説明

溶解ドメイン融合コンストラクト及びその生成及び使用方法

本発明は、融合コンストラクト、融合コンストラクトを使用する方法、及び腫瘍、癌、新生物及び悪性腫瘍有害もしくは異常な細胞の増殖又は過増殖疾患を治療する方法に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本出願は、2008年1月24日に出願された米国特許仮出願61/023,377に基づく優先権を主張する。同米国仮出願の内容は、参照により、全体として本発明に組み込まれる。
【0002】
本発明は、融合コンストラクト、融合コンストラクトの使用方法及び非転移性及び転移性の新生物、癌、腫瘍及び悪性腫瘍等の有害なもしくは異常な細胞増殖性又は細胞過増殖性疾患を治療する方法に関する。
【背景技術】
【0003】
癌患者の5年生存率を見れば、原発腫瘍及び転移を治療する新しい治療法の開発が必要とされていることは明らかである。遠位転移性疾患がある場合の肺癌、結腸直腸癌、乳腺癌及び前立腺癌の患者の5年生存率はわずか10〜40%に過ぎない。
【発明の概要】
【0004】
本発明は、結合部に融合され又は結合された溶解ドメインに少なくとも部分的に基づく。この溶解ドメインは、本明細書において、融合コンストラクトと称される。細胞が溶解ドメインに接触すると、細胞膜の破壊を引き起こし、細胞死に至ると考えられている。結合部は、溶解ドメインが破壊する細胞を標的とする。この標的となる細胞には、非転移性及び転移性の新生物、癌、腫瘍及び悪性腫瘍等の有害な又は異常な増殖細胞又は過剰増殖細胞(hyperproliferating cell)が含まれる。多くの非転移性及び転移性の新生物細胞、癌細胞、腫瘍細胞及び悪性腫瘍細胞は、レセプタやリガンドを過剰に発現する。例えば、多くの非転移性及び転移性の新生物、癌、腫瘍及び悪性腫瘍は、黄体形成ホルモン/絨毛性ゴナドトロピン(LH/CG)や黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)等のホルモン、成長因子、サイトカイン、抗体等と結合するレセプタを発現する。これらは、融合コンストラクトの結合部として用いられる。
【0005】
融合コンストラクトは、結合部の結合部位を発現させるあらゆる細胞や細胞集団を標的とすることができる。リガンド、抗体及びこれらの断片、成長因子、サイトカイン等の結合部は、溶解ドメインと結び付けられ、レセプタ、抗原、抗体、リガンド等を発現したり含んだりする細胞を標的として破壊し、これにより細胞の増殖や成長を減少させ阻害する。
【0006】
融合コンストラクトは、標的細胞を破壊するために、細胞が分裂することを必要としない。また、融合コンストラクトは、サイズの面で相対的に小さくなるように生成されるので、免疫原性でないことが多い。さらに、融合コンストラクトは、多剤耐性細胞を破壊する。
【0007】
また、融合コンストラクトは、抗細胞増殖性又は殺細胞活性の観点で大きな細胞毒性活性(低IC50)及び低溶血活性(HA50)を有し、同じような活性を有する他の化合物よりもIC50とHA50との比(IC50/HA50)が小さくなる。例えば、融合コンストラクトは、Phor21−βCG−ala、Phor21−GSGGS−βCG−ala、Phor21−ASAAS−βCG−ala又はPhor14−βCG−alaよりも大きな抗細胞増殖性を有し、Phor21−βCG−ala、Phor21−GSGGS−βCG−ala、Phor21−ASAAS−βCG−ala又はPhor14−βCG−alaよりも小さなIC50/HA50比を有し、0.02、0.01又は0.005よりも小さなIC50/HA50比を有する。融合コンストラクトがより大きな抗細胞増殖性を有することは低IC50値によって確認される。
【0008】
本発明によれば、第1及び第2のドメインを含む融合コンストラクトが提供される。一実施形態において、融合コンストラクトは、例えばKFAKFAKKFAKFAKK、KFAKFAKKFAKFAKKF、KFAKFAKKFAKFAKKFA、KFAKFAKKFAKFAKKFAK、KFAKFAKKFAKFAKKFAKF、KFAKFAKKFAKFAKKFAKFA、及び、KFAKFAKKFAKFAKKFAKFAKKFAKFAKから選択されるペプチド配列を含み12、13、15、16、17、18、19、20、22、23、24、25、26、27又は28のL−又はD−アミノ酸配列残基からなる第1のドメインと、標的部もしくは結合部を含み又は当該標的部もしくは当該結合部からなる第2のドメインと、を含み、又は、当該第1のドメインと当該第2のドメインとからなる。他の実施形態における融合コンストラクトは、KFAKFAKKFAKFAKK、KFAKFAKKFAKFAKKF、KFAKFAKKFAKFAKKFA、KFAKFAKKFAKFAKKFAK、KFAKFAKKFAKFAKKFAKF、KFAKFAKKFAKFAKKFAKFA、及び、KFAKFAKKFAKFAKKFAKFAKKFAKFAKから選択されるL−又はD−アミノ酸配列からなる第1のドメインと、標的部もしくは結合部を含み又は当該標的部もしくは当該結合部からなる第2のドメインと、を含み、又は、当該第1のドメインと当該第2のドメインとからなる。さらに他の実施形態において、融合コンストラクトは、KFAKFAKKFAKFAKK、KFAKFAKKFAKFAKKF、KFAKFAKKFAKFAKKFA、KFAKFAKKFAKFAKKFAK、KFAKFAKKFAKFAKKFAKF、KFAKFAKKFAKFAKKFAKFA、及び、KFAKFAKKFAKFAKKFAKFAKKFAKFAKから選択されるL−又はD−アミノ酸配列からなる第1のドメインと、1−25のL−又はD−アミノ酸配列(例えば、標的部もしくは結合部)からなり第1のドメインと異なる第2のドメインと、を含み、又は、当該第1のドメインと当該第2のドメインとからなる。
【0009】
本発明によれば、第1のドメインを含み、又は、第1のドメインからなる単離され又は精製されたペプチドが提供される。様々な実施形態において、単離され又は精製されたペプチドは、KFAKFAKKFAKFAKK、KFAKFAKKFAKFAKKF、KFAKFAKKFAKFAKKFA、KFAKFAKKFAKFAKKFAK、KFAKFAKKFAKFAKKFAKF、又は、KFAKFAKKFAKFAKKFAKFAである。他の実施形態において、単離され又は精製されたペプチドは、KFAKFAKKFAKFAKK、KFAKFAKKFAKFAKKF、KFAKFAKKFAKFAKKFA、KFAKFAKKFAKFAKKFAK、KFAKFAKKFAKFAKKFAKF、又は、KFAKFAKKFAKFAKKFAKFAである。ここで、単数又は複数のK残基はF残基又はL残基のいずれかで、単数又は複数のF残基はK残基、A残基又はL残基のいずれかで、単数又は複数のA残基はK、F残基又はL残基のいずれかで置換することがそれぞれ可能である。
【0010】
融合コンストラクトは、レセプタ、リガンド又は抗原に結合する結合部を含む。結合部も、リガンド、抗原又は抗体を含む。リガンドは、レセプタアゴニスト又はアンタゴニスト等のレセプタに結合する分子を含み、又は、当該分子からなる。結合部は、線形構造もしくは環状構造を含み、又は、線形構造もしくは環状構造からなる。
【0011】
結合部は、例えば、単数又は複数のアミノ酸(例えば、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質)、核酸及び炭水化物を含む。結合部の種類には、例えば、レセプタに結合するホルモン、ホルモンアナログ及びホルモンもしくはホルモンアナログの断片、成長因子、サイトカイン、抗体等が含まれる。ホルモンの例として、ゴナドトロピン放出ホルモンもしくはその類似物質、黄体形成ホルモンβ鎖、黄体形成ホルモン、絨毛性ゴナドトロピン、絨毛性ゴナドトロピンβサブユニット、メラニン細胞刺激ホルモン、エストラジオール、ジエチルスチルベストロール、ラクトフェリン、ドーパミン、ソマトスタチンもしくはその類似物質、卵胞刺激ホルモン(FSH)、グルココルチコイド、エストロゲン、テストステロン、アンドロステンジオン、ジヒドロテストステロン、デヒドロエピアンドロステロン、アンドロゲン、プロゲステロン、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、インスリン、カテコールアミン、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、アンジオテンシン、抗利尿ホルモン、カルシトニン、コレシストキニン、ボンベシン、副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン、ガストリン、グレリン、グルカゴン、成長ホルモン放出ホルモン及びその類似物質、インヒビン、オレキシン、KiSSペプチド(GPR54)、キスペプチン、プロラクチン、プロラクチン放出ホルモン、成長ホルモン、Her2/neu、葉酸、ビタミンH、フェリチン、副甲状腺ホルモン、レラキシン、セクレチン、甲状腺刺激ホルモン放出ホルモン、エンドセリン、レニン、リポトロピン、メラトニンが含まれる。成長因子の例には、上皮細胞増殖因子(EGF)、インスリン様増殖因子I及びII(IGF−1、IGF−2)、血管内皮増殖因子(VEGF)、神経成長因子(NGF)、線維芽細胞増殖因子(FGF)、形質転換成長因子α及びβ(TGFα、TGFβ)、血小板由来増殖因子(PDGF)、肝細胞増殖因子(HGF)、セルロプラスミン等が含まれる。サイトカイン又はリガンドの例には、インターロイキン(例えば、インターロイキン2、インターロイキン17、CD154、Fasリガンド等)、腫瘍壊死因子(TNFs)、インターフェロン等が含まれる。
【0012】
結合部は、細胞において発現されてもよい。結合部(例えば、レセプタ、リガンド、抗原、抗体)を発現し、又は、本発明の方法に従って標的とされる細胞には、過増殖性細胞(hyperproliferative
cell)が含まれる。レセプタ、リガンド、又は抗原を発現し、又は、本発明の方法に従って標的とされる細胞には、乳腺細胞、卵巣細胞、子宮細胞、頸部細胞、前立腺細胞、精巣細胞、膵臓細胞、皮膚細胞、血液細胞、副腎細胞、下垂体細胞及び子宮内膜細胞も含まれる。細胞において発現される結合部の種類の例には、ホルモンレセプタ、サイトカイン、成長因子(例えば、EGFレセプタ、Her2/neu、ROR1)、フェリチン、トランスフェリン受容体、細胞接着分子等が含まれる。増殖細胞において発現され、又は、抗体もしくはその断片の標的となる抗原の例には、CD19、CD20、CD23、CD27、CD28、CD30、CD33、CD40、CD52、CD56、CD70、CD154、免疫グロブリン様レセプタ等が含まれる。また、抗原には、例えば、前立腺特異抗原(PSA)、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、癌胎児性抗原(CEA)、αフェトプロテイン(AFP)、前立腺特異抗原(PSA)、癌抗原125(CA−125)及び本明細書において開示されるリガンドに結合する他のレセプタ分子が含まれる。
【0013】
第1及び第2のドメインは、アミノ酸もしくはアミノ酸配列を含み、又は、アミノ酸もしくはアミノ酸配列からなる。具体的には、第1又は第2のドメインは、約10、10から20、15から20(すなわち、15、16、17、18、19又は20のアミノ酸)、20から30、30から40、40から50、60から70、70から80、80かラ90、90カラ100又はそれ以上のアミノ酸残基を有する。
【0014】
一態様において、第1のドメインは、両親媒性αヘリックス構造を含み、又は、両親媒性αヘリックス構造からなる。一態様において、第2のドメインは、SYAVALSAQAALARR又はQHWSYGLRPGで表されるアミノ酸配列を含み、又は、当該アミノ酸配列からなる。
【0015】
第1及び第2のドメインは、互いに対してNH末端又はC末端に位置してもよい。このように、一実施形態において、第1の(溶解ペプチド)ドメインは、第2の(結合部又はリガンド)ドメインに対して、NH末端に位置する。また、他の実施形態において、第2の(結合部又はリガンド)ドメインは、第1の(溶解ペプチド)ドメインに対してC末端に配置される。
【0016】
第1及び第2のドメインは、単数又は複数のD−アミノ酸を含み、又は、単数又は複数のD−アミノ酸からなるようにしてもよい。具体的には、第1のドメインは、K、F又はA残基等にD−アミノ酸を有する。
【0017】
第1及び第2のドメインは、共有結合によって結合されてもよい。例えば、第1及び第2のドメインは、ペプチドリンカー又は非ペプチドリンカーによって結合されてもよい。具体的には、第1及び第2のドメインは、約1から25のアミノ酸残基又は線状炭素鎖を有するペプチド配列によって結合される。さらに他の態様において、第1及び第2のドメインは、単数又は複数のA、S又はGアミノ酸残基を含む、又は、単数又は複数のA、S又はGアミノ酸残基からなるペプチド配列によって結合される。他の態様における第1及び第2のドメインは、GSGGS、ASAAS又はCCCCCCを含むペプチド配列、又は、GSGGS、ASAAS又はCCCCCCからなるペプチド配列によって結合される。
【0018】
第1及び第2のドメインは、追加的なドメインを更に含んでもよく、又は、追加的なドメインからなるようにしてもよい。このように、様々な態様において、融合コンストラクトは、第3、第4、第5、第6、第7ドメイン等を含む。
【0019】
融合コンストラクトは、単離され精製された剤形を含み、又は、単離され精製された剤形からなる。融合コンストラクトは、混合物を含み、又は、混合物からなる。かかる混合物は組成物を含み、この組成物は、例えば、融合コンストラクトと被験者への投与やインビボ接触に適しており薬学的に許容されたキャリアもしくは賦形剤との混合物、又は、融合コンストラクトと抗細胞増殖剤もしくは免疫刺激剤との混合物である。
【0020】
融合コンストラクトは、単位投与剤形を含み、又は、単位投与剤形からなる。一実施形態における融合コンストラクトは、有害な細胞増殖又は過増殖疾患を有する被験者を治療するために効果のある量の単位投与量である。他の実施形態における融合コンストラクトでは、新生物、腫瘍又は癌を有する被験者を治療するために効果のある量が単位投与量になる。他の実施形態の融合コンストラクトにおいては、被験者の生殖能力を減少させるために有効な量が単位投与量になる。
【0021】
融合コンストラクトは、キットに含まれていてもよく、特に方法を実行するための説明書とともにキットに含まれていてもよい。一実施形態におけるキットは、細胞の増殖を減少又は抑制し、過剰増殖細胞の増殖を減少又は抑制し、新生物細胞、腫瘍細胞又は癌細胞の増殖を減少又は抑制し、過増殖疾患を有する被験者を治療し、新生物、腫瘍又は癌を有する被験者を治療し、又は、動物の生殖能力を減少させるための融合コンストラクト及び説明書を含む。
【0022】
本発明によれば、融合コンストラクトをコードする核酸が提供される。一実施形態において、核酸は、KFAKFAKKFAKFAKK、KFAKFAKKFAKFAKKF、KFAKFAKKFAKFAKKFA、KFAKFAKKFAKFAKKFAK、KFAKFAKKFAKFAKKFAKF、KFAKFAKKFAKFAKKFAKFA、及び、KFAKFAKKFAKFAKKFAKFAKKFAKFAKから選択されるペプチド配列を含み12、13、15、16、17、18、19、20、22、23、24、25、26、27もしくは28のL−又はD−アミノ酸配列残基からなる第1のドメインと、標的部もしくは結合部を含み又は当該標的部もしくは当該結合部からなる第2のドメインと、を含む融合コンストラクトをコードし、又は、当該第1のドメインと当該第2のドメインとからなる融合コンストラクトをコードする。他の実施形態において、核酸は、KFAKFAKKFAKFAKK、KFAKFAKKFAKFAKKF、KFAKFAKKFAKFAKKFA、KFAKFAKKFAKFAKKFAK、KFAKFAKKFAKFAKKFAKF、KFAKFAKKFAKFAKKFAKFA、及び、KFAKFAKKFAKFAKKFAKFAKKFAKFAKから選択されるL−又はD−アミノ酸配列からなる第1のドメインと、標的部もしくは結合部を含み又は当該標的部もしくは当該結合部からなる第2のドメインと、を含む融合コンストラクトをコードし、又は、当該第1のドメインと当該第2のドメインとからなる融合コンストラクトをコードする。さらに他の実施形態における核酸は、KFAKFAKKFAKFAKK、KFAKFAKKFAKFAKKF、KFAKFAKKFAKFAKKFA、KFAKFAKKFAKFAKKFAK、KFAKFAKKFAKFAKKFAKF、KFAKFAKKFAKFAKKFAKFA、及び、KFAKFAKKFAKFAKKFAKFAKKFAKFAKから選択されるL−又はD−アミノ酸配列からなる第1のドメインと、1−25のL−又はD−アミノ酸配列(例えば、標的部もしくは結合部)からなり第1のドメインと異なる第2のドメインと、を含む融合コンストラクトをコードし、又は、当該第1のドメインと当該第2のドメインとからなる融合コンストラクトをコードする。
【0023】
核酸は、細胞内で発現して融合コンストラクトをコードする発現ベクター等のベクターに含まれていてもよい。宿主細胞は、核酸によってコードされた融合コンストラクトを当該細胞が発現するようにベクターに含まれる核酸によって形質転換される。
【0024】
融合コンストラクトは、例えば、細胞増殖を減少させ又は阻害するため、過剰増殖細胞の増殖を減少させ又は阻害するため、新生物細胞、腫瘍細胞、癌細胞又は悪性腫瘍細胞の増殖を減少させ又は阻害するため、過剰増殖細胞や過増殖疾患等の有害な又は異常な細胞の増殖を治療するために用いられる。過増殖疾患の例には、良性過形成、非転移性及び転移性の新生物、癌、腫瘍及び悪性腫瘍(例えば、固形又は液性腫瘍、骨髄腫、リンパ腫、白血病、上皮性悪性腫瘍、肉腫、黒色腫、神経系腫瘍、網内系腫瘍及び造血細胞腫瘍)を含む。
【0025】
本発明によれば、細胞増殖を減少させ又は阻害する方法、過剰増殖細胞の増殖を減少させ又は阻害する方法、及び、新生物細胞、腫瘍細胞、癌細胞又は悪性腫瘍細胞の増殖を減少させ又は阻害する方法が提供される。様々な実施形態に係る方法は、細胞の増殖を減少させ又は阻害するために十分な量の融合コンストラクトを細胞に接触させること、過剰増殖細胞の増殖を減少させ又は阻害するために十分な量の融合コンストラクトを細胞に接触させること、及び、新生物細胞、腫瘍細胞、癌細胞又は悪性腫瘍細胞の増殖を減少させ又は阻害するために十分な量の融合コンストラクトを細胞に接触させることを含む。
【0026】
本発明によれば、レセプタや抗原を発現させる細胞の増殖を選択的に減少させ又は阻害し、レセプタや抗原を発現する過剰増殖細胞の増殖を選択的に減少させ又は阻害し、レセプタや抗原を発現させる新生物細胞、腫瘍細胞、癌細胞又は悪性腫瘍細胞の増殖を選択的に減少させ又は阻害する方法が提供される。様々な実施形態に係る方法は、細胞の増殖を減少させ又は阻害するために十分な量の融合コンストラクトを細胞に接触させることを含む。また、様々な実施形態に係る方法は、当該細胞によって発現されるレセプタ、リガンド又は抗原にペプチドの結合部が結合し、過剰増殖細胞の増殖を減少させ又は阻害するために十分な量の融合コンストラクトを細胞に接触させることを含む。また、様々な実施形態に係る方法は、当該過剰増殖細胞によって発現されるレセプタ、リガンド又は抗原にペプチドの結合部が結合し、さらに、新生物細胞、腫瘍細胞、癌細胞又は悪性腫瘍細胞の増殖を減少させ又は阻害するために十分な量の融合コンストラクトを細胞に接触させることを含み、当該細胞によって発現されるレセプタ、リガンド又は抗原にペプチドの結合部が結合する。
【0027】
本発明の方法に従って標的とされる細胞は、性ステロイドホルモンや性腺ステロイドホルモン又は性ステロイドホルモンレセプタや性腺ステロイドホルモンレセプタ等のホルモンレセプタ等のレセプタや抗原を含む。本発明の方法に従って標的とされる細胞には、ゴナドトロピン放出ホルモンI、ゴナドトロピン放出ホルモンII、ヤツメウナギIII黄体形成ホルモン放出ホルモン、黄体形成ホルモンβ鎖、黄体形成ホルモン、絨毛性ゴナドトロピン、絨毛性ゴナドトロピンβサブユニット、メラニン細胞刺激ホルモン、エストラジオール、ジエチルスチルベストロール、ドーパミン、ソマトスタチン、卵胞刺激ホルモン(FSH)、グルココルチコイド、エストロゲン、テストステロン、アンドロステンジオン、ジヒドロテストステロン、デヒドロエピアンドロステロン、プロゲステロン、アンドロゲン、プロラクチン、プロラクチン放出ホルモン、抗利尿ホルモン、アンジオテンシン、カテコールアミン、上皮細胞増殖因子(EGF)、インスリン様成長因子−1及び−2(IGF−1、IGF−2)、成長ホルモン(GH)、Her2/neu、ビタミンH、葉酸、トランスフェリン、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、副甲状腺ホルモン(PTH)、エンドセリン、ボンベシン、レニン、リポトロピン、メラトニンホルモン、レラキシン、セクレチン、成長ホルモン、血管内皮増殖因子(VEGF)、血管作動性腸管ペプチド、ラクトフェリン、インテグリン(例えば、α5β1インテグリン)、神経成長因子、形質転換成長因子α及びβ(TGF−α及びβ)、肝細胞増殖因子(HGF)、線維芽細胞増殖因子(FGF)、CD−33、CD19、CD20、CD40、ROR1、IGF−1、癌胎児性抗原(CEA)、αフェトプロテイン(AFP)、前立腺特異抗原(PSA)、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、癌抗原125(CA−125)、インターロイキン17、CD154、可溶性インターロイキン−2(IL−2)レセプタ、チロシナーゼ、MAGE−1、MAGE−2、NY−ESO−1、Melan−A/MART−1、糖タンパク質(gp)75、gp100、βカテニン、PRAME、MUM−1、ZEP161、ユビキチン−1、HOX−B6、YB−1、オステオネクチン、ILF3、葉酸又は葉酸誘導体、腫瘍壊死因子(TNF)ファミリーメンバー、TNF−α、TNF−β(リンフォトキシン、LT)、腫瘍壊死因子関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)、脂肪酸合成酵素(FAS)、LIGHT、41BB、形質転換成長因子α、形質転換成長因子β、インスリン、セルロプラスミン、HIV−tat、RGD配列モチーフを含むペプチド又はタンパク質、単糖、二糖、オリゴ糖、シアル酸、ガラクトース、マンノース、フコース、又はアセチルノイラミン酸に結合するレセプタを発現する細胞も含まれる。
【0028】
実行される方法には、例えば、過剰増殖細胞や有害な増殖細胞のような細胞の増殖、生存、分化、死又は活動を抑制・減少させ又は避けることが必要な被験者に接触することを含む。被験者の例には、有害な又は異常な細胞の増殖又はその危険がある被験者、良性過形成を有し又はその危険がある被験者、又は、非転移性もしくは転移性の新生物、癌、腫瘍又は悪性腫瘍(例えば、固形又は液性腫瘍、骨髄腫、リンパ腫、白血病、上皮性悪性腫瘍、肉腫、黒色腫、神経系腫瘍、網内系腫瘍及び造血細胞腫瘍)を有し又はその危険がある被験者が含まれる。
【0029】
本発明によれば、過増殖疾患を有する被験者を治療する方法、及び、被験者新生物、腫瘍、癌又は悪性腫瘍(転移性の、非転移性の又は良性のもの)を有する被験者を治療する方法がさらに提供される。様々な実施形態における方法には、過増殖疾患を治療するために十分な量の融合コンストラクトを被験者に投与すること、及び、新生物、腫瘍、癌又は悪性腫瘍の増殖を減少させ又は阻害するために十分な量の融合コンストラクトを被験者に投与することが含まれる。
【0030】
方法には、転移やその危険がある被験者を治療する方法が含まれる。例えば、腫瘍、癌又は新生物が被験者の体内の他部位又は多領域へ拡散し播種することを減少させ又は阻害するために効果のある量の融合コンストラクトを投与することが含まれる。様々な実施形態に係る方法は、原発腫瘍又は癌が単数又は複数の他の部位への転移、及び、単数又は複数の他部位における転移の形成を減少又は抑制し、それによって腫瘍や癌の再発又は腫瘍や癌の進行を減少又は抑制する。他の実施形態に係る方法において、転移の可能性があり又は実際に転移している腫瘍細胞又は癌細胞(例えば、播種性腫瘍細胞)の成長、増殖、移動度又は侵潤性を減少又は抑制し、原発部位から離れた単数又は複数の部位へ原発腫瘍や癌から起こる転移の形成を減少又は抑制し、転移が形成された後に原発部位から離れた単数又は複数の他部位における転移が成長し増殖することを減少又は抑制し、又は、転移が形成された後にさらに転移が形成されることを減少又は抑制する。さらに他の実施形態に係る方法においては、新生物、腫瘍、癌又は悪性腫瘍の再発又は進行が減少又は抑制される。
【0031】
本発明によれば、新生物、腫瘍、癌又は悪性腫瘍の他部位への転移を減少又は抑制し、原発性の新生物、腫瘍、癌又は悪性腫瘍から遠位にある他部位において転移性の新生物、腫瘍、癌又は悪性腫瘍が形成されることを減少又は抑制する方法が提供される。様々な実施形態に係る方法には、新生物、腫瘍、癌又は悪性腫瘍の他部位への転移を減少又は抑制するため、又は、原発性の新生物、腫瘍、癌又は悪性腫瘍から遠位にある他部位において転移性の新生物、腫瘍、癌又は悪性腫瘍が形成することを減少又は抑制するために十分な量の融合コンストラクトを被験者へ投与することが含まれる。
【0032】
本発明に従って治療可能な新生物、腫瘍、癌及び悪性腫瘍には、固形細胞塊、造血細胞又は上皮性悪性腫瘍、肉腫(例えば、リンパ肉腫、脂肪肉腫、骨肉腫、軟骨肉腫、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫又は線維肉腫)、リンパ腫、白血病、腺腫、腺癌、黒色腫、神経膠腫、膠芽細胞腫、髄膜腫、神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫、星状細胞腫、オリゴデンドロサイトーマ(オリゴデンドログリオーマ)、中皮腫、網内系・リンパ系・造血系新生物、腫瘍、癌又は悪性腫瘍(例えば、骨髄腫、リンパ腫又は白血病)が含まれる。
【0033】
本発明に従って治療可能な新生物、腫瘍、癌及び悪性腫瘍は、肺(肺小細胞癌又は非小細胞肺癌)、甲状腺、頭部もしくは頸部、鼻咽頭、咽喉部、鼻部もしくは鼻腔部、脳、脊椎、乳腺、副腎、下垂体、甲状腺、リンパ液、胃腸(口腔、食堂、胃、十二指腸、回腸、空腸(小腸)、結腸、直腸)、泌尿生殖器(子宮、卵巣、頸部、子宮内膜、膀胱、睾丸、陰茎、前立腺)、腎臓、膵臓、肝臓、骨、骨髄、リンパ液、血液、筋肉、皮膚、又は幹細胞の新生物、腫瘍、癌、もしくは悪性腫瘍に存在することがある。
【0034】
方法は、外科的切除、放射線治療、電離放射線治療もしくは化学放射線治療、化学療法、免疫療法、局所温熱療法又はワクチン接種等の他の治療方法とともに実施される。このような治療方法は、融合コンストラクトの投与前に、(融合コンストラクトとは別に又は融合コンストラクトと混合して)融合コンストラクトと同時に、又は、融合コンストラクトの投与後に、実施される。一実施形態における方法には、抗細胞増殖治療、抗新生物治療、抗腫瘍治療、抗癌治療又は免疫増強治療を実施することが含まれる。他の実施形態における方法には、アルキル化剤、代謝拮抗剤、植物エキス、植物性アルカロイド、ニトロソウレア、ホルモン、ヌクレオチドもしくはヌクレオチド類似体、シクロホスファミド、アザチオプリン、シクロスポリンA、プレドニゾロン、メルファラン、クロラムブシル、メクロレタミン、ブスルファン、メトトレキサート、6−メルカプトプリン、チオグアニン、5−フルオロウラシル、シトシンアラビノシド、5−アザシチジン(5−AZC)及び5−アザシチジン関連化合物、ブレオマイシン、アクチノマイシンD、ミトラマイシン、マイトマイシンC、カルムスチン、ロムスチン、セムスチン、ストレプトゾトシン、ヒドロキシウレア、シスプラチン、カルボプラチン、オキサリプラチン、ミトタン、プロカルバジン、ダカルバジン、タクソール、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ドキソルビシン又はジブロモマンニトール、トポイソメラーゼ阻害剤、(イリノテカン、トポテカン、エトポシド、テニポシド)、ゲムシタビン、ペメトレキセド等を投与することが含まれる。細胞治療又は免疫治療には、リンパ球、形質細胞、マクロファージ、樹枝状細胞、T細胞、ナチュラルキラー細胞もしくはB細胞、抗体、細胞成長因子、細胞生存因子、細胞分化因子、又は、例えばインターロイキンIL−2、IL−1α、IL−1β、IL−3、IL−6、IL−7、顆粒球・マクロファージ・コロニー刺激因子(GMCFC)、IFN−γ、IL−12、TNF−α、TNFβ、MIP−1a, MIP−1β、RANTES、SDF−1、MCP−1、MCP−2、MCP−3、MCP−4、エオタキシン、エオタキシン−2、I−309/TCA3、ATAC、HCC−1、HCC−2、HCC−3、LARC/MIP−3α、PARC、TARC、CKβ、CKβ 6、CKβ7、CKβ8、CKβ9、CKβ11、CKβ12、C10、IL−8、GROα、GROβ、ENA−78、GCP−2、PBP/CTAPIIIβ−TG/NAP−2、Mig、PBSF/SDF−1、もしくはリンフォタクチン(lymphotactin))等のサイトカインもしくはケモカインが含まれる。
