説明

減圧弁及び減圧弁の取付方法

【課題】例えば、減圧弁の取付作業を含む配管施工作業時に生じたシール材の切れ端や切り屑などの固形物が弁機構に詰まることなく、弁の水密性や弁の圧力調整機能が損なわれることなく、取付作業を完了させることができる減圧弁を提供する。
【解決手段】一次側の流路と二次側の流路との境界に外部に開放する筒状のユニット保持部200を備える弁箱部20と、弁箱部20内を流れる流体の流量を二次圧の圧力変動に応じて制御する弁機構ユニットと、弁箱部20内を流れる流体に含まれる切り屑などの固形物を取り除く除去部材262を備える蓋部25とを備え、作業工程に応じて弁機構ユニットと蓋部25とのいずれかを選択してユニット保持部200に挿入するようにしてある。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次側の流路の圧力を制御する弁機構ユニットを備えた減圧弁及び減圧弁の取付方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、戸建て住宅や集合住宅の給湯給水の専有部における給湯給水配管の工法として、「ヘッダ方式」が広く採用されている。ヘッダ方式に用いられる配管は、架橋ポリエチレン管、ポリブテン管及びポリエチレン−アルミニウム複合管などの可撓性を有する樹脂により形成される場合、配管の接続個所の数を抑えて接続箇所からの漏水の危険性を少なくし、複数の使用箇所(水栓)で同時使用された場合であっても、各水栓の流量変動を抑えることができる、というメリットを有する。また、腐食などによる劣化が少ないため、水質や衛生性を維持することができる、というメリットを有する。
【0003】
また、小規模の集合住宅などの給水方式として、「受水槽方式」が広く採用されている。受水槽方式は、集合住宅の屋上又は地上に設けられた受水槽に水道水を一旦貯留し、貯留した水道水を高低差による位置エネルギやポンプを用いた圧送により各住戸に分配する方式であり、主に、上層階にて不足する給水圧力を補うことができる、というメリットを有する。しかし、受水槽方式は、受水槽の衛生面の管理不良により、不衛生な水が各住戸に供給される、という問題を有する。
【0004】
そのため、近年、政府が提唱する「ふれっしゅ水道計画」の推進により、3〜5階建ての中層建築物では、「直結直圧式給水」が広く採用されている。直結直圧式給水は、水道水を受水槽やポンプなどを用いることなく水道の給水圧力のみで上層階に供給する方式であり、受水槽を介して不衛生な水が供給されるという問題が生じることがない。しかし、直結直圧式給水は、従来の受水槽方式などに比して水道の給水圧力を高める必要があるため、給水施設のポンプ設備や配管などの増強が必要となる。また、直結直圧式給水は、地域や標高に影響して給水圧力が異常に高くなるおそれがあるため、例えば、給水圧力の上昇により、住宅内の配管が水撃作用(ウォーターハンマ)により異音を発するという問題や、配管のシール部材の摩耗及び劣化が激しくなるという問題を有する。
【0005】
また、台所、洗面所及び風呂などの水栓方式として、「シングルレバー方式」が広く採用されている。シングルレバー方式は、1つの操作レバーにより、湯水を出す、止める、水と湯とを切り替えるといった操作が簡単にできる、というメリットを有する一方、細かな水量を調整し難く、流量過大により水が飛び散るなどの問題を有する。
【0006】
また、集合住宅などの給水圧力について、各住戸への給水圧力は高低差により変動するため、上階は水の吐出量が不足ぎみなる一方、下階は水の吐出量が過剰ぎみとなる、などの問題を有する。そこで、各住戸の給水配管に減圧弁を備えたメータユニットを取り付け、階層の異なる各住戸に適正な給水圧力で水を供給するシステムが広く採用されている。但し、このシステムは、戸建て住宅には採用されていない。
