説明

減少された乱用潜在性を有する薬物製剤

(1)不快な臭いを有する薬剤、(2)鮮明な抑止/インジケータ色素および(3)微細な不溶性粒状物質のうちの1以上を含有する、減少された薬物乱用潜在性を有する薬物製剤。悪臭剤および色素は、該薬物の適切な投与には影響を与えない形態であるが、該悪臭剤は、該剤形が、粉砕されるか化学的に抽出され、そして経鼻的に、吸入によって、経口的に、バッカルにまたは舌下に投与されると不快な臭いを発生させ、そして該色素は、粉砕されるか接触されると鮮明な色を発生させる。該微細な不溶性粒状物質は、該剤形からの該薬物の抽出を妨げ、そして、粉砕されると、該不溶性粒子の存在のために静脈注射を抑止し得、あるいは静脈注射針をブロッキングすることによって注射を妨げ得る。該色素の鮮明な色はまた、抽出されると、静脈注射乱用者に対して精神的な抑止効果を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、減少された乱用潜在性を有する処方箋精神活性化薬物製剤の剤形、および処方箋精神活性化薬物の剤形の乱用潜在性を減少する方法に関する。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
処方箋精神活性化薬物(prescription psychoactive drugs)は、患者が、慢性または重篤な痛みを管理すること、感情または行動のバランスを回復させること、睡眠障害を制御すること、または肥満症と戦うことを補助し得る。しかしながら、このような処方せん医薬品(prescription medications)が乱用されると、嗜癖を含む結果は、危険であり得、致命的でさえあり得る。3つのクラスの一般的に乱用される処方せん薬物[即ち、オピオイド、中枢神経系(CNS)抑制薬(鎮静薬およびトランキライザーを含む)ならびに興奮薬]の乱用に関連する危険性が、よく文献に記載されている。
【0003】
オピオイド(opioids)は、モルヒネ、コデイン、および関連薬物、例えばオキシコドン(PercodanおよびOxyContin)、ヒドロコドン(Vicodin)、およびメペリジン(Demerol)を含み、そして一般的に、痛みを緩和するために処方される。処方されるように摂取されれば、オピオイドは、有害な副作用無しで痛みを効果的に管理するために使用され得る。オピオイドの慢性的な使用は、耐性を生じさせ得、このことは、使用者が同一の効果を得るためにより高い用量を摂取しなければならないことを意味する。長期間の使用はまた、身体的依存および嗜癖へと至り得る。薬物の個々の不連続な使用時に禁断症状が生じ得る。禁断症状としては、不安、筋肉痛および骨痛、不眠、下痢、嘔吐、鳥肌を伴うコールドフラッシュ(cold flashes)、ならびに不随意の脚運動が挙げられ得る。オピオイドを常習する人は、該薬物を過剰摂取する傾向が強くなり、これは致死的であり得る。
【0004】
最も一般的に処方されるCNS抑制薬(CNS depressants)は、中でも、バルビツレート類、例えばメフォバルビタール(Mebaral)およびペントバルビタールナトリウム(Nembutal)[これらは、不安、緊張、および睡眠障害を治療するために処方れる];ならびに、ベンゾジアゼピン類、例えばジアゼパム(Valium)およびアルプラゾラム(Xanax)[これらは、典型的に、不安、急性ストレス反応、およびパニック発作を治療するために処方される]が挙げられる。他のベンゾジアゼピン類、例えばトリアゾラム(Halcion)およびエスタゾラム(ProSom)は、睡眠障害の短期間の治療のために処方される。CNS抑制薬の種々のクラスが異なって作用するが、それらは全て、睡眠障害または不安に苦しむ人において、有利な眠気を催すかまたは気分を落ち着かせる効果を生じさせる。しかし、これらの薬物を長期間に渡って使用すると、身体は耐性となり、そしてより多い用量が、初期の効果を得るために必要となる。加えて、連続的な使用は、身体的依存へ、そして使用を減少させるかまたは停止すると、禁断症状へと至り得る。バルビツレート類およびベンゾジアゼピン類は、両方とも、乱用について潜在性を有しており、そして処方せん通りにのみ使用されるべきである。オピオイドの場合と同様に、これらの薬物の過剰摂取は致死的であり得る。
【0005】
興奮薬(stimulants)は、心拍数、血圧および代謝を増加させ、高揚感および活気を提供し、そして精神的警戒を増加させる。メチルフェニデート(Ritalin)およびデキストロアンフェタミン(AdderallおよびDexedrine)のような興奮薬は、ナルコレプシー、注意欠陥/過活動性障害、および他の治療に応答しなかったうつ病の治療のために処方される。それらはまた、肥満症の短期間の治療のためにも使用され得る。人は、興奮薬が生じさせ得る幸福で増強された活気の感覚に中毒となり得る。しかし、短期間に渡って繰り返し高用量の興奮薬を摂取することは、敵意または妄想の感情へと至り得る。更に、高用量の興奮薬を摂取することは、危険なまでに高い体温および不規則な心拍を生じさせ得る。
【0006】
これら3クラスの薬物の乱用潜在性は、大きな関心事である。これは、特に、オピオイドおよび興奮薬について真実であり、そして従って、それらは、麻薬取締局(Drug Enforcement Agency (DEA))によって、スケジュールII薬物(精神的または身体的依存を生じさせる強い傾向を伴う高い乱用潜在性を有するが、いくつかの認可された医療用途を有する物質)として分類されている。
【0007】
医療用途のための精神活性化薬物の種々の剤形が、入手可能または可能である。これらとしては、カプセル剤、錠剤、経皮パッチおよび液体懸濁剤が挙げられる。例えば、メチルフェニデート(Ritalin)は、経口、錠剤および徐放性錠剤剤形で入手可能である。デキストロアンフェタミン(Adderall)は、即時放出性錠剤および徐放性カプセル剤剤形で入手可能である。メチルフェニデート、アンフェタミン、フェンタニール、3−メチルフェンタニール、モルヒネ、エトルフィンなどは、経皮パッチに組み込まれ得る。フェンタニールパッチ(Duragesic)は既に市場に存在しており、そしてメチルフェニデートパッチ(Methypatch)はFDAレビュー下にある。即時放出性および徐放性形態の薬物の液体懸濁剤がまた、可能である。徐放性システムは、エチルセルロースの追加のコーティングと共に薬物イオン交換複合粒子を使用することによって、処方され得る。イオン交換技術は、多くのイオン性薬物(これらとしては、アンフェタミン、メチルフェニデート、ヒドロコドン、コデイン、モルヒネなどが挙げられる)について、信頼性の高い液体制御放出を可能にする。
【0008】
これらの種々の剤形は、適切に摂取または投与されると、価値ある医療利点を提供するが、乱用について高い潜在性をも有する。例えば、徐放性剤形は、粉砕するかまたは噛み砕き、そして次いで飲み込むか鼻から吸い込む(snorting)ことによって、あるいは水などに混合または溶解しそして注射することによって、乱用される。経皮パッチは、噛まれて、制御された物質のバッカル、舌下、または経口吸収による迅速な開始を提供し得る。更には、パッチの正常な投与後の顕著な薬物残余が非常に一般的である。このような残余は、乱用のために抽出および濃縮され得る。液体懸濁剤は、同様に濃縮されそして乱用され得る。
【0009】
これらの問題を考慮して、減少された乱用潜在性を有する精神活性化薬物の新しくそして改善された剤形が望まれている。薬物の剤形の乱用潜在性を減少させることに対していくつかのアプローチが、米国特許において見られ得る。これらとしては、例えば、剤形へのオピオイドアンタゴニストの混合(米国特許第4401672、4457933、5162341、5236714、6277384および6228863号)、シトクロムP450 2D6酵素阻害剤の使用(米国特許第6124282号)、および剤形への水溶性/ゲル化性材料の混合(米国特許第4070494号)が挙げられる。しかしながら、これらのアプローチは、依然として、スノーティングまたはスモーキングまたは不適切な経口投与による医薬の乱用を人に抑止させるという効果の点で、理想からはかけ離れている。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
発明の目的
本発明の目的は、精神活性化薬物および他の乱用薬物の剤形の乱用潜在性を減少させること、および減少された乱用潜在性を有する精神活性化薬物の剤形を提供することである。より詳細には、本発明の目的は、スノーティング(snorting)/注射などによる乱用を抑止することにおいて増加された効果を有する、オピオイド、CNS抑制薬および興奮薬の経口剤形を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0011】
