測定制御装置、表面性状測定装置、および、測定制御方法
【課題】測定能率を下げることなく、力センサおよび被測定物の接触時のオーバーシュートを簡単な構成で抑制できる三次元測定装置の提供。
【解決手段】三次元測定装置の接近制御手段234は、位置制御ループRPを有効にし、位置制御により駆動アクチュエータ133を駆動させて力センサ1を接近位置に到達させる。接触制御手段235は、力センサ1が接近位置に到達したことを認識すると、スイッチ227を制御して力制御ループRFを有効にし、力制御により駆動アクチュエータ133を駆動させて力センサ1を被測定物に接触させる。
【解決手段】三次元測定装置の接近制御手段234は、位置制御ループRPを有効にし、位置制御により駆動アクチュエータ133を駆動させて力センサ1を接近位置に到達させる。接触制御手段235は、力センサ1が接近位置に到達したことを認識すると、スイッチ227を制御して力制御ループRFを有効にし、力制御により駆動アクチュエータ133を駆動させて力センサ1を被測定物に接触させる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定制御装置、表面性状測定装置、および、測定制御方法に関する。例えば、加振型センサにより被測定物の形状や表面粗さなどの表面性状の測定に用いられる測定制御装置、表面性状測定装置、および、測定制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
被測定物の表面を走査して被測定物の形状や表面粗さなど表面性状を測定する表面性状測定装置として、粗さ測定機、輪郭測定機、真円度測定機、三次元測定機などが知られている。
このような測定機において、接触部が被測定物の表面に接触した微小変位に基づいて被測定物表面を検出するセンサとして、例えば図7に示すような加振型力センサ(以下、力センサと適宜称す)1が利用されている。
【0003】
この図7に示す力センサ1は、金属製のベース2と、このベース2と一体的に形成されたスタイラス3と、このスタイラス3を振動(軸方向へ振動)させる加振素子4と、スタイラス3の振動状態を検出し検出信号として出力する検出素子5とから構成されている。スタイラス3の先端には、ダイヤモンドチップやルビーなどで構成された接触部としての触針6が接着固定されている。加振素子4および検出素子5は、1枚の圧電素子によって構成され、ベース2の表裏にそれぞれ1枚ずつ接着固定されている。
【0004】
いま、図8に示すように、力センサ1の加振素子4に対して、特定の周波数と振幅をもつ加振信号Pi(電圧信号)を与えると、検出素子5では、特定の周波数と振幅の検出信号Qo(電圧信号)が得られる。
被測定物Wとの接触に伴う検出信号Qoの振幅変化を図9に示す。スタイラス3が被測定物Wと非接触状態にあるとき、スタイラス3の共振周波数で一定の振幅をもつ加振信号Piを加振素子4に加えると、スタイラス3が共振し、検出素子5に振幅Aoの検出信号Qoが得られる。スタイラス3が被測定物Wに接触すると、検出信号Qoの振幅がAoからAxに減衰する。
【0005】
この減衰率k(Ax/Ao)と測定力との間には、図10に示す関係がある。
ここで、スタイラス3(力センサ1)が被測定物Wに接触したときの検出信号Qoが非接触時の90%に減衰している場合(減衰率k=0.9の状態)を例にとる。図10の関係より、この接触状態における測定力は135[μN]であることがわかる。
従って、力センサ1を被測定物Wに接触させる際、減衰率kが常に一定となるように、駆動アクチュエータなどを用いて力センサ1と被測定物Wとの距離を制御すれば、測定力一定状態で被測定物Wの形状や粗さを測定することができる。
このような力センサ1を有する表面性状測定装置では、力センサおよび被測定物の接触時のオーバーシュートを最小限に抑える構成が望まれている。
【0006】
ところで、このような力センサ1と同様の原理、あるいは異なる原理により測定可能な力センサを有する表面性状測定装置が知られている(例えば、特許文献1ないし特許文献3参照)。
また、所定の部材の位置を制御する構成が知られている(例えば、特許文献4ないし特許文献6参照)。
【0007】
特許文献1に記載のものは、スタイラスを被測定物の表面に当接させる。また、検出用電極にて、スタイラスの測定力を検出して、この検出信号を検出回路を介して測定力制御回路に送る。そして、測定力制御回路にて、あらかじめ設定された測定力に対応する信号値と、検出回路からの信号との差を演算し、測定力調整機構を制御して、スタイラスと被測定物との測定力を所定値に維持する構成が採られている。
【0008】
特許文献2に記載のものは、制御装置にて、三次元測定機からの指令値、三軸スライダに設けられたスケールからのX,Y,Z方向の位置情報、および、歪ゲージで検出された真の測定力を受け取る。そして、歪ゲージで検出された真の測定力と、三次元測定機から指令された測定値との誤差が小さくなるように、アクチュエータをフィードバック制御する構成が採られている。
【0009】
特許文献3に記載のものは、位置制御の開始後、圧力が接触判定圧力を継続して所定時間超えるまでZスライダを被測定物に近づけ、所定時間を超えたらZスライダを停止させる。この後、所定時間における圧力の平均値を求め、この平均値が目標圧力に達したら、Zスライダの制御を位置制御から圧力制御に切り替える構成が採られている。
【0010】
特許文献4に記載のものは、位置指令発生器にて、移動体を動かしたい位置の目標位置データを位置指令として出力する。また、速度フィードフォワードパルス設定器にて、パルスの振幅、幅、周期などを任意に設定する。さらに、速度フィードフォワードパルス発生器にて、位置指令発生器が位置指令を出力し終わった後に速度フィードフォワードパルス設定器で設定されたパルスを、速度フィードフォワード信号として出力する。そして、減算器などにより、速度フィードフォワード信号などに基づいて、移動体を目標位置に制御する構成が採られている。
【0011】
特許文献5に記載のものは、位置指令とフィードバック信号との位置偏差の絶対値が大きいときにモータのモータ回転角度位置信号をフィードバックし、小さいときに機械可動部の位置信号をフィードバックするような配分機構により、オーバーシュートを小さくする構成が採られている。
【0012】
特許文献6に記載のものは、ヘッドをディスク上の所定位置に位置決めするコースアクチュエータと、このコースアクチュエータにより決められた位置でヘッドの位置を微調整するファインアクチュエータとを備えている。そして、これらコースアクチュエータおよびファインアクチュエータを制御して、ヘッド位置のオーバーシュートを抑制する構成が採られている。
【0013】
【特許文献1】特開2000−180156号公報
【特許文献2】特開2005−43177号公報
【特許文献3】特開2004−77307号公報
【特許文献4】特開2001−166831号公報
【特許文献5】特開2000−89829号公報
【特許文献6】特開2000−11563号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、特許文献1および特許文献2のような構成では、力センサの測定力を検出し、この検出した測定力に基づいて力センサの位置を制御するため、力センサおよび被測定物の接触時のオーバーシュートが大きくなり力センサや被測定物が破損してしまうおそれがある。
【0015】
特許文献3のような構成では、Zスライダ全体を制御するため、Zスライダの慣性により、オーバーシュートが大きくなり力センサや被測定物が破損してしまうおそれがある。
【0016】
特許文献4のような構成では、あらかじめ設定された目標位置の位置指令に基づいて移動体の位置を制御するため、被測定物の形状に応じて力センサの現在位置から被測定物までの距離が異なる表面性状測定装置に適用することが困難なおそれがある。
【0017】
特許文献5のような構成では、位置指令とフィードバック信号との位置偏差によりフィードバック信号の大きさの割合を決定するため、表面性状測定装置に適用した場合、力センサおよび被測定物を接近させる速度が遅くなり、測定箇所が多い場合、測定能率が悪化するおそれがある。
【0018】
特許文献6のような構成では、コースアクチュエータおよびファインアクチュエータを動かして位置を制御するため、このような構成を表面性状測定装置に適用した場合、2つのアクチュエータを制御する構成が複雑になるおそれがある。
【0019】
