測距装置
【課題】測距性能の維持向上と装置の長寿命化とを両立可能なアクティブ測距装置を提供する。
【解決手段】測距装置は、対象物に対して光束を投光する投光部6と、対象物から反射して戻ってくる光束を受光して検出信号を出力する受光部7と、検出信号に基づいて対象物までの測距を行う演算部8と、投光部6及び受光部7の動作を制御する制御部9とからなる。投光部6は、駆動電流Iledに応じて光束Lを放射する発光素子1と、発光素子1に駆動電流Iledを供給する駆動回路10とを含む。制御部9は、投光部6の駆動回路10を制御して駆動電流Iledのレベルを段階的に切り替えて投光を行なうとともに、受光部7の受光量をモニタして測距に適したレベルを検出し、検出されたレベルの駆動電流Iledを用いて測距を行う。
【解決手段】測距装置は、対象物に対して光束を投光する投光部6と、対象物から反射して戻ってくる光束を受光して検出信号を出力する受光部7と、検出信号に基づいて対象物までの測距を行う演算部8と、投光部6及び受光部7の動作を制御する制御部9とからなる。投光部6は、駆動電流Iledに応じて光束Lを放射する発光素子1と、発光素子1に駆動電流Iledを供給する駆動回路10とを含む。制御部9は、投光部6の駆動回路10を制御して駆動電流Iledのレベルを段階的に切り替えて投光を行なうとともに、受光部7の受光量をモニタして測距に適したレベルを検出し、検出されたレベルの駆動電流Iledを用いて測距を行う。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物に対して光束を投光する投光部と、対象物から反射して戻ってくる光束を受光して検出信号を出力する受光部と、検出信号に基づいて対象物までの測距を行う演算部と、投光部及び受光部の動作を制御する制御部とからなる光学式のアクティブ測距装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光学式の測距装置はカメラの自動焦点合わせや券売機の対人センサーなど多様な用途に使われている。特に、対象物に赤外線などの測距用光を投光し、その反射信号光を利用して、対象物の距離を求めるアクティブ測距装置は、コンパクトカメラのオートフォーカスなどに広く応用されている。
【0003】
この様なアクティブ測距装置は、図12に示すような構成を基本としている。同図において、参照番号1は赤外発光ダイオード(IRled)などからなる発光素子、2はこの光を対象物3に集光投光するための投光レンズである。そして、その対象物3からの反射信号光を、投光レンズ2から基線長Bだけ離れた受光レンズ4と光位置検出素子(PSD)からなる受光素子5にて受光し、その受光位置xを求めると、受光レンズ4の焦点距離f及び基線長Bを用いて、L=B・f/xという関係により、対象物までの距離Lが求められる。
【0004】
この方式は、投光レンズ2及び受光レンズ4の幾何学的な位置の差を用いたもので、三角測距の原理に従っている。PSDなどからなる受光素子5は、光入射位置で光電流を発生するものであるが、両端電極までの導電部が抵抗成分を持つために、その光入射位置にしたがって2つの光電流信号I1,I2を出力する。これにより、受光位置xは両光電流信号I1,I2の比演算にて求められる。例えば、x=I1/(I1+I2)で与えられる。
【0005】
この様なアクティブ測距装置は、例えば以下の特許文献1ないし3に記載がある。
【特許文献1】特開平01−199109号公報
【特許文献2】特開平08−136247号公報
【特許文献3】実開平05−043110号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
アクティブ測距装置の発光素子は、例えば赤外発光ダイオード(IRled)が多用されている。赤外発光ダイオードは駆動電流に応じて発光し、アクティブ測距に必要な投光を生成している。アクティブ測距の精度はシグナル対ノイズ比(S/N比)で決まる。S/N比を高めて測距を安定に行うため、IRledの発光強度は高い方がよい。発光強度が大きいほど、対象物から反射した光の受光量が増し、外乱光などの光ノイズや電気的なノイズに影響を受けることなく、正確な測距を行うことができる。したがって、測距性能の向上の観点から、駆動電流を高めに設定し充分な発光強度を得ることが好ましい。一方、赤外発光ダイオードなど電流駆動型の発光素子は、発光量に応じて寿命が決まるという性質がある。累積の発光量が増加するほど輝度が低下していき寿命が短くなる。したがって測距装置の耐久性の観点からは発光素子に供給する駆動電流を可能な限り抑制する事が好ましい。この様に、アクティブ測距装置は、測距性能の向上と装置の長寿命化とが両立せず、解決すべき課題となっている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した従来の技術の課題に鑑み、本発明は測距性能の維持向上と発光素子の長寿命化とを両立可能なアクティブ方式の測距装置を提供する事を目的とする。かかる目的を達成する為に以下の手段を講じた。即ち本発明は、対象物に対して光束を投光する投光部と、対象物から反射して戻ってくる光束を受光して検出信号を出力する受光部と、該検出信号に基づいて該対象物までの測距を行う演算部と、該投光部及び受光部の動作を制御する制御部とからなる測距装置であって、前記投光部は、駆動電流に応じて光束を放射する発光素子と、該発光素子に駆動電流を供給する駆動回路とを含み、前記制御部は、該投光部の駆動回路を制御して該駆動電流のレベルを段階的に切り替えて投光を行なうとともに、該受光部の受光量をモニタして測距に適したレベルを検出し、該検出されたレベルの駆動電流を用いて測距を行うことを特徴とする。
【0008】
好ましくは、前記制御部は、高レベルから低レベルに向かって該駆動電流のレベルを段階的に切り替える。又前記駆動回路は、各々レベルの異なる定電流を出力する複数個の定電流源と、該制御部からの制御に応じて該複数個の定電流源を選択的に組み合わせて、レベルが段階的に切り替わる電流を生成するスイッチ手段と、該生成された電流を増幅し駆動電流として該発光素子に供給する増幅手段とからなる。例えば前記増幅手段は、カレントミラー回路からなる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、アクティブ測距装置は投光部を制御して駆動電流のレベルを段階的に例えば高レベルから低レベルに向かって切り替えて投光を行うと共に、受光部の受光量をモニタして測距に適したレベルを検出し、この検出されたレベルに対応したレベルの駆動電流を用いて測距を行う。本発明では、受光量が測距に適したレベルに達した時点で駆動電流のレベルを固定し、発光量を抑えている。無駄な発光を節約する事で発光素子の長寿命化が図れる。また、駆動電流を抑える事で電力消費の節約に繋がる。一方、測距の対象物の状態に応じ、受光量が測距に適したレベルとなるように制御されている。これにより、測距性能を損なう恐れはない。以上により、発光素子の長寿命化と測距性能の維持を両立したアクティブ測距装置を得る事ができる。
【0010】
本発明では特に、駆動電流のレベルを段階的に(デジタル的に)切り替えて投光を行うと共に、受光部の受光量をモニタして測距に適したレベルを検出する。これに対し、駆動電流を例えば低レベルから高レベルに連続的に掃引しながら(アナログ的に掃引しながら)投光を行うと共に、受光部の受光量をモニタして測距に適したレベルに達したら駆動電流の掃引を停止して測距を行う構成も考えられる。アナログ方式の場合、受光量が測距に適したレベルに達した時点で駆動電流を保持固定する必要がある為、別途サンプルホールド回路などを組み込まなければならず、回路構成が複雑になると共に精度が悪くなる。これに対し、本発明はデジタル切り替え方式とする事で、回路構成が簡略化されると共に精度も向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。まず最初に本発明の背景を明らかにする為、図1を参照して定電圧駆動方式のアクティブ測距装置を参考例として説明する。図示するように測距装置は、投光部6と受光部7と演算部を構成する演算回路8と制御部を構成するシーケンサー9とで構成されている。投光部6は対象物に対して光束を投光する。受光部7は対象物から反射して戻ってくる光束を受光して検出信号I1,I2を出力する。演算回路8は検出信号I1,I2に基づいて対象物までの測距を行う。具体的には、検出信号I1,I2の比演算を行って測距データを得る。測距データはサンプルホールド回路12で一旦サンプルホールドされた後、アンプA3を介して外部機器に出力される。シーケンサー9は投光部6及び受光部7の動作を制御する。
【0012】
投光部6は駆動電流Iledに応じて光束を放射する発光素子1と、発光素子1に駆動電流Iledを供給する駆動回路10とで構成されている。発光素子1は例えば赤外発光ダイオードを用いる事ができる。駆動回路10は二端子型発光素子1のカソードに接続した負荷抵抗Rledと駆動トランジスタTrとを含む。駆動トランジスタTrのベースはシーケンサー9に接続し、コレクタは負荷抵抗Rledの一端に接続し、エミッタは接地されている。駆動回路10はさらに増幅器AとトランジスタTr1とで構成された定電圧回路を含んでいる。二端子型増幅器A(オペアンプ)の一方の入力端子はシーケンサー9に接続しており、定電圧Vledの供給を受ける。増幅器Aの他方の入力端子は、二端子型発光素子1のアノードに接続している。増幅器Aの出力端子はトランジスタTr1のベースに接続している。トランジスタTr1のエミッタは電源Vccに接続し、コレクタは発光素子1のアノードに接続している。
【0013】
増幅器AとトランジスタTr1からなる定電圧回路は、シーケンサー9から供給される制御電圧Vledに応じ、これと等しい定電圧Vledを発光素子1のアノードに印加し、これを定電圧駆動している。具体的には、発光素子1の電圧降下分をVf、駆動トランジスタTrの電圧降下分をVtrとすると、駆動電流Iledは(Vled−Vf−Vtr)/Rledで与えられる。実際には、シーケンサー9が駆動トランジスタTrのベースに制御パルスを印加すると、駆動トランジスタTrが導通し、発光素子1に上記の駆動電流Iledが流れ、結果的に制御電圧Vledに応じた輝度Lで発光素子1が発光する事になる。この様に従来のアクティブ測距装置は、対象物の条件によらず常に一定の制御電圧Vledで発光輝度Lを決めていた。