発明の要旨
本発明によれば、減少された乱用潜在性を有する精神活性化薬物の剤形が、以下の1またはそれ以上を剤形に添加することによって提供される:
(1)該薬物の剤形が適切に投与される場合には不快な臭いを生じないが、該剤形が、経鼻(スノーティング(snorting))、吸入(スモーキング(smoking))、経口、バッカルまたは舌下投与のために、粉砕される(crushed)かまたは化学的に抽出される場合には不快な臭いを生じさせる形態の薬剤;
(2)該薬物の剤形が適切に投与される場合には色を発生させないが、該剤形が粉砕されるかまたは化学的に抽出されると、鼻、口または手を着色または染色する形態の鮮明な抑止/インジケータ色素(bright deterrent/indicator dye);ならびに
(3)該薬物の剤形が適切に投与される場合には人体に悪影響を与えないが、該剤形からの該薬物の抽出を妨げそして該不溶性粒子の存在のために静脈注射を抑止し得るか、あるいは静脈注射針をブロックすることによって注射を妨げ得る、微細な不溶性粒状物質(fine insoluble particulate matter)。
【0012】
発明の詳細な説明
本発明の剤形の精神活性化薬物(psychoactive drug)(即ち、中枢神経系に影響を与える薬物)は、該薬物が剤形での医療用途について認可されておりそして乱用潜在性を有する限り、特に限定されない。薬物としては、オピオイド、中枢神経系(CNS)抑制薬および興奮薬、例えば、商標Adderall XR、Matadate CD、Kadian、Oramorph SR、MS Contin、Oxycontinなどで市販されている薬物が挙げられる。
【0013】
物質乱用のためのスノーティング(snorting)またはスモーキング(smoking)が広まっており、そして乱用潜在性薬物プロダクトの製造において不快な臭いを有する化学物質の使用は、薬物乱用を抑止するために有効な手段であり得る。本発明の剤形へ組み込まれる悪臭剤(malodorous agent)および/またはインジケータ色素(indicator dye)は、薬物の剤形が適切に投与される場合にはその抑止効果(deterrent effect)を示さないが、経鼻(スノーティング(snorting))、吸入(スモーキング(smoking))、経口、バッカルまたは舌下投与のために、剤形が噛み砕かれるか、粉砕される(crushed)かまたは化学的に抽出される場合には抑止効果を示す形態で使用される。悪臭剤および/またはインジケータ色素は、顆粒、ビーズまたはミニ錠剤に組み込まれ得、これは、引き続いて、該悪臭剤およびインジケータ色素の漏れ(leakage)を防止し、そして正常な用量投与条件下での該悪臭剤およびインジケータ色素の吸収を最小化または防止するために、好適なバリアコーティングでコートされ得る。これらの顆粒/ビーズ/ミニ錠剤は、問題の薬物と共にカプセル封入される(encapsulated)かまたは圧縮され(compressed)得、あるいは薬物層状化のためのコーティング物質および追加の腸溶性/徐放性コーティング(enteric/sustained-release coatings)として使用され得る。
【0014】
顆粒、ビーズ(beads)およびミニ錠剤(mini-tablets)のサイズは、該顆粒が本発明の剤形に組み込まれ得る限り、限定されない。典型的に、顆粒およびビーズは、50μm〜4000μmのサイズを有する。ミニ錠剤は、典型的に、一般的な錠剤(>5/32インチ直径)よりも顕著に小さいサイズを有する。不快な臭いおよび/または色素インジケータを有する薬剤を含有しそして薬物を含有しない顆粒、ビーズまたはミニ錠剤が、活性な薬学的成分(active pharmaceutical ingredient;API)を含有する顆粒、ビーズまたはミニ錠剤と共にカプセル封入される場合、該顆粒、ビーズまたはミニ錠剤は、好ましくは、同一サイズのものであり、それぞれのビーズが識別されそして分離されることを困難にする。
【0015】
あるいは、該悪臭剤および/またはインジケータ色素は、薬物製剤へ直接組み込まれ得、そして得られた製剤は、顆粒、ビーズ、またはミニ錠剤中へ組み込まれ得る。引き続いて、バリアコーティングが、正常な用量投与条件下での悪臭剤およびインジケータ色素の漏れから守るために、適用される。該薬物処方の得られるコーティングされた顆粒、ビーズまたはミニ錠剤は、その後、錠剤にカプセル封入されるかまたは圧縮される。
【0016】
経皮パッチ製剤(transdermal patch formulation)で使用される場合、該悪臭剤および/またはインジケータ色素は、好適なバリアコーティングでコートされた上述の顆粒、ビーズ、またはミニ錠剤の形態で使用され得る。該悪臭剤はまた、経皮薬物製剤に直接添加され得る。
【0017】
本発明において有用な悪臭剤としては、経鼻的に(鼻から吸い込まれる(snoted))、吸入によって(スモーキング)、経口的に、バッカルにあるいは舌下に投与される場合に、不快な臭いまたは副作用を発生させる薬学的に許容される物質が挙げられる。このような薬剤としては、ワレリアナハーブ粗抽出物(valerian herb crude extract)、イソ吉草酸、ベタイン、アニソール、ガーリックオイル、ガーリック粗抽出物、魚油、スカトール、メチルアルギニン、タウリン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、3−メチル 2−ヘキサン酸などが挙げられるが、これらに限定されない。好ましい薬剤は、イソ吉草酸およびスカトールである。イソ吉草酸は、ホップオイル、タバコ、ワレリアナハーブ(valerian herb)、およびいくつかの他の植物において生じる。イソ吉草酸は、不快な酸敗した(rancid)チーズ臭を有する。スカトールは、強烈な糞の臭いを有する白色から茶褐色のスケールである。製品がスカトールまたはイソ吉草酸を含有する場合、それは、このような激しく不快な臭いを有し、人がそれを吸入すること(inhale)または鼻から吸い込むこと(snort)が極度に困難である。
【0018】
不快な臭いを有する薬剤は、該薬剤が組み込まれる薬学的製剤の剤形の重量に基づいて、0.10〜20重量%、そして好ましくは1.0〜10重量%、そして最も好ましくは1.0〜5.0重量%の量で使用される。該薬剤は、1以上の上述の物質であり得る。非放出性形態の悪臭嫌悪薬剤(malodorous aversion agent)が好ましく、何故ならば、該嫌悪薬剤は、インタクトなユニット(例えば、該嫌悪薬剤を含有する高度にコーティングされたミニ錠剤またはペレット剤)からは放出されず、薬理学的効果を有さず、そして有効成分の放出プロフィールに対して影響を有さないためである。該嫌悪薬剤は、薬物と類似の放出パターン(例えば、遅延放出(delayed-release)または徐放(sustained release))を有し得る該嫌悪薬剤の放出性形態として、有効成分と共に剤形に組み込まれ得る。
【0019】
本発明において有用なインジケータ色素としては、薬学的に許容されるものであって、そして該色素を含有する薬学的製剤が粉砕されるかまたは溶解された後に、鼻、口または手に強烈で鮮明な色を提供し得る色素が挙げられる。鮮明な色はまた、静脈注射乱用者に対して精神的抑止効果を有し得る。このような色素としては、アルラレッド、アマランス、ブリリアントブルー、カンタキサンチン、カルミン、カルモイシン、カロテン、クルクミン、エリスロシン、グリーンS、インジゴカルミン、酸化鉄黒、酸化鉄赤、酸化鉄黄、パテントブルー、フロキシンO、ポンソー4R、キノリンイエロー、リボフラビン、サンセットイエロー、タートラジン、二酸化チタン、ベジタブルカーボンブラック、および他の天然色、例えばアナットー、ビート、ブラックキャロット、ブラックカラント、キャラメル、カルミン、カルミンレーキ、クロロフィル、コチニール、エルダーベリー、グレープスキン/グレープジュース、モルト、パプリカ、レッドキャベツ、ターメリック、およびアントシアニンが挙げられるが、これらに限定されない。リボフラビンが好ましいインジケータであり、何故ならば、それは、薬物乱用者の容易な尿検出のためのトレーシング剤としても使用され得るからである。
【0020】
薬学的製剤の剤形で使用される色素インジケータの量は、使用される特定の色素で変化するが、典型的には、色素インジケータは、薬学的製剤の剤形の重量に基づいて、0.01〜20重量%、そして好ましくは0.1〜10重量%、そして最も好ましくは0.1〜5重量%の量で使用される。
【0021】