また、集合住宅などの給水圧力について、朝晩の時間帯には、各住戸の水の使用量が多くなるため、水道からの給水圧力が低下する一方、その他の時間帯には、各住戸の水の使用量が少なくなるため、給水圧力が上昇する。そのため、各住戸の使用者が快適な水の使用感を得ることができない、という問題を有する。そこで、水栓金具の根元に設けられた止水栓により全開時の吐出流量を調整することが提案されているが、時間帯に応じて水の出方が変化するため、適正に調整することが不可能である。
【0007】
また、台所、洗面所及び風呂などの給湯給水方式として、「貯湯式給湯器」が広く採用されている。貯湯式給湯器は、貯湯槽内の圧力を一定以下に抑えるために、給水管から給湯器本体への入口に設けられた減圧弁を備え、この減圧弁により減圧された給水圧力で給湯を行う。しかし、貯湯式給湯器は、例えば、給水圧力の高い地域で用いられた場合、給湯側の圧力が給水側の圧力より減圧された状態となり、給水側と給湯側との圧力差が過大となるため、湯水を自動的に混合することにより流体温度を設定温度となるように調整して吐水する「サーモ式水栓」と組み合わせた場合、温度制御が不能となるという問題を有する。
【0008】
そこで、これらの問題を解決させるため、二次側の給水圧力を減圧する減圧弁が提案され(例えば、特許文献1)、この減圧弁を、給湯用及び/又は給水用のヘッダ管の一次側流入口に設けることにより、配管の水撃作用を抑制して異音の発生を防ぎ、配管のシール部材の摩耗及び劣化を抑えて長寿命化させ、シングルレバー方式の水栓を用いる場合であっても水の飛び散りを抑制し、給水側と給湯側の圧力差を過小にして「サーモ式水栓」における温度制御を作動させ、上述する複数の問題を解決させようという試みがなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開10−63342号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかしながら、特許文献1に記載された減圧弁にあっては、内部の弁機構が複雑であるため、例えば、上流側の配管施工作業時に生じた、シール材の切れ端や配管材の切り屑などの固形物が弁機構に詰まりやすく、弁機構に詰まった固形物が弁の水密性や、弁の圧力調整機能を損なわせるおそれがある。
【0011】
本発明はかかる事情を鑑みてなされたものであり、一次側の流路と二次側の流路との境界に外部に開放する筒状のユニット保持部を備える弁箱部と、弁箱部内を流れる流体の流量を二次圧の圧力変動に応じて制御する弁機構ユニットと、弁箱部内を流れる流体に含まれる切り屑などの固形物を取り除く除去手段を備える蓋部とを備え、作業工程に応じて弁機構ユニットと蓋部とのいずれかを選択してユニット保持部に挿入するようにしてあることにより、例えば、減圧弁の取付作業を含む配管施工作業時に生じたシール材の切れ端や切り屑などの固形物が弁機構に詰まることなく、弁の水密性や弁の圧力調整機能が損なわれることなく、取付作業を完了させることができる減圧弁を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0012】