【0035】
融合コンストラクトとともに用いることができる追加剤は、抗体や小分子等の標的薬又は生物薬剤である。モノクロナール抗体には、本発明に係る融合コンストラクト等と組み合わせて用いられるリツキシマブ(リツキサン(登録商標)))、トラスツズマブ(ハーセプチン)、ベバシズマブ(アバスチン)、セツキシマブ(アービタックス)、アレムツズマブ(キャンパス)、パニツムマブ(ベクチビックス)、イブリツモマブ・チウキセタン(ゼヴァリン)、トシツモマブ(ベクザー)等が含まれる。本発明の融合コンストラクトとともに用いられる他の標的薬には、イマチニブ(グリベック)、ゲフィチニブ(イレッサ)、ボルテゾミブ(ベルケイド)、ラパチニブ(Tykerb)、スニチニブ(スーテント)、ソラフェニブ(ネクサバール)、ニロチニブ(Tasigna)等がある。
【0036】
本発明の方法によって、被験者に便益が供される。一実施形態における治療方法は、新生物細胞、腫瘍細胞、癌細胞又は悪性腫瘍細胞の質量、体積、サイズもしくは細胞数を部分的にもしくは完全に破壊し、新生物細胞、腫瘍細胞、癌細胞又は悪性腫瘍細胞の壊死、溶解もしくはアポトーシスを活性化、促進もしくは増加させ、新生物、腫瘍、癌又は悪性腫瘍の体積、サイズ、細胞質量を減少させ、新生物、腫瘍、癌又は悪性腫瘍の体積、質量、サイズもしくは細胞数の増加もしくは進行を抑制もしくは防止し、又は寿命を延ばし、新生物、腫瘍、癌又は悪性腫瘍によって引き起こされる症状や合併症の重症度、継続時間もしくは頻度を減少させ、痛み、吐き気、衰弱もしくは倦怠感を減少させ、又は活力や食欲を増加させ、移動度を改善し、精神的充足感を増大させる。
【0037】
本発明によれば、動物の生殖能力を減少させる方法、又は、子宮内膜症、良性の前立腺過形成、子宮筋腫もしくはポリープを治療し減少させる方法が提供される。様々な実施形態における方法には、受胎能力を減少させるために十分な量の融合コンストラクトを動物(例えば、ヒト等の哺乳類)に投与すること、子宮内膜症を治療し減少させるために十分な量の融合コンストラクトを動物(例えば、ヒト等の哺乳類)に投与すること、良性の前立腺過形成を治療し減少させるために十分な量の融合コンストラクトを動物(例えば、ヒト等の哺乳類)に投与すること、及び、子宮筋腫又はポリープを治療し減少させるために十分な量の融合コンストラクトを動物(例えば、ヒト等の哺乳類)に投与すること、が含まれる。
【0038】
本発明によって治療可能な被験者には哺乳類が含まれる。一実施形態において、被験者はヒトである。
【図面の簡単な説明】
【0039】
【図1】LHRH−Phor21が、Phor21−βCG−alaよりも速く癌細胞を破壊することを示す。ヒトの乳腺癌細胞(様々な継代数のMDA−MB−435S.luc)がPhor21−βCG−ala又はLHRH−Phor21を使って培養された。
【0040】
【図2】21(Phor21)、18(Phor18(338983)=CLIP71)及び15(Phor15)アミノ酸を溶解ドメインに有するβCG−ala融合コンストラクトのMDA−MB−435S.luc細胞(マイクロモルIC50)に対する細胞毒性を、Phor21−βCG−alaと比較して示す。
【0041】
【図3】βCG−ala及びLHRH融合コンストラクトのMDA−MB−435S.luc細胞(マイクロモルIC50)に対する細胞毒性を示す。Phor21−βCG−alaよりもMDA−MB−435S.luc細胞に対する毒性が強い融合コンストラクトが図の右側に列挙されている。
【0042】
【図4】LHRH融合コンストラクトのMDA−MB−435S.luc細胞(マイクロモルIC50)に対する細胞毒性を示す。当該融合コンストラクトは、323033=Phor21−βCG−ala、337479=LHRH−Phor21、337480=Phor21−LHRH、338611=D−ala−Phor21−LHRH、338612=Phor18−ASAAS−LHRH、338613=Phor18−LHRH、339385=D−ala−Phor18−LHRH、及び339347=Phor18−ルプロンである。
【0043】
【図5】βCG−ala及びLHRH融合コンストラクトのヒトの赤血球に対する急性溶血活性(マイクロモルHA50)を、Phor21−βCG−alaと比較して示す。LHRH−Phor21、Phor21−LHRH及びPhor18−ルプロン(QHWSY(D−Leu)LRPNEt=ルプロン)を除く全ての融合コンストラクトは、Phor21−βCG−alaよりも非常に低い溶血活性を示した。
【0044】
【図6】細胞毒性と溶血活性とを比較して示す。矢印で示されたペプチドは、Phor21−βCG−alaよりも細胞毒性が強い。
【0045】
【図7】治療計画を概略的に示す。
【0046】
【図8A】3βCG結合体での治療期間中及び評価終了時における腫瘍の状態の概要を、非結合Phor21、非結合Phor18(338983)=(CLIP71)及び(KKKFAFA)と比較して示す。図8A〜図8Jにおいては、融合コンストラクトのコード、すなわち、33=Phor21β−CG−ala、76=Phor18−βCG−ala、81=D−ala−Phor21−βCG−ala、85=D−ala−Phor18−LHRH、47=Phor18−ルプロン、13=Phor18−LHRH、11=D−ala−Phor21−LHRH、12=Phor18−ASAAS−LHRH、71=Phor15−βCG−ala、及び74=Phor15−C6−βCG−alaの後に、評価に用いられたコンストラクトの量が示されている。
【図8B】3βCG結合体による治療の期間中及び評価終了時における腫瘍の状態の概要を、非結合Phor21、非結合Phor18(338983)=(CLIP71)及び(KKKFAFA)と比較して示す。
【図8C】3βCG結合体による治療の期間中及び評価終了時における腫瘍の状態の概要を、非結合Phor21、非結合Phor18(338983)=(CLIP71)及び(KKKFAFA)と比較して示す。
【図8D】3βCG結合体による治療の期間中及び評価終了時における腫瘍の状態の概要を、非結合Phor21、非結合Phor18(338983)=(CLIP71)及び(KKKFAFA)と比較して示す。
【図8E】3βCG結合体による治療の期間中及び評価終了時における腫瘍の状態の概要を、非結合Phor21、非結合Phor18(338983)=(CLIP71)及び(KKKFAFA)と比較して示す。
【図8F】3βCG結合体による治療の期間中及び評価終了時における腫瘍の状態の概要を、非結合Phor21、非結合Phor18(338983)=(CLIP71)及び(KKKFAFA)と比較して示す。
【図8G】3βCG結合体による治療の期間中及び評価終了時における腫瘍の状態の概要を、非結合Phor21、非結合Phor18(338983)=(CLIP71)及び(KKKFAFA)と比較して示す。
【図8H】3βCG結合体による治療の期間中及び評価終了時における腫瘍の状態の概要を、非結合Phor21、非結合Phor18(338983)=(CLIP71)及び(KKKFAFA)と比較して示す。
【図8I】3βCG結合体による治療の期間中及び評価終了時における腫瘍の状態の概要を、非結合Phor21、非結合Phor18(338983)=(CLIP71)及び(KKKFAFA)と比較して示す。
【図8J】3βCG結合体による治療の期間中及び評価終了時における腫瘍の状態の概要を、非結合Phor21、非結合Phor18(338983)=(CLIP71)及び(KKKFAFA)と比較して示す。
【0047】
【図9A】30日までの図示された時間における生理食塩水及びPhor21−βCG−ala(33)の基準値と比較した治療グループの腫瘍体積を示す。
【図9B】30日までの図示された時間におけるD−ala−Phor21−LHRHの基準値と比較した治療グループの腫瘍体積を示す。
【図9C】30日までの図示された時間におけるPhor18−ルプロンの基準値と比較した治療グループの腫瘍体積を示す。
【図9D】30日までの図示された時間におけるPhor18−ASAAS−LHRH(12)の基準値と比較した治療グループの腫瘍体積を示す。
【図9E】30日までの図示された時間におけるPhor18−LHRH(13)の基準値と比較した治療グループの腫瘍体積を示す。
【図9F】30日までの図示された時間における(KKKFAFA)−LHRHの基準値と比較した治療グループの腫瘍体積を示す。
【図9G】30日までの図示された時間におけるD−ala−Phor18−LHRH(85)の基準値と比較した治療グループの腫瘍体積を示す。
【図9H】基準値との比較を示す。
【0048】
【図10A】LHRH結合体による治療の終了時におけるPhor21−βCG−alaと比較した腫瘍質量を示す。ここで、338614=(KKKFAFA)LHRH、338612=Phor18−ASAAS−LHRH、338613=Phor18−LHRH、及び339385=D−ala−Phor18−LHRHである。
【図10B】LHRH結合体による治療の終了時におけるPhor21−βCG−alaと比較した基準値からの腫瘍質量の変動を示す。
【図10C】LHRH結合体による治療の終了時におけるPhor21−βCG−alaと比較した生存腫瘍細胞の総数を示す。
【図10D】LHRH結合体による治療の終了時におけるPhor21−βCG−alaと比較した生存腫瘍細胞の総数の基準値からの変動を示す。
【図10E】LHRH結合体による治療の終了時におけるPhor21−βCG−alaと比較した体重を示す。
【0049】
【図11】表示された量のドキソルビシン存在下において、濃度を増加させたPhor21−βCG−alaとともに培養される多剤耐性の卵巣癌細胞(OVCAR3)、及び、最も高濃度のドキソルビシンにおける200因子による細胞破壊の効果を示す。
【0050】
【図12】LHRH及びPhor21融合コンストラクト、βCG及びPhor21融合コンストラクトを用いた場合における、MDA−MB−435S.luc細胞と比較したCHO(チャイニーズハムスター卵巣由来の樹立細胞株)及びTM4細胞の細胞毒性を示す。TM4細胞はLHRHレセプタ陰性、CHO細胞はCGレセプタ陰性であり、MDA−MB−435S.luc細胞はexpress both LHRHレセプタ及びCGレセプタをいずれも発現する。
【発明を実施するための形態】
【0051】
本発明は、第2のドメイン結合部に結合又は融合される第1のドメインの溶解部を含む融合コンストラクトに少なくとも部分的に基づく。典型的な構成において、融合コンストラクトの第1のドメインは溶解部を含み、この溶解部は細胞に対して直接又は間接の毒性を有し、その毒性によって細胞の増殖や生存を減少させ、又は、細胞の死、死滅又はアポトーシスを活性化、促進、増加又は増進させる。融合コンストラクトの第2のドメインは、細胞を標的とする部分を含む。この第2のドメインの細胞を標的とする部分は、結合部と称される。
【0052】
本発明によれば、第1「溶解」ドメインを含み又は第1「溶解」ドメインからなり、さらに、第2「標的」又は「結合」ドメインを含み又は第2「標的」又は「結合」ドメインからなる融合コンストラクトが提供される。一実施形態に係る融合コンストラクトは、KFAKFAKKFAKFAKK、KFAKFAKKFAKFAKKF、KFAKFAKKFAKFAKKFA、KFAKFAKKFAKFAKKFAK、KFAKFAKKFAKFAKKFAKF、KFAKFAKKFAKFAKKFAKFA、及び、KFAKFAKKFAKFAKKFAKFAKKFAKFAK等のペプチド配列(このペプチド配列は、リジン=K、フェニルアラニン=F、及びアラニン=A等のアミノ酸から選択される。)を含み、12、13、15、16、17、18、19、20、22、23、24、25、26、27もしくは28のL−又はD−アミノ酸配列残基からなる第1のドメインと、標的部もしくは結合部を含み又は標的部もしくは結合部からなる第2のドメインと、を含む。他の実施形態に係る融合コンストラクトは、KFAKFAKKFAKFAKK、KFAKFAKKFAKFAKKF、KFAKFAKKFAKFAKKFA、KFAKFAKKFAKFAKKFAK、KFAKFAKKFAKFAKKFAKF、KFAKFAKKFAKFAKKFAKFA、及び、KFAKFAKKFAKFAKKFAKFAKKFAKFAKから選択されるL−又はD−アミノ酸配列からなる第1のドメインと、標的部もしくは結合部を含み又は標的部もしくは結合部からなる第2のドメインと、を含む。さらに他の実施形態に係る融合コンストラクトは、KFAKFAKKFAKFAKK、KFAKFAKKFAKFAKKF、KFAKFAKKFAKFAKKFA、KFAKFAKKFAKFAKKFAK、KFAKFAKKFAKFAKKFAKF、KFAKFAKKFAKFAKKFAKFA、及び、KFAKFAKKFAKFAKKFAKFAKKFAKFAKから選択されるL−又はD−アミノ酸配列からなる第1のドメインと、1−25のL−又はD−アミノ酸配列(例えば、標的部もしくは結合部)からなり第1のドメインと異なる第2のドメインと、を含み、又は、当該第1のドメインと当該第2のドメインとからなる。
【0053】
本明細書において用いられているとおり、「融合」又は「キメラの」という語及びそれらの文法的変形は、コンストラクトに関して用いられる場合には、そのコンストラクトが、互いに区別され自然には共存しないことが一般的な2つの異なる分子的実体から派生し、当該分子的実体から得られもしくは単離され、又は当該分子的実体を基礎としもしくはモデルとした部分もしくは部位を含むことを意味する。つまり、例えば、融合コンストラクトの一部分が溶解部を含み又は溶解部からなるとともに、そのコンストラクトの第2の部分が、結合能を有する構成部分等の標的部を含み又は当該標的部からなり、第1及び第2のドメインは構造的に異なっている。融合コンストラクトは、「結合体」と称されることもあり、この「結合体」は、第1のドメインの溶解部及び第2のドメインの標的部もしくは結合部を含み、又は、第1のドメインの溶解部及び第2のドメインの標的部もしくは結合部からなる。
【0054】
融合コンストラクトの第1のドメイン及び/又は第2のドメインは、アミノ酸配列(ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、レクチン)、核酸(DNA、RNA)及び炭水化物(単糖類、シアル酸、ガラクトース、マンノース、フコース、アセチルノイラミン酸等)を含み、又はこれらの要素からなる。「アミノ酸配列」、「タンパク質」、「ポリペプチド」及び「ペプチド」の語は、本明細書において、アミド結合やその均等な結合によって共有結合される2つ以上のアミノ酸又は「アミノ酸残基」を意味し、互いに同じ意味で用いられる。アミノ酸配列は、非天然化学結合及び非アミド化学結合によって結合されてもよい。これらの非天然化学結合及び非アミド化学結合には、グルタルアルデヒド、N−ヒドロキシこはく酸イミド、二官能性マレイミド、又はN,N´−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)を用いて形成される結合が含まれる。非アミド結合には、例えば、ケトメチレン、アミノメチレン、オレフィン、エーテル、チオエーテル等が含まれる(例えば、Spatola in Chemistry and Biochemistry of Amino Acids, Peptides and
Proteins, Vol. 7, pp 267-357 (1983), “Peptide and Backbone Modifications,”
Marcel Decker, NYを参照。)。
【0055】
融合コンストラクト又はキメラの第1及び第2のドメインは、L−アミノ酸配列、D−アミノ酸配列、及びL−アミノ酸及びD−アミノ酸の混合物を有するアミノ酸配列を含む。第1及び第2のドメインのアミノ酸配列は、線形の又は環状の構造を有し、他の部分(例えば、第3、第4、第5、第6、第7のドメイン等)と結合され、分子内又は分子間ジスルフィド結合を形成し、さらに、同一の又は異なるアミノ酸配列やその他の分子を有する高次マルチマー又はオリゴマーを形成する。
【0056】
融合コンストラクトの長さは、例えば、約5から15、20から25、25から50、50から100、100から150、150から200、もしくは200から300又はそれ以上の数のアミノ酸残基の長さになる。一実施形態において、第1又は第2のドメインは、約1から10、10から20、15から20、20から30、30から40、40から50、60から70、70から80、80から90、90から100又はそれ以上の数の残基からなるアミノ酸配列を含み、又は当該アミノ酸配列からなる。さらに詳細な実施形態において、第1のドメインは、15、16、17、18、19、20、28又はそれ以上の数のアミノ酸配列残基からなる。
【0057】
融合コンストラクトの第1のドメインは、それ自体で又は第2のドメインと組み合わされて、両親媒性αヘリックスを構成してもよい。両親媒性αヘリックスは、αヘリックスの一方側に大部分が親水性のアミノ酸を含み、他方側に大部分が疎水性のアミノ酸を含む。このαヘリックスは、3.6残基ごとに1回転するので、両親媒性αヘリックスのアミノ酸配列は、3から4残基ごとに親水性残基と疎水性残基とが交互に入れ替わる。PNNPNNP繰り返しパターン又は繰り返しモチーフは、両親媒性αヘリックスを形成すると考えられる。ここで、Pは正に帯電したアミノ酸残基を示し、Nは電荷を帯びていないアミノ酸残基を示す。PNNPNNP繰り返しパターンは、膜相互作用又は膜貫通のために、負に帯電した細胞膜及び疎水性部位に対して、溶解ペプチド用のカチオン結合部を提供する。したがって、融合コンストラクトは、単数又は複数の連続したPNNPNNP繰り返しパターン又は繰り返しモチーフ又は単数又は複数の途中で途切れたPNNPNNP繰り返しパターン又は繰り返しモチーフを有する第1のドメインを含んでおり、これらのPNNPNNP繰り返しパターン又が繰り返しモチーフは両親媒性αヘリックスを形成することができる。例えば、KFAKFAKKFAKFAKKやKFAKFAKKFAKFAKKFAK等の15又は18アミノ酸配列残基は、連続した又は途中で途切れたPNNPNNP繰り返しモチーフを有する。
【0058】
標的部もしくは結合部等の融合コンストラクトの第2のドメインは、リガンド、抗体(又は抗体の抗原結合断片)、抗原、インテグリン、インテグリンレセプタ(例えば、単糖、二糖、オリゴ糖、シアル酸、ガラクトース、マンノース、フコース、アセチルノイラミン酸等の「RGD」配列モチーフを含むタンパク質又はペプチド及び細胞外基質(ECM)に存在する成分)、成長因子、サイトカイン、ケモカイン、レセプタ、抗体、抗原、インテグリン、インテグリンレセプタ(例えば、単糖、二糖、オリゴ糖、シアル酸、ガラクトース、マンノース、フコース、アセチルノイラミン酸等の「RGD」配列モチーフを含むタンパク質又はペプチド、及び細胞外基質(ECM)に存在する成分)、成長因子レセプタ、サイトカインレセプタ、及びケモカインレセプタに結合する標的部及び結合部を含み、又は、これらの要素からなる。
【0059】
「レセプタ」は、例えば、膜レセプタや細胞内に存在することが一般的である。レセプタは、細胞膜表面に結合し、又は、細胞膜を通過する。例えば、レセプタタンパク質は、細胞膜を貫通する膜貫通ドメインを有し、細胞質性の部分もしくは細胞外の部分又はその両方を有していてもよい。したがって、レセプタは、細胞外部分、膜貫通部分又は細胞質部分を有する完全長のインタクトな天然レセプタ、及び、完全長のインタクトな天然レセプタの短縮型又は断片(例えば、細胞外部分、膜貫通部分もしくは細胞質部分又はレセプタの部分配列、又はこれらの組み合わせ)を含む。例えば、水溶性のレセプタは膜を貫通しないことが通常であり、(天然レセプタに存在する場合には)天然の細胞外領域又は細胞質領域の全部又は一部を有しないこともある。このような短縮型レセプタ又は断片は、リガンドと少なくとも部分的に結合することができる。
【0060】
融合コンストラクトの標的部及び結合部ドメインは、レセプタと結合するレセプタリガンドと呼ばれる実体を含み、又は当該実体からなる。標的部及び結合部の例には、ホルモンレセプタに結合するホルモン・ホルモンアナログ・ホルモンもしくはホルモンアナログの断片、レセプタに結合する成長因子・成長因子アナログ・成長因子もしくは成長因子アナログの断片、ホルモンもしくはホルモンレセプタに結合するホルモンレセプタもしくはリガンド、及び、ホルモンレセプタに結合するホルモン・ホルモンアナログ・ホルモンもしくはホルモンアナログの断片に結合する標的部及び結合部、ホルモンもしくはホルモンレセプタに結合するホルモンレセプタもしくはリガンドに結合する標的部及び結合部、レセプタに結合する成長因子・成長因子アナログ・成長因子もしくは成長因子アナログの断片に結合する標的部及び結合部、成長因子又は成長因子レセプタに結合する成長因子レセプタ又はリガンドに結合する標的部及び結合部等が含まれる。
【0061】
結合部として利用されるホルモンの例には、ナドトロピン放出ホルモンI、ゴナドトロピン放出ホルモンII、ヤツメウナギIII黄体形成ホルモン放出ホルモン、黄体形成ホルモンβ鎖、黄体形成ホルモン(LH)、絨毛性ゴナドトロピン(CG)、絨毛性ゴナドトロピンβサブユニット(β−又はβ−CG)、メラニン細胞刺激ホルモン、エストラジオール、ジエチルスチルベストロール、ドーパミン、ソマトスタチン、卵胞刺激ホルモン(FSH)、グルココルチコイド、エストロゲン、テストステロン、アンドロステンジオン、ジヒドロテストステロン、デヒドロエピアンドロステロン、プロゲステロン、アンドロゲン及びこれらの誘導体が含まれる。結合部として用いられるホルモンレセプタの例には、ゴナドトロピン放出ホルモンIレセプタ、ゴナドトロピン放出ホルモンIIレセプタ、ヤツメウナギIII黄体形成ホルモン放出ホルモンレセプタ、黄体形成ホルモンレセプタ、絨毛性ゴナドトロピンレセプタ、メラニン細胞刺激ホルモンレセプタ、エストラジオールレセプタ、ドーパミンレセプタ、ソマトスタチンレセプタ、卵胞刺激ホルモン(FSH)レセプタ、上皮細胞増殖因子(EGF)レセプタ、成長ホルモン(GH)レセプタ、Her2/neuレセプタ、グルココルチコイド、ホルモンレセプタ、エストロゲンレセプタ、テストステロンレセプタ、プロゲステロンレセプタ及びアンドロゲンレセプタが含まれる。
【0062】
成長因子の例には、上皮細胞増殖因子(EGF)、成長ホルモン(GH)、及びHer2/neuが含まれる。成長因子レセプタの例には、上皮細胞増殖因子(EGF)レセプタ、成長ホルモン(GH)レセプタ、及びHer2/neuレセプタ、IGF−1が含まれる。
【0063】
標的部もしくは結合部の例には、LHRH、LHRHの機能性(結合)断片及びLHRHアナログ、並びにβCG、βCGの機能性(結合)断片及びβCGアナログが含まれる。LHRHは、完全機能性リガンドであり、シグナル変換経路の活性化等のリガンドレセプタ相互作用を通じて薬理学的効果を引き出すことができる。βCG−alaは、如何なる薬理学的効果も引き起こすことなく細胞膜と結合することができるhCG断片である。標的部もしくは結合部の例は、SYAVALSAQAALARRに含まれ又はSYAVALSAQAALARRで定義されるアミノ酸配列、及び、QHWSYGLRPGに含まれ又はQHWSYGLRPGで定義されるアミノ酸配列を含み、又は当該アミノ酸配列からなる。ここで、SYAVALSAQAALARRAはβCG断片であり、QHWSYGLRPGはLHRH配列である。
【0064】
標的部分及び結合部は、新生物細胞、腫瘍細胞又は癌細胞、及び、新生物細胞、腫瘍細胞又は癌細胞に関連するリンパ管又は血管を排他的又は選択的に発現する抗原又はリガンドをさらに含む。このような抗原は、「腫瘍関連抗原」又は「TAA」と便宜上称される。このような抗原には、癌胎児性抗原(CEA)、αフェトプロテイン(AFP)、前立腺特異抗原(PSA)、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、CA−125(残存上皮性卵巣癌)、可溶性インターロイキン−2(IL−2)レセプタ、RAGE−1、チロシナーゼ、MAGE−1、MAGE−2、NY−ESO−1、Melan−A/MART−1、糖タンパク質(gp)75、gp100、βカテニン、PRAME、MUM−1、ZEP161、ユビキリン−1、HOX−B6、YB−1、オステオネクチン、及びILF3、IGF−1が含まれる。標的とされる他の抗原は、CD19、CD20、CD23、CD27、CD28、CD30、CD33、CD40、CD52、CD56、CD70、CD154、免疫グロブリン様レセプタ等である。
【0065】
標的部分及び結合部はさらに、トランスフェリン、葉酸及びその誘導体(例えば、葉酸塩)、並びに、TNF−α、TNF−β(リンフォトキシン、LT)、腫瘍壊死因子関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)、脂肪酸合成酵素(FAS)、LIGHT、41BB等の腫瘍壊死因子(TNF)ファミリーメンバー及びTNFレセプタを含む。
【0066】
第2のドメインが標的ドメイン又は結合ドメインを含み又はこれらの標的ドメイン又は結合ドメインからなる融合コンストラクトは、次のものを生成し又は発現する細胞に結合することができる。つまり、融合コンストラクトは、抗原、レセプタもしくはリガンド、インテグリン、抗体もしくは抗原、又は第2のドメインが結合するTAAを生成し又は発現する細胞に結合することができる。細胞の例には、過増殖性細胞及び異常な又は有害な過増殖を示す細胞が含まれる。一実施例において、このような細胞には、非転移性及び転移性の新生物細胞、癌細胞、腫瘍細胞及び悪性腫瘍細胞、並びに、播種性の新生物細胞、癌細胞、腫瘍細胞及び悪性腫瘍細胞及び休眠状態の新生物細胞、癌細胞、腫瘍細胞及び悪性腫瘍細胞が含まれる。抗原、レセプタ、リガンド、インテグリン、TAA等を、通常の細胞又は非過剰増殖細胞と比較して高レベルまで発現させる細胞は、かかる細胞に対する選択性を提供する。このように、標的部もしくは結合部は、過増殖性細胞(例えば、非転移性及び転移性の新生物、癌、腫瘍及び悪性腫瘍、並びに、播種性で休眠状態の新生物細胞、癌細胞、腫瘍細胞及び悪性腫瘍細胞)において発現され、又はそのような過剰増殖細胞によって生成される抗原、レセプタ、リガンド、インテグリン又はTAAに結合することができる。これらの抗原、レセプタ、リガンド、インテグリン又はTAAは、通常の細胞又は非過増殖性細胞によっては、検出可能な程度までは発現されず、又は、相対的に低レベルで生成され又は発現される。これにより、選択的に過増殖性細胞が標的とされる。抗原、レセプタ、リガンド、インテグリン又はTAAを発現する細胞又は組織の種類には、例えば、乳腺細胞、卵巣細胞、子宮細胞、頸部細胞、前立腺細胞、精巣細胞、副腎細胞、下垂体細胞、膵臓細胞、肝臓細胞、胃腸細胞、皮膚細胞、筋肉細胞又は子宮内膜細胞が含まれる。
【0067】
結合部の例には、抗体及び抗体断片がさらに含まれる。「抗体」は、IgM、IgG、IgA、IgE、IgD、及びこれらのサブクラス等のあらゆるモノクロナール免疫グロブリン分子又はポリクロナール免疫グロブリン分子を意味する。IgGの例には、IgG、IgG、IgG及びIgGが含まれる。抗体には、B細胞等の細胞によって生成され又は当該細胞において発現されるものが含まれる。抗体断片又は抗体部分配列は、比較完全長抗体の少なくとも部分的な抗原結合能を有する完全長抗体の一部分を表す。抗体断片の例には、Fab断片、Fab´断片、F(ab´)断片、Fv断片、Fd断片、単鎖Fv(scFv)断片、ジスルフィド結合Fvs(sdFv)断片、V断片、V断片、三重特異性(Fab3)断片、二重特異性(Fab2)断片、ダイアボディ型二重特異性((V−Vor (V−V)断片、トライアボディ(3価)断片、テトラボディ(4価)断片、ミニボディ((scFv−C3))断片、二重特異性単鎖Fv(Bis−scFv)断片、IgGdeltaCH2断片、scFv−Fc断片、(scFv)−Fc断片、又は完全免疫グロブリンのその他の抗原結合断片が含まれる。