【0014】
受光部7は例えばPSDからなる受光素子5と、その両端に接続された増幅器A1,A2とからなる。一方の増幅器A1は受光素子5の一端から出力された受光電流を増幅して検出電流I1を演算回路8に供給する。他方の増幅器A2は受光素子5の他方の電極から出力された受光電流を増幅して検出電流I2を演算回路8側に供給する。なお、各増幅器A1,A2の入出力間には定常電流引き抜き回路(DCC)が接続されている。この定常電流引き抜き回路DCCはシーケンサー9により制御されており、受光電流から周囲光などに起因する定常電流成分(直流成分)を引き抜き、信号成分のみを演算回路8側に供給できるようにしている。
【0015】
受光部7側の受光素子5は対象物から反射した光の受光位置に応じた検出信号I1,I2を演算回路8側に出力する。演算回路8は検出信号I1,I2の比演算を行って測距データを得る。この段階でシーケンサー9はスイッチSW1を開閉制御し、サンプルホールド回路12に測距データをサンプルホールドする。サンプルホールドされた測距データは増幅器A3を介して装置の本体側に出力される。
【0016】
図2はアクティブ測距装置の他の参考例を示す回路図である。図1に示したアクティブ測距装置が定電圧駆動を採用していたのに対し、図2に示した参考例は定電流駆動を採用している。受光部7、演算部8、シーケンサー9及びサンプルホールド回路12の部分は図1の参考例と同様であるが、投光部6の構成が相違している。
【0017】
図示するように投光部6は、駆動電流Iledに応じて光束を放射する発光素子1と、発光素子1に駆動電流Iledを供給する駆動回路10とを含む。発光素子1は例えば赤外LEDなどの二端子型デバイスである。駆動回路10は2入力1出力型の増幅器(オペアンプ)Aと駆動トランジスタTrと負荷抵抗Rledとで構成されている。駆動トランジスタTrのコレクタは二端子型発光素子1のカソードに接続している。なおアノードは電源Vccに接続している。駆動トランジスタTrのエミッタは負荷抵抗Rledを介して接地されている。駆動トランジスタTrのベースは増幅器Aの出力端子に接続されている。増幅器Aの一方の入力端子はシーケンサー9に接続されており、制御パルスの供給を受ける。この制御パルスは電圧がVledで時間幅がTonとなっている。増幅器Aの他方の入力端子は駆動トランジスタTrのエミッタに接続している。駆動回路10はかかる構成により、発光素子1に対する定電流源となっている。シーケンサー9から供給される制御パルスに応じ、駆動回路10はIled=Vled/Rledで表される定電流Iledを所定の発光時間Tonだけ発光素子1に流す。発光素子1は一定の駆動電流Iledに応じた輝度で発光する。
【0018】
図1及び図2に示した参考例にかかる測距装置は、赤外LEDなどの二端子型デバイスを発光素子に用いている。周知のように、LEDは発光量や発光時間の累積によって輝度が低下し、寿命に限りがある。LEDの寿命は、発光電流、温度、発光時間、繰り返し発光インターバルなどの諸パラメーターによって顕著な影響を受け、耐久性に限りがある。
【0019】
従来の測距装置では用途によって要求される寿命がまず決定される。この要求寿命あるいは耐久性を満たすように、所定の発光電流レベルや発光時間が決まる。当然ながら、発光電流レベルを低めに設定し且つ発光時間を短く設定した方が、寿命の長期化に繋がる。
【0020】
反面アクティブ測距装置は周囲光(ノイズ)と発光(信号)との強度差が大きいほど、S/N比がよくなり、基本測距性能が高い。したがって、測距性能の観点からは可能な限り駆動電流を高めに設定して発光量を増やし、遠距離で且つ低反射率の対象物でも精度よく測れる事が好ましい。以上により、耐久性能の向上と基本測距性能の向上は互いに相反した関係となっている。現実的には、製品に要求される耐久性能により発光量が決められ、その規制の中で可能な限り精度を高める工夫がなされる。例えば許される範囲で同一の対象物に測距を繰り返し、得られた結果を平均演算処理して、最終的な距離データを得ているのが現状である。
【0021】
図1および図2に示した従来のアクティブ測距装置は、発光強度や発光時間を予め固定的に設定しており、対象物の状態とは関係なく測距を行うものである。しかしながら、実際の測距では対象物の距離が変化し、さらにその表面反射率も変化するものである。例えば、対象物が0.5〜3mの範囲で前後に位置し、表面反射率が9〜72%の間でばらつくと仮定すると、距離が3mで反射率が9%の対象物が最も受光量が少なくなる。これに対し、0.5mの位置にあり且つ表面反射率が72%の対象物は、受光量が先の例の288倍になる。この比率は光量的シミュレーションで得られるものである。換言すると、最良の条件下で必要とされる発光量は、最悪条件で必要とされる発光量の288分の1でよい事になる。例えば、距離が3mで表面反射率が9%の対象物の測距を行うため、1Aの駆動電流が必要な場合、0.5mで表面反射率が72%の対象物では約3.5mAの発光電流でよい事になる。
【0022】
例えば図2に示したアクティブ測距装置で駆動電流を1Aに設定すると、距離が3mで表面反射率が9%の対象物では適正な発光量となるのに対し、0.5mで表面反射率が72%の対象物では1A−3.5mA=996.5mAの駆動電流分に相当する発光が不要なものとなる。このロスがあるため、アクティブ測距装置の耐久性を改善する事ができない。
【0023】
図3は本発明の基になった測距装置のプロトタイプを示す回路図である。理解を容易にするため、図1及び図2に示した参考例にかかるアクティブ測距装置と対応する部分には対応する参照番号を付してある。図示するように、本アクティブ測距装置は、対象物に対して光束を投光する投光部6と、対象物から反射して戻ってくる光束を受光して検出信号I1,I2を出力する受光部7と、検出信号I1,I2に基づいて対象物までの測距を行う演算回路(演算部)8と、投光部6及び受光部7の動作を制御するシーケンサー(制御部)9とで構成されている。
【0024】
投光部6はLEDなどからなる発光素子1と駆動回路10とで構成されている。二端子型発光素子1のアノードは電源Vccに接続され、カソードは駆動回路10に接続されている。駆動回路10は2入力1出力型の増幅器(オペアンプ)Aと駆動トランジスタTrと負荷抵抗Rledとで構成されている。駆動トランジスタTrのコレクタは発光素子1のカソードに接続し、エミッタは負荷抵抗Rledを介して接地されている。トランジスタTrのベースは増幅器Aの出力端子に接続している。増幅器Aの一方の入力端子(以下本明細書では入力ノードと称する)には制御電圧Vswpが印加され、他方の入力端子はトランジスタTrのエミッタに接続している。これにより駆動回路10はIled=Vswp/Rledで規定される駆動電流Iledを発光素子1に流す。この結果、発光素子1は制御電圧Vswpに応じた輝度Lで発光する。
【0025】
入力ノードには定電流源iと負荷容量CとスイッチSWが接続しており、駆動回路10の一部となっている。定電流源iは電源Vccと入力ノードとの間に接続されている。負荷容量Cは入力ノードと接地ラインとの間に接続されている。スイッチSWも入力ノードと接地ラインとの間に接続されている。このスイッチSWの開閉はシーケンサー9から供給される制御パルスによって制御される。
【0026】
受光部7は受光素子5と一対の増幅器A1,A2とで構成されている。受光素子5は例えば位置検出素子(PSD)からなり、対象物から戻ってきた光の受光位置に応じた光信号を一対の電極から出力する。増幅器A1,A2は受光素子5の各両電極から出力された光信号を増幅し、検出信号I1,I2として演算回路8側に出力する。各増幅器A1,A2の入出力端子間には、定常成分を引き抜くためのDCCが接続されている。
【0027】
演算回路8は受光部7から出力された検出信号I1,I2の比演算を行って測距データを得る。この測距データはサンプルホールド回路12でサンプルホールドされた後、アンプA3を介して機器本体側に出力される。
【0028】
シーケンサー9は上述した制御パルスを投光部6側に供給すると共に、外付けで一対の比較器C1,C2を備えている。比較器C1の正入力端子には受光部7側から検出電流I1が供給され、他方の入力端子にはシーケンサー9側から所定の参照電圧Vrefが供給される。比較器C1の出力端子はシーケンサー9に接続されている。同様に比較器C2の正入力端子は受光部7側から検出電流I2が供給され、負入力端子にはシーケンサー9側から所定の参照電圧Vrefが供給され、出力端子はシーケンサー9に接続されている。かかる構成において、シーケンサー9及び一対の比較器C1,C2などで構成される制御部は、投光部6の駆動回路10を制御して駆動電流Iledを低レベルから高レベルに掃引しながら投光を行うと共に、受光部7の受光量をモニタして、測距に適したレベルに達したら駆動電流Iledの掃引を停止して測距を実行し、且つサンプルホールド回路12のスイッチSW1を制御して測距結果を確定する。
【0029】
図4は、図3に示したプロトタイプの測距装置の動作説明に供するタイミングチャートである。待機期間T0では、スイッチSWがオン状態にあり、入力ノードが接地されているのでVswpはゼロレベルにある。したがって駆動電流Iledが流れないので発光強度Lもゼロである。また、受光部7側は対象物から何ら受光しないので、比較器C1またはC2の出力はない。続いてタイミングT1で測距が起動すると、シーケンサー9は制御パルスを出力してスイッチSWをオンからオフにする。これにより、定電流源iから供給された電流が負荷容量Cに充電され始めるので、入力ノードの電位Vswpは低レベルから高レベルに向かって直線的に上昇していく。これに伴いIled=Vswp/Rledで表される駆動電流が低レベルから高レベルに向かって掃引され、結果として発光強度Lが徐々に増加していく。これに合わせ、受光部7側での受光量も増加していく。
【0030】