悪臭剤および/または色素インジケータの、ならびに悪臭剤および/または色素インジケータを含有する薬物製剤の、顆粒、ビーズ、ミニ錠剤および錠剤は、種々の公知の薬学的プロセス[例えば、ローラーコンパクティング(roller compacting)、および流動床または他の好適なコーティング装置における溶液/スラリー/粉末層状化、および錠剤プレスにおける圧縮]によって作製され得る。特に好ましい実施形態において、コアシード(例えば、ノンパレイユシード(non-pareil seed))が、悪臭剤および/または色素インジケータの層でコーティングされ、そして該層状化コアシードにバリアコーティングが適用される。
【0022】
該薬剤および色素の漏れを最小化または防止するためそして用量投与の正常条件下での該薬剤および色素の吸収を最小化するために、悪臭剤および/または色素インジケータ含有する顆粒、ビーズまたはミニ錠剤へ、あるいは、悪臭剤および/または色素インジケータを含有する薬物製剤の顆粒、ビーズ、ミニ錠剤または錠剤へ適用されるバリアコーティング(barrier coating)は、保護コーティング、腸溶性コーティング(enteric coating)または徐放性コーティングあるいはこれらのコーティングの種々の組合せであり得る。好ましい実施形態において、悪臭剤および/または色素インジケータを含有しそして該薬物を含有しない顆粒、ビーズまたはミニ錠剤は、GI管に存在する条件下では溶解または放出しない、非溶解性(non-dissolving)の薬学的に許容されるポリマーコーティングでコートされる。このようなコーティングを用いると、悪臭剤および/または色素インジケータは、好適に投与される場合は人体において放出されず、そして該非溶解性コーティングでコートされた顆粒、ビーズまたはミニ錠剤を含む薬物製剤が処方箋の目的外のために粉砕される場合にのみ、放出される。
【0023】
バリアコーティングは、水もしくは好適な有機溶媒中のポリマー溶液を使用してまたは水性ポリマーディスパージョンを使用することによって、パンコーティングまたは流動床コーティングのような従来のコーティング技術により適用され得る。
【0024】
保護コーティング(protective coating)として有用な材料は、当該分野において周知であり、そして例えば、セルロース誘導体、例えばヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー、およびpH5.0までの胃液に溶解性であるpH依存性カチオン性ポリマー(例えば、商標EUDRAGIT E 100およびEUDRAGIT EPOで販売されているもの)が挙げられる。示唆されるコーティングレベルは、1〜6%、好ましくは2〜4%(w/w)である。
【0025】
腸溶性コーティング層(enteric coating layer)は、4.5よりも高いpHで、特定の遅延時間後、または該コーティングされたユニットが胃を通過した後、溶解する、pH感受性ポリマーであり得る。好ましい遅延時間は、2〜6時間の範囲内である。好適な腸溶性ポリマーとしては、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートトリメリテート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ポリビニルアセテートフタレート、カルボキシメチルエチルセルロース、および共重合化メタクリル酸/メタクリル酸メチルエステル(例えば、商標EUDRAGIT L100、EUDRAGIT L100−55、EUDRAGIT L 30 D−55またはEUDRAGIT S100で販売されている材料)あるいは腸溶性コーティングを得るために使用される類似の化合物が挙げられる。示唆されるコーティングレベルは、1〜6%、好ましくは2〜4%(w/w)である。
【0026】
腸溶性ポリマーは、持続され制御された放出を提供するために、pH感受性でない他の公知のコーティング製品と混合することによって、修飾され得る。このようなコーティング製品の例としては、商標EUDRAGIT RL 30 D、EUDRAGIT RL PO、EUDRAGIT RL 100、EUDRAGIT RS 30 Dで現在販売されている、少量のトリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリドを含む天然メタクリル酸エステルならびに他のpH独立コーティング製品が挙げられる。
【0027】
GI管において溶解しない薬学的に許容されるコーティングとしては、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、エチルセルロース、ポリ(エチルアクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート)、およびポリ(トリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリド)が挙げられる。好適なコーティングレベルは、悪臭/着色(色素)薬剤の早期の漏れを防止するものであり、そして使用されるコーティングに依存する。コーティングレベルは、例えば1〜60%(w/w)である。
【0028】
オーバーコーティング層(overcoating layer)が、更に、必要に応じて、本発明の組成物へ適用され得る。OPADRY(登録商標)、OPADRY II(登録商標)(Colorconによって販売)ならびに対応の着色および無色グレード(Colorcon製)が、ペレットが粘着性になることから保護するために、そしてプロダクトに色を提供するために使用され得る。更に、着色剤および乳白剤を含むかまたは含まないKollicoat IR(BASFによって販売)が、オーバーコーティング層として使用され得る。保護または着色コーティングの示唆されるレベルは、1〜6%、好ましくは2〜3%(w/w)である。
【0029】
代替の実施形態において、不溶性粒状物質(insoluble particulate matter)が、薬物乱用者が投薬ユニットから薬物を抽出することを妨げるために、不溶性粒状物質に起因して薬物乱用者が該製剤を静脈注射することを抑止するために、ならびに針ブロッキング(needle blocking)に起因して注射を妨げるために、薬学的製剤において使用される。好適な微細な固体粒状材料としては、Noveon(登録商標)AA−1 ポリカルボフィル、Ethocel(登録商標)FP、メタクリル酸コポリマー[例えば、Eudragit(登録商標)L100−55、Eudragit(登録商標)S100]、微結晶セルロース(例えば、Avicel(登録商標)PH 102)、ナトリウムスターチグリコレート、クロスポビドン、クロスカルメロースナトリウム、タルカム、および二酸化ケイ素が挙げられるが、これらに限定されない。該粒子のサイズは、該粒子が容易に抽出媒体へ懸濁されて、抽出を妨げ、そして注射の間に針をブロックするように選択される。通常の粒度は、1μm〜150μm、そして好ましくは1μm〜50μmである。
【0030】
不溶性の微細な粒子は、悪臭剤および/または色素インジケータのコーティングされた顆粒、ビーズまたはミニ錠剤中に、あるいは上述の悪臭剤および/または色素インジケータと組み合わせて問題の薬物を含有する顆粒、ビーズ、ミニ錠剤または錠剤と共に、含まれ得る。あるいは、不溶性の微細な粒子は、コーティングされた顆粒、ビーズまたはミニ錠剤あるいは問題の薬物と共に、カプセル封入されるかまたは圧縮され得る。
【0031】
水に不溶性の薬剤は、該薬剤が組み込まれる薬学的製剤の剤形の重量に基づいて、5〜80重量%、そして好ましくは5〜40重量%、そして最も好ましくは5〜10重量%の量で使用される。
【実施例】
【0032】
[実施例]
以下の実施例は、本発明の実施形態を例示するために示される。しかし、本発明は、これらの実施形態に限定されないが、その代わりに、意図される特許請求の範囲の精神および範囲内に全てのそれらの実施形態を包含する。
【0033】
実施例1
以下の処方は、シュガースフェア(sugar spheres)上へ不快な臭いを有する薬剤(スカトール)を層状化するために使用される。ノンパレイユシード(Nonpareil seeds)(30/35メッシュ, Paulaur Corp., NJ)6.8kgを、9”Wursterカラムを備えるFLM-15流動床プロセッサー中に置き、そして60℃で流動化させる。スカトールおよびバインダーとしてHPMC E5 Premium (Dow Chemical)を含有するコーティングシステムを、好適な条件下で該シード上にスプレーする。ほとんど全く凝集(agglomeration)および微粉(fines)が観察されず、少なくとも98%の収率を伴う。引き続いて、バリアコートを該スカトールロードされたビーズ上に適用し、スカトールの漏れが無いことを確実にしそして胃腸管における該薬剤の吸収を防止する。
【0034】
【表1】