本発明の目的は、このような実情などに鑑みて、測定能率を下げることなく、力センサおよび被測定物の接触時のオーバーシュートを簡単な構成で抑制可能な測定制御装置、表面性状測定装置、および、測定制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の測定制御装置は、被測定物との接触時に発生する測定力を検出し力検出信号として出力する力センサ、この力センサによる被測定物の測定位置を検出し測定位置情報として出力する位置検出手段、および、前記力センサを被測定物に対して移動させる力センサ移動手段を有するプローブと、前記力センサからの力検出信号を力フィードバック信号として力設定値と比較し、力フィードバック信号が力設定値に一致するように前記力センサ移動手段を駆動させる力制御ループと、前記位置検出手段からの測定位置情報を位置フィードバック信号として位置設定値と比較し、位置フィードバック信号が位置設定値に一致するように前記力センサ移動手段を駆動させる位置制御ループと、前記力制御ループおよび前記位置制御ループのうちいずれか一方を有効にする制御ループ切替手段と、を有する測定制御装置であって、前記制御ループ切換手段を制御して前記位置制御ループを有効にし、前記位置フィードバック信号が位置設定値に一致するように前記力センサ移動手段を駆動させて前記力センサを前記被測定物に接近した状態に位置させる接近制御手段と、この接近制御手段の制御により前記力センサが前記被測定物に接近した状態に位置したことを認識すると、前記制御ループ切換手段を制御して前記力制御ループを有効にし、前記力フィードバック信号が力設定値に一致するように前記力センサ移動手段を駆動させて前記力センサを前記被測定物に接触させる接触制御手段と、を備えていることを特徴とする。
【0021】
この発明によれば、接近制御手段にて、位置制御ループを有効にし、位置フィードバック信号が位置設定値に一致するように力センサ移動手段を駆動させて力センサを被測定物に接近した状態に位置させる。そして、接触制御手段にて、力センサが被測定物に接近した状態に位置したことを認識すると、制御ループ切換手段を制御して力制御ループを有効にし、力フィードバック信号が力設定値に一致するように力センサ移動手段を駆動させて力センサを被測定物に接触させる。
このため、力センサが被測定物に接触する前に位置制御から力制御に切り替え、力制御により力センサを被測定物に接触させるので、力センサが被測定物に接触した後に力制御を実施する従来の構成と比べて、接触時のオーバーシュートを抑制できる。
また、プローブ全体ではなく力センサを移動させるので、力センサの移動時の慣性を小さくすることが可能となり、このような慣性によるオーバーシュートの増大を抑制できる。
そして、力センサを被測定物に接触させるための移動量をあらかじめ設定する必要がないため、被測定物の形状に応じて力センサの現在位置から被測定物までの距離が異なる表面性状測定装置に適用することができる。
また、位置制御により力センサを被測定物に接近させてから、力制御に切り替えるので、測定箇所が多い場合であっても、測定能率の低下を抑制できる。
さらに、1つの力センサ移動手段により力センサを被測定物に対して移動させればよく、この移動を制御する構成の複雑化を招くことがない。
したがって、測定能率を下げることなく、力センサおよび被測定物の接触時のオーバーシュートを簡単な構成で抑制できる。
【0022】
本発明の測定制御装置において、前記力センサは、先端に接触部を有するスタイラスと、このスタイラスを振動させる加振素子と、前記スタイラスの振動状態を検出し検出信号として出力する検出素子と、を備えていることが好ましい。
この発明によれば、力センサを、スタイラスと、加振素子と、検出素子とで構成している。
このため、小さい測定力で高精度な測定が可能ないわゆる加振型力センサおよび被測定物の接触時のオーバーシュートを抑制でき、より高精度な測定が可能な測定制御装置を提供できる。
【0023】
本発明の表面性状測定装置は、上述した測定制御装置と、この測定制御装置の前記プローブを保持するプローブ保持部と、このプローブ保持部と前記被測定物とを相対移動させるプローブ相対移動手段と、このプローブ相対移動手段を制御して、前記プローブの力センサおよび前記被測定物を前記測定制御装置の前記接近制御手段の制御による前記接近した状態よりも離れた状態に位置させるプローブ位置制御手段と、を備え、前記接近制御手段は、前記プローブ位置制御手段の制御により前記力センサおよび前記被測定物が前記接近した状態よりも離れた状態に位置したことを認識すると、前記力センサを前記被測定物に接近した状態に位置させることを特徴とする。
【0024】
本発明の測定制御方法は、被測定物との接触時に発生する測定力を検出し力検出信号として出力する力センサ、この力センサによる被測定物の測定位置を検出し測定位置情報として出力する位置検出手段、および、前記力センサを被測定物に対して移動させる力センサ移動手段を有するプローブと、前記力センサからの力検出信号を力フィードバック信号として力設定値と比較し、力フィードバック信号が力設定値に一致するように前記力センサ移動手段を駆動させる力制御ループと、前記位置検出手段からの測定位置情報を位置フィードバック信号として位置設定値と比較し、位置フィードバック信号が位置設定値に一致するように前記力センサ移動手段を駆動させる位置制御ループと、前記力制御ループおよび位置制御ループのうちいずれか一方を有効にする制御ループ切替手段と、を有する測定制御装置において、前記力センサを前記被測定物に接触させる測定制御方法であって、前記制御ループ切換手段を制御して前記位置制御ループを有効にし、前記位置フィードバック信号が位置設定値に一致するように前記力センサ移動手段を駆動させて前記力センサを前記被測定物に接近した状態に位置させ、この制御により前記力センサが前記被測定物に接近した状態に位置したことを認識すると、前記制御ループ切換手段を制御して前記力制御ループを有効にし、前記力フィードバック信号が力設定値に一致するように前記力センサ移動手段を駆動させて前記力センサを前記被測定物に接触させることを特徴とする。
【0025】
これらの発明によれば、上述したような測定制御装置と同様の作用効果を奏することが可能な表面性状測定装置、および、測定制御方法を提供可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下に、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0027】
〔三次元測定装置の構成〕
まず、本発明の一実施形態に係る表面性状測定装置としての三次元測定装置の構成について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る三次元測定装置を構成する三次元測定機の斜視図である。図2は、三次元測定装置の要部の概略構成を示すブロック図である。図3は、コントローラおよびプローブの概略構成を示す模式図である。
【0028】
三次元測定装置10は、図1に示すような三次元測定機100と、図2に示すような制御装置200と、を備えている。
【0029】
三次元測定機100は、図1に示すように、載置部110と、測定手段120と、を備えている。
【0030】
載置部110は、被測定物を載置するために精密平坦加工された上面を備えた偏平四角柱状に形成されている。
ここで、説明のために、載置部110の上面で互いに直交する二方向をそれぞれX方向、Y方向とし、載置部110の上面に垂直な方向をZ方向とする。
【0031】
測定手段120は、プローブ130と、このプローブ130をX方向、Y方向、Z方向へ移動させる相対移動機構140と、を備えている。
【0032】
プローブ130は、図1および図3に示すように、相対移動機構140に設けられた略長方形箱状のケース体131と、このケース体131の内部に長手方向一端が外部に露出する状態で設けられた長手状のプローブ本体132と、このプローブ本体132の長手方向一端側に設けられた力センサ1と、プローブ本体132を保持し力センサ1を被測定物に対してZ方向に進退させる力センサ移動手段としての駆動アクチュエータ133と、プローブ本体132に取り付けられたスケール134と、このスケール134に基づき駆動アクチュエータ133による力センサ1の変位量(つまり、力センサ1による被測定物の測定位置情報)を検出する位置検出手段としてのスケール検出器135と、を備えている。
【0033】
相対移動機構140は、Y方向スライド機構150と、X方向スライド機構160と、Z方向スライド機構170と、を備えている。
【0034】
Y方向スライド機構150は、図1および図2に示すように、載置部110上でY方向に設けられたYガイドレール151と、このYガイドレール151に沿って移動可能に設けられたプローブ相対移動手段としてのYスライダ152Rと、Yスライダ152Rと対になって載置部110上をY方向へ移動するプローブ相対移動手段としてのYスライダ152Lと、このYスライダ152R,152Lのそれぞれの上に立設された支柱153R,153Lと、この2本の支柱153R,153Lに両端を支持されたXビーム154と、Yスライダ152R,152LをY方向へ移動させるY方向駆動手段155と、を備えている。
Y方向駆動手段155は、制御装置200に接続され、この制御装置200の制御により、Yスライダ152R,152LをY方向へ移動させる。
