説明

測定データ記録装置および測定データ記録システム

【課題】実際の測定時刻とは相違する時刻の測定データとして扱われる事態や、測定データの記録処理が煩雑化する事態を招くことなく、製造コストの低減、および測定データの送信に要する時間の短縮を図る。
【解決手段】記録処理において、記録処理の開始時刻、および測定処理を実行させる時間間隔を特定可能な第1の情報を記録すると共に、時刻補正処理30において、時刻補正データに対応する時刻が、最新に実行した測定処理の実行時刻以前の時刻、および次に実行する測定処理の実行時刻後の時刻のいずれかのときに(時刻補正データに対応する時刻に補正した場合に測定データの欠落または重複が生じるときに:ステップ32)、時刻補正処理30の開始以前に実行した測定処理の測定データを特定可能な第2の情報(現在時刻)と、時刻補正処理30後に最初に実行する測定処理の実行時刻を特定可能な第3の情報とを記録する(ステップ33)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定処理を実行して測定データを記録部に記録する測定データ記録装置、および測定データ記録装置と測定データ回収装置とを備えた測定データ記録システムに関するものである。
【背景技術】
【0002】
この種の測定データ記録装置を備えた測定データ記録システムとして、特開平7−131544号公報に遠隔監視システム(以下、「監視システム」ともいう)が開示されている。この監視システムは、監視対象体についての測定処理(上記公開公報における「計測処理」)を指定時刻に実行する複数の測定データ記録装置(上記公開公報における「リモート装置」)と、各測定データ記録装置を統括管理するセンタ装置とを備えて構成されている。この場合、各測定データ記録装置は、測定処理によって取得した測定データ(上記公開公報における「日報データ」)を測定処理の実行時刻に関連付けて記録するメモリを備え、センタ装置からの要求に応じてメモリから測定データを読み出してセンタ装置に送信する構成が採用されている。また、この監視システムでは、各測定データ記録装置毎の時刻のばらつきを補正するために、センタ装置が、測定データの送信要求時に各測定データ記録装置に対して時刻データを送信し、各測定データ記録装置が、送信された時刻データに基づいて内部時計の時刻を補正する処理を実行する構成が採用されている。
【0003】
この場合、一例として、所定の測定データ記録装置に対して例えば毎正時に測定処理を実行するように設定されている状態において、その測定データ記録装置の時刻が進んでいたために時刻補正処理によって前回の測定処理の実行時刻よりも前の時刻に補正したときには、時刻補正処理後において、既に測定処理が完了して測定データが記録されている時刻についての測定処理が再び実行されて、測定データが重複して記録された状態となる。したがって、この監視システムでは、既に測定処理が完了している時刻よりも前の時刻に内部時計の時刻を戻す時刻補正が必要なときに、時刻補正処理を実行した後の測定処理において、その測定データを、直前に実行した測定処理時の測定データを記録したアドレスに上書きすることにより、同じ時刻についての測定データが重複して記録された状態(同一時刻の測定データが2つ存在する状態)となるのを回避する構成が採用されている。
【0004】
一方、測定データ記録装置の時刻が遅れていたために時刻補正処理によって次回の測定処理を実行すべき時刻よりも後の時刻に補正したときには、測定処理が未実行の時刻が生じてその未実行の時刻についての測定データが欠落した状態となる。したがって、この監視システムでは、次回の測定処理の実行時刻よりも後の時刻に内部時計の時刻を進める時刻補正が必要なときに、時刻補正処理に先立って測定処理を実行して、その測定データをメモリに記録した後に時刻補正処理を実行することにより、測定データが欠落する事態を回避する構成が採用されている。このように、従来の監視システムでは、測定データの重複や欠落を招くことなく、各測定データ記録装置の時刻とセンタ装置の時刻とを一致させる構成が採用されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平7−131544号公報(第3−4頁、第1−8図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところが、従来の測定データ記録装置および監視システムには、以下の問題点が存在する。すなわち、従来の監視システムでは、測定データ記録装置が測定処理の実行時刻に関連付けて測定データを記録する構成が採用されている。この場合、この種の測定データ記録システムの用途としては、従来の監視システムのように1日数回程度の時間間隔で測定処理を実行させて測定データを記録させるといった用途(メモリに記録させる測定データの数が比較的少数である使用形態)だけでなく、例えば数分間隔で測定処理を実行させて測定データを記録させるといった用途(メモリに記録させる測定データの数が比較的多数である使用形態)も存在する。
【0007】
しかしながら、数分間隔での測定処理の実行に際して、従来の監視システムにおける測定データ記録装置のように、測定処理を実行する都度、その測定処理の実行時刻(以下、「測定時刻」ともいう)に関連付けて測定データを記録した場合には、測定処理の実行回数分の測定時刻のデータ(以下、「測定時刻データ」ともいう)がメモリに記録されて、この数多くの測定時刻データの記録によってメモリの記憶可能容量が減少することとなる。したがって、従来の監視システムでは、比較的短い時間間隔で測定処理を実行して数多くの測定データをメモリに記録するためには、記憶容量が大きいメモリを搭載する必要があり、これに起因して、その製造コストの低減が困難になっているという問題点がある。また、従来の監視システムでは、測定処理毎に、測定時刻を関連付けた(測定時刻データが一体となった)サイズが大きい測定データが測定データ記録装置によって生成されるため、このサイズが大きい測定データを測定データ記録装置からセンタ装置に送信するのに長時間を要するという問題点もある。
【0008】
一方、上記の問題点を解決すべく、例えば、各測定処理時には、上記の測定時刻データを個別的に記録せずに、各測定処理の結果だけを測定データとしてそれぞれ記録する(測定データを測定時刻に関連付けずに記録する)と共に、これらの測定データに関連付けて、最初の測定処理の実行時刻(一連の測定処理の開始時刻)と、各測定処理を実行する時間間隔とを記録する構成の測定データ記録装置が提案されている。このような構成を採用することにより、各測定処理毎に測定時刻データが記録される従来の監視システムにおける測定データ記録装置と比較して、数多くの測定処理を実行した場合においても、多数の測定時刻データの記録によってメモリの記憶可能容量が過剰に減少する事態が回避される。しかしながら、このような構成を採用した測定データ記録装置では、時刻補正に際して測定データの欠落や重複が生じるのを回避するために従来の監視システムにおける測定データ記録装置と同様の記録手順を採用したときに、時刻補正後に実行した測定処理の測定データが、実際の測定時刻とは相違する時刻の測定データとして扱われる事態を招くことがあるという問題点が存在する。
【0009】
具体的には、従来の監視システムにおける測定データ記録装置と同様の記録手順で測定データを記録する測定データ記録装置に対して、例えば2分間隔で測定処理を実行する旨の動作条件が設定され(測定処理を実行すべき時間間隔が2分の例)、かつ、この測定データ記録装置に4分の進みが生じている状態において、例えば測定処理の完了後1分が経過した時点において測定データ記録装置の時刻を4分戻したときには、この時刻補正処理後に最初に実行される測定処理(「時刻補正処理の直前に実行された測定処理の2分前に実行された測定処理」と同じ時刻に対応して実行される測定処理)によって生成される測定データが、時刻補正処理の直前に実行された測定処理の測定データのアドレスに上書きされる。より具体的には、例えば、時刻補正処理に際して07:05を07:01に補正する場合には、07:04までの測定データが既に記録された状態となっている。このため、時刻補正処理後の07:02に実行される測定処理の測定データは、時刻補正処理前の07:04に実行された測定処理の測定データのアドレスに上書きされることとなる。
【0010】