【0068】
融合コンストラクトには、アミノ末端に第1のドメインを有するとともにカルボキシル末端に第2のドメインを有するものが含まれる。また、融合コンストラクトには、カルボキシル末端に第1のドメインを有するとともにアミノ末端に第2のドメインを有するものが含まれる。さらにドメインが存在する場合には(例えば、第3、第4、第5、第6、第7ドメイン等)、第1のドメインが第2のドメインに対してNH2末端に配置されるか、又は、第2のドメインが第1のドメインに対してNH2末端に配置される。
【0069】
KFAKFAKKFAKFAKK、KFAKFAKKFAKFAKKF、KFAKFAKKFAKFAKKFA、KFAKFAKKFAKFAKKFAK、KFAKFAKKFAKFAKKFAKF、KFAKFAKKFAKFAKKFAKFA、及び、KFAKFAKKFAKFAKKFAKFAKKFAKFAK等の様々なアミノ酸配列の部分配列及びアミノ酸置換、又は、結合部も含まれる。一実施形態において、第1又は第2のドメインの部分配列は、少なくとも5から10、10から15、15から20、20から25、25から30、30から35又はそれ以上のアミノ酸残基を有する。
【0070】
したがって、本発明は、第1又は第2のドメインのいずれか又は両方の置換、付加、欠失等の修飾や変異を含む。このように、ペプチド配列の第1又は第2のドメインを含む融合コンストラクトは、第1又は第2のドメインの活性(溶解又は結合)を破壊しない限り、あらゆる数の保存又は非保存アミノ酸置換を組み込むことができる。このように、例えば、修飾された溶解部(第1のドメイン)は、修飾されていない第1のドメインが有する細胞破壊やアポトーシス等の溶解活性を少なくとも部分的に有し、修飾された結合部又はその模倣体は、修飾されていない結合部の結合活性を少なくとも部分的に有する。
【0071】
「保存的置換」は、生物学的、科学的、又は構造的に類似する残基によるアミノ酸の置換である。生物学的に類似するとは、置換が溶解活性等の生物学的活性に適合することを意味する。構造的に類似するとは、アミノ酸が、アラニン、グリシン及びセリン等の同様の長さ又はサイズを有する側鎖を有すること、又は、両親媒性αヘリックスのように、第1、第2、又は付加ドメインの構造が維持されることを意味する。化学的に類似するとは、残基が同じ極性に帯電しているか、両者ともに親水性又は疎水性であることを意味する。この例には、イソロイシン、バリン、ロイシン又はメチオニン等の疎水性残基の置換が含まれ、さらに極性残基の置換が含まれ、さらに、リジンのアルギニンによる置換、アスパラギン酸のグルタミン酸による置換、又は、アスパラギンのグルタミンによる置換、トレオニンのセリンによる置換等が含まれる。融合コンストラクト変異体が溶解活性や結合活性等の活性を有するかを定めるには、ルーチン分析が用いられる。
【0072】
実施例には、ペプチドの第1又は第2のドメインの単数又は複数のアミノ酸残基(例えば、1−3、3−5、5−10、10−20、又はそれ以上)の置換又は欠失が含まれる。修飾された融合コンストラクトは、参照配列(例えば、KFAKFAKKFAKFAKK、KFAKFAKKFAKFAKKF、KFAKFAKKFAKFAKKFA、KFAKFAKKFAKFAKKFAK、KFAKFAKKFAKFAKKFAKF、KFAKFAKKFAKFAKKFAKFA、もしくはKFAKFAKKFAKFAKKFAKFAKKFAKFAK等の第1のドメイン又は結合部等の第2のドメイン)に対して、50%、60%、70%、75%、80%、85%、90%、95%、96%、97%、98%又はそれ以上の同一性を有するペプチド配列を有していてもよい。
【0073】
一実施形態において、融合コンストラクトは、KFAKFAKKFAKFAKK、KFAKFAKKFAKFAKKF、KFAKFAKKFAKFAKKFA、KFAKFAKKFAKFAKKFAK、KFAKFAKKFAKFAKKFAKF、KFAKFAKKFAKFAKKFAKFA、及び、KFAKFAKKFAKFAKKFAKFAKKFAKFAKから選択されるペプチドを含む12、13、15、16、17、18、19、20、22、23、24、25、26、27もしくは28のL−アミノ酸配列残基又はD−アミノ酸配列残基を含み、又は当該L−アミノ酸配列残基又はD−アミノ酸配列残基からなるペプチドの第1のドメインを含む。ここで、単数又は複数のK残基はF残基又はL残基で、単数又は複数のF残基はK残基、A残基又はL残基で、単数又は複数のA残基はK、F残基又はL残基でそれぞれ置換される。他の実施形態において、融合コンストラクトは、KFAKFAKKFAKFAKK、KFAKFAKKFAKFAKKF、KFAKFAKKFAKFAKKFA、KFAKFAKKFAKFAKKFAK、KFAKFAKKFAKFAKKFAKF、KFAKFAKKFAKFAKKFAKFA、及び、KFAKFAKKFAKFAKKFAKFAKKFAKFAKから選択されるL−又はD−アミノ酸配列からなるペプチドの第1のドメイン、及び、結合部を含み又は結合部からなるペプチドの第2のドメインを含む。ここで、単数又は複数のK残基はF残基又はL残基で、単数又は複数のF残基はK残基、A残基又はL残基で、単数又は複数のA残基はK、F残基又はL残基でそれぞれ置換される。さらに他の実施例において、融合コンストラクトは、KFAKFAKKFAKFAKK、KFAKFAKKFAKFAKKF、KFAKFAKKFAKFAKKFA、KFAKFAKKFAKFAKKFAK、KFAKFAKKFAKFAKKFAKF、KFAKFAKKFAKFAKKFAKFA、及び、KFAKFAKKFAKFAKKFAKFAKKFAKFAKから選択されるL−又はD−アミノ酸配列からなるペプチドの第1のドメインと、1−25のL−又はD−アミノ酸配列(例えば、標的部もしくは結合部)からなり第1のドメインと異なるペプチドの第2のドメインと、を含み、又は、当該第1のドメインと当該第2のドメインとからなる。ここで、単数又は複数のK残基はF残基又はL残基で、単数又は複数のF残基はK残基、A残基又はL残基で、単数又は複数のA残基はK、F残基又はL残基でそれぞれ置換される。
【0074】
「同一(identidy)」、「相同(homology)」及びこれらの文法的変形は、2つ以上の実体が同じであることを意味する。2つのアミノ酸配列が同一である場合には、これらは同じアミノ酸配列を持つ。「同一のエリア(area)、領域(region)又はドメイン(domain)」は、2つ以上の実体の一部分が同じであることを意味する。このように、2つのアミノ酸配列は、単数又は複数の配列領域(region)において同一又は相同であり、これらの領域で共に同一性を有する。「相補的」という語は、核酸配列を示すために用いられる場合には、参照される領域が100%相補的であることを意味する。つまり、不一致がなく100%の塩基対合を示すことを意味する。
【0075】
構造的及び機能的に関連するタンパク質間における配列保存の量は様々なので、機能や活性(例えば、溶解又は結合)を保持するために必要な配列同一性の量は、そのタンパク質、領域、及びその領域の機能や活性に依存する。例えば、溶解ペプチド配列については、多重PNNPNNP配列繰り返しパターン又は繰り返しモチーフは存在しえるが、単数又は複数の連続した又は途中で途切れたPNNPNNP配列繰り返しパターン又は繰り返しモチーフは存在する必要がない。
【0076】
2つの配列間の同一の程度は、当業者に知られたコンピュータプログラム及び数学アルゴリズムを用いて確認することができる。配列の同一性(相同性)を計算するアルゴリズムは、一般に、比較領域における配列のずれや不整合を明らかにする。例えば、BLAST(例えば、BLAST2.0)検索アルゴリズム(例えば、NCBIによって公表されているAltschul et al., J. Mol. Biol. 215:403 (1990)を参照。)は、Mismatch−2、gap open 5、gap extension 2等の検索パラメータを有する。ポリペプチド配列の比較のためには、典型的には、PAM100、PAM 250、BLOSUM 62又はBLOSUM 50等の評点マトリクスとともにBLASTPアルゴリズムが用いられる。FASTA(例えば、FASTA2及びFASTA3)及びSSEARCH配列比較プログラムは、同一性を定量化するために用いられる(Pearson et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:2444 (1988)、 Pearson, Methods
Mol Biol. 132:185 (2000)、及びSmith et al., J. Mol. Biol. 147:195 (1981)を参照。)。タンパク質構造の類似性を定量化するためには、ドロネー位相マッピングを用いたプログラムが開発されている(Bostick et al., Biochem Biophys Res Commun. 304:320 (2003)参照。)。
【0077】
個々の残基及び第1、第2、及び付加ドメインは、共有結合又は非共有結合によって結合されてもよい。共有結合の例には、アミド結合、非天然化学結合、及び非アミド化学結合が含まれ、これらの化学結合の例には、グルタルアルデヒド、N−ヒドロキシこはく酸イミド、二官能性マレイミド、N,N´−ジシクロヘキシルカルボジイミド(DCC)又はN,N´−ジイソプロピルカルボジイミド(DIC)が含まれる。アミド結合を代替する結合には、例えば、ケトメチレン(例えば、−C(=O)−CH−に対する−C(=O)−NH−)、アミノメチレン(CH−NH)、エチレン、オレフィン(CH=CH)、エーテル(CH22−O)、チオエーテル(CH−S)、テトラゾール(CN−)、チアゾール、レトロアミド、チオアミド、又はエステルを含む(例えば、Spatola (1983) in Chemistry and Biochemistry of Amino Acids,
Peptides and Proteins, Vol. 7, pp 267-357, “Peptide and Backbone Modifications,”
Marcel Decker, NYを参照。)。
【0078】
第1及び第2のドメインは、共有結合又は非共有結合によってただちに融合又は結合されて互いに近接する。第1及び第2のドメインは、第1及び第2のドメイン間に位置するヒンジ、スペーサ、リンカー等の介在領域によって分離される。一実施形態において、第1及び第2のドメインは、炭素鎖によって結合される。複数の炭素鎖は、グルタル酸、コハク酸及びアジピン酸等のカルボン酸(例えば、ジカルボン酸)を含む。
【0079】
他の実施形態において、第1及び第2のドメインは、アミノ酸、ペプチド又は非ペプチドの、第1及び第2のドメイン間に位置するヒンジ、スペーサ又はリンカーによって結合される。ペプチドのヒンジ、スペーサ又はリンカー配列は、どのような長さでもよいが、典型的には、およそ1−10、10−20、20−30、30−40、又は40−50アミノ酸残基の範囲に分布している。一実施形態において、第1及び第2のドメイン間に位置するペプチドのヒンジ、スペーサ又はリンカーは、1から25のL−又はD−アミノ酸残基か、又は1から6L−又はD−アミノ酸残基である。第1及び第2のドメイン間に位置する配列に含まれる特定のアミノ酸残基は、単数又は複数のC、A、S又はGアミノ酸残基を含む。第1及び第2のドメイン間に位置するペプチドの例には、GSGGS、ASAASもしくはCCCCCCに含まれ、又は、GSGGS、ASAASもしくはCCCCCCで定義される配列が含まれる。アミノ酸及びペプチドの誘導体が、第1及び第2のドメイン間に位置してもよい。アミノ酸誘導体の例には、リジン誘導体又はαアミノカプロン酸等の6−カーボンリンカーが含まれる。
【0080】
ヒンジ、スペーサもしくはリンカー、又は第3、第4、第5、第6、第7ドメイン等を有する又は有しない融合コンストラクトは、全体が天然アミノ酸、合成非天然アミノ酸又はアミノ酸アナログからなるか、又は、誘導化型を含む。様々な実施形態において、融合コンストラクトは、第1又は第2のドメインにおいて、L−アミノ酸、D−アミノ酸とL−アミノ酸との混合物、又は全体がD−アミノ酸残基からなる配列を置換する単数又は複数のD−アミノ酸を含む。
【0081】
融合コンストラクトは、非天然構造成分のあらゆる組み合わせを含むことができる。この非天然構造成分は、典型的には、次のa)からc)の3つの構造基から選択される。a)天然アミド結合(「ペプチド結合」)以外の残基連結基、b)天然に存在するアミノ酸残基に代わる非天然残基、又はc)二次構造模倣体を誘導する残基、つまり、αヘリックス配座等の二次構造を誘導し安定させる残基。融合コンストラクトは、分子内又は分子間ジスルフィド結合のアミノ末端とカルボキシル末端との末端アミド結合等の環状構造を含む。融合コンストラクトは、インビトロ又はインビボで修飾される。例えば、糖類又は炭水化物残基、リン酸基、脂肪酸、脂質等を含むように翻訳後修飾される。
【0082】
付加の例には、第3、第4、第5、第6、又は第7のドメインが含まれる。このように、第1及び第2のドメインを有する融合コンストラクトは、共有結合により連結されて別個の又は補完的な機能や活性を与える単数又は複数の付加ドメイン(第3、第4、第5、第6、第7のドメイン等)を含む。付加ドメインの例には、単離促進ドメインが含まれる。この単離促進ドメインには、ポリヒスチジン配列及び固定化金属上での生成を可能にするヒスチジントリプトファンモジュール等の金属キレート化ペプチド、固定化免疫グロブリン上での精製を可能にするタンパクAドメイン、およびFLAGS伸長/アフィニティ精製系で利用するドメインが含まれる(ワシントン州シアトルのImmunex Corp)。精製ドメインと融合コンストラクトとの間に、第Xa因子またはエンテロキナーゼ等の開裂可能な配列を入れることもまた、精製を促進するために利用できる。例えば、発現ベクターは、チオレドキシン及びエンテロキナーゼ開裂部位に先立つ6個のヒスチジン残基に連結する融合コンストラクト−コード核酸配列を含んでもよい。このヒスチジン残基は、融合コンストラクトの検出及び生成を促進し、エンテロキナーゼ開裂部位は、タンパク質の残部から融合コンストラクトを精製する手段を提供する(例えば、Kroll, DNA Cell. Biol. 12:441(1993)参照。)。
【0083】
融合コンストラクトの活性は様々な因子によって影響をうけるので、融合コンストラクトは、単数又は複数のそのような因子を考慮に入れて生成又は最適化される。このような因子には、融合コンストラクトの長さが含まれる。融合コンストラクトの長さは、細胞に対する毒性に影響を与えることがある。特に、Phor21−βCG−ala及びPhor21をPhor14−βCG−alaと比較すると、細胞毒性が増加していることがわかる。溶解ペプチドドメインを形成するαヘリックスの殺細胞活性は、ヘリックスの安定性にも依存することがある。ヒンジ及びスペーサは、第1のドメインの膜相互作用及びペプチド溶解ドメインのヘリカル構造に影響を与えることがある。例えば、スペーサ又はヒンジを含むことができる21以下のアミノ酸で構成されるコンストラクト等のより短い融合コンストラクトは、ヘリックスがより安定しているため、より強い細胞毒性を示すことがある。特に、ASAASや6−アミノカプロン酸等のスペーサは、相対的に短い融合コンストラクトの毒性を増加させる傾向がある。ドメインに存在する特定のアミノ酸残基によって定められる溶解ペプチドドメインの帯電も殺細胞能に影響を与えることがある。
【0084】
溶解ドメイン(N末端又はC末端)に対する結合部の位置も融合コンストラクトの殺細胞活性に影響を与えることがある。例えば、溶解ドメインに対してC末端に配置されている結合部は、溶解ドメインに対してN末端に配置される場合よりも大きな殺細胞活性を有する。
【0085】
天然に存在しないアミノ酸や誘導体を単数又は複数有する融合コンストラクトペプチドドメインを構成することによって、融合コンストラクトの生体内半減期が増加しえる。例えば、D−アミノ酸(例えば、全残基の30%以上がD光学異性体である)を有する融合コンストラクトは、タンパク質分解に耐性があるため、より長期間活性を保つことができ、これによりインビボでの効果を増加させることができる。また、天然に存在しないアミノ酸や誘導体を単数又は複数有する融合コンストラクトペプチドドメインを構成することによって、溶血活性を減少させることができる。このようなD光学異性体を有する融合コンストラクトは、溶液中でモノマーになる傾向が強く、顕著な凝集は起こらない。
【0086】
本発明によれば、単数又は複数のPhor21−βCG−ala、Phor21−GSGGS−βCG−ala、Phor21−ASAAS−βCG−ala、又はPhor14−βCG−alaよりも高い抗細胞増殖性を有する融合コンストラクトが提供される。高い抗細胞増殖性を有することは、低IC50値で確認される。IC50値は、細胞毒性を実現するために必要な融合コンストラクトの量を示す。また、本発明によれば、Phor21−βCG−ala、Phor21−GSGGS−βCG−ala、Phor21−ASAAS−βCG−ala、又はPhor14−βCG−alaよりも低い溶血活性を有する融合コンストラクトが提供される。溶血活性が低いことは、IC50/HA50比(溶血活性)によって示される。本発明によれば、0.02、0.01、又は0.005よりも小さな溶血活性を有する融合コンストラクトがさらに提供される。この溶血活性は、IC50/HA50比(溶血活性)によって表される。細胞毒性及び溶血活性を決めるための代表的な分析条件は、実施例1において示される。
【0087】
ペプチド及びペプチド模倣体は、当業者に知られた手法を用いて生成され単離される。ペプチドは、当業者に知られた化学的手法によって、その全体又は一部が合成される(例えば、Caruthers (1980). Nucleic Acids Res. Symp. Ser. 215; Horn
(1980)及び Banga, A.K., Therapeutic Peptides and Proteins, Formulation,
Processing and Delivery Systems (1995) Technomic Publishing Co., Lancaster, PAを参照。)。ペプチド合成は、様々な固相法を用いて行うことができ(例えば、Roberge Science 269:202 (1995)、及び、Merrifield, Methods Enzymol.
289:3(1997)を参照。)、例えば、ABI431ペプチドシンセサイザ( ABI 431A peptide Synthesizer(Perkin Elmer))を取扱説明書に従って使用することにより、ペプチド合成を自動化することができる。ペプチド及びペプチド模倣体は、組み合わされた手法を用いて実現することもできる。模倣体を含んでいる合成残基及びポリペプチドは、本発明の技術分野において知られている様々な手法及び手段を用いて合成される(例えば、Organic Syntheses Collective Volumes, Gilman, et al. (Eds) John
Wiley & Sons, Inc., NYを参照)。修飾されたペプチドは、化学的な修飾によって生成される(例えば、Belousov, Nucleic Acids Res. 25:3440 (1997)、Frenkel, Free
Radic. Biol. Med. 19:373 (1995)、及びBlommers, Biochemistry 33:7886 (1994)を参照。)。
【0088】
本発明によれば、本発明の融合コンストラクトをコードする核酸、及び、融合コンストラクトをコードする核酸を含むベクターが提供される。一実施例における核酸は、KFAKFAKKFAKFAKK、KFAKFAKKFAKFAKKF、KFAKFAKKFAKFAKKFA、KFAKFAKKFAKFAKKFAK、KFAKFAKKFAKFAKKFAKF、KFAKFAKKFAKFAKKFAKFA、及び、KFAKFAKKFAKFAKKFAKFAKKFAKFAKから選択されるペプチド配列を含む12、13、15、16、17、18、19、20、22、23、24、25、26、27もしくは28のアミノ酸配列残基からなる第1のドメインと、標的部もしくは結合部を含み又は標的部もしくは結合部からなる第2のドメインと、を含む融合コンストラクトをコードする。他の実施形態において、核酸は、KFAKFAKKFAKFAKK、KFAKFAKKFAKFAKKF、KFAKFAKKFAKFAKKFA、KFAKFAKKFAKFAKKFAK、KFAKFAKKFAKFAKKFAKF、KFAKFAKKFAKFAKKFAKFA、及び、KFAKFAKKFAKFAKKFAKFAKKFAKFAKから選択されるアミノ酸配列からなる第1のドメインと、標的部もしくは結合部を含み又は当該標的部もしくは当該結合部からなる第2のドメインと、を含む融合コンストラクトをコードする。さらに他の実施形態において、核酸は、KFAKFAKKFAKFAKK、KFAKFAKKFAKFAKKF、KFAKFAKKFAKFAKKFA、KFAKFAKKFAKFAKKFAK、KFAKFAKKFAKFAKKFAKF、KFAKFAKKFAKFAKKFAKFA、及び、KFAKFAKKFAKFAKKFAKFAKKFAKFAKから選択されるアミノ酸配列からなる第1のドメインと、1−25のアミノ酸配列(例えば、標的部もしくは結合部)からなり第1のドメインと異なる第2のドメインと、を含む融合コンストラクトをコードし、又は、当該第1のドメインと当該第2のドメインとからなる融合コンストラクトをコードする。
【0089】
核酸(本明細書において遺伝子と称されることもある)、ポリヌクレオチド、ヌクレオチド配列、プライマー、オリゴヌクレオチド又はプローブは、天然の又は修飾されたあらゆる長さのプリン及びピリミジン含有ポリマー、ポリリボヌクレオチド、ポリデオキシリボヌクレオチド又は混合ポリリボーポリデオキシリボヌクレオチド及びこれらのα−アノマー型を意味する。2つ以上のプリン及びピリミジン含有ポリマーは、典型的には、リン酸エステル結合やリン酸エステル類似体によって連結される。これらの用語は互いに同じ意味で用いられ、デオキシリボ核酸(DNA)及びリボ核酸(RNA)を含む全ての形態の核酸を示すために用いられる。核酸は、一本鎖、二本鎖、又は三本鎖のいずれであってもよく、直線状であっても環状であってもよい。核酸には、ゲノムDNA、cDNA、及びアンチセンスDNAが含まれる。RNA核酸は、mRNA、rRNA、tRNA又はアンチセンスRNAのいずれであってもよく、これらはスプライシングされていてもされていなくともよい。核酸には、自然に存在するもの、人工的に合成されたものが含まれ、ヌクレオチド類似体及び誘導体も含まれる。
【0090】
遺伝情報の縮重の結果、核酸には、本発明の融合コンストラクトをコードする配列を縮重する配列が含まれる。このように、融合コンストラクトをコードする縮重核酸配列が提供される。
【0091】
核酸は、数多く知られている標準的なクローン合成手法及び化学的合成手法を用いて生成される。また、部位特異的突然変異誘発法やその他の当業者に知られた組み換え技術によって、意図的に核酸を変異させることができる。ポリヌクレオチドの純度は、シークエンシング、ゲル電気泳動法、又は紫外分光測定法によって定めることができる。
【0092】
核酸は、核酸コンストラクトに挿入される。核酸コンストラクト内では、核酸の発現が「発現制御要素」によって影響を受け又は制御される。「発現制御要素」は、本明細書において、「発現カセット」と称されることがある。「発現制御要素」という用語は、機能可能に連結される核酸配列の発現を制御し又は影響を与える単数又は複数の核酸配列要素を表す。発現制御要素には、適宜、プロモータ、エンハンサー、転写ターミネータ、遺伝子サイレンサー、タンパク質をコードする遺伝子に先立つ開始コドン(例えば、ATG)等が含まれる。
【0093】
核酸配列に機能可能に連結される発現制御要素は転写を制御し、必要に応じて核酸配列の翻訳も制御する。「機能可能に連結した」という用語は、参照された要素が、その意図した方法で機能することを許容する関係にある並列(juxtaposition)を表す。典型的には、発現制御要素は、遺伝子の5´末端又は3´末端に並列されるが、イントロンであってもよい。
【0094】
発現制御要素には、構造的に転写を活性化する要素が含まれる。発現制御要素は、誘導的(つまり、活性化のために外部信号を必要とする)、又は、抑制解除的(つまり、転写をオフにする信号を必要とし、その信号が存在しなくなると、転写が活性化され又は「抑制解除される」)である。本発明の発現カセットには、特定種類の細胞や組織について遺伝子発現を制御可能にする制御因子がさらに含まれる(つまり、組織特異的な制御因子である。)。このような制御因子は、典型的には、コード配列の上流又は下流(つまり、5´及び3´)に位置する。プロモータは、一般的に、コード配列の5´に位置する。プロモータは、DNA組み換え又は合成技術によって生成され、プロモータを用いて本発明のポリヌクレオチドの転写が行われる。「プロモータ」という用語は、転写を行わせるための最小限の配列要素を意味する。
【0095】
核酸は、プラスミドへ挿入されて宿主細胞の中へ複製され、必要に応じて遺伝子操作のために用いられる。プラスミドは、宿主細胞において安定的に増殖することができる核酸である。プラスミドは、核酸の発現を引き起こすために発現制御要素を含んでいてもよい。ベクターという用語は、本明細書においてプラスミドの同意語として用いられ、宿主細胞における発現のための発現制御要素という意味を含むことがある。プラスミド及びベクターは、一般的に、細胞内での増殖のための複製起点及びプロモータを含む。プラスミド及びベクターは、例えば、核酸をコードする融合コンストラクトの遺伝子操作、融合コンストラクトやアンチセンス核酸の生成、及び、宿主細胞や有機体における融合コンストラクトの発現のために用いられる。
【0096】
細菌系のプロモータには、T7プロモータや及びλファージのpL、plac、ptrp、ptac(ptrp−lacハイブリッドプロモータ)等の誘導性プロモータ及びテトラサイクリン反応性プロモータが含まれる。昆虫細胞系プロモータには、構成的プロモータ又は誘導性プロモータ(例えば、エクジソン)が含まれる。哺乳類細胞の構成的プロモータには、SV40、RSV、ウシパピローマウイルス(BPV)
及びその他のウイルスプロモータ、又は、哺乳類細胞のゲノム由来の誘導性プロモータ(例えば、メタロチオネインIIAプロモータや熱ショックプロモータ)、又は、哺乳類ウイルス由来のプロモータ(例えば、アデノウイルス後期プロモータや誘導性のマウス乳癌ウイルスの長い末端反復)が含まれる。また、レトロウイルスゲノムは遺伝子的に修飾されて、適当な宿主細胞において融合コンストラクトの発現を導入し指令することができる。
【0097】
発現系は、インビボ用途に準備されたベクターをさらに含む。このようなベクターの例には、アデノウイルスベクター(米国特許第5,700,470号及び5,731,172号参照)、アデノウイルス関連性ベクター(米国特許第5,604,090号参照)、単純ヘルペスウイルスベクター(米国特許第5,501,979号参照)、レトロウイルスベクター(米国特許第5,624,820号、5,693,508号及び5,674,703号参照)、BPVベクター(米国特許第5,719,054号参照)及びCMVベクター(米国特許第5,561,063号参照)が含まれる。
【0098】
イーストベクターは、構成的プロモータ又は誘導性プロモータである(例えば、Ausubel et al., In: Current Protocols in Molecular Biology, Vol. 2, Ch.13,
ed., Greene Publish. Assoc. & WILey Interscience, 1988、Grant et al.
Methods in Enzymology, 153:516 (1987), eds. Wu & Grossman、 Bitter Methods in
Enzymology, 152:673 (1987) , eds. Berger & Kimmel, Acad. Press, N.Y.、及びStrathern et al.,
The Molecular Biology of the Yeast Saccharomyces (1982) eds. Cold Spring Harbor
Press, Vols. I and IIを参照。)。ADHやLEU2等の構成的イーストプロモータ、又は、GAL等の誘導性プロモータが用いられる(R. Rothstein In: DNA Cloning, A Practical Approach, Vol.11, Ch. 3, ed.
