説明

測位システム、端末装置、端末装置の制御方法、端末装置の制御プログラム、端末装置の制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体

【課題】1つの通信基地局と通信可能であって、1つの準天頂衛星から衛星信号を受信することができれば、現在位置を測位することができる測位システム等を提供すること。
【解決手段】通信基地局20は、通信基地局20の位置を示す基地局位置情報と、通信信号基地局20からの送信方向を示す送信方向情報を含む通信信号を送信する通信信号送信手段を有し、端末装置40は、通信基地局の位置を中心として基地局擬似距離情報に示される距離を半径とする球面と、準天頂衛星の位置を中心として衛星擬似距離情報に示される距離を半径とする球面との交点の集合である円として示される候補位置情報を生成する候補位置情報生成手段と、候補位置情報に示される円周上の位置から、送信方向情報に基づいて、一つの位置を特定し、測位位置情報を生成する測位位置情報生成手段等を有する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、通信基地局からの信号と準天頂衛星からの信号を利用する測位システム、端末装置、端末装置の制御方法、端末装置の制御プログラム、端末装置の制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、衛星航法システムである例えば、GPS(Global Positioning System)を利用してGPS受信機の現在位置を測位する測位システムや、携帯電話機の通信基地局からの電波を利用する測位システムが実用化されている。
GPS受信機や携帯電話機は、例えば、合計で3個以上のGPS衛星及び/又は通信基地局から電波を受信し、電波が各GPS衛星等から発信された時刻とGPS受信機等に到達した時刻との差(以後、遅延時間と呼ぶ)によって、各GPS衛星等とGPS受信機等との間の距離(以後、擬似距離と呼ぶ)を求める。そして、各GPS衛星等の位置と、上述の擬似距離を使用して、現在位置の測位演算を行うようになっている。この測位演算によって、例えば、緯度、経度及び高度からなる測位位置を取得することができる。
ところが、常に3個以上のGPS衛星及び/又は通信基地局から信号を受信することができるとは限らない。
これに対して、2つの通信基地局をそれぞれ中心として擬似距離を半径とする2つの球面の交点である円周上の点から、移動局の推論位置に最も近い点を選択する技術が提案されている(例えば、特許文献1)。
【特許文献1】特開2002−44711号公報(図3等)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかし、従来技術においては、2つの通信基地局から信号を受信することができない場合には、測位することができないという問題がある。
【0004】
そこで、本発明は、1つの通信基地局と通信可能であって、1つの準天頂衛星から衛星信号を受信することができれば、現在位置を測位することができる測位システム、端末装置、端末装置の制御方法、端末装置の制御プログラム、端末装置の制御プログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
前記目的は、第1の発明によれば、準天頂衛星からの信号である衛星信号を受信することができる端末装置と、前記端末装置と通信可能な通信基地局と、を有する測位システムであって、前記通信基地局は、前記通信基地局の位置を示す基地局位置情報と、前記通信基地局からの送信方向を示す送信方向情報を含む通信信号を送信する通信信号送信手段を有し、前記端末装置は、前記通信基地局から、前記通信信号を受信する通信信号受信手段と、前記通信信号から、前記基地局位置情報と前記送信方向情報を取得する基地局情報取得手段と、前記通信信号が前記通信基地局から前記端末装置に到達するまでの到達遅延時間に基づいて、前記通信基地局と前記端末装置との距離を示す基地局擬似距離情報を生成する基地局擬似距離情報生成手段と、前記準天頂衛星からの前記衛星信号に基づいて、前記準天頂衛星の軌道上の位置を示す衛星軌道位置情報を生成する衛星軌道位置情報生成手段と、前記衛星信号が前記準天頂衛星から前記端末装置に到達するまでの到達遅延時間に基づいて、前記準天頂衛星と前記端末装置との距離を示す衛星擬似距離情報を生成する衛星擬似距離情報生成手段と、前記基地局位置情報に示される前記通信基地局の位置を中心として前記基地局擬似距離情報に示される距離を半径とする球面と、前記衛星軌道位置情報に示される前記準天頂衛星の位置を中心として前記衛星擬似距離情報に示される距離を半径とする球面との交点の集合である円として示される候補位置情報を生成する候補位置情報生成手段と、前記候補位置情報に示される円周上の位置から、前記送信方向情報に基づいて、一つの位置を特定し、測位位置情報を生成する測位位置情報生成手段と、を有することを特徴とする測位システムにより達成される。
【0006】
第1の発明の構成によれば、前記通信基地局は、前記基地局情報送信手段を有するから、前記基地局位置情報と、前記送信方向情報を送信することができる。
一方、前記端末装置は、前記基地局情報取得手段を有するから、前記通信基地局から、前記基地局位置情報と前記送信方向情報を取得することができる。
そして、前記端末装置は、前記基地局擬似距離情報生成手段を有するから、前記基地局擬似距離情報を生成することができる。
そして、前記端末装置は、前記衛星軌道位置情報生成手段を有するから、前記準天頂衛星からの前記衛星信号に基づいて、前記衛星軌道位置情報を生成することができ、前記衛星擬似距離情報生成手段を有するから、前記衛星擬似距離情報を生成することができる。
さらに、前記端末装置は、前記候補位置情報生成手段を有するから、前記候補位置情報を生成することができ、前記測位位置情報生成手段を有するから、前記候補位置情報に示される円周上の位置から、前記送信方向情報に基づいて、一つの位置を特定し、測位位置情報を生成することができる。
これにより、前記測位システムによれば、前記端末装置が、1つの前記通信基地局と通信可能であって、1つの前記準天頂衛星から前記衛星信号を受信することができれば、現在位置を測位することができる。
【0007】
また、一般に、前記準天頂衛星を含む衛星からの信号を使用した測位の測位精度は、前記通信基地局からの前記通信信号を使用した測位の測位精度よりも高いと考えられる。これは、前記衛星信号を使用すると、精度が高い測位を行うことができることを意味する。