したがって、この例では、「時刻補正処理の3分前」に対応する時刻(07:02)の測定データが重複して記録されこととなる。このため、この例では、一連の測定処理が完了した時点において、最初の測定処理を実行した時刻(一連の測定処理の開始時刻)と、各測定処理を実行する時間間隔とに基づいて各測定データの測定時刻を特定したときに、時刻補正後に実行した各測定処理の測定データのすべてが、実際の測定時刻(補正後の時刻)に対する2分後の測定時刻の測定データとして扱われることとなる。具体的には、時刻補正処理後に最初に実行された測定処理の測定データは、実際には、07:02に実行された測定処理の測定データであるにも拘わらず、時刻補正処理前の07:02に実行された測定処理の測定データが重複して存在することに起因して、07:04に実行された測定処理の測定データとして扱われることとなる。また、時刻補正処理後の07:04に実行された測定処理の測定データは、時刻補正処理後の07:02に実行された測定処理の測定データが07:04に実行された測定処理の測定データとして扱われることに起因して、07:06に実行された測定処理の測定データとして扱われることとなる。さらに、時刻補正処理後の07:06以降、2分間隔で繰り返して実行された各測定処理の測定データについても、測定処理が実際に実行された時刻の2分後の測定データとして扱われることとなる。
【0011】
また、従来の監視システムにおける測定データ記録装置と同様の記録手順で測定データを記録する測定データ記録装置に対して、例えば2分間隔で測定処理を実行する旨の動作条件が設定され(測定処理を実行すべき時間間隔が2分の例)、かつ、この測定データ記録装置が4分の遅れが生じている状態において、例えば測定処理の完了後1分が経過した時点において時刻補正処理を実行する場合には、測定データ記録装置を4分進めることで未実施となる測定処理の回数が2回であるにも拘わらす、時刻補正処理の開始に先立って実行される測定処理が1回だけのため、1回分の測定データが欠落した状態となる。したがって、この例では、一連の測定処理が完了した時点において、最初の測定処理を実行した時刻(一連の測定処理の開始時刻)と、各測定処理を実行する時間間隔とに基づいて各測定データの測定時刻を特定したときに、時刻補正後に実行した各測定処理の測定データのすべてが、実際の測定時刻(補正後の時刻)に対する2分前の測定時刻の測定データとして扱われることとなる。
【0012】
具体的には、例えば、時刻補正処理に際して07:01を07:05に補正する場合には、07:00までの測定データが既に記録された状態となっている。このため、時刻補正処理に際して実行される測定処理の測定データは、後に、07:02に実行された測定処理の測定データとして扱われることとなる。また、時刻補正処理後に最初に実行された測定処理の測定データは、時刻補正処理に際して実行された測定処理の測定データが07:02に実行された測定処理の測定データとして取り扱われることに起因して、実際には、07:06に実行された測定処理の測定データであるにも拘わらす、07:04に実行された測定処理の測定データとして扱われることとなる。同様にして、時刻補正処理後の07:08以降、2分間隔で繰り返して実行された各測定処理の測定データについても、測定処理が実際に実行された時刻の2分前の測定データとして扱われることとなる。
【0013】
さらに、この種の測定データ記録装置では、電源遮断時における測定データの消失を回避するために、測定データを記録するメモリとして、フラッシュメモリ(不揮発性のメモリの一例)を採用することがある。この場合、フラッシュメモリは、測定データ等の記録データをブロック単位で読み書きする構成が採用されている。したがって、この種の測定データ記録装置において測定データを記録するためのメモリをフラッシュメモリで構成したときには、所望の測定データだけを上書きすることができないため、上書きしようとする測定データが記録されているブロック中のすべての測定データの読み出しおよび書き込みを実行する必要がある。このため、この種の測定データ記録装置において測定データを記録するためのメモリとしてフラッシュメモリを採用し、かつ、従来の監視システムにおける測定データ記録装置のような記録手順で測定データを記録する構成を採用する場合には、測定データの記録処理が煩雑化することとなる。
【0014】
本発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、実際の測定時刻とは相違する時刻の測定データとして扱われる事態や、測定データの記録処理が煩雑化する事態を招くことなく、製造コストの低減、および測定データの送信に要する時間の短縮を図り得る測定データ記録装置および測定データ記録システムを提供することを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成すべく請求項1記載の測定データ記録装置は、入力信号の電気的パラメータを測定して測定データを出力する測定処理を実行する測定部と、前記測定データを記録する記録部と、時刻データを出力する内部時計と、取得した時刻補正データに基づいて前記内部時計の時刻を補正する時刻補正処理、および前記時刻データに基づいて現在時刻を特定すると共に前記測定部を制御して予め設定された時間間隔で前記測定処理を実行させて当該測定部から出力された前記測定データを前記記録部に記録させる記録処理を実行する制御部とを備えた測定データ記録装置であって、前記制御部が、前記記録処理において、当該記録処理の開始時刻、および前記測定部に対して前記測定処理を実行させる前記時間間隔を特定可能な第1の情報を前記記録部に記録させると共に、前記時刻補正処理において、前記時刻補正データに対応する時刻が、前記測定部に対して最新に実行させた前記測定処理の実行時刻以前の時刻、および当該測定部に対して次に実行させる前記測定処理の実行時刻よりも後の時刻のいずれかのときに、当該時刻補正処理の開始以前に実行させた前記測定処理の前記測定データを特定可能な第2の情報と、当該時刻補正処理の完了後に最初に実行させる前記測定処理の実行時刻を特定可能な第3の情報とを前記記録部に記録させる。
【0016】
また、請求項2記載の測定データ記録装置は、請求項1記載の測定データ記録装置において、前記制御部が、前記第2の情報として、前記時刻補正処理によって補正される直前の前記内部時計の時刻を記録させる。
【0017】
また、請求項3記載の測定データ記録システムは、請求項1または2記載の測定データ記録装置と、当該測定データ記録装置から前記各測定データを回収するための測定データ回収装置とを備えている。
【0018】
さらに、請求項4記載の測定データ記録システムは、請求項3記載の測定データ記録システムにおいて、前記測定データ回収装置が、前記測定データ記録装置に前記時刻補正データを送信可能に構成され、前記測定データ記録装置が、前記測定データ回収装置から前記時刻補正データが送信されたときに前記時刻補正処理を開始する。
【発明の効果】
【0019】
請求項1記載の測定データ記録装置では、制御部が、測定データの記録処理において、記録処理の開始時刻、および測定部に対して測定処理を実行させる時間間隔を特定可能な第1の情報を記録部に記録させると共に、時刻補正処理において、時刻補正データに対応する時刻が、測定部に対して最新に実行させた測定処理の実行時刻以前の時刻、および測定部に対して次に実行させる測定処理の実行時刻よりも後の時刻のいずれかのときに、時刻補正処理の開始以前に実行させた測定処理の測定データを特定可能な第2の情報と、時刻補正処理の完了後に最初に実行させる測定処理の実行時刻を特定可能な第3の情報とを記録部に記録させる。また、請求項3記載の測定データ記録システムは、請求項1または2記載の測定データ記録装置と、測定データ記録装置から各測定データを回収するための測定データ回収装置とを備えている。
【0020】
したがって、請求項1記載の測定データ記録装置、および請求項3記載の測定データ記録システムによれば、測定処理の実行回数分の数多くの測定時刻データがメモリに記録される従来の監視システムにおける測定データ記録装置とは異なり、記録処理の開始時刻および測定処理の時間間隔を特定可能な第1の情報と、時刻補正処理の開始以前に実行させた測定処理の測定データを特定可能な第2の情報とを記録部に記録しておくことで、これらの情報をパーソナルコンピュータなどの「時刻の計算が可能な各種装置」(一例として、測定データ回収装置)に対して測定データと共に送信するか、または、リムーバブルメディアを介して引き渡すだけで、各測定処理毎の測定データを正確な測定時刻に関連付けて参照させることができる。このため、例えば数分間隔で測定処理を実行させて数多くの測定データを記録させる場合においても、測定データの測定時刻を特定させるための情報の記録によって記録部の記録可能容量が過剰に減少することがないため、記録容量が大きい記録部が不要となる結果、その製造コストを十分に低減することができる。また、これらの各データを測定データ回収装置等に対して送信する場合には、送信に要する時間を短縮することができる。また、測定データ記録装置による記録処理において測定データの上書きを実行しないため、測定データの記録処理が煩雑化する事態を回避することができる。
