説明

溶射方法及び溶射設備

【課題】 気候や作業場環境に影響されることなく、密着度に優れた溶射皮膜が形成でき、簡単かつ安価に実施できる溶射方法及び溶射設備を提供する。
【解決手段】 シリンダブロック5への溶射前に集塵機17により溶射ブース1のブース内雰囲気の気体を、ブース内吸引ダクト15及び循環ダクト18を介して循環させながら、ブース内雰囲気の温度及び湿度をセンサ20で検出し、その検出結果に基づいてコンプレッサ22を作動させて溶射ブース1に乾燥エアーを供給して、ブース内雰囲気を所望の状態に調整し、溶射時はダクト切換装置14により溶射部吸引ダクト13を集塵機17に連通して、溶射雰囲気の気体を溶射部吸引ダクト13を介して吸引し、循環ダクト18を介して循環させる。気候や作業場環境に影響されることなくブース内雰囲気を所望の状態に調整でき、密着度に優れた溶射皮膜を形成できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、例えばシリンダブロックのボア内面等の被溶射材表面に溶射皮膜を形成する溶射方法及び溶射設備に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、シリンダブロックのボア内面への溶射方法として、溶射ガンをボア内に挿入して回転させながら上下動させることにより溶射皮膜を形成する方法や、シリンダブロックをターンテーブルに保持してシリンダブロックを回転させた状態で、溶射ガンをボア内に挿入して上下動させることにより溶射皮膜を形成する方法が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
このようなボア内面への溶射方法では、ヒューム(酸化鉄)等の不純物を含んだ溶射皮膜が形成されると、溶射皮膜のシリンダブロックに対する密着度が低下して、その後のホーニング加工の際に、溶射皮膜がシリンダブロックから剥がれるおそれがある。そのため、一般には、溶射装置が設置されている溶射ブースの外部に集塵機を設置し、この集塵機により集塵ダクトを介して溶射雰囲気であるボア内を例えば5〜10m/sec程度の風速で吸引しながら溶射を行うことにより、溶射皮膜への不純物の巻き込みを防止するようにしている。
【0004】
ところが、ボア内を吸引すると、ボア内面が大量の大気に晒されることになることになり、湿度が非常に高い日等には、大気中に含まれる水分量が多いためにブラスト処理されたボア内面の未溶射部分に水分が付着したり、また、気温が非常に高い日等には、ボア内面の未溶射部分が酸化されたりして、溶射皮膜の密着度を低下させる要因となる。
【0005】
そこで、従来は、湿度が高い場合には、溶射前にシリンダブロックを予熱したり、エアコンによって溶射作業場全体を除湿したりし、気温が高い場合には、エアコンによって溶射作業場全体を冷房したりするようにしている。
【0006】
【特許文献1】特開2002−4024号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、溶射前にシリンダブロックを予熱する場合には、多くの作業時間を要すると共に、コストの増大が懸念されると共に、シリンダブロックの変形を招くおそれがある。
【0008】
また、溶射作業場全体の温度及び湿度をエアコンで管理する場合には、多くのコストを要することが懸念されると共に、溶射ブース内では、ボア内を風速5〜10m/secで吸引しているため、溶射ブース内を所望の温度及び湿度に正確に管理するのは困難である。
【0009】
従って、かかる事情に鑑みてなされた本発明の目的は、気候や作業場環境に影響されることなく、密着度に優れた溶射皮膜を安定して形成できると共に、簡単かつ安価に実施できる溶射方法及び溶射設備を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成する請求項1に記載の溶射方法の発明は、溶射ブースに設置された溶射装置により被溶射材の表面に溶射皮膜を形成する溶射方法において、上記溶射ブースのブース内雰囲気の温度及び湿度を検出し、該検出した温度及び湿度に基づいて上記溶射ブースに乾燥エアーを供給して、上記ブース内雰囲気を所望の状態に調整することを特徴とする。
【0011】
請求項2に記載の溶射方法の発明は、溶射ブースに設置された溶射装置による被溶射材の溶射雰囲気の気体を集塵機により吸引しながら、上記溶射装置により上記被溶射材の表面に溶射皮膜を形成する溶射方法において、上記集塵機により吸引した気体を上記溶射ブースに供給して循環させることを特徴とする。
