説明

溶接のための装置及び方法

本発明は、アーク溶接トーチ及び溶接位置からフュームガスを抽出する方法に関する。アーク溶接トーチであって、溶接電極と、前記溶接電極と溶接位置の周囲にシールドガスカーテンを導くように適合される少なくとも1つのシールドガス孔とを含む。少なくとも1つのシュラウドガス孔がシールドガス孔から放射状に外側に配置され、排出するシュラウドガスに放射状に外側向きの速度成分を与えるように適合される。フュームガスは、好ましくはシールドガスカーテンとシュラウドガスカーテンの中間の放射状の位置から抽出される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、溶接に関し、特に、フュームガス抽出の効率の向上を可能にする溶接方法と装置に関する。
【背景技術】
【0002】
本明細書を通して先行技術のあらゆる議論は、そのような先行技術が広く知られており、又は当該分野において一般的に周知であることの一部を形成するという自白として考えられるべきではない。
【0003】
溶接は産業の多くの分野において重要な実現技術である。例えば、時に金属不活性ガス(MIG)又は金属活性ガス(MAG)溶接と呼ばれるガス金属アーク溶接(GMAW)は、オーストラリアにおける金属を溶着する溶接全体のおよそ45%を占めている(Kuebler.R.,Selection of Welding Consumables and Processes to Optimise Weld Quality and Productivity,Proceedings of the 53rd WTIA Annual Conference,Darwin,11−13 October 2005)。
【0004】
GMAWにおいて、金属を溶かすために必要な高熱は、消耗電極とワークとの間に生じさせる電気アークによって与えられる。溶接「銃」は電極を案内し、電流を伝導し、溶接部に保護シールドガスを導く。GMAWアークによって生成される高熱は電極の先端を溶かし、この溶けた金属はワークに移送される。この溶けた金属のいくらかは蒸発することがあり、この蒸気は酸化して、蒸気、金属酸化物、ガス、及び他の複合化合物の混合物を含むフュームのプルームを形成することがある。近年の国際的な活動がこの溶接フュームへの露出の潜在的リスクについて強調している(McMillan,G.,International Activity in Health and Safety in Welding − International Institute of Welding,International Conference on Health and Safety in Welding and Allied Processes,Copenhagen,9−11 May 2005)。そして、呼吸域の露出は最小限にされるべきであることが一般的に知られている。
【0005】
GMAWが引き起こす流動場の分析は、それらの構造は以下のことを含む複雑な相互作用に起因していることを示している。
・アーク柱における高温、高速のプラズマ墳流
・溶けた金属の移送、蒸発、及び再凝縮
・アークのすぐ近くにおける危険なガス/フュームの形成
・強制対流によるシールドガス流動の流体力学
・高温ガスによる自然の(浮力による)対流プロセス
【0006】
溶接作業者のフュームの露出を最小限にする最も良い方法の1つは、その発生源の近くでフュームを抽出することである(Wright,et al,Proc.Int.Conf. on Exploiting Welding in Prod.Tech.,The Welding Institute,The Institution of Production Engineers,London,22−24 April(1975))。これは典型的には、溶接トーチそのものに抽出装置を組み込むことを意味している。例えば、米国特許第2,768,278号を参照すると、環状の使い捨ての覆いが直接トーチ上に配置されている。しかし、この装置は覆いの大きさが溶接位置への溶接作業者の視線を制限するため、使用するのが難しい。また、米国特許第5,079,404号を参照すると、溶接トーチのハンドルに配置可能な雁首状の抽出孔が設けられている。この装置もまた、トーチがワーク上で移動される際にフュームを効果的に捕えるために、溶接作業者がアーク上に定期的に孔を再配置しなくてはならないので、比較的使用が難しい。
【0007】
しかし、抽出装置の最も共通した形態は、例えば、米国特許第3,798,409号、米国特許第4,016,398号、国際公開第WO91/07249号パンフレットに記載されているように、外部の同心状のスリーブが溶接フュームを抽出するために溶接トーチに設けられることである。これらの装置では、少しのフュームを取り除くためにも過度の吸引力が要求されるため、不十分であることが分かっている。強い吸引力は溶接部の周囲から必要なシールドガスの覆いを取り除いてしまう。それゆえ、逆に溶接品質に影響し、大気を運び入れ、潜在的にフュームの生成を増加する。さらに、抽出孔の位置が周囲の大気がフュームより優先して抽出されてしまうような位置である。シールドガスの覆いを取り囲む、外部のフューム抽出のスリーブでは不十分である根本的な理由は、溶接トーチの軸に対して垂直にワークを位置するために生じる流動場が、ワークの表面にそって放射状に外側向きのガス流動の形成の原因となることである(ここでは用語「壁面墳流(wall jet)」で呼ばれる)。そして、この壁面墳流は、外部の吸引力によって著しく影響されることはない。この非常に強い吸引力をもってしても、壁面墳流における流動は放射状に外向きに向かったまま残ってしまうことが分かっている。この流動は大部分のフュームをそれと共に運び、その結果、作業者の呼吸域は依然として容認できない高濃度のフュームを含むだろう。