【0021】
請求項2記載の測定データ記録装置によれば、第2の情報として、時刻補正処理によって補正される直前の内部時計の時刻を記録させることにより、比較的小さなサイズのデータ(補正前の時刻を特定可能なデータ)によって時刻補正処理の開始以前に実行させた測定処理の測定データを確実に特定させることができる。
【0022】
請求項4記載の測定データ記録システムによれば、測定データ記録装置に時刻補正データを送信可能に測定データ回収装置を構成すると共に、測定データ回収装置から時刻補正データが送信されたときに時刻補正処理を開始するように測定データ記録装置を構成したことにより、例えば、測定データ回収装置と、測定データ記録装置に対して時刻補正データを送信して時刻補正処理を実行させる専用の装置(測定データ回収装置以外の装置)とを別個に用意して構成した測定データ記録システムとは異なり、測定データ回収装置を携行するだけで、測定データ記録装置の時刻の補正、および測定データ記録装置からの測定データ等の回収の双方を実行することができる。
【図面の簡単な説明】
【0023】
【図1】測定データ記録システム100(測定データ記録装置1および測定データ回収装置2)のブロック図である。
【図2】測定データ記録装置1によって実行される時刻補正処理30のフローチャートである。
【図3】測定データ回収装置2によって実行される測定データ回収処理40のフローチャートである。
【図4】測定データ回収処理40における測定データ記録処理50のフローチャートである。
【図5】測定データ記録装置1の内部時計12に遅れが生じた状態について説明するための説明図である。
【図6】測定データD1および補正処理結果データD2の一例を示すデータ構造図である。
【図7】測定データD10の一例を示すデータ構造図である。
【図8】測定データ記録装置1の内部時計12に進みが生じた状態について説明するための説明図である。
【図9】測定データD1および補正処理結果データD2の他の一例を示すデータ構造図である。
【図10】測定データD10の他の一例を示すデータ構造図である。
【発明を実施するための形態】
【0024】
以下、本発明に係る測定データ記録装置および測定データ記録システムの実施の形態について、添付図面を参照して説明する。
【0025】
図1に示すように、測定データ記録システム100は、測定データ記録装置1および測定データ回収装置2を備えて構成されている。なお、この測定データ記録システム100は、複数台の測定データ記録装置1を備えて構成することもできるが、理解を容易とするために、1台の測定データ記録装置1と1台の測定データ回収装置2とで構成した例(1台の測定データ記録装置1と1台の測定データ回収装置2とを使用して測定データを記録する例)について以下に説明する。
【0026】
測定データ記録装置1は、測定部11、内部時計12、内部メモリ13、通信部14、外部メモリ装着部15、操作部16、表示部17および制御部18を備えている。測定部11は、入力信号の電気的パラメータを測定して測定データDsを出力する測定処理を実行する。具体的には、測定部11は、一例として、図示しない温度センサに接続されると共に、周囲の温度の変化に応じて温度センサによって入力された信号の電気的パラメータ(温度センサに接続された一対の信号ケーブル間の電圧値)を測定して測定データDsとして出力する。内部時計12は、現在時刻を計時して時刻データDt1を出力する。内部メモリ13は、記録部の一例であって、一例としてフラッシュメモリで構成されると共に、後述するように制御部18の制御に従って測定データD1や補正処理結果データD2(図6,9参照)を記録する。
【0027】
通信部14は、後述するようにして、測定データ回収装置2から送信された時刻補正データDt0や送信要求信号S0を受信して制御部18に転送すると共に、制御部18の制御に従って測定データD1や補正処理結果データD2を測定データ回収装置2に送信する。外部メモリ装着部15は、既存のメモリカードM(リムーバブルメモリ)を装着可能に構成されると共に、制御部18の制御に従い、装着されたメモリカードMに対する各種記録データの記録および読み出しを実行する。操作部16は、測定データD1の記録処理を開始/停止するためのスタート/ストップスイッチや測定データ記録装置1の動作条件を設定するための各種操作スイッチを備え、スイッチ操作に応じた操作信号を制御部18に出力する。表示部17は、一例として液晶表示パネルを備え、制御部18の制御に従い、測定結果や、測定データ記録装置1の動作状態などの各種の文字情報を表示する。
【0028】
制御部18は、測定データ記録装置1を総括的に制御する。具体的には、制御部18は、測定データ回収装置2から送信されて通信部14によって受信された時刻補正データDt0(「取得した時刻補正データ」の一例)に基づいて内部時計12の時刻を補正する時刻補正処理30(図2参照)を実行する。また、制御部18は、内部時計12から出力された時刻データDt1に基づいて現在時刻を特定すると共に、測定部11を制御して予め設定された時間間隔で測定処理を実行させる。さらに、制御部18は、測定処理によって測定部11から出力された測定データDsに基づいて測定データ記録装置1の周囲(温度センサの周囲)の温度を演算して測定データを生成し、生成した測定データを測定データD1各レコードに順次追記して内部メモリ13に記録させる記録処理を実行する。なお、以下の説明においては、測定データDsに基づいて演算した測定データと、この測定データを順次追記した測定データD1とを区別するために、上記の「演算した測定データ」を「測定値」ともいう。
【0029】
この場合、制御部18は、記録処理において、記録処理の開始時刻、および測定部11に対して測定処理を実行させる時間間隔を特定可能な情報(第1の情報)を上記の測定データD1に含ませて内部メモリ13に記録させる。なお、測定データD1の各レコードに測定値を順次追記する構成に代えて、内部メモリ13内にリングバッファ形式で最新の所定数の測定値を順次記録する複数の記録領域を規定し、この記録領域内に先入れ先出し法に従って測定値を順次記録する構成を採用することもできる。また、制御部18は、時刻補正処理において、時刻補正データに対応する時刻が、測定部11に対して最新に実行させた測定処理の実行時刻以前の時刻、および測定部11に対して次に実行させる測定処理の実行時刻よりも後の時刻のいずれかのときに、時刻補正処理の開始以前に実行させた各測定処理の測定値を特定可能な情報(第2の情報:一例として、時刻補正処理によって補正される直前の内部時計12の時刻)と、時刻補正処理の完了後に最初に実行させる測定処理の実行時刻を特定可能な情報(第3の情報)とを記録した補正処理結果データD2(図6,9参照)を内部メモリ13に記録させる。
【0030】
一方、測定データ回収装置2は、ハードディスクドライブ21、内部時計22、内部メモリ23、通信部24、外部メモリ装着部25、操作部26、表示部27および制御部28を備えている。ハードディスクドライブ21は、後述するようにして測定データ記録装置1から送信された測定データD1および補正処理結果データD2に基づいて制御部28によって生成された測定データD10(測定データ記録装置1から回収した「測定データD1の測定値」を整理した測定データD10)を記録する。内部時計22は、現在時刻を計時して時刻データDt2を出力する。内部メモリ23は、測定データ記録装置1から送信された測定データD1および補正処理結果データD2や、制御部28の演算結果を一時的に記憶する。
【0031】
