説明

湯豆腐用収納容器

【課題】個食の需要に応える好適な湯豆腐用収納容器を提供する。
【解決手段】上面を開口した豆腐収納凹部に連結部を介して薬味等収納凹部を連結し、それぞれの収納凹部の開口縁の外周にフランジを外向きに設けて、前記豆腐収納凹部には、その開口縁の高さより低い高さで前記豆腐収納凹部の内部を複数の収納室に区画する仕切りを設けてなる容器本体と、前記連結部及びフランジに引き剥がし可能に密着して前記豆腐収納凹部を閉塞するシール蓋とで湯豆腐用収納容器を構成する。また、上記豆腐収納凹部及び薬味等収納凹部のそれぞれの側壁に縦方向の突条からなるリブを多数設けると共に、少なくとも豆腐収納凹部の各収納室の底面に突起又は突条からなるリブを設ける。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、豆腐及びつけだれや薬味等を一緒に収納して、簡便に湯豆腐を食することのできる容器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
近年、家庭のあり方の多様化などにより、一人で食事をする、いわゆる個食化が進んでいる。また、一人暮らしの世帯も増加の傾向にある。そのような状況の下、一人分の食材をひとまとめにパックして、簡単に調理できるようにしたり、更に進んで、電子レンジ等で温めるだけで食することのできる食材も各種提供されている。
【0003】
このうち、本発明は、一人分の湯豆腐を提供するための容器に関するものであるが、この種の容器として、既に、特許文献1や特許文献2に記載されたものが提案されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平9−2541号公報
【特許文献2】特開2001−55269号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1に記載のものは、湯豆腐調理材料を収納した運搬用の断熱容器に関するもので、豆腐及びその他の調味料等の湯豆腐材料をまとめて収納し、それを簡便に運搬できるようにすることを目的としたものであり、当該容器自体を温めて調理したり、該容器を食器として利用するものではなかった。そのため、湯豆腐を食するには、別途、鍋や食器を用意する必要があり、一定の手間を要するものであった。また、特許文献2に記載のものは、円筒形状の容器体の中央部分に凹部を形成したものであるが、食品と食用液体等を一緒にして、野外等での食事を好適にすることを目的としたものであった。
【0006】
本願発明は、これらの従来の容器に代え、一人分として必要な食材を一つにまとめると共に、電子レンジ等での加熱によって簡単に調理できるようにして、個食の需要に応える好適な湯豆腐用収納容器を提供することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、本発明は、上面を開口した豆腐収納凹部に連結部を介して薬味等収納凹部を連結し、それぞれの収納凹部の開口縁の外周にフランジを外向きに設けて、前記豆腐収納凹部には、その開口縁の高さより低い高さで前記豆腐収納凹部の内部を複数の収納室に区画する仕切りを設けてなる容器本体と、前記連結部及びフランジに引き剥がし可能に密着して前記豆腐収納凹部を閉塞するシール蓋とで湯豆腐用収納容器を構成するという手段を採用した。
【0008】
また、かかる湯豆腐用収納容器において、上記豆腐収納凹部及び薬味等収納凹部のそれぞれの側壁に縦方向の突条からなるリブを多数設けると共に、少なくとも豆腐収納凹部の各収納室の底面に突起又は突条からなるリブを設けるという手段を採用した。
【0009】
そして、上記容器本体及びシール蓋は、電子レンジによる加熱に耐え得る素材で構成するという手段を採用した。
【0010】
また、上記容器本体は、適宜な合成樹脂シートを真空成型して一体に形成するという手段を採用した。
【0011】
そして、上記湯豆腐用収納容器において、豆腐収納凹部の各収納室には適宜な大きさにカットした豆腐を水等と共に収納してシール蓋で閉塞し、薬味等収納凹部には薬味類を収納するという手段を採用した。
