説明

溶接後工程の制御方法

【課題】溶接プロセスおよび特に必要な保守手順、並びに、それらをより効率的にする。
【解決手段】
本発明のガスノズル2のプロセス制御の方法では、溶接プロセスの保守手順が所定の時間またはセンサによって検出されるプロセスパラメータに基づいて開始され、前記保守手順の間に、前記溶接トーチ6が保守位置に配置され、そして、前記ガスノズル2と前記溶接トーチ6の内部挿入物28との間の接続が前記溶接トーチ6の固定部材30の大きさの空間的減少によって解除され、前記ガスノズル2が前記溶接トーチ6から取り外され、続いて、他のガスノズル2が前記溶接トーチ6上に配置され、特に気密な接続が前記ガスノズル2と前記溶接トーチ6の前記内部挿入物28との間に、前記固定部材30の空間的膨張により提供される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、本発明は、制御装置と、ロボットアームの上に設置され、前記溶接トーチが溶融ワイヤの出口領域にガスノズルを備える溶接トーチとを有するロボット溶接システムのプロセス制御の方法、特に、レーザ複合式溶接のための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
溶融電極のための溶接装置および溶接プロセス、例えば、MIG/MAG溶接プロセスが従来技術から公知である。レーザ光線を使用する溶接のためのシステムおよびプロセスも公知である。レーザ複合式プロセスとして公知の、適切な装置を使用するこれらのプロセスの組み合わせもまた公知であり、広く使用されている。
【0003】
例えば、従来のレーザ複合式溶接プロセスは、WO02/40211およびWO01/38038より公知である。しかしながら、これらの溶接装置は、ガスノズルが、トーチ距離、突出長さなどに関する、複数の溶接ワイヤの使用により発生する特別な条件について考慮されていないために、第1に、マルチワイヤ溶接トーチを使用するときにいくつかの欠点を有する。これは溶接プロセス制御に問題を生じさせるかもしれない。
【0004】
そのような公知の溶接装置は、コンピュータ制御ロボット溶接システムの形態の自動工業生産に集中的に使用される。そのようなシステムにおいて、溶接トーチは、ロボットアームにより工作物の上の接続点に沿って案内される。溶接プロセスは、溶接スパッタ、溶接ワイヤと接触チューブとの間の接触溶接等に起因して、溶接ワイヤ出口領域で、溶接トーチのガスノズルおよび接触チューブに堆積を生成する。それ故、溶接プロセスを平穏に進行することを確実にするために、溶接トーチの出口領域を定期的に保守および清掃する必要がある。保守のために、溶接ワイヤへの、任意に、さらなる部品、例えばガスノルへの電気的接続を提供する接触チューブは、保守要員によって手作業で交換される。そのような要員は、通常ねじ込まれた接触チューブおよびねじ止めされたガスノズルを1つずつ取り外し、新しいものを再設置しなければならない。これは、生産ライン全体を停止する必要があるために、非常に不利であり、多くの金と時間がかかることが実証されている。
【特許文献1】国際公開第02/40211号パンフレット
【特許文献2】国際公開第01/38038号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明の課題は、溶接プロセスおよび特に必要な保守手順、並びに、それらをより効率的にすることとである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の課題を達成する独立した方法では、溶接プロセスの保守手順が、決まった時間、またはセンサによって検出されるパラメータに応じて、開始される。溶接トーチが保守位置に配置され、そして、溶接トーチのガスノズルと内部挿入物との間の接続が、溶接トーチの固定部材の大きさの空間的減少によって分離され、ガスノズルが溶接トーチから取り外される。続いて、請求項1の特徴部分に記載されているように、保管ガスノズルが前記溶接トーチに配置され、固定部材の空間的膨張によって、溶接トーチのガスノズルと内部挿入物との間に特に気密な接続が提供される。
【0007】
この実施形態は、接続の気密な封止だけでなく前記ガスノズルの取り付けを可能にし、前記固定部材の有効化または無効化によって前記ガスノズルの簡単な取り外しまたは取り付けを可能にする膨張可能な固定部材の使用により、有利である。前記膨張可能な固定部材の状態は、溶接装置制御装置またはロボット制御ユニットからの制御信号により駆動または供給する多様な装置によって、容易に決定されてもよい。これは、ガスノズルが完全に自動的に交換されてもよいので、溶接トーチの保守および清掃プロセスの自動化を可能にする。こうして、溶接トーチ保守時間は最小化され、製造がより効率的になる。さらに、保守要員が必要ない。選択的に、保守時間が短いので、構成要素を短い期間だけ使用することで、ガスノズルおよび接触チューブの摩耗および汚れを低減するように、保守間隔を短くしてもよい。
【0008】
そのような方法は、溶接トーチの保守を大幅に簡略化し、そのような保守は、ロボットシステムによって、自動的に簡単に実行される。
【0009】
請求項2および3にかかるプロセスは、それぞれの位置に配置されたガスノズルが溶接トーチに自動的に取り付けられるように、ロボット制御の所定座標への溶接トーチの簡単な位置決めを可能にする。ガスノズルの固定の制御のための有利な方法は、請求項4および5に記載される。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】ロボット溶接システムのレーザ複合式溶接ヘッドの側面図。
【図2】図1の構成における溶接トーチガスノズル領域の簡略詳細図。
【図3】1つの可能な溶接トーチの実施形態の分解斜視図。
【図4】ガスノズル領域に固定部材を有するマルチワイヤ溶接トーチの実施形態の図5におけるIV−IV線での長手方向断面図。