通信部24は、後述するようにして、制御部28の制御に従って時刻補正データDt0や送信要求信号S0を測定データ記録装置1に送信すると共に、測定データ記録装置1から送信された測定データD1や補正処理結果データD2を受信して制御部28に転送する。外部メモリ装着部25は、測定データ記録装置1の外部メモリ装着部15と同様にして、既存のメモリカードM(リムーバブルメモリ)を装着可能に構成されると共に、制御部28の制御に従い、装着されたメモリカードMに対する各種記録データの記録および読み出しを実行する。操作部26は、キーボードと、マウスなどのポインティングデバイスで構成されて、これらの操作に応じた操作信号を制御部28に出力する。表示部27は、一例として液晶表示パネルを備え、制御部28の制御に従って各種表示画面を表示する。
【0032】
制御部28は、測定データ回収装置2を総括的に制御する。具体的には、制御部28は、内部時計22から取得した時刻データDt2基づき、測定データ記録装置1の内部時計12の時刻を補正するための時刻補正データDt0を生成する。また、制御部28は、通信部24を制御して、測定データ記録装置1に時刻補正データDt0を送信させる。さらに、制御部28は、通信部24を制御して測定データ記録装置1に送信要求信号S0を送信させると共に、測定データ記録装置1から送信された(通信部24によって受信された)測定データD1および補正処理結果データD2に基づいて測定データD10を生成してハードディスクドライブ21に記録させる。この場合、測定データ回収装置2は、一例として携帯型のパーソナルコンピュータで構成されている。なお、測定データ回収装置2に代えて、専用の測定データ回収装置(パーソナルコンピュータ等の汎用の装置を利用しない構成)を採用して測定データ記録システムを構成することもできる。
【0033】
この測定データ記録システム100によって測定対象体の温度を所定時間間隔で測定して記録する(記録処理を実行させる)際には、一例として、測定データ記録装置1の操作部16を操作して、記録処理の開始時刻、および測定時間間隔を設定する。この際には、一例として、「07:00(午前7時)」から「2分間隔」で「30分間」に亘って複数回の測定処理を実行するように設定する。次いで、操作部16のスタート/ストップスイッチを操作して記録処理を開始させる。これに応じて、制御部18が、図6,9に示すように、一例として、測定データD1のヘッダ情報の一部として、記録処理の開始時刻(この例では、「YYYY年MM月DD日の07:00」)と、測定処理の時間間隔(この例では、「00:02(2分)」)とを特定可能な情報(第1の情報)を生成して、この測定データD1を内部メモリ13に記録させる。同時に、制御部18は、内部時計12から出力される時刻データDt1に基づいて現在時刻を特定して「07:00」が到来したか否かの監視を開始する。
【0034】
また、「07:00」が到来したときには、制御部18は、測定部11を制御して1回目の測定処理を実行させる。この際に、測定部11は、温度センサに接続された一対の信号ケーブル間の電圧値)を測定して測定データDsとして出力する。また、制御部18は、測定部11から出力された測定データDsに基づいて測定データ記録装置1の周囲(温度センサの周囲)の温度を演算し、図5,6,8,9に示すように、演算結果(測定値:この例では「20.1℃」)を内部メモリ13内の測定データD1の第1レコードに追記する(1回目の測定処理の完了)。次いで、制御部18は、内部時計12から出力される時刻データDt1に基づいて現在時刻を特定して次の測定処理の実行時刻(この例では、「07:02」)の到来を監視する。また、「07:02」が到来したときには、制御部18は、測定部11を制御して2回目の測定処理を実行させる。これにより、1回目の測定処理時と同様にして測定部11から出力された測定データDsに基づいて制御部18によって周囲の温度が演算され、図5,6,8,9に示すように、演算結果(測定値:この例では「20.5℃」)が内部メモリ13内の測定データD1の第2レコードに追記される(2回目の測定処理の完了)。
【0035】
一方、この測定データ記録システム100では、測定データ記録装置1の内部時計12の時刻を測定データ回収装置2の内部時計22の時刻に合わせるようにして補正することが可能となっている。具体的には、時刻補正すべき測定データ記録装置1と測定データ回収装置2とを通信可能状態に接続した後に(測定データ記録装置1の通信部14と測定データ回収装置2の通信部24との接続を確立した後に)、測定データ回収装置2の操作部26を操作して、時刻補正の開始を指示する。この際に、測定データ回収装置2の制御部28は、内部時計22から出力された時刻データDt2に基づいて時刻補正データDt0を生成すると共に、通信部24を制御して時刻補正データDt0を測定データ記録装置1に送信させる。
【0036】
また、測定データ記録装置1の制御部18は、測定データ回収装置2から送信された時刻補正データDt0が通信部14によって受信されたときに(「時刻補正データが送信されたとき」の一例)、図2に示す時刻補正処理30を開始する。この時刻補正処理30では、制御部18は、まず、内部時計12から出力された時刻データDt1に基づいて現在時刻を特定する(ステップ31)。次いで、制御部18は、内部時計12の時刻を測定データ回収装置2から送信された時刻補正データDt0に対応する時刻に補正した場合に、内部メモリ13に記録すべき測定値の欠落または重複が生じるか否かを判別する(ステップ32)。
【0037】
具体的には、一例として、図5に示すように、内部時計12の時刻(補正前の時刻)が「07:03」の時点において測定データ回収装置2から時刻補正データDt0が送信され、この時刻補正データDt0が「現在時刻を07:07に補正せよ」との内容であったものとする(内部時計12の時刻に4分の遅れが生じている状態の例)。この例では、内部時計12の時刻を「07:03」から「07:07」に進める補正を行うことにより、2回目の測定処理(実行時刻が「07:02」の測定処理)の次に実行すべき3回目の測定処理(実行時刻が「07:04」の測定処理)と、その次に実行すべき4回目の測定処理(実行時刻が「07:06」の測定処理)との2回の測定処理が実行されないこととなる(「時刻補正データに対応する時刻が、次に実行させる測定処理の実行時刻よりも後の時刻のとき」との状態の一例)。したがって、制御部18は、時刻補正データDt0に対応する時刻に補正した場合に、内部メモリ13に記録すべき各測定値に2回の測定処理分の欠落が生じると判別する。
【0038】
この際に、制御部18は、図6に示すように、欠落が生じると判別した時点における内部時計12の時刻(現在時刻:「第2の情報」の一例:この例では、「YYYY年MM月DD日07:03」)と、時刻補正処理30の完了後に測定部11に対して最初に実行させる測定処理の実行時刻(「第3の情報」の一例:この例では、「YYYY年MM月DD日07:08」)とを第1レコードに記録した補正処理結果データD2を生成して内部メモリ13に記録させる(ステップ33)。次いで、制御部18は、内部時計12の時刻を時刻補正データDt0に対応する時刻に補正し(ステップ34)、この時刻補正処理30を終了する。これにより、内部時計12の時刻が測定データ回収装置2における内部時計22の時刻と同期されて「07:07」に補正され、測定データ記録装置1の時刻補正が完了する。
【0039】
また、時刻補正処理30の完了後に「07:08」が到来したときには、制御部18は、測定部11を制御して3回目の測定処理を実行させる。これにより、1回目および2回目の測定処理時と同様にして測定部11から出力された測定データDsに基づいて制御部18によって周囲の温度が演算され、図5,6に示すように、演算結果(測定値:この例では「20.3℃」)が内部メモリ13内の測定データD1の第3レコードに追記される(3回目の測定処理の完了)。この後、制御部18は、「07:10」が到来したときに4回目の測定処理を実行させ、図5,6に示すように、演算結果(測定値:この例では「19.8℃」)を内部メモリ13内の測定データD1の第4レコードに追記させる。また、制御部18は、記録処理の開始から30分が経過した時点において最後の測定処理を測定部11に実行させ、測定データDsに基づいて演算した温度(測定値)を測定データD1に追記して記録処理(一連の測定処理)を終了する。
【0040】