Yガイドレール151とYスライダ152R、載置部110とYスライダ152Lとの間には、図示しないエアベアリングが設けられている。そして、Yガイドレール151とYスライダ152Rの相対移動量は、図示しない変位検出器によって測定される。
【0035】
X方向スライド機構160は、図1および図2に示すように、Xビーム154の長手方向すなわちX方向に沿って移動可能に設けられたプローブ相対移動手段としてのXスライダ161と、このXスライダ161をX方向に移動させるX方向駆動手段162と、を備えている。
X方向駆動手段162は、制御装置200に接続され、この制御装置200の制御により、Xスライダ161をX方向へ移動させる。
Xビーム154とXスライダ161との相対移動量は、図示しない変位検出器によって測定される。
【0036】
Z方向スライド機構170は、図1および図2に示すように、Xスライダ161に固定されたZ軸支持部材171と、このZ軸支持部材171に対してZ方向に摺動しながら移動するプローブ相対移動手段およびプローブ保持部としての可動アーム172と、この可動アーム172をZ方向へ移動させるZ方向駆動手段173と、を備えている。
可動アーム172の先端には、上述したようにプローブ130のケース体131が取り付けられている。
Z方向駆動手段173は、制御装置200に接続され、この制御装置200の制御により、可動アーム172をプローブ本体132とは独立的にZ方向へ移動させる。
Z軸支持部材171と可動アーム172との相対移動量は、図示しない変位検出器によって測定される。
【0037】
制御装置200は、図2に示すように、Y方向駆動手段155、X方向駆動手段162、および、Z方向駆動手段173を制御するプローブ位置制御手段としてのXYZ駆動制御手段210と、プローブ130を制御するコントローラ220と、を備えている。
【0038】
XYZ駆動制御手段210は、Y方向駆動手段155と、X方向駆動手段162と、Z方向駆動手段173と、に接続されている。そして、これらを制御して、Yスライダ152R,152L、Xスライダ161、可動アーム172を適宜移動させ、プローブ130をプローブ制御可能位置に到達させる。ここで、プローブ制御可能位置とは、駆動アクチュエータ133の駆動のみにより力センサ1を被測定物に接触させることが可能な位置を意味する。
【0039】
コントローラ220は、図3に示すように、力センサ1を振動させるために力センサ1に加振信号を与える発振器221と、力センサ1からの検出信号をアナログからデジタルに変換するA/D変換回路222と、スケール検出器135からの信号をカウントし力センサ1の測定位置情報を位置測定値として出力するカウンタ223と、A/D変換回路222からの出力(力フィードバック信号)と目標測定力との偏差を演算する演算器224と、この演算器224からの出力を入力とした力制御補償器225と、カウンタ223からの位置信号を微分して速度信号に変換する時間微分回路226と、制御ループ切替手段としてのスイッチ227と、時間微分回路226からの出力とスイッチ227を介して取り込んだ力制御補償器225からの出力との偏差を求める演算器228と、この演算器228からの出力を入力とした速度補償器229と、この速度補償器229からの出力を基に駆動アクチュエータ133を駆動させる駆動アンプ230と、カウンタ223の測定値(位置情報)と目標位置との偏差を演算する演算器231と、この演算器231からの出力を入力とし出力をスイッチ227を通じて演算器228へ与える位置制御補償器232と、演算器224,231、および、カウンタ223に接続された測定制御装置としてのコントローラ制御部233と、を備えている。
【0040】
そして、力センサ1、A/D変換回路222、演算器224、力制御補償器225、演算器228、速度補償器229、駆動アンプ230、および、駆動アクチュエータ133を含んで、力センサ1からの力検出信号を力フィードバック信号として目標測定力(力設定値)と比較し、力フィードバック信号が目標測定力に一致するように駆動アクチュエータ133を駆動させる力制御ループRFが構成されている。
また、スケール検出器135、カウンタ223、演算器231、位置制御補償器232、演算器228、速度補償器229、駆動アンプ230、および、駆動アクチュエータ133を含んで、スケール検出器135からの測定位置情報を位置フィードバック信号として位置設定値(目標位置)と比較し、位置フィードバック信号が目標位置に一致するように駆動アクチュエータ133を駆動させる位置制御ループRPが構成されている。
スイッチ227は、コントローラ制御部233により制御され、力制御ループRFと位置制御ループRPのいずれか一方を有効にする。
ここで、力制御ループRFによる駆動アクチュエータ133の制御を力制御と、位置制御ループRPによる駆動アクチュエータ133の制御を位置制御と、それぞれ称して説明する。
【0041】
コントローラ制御部233は、力センサ1を被測定物に接近させる制御をする接近制御手段234と、力センサ1を被測定物に接触させる制御をする接触制御手段235と、を備えている。
【0042】
接近制御手段234は、XYZ駆動制御手段210の制御によりプローブ130がプローブ制御可能位置に到達したことを認識すると、スイッチ227を制御して位置制御ループRPを有効にする。そして、位置制御により駆動アクチュエータ133を駆動させ、力センサ1を被測定物に近接する接近位置に到達させる。
【0043】
接触制御手段235は、接近制御手段234の制御により力センサ1が接近位置に到達したことを認識すると、スイッチ227を制御して力制御ループRFを有効にする。そして、力制御により駆動アクチュエータ133を駆動させ、力センサ1を被測定物に接触させる。
【0044】
〔三次元測定装置の動作〕
次に、三次元測定装置10の動作について説明する。
図4は、測定処理時における力センサおよび被測定物の位置関係を示す模式図であり、(A)は初期状態を示し、(B)は(A)の状態からX方向駆動手段、Y方向駆動手段、Z方向駆動手段の駆動により力センサがプローブ制御可能位置に到達した際の状態を示し、(C)は(B)の状態から位置制御よる駆動アクチュエータの駆動により力センサが接近位置に到達した際の状態を示し、(D)は(C)の状態から力制御による駆動アクチュエータの駆動により力センサが被測定物に接触した際の状態を示す。図5は、三次元測定装置を用いた測定処理を示すフローチャートである。図6は、被測定物を測定する様子を示す概念図である。
【0045】
まず、測定者は、図4(A)に示すように、被測定物Wを載置部110に載置する。
三次元測定装置10は、図5に示すように、XYZ駆動制御手段210にて、X方向駆動手段162、Y方向駆動手段155、Z方向駆動手段173を駆動させ(ステップS1)、力センサ1が図4(B)に示すようなプローブ制御可能位置に到達したか否かを判断する(ステップS2)。このステップS2において、プローブ制御可能位置に到達していないと判断した場合、ステップS1の処理を実施する。
【0046】
一方、ステップS2において、力センサ1がプローブ制御可能位置に到達したと判断した場合、接近制御手段234にて、位置制御ループRPを有効にして、位置制御により駆動アクチュエータ133を駆動させ(ステップS3)、力センサ1が図4(C)に示すような接近位置に到達したか否かを判断する(ステップS4)。そして、ステップS4において、接近位置に到達していないと判断した場合、ステップS3の処理を実施する。
【0047】
また、ステップS4において、接近位置に到達したと判断した場合、接触制御手段235にて、力制御ループRFを有効にして、力制御により駆動アクチュエータ133を駆動させる(ステップS5)。そして、図4(D)に示すように、力制御を維持した状態で力センサ1を被測定物Wに接触させ、力制御で測定を実施する(ステップS6)。
このような制御により、図6に示すように、力制御で被測定物Wの形状を測定することが可能となる。
【0048】
〔実施形態の作用効果〕
上述した実施形態によれば、以下のような作用効果を奏することができる。
【0049】
(1)三次元測定装置10は、接近制御手段234にて、位置制御ループRPを有効にし、位置制御により駆動アクチュエータ133を駆動させて力センサ1を接近位置に到達させる。そして、接触制御手段235にて、力センサ1が接近位置に到達したことを認識すると、スイッチ227を制御して力制御ループRFを有効にし、力制御により駆動アクチュエータ133を駆動させて力センサ1を被測定物Wに接触させる。
このため、力センサ1が被測定物Wに接触する前に位置制御から力制御に切り替え、力制御により力センサ1を被測定物Wに接触させるので、力センサ1が被測定物Wに接触した後に力制御を実施する従来の構成と比べて、接触時のオーバーシュートを抑制できる。具体的には、上述した従来の構成では、数μm〜数十μmのオーバーシュートが発生するおそれがあるのに対し、オーバーシュートを10nm程度まで抑えることができる。
また、プローブ130全体ではなく力センサ1を移動させるので、力センサ1の移動時の慣性を小さくすることができ、このような慣性によるオーバーシュートの増大を抑制できる。
