測定用保持具及び測定装置
【課題】精度の高い検査に対応することができる測定用保持具及び測定装置を提供する。
【解決手段】実施形態に係る測定用保持具は、複数の半導体チップを含むパッケージ、前記パッケージの側面から露出し前記半導体チップの電極と導通する導通部、を有する被測定物を保持する測定用保持具である。測定用保持具は、前記被測定物を配置する位置に貫通孔が設けられた支持基板と、前記支持基板に前記被測定物を固定する固定部と、前記支持基板に対して少なくとも1軸方向に可動に設けられ前記導通部と接触する探針部と、を備える。
【解決手段】実施形態に係る測定用保持具は、複数の半導体チップを含むパッケージ、前記パッケージの側面から露出し前記半導体チップの電極と導通する導通部、を有する被測定物を保持する測定用保持具である。測定用保持具は、前記被測定物を配置する位置に貫通孔が設けられた支持基板と、前記支持基板に前記被測定物を固定する固定部と、前記支持基板に対して少なくとも1軸方向に可動に設けられ前記導通部と接触する探針部と、を備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、測定用保持具及び測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置は、半導体チップと、この半導体チップを封止する樹脂製のパッケージと、を有する。パッケージの外側には、半導体チップと導通する電極が設けられている。BGA(Ball grid array)型の半導体装置では、パッケージの下面に複数のボール型電極が行列状に設けられている。
【0003】
このような測定用保持具においては、より精度の高い検査を行う場合にも対応できることが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−165956号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の実施形態は、精度の高い検査可能な測定用保持具及び測定装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る測定用保持具は、複数の半導体チップを含むパッケージ、前記パッケージの側面から露出し前記半導体チップの電極と導通する導通部、を有する被測定物を保持する測定用保持具である。
測定用保持具は、前記被測定物を配置する位置に貫通孔が設けられた支持基板と、前記支持基板に前記被測定物を固定する固定部と、前記支持基板に対して少なくとも1軸方向に可動に設けられ前記導通部と接触する探針部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】(a)〜(b)は、第1の実施形態に係る測定用保持具の構成を例示する模式図である。
【図2】(a)〜(b)は、被測定物の一例を表す模式図である。
【図3】(a)〜(b)は、パッケージ内部の一部を例示する模式的平面図である。
【図4】(a)〜(b)は、半導体装置の保持方法を説明する模式的断面図である。
【図5】(a)〜(b)は、他の探針部の例を示す模式図である。
【図6】(a)〜(b)は、他の探針部の例を示す模式図である。
【図7】(a)〜(b)は、第2の実施形態に係る測定装置を例示する模式図である。
【図8】(a)〜(c)は、発熱源の位置の検出例を示す図である。
【図9】深さDと位相差φ1との関係を示す図である。
【図10】第3の実施形態に係る測定装置を例示する模式図である。
【図11】(a)〜(c)は、発熱源の位置の検出例を示す図である。
【図12】第4の実施形態に係る測定装置を例示する模式図である。
【図13】第5の実施形態に係る測定装置を例示する模式図である。
【図14】他の適用例について示す模式図である。
【図15】(a)〜(b)は、配線基板の例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態を図に基づき説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比係数などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比係数が異なって表される場合もある。
また、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0009】
(第1の実施形態)
図1(a)〜(b)は、第1の実施形態に係る測定用保持具の構成を例示する模式図である。
図1(a)では、第1の実施形態に係る第1の実施形態に測定用保持具110の模式的斜視図を表し、図1(b)では、第1の実施形態に係る測定用保持具110の模式的平面図を表している。
図2(a)〜(b)は、被測定物の一例を表す模式図である。
図2(a)では、被測定物の一例である半導体装置の模式的斜視図を表している。図2(b)では、半導体装置の側面を表している。
【0010】
図1(a)及び(b)に表したように、実施形態に係る測定用保持具110において保持する対象(被測定物)は、例えば半導体装置100である。
図2(a)及び(b)に表したように、被測定物の一例である半導体装置100は、上面100a、下面100b及び側面100cを含むパッケージ100Pと、下面100bに設けられた電極BPと、側面100cから露出し電極BPと導通する導通部MLと、を有する。
【0011】
側面100cから露出する導通部MLは、例えばパッケージ100Pに含まれるチップ(図示せず)のパッドに接続される。
図3(a)〜(b)は、パッケージ内部の一部を例示する模式的平面図である。
図3(b)は、図3(a)の一部を拡大したものである。
図4(a)〜(b)は、半導体装置の保持方法を説明する模式的断面図である。
図3(a)及び(b)に表したように、パッケージ100P内には、配線基板PBが設けられている。配線基板PBの上には半導体チップCPが実装され、半導体チップCPと配線基板PBに設けられたパッドPDとはボンディングワイヤBWによって接続されている。
配線基板PBの下面には、例えばボール状の電極BPが設けられている。配線基板PBの上に設けられたパッドPDと、配線基板PBの下に設けられた電極BPとは、導通部MLを介して電気的に導通している。
【0012】
導通部MLには、例えば金(Au)のめっきが施される。導通部MLの一部は、配線基板PBの縁まで延びている。この配線基板PBの縁まで延びる導通部MLの一部は、めっきを施す際の導通を得るために設けられた部分である。
半導体チップCPを覆うようにパッケージ100Pを設けた場合、パッケージ100Pの側面100cから、この導通部MLの端面MLaが露出することになる。電極BPの個数は、端面MLaの個数と導通である。複数の電極BPのそれぞれは、端面MLaのそれぞれと1対1に対応している。
【0013】
実施形態に係る測定用保持具110は、パッケージ100Pの側面100cから露出する導通部MLの端面MLaを利用して半導体チップCPのパッドと外部との電気的な導通を得る。
【0014】
図1(a)及び(b)に表したように、測定用保持具110は、支持基板10と、固定部20と、探針部30と、を備える。
支持基板10は、被測定物の一例である半導体装置100を載置するための部材である。半導体装置100は、例えばパッケージ100Pの下面100bと支持基板10の第1主面10aとが平行になるように配置される。
【0015】
支持基板10において、半導体装置100を配置する位置には貫通孔15が設けられていてもよい。貫通孔15は、支持基板10を貫通する孔である。貫通孔15の開口の大きさは、図4(a)及び(b)に示すように、例えばパッケージ100Pの外形サイズよりも小さく、パッケージ100Pの下面100bの電極BPが設けられた領域よりもわずかに大きい。これにより、半導体装置100を支持基板10に配置すると、パッケージ100Pの下面100bの縁部分が第1主面10aに載り、電極BPの設けられた領域が貫通孔15の内側に配置される状態になる。
【0016】
このように、貫通孔15の位置に合わせて半導体装置100を配置することによって、パッケージ100Pの上面100a側のみならず下面100b側も遮るものがない状態になる。
【0017】
固定部20は、支持基板10に設けられる。固定部20は、例えば支持基板10の第1主面10aに沿って移動できる。
固定部20の一例としては、間にパッケージ100Pを挟持する一対の固定部材20A及び20Bを有する。
固定部材20Aには切り欠き部201が設けられ、固定部材20Bには切り欠き部202が設けられる。
一対の固定部材20A及び20Bは、それぞれの切り欠き部201及び202によって半導体装置100の位置決めを行う。
【0018】
例えば、一対の固定部材20A及び20Bは、一対の固定部材20A及び20Bを結ぶ方向に移動可能に設けられている。一対の固定部材20A及び20Bの移動動作によって、一対の固定部材20A及び20Bの間隔が調整される。
【0019】
半導体装置100を支持基板10の上に配置する際には、一対の固定部材20A及び20Bの間隔を拡げておき、半導体装置100を配置したあとで一対の固定部材20A及び20Bの間隔を狭くしていく。やがて、パッケージ100Pの対角になる2つの隅部に切り欠き部201及び202が接触して、一対の固定部材20A及び20Bの間に半導体装置100が挟持される。これにより、第1主面10aに沿った2軸方向の位置が決まった状態で半導体装置100が固定される。
【0020】
なお、固定部20は一対の固定部材20A及び20Bには限定されない。すなわち、固定部20は、半導体装置100を支持基板10の所定位置に固定するものであればどのような形態であってもよい。例えば、固定部20は、支持基板10の第1主面10aに設けられた凹部であってもよい。凹部の大きさをパッケージ100Pの外形サイズに合わせることで、パッケージ100Pを凹部内に嵌め込み、半導体装置100の位置を固定するようにしてもよい。
【0021】
探針部30は、支持基板10に対して少なくとも1軸方向に可動に設けられている。探針部30は、支持基板10に位置決めされた半導体装置100のパッケージ100Pの側面100cから露出する導通部MLと接触する。例えば、1つの探針部30の先端は、1つの導通部MLの端面MLaと接触する。
【0022】
探針部30は、例えば、支持基板10に配置した半導体装置100の側面100cに近づく及び側面100cから離れるように移動可能に設けられている。これにより、支持基板10に半導体装置100が位置決めされた状態で、パッケージ100Pの側面100cから露出する導通部MLの端面MLaに探針部30を徐々に近づけて、探針部30の先端を端面MLaに接触させることができる。
【0023】
支持基板10には、例えば複数本の探針部30が設けられている。複数本の探針部30のうち1本を第1の探針部301、他の1本を第2の探針部302とする。
第1の探針部301と、第2の探針部302とは、例えば半導体装置100を配置する位置を間にして対向して設けられる。このように対向して設けられていると、半導体装置100を間にして第1の探針部301と第2の探針部302とで挟むようにそれぞれ端面MLaと接触する。したがって、力のバランスよく半導体装置100と探針部30との接触が成されることになる。
【0024】
探針部30は、支持基板10に設けられた駆動部35によって移動可能に設けられていてもよい。駆動部35は、歯車、カム、リンク等を用いた伝動機構によって探針部30を駆動する手段を備えていても、モータや圧電素子等によって探針部30を駆動する手段を備えていてもよい。
【0025】
また、駆動部35は、探針部30を2軸以上可動する手段を備えていてもよい。例えば、駆動部35は、探針部30を第1主面10aに沿って互いに直交する2軸と、第1主面10aと直交する1軸と、の合計3軸に沿って可動できる手段を備えていてもよい。さらに、駆動部35は、探針部30を第1主面10aに沿って回転させたり、第1主面10aに対する角度を変化させたりする手段を備えていてもよい。また、駆動部35は、探針部30を円軌道に沿って可動できる手段を備えていてもよい。