【図5】ガスノズルが取り付けられた溶接トーチ内部挿入物の図4における矢印V方向の正面図。
【図6】ガスノズルを破線で示した固定部材を有する内部挿入物の側面図。
【図7】膨張可能なホースの形式の固定部材を有する溶接トーチの半分の図5におけるVII−VII線での断面図。
【図8】固定部材が隔膜で形成された溶接トーチとガスノズルとの他の実施形態の半分の断面図。
【図9】接触チューブの簡略拡大図。
【図10】接触チューブの簡略拡大図。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明は、今、図1にかかるレーザ複合式溶接ヘッド1を用いて、非常に詳細に説明される。しかしながら、本発明は、専ら溶融電極を有するアーク溶接のために設計されたシングルまたはマルチワイヤの溶接トーチ、特にMIG/MAGトーチに適用してもよいことに留意が必要である。
【0012】
図1は、レーザ溶接およびアーク溶接のプロセスのためのレーザ複合式溶接ヘッド1を示す。それは、アーク溶接に必要なガスノズル2を有する。
【0013】
本レーザ複合式溶接ヘッド1は、市場入手可能な従来の構成要素および部品およびそれらの組み合わせを、特別な方法で使用する。これらの構成要素および部品は、ロボット。特にロボットアーム4(概略図示)に接続された少なくとも1つの設置プレート3の上に配置されている。前記構成要素および部品は、レーザ5またはレーザ5のための光学合焦ユニットおよびアーク溶接のためのガスノズル2を有する溶接トーチ6によって形成されてもよい。溶接トーチは、ホースパックを介して溶接装置(詳細不図示)に接続され、前記溶接装置は、電流源、制御装置、操作部材、ワイヤ供給機等のような構成要素を有する。さらなる部材またはさらなる構成要素は、前記レーザ5または前記光学合焦ユニットに配属されたクロスジェット7によって形成されてもよく、振り分け装置8が前記クロスジェットに与えられてもよい。
【0014】
前記レーザ5または前記光学合焦ユニットは、焦点距離9、特に、例えば、基準平面10または工作物12の表面11から50から400mmの前記レーザ5または光学合焦ユニットまでの焦点長さを有する。前記基準平面10は、前記焦点距離または前記焦点長さによって形成され、前記工作物12の表面11は、それと同様に並び、或いは、前記焦点距離9を形成する焦点13は、前記工作物12の外側または内側に位置する。図1および2の例は、前記焦点13が工作物12の表面11の下に配置された、つまり、前記焦点13が工作物12の内側に配置または配列された配置を示す。
【0015】
他の部材または構成要素の他のお互いの配置は、非常に高い品質で事項される溶接プロセスのために必要不可欠である。図示した例では、前記溶接トーチ6、特に前記溶接トーチ6に沿って長さ方向に延伸する長手方向の中心軸は、前記レーザ5または前記光学合焦ユニットに対して、特に、レーザ光線16の中心に延伸するレーザ軸17に対して、例えば25°と35°との間の角度15で配置されている。前記レーザ軸17は、前記基準平面10および/または前記工作物12の表面11に対して80°から100°の間、好ましくは90°の角度18を有する。
【0016】
図1および2の実施形態は、水平に配置された工作物12を示す。もし、前記工作物12の位置、特にその表面11の位置が溶接プロセスの間に変更されたなら、前記レーザ5、特に前記レーザ軸17は、前記表面11に対して、前記18が80°から100°の間、好ましくは90°になるように配置される必要がある。
【0017】
これは、ロボット、特に前記ロボットアーム4の溶接経路の、それぞれの構成要素がお互いに、常に同じ位置、距離および角度になるように協調したプログラムによって容易に達成される。これにより、前記レーザ軸17は、前記工作物12の前記表面11に対して、同じ所定の角度18を常に有する。
【0018】
図2は、溶接トーチ6〜または接触チューブ20から溶接ワイヤ21から出る溶接ワイヤ21が、レーザ5または光学合焦ユニットから放射されるレーザ光線16から、特に、前記レーザ光線16の中心に沿って延伸するレーザ軸17からの距離19にあることを示す。全体的に、図中に使用された添字aおよびbは、溶接トーチに複数設けられた同様の部品を示すが、これらの同様の部品は、構成に応じて完全に同一である必要はない。これは、例えば、この例において2重に設けられている2つの接触チューブ20a,20bおよび距離19a,19bに適用される。これらの添字は、これ以降、もしそれらが理解のために重要でなければ、省略されるかもしれない。
【0019】
図中のダブルワイヤ溶接トーチ6は、異なる距離19aおよび19bを有する。しかしながら、接触チューブ20aおよび20bから出る溶接ワイヤ21aおよび21bは、レーザ光線16を含んで、互いに対して共通の溶融金属槽を形成するような方向に位置する。このため、溶接プロセスにおいて、簡略化のために図示しないが、共通の溶融金属槽および共通の溶接プラズマが形成される。つまり、レーザ光線16およびアークは、共通の溶接プラズマ、すなわち、不活性ガス雰囲気を備える1つの溶接領域または溶融金属槽に同時に作用し、これらの2つのプロセスが互いに影響し合い補助し合う。もし、溶接ワイヤの先端とレーザ軸17との間の距離19aおよび19bが広すぎる場合、前記レーザ光線16は、独自の溶接槽または溶融金属槽を形成してもよい。前記アークと前記レーザ光線との間の距離が広く、前記光線がアーク溶接プロセスの溶接プラズマの中に放射されないので、次のアーク溶接プロセスのために再度冷却され、それ故十分な溶け込みができない。当然ながら、前記距離19a,19bを前記溶接ワイヤの先端22a,22bに対して合致させるだけでなく、距離19a,19bを、それらが溶接プロセスに非常に重要であるので、前記溶接ワイヤ21a,21bと工作物12との間に点火されるアークに適用することもできる。
【0020】