【0008】
さらに最近の変形が米国特許第6,380,515号に記載されており、フューム抽出孔が溶接電極を取り囲み、同心状の不活性ガス供給孔がその抽出孔を取り囲んでいる。この構成はアーク付近の領域に大部分のフュームを閉じ込める助けになり、それゆえこれ以前の先行技術の装置と比べ比較的簡単にフュームを抽出する一方、この構成は不活性ガスの濃度をアーク及び溶融池付近において、周囲の大気によって容認できない低いレベルに薄めてしまう。これは、相対的なシールドガスの流量とフューム抽出の量とは無関係である。
【0009】
フューム抽出のために意図された他の装置は、大規模なフュームの排気を意図しており、抽出点が汚染の発生源から長い距離離れている。例えば、米国特許第4,043,257号を参照すると、ワークの置場のための排出管が設けられおり、それは、放射状に外向きに大気の流れを生成するためのその入口を取り囲む、円周状に放射状に突出した開口を有している。しかし、GMAWトーチへ適合したこの装置の縮小版では、フューム抽出できず、同時に大気汚染からアークと溶融池の十分な保護ができない。また、そのような開口は溶接位置への溶接作業者の視線を激しく制限してしまう。
【0010】
GMAWで用いられる溶接電極は、連続したワイヤであり、典型的には高純度である。このワイヤは安定した給電、電気伝導性の助けとなり、錆びから電極表面を保護する手段として、銅でメッキされても良い。自己遮蔽されるフラックス入りアーク溶接(SSFCAW)は操作と装備品に関して言えばGMAWと同様である。しかし、これらの溶接処理の主な違いは電極に関連する。その名前が示しているように、SSFCAWはフラックスの芯を含む管から成る電極を利用するものであり、その電極は連続したワイヤの形態である。このフラックスの芯はアークにおいて外部のシールドガスを必要とせず必要な遮蔽を生成する。自己遮蔽されるフラックス入りワイヤは垂直方向や上方位置のような不利な溶接位置に関わらず良好な溶接操作性を確実にする。このような電極は「自己遮蔽する(self−shielding)」フラックス入り電極、もしくは「イン−エア(in−air)」溶接電極としても知られている。
【0011】
上記に加えて、この自己遮蔽する、自己遮蔽されるフラックス入り電極は典型的には、冷却する際に溶接金属の更なる保護のためにスラグ被覆を生成するように意図される。このスラグはその後、手動でチッピングハンマーもしくは同類の方法で取り除かれる。自己遮蔽する方法の主な利点は外部の遮蔽器具がないために、その操作が多少単純化されることである。
【0012】
この芯内のガスを形成する成分からその遮蔽能力を得るのに加え、自己遮蔽される電極は典型的にはその芯内に高レベルに脱酸素及び脱窒素した合金を含む。フラックスの芯の構成は特定の利用に適した電極を提供するために多様化されており、典型的なフラックスの成分は以下のものを含む。
・アルミニウム、マグネシウム、チタン、ジルコニウム、リチウム、及びカルシウムのような脱酸素剤。
・カルシウム、カリウム、シリコン、又はナトリウムの酸化物のようなスラグ形成剤が、融解した溶融池を大気から保護するために加えられる。
・元素状態のカリウムやナトリウムのようなアーク安定剤は、安定したアークを生成し、スパッタを低減するのに役立つ。
・モリブデン、クロム、炭素、マンガン、ニッケル、及びバナジウムのような合金成分は強度、延性、硬度、及び靱性を増加するのに使用される。
・ホタル石、石灰石のような気化剤は、通常、シールドガスを形成するのに使用される。
【0013】
典型的な消耗自己遮蔽電極が米国特許第3,805,016号に開示されており、フラックスに炭酸塩が含まれている。この炭酸塩は溶接処理中に熱によって酸化物とCOガスに分解される。COガスはアークを保護する雰囲気としての役割を果たす。似たような電極が米国特許第3,539,765号に開示されている。
【0014】
他の典型的な電極が米国特許第4,833,296号に開示されており、金属アルミニウムがフラックス中に入れられ、アークと溶融池中に窒素と酸素の捕捉剤を供給することによって自己遮蔽の特徴を向上させるのに用いられている。似たような電極が米国特許第5,365,036号、米国特許第4,072,845号、米国特許第4,804,818号に開示されている。
【0015】
さらに、電極が英国特許第1,123,926号に記載されており、電極が1つ以上のアルカリ金属、アルカリ土類金属、マグネシウム若しくはアルミニウムのフッ化物若しくは塩化物、又は1つ以上の混合フッ化物若しくは塩化物を含んでいる。これらの電極は大いに脱酸素され、電極が外部にシールドガスを供給せずに使用するように意図されることを示している。似たような電極が米国特許第3,566,073号に開示されている。
【0016】
自己遮蔽溶接電極のどのタイプであっても、従来のフューム抽出システムの存在にもかかわらず、溶接者の周囲の雰囲気を汚染する可能性のある使用中に溶接フュームが生成される。全ての場合において、自己遮蔽されたFCAWはGMAW処理と比べ増加されたフュームを生成すると考えられている。
【0017】