そして、力センサ1を被測定物Wに接触させるための移動量をあらかじめ設定する必要がないため、被測定物Wの形状に応じて力センサ1の現在位置から被測定物までの距離が異なる三次元測定装置10に適用することができる。
また、位置制御により力センサ1を被測定物Wに接近させてから、力制御に切り替えるので、測定箇所が多い場合であっても、測定能率の低下を抑制できる。
さらに、1つの駆動アクチュエータ133により力センサ1を移動させればよく、この移動を制御する構成の複雑化を招くことがない。
したがって、測定能率を下げることなく、力センサ1および被測定物Wの接触時のオーバーシュートを簡単な構成で抑制できる。
【0050】
(2)本発明の力センサとして、スタイラス3と、加振素子4と、検出素子5とから構成される加振型力センサ1を適用している。
このため、小さい測定力で高精度な測定が可能な加振型力センサ1および被測定物Wの接触時のオーバーシュートを抑制でき、より高精度な測定が可能な三次元測定装置10を提供できる。
【0051】
(3)三次元測定装置10に、力センサ1、スケール検出器135、駆動アクチュエータ133を有するプローブ130と、力制御ループRFと、位置制御ループRPと、スイッチ227と、上述したような接近制御手段234および接触制御手段235と、プローブ130を移動させるY方向駆動手段155、X方向駆動手段162、および、Z方向駆動手段173と、プローブ制御可能位置まで移動させる制御をするXYZ駆動制御手段210と、を設けた構成としている。
このため、上述したような(1)、(2)の作用効果を奏することが可能な三次元測定装置10を提供できる。
【0052】
〔実施形態の変形〕
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲で以下に示される変形をも含むものである。
【0053】
すなわち、力センサ1を、力センサ1のベース2とスタイラス3とを一体的に構成したが、これに限らず、別体であってもよい。つまり、ベース2とスタイラス3とを別体として構成し、ベース2に対してスタイラス3を接着固定するようにしてもよい。またスタイラス3を軸方向へ振動させるようにしたが、これに限らず、スタイラス3の軸に対して交差する方向に振動させるようにしてもよい。
また、加振型力センサ1を用いたが、これに限らず、被測定物との接触時に発生する測定力を検出し力検出信号として出力できる構造であれば、他のセンサであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、被測定物の表面粗さを測定する表面粗さ測定機、形状測定機、輪郭測定機、真円度測定機、三次元測定機などに適用可能である。特に、微細形状の測定に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の一実施形態に係る三次元測定装置を構成する三次元測定機の斜視図である。
【図2】前記一実施形態における三次元測定装置の要部の概略構成を示すブロック図である。
【図3】前記一実施形態におけるコントローラおよびプローブの概略構成を示す模式図である。
【図4】前記一実施形態における測定処理時における力センサおよび被測定物の位置関係を示す模式図であり、(A)は初期状態を示し、(B)は(A)の状態からX方向駆動手段、Y方向駆動手段、Z方向駆動手段の駆動により力センサがプローブ制御可能位置に到達した際の状態を示し、(C)は(B)の状態から位置制御よる駆動アクチュエータの駆動により力センサが接近位置に到達した際の状態を示し、(D)は(C)の状態から力制御による駆動アクチュエータの駆動により力センサが被測定物に接触した際の状態を示す。
【図5】前記一実施形態における三次元測定装置を用いた測定処理を示すフローチャートである。
【図6】前記一実施形態における被測定物を測定する様子を示す概念図である。
【図7】力センサの構成を示す分解斜視図である。
【図8】力センサに与える加振信号と検出信号を示す図である。
【図9】力センサが被測定物と接触した際の検出信号の変化を示す図である。
【図10】力センサの検出信号の減衰率と測定力との関係を示す図である。
【符号の説明】
【0056】
1…加振型力センサ
3…スタイラス
4…加振素子
5…検出素子
10…表面性状測定装置としての三次元測定装置
130…プローブ
133…力センサ移動手段としての駆動アクチュエータ
135…位置検出手段としてのスケール検出器
152R,152L…プローブ相対移動手段としてのYスライダ
161…プローブ相対移動手段としてのXスライダ
172…プローブ相対移動手段およびプローブ保持部としての可動アーム
210…プローブ位置制御手段としてのXYZ駆動制御手段
227…制御ループ切替手段としてのスイッチ
233…測定制御装置としてのコントローラ制御部
234…接近制御手段
235…接触制御手段
RP…位置制御ループ
RF…力制御ループ
【技術分野】
【0001】
本発明は、測定制御装置、表面性状測定装置、および、測定制御方法に関する。例えば、加振型センサにより被測定物の形状や表面粗さなどの表面性状の測定に用いられる測定制御装置、表面性状測定装置、および、測定制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
被測定物の表面を走査して被測定物の形状や表面粗さなど表面性状を測定する表面性状測定装置として、粗さ測定機、輪郭測定機、真円度測定機、三次元測定機などが知られている。
このような測定機において、接触部が被測定物の表面に接触した微小変位に基づいて被測定物表面を検出するセンサとして、例えば図7に示すような加振型力センサ(以下、力センサと適宜称す)1が利用されている。
【0003】
この図7に示す力センサ1は、金属製のベース2と、このベース2と一体的に形成されたスタイラス3と、このスタイラス3を振動(軸方向へ振動)させる加振素子4と、スタイラス3の振動状態を検出し検出信号として出力する検出素子5とから構成されている。スタイラス3の先端には、ダイヤモンドチップやルビーなどで構成された接触部としての触針6が接着固定されている。加振素子4および検出素子5は、1枚の圧電素子によって構成され、ベース2の表裏にそれぞれ1枚ずつ接着固定されている。
【0004】
いま、図8に示すように、力センサ1の加振素子4に対して、特定の周波数と振幅をもつ加振信号Pi(電圧信号)を与えると、検出素子5では、特定の周波数と振幅の検出信号Qo(電圧信号)が得られる。
被測定物Wとの接触に伴う検出信号Qoの振幅変化を図9に示す。スタイラス3が被測定物Wと非接触状態にあるとき、スタイラス3の共振周波数で一定の振幅をもつ加振信号Piを加振素子4に加えると、スタイラス3が共振し、検出素子5に振幅Aoの検出信号Qoが得られる。スタイラス3が被測定物Wに接触すると、検出信号Qoの振幅がAoからAxに減衰する。
【0005】
この減衰率k(Ax/Ao)と測定力との間には、図10に示す関係がある。
ここで、スタイラス3(力センサ1)が被測定物Wに接触したときの検出信号Qoが非接触時の90%に減衰している場合(減衰率k=0.9の状態)を例にとる。図10の関係より、この接触状態における測定力は135[μN]であることがわかる。
従って、力センサ1を被測定物Wに接触させる際、減衰率kが常に一定となるように、駆動アクチュエータなどを用いて力センサ1と被測定物Wとの距離を制御すれば、測定力一定状態で被測定物Wの形状や粗さを測定することができる。
このような力センサ1を有する表面性状測定装置では、力センサおよび被測定物の接触時のオーバーシュートを最小限に抑える構成が望まれている。
【0006】
ところで、このような力センサ1と同様の原理、あるいは異なる原理により測定可能な力センサを有する表面性状測定装置が知られている(例えば、特許文献1ないし特許文献3参照)。
また、所定の部材の位置を制御する構成が知られている(例えば、特許文献4ないし特許文献6参照)。
【0007】
特許文献1に記載のものは、スタイラスを被測定物の表面に当接させる。また、検出用電極にて、スタイラスの測定力を検出して、この検出信号を検出回路を介して測定力制御回路に送る。そして、測定力制御回路にて、あらかじめ設定された測定力に対応する信号値と、検出回路からの信号との差を演算し、測定力調整機構を制御して、スタイラスと被測定物との測定力を所定値に維持する構成が採られている。
【0008】
特許文献2に記載のものは、制御装置にて、三次元測定機からの指令値、三軸スライダに設けられたスケールからのX,Y,Z方向の位置情報、および、歪ゲージで検出された真の測定力を受け取る。そして、歪ゲージで検出された真の測定力と、三次元測定機から指令された測定値との誤差が小さくなるように、アクチュエータをフィードバック制御する構成が採られている。
【0009】