探針部30の移動は、上記の伝動機構を手動で動作させることで行われてもよい。
【0026】
支持基板10には、第1の配線P1及び第2の配線P2が設けられていてもよい。
第1の配線P1は、第1の探針部301または第2の探針部302と導通し、第1の電位V1が与えられる。第1の配線P1は第1の端子T1と導通しており、第1の端子T1を介して外部から第1の電位V1が与えられる。
第2の配線P2は、第2の探針部302または第1の探針部301と導通し、第1の電位V1とは異なる第2の電位V2が与えられる。第1の配線P2は第2の端子T2と導通しており、第2の端子T2を介して外部から第2の電位V2が与えられる。
【0027】
実施形態に係る測定用保持具110においては、支持基板10に切り替え部40が設けられていてもよい。
切り替え部40は、第1の探針部301と第1の配線P1または第2の配線P2との接続、及び第2の探針部302と第2の配線P2または第1の配線P1との接続の切り替えを行う。すなわち、切り替え部40は、第1の配線P1を、第1の探針部301に接続するか、第2の探針部302に接続するか、の切り替えを行う。また、切り替え部40は、第2の配線P2を、第2の探針部302に接続するか、第1の探針部301に接続するか、の切り替えを行う。切り替え部40の切り替え動作によって、第1の探針部301に与える電位(第1の電位V1または第2の電位V2)及び第2の探針部302に与える電位(第2の電位V2または第1の電位V1)の切り替えが行われる。
【0028】
ここで、第1の電位V1は、例えば接地電位である。第2の電位V2は、例えば半導体装置100の動作電位である。
第1の探針部301及び第2の探針部302を、それぞれ半導体装置100の導通部MLの端面MLaに接触させることで、パッケージ100P内の半導体チップCPの所定の配線には、第1の電位V1及び第2の電位V2が与えられることになる。
【0029】
なお、測定用保持具110が3本以上の探針部30を備える場合には、第1の電位V1、第2の電位V2のいずれかであっても、また、これら以外の電位を与えるものであってもよい。また、探針部30は、半導体装置100に電位を与えるものでなく、半導体装置100の信号出力を得るものであってもよい。
【0030】
次に、実施形態に係る測定用保持具110による半導体装置100の保持方法を説明する。
先ず、図4(a)に表したように、第1の探針部301及び第2の探針部302が対向して配置されている場合には、第1の探針部301及び第2の探針部302の間隔を拡げておく。
【0031】
次に、支持基板10の貫通孔15の位置に被測定物である半導体装置100を配置する。半導体装置100を支持基板10に配置する場合、パッケージ100Pの下面100bに設けられた電極BPは貫通孔15の内側に配置され、パッケージ100Pの下面100bの縁部分は、支持基板10の第1主面10aに接触する状態になる。
この状態で、図1(a)及び(b)に表した固定部20(例えば、一対の固定部材20A及び20B)によって半導体装置100を固定する。これにより、半導体装置100は主面10a上の所定位置に正確に固定される。
【0032】
次に、図4(b)に表したように、例えば駆動部35によって探針部30を半導体装置100へ近づける。探針部30を半導体装置100へ近づけることにより、やがてパッケージ100Pの側面100cから露出した導通部MLの端面MLaに探針部30の先端は接触する。
【0033】
探針部30は、その先端部分を可動式にしておき、可動する先端部分をバネによって付勢した状態に設けられていてもよい。これにより、探針部30が端面MLaと接触した際に、探針部30から端面MLaに与える接触力を緩衝しつつ確実な接触を得る。
【0034】
このような方法によって、半導体装置100は測定用保持具110に固定されるとともに、探針部30とパッケージ100Pの側面100cに露出した端面MLaとの電気的な導通が行われることになる。
実施形態に係る測定用保持具110では、探針部30をパッケージ100Pの側面100cに接触しているため、パッケージ100Pの上面100a側及び下面100b側はそれぞれ開放している状態になる。
【0035】
測定用保持具110に半導体装置100を保持した後は、切り替え部40によって所定の切り替えを行い、第1の端子T1に第1の電位V1、第2の端子T2に第2の電位V2を与える。これにより、第1の配線P1及び切り替え部40を介して第1の探針部301または第2の探針部302に第1の電位V1が与えられ、第2の配線P2及び切り替え部40を介して第2の探針部302または第1の探針部301に第2の電位V2が与えられる。この状態で半導体装置100の動作が検査される。
【0036】
実施形態に係る測定用保持部110を用いることで、より精度の高い検査を行う場合にも対応することができるようになる。
一般に、半導体装置100の動作を検査するには、パッケージ100Pの下面100bに設けられた複数の電極BPとの導通を得るために、これらの電極BPと接触する端子を備えたソケット(測定用保持具)を利用している。例えば、ソケットには複数の端子が設けられており、ソケットに半導体装置100を搭載することで、パッケージ100Pの下面100bの電極BPとソケットの端子とを接触させている。そして、ソケットの端子から半導体装置100の電極BPを介して半導体装置100へ所定の電圧を印加し、動作の検査を行う。
この場合、半導体装置100の下方にソケットがあるため、半導体装置100の下面100b側の映像を取り込む際の邪魔になる。
実施形態に係る測定用保持部110では、保持した半導体装置100の上面100a側及び下面100b側の両方とも開放されているため、上面100a側及び下面100b側の両方の映像を確実に取り込むことができる。これにより、高精度な検査に対応することが可能になる。
【0037】
(他の探針部の例)
次に、他の探針部の例について説明する。
図5(a)〜図6(b)は、他の探針部の例を示す模式図である。
図5(a)では、半導体装置100のパッケージ100Pにおける4つの側面100c(1)〜100c(4)に向けてそれぞれ探針部30が設けられた例を表している。複数の探針部30は、4つのグループGr1〜Gr4に分けられる。複数の探針部30は、グループGr1〜Gr4ごとにパッケージ100Pの4つの側面100c(1)〜100c(4)側に対応して配置される。
【0038】
各探針部30は、支持基板10に対して移動可能に設けられている。
【0039】
これにより、パッケージ100Pの4つの側面100c(1)〜100c(4)から露出する端面MLa(図2(a)及び(b)参照)に、各探針部30を接触させることができるようになる。
【0040】
図5(b)では、複数の探針部30のピッチを変化させた例を表している。例えば、パッケージ100Pの1つの側面100cに対向して複数の探針部30が設けられている場合、この複数の探針部30の半導体装置100に近い側のピッチpt1は、半導体装置100から離れた側のピッチpt2よりも狭くなっている。
【0041】
例えば、複数の探針部30の半導体装置100に近い側のピッチpt1は、パッケージ100Pの側面100cから露出する複数の端面MLa(図2(a)及び(b)参照)のピッチと同じなっている。
【0042】
一方、複数の探針部30の半導体装置100から離れた側のピッチpt2は、ピッチpt1よりも拡げられている。これにより、複数の端面MLa(図2(a)及び(b)参照)のピッチが狭い場合であっても、探針部30の引き出しが容易になる。
【0043】
図6(a)〜(b)では、探針部30の先端部30aが湾曲している例を表している。複数の探針部30は、貫通孔15を間にして対向して配置されている。図6(a)に表したように、探針部30の先端部30aは湾曲した形状を成しており、この湾曲した形状によって弾性変形によるバネ性を有している。図6(b)に表したように、支持基板10に半導体装置100を位置決めした状態で探針部30の先端部30aを側面100cに接触させると、先端部30aのバネ性によって探針部30と側面100cから露出する端面MLa(図2(a)及び(b)参照)との接触力を緩衝しつつ確実な接触を行うことができる。
【0044】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係る測定装置について説明する。
図7(a)〜(b)は、第2の実施形態に係る測定装置を例示する模式図である。
図7(a)は全体構成図、図7(b)は表示部の表示例を示す図である。
図7(a)に表したように、第2の実施形態に係る測定装置500は、被測定物の一例である半導体装置100の導通特性(例えば、短絡位置の検出)を測定する装置である。
測定装置500は、測定用保持具110、熱検知カメラ510、制御部520、電圧発生部550を備える。また、測定装置500は、記憶部530及び表示部540を備える。
【0045】
測定用保持具110は、先に説明したように、支持基板10と、固定部20(図1(a)及び(b)参照)と、探針部30と、を備える。測定用保持具110は、例えば基台Sの上に設けられている。測定用保持具110は、基台Sの上面に沿った回転角度や、上面に対する傾斜角度を調整できるように設けられていてもよい。
【0046】
電圧発生部550は、探針部30から導通部ML(図2(a)及び(b)参照)を介して被測定物である半導体装置100に印加する電圧を発生する部分である。電圧発生部550は、例えば第1の探針部301に与える第1の電位V1及び第2の探針部302に与える第2の電位V2の電圧を発生する。
【0047】
熱検知カメラ510は、半導体装置100に電圧を印加した際に半導体装置100から発生する熱に応じた信号を取り込むカメラである。熱検知カメラ510は、例えば赤外線カメラである。熱検知カメラ510は、半導体装置100の動作状態において半導体装置100から放出される赤外線等を検知する。
【0048】
制御部520は、熱検知カメラ510で取り込んだ信号に基づいて半導体装置100の発熱源の位置を演算する。演算した結果は、例えば表示部540に表示される。
図7(b)では、表示部540の表示例を表している。表示部540は、熱検知カメラ510で取り込んだ映像540Gを表示する。映像540Gには、例えば複数のチップが積層された像100Gが表示される。像100Gには、制御部520で演算した発熱源の位置を示す画像DFGが半導体装置100の像100Gに重ね合わせた状態で表示される。
【0049】
記憶部530は、例えば、熱検知カメラ510で取り込んだ信号を記憶する部分である。制御部520は、記憶部530に記憶された信号を読み出して所定の信号処理を施すことにより、半導体装置100の発熱源の位置を求め、表示部540に表示させる。
【0050】
測定装置500においては、1つの制御部520によって熱検知カメラ510、記憶部530、表示部540及び電圧発生部550を制御しているが、複数の制御部によって各部を制御してもよい。また、制御部520は、コンピュータのプログラム処理によって実現してもよい。
【0051】
測定装置500を用いて半導体装置100の測定を行うには、先ず、測定用保持具110に半導体装置100を固定し、パッケージ100Pの側面100cから露出する端面MLaに探針部30を接触させる。
次に、電圧発生部550から発生した電圧を探針部30から半導体装置100へ与える。
【0052】
次に、熱検知カメラ510によって半導体装置100の映像(信号)を取り込む。一定時間取り込んだ映像(信号)は、例えば記憶部530に記憶される。
【0053】
次に、制御部520は、熱検知カメラ510によって取り込んだ信号を例えば記憶部530から読み出し、所定の演算を行う。そして、演算結果を表示部540に表示させる。これにより、表示部540には、半導体装置100の発熱源の位置を示す画像DFGが表示される。
【0054】