この点、上述のように、前記測位システムによれば、前記端末装置は、1つの前記通信基地局からの前記通信信号と、1つの前記準天頂衛星からの前記衛星信号を使用して、測位を行うから、複数の前記通信信号のみによる測位に比べて、精度が高い測位を行うことができる。
ここで、前記準天頂衛星は、例えば、常に少なくとも1個の前記準天頂衛星が仰角70度以上の高仰角となる軌道で運用されるシステムにおける人口衛星である。このため、前記端末装置は、一般の測位衛星であるGPS衛星からの電波を受信することが困難な場所である都市部の高層ビル街においても、測位を行うことができる。
また、前記準天頂衛星の軌道は高仰角であるから、GPS衛星等と比べて、マルチパスが発生しにくい。このため、前記準天頂衛星を使用する前記端末装置による測位の精度は、GPS衛星を使用する測位の精度よりも高い可能性が大きい。
【0008】
さらに、従来例のように現在位置の推論位置を使用する場合には、推論位置が誤っていれば、測位結果も誤ることになるが、前記端末装置は、推論によって得た情報を使用せずに、上述のように確実な根拠に基づいて前記測位位置情報を生成するから、信頼度が高い前記測位位置情報を生成することができる。
【0009】
前記目的は、第2の発明によれば、準天頂衛星からの信号である衛星信号を受信することができる端末装置であって、通信基地局から、通信信号を受信する通信信号受信手段と、前記通信基地局から、前記通信基地局の位置を示す前記基地局位置情報と、前記通信信号の送信方向を示す送信方向情報を取得する基地局情報取得手段と、前記通信信号が前記通信基地局から前記端末装置に到達するまでの到達遅延時間に基づいて、前記通信基地局と前記端末装置との距離を示す基地局擬似距離情報を生成する基地局擬似距離情報生成手段と、前記準天頂衛星からの前記衛星信号に基づいて、前記準天頂衛星の軌道上の位置を示す衛星軌道位置情報を生成する衛星軌道位置情報生成手段と、前記衛星信号が前記準天頂衛星から前記端末装置に到達するまでの到達遅延時間に基づいて、前記準天頂衛星と前記端末装置との距離を示す衛星擬似距離情報を生成する衛星擬似距離情報生成手段と、前記基地局位置情報に示される前記通信基地局の位置を中心として前記基地局擬似距離情報に示される距離を半径とする球面と、前記衛星軌道位置情報に示される前記準天頂衛星の位置を中心として前記衛星擬似距離情報に示される距離を半径とする球面との交点の集合である円周として示される候補位置情報を生成する候補位置情報生成手段と、前記候補位置情報に示される円周上の位置から、前記送信方向情報に基づいて、一つの位置を特定し、測位位置情報を生成する測位位置情報生成手段と、を有することを特徴とする端末装置によって達成される。
【0010】
第2の発明によれば、第1の発明の構成と同様に、前記端末装置は、1つの前記通信基地局と通信可能であって、1つの前記準天頂衛星から前記衛星信号を受信することができれば、現在位置を測位することができる。
さらに、前記端末装置は、1つの前記通信基地局からの前記通信信号と、1つの前記準天頂衛星からの前記衛星信号を使用して、測位を行うから、複数の前記通信信号のみによる測位に比べて、精度が高い測位を行うことができる。
【0011】
第3の発明は、第2の発明の構成において、前記測位位置情報生成手段は、前記候補位置情報に示される円周上の位置から、前記送信方向情報に示される前記送信方向の延長線である直線と最も近い一つの位置を特定して、前記測位位置情報を生成する構成となっていることを特徴とする端末装置である。
【0012】
第4の発明は、第2の発明の構成において、前記端末装置の位置の高度を示す高度情報を格納する高度情報格納手段を有し、前記測位位置情報生成手段は、前記候補位置情報に示される円周上の位置から、前記送信方向情報及び前記高度情報に基づいて、一つの位置を特定する構成となっていることを特徴とする端末装置である。
【0013】
第4の発明の構成によれば、前記測位位置情報生成手段は、前記候補位置情報に示される円周上の位置から、前記送信方向情報及び前記高度情報に基づいて、一つの位置を特定する構成となっている。すなわち、前記送信方向情報だけではなくて、前記高度情報も使用して、一つの位置を特定する。このため、前記送信方向情報のみに基づいて、一つの位置を特定する場合よりも、前記測位位置情報の信頼度が高くなる。
【0014】
第5の発明は、第4の発明の構成において、前記測位位置情報生成手段は、前記候補位置情報に示される円周と、前記高度情報に示される高度によって規定される平面との2つの交点を算出し、前記送信方向情報に基づいて、前記2つの交点から1つの交点を特定して、前記測位位置情報を生成する構成となっていることを特徴とする端末装置である。
【0015】
第5の発明の構成によれば、前記測位位置情報生成手段は、前記候補位置情報に示される円周と、前記高度情報に示される高度によって規定される平面との2つの交点を算出し、前記送信方向情報に基づいて、1つの交点を特定して、前記測位位置情報を生成する構成となっている。
すなわち、前記送信方向情報は、2つの交点から一つの交点を特定するために使用されるから、2つの交点から一つの交点を特定する程度の精度を有すれば十分である。
このため、前記送信方向情報の精度が低くても、2つの交点から一つの交点を特定する程度である限り、2つの交点から一つの交点を特定し、前記測位位置情報を生成することができる。
【0016】
前記目的は、第6の発明によれば、準天頂衛星からの信号である衛星信号を受信することができる端末装置が、通信基地局から、前記通信基地局の位置を示す基地局位置情報と、送信方向を示す送信方向情報を含む通信信号を受信する通信信号受信ステップと、前記端末装置が、前記通信信号から、前記基地局位置情報と、前記送信方向情報を取得する基地局情報取得ステップと、前記端末装置が、前記通信信号が前記通信基地局から前記端末装置に到達するまでの到達遅延時間に基づいて、前記通信基地局と前記端末装置との距離を示す基地局擬似距離情報を生成する基地局擬似距離情報生成ステップと、前記端末装置が、前記準天頂衛星からの前記衛星信号に基づいて、前記準天頂衛星の軌道上の位置を示す衛星軌道位置情報を生成する衛星軌道位置情報生成ステップと、前記端末装置が、前記衛星信号が前記準天頂衛星から前記端末装置に到達するまでの到達遅延時間に基づいて、前記準天頂衛星と前記端末装置との距離を示す衛星擬似距離情報を生成する衛星擬似距離情報生成ステップと、前記端末装置が、前記基地局位置情報に示される前記通信基地局の位置を中心として前記基地局擬似距離情報に示される距離を半径とする球面と、前記衛星軌道位置情報に示される前記準天頂衛星の位置を中心として前記衛星擬似距離情報に示される距離を半径とする球面との交点の集合である円周として示される候補位置情報を生成する候補位置情報生成ステップと、前記端末装置が、前記候補位置情報に示される円周上の位置から、前記送信方向情報に基づいて、一つの位置を特定し、測位位置情報を生成する測位位置情報生成ステップと、を有することを特徴とする端末装置の制御方法によって達成される。