一方、上記の例は、内部時計12の時刻に4分の遅れが生じていた例であるが、内部時計12の時刻に進みが生じている場合もある。具体的には、一例として、図8に示すように、内部時計12の時刻(補正前の時刻)が「07:05」の時点において測定データ回収装置2から時刻補正データDt0が送信され、この時刻補正データDt0が「現在時刻を07:01に補正せよ」との内容であったものとする(内部時計12の時刻に4分の進みが生じている状態の例)。この例では、内部時計12の時刻を「07:05」から「07:01」に戻す補正を行うことにより、実行時刻が「07:02」の測定処理、および実行時刻が「07:04」の測定処理が時刻補正処理30の前後においてそれぞれ実行されることとなる(「時刻補正データに対応する時刻が、最新に実行させた測定処理の実行時刻以前の時刻のとき」との状態の一例)。したがって、制御部18は、時刻補正データDt0に対応する時刻に補正した場合に、内部メモリ13に記録すべき各測定値に2回分の測定処理分の重複が生じると判別する(ステップ32)。
【0041】
この際に、制御部18は、図9に示すように、重複が生じると判別した時点における内部時計12の時刻(現在時刻:「第2の情報」の他の一例:この例では、「YYYY年MM月DD日07:05」)と、時刻補正処理30の完了後に測定部11に対して最初に実行させる測定処理の実行時刻(「第3の情報」の他の一例:この例では、「YYYY年MM月DD日07:02」)とを第1レコードに記録した補正処理結果データD2を生成して内部メモリ13に記録させる(ステップ33)。次いで、制御部18は、内部時計12の時刻を時刻補正データDt0に対応する時刻に補正し(ステップ34)、この時刻補正処理30を終了する。これにより、内部時計12の時刻が測定データ回収装置2における内部時計22の時刻と同期されて「07:01」に補正され、測定データ記録装置1の時刻補正が完了する。
【0042】
また、時刻補正処理30の完了後に「07:02(補正後の時刻)」が到来したときには、制御部18は、測定部11を制御することにより、「07:00(補正前の時刻)」、「07:02(補正前の時刻)」および「07:04(補正前の時刻)」に次いで4回目の測定処理を実行させる。これにより、測定部11から出力された測定データDsに基づいて制御部18によって周囲の温度が演算され、図8,9に示すように、演算結果(この例では、「19.8℃」)が内部メモリ13内の測定データD1の第4レコードに追記される(4回目の測定処理の完了)。この後、制御部18は、「07:04」が到来したときに5回目の測定処理を実行させ、図8,9に示すように、演算結果(測定値:この例では「19.7℃」)を内部メモリ13内の測定データD1の第5レコードに追記させる。また、制御部18は、記録処理の開始から30分が経過した時点において最後の測定処理を測定部11に実行させ、測定データDsに基づいて演算した温度(測定値)を測定データD1に追記して記録処理(一連の測定処理)を終了する。
【0043】
なお、上記の2つの例では、内部時計12の時刻に遅れ、または、進みが生じていたが、測定データD1の記録処理中に測定データ回収装置2から時刻補正データDt0が送信されなかったとき(時刻補正処理30を実行しなかったとき)、および、時刻補正処理30を実行したものの、内部時計12の遅れや進みが極く短時間で時刻補正によって測定値の欠落や重複が生じなかったとき(補正した時間が測定時間間隔よりも短かったとき)には、上記の補正処理結果データD2が生成されることなく、記録処理が終了する。したがって、この測定データ記録システム100では、内部メモリ13内に補正処理結果データD2が存在するときには、測定値の欠落または重複が生じた状態であることとなり、内部メモリ13内に補正処理結果データD2が存在しないときには、測定値の欠落または重複が生じていない状態であることとなる。
【0044】
また、この測定データ記録システム100では、測定データ記録装置1の内部メモリ13に記録した測定データD1を測定データ回収装置2によって回収することが可能となっている。具体的には、測定データ回収装置2の操作部26が操作されて測定データの回収を指示されたときに、制御部28は、図3に示す測定データ回収処理40を開始する。この測定データ回収処理40では、制御部28は、まず、通信部24を制御して測定データ記録装置1に送信要求信号S0を送信させて、測定データD1や補正処理結果データD2を取得する(ステップ41)。具体的には、送信要求信号S0が送信されたときに、測定データ記録装置1の制御部18が、内部メモリ13から測定データD1および補正処理結果データD2を読み出して通信部14から測定データ回収装置2に送信させる。この際に、上記したように補正処理結果データD2が内部メモリ13に記録されていないときには、制御部18は、測定データD1だけを測定データ回収装置2に送信させる。
【0045】
また、測定データ回収装置2では、制御部28が、通信部24によって受信された測定データD1や補正処理結果データD2を内部メモリ23に記憶させた後に、図4に示す測定データ記録処理50を開始する。この測定データ記録処理50では、制御部28は、まず、測定データ記録装置1から補正処理結果データD2が送信されたか否かに基づき、測定データD1の各レコードに記録された各測定処理毎の測定値に欠落や重複が生じているか否かを判別する(ステップ51)。この際に、補正処理結果データD2が存在しなかったときには、前述したように、測定データD1の各レコードに記録された測定値に欠落や重複が生じていなかったこととなる。
【0046】
したがって、制御部28は、測定データD1のヘッダ情報の一部として記録されている記録処理の開始時刻(この例では、「YYYY年MM月DD日の07:00」)と、測定処理の時間間隔(この例では、「00:02(2分)」)とに基づき、測定データD1における第nレコード(この例では、「n=1」)の測定値の測定時刻(その測定値が測定された測定処理の実行時刻)を特定する(ステップ52)。具体的には、第1レコードの測定値の測定時刻については、測定時間間隔(この例では、「2分」)に[n−1(この例では、1−1=0)]を乗じた時間(この例では、「0」)を測定開始時刻(この例では、「07:00」)に加算した時刻(この例では、「07:00」+「0」=「07:00」)であると演算する。次いで、制御部28は、測定データD1における第nレコードの測定値を、上記の特定した測定時刻に関連付けて、第Nレコード(この例では、第1レコード)の測定値として測定データD10を生成し、生成した測定データD10をハードディスクドライブ21に記録して(ステップ53)、測定データ回収処理40に戻る。
【0047】
また、制御部28は、測定データD1の各レコードにおけるすべての測定値の測定データD10としての記録が完了したか否かを判別し(ステップ42)、この際には、第2レコード以降の測定値の記録が完了していないと判別して、測定データ記録処理50を再び開始する。この場合、第2レコードの測定値の測定時刻については、測定時間間隔(「2分」)に[n−1(この例では、2−1=1)]を乗じた時間(この例では、「2分」)を測定開始時刻に加算した時刻(この例では、「07:00」+「2分」=「07:02」)であると演算する。次いで、制御部28は、測定データD1における第nレコードの測定値を、上記の特定した測定時刻に関連付けて、第Nレコード(この例では、第2レコード)の測定値としてハードディスクドライブ21内の測定データD10に追記して(ステップ53)、測定データ回収処理40に戻る。
【0048】
この後、制御部28は、測定データD1内のすべてのレコードの測定値の測定データD10としての記録が完了したときに(ステップ42)、この測定データ回収処理40を終了する。これにより、測定データ記録装置1から取得した測定データD1内の各測定値が、各測定処理の実行時刻順に並んだ測定データD10がハードディスクドライブ21内に記録され、測定データ記録装置1からの測定データD1の回収が完了する。
【0049】
一方、図5に示すように測定データD1の記録処理が実行されたことにより(記録処理中に時刻補正処理30が実行されて内部時計12が大きく進められたことにより)、図6に示す測定データD1および補正処理結果データD2が生成された状態において測定データ回収処理40を開始したときには、制御部28は、測定データD1や補正処理結果データD2を取得して内部メモリ23に記憶させた後に(ステップ41)、測定データ記録処理50を開始する。この際には、制御部28は、まず、測定データ記録装置1から補正処理結果データD2が送信されたか否かに基づき、測定データD1の各レコードに記録された各測定処理毎の測定値に欠落や重複が生じているか否かを判別する(ステップ51)。この際には、補正処理結果データD2が存在するため、各測定処理毎の測定値に欠落または重複が生じていると判別する。
