説明

測定プログラムのチェック方法及び測定機能を有する機械

【課題】動作内容を容易にチェックすることができ、信頼性の高い測定を行うことができる測定プログラムのチェック方法及び測定機能を有する機械を提供する。
【解決手段】測定プログラムの動作チェックをするチェックモードを選択して測定プログラムを起動し、表示手段60の画面上に文字で表示された測定プログラムの内容と画面上に図形、文字又は記号で表示された測定指令の内容とをチェックする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定ヘッドにより被測定物を測定する測定プログラムのチェック方法及び工作機械や三次元測定機などの測定機能を有する機械に関する。
【背景技術】
【0002】
測定プログラムのチェック方法及び測定機能を有する機械に関連する従来の技術として、特許文献1が開示されている。特許文献1は、数値制御放電加工機の加工動作をチェックする数値制御放電加工機に関するものであり、放電加工機の個々のパートプログラムの加工動作のチェックを行う機能、すなわち、表示装置の画面上で実行させる加工動作と実行させない加工動作の選択を機能単位で指定できるようにしたことを開示する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平10−49210号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1では、加工軌跡が線図で表されているが、測定プログラムの場合、送り軸の移動軌跡だけを表示したのでは、何の測定をしているのかわからないという問題点がある。
【0005】
本発明は、前述の問題点を解決するためになされたものであり、動作内容を容易にチェックすることができ、信頼性の高い測定を行うことができる測定プログラムのチェック方法及び測定機能を有する機械を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するために、本発明によれば、被測定物を測定する測定プログラムをチェックする方法において、測定プログラムチェックモードを選択して測定プログラムを実行し、予め登録された測定指令を検出したとき、前記測定プログラムを一時停止して前記測定指令の内容を図形、文字又は記号で画面に表示し、再開信号が入力されたとき、前記測定指令を実行せずに次のブロックから前記測定プログラムを再開させることを特徴とした測定プログラムのチェック方法が提供される。
【0007】
また、本発明によれば、測定プログラムにより被測定物の形状を測定する測定機能を有する機械において、前記測定プログラムで与えられた指令により前記被測定物の形状を測定する測定モードと前記被測定物の形状を測定せずに画面上で前記測定プログラムの測定指令をチェックするチェックモードとを切換えるモード切換え手段と、前記チェックモードでの前記測定プログラムの動作中に、予め登録された測定指令を検出する測定指令判断手段と、該測定指令判断手段により前記登録された測定指令が検出されたとき、前記測定プログラムの動作を一時中断する中断手段とを有する制御装置と、前記登録された測定指令が検出されたとき、検出された測定指令の内容を前記画面上に図形、文字又は記号で表示する表示手段と、を具備することを特徴とした測定機能を有する機械が提供される。
【発明の効果】
【0008】
以上の如く、本発明の測定プログラムのチェック方法及び測定機能を有する機械によれば、表示手段の画面上に、測定プログラム中の測定指令の内容が、図形、文字又は記号で表示されるから、測定指令の内容を容易にチェックすることができ、信頼性の高い測定を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の測定機能を有する機械の全体構成を示すブロック図である。
【図2】測定プログラムのチェックの流れを示すフローチャートである。
【図3】測定プログラムのチェックをする場合の画面を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
図1には、被測定物を測定するために提供された測定プログラムのチェックを画面上で行う機械の一形態として、立形マシニングセンタ1の全体構成を示すブロック図が示されている。本発明の測定機能を有する機械は、本実施形態のマシニングセンタに限定されるものではなく、制御装置を備えた他の工作機械や、三次元測定機なども本発明の機械に含まれるものとする。ワークの測定の具体例としては、ワークの穴の中心位置の測定、コーナ部の2辺の交点の位置の測定、コーナ部のコーナ半径の測定、ワークの穴の直径の測定、溝幅の測定、2面幅の測定などを挙げることができ、工具の測定の具体例としては、工具の長さや、工具直径の測定や、工具のすくい角及び逃げ角の測定などを挙げることができる。ワークの測定を行う場合には測定ヘッドが主軸に装着され、工具の測定を行う場合には測定ヘッドがテーブルに装着される。