【0017】
第6の発明の構成によれば、第2の発明の構成と同様に、前記端末装置は、1つの前記通信基地局と通信可能であって、1つの前記準天頂衛星から前記衛星信号を受信することができれば、現在位置を測位することができる。
さらに、前記端末装置は、1つの前記通信基地局からの前記通信信号と、1つの前記準天頂衛星からの前記衛星信号を使用して、測位を行うから、複数の前記通信信号のみによる測位に比べて、精度が高い測位を行うことができる。
【0018】
前記目的は、第7の発明によれば、コンピュータに、準天頂衛星からの信号である衛星信号を受信することができる端末装置が、通信基地局から、前記通信基地局の位置を示す前記基地局位置情報と、前記通信信号の送信方向を示す送信方向情報を含む通信信号を受信する通信信号受信ステップと、前記端末装置が、前記通信信号から、前記基地局位置情報と、前記送信方向情報を取得する基地局情報取得ステップと、前記端末装置が、前記通信信号が前記通信基地局から前記端末装置に到達するまでの到達遅延時間に基づいて、前記通信基地局と前記端末装置との距離を示す基地局擬似距離情報を生成する基地局擬似距離情報生成ステップと、前記端末装置が、前記準天頂衛星からの前記衛星信号に基づいて、前記準天頂衛星の軌道上の位置を示す衛星軌道位置情報を生成する衛星軌道位置情報生成ステップと、前記端末装置が、前記衛星信号が前記準天頂衛星から前記端末装置に到達するまでの到達遅延時間に基づいて、前記準天頂衛星と前記端末装置との距離を示す衛星擬似距離情報を生成する衛星擬似距離情報生成ステップと、前記端末装置が、前記基地局位置情報に示される前記通信基地局の位置を中心として前記基地局擬似距離情報に示される距離を半径とする球面と、前記衛星軌道位置情報に示される前記準天頂衛星の位置を中心として前記衛星擬似距離情報に示される距離を半径とする球面との交点の集合である円周として示される候補位置情報を生成する候補位置情報生成ステップと、前記端末装置が、前記候補位置情報に示される円周上の位置から、前記送信方向情報に基づいて、一つの位置を特定し、測位位置情報を生成する測位位置情報生成ステップと、を実行させることを特徴とする端末装置の制御プログラムによって達成される。
【0019】
前記目的は、第8の発明によれば、コンピュータに、準天頂衛星からの信号である衛星信号を受信することができる端末装置が、通信基地局から、前記通信基地局の位置を示す前記基地局位置情報と、前記通信信号の送信方向を示す送信方向情報を含む通信信号を受信する通信信号受信ステップと、前記端末装置が、前記通信信号から、前記基地局位置情報と、前記送信方向情報を取得する基地局情報取得ステップと、前記端末装置が、前記通信信号が前記通信基地局から前記端末装置に到達するまでの到達遅延時間に基づいて、前記通信基地局と前記端末装置との距離を示す基地局擬似距離情報を生成する基地局擬似距離情報生成ステップと、前記端末装置が、前記準天頂衛星からの前記衛星信号に基づいて、前記準天頂衛星の軌道上の位置を示す衛星軌道位置情報を生成する衛星軌道位置情報生成ステップと、前記端末装置が、前記衛星信号が前記準天頂衛星から前記端末装置に到達するまでの到達遅延時間に基づいて、前記準天頂衛星と前記端末装置との距離を示す衛星擬似距離情報を生成する衛星擬似距離情報生成ステップと、前記端末装置が、前記基地局位置情報に示される前記通信基地局の位置を中心として前記基地局擬似距離情報に示される距離を半径とする球面と、前記衛星軌道位置情報に示される前記準天頂衛星の位置を中心として前記衛星擬似距離情報に示される距離を半径とする球面との交点の集合である円周として示される候補位置情報を生成する候補位置情報生成ステップと、前記端末装置が、前記候補位置情報に示される円周上の位置から、前記送信方向情報に基づいて、一つの位置を特定し、測位位置情報を生成する測位位置情報生成ステップと、を実行させることを特徴とする端末装置の制御プログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な記録媒体によって達成される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、この発明の好適な実施の形態を添付図面等を参照しながら、詳細に説明する。
尚、以下に述べる実施の形態は、本発明の好適な具体例であるから、技術的に好ましい種々の限定が付されているが、本発明の範囲は、以下の説明において特に本発明を限定する旨の記載がない限り、これらの態様に限られるものではない。
【0021】
図1は、本発明の実施の形態に係る測位システム10等を示す概略図である。
図1に示すように、測位システム10は、端末40を有する。端末40は、衛星信号受信装置52を有し、準天頂衛星である例えば、準天頂衛星12からの信号である衛星信号の一例である信号Sを受信することができる。この端末40は、端末装置の一例である。
【0022】
準天頂衛星12は、複数の準天頂衛星12(図1では、1個の準天頂衛星12のみを示している)のうち少なくとも1個が日本では高仰角である例えば、仰角70度以上となる軌道で運用されるシステムにおける人口衛星である。詳細には、準天頂衛星12は、例えば、高度36,000キロメートル(km)の円軌道を赤道から約45度傾けた軌道に置く衛星システムであって、少なくとも3個の準天頂衛星12を同期して配置することにより、常に1個の準天頂衛星12が日本の天頂付近に滞留するようになっている。
【0023】
端末40は、また、通信装置54を有し、無線基地局20と通信可能である。無線基地局20(以後、基地局20と呼ぶ)は、端末40に通信信号CSを送信することができる。この基地局20は、通信基地局の一例である。
端末40は、基地局20及び通信網である例えば、インターネット網(図示せず)を介して、他の端末装置等と通信可能になっている。
後述のように、測位システム10において、端末40は、基地局20からの通信信号CSと、準天頂衛星12からの信号Sに基づいて、測位をすることができる。