例えば、半導体装置100の半導体チップCP内にショート(短絡)箇所がある場合、通常の配線パターンの電気抵抗値よりもショート箇所の電気抵抗値のほうが大きいことから、ショート箇所での発熱量が多くなる。この性質を利用して、熱検知カメラ510で取り込んだ信号から半導体装置100の異常発熱箇所を求める。異常発熱箇所は、不良が発生している可能性の高い場所である。
【0055】
実施形態に係る測定装置500では、測定用保持具110によって半導体装置100の側面100cに露出する端面MLa(図2(a)及び(b)参照)に探針部30を接触させているため、半導体装置100の上面100a側を開放することができる。これにより、熱検知カメラ510によって半導体装置100の上面100a側の映像を的確に取り込むことができる。
【0056】
また、半導体装置100を固定した測定用保持具110を、基台Sの上に上下反転して配置すれば、貫通孔15を介して半導体装置100の下面100bの映像を的確に取り込むこともできる。すなわち、測定用保持具110では、探針部30を半導体装置100の側面100cに接触させること、また、半導体装置100の下面100b側に貫通孔15が設けられていること、によって、貫通孔15を介して遮るものなく半導体装置100の下面100b側の映像を取り込むことができる。
【0057】
図8(a)〜(c)は、発熱源の位置の検出例を示す図である。
図8(a)には、半導体装置100に与える電圧の時間変化の例が示されている。図8(a)に示すグラフの横軸は時間、縦軸は入力電圧Vinである。半導体装置100には、例えば所定の周波数のパルス電圧が与えられる。
図8(b)には、熱検知カメラ510によって取り込んだ信号の出力の時間変化の例が示されている。図8(b)に示すグラフの横軸は時間t、縦軸は出力値Soutである。図8(b)において横軸(時間t)は、図8(a)における横軸(時間t)と対応している。
【0058】
半導体装置100に例えばパルス電圧を印加して、その際の発熱の状態を熱検知カメラ510によって取り込むことで、異常発熱箇所がパルス電圧のパルスに呼応して、発熱源が点灯する。これによって、精度良く発熱源の位置が特定される。
【0059】
また、図8(a)及び(b)に表したように、半導体装置100に与える電圧の位相(第1の位相)と、熱検知カメラ510によって取り込んだ信号の位相(第2の位相)との間には、φ1の位相差が生じている。
【0060】
この位相差φ1は、例えば半導体装置100の上面100aを基準にした場合、上面100aと発熱源との距離(上面100aからの深さ)に関係している。
制御部520は、この関係に基づき位相差φ1から発熱源の上面100aからの深さを演算する。
【0061】
図8(c)は、発熱源からの熱の伝達を例示する模式図である。半導体装置100の内部に発熱源になる不良箇所DFがあった場合、不良箇所DFで発生した熱は周囲に拡がっていく。ここで、半導体装置100へ電圧を印加したタイミングで熱が発生した場合、その熱が半導体装置100の上面100aに伝わるまで所定の時間を要する。この電圧を印加した時刻と、発熱源の熱に応じた信号を熱検知カメラ510で検知した時刻との時間差が、位相差φ1として現れることになる。
【0062】
この位相差φ1は、例えば次のようなモデル式(式1)で表される。
φ1=(A・ta+B・tb)・N+C …(式1)
式1において、Aはチップの熱伝導係数、Bはダイアタッチフィルムの熱伝導係数、Nはチップの重ね合わせ段数、taはチップの厚さ、tbはダイアタッチフィルムの厚さ、Cはその他の要因である。ダイアタッチフィルムは、重なり合う複数のチップの間に設けられたフィルムである。
【0063】
制御部520は、例えば上記モデル式(式1)を用いてφ1から不良箇所DFの上面100aからの深さDを演算する。
図9は、深さDと位相差φ1との関係を示す図である。
図9に示すグラフの横軸は深さD、縦軸は位相差φ1を表している。図9では、8段のチップが重ねられた半導体装置100について、不良箇所の上面100aからの深さDと、位相差φ1との関係を表している。
【0064】
ここで、図9に表したL1〜L8はチップの段数である。すなわち、L1〜L8は、深さDの値が大きい側(深い側)を第1段L1、小さい側(浅い側)を第8段L8として表している。それぞれ段数L1〜L8には位相差φ1の範囲がある。位相差φ1がどの範囲に含まれるかによって不良箇所がどの段数L1〜L8に含まれるかを判別することができる。
制御部520は、例えば図9に表したようなグラフに基づくテーブルデータを参照して、位相差φ1から不良箇所のある段数L1〜L8を求めている。
なお、モデル式(式1)や図9のグラフは一例であり、これに限定されるものではない。
【0065】
(第3の実施形態)
図10は、第3の実施形態に係る測定装置を例示する模式図である。
図10に表した測定装置501は、測定用保持具110、制御部520、記憶部530、表示部540及び電圧発生部550を備える点で測定装置500と同様であるが、2つの熱検知カメラ(第1の熱検知カメラ510A及び第2の熱検知カメラ510B)を備える点で測定装置500と相違する。
【0066】
第1の熱検知カメラ510Aは、測定用保持具110に固定される半導体装置100の上面100a側に配置される。第2の熱検知カメラ510Bは、測定用保持具110に固定される半導体装置100の下面100b側に配置される。測定装置501では、半導体装置100の上面100a側及び下面100b側の両側から熱検知カメラによって映像を取り込む。
【0067】
測定用保持具110では、支持基板10に貫通孔15が設けられている。このため、第2の熱検知カメラ510Bは、貫通孔15を介して半導体装置100の下面100b側の映像(信号)を取り込むことができる。
【0068】
第1の熱検知カメラ510A及び第2の熱検知カメラ510Bでそれぞれ取り込んだ信号は制御部520へ送られる。制御部520は、第1の熱検知カメラ510A及び第2の熱検知カメラ510Bからそれぞれ送られた信号に基づいて半導体装置100の不良箇所DFの位置、上面100aからの深さを演算し、表示部540に表示させる。
【0069】
図11(a)〜(c)は、発熱源の位置の検出例を示す図である。
図11(a)には、半導体装置100に与える電圧の時間変化の例が示されている。図11(a)に示すグラフの横軸は時間、縦軸は入力電圧Vinである。半導体装置100には、例えば所定の周波数のパルス電圧が与えられる。
図11(b)には、第1の熱検知カメラ510Aによって取り込んだ信号の出力の時間変化の例が示されている。図11(b)に示すグラフの横軸は時間t、縦軸は出力値S1outである。図11(b)において横軸(時間t)は、図11(a)における横軸(時間t)と対応している。
図11(c)には、第2の熱検知カメラ510Bによって取り込んだ信号の出力の時間変化の例が示されている。図11(c)に示すグラフの横軸は時間t、縦軸は出力値S2outである。図11(c)において横軸(時間t)は、図11(a)及び(b)における横軸(時間t)と対応している。
【0070】
図11(a)及び(b)に表したように、半導体装置100に与える電圧の位相(第1の位相)と、第1の熱検知カメラ510Aによって取り込んだ信号の位相(第2の位相)との間には、φ1の位相差が生じている。この位相差φ1は、上面100aから発熱源(不良箇所DF)までの距離に関係している。
図11(a)及び(c)に表したように、半導体装置100に与える電圧の位相(第1の位相)と、第2の熱検知カメラ510Bによって取り込んだ信号の位相(第3の位相)との間には、φ2の位相差が生じている。この位相差φ2は、下面100bから発熱源(不良箇所DF)までの距離に関係している。
【0071】
制御部520は、これらの位相差φ1及びφ2に基づき、上面100aからの不良箇所DFの距離及び下面100bからの不良箇所DFまでの距離を演算する。例えば、制御部520は、図9に表したような上面100aから不良箇所DFまでの距離と位相差φ1との関係(例えば、第1のテーブルデータとする。)、及び下面100bから不良箇所DFまでの距離と位相差φ2との関係(例えば、第2のテーブルデータとする。)を、それぞれ用いることで、高精度に不良箇所DFの位置を求める。
【0072】
例えば、図9に表したように、8段のチップが重ねられた半導体装置100について、制御部520により第1のテーブルデータから求めた不良箇所DFの段数が4段または5段であると判断され、第2のテーブルデータから求めた不良箇所DFの段数が3段または4段であると判断された場合、これらの共通の段数である4段を最終的な不良箇所DFの段数であると判断する。
【0073】
第2実施形態では、モデル式(式1)で不良箇所DFの段数を特定する。モデル式(式1)は、例えば係数Cのようにレンジをもった係数を有する。このため、モデル式(式1)用いて算出するとき、不良箇所DFの段数が数多く存在する場合がある。
しかし、第3実施形態では、測定装置500は、熱検知カメラ510A、510Bを用いてパッケージ100の上面100a及び下面100cの両方から、不良箇所DFを測定する。したがって、1つのテーブルデータからは不良箇所DFの段数を限定できない場合であっても、2つのテーブルデータを用いることで不良箇所DFの段数をより限定することができるようになり、精度の高い検出が可能になる。
【0074】
(第4の実施形態)
図12は、第4の実施形態に係る測定装置を例示する模式図である。
図12に表したように、第4の実施形態に係る測定装置502は、測定用保持具110、熱検知カメラ510、制御部520、記憶部530、表示部540及び電圧発生部550を備える点で測定装置500と同様であるが、側面撮影カメラ560及び駆動制御部570を備える点で測定装置500と相違する。
【0075】
側面撮影カメラ560は、半導体装置100の側面100cの映像を取り込む。側面撮影カメラ560は、探針部30の接触する側面100cに対応して設けられている。図12に表した例では、対向する2つの側面100cに対応して2つの側面撮影カメラ560が設けられている。側面撮影カメラ560で取り込んだ信号は制御部520に送られる。
【0076】
制御部520は、側面撮影カメラ560で取り込んだ信号に基づいて、側面100cから露出する導通部MLの端面MLaの位置(例えば、3次元での位置)を演算する。制御部520は、演算によって得た位置の情報を駆動制御部570へ送る。
【0077】
駆動制御部570は、駆動部35に駆動信号を与えて探針部30の位置(先端の位置)を制御する部分である。駆動制御部570は、制御部520から送られる位置の情報によって駆動部35に駆動信号を与える。探針部30の位置は、駆動制御部570によって制御される。なお、駆動制御部570は、制御部520に組み込まれていてもよい。
【0078】
実施形態に係る測定装置502において半導体装置100の測定を行うには、先ず、探針部30を退けた状態で、支持基板10に半導体装置100を配置して、固定部20(図1(a)及び(b)参照)によって半導体装置100を固定する。
【0079】
次に、側面撮影カメラ560を用いて半導体装置100の側面100cの映像(信号)を取り込み、制御部520へ送る。制御部520は、側面撮影カメラ560で取り込んだ信号に基づいて、側面100cから露出する導通部MLの端面MLaの位置を演算する。制御部520は、演算によって得た位置の情報を駆動制御部570へ送る。
【0080】
駆動制御部570は、制御部520から送られた位置の情報に基づき、駆動部35に駆動信号を与える。この駆動信号によって駆動部35の例えばモータが所定量動作して、探針部30が端面MLaの位置に正確に接触する状態になる。
【0081】
探針部30が端面MLaに接触した後は、電圧発生部550から発生した電圧を探針部30から半導体装置100へ与える。そして、熱検知カメラ510によって半導体装置100の映像(信号)を取り込む。一定時間取り込んだ映像(信号)は、例えば記憶部530に記憶される。
【0082】
その後、制御部520は、熱検知カメラ510によって取り込んだ信号を例えば記憶部530から読み出し、所定の演算を行う。そして、演算結果を表示部540に表示させる。これにより、表示部540には、半導体装置100の発熱源の位置を示す画像DFG(図7(b)参照)が表示される。