本発明に係る減圧弁は、一次側の流路と二次側の流路との境界に外部に開放する筒状のユニット保持部を備える弁箱部と、前記ユニット保持部に引き抜き可能に挿入され、前記ユニット保持部に挿入された状態で前記一次側の流路と前記二次側の流路とを連通する通水路を形成し、該通水路を流れる流体の流量を二次圧の圧力変動に応じて制御する弁機構ユニットと、該弁機構ユニットが未挿入状態の前記ユニット保持部に前記弁機構ユニットに代わり挿入され、該ユニット保持部に挿入された状態で前記一次側の流路と前記二次側の流路とを連通する通水路を形成し、該通水路を流れる流体に含まれる切り屑などの固形物を前記流体から取り除く除去手段を備える蓋部とを備えることを特徴とする。
【0013】
また、本発明に係る減圧弁は、前記蓋部は、前記ユニット保持部に挿入された状態で該ユニット保持部との嵌合部の所定の部分が水密シール状態となり、該水密シール状態の部分と前記ユニット保持部の開放端との間に係止ピンを受け付ける係合受け部が形成され、該係合受け部に係合する係止ピンが前記ユニット保持部に挿抜自在に挿通保持されることにより前記ユニット保持部に取り付けられる構成であってもよい。
【0014】
また、本発明に係る減圧弁は、前記除去手段は、編目又は格子状の構造を有する部材である構成であってもよい。
【0015】
また、本発明に係る減圧弁は、それの端部に他の部材と接続するための継手が取り付けられる構成であってもよい。
【0016】
また、本発明に係る減圧弁の取付方法は、本発明に係る減圧弁を設置する減圧弁の取付方法において、前記弁機構ユニットを挿入していない状態で、前記弁箱部を前記ユニット保持部が一次側の流路と二次側の流路との境界で外部に開放するように取り付け、前記蓋部を前記弁機構ユニットの代わりに前記ユニット保持部に挿入し、前記蓋部に形成された前記通水路に流れる流体に含まれる固形物を前記除去手段で取り除いた後、前記蓋部を前記ユニット保持部から取り外して前記弁機構ユニットを挿入することを特徴とする。
【0017】
本発明にあっては、例えば、減圧弁の取付作業を経て、通水及び圧力検査のために湯水を流す際、弁箱部のユニット保持部に、除去手段を有する蓋部を選択挿入して弁箱部内の流れる流体が含んでいる固形物を取り除き、その後、蓋部を取り外して圧力調整機能を有する弁機構ユニットを選択挿入することにより、上流側の配管施工作業時に生じた固形物が弁機構ユニットに詰まることなく、弁の水密性や弁の圧力調整機能が損なわれることなく、減圧弁の取付作業が無事完了する。
【発明の効果】
【0018】
本発明は、内部の弁機構が複雑なため、流体に含まれる固形物が詰まりやすい減圧弁を取り付ける場合であっても、例えば、上流側の配管施工作業時に生じたシール材の切れ端や、配管材の切り屑などの固形物が弁機構に詰まることなく、弁の水密性や弁の圧力調整機能が損なわれることなく取付作業を完了させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明に係る減圧弁を備えるヘッダ配管システムの全体構成を示す模式図である。
【図2】本発明に係る減圧弁の取り付けの一例を示す側面図である。
【図3】本発明に係る減圧弁を、弁機構ユニットを装着した状態で垂直方向に切断したときの側面視断面図である。
【図4】図3の弁機構ユニットをX−X方向(水平方向)に切断したときの平面視断面図である。
【図5】本発明に係る減圧弁を、蓋部を装着した状態で垂直方向に切断したときの側面視断面図である。
【図6】本発明に係る減圧弁を、図5とは異なる蓋部を装着した状態で垂直方向に切断したときの側面視断面図である。
【図7】図6の蓋部をY−Y方向(水平方向)に切断したときの平面視断面図である。
【図8】図3とは異なる構造を備える減圧弁を、弁機構ユニットを装着した状態で垂直方向に切断したときの側面視断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0020】
実施の形態1.