タイミングT2になると、受光量に対応した検出電流I1,I2のレベルが予め設定した参照電圧Vrefを越えるようになる。この参照電圧Vrefは受光量が測距に適した範囲となるように予めシーケンサー9側で設定されている。検出信号I1,I2のレベルがVrefを越えた時点で、比較器C1,C2の出力がローレベルからハイレベルに反転する。これに応じシーケンサー9は制御パルスを解除し、スイッチSWはオフからオンになる。入力ノードはスイッチSWにより接地されるので、Vswpは急激にゼロレベルに落ちる。したがって発光強度Lもゼロとなる。実際にはタイミングT2の段階の発光強度Lをしばらく保持しながら測距を行うことで、必要な距離データが得られる。その後でシーケンサー9は制御パルスを解除し、発光素子を消灯することになる。
【0031】
以上の説明から明らかなように、発光スタートのタイミングT1でVswpの電圧を時間と共に拡大スイープする。例えば対応する駆動電流Iledが0mA〜1.2Aまで変化するようスイープする。同時に、受光部7側に戻ってくる反射光量を比較器C1,C2でモニタし、測距をするための光量として充分な受光量に達したら、スイープを停止して発光を終わらせる。受光部7側の受光量モニタリングは、検出電流I1,I2をそれぞれモニタし両方とも参照電圧Vref以上となることで、判定を下す。あるいは簡易的に、受光素子5の合計光量を表すI1+I2を一個の比較器でモニタしてもよい。また、判別のためのレベルを決めるVrefは、周囲の明るさや温度などにより補正を適宜加えるようにしてもよい。
【0032】
図3に示したプロトタイプの測距装置は、駆動電流Iledを連続的に掃引しながら測距に適したレベルを求め、これを保持固定して実際の測距を行う。いわゆるアナログ方式である為、測距に適した駆動電流を保持固定する為、駆動回路10は容量CやスイッチSWなどからなるサンプルホールド回路が必要になる。また、アナルグ方式なので、必ずしも精密に駆動電流を制御できない。そこで本発明は、このアナログ方式のプロトタイプを改良し、デジタル方式の測距装置を提供するものである。図5は、本発明にかかるアクティブ測距装置の実施形態を示す回路図である。理解を容易にする為、図3に示したアナログ方式のアクティブ測距装置と対応する部分には対応する参照番号を付してある。図示するように、デジタル方式の本アクティブ測距装置は、対象物に対して光束を投光する投光部6と、対象物から反射して戻ってくる光束を受光して検出信号I1,I2を出力する受光部7と、検出信号I1,I2に基づいて対象物までの測距を行う演算回路(演算部)8と、投光部6及び受光部7の動作を制御するシーケンサー(制御部)9とで構成されている。
【0033】
投光部6はLEDなどからなる発光素子1と駆動回路10とで構成されている。二端子型発光素子1のアノードは電源Vccに接続され、カソードは駆動回路10に接続されている。駆動回路10は2入力1出力型の増幅器(オペアンプ)Aと駆動トランジスタTrと負荷抵抗Rledとで構成されている。駆動トランジスタTrのコレクタは発光素子1のカソードに接続し、エミッタは負荷抵抗Rledを介して接地されている。トランジスタTrのベースは増幅器Aの出力端子に接続している。増幅器Aの一方の入力端子(入力ノード)には段階的に変化する制御電圧が印加され、他方の入力端子はトランジスタTrのエミッタに接続している。
【0034】
駆動回路10は、さらに複数個の定電流源14とスイッチ手段15と抵抗Rとを備えている。本実施形態では定電流源14が5個用いられており、それぞれ定電流i,2i,4i,8i,16iを供給する。スイッチ手段15は5個のスイッチからなり、各々対応する定電流源と増幅器Aの入力ノードとの間に接続されている。抵抗Rは同じく入力ノードと接地電位との間に接続されている。5個のスイッチからなるスイッチ手段15は、シーケンサー9からの制御に応じて5個の定電流源14を選択的に組み合わせて、レベルがiから31iまで段階的に切り替わるステップ電流Istpを生成する。このステップ電流Istpは抵抗Rを通って接地ラインに流れる。したがって、抵抗Rの両端に現れる電圧はR・Istp=R・ni(nは1〜31)で表される。この電圧R・niが制御電圧として増幅器Aの入力ノードに印加される。増幅器AはVled=Iled・Rledが制御電圧R・niと同じになる様に、増幅動作を行う。したがってIled・Rled=R・niから、Iled=R・ni/Rledで表される。nが1〜31まで段階的に変化するので、ゲインR/Rledで増幅された駆動電流Iledもそのレベルが1〜31まで段階的に変化する。以上により、駆動回路10はIled=R・ni/Rledで規定される駆動電流Iledを発光素子1に流す。この結果、発光素子1はIledに応じて段階的に変化する輝度で発光する。
【0035】
受光部7は受光素子5と一対の増幅器A1,A2とで構成されている。受光素子5は例えば2分割SPDからなり、対象物から戻ってきた光の受光位置に応じた光信号を一対の電極から出力する。増幅器A1,A2は受光素子5の各電極から出力された光信号を増幅し、検出信号I1,I2として演算回路8側に出力する。各増幅器A1,A2の入出力端子間には、定常成分を引き抜く為のDCCが接続されている。
【0036】
演算回路8は受光部7から出力された検出信号I1,I2の差演算を行って測距データを得る。この測距データはサンプルホールド回路12でサンプルホールドされた後、アンプA3を介して機器本体側に出力される。
【0037】
シーケンサー9は投光部6側のスイッチ手段15を切り替え制御する為の制御信号を供給すると共に、一対の比較器C1,C2を備えている。比較器C1の正入力端子には受光部7側から検出電流I1が供給され、他方の入力端子にはシーケンサー9側から所定の参照電圧Vrefが供給される。比較器C1の出力端子はシーケンサー9に接続されている。同様に比較機器C2の正入力端子は受光部7側から検出電流I2が供給され、負入力端子にはシーケンサー9側から所定の参照電圧Vrefが供給され、出力端子はシーケンサー9に接続されている。かかる構成において、シーケンサー9及び一対の比較器C1,C2などで構成される制御部は、投光部6の駆動回路10を制御して駆動電流Iledのレベルを段階的に切り替えて投光を行うと共に、受光部7の受光量をモニタして測距に適したレベルを検出し、この検出されたレベルの駆動電流Iledを用いて測距を実行し、且つサンプルホールド回路12のスイッチSW1を制御して測定結果を確定する。
【0038】
図6は、ステップ電流Istpの時間変化を示すグラフである。本実施例では、ステップ電流Istpを高レベル(31i)から低レベル(i)に向かって段階的に切り替えている。例えばシーケンサー9によって5個の定電流源14を全てオンすると、ステップ電流Istpはi+2i+4i+8i+16i=31iとなって最大レベルのステップ電流Istp=31iを出力する。また、5個の定電流源14のうち一番出力の小さな定電流源を選択すると、ステップ電流Istp=iとなって、最小レベルの電流が得られる。この様に、シーケンサー9はスイッチ手段15を適切に切り替え制御して、ステップ電流Istpのレベルが31i〜iまで段階的に減少するように制御している。これに応じ、駆動電流Iledも段階的に高レベルから低レベルまで変化する。これと同時に、受光部7側に戻ってくる反射光量を比較器C1,C2でモニタし、測距をする為の光量として必要且つ充分な受光量に達したら、駆動電流の段階的な切り替えを停止する。受光部7側の受光量モニタリングは、検出信号I1,I2をそれぞれモニタし両方とも参照電圧Vref以上となることで判定を下す。あるいは簡易的に、受光素子5の合計光量を表すI1+I2を1個の比較器でモニタしても良い。また、判別の為のレベルを決める参照電圧Vrefは、周囲の明るさや温度などにより補正を適宜加える様にしても良い。
【0039】
図7は、投光部6に含まれる駆動回路10の他の実施形態を示す回路図である。図5に示した先の実施形態では。オペアンプAを用いてステップ電流Istpを増幅し駆動電流Iledを得ていた。この方式は抵抗Rにステップ電流Istpを流し、その時生じる電圧降下分をオペアンプAの入力ノードに供給するものである。その際、32レベル分の分解能を得る為、抵抗Rの一端に加わる電源電圧Vccをある程度高く設定しなければならない。そこで図7に示した実施形態では、オペアンプに代えてカレントミラー回路をカスケード接続することで、増幅回路を構成している。この様にすれば、電源電圧Vccを低電圧化する事が可能である。具体的に見ると、複数個の定電流源14とスイッチ手段15とによって生成されるステップ電流Istpは、三段に接続されたカレントミラー回路M1、M2,M3を介して、駆動トランジスタTrのベースに供給される。例えば第一段のカレントミラー回路M1の増幅率は20対1である。第二段のカレントミラー回路M2の増幅率は例えば10対1に設定されている。三段目のカレントミラー回路M3の増幅率は5対1に設定されている。この結果1000倍に増幅されたステップ電流Istpが駆動トランジスタTrに流れる。本実施形態は、純粋に電流増幅回路で投光部の駆動回路10を構成する事ができる。
【0040】
図8は、本発明にかかる測距装置をICに組み込んだ実施例を示す回路図である。図示するように、測距ICは、8つの接続端子を備えている。この内、入力端子IRDには外付けの発光素子1が接続する。又制御端子CNTR及びADJは外部から制御信号CNTR及びADJを夫々入力する。出力端子Doutは測距結果を示す出力信号Doutを外部に出力する。本実施例では、この測距結果を表す信号は二値であり測定対象物が遠近いずれかに位置する事を示す。電源端子VBは外部から電源電位VBを供給する。接地端子GNDは接地される。残りの端子OSCには外付けの容量が接続される。また端子Vrefにも外付けの抵抗が接続される。
【0041】
