説明

溶融樹脂供給装置

【課題】溶融樹脂を保持する保持ユニットに付着物が付着することを防止し、保持ユニットの清掃サイクルを短縮することができる溶融樹脂供給装置を提供する。
【解決手段】押出機から排出されてカッターによって切断された溶融樹脂を保持する開閉自在のホルダー22,23及び基部21を有する保持ユニット17を備えている。保持ユニット17は、ホルダー22,23を開放させて溶融樹脂を圧縮成形機の雌型に投下するようにした。基部21の内周面に上下方向に延びる複数の縦溝18を形成するようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、押出機から吐出する溶融樹脂の所定量を圧縮成形機の雌型へ落とし込むようにした溶融樹脂供給装置に関する。
【背景技術】
【0002】
飲料等のための容器として、ポリエステル、ポリエチレンテレフタレート(PET)のような合成樹脂から形成された合成樹脂製容器が広く実用に供されている。ブロー成形することによって合成樹脂製容器にされる前成形体(プリフォーム)は、圧縮成形機を用いた圧縮成形によって一体成形が可能である。このような圧縮成形の遂行に際し、押出機のダイヘッドの吐出口から押し出された溶融状態の合成樹脂は、樹脂供給装置によって圧縮成形機に供給される。
【0003】
押出機は、樹脂材料を加熱溶融させ、ダイヘッドから溶融樹脂を連続的に押し出している。この溶融樹脂は、加熱温度に応じてアセトアルデヒドやオリゴマーなどが発生する。ペットボトルにアセトアルデヒドやオリゴマーが付着していると、風味に悪影響を及ぼすため、押出機は、低温で溶融樹脂を押し出し、アセトアルデヒドやオリゴマーの発生を抑制している。
ただし、低温で溶融樹脂を押し出しても、微量の蒸気状のアセトアルデヒドやオリゴマーが発生しており、保持ユニットに触れ堆積する。また、溶融樹脂そのもの(たとえば、樹脂力スなど)が付着・堆積する場合もある。
【特許文献1】WO2005/102641
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
それらのアセトアルデヒド、オリゴマー、樹脂力スなど(以下、単にオリゴマーなどという)が所定量に達すると、保持ユニットの内面と溶融樹脂の摩擦抵抗となり、圧縮成形機の雌型に落とし込む際の滑り性が低下し、あるいは熱伝導率の低下にともない冷却不良となり、高温のままの溶融樹脂が保持ユニットに付着しやすくなってしまうことによって、保持手段を開放しても溶融樹脂が落下しなくなり、溶融樹脂を圧縮成形機の金型に供給できなくなる。このような不具合を回避するため、作業者が数時間ごとに保持ユニットを清掃しているが、保持ユニットへの付着物の清掃回数が多いと、作業時間を短縮するのにも限界があり、生産性を向上させることができないといった問題があった。
また、清掃作業時間中も、ダイヘッドから溶融樹脂を連続的に押し出しており、清掃作業時間が長いと樹脂材料の損失が増大するといった問題があった。
【0005】
なお、付着物が保持ユニット(保持具)に付着するのを防止するための対処として、上記特許文献1に開示された技術があるが、当該技術では、多孔質材を用い、この多孔質材を通して外部から加圧気体を溶融樹脂に当てている。そして、必要に応じて加圧気体でさらに溶融樹脂表面又は溶融樹脂保持部の内表面を冷却することで溶融樹脂保持部の内表面を冷却し、保持ユニットの溶融樹脂保持部の内表面を冷却することで粘着を抑制させるようにしているが、密閉された保持ユニットでの処理のため、保持ユニットへのオリゴマーなどの付着を十分に回避することは困難であった。