【0083】
実施形態に係る測定装置502では、探針部30を自動的に側面100cの端面MLaに接触させることができ、探針部30を端面MLaに迅速かつ正確に接触させて測定を行うことができるようになる。
【0084】
(第5の実施形態)
図13は、第5の実施形態に係る測定装置を例示する模式図である。
図13に表したように、第5の実施形態に係る測定装置503は、測定用保持具110、熱検知カメラ510、制御部520、記憶部530、表示部540、電圧発生部550及び駆動制御部570を備える点で測定装置502と同様であるが、側面撮影カメラ560が設けられていない点で測定装置502と相違する。
【0085】
実施形態に係る測定装置503において、制御部520は、半導体装置100の設計情報が記憶されるデータベースDBから設計情報を取得する処理を行う。例えば、設計情報に端面MLaの位置情報が含まれる場合には、制御部520はその位置情報を参照する。
【0086】
一方、設計情報に端面MLaの位置情報が含まれない場合、制御部520は、半導体装置100の設計情報のうち半導体装置100の基準位置に対する端面MLaの位置情報を算出する。
【0087】
制御部520は、半導体装置100の基準位置に対する端面MLaの位置情報から、半導体装置100が測定用保持具110に固定された際の支持基板10に対する端面MLaの位置を算出する。制御部520は、算出した位置の情報を駆動制御部570に送る。
【0088】
駆動制御部570は、制御部520から送られる位置の情報によって駆動部35に駆動信号を与える。探針部30の位置は、駆動制御部570によって制御される。なお、駆動制御部570は、制御部520に組み込まれていてもよい。
【0089】
実施形態に係る測定装置503において半導体装置100の測定を行うには、先ず、探針部30を退けた状態で、支持基板10に半導体装置100を配置して、固定部20(図1(a)及び(b)参照)によって半導体装置100を固定する。
【0090】
次に、制御部520は、データベースDBから読み込んだ半導体装置100の設計情報を用いて、側面100cから露出する導通部MLの端面MLaの支持基板10に対する位置を算出する。制御部520は、算出した位置の情報を駆動制御部570に送る。
【0091】
駆動制御部570は、制御部520から送られた位置の情報に基づき、駆動部35に駆動信号を与える。この駆動信号によって駆動部35の例えばモータが所定量動作して、探針部30が端面MLaの位置に正確に接触する状態になる。
【0092】
探針部30が端面MLaに接触した後は、電圧発生部550から発生した電圧を探針部30から半導体装置100へ与える。そして、熱検知カメラ510によって半導体装置100の映像(信号)を取り込む。一定時間取り込んだ映像(信号)は、例えば記憶部530に記憶される。
【0093】
その後、制御部520は、熱検知カメラ510によって取り込んだ信号を例えば記憶部530から読み出し、所定の演算を行う。そして、演算結果を表示部540に表示させる。これにより、表示部540には、半導体装置100の発熱源の位置を示す画像DFG(図7(b)参照)が表示される。
【0094】
実施形態に係る測定装置503では、半導体装置100の設計情報に基づき探針部30を自動的に側面100cの端面MLaに接触させることができる。これにより、側面の映像を取り込むことなく探針部30を端面MLaに迅速かつ正確に接触させて測定を行うことができるようになる。
【0095】
次に、他の適用例について説明する。
図14は、他の適用例について示す模式図である。
図14では、被測定物である半導体装置100が実装用基板600Aに実装された状態で測定用保持具110に固定されている状態を表している。
図15(a)〜(b)は、実装用基板の例を示す模式図である。
図15(a)に表したように、半導体装置100は、例えば実装用基板600の所定位置に、はんだ付けによって実装されている。実装用基板600には、半導体装置100以外の部品が実装されている場合もある。
図15(b)には、図15(a)に表した破線に沿って実装用基板600を分割した状態が表されている。分割した実装用基板600Aには半導体装置100が実装されている。
【0096】
図14に表したように、実施形態に係る測定用保持具110は、実装用基板600Aに実装された状態であっても半導体装置100を固定することができる。この場合、図1(a)及び(b)に表した固定部20の例えば一対の固定部材20A及び20Bによって、半導体装置100のパッケージ100Pの対角となる2つの隅部を挟持するか、または分割した実装用基板600Aの対角となる2つの隅部を挟持することによって半導体装置100の固定を行う。
【0097】
固定部20によって半導体装置100を固定した後は、半導体装置100の側面100cから露出する導通部MLの端面MLaに探針部30を接触させる。これにより、探針部30から半導体装置100に所定の電圧を印加できるようになる。
【0098】
実施形態に係る測定用保持具110においては、実装用基板600Aに半導体装置100が実装された状態でも半導体装置100の固定を行うことができるため、半導体装置100を実装用基板600(600A)から取り外すことなく、実装したまま測定を行うことができる。
【0099】
一般に、図15(a)に表したように、半導体装置100が実装用基板600に実装されたあと、半導体装置100の不良箇所を検査したい場合には、半導体装置100を実装用基板600から取り外している。例えば、半導体装置100を加熱してはんだを溶融し、実装用基板600から半導体装置100を取り外す。半導体装置100を取り外した後は、半導体装置100の電極BPを再度形成して、再形成した電極BPを介して電圧を印加している。
しかし、半導体装置100を実装用基板600から取り外す際の加熱によって半導体装置100は少なからず熱の影響を受ける。このような熱の影響を受けた半導体装置100を検査した場合、不良原因の切り分けが困難になる。
【0100】
実施形態に係る測定用保持具110を用いる場合には、図15(a)及び(b)に表したように、半導体装置100の周囲で実装用基板600を分割し、分割した実装用基板600Aに実装されている半導体装置100を取り外すことなく、そのまま測定用保持具110に固定している。
そして、半導体装置100の側面100cから露出する導通部MLの端面MLaと探針部30とを接触させて、この探針部30から端面MLaを介して半導体装置100に電圧を印加することができる。
したがって、半導体装置100に熱によるストレスを与えることなく、実装後の不良箇所を正確に検査できるようになる。
【0101】
以上説明したように、実施形態に係る測定用保持具及び測定装置によれば、精度の高い検査を行うことができるようになる。
【0102】
なお、上記に実施形態およびその変形例を説明したが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
例えば、実施形態においては熱検知カメラ510と被測定物との相対的な位置を固定しているが、必要に応じて変化させてもよい。例えば、熱検知カメラ510を、被測定物を配置する位置を中心として回転可能に設けてもよい。熱検知カメラ510によって種々の角度から被測定物の映像を取り込むことで、不良箇所の3次元的な位置が検出される。
また、第2の実施形態に係る測定装置において、被測定物の映像を複数の角度から取り込むことで不良箇所を精度良く検出することができる。すなわち、1つのテーブルデータからは不良箇所DFの段数を限定できない場合であっても、複数のテーブルデータを用いることで不良箇所DFの段数をより限定することができるようになり、精度の高い検出が可能になる。
また、前述の各実施形態またはその変形例に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、設計変更を行ったものや、各実施形態の特徴を適宜組み合わせたものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含有される。
【0103】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0104】
10…支持基板、15…貫通孔、20…固定部、30…探針部、35…駆動部、40…切り替え部、100…半導体装置、100P…パッケージ、100a…上面、100b…下面、100c…側面、110…測定用保持具、301…第1の探針部、302…第2の探針部、500〜503…測定装置、510…熱検知カメラ、510A…第1の熱検知カメラ、510B…第2の熱検知カメラ、520…制御部、530…記憶部、540…表示部、550…電圧発生部、560…側面撮影カメラ、570…駆動制御部、BP…電極、ML…導通部、MLa…端面、P1…第1の配線、P2…第2の配線、T1…第1の端子、T2…第2の端子
【技術分野】
【0001】
本発明の実施形態は、測定用保持具及び測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体装置は、半導体チップと、この半導体チップを封止する樹脂製のパッケージと、を有する。パッケージの外側には、半導体チップと導通する電極が設けられている。BGA(Ball grid array)型の半導体装置では、パッケージの下面に複数のボール型電極が行列状に設けられている。
【0003】
このような測定用保持具においては、より精度の高い検査を行う場合にも対応できることが望まれる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2011−165956号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の実施形態は、精度の高い検査可能な測定用保持具及び測定装置を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
実施形態に係る測定用保持具は、複数の半導体チップを含むパッケージ、前記パッケージの側面から露出し前記半導体チップの電極と導通する導通部、を有する被測定物を保持する測定用保持具である。
測定用保持具は、前記被測定物を配置する位置に貫通孔が設けられた支持基板と、前記支持基板に前記被測定物を固定する固定部と、前記支持基板に対して少なくとも1軸方向に可動に設けられ前記導通部と接触する探針部と、を備える。
【図面の簡単な説明】
【0007】
【図1】(a)〜(b)は、第1の実施形態に係る測定用保持具の構成を例示する模式図である。
【図2】(a)〜(b)は、被測定物の一例を表す模式図である。
【図3】(a)〜(b)は、パッケージ内部の一部を例示する模式的平面図である。
【図4】(a)〜(b)は、半導体装置の保持方法を説明する模式的断面図である。
【図5】(a)〜(b)は、他の探針部の例を示す模式図である。
【図6】(a)〜(b)は、他の探針部の例を示す模式図である。
【図7】(a)〜(b)は、第2の実施形態に係る測定装置を例示する模式図である。
【図8】(a)〜(c)は、発熱源の位置の検出例を示す図である。
【図9】深さDと位相差φ1との関係を示す図である。
【図10】第3の実施形態に係る測定装置を例示する模式図である。
【図11】(a)〜(c)は、発熱源の位置の検出例を示す図である。
【図12】第4の実施形態に係る測定装置を例示する模式図である。
【図13】第5の実施形態に係る測定装置を例示する模式図である。
【図14】他の適用例について示す模式図である。
【図15】(a)〜(b)は、配線基板の例を示す模式図である。
【発明を実施するための形態】
【0008】
以下、本発明の実施形態を図に基づき説明する。
なお、図面は模式的または概念的なものであり、各部分の厚みと幅との関係、部分間の大きさの比係数などは、必ずしも現実のものと同一とは限らない。また、同じ部分を表す場合であっても、図面により互いの寸法や比係数が異なって表される場合もある。