本発明に係る減圧弁及びこの減圧弁を備えるヘッダ配管システムについて本実施の形態を示す図面に基づいて以下説明する。ヘッダ配管システムは、図面に示すように、ヘッダ管1と、減圧弁2と、継手3と、ファスナ4と、引込配管5と、屋内配管6と、水栓金具7とを備える。
【0021】
ヘッダ管1は、例えば、架橋ポリエチレン樹脂などの可撓性を有する合成樹脂で形成されており、外部から湯水を取り入れる引込配管5と、水栓金具7に給湯給水する屋内配管6とを接続するための管寄せである。また、ヘッダ管1は、ヘッダ本体10と、このヘッダ本体10から分岐する複数のヘッダ分岐部11とを備える。
【0022】
ヘッダ本体10は、一次側の流入口が引込配管5と間接的に接続し、引込配管5を通過する湯水を受け入れる。複数のヘッダ分岐部11は、二次側の流出口が屋内配管6とそれぞれ接続し、ヘッダ本体10を通過する湯水を分水して屋内配管6にそれぞれ送り、この湯水を屋内配管6を通じて水栓金具7に供給する。
【0023】
ヘッダ管1は、一次側の流入口と引込配管5との間に、減圧弁2及び継手3を介在させる。継手3は、一端が引込配管5に接続し、他端が減圧弁2に接続し、接続部分がファスナ4で挟み込まれることで抜脱することがないように固定されている。
【0024】
減圧弁2は、二次側の圧力(二次圧)を後述するダイヤフラム212で受け、受けた力と二次圧調整ばね215の復元力とのバランスにより出力弁229を作動させ、一次側の流路と二次側の流路とに連通する通水路の開度を調整して二次圧を下げ、湯水を二次側に供給する装置である。減圧弁2は、引込配管5から屋内配管6へと流れる湯水の流量を制御する。屋内配管6を通過する湯水は、各水栓金具7に供給される。
【0025】
(減圧弁2の構成について)
減圧弁2は、図3乃至図7に示すように、弁箱部20と、弁機構ユニット21と、蓋部25とを備える。
【0026】
弁箱部20は、上半部に上下方向に貫通するユニット保持部200が形成されている。ユニット保持部200は、一次側の流路と二次側の流路との境界に外部に開放するように筒状の胴部を備え、胴部の上端が開口して開放端をなしているとともに、胴部の下端開放部に連通する空室201が形成されている。
【0027】
空室201は、二次側(ヘッダ管1側)に形成された接続部202に連通している。接続部202には、ヘッダ管1の一次側の流入口が外嵌する。また、弁箱部20は、一次側(継手3側)に、ユニット保持部200の胴部への入口203が形成され、入口203より一次側に、接続部204が形成されている。接続部204には、継手3が内嵌する。ユニット保持部200は、胴部の開放端と入口203との間の中程に、後述する係止ピン230を差し込むための差込孔205が形成されている(図2参照)。
【0028】
(弁機構ユニット21について)
弁機構ユニット21は、図3及び図4に示すように、ユニット保持部200の開放端から挿入されて着脱自在に取り付けられる。弁機構ユニット21は、基板210とばねキャップ211とで構成されてダイヤフラム212を備えるダイヤフラム室213と、基板210の中央から突き出たユニット体218とを備え、これらが一体的に纏められて交換可能なカートリッジ構造を有している。
【0029】
ダイヤフラム室213は、板金製の皿状円盤をした基板210と、側面視台形状の中空体をしたばねキャップ211とが、対向し、これらの間にダイヤフラム212が介在された状態でこれらの周縁が重なり合っている。また、ダイヤフラム室213は、基板210の上面に、ばね受け214が取り付けられ、ばね受け214とばねキャップ211の上端内部に螺合する調整ナット216との間に二次圧調整ばね215が介在している。また、ダイヤフラム室213は、基板210とダイヤフラム212との間に二次圧室217が形成されている。また、ダイヤフラム室213は、ダイヤフラム212の中央にねじ部が形成され、ねじ部にユニット体218が螺合連設されている。
【0030】