【0012】
請求項3に記載の溶射方法の発明は、溶射ブースに設置された溶射装置による被溶射材の溶射雰囲気の気体を集塵機により吸引しながら、上記溶射装置により上記被溶射材の表面に溶射皮膜を形成する溶射方法において、上記溶射装置による溶射に先立って、上記溶射雰囲気以外のブース内雰囲気の気体を上記集塵機により吸引することを特徴とする。
【0013】
請求項4に記載の発明は、請求項3の溶射方法において、上記溶射装置による溶射に先立って上記集塵機により吸引した上記ブース内雰囲気の気体を上記溶射ブースに供給して循環させると共に、上記溶射装置による溶射時に上記集塵機により吸引した上記溶射雰囲気の気体を上記溶射ブースに供給して循環させることを特徴とする。
【0014】
請求項5に記載の発明は、請求項4の溶射方法において、上記集塵機により吸引した上記ブース内雰囲気の気体から、該ブース内雰囲気の温度及び湿度を検出し、該検出した温度及び湿度に基づいて上記溶射ブースに乾燥エアーを供給して、上記溶射装置による溶射に先立って上記ブース内雰囲気を所望の状態に調整することを特徴とする。
【0015】
更に、上記目的を達成する請求項6に記載の溶射設備の発明は、溶射ブースに設置されて被溶射材の表面に溶射皮膜を形成する溶射装置と、上記溶射装置による上記被溶射材の溶射雰囲気に吸引口を臨ませた溶射部吸引ダクトと、上記溶射雰囲気から離れたブース内雰囲気に吸引口を望ませたブース内吸引ダクトと、上記溶射ブースの外部に設置され、上記溶射部吸引ダクトまたは上記ブース内吸引ダクトを介して上記溶射雰囲気またはブース内雰囲気を吸引する集塵機と、上記溶射装置の動作に同期して、溶射時には上記溶射部吸引ダクトを上記集塵機に連通接続し、非溶射時には上記ブース内吸引ダクトを上記集塵機に連通接続するダクト切換装置と、上記集塵機により吸引した気体を上記溶射ブースに供給する循環ダクトと、上記ブース内雰囲気の温度及び湿度を検出するセンサと、上記溶射ブースに乾燥エアーを供給するコンプレッサと、上記センサによる検出結果に基づいて上記コンプレッサの動作を制御する制御装置とを有し、上記溶射装置による非溶射時は、上記集塵機により上記ブース内吸引ダクトを介して吸引した上記ブース内雰囲気の気体を上記循環ダクトを介して上記溶射ブースに供給して循環させると共に、上記ブース内雰囲気の気体の温度及び湿度を上記センサで検出して、該検出結果に基づいて上記ブース内雰囲気が所望の状態となるように上記制御装置により上記コンプレッサの動作を制御し、上記溶射装置による溶射時は、上記集塵機により上記溶射部吸引ダクトを介して吸引した上記溶射雰囲気の気体を上記循環ダクトを介して上記溶射ブースに供給して循環させることを特徴とする。
【0016】
請求項7に記載の発明は、請求項6の溶射設備において、上記溶射ブースに対する上記被溶射材のワーク出入扉を、上記溶射ブースの側部の高さ方向ほぼ中央部から上方に設けたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0017】
請求項1の発明によると、ブース内雰囲気の温度及び湿度に基づいて溶射ブースに乾燥エアーを供給してブース内雰囲気の水分量を低減させてブース内雰囲気を所望の状態に調整するので、気候や作業場環境に影響されることなくブース内雰囲気を所望の状態に調整でき、被溶射材に水分が付着することがなくなり密着度に優れた溶射皮膜を安定して形成することができると共に被溶射材の酸化が抑制できる。
【0018】
請求項2の発明によると、集塵機により吸引した溶射雰囲気の気体を溶射ブースに供給して循環させることで、溶射雰囲気において溶射熱源により加熱・乾燥された気体を溶射ブースに循環させることができるので、気候や作業場環境に影響されることなく、効率的にブース内雰囲気の水分量を低減でき、被溶射材に水分が付着することがなくなり密着度に優れた溶射皮膜を安定して形成することができる。
【0019】
請求項3の発明によると、溶射に先立って、溶射雰囲気以外のブース内雰囲気の気体を集塵機により吸引することで、溶射前に予めブース内雰囲気の水分量を低減させてブース内雰囲気を所望の状態に調整することが可能となり、溶射開始時においても被溶射材に水分が付着することがなくなり、気候や作業場環境に影響されることなく、密着度に優れた溶射皮膜を安定して形成することが可能となる。