しかしながら、前記溶接ワイヤの先端22a,22bへの前記距離19a,19bに合致させることを可能にするため、前記溶接ワイヤ21a,21bは、それぞれ、好ましくは10mmから14mmの間の突出長さ23a,23bを有する。第1の溶接ワイヤ21aの突出長さ23aは、他の溶接ワイヤ21bの突出長さ23bと異なってもよい。前記突出長さ23a,23bは、手動または自動の公知の多様な方法で調節されてもよい。
【0021】
レーザ光線16は、様々な波長を有する光線が集まって形成されているので、前記レーザ5から前記焦点13へと円錐形、または、前記レーザ5または光学合焦ユニットから前記焦点13へとテーパ状をなし、前記レーザ5の可能な最大の出力またはエネルギー密度が前記焦点13において達成される。
【0022】
図2および3は、前記ガスノズル2が、前面24の領域に、溶接ワイヤ用の出口開口25を有することと、前記ガスノズル2が、さらなる前面26に、前記溶接トーチ6の内部挿入物28の上に配設するために、受入領域27を有することとを示す。前記受入領域27は、円筒状の内面29を有する実質的に管状である。
【0023】
図3は、前記溶接トーチ6の分解図である。固定部材30は、前記ガスノズル2の領域に前記ガスノズル2を前記内部挿入物28に取り外し可能に固定することが示されている。前記ノズル2と前記内部挿入物との間の接続は、前記固定部材30接触面31と、前記ガスノズルの内面29との間に提供される。円筒形のシールリング32、環状に配置されたガス流路穴を有するガス分配リング33、保護リング等の図中に示されている他の構成要素は、任意であり、従来技術から公知であるので、ここではより詳細に説明しない。しかしながら、前記ガスノズルおよび/または前記内部挿入物28は、異なる位置、特に前記固定部材30の領域に、全周に亘ってシールリップが設けられている。図示された接触ソケット77a,77bは、後に説明する。
【0024】
前記ガスノズル2の前記内部挿入物28の上での位置を定めるための、第1の位置決め部材、特に、凹部または突起が、受入領域27において、前記ガスノズル2に設けられてもよい。さらなる位置決め部材、例えば、突起が、前記内部挿入物28の上に設けられ、前記第1の位置決め部材に接続される。そのような接続の概要は、図6に示される。
【0025】
図4は、溶接トーチ6のガスノズル2の領域の長手方向断面である。内部挿入物28に設けられた固定部材30は、また、前記ガスノズル2と前記内部挿入物28との間の気密な接続を提供するシール部材としての役目を果たす。それは、特に、柔軟、延性または弾性の材料からなる前記固定部材30の少なくとも一部を準備するのに好ましい。つまり、前記固定部材30は、必要であれば、少なくとも部分的に、その外表面の形状を変更、特に、それを大きくまたは小さくしてもよい。こうして、接続を提供するために、前記ガスノズル2の前記内面29に隣接する前記固定部材30の接触面の位置は、前記内面29に応じて変更されてもよい。
【0026】
前記ガスノズル2と前記内部挿入物28との間の接続状態、特に、この接続の強度は、前記固定部材30の形状によって決定される。前記接続は、好ましくは、前記固定部材30の前記接触面31と前記ガスノズル2の前記内面29との間の圧力または面圧によって達成される。この接続は、確定的なものではなく、好ましくは摩擦によるものである。前記接続の強度は、長手方向の中心軸14と同軸の成分を有する力、つまり、張力が前記ガスノズルを介して伝達されないように選択される。こうして、前記ガスノズル2は、前記固定部材30が有効化したとき、前記内部挿入物28から取り外され得る。接続の強度は、前記膨張可能な固定部材30の膨張の度合いによって決定されてもよい。
【0027】
簡単な実施形態では、前記固定部材30は、選択的に弾性材料、例えば混合ゴムからなる管状のホース34またはシール部材により形成される。そのような実施形態は、図7に関してより詳細に説明される。
【0028】
さらに、図4は、前記ガスノズル2が管状で、前記内部挿入物28のシャフト状の長尺部の上に押圧され、前記固定部材30を介してそれに固定されたハウジング35を有することを示す。前記ガスノズル2の受入領域27の中に、前記固定部材30は、前記固定部材20の前記接触面31と部分36を介して接触しており、前記接続がこの部分36において成立している。前記接触面31は、矢印37の方向に作用する結果的に生じる力によって、前記ガスノズル2のハウジング35の内面29に対して押圧されている。従って、この圧力接続が前記接触面31の位置を前記矢印の方向に変化させることにより達成される。この目的のため、前記固定部材30は、圧力生成媒体、特に、不活性ガスまたは圧縮空気を受ける。チューブ34および隔膜89のような前記固定部材30の可能な実施形態は、図7および8に関して、より詳細に説明される。
【0029】
図4,5および6は、前記固定部材30が前記内部挿入物の外表面38の周りにリング状に延伸していることを示す。前記接触面31は、完全な円周状に、前記内表面29と堅い閉鎖接触接続を形成する。これは、前記ガスノズル2の前記中空ハウジング35の中を流れる不活性ガス(矢印39で象徴的に図示)、例えば、アルゴン、ヘリウム、或いは、COのような活性ガスが、前記ガスノズル2と前記内部挿入物28との間の前記接続を通して漏出し得ないことを確実にする。
【0030】
前記固定部材30、特に、前記ホース34の断面は、前記部分36上の前記接触面31が平面的形状であり、前記ガスノズル2の前記内面29との接触の領域が可能な限り大きいように、例えば、概ね長方形またはU字型である。それは、湾曲または輪郭付けられた接触面31を有する固定部材30を問題なく使用することも可能である。
【0031】
前記固定部材30の前記接触面31および/または前記ガスノズル2の前記受入部材27の前記内面29は、非確定的または摩擦的および/または気密な接続を達成することを助ける特別な構造を有してもよい。例えば、それらは粗面であってもよく、それらは容易な付着性のためにコーティング、摩擦ラインイング、或いは、マイクロまたはナノ構造を有してもよい。そのような、または、他の好ましい実施形態は、組み立て技術の当業者には従来技術から公知である。