ユニット体218は、ユニット保持部200の胴部の内径と略同一の外径を有する円筒状の弁座219を備えている。弁座219は、円筒の内部に軸方向に挿通する挿通孔220が形成され、円筒の外周面の中程に第1環状凹溝221が形成され、その上下に第2環状凹溝222が形成されている。第2環状凹溝222には、シール用のOリング226が嵌め込まれている。Oリング226は、ユニット保持部200の胴部の内周面に密着し、水密シール状態を生じさせる。
【0031】
また、ユニット体218は、第1環状凹溝221と挿通孔220とを連通させるための連通孔224が第1環状凹溝221の溝底に所定の間隔をあけて形成されている。また、ユニット体218は、挿通孔220と平行であって連通孔224から区画された導圧孔225が複数形成されている。
【0032】
また、ユニット体218は、第2環状凹溝222と弁座219の円筒の上端(即ち、ユニット保持部200の開放端に相当する位置)との間に後述する係止ピン230の係合を受け付ける係合受け溝223が形成されている。係合受け溝223は、その溝幅が後述する係止ピン230の線径より僅かに大きくなるように形成されている。
【0033】
また、ユニット体218は、ダイヤフラム212のねじ部から挿通孔220に向かって出力軸227が延び出し、出力軸227の上端近傍に形成された摺動弁228が挿通孔220の内周面に摺動自在に嵌入している。また、出力軸227は、下端側が挿通孔220の内周面とは余裕がある状態で挿通し、弁座219の円筒の下端から突き出し、この突き出した部分に出力弁229が連設されている。出力弁229は、弁座219の円筒の下端に対面している。
【0034】
係止ピン230は、金属製の線条であり、平面視U字状に湾曲し、湾曲した2つの先端が、ユニット保持部200の差込孔205から差し込まれて、ユニット体218の係合受け溝223及び蓋部25の係合受け溝253に嵌まり込む寸法となるように形成されている。
【0035】
(蓋部25について)
蓋部25は、図5乃至図7に示すように、弁機構ユニット21の代わりに、弁機構ユニット21が未挿入状態のために開放しているユニット保持部200に挿入される。蓋部25は、樹脂製の円盤状をした蓋本体250がユニット保持部200の開放端の開放部分を閉塞し、蓋本体250の周縁から垂れ下がる垂下片251がユニット保持部200の胴部の内周面に嵌合する。
【0036】
また、垂下片251は、外周面に第3環状凹溝252が形成され、第3環状凹溝252と蓋本体250(即ち、ユニット保持部200の開放端に相当する位置)との間に係止ピン230の係合を受け付ける係合受け溝253が形成されている。第3環状凹溝252には、シール用のOリング254が嵌め込まれる。Oリング254は、ユニット保持部200の胴部の内周面に密着し、水密シール状態を生じさせる。
【0037】
また、図6及び図7に示す蓋部25にあっては、更に以下構成を備える。垂下片251は、内周面に突起255が突き出ている。また、蓋部25は、それの上端部が垂下片251に内嵌する除去部材保持部256を備える。除去部材保持部256は、円筒状をなし、円筒の上端部に切り欠き257が形成され、垂下片251に内嵌する際に縮径するようにされている。
【0038】
また、除去部材保持部256は、切り欠き257を避けるように円筒の上端部から掛け爪258が突き出し、垂下片251に内嵌する際に、垂下片251の突起255に掛け止まる。
【0039】
また、除去部材保持部256は、円筒の外周面の中程に第4環状凹溝259が形成され、第4環状凹溝259と垂下片251の中空とを連通させるための連通孔260が第4環状凹溝259の溝底に所定の間隔をあけて形成されている。
【0040】
また、除去部材保持部256は、円筒の下端開放部に除去部材保持杆261が架け渡され、除去部材保持杆261で支えられるように除去部材262が円筒の下端開放部に取り付けられている。除去部材262は、例えば、金属製の線材を格子状に編み込んだ金網や樹脂成型品による編み目構造品などが該当する。