【0006】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであって、溶融樹脂を保持する保持ユニットにオリゴマーなどの付着物が付着することを防止し、保持ユニットの清掃サイクルを短縮することができる溶融樹脂供給装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は上記目的を達成するために、押出機から排出されてカッターによって切断された溶融樹脂を保持する開閉自在の保持部を有する保持ユニットを備え、該保持部を開放させて溶融樹脂を圧縮成形機の雌型に投下するようにした溶融樹脂供給装置において、前記溶融樹脂を保持する保持部の内周面に上下方向に延びる複数の溝を形成するようにした。
上記溶融樹脂供給装置は、前記保持部に該保持部の内周面及び/又は前記溶融樹脂の表面に気体を吹き付ける吹付手段を設けることができる。
上記溶融樹脂供給装置は、前記保持部の内周面に形成した前記溝の断面形状が波形状である。
上記溶融樹脂供給装置は、前記保持部が溶融樹脂を保持した状態で、溶融樹脂と前記保持部の内周面に前記吹付手段が気体を流すことができる。
上記溶融樹脂供給装置は、保持部の内周面に表面処理が施されている。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、押出機から排出されてカッターによって切断された溶融樹脂を保持する開閉自在の保持部を有する保持ユニットを備え、該保持部を開放させて溶融樹脂を圧縮成形機の雌型に投下するようにした溶融樹脂供給装置において、前記溶融樹脂を保持する保持部の内周面に上下方向に延びる複数の溝を形成するようにしたので、溶融樹脂を圧縮成形機の雌型内に投入する際、溶融樹脂保持面と溶融樹脂の接触面積を低減することで滑り性が向上する。また、保持ユニットに摩擦抵抗となるオリゴマーが残りにくいため、円滑に雌型内に溶融樹脂を落とし入れることができる。また、保持ユニットの溶融樹脂保持面へのオリゴマー付着、堆積を防ぐことが可能となり、清掃頻度を少なくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
以下、本発明の実施形態による樹脂供給装置について、図面を参照しながら説明する。
図1は、プリフォームと呼ばれるPETボトルなどの前成形体を形成する圧縮成形装置の概略平面図である。
圧縮成形装置1は、押出機2、樹脂供給装置3、圧縮成形機4、出口ホイール6及び取出しコンベア7を備えている。
押出機2は、ほぼ筒状の外形を有しており、PET等の合成樹脂素材を加熱溶融及び混練して、溶融樹脂をギヤポンプ8に搬送する。ギヤポンプ8は、歯車の噛み合いによって、溶融樹脂を安定した状態で吐出する。ギヤポンプ8の吐出口は、導管2aを介して下向きのダイヘッド10と接続されている。ダイヘッド10は円筒断面を有しており、溶融状態の合成樹脂は、ダイヘッド10からほぼ円柱形状の状態で連続的に下方に押し出される。
【0010】
図2は、本発明の一実施形態にかかる樹脂供給装置の平面図、図3は樹脂供給装置の主要部分の拡大側面図である。
樹脂供給装置3は、カッターホイール11を備え、カッターホイール11は、回転板12、揺動カム14、揺動ユニット15、伸縮ユニット16及び保持ユニット17を備えている。
回転板12は、円板状部材であり、周縁部に等角度間隔で、図では6個の揺動ユニット15が回転板12とともに回動自在に配設されている。この回転板12は、駆動手段をモータ(図示せず)として、上方から見て時計回り方向に回転する。
揺動ユニット15は、下部にカムフォロワー15aが設けられており、回転板12が回転すると、カムフォロワー15aが揺動カム14に形成された溝18に沿って移動することにより、揺動する。
【0011】
伸縮ユニット16は、ほぼ回転板12の径方向に延びた棒状部材であり、外周側先端部に、保持ユニット17が設けられている。伸縮ユニット16は、リニアベアリングなどを介して、揺動ユニット15の上部に、揺動ユニット15の長手方向に往復移動自在に設けられており、例えばエアシリンダ、カム、スプリング、モータまたはこれらの組合わせ(図示せず)などによって、ほぼ回転板12の径方向に往復移動する。