D.M. Glover, IRL Press, Wash., D.C., 1986を参照)。相同的組み換えによって外来核酸配列のイースト染色体への組み込みを促進するベクターが、本発明の技術分野において知られている。イースト人工染色体(YAC)が用いられるのは、典型的には、挿入されたポリヌクレオチドが従来のベクター(例えば、約12Kbよりも大きい場合)にとって大きすぎる場合である。
【0099】
発現ベクターは、選択圧に対する抵抗を付与する選択マーカー又は同定可能なマーカー(例えば、β−ガラクトシダーゼ)を含むことができ、これにより、ベクターを有する細胞が選択され、成長され、また、増大される。また、選択マーカーは、融合コンストラクトをコードする核酸を含む第1のベクターとともに宿主細胞に導入される第2のベクターに含まれていてもよい。
【0100】
選択系は、単純ヘルペスウイルスチミジンキナーゼ遺伝子(Wigler et al., Cell 11:223 (1977))、ヒポキサンチン・グアニン・ホスホリボシルトランスフェラーゼ遺伝子(Szybalska et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 48:2026 (1962))、及びアデニンホスホリボシルトランスフェラーゼ遺伝子(Lowy et al., Cell 22:817`(1980))を含むがこれらに限られない。これらの遺伝子は、tk細胞、hgprt細胞又はaprt細胞内でそれぞれ用いられる。また、代謝拮抗物質耐性は、メトトレキセートに対する耐性を与えるdhfr遺伝子を選択するためのベースとして利用すること(O’Hare et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 78:1527 (1981))、ミコフェノール酸に対する耐性を与えるgpt遺伝子を選択するためのベースとして利用すること(Mulligan et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 78:2072 (1981))、アミノグリコシドG−418に対する耐性を与えるneomycin遺伝子を選択するためのベースとして利用すること(Colberre-Garapin et al., J. Mol. Biol. 150:1(1981));ハイグロマイシンに対する耐性を与えるhygromycin遺伝子を選択するためのベースとして利用すること(Santerre et al., Gene 30:147 (1984))ができる。追加の選択遺伝子には、細胞がトリプトファンの代わりにインドールを利用できるようにするtrpB、細胞がヒスチジンの代わりにヒスチノールを利用できるようにするhisD(Hartman et al., Proc. Natl. Acad. Sci. USA 85:8047
(1988))、グルタミンシンターゼ系;オルニチンデカルボキシラーゼ阻害剤である2−(ジフルオロメチル)−DL−オルニチン(DFMO)に対する耐性を与えるODC(オルニチンデカルボキシラーゼ)(McConlogue (1987) In: Current Communications in Molecular Biology,
Cold Spring Harbor Laborator)が含まれる。
【0101】
融合コンストラクトを発現する宿主細胞、並びに、融合コンストラクトをコードする核酸及び融合コンストラクトをコードする核酸を含むベクターを用いて形質転換される宿主細胞も提供される。一実施形態において、宿主細胞は、原核細胞である。他の実施形態において、宿主細胞は真核細胞である。様々な態様において、真核細胞は、イースト細胞又は哺乳類細胞(例えば、ヒト、霊長類等)である。
【0102】
本明細書における用法の通り、「宿主細胞」は、核酸が導入された細胞である。ここで、核酸は、増殖、転写、又はコード化された発現融合コンストラクトであってもよい。「宿主細胞」という用語には、宿主細胞の子孫細胞やサブクローンも含まれる。宿主細胞には、融合コンストラクトを発現する細胞及び融合コンストラクトを発現しない細胞が含まれる。融合コンストラクトを発現しない宿主細胞は、融合コンストラクトをコードする核酸やアンチセンスを含む核酸やベクターを増殖するために用いられる。
【0103】
宿主細胞には、バクテリアやイースト等の微生物、植物細胞、昆虫細胞及び哺乳類細胞が含まれるが、これらには限定されない。例えば、組み替えファージ核酸発現ベクター、プラスミド核酸発現ベクター又はコスミド核酸発現ベクターを用いて形質転換されたバクテリア、組み替えイースト発現ベクターを用いて形質転換されたイースト、組み替えウイルス発現ベクター(例えば、カリフラワーモザイクウイルス(CaMV)やタバコモザイクウイルス(TMV))で感染され、又は、組み替えプラスミド発現ベクター(例えば、Tiプラスミド)で形質転換された植物細胞系、組み換えウイルス発現ベクター(例えば、バキュロウイルス)で感染された昆虫細胞系、及び、組み換えウイルス発現ベクター(例えば、レトロウイルス、アデノウイルス、ワクシニアウイルス)で感染された動物細胞系、又は、一過性又は安定的な増殖又は発現のために操作された形質転換動物細胞系も含まれる。
【0104】
融合コンストラクト、融合コンストラクトをコードする核酸、ベクター、及び融合コンストラクトを発現させ又は融合コンストラクトをコードする核酸及びアンチセンスで形質転換された宿主細胞は、単離され精製された形態を含む。「単離された」という用語は、発明の構成要素を修飾するために用いられる場合には、組成物が人工的に作成され、又は、自然に存在するインビボ環境から実質的に完全に又は部分的に分離されることを意味する。一般的に、単離された組成物は、単数又は複数のタンパク質、核酸、脂質、炭水化物、細胞膜等のように天然に普通に存在する単数又は複数の物質を実質的に含まない。「単離された」という用語は、組成物の代替的な物理的形態を除外するものではない。代替的な物理的形態は、例えば、マルチマー/オリゴマー、変異体、修飾体、誘導体、又は人工的に生成された宿主細胞で発現される形態である。「単離された」という用語は、人工的に生成されたものの組み合わせが存在する形態(例えば、医薬組成物及び医薬組み合わせ組成物)を排除しない。
【0105】
「単離された」組成物は、その組成物が自然において典型的に結びつく物質の一部、大部分、又は全ての部分が存在しない場合に、「精製され」ている。このように、単離され、また、実質的に純粋な融合コンストラクトは、タンパク質ライブラリのタンパク質又はゲノムライブラリやcDNAライブラリにおける核酸等の、数百万もの他の配列中に存在するポリペプチドやポリヌクレオチドを含まない。「精製された」組成物は、単数又は複数の他の分子と組み合わせられる。
【0106】
本発明によれば、融合コンストラクトの混合物及び組み合わせ組成物が提供される。一実施形態に係る混合物には、単数又は複数の融合コンストラクト及び薬学的に許容されたキャリア又は賦形剤が含まれる。他の実施形態における混合物には、単数又は複数の融合コンストラクト及び抗細胞増殖治療薬、抗腫瘍治療薬、抗癌治療薬もしくは抗新生物治療薬又は抗細胞増殖剤、抗腫瘍剤、抗癌剤もしくは抗新生物剤が含まれる。さらに他の実施形態における混合物には、単数又は複数の融合コンストラクト及び免疫増強剤が含まれる。薬学的に許容されたキャリア又は賦形剤に含まれる単数又は複数の融合コンストラクト等の混合物であって、単数又は複数の抗細胞増殖治療薬、抗腫瘍治療薬、抗癌治療薬もしくは抗新生物治療薬又は抗細胞増殖剤、抗腫瘍剤、抗癌剤もしくは抗新生物剤と、免疫増強剤とを組み合わせたものが提供される。
【0107】
本発明の融合コンストラクト、例えば、第1の溶解ドメイン及び第2の結合部ドメインを含むアミノ酸配列を有するポリペプチド等は、標的細胞を溶解させ、細胞死させ又はアポトーシスさせるために用いられる。このような細胞は、選択的に標的とされる。例えば、レセプタ、リガンド、抗原又は抗体を発現する細胞は、融合コンストラクトによって標的とされ、レセプタ、リガンド、抗原又は抗体の発現が少ない細胞と比較して、特異的に破壊される。
【0108】
本発明によれば、細胞の増殖を減少させ阻害する方法が提供され、また、細胞増殖を減少させ又は阻害する方法が提供される。一実施形態における方法は、細胞を、過剰増殖細胞の増殖を減少させ阻害するために十分な量の融合コンストラクトに接触させることを含む。他の実施形態における方法は、細胞増殖を減少させ阻害するために十分な量の融合コンストラクトに細胞を接触させることを含む。
【0109】
さらなる実施形態として、過剰増殖細胞(hyperproliferating cell)の増殖を減少させ阻害する方法、及び過増殖性細胞(hyperproliferative cell)の増殖をを減少させ阻害する方法が提供される。一実施形態における方法は、過剰増殖細胞又は過増殖性細胞を、増殖を減少させ阻害するために十分な量の融合コンストラクトと接触させることを含む。
【0110】
さらなる実施形態として、非転移性の又は転移性の新生物細胞、癌細胞、腫瘍細胞及び悪性腫瘍細胞の増殖を減少させ阻害させる方法が提供される。一実施形態における方法は、新生物細胞、癌細胞、腫瘍細胞及び悪性腫瘍細胞を、当該細胞の増殖を減少させ阻害するために十分な量の融合コンストラクトに接触させることを含む。
【0111】
さらなる実施形態として、休眠状態又は非分裂性で非転移性又は転移性の新生物細胞、癌細胞、腫瘍細胞及び悪性腫瘍細胞の増殖を減少させ阻害させる方法が提供される。一実施形態における方法は、休眠状態又は非分裂性の新生物細胞、癌細胞、腫瘍細胞及び悪性腫瘍細胞を、休眠状態又は非分裂性の細胞の増殖を減少させ阻害するために十分な量の融合コンストラクトに接触させることを含む。
【0112】
追加の実施形態として、レセプタ、リガンド、抗体又は抗原を発現させる細胞(例えば、過剰増殖細胞)の増殖を選択的に減少させ又は阻害する方法が提供される。一実施形態における方法は、細胞(例えば、過剰増殖細胞)を、当該細胞の増殖を減少させ又は阻害するために十分な量の融合コンストラクトに接触させることを含み、当該細胞によって発現されるレセプタ、リガンド又は抗原にペプチドの結合部が結合する。
【0113】
さらに追加の実施形態として、レセプタ、リガンド、抗体又は抗原を発現させる新生物細胞、腫瘍細胞、癌細胞又は悪性腫瘍細胞の増殖を選択的に減少させ阻害させる方法が提供される。一実施形態における方法は、新生物細胞、腫瘍細胞、癌細胞又は悪性腫瘍細胞の増殖を減少させ又は阻害するために十分な量の融合コンストラクトを当該細胞に接触させることを含み、当該細胞によって発現されるレセプタ、リガンド又は抗原に融合コンストラクトの結合部が結合する。
【0114】
「接触」という用語は、2つ以上の実体の間(例えば、融合コンストラクトと細胞との間)での直接又は間接の結合又は相互作用を意味する。本明細書で使用されているように、接触には、溶液中で、固相で、インビトロで、エクスビボで、細胞内で、及びインビボでの接触が含まれる。インビボでの接触は、投与と称されることがある。
【0115】
増殖を減少させ又は阻害する標的となる細胞は、融合コンストラクトの結合部が結合する分子を発現させる細胞を非選択的又は選択的に含む。細胞の例には、レセプタ(例えば、ホルモンレセプタ、成長因子レセプタ、サイトカインレセプタ、ケモカインレセプタ)、リガンド(例えば、ホルモン、成長因子、サイトカイン、ケモカイン)又は抗体もしくは抗原、又はインテグリンもしくはインテグリンレセプタ(「RGD」配列モチーフを含むペプチド)、又は単糖、二糖もしくはオリゴ糖などの細胞外基質(ECM)に存在する成分、シアル酸、ガラクトース、マンノース、フコース、アセチルノイラミン酸、「RGD」配列モチーフを含むペプチド等を発現する細胞が含まれる。
【0116】
標的細胞には、次の物質を発現させる細胞、すなわち、性ステロイドホルモンや性腺ステロイドホルモン又は性ステロイドホルモンレセプタや性腺ステロイドホルモンレセプタを発現させる細胞が含まれる。標的細胞には、ゴナドトロピン放出ホルモンI、ゴナドトロピン放出ホルモンII、ヤツメウナギIII黄体形成ホルモン放出ホルモン、黄体形成ホルモン、絨毛性ゴナドトロピン、メラニン細胞刺激ホルモン、エストラジオール、ジエチルスチルベストロール、ドーパミン、ソマトスタチン、卵胞刺激ホルモン(FSH)、グルココルチコイド、エストロゲン、テストステロン、アンドロステンジオン、ジヒドロテストステロン、デヒドロエピアンドロステロン、プロゲステロン、アンドロゲン、上皮細胞増殖因子(EGF)、Her2/neu、ビタミンH、葉酸又は葉酸誘導体(例えば、葉酸塩)、トランスフェリン、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、エンドセリン、ボンベシン、成長ホルモン、血管作動性腸管ペプチド、ラクトフェリン、インテグリン(例えば、α5β1インテグリン)、神経成長因子、CD19、CD20、CD23、CD27、CD28、CD30、CD33、CD40、CD52、CD56、CD70、CD154、免疫グロブリン様レセプタ、ROR1、IGF−1、癌胎児性抗原(CEA)、前立腺特異抗原(PSA)、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、形質転換成長因子α、形質転換成長因子β、インスリン様成長因子、血管内皮成長因子、インスリン、セルロプラスミン、又はHIV−tatと結合するレセプタを発現させる細胞が含まれる。
【0117】
標的細胞には、性ステロイドホルモンもしくは性腺ステロイドホルモン又は性ステロイドホルモンレセプタもしくは性腺ステロイドホルモンレセプタに結合するレセプタを発現させる細胞がさらに含まれる。標的細胞には、次の物質に結合するレセプタを発現させる細胞がさらに含まれる。すなわち、ゴナドトロピン放出ホルモンI、ゴナドトロピン放出ホルモンII、ヤツメウナギIII黄体形成ホルモン放出ホルモン、黄体形成ホルモンβ鎖、黄体形成ホルモン、絨毛性ゴナドトロピン、絨毛性ゴナドトロピンβサブユニット、メラニン細胞刺激ホルモン、エストラジオール、ジエチルスチルベストロール、ドーパミン、ソマトスタチン、卵胞刺激ホルモン(FSH)、グルココルチコイド、グルココルチコイド、エストロゲン、テストステロン、アンドロステンジオン、ジヒドロテストステロン、デヒドロエピアンドロステロン、プロゲステロン、アンドロゲン、上皮細胞増殖因子(EGF)、Her2/neu、ビタミンH、葉酸又は葉酸誘導体(例えば、葉酸塩)、トランスフェリン、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、エンドセリン、ボンベシン、成長ホルモン、血管作動性腸管ペプチド、ラクトフェリン、インテグリン(例えば、α5β1インテグリン)、神経成長因子、CD19、CD20、CD23、CD27、CD28、CD30、CD33、CD40、CD52、CD56、CD70、CD154、免疫グロブリン様レセプタ、ROR1、IGF−1、癌胎児性抗原(CEA)、前立腺特異抗原(PSA)、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、形質転換成長因子α、形質転換成長因子β、インスリン、セルロプラスミン、HIV−tat、又はこれらの類似体(例えば、ミフェプリストン、フルタミンド、ルプロン、ゾラデックス、サプレリン、シナテルトリプトレリン(synatel triptorelin)、ブセレリン、セトロレリクス、ガニレリクス、アバレリクス、アンチド、テベレリクス又はデガレリクス(Fe200486)に結合するレセプタを発現させる細胞が標的細胞にさらに含まれる。
【0118】
増殖を減少させ又は阻害する標的細胞には、非選択的又は選択的に、次の物質を発現させる細胞がさらに含まれる。すなわち、癌胎児性抗原(CEA)等の「腫瘍関連抗原」、αフェトプロテイン(AFP)、前立腺特異抗原(PSA)、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、CA125(残存上皮性卵巣癌)、可溶性インターロイキン−2
(IL−2)レセプタ、RAGE−1、チロシナーゼ、MAGE−1、MAGE−2、NY−ESO−1、Melan−A/MART−1、糖タンパク質(gp)75、gp100、βカテニン、PRAME、MUM−1、ZEP161、ユビキリン−1、HOX−B6、YB−1、オステオネクチン、及びILF3を発現させる細胞が、増殖を減少させ又は阻害する標的細胞に含まれる。増殖を減少させ又は阻害する標的細胞には、非選択的又は選択的に、次の物質を発現させる細胞がさらに含まれる。すなわち、トランスフェリン、葉酸及び葉酸誘導体(例えば、葉酸塩)、及びTNF−α、TNF−β(リンフォトキシン、LT)等の腫瘍壊死因子(TNF)ファミリーメンバー、腫瘍壊死因子関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)、脂肪酸合成酵素(FAS)、LIGHT、及び41BB、及びこれらのためのレセプタを発現させる細胞が、増殖を減少させ又は阻害する標的細胞に含まれる。
【0119】
融合コンストラクト及び本発明の方法は、有害な又は異常な細胞の増殖及び過増殖疾患を治療するためにも用いられる。このように、本発明によれば、有害な又は異常な細胞の増殖及び過増殖疾患を治療する方法が提供される。一実施形態における方法は、有害な又は異常な細胞の増殖又は過増殖疾患を治療するために十分な量の融合コンストラクトを治療の必要な被験者へ投与することを含む。
【0120】
「過増殖疾患」という用語は、有害な又は異常な細胞生存(例えば、プログラムされた細胞死又はアポトーシスに至らないこと)、成長又は増殖を表す。この「過増殖疾患」には、良性過形成、非転移性及び転移性の新生物、癌、腫瘍及び悪性腫瘍が含まれる。有害な又は異常な細胞の増殖及び過増殖疾患は、被験者のあらゆる細胞、組織、臓器に影響を与えうる。有害な又は異常な細胞の増殖及び過増殖疾患は、被験者において、局所的、局部的又は全身にわたって存在する。過増殖疾患は、多くの組織又は臓器において発生しうる。このような組織又は臓器には、次のものが含まれる。すなわち、乳腺、肺(例えば、肺小細胞又は非小細胞)、甲状腺、頭部もしくは頸部、脳、鼻咽頭、咽喉部、鼻部もしくは鼻腔部、リンパ球、副腎、下垂体、甲状腺、リンパ液、胃腸(口腔、食堂、胃、十二指腸、回腸、空腸(小腸)、結腸、直腸)、泌尿生殖器(子宮、卵巣、膣頸部、子宮内膜、卵管、膀胱、睾丸、陰茎、前立腺)、腎臓、膵臓、肝臓、骨、骨髄、リンパ液、血液、筋肉、皮膚、及び幹細胞が過増殖疾患が発生しうる臓器又は組織に含まれる。これらは、他の二次的な部位又は位置へ転移する可能性もしない可能性もある。
【0121】
融合コンストラクト及び本発明の方法は、あらゆる細胞、臓器または組織を起源とする転移性又は非転移性の腫瘍、癌、悪性腫瘍又は新生物にも用いられる。このような疾患は、ほとんどあらゆる種類の組織に影響を与えうる。例えば、上皮性悪性腫瘍、肉腫、黒色腫、神経系新生物疾患、及び網内系新生物疾患又は造血細胞新生物疾患(例えば、骨髄腫、リンパ腫又は白血病)に影響を与えうる。
【0122】
本明細書において用いられるように、「新生物」及び「腫瘍」という用語は、その成長、増殖又は生存が、対応する正常な細胞の成長、増殖又は生存を上回っている細胞又は細胞集団を表し、例えば、細胞増殖性疾患又は細胞分化性疾患を表す。腫瘍は、他と区別できる腫瘤又は発生物を形成する。「癌」又は「悪性腫瘍」という用語は、近接する場所、組織又は臓器に侵入する可能性がある新生物又は腫瘍を表す。「転移」という用語は、播種性を持ち、又は、原発部位から被験者体内の原発腫瘍又は原発癌から離れた位置にある単数又は複数の二次的位置又は二次的部位へ拡散する新生物、腫瘍、癌又は悪性腫瘍を表す。
【0123】
新生物細胞、腫瘍細胞、癌細胞及び悪性腫瘍細胞(転移性又は転移性のもの)は、休眠状態の新生物細胞、腫瘍細胞、癌細胞及び悪性腫瘍細胞又は残存新生物細胞、残存腫瘍細胞、残存癌細胞及び残存悪性腫瘍細胞を含む。かかる細胞は、典型的には、分裂性ではない(G0−G1期)残存腫瘍細胞である。このような細胞は、播種性の新生物細胞、腫瘍細胞、癌細胞又は悪性腫瘍細胞又は微小残存病変として原発部位にとどまる。このような休眠状態の新生物細胞、腫瘍細胞、癌細胞又は悪性腫瘍細胞は無症状であるが、休眠状態の細胞が増殖することによって症状や死に繋がる可能性がある。本発明の方法は、休眠状態の新生物細胞、腫瘍細胞、癌細胞又は悪性腫瘍細胞の増殖を減少させ又は阻害するための用いることができ、これにより、腫瘍、癌、再発、腫瘍又は癌の転移や進行を阻害又は減少させることができる。
【0124】
本発明によれば、転移性又は非転移性の腫瘍、癌、悪性腫瘍又は新生物を持つ被験者を治療する方法が提供される。一実施形態における方法は、転移性又は非転移性の腫瘍、癌、悪性腫瘍又は新生物を治療する(例えば、増殖を減少させ又は阻害する)ために十分な量の融合コンストラクトを治療を必要とする被験者へ投与することを含む。
【0125】
転移性又は非転移性の腫瘍、癌、悪性腫瘍又は新生物は、早期の又は進行した腫瘍に用いることができ、ステージI、II、III、IV又はVの腫瘍等のいかなるステージの腫瘍にも用いることができる。転移性又は非転移性の腫瘍、癌、悪性腫瘍又は新生物には、前治療を施すことができ、安定した(非進行性の)ものや、寛解したものであってもよい。
【0126】
転移については、本発明の方法は、原発腫瘍や癌の他の部位への転移や、原発腫瘍や癌から離れた部位における転移性の腫瘍や癌の形成を減少させ又は阻害し、これにより、腫瘍や癌の再発又は腫瘍や癌の進行を阻害し又は減少させることができる。このように、本発明の方法には、例えば、1)転移の可能性があり又は実際に転移している腫瘍細胞又は癌細胞(例えば、播種性腫瘍細胞、DTC)の成長、増殖、移動度又は侵潤性を減少又は抑制し、2)原発部位から離れた単数又は複数の部位における原発腫瘍や癌から起こる転移の形成を減少又は抑制し、3)転移が形成された後に原発部位から離れた単数又は複数の他部位において転移が成長し増殖することを減少又は抑制し、及び、4)転移が形成された後にさらに転移が形成されることを減少又は抑制すること、が含まれる。
【0127】
転移性又は非転移性の腫瘍、癌、悪性腫瘍又は新生物の細胞は、凝集されて「固形」の細胞塊になることがあり、分散又は拡散されることもある。「固形」腫瘍は、典型的には、凝集して塊を形成する癌、新生物又は転移癌を表す。この例には、黒色腫、乳腺癌、膵臓癌、子宮癌及び卵巣癌、セミノーマを含む精巣癌、胃癌又は結腸癌、肝臓癌、副腎癌、腎臓上皮性悪性腫瘍、膀胱上皮性悪性腫瘍、肺癌、頭部もしくは頸部癌及び脳腫瘍/癌等の内臓腫瘍が含まれる。
【0128】
上皮性悪性腫瘍は、上皮組織又は内分泌組織の悪性腫瘍を表し、呼吸器系の上皮性悪性腫瘍、消化器系上皮性悪性腫瘍、泌尿生殖器系の上皮性悪性腫瘍、精巣上皮性悪性腫瘍、乳腺上皮性悪性腫瘍、前立腺上皮性悪性腫瘍、内分泌系上皮性悪性腫瘍、及び黒色腫を含む。上皮性悪性腫瘍の例には、子宮、頸部、肺、前立腺、乳腺、頭部もしくは頸部、結腸、膵臓、睾丸、副腎、腎臓、食堂、胃、肝臓及び卵巣から形成されるものが含まれる。上皮性悪性腫瘍の用語は、例えば、癌組織及び肉腫組織からなる悪性腫瘍等の癌肉腫を含む。腺癌は、腺組織の上皮性悪性腫瘍又は腫瘍が腺様構造を形成する上皮性悪性腫瘍を含む。
【0129】
肉腫は、間葉細胞に由来する悪性腫瘍を表す。肉腫の例には、例えば、リンパ肉腫、脂肪肉腫、骨肉腫、軟骨肉腫、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫及び線維肉腫が含まれる。
【0130】
神経系新生物には、神経膠腫、膠芽細胞腫、髄膜腫、神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫、星状細胞腫及びオリゴデンドログリオーマが含まれる。
【0131】
「液性腫瘍」は、分散又は拡散される性質を有する新生物を表し、通常は固形の塊を形成しない。「液性腫瘍」の例には、リンパ腫、骨髄腫及び白血病等の網内系又は造血系の新生物が含まれる。白血病の例には、急性及び慢性のリンパ芽球性、骨髄芽球性、及び多発性の骨髄腫が含まれる。通常、そのような疾患は、赤芽球性白血病および急性巨核芽球性白血病等の未分化の急性白血病から生じる。具体的な骨髄疾患には、以下に限定されることはないが、急性前骨髄球性白血病(APML)、急性骨髄性白血病(AML)及び慢性骨髄性白血病(CML)が含まれる。リンパ性悪性疾患には、急性リンパ性白血病(ALL)が含まれる。この急性リンパ性白血病(ALL)には、B細胞系統のALL及びT細胞系統のALL、慢性リンパ球性白血病(CLL)、前リンパ球性白血病(PLL)、有毛細胞白血病(HLL)ならびにヴァルデンストレームマクログロブリン血症(WM)が含まれる。具体的な悪性リンパ腫には、非ホジキンリンパ腫および変異形、末梢T細胞リンパ腫、成人T細胞白血病/リンパ腫(ATL)、皮膚T細胞性リンパ腫(CTCL)、大顆粒リンパ球性白血病(LGF)、ホジキン病ならびにリードスタンバーグ病が含まれる。
【0132】
本明細書において述べられているように、有害な又は異常な細胞の増殖又は過増殖疾患は、子宮、乳腺、膣、頸部及び卵管から生じえる。子宮内膜症は、子宮細胞が子宮外で成長することによって、又は、卵巣、膀胱又は腸管等の子宮外の領域へ成長することによって発生する。子宮筋腫及びポリープは、子宮、乳腺、膣、頸部及び卵管に影響を与えることがある。
【0133】
このように、本発明によれば、子宮内膜症及び子宮筋腫又はポリープを治療する方法が提供される。一実施形態における方法には、子宮内膜症を治療するために十分な量の融合コンストラクトを被験者へ投与することが含まれる。他の実施形態における方法には、子宮筋腫又はポリープを治療するために十分な量の融合コンストラクトを被験者へ投与することが含まれる。
【0134】
標的細胞は、生殖に関与し又は生殖に必要とされる細胞を含む。したがって、本発明によれば、動物の生殖能力を減少させる方法が提供される。一実施形態における方法には、生殖能力を減少させ、妊娠の可能性を減少させ、又は、雄の哺乳類が生成する精子を減少させるために十分な量の融合コンストラクトを被験者へ投与することが含まれる。
【0135】
本明細書において述べられるように、有害な又は異常な細胞の増殖又は過増殖疾患は、前立腺においても発生する。このように、本発明によれば、良性の前立腺過形成又は転移性の前立腺新生物を治療する方法が提供される。一実施形態における方法には、良性の前立腺過形成又は転移性の前立腺新生物を治療するために十分な量の融合コンストラクトを被験者へ投与することが含まれる。
【0136】
抗細胞増殖性又は抗細胞増殖効果を有するあらゆる組成物、治療法、治療手順、治療方法又はレジメンが、融合コンストラクトと組み合わされ、又は、本発明の方法と組み合わせて用いられる。したがって、融合コンストラクト及び本発明の方法は、抗増殖性、抗腫瘍、抗癌、抗新生物及び抗転移性の治療法、治療手順及び治療方法を含む。これらの治療法、治療手順及び治療方法には、腫瘍、癌、悪性腫瘍又は新生物の成長、進行、転移、増殖又は生存等の過増殖疾患やインビトロ又はインビボでの悪化を阻害し、減少させ、抑制し、遅延させ、減少させ、防止する、上述した以外のあらゆる組成物、治療法、治療手順又は治療レジメンが含まれる。抗増殖性(例えば、腫瘍)治療には、化学療法、免疫療法、放射線治療(電離放射線治療もしくは化学放射線治療)、局所温熱療法(温熱療法)、外科的切除及びワクチン接種が含まれる。融合コンストラクトは、抗細胞増殖治療薬、抗新生物治療薬、抗腫瘍治療薬、抗癌治療薬、抗転移性治療薬又は免疫増強治療薬の投与前に、これらの投与と実質的に同時に、又はこれらの投与後に、投与することができる。融合コンストラクトは、抗細胞増殖治療薬、抗新生物治療薬、抗腫瘍治療薬、抗癌治療薬、抗転移性治療薬又は免疫増強治療薬とともに組み合わせ組成物として投与することができる。
【0137】
抗増殖性、抗新生物、抗腫瘍、抗癌及び抗転移性の組成物、治療方法、治療手順又は治療法には、細胞周期の進行や細胞増殖を防止し、妨害し、中断させ、阻害し、遅延させるもの、アポトーシス又は細胞死を刺激し増強するもの、核酸又はタンパク質の合成又は代謝を阻害するもの、細胞分裂を阻害するもの、又は、細胞生存や必須の細胞生存因子、細胞成長因子又はシグナル伝達経路(細胞外又は細胞内)の生成又は利用を減少させ又は阻害するものが含まれる。抗細胞増殖活性、抗新生物活性、抗腫瘍活性、抗癌活性及び抗転移性活性を有する化学物質のクラスの種類には、アルキル化剤、代謝拮抗剤、植物エキス、植物性アルカロイド、ニトロソウレア、ホルモン、ヌクレオシド及びヌクレオチド類似体が含まれる。抗細胞増殖活性、抗新生物活性、抗腫瘍活性、抗癌活性及び抗転移性活性を有する薬剤の例には、シクロホスファミド、アザチオプリン、シクロスポリンA、プレドニゾロン、メルファラン、クロラムブシル、メクロレタミン、ブスルファン、メトトレキサート、6−メルカプトプリン、チオグアニン、5−フルオロウラシル、シトシンアラビノシド、AZT、デシタビン(5−aza−2´デオキシシチジン)5−アザシチジン(5−AZC)及び5−アザシチジン関連化合物、シタラビン、1−β−D−アラビノフラノシル−5−アザシトシン及びジヒドロ−5−アザシチジン、ブレオマイシン、アクチノマイシンD、ミトラマイシン、マイトマイシンC、カルムスチン、ロムスチン、セムスチン、ストレプトゾトシン、ヒドロキシウレア、シスプラチン、ミトタン、プロカルバジン、ダカルバジン、タクソール、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ドキソルビシン及びジブロモマンニトール等が含まれる。
融合コンストラクト及び方法とともに用いることができる追加剤が、本発明の技術分野において知られており、利用可能である。例えば、抗体、細胞成長因子、細胞生存因子、細胞分化因子、サイトカイン及びケモカイン等の生物製剤を投与することができる。モノクロナール抗体の例には、リツキシマブ(リツキサン(登録商標))、トラスツズマブ(ハーセプチン)、ベバシズマブ(アバスチン)、セツキシマブ(アービタックス)、アレムツズマブ(キャンパス)、パニツムマブ(ベクチビックス)、イブリツモマブ・チウキセタン(ゼヴァリン)、トシツモマブ(ベクザー)等が含まれる。これらの例示されたモノクロナール抗体は、例えば、本発明の融合コンストラクトと組み合わせて用いることができる。本発明の融合コンストラクトとともに用いることができる他の標的薬は、イマチニブ(グリベック)、ゲフィチニブ(イレッサ)、ボルテゾミブ(ベルケイド)、ラパチニブ(Tykerb)、スニチニブ(スーテント)、ソラフェニブ(ネクサバール)、ニロチニブ(Tasigna)等である。細胞成長因子、細胞生存因子、細胞分化因子、サイトカイン及びケモカインの例には、IL−2、IL−1α、IL−1β、IL−3、IL−6、IL−7、顆粒球・マクロファージ・コロニー刺激因子(GMCSF)、IFN−γ、IL−12、TNF−α、TNFβ、MIP−1α , MIP−1β、RANTES、SDF−1、MCP−1、MCP−2、MCP−3、MCP−4、エオタキシン、エオタキシン−2、I−309/TCA3、ATAC、HCC−1、HCC−2、HCC−3、LARC/MIP−3a、PARC、TARC、CKβ、CKβ6、CKβ7、CKβ8、CKβ9、CKβ11、CKβ12、C10、IL−8、GROα、GROβ、ENA−78、GCP−2、PBP/CTAPIIIβ−TG/NAP−2、Mig、PBSF/SDF−1及びリンフォタクチン(lymphotactin)が含まれる。
【0138】
追加例には、免疫増強治療法が含まれる。免疫増強治療法には、細胞を用いた治療(cell based therapies)が含まれる。特に、免疫増強治療法には、リンパ球、形質細胞、マクロファージ、樹枝状細胞、ナチュラルキラー細胞及びB細胞を投与することが含まれる。
【0139】
転移性又は非転移性の腫瘍、癌、悪性腫瘍又は新生物を治療する方法、転移性又は非転移性の腫瘍、癌、悪性腫瘍又は新生物を有し又は有するおそれがある被験者を治療する方法、及び、抗増殖治療、抗腫瘍治療、抗癌治療、抗新生物治療又は抗悪性腫瘍治療の効果を向上させ又は改善する方法が提供される。各実施形態における方法は、転移性又は非転移性の腫瘍、癌、悪性腫瘍又は新生物を有し又は有するおそれがある被験者へ、転移性又は非転移性の腫瘍、癌、悪性腫瘍又は新生物を治療するために十分な量の融合コンストラクトを投与すること、当該被験者を治療するために十分な量の融合コンストラクトを当該被験者へ投与すること、転移性又は非転移性の腫瘍、癌、悪性腫瘍又は新生物の治療を受けている被験者へ、抗増殖治療、抗腫瘍治療、抗癌治療、抗新生物治療又は抗悪性腫瘍治療の効果を向上させ又は改善するために十分な量の融合コンストラクトを投与すること、を含む。
【0140】