【0035】
実施例2
以下の処方は、実施例1からのビーズを、Eudragit E100および引き続いてEudragit FS30Dでコーティングするために使用される。2kgのビーズ(スカトールを含有する)を、プレシジョンコーター(precision coater)(MP 2/3, Niro Inc.)を備えたWursterカラムを有する流動床プロセッサー中に装入する。Eudragit E100スプレー懸濁液を、有機溶媒系(アセトン:イソプロピルアルコール50:50)にタルクを分散しそしてEudragit E100を溶解させることによって調製する。好適な流動化条件下で、該コーティングシステムを、該流動化ペレットへスプレーする。引き続いて、コーティングディスパージョンを、クエン酸トリエチル、タルクおよびEUDRAGIT FS30Dを水に分散させ、そして少なくとも30分間混合することによって調製する。好適な流動化条件下で、該コーティングディスパージョンを、該流動化Eudragit E100コート化ペレット上にスプレーする。スプレーイングを、目標のコーティングレベルが達成されるまで継続する(20ミクロン)。コーティングされたペレットを30〜35℃で5分間乾燥させ、その後、該プロセスを停止する。タルクを、ビーズの凝集を防止するために、Eudragit FS30Dコートされたビーズへ添加する。腸溶性コートされた(enteric-coated)ペレットを酸性媒体中において試験し、そしてスカトールの漏れは観察されない。この実施例からのビーズは、徐放性ビーズまたは即時放出性ビーズと共に封入され得る。また、実施例2からのビーズは、乱用潜在性を減少させるために、徐放性または即時放出性マトリックス錠剤製剤と共に圧縮され得る。
【0036】
【表2】