測距ICは受光素子5として2分割型のSPDを内蔵している。この2分割SPDには内蔵ヘッドアンプ11が接続されている。ヘッドアンプ11は加算(+)と減算(−)に切り替え可能である。加算側では、2分割SPDから出力される信号を加算して増幅する。その出力結果は受光量モニタリングに用いる。一方減算側は一対のSPDの差分を求めこれを増幅する。その出力結果は測距に用いられる。具体的には、対象物の遠近判定に用いられる。ヘッドアンプ11の出力には増幅器17,18が二段に接続され、その後にサンプルホールド回路12が接続されている。ヘッドアンプ11からの出力は二段のアンプ17,18で増幅された後、サンプルホールド回路12でサンプルホールドされる。各増幅器17,18には受光信号からバックグランドをキャンセルする為に参照電圧Vref1が供給されている。サンプルホールド回路12には比較器Cが接続されており、その比較結果は内部信号Coutとして出力される。比較器Cはサンプルホールド回路12に保持された信号と所定の参照電圧Vref2を比較する。この比較器Cは受光量判定と遠近判定の両方に用いられる。その際、参照電圧Vref2は適宜切り替えられる。
【0042】
測距ICは赤外LEDなどからなる発光素子1を外付けしている。この発光素子1には内蔵駆動回路10が接続している。この内蔵駆動回路10は各々レベルの異なる定電流を出力する複数個の定電流源14と、複数個の定電流源14を選択的に組み合わせて、レベルが段階的に切り替わるステップ電流Istpを生成するスイッチ手段15と、生成されたステップ電流Istpを増幅し駆動電流Iledとして発光素子1に供給する増幅手段とで構成されている。本実施例ではこの増幅手段はカスケード接続されたカレントミラー回路からなる。
【0043】
測距ICはさらに内蔵のシーケンサー9として制御ロジック回路を含んでいる。この制御ロジック回路は制御信号CNTR,ADJと内部信号Coutに応じて動作し、測距結果を表す出力信号Doutを出力する。その際、制御ロジック回路はヘッドアンプ11に対して加算/減算切り替えを行う。また比較器Cに対して必要に応じ参照電圧Vref2の切り替えを行う。加えて駆動回路10に対して駆動電流(発光電流)の段階的な切り替え制御を行う。なお、制御ロジック回路9には発振回路OSCが接続されており、10kHzないし150kHzの動作用クロック信号を供給している。加えて測距ICはレギュレーターVregを備えており、電源端子VBを介して外部から供給される電源電圧VBを調整して、内部電源電圧Vccを生成している。本実施例では外部電源電圧VBは6〜2.4Vである。これに対し内部電源電圧Vccは2.2Vに調整されている。
【0044】
図9は、図8に示した測距ICの動作説明に供するタイミングチャートである。時間軸Tに沿って外部電源電圧VB、外部制御信号CNTR,ADJ、駆動電流Iled、内部信号Cout及び出力信号Doutの変化を表している。なお内部信号Coutは外部信号と区別するためカッコを付けてある。合わせて内部リセット信号Resetもタイミングチャートに載せてある。タイミングT0で電源が挿入され、外部電源電圧VBが立ち上がる。これに合わせ、出力信号Dout及び内部信号Coutがハイレベルに初期化される。電源投入に合わせパワーオンリセットがかかり内部リセット信号Resetが立ち上がる。これにより、測距ICに内蔵されている制御ロジック回路9などにリセットがかかり、待機状態となる。例えばヘッドアンプが加算側にリセットされる。
【0045】
続いてタイミングT1で外部制御信号CNTR及びADJが立ち上がると、動作を開始する。第一段階としてまず駆動電流Iledの設定動作が行われる。具体的には、タイミングT1からタイミングT4に向かって駆動電流Iledが高レベルから低レベルまで段階的に切り替えられる。これに応じて受光量が段階的に下がっていく。始めにタイミングT1−T2の間で最大レベルの駆動電流Iledが出力される。これに応じ受光量は通常の場合適切な量を表すVref2よりも超えているので内部信号Coutはハイレベルからローレベルに切り替わる。以後Iledは段階的に低下していくが依然として適切なレベルを上回っているのでCoutはローレベルに止まっている。タイミングT3まで来たときIledが適切なレベルに達したので、内部信号Coutはローレベルからハイレベルに切り替わる。この時の駆動電流Iledのレベルが測距用に設定される。この後タイミングT4で制御信号ADJがハイレベルからローレベルに戻り、第一段階が終了する。
【0046】
引き続きタイミングT4以降第二段階の測距動作が行われる。その際、制御ロジック回路はヘッドアンプを減算側に切り替えるとともに、参照電圧Vref1,Vref2を受光量検出用から測距用に切り替える。続いて測距であるが、具体的にはタイミングT4〜T5まで発光素子を所定回数(本実施例では128)発光させる間、内部比較信号Coutの出力をカウントする。Coutはハイレベルのとき対象物が遠距離にある事を表し、ローレベルのとき対象物が近距離にある事を表す二値信号である。Coutのカウント結果が、例えば128/2+1回以上ローレベルなら、出力信号Doutをローレベルとして対象物が近距離にある事を表す。この出力判定を128回発光を繰り返す毎に行う。例えばタイミングT4からタイミングT5までの第1回判定では、Doutがハイレベルにあり、対象物が遠距離にある事を判定している。次のタイミングT5−T6では、内部信号Coutがハイレベルとローレベルで変動しているが、依然としてハイレベルのカウント数が多いので、Doutはハイレベルに位置している。次のタイミングT6以降になるとCoutのカウントが逆転し、ローレベルの回数が増え、Doutもこれに応じてハイレベルからローレベルに切り替わっている。即ちタイミングT4以降の過程は、対象物が遠方から接近してくる状態を表しており、丁度タイミングT6で対象物が遠距離範囲から近距離範囲に入った事を表している。
【0047】
以上の動作から明らかなように、本発明の測距ICは必要以上に赤外LED素子の駆動電流を流す事なく、赤外LED素子の長寿命化が図れ、且つ特別仕様の高価な高耐久性赤外LED素子を使用しなくても、通常の安価な赤外LED素子を用いる事ができる。なお図8の実施例ではIC化された回路のロジックで制御を行っているが、これに代えてCPUでソフト的に制御を行っても良い。
【0048】
図10は、本発明にかかる測距装置の一応用例を示す模式図であり、人検知センサーとして用いられる。図示するように、壁面32に備え付けられた小便器31には、小便器31に洗浄水を供給するための給水管33と、汚水を排出するための配水管34とが接続されている。給水管33の途中には電磁弁35が配設されている。電磁弁35は図示しないコイルと同コイルに設けた弁体とを有し、コイルの非励磁時(通常の状態)には閉弁されて給水管33を遮断すると共に、コイルの励磁と共に開弁して給水管33を開通させるようにオン/オフ制御される。そして、この電磁弁35の開弁動作によって給水管33を通して小便器31に洗浄水が供給される。小便器31の上方には本発明にかかる測距装置0が配設されており、これにて小便器31の使用者の有無が検知される。制御回路37はCPU,ROM,RAMなどを有するマイクロコンピュータであり、小便器31の上方において壁面32に埋設されている。同制御回路37には測距装置0及び電磁弁35が接続されており、制御回路37は測距装置0の検知結果を入力し、その検知結果に基づいて電磁弁35に対し駆動信号を出力する。即ち、使用者が所定の距離範囲に入った後、立ち去った時点で洗浄水を流すように制御する。
【0049】
図11は、本発明にかかる測距装置の他の応用例を示す模式図である。図11は、自動取引装置の1つの実施形態であるATMの外観構成を示す斜視図である。このATMは少なくとも前面部が屋外などに露出するように設置されるものであり、装置本体には、シャッタにより開閉自在な紙幣入出金口41、利用者との対話用の表示装置としてのCRT42及びキー入力部43、利用者認証用のカードが装着されるカード装着部44、装置本体の前面部に配設された対人センサーとしての測距装置0などが備えられ、本体内には紙幣処理部が搭載されている。測距装置0は投光部6及び受光部7からなる。ATMは使用者が居ないとき待機状態もしくは節電状態におかれる。この場合でも測距装置0は動作状態にある。測距装置0が使用者の接近を感知すると、ATMは待機状態から稼動状態に復帰する。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】測距装置の参考例を示す回路図である。
【図2】測距装置の他の参考例を示す回路図である。
【図3】測距装置の別の参考例を示す回路図である。
【図4】図3に示した参考例の動作説明に供するタイミングチャートである。
【図5】本発明にかかる測距装置の実施形態を示す回路図である。
【図6】図5に示した実施形態の動作説明に供する模式図である。
【図7】本発明にかかる測距装置の他の実施形態の主要部を示す回路図である。
【図8】本発明にかかる測距装置の実施例を示す回路図である。
【図9】図8に示した実施例の動作説明に供するタイミングチャートである。
【図10】本発明にかかる測距装置の一応用例を示す模式的な断面図である。
【図11】同じく他の応用例を示す模式的な斜視図である。
【図12】従来の測距装置の原理を示す模式図である。
【符号の説明】
【0051】
0・・・測距装置、1・・・発光素子、5・・・受光素子、6・・・投光部、7・・・受光部、8・・・演算回路、9・・・シーケンサー、10・・・駆動回路、14・・・定電流源、15・・・スイッチ手段、A・・・増幅器、M・・・カレントミラー回路
【技術分野】
【0001】
本発明は、対象物に対して光束を投光する投光部と、対象物から反射して戻ってくる光束を受光して検出信号を出力する受光部と、検出信号に基づいて対象物までの測距を行う演算部と、投光部及び受光部の動作を制御する制御部とからなる光学式のアクティブ測距装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光学式の測距装置はカメラの自動焦点合わせや券売機の対人センサーなど多様な用途に使われている。特に、対象物に赤外線などの測距用光を投光し、その反射信号光を利用して、対象物の距離を求めるアクティブ測距装置は、コンパクトカメラのオートフォーカスなどに広く応用されている。
【0003】
この様なアクティブ測距装置は、図12に示すような構成を基本としている。同図において、参照番号1は赤外発光ダイオード(IRled)などからなる発光素子、2はこの光を対象物3に集光投光するための投光レンズである。そして、その対象物3からの反射信号光を、投光レンズ2から基線長Bだけ離れた受光レンズ4と光位置検出素子(PSD)からなる受光素子5にて受光し、その受光位置xを求めると、受光レンズ4の焦点距離f及び基線長Bを用いて、L=B・f/xという関係により、対象物までの距離Lが求められる。