【0032】
前記固定部材30は、要求に応じて前記固定部材30を有効化または無効化させる媒体を用意し、それを前記固定部材30に供給する供給装置40に効果的に接続されている。図3から8に示される実施形態では、前記供給装置40は、空圧または油圧発生装置41、特に、図6のポンプ42により形成される。圧力発生装置42は、供給ライン43を介して前記固定部材30に接続され、流れる媒体を伝達する。このため、前記固定部材30の弾性または変形可能領域の内面44は、媒体の影響を受けて、前記固定部材30を膨張させて前記接触面31の位置を変化させてもよい。
【0033】
前記供給ライン43は、例えば、シール部材バルブまたは同様のものを有する中空円筒形の押し込みまたはねじ込み部材、として形成してもよいカップリング機構45を介して前記内部挿入物の上に設けられる。さらに、前記供給ライン43は、前記カップリング機構45によって、管状の固定部材30の内部空間に直接接続されてもよい。この場合、管状の前記供給ライン43は、前記ガスノズル2または前記内部挿入物28の内側に挿入され、或いは、前記カップリング機構45が前記溶接トーチの上に設けられ、前記供給ライン43は、前記ガスノズル2または前記内部挿入物28の外側から前記固定部材30まで案内される。
【0034】
図6から8に図示された実施形態では、ダクト47が前記内部挿入物28の中に設けられている。ダクト47は、一方で、前記固定部材30の前記内面44の領域に通じ、他方で前記圧力発生装置41に流通接続する。例えば、前記ダクト47は、前記内部挿入物28の1以上の円筒形の穴により形成される。前記カップリング機構45のブッシング48は、前記ダクト47の前記供給ライン43に対する接続を達成するために設けられる。ブッシング48は、好ましくは、気密な機械的接続を達成可能にするシール部材を有する。
【0035】
前記カップリング機構45に関し、2つの耐圧管のシールされた取り外し可能な接続のための従来のカップリングとして形成されることに注意しなければならない。それは、押し込み式、スナップ式、ねじ込み式の接続など、当業者に公知の従来技術であってもよい。
【0036】
前記溶接トーチ6の中に、前記ダクト47に代えて、流管、例えば、前記ダクト47と同じ機能を満たす柔軟なプラスチックまたはゴム製の管だけを設置することもできる。
【0037】
図6は、好ましくは、バルブ49が前記供給装置40または前記固定部材30に設けられ、前記ダクト47または前記固定部材30のガス抜きをする。図6の実施形態において、前記バルブ49は前記供給ライン43に、パイロット式逆止弁の形で設けられている。こうして、ガス抜きのとき、前記バルブ49は非閉鎖であって、前記固定部材30の上または中に作用する過剰な圧力が取り除かれ、それにより、接続が前記固定部材30により解除されてもよいので、前記供給ライン43は、共通往復管として使用されてもよい。そのようなバルブ49は、また、前記圧力発生装置41、例えば前記ホース34のポンプアップが前記固定部材を有効化させる操作においてのみ、存在する必要があり、十分な圧力が与えられたとき、前記圧力発生装置41の作動を要求することなく、圧力は前記逆止弁によって保持されるという利点を有する。
【0038】
当然ながら、特別なガス抜き装置または個別の往復管が前記固定部材30のために設けられ、逆止弁の存在が不要な実施形態を有することもできる。
【0039】
特に有利な実施形態において、レーザ複合式溶接プロセスのための前記供給装置40は、圧縮空気装置である。レーザ複合式溶接ヘッド1は、上述の、基本的に圧縮空気の噴流がレーザレンズシステムに対して横断して流れ、前記レーザレンズシステムの汚染を防止するクロスジェット7を有する。このため、とにかくレーザ複合式溶接ヘッド1に提供される前記クロスジェット7のための圧縮空気の供給は、上述のような前記固定部材30のための供給装置40としても使用されてもよい。そのような実施形態において、前記固定部材30のための特別な圧力発生装置41を設けることは必ずしも必要でないが、前記クロスジェット圧縮空気装置の流れは、前記固定部材に管を介して接続される必要がある。前記管状の固定部材30のガス供給および/またはガス抜きを可能にするコントロールバルブがこの流れの接続に与えされ、前記固定部材30の状態を制御してもよい。
【0040】
さらに、前記固定部材30のために、矢印39に係る、存在する不活性ガスの流れを使用することも可能である。この場合、前記不活性ガス39は、前記固定部材30に充填または拡張させる圧力媒体として使用される。前記不活性ガス39の一部は、好ましくは、前記固定部材30に前記ダクト47または供給ラインを介して供給されてもよい。選択的に、不活性ガスの流れを必要圧力に昇圧するために、圧力発生装置が追加して設けられてもよい。
【0041】
図3から8は、前記固定部材30が好ましくは、凹部50の全周に亘って設けられ、前記内部挿入物28の外側46に配置されていることを示す。前記凹部50は、溝状に形成され、前記凹部50の制限表面51は、前記ダクト47または前記供給ライン40に接続された開口52を有してもよい。
【0042】
選択的に、前記固定部材30は、例えば、同時に必要な流れの接続を提供するカップリング機構45による付着力または機械的接続によって、前記凹部50の内側に取り付けられる。機械的予圧を使用して前記内部挿入物の上にそれを引き込むことによって、前記リング上の固定部材30を単に挿入するだけで、前記凹部50の中の十分な取り付けが既に達成されているかもしれないので、前記内部挿入物28と前記固定部材30との間の別々の接続は必ずしも必要でない。
【0043】
前記固定部材30の適切な機能が、前記ガスノズル2の領域の熱によって妨げられないように、前記固定部材30は、少なくとも部分的に耐熱材料からなってもよく、或いは、断熱材料が、前記内部挿入物28の上に、例えば前記凹部の中に、設けられてもよいことは注意すべきかもしれない。