【発明の効果】
【0012】
上記構成に係る本発明の湯豆腐用収納容器によれば、少なくとも豆腐収納凹部に豆腐を収納し、その上面をシール蓋で閉塞することで、容易に運搬、販売可能な態様の湯豆腐セットとすることができ、そのまま電子レンジで温めるだけで食することが可能となるので、個食に好適な湯豆腐セットを提供できるという優れた効果が期待できる。
【0013】
また、各収納凹部の側壁に多数のリブを設けているので、容器を補強できると共に、収納した豆腐等を保持し、外部からの衝撃から保護できるので、湯豆腐商品としての商品価値を損なうことがない。
【0014】
また、電子レンジによる加熱に対応するので、誰でも簡単に、そのまま温めることができる。
【0015】
また、容器は、真空成型により簡単に成形できるので、大量生産により安価に提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【図1】本発明に係る湯豆腐用収納容器の容器本体の斜視図である。
【図2】湯豆腐用収納容器の使用状態の斜視図である。
【図3】収納容器の使用状態の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下、本発明に係る湯豆腐用収納容器の好ましい実施形態を、添付した図面に従って説明する。図1から図3において、1は適宜な合成樹脂材からなる容器本体で、上面を開口した所定の大きさの豆腐収納凹部2を設けると共に、これと連結部1aを介して上面を開口した薬味等収納凹部3を連結して設けたものである。また、この豆腐収納凹部2及び薬味等収納凹部3のそれぞれの開口縁の外周には外向きのフランジ4を設けている。
【0018】
上記一方の豆腐収納凹部2には仕切り5、5・・を設け、カットした豆腐(T)を収納すべく、その内部を均等に区画している。図示した実施形態では、十字形の仕切によって4つの収納室に区画するが、これに限定するものではなく、その区画数は必要に応じて適宜選択可能である。なお、この仕切り5の高さは、容器本体1の外周縁のフランジ4から段差を設けてフランジ4の高さより低いものとし、下述するように、この豆腐収納凹部2に水等を満杯に注入した場合に、仕切られた収納室同士が互いに連通して注入した水等が自由に流動するようにしている。
【0019】
他方の薬味等収納凹部3には、基本的には仕切りを設けないが、該収納凹部3への収納物によっては、仕切りを設けて複数の収納物を区別できるようにしてもよい。なお、図では豆腐収納凹部2と薬味等位収納凹部3の高さを連結部1aを介して同一面となるように連結しているが、これに限定する必要はなく、両者に段差を設けることもある。
【0020】
豆腐収納凹部2、及び、薬味等収納凹部3のそれぞれの側壁には縦方向の突条からなるリブ6を多数設けて、容器の強度を確保している。また、少なくとも仕切り5によって区画する豆腐収納凹部2の各収納室の底面にも、突起又は突条からなるリブ7を形成している。なお、リブ6、7の形状は図示したものに限定されるものではなく、容器を補強するための任意の形状を選択できる。
【0021】
上記豆腐収納凹部2の各収納室には、その大きさに見合う適宜な大きさにカットした豆腐(T)を収納し、それと共に、水又は適宜な成分の調理水を満杯に注入する。調理水としては、ミネラル成分を含んだ天然水や、温泉水などが考えられるが、特に限定するものではない。収納された豆腐(T)は、各収納室の側壁及び底部に設けたリブ6、7によって、各収納室内で水中に浮かんだ状態で保持されることになり、運搬時等における外部からの衝撃から保護する。これにより、湯豆腐商品としての商品価値を損なうことがない。
【0022】
なお、薬味収納凹部3には、だし醤油やポン酢等のつけだれ、ネギや生姜、七味唐辛子等の薬味類(Y)を適宜収納することができる。この場合、だし醤油やポン酢等のつけだれは、ビン状の樹脂容器や袋に収納しておき、薬味類も、個別に袋にパック収納しておくことが好ましい。
【0023】