【0041】
(減圧弁2の取付方法について)
減圧弁2は、弁機構ユニット21がカートリッジ構造を有しているため、弁箱部20のユニット保持部200に着脱自在になっている。ヘッダ配管システムにおいて、作業者は、ヘッダ管1を所定の設置場所に取り付ける。作業者は、減圧弁2のユニット保持部200に弁機構ユニット21の代わりとなる蓋部25を挿入する。
【0042】
作業者は、除去部材保持部256を下側にして蓋部25をユニット保持部200に挿入し、垂下片251及び除去部材保持部256がユニット保持部200との嵌合部となるようにしてこれらをユニット保持部200の胴部の内周面に摺動させながら挿入していく。作業者は、除去部材保持部256の第4環状凹溝259がユニット保持部200の入口203と連通する位置まで、蓋部25を挿入してユニット保持部200を閉塞する。
【0043】
作業者は、係止ピン230をユニット保持部200の差込孔205を介して係合受け溝253に差し込み、蓋部25がユニット保持部200から抜けないように固定する。係止ピン230は、水密シール状態を形成するOリング254とユニット保持部200の開放端との間にはめ込まれることにより、Oリング254が開放端側から飛び出ることを抑える。
【0044】
作業者は、減圧弁2の接続部202をヘッダ管1の一次側の流入口に内嵌させるとともに、減圧弁2の接続部204を継手3に外嵌させ、継手3に引込配管5を差し込んで接続する。
【0045】
最後に、作業者は、台所、洗面所及び風呂などの各箇所に水栓金具7を取り付け、ヘッダ管1と水栓金具7との間に屋内配管6を引き回して通管させ、屋内から外部に引込配管5を引き出すことで、これらを敷設し、システムの組み付けが完了する。
【0046】
(蓋部25による除去機能について)
蓋部25は、上述するように取り付けられることにより、除去部材保持部256のOリング254がユニット保持部200の内周面に密着して水密シール状態を生じさせ、除去部材保持部256の第4環状凹溝259から除去部材保持部256の円筒の内部にかけて一次側の流路から二次側の流路へと連通する通水路を形成する。
【0047】
蓋部25は、通水及び圧力検査において、減圧弁2の弁箱部20に流入する湯水を、ユニット保持部200の入口203を介して除去部材保持部256の第4環状凹溝259に流し込み、第4環状凹溝259に流れ込んだ湯水を連通孔260を介して除去部材保持部256の円筒の内部に流し込む。湯水は、除去部材保持部256の円筒の下端開放部に取り付けられている除去部材262を介して弁箱部20の空室201に流れ込み、空室201を介してヘッダ管1へと流れていく。
【0048】
このとき、蓋部25の除去部材262は、湯水に含まれる、配管施工作業時に生じたシール材の切れ端や、切り屑などの固形物を取り除き、固形物が取り除かれた湯水を空室201へと流し込む。作業者は、除去部材262がヘッダ配管システム内に存在する全ての固形物が取り除かれるまで湯水を流す。
【0049】
(減圧弁2による二次圧制御について)
作業者は、通水及び圧力検査を問題なく実施し、ヘッダ配管システム内に存在する全ての固形物を取り除いた後、捕捉した固形物を溜め込んだ蓋部25を取り外して、弁機構ユニット21に交換する。減圧弁2は、弁機構ユニット21が装着されたことにより、第一環状凹溝221から連通孔224を介して弁座219内の挿通孔220にかけて一次側の流路から二次側の流路へと連通する通水路を形成し、本来の機能を生じさせ、二次圧が上昇した場合、挿通孔220を通過して二次圧室217の圧力が高くなり、二次圧室217の圧力がダイヤフラム212及びばね受け214を下方から押し上げる。ばね受け214は、二次圧調整ばね215を押し縮め、ダイヤフラム212は、ねじ部を介して螺合連設する出力軸227を押し上げる。出力軸227は、摺動弁228が挿通孔220の内周面を摺動しながら、出力弁229とともに上方に移動する。出力弁229は、弁座219の下端に接触し、空室201に通じる通水路を閉じる。