本発明の方法は、有害なもしくは異常な細胞の増殖又は過増殖の疾患、疾病、又は病状が1つ又は複数の症状によって発見される前に(つまり、予防)、又は発見と同時に、又は発見後に用いられる。被験者における有害なもしくは異常な細胞の増殖又は過増殖疾患の症状が進展する前に、進展と同時に、又は進展した後に融合コンストラクトを投与することによって、有害なもしくは異常な細胞の増殖又は過増殖疾患、疾病、又は病状の1つ又は複数の症状の発生、頻度、重症度、進行、又は継続期間を減少させることができる。また、有害なもしくは異常な細胞の増殖又は過増殖疾患、疾病又は病状の1つ又は複数の症状の進展の前に、進展と同時に、又は進展のすぐ後に融合コンストラクトを投与することによって、過剰増殖細胞(例えば、転移)が被験者の他の部位又は位置へ拡散又は播種し、又は、被験者の他の部位、位置、組織又は臓器において過剰増殖細胞(例えば、転移癌)が形成されることを阻害し、減少させ、又は防止することができる。
【0141】
融合コンストラクト及び治療方法等の本発明の方法は、検出可能な又は測定可能な被験者に対する治療上の効果又は改善効果を提供する。治療上の効果又は改善効果は、被験者に対する効果、又は、被験者の組織、臓器、細胞もしくは細胞集団における病状、疾患もしくは疾病、望ましくない症状、結果、又は根本の原因における改善効果であり、このような効果又は改善効果は、客観的なもしくは主観的なもの、一過性のもの、一時的なもの、又は長期間にわたるものである。治療上の効果及び改善効果には、疾患、疾病もしくは病状、根本の原因もしくは疾患、疾病もしくは病状の結果に関連付けられる1つ又は複数の症状又は合併症の発生、頻度、重症度、進行、又は継続期間を減少させることが含まれるが、これらには限られない。したがって、融合コンストラクト及び本発明の方法には、被験者に対する治療上の効果又は改善効果を提供することが含まれる。
【0142】
本発明の方法における治療上の効果又は改善効果が望ましい効果である場合には、本発明の融合コンストラクトは、十分な又は効果のある量が被験者に投与される。「十分な量」又は「効果のある量」は、単回投与又は複数回投与によって、単独で又は単数又は複数の他の組成物(化学療法薬や免疫刺激薬等の治療薬)、治療方法、治療手順もしくは治療レジメンと組み合わせて、継続期間(長期又は短期)における検出可能な反応や、任意の継続時間(例えば、数時間、数日、数ヶ月、数年、又は治癒まで)において測定可能な又は検出可能な程度の被験者における望ましい結果又は被験者に対する効果を提供する量である。疾患、疾病もしくは病状又は症状の進展や悪化を減少させ又は阻害することは十分な結果と考えられるが、治療のための(例えば、治療上の効果又は改善効果を提供するための)投与量、「十分な量」又は「効果のある量」は、通常、疾患、疾病もしくは病状、又は、疾患、疾病もしくは病状の1つ、複数、又は全ての望ましくない症状、結果もしくは合併症を測定できる程度に改善するために効果的である。
【0143】
「改善する」という用語は、被験者の病状における、検出可能で客観的な又は主観的な改善を意味する。検出可能な改善は、疾患、疾病もしくは病状によって生じ又はこれらに関連する症状の発生、頻度、重症度、進行、又は継続期間の主観的な又は客観的な減少、疾患、疾病もしくは病状の根本的な原因もしくは結果についての主観的な又は客観的な改善、又は、疾患、疾病もしくは病状の主観的な又は客観的な好転を含む。
【0144】
したがって、治療によって、疾患、疾病もしくは病状、関連する症状もしくは結果、又は根本の原因が阻害、減少、又は防止され、疾患、疾病、病状、症状、もしくは結果又は根本の原因の悪化、又は、疾患、疾病、病状もしくは症状の単数又は複数の追加的症状のさらなる悪化又は発生が阻害、減少、又は防止される。このように、治療が成功すると、「治療上の効果」や「効果」につながり、1つ又は複数の症状の発生、頻度、重症度、進行、もしくは継続期間、又は、被験者の病状、疾患、疾病もしくは症状の根本の原因もしくは結果を阻害し、減少させ、又は防止することができる。病状、疾患、疾病もしくは症状の単数又は複数の根本の原因に影響を与える治療方法は、それゆえ、効果があると考えられる。疾患又は病状の進行又は悪化を安定させ又は阻害することも、治療の成功と考えられる。
【0145】
このように、治療上の効果又は改善効果は、病状、疾患もしくは疾病に関連する症状、合併症、結果もしくは根本の原因の1つ、大部分、又は全ての完全な除去である必要はない。このように、被験者の病状に漸進的な改善があり、発生、頻度、重症度、進行、又は継続期間に部分的な減少があり、又は、単数又は複数の関連する望ましくない症状もしくは合併症又は結果もしくは根本の原因、短期間又は長期間(数時間、数日、数週、又は数ヶ月)における疾患もしくは疾病の単数又は複数の生理学的な、生化学的なもしくは細胞的な発現又は特質の悪化又は進行の阻害又は好転(例えば、病状、疾患もしくは疾病の1つ又は複数の症状又は合併症を安定化すること)があれば、評価項目が十分に達成される。
【0146】
一実施形態における治療方法は、新生物細胞、腫瘍細胞、癌細胞又は悪性腫瘍細胞の質量、体積、サイズもしくは細胞数を部分的にもしくは完全に破壊し、新生物細胞、腫瘍細胞、癌細胞又は悪性腫瘍細胞
壊死、溶解もしくはアポトーシスを活性化、促進もしくは増加させ、新生物、腫瘍、癌又は悪性腫瘍の体積、サイズ、細胞質量を減少させ、新生物、腫瘍、癌又は悪性腫瘍の体積、質量、サイズもしくは細胞数の増加もしくは進行を抑制もしくは防止し、過剰増殖細胞(例えば、転移癌)が被験者の他の(二次的な)部位、位置、組織又は臓器へ拡散又は播種すること、又は、過剰増殖細胞(例えば、転移癌)が被験者の他の(二次的な)部位、位置、組織において形成されることを阻害し減少させ、被験者の寿命を延ばす。追加的な実施形態における治療方法は、転移性又は非転移性の腫瘍、癌、悪性腫瘍又は新生物に関連する又はこれらによって引き起こされる有害な症状や合併症の重症度、継続時間もしくは頻度を減少させる。
【0147】
十分な量又は効果のある量を、一度の投与で提供することもできるが必ずしもその必要はなく、また、単独で又は他の組成物(例えば、化学療法剤又は免疫強化剤もしくは免疫刺激剤)、治療方法、治療手順もしくは治療レジメンと組み合わせて提供することができるが必ずしもその必要はない。例えば、十分な量又は効果のある量は、患者の必要性、治療中の疾患、疾病もしくは病状の現状、又は治療の副作用に応じて増加させることができる。また、十分な量又は効果のある量は、他の組成物(例えば、化学療法剤又は免疫刺激剤)、治療方法、治療手順又は治療レジメンを用いない場合には、単回の又は複数回の投与によって提供される必要は必ずしもなく、元々の投与に加えて投与回数、投与量又は投与時間を追加するか、追加の組成物(例えば、化学療法剤又は免疫刺激剤)、治療方法、治療手順又は治療レジメンを加えて、被験者にとって効果的又は十分と考えられる量にすることができる。十分と考えられる量には、他の治療方法、治療レジメン又は治療手順の使用を減らすことができる量も含まれる。
【0148】
十分な量又は効果のある量は、予防のため又は治療のために処置される被験者の全ての者にとって効果的である必要は必ずしもなく、所定のグループもしくは母集団の過半数の被験者にとって効果的である必要もない。治療方法において一般的なように、所定の治療方法、治療レジメン又は治療手順に対してより大きな反応性を示す被験者とより小さな反応性を示す被験者とが存在する。十分な量又は効果のある量は、特定の被験者に関しての十分さ又は有効性を意味するものであり、グループや一般的な母集団に関しての十分さ又は有効性を意味するものではない。そのような量は、治療の条件に少なくとも部分的に依存する。このような治療の条件には、有害な又は異常な細胞の増殖や過増殖疾患(例えば、転移性もしくは非転移性の腫瘍、癌、悪性腫瘍又は新生物)の種類やステージ、望まれる治療効果、及び個々の被験者(例えば、被験者のバイオアベイラビリティ、性別、年齢等)が含まれる。
【0149】
有害な又は異常な細胞の増殖、例えば、過増殖疾患(例えば、転移性又は非転移性の腫瘍、癌、悪性腫瘍又は新生物)に対する治療上の効果又は改善効果の例には、細胞のサイズ、質量もしくは体積を減少させること、細胞のサイズ、質量もしくは体積の増加を阻害すること、悪化又は進行を遅延させ又は阻害すること、細胞の壊死、溶解もしくはアポトーシスを刺激すること、新生物の転移もしくは腫瘍悪性腫瘍の転移を阻害しもしくは減少させること、死亡率を減少させること、及び被験者の寿命を延ばすことが含まれる。このように、細胞のサイズ、質量もしくは体積の増加、又は転移を阻害し又は遅延させることにより、転移性又は非転移性の腫瘍、癌、悪性腫瘍又は新生物を完全に除去できないとしても、数日間、数週間又は数ヶ月間であったとしても寿命を延ばし死亡率を減少させることができる。過増殖疾患(例えば、転移性又は非転移性の腫瘍、癌、悪性腫瘍又は新生物)に関連する望ましくない症状及び合併症で減少又は削減可能なものには、例えば、痛み、吐き気、不快感、食欲不振、倦怠感及び衰弱が含まれる。このように、過増殖疾患(例えば、転移性又は非転移性の腫瘍、癌、悪性腫瘍又は新生物)等の有害な又は異常な細胞の増殖の症状の発生、頻度、重症度、進行、又は継続期間を減少させること、例えば、主観的な感情の改善(例えば、活力や食欲の増加、吐き気の減少、移動度の改善や精神的充足感等)は、全て、治療上の効果又は改善効果の例である。
【0150】
例えば、有害な又は異常な細胞の増殖、過増殖疾患(例えば、転移性又は非転移性の腫瘍、癌、悪性腫瘍又は新生物)等の治療に必要な化学療法剤、放射線治療又は免疫療法が融合コンストラクトの投与によって少なくて済んだ場合に、融合コンストラクトの十分な又は効果のある量は、治療上の効果を有すると考えられる。
【0151】
「被験者」という用語は、動物を意味し、典型的には哺乳類を意味する。哺乳類には、ヒトやヒト以外の霊長類(類人猿、テナガザル、チンパンジー、オランウータン、マカク)、愛玩動物(イヌ及びネコ)、家畜(ウマ、ウシ、ヤギ、ヒツジ、ブタ)及び実験動物(マウス、ラット、ウサギ、モルモット)等が含まれる。被験者には、融合コンストラクトのインビボ分析のための疾患動物モデルが含まれる。疾患動物モデルは、例えば、過増殖疾患(例えば、転移性又は非転移性の腫瘍、癌、悪性腫瘍又は新生物)等の有害な又は異常な細胞増殖の動物モデルである。
【0152】
治療に適した被験者には、転移性又は非転移性の腫瘍細胞、癌細胞、悪性腫瘍細胞又は新生物細胞を有する又は有するおそれのあるもの、及び抗増殖性治療(例えば、転移性又は非転移性の腫瘍の治療、癌治療、悪性腫瘍の治療又は新生物の治療)を受けているものが含まれ、腫瘍が寛解している被験者も含まれる。「おそれの(が)ある」被験者は、有害な又は異常な細胞の増殖、過形成(例えば、腫瘍)の形成に関連する危険因子を持っていることが一般的である。
【0153】
「おそれのある」被験者又は候補被験者には、融合コンストラクトが結合することができるレセプタ、リガンド、抗原又は抗体を発現する細胞を有するものが含まれる。特に、壊死、溶解、死滅もしくは破壊される標的細胞が、標的細胞以外の細胞よりも多くのレセプタ、リガンド、抗原又は抗体を発現する。このような細胞は、選択的に又は特異的に壊死、溶解又は破壊の標的とされうる。
【0154】
「おそれのある」被験者には、外科的切除、化学療法、免疫療法、電離放射線治療もしくは化学放射線治療、局部的もしくは局所的温熱療法(温熱療法)、又はワクチン接種を受ける対象となるもの又は受けたものも含まれる。よって、本発明は、転移性又は非転移性の腫瘍、癌、悪性腫瘍もしくは新生物又は転移性又は非転移性の腫瘍、癌、悪性腫瘍又は新生物に関連する合併症のおそれのある被験者の治療に用いられる。合併症は、例えば、転移性又は非転移性の腫瘍、癌、悪性腫瘍又は新生物が安定期又は寛解期の後に再発又は再成長することによって生じる。
【0155】
危険因子には、性別、生活習慣(食事、喫煙)、職業(医療従事者、農業又は畜産業従事者)、環境因子(発癌性物質への露出)、家族歴(自己免疫疾患、糖尿病等)、遺伝性素因等が含まれる。例えば、黒色腫が形成されるおそれのある被験者には、過度の太陽光への露出(紫外線)、白い皮膚、母斑が多いこと(異形成母斑)、患者表現型、家族歴、又は黒色腫の病歴等の危険因子がある。このように、癌が形成されるおそれのある被験者は、生活習慣、職業、環境因子、家族歴、及び腫瘍関連遺伝子、遺伝子欠失、又は遺伝子の突然変異の遺伝子検査によって特定される。乳腺癌が形成されるおそれのある被験者には、例えば、Brca1遺伝子が欠けている。結腸癌が形成されるおそれのある被験者は、例えば、若年において又は頻繁にポリープが形成され、大腸腺腫様ポリポーシス(APC)等の腫瘍抑制遺伝子が欠失し又は突然変異している。
【0156】
被験者には、他の治療方法の適応がないものも含まれる。例えば、被験者は、外科的切除、化学療法、免疫療法、電離放射線治療もしくは化学放射線治療、局部的もしくは局所的温熱療法(温熱療法)、又はワクチン接種に適していない可能性がある。このように、本発明の治療方法の候補被験者には、外科的切除、化学療法、免疫療法、電離放射線治療もしくは化学放射線治療、局部的もしくは局所的温熱療法(温熱療法)、又はワクチン接種の適応がないものも含まれる。
【0157】
融合コンストラクトを、単位投与量又は単位投与剤形単位で調剤することができる。一実施例において、融合コンストラクトは、有害なもしくは異常な細胞の増殖又は過増殖疾患を有する被験者を治療するために効果のある量である。追加的な実施形態において、融合コンストラクトは、転移性又は非転移性の腫瘍、癌、悪性腫瘍又は新生物を有する被験者を治療するために効果のある量である。さらに他の実施形態において、融合コンストラクトは、被験者の生殖能力を減少させるために効果のある量である。単位投与量の範囲の一例は次の通りである。すなわち、約25−250、250−500、500−1000、1000−2500又は2500−5000、5000−25000、5000−50000(単位はng)、及び、約25−250、250−500、500−1000、1000−2500、又は、2500−5000、5000−25000、5000−50000(単位はμg)である。
【0158】
本発明の組成物及び方法は、インビトロで、エクスビボで、又はインビボで接触され又は提供される。組成物は、意図する効果を提供するために、単回の投与又は複数回の投与によって、効果のある又は十分な量が投与される。投与量の範囲の一例は次の通りである。約25−250、250−500、500−1000、1000−2500又は2500−5000、5000−25000、5000−50000(単位はng/kg)、及び、約25−250、250−500、500−1000、1000−2500、又は、2500−5000、5000−25000、5000−50000(単位はμg/kg)である。投与は、毎日、一日おきに、又は、断続的に行われる。単回の投与又は複数回の投与を、毎日、一日おきに、又は、断続的に行うことができる。
【0159】
組成物の投与は、あらゆる投与方法で、全身的に、局所的に、又は局部的に行うことができる。また、方法についても、あらゆる経路で、全身的に、局所的に、又は局部的に行うことができる。例えば、融合コンストラクトは、全身的に、局所的もしくは局部的に、静脈投与の方法で、経口で(例えば、経口摂取もしくは吸入)、筋肉注射で、腹腔内に、皮内注射の方法で、皮下注射の方法で、腔内、頭蓋内に、経皮的に(局所的)、経粘膜投与もしくは経直腸的投与等の非経口的方法で投与することができる。医薬組成物を含む本発明の組成物及び方法は、(マイクロ)カプセル化された投与システムによって投与することができ、又は、投与のためにインプラントの中に詰め込むことができる。
【0160】
本発明は、融合コンストラクト及び融合コンストラクトが医薬組成物に含まれている方法をさらに提供する。医薬組成物は、「薬学的に許容された」及び「生理学的に許容された」担体、希釈剤又は賦形剤を意味する。本明細書における用法の通り、「薬学的に許容された」という用語及び「生理学的に許容された」という用語は、担体、希釈剤又は賦形剤を示す場合には、溶媒(水性もしくは非水性)、洗浄剤、溶剤、エマルション、分散媒、コーティング、等張剤及び吸収促進剤もしくは吸収遅延剤を含み、これらは、医薬の投与及び処方中の他の成分とともに用いることができるものである。このような処方は、錠剤(コーティングされたもの又はされていないもの)、カプセル(ハード又はソフト)、マイクロビーズ、乳剤、粉末剤、顆粒剤、結晶剤、懸濁剤、シロップ剤又はエリキシル剤に含められる。
【0161】
医薬組成物は、特定の投与法とともに用いることができるように処方される。非経口投与、皮内投与、又は皮下投与用の組成物は、水等の殺菌された希釈剤、生理食塩水溶液、固定油、ポリエチレン・グリコール、グリセリン、プロピレン・グリコール及びその他の合成溶剤を含むことができる。調合液には、微生物の成長を防ぐための単数又は複数の防腐剤(例えば、ベンジルアルコールやメチルパラベン等の抗菌剤、アスコルビン酸や亜硫酸水素ナトリウム等の抗酸化物質、エチレンジアミン四酢酸等のキレート剤、アセテート等のバッファ、クエン酸塩、又はリン酸塩及び塩化ナトリウムやブドウ糖等の張度調整剤)を含むことができる。
【0162】
注射用の医薬組成物には、殺菌された注射可能な溶液や分散液を調合調剤するための殺菌水溶液(水溶性)又は分散液及び殺菌粉末が含まれる。静脈投与のための安定的な担体には、生理食塩水、静菌水、Cremophor EL(商標)(ニュージャージー州ParsippanyのBASF社)又はリン酸緩衝生理食塩水(PBS)が含まれる。この担体は、溶剤又は分散媒であってもよい。このような溶剤又は分散媒には、例えば、水、エタノール、ポリオール(例えば、グリセロール、プロピレングリコール、及びポリエチレングリコール)、及び、これらの適切な混合物が含まれる。レシチン等のコーティングや界面活性剤を用いることによって流動性を維持することができる。抗菌剤及び抗真菌剤には、例えば、パラベン、クロロフタノール、フェノール、アスコルビン酸及びチメロサールが含まれる。モノステアリン酸アルミニウム及びゼラチン等の吸収を遅延させる薬剤を含めることによって、注射される組成物の吸収時間を長くすることができる。
【0163】
本発明の技術分野において知られている他の医薬組成物及び投与システムを、本発明の方法において用いることができる(例えば、Remington’s Pharmaceutical Sciences (1990) 18th ed., Mack Publishing
Co., Easton, PA、The Merck Index (1996) 12th ed., Merck Publishing Group, Whitehouse,
NJ、Pharmaceutical
Principles of Solid Dosage Forms, Technonic Publishing Co., Inc., Lancaster,
Pa., (1993)、及びPoznansky, et al., Drug Delivery Systems, R. L. Juliano, ed.,
Oxford, N.Y. (1980), pp. 253-315を参照。)。
【0164】
本発明は、本発明の融合コンストラクト、組み合わせ組成物及びその医薬組成物を含むキットを提供する。このキットは、適当な包装材で包装されている。キットは、構成物のインビトロ、インビボ又はエクスビボでの使用に関する組成物の説明や説明書を含むラベル又は包装挿入物を含んでもよい。説明書の例には、細胞増殖を減少させ又は阻害し、過剰増殖細胞等の有害な又は異常な細胞の増殖を減少させ又は阻害し、転移性又は非転移性の腫瘍細胞、癌細胞、悪性腫瘍細胞又は新生物細胞の増殖を減少させ又は阻害し、過増殖疾患を有する被験者を治療し、転移性又は非転移性の腫瘍、癌、悪性腫瘍又は新生物を有する被験者を治療し、又は、動物の生殖能力を減少させるするための説明書を含む。
【0165】
キットは、例えば、2つ以上の融合コンストラクトを、それ単独で、又は他の治療に用いられる組成物(例えば、抗増殖性薬剤や免疫増強薬剤)とともに含むことができる。
【0166】
「包装材」という用語は、キットの構成物を収容する物理的な構造を意味する。包装材は、構成物を滅菌された状態に保つことができ、包装材として通常用いられる材料(例えば、紙、ダンボール、ガラス、プラスチック、ホイル、プラスチック容器、ビン、チューブ等)で作られる。
【0167】
本発明のキットには、ラベル又は挿入物が含められる。ラベル又は挿入物には、例えば、紙やボール紙等の「印刷物」が含まれる。この印刷物は、キットの構成物、キット又は包装材(例えば、包装箱)とは別体とされるか、これらに添付されており、キットの構成物を含むアンプル、チューブ又はビンに添付されていてもよい。ラベル又は挿入物は、コンピュータ読み取り可能な媒体を追加的に含んでいてもよい。このようなコンピュータ読み取り可能な媒体には、ディスク(例えば、フロッピーディス、ハードディスク、ジップディスク)、CD−ROM、CD−RAM、DVD−ROM、DVD、DVD等の光ディスク、MP3、磁気テープ、又はRAMやROM等の電気的ストレージメディア、又はこれらの組み合わせからなる磁気/光ストレージメディア等のメディア、FLASHメディア又はFLASHメモリ又はメモリ型カードが含まれる。
【0168】
ラベル又は挿入物には、単数又は複数のキットに含まれる構成物の出所情報、投与量、効果の機序を含む有効成分の薬効薬理、薬物動態及び薬理学に関する情報が含まれてもよい。ラベル又は挿入物には、製造者情報、ロット番号、製造場所、及び製造日に関する情報を含むこともできる。
【0169】
ラベル又は挿入物には、キットの構成物が用いられる病状、疾患、疾病もしくは症状に関する情報が含まれていてもよい。ラベル又は挿入物には、方法、治療方法、治療手順又は治療レジメンにおいて単数又は複数のキットの構成物を用いるための、臨床医又は被験者向けの説明書を含んでもよい。説明書には、投与量、投与頻度、投与時間、本明細書において説明される方法、治療方法、治療手順又は治療レジメンを実施するための指示が含まれていてもよい。説明書の例には、有害な又は異常な細胞の増殖、過剰増殖細胞及び疾患(例えば、転移性又は非転移性の腫瘍、癌、悪性腫瘍又は新生物)の治療に関する指示が含まれていてもよい。本発明のキットは、本明細書において説明される本発明の方法(治療方法を含む)を実施するための指示に関するラベル又は説明書をさらに含んでもよい。
【0170】
ラベル又は挿入物は、キットの構成物が提供する効果、例えば、予防上又は治療上の効果、に関する情報を含んでもよい。ラベル又は挿入物には、有害な副作用の可能性についての情報を含めることができる。このような副作用の可能性に関する情報には、特定の組成物を使用するのが適当ではない状況に関しての、被験者や臨床医に対する警告を含んでもよい。有害な副作用は、キットに含まれる組成物と同時に服用することができない単数又は複数の他の薬剤を被験者が所持し、服用し、又はこれから服用する場合に起こりえる。または、キットに含まれる組成物と同時に行うことができない治療方法、治療手順又は治療レジメンを患者が現に受けており、又はこれから受ける場合にも、有害な副作用が発生しうる。そこで、かかる禁忌に関する情報を説明書に含めるようにしてもよい。
【0171】
本発明のキットは、他の構成物をさらに含むことができる。キットの構成物は、個別の包装容器に入れられていてもよく、全ての構成物が一つの包装材に入れられていてもよい。本発明のキットは、冷蔵で保存するように生成することもできる。本発明のキットは、本発明の融合コンストラクトを発現し、又は、融合コンストラクトをコードする核酸を含む宿主細胞をさらに含んでもよい。このキットに含まれる細胞は、使用されるまで、適切な保存条件において保存することができる。例えば、単数又は複数の細胞を含むキットは、細胞が融解され培養されることができるように、適切な細胞保存用媒体を含むことができる。
【0172】
別に定義されない限り、本明細書において用いられる全ての技術的及び化学的用語は、本発明の技術分野における当業者によって一般に理解される意味を持つ。本明細書において好ましい方法及び物質が記載されているが、本明細書において説明されたものと同様の又は均等な方法及び物質を本発明を実施し又は試験する場合に用いることができる。
【0173】
全ての出願、出願公開、特許及びそれ以外の参考文献、本明細書において引用されたGenBankの引用及びATCCの引用は、全体として、本明細書に組み込まれる。齟齬がある場合には、本明細書及びそこに含まれる定義が優先される。
【0174】
本明細書において用いられている通り、文脈上明らかに別の意味に理解される場合を除き、単数形の「a」、「and」及び「the」によって複数の指示対象が指示される。例えば、「融合コンストラクト(a fusion construct)」又は「溶解ドメイン(a lytic domain)」に関する言及は、複数の融合コンストラクトや溶解ドメインに関する言及を含む。
【0175】
本明細書において用いられる全ての数値及び数値の範囲は、文脈上明らかに別の意味に理解される場合を除き、当該範囲内にある整数、並びに、本明細書において用いられている数値の端数及び数値の範囲内の整数の端数を含む。したがって、例えば、90−100%の範囲への言及には、91%、92%、93%、94%、95%、95%、97%等が含まれ、また、91.1%、91.2%、91.3%、91.4%、91.5%、92.1%、92.2%、92.3%、92.4%、92.5%等が含まれる。
【0176】
本発明は、様々な実施形態を説明するために、一般に肯定的な文言を用いて開示されている。本発明には、特定の発明主題、例えば、物質や材料、方法の工程及び条件、手順、作業手続、又は検査や分析が全体として又は部分的に除外される実施形態も含まれる。このように、本発明が含まないものについては本明細書において明確に表現されていないが、本発明に含まれるとして明示されていない態様についても、本明細書において開示されているものと理解される。
【0177】
本発明の多くの実施形態が詳細に説明されたが、本発明の趣旨及び範囲を逸脱することなく、これらの実施形態に様々な変更を加えることが可能である。したがって、以下に示す実施例は、請求項に記載された発明の内容を説明するためのものであり、発明の内容を限定することを意図したものではない。
【実施例1】
【0178】
第1の評価研究には、溶解ペプチド部とリガンドとの間に区別されたヒンジ配列を含み、Dアミノ酸(D光学異性体)を30%含み、溶解ペプチド部が18及び15の長さのアミノ酸であり、ヒンジ配列又はそのD光学異性体を含む28の溶解ドメインペプチドのインビトロスクリーニングが含まれる。α−アミノカプロン酸の21、18及び15アミノ酸Phor21アナログへのスペーサとして導入が試験された。この試験のために選択されたリガンドは、βCG−ala、絨毛性ゴナドトロピンβ鎖の結合部の15アミノ酸断片、及びLHRH、完全機能性リガンドを表すデカペプチドを含む。
【実施例2】
【0179】
本実施例は、ヒトの乳腺癌細胞株を用いた細胞毒性(IC50)及び溶血活性のスクリーニングについて説明する。
【0180】
18のβCG−ala及び8のLHRHが結合された融合コンストラクトの検討を行い、Phor21−βCG−ala及び非結合Phor21及びPhor18(338913)=CLIP71ペプチドと比較した。絨毛性ゴナドトロピン(CG)及び黄体形成ホルモン放出ホルモン(LHRH)レセプタを過剰に発現するヒトの乳腺癌細胞株MDA−MB−435S.lucを用い、継代数248〜252でスクリーンした。このMDA−MB−435S.luc細胞株は、フォチヌス・ピラリス・ルシフェラーゼ遺伝子及び抗体抵抗遺伝子を含むプラスミドPRC/CMV−lucを有する安定したトランスフェクションによって、ATCC(American Type Cell Culture Collection)から得られたMDA−MB−435S細胞株から構成された。安定的にトランスフェクトされた細胞株はG418を用いて選択され、ルシフェラーゼ遺伝子に対する最も高い発現性を有するそのクローンが、LH及びLHRHレセプタ発現のためにテストされた。
【0181】
MDA−MB−435S.luc細胞を、LeibovitzのL−15培地、10%ウシ胎仔血清、0.01mg/mlのウシインスリン、100IU/mlのペニシリン、100マイクロg/mlのストレプトマイシン、において培養した。この細胞は、密閉されたフラスコ内で培養された。この培養は、ウェルプレートを用いて行い、各プレートで10000個の細胞を培養した。細胞は、主に、96ウェルプレートに播いた。培地を、48時間の培養の後に交換した。各アッセイは、溶解ペプチド−結合ドメイン結合体を、濃度を増加させながら投与して行った。この濃度は、0、0.001、0.01、0.05、0.1、0.5、1、2、5、10及び100マイクロモルであった。溶解ペプチドドメイン−結合ドメイン結合体は、凍結乾燥された状態で提供され、生理食塩水中で解凍して細胞に添加した。培養時間は、概ね24時間であった。細胞生存率アッセイは、ホルマザン変換アッセイ(MTTアッセイ)を用いて行った。コントロールは、それぞれ0及び100%の細胞死の基準として、生理食塩水又は0.1%のトリトンを含んでいた。
【0182】
データは、Graph Pad Prizm4(商標)ソフトウエア(Graph Pad Prizm, Inc)を用いて処理し分析した。統計的有意性は、スチューデントの両側T検定によって決定した。各調査は、Nを少なくとも8にするように実施した。
【0183】
融合コンストラクトの長さを増加させることの効果をが確認された(Javadpour et al., J Med Chem 39:3107 (1996)、Javadpour and Barkeley,
Biochemistry 36:9540 (1997)、Leuschner and Hansel, Current Pharmaceutical Design, 10:2299 (2004)、及びLeuschner and Hansel,
Biol Reprod 73:255 (2005))。C末端においてβCG−alaに結合された溶解ペプチドは、コンストラクトの長さの増加によって毒性が増加することを示した。様々な長さを有するペプチドのIC50は次の通りであった。すなわち、14アミノ酸(Phor14)については5.74μM、15アミノ酸(Phor15)については1.92μM、18アミノ酸(Phor18=CLIP71)については1.09μM、21アミノ酸(Phor21)については2.31μM、28アミノ酸(Phor28)については1.36μMであった(表3−1及び3−2)。
【0184】
結合部(N末端又はC末端)の位置の影響について確認した。つまり、Phor21−βCG−ala(C末端)融合コンストラクト、βCG−ala−Phor21(N末端)融合コンストラクト、LHRH−Phor21(N末端)融合コンストラクト、及びPhor21−LHRH(C末端)融合コンストラクトを観察した。これらのペプチドのIC50は次の通りであった。すなわち、Phor21−βCG−alaについては2.3μM、βCG−ala−Phor21については4.7μM、LHRH−Phor21については2.65μM、Phor21−LHRHについては1.71μMであった。これらのデータは、βCG−ala及びLHRHの結合部がN末端にある場合よりもC末端にある場合の方が大きな毒性を有することを表す。
【0185】
LHRH−レセプタは、多くのヒトの癌に存在する(表1参照)。LHRHの結合部としての活性を、βCG−alaの結合部としての活性と比較した。
【0186】
LHRH−Phor21及びPhor21−βCG−alaの毒性を、2時間又は24時間培養されたヒトのMDA−MB−435S.luc乳腺癌細胞でインビトロで比較した。これらのデータによれば、LHRH−Phor21は、Phor21−βCG−alaよりも短時間で細胞を破壊した。LHRH−Phor21は、2時間以内に細胞破壊を引き起こした(図1)。
【表1】

【0187】
ヒンジ、スペーサ又はリンカー配列を溶解ドメインと結合部との間に導入することによって、Phor21−βCG−alaよりも優れた細胞破壊能力を持つペプチドが得られた(図2、表2)。Phor21−βCG−ala融合コンストラクトにヒンジ配列又はスペーサを導入しても殺細胞活性は有意には変わらなかったが、ヒンジ配列であるASAASの影響によって、βCG結合体のための15アミノ酸を有する溶解ペプチドの毒性を有意に向上させた。この効果は、βCG結合されたペプチドPhor18−LHRH及びPhor18−ASAAS−LHRH並びにLHRH結合されたペプチドPhor18−LHRH及びPhor18−ASAAS−LHRHについては観察されず、インビトロで同等の効果を示した(表2、図4)。同様の効果は、ヒンジ配列が6カーボンスペーサで代替されたα−アミノカプロン酸の場合にも観察された(表2)。第2のヒンジ配列(GSGGS)においてアラニンをグリシンで置換することにより、活性が有意に低下した。このことは、グリシンがヘリックスを不安定化させる効果を持っていたことを示唆する(図2、表2)。
【表2】

【0188】