【0020】
請求項4の発明によると、溶射前はブース内雰囲気の気体を吸引して循環させて溶射ブース内を水分量の少ない状態に安定して維持し、溶射中は溶射雰囲気の気体を吸引して循環させるので被溶射材に水分が付着することがなくなり、気候や作業場環境に影響されることなく、密着度に優れた溶射皮膜を安定して形成することができる。
【0021】
請求項5の発明によると、溶射前にブース内雰囲気の温度及び湿度に応じて溶射ブースに乾燥エアーを供給して、ブース内雰囲気を所望の状態に調整するので、溶射開始時においても被溶射材に水分が付着することがなくなり、気候や作業場環境に影響されることなく、密着度に優れた溶射皮膜をより安定して形成することができる。
【0022】
請求項6の発明によると、従来の溶射設備に、ブース内吸引ダクト、ダクト切換装置、循環ダクト、センサ、コンプレッサ及び制御装置を付加する簡単かつ安価な構成で、気候や作業場環境に影響されることなく、密着度に優れた溶射皮膜を安定して形成することができる。
【0023】
請求項7の発明によると、溶射ブースに対して、その側部の高さ方向ほぼ中央部から上方に設けられたワーク出入扉から被溶射材を出し入れするので、例えばプラズマ溶射の場合には、被溶射材の出し入れの際に、溶射ブースの下方に溜まり易いアルゴンガス等の不活性ガス(キャリアガス)の放出を防止でき、これによりブース内雰囲気をより安定して所望の状態に維持することが可能となるので、気候や作業場環境に影響されることなく、密着度に優れた溶射皮膜をより安定して形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0024】
以下、本発明に係る溶射方法及び溶射設備の実施の形態について、図1及び図2を参照して説明する。
【0025】
図1は溶射設備の全体の概略構成を示す図であり、図2は図1に示すプラズマ溶射装置の概略構成を示す図である。
【0026】
本実施の形態は、図1に示すように、溶射ブース1に設置された溶射装置であるプラズマ溶射装置2によって、被溶射材であるエンジンのシリンダブロック5に設けられた被溶射材表面としてのボア6の内面に溶射皮膜7を形成するものである。
【0027】
溶射ブース1には、その側部の高さ方向ほぼ中央部から上方にシリンダブロック5を出し入れするためのワーク出入扉11を設け、上部には排気口12を設ける。
【0028】
シリンダブロック5は、溶射ブース1内において、位置決め治具を兼ねた溶射部吸引ダクト13に位置決め固定する。溶射部吸引ダクト13は、その吸引口13aをボア6と対向する部分、即ちプラズマ溶射装置2による溶射雰囲気に臨ませてダクト切換装置14に連結する。
【0029】
更に、溶射ブース1内には、ブース内吸引ダクト15を設ける。このブース内吸引ダクト15は、その吸引口15aをプラズマ溶射装置2による溶射雰囲気以外のブース内雰囲気に臨ませてダクト切換装置14に連結する。
【0030】
ダクト切換装置14は、連結ダクト16を介して溶射ブース1の外部に設置した集塵機17に連結する。集塵機17で吸引しヒューム(酸化鉄)等の不純物からなる塵芥が除去された気体は、循環ダクト18を介して溶射ブース1の上部に設けた吐出口19から溶射ブース1内に供給して循環させると共に、循環ダクト18を通る際に、その気体の温度及び湿度を、循環ダクト18に設けたセンサ20によって検出する。
【0031】
また、溶射ブース1の外部には、溶射ブース1の吐出口19から送気ダクト21を介して乾燥エアーを供給するためのコンプレッサ22を設置し、このコンプレッサ22の動作をセンサ20で検出した温度及び湿度に基づいて制御装置23により制御する。
【0032】
なお、プラズマ溶射装置2は、図2に拡大概略図を示すように、ボア6の上部開口部6aからガン保持ロボット31により溶射ガン32を回転及びボア軸方向に昇降させながら、溶射ガン32からプラズマアーク33を出射させると共に、このプラズマアーク33に粉末供給パイプ34から鉄粉等の粉末を供給することにより、供給された粉末をプラズマアーク33によりボア6の内面に溶射して溶射皮膜7を形成するようになっている。
【0033】
以下、本実施の形態の動作について説明する。
【0034】
先ず、溶射すべきシリンダブロック5をワーク出し入れ扉11から溶射ブース1に入れて溶射部吸引ダクト13に位置決め固定し、その後、ワーク出入扉11を閉めて溶射ブース1を簡易的に密閉する。
【0035】