【0050】
一方、減圧弁2は、二次圧が下降した場合、挿通孔220を介して二次圧室217の圧力が開放され、それに伴い、二次圧調整ばね215の復元力により、ばね受け214及びダイヤフラム212が押し下がる。ダイヤフラム212は、ねじ部を介して螺合連設する出力軸227を押し下げ、出力軸227は、摺動弁228が挿通孔220の内周面を摺動しながら、出力弁229とともに下方に移動する。出力弁229は、弁座219の下端との接触を解除して空室201に通じる通水路を開く。減圧弁2は、以上の一連の動作により、減圧弁2から見て二次側の圧力が所定の圧力以下となるように制御する。
【0051】
(ファスナ式接合について)
上述した実施の形態では、ヘッダ管1と減圧弁2との接続、及び、減圧弁2と継手3との接続に、ファスナ式接合が適用されている。ファスナ式接合は、着脱を容易に行うための方法であり、従来の接合方法に比して狭い作業空間であっても接合作業が容易であり、ヘッダ管1と減圧弁2との相対的な角度位置の調整が容易となる。また、減圧弁2を追加設置する場合であっても、その施工が容易となる。
【0052】
但し、本発明は、ファスナ式接合を適用することに限定されるものでなく、例えば、従来の管用テーパねじを用いたねじ接合や、管用並行ねじを備えた袋ナットを用いた接合などを適用するようにしてもよい。
【0053】
(ヘッダ配管システムについて)
以上のとおり、ヘッダ配管システムは、減圧弁2を備えることにより、従来、給水圧力が上昇することで顕在化する様々な問題を解決する。即ち、ヘッダ配管システムは、ヘッダ管1の一次側の流入口に減圧弁2が取り付けられることにより、給湯給水の圧力を減圧し、湯水を水栓金具7に導く。
【0054】
その結果、シングルレバー式の水栓を用いる場合であっても、過大な水力を抑制し、不快な水の飛び散りを防ぎ、水の使いすぎを防ぎ、節水や水資源の保護を図る。また、水栓を開いた際に生じる配管の水撃作用を抑制し、不快な配管の異音の発生を防ぐ。
【0055】
また、従来、配管のシール部材については、止水性を高めるためにセルフシール構造が採用されているが、給水圧力の上昇に伴い、ゴムの圧縮永久歪みによる劣化が促進され、摺動による摩耗抵抗の増大により摩耗が激しくなるなど、その寿命に悪影響が及んでいる。そこで、ヘッダ配管システムは、給湯給水の圧力を減圧して湯水の水栓金具7に導くことにより、シール部材の劣化や摩耗を抑制し、長寿命化に寄与する。
【0056】
実施の形態2.
減圧弁2は、実施の形態1で説明する構成の他に、二次側の接続部202付近に逆止弁27を備え、この逆止弁27により、二次側(ヘッダ管1側)から逆流してくる湯水の流入を防ぐようにしてもよい(図8参照)。
【0057】
一般的に、戸建て住宅の場合、給湯給水用のヘッダ管1は、一階の床下に設置される。しかしながら、近年、低層アパート住宅、および水回り環境を二階に集中させる住宅や、一階と二階との両方に設置する二世代住宅などが提案されるようになり、ヘッダ管1が、一階の天井裏に設置されるケースが増えている。このように、一階の天井裏は、石膏製の天井ボード、吸音材としてのグラスウール及び電気設備など、漏水に弱い環境にある。
【0058】
従って、一階の天井裏において、蓋部25から弁機構ユニット21に交換する作業は、配管内に残った湯水が漏れこぼれることがないように注意が必要となる。そこで、減圧弁2にあっては、二次側の接続部202付近に取り付けられた逆止弁27を備えることにより、蓋部25が取り外される際、ヘッダ管1から屋内配管6を介して水栓金具7に至る範囲に残留している湯水が水頭差によりユニット保持部200の開放端から噴出することがない。その結果、作業者は、蓋部25から弁機構ユニット21に交換する際、他の設備及び環境に悪影響を及ぼすことなく作業を行うことができる。
【0059】