D−アミノ酸置換の効果を確認するために、D融合コンストラクトPhor21−βCG−alaがD−光学異性体として合成された(以下、「D−ala−Phor21−βCG−ala」と称する。)。この融合コンストラクトは、インビトロで、MDA−MB−435S.luc乳腺癌細胞に対して同様の毒性を示したPhor21−βCG−alaについては2.31μM、D−ala−Phor21−βCG−alaについては2.15μM(表3−1及び3−2)、D−ala−Phor18−βCG−alaについてはPhor21−βCG−alaと比較して1.4倍の効果(IC501.6μM)、LHRH結合体については、0.75μMのIC50を有するD−ala−Phor21−LHRHが、1.42μMのIC50を有するD−Phor18−LHRH及び1.95μMのIC50を有するPhor18−ルプロンと比較して、D−光学異性体として有意に大きな効果を示した(1.31μMのIC50を有するPhor21−LHRH)。
【0189】
MDA−MB−435S.luc乳腺癌細胞におけるβCG−ala結合及びLHRH結合された溶解ペプチドのIC50値が、表3−1及び3−2及び図3にまとめられている。表に示されているように、Phor21−βCG−alaのIC50(2.31±0.16)に比べて有意に低いIC50を有するペプチドは次の通りであった。すなわち、Phor28−βCG−ala(1.36±0.09μM、p<0.0001)、Phor15−ASAAS−βCG−ala(1.48±0.24μM、p<0.005)、Phor15−C−βCG−ala(1.31±0.17μM、p<0.004)(Cは6アミノカプロン酸)、Phor18−βCG−ala(1.09±0.17μM、p<0.0001)、Phor21−LHRH(1.31±0.1μM、p<0.0001)、D−ala−Phor21−LHRH(0.75±0.1μM、p<0.0001)、Phor18−ASAAS−LHRH(0.88±0.12μM、p<0.0001)、Phor18−LHRH(0.87±0.11μM、p<0.0001)、(KKKFAFA)−LHRH(0.78±0.21μM、p<0.0004)、及びD−ala−Phor18−LHRH(1.42±0.08μM、p<0.004)であった。
【0190】
全般に、βCG−ala融合コンストラクトよりも、LHRH融合コンストラクトの方が効果が高かった(より毒性が強く、短時間で効果が出た。図1参照。)。つまり、Phor21−LHRH、D−ala−Phor21−LHRH、Phor18−ASAAS−LHRH、Phor18−LHRH及びペプチドコントロール338614((KKKFAFA)は不活性ペプチド)は、Phor21−βCG−alaと比較して、ヒトの乳腺癌細胞に対する毒性が有意に強かった(p<0.003)。次の例外を除く全てのLHRH融合コンストラクトについてほぼ同様の効果が見られた。例外は、LHRH−Phor21であり、結合部が溶解部に対してC末端にあるときに有意に効果が低かった。D−ala−Phor18−LHRHは、Phor21−LHRHと同等の効果を示し、Phor18−ルプロンは、Phor21−βCG−alaと比較して毒性が低かった。(図4、表3−1及び3−2を参照。ルプロンはQHWSY(D−Leu)LRPNEtである。)
【0191】
Phor21−LHRHのIC50値(1.34±0.1μM)よりも有意に小さなIC50値を示した融合コンストラクトは次の通りである。すなわち、D−ala−Phor21−LHRH(0.75±0.12μM、p<0.002)、Phor18−ASAAS−LHRH(0.88±0.11μM、p<0.0001)、Phor18−LHRH(0.87±0.12μM、p<0.004)、及び(KKKFAFA)−LHRH(0.78±0.21μM、p<0.04)である。同じ融合コンストラクトについて、βCG−ala結合部とLHRH結合部とを比較したところ、全てのケースで、LHRH融合コンストラクトの持つ毒性が、対応するβCG−alaが持つ毒性よりも有意に高かった。
【表3−1】

【表3−2】

【0192】
Phor18−ルプロン及びD−ala−Phor18−LHRHを含む21融合コンストラクトの急性溶血活性が調査された。調査結果は、図5、図6、および表3−1及び3−2にまとめれている。
【0193】
溶血活性は、96ウェルプレートにおいて、0.5%ヒトRBCに露出されたペプチドを連続希釈することによって測定された。コントロールには、生理食塩水(RBCが生存)又は0.1%のトリトンX100(100%RBC溶解)を用いた。ペプチド濃度は、0μMから100μMの範囲とした。培養は2時間行った。
【0194】
異なるヒト癌細胞株における様々な融合コンストラクトのIC50を、シスプラチンとの比較において確認するために、融合コンストラクトのIC50を、表3−1及び3−2に示すように評価した。評価結果は次の通りである。
【表4】

【0195】
このデータは、調査された融合コンストラクトの溶血活性が極めて低いことを示している。例外は、Phor21−LHRH、LHRH−Phor21及びPhor18−ルプロンである。同様の条件で、以下の融合コンストラクトは溶血活性を全く示さなかった(図5参照)。すなわち、Phor15−アミノカプロン酸−β−CG−ala(337474)、D−ala−Phor21β−CG−ala(337481)>150000μM、Phor21、非結合Phor18=CLIP71、(KKKFAFA)−βCG−ala、Phor21(338982)、Phor18=CLIP71
(338983)、D−ala−Phor18−LHRH(339385)、及び(KKKFAFA)−LHRH(338984)は、全く溶血活性を示さなかった。D−アミノ酸光学異性体は、測定可能な溶血活性を示さなかった。
【0196】
50μMより小さな溶血活性を示した融合コンストラクトは、Phor21−LHRH(25μM)、LHRH−Phor21(33μM)、及びPhor18−ルプロン(21μM)であった。
【0197】
100μMより大きな溶血活性を示した融合コンストラクトは、Phor18−β−CG−ala(337476)、及びPhor18−LHRH(338613)であった。
【0198】
50〜100μMの間の溶血活性を示した融合コンストラクトは、(KKKFAFA)3−LHRH(95μM)、Phor21−βCG−alaであった。Phor21−ASAAS−βCG−alaは、70μMのHA50を示した。
【0199】
400〜1300μMの間の溶血活性を示した融合コンストラクトは、Phor14−βCG−ala(337464)、Phor18GSGGS β−CG−ala(337467)、Phor18ASAASβ−CG−ala(337470)、Phor15
ASAASβ−CG−ala(337471)、D−ala−Phor21−LHRH(338611)、及びPhor18−ASAAS−LHRH(338612)であった。
【0200】
臨床的に重要な基準は、細胞毒性(IC50)の溶血活性(HA50)に対する比、つまりIC50/HA50(図6、表3−1及び3−2)である。インビボ実験は、10μMの最大濃度の融合コンストラクトを用いて実施された。
【0201】
D−ala−Phor21、Phor18−ASAAS、D−ala−Phor18及びPhor18を有するLHRH結合体は、0.001〜0.006のきわめて低いIC50/HA50を示した(Phor21−βCG−alaは0.03との比較)。MDA−MB−435S.luc細胞に対する毒性は、Phor21−βCG−alaとの比較において有意に高かった。D−ala)Phor21−LHRHは、Phor21−βCG−alaよりも3倍毒性が高く、Phor18−LHRH及びPhor18−ASAAS−LHRHは2倍毒性が高く、D−ala−Phor18−LHRHは1.5倍毒性が高かった(図6)。
【0202】
毒性が増加し溶血活性が低い(IC50/HA50比)と評価された融合コンストラクトは次の通りである。すなわち、Phor18−βCG−ala、Phor18−ASAAS−βCG−ala、Phor15−ASAAS−βCG−ala、Phor15−C6−βCG−ala、D−ala−Phor21−LHRH、Phor18−LHRH、Phor18−ASAAS−LHRH、及びD−ala−Phor18−LHRHである。
【実施例3】
【0203】
本実施例は、様々な種類のβCG−融合コンストラクト及びLHRH−融合コンストラクトの投与を受けた乳腺癌のマウス異種移植モデルでのインビボ実験について説明する。
【0204】
雌のNu/Nuマウスに、MDA−MB−435S.luc/マトリゲルHC懸濁液(1x10細胞)を皮下注射した。治療スケジュールが図7に示される。治療は、腫瘍細胞注射の13日後に開始され、その注射から19日後及び25日後まで続けられた。治療は、生理食塩水コントロール、Phor21(5mg/kg)、Phor18(5mg/kg)、(KKKFAFA)ペプチド−ベータCG−ala(5mg/kg)、Phor21−βCG−ala(0.01、1及び5mg/kg)、Phor18−βCG−ala(0.01、1及び5mg/kg)、D−ala−Phor21−βCG−ala(0.01、1及び5mg/kg)、1グループあたり8−12のマウス、14のグループで行われた。週に1度、体重1kgあたり5mg、1mg及び0.01mgを、ボーラス単回投与によって投与した。
【0205】
全てのグループのマウスが注射に耐えた。各治療タイミングにおいて、一匹ずつが337476を5mg/kgを投与した際に死亡した。この2匹のマウスは急性死であった。これ以外の治療グループについては全てのマウスが生存した。注射後10分以上経過してから死亡したマウスは存在しなかった。
【0206】
原発腫瘍への溶血ペプチド注射の効果が図8において説明される。図8A〜8Cは、試験実施中の各ペプチドの腫瘍の体積を示す。図8D〜8Gは、解剖された腫瘍の特徴を示す。図8Dは腫瘍の体積、図8Eは腫瘍の重量、図8Fは生存していた腫瘍細胞、図8Gは腫瘍の状態をそれぞれ示す。
【0207】
治療の有効性は、治療開始時の測定結果と実験終了時の測定結果との差分として計算された(図8H〜8I)。図8Jは、解剖時におけるマウスの体重を示す。細胞の生存能力は、実験終了時に細胞のルシフェラーゼ活性を測定したときに求められた。
【0208】
腫瘍の体積は、βCGをリガンド(II、A)として含むペプチドを用いて治療をした全ての動物について、0.01mg/kgでの基準値(ただし、323033は除く。)、、(KKKFAFA)3−βCG−ala、Phor21及び非結合Phor18=CLIP71コントロールとの比較において有意に減少した。。このとき、p<0.05である。腫瘍の体積は、全ての治療グループにおいて、生理食塩水コントロールと比較して有意に減少した。ただし、(KKKFAFA)3−βCG−ala、Phor21及びPhor18は例外であり、これらについては異種移植片の体積を減少させる効果がなかった。
【0209】
腫瘍の質量も、βCG体ペプチドを有する全ての治療グループにおいて、生理食塩水又は(KKKFAFA)3ペプチドで治療された個体と比較して有意に減少した(p<0.001)。腫瘍細胞の生存率は、ルシフェラーゼ活性で測定され、腫瘍の質量及び腫瘍の体積の変化の観察結果と高い相関性が見られた。
【0210】
治療の有効性を、基準値と比較した場合の腫瘍の質量又は生存した腫瘍細胞の減少量で決定した。この治療の有効性は、323033及び337476については、治療反応が濃度に依存することが示された。337481は、0.01、1及び5mg/kgのいずれを投与した場合にも腫瘍質量及び生存腫瘍細胞が減少することを示した。323033は、1mg/kgを投与した場合に最も高い効果を示し、これは5mg/kgを投与した場合よりも大きかった(事前の実験で観察していた通りであった。)。しかし、最も少量の投与を行った際には、有意な相違が見られたのは生理食塩水コントロールとの間のみであった。融合コンストラクト337476及び337481については、5及び0.01mg/kgにおいて、323033と比較して有意に高い効果があり(p<0.0001)、腫瘍質量及び生存腫瘍細胞を基準値よりも減少させる(p<0.004)。融合コンストラクト337481は、濃度への依存性を示さず、試験された全てのコンストラクトの中で最も高い有効性を示した。
【0211】
嚢胞性腫瘍は、融合コンストラクト337476及び337481で治療したマウスにおいて確認された。嚢胞性腫瘍は、80−90%のマウスで見られたが、1mg/kgの323033で治療を行った治療グループについては30%のみで発見された。(嚢胞の形成は、この異種移植モデルにおいてはみられなかった。嚢胞は液性のカプセルからなる。)明確には分からないが、嚢胞性腫瘍の発生は、急速に成長する腫瘍において細胞が急激に破壊される際に起こると考えられている。嚢胞は、Phor21で治療される前立腺腫瘍異種移植では存在しなかった。
【0212】
治療グループについての血液化学及び完全血球算定結果によって、治療は、肝臓、腎臓、及び心臓の機能には全く影響を与えていないことが分かった。血小板数、WBC数及びRBC数は正常範囲内であり、この治療は腫瘍細胞を特異的に破壊することが示された。また、この治療は、貧血を起こさず、これら以外の生命維持に必要な身体機能についても影響を与えなかった。融合コンストラクトは、長期の副作用がなく、投与に耐えることは容易であった。
【0213】
上述のインビボ腫瘍の有効性データによれば、Phor18−βCG−ala(337476)及びD−ala−Phor21−βCG−ala(337481)は、基準となるPhor21−βCG−ala(323033)よりも、基準値と比較した腫瘍質量の減少(p<0.0001)及び生存腫瘍細胞(p<0.004)の破壊に関して有意に有効性が高い。この両方の融合コンストラクトは、インビボで溶血を起こさず、使用した最高投与量(5mg/kg)でも継続的な副作用を示さなかった。1回当たり投与量を最低量にした場合であっても、複数回注射することで、Phor18−βCG−alaの有効性を高めることができる可能性がある。
【0214】
LHRH融合コンストラクトについては、乳腺癌用のマウス異種移植モデルを用いた。非近交系で5週齢の雌Nu/Nuマウス(Charles River社)にMDA−MB−435S.luc/マトリゲルHC懸濁液(1x10細胞)を皮下注射した。治療は、腫瘍細胞注射の21日後に開始され、その注射から26日後及び29日後まで続けられた。週に1度、体重1kgあたり2mg、0.2mg及び0.02mgの融合コンストラクトをボーラス単回投与によって投与した。腫瘍細胞の注射から34日後に、全てのマウスを解剖した。腫瘍質量の基準値は治療開始時に8匹のマウスを犠牲死することで得られた。原発腫瘍、肝臓、腎臓、膵臓、心臓、肺、及び及び脾臓はが摘出され、ホルマリンでの組織学的評価のために準備がなされた。腫瘍の質量を解剖時に記録し、腫瘍の一部はルシフェラーゼアッセイ測定のために−80℃で冷凍保存された。
【0215】
治療グループは、生理食塩水コントロール、Phor21−βCG−ala−323033(0.02、0.2及び2mg/kg)、D−ala−Phor21−LHRH−338611(0.02、0.2及び2mg/kg)、(KKKFAFA)3LHRH−338614(5mg/kg)、Phor18−LHRH−338613(0.02、0.2及び2mg/kg)、Phor18−ASAAS−LHRH−338612 (0.02、0.2及び2mg/kg)、D−ala−Phor18−LHRH−339385(0.02、0.2及び2mg/kg)、及びPhor18−ルプロン−339347(0.02、0.2及び2mg/kg)、グループ当たり12匹のマウスであった。
【0216】
全てのグループのマウスが注射に耐えた。Phor18−ASAAS−LHRH2mg/kgの2回目及び3回目の注射の際に、2匹のマウスのみが死亡した(この2匹のマウスは同じケージに入れられていた。)。この2匹のマウスは急性死であった。これ以外の治療グループについては全てのマウスが生存した。注射後10分以上経過してから死亡したマウスは存在しなかった。
【0217】
図9は、原発腫瘍への融合コンストラクト注射の効果を説明する。腫瘍の体積は、各コンストラクトの実験期間中に測定された。次の例外を除く全ての治療グループにおいて、腫瘍の体積は治療期間において減少した。例外は、(KKKFAFA)3−LHRH結合体又は生理食塩水コントロールで治療されたマウスであり、これらのマウスでは急激な腫瘍の成長が観察された。治療後30日に記録された腫瘍の体積は、全ての融合コンストラクトの基準値との比較において減少した(p<0.01)。腫瘍の体積が最も小さくなったのは、Phor18−ASAAS−LHRH及びPhor18−LHRHを投与した治療グループであった。
【0218】
解剖時の腫瘍の特徴は、図10Aないし図10Eに示される。図10Aは腫瘍の質量を示す。図10Bは、腫瘍の質量の基準値からの変動を示す。図10Cは、生存腫瘍細胞の総数を示す。図10Dは、生存腫瘍細胞の総数の基準値からの変動を示す。図10Eは、基準値と解剖時における体重を示す。細胞の生存能力は、実験終了時に細胞のルシフェラーゼ活性を測定して求めた。治療の有効性は、治療開始時の測定結果と実験終了時の測定結果との差分として計算した(図10B及び10D)。
【0219】
腫瘍質量及び生存腫瘍細胞の総数は、LHRH結合体が与えられた場合には、最小の投与単位である0.02mg/kgを投与した場合にも、全ての治療グループの全ての個体について、生理食塩水コントロールや(KKKFAFA)3−LHRHが結合したペプチドと比較して有意に減少した(p<0.0001)。腫瘍の総質量は、LHRHを含む2mg/kgのペプチド及び0.02、0.2及び2mg/kgのD−ala−Phor18−LHRH(A)を用いて治療された全ての個体において、基準値との比較において有意に減少した(p<0.05)。
【0220】
次の濃度において、腫瘍質量は基準値と同程度となった。すなわち、Phor21−βCG−ala−323033)については0.02mg/kg(p<0.07)及び0.2(p<0.06)、Phor18−ルプロンについては0.2及び0.02mg/kg、Phor18−LHRHについては0.2mg/kg、及び、D−ala−Phor21−LHRHについては0.2mg/kgのときに、腫瘍質量が基準値と同程度となった。総腫瘍質量については、Phor21−βCG−alaを0.02mg/kg投与した場合よりも、Phor18−ASAAS−LHRHを0.02mg/kg投与する場合及びD−ala−Phor18−LHRHを0.02mg/kg投与する場合の方が優れた効果を示した(p<0.05)。
【0221】
生存腫瘍細胞の数が測定され、図10Cに生存腫瘍細胞の総数としてプロットされ、図10Dに生存腫瘍細胞の基準値からの変動としてプロットされている。ルシフェラーゼ活性で評価される細胞の生存能力は、腫瘍質量及び腫瘍体積の観察された変化と相関関係があった。例外はPhor18−ASAAS−LHRH及びPhor18−LHRHであり、これらについては生存腫瘍細胞の減少が観察された。D−ala−Phor18−LHRH(339385)及びPhor18−ASAAS−LHRH(338612)を用いた治療は、Phor21−βCG−alaを2mg/kg投与した場合よりも優れた効果を示した(p<0.04)。
【0222】
治療の有効性は、基準値と比較した腫瘍質量や生存腫瘍細胞の減少として測定され、次の例外を除く全ての融合コンストラクトに関して、濃度に依存した治療反応を示した。例外は、腫瘍質量及び生存腫瘍細胞に関するD−ala−Phor21−LHRHである。D−ala−Phor18−LHRHについては、1回当たり0.02、2及び2mg/kgのいずれを投与した場合にも一貫して腫瘍質量及び生存腫瘍細胞の減少が見られた。本実験において最も有効であった融合コンストラクトは、Phor18−ASAAS−LHRH(338612)、D−ala−Phor18−LHRH(339385)であり、1回当たり2mg/kgを投与したときに生存腫瘍細胞の数及び腫瘍質量を減少させた。Phor18−ASAAS−LHRH及びD−ala−Phor18−LHRHは、1回当たり2及び0.02mg/kgのPhor21−βCG−ala(p<0.05)を投与した場合よりも優れた効果を示した。Phor18−ルプロンは、腫瘍質量及び生存腫瘍細胞の減少という点で最も有効性が低かった。
【0223】
治療グループについての血液化学及び完全血球算定結果によって、治療は、肝臓、腎臓、及び心臓の機能には全く影響を与えていないことが分かった。血小板数、WBC数及びRBC数は正常範囲内であり、この治療は腫瘍細胞を特異的に破壊することが示された。また、この治療は、貧血を起こさず、これら以外の生命維持に必要な身体機能についても影響を与えなかった。Phor18−ルプロン、Phor18−LHRH及びD−ala−Phor21−LHRHを注射されたマウスについて、生理食塩水コントロールと比較して1.5倍に上昇したカリウム値が観察された。融合コンストラクトは、長期の副作用がなく、投与に耐えることは容易であった。
【0224】
上述のインビボ腫瘍の有効性データによれば、Phor18−ASAAS−LHRH(338612)及びD−ala−Phor18−LHRH(339385)は、基準となるPhor21−βCG−alaよりも、腫瘍質量の減少(p<0.05)及び生存腫瘍細胞の減少(p<0.04)の点で有意に有効性が高い。Phor21−βCG−alaと同等に高い有効性を示したのは、D−ala−Phor21−LHRH及びPhor18−LHRHであった。この両方の融合コンストラクトは、インビボで溶血を起こさず、他の副作用も示さなかった。1回当たり投与量を最低量にした場合であっても、複数回注射することで、Phor18−ASAAS−LHRH(338612)及びD−ala−Phor18−LHRH(339385)の有効性を高めることができる可能性がある。
【実施例4】
【0225】
本実施例は、インビトロ及びインビボでのレセプタの発現及び実験について説明する。
【0226】
治療がレセプタの発現低下をもたらすか確認するために、治療前後におけるLHレセプタ発現密度が分析される。ウエスタンブロットアッセイ及び定量のためのRIAと比較される免疫細胞化学。MDA−MB−435S.luc細胞、CHO及びTM4細胞において、チャンバースライドを有するIHC及びウエスタンブロット法を用いてLH及びLHRHレセプタの測定。各細胞株の同じ継代数のものを用いて、溶解ペプチドCG及び溶解ペプチドLHRHに対する感度が試験される。
【0227】
LHレセプタ融合コンストラクトの特異性は、MDA−MB−435S.luc細胞(LHRH及びCGレセプタの両方)、TM4細胞(LHRHレセプタ無し)及びCHO細胞(CGレセプタ無し)において分析される。IC50データは、MDA−MD−435S.luc細胞(2.3μM)との比較において、TM4細胞のLHRH−Phor21に対する感度が有意に減少することを示し(10.9μM)、その一方、CHO細胞のPhor21−βCG−ala(24.6μM)に対する感度が低いことを示す(図12)。
【0228】
インビボレセプタ発現は、融合コンストラクト治療に関連して測定される。インビボレセプタ発現は、融合コンストラクト治療の開始時と終了時に測定される。
【実施例5】
【0229】
本実施例は、融合コンストラクト及び化学療法剤を用いる併用治療について説明する。
【0230】
準備のために、卵巣癌細胞株(OVCAR−3細胞、多剤耐性)がPhor21−βCG−ala及びドキソルビシンとともに48時間培養された。細胞の生存能力は、フォルマゾンの減少として測定される。Phor21−βCG−alaと同時に培養されるドキソルビシンの量を増加させて治療を行う場合のIC50の減少。この減少は、0、0.5、2及び10μg/mlのドキソルビシン濃度において、10μMから0.9、0.3、0.05μMまで見られる(図11)。Phor21−βCG−alaを用いた治療によって、ドキソルビシンへの反応が高められた。このデータによって、細胞をドキソルビシンとともに培養することにより、Phor21−βCG−alaが、より有効になる(13倍)ことが示された。
【0231】
ドキソルビシン又はシスプラチンを用いて癌細胞を前治療し、その後、LH又はLHRHとともに、LH又はLHRHを除いて、LH融合コンストラクト又はLHRH融合コンストラクトを用いて治療を行った。これにより、コンストラクトに対する細胞毒性が修正されたかが示される。
【0232】
併用治療のインビボでの有効性は、異種移植腫瘍モデル(MDA−MB−435S)で試験された。マウスは、融合コンストラクトと化学療法剤の混合物を用いて治療され、適当なコントロールと比較される。マウスは、この薬剤の標準的なスケジュールに従って治療され、融合コンストラクトを用いて週1回、3週間にわたって治療される。
【0233】
この融合された接合体は、溶血活性、最大耐性容量(MTD)(最大で16〜25mg/kg)等のパラメータに関して、抗腫瘍に効果のある容量(0.02又は0.01mg/kg)と比較して高い安全マージンを有している。Phor21−βCG−alaに関する安全マージンは16であり、一方、Phor18−βCG−ala及びPhor18−LHRHに関しては800である。比較のために、Phor18−ルプロンの安全マージンはわずか8である。
【表6】

レーティングコード
割り付けられたポイント:1 2 3
インビボ活性 1x 2x 3x
HA50 <50 50−100>100
IC50/HA50
<0.03<0.006<0.004
インビボでの有効性
33との比較 同等 より良い
33と比較されたMTD 同等 より良い
1) 33のIC50は2.31μM、33のIC50/IC50ペプチドとして表現された値
2) HA50[μM]として表現された溶血活性
3) インビボパフォーマンスは、ペプチド33の同じパラメータと比較される基準値と対比した腫瘍質量の減少及び生存腫瘍細胞の減少における有意性を意味する。
4) 注射された投与薬によって66.6%生存(急性及び注射後8−14日経過時)
ペプチドコード
33 = Phor21βCG−ala
76 = Phor18−βCG−ala
81 = D ala Phor21−βCG−ala
85 = D ala Phor18−LHRH
47 = Phor18−ルプロン
13 = Phor18−LHRH
11 = D ala Phor21−LHRH
12 = Phor18−ASAAS−LHRH
71 = Phor15−βCG−ala
74 = Phor15−C6−βCG−ala
【実施例6】
【0234】
本実施例は、インビトロ動態試験における様々な癌細胞株におけるペプチドKFAKFAKKFAKFAKKFAKQHWSYGLRPG(Phor18−LHRH(338613))について説明する。
【0235】
標準的な化学療法剤は、DNA挿入(DNA
intercalation)や微小管相互作用を通じて相互作用し、又はシグナル変換経路の阻害剤である。したがって、これらの作用メカニズムが標的細胞を破壊するための所要時間を定める。MDA−MB−435S等のヒト乳腺癌細胞を破壊するドキソルビシンインビトロの反応速度は4時間程度の速さであるが、これ以外の標準的な治療方法についてはより長い時間が必要との報告がなされている。癌細胞を破壊する最も一般的なメカニズムはアポトーシスである。可逆的なプロセスとして、また、多剤耐性(MDR)の発生や、MDR癌細胞内の薬剤分子を排出するPgpポンプの働きによって、標準的な治療方法の効果がなくなる可能性がある。
【0236】
化学療法剤とは対照的に、生体膜への直接作用によって、癌細胞を数分間で破壊することができる。カチオン溶解ペプチド等の膜活性化合物には、Phor18−LHRH(338613)(KFAKFAKKFAKFAKKFAKQHWSYGLRPG)が含まれる。
【0237】
細胞毒性の動態を測定するために、詳細な経時変化分析が実施された。この経時変化分析は、Phor18−LHRH(338613)を用いて、標的とされていない溶解ペプチド部Phor18=CLIP71(338983)との比較において、LHRH標的レセプタを様々なレベルで発現する様々な細胞株においてなされた。非癌性の細胞株の細胞膜は中性であり、癌細胞株とは対照的に、細胞溶解ペプチドに対する耐性がある。これは、外膜に、ホスファチジン酸を有する。
【0238】
試験された乳腺癌細胞株は、MDA−MB−435S(エストロゲンレセプタα陰性)、MCF−7及びT47D(エストロゲンレセプタα陽性)、卵巣癌細胞株(OVCAR−3及びSKOV−3)、前立腺癌(LNCaP)、非悪性乳腺上皮細胞株MCF−10A及びマウス線維芽細胞細胞株NIH:3T3であった。Phor18−LHRH(338613)の薬効におけるLHRHレセプタの役割も評価された。
【0239】
細胞を、96ウェルプレートに10000細胞/ウェルの濃度で播いた。治療は、Phor18−LHRH(338613)(APC338613、Lot#P080401)又はPhor18(APC338983、Lot#W08033C1)が、0.0001、0.001、0.01、0.1、1、5、10、50及び100μMの濃度で播かれてから48時間後に開始した。コントロールには、USP生理食塩水又は0.1%トリトンX−100(商標)を、それぞれ0及び100%の細胞死の基準として含ませた。培養は、2分後、5分後、15分後、30分後、1時間後、2時間後、6時間後、24時間後、及び48時間に、培地を取り除くことによって終了させた。細胞の生存能力は、ホルマザン変換アッセイ(MTTアッセイ(CellTiter 96 Aqueous One、Promega #G3582)を用いて評価された。ホルマザン変換は、BioRad Benchmark Plusマイクロプレート分光光度計の490/630んmデュアル波長を用いて室温で測定した。
【0240】
データは、100%の細胞死を表すウェルを含むトリトンX−100(商標)における吸収率として、ウェルを含む生理食塩水0%の細胞死と対比して計算された。細胞毒性は、IC50として測定された。IC50の測定は、米国カリフォルニア州サンディエゴのGraphPad SoftwareのWindows用GraphPad
Prismのバージョン5.01において、様々な傾きを有するシグモイド型容量反応のためのプログラムを使用し、0%及び100%の制約値を用いて行った。2つの96ウェルプレートの各セットの4ウェルを比較及び分析した。有意性に関する統計分析はスチューデントの両側T検定によって決定した。
【0241】
MDA−MB 435S細胞(p250)において、Phor18−LHRH(338613)は、培養を1時間行った後に最大の効果を示した。一方、CLIP71の培養によって、培養時間が増えるにつれて、100、109、171、145、148、86、54.5、55.1(24時間)、及び3[μM](48時間)(p<0.005)のIC50値が得られた。Phor18−LHRH(338613)は、非結合溶解ペプチドCLIP71(>100μM)と比べて即効性のある薬剤である(0.5時間後に1.2μM、及び1時間後に0.6μM)。
【0242】
MCF−7細胞(p152)において、Phor18−LHRH(338613)は、培養を1時間行った後に最大の効果を示した。一方、CLIP71の培養によって、培養時間が増えるにつれて、92、95、50及び22[μM](p<0.005)のIC50値が得られた。Phor18−LHRH(338613)は、非結合CLIP71と比較して即効性のある薬剤である(3.4−1.8μM)。
【0243】
OVCAR−3細胞(p47)において、Phor18−LHRH(338613)は、培養を1時間行った後に最大の効果を示した。一方、非結合Phor18=CLIP71の培養によって、培養時間が増えるにつれて、337、126、85.5、52.5、22.9及び23.1[μM](p<0.005)のIC50値が得られた。Phor18−LHRH(338613)は、培養時間が増えるにつれて、6.7、5.6、5.3、1.6、1.5、0.5及び0.5[μM](p<0.005)のIC50値を有する即効性のある薬剤である。この即効性に関するデータは、Phor18−LHRH(338613)とCLIP71とは異なるメカニズムで細胞を破壊しており、薬効を高められることを示唆している。
【0244】
SKOV−3細胞(p40)においては、Phor18−LHRH(338613)は、培養を24時間行った後に最大の効果(11.5μM)を示した。一方、CLIP71の培養によって、培養時間が増えるにつれて、86、96、53及び50[μM](p<0.005)
のIC50値が得られた。Phor18−LHRH(338613)は、機能的LHRHレセプタを発現させないため、SKOV−3細胞にとって適切な標的ではない。
【0245】