【0044】
個々の実施形態において、1以上の接触チューブ20のための受入部材53は、前記管状のガスノズル2の前記ハウジング35の内側または内部中空空間に設けられる。前記受入部材53は、前記ガスノズルの内側の所定のまたは特定可能な位置に、前記接触チューブ20を保持する。前記受入部材53は、前記接触チューブ20が電気的に前記ハウジング35から絶縁されるように構成されている。もし、いくつかの接触チューブが前記受入部材によって保持されているならば、それらは、前記受入部材53によって互いに絶縁される。
【0045】
好ましくは、前記受入部材53において、1つの凹部54、特に穴が、核接触チューブ20のために設けられ、前記チューブが前記凹部の中に取り付けられる。例えば、前記接触チューブ20は、例えば前記凹部54に圧入されてもよい。また、前記接触チューブを前記受入部材53の中に、ねじ込み、係止などすることもできる。
【0046】
絶縁のために、前記受入部材53は、非導電性絶縁材料、例えば、プラスチック、セラミックなどからなってもよい。1以上の絶縁ソケットまたは同様のものが前記受入部材53の前記凹部54の中に挿入され、前記接触チューブを受け入れてもよい。この場合、前記受入部材53の本体は、導電性材料、例えば金属からなってもよい。
【0047】
図4は、受入部材53が例えば、実質的に円板または板状に形成されていることを示す。前記受入部材53は、前記ガスノズル2の中に挿入物55の形で設けられている。前記挿入物55は、少なくとも1つの自身の幅56全体を通した穴57を有する。本発明は、これ以降、2つの接触チューブ20が挿入物55によって保持された、つまり、2つの穴57が前記挿入物55に設けられた、図4に示した実施形態を使用して、より詳細に説明される。
【0048】
前記挿入物55は、いずれも、前記ガスノズル2の前記ハウジング35と一体に形成されてもよく、或いは、前記ガスノズル2の内側に別の構成要素として設置されてもよい。前記接触チューブ20a,20bは、前記挿入物55の細い側58,59から突出する。寸法60,61は、前記接触チューブ22a,22bから溶接ワイヤ21a,21bの出口62,53までの間の距離と、前記ガスノズル2の前記開口に対する前記挿入物55の前記細い側59の距離とを定めるのに特に重要である。溶接プロセスは、前記距離60,61の変化によって、前記溶接ワイヤ20a,20bの突出長さ23a,23bが変化するので、大きく影響を受けるかもしれない。一般に、溶接プロセスは、前記突出長さ23の変化による多様な、例えば、溶接ワイヤ20の溶融量および工作物12の上の隙間ブリッジ特性に応じた影響を受けるかもしれない。
【0049】
本例において、距離60と61とは、異なる寸法である。前記第2接触チューブ20bの寸法61は、前記第1接触チューブ20aの寸法60より小さい。これは、前記溶接トーチ6が工作物12に対する角度(すなわち、図1の角度15)をもって保持されたなら、利点である。なぜなら、溶接ワイヤ20aおよび20bの突出長さ23aおよび23bが概ね同じ寸法になり、前記溶接トーチ6が小さい距離62で表面11に沿って移動してもよいからである。これは、一般に溶接プロセスを改善する。
【0050】
これに関して、本発明の他の個別の実施形態、すなわち、特に、レーザ複合式溶接プロセスのための、マルチワイヤ溶接トーチ用のガスノズル2が特に有利である。前記ガスノズル2のハウジング35は、特に、長手方向の中心軸65について回転対称になるように延伸する。出口開口25を有する第1の前面24は、長手方向の中心軸65に対して角度を有する平面66に沿って延伸する。前記長手方向の中心軸65に直交する基準面68と平面66との間の角度67は、接触チューブ20a,20bの距離60,61によって決定される。前記平面66または前面24は、前記接触チューブ20aの前記外部溶接ワイヤ出口開口62から、前記ガスノズルの前記第2の前面26の方向の前記長手方向の中心軸65の方向に距離69をおいて配置される前記他の接触チューブ20bのさらなる溶接ワイヤ出口63に向かって延伸する。
【0051】
前記基準面68と前記傾斜面66との間の前記角度67は、例えば、5°から60°の間、好ましくは5°から30°の間である。
【0052】
2つの接触チューブ20a,20bの出口62,63の異なる距離に適するそのようなガスノズル2の実施形態は、もしそれが角度をもって保持されるなら、前記溶接トーチ6の工作物12に対する接近を改善し、いくつかの溶融溶接ワイヤを使用する溶接プロセスが、前記距離64を変化させることで最適化され、柔軟になる。
【0053】
本発明の課題を達成する他の個別の方法は、また、図4,9および10に示されている。前記図は、特にレーザ複合式溶接プロセス用の、溶融電極を使用するアーク溶接のための構成要素を有する溶接トーチ6または接触チューブ20を示す。1以上の構成要素は、前記接触チューブ20の長手方向の中心軸70に沿って延伸する前記溶接ワイヤ21のための案内穴71を有する前記接触チューブ20(接触チューブ20aおよび20b)によって形成される。本発明において、前記少なくとも1つの接触チューブ20の前記案内穴71の長手方向の中心軸70が少なくとも部分的に湾曲していることが重要である。換言すると、前記案内穴71は完全に真っ直ぐには延伸せず、接触チューブの長さ73の少なくとも一つの部分72に角または湾曲を有する。この実施形態は、これ以降、2つの溶接ワイヤ21a,21bおよび12つの接触チューブ20a,20bを使用するマルチワイヤ溶接プロセスに関して説明する。
【0054】