特許文献3に記載のものは、位置制御の開始後、圧力が接触判定圧力を継続して所定時間超えるまでZスライダを被測定物に近づけ、所定時間を超えたらZスライダを停止させる。この後、所定時間における圧力の平均値を求め、この平均値が目標圧力に達したら、Zスライダの制御を位置制御から圧力制御に切り替える構成が採られている。
【0010】
特許文献4に記載のものは、位置指令発生器にて、移動体を動かしたい位置の目標位置データを位置指令として出力する。また、速度フィードフォワードパルス設定器にて、パルスの振幅、幅、周期などを任意に設定する。さらに、速度フィードフォワードパルス発生器にて、位置指令発生器が位置指令を出力し終わった後に速度フィードフォワードパルス設定器で設定されたパルスを、速度フィードフォワード信号として出力する。そして、減算器などにより、速度フィードフォワード信号などに基づいて、移動体を目標位置に制御する構成が採られている。
【0011】
特許文献5に記載のものは、位置指令とフィードバック信号との位置偏差の絶対値が大きいときにモータのモータ回転角度位置信号をフィードバックし、小さいときに機械可動部の位置信号をフィードバックするような配分機構により、オーバーシュートを小さくする構成が採られている。
【0012】
特許文献6に記載のものは、ヘッドをディスク上の所定位置に位置決めするコースアクチュエータと、このコースアクチュエータにより決められた位置でヘッドの位置を微調整するファインアクチュエータとを備えている。そして、これらコースアクチュエータおよびファインアクチュエータを制御して、ヘッド位置のオーバーシュートを抑制する構成が採られている。
【0013】
【特許文献1】特開2000−180156号公報
【特許文献2】特開2005−43177号公報
【特許文献3】特開2004−77307号公報
【特許文献4】特開2001−166831号公報
【特許文献5】特開2000−89829号公報
【特許文献6】特開2000−11563号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
しかしながら、特許文献1および特許文献2のような構成では、力センサの測定力を検出し、この検出した測定力に基づいて力センサの位置を制御するため、力センサおよび被測定物の接触時のオーバーシュートが大きくなり力センサや被測定物が破損してしまうおそれがある。
【0015】
特許文献3のような構成では、Zスライダ全体を制御するため、Zスライダの慣性により、オーバーシュートが大きくなり力センサや被測定物が破損してしまうおそれがある。
【0016】
特許文献4のような構成では、あらかじめ設定された目標位置の位置指令に基づいて移動体の位置を制御するため、被測定物の形状に応じて力センサの現在位置から被測定物までの距離が異なる表面性状測定装置に適用することが困難なおそれがある。
【0017】
特許文献5のような構成では、位置指令とフィードバック信号との位置偏差によりフィードバック信号の大きさの割合を決定するため、表面性状測定装置に適用した場合、力センサおよび被測定物を接近させる速度が遅くなり、測定箇所が多い場合、測定能率が悪化するおそれがある。
【0018】
特許文献6のような構成では、コースアクチュエータおよびファインアクチュエータを動かして位置を制御するため、このような構成を表面性状測定装置に適用した場合、2つのアクチュエータを制御する構成が複雑になるおそれがある。
【0019】
本発明の目的は、このような実情などに鑑みて、測定能率を下げることなく、力センサおよび被測定物の接触時のオーバーシュートを簡単な構成で抑制可能な測定制御装置、表面性状測定装置、および、測定制御方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の測定制御装置は、被測定物との接触時に発生する測定力を検出し力検出信号として出力する力センサ、この力センサによる被測定物の測定位置を検出し測定位置情報として出力する位置検出手段、および、前記力センサを被測定物に対して移動させる力センサ移動手段を有するプローブと、前記力センサからの力検出信号を力フィードバック信号として力設定値と比較し、力フィードバック信号が力設定値に一致するように前記力センサ移動手段を駆動させる力制御ループと、前記位置検出手段からの測定位置情報を位置フィードバック信号として位置設定値と比較し、位置フィードバック信号が位置設定値に一致するように前記力センサ移動手段を駆動させる位置制御ループと、前記力制御ループおよび前記位置制御ループのうちいずれか一方を有効にする制御ループ切替手段と、を有する測定制御装置であって、前記制御ループ切換手段を制御して前記位置制御ループを有効にし、前記位置フィードバック信号が位置設定値に一致するように前記力センサ移動手段を駆動させて前記力センサを前記被測定物に接近した状態に位置させる接近制御手段と、この接近制御手段の制御により前記力センサが前記被測定物に接近した状態に位置したことを認識すると、前記制御ループ切換手段を制御して前記力制御ループを有効にし、前記力フィードバック信号が力設定値に一致するように前記力センサ移動手段を駆動させて前記力センサを前記被測定物に接触させる接触制御手段と、を備えていることを特徴とする。
【0021】
この発明によれば、接近制御手段にて、位置制御ループを有効にし、位置フィードバック信号が位置設定値に一致するように力センサ移動手段を駆動させて力センサを被測定物に接近した状態に位置させる。そして、接触制御手段にて、力センサが被測定物に接近した状態に位置したことを認識すると、制御ループ切換手段を制御して力制御ループを有効にし、力フィードバック信号が力設定値に一致するように力センサ移動手段を駆動させて力センサを被測定物に接触させる。
このため、力センサが被測定物に接触する前に位置制御から力制御に切り替え、力制御により力センサを被測定物に接触させるので、力センサが被測定物に接触した後に力制御を実施する従来の構成と比べて、接触時のオーバーシュートを抑制できる。
また、プローブ全体ではなく力センサを移動させるので、力センサの移動時の慣性を小さくすることが可能となり、このような慣性によるオーバーシュートの増大を抑制できる。
そして、力センサを被測定物に接触させるための移動量をあらかじめ設定する必要がないため、被測定物の形状に応じて力センサの現在位置から被測定物までの距離が異なる表面性状測定装置に適用することができる。
また、位置制御により力センサを被測定物に接近させてから、力制御に切り替えるので、測定箇所が多い場合であっても、測定能率の低下を抑制できる。
さらに、1つの力センサ移動手段により力センサを被測定物に対して移動させればよく、この移動を制御する構成の複雑化を招くことがない。
したがって、測定能率を下げることなく、力センサおよび被測定物の接触時のオーバーシュートを簡単な構成で抑制できる。
【0022】
本発明の測定制御装置において、前記力センサは、先端に接触部を有するスタイラスと、このスタイラスを振動させる加振素子と、前記スタイラスの振動状態を検出し検出信号として出力する検出素子と、を備えていることが好ましい。
この発明によれば、力センサを、スタイラスと、加振素子と、検出素子とで構成している。
このため、小さい測定力で高精度な測定が可能ないわゆる加振型力センサおよび被測定物の接触時のオーバーシュートを抑制でき、より高精度な測定が可能な測定制御装置を提供できる。
【0023】
本発明の表面性状測定装置は、上述した測定制御装置と、この測定制御装置の前記プローブを保持するプローブ保持部と、このプローブ保持部と前記被測定物とを相対移動させるプローブ相対移動手段と、このプローブ相対移動手段を制御して、前記プローブの力センサおよび前記被測定物を前記測定制御装置の前記接近制御手段の制御による前記接近した状態よりも離れた状態に位置させるプローブ位置制御手段と、を備え、前記接近制御手段は、前記プローブ位置制御手段の制御により前記力センサおよび前記被測定物が前記接近した状態よりも離れた状態に位置したことを認識すると、前記力センサを前記被測定物に接近した状態に位置させることを特徴とする。
【0024】
本発明の測定制御方法は、被測定物との接触時に発生する測定力を検出し力検出信号として出力する力センサ、この力センサによる被測定物の測定位置を検出し測定位置情報として出力する位置検出手段、および、前記力センサを被測定物に対して移動させる力センサ移動手段を有するプローブと、前記力センサからの力検出信号を力フィードバック信号として力設定値と比較し、力フィードバック信号が力設定値に一致するように前記力センサ移動手段を駆動させる力制御ループと、前記位置検出手段からの測定位置情報を位置フィードバック信号として位置設定値と比較し、位置フィードバック信号が位置設定値に一致するように前記力センサ移動手段を駆動させる位置制御ループと、前記力制御ループおよび位置制御ループのうちいずれか一方を有効にする制御ループ切替手段と、を有する測定制御装置において、前記力センサを前記被測定物に接触させる測定制御方法であって、前記制御ループ切換手段を制御して前記位置制御ループを有効にし、前記位置フィードバック信号が位置設定値に一致するように前記力センサ移動手段を駆動させて前記力センサを前記被測定物に接近した状態に位置させ、この制御により前記力センサが前記被測定物に接近した状態に位置したことを認識すると、前記制御ループ切換手段を制御して前記力制御ループを有効にし、前記力フィードバック信号が力設定値に一致するように前記力センサ移動手段を駆動させて前記力センサを前記被測定物に接触させることを特徴とする。