また、本願明細書と各図において、既出の図に関して前述したものと同様の要素には同一の符号を付して詳細な説明は適宜省略する。
【0009】
(第1の実施形態)
図1(a)〜(b)は、第1の実施形態に係る測定用保持具の構成を例示する模式図である。
図1(a)では、第1の実施形態に係る第1の実施形態に測定用保持具110の模式的斜視図を表し、図1(b)では、第1の実施形態に係る測定用保持具110の模式的平面図を表している。
図2(a)〜(b)は、被測定物の一例を表す模式図である。
図2(a)では、被測定物の一例である半導体装置の模式的斜視図を表している。図2(b)では、半導体装置の側面を表している。
【0010】
図1(a)及び(b)に表したように、実施形態に係る測定用保持具110において保持する対象(被測定物)は、例えば半導体装置100である。
図2(a)及び(b)に表したように、被測定物の一例である半導体装置100は、上面100a、下面100b及び側面100cを含むパッケージ100Pと、下面100bに設けられた電極BPと、側面100cから露出し電極BPと導通する導通部MLと、を有する。
【0011】
側面100cから露出する導通部MLは、例えばパッケージ100Pに含まれるチップ(図示せず)のパッドに接続される。
図3(a)〜(b)は、パッケージ内部の一部を例示する模式的平面図である。
図3(b)は、図3(a)の一部を拡大したものである。
図4(a)〜(b)は、半導体装置の保持方法を説明する模式的断面図である。
図3(a)及び(b)に表したように、パッケージ100P内には、配線基板PBが設けられている。配線基板PBの上には半導体チップCPが実装され、半導体チップCPと配線基板PBに設けられたパッドPDとはボンディングワイヤBWによって接続されている。
配線基板PBの下面には、例えばボール状の電極BPが設けられている。配線基板PBの上に設けられたパッドPDと、配線基板PBの下に設けられた電極BPとは、導通部MLを介して電気的に導通している。
【0012】
導通部MLには、例えば金(Au)のめっきが施される。導通部MLの一部は、配線基板PBの縁まで延びている。この配線基板PBの縁まで延びる導通部MLの一部は、めっきを施す際の導通を得るために設けられた部分である。
半導体チップCPを覆うようにパッケージ100Pを設けた場合、パッケージ100Pの側面100cから、この導通部MLの端面MLaが露出することになる。電極BPの個数は、端面MLaの個数と導通である。複数の電極BPのそれぞれは、端面MLaのそれぞれと1対1に対応している。
【0013】
実施形態に係る測定用保持具110は、パッケージ100Pの側面100cから露出する導通部MLの端面MLaを利用して半導体チップCPのパッドと外部との電気的な導通を得る。
【0014】
図1(a)及び(b)に表したように、測定用保持具110は、支持基板10と、固定部20と、探針部30と、を備える。
支持基板10は、被測定物の一例である半導体装置100を載置するための部材である。半導体装置100は、例えばパッケージ100Pの下面100bと支持基板10の第1主面10aとが平行になるように配置される。
【0015】
支持基板10において、半導体装置100を配置する位置には貫通孔15が設けられていてもよい。貫通孔15は、支持基板10を貫通する孔である。貫通孔15の開口の大きさは、図4(a)及び(b)に示すように、例えばパッケージ100Pの外形サイズよりも小さく、パッケージ100Pの下面100bの電極BPが設けられた領域よりもわずかに大きい。これにより、半導体装置100を支持基板10に配置すると、パッケージ100Pの下面100bの縁部分が第1主面10aに載り、電極BPの設けられた領域が貫通孔15の内側に配置される状態になる。
【0016】
このように、貫通孔15の位置に合わせて半導体装置100を配置することによって、パッケージ100Pの上面100a側のみならず下面100b側も遮るものがない状態になる。
【0017】
固定部20は、支持基板10に設けられる。固定部20は、例えば支持基板10の第1主面10aに沿って移動できる。
固定部20の一例としては、間にパッケージ100Pを挟持する一対の固定部材20A及び20Bを有する。
固定部材20Aには切り欠き部201が設けられ、固定部材20Bには切り欠き部202が設けられる。
一対の固定部材20A及び20Bは、それぞれの切り欠き部201及び202によって半導体装置100の位置決めを行う。
【0018】
例えば、一対の固定部材20A及び20Bは、一対の固定部材20A及び20Bを結ぶ方向に移動可能に設けられている。一対の固定部材20A及び20Bの移動動作によって、一対の固定部材20A及び20Bの間隔が調整される。
【0019】
半導体装置100を支持基板10の上に配置する際には、一対の固定部材20A及び20Bの間隔を拡げておき、半導体装置100を配置したあとで一対の固定部材20A及び20Bの間隔を狭くしていく。やがて、パッケージ100Pの対角になる2つの隅部に切り欠き部201及び202が接触して、一対の固定部材20A及び20Bの間に半導体装置100が挟持される。これにより、第1主面10aに沿った2軸方向の位置が決まった状態で半導体装置100が固定される。
【0020】
なお、固定部20は一対の固定部材20A及び20Bには限定されない。すなわち、固定部20は、半導体装置100を支持基板10の所定位置に固定するものであればどのような形態であってもよい。例えば、固定部20は、支持基板10の第1主面10aに設けられた凹部であってもよい。凹部の大きさをパッケージ100Pの外形サイズに合わせることで、パッケージ100Pを凹部内に嵌め込み、半導体装置100の位置を固定するようにしてもよい。
【0021】
探針部30は、支持基板10に対して少なくとも1軸方向に可動に設けられている。探針部30は、支持基板10に位置決めされた半導体装置100のパッケージ100Pの側面100cから露出する導通部MLと接触する。例えば、1つの探針部30の先端は、1つの導通部MLの端面MLaと接触する。
【0022】
探針部30は、例えば、支持基板10に配置した半導体装置100の側面100cに近づく及び側面100cから離れるように移動可能に設けられている。これにより、支持基板10に半導体装置100が位置決めされた状態で、パッケージ100Pの側面100cから露出する導通部MLの端面MLaに探針部30を徐々に近づけて、探針部30の先端を端面MLaに接触させることができる。
【0023】
支持基板10には、例えば複数本の探針部30が設けられている。複数本の探針部30のうち1本を第1の探針部301、他の1本を第2の探針部302とする。
第1の探針部301と、第2の探針部302とは、例えば半導体装置100を配置する位置を間にして対向して設けられる。このように対向して設けられていると、半導体装置100を間にして第1の探針部301と第2の探針部302とで挟むようにそれぞれ端面MLaと接触する。したがって、力のバランスよく半導体装置100と探針部30との接触が成されることになる。
【0024】
探針部30は、支持基板10に設けられた駆動部35によって移動可能に設けられていてもよい。駆動部35は、歯車、カム、リンク等を用いた伝動機構によって探針部30を駆動する手段を備えていても、モータや圧電素子等によって探針部30を駆動する手段を備えていてもよい。
【0025】
また、駆動部35は、探針部30を2軸以上可動する手段を備えていてもよい。例えば、駆動部35は、探針部30を第1主面10aに沿って互いに直交する2軸と、第1主面10aと直交する1軸と、の合計3軸に沿って可動できる手段を備えていてもよい。さらに、駆動部35は、探針部30を第1主面10aに沿って回転させたり、第1主面10aに対する角度を変化させたりする手段を備えていてもよい。また、駆動部35は、探針部30を円軌道に沿って可動できる手段を備えていてもよい。
探針部30の移動は、上記の伝動機構を手動で動作させることで行われてもよい。
【0026】
支持基板10には、第1の配線P1及び第2の配線P2が設けられていてもよい。
第1の配線P1は、第1の探針部301または第2の探針部302と導通し、第1の電位V1が与えられる。第1の配線P1は第1の端子T1と導通しており、第1の端子T1を介して外部から第1の電位V1が与えられる。
第2の配線P2は、第2の探針部302または第1の探針部301と導通し、第1の電位V1とは異なる第2の電位V2が与えられる。第1の配線P2は第2の端子T2と導通しており、第2の端子T2を介して外部から第2の電位V2が与えられる。
【0027】
実施形態に係る測定用保持具110においては、支持基板10に切り替え部40が設けられていてもよい。
切り替え部40は、第1の探針部301と第1の配線P1または第2の配線P2との接続、及び第2の探針部302と第2の配線P2または第1の配線P1との接続の切り替えを行う。すなわち、切り替え部40は、第1の配線P1を、第1の探針部301に接続するか、第2の探針部302に接続するか、の切り替えを行う。また、切り替え部40は、第2の配線P2を、第2の探針部302に接続するか、第1の探針部301に接続するか、の切り替えを行う。切り替え部40の切り替え動作によって、第1の探針部301に与える電位(第1の電位V1または第2の電位V2)及び第2の探針部302に与える電位(第2の電位V2または第1の電位V1)の切り替えが行われる。
【0028】
ここで、第1の電位V1は、例えば接地電位である。第2の電位V2は、例えば半導体装置100の動作電位である。
第1の探針部301及び第2の探針部302を、それぞれ半導体装置100の導通部MLの端面MLaに接触させることで、パッケージ100P内の半導体チップCPの所定の配線には、第1の電位V1及び第2の電位V2が与えられることになる。
【0029】
なお、測定用保持具110が3本以上の探針部30を備える場合には、第1の電位V1、第2の電位V2のいずれかであっても、また、これら以外の電位を与えるものであってもよい。また、探針部30は、半導体装置100に電位を与えるものでなく、半導体装置100の信号出力を得るものであってもよい。
【0030】
次に、実施形態に係る測定用保持具110による半導体装置100の保持方法を説明する。
先ず、図4(a)に表したように、第1の探針部301及び第2の探針部302が対向して配置されている場合には、第1の探針部301及び第2の探針部302の間隔を拡げておく。
【0031】
次に、支持基板10の貫通孔15の位置に被測定物である半導体装置100を配置する。半導体装置100を支持基板10に配置する場合、パッケージ100Pの下面100bに設けられた電極BPは貫通孔15の内側に配置され、パッケージ100Pの下面100bの縁部分は、支持基板10の第1主面10aに接触する状態になる。
この状態で、図1(a)及び(b)に表した固定部20(例えば、一対の固定部材20A及び20B)によって半導体装置100を固定する。これにより、半導体装置100は主面10a上の所定位置に正確に固定される。
【0032】
次に、図4(b)に表したように、例えば駆動部35によって探針部30を半導体装置100へ近づける。探針部30を半導体装置100へ近づけることにより、やがてパッケージ100Pの側面100cから露出した導通部MLの端面MLaに探針部30の先端は接触する。
【0033】
探針部30は、その先端部分を可動式にしておき、可動する先端部分をバネによって付勢した状態に設けられていてもよい。これにより、探針部30が端面MLaと接触した際に、探針部30から端面MLaに与える接触力を緩衝しつつ確実な接触を得る。
【0034】
このような方法によって、半導体装置100は測定用保持具110に固定されるとともに、探針部30とパッケージ100Pの側面100cに露出した端面MLaとの電気的な導通が行われることになる。
実施形態に係る測定用保持具110では、探針部30をパッケージ100Pの側面100cに接触しているため、パッケージ100Pの上面100a側及び下面100b側はそれぞれ開放している状態になる。