【0037】
実施例3
以下の処方は、シュガースフェア上に該薬物を層状化するために使用される。ノンパレイユシード(30/35メッシュ, Paulaur Corp., NJ)、6.8kgを、9"Wurster カラムを備えるFLM-15流動床プロセッサー中に入れ、そして60℃で流動化させる。1% HPMC E5 Premium (Dow Chemical)およびスカトールを含む混合アンフェタミン塩(MAS)の懸濁液を、好適な条件下で、該シード上にスプレーする。ほとんど全く凝集および微粉が観察されず、少なくとも98%の収率を伴う。該薬物ロードされたコアを、腸溶性コーティングおよび徐放性コーティングのために使用する。
【0038】
【表3】

【0039】
実施例4
以下の処方は、実施例3からの混合アンフェタミン塩ロードされたペレットを、EUDRAGIT.RTM. L 30D-55 (Rohm Pharma, Germany) コーティングディスパージョンでコートするために使用される。2kgのMASLペレットを、プレシジョンコーター(MP 2/3, Niro Inc.)を備えるリデューストWursterカラム(reduced Wurster column)を有する流動床プロセッサー中に装入する。コーティングディスパージョンを、クエン酸トリエチル、タルクおよびEUDRAGIT L 30D-55を水に分散させ、そして少なくとも30分間混合することによって調製する。好適な流動化条件下で、コーティングディスパージョンを、該流動化MASLペレット上にスプレーする。スプレーを、目標のコーティングレベルが達成されるまで継続する(20ミクロン)。コーティングされたペレットを、30〜35℃で5分間乾燥させ、その後、該プロセスを停止する。ペレットを、更にタルクとブレンドして、保存の間の凝集を防止する。腸溶性コートされたアンフェタミンペレットを、USPパドル法(USP paddle method)によって、異なるpH緩衝液で試験する。薬物含有量を、HPLCを使用して分析する。結果は、腸溶性コーティングが、pH6またはそれ以上への暴露後まで、該コーティングされたペレットから該薬物が放出されるのを遅延させることを示す。
【0040】
【表4】

【0041】
実施例5
以下の処方は、実施例3からのアンフェタミンペレットを、EUDRAGIT.FS30D (Rohm Pharma, Germany) コーティングディスパージョンでコートするために使用される。アンフェタミンペレット(2kg)を、リデューストWursterカラム(GPGC-15, Glatt)を備える流動床プロセッサー中に装入する。コーティングディスパージョンを、クエン酸トリエチル、タルクおよびEUDRAGIT.FS30Dを水へ分散させ、そして少なくとも30分間混合することによって調製する。好適な流動化条件下で、該コーティングディスパージョンを、該流動化アンフェタミンペレット上にスプレーする。スプレーを、目標のコーティングレベルが達成されるまで継続する。コートされたペレットを、30〜35℃で、5分間乾燥させ、その後、該プロセスを停止する。腸溶性コートされたアンフェタミンペレットを、異なるpH緩衝液で、USPパドル法を使用して試験する。薬物含有量を、HPLCを使用して分析する。腸溶性コーティングは、pH値が6.8またはそれ以上に達するまで、該コートされたペレットから数時間該薬物が放出することを遅延させる。
【0042】
【表5】

【0043】
実施例6
以下の処方は、腸溶性コートされたアンフェタミンペレットをコートするために選択される。実施例4からのコートされたアンフェタミンペレットまたは実施例5からのコートされたアンフェタミンペレット(いずれも2kg)を、リデューストWursterカラム(GPGC-15, Glatt)を備える流動床プロセッサー中に装入する。コーティングディスパージョンを、SURELEASE (Colorcon)および水を、スプレー前に少なくとも15分間混合することによって調製する。好適な流動化条件下で、該コーティングディスパージョンを該流動化ペレット上にスプレーする。スプレーを、目標のコーティングレベルが達成されるまで継続する。コーティングされたペレットを、OPADRYホワイト(Colorcon) (2%)の薄層でコーティングして、保存の間、該コートされたペレットの粘着を防止する。コートされたペレットを、次いで、35〜40℃で10分間乾燥させて、その後、該床から取り出す。両方のコーティングされたペレットからの薬物溶解をUSPパドル法を使用して異なるpH緩衝液で行う。薬物含有量をHPLCを使用して分析する。12%のSURELEASEコーティングは、pH7.5緩衝液で、EUDRAGIT L 30D-55およびEudragit FS30Dコーティングされたペレットの両方からの該薬物放出を持続させ、一方、Eudragitコーティングは、該緩衝液がpH1からpH7.5へ切り替えられた後、2時間まで該薬物放出を遅延する。
【0044】
【表6】