次に、制御装置23によりコンプレッサ22を一定時間作動させて、送気ダクト21を介して吐出口19から溶射ブース1に乾燥エアーを供給して、溶射ブース1内の水分量を低減して、溶射ブース1内の湿度を低下させる。
【0036】
その後、ダクト切換装置14によりブース内吸引ダクト15を連結ダクト16に連通した状態で、集塵機17を作動させて、ブース内雰囲気の気体を吸引口15aから吸引し、その吸引した気体をブース内吸引ダクト15、連結ダクト16及び循環ダクト18を介して吐出口19から溶射ブース1に供給して、ブース内雰囲気の気体を循環させると共に、その際にセンサ20で検出される循環ダクト18を通る気体の温度及び湿度を制御装置23に取り込む。
【0037】
制御装置23では、センサ20から取り込んだ温度及び湿度に基づいて溶射ブース1内の水分量を算出し、その算出した水分量が、予め設定した所望の設定水分量よりも多い場合には、算出される水分量が設定水分量となるまで、即ちブース内雰囲気の温度及び湿度が所望の状態となるまで制御装置23によりコンプレッサ22を再度作動させる。
【0038】
その後、制御装置23で算出される水分量が設定水分量に達すると、コンプレッサ22を停止させて、溶射ブース1内が所定のブース内雰囲気に調整された状態でプラズマ溶射装置2による溶射を実行する。
【0039】
なお、ダクト切換置14は、プラズマ溶射装置2の動作に同期して、溶射時は溶射部吸引ダクト13を連結ダクト16に連通する。これにより、溶射時は、予め所定のブース内雰囲気に調整された溶射ブース1内の気体が上部開口部6a側からボア6内に導入され、かつボア6内の溶射雰囲気の気体を集塵機17によって溶射部吸引ダクト13の吸引口13aから溶射部吸引ダクト13、連結ダクト16を介して吸引し、集塵機17によりヒューム(酸化鉄)等の不純物からなる塵芥が除去された気体を循環ダクト18を介して吐出口19から再び溶射ブース1に供給して、溶射雰囲気の気体を循環させる。
【0040】
以上のように、本実施の形態によれば、ボア6への溶射前にブース内雰囲気の気体を吸引して循環させながら、その気体中の温度及び湿度を検出して溶射ブース1内の水分量を算出し、その算出した水分量に応じてコンプレッサ22から溶射ブース1に乾燥エアーを供給して、ブース内雰囲気を所望の状態に調整し、溶射時は溶射雰囲気の気体を吸引して循環させるという簡単かつ安価な構成で、気候や作業場環境に影響されることなく、溶射開始時を含む溶射時においてボア6に水分が付着することがなくなり未溶着ボア内面の水分の付着や酸化を確実に防止でき、密着度に優れた溶射皮膜7を安定して形成することができる。
【0041】
しかも、ワーク出入扉11を溶射ブース1の側面で、その高さ方向ほぼ中央部から上方に設けたので、シリンダブロック5の出し入れの際に、溶射ブース1の下方に溜まり易いアルゴンガス等の不活性ガス(キャリアガス)の放出を防止でき、これによりブース内雰囲気をより安定して所望の状態に維持することができるので、密着度に優れた溶射皮膜をより安定して形成することができる。
【0042】
なお、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変更可能である。例えば、上記実施の形態では、集塵機17で吸引したブース内雰囲気の気体及び溶射雰囲気の気体の双方を循環させるようにしたが、ブース内雰囲気の気体のみ、あるいは溶射雰囲気の気体のみを循環させるようにしてもよい。また、ブース内雰囲気の温度及び湿度を検出するセンサ20は、循環ダクト18に限らず、溶射ブース1の任意の位置に取り付けることができる。さらに、本発明は、プラズマ溶射に限らず、フレーム溶射やレーザ溶射等の他の溶射装置により溶射を行う場合にも適用できると共に、被溶射材についても、シリンダブロックのボアに限らず、種々の形状及び材料からなる被溶射材に溶射皮膜を形成する場合に適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0043】
【図1】本発明に係る溶射設備の全体の概略構成を示す図である。
【図2】図1に示すプラズマ溶射装置の概略構成を示す図である。
【符号の説明】
【0044】
1 溶射ブース
2 プラズマ溶射装置(溶射装置)
5 シリンダブロック(被溶射材)
7 溶射皮膜
11 ワーク出入扉
12 排気口
13 溶射部吸引ダクト
13a 吸引口
14 ダクト切換装置
15 ブース内吸引ダクト