【0004】
この方式は、投光レンズ2及び受光レンズ4の幾何学的な位置の差を用いたもので、三角測距の原理に従っている。PSDなどからなる受光素子5は、光入射位置で光電流を発生するものであるが、両端電極までの導電部が抵抗成分を持つために、その光入射位置にしたがって2つの光電流信号I1,I2を出力する。これにより、受光位置xは両光電流信号I1,I2の比演算にて求められる。例えば、x=I1/(I1+I2)で与えられる。
【0005】
この様なアクティブ測距装置は、例えば以下の特許文献1ないし3に記載がある。
【特許文献1】特開平01−199109号公報
【特許文献2】特開平08−136247号公報
【特許文献3】実開平05−043110号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
アクティブ測距装置の発光素子は、例えば赤外発光ダイオード(IRled)が多用されている。赤外発光ダイオードは駆動電流に応じて発光し、アクティブ測距に必要な投光を生成している。アクティブ測距の精度はシグナル対ノイズ比(S/N比)で決まる。S/N比を高めて測距を安定に行うため、IRledの発光強度は高い方がよい。発光強度が大きいほど、対象物から反射した光の受光量が増し、外乱光などの光ノイズや電気的なノイズに影響を受けることなく、正確な測距を行うことができる。したがって、測距性能の向上の観点から、駆動電流を高めに設定し充分な発光強度を得ることが好ましい。一方、赤外発光ダイオードなど電流駆動型の発光素子は、発光量に応じて寿命が決まるという性質がある。累積の発光量が増加するほど輝度が低下していき寿命が短くなる。したがって測距装置の耐久性の観点からは発光素子に供給する駆動電流を可能な限り抑制する事が好ましい。この様に、アクティブ測距装置は、測距性能の向上と装置の長寿命化とが両立せず、解決すべき課題となっている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上述した従来の技術の課題に鑑み、本発明は測距性能の維持向上と発光素子の長寿命化とを両立可能なアクティブ方式の測距装置を提供する事を目的とする。かかる目的を達成する為に以下の手段を講じた。即ち本発明は、対象物に対して光束を投光する投光部と、対象物から反射して戻ってくる光束を受光して検出信号を出力する受光部と、該検出信号に基づいて該対象物までの測距を行う演算部と、該投光部及び受光部の動作を制御する制御部とからなる測距装置であって、前記投光部は、駆動電流に応じて光束を放射する発光素子と、該発光素子に駆動電流を供給する駆動回路とを含み、前記制御部は、該投光部の駆動回路を制御して該駆動電流のレベルを段階的に切り替えて投光を行なうとともに、該受光部の受光量をモニタして測距に適したレベルを検出し、該検出されたレベルの駆動電流を用いて測距を行うことを特徴とする。
【0008】
好ましくは、前記制御部は、高レベルから低レベルに向かって該駆動電流のレベルを段階的に切り替える。又前記駆動回路は、各々レベルの異なる定電流を出力する複数個の定電流源と、該制御部からの制御に応じて該複数個の定電流源を選択的に組み合わせて、レベルが段階的に切り替わる電流を生成するスイッチ手段と、該生成された電流を増幅し駆動電流として該発光素子に供給する増幅手段とからなる。例えば前記増幅手段は、カレントミラー回路からなる。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、アクティブ測距装置は投光部を制御して駆動電流のレベルを段階的に例えば高レベルから低レベルに向かって切り替えて投光を行うと共に、受光部の受光量をモニタして測距に適したレベルを検出し、この検出されたレベルに対応したレベルの駆動電流を用いて測距を行う。本発明では、受光量が測距に適したレベルに達した時点で駆動電流のレベルを固定し、発光量を抑えている。無駄な発光を節約する事で発光素子の長寿命化が図れる。また、駆動電流を抑える事で電力消費の節約に繋がる。一方、測距の対象物の状態に応じ、受光量が測距に適したレベルとなるように制御されている。これにより、測距性能を損なう恐れはない。以上により、発光素子の長寿命化と測距性能の維持を両立したアクティブ測距装置を得る事ができる。
【0010】
本発明では特に、駆動電流のレベルを段階的に(デジタル的に)切り替えて投光を行うと共に、受光部の受光量をモニタして測距に適したレベルを検出する。これに対し、駆動電流を例えば低レベルから高レベルに連続的に掃引しながら(アナログ的に掃引しながら)投光を行うと共に、受光部の受光量をモニタして測距に適したレベルに達したら駆動電流の掃引を停止して測距を行う構成も考えられる。アナログ方式の場合、受光量が測距に適したレベルに達した時点で駆動電流を保持固定する必要がある為、別途サンプルホールド回路などを組み込まなければならず、回路構成が複雑になると共に精度が悪くなる。これに対し、本発明はデジタル切り替え方式とする事で、回路構成が簡略化されると共に精度も向上する。
【発明を実施するための最良の形態】
【0011】
以下図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。まず最初に本発明の背景を明らかにする為、図1を参照して定電圧駆動方式のアクティブ測距装置を参考例として説明する。図示するように測距装置は、投光部6と受光部7と演算部を構成する演算回路8と制御部を構成するシーケンサー9とで構成されている。投光部6は対象物に対して光束を投光する。受光部7は対象物から反射して戻ってくる光束を受光して検出信号I1,I2を出力する。演算回路8は検出信号I1,I2に基づいて対象物までの測距を行う。具体的には、検出信号I1,I2の比演算を行って測距データを得る。測距データはサンプルホールド回路12で一旦サンプルホールドされた後、アンプA3を介して外部機器に出力される。シーケンサー9は投光部6及び受光部7の動作を制御する。
【0012】
投光部6は駆動電流Iledに応じて光束を放射する発光素子1と、発光素子1に駆動電流Iledを供給する駆動回路10とで構成されている。発光素子1は例えば赤外発光ダイオードを用いる事ができる。駆動回路10は二端子型発光素子1のカソードに接続した負荷抵抗Rledと駆動トランジスタTrとを含む。駆動トランジスタTrのベースはシーケンサー9に接続し、コレクタは負荷抵抗Rledの一端に接続し、エミッタは接地されている。駆動回路10はさらに増幅器AとトランジスタTr1とで構成された定電圧回路を含んでいる。二端子型増幅器A(オペアンプ)の一方の入力端子はシーケンサー9に接続しており、定電圧Vledの供給を受ける。増幅器Aの他方の入力端子は、二端子型発光素子1のアノードに接続している。増幅器Aの出力端子はトランジスタTr1のベースに接続している。トランジスタTr1のエミッタは電源Vccに接続し、コレクタは発光素子1のアノードに接続している。
【0013】
増幅器AとトランジスタTr1からなる定電圧回路は、シーケンサー9から供給される制御電圧Vledに応じ、これと等しい定電圧Vledを発光素子1のアノードに印加し、これを定電圧駆動している。具体的には、発光素子1の電圧降下分をVf、駆動トランジスタTrの電圧降下分をVtrとすると、駆動電流Iledは(Vled−Vf−Vtr)/Rledで与えられる。実際には、シーケンサー9が駆動トランジスタTrのベースに制御パルスを印加すると、駆動トランジスタTrが導通し、発光素子1に上記の駆動電流Iledが流れ、結果的に制御電圧Vledに応じた輝度Lで発光素子1が発光する事になる。この様に従来のアクティブ測距装置は、対象物の条件によらず常に一定の制御電圧Vledで発光輝度Lを決めていた。
【0014】
受光部7は例えばPSDからなる受光素子5と、その両端に接続された増幅器A1,A2とからなる。一方の増幅器A1は受光素子5の一端から出力された受光電流を増幅して検出電流I1を演算回路8に供給する。他方の増幅器A2は受光素子5の他方の電極から出力された受光電流を増幅して検出電流I2を演算回路8側に供給する。なお、各増幅器A1,A2の入出力間には定常電流引き抜き回路(DCC)が接続されている。この定常電流引き抜き回路DCCはシーケンサー9により制御されており、受光電流から周囲光などに起因する定常電流成分(直流成分)を引き抜き、信号成分のみを演算回路8側に供給できるようにしている。
【0015】
受光部7側の受光素子5は対象物から反射した光の受光位置に応じた検出信号I1,I2を演算回路8側に出力する。演算回路8は検出信号I1,I2の比演算を行って測距データを得る。この段階でシーケンサー9はスイッチSW1を開閉制御し、サンプルホールド回路12に測距データをサンプルホールドする。サンプルホールドされた測距データは増幅器A3を介して装置の本体側に出力される。
【0016】
図2はアクティブ測距装置の他の参考例を示す回路図である。図1に示したアクティブ測距装置が定電圧駆動を採用していたのに対し、図2に示した参考例は定電流駆動を採用している。受光部7、演算部8、シーケンサー9及びサンプルホールド回路12の部分は図1の参考例と同様であるが、投光部6の構成が相違している。
【0017】
図示するように投光部6は、駆動電流Iledに応じて光束を放射する発光素子1と、発光素子1に駆動電流Iledを供給する駆動回路10とを含む。発光素子1は例えば赤外LEDなどの二端子型デバイスである。駆動回路10は2入力1出力型の増幅器(オペアンプ)Aと駆動トランジスタTrと負荷抵抗Rledとで構成されている。駆動トランジスタTrのコレクタは二端子型発光素子1のカソードに接続している。なおアノードは電源Vccに接続している。駆動トランジスタTrのエミッタは負荷抵抗Rledを介して接地されている。駆動トランジスタTrのベースは増幅器Aの出力端子に接続されている。増幅器Aの一方の入力端子はシーケンサー9に接続されており、制御パルスの供給を受ける。この制御パルスは電圧がVledで時間幅がTonとなっている。増幅器Aの他方の入力端子は駆動トランジスタTrのエミッタに接続している。駆動回路10はかかる構成により、発光素子1に対する定電流源となっている。シーケンサー9から供給される制御パルスに応じ、駆動回路10はIled=Vled/Rledで表される定電流Iledを所定の発光時間Tonだけ発光素子1に流す。発光素子1は一定の駆動電流Iledに応じた輝度で発光する。