【0050】
次いで、制御部28は、測定データD1における第nレコード(この例では、「n=1」)の測定値が時刻補正処理30の実行前に実行された測定処理の測定値であるか否かを判別する(ステップ54)。この場合、図6に示すように、測定データ記録装置1から取得した測定データD1は、「YYYY年MM月DD日の07:00」に記録処理が開始され、「00:02(2分)」の時間間隔で測定処理が実行されると共に、補正処理結果データD2に記録されているように、時刻補正処理30によって補正される直前の内部時計12の時刻が「YYYY年MM月DD日の07:03」となっている。このため、取得した測定データD1には、時刻補正処理30が開始された「07:03」までに、「07:00」および「07:02」の2回に亘って測定処理が実行されて、測定データD1における第1レコードおよび第2レコードにこの2回の測定処理の測定値が記録されているいると特定することができる。したがって、制御部28は、第nレコードの測定値が、第1レコードおよび第2レコードのいずれかに記録された測定値であるか否かに基づいて、その測定値が、時刻補正処理30の開始前に実行された測定処理の測定値であるか否かを特定する。この際には、第nレコード(この例では、「n=1」)の測定値が、時刻補正処理30の開始前に実行された測定処理の測定値であると判別する。
【0051】
次いで、制御部28は、第1レコードの測定値の測定時刻(その測定値が測定された測定処理の実行時刻)を特定する(ステップ52)。具体的には、制御部28は、記録処理の開始時刻(「07:00」)と、測定処理の時間間隔(「00:02(2分)」)とに基づき、測定データD1における第nレコード(この例では、「n=1」)の測定値の測定時刻を「07:00」+「0」=「07:00」であると特定する。次いで、制御部28は、この第nレコードの測定値を、上記の特定した測定時刻に関連付け、図7に示すように、第Nレコード(この例では、第1レコード)の測定値として測定データD10を生成してハードディスクドライブ21に記録し(ステップ53)、測定データ回収処理40に戻る。
【0052】
また、制御部28は、測定データD1における第2レコード以降の測定値の測定データD10としての記録が完了していないと判別し(ステップ42)、測定データ記録処理50を再び開始する。この際には、制御部28は、測定値に欠落または重複が生じていると判別すると共に(ステップ51)、測定データD1における第2レコードの測定値が、時刻補正処理30の実行前に実行された測定処理の測定値であると判別する(ステップ54)。次いで、制御部28は、この第2レコードの測定値の測定時刻を「07:02」)であると特定する(ステップ52)。続いて、制御部28は、測定データD1における第2レコードの測定値を、上記の特定した測定時刻に関連付けて、第Nレコード(この例では、第2レコード)の測定値としてハードディスクドライブ21内の測定データD10に追記して(ステップ53)、測定データ回収処理40に戻る。
【0053】
また、制御部28は、測定データD1における第3レコード以降の測定値の測定データD10としての記録が完了していないと判別し(ステップ42)、測定データ記録処理50を再び開始する。この際に、制御部28は、測定値に欠落または重複が生じていると判別する(ステップ51)。この場合、図5に示すように、測定データD1における第3レコードの測定値は、時刻補正処理30後に実行された測定処理の測定値である。したがって、制御部28は、測定データD1のヘッダ情報と補正処理結果データD2とに基づき、測定データD1における第3レコード以降の測定値は、時刻補正処理30の後に実行された測定処理の測定値であると判別する(ステップ54)。
【0054】
次いで、制御部28は、測定データD1のヘッダ情報と補正処理結果データD2とに基づき、時刻補正処理30の完了後に最初に実行された測定処理の実行時刻、およびその測定値が記録されているレコード番号「m」を特定する(ステップ55)。この際に、制御部28は、補正処理結果データD2に基づき、最初に実行された測定処理の実行時刻が「07:08」であると特定する。また、上記したように、時刻補正処理30の前に実行した測定処理の測定値の数が、測定データD1における第1レコードの測定値、および第2レコードの測定値の2つであるため、制御部28は、時刻補正処理30の完了後に最初に実行された測定処理の測定値が記録されているレコード番号「m」を「2+1=3」であると特定する。
【0055】
続いて、制御部28は、測定データD1における第3レコードに記録された測定値の測定時刻(その測定値が測定された測定処理の実行時刻)を特定する(ステップ56)。具体的には、第3レコードの測定値の測定時刻については、時刻補正処理30の完了後に最初に実行された測定処理の実行時刻(この例では「07:08」)に対して、測定時間間隔(この例では、「2分」)に[n−m(この例では、「n=3]、[m=3」のため「0」)]を乗じた時間(すなわち、この例では、「0」)を加算した時刻(この例では、「07:08」+「0」=「07:08」)であると演算する。次いで、制御部28は、図7に示すように、測定データD1における第3レコードの測定値を、上記の特定した測定時刻に関連付けて、第Nレコード(この例では、第3レコード)の測定値として測定データD10に追記して(ステップ53)、測定データ回収処理40に戻る。
【0056】
また、制御部28は、測定データD1における第4レコード以降の測定値の測定データD10としての記録が完了していないと判別し(ステップ42)、測定データ記録処理50を再び開始すると共に、測定値に欠落または重複が生じており(ステップ51)、第4レコードの測定値が、時刻補正処理30後に実行された測定処理の測定値であると判別する(ステップ54)。次いで、制御部28は、時刻補正処理30の完了後に最初に実行された測定処理の実行時刻、およびその測定値が記録されているレコード番号「m」をそれぞれ特定した後に(ステップ55)、第4レコードに記録された測定値の測定時刻(その測定値が測定された測定処理の実行時刻)を特定する(ステップ56)。
【0057】
具体的には、第4レコードの測定値の測定時刻については、時刻補正処理30の完了後に最初に実行された測定処理の実行時刻(「07:08」)に対して、測定時間間隔(「2分」)に[n−m(この例では、4−3=1)]を乗じた時間(この例では、「2分」)を加算した時刻(この例では、「07:08」+「2分」=「07:10」)であると演算する。次いで、制御部28は、図7に示すように、測定データD1における第4レコードの測定値を、上記の特定した測定時刻に関連付けて、第Nレコード(この例では、第4レコード)の測定値として測定データD10に追記して(ステップ53)、測定データ回収処理40に戻る。
【0058】
この後、制御部28は、測定データD1内のすべてのレコードの測定値の測定データD10としての記録が完了したときに(ステップ42)、この測定データ回収処理40を終了する。これにより、測定データ記録装置1から取得した測定データD1内の各測定値が、各測定処理の実行時刻順に並んだ測定データD10がハードディスクドライブ21内に記録され、測定データ記録装置1からの測定データD1の回収が完了する。この場合、測定データD1の記録処理中に時刻補正処理30が実行されて2回分の測定処理の測定値が欠落したこの例では、図7に示すように、測定データ回収装置2(制御部28)による測定データ回収処理40において、欠落した2つの測定値(この例では、「07:04」および「07:06」に実行されるべき測定処理に対応する2つの測定値)が存在しないものの、各測定値と、その測定値が測定された測定処理の実行時刻とが正確に対応付けられた測定データD10がハードディスクドライブ21に記録される。
【0059】
一方、図8に示すように測定データD1の記録処理が実行されたことにより(記録処理中に時刻補正処理30が実行されて内部時計12の時刻が大きく戻されたことにより)、図9に示す測定データD1および補正処理結果データD2が生成された状態において測定データ回収処理40を開始したときには、制御部28は、測定データD1や補正処理結果データD2を取得して内部メモリ23に記憶させた後に(ステップ41)、測定データ記録処理50を開始する。この際には、制御部28は、まず、測定データ記録装置1から補正処理結果データD2が送信されたか否かに基づき、測定データD1の各レコードに記録された各測定処理毎の測定値に欠落や重複が生じているか否かを判別する(ステップ51)。この際には、補正処理結果データD2が存在するため、各測定処理毎の測定値に欠落または重複が生じていると判別する。