ガス−タングステンアーク溶接(GTAW)(時に、タングステン−不活性ガス(TIG)溶接と呼ばれる)やプラズマアーク溶接(PAW)は非消耗タングステン電極と金属との間で確立されるアークでこれらを加熱することによって金属を溶かして取り付ける溶接方法である。GTAWにおいて、タングステン電極を保持するトーチは、過熱を抑えるために水冷され、電力源の一方の端子に接続される。そして、ワークはこの電力源と他方の端子で接続される。また、このトーチは大気からそれを保護するために、トーチ上のノズルによって溶融池へ向けて導かれるシールドガスの発生源に接続される。
【0018】
PAWはGTAWと同様であるが、前記のシールドガスに加え、トーチはオリフィスを形成する追加のガスノズルを含んでいる。そして、追加の整形ガス状流動(時に「オリフィスガス流動(orifice gas flow)」と呼ばれる)はこのオリフィスを通じて導かれる。この整形ガスはプラズマとしてそのノズル内で同じオリフィスを通過し、ノズルの収束作用によってプラズマアークを圧縮する役割を果たす。このタングステン電極はGTAWにおいてシールドガスノズルからはみ出る一方で、PAWにおいて、ガスノズル内のオリフィスの内側に引っ込めて配置される。
【0019】
本発明の目的は、上記した先行技術の欠点の少なくとも1つを克服若しくは改善し、又は有益な代替物を提供することである。
【発明の開示】
【0020】
本発明の第1の態様によれば、溶接電極と、前記溶接電極と溶接位置の周囲にシールドガスカーテンを導くように適合される少なくとも1つのシールドガス孔と、前記シールドガス孔から放射状に外側に配置され、排出するシュラウドガスに放射状に外側向きの速度成分を与えるように適合される少なくとも1つのシュラウドガス孔とを有することを特徴とするアーク溶接トーチが提供される。
【0021】
本発明の第2の態様によれば、アークと溶接部の周囲に用いられるアーク遮蔽ガスカーテンを生成するように適合される自己遮蔽溶接電極と、前記溶接電極から放射状に外側に配置され、排出するシュラウドガスに放射状に外側向きの速度成分を与えるように適合される少なくとも1つのシュラウドガス孔とを有することを特徴とする自己遮蔽アーク溶接処理に用いられるアーク溶接トーチが提供される。
【0022】
出願人らは、本発明の前記トーチは溶接位置のフュームの抽出を驚くほどに改善するということを見出した。GMAWへの適応のためには、前記溶接電極は好ましくは消耗溶接電極の形態の金属電極である。GTAW及びPAWへの適応のためには、前記溶接電極はタングステン電極(非消耗)の形態の金属電極である。しかし、SSFCAWへの適応のためには、溶接電極は使用中にアークと溶接部の周囲にアーク遮蔽ガスカーテンを生成するように適合される消耗自己遮蔽溶接電極の形態の金属電極である。
【0023】
前記シュラウドガス孔は、好ましくは前記排出するシュラウドガスを実質的に放射状に外側の方向、例えば、トーチ本体の軸に対して概して90度、に導くように適合される。しかし、この排出するシュラウドガスはトーチ本体の軸に関して典型的には、約30度から約90度の間で導かれても良いと理解されるであろう。前記トーチは、好ましくは内側のスリーブと外側のスリーブを含み、前記シュラウドガスの通路をそれらの間に定める。また、前記シュラウドガス孔はその通路の端部、又はその近くに配置される。好ましくは、内側のスリーブと外側のスリーブの両方は前記トーチを取り囲む。
【0024】
前記トーチは典型的には前記溶接位置を囲む領域からのフュームガスを受け入れるように適合されるフュームガス抽出孔を含む。前記フュームガス抽出孔は、理想的には(a)前記シールドガス孔(もしあれば)又は前記溶接電極と(b)前記シュラウドガス孔との中間に放射状に配置される。前記内側のスリーブと前記トーチの本体又は胴体部は、フュームガスの抽出のための抽出路をそれらの間に定める。好ましくは、前記フュームガス抽出孔は抽出路の端部に配置される。1つの実施形態において、前記シュラウドガス孔と前記シールドガス孔は前記溶接電極の周りに均等に配置されるという関係で同心で同軸に配置される。
【0025】
前記シュラウドガス孔及び前記シールドガス孔はどちらも好ましくは横断面において円形又は環状形である。しかし、完全に円又は環である必要はなく、一連の個々の孔が、例えば円の中に配置されていても良い。
【0026】
前記シュラウドガス及び前記シールドガスがないと、この流動(壁面墳流)は放射状に外向きの方向に流れ続けるが、驚くべきことに、出願人らはシュラウドガスへ放射状の外向きの速度成分を与えることにより、フュームが前記トーチから抽出される際に、結果として生じる壁面墳流は実質的に抑えられ、前記シュラウドガスによって覆われる前記溶融池の周囲の空間内では、溶接されるワークの表面に沿ったガス流動の方向は放射状に内側であるということを見出した。言い換えれば、前記シュラウドガスカーテンは前記溶接位置の周囲の覆いを形成する結果となる。この排出するシュラウドガスは溶接トーチ及び溶接位置の近くに「空気力学的なフランジ(aerodynamic flange)」を形成する「放射状ガス墳流(radial gas jet)」として考えられる。結果として、前記フュームガス抽出孔を通じてフュームの抽出効率の向上が達成される。好ましい実施形態において、前記シュラウドガス孔は前記排出するシュラウドガスが前記トーチから放出する比較的薄い「カーテン(curtain)」として生成されるように適合される。しかし、代替の実施形態において、前記シュラウドガス孔は排出するシュラウドガスが前記トーチから放出するガスの、拡大する「ウェッジ(wedge)」として生成されるように適合される。