【0018】
図1及び図2に示した参考例にかかる測距装置は、赤外LEDなどの二端子型デバイスを発光素子に用いている。周知のように、LEDは発光量や発光時間の累積によって輝度が低下し、寿命に限りがある。LEDの寿命は、発光電流、温度、発光時間、繰り返し発光インターバルなどの諸パラメーターによって顕著な影響を受け、耐久性に限りがある。
【0019】
従来の測距装置では用途によって要求される寿命がまず決定される。この要求寿命あるいは耐久性を満たすように、所定の発光電流レベルや発光時間が決まる。当然ながら、発光電流レベルを低めに設定し且つ発光時間を短く設定した方が、寿命の長期化に繋がる。
【0020】
反面アクティブ測距装置は周囲光(ノイズ)と発光(信号)との強度差が大きいほど、S/N比がよくなり、基本測距性能が高い。したがって、測距性能の観点からは可能な限り駆動電流を高めに設定して発光量を増やし、遠距離で且つ低反射率の対象物でも精度よく測れる事が好ましい。以上により、耐久性能の向上と基本測距性能の向上は互いに相反した関係となっている。現実的には、製品に要求される耐久性能により発光量が決められ、その規制の中で可能な限り精度を高める工夫がなされる。例えば許される範囲で同一の対象物に測距を繰り返し、得られた結果を平均演算処理して、最終的な距離データを得ているのが現状である。
【0021】
図1および図2に示した従来のアクティブ測距装置は、発光強度や発光時間を予め固定的に設定しており、対象物の状態とは関係なく測距を行うものである。しかしながら、実際の測距では対象物の距離が変化し、さらにその表面反射率も変化するものである。例えば、対象物が0.5〜3mの範囲で前後に位置し、表面反射率が9〜72%の間でばらつくと仮定すると、距離が3mで反射率が9%の対象物が最も受光量が少なくなる。これに対し、0.5mの位置にあり且つ表面反射率が72%の対象物は、受光量が先の例の288倍になる。この比率は光量的シミュレーションで得られるものである。換言すると、最良の条件下で必要とされる発光量は、最悪条件で必要とされる発光量の288分の1でよい事になる。例えば、距離が3mで表面反射率が9%の対象物の測距を行うため、1Aの駆動電流が必要な場合、0.5mで表面反射率が72%の対象物では約3.5mAの発光電流でよい事になる。
【0022】
例えば図2に示したアクティブ測距装置で駆動電流を1Aに設定すると、距離が3mで表面反射率が9%の対象物では適正な発光量となるのに対し、0.5mで表面反射率が72%の対象物では1A−3.5mA=996.5mAの駆動電流分に相当する発光が不要なものとなる。このロスがあるため、アクティブ測距装置の耐久性を改善する事ができない。
【0023】
図3は本発明の基になった測距装置のプロトタイプを示す回路図である。理解を容易にするため、図1及び図2に示した参考例にかかるアクティブ測距装置と対応する部分には対応する参照番号を付してある。図示するように、本アクティブ測距装置は、対象物に対して光束を投光する投光部6と、対象物から反射して戻ってくる光束を受光して検出信号I1,I2を出力する受光部7と、検出信号I1,I2に基づいて対象物までの測距を行う演算回路(演算部)8と、投光部6及び受光部7の動作を制御するシーケンサー(制御部)9とで構成されている。
【0024】
投光部6はLEDなどからなる発光素子1と駆動回路10とで構成されている。二端子型発光素子1のアノードは電源Vccに接続され、カソードは駆動回路10に接続されている。駆動回路10は2入力1出力型の増幅器(オペアンプ)Aと駆動トランジスタTrと負荷抵抗Rledとで構成されている。駆動トランジスタTrのコレクタは発光素子1のカソードに接続し、エミッタは負荷抵抗Rledを介して接地されている。トランジスタTrのベースは増幅器Aの出力端子に接続している。増幅器Aの一方の入力端子(以下本明細書では入力ノードと称する)には制御電圧Vswpが印加され、他方の入力端子はトランジスタTrのエミッタに接続している。これにより駆動回路10はIled=Vswp/Rledで規定される駆動電流Iledを発光素子1に流す。この結果、発光素子1は制御電圧Vswpに応じた輝度Lで発光する。
【0025】
入力ノードには定電流源iと負荷容量CとスイッチSWが接続しており、駆動回路10の一部となっている。定電流源iは電源Vccと入力ノードとの間に接続されている。負荷容量Cは入力ノードと接地ラインとの間に接続されている。スイッチSWも入力ノードと接地ラインとの間に接続されている。このスイッチSWの開閉はシーケンサー9から供給される制御パルスによって制御される。
【0026】
受光部7は受光素子5と一対の増幅器A1,A2とで構成されている。受光素子5は例えば位置検出素子(PSD)からなり、対象物から戻ってきた光の受光位置に応じた光信号を一対の電極から出力する。増幅器A1,A2は受光素子5の各両電極から出力された光信号を増幅し、検出信号I1,I2として演算回路8側に出力する。各増幅器A1,A2の入出力端子間には、定常成分を引き抜くためのDCCが接続されている。
【0027】
演算回路8は受光部7から出力された検出信号I1,I2の比演算を行って測距データを得る。この測距データはサンプルホールド回路12でサンプルホールドされた後、アンプA3を介して機器本体側に出力される。
【0028】
シーケンサー9は上述した制御パルスを投光部6側に供給すると共に、外付けで一対の比較器C1,C2を備えている。比較器C1の正入力端子には受光部7側から検出電流I1が供給され、他方の入力端子にはシーケンサー9側から所定の参照電圧Vrefが供給される。比較器C1の出力端子はシーケンサー9に接続されている。同様に比較器C2の正入力端子は受光部7側から検出電流I2が供給され、負入力端子にはシーケンサー9側から所定の参照電圧Vrefが供給され、出力端子はシーケンサー9に接続されている。かかる構成において、シーケンサー9及び一対の比較器C1,C2などで構成される制御部は、投光部6の駆動回路10を制御して駆動電流Iledを低レベルから高レベルに掃引しながら投光を行うと共に、受光部7の受光量をモニタして、測距に適したレベルに達したら駆動電流Iledの掃引を停止して測距を実行し、且つサンプルホールド回路12のスイッチSW1を制御して測距結果を確定する。
【0029】
図4は、図3に示したプロトタイプの測距装置の動作説明に供するタイミングチャートである。待機期間T0では、スイッチSWがオン状態にあり、入力ノードが接地されているのでVswpはゼロレベルにある。したがって駆動電流Iledが流れないので発光強度Lもゼロである。また、受光部7側は対象物から何ら受光しないので、比較器C1またはC2の出力はない。続いてタイミングT1で測距が起動すると、シーケンサー9は制御パルスを出力してスイッチSWをオンからオフにする。これにより、定電流源iから供給された電流が負荷容量Cに充電され始めるので、入力ノードの電位Vswpは低レベルから高レベルに向かって直線的に上昇していく。これに伴いIled=Vswp/Rledで表される駆動電流が低レベルから高レベルに向かって掃引され、結果として発光強度Lが徐々に増加していく。これに合わせ、受光部7側での受光量も増加していく。
【0030】
タイミングT2になると、受光量に対応した検出電流I1,I2のレベルが予め設定した参照電圧Vrefを越えるようになる。この参照電圧Vrefは受光量が測距に適した範囲となるように予めシーケンサー9側で設定されている。検出信号I1,I2のレベルがVrefを越えた時点で、比較器C1,C2の出力がローレベルからハイレベルに反転する。これに応じシーケンサー9は制御パルスを解除し、スイッチSWはオフからオンになる。入力ノードはスイッチSWにより接地されるので、Vswpは急激にゼロレベルに落ちる。したがって発光強度Lもゼロとなる。実際にはタイミングT2の段階の発光強度Lをしばらく保持しながら測距を行うことで、必要な距離データが得られる。その後でシーケンサー9は制御パルスを解除し、発光素子を消灯することになる。
【0031】
以上の説明から明らかなように、発光スタートのタイミングT1でVswpの電圧を時間と共に拡大スイープする。例えば対応する駆動電流Iledが0mA〜1.2Aまで変化するようスイープする。同時に、受光部7側に戻ってくる反射光量を比較器C1,C2でモニタし、測距をするための光量として充分な受光量に達したら、スイープを停止して発光を終わらせる。受光部7側の受光量モニタリングは、検出電流I1,I2をそれぞれモニタし両方とも参照電圧Vref以上となることで、判定を下す。あるいは簡易的に、受光素子5の合計光量を表すI1+I2を一個の比較器でモニタしてもよい。また、判別のためのレベルを決めるVrefは、周囲の明るさや温度などにより補正を適宜加えるようにしてもよい。
【0032】
図3に示したプロトタイプの測距装置は、駆動電流Iledを連続的に掃引しながら測距に適したレベルを求め、これを保持固定して実際の測距を行う。いわゆるアナログ方式である為、測距に適した駆動電流を保持固定する為、駆動回路10は容量CやスイッチSWなどからなるサンプルホールド回路が必要になる。また、アナルグ方式なので、必ずしも精密に駆動電流を制御できない。そこで本発明は、このアナログ方式のプロトタイプを改良し、デジタル方式の測距装置を提供するものである。図5は、本発明にかかるアクティブ測距装置の実施形態を示す回路図である。理解を容易にする為、図3に示したアナログ方式のアクティブ測距装置と対応する部分には対応する参照番号を付してある。図示するように、デジタル方式の本アクティブ測距装置は、対象物に対して光束を投光する投光部6と、対象物から反射して戻ってくる光束を受光して検出信号I1,I2を出力する受光部7と、検出信号I1,I2に基づいて対象物までの測距を行う演算回路(演算部)8と、投光部6及び受光部7の動作を制御するシーケンサー(制御部)9とで構成されている。
【0033】