保持ユニット17は、揺動ユニット15の揺動運動と伸縮ユニット16の往復移動とによって、運転時の軌跡19に沿って回転し、圧縮成形機4の金型51に溶融樹脂を受け渡しする前後においては、金型51の回転軌跡20に沿って移動する。これにより、高速運転した場合であっても、溶融樹脂の受け渡しを確実に行なうことができる。
【0012】
図4は、保持ユニットの要部を示し、Aは保持ユニットの閉状態の平面図、Bは右側面図、Cは背面図、Dは保持ユニットの開状態平面図である。
保持ユニット17は、基部21、一対のホルダー22,23、カッター28を備えている。詳しくは基部21には、半円柱状の収納凹部24が形成され、上部に回転方向斜め上方へ向かって突出したカッター28が形成されている。さらに、基部21には、回動自在に取付けられた、開閉自在のホルダー22,23が取付けられている。ホルダー22,23は、例えばロータリアクチュエータあるいはカム機構などの回動手段によって、ダイヘッド10の上流側で開き、ダイヘッド10を通過した直後に閉じる。ホルダー22,23は閉じた状態で、収納凹部25を形成し、収納凹部25はカッター28によって切断された溶融樹脂を基部21の収納凹部24とともに保持する。保持ユニット17は、切断した溶融樹脂を、ホルダー22,23に閉じた状態で搬送し、金型51の上方に達すると、ホルダー22,23を開き溶融樹脂を下方の金型51に落とし込む。
【0013】
図5は、基部21と一対のホルダー22,23の溝部31についての水平方向の断面図である。
図に示すように、基部21の内周面である収納凹部24及びホルダー22,23の内周面である収納凹部25には、横断面形状が波状の凹凸部31a,31bで構成されている縦溝31を有している。
ここで、溶融樹脂9を把持するための収納凹部24,25の大きさを図5に示す基本円30とすると、凹凸部31a,31bのうち各凸部31bは、図5のCに示すように、基本円30に対して先端部を基本円30に沿うように位置させ、凸部31bのうち、凸部31bが溶融樹脂9と接するであろうとする1つの幅(周長)L1は0.1〜3mmが好ましい。また、この凸部31bは、収納凹部24の周長、または収納凹部25の周長の10〜50%設けるのが好ましく、より好適には10〜30%設けることが好ましい。
また、凹部31aは基本円30からの最大深さdが0.3〜3mmが好ましく、凹凸部31a,31bのうち溶融樹脂9と接しないであろうとする部分の幅(区間の周長幅)L2は1〜5mmが好ましい。
さらに、凹部31aから凹部31aまで(または凸部31bから凸部31bまで)の配置のピッチPは1〜15mmが好ましい。
凹凸部31a,31bの断面形状は、本実施形態では曲線形状である波形状にしたが、矩形あるいは山形に形成することもできる。また、凹凸部31a,31bは周方向へ等角度間隔で設けているが、必ずしも等角度間隔で形成する必要はなく、基部21における凹凸部31a,31bとホルダー22,23における凹凸部31a,31bの間隔を異なるようにしてもよい。
このような、収納凹部24,25の溶融樹脂9の保持面は、表面にオリゴマーなどが付着しにくように表面処理がなされていることが好ましい。本実施形態では、イエプコ処理やフッ素コート等がなされている。
【0014】
図6のA〜Cは、縦溝31を形成する位置の形態を示している。図6のA〜Cでは、基部21の収納凹部24を示しているが、一対のホルダー22,23については縦溝31を形成する位置は基部21と同様、または下に記すような別形態の縦溝配置例との組合せで形成している。
図6のAでは、基部21の収納凹部24の上部乃至中部に縦溝31を形成せず、収納凹部24の下部に縦溝31を形成している。図6のBでは、収納凹部24の下部に縦溝31を形成せず、収納凹部24の上端から中部乃至下部にかけて縦溝31を形成している。図6のCは、収納凹部24の上端から下端の全体にわたって、縦溝31を形成した例である。その他、図示しないが収納凹部24の上下方向中間位置にのみ縦溝31を形成してもよい。その際は溶融樹脂9の全高より長く設定すると、オリゴマーが縦溝31の下方(溶融樹脂9の保持位置の状態によっては上方)を通じて保持ユニット17の外へ抜けやすくなるので好ましい。また、縦溝31は収納凹部24の中部を除いて上部及び下部に縦溝31を設けてもよい。