【0024】
端末40は例えば、携帯電話機、PHS(Personal Handy−phone System)、PDA(Personal Digital Assistance等であるが、これらに限らない。
なお、基地局20及び端末40は、それぞれ複数存在するが、本実施の形態においては、説明及び図示を省略する。
【0025】
(基地局20の主なハードウエア構成について)
図2は基地局20の主なハードウエア構成を示す概略図である。
図2に示すように、基地局20は、コンピュータを有しており、コンピュータは、バス22を有する。
このバス22には、CPU(Central Processing Unit)24、記憶装置26、外部記憶装置28等が接続されている。記憶装置26は例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)等である。外部記憶装置28は例えば、HD(Hard Disk)等である。
なお、複数存在する基地局20間においては、時刻同期はとられていない。すなわち、測位システム10は、通信基地局間非同期のシステムにおいて、適用される。
【0026】
また、このバス22には、各種情報等を入力するための入力装置30、電源供給装置である電源装置32、基地局側通信装置34、及び、各種情報等を表示する表示装置36が接続されている。
【0027】
(端末40の主なハードウエア構成について)
図3は端末40の主なハードウエア構成を示す概略図である。
図3に示すように、端末40は、コンピュータを有しており、コンピュータは、バス42を有する。
このバス42には、CPU44、記憶装置46、入力装置48、電池50、衛星信号受信装置52、通信装置54及び表示装置56が接続されている。
【0028】
(基地局20の主なソフトウエア構成について)
図4は、基地局20の主なソフトウエア構成を示す概略図である。
図4に示すように、基地局20は、各部を制御する基地局制御部100、図2の基地局側通信装置34に対応する基地局通信部102、各種プログラムを格納する基地局第1記憶部110、各種情報を格納する基地局第2記憶部150を有する。
図4に示すように、基地局20は、基地局第2記憶部150に、基地局識別情報152を格納している。基地局識別情報152は、基地局20を他の通信基地局と識別するための情報である例えば、4桁の番号である。
【0029】
基地局20は、また、基地局第2記憶部150に基地局位置情報154を格納している。基地局位置情報154は、基地局20の位置を示す座標であり例えば、緯度、経度及び高度を3次元座標P1で示す情報である。この基地局位置情報154は、基地局位置情報の一例である。
【0030】
基地局20は、また、第2記憶部150に信号送信方向情報156を格納している。信号送信方向情報156は、通信信号CSの送信方向を示す情報である例えば、単位ベクトルD(a,b,c)を示す情報である。この信号送信方向情報156は、送信方向情報の一例である。
図4に示すように、基地局20は、基地局第1記憶部110に、基地局情報送信プログラム112を格納している。基地局情報送信プログラム112は、基地局制御部100が、基地局識別情報152、基地局位置情報154及び信号送信方向情報156を含む通信信号CSを送信するためのプログラムである。すなわち、基地局情報送信プログラム112と基地局制御部100は、通信信号送信手段の一例である。
具体的には、基地局制御部100は、通信中の端末40に対して、基地局識別情報152、基地局位置情報154及び信号送信方向情報156を含む通信信号CSを通信電波に乗せて送信する。
【0031】
(端末40の主なソフトウエア構成について)
図5は、端末40の主なソフトウエア構成を示す概略図である。
図5に示すように端末40は、各部を制御する制御部200、図3の衛星信号受信装置52に対応するGPS部202、図3の通信装置54に対応する通信部204、各種プログラムを格納する第1記憶部210、各種情報を格納する第2記憶部250を有する。
【0032】
図5に示すように、端末40は、第2記憶部250に、ユーザ識別情報252を格納している。ユーザ識別情報252は、端末40を他の端末装置と識別するための情報である。
【0033】
図5に示すように、端末40は、第2記憶部250に測位計算補助情報254を格納している。測位計算補助情報254は、すべての準天頂衛星12の概略の軌道情報であるアルマナック254a及び、各準天頂衛星12等の精密な軌道情報であるエフェメリス254bを含む。
【0034】
図5に示すように、端末40は、第1記憶部210に、基地局信号受信プログラム212を格納している。基地局信号受信プログラム212は、制御部200が通信部204によって、基地局20から通信信号CSを受信するためのプログラムである。すなわち、基地局信号受信プログラム212と制御部200は、通信信号受信手段の一例である。
【0035】
図5に示すように、端末40は、第1記憶部210に、基地局情報取得プログラム214を格納している。基地局情報取得プログラム214は、制御部200が、通信信号CSから、基地局位置情報154及び信号送信方向情報156を抽出し、端末側基地局位置情報256及び端末側信号送信方向情報258を取得するためのプログラムである。すなわち、基地局情報取得プログラム214と制御部200は、基地局情報取得手段の一例である。
具体的には、制御部200は、通信信号CSから、基地局位置情報154及び信号送信方向情報156を抽出し、基地局位置情報154を端末側基地局位置情報256として、信号送信方向情報156を端末側信号送信方向情報258として、第2記憶部250に格納する。
【0036】
図5に示すように、端末40は、第1記憶部210に、基地局信号到達遅延時間情報生成プログラム216を格納している。基地局信号到達遅延時間情報生成プログラム216は、制御部200が、通信信号CSの基地局20からの送信時刻と、端末40が通信信号CSを受信した時刻とから、通信信号CSが基地局20から端末40に到達するまでの時間td1(以後、基地局信号到達遅延時間td1と呼ぶ)を示す基地局信号到達遅延時間情報260を生成するためのプログラムである。
通信信号CSの基地局20からの送信時刻を示す情報は、通信信号CSに含まれている。端末40が通信信号CSを受信した時刻は、端末40内の時計(図示せず)によって計測する。
【0037】