投光部6はLEDなどからなる発光素子1と駆動回路10とで構成されている。二端子型発光素子1のアノードは電源Vccに接続され、カソードは駆動回路10に接続されている。駆動回路10は2入力1出力型の増幅器(オペアンプ)Aと駆動トランジスタTrと負荷抵抗Rledとで構成されている。駆動トランジスタTrのコレクタは発光素子1のカソードに接続し、エミッタは負荷抵抗Rledを介して接地されている。トランジスタTrのベースは増幅器Aの出力端子に接続している。増幅器Aの一方の入力端子(入力ノード)には段階的に変化する制御電圧が印加され、他方の入力端子はトランジスタTrのエミッタに接続している。
【0034】
駆動回路10は、さらに複数個の定電流源14とスイッチ手段15と抵抗Rとを備えている。本実施形態では定電流源14が5個用いられており、それぞれ定電流i,2i,4i,8i,16iを供給する。スイッチ手段15は5個のスイッチからなり、各々対応する定電流源と増幅器Aの入力ノードとの間に接続されている。抵抗Rは同じく入力ノードと接地電位との間に接続されている。5個のスイッチからなるスイッチ手段15は、シーケンサー9からの制御に応じて5個の定電流源14を選択的に組み合わせて、レベルがiから31iまで段階的に切り替わるステップ電流Istpを生成する。このステップ電流Istpは抵抗Rを通って接地ラインに流れる。したがって、抵抗Rの両端に現れる電圧はR・Istp=R・ni(nは1〜31)で表される。この電圧R・niが制御電圧として増幅器Aの入力ノードに印加される。増幅器AはVled=Iled・Rledが制御電圧R・niと同じになる様に、増幅動作を行う。したがってIled・Rled=R・niから、Iled=R・ni/Rledで表される。nが1〜31まで段階的に変化するので、ゲインR/Rledで増幅された駆動電流Iledもそのレベルが1〜31まで段階的に変化する。以上により、駆動回路10はIled=R・ni/Rledで規定される駆動電流Iledを発光素子1に流す。この結果、発光素子1はIledに応じて段階的に変化する輝度で発光する。
【0035】
受光部7は受光素子5と一対の増幅器A1,A2とで構成されている。受光素子5は例えば2分割SPDからなり、対象物から戻ってきた光の受光位置に応じた光信号を一対の電極から出力する。増幅器A1,A2は受光素子5の各電極から出力された光信号を増幅し、検出信号I1,I2として演算回路8側に出力する。各増幅器A1,A2の入出力端子間には、定常成分を引き抜く為のDCCが接続されている。
【0036】
演算回路8は受光部7から出力された検出信号I1,I2の差演算を行って測距データを得る。この測距データはサンプルホールド回路12でサンプルホールドされた後、アンプA3を介して機器本体側に出力される。
【0037】
シーケンサー9は投光部6側のスイッチ手段15を切り替え制御する為の制御信号を供給すると共に、一対の比較器C1,C2を備えている。比較器C1の正入力端子には受光部7側から検出電流I1が供給され、他方の入力端子にはシーケンサー9側から所定の参照電圧Vrefが供給される。比較器C1の出力端子はシーケンサー9に接続されている。同様に比較機器C2の正入力端子は受光部7側から検出電流I2が供給され、負入力端子にはシーケンサー9側から所定の参照電圧Vrefが供給され、出力端子はシーケンサー9に接続されている。かかる構成において、シーケンサー9及び一対の比較器C1,C2などで構成される制御部は、投光部6の駆動回路10を制御して駆動電流Iledのレベルを段階的に切り替えて投光を行うと共に、受光部7の受光量をモニタして測距に適したレベルを検出し、この検出されたレベルの駆動電流Iledを用いて測距を実行し、且つサンプルホールド回路12のスイッチSW1を制御して測定結果を確定する。
【0038】
図6は、ステップ電流Istpの時間変化を示すグラフである。本実施例では、ステップ電流Istpを高レベル(31i)から低レベル(i)に向かって段階的に切り替えている。例えばシーケンサー9によって5個の定電流源14を全てオンすると、ステップ電流Istpはi+2i+4i+8i+16i=31iとなって最大レベルのステップ電流Istp=31iを出力する。また、5個の定電流源14のうち一番出力の小さな定電流源を選択すると、ステップ電流Istp=iとなって、最小レベルの電流が得られる。この様に、シーケンサー9はスイッチ手段15を適切に切り替え制御して、ステップ電流Istpのレベルが31i〜iまで段階的に減少するように制御している。これに応じ、駆動電流Iledも段階的に高レベルから低レベルまで変化する。これと同時に、受光部7側に戻ってくる反射光量を比較器C1,C2でモニタし、測距をする為の光量として必要且つ充分な受光量に達したら、駆動電流の段階的な切り替えを停止する。受光部7側の受光量モニタリングは、検出信号I1,I2をそれぞれモニタし両方とも参照電圧Vref以上となることで判定を下す。あるいは簡易的に、受光素子5の合計光量を表すI1+I2を1個の比較器でモニタしても良い。また、判別の為のレベルを決める参照電圧Vrefは、周囲の明るさや温度などにより補正を適宜加える様にしても良い。
【0039】
図7は、投光部6に含まれる駆動回路10の他の実施形態を示す回路図である。図5に示した先の実施形態では。オペアンプAを用いてステップ電流Istpを増幅し駆動電流Iledを得ていた。この方式は抵抗Rにステップ電流Istpを流し、その時生じる電圧降下分をオペアンプAの入力ノードに供給するものである。その際、32レベル分の分解能を得る為、抵抗Rの一端に加わる電源電圧Vccをある程度高く設定しなければならない。そこで図7に示した実施形態では、オペアンプに代えてカレントミラー回路をカスケード接続することで、増幅回路を構成している。この様にすれば、電源電圧Vccを低電圧化する事が可能である。具体的に見ると、複数個の定電流源14とスイッチ手段15とによって生成されるステップ電流Istpは、三段に接続されたカレントミラー回路M1、M2,M3を介して、駆動トランジスタTrのベースに供給される。例えば第一段のカレントミラー回路M1の増幅率は20対1である。第二段のカレントミラー回路M2の増幅率は例えば10対1に設定されている。三段目のカレントミラー回路M3の増幅率は5対1に設定されている。この結果1000倍に増幅されたステップ電流Istpが駆動トランジスタTrに流れる。本実施形態は、純粋に電流増幅回路で投光部の駆動回路10を構成する事ができる。
【0040】
図8は、本発明にかかる測距装置をICに組み込んだ実施例を示す回路図である。図示するように、測距ICは、8つの接続端子を備えている。この内、入力端子IRDには外付けの発光素子1が接続する。又制御端子CNTR及びADJは外部から制御信号CNTR及びADJを夫々入力する。出力端子Doutは測距結果を示す出力信号Doutを外部に出力する。本実施例では、この測距結果を表す信号は二値であり測定対象物が遠近いずれかに位置する事を示す。電源端子VBは外部から電源電位VBを供給する。接地端子GNDは接地される。残りの端子OSCには外付けの容量が接続される。また端子Vrefにも外付けの抵抗が接続される。
【0041】
測距ICは受光素子5として2分割型のSPDを内蔵している。この2分割SPDには内蔵ヘッドアンプ11が接続されている。ヘッドアンプ11は加算(+)と減算(−)に切り替え可能である。加算側では、2分割SPDから出力される信号を加算して増幅する。その出力結果は受光量モニタリングに用いる。一方減算側は一対のSPDの差分を求めこれを増幅する。その出力結果は測距に用いられる。具体的には、対象物の遠近判定に用いられる。ヘッドアンプ11の出力には増幅器17,18が二段に接続され、その後にサンプルホールド回路12が接続されている。ヘッドアンプ11からの出力は二段のアンプ17,18で増幅された後、サンプルホールド回路12でサンプルホールドされる。各増幅器17,18には受光信号からバックグランドをキャンセルする為に参照電圧Vref1が供給されている。サンプルホールド回路12には比較器Cが接続されており、その比較結果は内部信号Coutとして出力される。比較器Cはサンプルホールド回路12に保持された信号と所定の参照電圧Vref2を比較する。この比較器Cは受光量判定と遠近判定の両方に用いられる。その際、参照電圧Vref2は適宜切り替えられる。
【0042】
測距ICは赤外LEDなどからなる発光素子1を外付けしている。この発光素子1には内蔵駆動回路10が接続している。この内蔵駆動回路10は各々レベルの異なる定電流を出力する複数個の定電流源14と、複数個の定電流源14を選択的に組み合わせて、レベルが段階的に切り替わるステップ電流Istpを生成するスイッチ手段15と、生成されたステップ電流Istpを増幅し駆動電流Iledとして発光素子1に供給する増幅手段とで構成されている。本実施例ではこの増幅手段はカスケード接続されたカレントミラー回路からなる。
【0043】
測距ICはさらに内蔵のシーケンサー9として制御ロジック回路を含んでいる。この制御ロジック回路は制御信号CNTR,ADJと内部信号Coutに応じて動作し、測距結果を表す出力信号Doutを出力する。その際、制御ロジック回路はヘッドアンプ11に対して加算/減算切り替えを行う。また比較器Cに対して必要に応じ参照電圧Vref2の切り替えを行う。加えて駆動回路10に対して駆動電流(発光電流)の段階的な切り替え制御を行う。なお、制御ロジック回路9には発振回路OSCが接続されており、10kHzないし150kHzの動作用クロック信号を供給している。加えて測距ICはレギュレーターVregを備えており、電源端子VBを介して外部から供給される電源電圧VBを調整して、内部電源電圧Vccを生成している。本実施例では外部電源電圧VBは6〜2.4Vである。これに対し内部電源電圧Vccは2.2Vに調整されている。
【0044】