【0045】
実施例7
以下の処方は、シュガースフェア上に薬物を層状化するために使用される。ノンパレイユシード(30/35メッシュ, Paulaur Corp., NJ)6.8kgを、9" Wursterカラムを備えるFLM-15流動床プロセッサーへ入れ、そして60℃で流動化する。バインダーとして1% HPMC E5 Premium (Dow Chemical)を含む乱用潜在性を有する薬物の懸濁液を、好適な条件下で、該シード上へスプレーする。ほとんど全く凝集および微粉は観察されず、少なくとも98%の収率を伴う。薬物ロードされたコアは、必要に応じて、実施例4、5および6と同様の腸溶性コーティングおよび/または徐放性コーティングを調製するために使用される。実施例7から得られる即時放出性ビーズ、遅延放出性ビーズ(腸溶性材料で更にコーティングされた実施例7からのビーズ)、徐放性ビーズ(徐放性材料で更にコーティングされた実施例7からのビーズ)、およびビーズの任意の組合せは、実施例2からのビーズと共にカプセル封入されて、乱用潜在性を減少させ得る。
【0046】
【表7】

【0047】
実施例8(高い有効性の化合物の錠剤処方)
以下は、硫酸モルヒネおよびオキシコドンを両方とも含有する徐放性製剤である。全ての成分を、10分間、V形ブレンダー(V-shaped blender)中でブレンドし、そして引き続いて、更に10分間、インテンシファイアーバー(intensifier bar)でブレンドを続ける。該粉末ブレンドを、3分間、ステアリン酸マグネシウムで滑沢化する。滑沢化された粉末ブレンドを、錠剤に圧縮する。
【0048】
【表8】

【0049】
実施例9
以下の処方は、臭いマスキング(odor masking)目的のために、実施例8からのコア錠剤をコーティングするために使用される。コーティング溶液を、溶媒系(アセトン:イソプロピルアルコール 50:50)にEudragit E100を溶解させることによって調製する。コーティングプロセスを、サイド−ベンティッドコーティングパン(side-vented coating pan)において行う。
【0050】
【表9】

【0051】
実施例10
実施例8と類似の手順が、この徐放性製剤実施例のために使用される。最初の5つの成分をV−ブレンダー中で10分間ブレンドし、そして引き続いて、更に10分間、インテンシファイアーバー(intensifier bar)でブレンドを続ける。混合物へステアリン酸マグネシウムを添加して、更に2分間ブレンドする。従来のまたは他のロータリー錠剤プレスにおいて錠剤をプレスして、所望の用量(例えば、15mg、30mg、60mg、および100mg強度)に依存して、75〜500mgの錠剤を得る。作製されたコア錠剤を、臭いマスキング目的のために、Eudragit E100でコーティングする(実施例9を参照のこと)。
【0052】
【表10】

【0053】
実施例11
以下の処方は、シュガースフェア上に悪臭剤(イソ吉草酸)およびインジケータ色素(タートラジン)を層状化するために使用される。ノンパレイユシード(30/35 メッシュ, Paulaur Corp., NJ)6.8kgを、9" Wursterカラムを備えるGlatt GPCG-15流動床プロセッサー中に入れ、そして60℃で流動化する。デナトニウムサッカリド(denatonium saccharide)、タートラジン、およびバインダーとしてHPMC E5 Premium (Dow Chemical)を含有するコーティングシステムを、好適な条件下で該シード上へスプレーする。ほとんど全く凝集および微粉が観察されず、少なくとも98%の収率を伴う。
【0054】
【表11】

【0055】
実施例12
以下の処方は、バリアコートとしてのセルロースアセテートで、実施例11からのビーズをコーティングするために使用され、悪臭剤およびタートラジン色素の漏れから守り、そして胃腸管におけるこれらの薬剤の吸収を最小化する。3.6kgのビーズを、HSノズルを備えるWursterカラムを有する流動床プロセッサー(GPCG-15, Glatt Air Techniques)中に装入する。セルロースアセテートおよびクエン酸トリエチルを、有機溶媒系(アセトン:イソプロピルアルコール 80:20)に溶解する。好適な流動化条件下で、該コーティングシステムを、該流動化ペレット上へスプレーする。この実施例からのビーズは、徐放性ビーズ、即時放出性ビーズ、遅延放出性ビーズ、またはこれらのタイプのビーズの任意の組合せと共にカプセル封入され得る。また、該ビーズは、乱用潜在性を減少させるために、徐放性または即時放出性マトリックス錠剤製剤と共に圧縮され得る。
【0056】
【表12】

【0057】
不溶性の微細な粒子が、実施例1、3、7および8の製剤へ添加されて、悪臭剤、色素インジケータおよび不溶性の微細な粒子を含有するビーズ、あるいは活性な薬学的成分(API)および不溶性の微細な粒子を含有する薬物ロードビーズが得られ得る。あるいは、該不溶性の微細な粒子は、コーティングされた顆粒、ビーズまたはミニ錠剤あるいは問題の薬物と共に、カプセル封入されるかまたは圧縮され得る。
【0058】
実施例13
この実施例は、本発明の経皮パッチ剤形の調製を記載する。メチルフェニデート−ポリマー混合物を、20部のメチルフェニデート、1部のスカトール、1部のタートラジン、1.3部のレシチン、1部のジプロピレングリコール、0.8部のオレイン酸、2.5部のポリジメチルシロキサン、63.6部のポリアクリレート、ならびに>85.6部のポリシロキサンを混合することによって調製し、そして好適な容器中でよく混合する。メチルフェニデートは、ポリアクリレートと共に混合された酢酸エチル中の溶液として添加される。得られる組成物は、表13に示される、揮発性プロセス溶媒の除去後の乾燥に基づく成分濃度を有する。次いで、製剤を、コーティング作業に移し、ここで、それを、制御された特定の厚みで、保護放出ライナー(protective release liner)上にコーティングする。次いで、コーティングされたプロダクトを、全ての揮発性プロセッシング溶媒を除去するために、オーブンに通過させる。次いで、該放出ライナー上の乾燥されたプロダクトを、バッキング材料(backing material)に結合させ、そしてロールに巻く。好適なサイズおよび形状の投薬ユニットを、該ロール材料からダイ−カットし(die-cut)、そして次いで袋詰する。
【0059】
【表13】