図5に示すように、端末40は、第1記憶部210に、基地局擬似距離情報生成プログラム218を格納している。基地局擬似距離情報生成プログラム218は、制御部200が、基地局信号到達遅延時間td1に基づいて、基地局20と端末40との距離R1(以後、基地局擬似距離R1と呼ぶ)を示す基地局擬似距離情報262を生成するためのプログラムである。この基地局擬似距離情報262は基地局擬似距離情報の一例であり、基地局擬似距離情報生成プログラム218と制御部200は、基地局擬似距離情報生成手段の一例である。
具体的には、制御部200は、基地局信号到達遅延時間td1に、通信信号CSが乗せられた通信電波の速度である光速Vを乗じて、基地局擬似距離R1を算出する。
制御部200は、生成した基地局擬似距離情報262を第2記憶部250に格納する。
【0038】
図5に示すように、端末40は、第1記憶部210に、衛星信号受信プログラム220を格納している。衛星信号受信プログラム220は、端末40が、準天頂衛星12から信号Sを受信するためのプログラムである。
【0039】
図5に示すように、端末40は、第1記憶部210に、衛星軌道位置情報生成プログラム222を格納している。衛星軌道位置情報生成プログラム222は、制御部200が、信号Sに基づいて、準天頂衛星12の衛星軌道上の位置を示す衛星軌道位置情報264を生成するためのプログラムである。すなわち、衛星軌道位置情報生成プログラム222と制御部200は、衛星軌道位置情報生成手段の一例である。
具体的には、制御部200は、信号S1に乗せられている信号S1の送信時刻情報と、測位計算補助情報254のエフェメリス254bに基づいて、準天頂衛星12の衛星軌道上の位置P2を算出する。
制御部200は、生成した衛星軌道位置情報264を、第2記憶部250に格納する。
【0040】
図5に示すように、端末40は、第1記憶部210に、衛星信号遅延時間情報生成プログラム224を格納している。衛星信号遅延時間情報生成プログラム224は、制御部200が、準天頂衛星12から信号Sが送信された時刻と、端末40が信号Sを受信した時刻とに基づいて、信号S1が準天頂衛星12から端末40に到達するまでの時間td2(以後、衛星信号到達遅延時間td2と呼ぶ)を示す衛星信号到達遅延時間情報264を生成するためのプログラムである。
準天頂衛星12が信号Sを送信した時刻を示す情報は、信号Sに含まれている。端末40が信号Sを受信した時刻は、端末40内の時計(図示せず)によって計測する。
制御部200は、生成した衛星信号到達遅延時間情報264を、第2記憶部250に格納する。
【0041】
図5に示すように、端末40は、第1記憶部210に、衛星擬似距離情報生成プログラム226を格納している。衛星擬似距離情報生成プログラム226は、制御部200が、衛星信号到達遅延時間td2に基づいて、準天頂衛星12と端末40との距離R2(以後、衛星擬似距離R2と呼ぶ)を示す衛星擬似距離情報268を生成するためのプログラムである。この衛星擬似距離情報268は衛星擬似距離情報の一例であり、衛星擬似距離情報生成プログラム226と制御部200は、衛星擬似距離情報生成手段の一例である。
具体的には、制御部200は、衛星信号到達遅延時間td2に、信号Sが乗せられている電波の速度である光速Vを乗じて、衛星擬似距離R2を算出する。
制御部200は、生成した衛星擬似距離情報268を第2記憶部250に格納する
【0042】
図5に示すように、端末40は、第1記憶部210に、候補位置情報生成プログラム228を格納している。候補位置情報生成プログラム228は、制御部200が、図1に示すように、基地局20の位置P1を中心として基地局擬似距離R1を半径とする球面G1と、準天頂衛星12の位置P2を中心として衛星擬似距離R2を半径とする球面G2との交点の集合である円周Cとして示される候補位置情報270を生成するためのプログラムである。すなわち、候補位置情報生成プログラム228と制御部200は、候補位置情報生成手段の一例である。
端末40の現在位置は、円周C上のいずれかの位置である。
制御部200は生成した候補位置情報270を、第2記憶部250に格納する。
【0043】
図5に示すように、端末40は、第1記憶部210に、測位位置情報生成プログラム230を格納している。測位位置情報生成プログラム230は、制御部200が、候補位置情報270に示される円周C上の位置(図1参照)から、端末側送信方向情報258に示される単位ベクトルDに基づいて、測位位置情報272を生成するためのプログラムである。すなわち、測位位置情報生成プログラム230と制御部200は、測位位置情報生成手段の一例である。
具体的には、制御部200は、円周C上の位置(図1参照)から、図1に示すように、単位ベクトルDの延長線である直線Lに最も近い位置Q(以後、最短位置Qと呼ぶ)を特定する。
制御部200は、生成した測位位置情報272を、第2記憶部250に格納する。
【0044】
図5に示すように、端末40は、第1記憶部210に、測位位置情報出力プログラム232を格納している。測位位置情報出力プログラム232は、制御部200が、測位位置情報272を出力し、例えば、表示装置56(図3参照)に表示するためのプログラムである。
【0045】
測位システム10は、以上のように構成されている。
上述のように、基地局20は、端末40に対して、基地局位置情報154及び信号送信方向情報156を含む通信信号CSを送信することができる。
一方、端末40は、基地局20から、通信信号CSを受信し、基地局位置情報154及び信号送信方向情報156を取得することができる。
そして、端末40は、基地局擬似距離情報262を生成することができる。
また、端末40は、衛星軌道位置情報264及び衛星擬似距離情報268を生成することができる。
さらに、端末40は、候補位置情報270を生成することができ、その候補位置情報270に示される円周C上の位置から、端末側信号送信方向情報258に基づいて、一つの位置を特定し、測位位置情報272を生成することができる。
これにより、測位システム10によれば、端末40が、1つの基地局20と通信可能であって、1つの準天頂衛星12から信号Sを受信することができれば、現在位置を測位することができる。
【0046】
また、一般に、準天頂衛星12を含む衛星からの信号を使用した測位の測位精度は、基地局20等からの通信信号CS等を使用した測位の測位精度よりも高い。これは、準天頂衛星12等からの信号S等を使用すると、精度が高い測位を行うことができることを意味する。
この点、上述のように、端末40は、1つの基地局20からの通信信号CSと、1つの準天頂衛星12からの信号Sを使用して、測位を行うから、複数の通信信号CSのみによる測位に比べて、精度が高い測位を行うことができる。