【0027】
1つの実施形態において、少なくとも、前記シュラウドガス孔は溶接作業者がフュームの抽出効率に微調整を加えるのを可能にするため、前記シールドガスに関して軸方向に調整可能である。また、前記トーチはシールドガス、シュラウドガスの流量、及びフュームガスの抽出量を制御するための制御手段を含んでも良い。
【0028】
SSFCAWへの適応のためには、前記自己遮蔽溶接電極は好ましくは消耗フラックス入りタイプの電極である。好ましい実施形態において、このフラックスは炭酸塩を含み、また前記アーク遮蔽ガスカーテンはCOを含む。この炭酸塩は、CaCO、BaCO、MnCO、MgCO、SrCO、及びそれらの混合物から成る群から選択されて良い。また、このフラックスはCaFのような少なくとも1つのアルカリ土類フッ化物を含んでも良い。さらに、このフラックスはアルミニウム、マグネシウム、チタン、ジルコニウム、リチウム、及びカルシウムのうち少なくとも1つの元素を含んでも良い。
【0029】
本発明の3番目の態様によれば、電気アークが溶接電極から溶接位置に届けられ、前記溶接位置からフュームを抽出する方法であって、前記方法は、前記溶接電極と前記溶接位置の周囲にシールドガスカーテンを生成し、前記溶接電極から放射状に外側に配置されるシュラウドガスカーテンを生成し、前記シュラウドガスカーテンの放射状の内側の位置からフュームガスを抽出し、前記シュラウドガスカーテンは放射状に外側向きの速度成分を含むことを特徴とするフュームを抽出する方法を提供する。
【0030】
1つの実施形態において、前記フュームガスは前記シールドガスカーテンと前記シュラウドガスカーテンの中間の放射状の位置から抽出される。しかし、代替の実施形態において、特にPAWへの適応のため、前記フュームガスは前記シールドガスと前記溶接電極の中間の放射状の位置から抽出される。
【0031】
上述したように、GMAWへの適応のためには、前記溶接電極は好ましくは消耗溶接電極の形態の金属電極である。また、GTAW及びPAWへの適応のためには、前記溶接電極は(非消耗)タングステン電極の形態の金属電極である。SSFCAWへの適応のためには、消耗自己遮蔽溶接電極の形態の前記溶接電極が、使用中に前記アークと前記溶接位置の周囲にアーク遮蔽ガスカーテンを生成するように適合される。前記シールドガス及び/又は前記シュラウドガスは好ましくは、窒素、ヘリウム、アルゴン、二酸化炭素、及びそれらの混合物から成る群から選択される。市販で入手できるどのようなシールドガスでも、選択された溶接処理に適するのであれば、前記シュラウドガス、または前記シールドガスのどちらとしてでも使用されて良い。このシールドガスは大気の汚染から溶融池の十分な遮蔽を提供するので、圧縮空気が一部の環境下で前記シュラウドガスとして用いられても良い。
【0032】
前記シールドガス流量は、約5〜50L/min、前記シュラウドガス流量は約1〜50L/minとすることができる。フュームは好ましくは熱源、又はシールドガスカーテン(又は自己遮蔽溶接電極)と前記シュラウドガスカーテンとの中間の位置から、約5〜50L/minの流量で抽出される。典型的には、フュームガスの抽出量は、シールドガスの流量と同様であり、そして、驚いたことにそれは出願人らが発見したのであるが、同程度のフュームの抽出を提供するための従来のフューム抽出システムよりも少ない桁の大きさである。好ましくは、前記シュラウドガスの流量とシールドガスの流量の比率は約2:1から約3:1であるように選択される。好ましくは、前記フュームガスの抽出量とシールドガスの流量の比率は約1:1である。
【0033】
前記シュラウドガスと前記シールドガスは、典型的には室温で供給されるが、この温度は不可欠というわけではない。しかし、1つの実施形態において、前記シュラウドガス及び/又は前記シールドガスはフュームガスの凝縮を促進するため十分に冷却される。冷却はこのシュラウド/シールドガスの冷却によって、又はこのシュラウド/シールドガス孔を出るシュラウド/シールドガスの断熱的な膨張によって成されても良い。しかし、ガス冷却のどのような方法でも適用できることが理解されるであろう。この冷却は金属蒸気のごく小さい微粒子状の物質への凝縮を促進し、それによって抽出の効率の向上が可能となる。さらに、このシュラウド/シールドガスの冷却は排出ガスの温度を都合良く減少させる。他の実施形態において、少なくとも前記シュラウドガス及び/又は前記シールドガスの一部は、溶接フュームガスと反応する成分、及び/又は紫外線吸収成分を含む。
【0034】
本発明は、溶接電極と、前記溶接電極と溶接位置の周囲にシールドガスカーテンを導くように適合される少なくとも1つのシールドガス孔とを有し、前記シールドガス孔から放射状に外側に配置され、排出するシュラウドガスに放射状に外側向きの速度成分を与えるように適合される少なくとも1つのシュラウドガス孔とを有することを含むアーク溶接トーチへの改善を提供する。
【0035】
文脈が明確に他に必要としない限り、明細書、特許請求の範囲を通して、用語「含む(comprise)」及び「含んでいる(comprising)」は、排他的、及び網羅的な意味とは対照的に包括的な意味で、すなわち「含む(including)、限定はされないが(but not limited to)」という意味で解釈されるべきである。
【0036】