【0060】
発明の利点
本発明は、精神活性化薬物の剤形について乱用潜在性を減少させるための3つの有効なアプローチの組合せを提供する。悪臭剤、色素インジケータおよび/または微細な粒状物質を、処方箋精神活性化薬物製剤の剤形へ添加して、該薬物製剤の乱用潜在性を減少させる。悪臭剤および色素インジケータは、バリアコーティングを有する抑止ビーズ(deterrent beads)中へ組み込まれ得る。該ビーズは、減少された乱用潜在性の薬学的剤形の製造とは別に作製され得る。このような“ユニバーサルな(universal)”抑止ビーズは、プロダクト開発時間を短縮し、そしてプロダクトパフォーマンスに対する該悪臭剤/色素インジケータの影響を最小化し得る。抑止ビーズはまた、悪臭剤/色素インジケータが、正常投与条件下では放出されず、これらの薬剤からの可能な悪影響を最小化するように処方され得る。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
活性な薬学的成分として精神活性化薬物、ならびに以下の1以上:
(1)該薬物の剤形が適切に投与される場合には不快な臭いを発生させないが、粉砕されるかまたは抽出されそして経鼻的に、吸入によって、経口的に、バッカル的にまたは舌下に投与される場合には不快な臭いを発生させる形態の悪臭剤、
(2)該薬物の剤形が適切に投与される場合には色を発生させないが、粉砕されるかまたは抽出される場合にはヒト組織を着色するかまたは染色する形態のインジケータ色素;および
(3)微細な不溶性粒状物質、
を含む、減少された乱用潜在性を有する剤形。
【請求項2】
前記1またはそれ以上の悪臭剤、インジケータ色素および微細な不溶性粒状物質が、顆粒、ビーズまたは錠剤中に含まれている、請求項1に記載の剤形。
【請求項3】
前記顆粒、ビーズまたは錠剤が、薬学的に許容される保護コーティング、腸溶性コーティングまたは徐放性コーティングでコートされている、請求項2に記載の剤形。
【請求項4】
前記保護コーティングが、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー、およびpH5.0までの胃液に溶解性であるpH依存性カチオン性ポリマーからなる群から選択される、請求項3に記載の剤形。
【請求項5】
前記腸溶性コーティングが、4.5よりも高いpHで、選択された遅延時間後、または該コーティングされたユニットが胃を通過した後、溶解するpH感受性ポリマーである、請求項3に記載の剤形。
【請求項6】
前記pH感受性ポリマーが、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートトリメリテート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ポリビニルアセテートフタレート、カルボキシメチルエチルセルロース、および共重合化メタクリル酸/メタクリル酸メチルエステルからなる群から選択される、請求項3に記載の剤形。
【請求項7】
前記顆粒、ビーズまたは錠剤が、胃腸管中で溶解しないコーティングでコートされている、請求項2に記載の剤形。
【請求項8】
前記胃腸管中で溶解しないコーティングが、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、エチルセルロース、ポリ(エチルアクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート)、およびポリ(トリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリド)からなる群から選択される、請求項7に記載の剤形。
【請求項9】
前記悪臭剤が、ワレリアナハーブ粗抽出物、イソ吉草酸、ベタイン、アニソール、ガーリックオイル、ガーリック粗抽出物、魚油、スカトール、メチルアルギニン、タウリン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、および3−メチル 2−ヘキサン酸からなる群から選択される、請求項1に記載の剤形。
【請求項10】
前記悪臭剤が、イソ吉草酸およびスカトールからなる群から選択される、請求項9に記載の剤形。
【請求項11】
前記インジケータ色素が、アルラレッド、アマランス、ブリリアントブルー、カンタキサンチン、カルミン、カルモイシン、カロテン、クルクミン、エリスロシン、グリーンS、インジゴカルミン、酸化鉄黒、酸化鉄赤、酸化鉄黄、パテントブルー、フロキシンO、ポンソー4R、キノリンイエロー、リボフラビン、サンセットイエロー、タートラジン、二酸化チタン、ベジタブルカーボンブラック、アナットー、ビート、ブラックキャロット、ブラックカラント、キャラメル、カルミン、カルミンレーキ、クロロフィル、コチニール、エルダーベリー、グレープスキン/グレープジュース、モルト、パプリカ、レッドキャベツ、ターメリック、およびアントシアニンからなる群から選択される、請求項1に記載の剤形。
【請求項12】
前記インジケータ色素がタートラジンである、請求項11に記載の剤形。
【請求項13】
前記微細な不溶性粒状物質が、ポリカルボフィル、メタクリル酸コポリマー、微結晶セルロース、ナトリウムスターチグリコレート、クロスポビドン、クロスカルメロースナトリウム、タルカム、および二酸化ケイ素からなる群から選択される、請求項1に記載の剤形。
【請求項14】
カプセル剤である、請求項1に記載の剤形。
【請求項15】
前記1またはそれ以上の悪臭剤、インジケータ色素および微細な不溶性粒状物質が、顆粒、ビーズまたは錠剤中に含まれている、請求項14に記載の剤形。
【請求項16】
前記顆粒、ビーズまたは錠剤が、薬学的に許容される保護コーティング、腸溶性コーティングまたは徐放性コーティングでコートされている、請求項15に記載の剤形。
【請求項17】
前記保護コーティングが、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー、およびpH5.0までの胃液に溶解性であるpH依存性カチオン性ポリマーからなる群から選択される、請求項16に記載の剤形。
【請求項18】
前記腸溶性コーティングが、4.5よりも高いpHで、選択された遅延時間後、または該コーティングされたユニットが胃を通過した後、溶解するpH感受性ポリマーである、請求項16に記載の剤形。
【請求項19】
前記pH感受性ポリマーが、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートトリメリテート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ポリビニルアセテートフタレート、カルボキシメチルエチルセルロース、および共重合化メタクリル酸/メタクリル酸メチルエステルからなる群から選択される、請求項16に記載の剤形。
【請求項20】
前記顆粒、ビーズまたはミニ錠剤が、胃腸管中で溶解しないコーティングでコートされている、請求項15に記載の剤形。
【請求項21】