【0035】
測定用保持具110に半導体装置100を保持した後は、切り替え部40によって所定の切り替えを行い、第1の端子T1に第1の電位V1、第2の端子T2に第2の電位V2を与える。これにより、第1の配線P1及び切り替え部40を介して第1の探針部301または第2の探針部302に第1の電位V1が与えられ、第2の配線P2及び切り替え部40を介して第2の探針部302または第1の探針部301に第2の電位V2が与えられる。この状態で半導体装置100の動作が検査される。
【0036】
実施形態に係る測定用保持部110を用いることで、より精度の高い検査を行う場合にも対応することができるようになる。
一般に、半導体装置100の動作を検査するには、パッケージ100Pの下面100bに設けられた複数の電極BPとの導通を得るために、これらの電極BPと接触する端子を備えたソケット(測定用保持具)を利用している。例えば、ソケットには複数の端子が設けられており、ソケットに半導体装置100を搭載することで、パッケージ100Pの下面100bの電極BPとソケットの端子とを接触させている。そして、ソケットの端子から半導体装置100の電極BPを介して半導体装置100へ所定の電圧を印加し、動作の検査を行う。
この場合、半導体装置100の下方にソケットがあるため、半導体装置100の下面100b側の映像を取り込む際の邪魔になる。
実施形態に係る測定用保持部110では、保持した半導体装置100の上面100a側及び下面100b側の両方とも開放されているため、上面100a側及び下面100b側の両方の映像を確実に取り込むことができる。これにより、高精度な検査に対応することが可能になる。
【0037】
(他の探針部の例)
次に、他の探針部の例について説明する。
図5(a)〜図6(b)は、他の探針部の例を示す模式図である。
図5(a)では、半導体装置100のパッケージ100Pにおける4つの側面100c(1)〜100c(4)に向けてそれぞれ探針部30が設けられた例を表している。複数の探針部30は、4つのグループGr1〜Gr4に分けられる。複数の探針部30は、グループGr1〜Gr4ごとにパッケージ100Pの4つの側面100c(1)〜100c(4)側に対応して配置される。
【0038】
各探針部30は、支持基板10に対して移動可能に設けられている。
【0039】
これにより、パッケージ100Pの4つの側面100c(1)〜100c(4)から露出する端面MLa(図2(a)及び(b)参照)に、各探針部30を接触させることができるようになる。
【0040】
図5(b)では、複数の探針部30のピッチを変化させた例を表している。例えば、パッケージ100Pの1つの側面100cに対向して複数の探針部30が設けられている場合、この複数の探針部30の半導体装置100に近い側のピッチpt1は、半導体装置100から離れた側のピッチpt2よりも狭くなっている。
【0041】
例えば、複数の探針部30の半導体装置100に近い側のピッチpt1は、パッケージ100Pの側面100cから露出する複数の端面MLa(図2(a)及び(b)参照)のピッチと同じなっている。
【0042】
一方、複数の探針部30の半導体装置100から離れた側のピッチpt2は、ピッチpt1よりも拡げられている。これにより、複数の端面MLa(図2(a)及び(b)参照)のピッチが狭い場合であっても、探針部30の引き出しが容易になる。
【0043】
図6(a)〜(b)では、探針部30の先端部30aが湾曲している例を表している。複数の探針部30は、貫通孔15を間にして対向して配置されている。図6(a)に表したように、探針部30の先端部30aは湾曲した形状を成しており、この湾曲した形状によって弾性変形によるバネ性を有している。図6(b)に表したように、支持基板10に半導体装置100を位置決めした状態で探針部30の先端部30aを側面100cに接触させると、先端部30aのバネ性によって探針部30と側面100cから露出する端面MLa(図2(a)及び(b)参照)との接触力を緩衝しつつ確実な接触を行うことができる。
【0044】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態に係る測定装置について説明する。
図7(a)〜(b)は、第2の実施形態に係る測定装置を例示する模式図である。
図7(a)は全体構成図、図7(b)は表示部の表示例を示す図である。
図7(a)に表したように、第2の実施形態に係る測定装置500は、被測定物の一例である半導体装置100の導通特性(例えば、短絡位置の検出)を測定する装置である。
測定装置500は、測定用保持具110、熱検知カメラ510、制御部520、電圧発生部550を備える。また、測定装置500は、記憶部530及び表示部540を備える。
【0045】
測定用保持具110は、先に説明したように、支持基板10と、固定部20(図1(a)及び(b)参照)と、探針部30と、を備える。測定用保持具110は、例えば基台Sの上に設けられている。測定用保持具110は、基台Sの上面に沿った回転角度や、上面に対する傾斜角度を調整できるように設けられていてもよい。
【0046】
電圧発生部550は、探針部30から導通部ML(図2(a)及び(b)参照)を介して被測定物である半導体装置100に印加する電圧を発生する部分である。電圧発生部550は、例えば第1の探針部301に与える第1の電位V1及び第2の探針部302に与える第2の電位V2の電圧を発生する。
【0047】
熱検知カメラ510は、半導体装置100に電圧を印加した際に半導体装置100から発生する熱に応じた信号を取り込むカメラである。熱検知カメラ510は、例えば赤外線カメラである。熱検知カメラ510は、半導体装置100の動作状態において半導体装置100から放出される赤外線等を検知する。
【0048】
制御部520は、熱検知カメラ510で取り込んだ信号に基づいて半導体装置100の発熱源の位置を演算する。演算した結果は、例えば表示部540に表示される。
図7(b)では、表示部540の表示例を表している。表示部540は、熱検知カメラ510で取り込んだ映像540Gを表示する。映像540Gには、例えば複数のチップが積層された像100Gが表示される。像100Gには、制御部520で演算した発熱源の位置を示す画像DFGが半導体装置100の像100Gに重ね合わせた状態で表示される。
【0049】
記憶部530は、例えば、熱検知カメラ510で取り込んだ信号を記憶する部分である。制御部520は、記憶部530に記憶された信号を読み出して所定の信号処理を施すことにより、半導体装置100の発熱源の位置を求め、表示部540に表示させる。
【0050】
測定装置500においては、1つの制御部520によって熱検知カメラ510、記憶部530、表示部540及び電圧発生部550を制御しているが、複数の制御部によって各部を制御してもよい。また、制御部520は、コンピュータのプログラム処理によって実現してもよい。
【0051】
測定装置500を用いて半導体装置100の測定を行うには、先ず、測定用保持具110に半導体装置100を固定し、パッケージ100Pの側面100cから露出する端面MLaに探針部30を接触させる。
次に、電圧発生部550から発生した電圧を探針部30から半導体装置100へ与える。
【0052】
次に、熱検知カメラ510によって半導体装置100の映像(信号)を取り込む。一定時間取り込んだ映像(信号)は、例えば記憶部530に記憶される。
【0053】
次に、制御部520は、熱検知カメラ510によって取り込んだ信号を例えば記憶部530から読み出し、所定の演算を行う。そして、演算結果を表示部540に表示させる。これにより、表示部540には、半導体装置100の発熱源の位置を示す画像DFGが表示される。
【0054】
例えば、半導体装置100の半導体チップCP内にショート(短絡)箇所がある場合、通常の配線パターンの電気抵抗値よりもショート箇所の電気抵抗値のほうが大きいことから、ショート箇所での発熱量が多くなる。この性質を利用して、熱検知カメラ510で取り込んだ信号から半導体装置100の異常発熱箇所を求める。異常発熱箇所は、不良が発生している可能性の高い場所である。
【0055】
実施形態に係る測定装置500では、測定用保持具110によって半導体装置100の側面100cに露出する端面MLa(図2(a)及び(b)参照)に探針部30を接触させているため、半導体装置100の上面100a側を開放することができる。これにより、熱検知カメラ510によって半導体装置100の上面100a側の映像を的確に取り込むことができる。
【0056】
また、半導体装置100を固定した測定用保持具110を、基台Sの上に上下反転して配置すれば、貫通孔15を介して半導体装置100の下面100bの映像を的確に取り込むこともできる。すなわち、測定用保持具110では、探針部30を半導体装置100の側面100cに接触させること、また、半導体装置100の下面100b側に貫通孔15が設けられていること、によって、貫通孔15を介して遮るものなく半導体装置100の下面100b側の映像を取り込むことができる。
【0057】
図8(a)〜(c)は、発熱源の位置の検出例を示す図である。
図8(a)には、半導体装置100に与える電圧の時間変化の例が示されている。図8(a)に示すグラフの横軸は時間、縦軸は入力電圧Vinである。半導体装置100には、例えば所定の周波数のパルス電圧が与えられる。
図8(b)には、熱検知カメラ510によって取り込んだ信号の出力の時間変化の例が示されている。図8(b)に示すグラフの横軸は時間t、縦軸は出力値Soutである。図8(b)において横軸(時間t)は、図8(a)における横軸(時間t)と対応している。
【0058】
半導体装置100に例えばパルス電圧を印加して、その際の発熱の状態を熱検知カメラ510によって取り込むことで、異常発熱箇所がパルス電圧のパルスに呼応して、発熱源が点灯する。これによって、精度良く発熱源の位置が特定される。
【0059】
また、図8(a)及び(b)に表したように、半導体装置100に与える電圧の位相(第1の位相)と、熱検知カメラ510によって取り込んだ信号の位相(第2の位相)との間には、φ1の位相差が生じている。
【0060】
この位相差φ1は、例えば半導体装置100の上面100aを基準にした場合、上面100aと発熱源との距離(上面100aからの深さ)に関係している。
制御部520は、この関係に基づき位相差φ1から発熱源の上面100aからの深さを演算する。
【0061】
図8(c)は、発熱源からの熱の伝達を例示する模式図である。半導体装置100の内部に発熱源になる不良箇所DFがあった場合、不良箇所DFで発生した熱は周囲に拡がっていく。ここで、半導体装置100へ電圧を印加したタイミングで熱が発生した場合、その熱が半導体装置100の上面100aに伝わるまで所定の時間を要する。この電圧を印加した時刻と、発熱源の熱に応じた信号を熱検知カメラ510で検知した時刻との時間差が、位相差φ1として現れることになる。
【0062】
この位相差φ1は、例えば次のようなモデル式(式1)で表される。
φ1=(A・ta+B・tb)・N+C …(式1)
式1において、Aはチップの熱伝導係数、Bはダイアタッチフィルムの熱伝導係数、Nはチップの重ね合わせ段数、taはチップの厚さ、tbはダイアタッチフィルムの厚さ、Cはその他の要因である。ダイアタッチフィルムは、重なり合う複数のチップの間に設けられたフィルムである。
【0063】
制御部520は、例えば上記モデル式(式1)を用いてφ1から不良箇所DFの上面100aからの深さDを演算する。
図9は、深さDと位相差φ1との関係を示す図である。
図9に示すグラフの横軸は深さD、縦軸は位相差φ1を表している。図9では、8段のチップが重ねられた半導体装置100について、不良箇所の上面100aからの深さDと、位相差φ1との関係を表している。
【0064】
ここで、図9に表したL1〜L8はチップの段数である。すなわち、L1〜L8は、深さDの値が大きい側(深い側)を第1段L1、小さい側(浅い側)を第8段L8として表している。それぞれ段数L1〜L8には位相差φ1の範囲がある。位相差φ1がどの範囲に含まれるかによって不良箇所がどの段数L1〜L8に含まれるかを判別することができる。