接触チューブ20a,20bは、いずれも、溶接ワイヤ21a,21bの出口62,63が位置する端部を有する。部分72は、前記端部に位置する。少なくとも1つの前記接触チューブ20a,20bにおいて、前記長手方向の軸70または前記案内穴71は、角または湾曲を有する。好ましくは、両方の接触チューブ20a,20bは、接触チューブの長さ73の他の部分に対して部分72に角を有する。このため、溶接ワイヤ21a,21bは、前記接触チューブ20a,20bの前記長手方向の軸70に平行でなく、前記長手方向の中心軸70に対して出口角度74,73で送出される。よって、前記溶接ワイヤ21a,21bは、前記ガスノズル2の前記長手方向の中心軸65に対して角度をもって、前記工作物12の方向に移動させられる。前記溶接ワイヤ21aおよび21bは前記工作物12の方向に収束する。
【0055】
前記接触チューブ20a,20bは、いずれも保持装置76a,76b、特に接触ソケット77a,77bの中に、回転可能に保持され、その長手方向の中心軸70の周りに回転可能であってもよい。特に、前記接触チューブ20a,20bは、360°の角度で回転可能であってもよい。図4は、接触して電流を伝達し、すべり摩擦下で互いに対して連続して捻られてもよい、接触チューブ20a,20bの接触平面78および接触ソケット77a,77bの接触平面79を示す。これは、前記湾曲した接触チューブ20a,20bの角度74,75を、それにより、溶接ワイヤ21a,21bの送出方向をも変化させ、そして、前記出口62,63の間の距離80もまた変化させる。角度74,75の調整または距離80の調整が溶融金属槽へのワイヤの供給に影響するこの方法は、それ故、溶接プロセスに影響するさらなる利点と簡単な方法とを提供する。
【0056】
前記受入部材53は、前記接触チューブ20a,20bを設置するために長手方向の保持突起81を有してもよい。突起は、例えば、それぞれ接触チューブ20a,20bが接する静止面82を有してもよい。これにより、前記接触チューブ20a,20bは、前記長手方向の中心軸70の方向に固定される。好ましくは、よりよい固定のために、層板(不図示)が前記接触ソケット77a,77bの中に設けられる。
【0057】
前記出口角度74,75または前記距離80を変化させる他の方法は、接触チューブ20a,20bの外側または接触面78の周囲に、接触ソケット77の接触面79の形状に適合して収まる多角形形状を与えることである。可能な位置の数、つまり、出口角度74,75は、前記多角形の角または辺の数によって決まる。これは、前記接触チューブ20a,20bの位互いの位置を段階的に変化させることを可能にする。例えば、接触チューブ20の四角形または正方形のシャフトは、接触ソケット77の中に4つの位置に挿入されてもよく、それぞれの溶接ワイヤ21a,21bの異なる4つの出口角度74,75、つまり、出口62,63の間の異なる16の距離80を可能にする
【0058】
図9および10は、接触チューブ20を示す。
【0059】
本発明の課題を達成する個別の方法は、ガスノズル2と、上述の少なくとも一部分に対応し、それ故モジュール構造のユニットを形成する1以上の接触チューブ20とを有する溶接トーチのためのガスノズルキャップに関する。これは、より少ない1つの部品だけしか交換する必要がないので、溶接トーチの清掃または保守のために交換可能な構成要素の自動的取り扱いのために有利である。
【0060】
本発明は、また、図1および6を用いて説明したロボット溶接システムのプロセス制御のための方法に関する。線溶接に使用される前記溶接システムは、溶接トーチ6またはレーザ複合式溶接ヘッド1を有する溶接装置と、ロボットユニットとを含み、さらに、制御装置83を有する。一般に、前記溶接トーチ6は、ロボットアーム4またはマニピュレータに取り付けられ、前記ロボットアーム4の移動の進路が前記制御装置によって決定される。溶接ワイヤ21の出口領域において、前記溶接トーチ6は、必要ならば取り外し可能であってもよいガスノズル2を有する。
【0061】
選択的に、溶接プロセスのパラメータを把握する、少なくとも1つのセンサが前記ガスノズル2および/または内部挿入物28に設けられる。前記センサ84は、特に、接触チューブ20の領域での、特に、溶接ワイヤ21の出口62,63の周囲での、材料の摩耗または汚染に関するパラメータを記憶するよう意図されている。加えて、前記センサ84は、選択的に、前記ガスノズルが適切に前記内部挿入物に固定または取り外しされているかどうかを把握してもよい。前記センサ84は、溶接装置の、溶接プロセスを制御する制御装置83に接続されている。もし、許容できない状況が、例えば過剰な汚染が検出されたなら、前記制御装置83は、保守手順を開始する。
【0062】
この保守手順は、センサなしに、所定の時間に、或いは、ある回数の工程の後に、定期的に開始されてもよいことに注意が必要である。
【0063】
もし、前記制御装置83によって溶接プロセスの保守手順が開始されたなら、前記溶接トーチ6は保守位置に運ばれ、そして、前記制御装置は、前記溶接トーチに設けられたガスノズルまたはノズルキャップのための固定部材30を無効にする。前記溶接トーチ6の前記ガスノズル2と内部挿入物との間の接続は、前記溶接トーチの固定部材の大きさを空間的に減少させることで解除され、そして、前記ガスノズル2は、前記溶接トーチ6から取り外される。前記ガスノズル2は、引き抜き装置によって前記内部挿入物28から引き離され、或いは、前記溶接トーチ6は、前記ガスノズル2が前記内部挿入物28から自然に落下または滑り出る角度のあるような位置に至る。続いて、他のガスノズル2は、前記溶接トーチ6の上に配置され、前記固定部材30によって前記内部挿入物に固定される。前記ガスノズル2と前記溶接トーチ6の前記内部挿入物28との間の固定は、前記固定部材の空間的膨張によって達成され、特に気密な接続を提供する。
【0064】