上記容器本体1は、豆腐収納凹部2に豆腐及び水等を収納し、同一面で連続する上記フランジ4及び連結部1aに合成樹脂シート等からなるシール蓋8を引き剥がし可能に接着または溶着等して豆腐収納凹部2の上面全体を閉塞する。これにより、湯豆腐商品として出荷可能な態様となる(図2参照)。なお、ここまでは、主に豆腐工場において行うことになる。そして、販売時には、例えばスーパーマーケット等のバックヤードで、必要に応じて、ネギや生姜、七味唐辛子等の薬味類(Y)を薬味等収納凹部3に収納する(図3参照)。これをラップ等で包装すれば、湯豆腐セットとして販売可能な態様となる。ただし、製造工程によっては、豆腐工場等において、豆腐及び薬味等を豆腐収納凹部2及び薬味等収納凹部3にそれぞれ先に収納し、両者全体の上面をシール蓋で閉塞することもある。
【0024】
上記構成の容器本体1は、適宜な合成樹脂シートを金型を使用して真空成型することにより一体に形成して得ることが一般的であるが、これに限定するものではなく、素材に応じて各種成型手段を適宜選択できる。また、使用素材も合成樹脂に限定するものではなく、コーティングを施した紙等を成形して得ることも可能である。ただし、湯豆腐として電子レンジで温めることを前提とするため、電子レンジの使用に適した素材で、ある程度の耐熱性が要求される。なお、シール蓋8も同様に電子レンジの使用に適した素材で構成する。
【0025】
続いて、上記湯豆腐用収納容器を使用した湯豆腐セットについて説明する。上述の通り、容器本体1の豆腐収納凹部2にはカットした豆腐(T)を収納し、水などを充満させる。一方、隣の薬味等収納凹部3には、つけだれや薬味類(Y)を収納する。そして、少なくとも豆腐収納凹部2の上面をシール蓋8で閉塞すると湯豆腐セットが完成し、運搬、販売が可能となる。需要者は、食する際に、先ず、薬味等収納凹部3から薬味類を取り出す。次に、シール蓋8を剥がし、豆腐収納凹部2の一部が開放された状態とする。これは、閉塞されたままだと、電子レンジで温める際に該部が破裂するおそれがあるからである。この状態で、電子レンジによって温める。適温に温まれば、シール蓋8を全部剥がし、薬味収納凹部3に、好みに応じてつけだれや薬味類をいれ、それに温まった豆腐をつけて食する。これにより、個食に適した簡便な湯豆腐料理を提供できる。
【符号の説明】
【0026】
1 容器本体
1a 連結部
2 豆腐収納凹部
3 薬味等収納凹部
4 フランジ
5 仕切り
6 リブ
7 リブ
8 シール蓋

【特許請求の範囲】
【請求項1】
上面を開口した豆腐収納凹部に連結部を介して薬味等収納凹部を連結し、それぞれの収納凹部の開口縁の外周にフランジを外向きに設けて、前記豆腐収納凹部には、その開口縁の高さより低い高さで前記豆腐収納凹部の内部を複数の収納室に区画する仕切りを設けてなる容器本体と、前記連結部及びフランジに引き剥がし可能に密着して前記豆腐収納凹部を閉塞するシール蓋とからなることを特徴とする湯豆腐用収納容器。
【請求項2】
上記豆腐収納凹部及び薬味等収納凹部のそれぞれの側壁に縦方向の突条からなるリブを多数設けると共に、少なくとも豆腐収納凹部の各収納室の底面に突起又は突条からなるリブを設けた請求項1記載の湯豆腐用収納容器。
【請求項3】
上記容器本体及びシール蓋は、電子レンジによる加熱に耐え得る素材で構成した請求項1又は請求項2記載の湯豆腐用収納容器。
【請求項4】
上記容器本体は、適宜な合成樹脂シートを真空成型して一体に形成する請求項1から請求項3のいずれか1項記載の湯豆腐用収納容器。
【請求項5】
豆腐収納凹部の各収納室には適宜な大きさにカットした豆腐を水等と共に収納して上面をシール蓋で閉塞し、薬味等収納凹部には薬味類を収納する湯豆腐用収納容器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2012−111539(P2012−111539A)
【公開日】平成24年6月14日(2012.6.14)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−263760(P2010−263760)
【出願日】平成22年11月26日(2010.11.26)
【出願人】(592035246)株式会社山田工作所 (8)
【Fターム(参考)】