なお、図6のA等で、縦溝31を設けない範囲を溶融樹脂9の全高+10%の高さ範囲で設定すると、溶融樹脂供給装置1を高速運転し、ダイヘッド10から押し出された樹脂をカッター28で切断後、溶融樹脂9を基部21で支える際、縦溝31の押圧接触によって溶融樹脂9に溝痕が残る虞がなく好ましい。
【0015】
図6のDに示す縦溝31は、上述の図6のAで示した縦溝31と同じ位置に縦溝31を形成している。そして、収納凹部24の上部乃至中部の縦溝31を形成していない部分では、気体の噴出孔34が設けられている。噴出孔34は、基部21の内壁部を通る流通路36に連通し、流通路36は図示しない気体噴出手段37に管路38を介して接続されている(図5のA参照)。気体噴出手段37は、窒素などの不活性ガスや空気などの気体または圧縮気体を使用することができる。
なお、噴出孔34の向き(気体噴出方向)は、収納凹部24に対して、垂直または所定の角度など、様々な向きに設定可能であるが、図5のAのように溶融樹脂9の周方向に気体が流れるようにすると溶融樹脂9の全周に気体が廻りやすくなるので好ましい。
図6のEに示す縦溝31は、上述の図6のCで示した縦溝31と同じ位置に縦溝31を形成している。気体の噴出孔34は、縦溝31を形成した部分にも形成することができる。その際、噴出口34は収納凹部24の凸部31b側に設けてもよいが、図5のAのように凹部31aに設けた方が気体の流れが溶融樹脂9に妨げられにくくなり、基部21の上下方向に流れやすくなるので好ましい。その他、縦溝31は、基部21の上部に噴出ノズルを配設したり、基部21の下部に噴出ノズルを配設してもよいし、孔数を適宜増やしてもよい。また、ホルダー22,23に噴出ノズルを設けてもよい。
【0016】
図7のAは、保持ユニット17がキャビティー型52の直上方へ搬送された状態を示す。
圧縮成形機4は、複数のキャビティー型52が連続して円軌道上を移動するように回転可能に設けられている(図1参照)。キャビティー型52は上方が開放し、キャビティー型52の上部には図7の各図に示すように、上型となるネックハーフ53が、キャビティー型52に対して昇降可能に設けられている。
溶融樹脂9の受け渡し位置では、保持ユニット17がネックハーフ53とキャビティー型52との間に配設され、ホルダー22,23を開放することによって、溶融樹脂9をキャビティー型52の内孔54に供給する。図7のBに示すように、保持ユニット17は、溶融樹脂9をキャビティー型52に供給した後は、圧縮成形機4の回転軌道20から離れる(図2参照)。
【0017】
ネックハーフ53は水平方向に開閉する左右一対の型によって形成され、キャビティー型52の上部には、上下動が可能なコア55が配設され、コア55がネックハーフ53の貫通孔53a及びキャビティー型52の内孔54に押し込まれることによって、溶融樹脂9を圧縮成形してプリフォームを成形することができる。
図1に示すように、圧縮成形機4の下流側には、プリフォームを取り出す出口ホイール6が設置され、出口ホイール6には、プリフォームを次工程に搬送する取り出しコンベア7が設置されている。
【0018】
次に、本発明の実施形態における樹脂供給装置の作用について説明する。
押出機2は、ポリエチレンテレフタレート等の合成樹脂素材を加熱溶融及び混練して、溶融樹脂9をギヤポンプ8に搬送する。ギヤポンプ8では、溶融樹脂9の供給を安定させるために、歯車の噛み合いによって、溶融樹脂9の吐出を行うよう構成されている。ギヤポンプ8は、導管2aを介して図2に示す下向きのダイヘッド10に搬送され、ダイヘッド10は、その下端部に形成した押出口から略円柱形状に形成された溶融樹脂9を連続的に下方に押し出している。
【0019】