15a 吸引口
16 連結ダクト
17 集塵機
18 循環ダクト
19 吐出口
20 センサ
21 送気ダクト
22 コンプレッサ
23 制御装置
32 溶射ガン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
溶射ブースに設置された溶射装置により被溶射材の表面に溶射皮膜を形成する溶射方法において、
上記溶射ブースのブース内雰囲気の温度及び湿度を検出し、該検出した温度及び湿度に基づいて上記溶射ブースに乾燥エアーを供給して、上記ブース内雰囲気を所望の状態に調整することを特徴とする溶射方法。
【請求項2】
溶射ブースに設置された溶射装置による被溶射材の溶射雰囲気の気体を集塵機により吸引しながら、上記溶射装置により上記被溶射材の表面に溶射皮膜を形成する溶射方法において、
上記集塵機により吸引した気体を上記溶射ブースに供給して循環させることを特徴とする溶射方法。
【請求項3】
溶射ブースに設置された溶射装置による被溶射材の溶射雰囲気の気体を集塵機により吸引しながら、上記溶射装置により上記被溶射材の表面に溶射皮膜を形成する溶射方法において、
上記溶射装置による溶射に先立って、上記溶射雰囲気以外のブース内雰囲気の気体を上記集塵機により吸引することを特徴とする溶射方法。
【請求項4】
上記溶射装置による溶射に先立って上記集塵機により吸引した上記ブース内雰囲気の気体を上記溶射ブースに供給して循環させると共に、上記溶射装置による溶射時に上記集塵機により吸引した上記溶射雰囲気の気体を上記溶射ブースに供給して循環させることを特徴とする請求項3に記載の溶射方法。
【請求項5】
上記集塵機により吸引した上記ブース内雰囲気の気体から、該ブース内雰囲気の温度及び湿度を検出し、該検出した温度及び湿度に基づいて上記溶射ブースに乾燥エアーを供給して、上記溶射装置による溶射に先立って上記ブース内雰囲気を所望の状態に調整することを特徴とする請求項4に記載の溶射方法。
【請求項6】
溶射ブースに設置されて被溶射材の表面に溶射皮膜を形成する溶射装置と、
上記溶射装置による上記被溶射材の溶射雰囲気に吸引口を臨ませた溶射部吸引ダクトと、
上記溶射雰囲気から離れたブース内雰囲気に吸引口を望ませたブース内吸引ダクトと、
上記溶射ブースの外部に設置され、上記溶射部吸引ダクトまたは上記ブース内吸引ダクトを介して上記溶射雰囲気またはブース内雰囲気を吸引する集塵機と、
上記溶射装置の動作に同期して、溶射時には上記溶射部吸引ダクトを上記集塵機に連通接続し、非溶射時には上記ブース内吸引ダクトを上記集塵機に連通接続するダクト切換装置と、
上記集塵機により吸引した気体を上記溶射ブースに供給する循環ダクトと、
上記ブース内雰囲気の温度及び湿度を検出するセンサと、
上記溶射ブースに乾燥エアーを供給するコンプレッサと、
上記センサによる検出結果に基づいて上記コンプレッサの動作を制御する制御装置とを有し、
上記溶射装置による非溶射時は、上記集塵機により上記ブース内吸引ダクトを介して吸引した上記ブース内雰囲気の気体を上記循環ダクトを介して上記溶射ブースに供給して循環させると共に、上記ブース内雰囲気の気体の温度及び湿度を上記センサで検出して、該検出結果に基づいて上記ブース内雰囲気が所望の状態となるように上記制御装置により上記コンプレッサの動作を制御し、上記溶射装置による溶射時は、上記集塵機により上記溶射部吸引ダクトを介して吸引した上記溶射雰囲気の気体を上記循環ダクトを介して上記溶射ブースに供給して循環させることを特徴とする溶射設備。
【請求項7】
上記溶射ブースに対する上記被溶射材のワーク出入扉を、上記溶射ブースの側部の高さ方向ほぼ中央部から上方に設けたことを特徴とする請求項6に記載の溶射設備。

【図1】
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【図2】
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【公開番号】特開2006−257459(P2006−257459A)
【公開日】平成18年9月28日(2006.9.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−73278(P2005−73278)
【出願日】平成17年3月15日(2005.3.15)
【出願人】(000005348)富士重工業株式会社 (3,010)
【Fターム(参考)】