別の操作例において、及び他に示唆する箇所において、この明細書で使用される、成分及び反応の状態の量を表す全ての数値は、全ての実例において用語「約(about)」によって修正するように理解されるべきである。どの実施例も本発明の範囲を制限することを意図されることはない。以下、及び他に示唆する箇所で、「%」は「重量%」を意味し、「比率」は「重量比」を意味し、「部」は「重量の部」を意味する。
【0037】
本発明の明細書、及び特許請求の範囲において、下記の専門用語は、以下に示す定義に従って使用される。また、この明細書で使用されるそれらの専門用語は本発明の特定の実施形態を記載する目的のためだけであって、限定することが意図されることはないと理解されるべきである。他に定義されない限り、この明細書で使用される全ての技術的、科学的用語は本発明に関連する当業者によって通常理解されるのと同様の意味を持つ。
【0038】
用語「溶接位置(welding site)」、及び「溶接域(welding zone)」は、ここでは交換して使用されても良い。また、同様に、用語「フューム(fume)」、及び「フュームガス(fume gas)」は、ここでは交換して使用されても良い。フュームガスは、溶接処理から生ずるガス状の生成物を表わすだけでなく、金属粉のような、同様に生成されるごく微粒子状の物質も表わすと意図される。また、ここで同様に議論されるような用語「溶接(welding)」は、2つの金属を互いにつなげることというよりむしろ溶接金属が表面の欠陥を修復するために堆積される処理である「硬く表面を平らにする(hard surfacing)」ということも含む。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
ここでは、同じ特徴が示される図には、最後まで同じ引用数字が与えられた。さらに、ガス流動を示す図中の矢印は、ガス流動のレジームの簡略化された形式を表わすことが理解されるであろう。
【0040】
初めに、図1を参照すると、消耗溶接電極3から溶接位置2に熱を供給するように適合される熱源を含んでいる従来のGMAWトーチ1が示されている。GMAW処理において、この溶接電極3は、一般的にコンタクトチューブ5によって案内される連続した溶接ワイヤ4である。また、シールドガス孔6はシールドガスの通路として提供される。このシールドガス孔6はシールドガスカーテン7が電極3をしっかりと取り囲むように電極3と溶接位置2の周囲にシールドガスカーテン7を導くように適合される。この溶接ワイヤ4はフラックスの芯(不図示)を含んで良く、シールドガスカーテン7と共に、又はシールドガスカーテン7なしに使用されることができる。このシールドガス孔6はシールドガスの適切な発生源への取り付けに適合される上流シールドガス注入口8を含む。また、GMAWトーチ1は電流導線9を含む。
【0041】
使用の際、溶接アーク10は溶接電極3の先端11と溶接されるワーク12との間で生じる。その結果として、溶けた溶接金属が溶接電極3から溶接されるワーク12上に形成する溶融池13へ移送される。高温環境のため、対流が作り出される。従来のガスシールド溶接処理において、図1に良く示されているように、出願人らは、強制された対流は溶接されるワーク12の水平表面に沿って浮揚性のある「壁面墳流」を生成し、そして、墳流は溶接トーチ1から外側へ広がり、浮揚性によって、例えば、自然の対流はフュームを多く含む熱によるプルーム14が形成される原因になるということを見出した。
【0042】
図1に示される従来のGMAWトーチは、本発明によって図2に示されるように適合される。説明すると、外側のスリーブ15は溶接電極3から放射状に外側に向かって一定間隔に配置され、シュラウドガス16の通路として提供される。この外側のスリーブ15は排出するシュラウドガス16に放射状に外側向きの速度成分を与えるように適合されるシュラウドガス孔17(典型的には円形状)内で終端する。好ましくは、シュラウドガス孔17は実質的に放射状に外側方向に排出するシュラウドガスカーテン16を導くためにトーチ18の縦軸に対して放射状に外側に向いており、それによって溶接位置2の近くに「空気力学的なフランジ」を形成する。しかし、他の実施形態において、シュラウドガス孔17はトーチ18の縦軸に対して約45〜90度の方に向いている。この外側のスリーブ15は好ましくはトーチ18を取り囲む。上流シュラウドガス孔注入口19は、シュラウドガス孔17を設けるためシュラウドガスの適切な発生源への取り付けに適合されるように設けられる。シュラウドガス孔17は溶接作業者のために「視線」を制限しないようにするためにコンタクトチューブ5の末端から約1cmの桁での距離で軸方向に上方に配置される。
【0043】
また同様に、内側のスリーブ20は、この内側のスリーブ20とトーチ18の本体又は胴体部21との間にフュームガス抽出路を定めるために設けられても良い。この抽出路は溶接位置2を取り囲む領域からフュームガスを受け入れるように適合されたフュームガス抽出孔22での末端で終端する。この抽出孔22はシールドガス孔6とシュラウドガス孔17との中間に放射状に配置される。このフュームガスは下流フュームガス抽出の排出口23を通じて、抽出の適切な発生源(典型的には吸引力の発生源、例えばポンプなど)へその孔を接続することによってフューム抽出孔22を通って抽出されても良い。
【0044】
