説明

潤滑性コーティングを備えた吸収性インプラント

ポリマーマトリックス上に配置されている潤滑性コーティングを有する外科移植用のデバイス。ポリマーマトリックスは、天然組織の内方成長に適した生体親和性で、少なくとも部分的に生体吸収性の足場を構築する。潤滑性コーティングは、生体親和性及び生体吸収性で、マトリックスを潤滑性にし、その表面での摩擦を低減しうる。潤滑性コーティングは、分離型でもよいし、一体化していてもよく、マトリックス表面の一部又は全体に配置することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、移植可能な医療用デバイスの分野に関し、特に、半月板インプラントなどの生体吸収性インプラント及びその作製方法を対象とする。
【背景技術】
【0002】
インプラントは、損傷を受けた組織を再建するために広く使用されている。このようなインプラントには、歯科用インプラント、股関節及び膝インプラント、破損した骨のためのプレート及びピン並びに他のデバイスが含まれる。いくつかのインプラントは、組織損傷に伴う苦痛及び障害を低減することにおいて成功しているが、インプラント材料がヒトの体内で劣化するので、多くは、長期の機能を果たすことには失敗している。関節インプラント、特に、自由運動性の滑膜性連結のために設計されたインプラントはさらに、インプラントが天然組織に損傷を及ぼしうるか、又はせん断応力及び他の機械的力により移動するという問題をもたらしうる。膝関節は、重量を負荷する他に、自由運動性でもあるので、膝関節でのインプラントでは、特有の問題が生じる。
【0003】
内側及び外側半月板は、膝関節にある一対の半月型の軟骨構造であり、これは解剖学的には、大腿顆と脛骨プラトーとの間に位置している。図1には、大腿骨2と脛骨4との間のヒト膝関節3にある内側半月板7及び外側半月板8の正常な位置の図面表示が示されている。これらの半月板は、大腿骨2と脛骨4との間で圧縮されると、その結合点を除いて、強靱になる。図2には、膝関節3にある内側半月板7及び外側半月板8のin vivo構造が示されている。半月板は、それらの間に半月板が位置している表面の形態に一致しているので、2個の異なるin vivo形態をもたらしている。例えば、内側半月板7は、比較的開いた半月型を有するが、外側半月板8は、比較的閉じた半月型を有する。
【0004】
これらの半月板は共に、関節を安定させ、力及び負荷を分散させ、大腿骨と脛骨との接触面を潤滑にしている。各半月板は、周辺では約7から8mmの厚さを有し、内部の端の薄い先端に向かって徐々に細くなっていき、断面ではやや窪んだ三角形になっている。構造の幅全体の約10%から30%を占めていて、末梢血管系により栄養を与えられている周辺リム部を除き、半月板組織の大部分は、無血管である。無血管半月板組織は、豊富な細胞外マトリックス及び水(組織重量の約70%)に囲まれた線維軟骨細胞からなり、この場合、栄養は、物理化学的プロセスを介しておそらく供給されている。コラーゲン(主にI型)が、マトリックス材料の大部分、乾燥組織の約75重量%を占めており、コラーゲン繊維は、主に、円周方向に配向されている。
【0005】
半月板は主に、圧縮力に抵抗し、関節軟骨と共に荷重負荷を分担するように設計されており、関節内での急速な回転運動から生じる強力なせん断力により裂けてしまう。半月板の損傷は、膝内の変性変化の一部として慢性的にも生じうる。膝に対する一般的な運動性損傷は、半月板組織の損傷をもたらしうる。末梢血管リム部で裂ける組織損傷は関節鏡によって、縫合糸又は同様の技術で生じることもあるが、創傷は通常、正常な半月板機能の回復と共に癒える。しかしながら損傷を受けた部位が無血管領域である場合には、損傷を受けた組織の回復は往々にして不十分であるか不可能であり、損傷を受けた半月板組織の一部又は全部の除去が往々にして必要である。半月板がないと、異常な関節機構と共に、応力の集中が膝で生じ、関節変化の早期発達が生じる。
【0006】
損傷を受けたか、疾患を有する半月板の治療は通常、外科的修復及び切除の両方による。切除では、半月板組織の再建が生じうる。加えて、半月板線維軟骨細胞が、線維素凝塊を充填された欠損部に移動して、正常な半月板線維軟骨と明らかに同様の組織を形成しうることは知られている。適切なマトリックス足場が半月板欠損部に存在すると、このような半月板線維軟骨が形成されうる。半月板組織はさらに、出血組織に曝されると自己修復することができ、加えて、組織培養中の半月板細胞は、細胞分化及びマトリックス合成しうることも当技術分野では知られている。その他の点では健康な関節内にある、損傷を受けた半月板の置換は、運動変化を防ぎ、関節を安定させることができる。疾患を有する関節では、半月板の置換は、疾患プロセスの進行を低減し、疼痛寛解をもたらしうる。同種移植又は半月板移植は、イヌ及びヒトの両方で実施されている置換方法の1つである。しかしながら、この手法は、移植片に対する宿主の免疫学的応答、凍結保存プロセスでの失敗及び結合部位の故障により、長期にわたっては部分的にしか成功していない。
【0007】