【0025】
これらの発明によれば、上述したような測定制御装置と同様の作用効果を奏することが可能な表面性状測定装置、および、測定制御方法を提供可能となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下に、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。
【0027】
〔三次元測定装置の構成〕
まず、本発明の一実施形態に係る表面性状測定装置としての三次元測定装置の構成について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る三次元測定装置を構成する三次元測定機の斜視図である。図2は、三次元測定装置の要部の概略構成を示すブロック図である。図3は、コントローラおよびプローブの概略構成を示す模式図である。
【0028】
三次元測定装置10は、図1に示すような三次元測定機100と、図2に示すような制御装置200と、を備えている。
【0029】
三次元測定機100は、図1に示すように、載置部110と、測定手段120と、を備えている。
【0030】
載置部110は、被測定物を載置するために精密平坦加工された上面を備えた偏平四角柱状に形成されている。
ここで、説明のために、載置部110の上面で互いに直交する二方向をそれぞれX方向、Y方向とし、載置部110の上面に垂直な方向をZ方向とする。
【0031】
測定手段120は、プローブ130と、このプローブ130をX方向、Y方向、Z方向へ移動させる相対移動機構140と、を備えている。
【0032】
プローブ130は、図1および図3に示すように、相対移動機構140に設けられた略長方形箱状のケース体131と、このケース体131の内部に長手方向一端が外部に露出する状態で設けられた長手状のプローブ本体132と、このプローブ本体132の長手方向一端側に設けられた力センサ1と、プローブ本体132を保持し力センサ1を被測定物に対してZ方向に進退させる力センサ移動手段としての駆動アクチュエータ133と、プローブ本体132に取り付けられたスケール134と、このスケール134に基づき駆動アクチュエータ133による力センサ1の変位量(つまり、力センサ1による被測定物の測定位置情報)を検出する位置検出手段としてのスケール検出器135と、を備えている。
【0033】
相対移動機構140は、Y方向スライド機構150と、X方向スライド機構160と、Z方向スライド機構170と、を備えている。
【0034】
Y方向スライド機構150は、図1および図2に示すように、載置部110上でY方向に設けられたYガイドレール151と、このYガイドレール151に沿って移動可能に設けられたプローブ相対移動手段としてのYスライダ152Rと、Yスライダ152Rと対になって載置部110上をY方向へ移動するプローブ相対移動手段としてのYスライダ152Lと、このYスライダ152R,152Lのそれぞれの上に立設された支柱153R,153Lと、この2本の支柱153R,153Lに両端を支持されたXビーム154と、Yスライダ152R,152LをY方向へ移動させるY方向駆動手段155と、を備えている。
Y方向駆動手段155は、制御装置200に接続され、この制御装置200の制御により、Yスライダ152R,152LをY方向へ移動させる。
Yガイドレール151とYスライダ152R、載置部110とYスライダ152Lとの間には、図示しないエアベアリングが設けられている。そして、Yガイドレール151とYスライダ152Rの相対移動量は、図示しない変位検出器によって測定される。
【0035】
X方向スライド機構160は、図1および図2に示すように、Xビーム154の長手方向すなわちX方向に沿って移動可能に設けられたプローブ相対移動手段としてのXスライダ161と、このXスライダ161をX方向に移動させるX方向駆動手段162と、を備えている。
X方向駆動手段162は、制御装置200に接続され、この制御装置200の制御により、Xスライダ161をX方向へ移動させる。
Xビーム154とXスライダ161との相対移動量は、図示しない変位検出器によって測定される。
【0036】
Z方向スライド機構170は、図1および図2に示すように、Xスライダ161に固定されたZ軸支持部材171と、このZ軸支持部材171に対してZ方向に摺動しながら移動するプローブ相対移動手段およびプローブ保持部としての可動アーム172と、この可動アーム172をZ方向へ移動させるZ方向駆動手段173と、を備えている。
可動アーム172の先端には、上述したようにプローブ130のケース体131が取り付けられている。
Z方向駆動手段173は、制御装置200に接続され、この制御装置200の制御により、可動アーム172をプローブ本体132とは独立的にZ方向へ移動させる。
Z軸支持部材171と可動アーム172との相対移動量は、図示しない変位検出器によって測定される。
【0037】
制御装置200は、図2に示すように、Y方向駆動手段155、X方向駆動手段162、および、Z方向駆動手段173を制御するプローブ位置制御手段としてのXYZ駆動制御手段210と、プローブ130を制御するコントローラ220と、を備えている。
【0038】
XYZ駆動制御手段210は、Y方向駆動手段155と、X方向駆動手段162と、Z方向駆動手段173と、に接続されている。そして、これらを制御して、Yスライダ152R,152L、Xスライダ161、可動アーム172を適宜移動させ、プローブ130をプローブ制御可能位置に到達させる。ここで、プローブ制御可能位置とは、駆動アクチュエータ133の駆動のみにより力センサ1を被測定物に接触させることが可能な位置を意味する。
【0039】
コントローラ220は、図3に示すように、力センサ1を振動させるために力センサ1に加振信号を与える発振器221と、力センサ1からの検出信号をアナログからデジタルに変換するA/D変換回路222と、スケール検出器135からの信号をカウントし力センサ1の測定位置情報を位置測定値として出力するカウンタ223と、A/D変換回路222からの出力(力フィードバック信号)と目標測定力との偏差を演算する演算器224と、この演算器224からの出力を入力とした力制御補償器225と、カウンタ223からの位置信号を微分して速度信号に変換する時間微分回路226と、制御ループ切替手段としてのスイッチ227と、時間微分回路226からの出力とスイッチ227を介して取り込んだ力制御補償器225からの出力との偏差を求める演算器228と、この演算器228からの出力を入力とした速度補償器229と、この速度補償器229からの出力を基に駆動アクチュエータ133を駆動させる駆動アンプ230と、カウンタ223の測定値(位置情報)と目標位置との偏差を演算する演算器231と、この演算器231からの出力を入力とし出力をスイッチ227を通じて演算器228へ与える位置制御補償器232と、演算器224,231、および、カウンタ223に接続された測定制御装置としてのコントローラ制御部233と、を備えている。
【0040】
そして、力センサ1、A/D変換回路222、演算器224、力制御補償器225、演算器228、速度補償器229、駆動アンプ230、および、駆動アクチュエータ133を含んで、力センサ1からの力検出信号を力フィードバック信号として目標測定力(力設定値)と比較し、力フィードバック信号が目標測定力に一致するように駆動アクチュエータ133を駆動させる力制御ループRFが構成されている。
また、スケール検出器135、カウンタ223、演算器231、位置制御補償器232、演算器228、速度補償器229、駆動アンプ230、および、駆動アクチュエータ133を含んで、スケール検出器135からの測定位置情報を位置フィードバック信号として位置設定値(目標位置)と比較し、位置フィードバック信号が目標位置に一致するように駆動アクチュエータ133を駆動させる位置制御ループRPが構成されている。
スイッチ227は、コントローラ制御部233により制御され、力制御ループRFと位置制御ループRPのいずれか一方を有効にする。
ここで、力制御ループRFによる駆動アクチュエータ133の制御を力制御と、位置制御ループRPによる駆動アクチュエータ133の制御を位置制御と、それぞれ称して説明する。
【0041】
コントローラ制御部233は、力センサ1を被測定物に接近させる制御をする接近制御手段234と、力センサ1を被測定物に接触させる制御をする接触制御手段235と、を備えている。
【0042】