溶接位置2からフュームを抽出する方法は、まず電極3と溶接位置2の周囲にシールドガスカーテン7を生成する工程を含む。その後、シュラウドガスカーテン16はシールドガスカーテン7から放射状に外側の位置で生成され、実質的に放射状に外側の方向に導かれる。その後、フュームガスはシールドガスカーテン7とシュラウドガスカーテン16それぞれの中間の放射状の位置から抽出される。その後、典型的には流動制御の意味での形態における制御手段(不図示)は、シュラウドガス孔とシールドガス孔の1つ又は両方の流量を制御し、フュームガス抽出孔の抽出量を制御するために使用される。フュームガスの抽出量は、溶接アークの中断が最小限であり、過度の量の周囲の大気が溶接部付近で溶接アーク10を吸い込むことがないように容易に選択されることが可能である。また、アーク溶接トーチ18と溶接されるワーク12の間の正確な軸上の距離はフューム抽出を最適化するように調整されて良い。その後、アーク溶接トーチ18は溶接作業のために使用可能となる。
【0045】
ここで、図3を参照すると、本発明によって適合される、連続し、消耗する、自己遮蔽フラックス入りタイプの溶接電極25を用いたトーチ24が示されている。操作の際、溶接電極3の先端11のフラックスの芯は溶接電極3と溶接域2の周囲にアーク遮蔽ガスカーテン26を形成するガスを生成する。この溶接電極フラックスは金属炭酸塩を含み、それによってアーク遮蔽ガスカーテン26中にCOを供給する。この炭酸塩は、CaCO、BaCO、MnCO、MgCO、SrCO、及びそれらの混合物から成る群から選択されて良い。また、このフラックスは少なくとも1つのアルカリ土類フッ化物を含み、このアルカリ土類フッ化物はCaF(ホタル石)であって良い。また、脱酸のためのアルミニウム、マグネシウム、チタン、ジルコニウム、リチウム、及びカルシウム、及び/又は溶接部の脱窒したもののうち少なくとも1つの元素を含んでも良い。この図において、溶接電極3はアーク遮蔽ガスカーテン26を提供するので前図のシールドガス孔が「取り除かれ」ている。しかし、シールドガス孔は溶接位置2の追加の遮蔽を提供するために使用されることもできる。また、トーチ24はその末端にフュームガス抽出孔22とフュームガス排出口23を持つ。図2に示したトーチと同様に、シュラウドガスの流動は注入口19へ供給され、トーチ24の末端でシュラウドガス17から出てくる。ガス孔17の構成と放射状に外側向きの速度成分を持つシュラウドガスの流動を提供するためのその操作は基本的に図2に示されるトーチ18と同様である。
【0046】
非消耗タングステン溶接電極28を含んでいるGTAWにおいて使用する溶接トーチ27が図4に示されている。また、PAWトーチ30が図5に示されている。操作の際、溶接トーチ27はタングステン電極28の先端11と溶接されるワーク12との間に溶接部13を熱するための電気アーク10を発する。しかし、溶接トーチ30は溶接されるワーク12へ溶接部13を熱するためのプラズマ31を発する。このトーチ30は、図5に示されるように、プラズマ31をごく小さい墳流に収縮するために適合されるオリフィスガス34、又はその形成を提供するためのオリフィス33を定義するガスノズル32を含む。このガスノズル32はオリフィスガス(同様に、ここではシールドガスとも呼ばれる)又はその形成に適する発生源への取り付けに適合される上流ガス注入口35を含む。図4に示されるトーチ27はシールドガス7の通路のためのシールドガス孔6を含む。溶接トーチ30は図2に示すトーチに対応した孔や排出口と同様のフュームガス抽出孔22とフュームガス排出口23を含む。一般的に、シュラウドガス孔17の使用によってもたらされるフュームガスの抽出の操作及びガス流動のレジームは、図2に示されるトーチに対応する操作とガス流動のレジームに相似する。
【0047】
再び図2を参照すると、ガス金属アーク溶接処理中に、電極4の先端11は典型的には、溶接されるワーク12の表面から上方にかなり大きい距離で保持されている。従って、シュラウドガスカーテン16と溶接されるワーク12の表面に沿って進む「壁面墳流」との間にかなり大きい間隔がある。シュラウドガスカーテン16それ自体は溶接プルームの発生源ではなく、むしろ、出願人らは、それが溶接アーク10から離れて取り囲んでいる周辺領域へプルームを排出する溶接操作の傾向を減らすということを見出した。理論によって拘束されたくはないが、出願人らは、シュラウドガスカーテン16は実質的に「壁面墳流」中の流動の構造を変え、そしてその構造は、壁面墳流の向きはここでは先行技術の装置と比較して反対となり、トーチの軸の内側方向に放射状に導かれると考えた。それゆえ、この例示されたアーク溶接トーチは、溶接位置2のすぐ近くの比較的狭い領域にフュームガスを閉じ込め、この領域からフュームガス抽出孔22によってフュームガスが効率的に抽出されるという結果となる。さらに、「壁面墳流」における流動方向の逆転のために、シールドガス7の遮蔽効率が改善されるということが理解されるであろう。
【0048】
シュラウドガス16及び/又はシールドガス7は、好ましくは、窒素、ヘリウム、アルゴン、二酸化炭素、及びそれらの混合物(また、この混合物は、例えば小さい割合の酸素を含んでも良い)から成る群から選択される。しかし、シュラウドガス16は溶接部のすぐ近くに入っていかないので、圧縮空気であっても良い。シュラウドガス16とシールドガス7の流量は、典型的には、約1〜50L/minであり、フュームガスは、典型的には、約5〜50L/minの流量で抽出される。
【0049】
理想的には、この例示された溶接トーチはトーチが垂直でワークが水平であるような、すなわちトーチがワークに対して垂直であるような溶接操作で使用される。しかし、この例示された溶接トーチはワークに対して垂直でない角度を持って保持される場合であっても実質的にフュームを抽出すると理解されるであろう。
【0050】