【0011】
本実施形態のマシニングセンタ1は、機上でワーク7の計測を行うことができるように構成されており、機械本体10と、制御装置13と、操作盤20と、表示手段60を備えている。機械本体10は、フロア上に設置されているベッド4と、主軸との間で直交する3軸方向に相対的に直線移動自在にベッド4上に保持されているテーブルベース5と、テーブルベース5上で2つの回転送り軸方向に回転自在に保持され、ワーク7が固定されるテーブル6と、測定ヘッド9を保持する主軸3とを備えている。直交する3つの直線送り軸はX軸、Y軸及びZ軸であり、2つの回転送り軸はX軸回りで回転するA軸とZ軸回りで回転するC軸である。複数の直線送り軸及び回転送り軸は、サーボモータにより駆動されるようになっている。主軸3は、ベッド4上に立設されたコラム8上をZ軸方向に直動可能に設けられている。ワーク7はテーブル6に直接固定されているが、取付具を介してワーク7をテーブル6に固定することもできる。本実施形態では、測定ヘッド9が主軸3に装着されているためテーブル6に固定されているワーク7の測定を行うことができるが、測定ヘッド9をテーブル6に装着することで主軸3に保持される工具の測定を行うこともできる。
【0012】
操作盤20は、モード切換え手段22と、起動スイッチ24を有している。モード切換え手段22は、測定プログラムにより与えられた指令によりワーク7の形状を測定する測定モードとワーク7の形状を測定せずに測定プログラムの動作チェックをするチェックモードとを切り換える。起動スイッチ24は、選択されたチェックモードで測定プログラムを起動し、また、登録された測定指令で一時中断している測定プログラムの実行を再開する。モード切換え手段22や起動スイッチ24は、操作盤20上に設けられたスイッチでもよいし、タッチパネル式の表示手段60上に設けられたファンクションキーでもよい。
【0013】
制御装置13は、測定動作指令判断手段15と、中断手段17とを有している。測定指令判断手段15は、チェックモードでの測定プログラムの動作中に、予め登録された測定指令を検出する。中断手段17は、測定指令判断手段15により測定指令が検出されたとき、測定プログラムの動作を一時中断する。
【0014】
表示手段60は、タッチパネルで構成することができる。表示ユニット60をタッチパネルで構成した場合には、表示画面61を入力部として機能させることができ、操作性を高めることができる。他の実施形態として、表示画面としてディスプレイパネルと入力部を分けることもできる。図3に示すように、表示画面61には、チェックモードで起動した測定プログラムの内容が画面上に文字で表示されると共に、予め登録された測定指令の内容が画面上に図形、文字又は記号で表示される。図3の左側領域Aに表示されているのは測定プログラムであり、右側領域Bに表示されているのは測定指令の内容である。測定プログラムのプログラム名は01234である。G55でワーク座標系を設定する。G65で、測定ヘッド9の電源をONにするサブプログラムP9738を呼び出す。G90で、G55の座標系においてアブソリュートでX,Y,Zの位置決めを行う。G65でサブプログラムP9710を呼び出す。サブプログラムP9710は、ワーク7の心出しを行うプログラムであり、測定指令として登録されている。そして、画面の右側領域Bには、サブプログラムP9710に対応する測定指令の内容が図形、文字又は記号で表示される。穴の中心座標のX,Y,Z値や、直径や、その他測定に関係するデータが文字で表示され、心出しの測定動作が図で表示される。作業者は、画面61上でプログラムの内容を視覚的に確認することができ、これにより、測定プログラムのチェックが容易になる。なお、測定プログラムは、手動入力、CAD/CAM、対話型自動プログラミングシステム、ティーチングなどの種々の方法で作成される。
【0015】
また、表示画面61には、測定動作状態を視覚的に表示したり、制御装置13から送出されたデータを表示したり、測定ヘッド9とワーク7との接触時の機械座標を表示したり、ワーク7や工具の寸法を表示したりすることができる。
【0016】
次に、図2を参照して、測定プログラムのチェック方法について説明する。