押し出された溶融樹脂9は、カッター28によって切断され、押出口から切り離される。切り離された溶融樹脂9は、保持ユニット17のホルダー22,23を閉じることによって収納凹部24,25内に溶融樹脂9が保持される。溶融樹脂9は、ダイヘッド10から吐出される時に、蒸気状のアセトアルデヒドやオリゴマーが発生しており、ホルダー22,23を閉じる前に、噴出孔34から気体を噴出する。気体を噴出することによって、オリゴマーを保持ユニット17の外に吹き飛ばすことができ、併せて溶融樹脂9の保持部となる収納凹部24,25を冷却するとともに、溶融樹脂9の表面を冷却することができる。
このように、収納凹部24,25の内面と溶融樹脂の表面を冷却することによって、溶融樹脂9が、収納凹部24,25の内面に付着しにくくなる。
【0020】
保持ユニット17に保持された溶融樹脂9は、溶融樹脂9と収納凹部24,25との間に凹凸部31a,31bによって隙間が形成されるので、隙間の上端又は下端からオリゴマーを逃がすことができる。さらには、凹部31aに噴出孔34を形成することによって、噴出孔34から噴出された気体が縦溝31と溶融樹脂9との隙間を流通することによって、保持ユニット17における溶融樹脂9の搬送中に発生するオリゴマーなどを外部に排出することができる。
保持ユニット17は、溶融樹脂9を保持しながら回転軌道を移動し、保持ユニット17が圧縮成形機4のキャビティー型52の上に移動したときに、図7のAに示すように、保持ユニット17は、キャビティー型52とネックハーフ53との間に入り込む。すなわち、互いの軌道が同一軌道32(図2参照)上に移動したときに、保持ユニット17のホルダー22,23を開状態にして、保持ユニット17からキャビティー型52の内孔54に溶融樹脂9が供給される。
【0021】
この際、保持ユニット17の収納凹部24,25に縦溝31を形成したので、収納凹部24,25の内面と溶融樹脂との接触面積が小さくなるので、溶融樹脂9の滑り性が向上し内孔54に溶融樹脂9を効率よく落とし入れることができる。蒸気状のオリゴマーは、収納凹部24,25の内面に付着しようとするが、縦溝31の隙間から外部に排出され、収納凹部24,25への付着が軽減される。
このように、オリゴマー等の付着を防止するようにしたので、保持グリップ17を開放しても溶融樹脂が落下しなくなり、溶融樹脂を圧縮成形機の金型に供給できなくなるような不具合を回避することができる。また、オリゴマーなどが付着しても、付着量が少なくなるため、清掃に至るまでの時間を長くすることができ、樹脂材料の損失が軽減する効果がある。
【0022】
溶融樹脂は、図7のCに示すように、ネックハーフ53が下降してキャビティー型52の上に配設され、その後コア55が下降して、ネックハーフ53の貫通孔53aと内孔54内に差し込まれる。
こうして、図7のDに示すように、成形されるプリフォーム27と同じ形状の隙間が形成され、溶融樹脂9が内孔54及びネックハーフ53側の隙間を充填し、溶融樹脂9がコア55に圧縮されてプリフォーム27が形成される。
プリフォーム27が成形されると、プリフォーム27は冷却されながら、図1に示すように、キャビティー型52の移動により。出口ホイール6のグリップ35の円軌道に接近する。そして、ネックハーフ53とコア55がプリフォーム27を支持したまま上昇し、キャビティー型52からプリフォーム27を抜き出して、取り出しコンベア7へ移送し、プリフォーム27は次工程のブロー成形の成形ラインなどに搬送される。
このようなプリフォーム27は、ブロー成形によって容器にされたような場合は、アセトアルデヒドやオリゴマーが付着していないので、飲料の風味に悪影響を及ぼすことがない。
【0023】
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の技術的思想に基づいて、勿論、本発明は種々の変形又は変更が可能である。
例えば、縦溝31は、溶融樹脂9の落下を妨げない程度に傾斜した螺旋状の溝でもよい。