上述のように、準天頂衛星12は、常に少なくとも1個の準天頂衛星12が仰角70度以上の高仰角となる軌道で運用されるシステムにおける人口衛星であるから、端末40は、一般の測位衛星であるGPS衛星からの電波を受信することが困難な場所である都市部の高層ビル街においても、測位を行うことができる。
また、準天頂衛星12の軌道は高仰角であるから、GPS衛星等と比べて、マルチパスが発生しにくい。このため、準天頂衛星を使用する端末40の測位の精度は、GPS衛星を使用する測位の精度よりも高い可能性が大きい。
【0047】
さらに、従来例のように現在位置の推論位置を使用する場合には、推論位置が誤っていれば、測位結果も誤ることになるが、端末40は、推論によって得た情報を使用せずに、上述のように確実な根拠に基づいて測位位置情報272を生成するから、信頼度が高い測位位位置情報272を生成することができる。
【0048】
以上が本実施の形態に係る測位システム10の構成であるが、以下、その動作例を主に図6を使用して説明する。
図6は、測位システム10の動作例を示す概略フローチャートである。
【0049】
まず、端末40は、基地局20から信号CSを受信する(図6のステップST1)。このステップST1は、通信信号受信ステップの一例である。
続いて、端末40は、通信信号CSから、端末側基地局位置情報256及び端末側信号送信方向情報258(図4参照)を取得する(ステップST2)。このステップST2は、基地局情報取得ステップの一例である。
【0050】
続いて、端末40は、基地局信号到達遅延時間情報260(図5参照)を生成する(ステップST3)。
続いて、端末40は、基地局擬似距離情報262を生成する(ステップST4)。このステップST4は、基地局擬似距離情報生成ステップの一例である。
【0051】
続いて、端末40は、準天頂衛星12から、信号S(図1参照)を受信する(ステップST5)。
続いて、端末40は、衛星軌道位置情報264(図5参照)を生成する(ステップST6)。このステップST6は、衛星軌道位置情報生成ステップの一例である。
【0052】
続いて、端末40は、衛星信号到達遅延時間情報266(図5参照)を生成する(ステップST7)。
続いて、端末40は、衛星擬似距離情報268(図5参照)を生成する(ステップST8)。このステップST8は、衛星擬似距離情報生成ステップの一例である。
【0053】
続いて、端末40は、端末側基地局位置情報256、基地局擬似距離情報262、衛星軌道位置情報264及び衛星擬似距離情報268に基づいて、候補位置情報270(図5参照)を生成する(ステップST9)。このステップST9は、候補位置情報生成ステップの一例である。
【0054】
続いて、端末40は、候補位置情報270に示される複数の位置から、端末側信号送信方向情報258に基づいて、一つの位置を特定し、測位位置情報272(図5参照)を生成する(ステップST10)。このステップST10は、測位位置情報生成ステップの一例である。
続いて、端末40は、測位位置情報272を出力し、例えば、表示装置56(図3参照)に表示する(ステップST11)。
【0055】
上述のように、端末40は、1つの基地局20と通信可能であって、1つの準天頂衛星12から信号Sを受信することができれば、現在位置を測位することができる。
さらに、端末40は、1つの基地局20からの通信信号CSと、1つの準天頂衛星12からの信号Sを使用して、測位を行うから、複数の通信信号CSのみによる測位に比べて、精度が高い測位を行うことができる。
【0056】
(第2の実施の形態)
次に、第2の実施の形態の測位システム10A(図1参照)について説明する。第2の実施の形態の測位システム10Aの構成は、上記第1の実施の形態の測位システム10と多くの構成が共通するため共通する部分は同一の符号等とし、説明を省略し、以下、相違点を中心に説明する。
第2の実施の形態の測位システム10Aにおける端末40Aは、端末40Aの位置の高度を示す情報も使用して、測位位置情報272を生成する。
【0057】
図7は、端末40Aの主なソフトウエア構成を示す概略図である。
図8は、測位位置情報272の生成方法の一例を示す図である。
図7に示すように、端末40Aは、第1記憶部210に、基地局情報取得プログラム214Aを格納している。基地局情報取得プログラム214Aは、制御部200が、基地局信号CSから端末側基地局位置情報256及び端末側信号送信方向情報258を取得するとともに、端末側基地局位置情報256に示される基地局20の位置P1の高度成分z1を端末高度情報274として抽出するためのプログラムである。
制御部200は、抽出した端末高度情報274を第2記憶部250に格納する。端末40Aは基地局20と通信中であり基地局20の通信圏内に位置するから、端末40Aは基地局20の高度を自己の位置の高度を示す端末高度情報274として使用する。
この端末高度情報274は高度情報の一例であり、第2記憶部250は高度情報格納手段の一例である。
【0058】
図7に示すように、端末40Aは、第1記憶部210に、測位位置情報生成プログラム230Aを格納している。測位位置情報生成プログラム230Aは、制御部200が、図8に示すように、候補位置情報270に示される円周C上の位置から、端末高度情報274及び端末側信号送信方向情報258に基づいて、一つの位置を特定するためのプログラムである。
具体的には、制御部200は、図8に示すように、まず、円周Cと、端末高度情報274に示される高度がz1である位置の集合である高度平面Hとの交点である位置Q1及びQ2を算出する。なお、円周Cは、球面G1と球面G2(図1参照)の交点の集合である。
【0059】
端末40Aは、円周C上であって、かつ、高度がz1である高度平面H上に位置するから、円周Cと高度平面Hの2つの交点のいずれかに位置する。すなわち、端末40Aの位置は、位置Q1又はQ2のいずれかである。
次に、制御部200は、端末側信号送信方向情報258に基づいて、一つの位置Q2を、端末40の位置として特定する。詳細には、端末側信号送信方向情報258に示される単位ベクトルDの示す方向の延長線である直線Lとの距離が短い方の位置Q2を端末40Aの位置として特定する。
制御部200は、このようにして生成した測位位置情報272Aを第2記憶部250に格納し、表示装置56(図3参照)に表示する。
【0060】