前記胃腸管中で溶解しないコーティングが、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、エチルセルロース、ポリ(エチルアクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート)、およびポリ(トリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリド)からなる群から選択される、請求項20に記載の剤形。
【請求項22】
前記悪臭剤が、ワレリアナハーブ粗抽出物、イソ吉草酸、ベタイン、アニソール、ガーリックオイル、ガーリック粗抽出物、魚油、スカトール、メチルアルギニン、タウリン、トリメチルアミン、トリエチルアミンおよび3−メチル 2−ヘキサン酸からなる群から選択される、請求項14に記載の剤形。
【請求項23】
前記悪臭剤が、イソ吉草酸およびスカトールからなる群から選択される、請求項22に記載の剤形。
【請求項24】
前記インジケータ色素が、アルラレッド、アマランス、ブリリアントブルー、カンタキサンチン、カルミン、カルモイシン、カロテン、クルクミン、エリスロシン、グリーンS、インジゴカルミン、酸化鉄黒、酸化鉄赤、酸化鉄黄、パテントブルー、フロキシンO、ポンソー4R、キノリンイエロー、リボフラビン、サンセットイエロー、タートラジン、二酸化チタン、ベジタブルカーボンブラック、アナットー、ビート、ブラックキャロット、ブラックカラント、キャラメル、カルミン、カルミンレーキ、クロロフィル、コチニール、エルダーベリー、グレープスキン/グレープジュース、モルト、パプリカ、レッドキャベツ、ターメリック、およびアントシアニンからなる群から選択される、請求項14に記載の剤形。
【請求項25】
前記インジケータ色素がタートラジンである、請求項24に記載の剤形。
【請求項26】
前記微細な不溶性粒状物質が、ポリカルボフィル、メタクリル酸コポリマー、微結晶セルロース、ナトリウムスターチグリコレート、クロスポビドン、クロスカルメロースナトリウム、タルカム、および二酸化ケイ素からなる群から選択される、請求項14に記載の剤形。
【請求項27】
錠剤である、請求項1に記載の剤形。
【請求項28】
前記1またはそれ以上の悪臭剤、インジケータ色素および微細な不溶性粒状物質が、顆粒またはビーズ中に含まれている、請求項27に記載の剤形。
【請求項29】
前記顆粒またはビーズが、薬学的に許容される保護コーティング、腸溶性コーティングまたは徐放性コーティングでコートされている、請求項28に記載の剤形。
【請求項30】
前記保護コーティングが、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリビニルピロリドン/酢酸ビニルコポリマー、エチルセルロース水性ディスパージョンおよびpH5.0までの胃液に溶解性であるpH依存性カチオン性ポリマーからなる群から選択される、請求項29に記載の剤形。
【請求項31】
前記腸溶性コーティングが、4.5よりも高いpHで、選択された遅延時間後、または該コーティングされたユニットが胃を通過した後、溶解するpH感受性ポリマーである、請求項29に記載の剤形。
【請求項32】
前記pH感受性ポリマーが、セルロースアセテートフタレート、セルロースアセテートトリメリテート、ヒドロキシプロピルメチルセルロースフタレート、ポリビニルアセテートフタレート、カルボキシメチルエチルセルロース、および共重合化メタクリル酸/メタクリル酸メチルエステルからなる群から選択される、請求項29に記載の剤形。
【請求項33】
前記顆粒、ビーズまたはミニ錠剤が、胃腸管中で溶解しないコーティングでコートされている、請求項28に記載の剤形。
【請求項34】
前記胃腸管中で溶解しないコーティングが、セルロースアセテート、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート、エチルセルロース、ポリ(エチルアクリレート)、ポリ(メチルメタクリレート)、およびポリ(トリメチルアンモニオエチルメタクリレートクロリド)からなる群から選択される、請求項33に記載の剤形。
【請求項35】
前記悪臭剤が、ワレリアナハーブ粗抽出物、イソ吉草酸、ベタイン、アニソール、ガーリックオイル、ガーリック粗抽出物、魚油、スカトール、メチルアルギニン、タウリン、トリメチルアミン、トリエチルアミン、および3−メチル 2−ヘキサン酸からなる群から選択される、請求項27に記載の剤形。
【請求項36】
前記悪臭剤が、イソ吉草酸およびスカトールからなる群から選択される、請求項35に記載の剤形。
【請求項37】
前記インジケータ色素が、アルラレッド、アマランス、ブリリアントブルー、カンタキサンチン、カルミン、カルモイシン、カロテン、クルクミン、エリスロシン、グリーンS、インジゴカルミン、酸化鉄黒、酸化鉄赤、酸化鉄黄、パテントブルー、フロキシンO、ポンソー4R、キノリンイエロー、リボフラビン、サンセットイエロー、タートラジン、二酸化チタン、ベジタブルカーボンブラック、アナットー、ビート、ブラックキャロット、ブラックカラント、キャラメル、カルミン、カルミンレーキ、クロロフィル、コチニール、エルダーベリー、グレープスキン/グレープジュース、モルト、パプリカ、レッドキャベツ、ターメリック、およびアントシアニンからなる群から選択される、請求項27に記載の剤形。
【請求項38】
前記インジケータ色素がタートラジンである、請求項37に記載の剤形。
【請求項39】
前記微細な不溶性粒状物質が、ポリカルボフィル、メタクリル酸コポリマー、微結晶セルロース、ナトリウムスターチグリコレート、クロスポビドン、クロスカルメロースナトリウム、タルカム、および二酸化ケイ素からなる群から選択される、請求項27に記載の剤形。
【請求項40】
経皮パッチである、請求項1に記載の剤形。
【請求項41】
液体懸濁剤である、請求項1に記載の剤形。
【請求項42】
乱用薬物を含有するカプセル剤または錠剤へ組み込まれ、そして消化される際に、仮にあったとしても小腸に到達した後に、溶解する、薬学的に許容される物質でコーティングされた顆粒、ビーズまたは錠剤中に含有された悪臭剤を含む、抑止粒子。
【請求項43】
乱用薬物を含有するカプセル剤または錠剤へ組み込まれ、そして摂取される際に、仮にあったとしても小腸に到達した後に、溶解する、薬学的に許容される物質でコーティングされた顆粒、ビーズまたは錠剤中に含有された色素を含む、抑止粒子。

【公表番号】特表2006−528976(P2006−528976A)
【公表日】平成18年12月28日(2006.12.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−532952(P2006−532952)
【出願日】平成16年5月12日(2004.5.12)
【国際出願番号】PCT/US2004/014709
【国際公開番号】WO2004/100894
【国際公開日】平成16年11月25日(2004.11.25)
【出願人】(506339316)スパーナス ファーマシューティカル インコーポレイテッド (23)
【Fターム(参考)】