機能的LHRHレセプタを発現させる全ての細胞株、例えば、Phor18−LHRH(338613)とともに用いられる乳腺癌細胞(MDA−MB−435及びMCF−7)及びOVCAR−3は、0.5−1時間の培養で、その最大の効果(μM単位のIC50)を発揮した。対照的に、CLIP71が最大限の効果を発揮するには24時間の培養が必要であった。T47D、LNCaP等の機能的LHRHレセプタを発現する細胞株においても、同様の結果が得られた。機能的LHRHレセプタを発現しない細胞株(SKOV−3及びHEK 1A)においては、Phor18−LHRH(338613)及びCLIP71は、24時間培養後に、10.3及び11.8μMのIC50値を有する同様の細胞毒性を示した。非癌性細胞株3T3は、Phor18−LHRH(338613)及びCLIP71に対する高い抵抗性を示した。例えば、IC50値がCLIP−71に対して40μM以上、Phor18−LHRH(338613)に対して10μM以上であった。
【0246】
これらの結果は、LHRHターゲティングはCLIP71の薬効を向上させること、及び、非癌性細胞株はカチオン細胞溶解ペプチドによる細胞破壊に対する耐性があることを示している。Phor18−LHRH(338613)は、レセプタ標的メカニズムによって1時間以内で癌細胞を破壊する高い薬効を示す。Phor18−LHRH(338613)は、数分間以内に効果を発揮し、細胞内取り込みや代謝経路及び増殖機構への干渉に薬効を依存する標準的な化学療法よりも優れている。また、Phor18−LHRH(338613)は、多剤耐性癌細胞にも作用することができる。
【実施例7】
【0247】
本実施例は、ペプチドKFAKFAKKFAKFAKKFAKQHWSYGLRPG(Phor18−LHRH(338613))が乳腺癌細胞に対して有するインビトロでの有望な作用メカニズムを示すデータを含む。
【0248】
インビトロでの有望な作用メカニズムを確認するため、LHRHレセプタを発現するヒト乳腺癌細胞株MDA−MB−435において、蛍光顕微鏡を用いた観察を行った。ヒト乳腺癌細胞(MDA−MB−435、passage#252)を培地に播いた。EP100を加える前に次のマーカーが導入された。すなわち、AlexisCorporation社のDRAQ5(商標)(青)を核を着色するために用い、無傷ミトコンドリアを視覚化するためにオレゴン州のMolecular Probes, Inc.社のMito Tracker(登録商標)Red CMXRos(M7512)を用いた。細胞膜は、小麦胚芽アレクサ緑色蛍光結合体によって着色した(オレゴン州のMolecular Probes, Inc.社)。
【0249】
取扱説明に従って、まず、Mito Tracker染料とともに細胞を装着した。生理食塩水で再構成されたPhor18−LHRH(338613)が最終的に10μMとなるまで加えられ、5〜10分間培養された。生理食塩水の培養皿はコントロールとしてのみ用いた。培養上清が取り除かれ、残された細胞が蛍光顕微鏡での画像化のために準備された。
【0250】
インビトロで機能的LHRHレセプタを発現させる乳腺癌細胞MDA−MB−435を蛍光顕微鏡で観察したところ、Phor18−LHRH(338613)(10μM)に5分間露出させた後、細胞膜が崩壊したことが確認された。この観察結果から、Phor18−LHRH(338613)が細胞膜を破壊し、数分間以内に細胞死を引き起こしたことが分かる。
【0251】
2μMのPhor18−LHRH(338613)FITCとともに培地で30分間培養されたSKOV−3(p41)細胞及びMDA−MB−435S(p250)細胞の蛍光顕微鏡評価によって、SKOV−3細胞においては細胞内取り込みが起こらず、細胞膜のブレブ形成が起こらなかったことがわかった。また、ミトコンドリアの染色が維持された。対照的に、MDA−MB−435S細胞では、Phor18−LHRH(338613)FITCの細胞内取り込みが30分以内に観察され、細胞膜の広範囲にわたってブレブ形成が観察され、その後、外膜にベシクルが形成され、ミトコンドリア染色が退色した。この観察結果によれば、数分間で細胞死が起こったことがわかる。
【0252】
Phor18−LHRH(338613)は、機能的LHRHレセプタを発現させる細胞を数分間で破壊した。Phor18−LHRH(338613)は、細胞膜の外側を崩壊させて癌細胞を破壊し、壊死させた。この作用メカニズムは、Phor18−LHRH(338613)と機能的標的を発現させる細胞の細胞膜との間に急速な相互作用が発生したことを強く示唆している。LHRHレセプタ陰性の細胞は標的ではなく無傷であった。
【0253】
これらのデータによって、Phor18−LHRH(338613)が、高い特異性と抗癌剤としての高い薬効を有することが分かった。Phor18−LHRH(338613)は、数分間で薬効を発揮し、細胞内取り込みを必要とし代謝経路及び代謝経路及び増殖機構への干渉に薬効を依存する標準的な化学療法と比較して大きな利点を有していた。また、Phor18−LHRH(338613)は、多剤耐性癌細胞にも作用することができた。
【実施例8】
【0254】
本実施例には、ペプチドKFAKFAKKFAKFAKKFAKQHWSYGLRPG(Phor18−LHRH(338613))が異種移植モデルにおける抗癌効果を有することを示す評価研究が含まれる。
【0255】
インビボ薬効評価が、単剤療法又は標準治療とともに併用療法として実施された。この試験は、ヒト乳腺癌異種移植片MDA−MB−435S.luc(s.c.)、MCF−7(エストロゲンレセプタα陽性)、ヒト卵巣癌異種移植片OVCAR−3(s.c.)、ヒト前立腺癌異種移植片PC−3(アンドロゲンレセプタ陰性)を有するヌードマウスを用いて行った。生理食塩水(0.02、0.2及び2mg/kg)に溶解したPhor18−LHRH(338613)を、1週間に1度又は2度の頻度で3週間にわたってボーラス単回投与によって側面尾静脈に注射した。
【0256】
PHOR18−LHRH(338613)併用治療を、MCF−7乳腺癌異種移植モデルを用いて行った。
【0257】
マウスは、最後の注射から1週間後に犠牲死させ、生化学検査のために血液を採取するとともに、腫瘍質量及び体重が記録した。腫瘍の一部は、組織学的評価のために10%PBS緩衝液とともにホルマリン固定した。インビボでの移植組織片観察の結果が表7に示されている。
【表7】

【0258】
単回投与レジメンでMDA−MB−435S移植組織片の質量をを減少させるための最小有効量を定めるために、MDA−MB−435S(passage#249)/マトリゲルHC懸濁液(2.4x10細胞/マウス)を非近交系で5週齢の雌Nu/Nuマウス(Charles River社)の肩甲骨間部に注射した(Leuschner 2006)。Phor18−LHRH(338613)(ID:338613lot#P080401)(0.00002、0.0002、0.002、0.02、0.2及び1mg/kg)及び非結合Phor18=CLIP71(APC338983、Lot#W08033C1)及びLHRH(0.2/0.122mg/kg、([D−Trp6]−LHRH、Sigma L9761、lot#037K1103)を、投与前に、USP生理食塩水で再構成した。投与は、週1度3週間にわたって、単回ボーラス静脈注射を用いて、側面尾静脈から行った。
【0259】
各グループは16匹のマウスからなり、この各マウスが週1度3週間にわたって注射を受けた。基準値とするために、16匹のグループの1つを治療開始時点において犠牲死させた。生理食塩水が注射されるグループは、コントロールグループとして用いた。試験中、腫瘍体積を週2回記録した。
【0260】
腫瘍細胞注射後16日の腫瘍が形成された時点で治療を開始し、23日目及び30日目まで継続した。腫瘍細胞の注射から37日後に、全ての生存しているマウスを解剖した。
【0261】
治療反応は、生理食塩水コントロール及び非標的CLIP71治療との比較における、解剖時の腫瘍質量及び腫瘍質量の変動によって定めた。原発腫瘍を摘出し、計量して、組織学的評価のために10%PBS緩衝液とともにホルマリン固定した。データセットの統計的評価はGraphPad Prizm 4で行った。有意性は、ウイルコクソン符号付き順位検定によって計算した。
【0262】
腫瘍体積及び腫瘍質量は、生理食塩水コントロール及びCLIP71及びLHRHで治療されたマウスにおいて増加した。0.0002mg/kgのPhor18−LHRH(338613)で治療されたマウスにおける腫瘍体積及び腫瘍質量は、生理食塩水コントロールと比較して有意に減少した。0.002mg/kgという少量のPhor18−LHRH(338613)を用いた治療により、基準値と比較して腫瘍体積及び腫瘍質量が有意に減少した(p<0.0002)。
【0263】
MDA−MB−435S異種移植マウスから摘出され、ヘマトキシリン・エオシンで染色された腫瘍部位の組織学的評価は、生理食塩水コントロール内及びCLIP71/LHRHで治療されたマウスに生存可能な腫瘍細胞が存在することを示す。対照的に、0.0002mg/kgという少量のPhor18−LHRH(338613)の投与によって治療されたマウスから摘出した腫瘍において、有意な壊死が明確に確認された。非標的カチオン溶解ペプチドCLIP71は、腫瘍質量を減少させず、腫瘍組織を破壊しなかった。
【0264】
Phor18−LHRH(338613)は、0.002mg/kgという少量の投与で、MDA−MB−435S異種移植片の腫瘍質量を減少させる高い効果を有しており、治療された腫瘍組織を壊死させた。溶血ペプチドを用いた非標的治療は、効果がない。
【0265】
複数回投与レジメンにおいてMDA−MB−435S移植組織片の質量を減少させるために必要となる最小有効量を定めるために、上述のように、MDA−MB−435S(passage#253)/マトリゲルHC懸濁液(2x10細胞/マウス)を、非近交系で8週齢の雌Nu/Nuマウス(Charles River社)の肩甲骨間部に注射した。Phor18−LHRH(338613)(ID:338613lot#P080401)(0.002及び0.2mg/kg)を、投与前に、USP生理食塩水で再構成した。この投与は、腫瘍細胞の接種後15、16、17、20、21、22、23、27、28、29、30、33、34、35、36、37、38、40、41、42日目に、単回ボーラス静脈注射として側面尾静脈から行った。生理食塩水が注射されるグループは、コントロールグループとして用いた。
【0266】
各グループは16匹のマウスからなるようにした。試験期間中、腫瘍体積を1週間に2度記録した。最終解剖を腫瘍細胞の摂取から45日後に行った。大部分のマウスで尾静脈閉塞が起こったため、注射を一時中断しその後に再開した。試験の最後に腫瘍質量を決定し、10%リン酸緩衝生理食塩水とともに腫瘍をホルマリン固定した。
【0267】
複数回静脈注射によるPhor18−LHRH(338613)を用いた治療によって、いずれの投与レベルにおいても腫瘍の後退が見られた。0.002mg/kgを投与した23グループのうち6グループで腫瘍のないマウスが観察され、0.2mg/kgを投与した20グループのうち1グループで腫瘍のないマウスが観察された。残渣塊は、典型的には、マトリゲルからなるものであった。0.2mg/kgを投与したグループのマウス1匹は治療に反応しなかった。
【0268】
尾部の壊死は観察されなかった。尾部の発赤は存在しなかった。試験期間を通じて、体重には治療の影響は見られなかった。
【0269】
治療したマウスの生存率は100%であった。対照的に、生理食塩水コントロールグループの8匹のマウスが、腫瘍体積が2500mmを超えたため、腫瘍細胞注射後30日で(試験終了前に)死亡した。
【0270】
0.002及び0.2mg/kgのPhor18−LHRH(338613)の複数回注射レジメンで治療されたマウスから摘出したH&E染色された腫瘍の組織学的評価によって、治療マウスにおいて腫瘍細胞が根絶されたことが示された。対照的に、生理食塩水コントロールマウスにおいては、生存可能な腫瘍細胞が存在していた。
【0271】
Phor18−LHRH(338613)は腫瘍細胞を破壊し腫瘍質量を有意に減少させた。また、治療マウスの寿命を延ばした。この治療は、体重や臓器検査に特段の影響を与えなかった。
【実施例9】
【0272】
本実施例は、乳腺癌異種移植モデル、卵巣癌異種移植モデル及び前立腺癌異種移植モデルにおける、ペプチドKFAKFAKKFAKFAKKFAKQHWSYGLRPG(Phor18−LHRH(338613))の有効性評価について説明する。
【0273】
本実施例におけるインビボ評価によれば、Phor18−LHRH(338613)には即効性があり、接触から数分間で癌細胞を破壊することが示された。標的治療の初期段階での乳腺癌異種移植片におけるPhor18−LHRH(338613)の効果を測定するため、Phor18−LHRH(338613)の単回注射後の乳腺癌移植組織片モデルにおけるPhor18−LHRH(338613)による細胞破壊の動態を調査した。
【0274】
実施例10で説明されるように、MDA−MB−435S移植組織片の質量を減少させるための最小有効量を定量するために、MDA−MB−435S(passage#249)/マトリゲルHC懸濁液(2.4x10細胞/マウス)を、非近交系で5週齢の雌Nu/Nuマウス(Charles River社)の肩甲骨間部に注射した。Phor18−LHRH(338613)(ID:338613lot#P080401)(0.2及び2mg/kg)を、投与前に、USP生理食塩水で再構成した。投与は、単回ボーラス静脈注射を用いて、側面尾静脈から行った。
【0275】
マウスは、Phor18−LHRH(338613)又は生理食塩水による治療開始から1、2及び16時間後に犠牲死とした。試験の最後に、10%リン酸緩衝生理食塩水とともにホルマリン固定して腫瘍質量を決定した。
【0276】
腫瘍のH&E染色された部分の組織学的評価によって、生理食塩水標的マウスにおいて、複数の有糸分裂像を有する生存能力のある腫瘍細胞が示された。Phor18−LHRH(338613)0.2及び2mg/kgを投与した治療によって、MDA−MB−435S異種移植片から発生した腫瘍が注射後1時間という短期間に破壊されたことが確認された。
【0277】
Phor18−LHRH(338613)は、投与後1時間という短期間で腫瘍を破壊した。このことは、壊死による細胞死を引き起こす即効性のあるメカニズムの存在を示唆している。これらのデータによって、Phor18−LHRH(338613)は、腫瘍細胞を提示するLHRHレセプタへの細胞膜を通じた接触によって作用することが確認された。
【0278】
ヒト疾患類似の卵巣癌異種移植片におけるPhor18−LHRH(338613)の有効性を測定するため、単回及び複数回投与による評価が行われた。この評価においては、機能的LHRHレセプタを発現するOVCAR−3ヒト卵巣癌細胞株の移植組織片モデルが用いられた。OVCAR−3は、成長が遅い移植組織片モデルであり、腫瘍マーカー(癌抗原125、CA125)を分泌する。その分泌は治療反応として用いることができ、薬物活性を計ることができる。
【0279】
本移植組織片評価は、卵巣癌モデルにおけるPhor18−LHRH(338613)を試験するために行われ、Phor18−LHRH(338613)の週1度の単回投与が、多剤耐性で成長の遅い腫瘍モデルにおいてインビボの有効性を示すか否かを決定した。非近交系で5週齢の雌Nu/Nuマウス(Harlan-Sprague Dawley社)に、NIH、つまり、OVCAR−3細胞/マトリゲルHC懸濁液(4.6x10細胞/マウス)を皮下注射した。治療開始は、腫瘍が形成された腫瘍細胞注射後33日目とし、41日目及び47日目まで治療を継続した。週1度の投与が3回行われ、投与量は0.02、0.2及び2mg/kgとした。33日目、41日目及び47日目に、側面尾静脈から、単回ボーラス静脈注射で週1度の投与を行った。解剖は52日目に行った。データは、平均の標準誤差で表される。矢印は投与を示す。
【0280】
治療グループには、生理食塩水コントロール(N=10)、Phor18−LHRH(338613)(338613、V09108X1)(0.02(N=10)、0.2(N=10)、及び2mg/kg(N=9))、及び非結合Phor18=CLIP71(APC338983、Lot#V04004X1)(2
mg/kg (N=10))、生理食塩水のシスプラチン/CP(Calbiochem社、Cat232120、D0005495)(10mg/kg、3qd(N=10))、基準値(N=9)が含まれる。
【0281】
腫瘍を有する9匹のマウスのグループを33日目に犠牲死とし、基準値グループとして用いた。全てのマウスを、腫瘍細胞注射から51〜52日目に解剖した。腫瘍体積及び体重を評価期間中週に1度、合計2回記録した。また、獣医師の総合的な診断を行った。
【0282】
原発腫瘍、肝臓、腎臓、膵臓、心臓、肺、及び脾臓を摘出し、ホルマリンに固定して組織学的評価のために準備した。腫瘍質量を解剖時に測定した。腫瘍の一部分を、LH/CG及びLHRHレセプタアッセイ定量のために−80℃で冷凍保存した。
【0283】
薬物活性のためのバイオマーカーとして、CA125を血清中で特定し、解剖時に酵素結合免疫測定法を用いて各マウス個体から収集した。収集したCA125は、卵巣癌抗原CA125の定量のために用いた(カリフォルニア州サンディエゴのBiotech, Inc. 社のAssay kit Genway、カタログ番号40−052−115009、#BC−1013)。
【0284】
LHRHレセプタレベルは、ホルマリン固定された腫瘍を用いて評価される。双方向顕微鏡(Axio Imager)に接続されたコンピュータを利用した画像分析補助システムである定量免疫ペルオキシダーゼ画像分析を行った。この定量分析は、形態学的分析及び比色分析を含むHer2/neuレセプタの定量化プログラムを用いて行った。レセプタ状態は、LHRHレセプタ染色が陽性を示す細胞の割合として報告された。その基準は次の通りである。すなわち、免疫反応性無しの場合は0、1−25%の細胞が陽性の場合は1+、26−50%の細胞が陽性の場合は2+、51−75%の細胞が陽性の場合は3+である。
【0285】
全てのグループのマウスが注射に耐えた。Phor18−LHRH(338613)2mg/kgの1回目の注射の際に、1匹のマウスのみが死亡した。この1匹のマウスは急性死であり、医療処置に関するものであったが、腫瘍に関連して死亡したものではなかった。これ以外の治療グループについては全てのマウスが生存した。注射後10分以上経過してから注射の結果として死亡したマウスは存在しなかった。
【0286】
腫瘍体積は、Phor18−LHRH(338613)を用いた治療期間中に減少した。対照的に、CLIP71、シスプラチン又は生理食塩水コントロール中で治療されたマウスは、腫瘍の成長が観察された。腫瘍細胞注射から42日後に記録された腫瘍体積は、0.2mg/kgという低濃度のPhor18−LHRH(338613)(体重)を投与した場合に、基準値と比べて減少した(p<0.001)。
【0287】
解剖時における腫瘍の特徴(腫瘍質量の中央値及び腫瘍質量の中央値の基準値からの変動)を定量した。生理食塩水コントロール及び非結合Phor18=CLIP71(p<0.05)と比較して減少した腫瘍質量は、2及び0.2mg/kgのPhor18−LHRH(338613)を投与したグループにおいて得られた。腫瘍が無いマウスは、0.2及び2
mg/kgのPhor18−LHRH(338613)を投与したグループにおいて見られた。治療開始時と比較した腫瘍の退行として観測される治療反応は、Phor18−LHRH(338613)を0.2mg/kg(p<0.03対基準値)投与して治療したマウスにおいて最も大きかった。シスプラチン及び非結合Phor18=CLIP71には、腫瘍質量を減少させる効果がなかった。
【0288】
生理食塩水コントロール、CLIP71及びシスプラチンで治療されたマウスは、安定した腫瘍の成長を示した。CA125の血清レベルは、腫瘍質量(r=0.66)に対応するものであった。CA125の分泌は、Phor18−LHRH(338613)で治療されたマウスにおいて減少した。また、CA125の分泌は、生理食塩水コントロールと比べて0.2及び2mg/kg(p<0.0002)のPhor18−LHRH(338613)で治療されたマウスにおいて最も大きかった。
【0289】
0.02mg/kgのPhor18−LHRH(338613)で治療された後にOVCAR−3移植組織片を有するマウスから摘出された腫瘍のサイズは生理食塩水コントロールと比較して減少、壊死していた。治療された腫瘍では、LHRHレセプタレベルが1−2ポイント減少した。ヘマトキシリン・エオシンで染色された腫瘍部位では、0.02mg/kgのPhor18−LHRH(338613)で治療された場合、有意な壊死が見られた。移植組織片を有するマウスでは、シスプラチン又はCLIP71で治療された場合、腫瘍体積、LHRHレセプタレベルの減少は見られなかったが、組織学的評価の後に生存可能な腫瘍細胞が見られた。
【0290】
Phor18−LHRH(338613)での治療によって、腫瘍の後退、原形質におけるCA125腫瘍マーカーの減少、LHRHレセプタレベルの減少及び卵巣移植組織片モデルにおける壊死が見られた。したがって、Phor18−LHRH(338613)は、多剤耐性卵巣癌異種移植片を破壊する効果を有する。
【0291】
前立腺癌異種移植片におけるPhor18−LHRH(338613)の効果を定量するために、成長の速い移植組織片モデルにおいて、インビボでPhor18−LHRH(338613)を評価した。未治療のPC−3異種移植片では、マウスに有意な体重減少が見られた。
【0292】
PC−3細胞/マトリゲルHC懸濁液(1x10細胞/マウス)を、非近交系で6週齢の雌Nu/Nuマウス(Charles River社)に皮下注射した。治療開始は、腫瘍が形成された腫瘍細胞注射後15日目とし、22日目及び29日目まで治療を継続した。週1度の注射を3度行った。投与量は0.02、0.2及び2mg/kg(体重)とし、側面尾静脈から、単回ボーラス静脈注射を行った。治療グループには、生理食塩水コントロール(N=12)、Phor18−LHRH(338613)(APC338613Lot#V09108X1)(0.002(N=12)、0.02(N=12)、0.2(N=12)及び22mg/kg(N=12))、及び非結合Phor18=CLIP71(338983、Lot#V04004X1)(5mg/kg(N=12)、基準値(N=12)が含まれる。
【0293】
腫瘍を有するマウス12匹のグループを15日目に犠牲死とし、基準値グループとして用いた。全てのマウスを、腫瘍細胞注射から35〜36日目に解剖した。腫瘍体積及び体重を評価期間中週に1度、合計2回記録した。また、獣医師の総合的な診断を行った。
【0294】
原発腫瘍、肝臓、腎臓、膵臓、心臓、肺、脾臓を摘出し、ホルマリンに固定して組織学的評価のために準備した。腫瘍質量を解剖時に測定した。腫瘍の一部分を、LH/CG及びLHRHレセプタアッセイ定量のために−80℃で冷凍保存した。
【0295】
全てのグループのマウスが注射に耐えた。また、全てのマウスが生存していた。注射によって死亡したマウスは存在しなかった。
【0296】
腫瘍体積は、Phor18−LHRH(338613)を0.002、0.02、0.2及び2mg/kgを投与した場合に、治療期間中において減少した。CLIP71又は生理食塩水コントロールにおいて治療されたマウスにおいては、腫瘍の成長が確認された。腫瘍細胞注射から22日後の時点で記録された腫瘍体積は、0.002mg/kg(体重)という低濃度のPhor18−LHRH(338613)を投与した場合に、生理食塩水コントロール及びCLIP71と比較して減少していることが確認された(p<0.001)。腫瘍質量は、生理食塩水コントロール及びCLIP−71治療グループと比較して、Phor18−LHRH(338613)治療グループにおいて有意に減少した(0.001)。
【0297】
PC−3異種移植片は、ヌードマウスに体重減少をもたらすことが知られている。Phor18−LHRH(338613)で治療されたマウスについては、0.002、0.02、0.2及び2mg/kgのPhor18−LHRH(338613)を投与して治療されたグループにおいて、生理食塩水コントロール及びCLIP71を投与した場合と比較して、腫瘍体積の減少が確認された。解剖時の腫瘍質量の中央値は、生理食塩水コントロール及びCLIP71と比較して有意に減少した(p<0.001)。コントロールグループにおけるマウスは、悪疫質であり、治療したマウスと比較して10g以上多く体重が減少した。
【0298】
Phor18−LHRH(338613)は、PC−3異種移植片において腫瘍の成長を阻止し、腫瘍による深刻な体重減少を避ける効果を有する。非結合Phor18−LHRH(338613)は効果がない。
【0299】
上述した評価によれば、ペプチドKFAKFAKKFAKFAKKFAKQHWSYGLRPG(Phor18−LHRH(338613))は、インビボで乳腺癌、卵巣癌及び前立腺癌異種移植片を破壊する効果があることが分かった。Phor18−LHRH(338613)は、治療したマウスにおいて腫瘍を壊死させる。この壊死は、注射後1時間という早い時期に確認された。Phor18−LHRH(338613)は、週1度投与の治療レジメンとして有効であり、腫瘍を壊死させ、腫瘍質量を減少させることができる。週に複数回投与すれば、残存腫瘍細胞を破壊するなどして、腫瘍の根絶はより明確になる。Phor18−LHRH(338613)は、治療後のLHRHレセプタレベルを減少させる。このことは、標的細胞が破壊されることと整合する。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1のドメイン及び第2のドメインを含む融合コンストラクトであって、前記第1のドメインは、KFAKFAKKFAKFAKK、KFAKFAKKFAKFAKKF、KFAKFAKKFAKFAKKFA、KFAKFAKKFAKFAKKFAK、KFAKFAKKFAKFAKKFAKF及びKFAKFAKKFAKFAKKFAKFAから選択されるペプチドを含む12から28のアミノ酸配列、又は、KFAKFAKKFAKFAKK、KFAKFAKKFAKFAKKF、KFAKFAKKFAKFAKKFA、KFAKFAKKFAKFAKKFAK、KFAKFAKKFAKFAKKFAKF及びKFAKFAKKFAKFAKKFAKFAから選択されるペプチドを含む12から25のアミノ酸配列であって単数もしくは複数の前記K残基をF残基又はL残基のいずれかで、単数もしくは複数の前記F残基をK残基、A残基もしくはL残基のいずれかで、もしくは、単数もしくは複数の前記A残基をK残基、F残基もしくはL残基のいずれかで置換させたものからなり、前記第2のドメインは結合部を含む、融合コンストラクト。
【請求項2】
第1のドメイン及び第2のドメインを含む融合コンストラクトであって、前記第1のドメインは、KFAKFAKKFAKFAKK、KFAKFAKKFAKFAKKF、KFAKFAKKFAKFAKKFA、KFAKFAKKFAKFAKKFAK、KFAKFAKKFAKFAKKFAKF及びKFAKFAKKFAKFAKKFAKFAから選択されるアミノ酸配列、又は、KFAKFAKKFAKFAKK、KFAKFAKKFAKFAKKF、KFAKFAKKFAKFAKKFA、KFAKFAKKFAKFAKKFAK、KFAKFAKKFAKFAKKFAKF及びKFAKFAKKFAKFAKKFAKFAから選択されるアミノ酸配列であって、単数又は複数の前記K残基をF残基又はL残基のいずれかで、単数又は複数の前記F残基をK残基、A残基又はL残基のいずれかで、もしくは、単数又は複数の前記A残基をK残基、F残基又はL残基のいずれかで置換させたものからなり、前記第2のドメインは結合部を含む、融合コンストラクト。
【請求項3】
前記結合部がレセプタ、リガンド又は抗原と結合する請求項1又は2に記載の融合コンストラクト。
【請求項4】
前記リガンドがレセプタアゴニスト又はアンタゴニストを含む請求項3に記載の融合コンストラクト。
【請求項5】
前記結合部が細胞で発現するレセプタ、リガンド又は抗原と結合する請求項1又は2に記載の融合コンストラクト。
【請求項6】
前記細胞が過剰増殖細胞である請求項5に記載の融合コンストラクト。
【請求項7】
前記細胞が乳腺細胞、卵巣細胞、子宮細胞、頸部細胞、前立腺細胞、精巣細胞、副腎細胞、下垂体細胞又は子宮内膜細胞である請求項5に記載の融合コンストラクト。
【請求項8】
前記結合部がリガンド、レセプタ又は抗体を含む請求項1又は2に記載の融合コンストラクト。
【請求項9】
前記結合部が、ペプチド、ポリペプチド、タンパク質、核酸又は炭水化物を含む請求項1又は2に記載の融合コンストラクト。
【請求項10】
前記結合部が、ホルモン、ホルモンアナログ、ホルモンレセプタに結合するホルモンもしくはホルモンアナログの断片、ホルモンレセプタ、又はホルモンもしくはホルモンレセプタに結合する作用物質である請求項1又は2に記載の融合コンストラクト。
【請求項11】
前記結合部が線形の又は環状の構造を有する請求項1又は2に記載の融合コンストラクト。
【請求項12】
前記結合部が、ホルモン又はホルモンレセプタに結合する請求項1又は2に記載の融合コンストラクト。
【請求項13】
前記ホルモンが、ゴナドトロピン放出ホルモンI、ゴナドトロピン放出ホルモンIII、ヤツメウナギIII黄体形成ホルモン放出ホルモン、黄体形成ホルモンβ鎖、黄体形成ホルモン、絨毛性ゴナドトロピン、絨毛性ゴナドトロピンβサブユニット、メラニン細胞刺激ホルモン、エストラジオール、ジエチルスチルベストロール、ドーパミン、ソマトスタチン、卵胞刺激ホルモン(FSH)、グルココルチコイド、エストロゲン、テストステロン、アンドロステンジオン、ジヒドロテストステロン、デヒドロエピアンドロステロン、プロゲステロン、又はアンドロゲンから選択される請求項12に記載の融合コンストラクト。
【請求項14】
前記第2のドメインがアミノ酸配列からなり、又はアミノ酸配列を含む請求項1又は2に記載の融合コンストラクト。
【請求項15】
前記第1又は第2のドメインが、約1から10、10から20、15から20、20から30、30から40、40から50、60から70、70から80、80から90、90から100又はそれ以上のアミノ酸のアミノ酸配列からなり、又は当該アミノ酸配列を含む請求項1又は2に記載の融合コンストラクト。
【請求項16】
前記第1のドメインが、約15から20のアミノ酸を持つ配列からなる請求項1又は2に記載の融合コンストラクト。
【請求項17】
前記第1のドメインが、15、16、17、18、19又は20のアミノ酸を持つ配列からなる請求項1又は2に記載の融合コンストラクト。
【請求項18】
前記第2のドメインが、SYAVALSAQAALARRで表されるアミノ酸配列からなり、又は当該アミノ酸配列を含む請求項1又は2に記載の融合コンストラクト。
【請求項19】
前記第2のドメインが、QHWSYGLRPGで表されるアミノ酸配列からなり、又は当該アミノ酸配列を含む請求項1又は2に記載の融合コンストラクト。
【請求項20】
前記第1のドメインが、前記第2のドメインに対してNH2末端に位置する請求項1又は2に記載の融合コンストラクト。
【請求項21】
前記第2のドメインが、前記第1のドメインに対してNH2末端に位置する請求項1又は2に記載の融合コンストラクト。
【請求項22】
前記第1のドメイン又は前記第2のドメインが単数又は複数のD−アミノ酸を有する請求項1又は2に記載の融合コンストラクト。
【請求項23】
前記第1のドメインが、K、F又はA残基にD−アミノ酸を有する請求項1又は2に記載の融合コンストラクト。
【請求項24】
前記第1のドメインが両親媒性αヘリックスを形成する請求項1又は2に記載の融合コンストラクト。
【請求項25】
前記第1及び第2のドメインが共有結合によって結合される請求項1又は2に記載の融合コンストラクト。
【請求項26】
前記第1及び第2のドメインが、ペプチド又は非ペプチドリンカーによって結合される請求項1又は2に記載の融合コンストラクト。
【請求項27】
前記第1及び第2のドメインが、1から25のアミノ酸残基又は線状炭素鎖を有するペプチド配列によって結合される請求項1又は2に記載の融合コンストラクト。
【請求項28】
前記第1及び第2のドメインが、単数又は複数のA、S又はGアミノ酸残基を含むペプチド配列によって結合される請求項1又は2に記載の融合コンストラクト。
【請求項29】
前記第1及び第2のドメインが、GSGGS、ASAASもしくはCCCCCCを含み、又は、GSGGS、ASAASもしくはCCCCCCからなるペプチド配列によって結合される請求項1又は2に記載の融合コンストラクト。
【請求項30】
第3のドメイン、第4のドメイン、第5のドメイン、第6のドメイン、又は第7のドメインをさらに含む請求項1又は2に記載の融合コンストラクト。
【請求項31】
前記融合コンストラクトが単離され又は精製される請求項1又は2に記載の融合コンストラクト。
【請求項32】
前記融合コンストラクトが混合物を含む請求項1又は2に記載の融合コンストラクト。
【請求項33】
請求項1又は2に記載の融合コンストラクトを含む組成物。.