【0060】
次いで、制御部28は、測定データD1における第nレコード(この例では、「n=1」)の測定値が時刻補正処理30の実行前に実行された測定処理の測定値であるか否かを判別する(ステップ54)。この場合、図9に示すように、測定データ記録装置1から取得した測定データD1は、「YYYY年MM月DD日の07:00」に記録処理が開始され、「00:02(2分)」の時間間隔で測定処理が実行されると共に、補正処理結果データD2に記録されているように、時刻補正処理30によって補正される直前の内部時計12の時刻が「YYYY年MM月DD日の07:05」となっている。このため、取得した測定データD1には、時刻補正処理30が開始された「07:05」までに、「07:00」、「07:02」および「07:04」の3回に亘って測定処理が実行されて、測定データD1における第1レコード、第2レコードおよび第3レコードにこの3回の測定処理の測定値が記録されていると特定することができる。したがって、制御部28は、第nレコードの測定値が、第1〜第3レコードに記録された測定値であるか否かに基づいて、その測定値が、時刻補正処理30の開始前に実行された測定処理の測定値であるか否かを特定する。この際には、第nレコード(この例では、「n=1」)の測定値が、時刻補正処理30の開始前に実行された測定処理の測定値であると判別する。
【0061】
続いて、制御部28は、記録処理の開始時刻(「07:00」)と、測定処理の時間間隔(「00:02(2分)」)とに基づき、測定データD1における第nレコード(この例では、「n=1」)の測定値の測定時刻を「07:00」+「0」=「07:00」であると特定する(ステップ52)。次いで、制御部28は、この第nレコードの測定値を、上記の特定した測定時刻に関連付け、図10に示すように、第Nレコード(この例では、第1レコード)の測定値として測定データD10を生成してハードディスクドライブ21に記録し(ステップ53)、測定データ回収処理40に戻る。
【0062】
また、制御部28は、測定データD1における第2レコード以降の測定値の測定データD10としての記録が完了していないと判別し(ステップ42)、測定データ記録処理50を再び開始する。この場合、図10に示すように、測定データD1における第2レコードの測定値は、上記の第1レコードの測定値の記録時と同様のステップを経て、「07:02」との測定時刻に関連付けられて測定データD10の第2レコードに記録され、測定データD1における第3レコードの測定値は、上記の第1レコードや第2レコードの測定値の記録時と同様のステップを経て、「07:04」との測定時刻に関連付けられて測定データD10の第3レコードに記録される。
【0063】
一方、測定データD1における第4レコードの測定値の記録が完了していないと判別し(ステップ42)、測定データ記録処理50を再び開始したときには、制御部28は、測定値に欠落または重複が生じていると判別した後に(ステップ51)、測定データD1のヘッダ情報と補正処理結果データD2とに基づき、第4レコードの測定値は、時刻補正処理30後に実行された測定処理の測定値であると判別する(ステップ54)。次いで、制御部28は、測定データD1のヘッダ情報と補正処理結果データD2とに基づき、時刻補正処理30の完了後に最初に実行された測定処理の実行時刻、およびその測定値が記録されているレコード番号「m」を特定する(ステップ55)。この際に、制御部28は、補正処理結果データD2に基づき、最初に実行された測定処理の実行時刻が「07:02」であると特定する。また、上記したように、時刻補正処理30の前に実行した測定処理の測定値の数が、測定データD1における第1レコードの測定値、第2レコードの測定値、および第3レコードの測定値の3つであるため、制御部28は、時刻補正処理30の完了後に最初に実行された測定処理の測定値が記録されているレコード番号「m」を「3+1=4」であると特定する。
【0064】
続いて、制御部28は、測定データD1における第4レコードに記録された測定値の測定時刻(その測定値が測定された測定処理の実行時刻)を特定する(ステップ56)。具体的には、第4レコードの測定値の測定時刻については、時刻補正処理30の完了後に最初に実行された測定処理の実行時刻(この例では、補正処理結果データD2に記録されている「07:02」)に対して、測定時間間隔(この例では、「2分」)に[n−m(この例では、「n=4]、[m=4」のため「0」)]を乗じた時間(すなわち、この例では、「0」)を加算した時刻(この例では、「07:02」+「0」=「07:02」)であると演算する。また、図10に示すように、測定データD10には、「07:02」に関連付けられた測定値が既に存在するため、制御部28は、一例として、測定データD1における第4レコードの測定値を、上記の特定した測定時刻(「07:02」)に関連付けて、既に存在する「07:02」の測定値に上書きして(第2レコードの測定値として追記して:ステップ53)、測定データ回収処理40に戻る。
【0065】
また、制御部28は、測定データD1における第5レコード以降の測定値の測定データD10としての記録が完了していないと判別し(ステップ42)、測定データ記録処理50を再び開始する。この場合、図10に示すように、測定データD1における第5レコードの測定値は、上記の第4レコードの測定値の記録時と同様のステップを経て、「07:04」との測定時刻に関連付けられて測定データD10の第3レコードに上書きされるようにして追記される。さらに、制御部28は、測定データD1における第6レコード以降の測定値の測定データD10としての記録が完了していないと判別し(ステップ42)、測定データ記録処理50を再び開始する。この際には、制御部28は、測定値に重複が生じており(ステップ51)、第6レコードの測定値が、時刻補正処理30の完了後に実行された測定処理の測定値であると判別する(ステップ54)。
【0066】
次いで、制御部28は、時刻補正処理30の完了後に最初に実行された測定処理の実行時刻、およびその測定値が記録されているレコード番号「m」をそれぞれ特定した後に(ステップ55)、第6レコードに記録された測定値の測定時刻(その測定値が測定された測定処理の実行時刻)を「07:06」であると特定する(ステップ56)。次いで、制御部28は、図10に示すように、測定データD1における第6レコードの測定値を、上記の特定した測定時刻に関連付けて、第Nレコード(この例では、第4レコード)の測定値として測定データD10に追記して(ステップ53)、測定データ回収処理40に戻る。
【0067】
この後、制御部28は、測定データD1内のすべてのレコードの測定値の測定データD10としての記録が完了したときに(ステップ42)、この測定データ回収処理40を終了する。これにより、測定データ記録装置1から取得した測定データD1内の各測定値が、各測定処理の実行時刻順に並んだ測定データD10がハードディスクドライブ21内に記録され、測定データ記録装置1からの測定データD1の回収が完了する。この場合、測定データD1の記録処理中に時刻補正処理30が実行されて2回分の測定処理の測定値が重複したこの例では、図10に示すように、測定データ回収装置2(制御部28)による測定データ回収処理40において、重複した2つの測定値(この例では、時刻補正処理30を実行する前の「07:02」および「07:04」に実行された測定処理に対応する2つの測定値と、時刻補正処理30の完了後の「07:02」および「07:04」に実行された測定処理に対応する2つの測定値との重複)の存在が考慮されて、一例として、時刻補正処理30の前に測定された測定値に時刻補正処理30の完了後に測定された測定値が上書きされて、各測定値と、その測定値が測定された測定処理の実行時刻とが正確に対応付けられた測定データD10がハードディスクドライブ21に記録される。
【0068】