保守手順は、前記溶接トーチ6を保守位置に移動させるようにロボットアーム4の駆動を制御する信号または信号シーケンスを生成する前記溶接装置の前記制御装置83によって開始される。さらに、供給装置40を制御する信号が生成され、これにより前記固定部材30の状態、つまり、それが有効になるか無効になるかが決定される。例えば、前記供給装置40のバルブ49は、開放されて前記固定部材30を無効化して、前記固定部材に作用する過剰な圧力を取り除き、それによって前記固定部材の容積を低減、または、前記ガスノズル2の内面29から前記固定部材30の前記接触面を取り除いてもよい。さらに、圧力発生装置41、特にポンプ42は、過剰な圧力を生成し、それを前記固定部材30に供給ライン43を介して供給することで、前記固定部材30を有効化するために、連絡してもよい。そこでは、前記固定部材は、少なくとも部分的に、萎んだまたは折りたたんだ状態から延伸または膨張する。こうして、前記固定部材30の膨張は、前記ガスノズル2と前記内部挿入物28との間の、非確定的な、特に摩擦による接続を提供する。
【0065】
制御装置、例えば溶接装置およびロボット制御の多数の通信する制御装置が、ここではこれ以上詳細には説明しないが、このプロセスに含まれてもよいことが注記されてもよい。
【0066】
保守位置において、前記溶接トーチ6は、例えば、詳細不図示のロボットシステムクリーニングステーションの中に配置される。前記クリーニングステーションにおいて、保守が全自動で行われるように、交換されるガスノズル2は、ロボット制御の所定座標に配置され、使用済みガスノズル2の収納位置が決定される。
【0067】
図7は、固定部材30がチューブ34である前記溶接トーチ6の実施形態を示す。
【0068】
前記チューブ34は、厚さ87の外皮86に取り囲まれた空洞85を有する。前記外皮86は、接触面31および前記空洞を限定する内面44を有する。前記外皮86は、柔軟な、特に柔軟で弾性のある材料からなる。
【0069】
前記チューブ34の前記空洞85は、前記内面44が、上述のように、矢印37の方向の力を受けてもよいように、供給装置40に接続される。この目的のため、前記チューブ34は、前記空洞85を外部に開放する開口88を有し、開口はダクト47または供給ライン43に接続される。こうして、前記空洞85は、圧力チャンバを形成する。
【0070】
前記固定部材30を有効化するために、前記チューブ34の前記空洞85は、圧力生成媒体が充填される。これは、空洞85の容積を増大させ、これにより、前記チューブ34の接触面31が前記内部挿入物に押圧された前記ガスノズル2の前記内面29と十分安定して接触するまで、前記チューブ34の断面積を増大させる。
【0071】
前記チューブ34またはシール部材は、例えば、エチレンプロピレンジエン重合体またはシリコン、ゴム、プラスチック、ガラスまたは天然繊維、織布または同様のもの、或いは、それらの材料の組み合わせからなってもよい。前記チューブ34は、膨張可能であり、選択的に、前記チューブ34の容積が増加するに連れて前記チューブ34の外皮厚さ87が減少するような弾性であってもよい。さらに、前記チューブ34は、前記固定部材30が無効化された状態、つまり、前記チューブ34の空洞85がガス抜きまたは空にされたとき、前記チューブ34が折りたたまれるように、膨張可能でなく柔軟であってもよい。
【0072】
図8は、内部挿入物28にガスノズル2を取り付けるための固定部材30を有する溶接トーチ6の他の実施形態を示す。ここで、前記固定部材30は、隔膜89である。前記隔膜89は、柔軟な材料からなり、接触面31および内面44を有し、前記接触面が図中に示した両矢印の方向に移動可能である。前記隔膜89を膨張させるために、前記接触面31が上記の如く外側に押し出されるように、矢印37の方向に前記内面44に力が加えられる。これを達成するために、過剰な圧力が前記内面44の下に加えられ、そして、上述の供給装置40がこの目的のために前記隔膜89に効果的に接続されている。前記ガスノズル2が前記内部挿入物28に押圧されたなら、前記隔膜89に圧力が加えられ、前記隔膜89の前記接触面31と前記ガスノズル2の前記内面29との間の非確定的な接続が達成される。好ましくは、この接続は気密でもある。この接続の原則は、図3から6に記載の実施形態に対応し、上述の構成要素および実施形態は、図8に示した解決策に適用されてもよい。
【0073】
図示するように、前記隔膜89は、前記内部挿入物28の全周に伸びる溝状の凹部50の中に設けられている。前記隔膜89は、部分36の上で、前記隔膜89が円筒形中―部上部分の形状を有するように、前記内部挿入物28の全周を覆う。周辺部90,91において、前記隔膜89は、線状または平面状で、接触点92,93を形成する制限面51の上に載り、前記凹部50の前記制限面51の全周は覆われている。接触点92,93は、前記隔膜89と前記内部挿入物との間の気密な接続である。そのような接触点92,93を提供するために、前記隔膜89は、接続部材94,例えば、前記隔膜89の前記周辺部90,91を前記内部挿入物の内側で前記凹部50の前記制限面51に対して押し付ける羽根のように作用する環状引き付け部材、または、しっかり接合する接着部材などを有してもよい。
【0074】
前記内部挿入物28は、前記隔膜89の内面44の下の凹部89の開口52に開口するダクト47を有してもよい。前記固定部材が有効になったとき、前記ダクト47または前記供給ライン43を介して圧力が伝えられ、前記隔膜89の前記内面に過剰な圧力を与えることによって、前記隔膜が矢印37の方向に膨張する。前記固定部材30が無効化されたとき、前記ダクト47または前記供給ライン43の中の前記過剰な圧力は取り除かれる。
【0075】
他の実施形態について言及するがそれは図示しない。この実施形態において、固定部材30は、供給装置40によって過剰な圧力を加えることで、ガスノズル2と係合してそれを固定するようにガイドの中で移動させ得る機械的プッシャまたは同様のものを有する。前記係合または固定は、確定的であっても非確定的であってもよい。
【0076】
図9および10は、シングルまたはマルチワイヤ溶接トーチ6或いはレーザ複合式のシングルまたはマルチワイヤの溶接ヘッド1のための接触チューブ20を示す。図9は、元の形状の前記接触チューブ20を示し、図10は、使用後の湾曲した形状の前記接触チューブ20を示す。