【請求項34】
請求項1又は2に記載の融合コンストラクトを含む医薬組成物。
【請求項35】
有害な細胞増殖又は過増殖疾患を有する被験者を治療するために効果のある量の請求項1又は2に記載の融合コンストラクトを含む投与ユニット。
【請求項36】
新生物、腫瘍又は癌を有する被験者を治療するために効果のある量の請求項1又は2に記載の融合コンストラクトを含む投与ユニット。
【請求項37】
被験者の生殖能力を減少させるために効果のある量の請求項1又は2に記載の融合コンストラクトを含む投与ユニット。
【請求項38】
細胞増殖を減少させもしくは阻害し、過剰増殖細胞の増殖を減少させもしくは阻害し、新生物細胞、腫瘍細胞もしくは癌細胞の増殖を減少させもしくは阻害し、treating a 過増殖疾患を有する被験者を治療し、新生物、腫瘍もしくは癌を有する被験者を治療し、又は動物の生殖能力を減少させるための請求項1又は2に記載の融合コンストラクト及び説明書を含むキット。
【請求項39】
請求項1又は2に記載の融合コンストラクト、及び、抗細胞増殖又は免疫刺激剤を含む組成物。
【請求項40】
請求項9の融合コンストラクトをコードする核酸分子。
【請求項41】
請求項40の核酸分子を含むベクター。
【請求項42】
請求項41のベクターで形質転換される宿主細胞。
【請求項43】
請求項1又は2に記載の融合コンストラクトを発現する細胞。
【請求項44】
細胞を、当該細胞の増殖を減少させ又は阻害するために十分な量の請求項1又は2のいずれか1項に記載の融合コンストラクトに接触させる、細胞の増殖を減少させ又は阻害する方法。
【請求項45】
細胞を、当該細胞の増殖を減少させ又は阻害するために十分な量の請求項1又は2のいずれか1項に記載の融合コンストラクトに接触させる、細胞増殖を減少させ又は阻害する方法。
【請求項46】
過剰増殖細胞の増殖を減少させ又は阻害する方法であって、細胞を、当該過剰増殖細胞の増殖を減少させ又は阻害するために十分な量の請求項1又は2のいずれか1項に記載の融合コンストラクトに接触させる方法。
【請求項47】
新生物細胞、腫瘍細胞、癌細胞又は悪性腫瘍細胞の増殖を減少させ又は阻害する方法であって、細胞を、当該新生物細胞、腫瘍細胞、癌細胞又は悪性腫瘍細胞の増殖を減少させ又は阻害するために十分な量の請求項1又は2のいずれか1項に記載の融合コンストラクトに接触させる方法。
【請求項48】
前記細胞が、レセプタ、リガンド、又は抗原を発現する請求項45から47のいずれか1項に記載の方法。
【請求項49】
前記細胞が、ホルモン又はホルモンレセプタを発現する請求項45から47のいずれか1項に記載の方法。
【請求項50】
前記細胞が、性ステロイドホルモンもしくは性腺ステロイドホルモン又は性ステロイドホルモンレセプタもしくは性腺ステロイドホルモンレセプタを発現する請求項45から47のいずれか1項に記載の方法。
【請求項51】
前記細胞が、ゴナドトロピン放出ホルモンI、ゴナドトロピン放出ホルモンIII、ヤツメウナギIII黄体形成ホルモン放出ホルモン、黄体形成ホルモンβ鎖、黄体形成ホルモン、絨毛性ゴナドトロピン、絨毛性ゴナドトロピンβサブユニット、メラニン細胞刺激ホルモン、エストラジオール、ジエチルスチルベストロール、ドーパミン、ソマトスタチン、卵胞刺激ホルモン(FSH)、グルココルチコイド、エストロゲン、テストステロン、アンドロステンジオン、ジヒドロテストステロン、デヒドロエピアンドロステロン、プロゲステロン、アンドロゲン、上皮細胞増殖因子(EGF)、成長ホルモン(GH)、Her2/neu、ビタミンH、葉酸、トランスフェリン、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、エンドセリン、ボンベシン、成長ホルモン、血管作動性腸管ペプチド、ラクトフェリン、インテグリン、神経成長因子、CD−8、CD−33、CD19、CD20、CD40、ROR1、IGF−1、癌胎児性抗原(CEA)、αフェトプロテイン(AFP)、前立腺特異抗原(PSA)、前立腺特異細胞膜抗原(PSAM)、CA125(残存上皮性卵巣癌)、可溶性インターロイキン−2(IL−2)レセプタ、RAGE−1、チロシナーゼ、MAGE−1、MAGE−2、NY−ESO−1、Melan−A/MART−1、糖タンパク質(gp)75、gp100、βカテニン、PRAME、MUM−1、ZEP161、ユビキチン−1、HOX−B6、YB−1、オステオネクチン、ILF3、葉酸又は葉酸誘導体、腫瘍壊死因子(TNF)ファミリーメンバー、TNF−α、TNF−β(リンフォトキシン、LT)、腫瘍壊死因子関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)、脂肪酸合成酵素(FAS)、LIGHT、41BB、形質転換成長因子α、形質転換成長因子β、インスリン、セルロプラスミン、HIV−tat、RGD配列モチーフを含むペプチド又はタンパク質、単糖、二糖、オリゴ糖、シアル酸、ガラクトース、マンノース、フコース、又はアセチルノイラミン酸と結合するレセプタを発現する請求項45から47のいずれか1項に記載の方法。
【請求項52】
前記インテグリンはα5β1インテグリンから選択される請求項51に記載のの方法。
【請求項53】
前記細胞が、ゴナドトロピン放出ホルモンI、ゴナドトロピン放出ホルモンIII、ヤツメウナギIII黄体形成ホルモン放出ホルモン、黄体形成ホルモンβ鎖、黄体形成ホルモン、絨毛性ゴナドトロピン、絨毛性ゴナドトロピンβサブユニット、メラニン細胞刺激ホルモン、エストラジオール、ジエチルスチルベストロール、ドーパミン、ソマトスタチン、卵胞刺激ホルモン(FSH)、グルココルチコイド、エストロゲン、テストステロン、アンドロステンジオン、ジヒドロテストステロン、デヒドロエピアンドロステロン、プロゲステロン、アンドロゲン、上皮細胞増殖因子(EGF)、成長ホルモン(GH)、Her2/neu、ビタミンH、葉酸、トランスフェリン、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、エンドセリン、ボンベシン、成長ホルモン、血管作動性腸管ペプチド、ラクトフェリン、インテグリン、神経成長因子、CD−8、CD−33、CD19、CD20、CD40、ROR1、IGF−1、癌胎児性抗原(CEA)、αフェトプロテイン(AFP)、前立腺特異抗原(PSA)、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、CA125(残存上皮性卵巣癌)、可溶性インターロイキン−2(IL−2)レセプタ、RAGE−1、チロシナーゼ、MAGE−1、MAGE−2、NY−ESO−1、Melan−A/MART−1、糖タンパク質(gp)75、gp100、βカテニン、PRAME、MUM−1、ZEP161、ユビキリン−1、HOX−B6、YB−1、オステオネクチン、及びILF3と結合するレセプタを発現する請求項45から47のいずれか1項に記載の方法。
【請求項54】
前記類似体が、ミフェプリストン、フルタミンド、ルプロン、ゾラデックス、サプレリン、シナテルトリプトレリン、ブセレリン、セトロレリクス、ガニレリクス、アバレリクス、アンチド、テベレリクス及びデガレリクス(Fe200486)から選択される請求項53に記載の方法。
【請求項55】
レセプタ又は抗原を発現する細胞の増殖を選択的に減少させ又は阻害する方法であって、当該方法は、前記細胞を、細胞の増殖を減少させ又は阻害するために十分な量の請求項1又は2のいずれか1項に記載の融合コンストラクトに接触させることを含み、前記ペプチドの前記結合部が前記細胞によって発現される前記レセプタ、リガンド又は抗原に結合する方法。
【請求項56】
レセプタや抗原を発現する過剰増殖細胞の増殖を選択的に減少させ又は阻害する方法であって、当該方法は、前記細胞を、過剰増殖細胞の増殖を減少させ又は阻害するために十分な量の請求項1又は2のいずれか1項に記載の融合コンストラクトに接触させることを含み、前記ペプチドの結合部が、過剰増殖細胞によって発現される前記レセプタ、リガンド又は抗原に結合する方法。
【請求項57】
レセプタや抗原を発現する新生物細胞、腫瘍細胞、癌細胞又は悪性腫瘍細胞の増殖を減少させ又は阻害する方法であって、当該方法は、前記細胞を、新生物細胞、腫瘍細胞、癌細胞又は悪性腫瘍細胞の増殖を減少させ又は阻害するために十分な量の請求項1又は2のいずれか1項に記載の融合コンストラクトに接触させることを含み、前記融合コンストラクトの前記結合部が、前記レセプタ、リガンド又は抗原に結合する方法。
【請求項58】
前記細胞がレセプタ又は抗原を発現する請求項55から57のいずれか1項に記載の方法。
【請求項59】
前記細胞がホルモン又はホルモンレセプタを発現する請求項55から57のいずれか1項に記載の方法。
【請求項60】
前記細胞が性ステロイドホルモンもしくは性腺ステロイドホルモン又は性ステロイドホルモンレセプタもしくは性腺ステロイドホルモンレセプタを発現する請求項55から57のいずれか1項に記載の方法。
【請求項61】
前記細胞が、ゴナドトロピン放出ホルモンI、ゴナドトロピン放出ホルモンIII、ヤツメウナギIII黄体形成ホルモン放出ホルモン、黄体形成ホルモンβ鎖、黄体形成ホルモン、絨毛性ゴナドトロピン、絨毛性ゴナドトロピンβサブユニット、メラニン細胞刺激ホルモン、エストラジオール、ジエチルスチルベストロール、ドーパミン、ソマトスタチン、卵胞刺激ホルモン(FSH)、グルココルチコイド、エストロゲン、テストステロン、アンドロステンジオン、ジヒドロテストステロン、デヒドロエピアンドロステロン、プロゲステロン、アンドロゲン、上皮細胞増殖因子(EGF)、成長ホルモン(GH)、Her2/neu、ビタミンH、葉酸、トランスフェリン、甲状腺 刺激ホルモン(TSH)、エンドセリン、ボンベシン、成長ホルモン、血管作動性腸管ペプチド、ラクトフェリン、インテグリン、神経成長因子、CD−8、CD−33、CD19、CD20、CD40、ROR1、IGF−1、癌胎児性抗原(CEA)、αフェトプロテイン(AFP)、前立腺特異抗原(PSA)、前立腺特異細胞膜抗原(PSAM)、CA125 (残存上皮性卵巣癌)、可溶性インターロイキン−2(IL−2)レセプタ、RAGE−1、チロシナーゼ、MAGE−1、MAGE−2、NY−ESO−1、Melan−A/MART−1、糖タンパク質(gp)75、gp100、βカテニン、PRAME、MUM−1、ZEP161、ユビキチン−1、HOX−B6、YB−1、オステオネクチン、ILF3、葉酸又は葉酸誘導体、腫瘍壊死因子(TNF)ファミリーメンバー、TNF−α、TNF−β(リンフォトキシン、LT)、腫瘍壊死因子関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)、脂肪酸合成酵素(FAS)、LIGHT、41BB、形質転換成長因子α、形質転換成長因子β、インスリン、セルロプラスミン、HIV−tat、RGD配列モチーフを含むペプチドもしくはタンパク質、単糖、二糖、オリゴ糖、シアル酸、ガラクトース、マンノース、フコース、又はアセチルノイラミン酸と結合するレセプタを発現する請求項55から57のいずれか1項に記載の方法。
【請求項62】
前記細胞が、ゴナドトロピン放出ホルモンI、ゴナドトロピン放出ホルモンIII、ヤツメウナギIII黄体形成ホルモン放出ホルモン、黄体形成ホルモンβ鎖、黄体形成ホルモン、絨毛性ゴナドトロピン、絨毛性ゴナドトロピンβサブユニット、メラニン細胞刺激ホルモン、エストラジオール、ジエチルスチルベストロール、ドーパミン、ソマトスタチン、卵胞刺激ホルモン(FSH)、グルココルチコイド、エストロゲン、テストステロン、アンドロステンジオン、ジヒドロテストステロン、デヒドロエピアンドロステロン、プロゲステロン、アンドロゲン、上皮細胞増殖因子(EGF)、成長ホルモン(GH)、Her2/neu、ビタミンH、葉酸、トランスフェリン、甲状腺刺激ホルモン(TSH)、エンドセリン、ボンベシン、成長ホルモン、血管作動性腸管ペプチド、ラクトフェリン、インテグリン、神経成長因子、CD−8、CD−33、CD19、CD20、CD40、ROR1、IGF−1、癌胎児性抗原(CEA)、αフェトプロテイン(AFP)、前立腺特異抗原(PSA)、前立腺特異的膜抗原(PSMA)、CA125(残存上皮性卵巣癌)、可溶性インターロイキン−2(IL−2)レセプタ、RAGE−1、チロシナーゼ、MAGE−1、MAGE−2、NY−ESO−1、Melan−A/MART−1、糖タンパク質(gp)75、gp100、βカテニン、PRAME、MUM−1、ZEP161、ユビキチン−1、HOX−B6、YB−1、オステオネクチン、ILF3、葉酸又は葉酸誘導体、腫瘍壊死因子(TNF)ファミリーメンバー、TNF−α、TNF−β(リンフォトキシン、LT)、腫瘍壊死因子関連アポトーシス誘導リガンド(TRAIL)、脂肪酸合成酵素(FAS)、LIGHT、41BB、形質転換成長因子α、形質転換成長因子β、インスリン、セルロプラスミン、HIV−tat、RGD配列モチーフを含むペプチドもしくはタンパク質、単糖、二糖、オリゴ糖、シアル酸、ガラクトース、マンノース、フコース、アセチルノイラミン酸、又はこれらの類似体と結合するレセプタを発現する請求項55から57のいずれか1項に記載の方法。
【請求項63】
過増殖疾患を有する被験者を治療する方法であって、前記過増殖疾患を治療するために十分な量の請求項1又は2のいずれか1項に記載の融合コンストラクトを被験者に投与することを含む方法。
【請求項64】
新生物、腫瘍、癌又は悪性腫瘍を有する被験者を治療する方法であって、前記新生物、腫瘍、癌又は悪性腫瘍の増殖を減少させ又は阻害するために十分な量の請求項1又は2のいずれか1項に記載の融合コンストラクトを被験者に投与することを含む方法。
【請求項65】
新生物、腫瘍、癌もしくは悪性腫瘍の他部位への転移、又は、原発性の新生物、腫瘍、癌又は悪性腫瘍から遠位にある他部位における転移性の新生物、腫瘍、癌又は悪性腫瘍の形成を減少させ又は阻害する方法であって、前記新生物、腫瘍、癌又は悪性腫瘍の他部位への転移、又は、前記原発性の新生物、腫瘍、癌又は悪性腫瘍から遠位にある他部位における転移性の新生物、腫瘍、癌又は悪性腫瘍の形成を減少させ又は阻害するために十分な量の請求項1又は2のいずれか1項に記載の融合コンストラクトを、前記被験者に投与する方法。
【請求項66】
前記新生物、腫瘍、癌又は悪性腫瘍が転移性、非転移性、又は良性である請求項64又は65のいずれか1項に記載の方法。
【請求項67】
前記新生物、腫瘍、癌又は悪性腫瘍が固形細胞塊を含む請求項64又は65のいずれか1項に記載の方法。
【請求項68】
前記新生物、腫瘍、癌又は悪性腫瘍が造血細胞を含む請求項64又は65のいずれか1項に記載の方法。
【請求項69】
前記新生物、腫瘍、癌又は悪性腫瘍が、上皮性悪性腫瘍、肉腫、リンパ腫、白血病、腺腫、腺癌、黒色腫、神経膠腫、膠芽細胞腫、髄膜腫、神経芽細胞腫、網膜芽細胞腫、星状細胞腫、オリゴデンドログリオーマ、中皮腫、網内系・リンパ系・造血系の新生物、腫瘍、癌又は悪性腫瘍を含む請求項64又は65のいずれか1項に記載の方法。
【請求項70】
前記肉腫が、リンパ肉腫、脂肪肉腫、骨肉腫、軟骨肉腫、平滑筋肉腫、横紋筋肉腫又は線維肉腫を含む請求項64又は65のいずれか1項に記載の方法。
【請求項71】
前記造血系の新生物、腫瘍、癌又は悪性腫瘍が、骨髄腫、リンパ腫又は白血病を含む請求項68に記載の方法。
【請求項72】
前記新生物、腫瘍、癌又は悪性腫瘍が、肺、甲状腺、頭部もしくは頸部、鼻咽頭、咽喉部、鼻部もしくは鼻腔部、脳、脊椎、乳腺、副腎、下垂体、甲状腺、リンパ液、胃腸(口腔、食堂、胃、十二指腸、回腸、空腸(小腸)、結腸、直腸)、泌尿生殖器(子宮、卵巣、頸部、子宮内膜、膀胱、睾丸、陰茎、前立腺)、腎臓、膵臓、肝臓、骨、骨髄、リンパ液、血液、筋肉、又は皮膚の新生物、腫瘍もしくは癌を含む請求項64又は65のいずれか1項に記載の方法。
【請求項73】
前記肺の新生物、腫瘍、癌又は悪性腫瘍が、肺小細胞癌又は非小細胞肺癌を含む請求項72に記載の方法。
【請求項74】
前記新生物、腫瘍、癌又は悪性腫瘍が、幹細胞の新生物、腫瘍、癌又は悪性腫瘍を含む請求項64又は65のいずれか1項に記載の方法。
【請求項75】
前記方法が、前記新生物、腫瘍、癌又は悪性腫瘍の再発又は進行を阻害し又は減少させる請求項64又は65のいずれか1項に記載の方法。
【請求項76】
抗細胞増殖、抗新生物、抗腫瘍、抗癌もしくは免疫増強の治療又は療法を実施することをさらに含む請求項63又は64のいずれか1項に記載の方法。
【請求項77】
前記治療又は療法が、外科的切除、放射線治療、電離放射線治療もしくは化学放射線治療、化学療法、免疫療法、局部的もしくは局所的温熱療法(温熱療法)、又はワクチン接種を含む請求項76に記載の方法。
【請求項78】
前記治療又は療法が、アルキル化剤、代謝拮抗剤、植物エキス、植物性アルカロイド、ニトロソウレア、ホルモン、ヌクレオチド又はヌクレオチド類似体を投与することを含む請求項76に記載の方法。
【請求項79】
前記治療又は療法が、シクロホスファミド、アザチオプリン、シクロスポリンA、プレドニゾロン、メルファラン、クロラムブシル、メクロレタミン、ブスルファン、メトトレキサート、6−メルカプトプリン、チオグアニン、5−フルオロウラシル、シトシンアラビノシド、AZT、5−アザシチジン(5−AZC)及び5−アザシチジン関連化合物、ブレオマイシン、アクチノマイシンD、ミトラマイシン、マイトマイシンC、カルムスチン、ロムスチン、セムスチン、ストレプトゾトシン、ヒドロキシウレア、シスプラチン、ミトタン、プロカルバジン、ダカルバジン、タクソール、ビンブラスチン、ビンクリスチン、ドキソルビシン、又はジブロモマンニトールを投与することを含む請求項76に記載の方法。
【請求項80】
前記治療又は療法が、リンパ球、形質細胞、マクロファージ、樹枝状細胞、NK細胞、又はB−細胞を投与することを含む請求項76に記載の方法。
【請求項81】
前記治療又は療法が、抗体、細胞成長因子、細胞生存因子、細胞分化因子、サイトカイン、又はケモカインを投与することを含む請求項76に記載の方法。
【請求項82】
前記治療又は療法が、IL−2、IL−1a、IL−1β、IL−3、IL−6、IL−7、顆粒球・マクロファージ・コロニー刺激因子(GMCSF)、IFN−γ、IL−12、TNF−α、TNF−β、MIP−1a, MIP−1β、RANTES、SDF−1、MCP−1、MCP−2、MCP−3、MCP−4、エオタキシン、エオタキシン−2、I−309/TCA3、ATAC、HCC−1、HCC−2、HCC−3、LARC/MIP−3α、PARC、TARC、CKβ、CKβ6、CKβ7、CKβ8、CKβ9、CKβ11、CKβ12、C10、IL−8、GROα、GROβ、ENA−78、GCP−2、PBP/CTAPIIIβ−TG/NAP−2、Mig、PBSF/SDF−1、又はリンフォタクチン(lymphotactin)を投与することを含む請求項76に記載の方法。
【請求項83】
抗細胞増殖、抗新生物、抗腫瘍、抗癌もしくは免疫増強の治療又は療法を実施する前に、この実施と同時に、又は、この実施の後に、前記融合コンストラクトが投与される請求項76に記載の方法。
【請求項84】
前記被験者が、外科的切除、化学療法、免疫療法、電離放射線治療もしくは化学放射線治療、局部的もしくは局所的温熱療法(温熱療法)、又はワクチン接種を受ける請求項64又は65のいずれか1項に記載の方法。
【請求項85】
前記被験者が、外科的切除、化学療法、免疫療法、電離放射線治療もしくは化学放射線治療、局部的もしくは局所的温熱療法(温熱療法)、又はワクチン接種の候補である請求項64又は65のいずれか1項に記載の方法。
【請求項86】
前記被験者が、外科的切除、化学療法、免疫療法、電離放射線治療もしくは化学放射線治療、局部的もしくは局所的温熱療法(温熱療法)、又はワクチン接種の候補ではない請求項64又は65のいずれか1項に記載の方法。
【請求項87】
前記治療が、前記新生物細胞、腫瘍細胞、癌細胞もしくは悪性腫瘍細胞の質量、体積、サイズ又は細胞数を部分的に又は完全に破壊し、新生物細胞、腫瘍細胞、癌細胞もしくは悪性腫瘍細胞の壊死、溶解又はアポトーシスを刺激、誘導又は増強し、新生物、腫瘍、癌又は悪性腫瘍の体積、細胞質量を減少させ、新生物、腫瘍、癌又は悪性腫瘍の体積、質量、サイズもしくは細胞数の進行又は増加を阻害又は抑制し、寿命を延ばす請求項64又は65のいずれか1項に記載の方法。
【請求項88】
前記治療が、前記新生物、腫瘍、癌又は悪性腫瘍に関連する又はこれらによって引き起こされる有害な症状や合併症の重症度、継続時間もしくは頻度を減少させる請求項64又は65のいずれか1項に記載の方法。
【請求項89】
前記治療が、痛み、不快感、吐き気、衰弱又は倦怠感を減少させる請求項64又は65のいずれか1項に記載の方法。
【請求項90】
前記治療が、活力、食欲、移動度の改善又は精神的充足感をもたらす請求項64又は65のいずれか1項に記載の方法。
【請求項91】
前記被験者が哺乳類である請求項64又は65のいずれか1項に記載の方法。
【請求項92】
前記被験者がヒトである請求項64又は65のいずれか1項に記載の方法。
【請求項93】
受胎能力を減少させるために十分な量の請求項1又は2のいずれか1項に記載の融合コンストラクトを投与することを含む動物の生殖能力を減少させる方法。
【請求項94】
前記動物が哺乳類である請求項93に記載の方法。
【請求項95】
前記動物がヒトである請求項93に記載の方法。
【請求項96】
動物の子宮内膜症を治療する方法であって、前記子宮内膜症を治療するために十分な量の請求項1又は2のいずれか1項に記載の融合コンストラクトを前記動物に投与することを含む方法。
【請求項97】
良性の前立腺過形成を治療する方法であって、前記良性の前立腺過形成を治療するために十分な量の請求項1又は2のいずれか1項に記載の融合コンストラクトを前記動物に投与することを含む方法。
【請求項98】
子宮筋腫又はポリープを治療する方法であって、前記子宮筋腫又はポリープを治療するために十分な量の請求項1又は2のいずれか1項に記載の融合コンストラクトを前記動物に投与することを含む方法。
【請求項99】
前記子宮筋腫又は子宮ポリープが、乳腺、子宮、膣、頸部又は卵管に存在する請求項98に記載の方法。
【請求項100】
前記融合コンストラクトが、Phor21−βCG−ala、Phor21−GSGGS−βCG−ala、Phor21−ASAAS−βCG−ala、又はPhor14−βCG−alaよりも優れた抗細胞増殖性を有し、この優れた抗細胞増殖性を有することがより小さなIC50値によって確認される請求項1又は2に記載の融合コンストラクト。
【請求項101】
前記融合コンストラクトが、Phor21−βCG−ala、Phor21−GSGGS−βCG−ala、Phor21−ASAAS−βCG−ala、又はPhor14−βCG−alaより小さなIC50/HA50(溶血活性)比を有する請求項1又は2に記載の融合コンストラクト。
【請求項102】
前記融合コンストラクトが、約0.02、0.01、又は0.005よりも小さなIC50/HA50(溶血活性)を有する請求項1又は2に記載の融合コンストラクト。
【請求項103】
KFAKFAKKFAKFAKK、KFAKFAKKFAKFAKKF、KFAKFAKKFAKFAKKFA、KFAKFAKKFAKFAKKFAK、KFAKFAKKFAKFAKKFAKF及びKFAKFAKKFAKFAKKFAKFAから選択される単離され又は精製されたペプチド。
【請求項104】
KFAKFAKKFAKFAKK、KFAKFAKKFAKFAKKF、KFAKFAKKFAKFAKKFA、KFAKFAKKFAKFAKKFAK、KFAKFAKKFAKFAKKFAKF及びKFAKFAKKFAKFAKKFAKFAから選択される単離され又は精製されたペプチドであって、単数又は複数の前記K残基をF残基又はL残基のいずれかで、単数又は複数の前記F残基をK残基、A残基又はL残基のいずれかで、単数又は複数の前記A残基をK残基、F残基又はL残基のいずれかで置換させたペプチド。
【請求項105】
請求項103又は104のペプチドをコードする核酸。
【請求項106】
請求項103又は104のペプチドをコードする核酸を含むベクター。
【請求項107】
請求項103又は104のペプチドをコードする核酸を含むベクターで形質転換される宿主細胞。
【請求項108】
請求項103又は104のペプチドを発現する細胞。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8A】
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【図8B】
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【図8C】
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【図8D】
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【図8E】
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【図8F】
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【図8G】
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【図8H】
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【図8I】
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【図8J】
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【図9A】
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【図9B】
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【図9C】
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【図9D】
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【図9E】
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【図9F】
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【図9G】
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【図9H】
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【図10A】
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【図10B】
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【図10C】
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【図10D】
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【図10E】
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【図11】
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【図12】
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【公表番号】特表2011−517550(P2011−517550A)
【公表日】平成23年6月16日(2011.6.16)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−544463(P2010−544463)
【出願日】平成21年1月26日(2009.1.26)
【国際出願番号】PCT/US2009/031999
【国際公開番号】WO2009/094634
【国際公開日】平成21年7月30日(2009.7.30)
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.フロッピー
2.WINDOWS
【出願人】(510199351)エスペランス ファーマシューティカルズ (1)
【氏名又は名称原語表記】Esperance Pharmaceuticals
【住所又は居所原語表記】340 East Parker Boulevard Baton Rouge, LA 70803 United States of America
【出願人】(504027130)ボード オブ スーパーバイザーズ オブ ルイジアナ ステイト ユニバーシティ アンド アグリカルチュラル アンド メカニカル カレッジ (2)
【氏名又は名称原語表記】BOARD OF SUPERVISORS OF LOUISIANA STATE UNIVERSITY AND AGRICULTURAL AND MECHANICAL COLLEGE
【上記1名の代理人】
【識別番号】100126572
【弁理士】
【氏名又は名称】村越 智史
【Fターム(参考)】