このように、この測定データ記録装置1では、制御部18が、測定データの記録処理において、記録処理の開始時刻、および測定部11に対して測定処理を実行させる時間間隔を特定可能な情報(第1の情報)を含ませた測定データD1を内部メモリ13に記録させると共に、時刻補正処理30において、時刻補正データDt0に対応する時刻が、測定部11に対して最新に実行させた測定処理の実行時刻以前の時刻、および測定部11に対して次に実行させる測定処理の実行時刻よりも後の時刻のいずれかのときに、時刻補正処理30の開始以前に実行させた測定処理の測定データを特定可能な情報(第2の情報)と、時刻補正処理30の完了後に最初に実行させる測定処理の実行時刻を特定可能な情報(第3の情報)とを含ませた補正処理結果データD2を内部メモリ13に記録させる。また、この測定データ記録システム100は、測定データ記録装置1と、測定データ記録装置1から各測定データD1を回収するための測定データ回収装置2とを備えて構成されている。
【0069】
したがって、この測定データ記録装置1、および測定データ記録装置1を備えた測定データ記録システム100によれば、測定処理の実行回数分の数多くの測定時刻データがメモリに記録される従来の監視システムにおける測定データ記録装置とは異なり、測定データD1のヘッダ情報の一部として記録した記録処理の開始時刻、および測定処理の時間間隔(第1の情報)と、補正処理結果データD2とを内部メモリ13に記録しておくことで、これらの情報を測定データ回収装置2等に対して測定データD1と共に送信するか、または、リムーバブルメディアを介して引き渡すだけで、各測定処理毎の測定値を正確な測定時刻に関連付けて参照させることができる。このため、例えば数分間隔で測定処理を実行させて数多くの測定値を記録させる場合においても、測定値の測定時刻を特定させるための情報の記録によって内部メモリ13の記憶可能容量が過剰に減少することがないため、記憶容量が大きいメモリが不要となる結果、その製造コストを十分に低減することができる。また、これらの各データを測定データ回収装置2等に対して送信する場合には、送信に要する時間を短縮することができる。また、測定データ記録装置1による記録処理において測定データ(測定値)の上書きを実行しないため、測定データの記録処理が煩雑化する事態を回避することができる。
【0070】
また、この測定データ記録装置1によれば、上記の第2の情報として、時刻補正処理30によって補正される直前の内部時計12の時刻を記録させることにより、比較的小さなサイズのデータ(補正前の時刻を特定可能なデータ)によって時刻補正処理30の開始以前に実行させた測定処理の測定値を確実に特定させることができる。
【0071】
さらに、この測定データ記録システム100によれば、測定データ記録装置1に時刻補正データDt0を送信可能に測定データ回収装置2を構成すると共に、測定データ回収装置2から時刻補正データDt0が送信されたときに時刻補正処理30を開始するように測定データ記録装置1を構成したことにより、例えば、測定データ回収装置2と、測定データ記録装置1に対して時刻補正データDt0を送信して時刻補正処理30を実行させる専用の装置(測定データ回収装置2以外の装置)とを別個に用意して構成した測定データ記録システムとは異なり、測定データ回収装置2を携行するだけで、測定データ記録装置1の時刻の補正、および測定データ記録装置1からの測定データD1等の回収の双方を実行することができる。
【0072】
なお、測定データ回収処理40において、測定データ記録装置1の通信部14から送信された測定データD1や補正処理結果データD2を通信部24によって受信して処理する例について説明したが、メモリカードMを介して測定データD1や補正処理結果データD2を取得して処理することもできる。また、測定データ記録装置と測定データ回収装置とを通信ケーブル(図示せず)を介して相互に接続した状態において測定データ記録装置から測定データ回収装置に測定データD1や補正処理結果データD2を転送させて回収する構成や、測定データ記録装置と測定データ回収装置とを公衆回線網等の各種ネットワークを介して相互に接続した状態において測定データ記録装置から測定データ回収装置に測定データD1や補正処理結果データD2を転送させて回収する構成を採用することもできる。
【0073】
さらに、時刻補正処理の開始以前に実行させた測定処理の測定データを特定可能な情報(第2の情報)として、時刻補正処理30によって補正される直前の内部時計12の時刻を補正処理結果データD2に記録させる例について説明したが、時刻補正処理30を実行する直前に実行した測定処理の測定値を記録したレコード番号、および時刻補正処理30を実行した直後に実行した測定処理の測定値を記録したレコード番号のいずれかを第2の情報として記録する構成を採用することもできる。このような構成を採用した場合においても、第2の情報として記録したレコード番号に基づいて、時刻補正処理の開始以前に実行させた測定処理の測定データを確実かつ容易に特定することができる。
【0074】
また、時刻補正処理の完了後に最初に実行させる測定処理の実行時刻そのものを第3の情報として補正処理結果データD2に記録する例について説明したが、これに代えて、時刻補正処理30による補正が完了した時点の内部時計12の時刻(補正後の時刻)を記録する構成を採用することもできる。このような構成を採用した場合においても、第3の情報として記録した時刻に基づいて時刻補正処理の完了後に最初に実行させる測定処理の実行時刻を確実かつ容易に特定することができる。また、電気的パラメータとして温度を例に挙げて説明したが、これに限らず、電圧、電流、電力、気圧、水圧および照度などの各種パラメータの測定に適用が可能である。
【符号の説明】
【0075】
100 測定データ記録システム
1 測定データ記録装置
2 測定データ回収装置
11 測定部
12,22 内部時計
13,23 内部メモリ
18,28 制御部
21 ハードディスクドライブ
30 時刻補正処理
40 測定データ回収処理0
50 測定データ記録処理
Ds,D1,D10 測定データ
D2 補正処理結果データ
Dt0 時刻補正データ
Dt1,Dt2 時刻データ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
入力信号の電気的パラメータを測定して測定データを出力する測定処理を実行する測定部と、前記測定データを記録する記録部と、時刻データを出力する内部時計と、取得した時刻補正データに基づいて前記内部時計の時刻を補正する時刻補正処理、および前記時刻データに基づいて現在時刻を特定すると共に前記測定部を制御して予め設定された時間間隔で前記測定処理を実行させて当該測定部から出力された前記測定データを前記記録部に記録させる記録処理を実行する制御部とを備えた測定データ記録装置であって、
前記制御部は、前記記録処理において、当該記録処理の開始時刻、および前記測定部に対して前記測定処理を実行させる前記時間間隔を特定可能な第1の情報を前記記録部に記録させると共に、前記時刻補正処理において、前記時刻補正データに対応する時刻が、前記測定部に対して最新に実行させた前記測定処理の実行時刻以前の時刻、および当該測定部に対して次に実行させる前記測定処理の実行時刻よりも後の時刻のいずれかのときに、当該時刻補正処理の開始以前に実行させた前記測定処理の前記測定データを特定可能な第2の情報と、当該時刻補正処理の完了後に最初に実行させる前記測定処理の実行時刻を特定可能な第3の情報とを前記記録部に記録させる測定データ記録装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記第2の情報として、前記時刻補正処理によって補正される直前の前記内部時計の時刻を記録させる請求項1記載の測定データ記録装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の測定データ記録装置と、当該測定データ記録装置から前記各測定データを回収するための測定データ回収装置とを備えている測定データ記録システム。
【請求項4】
前記測定データ回収装置は、前記測定データ記録装置に前記時刻補正データを送信可能に構成され、
前記測定データ記録装置は、前記測定データ回収装置から前記時刻補正データが送信されたときに前記時刻補正処理を開始する請求項3記載の測定データ記録システム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2011−38834(P2011−38834A)
【公開日】平成23年2月24日(2011.2.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−184716(P2009−184716)
【出願日】平成21年8月7日(2009.8.7)
【出願人】(000227180)日置電機株式会社 (982)
【Fターム(参考)】