図9は、図8に示した測距ICの動作説明に供するタイミングチャートである。時間軸Tに沿って外部電源電圧VB、外部制御信号CNTR,ADJ、駆動電流Iled、内部信号Cout及び出力信号Doutの変化を表している。なお内部信号Coutは外部信号と区別するためカッコを付けてある。合わせて内部リセット信号Resetもタイミングチャートに載せてある。タイミングT0で電源が挿入され、外部電源電圧VBが立ち上がる。これに合わせ、出力信号Dout及び内部信号Coutがハイレベルに初期化される。電源投入に合わせパワーオンリセットがかかり内部リセット信号Resetが立ち上がる。これにより、測距ICに内蔵されている制御ロジック回路9などにリセットがかかり、待機状態となる。例えばヘッドアンプが加算側にリセットされる。
【0045】
続いてタイミングT1で外部制御信号CNTR及びADJが立ち上がると、動作を開始する。第一段階としてまず駆動電流Iledの設定動作が行われる。具体的には、タイミングT1からタイミングT4に向かって駆動電流Iledが高レベルから低レベルまで段階的に切り替えられる。これに応じて受光量が段階的に下がっていく。始めにタイミングT1−T2の間で最大レベルの駆動電流Iledが出力される。これに応じ受光量は通常の場合適切な量を表すVref2よりも超えているので内部信号Coutはハイレベルからローレベルに切り替わる。以後Iledは段階的に低下していくが依然として適切なレベルを上回っているのでCoutはローレベルに止まっている。タイミングT3まで来たときIledが適切なレベルに達したので、内部信号Coutはローレベルからハイレベルに切り替わる。この時の駆動電流Iledのレベルが測距用に設定される。この後タイミングT4で制御信号ADJがハイレベルからローレベルに戻り、第一段階が終了する。
【0046】
引き続きタイミングT4以降第二段階の測距動作が行われる。その際、制御ロジック回路はヘッドアンプを減算側に切り替えるとともに、参照電圧Vref1,Vref2を受光量検出用から測距用に切り替える。続いて測距であるが、具体的にはタイミングT4〜T5まで発光素子を所定回数(本実施例では128)発光させる間、内部比較信号Coutの出力をカウントする。Coutはハイレベルのとき対象物が遠距離にある事を表し、ローレベルのとき対象物が近距離にある事を表す二値信号である。Coutのカウント結果が、例えば128/2+1回以上ローレベルなら、出力信号Doutをローレベルとして対象物が近距離にある事を表す。この出力判定を128回発光を繰り返す毎に行う。例えばタイミングT4からタイミングT5までの第1回判定では、Doutがハイレベルにあり、対象物が遠距離にある事を判定している。次のタイミングT5−T6では、内部信号Coutがハイレベルとローレベルで変動しているが、依然としてハイレベルのカウント数が多いので、Doutはハイレベルに位置している。次のタイミングT6以降になるとCoutのカウントが逆転し、ローレベルの回数が増え、Doutもこれに応じてハイレベルからローレベルに切り替わっている。即ちタイミングT4以降の過程は、対象物が遠方から接近してくる状態を表しており、丁度タイミングT6で対象物が遠距離範囲から近距離範囲に入った事を表している。
【0047】
以上の動作から明らかなように、本発明の測距ICは必要以上に赤外LED素子の駆動電流を流す事なく、赤外LED素子の長寿命化が図れ、且つ特別仕様の高価な高耐久性赤外LED素子を使用しなくても、通常の安価な赤外LED素子を用いる事ができる。なお図8の実施例ではIC化された回路のロジックで制御を行っているが、これに代えてCPUでソフト的に制御を行っても良い。
【0048】
図10は、本発明にかかる測距装置の一応用例を示す模式図であり、人検知センサーとして用いられる。図示するように、壁面32に備え付けられた小便器31には、小便器31に洗浄水を供給するための給水管33と、汚水を排出するための配水管34とが接続されている。給水管33の途中には電磁弁35が配設されている。電磁弁35は図示しないコイルと同コイルに設けた弁体とを有し、コイルの非励磁時(通常の状態)には閉弁されて給水管33を遮断すると共に、コイルの励磁と共に開弁して給水管33を開通させるようにオン/オフ制御される。そして、この電磁弁35の開弁動作によって給水管33を通して小便器31に洗浄水が供給される。小便器31の上方には本発明にかかる測距装置0が配設されており、これにて小便器31の使用者の有無が検知される。制御回路37はCPU,ROM,RAMなどを有するマイクロコンピュータであり、小便器31の上方において壁面32に埋設されている。同制御回路37には測距装置0及び電磁弁35が接続されており、制御回路37は測距装置0の検知結果を入力し、その検知結果に基づいて電磁弁35に対し駆動信号を出力する。即ち、使用者が所定の距離範囲に入った後、立ち去った時点で洗浄水を流すように制御する。
【0049】
図11は、本発明にかかる測距装置の他の応用例を示す模式図である。図11は、自動取引装置の1つの実施形態であるATMの外観構成を示す斜視図である。このATMは少なくとも前面部が屋外などに露出するように設置されるものであり、装置本体には、シャッタにより開閉自在な紙幣入出金口41、利用者との対話用の表示装置としてのCRT42及びキー入力部43、利用者認証用のカードが装着されるカード装着部44、装置本体の前面部に配設された対人センサーとしての測距装置0などが備えられ、本体内には紙幣処理部が搭載されている。測距装置0は投光部6及び受光部7からなる。ATMは使用者が居ないとき待機状態もしくは節電状態におかれる。この場合でも測距装置0は動作状態にある。測距装置0が使用者の接近を感知すると、ATMは待機状態から稼動状態に復帰する。
【図面の簡単な説明】
【0050】
【図1】測距装置の参考例を示す回路図である。
【図2】測距装置の他の参考例を示す回路図である。
【図3】測距装置の別の参考例を示す回路図である。
【図4】図3に示した参考例の動作説明に供するタイミングチャートである。
【図5】本発明にかかる測距装置の実施形態を示す回路図である。
【図6】図5に示した実施形態の動作説明に供する模式図である。
【図7】本発明にかかる測距装置の他の実施形態の主要部を示す回路図である。
【図8】本発明にかかる測距装置の実施例を示す回路図である。
【図9】図8に示した実施例の動作説明に供するタイミングチャートである。
【図10】本発明にかかる測距装置の一応用例を示す模式的な断面図である。
【図11】同じく他の応用例を示す模式的な斜視図である。
【図12】従来の測距装置の原理を示す模式図である。
【符号の説明】
【0051】
0・・・測距装置、1・・・発光素子、5・・・受光素子、6・・・投光部、7・・・受光部、8・・・演算回路、9・・・シーケンサー、10・・・駆動回路、14・・・定電流源、15・・・スイッチ手段、A・・・増幅器、M・・・カレントミラー回路
【特許請求の範囲】
【請求項1】
対象物に対して光束を投光する投光部と、対象物から反射して戻ってくる光束を受光して検出信号を出力する受光部と、該検出信号に基づいて該対象物までの測距を行う演算部と、該投光部及び受光部の動作を制御する制御部とからなる測距装置であって、
前記投光部は、駆動電流に応じて光束を放射する発光素子と、該発光素子に駆動電流を供給する駆動回路とを含み、
前記制御部は、該投光部の駆動回路を制御して該駆動電流のレベルを段階的に切り替えて投光を行なうとともに、該受光部の受光量をモニタして測距に適したレベルを検出し、該検出されたレベルの駆動電流を用いて測距を行うことを特徴とする測距装置。
【請求項2】
前記制御部は、高レベルから低レベルに向かって該駆動電流のレベルを段階的に切り替えることを特徴とする請求項1記載の測距装置。
【請求項3】
前記駆動回路は、各々レベルの異なる定電流を出力する複数個の定電流源と、該制御部からの制御に応じて該複数個の定電流源を選択的に組み合わせて、レベルが段階的に切り替わる電流を生成するスイッチ手段と、該生成された電流を増幅し駆動電流として該発光素子に供給する増幅手段とからなることを特徴とする請求項1記載の測距装置。
【請求項4】
前記増幅手段は、カレントミラー回路からなることを特徴とする請求項3記載の測距装置。
【請求項1】
対象物に対して光束を投光する投光部と、対象物から反射して戻ってくる光束を受光して検出信号を出力する受光部と、該検出信号に基づいて該対象物までの測距を行う演算部と、該投光部及び受光部の動作を制御する制御部とからなる測距装置であって、
前記投光部は、駆動電流に応じて光束を放射する発光素子と、該発光素子に駆動電流を供給する駆動回路とを含み、
前記制御部は、該投光部の駆動回路を制御して該駆動電流のレベルを段階的に切り替えて投光を行なうとともに、該受光部の受光量をモニタして測距に適したレベルを検出し、該検出されたレベルの駆動電流を用いて測距を行うことを特徴とする測距装置。
【請求項2】
前記制御部は、高レベルから低レベルに向かって該駆動電流のレベルを段階的に切り替えることを特徴とする請求項1記載の測距装置。
【請求項3】
前記駆動回路は、各々レベルの異なる定電流を出力する複数個の定電流源と、該制御部からの制御に応じて該複数個の定電流源を選択的に組み合わせて、レベルが段階的に切り替わる電流を生成するスイッチ手段と、該生成された電流を増幅し駆動電流として該発光素子に供給する増幅手段とからなることを特徴とする請求項1記載の測距装置。
【請求項4】
前記増幅手段は、カレントミラー回路からなることを特徴とする請求項3記載の測距装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2006−242728(P2006−242728A)
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−58345(P2005−58345)
【出願日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【出願人】(000001225)日本電産コパル株式会社 (755)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年9月14日(2006.9.14)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年3月3日(2005.3.3)
【出願人】(000001225)日本電産コパル株式会社 (755)
【Fターム(参考)】
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