なお、逆止弁27以外の構成は、上述する実施の形態1と同様であることから、対応する箇所には同一の符号を付すこととして、その説明を省略する。但し、接続部202については、実施の形態1と異なり、ヘッダ管1の一次側の流入口を内嵌させるようにしてある。
【符号の説明】
【0060】
1 ヘッダ管
2 減圧弁
20 弁箱部
200 ユニット保持部
201 空室
202 接続部(二次側接続部)
203 入口
204 接続部(一次側接続部)
205 差込孔
21 弁機構ユニット
210 基板
211 ばねキャップ
212 ダイヤフラム
213 ダイヤフラム室
214 ばね受け
215 二次圧調整ばね
216 調整ナット
217 二次圧室
218 ユニット体
219 弁座
220 挿通孔
221 第1環状凹溝
222 第2環状凹溝
223 係合受け溝
224 連通孔
225 導圧孔
226 Oリング
227 出力軸
228 摺動弁
229 出力弁
230 係止ピン
25 蓋部
250 蓋本体
251 垂下片
252 第3環状凹溝
253 係合受け溝
254 Oリング
255 突起
256 除去部材保持部
257 切り欠き
258 掛け爪
259 第4環状凹溝
260 連通孔
261 除去部材保持杆
262 除去部材
27 逆止弁
3 継手
4 ファスナ
5 引込配管
6 屋内配管
7 水栓金具

【特許請求の範囲】
【請求項1】
一次側の流路と二次側の流路との境界に外部に開放する筒状のユニット保持部を備える弁箱部と、
前記ユニット保持部に引き抜き可能に挿入され、前記ユニット保持部に挿入された状態で前記一次側の流路と前記二次側の流路とを連通する通水路を形成し、該通水路を流れる流体の流量を二次圧の圧力変動に応じて制御する弁機構ユニットと、
該弁機構ユニットが未挿入状態の前記ユニット保持部に前記弁機構ユニットに代わり挿入され、該ユニット保持部に挿入された状態で前記一次側の流路と前記二次側の流路とを連通する通水路を形成し、該通水路を流れる流体に含まれる切り屑などの固形物を前記流体から取り除く除去手段を備える蓋部と
を備えることを特徴とする減圧弁。
【請求項2】
前記蓋部は、前記ユニット保持部に挿入された状態で該ユニット保持部との嵌合部の所定の部分が水密シール状態となり、該水密シール状態の部分と前記ユニット保持部の開放端との間に係止ピンを受け付ける係合受け部が形成され、該係合受け部に係合する係止ピンが前記ユニット保持部に挿抜自在に挿通保持されることにより前記ユニット保持部に取り付けられることを特徴とする請求項1に記載の減圧弁。
【請求項3】
前記除去手段は、編目又は格子状の構造を有する部材であることを特徴とする請求項1又は2に記載の減圧弁。
【請求項4】
それの端部に他の部材と接続するための継手が取り付けられることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載の減圧弁。
【請求項5】
請求項1乃至4のいずれかの減圧弁を設置する減圧弁の取付方法において、
前記弁機構ユニットを挿入していない状態で、前記弁箱部を、前記ユニット保持部が一次側の流路と二次側の流路との境界で外部に開放するように取り付け、
前記蓋部を前記弁機構ユニットの代わりに前記ユニット保持部に挿入し、
前記蓋部に形成された前記通水路に流れる流体に含まれる固形物を前記除去手段で取り除いた後、前記蓋部を前記ユニット保持部から取り外して前記弁機構ユニットを挿入することを特徴とする減圧弁の取付方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2013−113377(P2013−113377A)
【公開日】平成25年6月10日(2013.6.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−260182(P2011−260182)
【出願日】平成23年11月29日(2011.11.29)
【出願人】(000002174)積水化学工業株式会社 (5,781)
【出願人】(391060029)株式会社ダンレイ (32)
【Fターム(参考)】