【0077】
前記接触チューブ20は、溶接ワイヤ21のための長手方向の中心軸70を有する貫通案内穴71と、好ましくは、破線で示すように、前記案内穴71と同芯でより大きな形を有する穴95とを有する。さらに、上述のように、前記接触チューブ20は、少なくとも1つの接触チューブ20の前記案内穴71の前記長手方向の中心軸70が、接触チューブ長さ73の少なくとも1つの部分72で湾曲している形状のようなものである。
【0078】
前記接触チューブ20の前記案内穴71に、溶接ワイヤ21の出口62の領域において湾曲または角を与えるために、前記接触チューブ20は、図9に示すように最初は直線状に用意される。続いて、それは、適当なプロセス工程において湾曲させられる。例えば、前記接触チューブ20は、単純な形に固定され、適切な装置(不図示)を使用して前部出口領域62において前記接触チューブ20の外面に圧力が与えられ、前記接触チューブ20の1つの部分72がある角度74に変形させられる。全部72の径は、所定の変形を可能にするためにその後方の領域96の径より小さい。
【0079】
さらに、流路径は、前記湾曲によって形成され、それ故、溶接ワイヤ21は挿入が容易である。溶接ワイヤ21のための前記案内穴71は、好ましくは、従来の接触チューブ20よりも大きく形成される。例えば、もし溶接ワイヤ21が1.2mmの径を有していれば、前記案内穴は、1.4mmから2mmの間の、好ましくは1.6mmの径を有する。これは、前記接触チューブの詰まりを低減するのにも役立ち、前記案内穴の大きな径および前記変形のために、前記溶接ワイヤ21が挿入されたままであってもよいので、前記湾曲は、変形プロセスによって準備されてもよい。
【0080】
本発明によれば、1つの接触チューブ前面97は、角度を付けて切断され、または、傾斜してもよい。前記接触チューブ前面97は、前記長手方向の中心軸70に対して、40°から70°、好ましくは45°の角度を有する。この実施形態において、出口開口62は、楕円であり、出口開口62が溶接スパッタで詰まる可能性を非常に小さくする。同時に、前記スパッタが当たる領域が小さく、そのため、前記接触チューブを長く使用可能にする。当然に、そのような傾斜した接触チューブ前面97を直線状または湾曲した接触チューブに使用することができる。
【0081】
上述した個々の実施形態は、互いに組み合わせてもよい。さらに、本発明は、1本の溶接ワイヤを移送するために、例えば、接触チューブ、接触ソケット等のような構成要素を有するだけのシングルワイヤ溶接トーチ6に適用してもよく、或いは、本発明は、少なくとも2本の溶接ワイヤを移送する構成要素を有するマルチワイヤ溶接トーチに使用してもよい。本発明は、異なる数の溶接ワイヤに使用してもよいことは、当業者には自明である。
【0082】
特に、図1,2,3,4,5,6,7および8に示した実施形態は、本発明に係る個々の解決策の基礎となってもよい。本発明に係る課題または問題および解決策は、これらの図の詳細な説明において説明されている。
【符号の説明】
【0083】
2…ガスノズル
6…溶接トーチ
20…接触チューブ
28…内部挿入物
30…固定部材

【特許請求の範囲】
【請求項1】
制御装置(83)、および、レーザ複合式の溶接用のロボットアーム(4)に取り付けられた溶接トーチ(6)を有し、前記溶接トーチ(6)は、溶接ワイヤ(21)の出口領域にガスノズル(2)が設けられたロボット溶接システムのためのプロセス制御の方法において、
溶接プロセスの保守手順が所定の時間またはセンサによって検出されるプロセスパラメータに基づいて開始され、前記保守手順の間に、前記溶接トーチ(6)が保守位置に配置され、そして、前記ガスノズル(2)と前記溶接トーチ(6)の内部挿入物(28)との間の接続が前記溶接トーチ(6)の固定部材(30)の大きさの空間的減少によって解除され、前記ガスノズル(2)が前記溶接トーチ(6)から取り外され、続いて、他のガスノズル(2)が前記溶接トーチ(6)上に配置され、特に気密な接続が前記ガスノズル(2)と前記溶接トーチ(6)の前記内部挿入物(28)との間に、前記固定部材(30)の空間的膨張により提供されることを特徴とする方法。
【請求項2】
前記溶接トーチ(6)を保守位置に移動させるための信号が、前記制御装置(83)から前記ロボットアーム(4)の駆動装置に伝送されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記溶接トーチ(6)は、保守位置において、前記ガスノズル(2)の取り外しと新しいガスノズル(2)の受け取りとの両方のための所定の座標の清掃ステーションの中に配置されることを特徴とする請求項1または2に記載の方法。
【請求項4】
前記固定部材(30)は、前記固定部材(30)が過剰な圧力の作用によって膨張するように、供給装置(40)による有効化のための媒体に支配されることを特徴とする請求項1に記載の方法。
【請求項5】
堅固でない摩擦的接続が前記固定部材(30)の膨張によって与えられることを特徴とする請求項1または4に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【公開番号】特開2012−11466(P2012−11466A)
【公開日】平成24年1月19日(2012.1.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−198608(P2011−198608)
【出願日】平成23年9月12日(2011.9.12)
【分割の表示】特願2008−529414(P2008−529414)の分割
【原出願日】平成18年9月6日(2006.9.6)
【出願人】(504380611)フロニウス・インテルナツィオナール・ゲゼルシャフト・ミット・ベシュレンクテル・ハフツング (65)
【氏名又は名称原語表記】FRONIUS INTERNATIONAL GMBH
【Fターム(参考)】