シュラウドガス孔17は溶接作業者がフュームの抽出を最大限にするためトーチに微調整を加えるため、軸方向に調整可能としても良い。他の実施形態において、シールドガス孔6、シュラウドガス孔17、及びフュームガス抽出孔22の1つ以上は複数の補助孔(不図示)を含んでも良い。
【0051】
この例示した装置はフュームの抽出の効率を比較的に改善するということが理解されるであろう。
【実施例】
【0052】
1つの実施例において、本発明に従って適合されたGMAWトーチを1.2mmのオートクラフト LW1(Autocraft LW1) 溶接ワイヤ/電極と、Argoshield(登録商標) ユニバーサル(Universal)ガスを含むように構成した。試験条件は、「高いフューム」を供給するように、すなわち32ボルトで250アンペアを選択した。溶接トーチを、ワークからトーチノズルまでが22mmで、ワークからシュラウドガスカーテン(放射状の墳流)が22mm及び32mm(22mmは効率を最大とし、32mmは溶融池の視界を最大にする)の「スタンドオフ(stand off)」の距離を与えるように構成した。また、溶接ワイヤ/電極からシュラウドガスカーテン(放射状の噴射)の排出口への半径方向の距離を40mmとして構成した。22mmの放射状の墳流スタンドオフで、85%以上のフュームの除去が達成された。
【0053】
他の実施例において、抽出量を10L/minで一定に保ち、シュラウドガスの流量を3つの異なるシールドガスの流量、すなわち25、30、35L/minに対して変化させて溶接試験を実施した。図6に示されるように、抽出効率をシュラウドガスの流量と抽出量との比率の関数としてプロットした。本発明の装置を用いた場合と用いない場合で溶接することにより抽出効率を標準のフュームボックス内で測定した。フィルター上に集められたフュームの重量を比較し、効率を以下の比率で表わした。
(本発明の装置を用いない場合のフュームの総重量−本発明の装置を用いた場合のフュームの総重量)/(本発明の装置を用いない場合のフュームの総重量)
シュラウドガスの流動なしにフュームの一部を抽出することは可能ではあるが、明らかに、シュラウドガスを組み込むことにより抽出効率を著しく改善することが可能である。
【0054】
この実験データ、溶接処理のシミュレーション、及び観察から、最適なシュラウドガスの流量はシールドガスの流量との関数であり、好ましくは約2:1から約3:1であると思われる。さらに、好ましくは、フュームガスはシールドガスの追加量と同一の量で抽出される。すなわち、シールドガス(フュームガスを運ぶ)のかなりの部分がフュームガス抽出孔から抽出され、シュラウドガスはほとんど大気中に失われる。例えば、1つの典型的な本発明の装置の設定として、30L/minのシュラウドガスの流量、15L/minのシールドガスの流量、15L/minのフュームガスの抽出量とをなすように設定される。しかし、他の流量/抽出量の構成でも、同様に適すると理解されよう。
【0055】
本発明では特定の実施例に関して記載されたが、当業者により他の多数の形態で具体化されても良いことが理解されよう。
【0056】
本発明の好ましい実施形態は、以下の付随する図に関して、例としてのみで記載される。
【図面の簡単な説明】
【0057】
【図1】先行技術の溶接装置の部分的に一部を切り取った側面図である。
【図2】GMAWに適合される本発明に係る装置の側面断面図である。
【図3】SSFCAWに適合される本発明に係る装置の側面断面図である。
【図4】GTAWに適合される本発明に係る装置の側面断面図である。
【図5】PAWに適合される本発明に係る装置の側面断面図である。
【図6】GMAWへの適応において、シュラウドガスの流量と抽出量の比率に対する抽出効率のグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
アーク溶接トーチであって、溶接電極と、前記溶接電極と溶接位置の周囲にシールドガスカーテンを導くように適合される少なくとも1つのシールドガス孔と、前記シールドガス孔から放射状に外側に配置され、排出するシュラウドガスに放射状に外側向きの速度成分を与えるように適合される少なくとも1つのシュラウドガス孔とを有することを特徴とするアーク溶接トーチ。
【請求項2】
自己遮蔽アーク溶接処理に用いられるアーク溶接トーチであって、アークと溶接部の周囲に用いられるアーク遮蔽ガスカーテンを生成するように適合される自己遮蔽溶接電極と、前記溶接電極から放射状に外側に配置され、排出するシュラウドガスに放射状に外側向きの速度成分を与えるように適合される少なくとも1つのシュラウドガス孔とを有することを特徴とするアーク溶接トーチ。
【請求項3】
前記溶接電極はGMAWへの適用のための消耗溶接電極であることを特徴とする請求項1に記載のアーク溶接トーチ。
【請求項4】
前記溶接電極はGTAW又はPAWへの適応のためのタングステン電極であることを特徴とする請求項1に記載のトーチ。
【請求項5】
前記自己遮蔽溶接電極は消耗フラックス入り電極であることを特徴とする請求項2に記載のアーク溶接トーチ。
【請求項6】
前記フラックスは炭酸塩を含み、前記アーク遮蔽ガスカーテンはCOを含むことを特徴とする請求項5に記載のアーク溶接トーチ。
【請求項7】
前記炭酸塩は、CaCO、BaCO、MnCO、MgCO、SrCO、及びそれらの混合物から成る群から選択されることを特徴とする請求項6に記載のアーク溶接トーチ。
【請求項8】
前記フラックスは少なくとも1つのアルカリ土類フッ化物を含むことを特徴とする請求項6又は請求項7に記載のアーク溶接トーチ。