ステップS1で、モード切換え手段22によりチェックモードを選択する。ステップS2と表示手段60の表示画面61で測定プログラムの内容を文字で左側領域Aに表示する。起動手段24により測定プログラムを実行するステップS3で、制御装置13の測定指令判断手段15は測定プログラムの動作中に、現在のブロックが予め登録された測定指令か否かを判断する。現在のブロックが測定指令でない場合は、ステップS4に進み、測定プログラムの次のブロックを実行し、現在のブロックが測定指令の場合は、ステップS5に進み、制御装置13の中断手段17で測定プログラムの動作を一時中断する。ステップS6で、表示手段60の表示画面61で予め登録されている測定指令の内容を右側領域Bに図形、文字又は記号で表示する。ステップS7で起動スイッチ24を押すと、当該測定指令は実行せずに中断している測定プログラムを次のブロックから再開する。ステップS8で測定プログラムが終了しているか否かを判断し、NOの場合はステップS3に戻る。YESの場合は、測定プログラムのチェックを終了する。測定指令の内容を画面に点滅表示すると、オペレータにチェックを促す効果があり、測定プログラムのチェック時間が短縮される。
【0017】
このように本実施形態によれば、表示手段60の画面61上に、測定指令の内容が、文字で表示された測定プログラムと共に、図形、文字又は記号で表示されるから、測定指令の内容を容易にチェックすることができる。文字で表示されている測定プログラムは、現在実行されているブロックが図3の左側領域中断に矢印と拡大文字で示すように、一目でわかるように表示するのが好ましい。
【0018】
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。例えば、測定プログラムをチェックする場合、測定指令以外の通常の送り軸の移動指令は、実行させてもよいし、実行させなくてもよい。測定ヘッドとワークとの干渉もチェックしたい場合は、送り軸の移動指令を実行させるのがよい。また、ステップS7で測定プログラムの実行を再開させるとき、起動スイッチ24を押さなくても、中断手段17で測定プログラムの動作を一時中断したときから所定時間経過後に自動的に再開するよう、タイマ機能を持たせてもおいてもよい。
【符号の説明】
【0019】
1 マシニングセンタ
3 主軸
6 テーブル
7 ワーク
9 測定ヘッド
13 制御装置
15 測定指令判断手段
20 操作盤
22 モード切換え手段
60 表示手段

【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定物を測定する測定プログラムをチェックする方法において、
測定プログラムチェックモードを選択して測定プログラムを実行し、
予め登録された測定指令を検出したとき、前記測定プログラムを一時停止して前記測定指令の内容を図形、文字又は記号で画面に表示し、
再開信号が入力されたとき、前記測定指令を実行せずに次のブロックから前記測定プログラムを再開させることを特徴とした測定プログラムのチェック方法。
【請求項2】
前記測定指令の内容を図形、文字又は記号で画面に表示するとき、点滅表示にする請求項1に記載の測定プログラムのチェック方法。
【請求項3】
測定プログラムにより被測定物の形状を測定する測定機能を有する機械において、
前記測定プログラムで与えられた指令により前記被測定物の形状を測定する測定モードと前記被測定物の形状を測定せずに画面上で前記測定プログラムの測定指令をチェックするチェックモードとを切換えるモード切換え手段と、
前記チェックモードでの前記測定プログラムの動作中に、予め登録された測定指令を検出する測定指令判断手段と、該測定指令判断手段により前記登録された測定指令が検出されたとき、前記測定プログラムの動作を一時中断する中断手段とを有する制御装置と、
前記登録された測定指令が検出されたとき、検出された測定指令の内容を前記画面上に図形、文字又は記号で表示する表示手段と、
を具備することを特徴とした測定機能を有する機械。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2010−175481(P2010−175481A)
【公開日】平成22年8月12日(2010.8.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−20888(P2009−20888)
【出願日】平成21年1月30日(2009.1.30)
【出願人】(000154990)株式会社牧野フライス製作所 (116)
【Fターム(参考)】