制御部520は、例えば図9に表したようなグラフに基づくテーブルデータを参照して、位相差φ1から不良箇所のある段数L1〜L8を求めている。
なお、モデル式(式1)や図9のグラフは一例であり、これに限定されるものではない。
【0065】
(第3の実施形態)
図10は、第3の実施形態に係る測定装置を例示する模式図である。
図10に表した測定装置501は、測定用保持具110、制御部520、記憶部530、表示部540及び電圧発生部550を備える点で測定装置500と同様であるが、2つの熱検知カメラ(第1の熱検知カメラ510A及び第2の熱検知カメラ510B)を備える点で測定装置500と相違する。
【0066】
第1の熱検知カメラ510Aは、測定用保持具110に固定される半導体装置100の上面100a側に配置される。第2の熱検知カメラ510Bは、測定用保持具110に固定される半導体装置100の下面100b側に配置される。測定装置501では、半導体装置100の上面100a側及び下面100b側の両側から熱検知カメラによって映像を取り込む。
【0067】
測定用保持具110では、支持基板10に貫通孔15が設けられている。このため、第2の熱検知カメラ510Bは、貫通孔15を介して半導体装置100の下面100b側の映像(信号)を取り込むことができる。
【0068】
第1の熱検知カメラ510A及び第2の熱検知カメラ510Bでそれぞれ取り込んだ信号は制御部520へ送られる。制御部520は、第1の熱検知カメラ510A及び第2の熱検知カメラ510Bからそれぞれ送られた信号に基づいて半導体装置100の不良箇所DFの位置、上面100aからの深さを演算し、表示部540に表示させる。
【0069】
図11(a)〜(c)は、発熱源の位置の検出例を示す図である。
図11(a)には、半導体装置100に与える電圧の時間変化の例が示されている。図11(a)に示すグラフの横軸は時間、縦軸は入力電圧Vinである。半導体装置100には、例えば所定の周波数のパルス電圧が与えられる。
図11(b)には、第1の熱検知カメラ510Aによって取り込んだ信号の出力の時間変化の例が示されている。図11(b)に示すグラフの横軸は時間t、縦軸は出力値S1outである。図11(b)において横軸(時間t)は、図11(a)における横軸(時間t)と対応している。
図11(c)には、第2の熱検知カメラ510Bによって取り込んだ信号の出力の時間変化の例が示されている。図11(c)に示すグラフの横軸は時間t、縦軸は出力値S2outである。図11(c)において横軸(時間t)は、図11(a)及び(b)における横軸(時間t)と対応している。
【0070】
図11(a)及び(b)に表したように、半導体装置100に与える電圧の位相(第1の位相)と、第1の熱検知カメラ510Aによって取り込んだ信号の位相(第2の位相)との間には、φ1の位相差が生じている。この位相差φ1は、上面100aから発熱源(不良箇所DF)までの距離に関係している。
図11(a)及び(c)に表したように、半導体装置100に与える電圧の位相(第1の位相)と、第2の熱検知カメラ510Bによって取り込んだ信号の位相(第3の位相)との間には、φ2の位相差が生じている。この位相差φ2は、下面100bから発熱源(不良箇所DF)までの距離に関係している。
【0071】
制御部520は、これらの位相差φ1及びφ2に基づき、上面100aからの不良箇所DFの距離及び下面100bからの不良箇所DFまでの距離を演算する。例えば、制御部520は、図9に表したような上面100aから不良箇所DFまでの距離と位相差φ1との関係(例えば、第1のテーブルデータとする。)、及び下面100bから不良箇所DFまでの距離と位相差φ2との関係(例えば、第2のテーブルデータとする。)を、それぞれ用いることで、高精度に不良箇所DFの位置を求める。
【0072】
例えば、図9に表したように、8段のチップが重ねられた半導体装置100について、制御部520により第1のテーブルデータから求めた不良箇所DFの段数が4段または5段であると判断され、第2のテーブルデータから求めた不良箇所DFの段数が3段または4段であると判断された場合、これらの共通の段数である4段を最終的な不良箇所DFの段数であると判断する。
【0073】
第2実施形態では、モデル式(式1)で不良箇所DFの段数を特定する。モデル式(式1)は、例えば係数Cのようにレンジをもった係数を有する。このため、モデル式(式1)用いて算出するとき、不良箇所DFの段数が数多く存在する場合がある。
しかし、第3実施形態では、測定装置500は、熱検知カメラ510A、510Bを用いてパッケージ100の上面100a及び下面100cの両方から、不良箇所DFを測定する。したがって、1つのテーブルデータからは不良箇所DFの段数を限定できない場合であっても、2つのテーブルデータを用いることで不良箇所DFの段数をより限定することができるようになり、精度の高い検出が可能になる。
【0074】
(第4の実施形態)
図12は、第4の実施形態に係る測定装置を例示する模式図である。
図12に表したように、第4の実施形態に係る測定装置502は、測定用保持具110、熱検知カメラ510、制御部520、記憶部530、表示部540及び電圧発生部550を備える点で測定装置500と同様であるが、側面撮影カメラ560及び駆動制御部570を備える点で測定装置500と相違する。
【0075】
側面撮影カメラ560は、半導体装置100の側面100cの映像を取り込む。側面撮影カメラ560は、探針部30の接触する側面100cに対応して設けられている。図12に表した例では、対向する2つの側面100cに対応して2つの側面撮影カメラ560が設けられている。側面撮影カメラ560で取り込んだ信号は制御部520に送られる。
【0076】
制御部520は、側面撮影カメラ560で取り込んだ信号に基づいて、側面100cから露出する導通部MLの端面MLaの位置(例えば、3次元での位置)を演算する。制御部520は、演算によって得た位置の情報を駆動制御部570へ送る。
【0077】
駆動制御部570は、駆動部35に駆動信号を与えて探針部30の位置(先端の位置)を制御する部分である。駆動制御部570は、制御部520から送られる位置の情報によって駆動部35に駆動信号を与える。探針部30の位置は、駆動制御部570によって制御される。なお、駆動制御部570は、制御部520に組み込まれていてもよい。
【0078】
実施形態に係る測定装置502において半導体装置100の測定を行うには、先ず、探針部30を退けた状態で、支持基板10に半導体装置100を配置して、固定部20(図1(a)及び(b)参照)によって半導体装置100を固定する。
【0079】
次に、側面撮影カメラ560を用いて半導体装置100の側面100cの映像(信号)を取り込み、制御部520へ送る。制御部520は、側面撮影カメラ560で取り込んだ信号に基づいて、側面100cから露出する導通部MLの端面MLaの位置を演算する。制御部520は、演算によって得た位置の情報を駆動制御部570へ送る。
【0080】
駆動制御部570は、制御部520から送られた位置の情報に基づき、駆動部35に駆動信号を与える。この駆動信号によって駆動部35の例えばモータが所定量動作して、探針部30が端面MLaの位置に正確に接触する状態になる。
【0081】
探針部30が端面MLaに接触した後は、電圧発生部550から発生した電圧を探針部30から半導体装置100へ与える。そして、熱検知カメラ510によって半導体装置100の映像(信号)を取り込む。一定時間取り込んだ映像(信号)は、例えば記憶部530に記憶される。
【0082】
その後、制御部520は、熱検知カメラ510によって取り込んだ信号を例えば記憶部530から読み出し、所定の演算を行う。そして、演算結果を表示部540に表示させる。これにより、表示部540には、半導体装置100の発熱源の位置を示す画像DFG(図7(b)参照)が表示される。
【0083】
実施形態に係る測定装置502では、探針部30を自動的に側面100cの端面MLaに接触させることができ、探針部30を端面MLaに迅速かつ正確に接触させて測定を行うことができるようになる。
【0084】
(第5の実施形態)
図13は、第5の実施形態に係る測定装置を例示する模式図である。
図13に表したように、第5の実施形態に係る測定装置503は、測定用保持具110、熱検知カメラ510、制御部520、記憶部530、表示部540、電圧発生部550及び駆動制御部570を備える点で測定装置502と同様であるが、側面撮影カメラ560が設けられていない点で測定装置502と相違する。
【0085】
実施形態に係る測定装置503において、制御部520は、半導体装置100の設計情報が記憶されるデータベースDBから設計情報を取得する処理を行う。例えば、設計情報に端面MLaの位置情報が含まれる場合には、制御部520はその位置情報を参照する。
【0086】
一方、設計情報に端面MLaの位置情報が含まれない場合、制御部520は、半導体装置100の設計情報のうち半導体装置100の基準位置に対する端面MLaの位置情報を算出する。
【0087】
制御部520は、半導体装置100の基準位置に対する端面MLaの位置情報から、半導体装置100が測定用保持具110に固定された際の支持基板10に対する端面MLaの位置を算出する。制御部520は、算出した位置の情報を駆動制御部570に送る。
【0088】
駆動制御部570は、制御部520から送られる位置の情報によって駆動部35に駆動信号を与える。探針部30の位置は、駆動制御部570によって制御される。なお、駆動制御部570は、制御部520に組み込まれていてもよい。
【0089】
実施形態に係る測定装置503において半導体装置100の測定を行うには、先ず、探針部30を退けた状態で、支持基板10に半導体装置100を配置して、固定部20(図1(a)及び(b)参照)によって半導体装置100を固定する。
【0090】
次に、制御部520は、データベースDBから読み込んだ半導体装置100の設計情報を用いて、側面100cから露出する導通部MLの端面MLaの支持基板10に対する位置を算出する。制御部520は、算出した位置の情報を駆動制御部570に送る。
【0091】
駆動制御部570は、制御部520から送られた位置の情報に基づき、駆動部35に駆動信号を与える。この駆動信号によって駆動部35の例えばモータが所定量動作して、探針部30が端面MLaの位置に正確に接触する状態になる。
【0092】
探針部30が端面MLaに接触した後は、電圧発生部550から発生した電圧を探針部30から半導体装置100へ与える。そして、熱検知カメラ510によって半導体装置100の映像(信号)を取り込む。一定時間取り込んだ映像(信号)は、例えば記憶部530に記憶される。
【0093】
その後、制御部520は、熱検知カメラ510によって取り込んだ信号を例えば記憶部530から読み出し、所定の演算を行う。そして、演算結果を表示部540に表示させる。これにより、表示部540には、半導体装置100の発熱源の位置を示す画像DFG(図7(b)参照)が表示される。
【0094】
実施形態に係る測定装置503では、半導体装置100の設計情報に基づき探針部30を自動的に側面100cの端面MLaに接触させることができる。これにより、側面の映像を取り込むことなく探針部30を端面MLaに迅速かつ正確に接触させて測定を行うことができるようになる。
【0095】
次に、他の適用例について説明する。
図14は、他の適用例について示す模式図である。
図14では、被測定物である半導体装置100が実装用基板600Aに実装された状態で測定用保持具110に固定されている状態を表している。
図15(a)〜(b)は、実装用基板の例を示す模式図である。
図15(a)に表したように、半導体装置100は、例えば実装用基板600の所定位置に、はんだ付けによって実装されている。実装用基板600には、半導体装置100以外の部品が実装されている場合もある。