上述のように、端末40Aは、端末側信号送信方向情報258だけではなく、端末高度情報274も使用して、円周C上の位置から一つの位置を特定する。このため、端末側信号送信方向情報258のみに基づいて、一つの位置を特定する場合よりも、測位位置情報272Aの信頼度が高くなる。
また、端末側信号送信方向情報258は、2つの交点Q1及びQ2から一つの交点を特定するために使用されるから、2つの交点Q1及びQ2から一つの交点を特定する程度の精度を有すれば十分である。
このため、端末側信号送信方向情報258の精度が低くても、2つの交点Q1及びQ2から一つの交点を特定する程度である限り、2つの交点Q1及びQ2から一つの交点を特定し、測位位置情報272Aを生成することができる。
【0061】
(プログラム及びコンピュータ読み取り可能な記録媒体等について)
コンピュータに上述の動作例の通信信号受信ステップと、基地局情報取得ステップと、
基地局擬似距離情報生成ステップと、衛星軌道位置情報生成ステップと、衛星擬似距離情報生成ステップと、候補位置情報生成ステップと、測位位置情報生成ステップ等を実行させるための端末装置の制御プログラムとすることができる。
また、このような端末装置の制御プログラム等を記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体等とすることもできる。
【0062】
これら端末装置の制御プログラム等をコンピュータにインストールし、コンピュータによって実行可能な状態とするために用いられるプログラム格納媒体は、例えばフロッピー(登録商標)のようなフレキシブルディスク、CD−ROM(Compact Disc Read Only Memory)、CD−R(Compact Disc−Recordable)、CD−RW(Compact Disc−Rewritable)、DVD(Digital Versatile Disc)などのパッケージメディアのみならず、プログラムが一時的若しくは永続的に格納される半導体メモリ、磁気ディスクあるいは光磁気ディスクなどで実現することができる。
【0063】
本発明は、上述の各実施の形態に限定されない。さらに、上述の各実施の形態は、相互に組み合わせて構成するようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の実施の形態に係る測位システムを示す概略図である。
【図2】無線基地局の主なハードウエア構成を示す概略図である。
【図3】端末の主なハードウエア構成を示す概略図である。
【図4】無線基地局の主なソフトウエア構成を示す概略図である。
【図5】端末の主なソフトウエア構成を示す概略図である。
【図6】測位システムの動作例を示す概略フローチャートである。
【図7】端末の主なソフトウエア構成を示す概略図である。
【図8】測位位置情報の生成方法の一例を示す図である。
【符号の説明】
【0065】
10,10A・・・測位システム、12・・・準天頂衛星、20・・・無線基地局、40・・・端末、112・・・基地局情報送信プログラム、212・・・基地局情報受信プログラム、214,214A・・・基地局情報取得プログラム、216・・・基地局信号到達遅延時間情報生成プログラム、218・・・基地局擬似距離情報生成プログラム、220・・・衛星信号受信プログラム、222・・・衛星軌道位置情報生成プログラム、224・・・衛星信号遅延時間情報生成プログラム、226・・・衛星擬似距離情報生成プログラム、228・・・候補位置情報生成プログラム、230,230A・・・測位位置情報生成プログラム

【特許請求の範囲】
【請求項1】
準天頂衛星からの信号である衛星信号を受信することができる端末装置と、
前記端末装置と通信可能な通信基地局と、
を有する測位システムであって、
前記通信基地局は、
前記通信基地局の位置を示す基地局位置情報と、前記通信基地局からの送信方向を示す送信方向情報を含む通信信号を送信する通信信号送信手段を有し、
前記端末装置は、
前記通信基地局から、前記通信信号を受信する通信信号受信手段と、
前記通信信号から、前記基地局位置情報と前記送信方向情報を取得する基地局情報取得手段と、
前記通信信号が前記通信基地局から前記端末装置に到達するまでの到達遅延時間に基づいて、前記通信基地局と前記端末装置との距離を示す基地局擬似距離情報を生成する基地局擬似距離情報生成手段と、
前記準天頂衛星からの前記衛星信号に基づいて、前記準天頂衛星の軌道上の位置を示す衛星軌道位置情報を生成する衛星軌道位置情報生成手段と、
前記衛星信号が前記準天頂衛星から前記端末装置に到達するまでの到達遅延時間に基づいて、前記準天頂衛星と前記端末装置との距離を示す衛星擬似距離情報を生成する衛星擬似距離情報生成手段と、
前記基地局位置情報に示される前記通信基地局の位置を中心として前記基地局擬似距離情報に示される距離を半径とする球面と、前記衛星軌道位置情報に示される前記準天頂衛星の位置を中心として前記衛星擬似距離情報に示される距離を半径とする球面との交点の集合である円として示される候補位置情報を生成する候補位置情報生成手段と、
前記候補位置情報に示される円周上の位置から、前記送信方向情報に基づいて、一つの位置を特定し、測位位置情報を生成する測位位置情報生成手段と、
を有することを特徴とする測位システム。
【請求項2】
準天頂衛星からの信号である衛星信号を受信することができる端末装置であって、
通信基地局から、通信信号を受信する通信信号受信手段と、
前記通信信号から、前記通信基地局の位置を示す前記基地局位置情報と、前記通信信号の送信方向を示す送信方向情報を取得する基地局情報取得手段と、
前記通信信号が前記通信基地局から前記端末装置に到達するまでの到達遅延時間に基づいて、前記通信基地局と前記端末装置との距離を示す基地局擬似距離情報を生成する基地局擬似距離情報生成手段と、
前記準天頂衛星からの前記衛星信号に基づいて、前記準天頂衛星の軌道上の位置を示す衛星軌道位置情報を生成する衛星軌道位置情報生成手段と、
前記衛星信号が前記準天頂衛星から前記端末装置に到達するまでの到達遅延時間に基づいて、前記準天頂衛星と前記端末装置との距離を示す衛星擬似距離情報を生成する衛星擬似距離情報生成手段と、
前記基地局位置情報に示される前記通信基地局の位置を中心として前記基地局擬似距離情報に示される距離を半径とする球面と、前記衛星軌道位置情報に示される前記準天頂衛星の位置を中心として前記衛星擬似距離情報に示される距離を半径とする球面との交点の集合である円周として示される候補位置情報を生成する候補位置情報生成手段と、
前記候補位置情報に示される円周上の位置から、前記送信方向情報に基づいて、一つの位置を特定し、測位位置情報を生成する測位位置情報生成手段と、