接近制御手段234は、XYZ駆動制御手段210の制御によりプローブ130がプローブ制御可能位置に到達したことを認識すると、スイッチ227を制御して位置制御ループRPを有効にする。そして、位置制御により駆動アクチュエータ133を駆動させ、力センサ1を被測定物に近接する接近位置に到達させる。
【0043】
接触制御手段235は、接近制御手段234の制御により力センサ1が接近位置に到達したことを認識すると、スイッチ227を制御して力制御ループRFを有効にする。そして、力制御により駆動アクチュエータ133を駆動させ、力センサ1を被測定物に接触させる。
【0044】
〔三次元測定装置の動作〕
次に、三次元測定装置10の動作について説明する。
図4は、測定処理時における力センサおよび被測定物の位置関係を示す模式図であり、(A)は初期状態を示し、(B)は(A)の状態からX方向駆動手段、Y方向駆動手段、Z方向駆動手段の駆動により力センサがプローブ制御可能位置に到達した際の状態を示し、(C)は(B)の状態から位置制御よる駆動アクチュエータの駆動により力センサが接近位置に到達した際の状態を示し、(D)は(C)の状態から力制御による駆動アクチュエータの駆動により力センサが被測定物に接触した際の状態を示す。図5は、三次元測定装置を用いた測定処理を示すフローチャートである。図6は、被測定物を測定する様子を示す概念図である。
【0045】
まず、測定者は、図4(A)に示すように、被測定物Wを載置部110に載置する。
三次元測定装置10は、図5に示すように、XYZ駆動制御手段210にて、X方向駆動手段162、Y方向駆動手段155、Z方向駆動手段173を駆動させ(ステップS1)、力センサ1が図4(B)に示すようなプローブ制御可能位置に到達したか否かを判断する(ステップS2)。このステップS2において、プローブ制御可能位置に到達していないと判断した場合、ステップS1の処理を実施する。
【0046】
一方、ステップS2において、力センサ1がプローブ制御可能位置に到達したと判断した場合、接近制御手段234にて、位置制御ループRPを有効にして、位置制御により駆動アクチュエータ133を駆動させ(ステップS3)、力センサ1が図4(C)に示すような接近位置に到達したか否かを判断する(ステップS4)。そして、ステップS4において、接近位置に到達していないと判断した場合、ステップS3の処理を実施する。
【0047】
また、ステップS4において、接近位置に到達したと判断した場合、接触制御手段235にて、力制御ループRFを有効にして、力制御により駆動アクチュエータ133を駆動させる(ステップS5)。そして、図4(D)に示すように、力制御を維持した状態で力センサ1を被測定物Wに接触させ、力制御で測定を実施する(ステップS6)。
このような制御により、図6に示すように、力制御で被測定物Wの形状を測定することが可能となる。
【0048】
〔実施形態の作用効果〕
上述した実施形態によれば、以下のような作用効果を奏することができる。
【0049】
(1)三次元測定装置10は、接近制御手段234にて、位置制御ループRPを有効にし、位置制御により駆動アクチュエータ133を駆動させて力センサ1を接近位置に到達させる。そして、接触制御手段235にて、力センサ1が接近位置に到達したことを認識すると、スイッチ227を制御して力制御ループRFを有効にし、力制御により駆動アクチュエータ133を駆動させて力センサ1を被測定物Wに接触させる。
このため、力センサ1が被測定物Wに接触する前に位置制御から力制御に切り替え、力制御により力センサ1を被測定物Wに接触させるので、力センサ1が被測定物Wに接触した後に力制御を実施する従来の構成と比べて、接触時のオーバーシュートを抑制できる。具体的には、上述した従来の構成では、数μm〜数十μmのオーバーシュートが発生するおそれがあるのに対し、オーバーシュートを10nm程度まで抑えることができる。
また、プローブ130全体ではなく力センサ1を移動させるので、力センサ1の移動時の慣性を小さくすることができ、このような慣性によるオーバーシュートの増大を抑制できる。
そして、力センサ1を被測定物Wに接触させるための移動量をあらかじめ設定する必要がないため、被測定物Wの形状に応じて力センサ1の現在位置から被測定物までの距離が異なる三次元測定装置10に適用することができる。
また、位置制御により力センサ1を被測定物Wに接近させてから、力制御に切り替えるので、測定箇所が多い場合であっても、測定能率の低下を抑制できる。
さらに、1つの駆動アクチュエータ133により力センサ1を移動させればよく、この移動を制御する構成の複雑化を招くことがない。
したがって、測定能率を下げることなく、力センサ1および被測定物Wの接触時のオーバーシュートを簡単な構成で抑制できる。
【0050】
(2)本発明の力センサとして、スタイラス3と、加振素子4と、検出素子5とから構成される加振型力センサ1を適用している。
このため、小さい測定力で高精度な測定が可能な加振型力センサ1および被測定物Wの接触時のオーバーシュートを抑制でき、より高精度な測定が可能な三次元測定装置10を提供できる。
【0051】
(3)三次元測定装置10に、力センサ1、スケール検出器135、駆動アクチュエータ133を有するプローブ130と、力制御ループRFと、位置制御ループRPと、スイッチ227と、上述したような接近制御手段234および接触制御手段235と、プローブ130を移動させるY方向駆動手段155、X方向駆動手段162、および、Z方向駆動手段173と、プローブ制御可能位置まで移動させる制御をするXYZ駆動制御手段210と、を設けた構成としている。
このため、上述したような(1)、(2)の作用効果を奏することが可能な三次元測定装置10を提供できる。
【0052】
〔実施形態の変形〕
なお、本発明は、上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲で以下に示される変形をも含むものである。
【0053】
すなわち、力センサ1を、力センサ1のベース2とスタイラス3とを一体的に構成したが、これに限らず、別体であってもよい。つまり、ベース2とスタイラス3とを別体として構成し、ベース2に対してスタイラス3を接着固定するようにしてもよい。またスタイラス3を軸方向へ振動させるようにしたが、これに限らず、スタイラス3の軸に対して交差する方向に振動させるようにしてもよい。
また、加振型力センサ1を用いたが、これに限らず、被測定物との接触時に発生する測定力を検出し力検出信号として出力できる構造であれば、他のセンサであってもよい。
【産業上の利用可能性】
【0054】
本発明は、被測定物の表面粗さを測定する表面粗さ測定機、形状測定機、輪郭測定機、真円度測定機、三次元測定機などに適用可能である。特に、微細形状の測定に好適である。
【図面の簡単な説明】
【0055】
【図1】本発明の一実施形態に係る三次元測定装置を構成する三次元測定機の斜視図である。
【図2】前記一実施形態における三次元測定装置の要部の概略構成を示すブロック図である。
【図3】前記一実施形態におけるコントローラおよびプローブの概略構成を示す模式図である。
【図4】前記一実施形態における測定処理時における力センサおよび被測定物の位置関係を示す模式図であり、(A)は初期状態を示し、(B)は(A)の状態からX方向駆動手段、Y方向駆動手段、Z方向駆動手段の駆動により力センサがプローブ制御可能位置に到達した際の状態を示し、(C)は(B)の状態から位置制御よる駆動アクチュエータの駆動により力センサが接近位置に到達した際の状態を示し、(D)は(C)の状態から力制御による駆動アクチュエータの駆動により力センサが被測定物に接触した際の状態を示す。
【図5】前記一実施形態における三次元測定装置を用いた測定処理を示すフローチャートである。
【図6】前記一実施形態における被測定物を測定する様子を示す概念図である。
【図7】力センサの構成を示す分解斜視図である。
【図8】力センサに与える加振信号と検出信号を示す図である。
【図9】力センサが被測定物と接触した際の検出信号の変化を示す図である。
【図10】力センサの検出信号の減衰率と測定力との関係を示す図である。
【符号の説明】
【0056】
1…加振型力センサ
3…スタイラス
4…加振素子
5…検出素子
10…表面性状測定装置としての三次元測定装置
130…プローブ
133…力センサ移動手段としての駆動アクチュエータ
135…位置検出手段としてのスケール検出器
152R,152L…プローブ相対移動手段としてのYスライダ
161…プローブ相対移動手段としてのXスライダ
172…プローブ相対移動手段およびプローブ保持部としての可動アーム
210…プローブ位置制御手段としてのXYZ駆動制御手段
227…制御ループ切替手段としてのスイッチ
233…測定制御装置としてのコントローラ制御部
234…接近制御手段
235…接触制御手段
RP…位置制御ループ
RF…力制御ループ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被測定物との接触時に発生する測定力を検出し力検出信号として出力する力センサ、この力センサによる被測定物の測定位置を検出し測定位置情報として出力する位置検出手段、および、前記力センサを被測定物に対して移動させる力センサ移動手段を有するプローブと、