図15(b)には、図15(a)に表した破線に沿って実装用基板600を分割した状態が表されている。分割した実装用基板600Aには半導体装置100が実装されている。
【0096】
図14に表したように、実施形態に係る測定用保持具110は、実装用基板600Aに実装された状態であっても半導体装置100を固定することができる。この場合、図1(a)及び(b)に表した固定部20の例えば一対の固定部材20A及び20Bによって、半導体装置100のパッケージ100Pの対角となる2つの隅部を挟持するか、または分割した実装用基板600Aの対角となる2つの隅部を挟持することによって半導体装置100の固定を行う。
【0097】
固定部20によって半導体装置100を固定した後は、半導体装置100の側面100cから露出する導通部MLの端面MLaに探針部30を接触させる。これにより、探針部30から半導体装置100に所定の電圧を印加できるようになる。
【0098】
実施形態に係る測定用保持具110においては、実装用基板600Aに半導体装置100が実装された状態でも半導体装置100の固定を行うことができるため、半導体装置100を実装用基板600(600A)から取り外すことなく、実装したまま測定を行うことができる。
【0099】
一般に、図15(a)に表したように、半導体装置100が実装用基板600に実装されたあと、半導体装置100の不良箇所を検査したい場合には、半導体装置100を実装用基板600から取り外している。例えば、半導体装置100を加熱してはんだを溶融し、実装用基板600から半導体装置100を取り外す。半導体装置100を取り外した後は、半導体装置100の電極BPを再度形成して、再形成した電極BPを介して電圧を印加している。
しかし、半導体装置100を実装用基板600から取り外す際の加熱によって半導体装置100は少なからず熱の影響を受ける。このような熱の影響を受けた半導体装置100を検査した場合、不良原因の切り分けが困難になる。
【0100】
実施形態に係る測定用保持具110を用いる場合には、図15(a)及び(b)に表したように、半導体装置100の周囲で実装用基板600を分割し、分割した実装用基板600Aに実装されている半導体装置100を取り外すことなく、そのまま測定用保持具110に固定している。
そして、半導体装置100の側面100cから露出する導通部MLの端面MLaと探針部30とを接触させて、この探針部30から端面MLaを介して半導体装置100に電圧を印加することができる。
したがって、半導体装置100に熱によるストレスを与えることなく、実装後の不良箇所を正確に検査できるようになる。
【0101】
以上説明したように、実施形態に係る測定用保持具及び測定装置によれば、精度の高い検査を行うことができるようになる。
【0102】
なお、上記に実施形態およびその変形例を説明したが、本発明はこれらの例に限定されるものではない。
例えば、実施形態においては熱検知カメラ510と被測定物との相対的な位置を固定しているが、必要に応じて変化させてもよい。例えば、熱検知カメラ510を、被測定物を配置する位置を中心として回転可能に設けてもよい。熱検知カメラ510によって種々の角度から被測定物の映像を取り込むことで、不良箇所の3次元的な位置が検出される。
また、第2の実施形態に係る測定装置において、被測定物の映像を複数の角度から取り込むことで不良箇所を精度良く検出することができる。すなわち、1つのテーブルデータからは不良箇所DFの段数を限定できない場合であっても、複数のテーブルデータを用いることで不良箇所DFの段数をより限定することができるようになり、精度の高い検出が可能になる。
また、前述の各実施形態またはその変形例に対して、当業者が適宜、構成要素の追加、削除、設計変更を行ったものや、各実施形態の特徴を適宜組み合わせたものも、本発明の要旨を備えている限り、本発明の範囲に含有される。
【0103】
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら新規な実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0104】
10…支持基板、15…貫通孔、20…固定部、30…探針部、35…駆動部、40…切り替え部、100…半導体装置、100P…パッケージ、100a…上面、100b…下面、100c…側面、110…測定用保持具、301…第1の探針部、302…第2の探針部、500〜503…測定装置、510…熱検知カメラ、510A…第1の熱検知カメラ、510B…第2の熱検知カメラ、520…制御部、530…記憶部、540…表示部、550…電圧発生部、560…側面撮影カメラ、570…駆動制御部、BP…電極、ML…導通部、MLa…端面、P1…第1の配線、P2…第2の配線、T1…第1の端子、T2…第2の端子
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の半導体チップを含むパッケージ、前記パッケージの側面から露出し前記半導体チップの電極と導通する導通部、を有する被測定物を保持する測定用保持具であって、
前記被測定物を配置する位置に貫通孔が設けられた支持基板と、
前記支持基板に前記被測定物を固定する固定部と、
前記支持基板に対して少なくとも1軸方向に可動可能な前記導通部と接触する探針部と、
を備え、
前記固定部は、
前記支持基板に設けられ、前記パッケージを挟持する一対の固定部材を有する測定用保持具。
【請求項2】
複数の半導体チップを含むパッケージ、前記パッケージの側面から露出し前記半導体チップの電極と導通する導通部、を有する被測定物を保持する測定用保持具であって、
前記被測定物を配置する位置に貫通孔が設けられた支持基板と、
前記支持基板に前記被測定物を固定する固定部と、
前記支持基板に対して少なくとも1軸方向に可動可能な前記導通部と接触する探針部と、
を備えた測定用保持具。
【請求項3】
前記固定部は、
前記支持基板に設けられ、前記パッケージを挟持する一対の固定部材を有する請求項2記載の測定用保持具。
【請求項4】
前記探針部の前記導通部と接触する側の端部はバネ性を有する請求項2または3に記載の測定用保持具。
【請求項5】
複数の前記探針部を備え、
前記複数の探針部のうちの第1の前記探針部または第2の前記探針部と導通し第1の電位が与えられる第1の配線と、
前記第2の探針部または前記第1の探針部と導通し前記第1の電位とは異なる第2の電位が与えられる第2の配線と、
前記第1の探針部と前記第1の配線または前記第2の配線との接続、及び前記第2の探針部と前記第2の配線または前記第1の配線との接続の切り替えを行う切り替え部と、
をさらに備えた請求項2〜4のいずれか1つに記載の測定用保持具。
【請求項6】
上面、下面及び側面を含むパッケージと、前記下面に設けられた電極と、前記側面から露出し前記電極と導通する導通部と、を有する被測定物の導通特性を測定する測定装置であって、
前記被測定物を配置する位置に貫通孔が設けられた支持基板と、前記支持基板に前記被測定物を固定する固定部と、前記支持基板に対して少なくとも1軸方向に可動に設けられ前記導通部と接触する探針部と、含む測定用保持具と、
前記探針部から前記導通部を介して前記被測定物に印加する電圧を発生する電圧発生部と、
前記被測定物に電圧を印加した際に前記被測定物から発生する熱に応じた信号を取り込む熱検知カメラと、
前記熱検知カメラで取り込んだ信号に基づき前記被測定物の発熱源の位置を演算する制御部と、
を備えた測定装置。
【請求項7】
前記支持基板に固定された前記被測定物の前記側面の画像を取り込む側面撮影部と、
前記探針部を駆動する駆動部と、
をさらに備え、
前記制御部は、前記側面撮影部で取り込んだ画像から前記導通部の位置を検出し、前記検出した位置に前記探針部を移動するよう前記駆動部に指示を与える請求項6記載の測定装置。
【請求項8】
前記探針部を駆動する駆動部をさらに備え、
前記制御部は、前記被測定物の設計情報により前記探針部を前記導通部に接触させるように前記駆動部に指示を与える請求項7記載の測定装置。
【請求項1】
複数の半導体チップを含むパッケージ、前記パッケージの側面から露出し前記半導体チップの電極と導通する導通部、を有する被測定物を保持する測定用保持具であって、
前記被測定物を配置する位置に貫通孔が設けられた支持基板と、
前記支持基板に前記被測定物を固定する固定部と、
前記支持基板に対して少なくとも1軸方向に可動可能な前記導通部と接触する探針部と、
を備え、
前記固定部は、
前記支持基板に設けられ、前記パッケージを挟持する一対の固定部材を有する測定用保持具。
【請求項2】
複数の半導体チップを含むパッケージ、前記パッケージの側面から露出し前記半導体チップの電極と導通する導通部、を有する被測定物を保持する測定用保持具であって、
前記被測定物を配置する位置に貫通孔が設けられた支持基板と、
前記支持基板に前記被測定物を固定する固定部と、
前記支持基板に対して少なくとも1軸方向に可動可能な前記導通部と接触する探針部と、
を備えた測定用保持具。
【請求項3】
前記固定部は、
前記支持基板に設けられ、前記パッケージを挟持する一対の固定部材を有する請求項2記載の測定用保持具。
【請求項4】
前記探針部の前記導通部と接触する側の端部はバネ性を有する請求項2または3に記載の測定用保持具。
【請求項5】
複数の前記探針部を備え、
前記複数の探針部のうちの第1の前記探針部または第2の前記探針部と導通し第1の電位が与えられる第1の配線と、
前記第2の探針部または前記第1の探針部と導通し前記第1の電位とは異なる第2の電位が与えられる第2の配線と、
前記第1の探針部と前記第1の配線または前記第2の配線との接続、及び前記第2の探針部と前記第2の配線または前記第1の配線との接続の切り替えを行う切り替え部と、
をさらに備えた請求項2〜4のいずれか1つに記載の測定用保持具。
【請求項6】
上面、下面及び側面を含むパッケージと、前記下面に設けられた電極と、前記側面から露出し前記電極と導通する導通部と、を有する被測定物の導通特性を測定する測定装置であって、
前記被測定物を配置する位置に貫通孔が設けられた支持基板と、前記支持基板に前記被測定物を固定する固定部と、前記支持基板に対して少なくとも1軸方向に可動に設けられ前記導通部と接触する探針部と、含む測定用保持具と、
前記探針部から前記導通部を介して前記被測定物に印加する電圧を発生する電圧発生部と、
前記被測定物に電圧を印加した際に前記被測定物から発生する熱に応じた信号を取り込む熱検知カメラと、
前記熱検知カメラで取り込んだ信号に基づき前記被測定物の発熱源の位置を演算する制御部と、
を備えた測定装置。
【請求項7】
前記支持基板に固定された前記被測定物の前記側面の画像を取り込む側面撮影部と、
前記探針部を駆動する駆動部と、
をさらに備え、
前記制御部は、前記側面撮影部で取り込んだ画像から前記導通部の位置を検出し、前記検出した位置に前記探針部を移動するよう前記駆動部に指示を与える請求項6記載の測定装置。
【請求項8】
前記探針部を駆動する駆動部をさらに備え、
前記制御部は、前記被測定物の設計情報により前記探針部を前記導通部に接触させるように前記駆動部に指示を与える請求項7記載の測定装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【公開番号】特開2013−96829(P2013−96829A)
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−239636(P2011−239636)
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成25年5月20日(2013.5.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年10月31日(2011.10.31)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
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