【請求項9】
前記アルカリ土類フッ化物はCaFであることを特徴とする請求項8に記載のアーク溶接トーチ。
【請求項10】
前記フラックスはアルミニウム、マグネシウム、チタン、ジルコニウム、リチウム、及びカルシウムのうち少なくとも1つの元素を含むことを特徴とする請求項6乃至請求項9のいずれか1項に記載のアーク溶接トーチ。
【請求項11】
前記シュラウドガス孔は前記排出するシュラウドガスを実質的に放射状に外側の方向に導くように適合されることを特徴とする請求項1乃至請求項10のいずれか1項に記載のアーク溶接トーチ。
【請求項12】
前記トーチはシュラウドガスの通路を定めるために前記トーチを取り囲む外側のスリーブを有し、前記シュラウドガス孔は前記外側のスリーブの塞がれていない端部、又はその近くに配置されることを特徴とする請求項1乃至請求項11のいずれか1項に記載のアーク溶接トーチ。
【請求項13】
前記トーチは前記溶接位置を囲む領域からのフュームガスを受け入れるように適合されるフュームガス抽出孔を含むことを特徴とする請求項1乃至請求項12のいずれか1項に記載のアーク溶接トーチ。
【請求項14】
前記フュームガス抽出孔は前記シュラウドガス孔の放射状に内側に配置されることを特徴とする請求項13に記載のアーク溶接トーチ。
【請求項15】
前記フュームガス抽出孔は前記シールドガス孔と前記シュラウドガス孔との中間に放射状に配置されることを特徴とする請求項13又は請求項14に記載のアーク溶接トーチ。
【請求項16】
前記フュームガス抽出孔は前記シールドガス孔と前記溶接電極との中間に放射状に配置されることを特徴とする請求項13又は請求項14に記載のアーク溶接トーチ。
【請求項17】
前記トーチはフュームガス抽出の通路を定めるために前記トーチを取り囲む内側のスリーブを有し、前記フュームガス抽出孔は前記内側のスリーブの塞がれていない端部、又はその近くに配置されることを特徴とする請求項13乃至請求項16のいずれか1項に記載のアーク溶接トーチ。
【請求項18】
電気アークが溶接電極から溶接位置に届けられ、前記溶接位置からフュームを抽出する方法であって、前記溶接電極と前記溶接位置の周囲にシールドガスカーテンを生成し、前記溶接電極から放射状に外側に配置されるシュラウドガスカーテンを生成し、前記シュラウドガスカーテンの放射状の内側の位置からフュームガスを抽出し、前記シュラウドガスカーテンは放射状に外側向きの速度成分を含むことを特徴とするフュームを抽出する方法。
【請求項19】
前記フュームガスは前記シールドガスカーテンと前記シュラウドガスカーテンの中間の放射状の位置から抽出されることを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項20】
前記フュームガスは前記シールドガスカーテンと前記溶接電極の中間の放射状の位置から抽出されることを特徴とする請求項18に記載の方法。
【請求項21】
前記溶接電極はGMAWへの適応のための消耗金属溶接電極であることを特徴とする請求項18乃至請求項20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項22】
前記溶接電極はGTAW又はPAWへの適応のためのタングステン電極であることを特徴とする請求項18乃至請求項20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項23】
前記溶接電極はSSFCAWへの適応に用いられる際に、前記アークと前記溶接位置の周囲にアーク遮蔽ガスカーテンを生成するように適合される消耗自己遮蔽溶接電極の形態であることを特徴とする請求項18乃至請求項20のいずれか1項に記載の方法。
【請求項24】
前記自己遮蔽溶溶接電極は消耗フラックス入り電極であることを特徴とする請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記シュラウドガスは実質的に放射状に外側の方向に導かれることを特徴とする請求項18乃至請求項24のいずれか1項に記載の方法。
【請求項26】
前記フュームガスは前記溶接位置を囲む領域からのフュームガスを受け入れるように適合されるフュームガス抽出孔を通じて抽出されることを特徴とする請求項18乃至請求項25のいずれか1項に記載の方法。
【請求項27】
前記シュラウドガスの流量とシールドガスの流量の比率は約2:1から約3:1であるように選択されることを特徴とする請求項18乃至請求項26のいずれか1項に記載の方法。
【請求項28】
前記フュームガスの抽出量とシールドガスの流量の比率は約1:1であることを特徴とする請求項18乃至請求項27のいずれか1項に記載の方法。



【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2009−530112(P2009−530112A)
【公表日】平成21年8月27日(2009.8.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−500660(P2009−500660)
【出願日】平成19年3月21日(2007.3.21)
【国際出願番号】PCT/AU2007/000258
【国際公開番号】WO2007/106925
【国際公開日】平成19年9月27日(2007.9.27)
【出願人】(508284595)ビーオーシー リミテッド (2)
【出願人】(505287036)ユニバーシティー オブ ウロンゴング (3)
【Fターム(参考)】