前記力センサからの力検出信号を力フィードバック信号として力設定値と比較し、力フィードバック信号が力設定値に一致するように前記力センサ移動手段を駆動させる力制御ループと、
前記位置検出手段からの測定位置情報を位置フィードバック信号として位置設定値と比較し、位置フィードバック信号が位置設定値に一致するように前記力センサ移動手段を駆動させる位置制御ループと、
前記力制御ループおよび前記位置制御ループのうちいずれか一方を有効にする制御ループ切替手段と、を有する測定制御装置であって、
前記制御ループ切換手段を制御して前記位置制御ループを有効にし、前記位置フィードバック信号が位置設定値に一致するように前記力センサ移動手段を駆動させて前記力センサを前記被測定物に接近した状態に位置させる接近制御手段と、
この接近制御手段の制御により前記力センサが前記被測定物に接近した状態に位置したことを認識すると、前記制御ループ切換手段を制御して前記力制御ループを有効にし、前記力フィードバック信号が力設定値に一致するように前記力センサ移動手段を駆動させて前記力センサを前記被測定物に接触させる接触制御手段と、
を備えていることを特徴とする測定制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の測定制御装置において、
前記力センサは、先端に接触部を有するスタイラスと、このスタイラスを振動させる加振素子と、前記スタイラスの振動状態を検出し検出信号として出力する検出素子と、を備えている
ことを特徴とする測定制御装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の測定制御装置と、
この測定制御装置の前記プローブを保持するプローブ保持部と、
このプローブ保持部と前記被測定物とを相対移動させるプローブ相対移動手段と、
このプローブ相対移動手段を制御して、前記プローブの力センサおよび前記被測定物を前記測定制御装置の前記接近制御手段の制御による前記接近した状態よりも離れた状態に位置させるプローブ位置制御手段と、
を備え、
前記接近制御手段は、前記プローブ位置制御手段の制御により前記力センサおよび前記被測定物が前記接近した状態よりも離れた状態に位置したことを認識すると、前記力センサを前記被測定物に接近した状態に位置させる
ことを特徴とする表面性状測定装置。
【請求項4】
被測定物との接触時に発生する測定力を検出し力検出信号として出力する力センサ、この力センサによる被測定物の測定位置を検出し測定位置情報として出力する位置検出手段、および、前記力センサを被測定物に対して移動させる力センサ移動手段を有するプローブと、
前記力センサからの力検出信号を力フィードバック信号として力設定値と比較し、力フィードバック信号が力設定値に一致するように前記力センサ移動手段を駆動させる力制御ループと、
前記位置検出手段からの測定位置情報を位置フィードバック信号として位置設定値と比較し、位置フィードバック信号が位置設定値に一致するように前記力センサ移動手段を駆動させる位置制御ループと、
前記力制御ループおよび位置制御ループのうちいずれか一方を有効にする制御ループ切替手段と、を有する測定制御装置において、前記力センサを前記被測定物に接触させる測定制御方法であって、
前記制御ループ切換手段を制御して前記位置制御ループを有効にし、前記位置フィードバック信号が位置設定値に一致するように前記力センサ移動手段を駆動させて前記力センサを前記被測定物に接近した状態に位置させ、
この制御により前記力センサが前記被測定物に接近した状態に位置したことを認識すると、前記制御ループ切換手段を制御して前記力制御ループを有効にし、前記力フィードバック信号が力設定値に一致するように前記力センサ移動手段を駆動させて前記力センサを前記被測定物に接触させる
ことを特徴とする測定制御方法。
【請求項1】
被測定物との接触時に発生する測定力を検出し力検出信号として出力する力センサ、この力センサによる被測定物の測定位置を検出し測定位置情報として出力する位置検出手段、および、前記力センサを被測定物に対して移動させる力センサ移動手段を有するプローブと、
前記力センサからの力検出信号を力フィードバック信号として力設定値と比較し、力フィードバック信号が力設定値に一致するように前記力センサ移動手段を駆動させる力制御ループと、
前記位置検出手段からの測定位置情報を位置フィードバック信号として位置設定値と比較し、位置フィードバック信号が位置設定値に一致するように前記力センサ移動手段を駆動させる位置制御ループと、
前記力制御ループおよび前記位置制御ループのうちいずれか一方を有効にする制御ループ切替手段と、を有する測定制御装置であって、
前記制御ループ切換手段を制御して前記位置制御ループを有効にし、前記位置フィードバック信号が位置設定値に一致するように前記力センサ移動手段を駆動させて前記力センサを前記被測定物に接近した状態に位置させる接近制御手段と、
この接近制御手段の制御により前記力センサが前記被測定物に接近した状態に位置したことを認識すると、前記制御ループ切換手段を制御して前記力制御ループを有効にし、前記力フィードバック信号が力設定値に一致するように前記力センサ移動手段を駆動させて前記力センサを前記被測定物に接触させる接触制御手段と、
を備えていることを特徴とする測定制御装置。
【請求項2】
請求項1に記載の測定制御装置において、
前記力センサは、先端に接触部を有するスタイラスと、このスタイラスを振動させる加振素子と、前記スタイラスの振動状態を検出し検出信号として出力する検出素子と、を備えている
ことを特徴とする測定制御装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の測定制御装置と、
この測定制御装置の前記プローブを保持するプローブ保持部と、
このプローブ保持部と前記被測定物とを相対移動させるプローブ相対移動手段と、
このプローブ相対移動手段を制御して、前記プローブの力センサおよび前記被測定物を前記測定制御装置の前記接近制御手段の制御による前記接近した状態よりも離れた状態に位置させるプローブ位置制御手段と、
を備え、
前記接近制御手段は、前記プローブ位置制御手段の制御により前記力センサおよび前記被測定物が前記接近した状態よりも離れた状態に位置したことを認識すると、前記力センサを前記被測定物に接近した状態に位置させる
ことを特徴とする表面性状測定装置。
【請求項4】
被測定物との接触時に発生する測定力を検出し力検出信号として出力する力センサ、この力センサによる被測定物の測定位置を検出し測定位置情報として出力する位置検出手段、および、前記力センサを被測定物に対して移動させる力センサ移動手段を有するプローブと、
前記力センサからの力検出信号を力フィードバック信号として力設定値と比較し、力フィードバック信号が力設定値に一致するように前記力センサ移動手段を駆動させる力制御ループと、
前記位置検出手段からの測定位置情報を位置フィードバック信号として位置設定値と比較し、位置フィードバック信号が位置設定値に一致するように前記力センサ移動手段を駆動させる位置制御ループと、
前記力制御ループおよび位置制御ループのうちいずれか一方を有効にする制御ループ切替手段と、を有する測定制御装置において、前記力センサを前記被測定物に接触させる測定制御方法であって、
前記制御ループ切換手段を制御して前記位置制御ループを有効にし、前記位置フィードバック信号が位置設定値に一致するように前記力センサ移動手段を駆動させて前記力センサを前記被測定物に接近した状態に位置させ、
この制御により前記力センサが前記被測定物に接近した状態に位置したことを認識すると、前記制御ループ切換手段を制御して前記力制御ループを有効にし、前記力フィードバック信号が力設定値に一致するように前記力センサ移動手段を駆動させて前記力センサを前記被測定物に接触させる
ことを特徴とする測定制御方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【公開番号】特開2007−309684(P2007−309684A)
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−136628(P2006−136628)
【出願日】平成18年5月16日(2006.5.16)
【出願人】(000137694)株式会社ミツトヨ (979)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年11月29日(2007.11.29)
【国際特許分類】
【出願日】平成18年5月16日(2006.5.16)
【出願人】(000137694)株式会社ミツトヨ (979)
【Fターム(参考)】
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