を有することを特徴とする端末装置。
【請求項3】
前記測位位置情報生成手段は、前記候補位置情報に示される円周上の位置から、前記送信方向情報に示される前記送信方向の延長線である直線と最も近い一つの位置を特定して、前記測位位置情報を生成する構成となっていることを特徴とする請求項2に記載の端末装置。
【請求項4】
前記端末装置の位置の高度を示す高度情報を格納する高度情報格納手段を有し、
前記測位位置情報生成手段は、前記候補位置情報に示される円周上の位置から、前記送信方向情報及び前記高度情報に基づいて、一つの位置を特定する構成となっていることを特徴とする請求項2に記載の端末装置。
【請求項5】
前記測位位置情報生成手段は、前記候補位置情報に示される円周と、前記高度情報に示される高度によって規定される平面との2つの交点を算出し、前記送信方向情報に基づいて、前記2つの交点から1つの交点を特定して、前記測位位置情報を生成する構成となっていることを特徴とする請求項4に記載の端末装置。
【請求項6】
準天頂衛星からの信号である衛星信号を受信することができる端末装置が、通信基地局から、前記通信基地局の位置を示す基地局位置情報と、送信方向を示す送信方向情報を含む通信信号を受信する通信信号受信ステップと、
前記端末装置が、前記通信信号から、前記基地局位置情報と、前記送信方向情報を取得する基地局情報取得ステップと、
前記端末装置が、前記通信信号が前記通信基地局から前記端末装置に到達するまでの到達遅延時間に基づいて、前記通信基地局と前記端末装置との距離を示す基地局擬似距離情報を生成する基地局擬似距離情報生成ステップと、
前記端末装置が、前記準天頂衛星からの前記衛星信号に基づいて、前記準天頂衛星の軌道上の位置を示す衛星軌道位置情報を生成する衛星軌道位置情報生成ステップと、
前記端末装置が、前記衛星信号が前記準天頂衛星から前記端末装置に到達するまでの到達遅延時間に基づいて、前記準天頂衛星と前記端末装置との距離を示す衛星擬似距離情報を生成する衛星擬似距離情報生成ステップと、
前記端末装置が、前記基地局位置情報に示される前記通信基地局の位置を中心として前記基地局擬似距離情報に示される距離を半径とする球面と、前記衛星軌道位置情報に示される前記準天頂衛星の位置を中心として前記衛星擬似距離情報に示される距離を半径とする球面との交点の集合である円周として示される候補位置情報を生成する候補位置情報生成ステップと、
前記端末装置が、前記候補位置情報に示される円周上の位置から、前記送信方向情報に基づいて、一つの位置を特定し、測位位置情報を生成する測位位置情報生成ステップと、
を有することを特徴とする端末装置の制御方法。
【請求項7】
コンピュータに、
準天頂衛星からの信号である衛星信号を受信することができる端末装置が、通信基地局から、前記通信基地局の位置を示す基地局位置情報と、送信方向を示す送信方向情報を含む通信信号を受信する通信信号受信ステップと、
前記端末装置が、前記通信信号から、前記基地局位置情報と、前記送信方向情報を取得する基地局情報取得ステップと、
前記端末装置が、前記通信信号が前記通信基地局から前記端末装置に到達するまでの到達遅延時間に基づいて、前記通信基地局と前記端末装置との距離を示す基地局擬似距離情報を生成する基地局擬似距離情報生成ステップと、
前記端末装置が、前記準天頂衛星からの前記衛星信号に基づいて、前記準天頂衛星の軌道上の位置を示す衛星軌道位置情報を生成する衛星軌道位置情報生成ステップと、
前記端末装置が、前記衛星信号が前記準天頂衛星から前記端末装置に到達するまでの到達遅延時間に基づいて、前記準天頂衛星と前記端末装置との距離を示す衛星擬似距離情報を生成する衛星擬似距離情報生成ステップと、
前記端末装置が、前記基地局位置情報に示される前記通信基地局の位置を中心として前記基地局擬似距離情報に示される距離を半径とする球面と、前記衛星軌道位置情報に示される前記準天頂衛星の位置を中心として前記衛星擬似距離情報に示される距離を半径とする球面との交点の集合である円周として示される候補位置情報を生成する候補位置情報生成ステップと、
前記端末装置が、前記候補位置情報に示される円周上の位置から、前記送信方向情報に基づいて、一つの位置を特定し、測位位置情報を生成する測位位置情報生成ステップと、
を実行させることを特徴とする端末装置の制御プログラム。
【請求項8】
コンピュータに、
準天頂衛星からの信号である衛星信号を受信することができる端末装置が、通信基地局から、前記通信基地局の位置を示す基地局位置情報と、送信方向を示す送信方向情報を含む通信信号を受信する通信信号受信ステップと、
前記端末装置が、前記通信信号から、前記基地局位置情報と、前記送信方向情報を取得する基地局情報取得ステップと、
前記端末装置が、前記通信信号が前記通信基地局から前記端末装置に到達するまでの到達遅延時間に基づいて、前記通信基地局と前記端末装置との距離を示す基地局擬似距離情報を生成する基地局擬似距離情報生成ステップと、
前記端末装置が、前記準天頂衛星からの前記衛星信号に基づいて、前記準天頂衛星の軌道上の位置を示す衛星軌道位置情報を生成する衛星軌道位置情報生成ステップと、
前記端末装置が、前記衛星信号が前記準天頂衛星から前記端末装置に到達するまでの到達遅延時間に基づいて、前記準天頂衛星と前記端末装置との距離を示す衛星擬似距離情報を生成する衛星擬似距離情報生成ステップと、
前記端末装置が、前記基地局位置情報に示される前記通信基地局の位置を中心として前記基地局擬似距離情報に示される距離を半径とする球面と、前記衛星軌道位置情報に示される前記準天頂衛星の位置を中心として前記衛星擬似距離情報に示される距離を半径とする球面との交点の集合である円周として示される候補位置情報を生成する候補位置情報生成ステップと、
前記端末装置が、前記候補位置情報に示される円周上の位置から、前記送信方向情報に基づいて、一つの位置を特定し、測位位置情報を生成する測位位置情報生成ステップと、
を実行させることを特徴とする端末装置の制御プログラムを格納したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2006−208033(P2006−208033A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−16813(P2005−16813)
【出願日】平成17年1月25日(2005.1.25)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】