善された流動学的特性を提供して、投与に必要とされる低押出力を生じる、請求項25〜33のいずれか一項に記載の製剤。
【請求項35】
患者の微細な線、皺、繊維芽細胞枯渇または瘢痕の処置方法であって、ヒアルロン酸(HA)、ならびに皺低減、酸化防止、止血、血管収縮、抗掻痒、抗炎症および抗刺激成分からなる群から選択される少なくとも1つの追加の成分を含む蒸気滅菌安定皮膚充填製剤の有効量を患者に投与するステップを包含する方法であって、前記製剤が透明、均質、単相、凝集性、安定であり、蒸気滅菌後に分解されず、かつ微細な線、皺、繊維芽細胞枯渇または瘢痕の出現が減少される方法。
【請求項36】
前記製剤が対象の顔面皮膚に皮下注射される、請求項35記載の方法。
【請求項37】
前記追加の成分が約0.1%〜約3%w/wの量で存在する、請求項35または36記載の方法。
【請求項38】
前記HAが架橋されている、請求項35、36または37記載の方法。
【請求項39】
前記HAが約1〜約40mg/gの量で存在する、請求項38記載の方法。
【請求項40】
患者の微細な線、皺、繊維芽細胞枯渇または瘢痕の処置方法であって、約1〜約40mg/gの架橋ヒアルロン酸(HA)、ならびに皺低減、酸化防止、止血、血管収縮、抗掻痒、抗炎症および抗刺激成分からなる群から選択される少なくとも1つの追加の成分を含む蒸気滅菌安定皮膚充填製剤の患者への局所注射のステップを包含する方法であって、前記製剤が透明、均質、凝集性、安定であり、蒸気滅菌後に分解されず、微細な線、皺、繊維芽細胞枯渇または瘢痕の出現が注射により減少される方法。
【請求項41】
ヒアルロン酸、ならびにAA2Gおよびデクスパンテノールからなる群から選択される少なくとも1つの追加の成分を含む蒸気滅菌安定皮膚充填製剤であって、皮膚充填製剤の安定性が追加の成分の付加により有意に増大される製剤。
【請求項42】
ヒアルロン酸ベースのポリマー、ならびに抗出血剤および血管収縮剤からなる群から選択される少なくとも1つの追加の作用物質を含むヒドロゲル組成物であって、
ここで該組成物が、
少なくとも100℃の熱処理を包含するプロセスで滅菌され;そして
少なくとも3ヶ月間室温で実質的に安定である、
ヒドロゲル組成物。
【請求項43】
前記抗出血剤が、ε−アミノカプロン酸、トラネキサム酸およびセルピンから選択される抗線維素溶解剤である、請求項42記載の組成物。
【請求項44】
前記抗線維素溶解剤が、総組成物の約0.1%(w/w)〜約1.0%(w/w)の量で存在するトラネキサム酸である、請求項43または42記載の組成物。
【請求項45】
前記血管収縮剤が、ナファゾリン、エピネフリン、メトキサミン、メチルノルエピネフリン、ノルエピネフリン、オキシメタゾリン、フェニレフリン、シュードエフェドリン、シネフリン、シラゾリン、キシロメタゾリン、その類似体または誘導体、あるいはその任意の組合せである、請求項42、43または44記載の組成物。
【請求項46】
さらに麻酔剤を含む、請求項42〜45のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項47】
前記麻酔剤が、総組成物の約0.1%(w/w)〜約1.0%(w/w)の量で存在するリドカインである、請求項46記載の組成物。
【請求項48】
酸化防止剤をさらに含む、請求項42〜47のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項49】
前記酸化防止剤が、総組成物の約0.01%(w/w)〜約5%(w/w)の量で存在するマンニトールである、請求項48記載の組成物。
【請求項50】
室温で約24ヶ月〜約36ヶ月間、実質的に安定である、請求項42〜49のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項51】
前記ヒアルロン酸ベースのポリマーが約5mg/g〜約40mg/gの濃度で存在する、請求項42〜50のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項52】
前記ヒアルロン酸ベースのポリマーが低分子量ヒアルロナンポリマーを含み、前記低分子量ヒアルロナンポリマーが300,000Daより大きく、約800,000Da未満の平均分子量を有する、請求項42〜51のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項53】
前記ヒアルロン酸ベースのポリマーが、2,000,000Daより大きく、約5,000,000Da未満の平均分子量を有する高分子量ヒアルロナンを含む、請求項42〜52のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項54】
前記ヒアルロン酸ベースのポリマーが高分子量ヒアルロナンおよび低分子量ヒアルロナンの両方を含む、請求項42〜53のいずれか一項に記載の組成物。
【請求項55】
前記高分子量ヒアルロナンが2,000,000Daより大きい分子量を有し、前記低分子量ヒアルロナンが1,000,000Da未満の分子量を有する、請求項54記載の組成物。
【請求項56】
皮膚充填剤としての請求項42〜55のいずれか一項に記載の組成物の使用。
【請求項57】
患者の微細な線、皺、繊維芽細胞枯渇または瘢痕の処置方法であって、請求項42〜55のいずれか一項に記載の皮膚充填剤を投与するステップを包含する方法。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公表番号】特表2013−517263(P2013−517263A)
【公表日】平成25年5月16日(2013.5.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−548497(P2012−548497)
【出願日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際出願番号】PCT/IB2011/000052
【国際公開番号】WO2011/086458
【国際公開日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【出願人】(511032040)アラーガン・アンデュストリー・ソシエテ・パール・アクシオン・サンプリフィエ (4)
【氏名又は名称原語表記】ALLERGAN INDUSTRIE SAS
【Fターム(参考)】