また、カッター28は保持ユニット17に備えなくとも、例えば押出機2のダイヘッド10の下方側に別途設けられていてもよい。
さらには、本装置は、保持ユニット17や金型が多数、連続回転するものに限らず、1個取りでもよいし、直線搬送形式でも適用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【図1】本発明の実施形態による樹脂供給装置を備えた圧縮成形装置の全体の概略平面図である。
【図2】図1の樹脂供給装置周辺の拡大平面図である。
【図3】図1の圧縮成形機の保持ユニットを支持する構造部材の側面図である。
【図4】図1の樹脂供給装置の保持ユニットの構造を説明するための概略図であって、Aは保持ユニットの平面図、Bは右側面図、Cは背面図、Dは保持ユニットが開いた状態の平面図である。
【図5】Aは、図1の保持ユニットの基部の水平方向の断面図、Bは、保持ユニットのホルダーの水平方向の断面図、CはBの円X内の縦溝の拡大断面図である。
【図6】図5の保持ユニットの基部に形成した縦溝を示し、Aでは、基部の収納凹部に中間位置の上部から下端にわたって縦溝を形成した状態の正面図、Bは収納凹部の中間位置の下部から上端にわたって縦溝を形成した状態の正面図、Cは、収納凹部の上端から下端の全体にわたって、縦溝を形成した状態の正面図、Dは上記Aと縦溝が同じであり、気体の噴出口を形成した例の正面図、Eは上記Cと縦溝が同じであり、気体の噴出口を縦溝に形成した例の正面図である。
【図7】図1に示す圧縮成形機のプリフォームの圧縮工程を示す図であって、Aは、保持ユニットからキャビティー型に溶融樹脂を供給する直前の状態の断面図、Bはキャビティー型に溶融樹脂を供給した状態の断面図、Cはネックハーフがキャビティー型上に連結され、コアがそれらの貫通孔及び内孔に差し込まれている状態の断面図、Dは溶融樹脂を圧縮してプリフォームを成形している状態の断面図である。
【符号の説明】
【0025】
1 溶融樹脂供給装置
2 押出機
3 樹脂供給装置
4 圧縮成形機
9 溶融樹脂
17 保持ユニット
21 基部
22,23 ホルダー
24,25 収納凹部
27 プリフォーム
31 縦溝
31a 凹部
31b 凸部
34 噴出孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
軌道上を移動しながら、押出機の吐出口から排出されてカッターによって切断された溶融樹脂を保持する開閉自在の保持部を有する保持ユニットを備え、該保持部を開放させて溶融樹脂を圧縮成形機の雌型に投下するようにした溶融樹脂供給装置において、
前記溶融樹脂を保持する保持部の内周面に上下方向に延びる複数の溝を形成するようにしたことを特徴とする、溶融樹脂供給装置。
【請求項2】
前記保持部に該保持部の内周面及び/又は前記溶融樹脂の表面に気体を吹き付ける気体吹付手段を設けたことを特徴とする、請求項1に記載の溶融樹脂供給装置。
【請求項3】
前記保持部の内周面に形成した前記溝の断面形状が波形状であることを特徴とする、請求項1又は2に記載の溶融樹脂供給装置。
【請求項4】
前記保持部が溶融樹脂を保持した状態で、溶融樹脂と前記保持部の内周面に前記気体吹付手段が気体を流すようにしたことを特徴とする、請求項2または3のいずれかに記載の溶融樹脂供給装置。
【請求項5】
前記保持部の内周面に表面処理が施されていることを特徴とする、請求項1〜4のいずれかに記載の溶融樹脂供給装置

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2009−73095(P2009−73095A)
【公開日】平成21年4月9日(2009.4.9)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−245461(P2007−245461)
【出願日】平成19年9月21日(2007.9.21)
【出願人】(000003768)東洋製罐株式会社 (1,150)
【Fターム(参考)】