先行技術の置換手法の1つは、半月板を永久的な人工材料からなる人工器官に置換することである。このような材料の使用は、免疫学的応答の可能性を最小化し、膝関節において遭遇する高度で繰り返される負荷に抵抗しうる構造の構築を可能にし、関節力学を生体材料が耐えられないほど有利に変更すると考えられる。しかしながら、主に、ヒト及び動物関節の反対側の関節軟骨が脆く、摩耗性界面により容易に損傷を受けるので、これらの永久的な人工構造との半月板組織の置換は通常、成功しない。加えて、関節力は、体重の数倍であり、この関節力に、膝及び股関節の場合には通常、1年当たり100万回以上遭遇しうる。永久的な人工半月板は、天然の半月特性を有する材料からなってなく、関節での日常的な負荷に耐えるほど十分には安全に配置され得ない。
【0008】
他のもっと有効な手法は、半月板の形態及び役割を担う、膝関節に移植するための生体親和性且つ生体吸収性構造体に、半月板を置換することである。Stone(米国特許第5,007,934号明細書、同第5,116,374号明細書及び同第5,158,574号明細書)及びLi et al.(米国特許第5,681,353号明細書、同第5,735,903号明細書及び同第6,042,610号明細書)は、天然ポリマーなどの生体親和性且つ生体吸収性繊維を含む人工半月板及びこのような人工半月板を作製するための方法を記載している。加えて、Stoneは、宿主半月板リム部にインプラントを縫合するなどにより、ヒトの膝に吸収性人工半月板を移植することにより半月板組織を再生する方法を記載している。
【0009】
吸収性半月板はさらに、半月板組織及び半月板線維軟骨細胞の内方成長を促進することにより半月板組織を再生するための足場としても役立ち、宿主半月板、及び天然半月板の役割を果たすインプラントされたデバイスとの複合をもたらす。吸収性半月板は、ヒト患者に有望な長期利点をもたらすことが判明している。しかしながら大抵の関節インプラントと同様に、このデバイスは、インプラントの後に、被移植者がリハビリ期間を耐えることを必要とする。このリハビリ期間のうちの多少は、吸収性インプラントが、著しい組織内方成長が生じる前に機械的ダメージ及び移動を受けやすいことから生じる。移植後、特にインプラントの内部縁部での反復性のせん断応力が、宿主半月板と新たに再生された組織とが完全に一体化する前にインプラントに損傷を与えうる。長期のリハビリ期間も、破れと縫合系の脱出の危険性をもたらす。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、機械的損傷及び移動を受けにくく、破れと縫合系の脱出をもたらす反復性のせん断力により耐性を示す表面を有するインプラントが必要である。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は、ポリマーマトリックス上に潤滑性コーティングを有する、関節内の損傷を受けた組織、特に膝の半月板と代えるための外科インプラント用デバイスを提供する。この潤滑性コーティングを、マトリックス表面の一部又は全部に配置させ、好ましくは、マトリックスの1個又は複数の咬合表面に配置させる。ポリマーマトリックスは、天然組織の内方成長に適している生体親和性で、少なくとも部分的に生体吸収性の足場を構築する。潤滑性コーティングは、摩擦及びその結果もたらされた足場の表面でのせん断力を低減するために役立つので、せん断力及び移動に対するインプラントの耐性を高める。
【0012】
本発明のさらなる利点及び形態は、本発明の好ましい実施形態を詳述する下記の図面、詳細な説明及び実施例から明らかになるであろう。
【発明を実施するための形態】
【0013】
さて、本発明の目下好ましい実施形態を詳細に参照するが、これは、次の実施例と共に、本発明の原理を説明するために役立つものである。これらの実施形態は、当業者が本発明を実施することができるよう十分に詳細に記載されているが、他の実施形態を利用することもでき、構造的、化学的及び生態学的変更を、本発明の意図及び範囲から逸脱することなく行うことができることを理解されたい。
【0014】
本発明は、ポリマーマトリックス及びこのマトリックスの少なくとも一部の表面上の潤滑性コーティングを含む生体親和性インプラントである。インプラントは、骨格筋系で使用するために設計されており、軟骨インプラント、靱帯インプラント、腱インプラント、間置関節スペーサー、脊椎板インプラント、半月板インプラント又は骨インプラントであってよい。一実施形態では、インプラントは、半月板インプラントである。生体親和性インプラントは、これらに限られないが、膝、股、肩(肩峰鎖骨、胸鎖)及び手関節などの滑膜性関節などの関節内又はその付近に移植するために設計することができる。適切なインプラント宿主には、これらに限られないが、ヒト及びイヌ、猫、ウマ、牛、ヒツジ、鳥、魚又はは虫類を含む動物が含まれ、哺乳動物が好ましく、ヒトがさらに好ましい。
【0015】
本発明の半月板インプラントは、本来の半月板と完全に置換することを意図されている人工半月板であってもよいし、このインプラントは、本来の半月板の一部と置換することを意味している半月板増強デバイスであってもよい。例えば、半月板増強デバイスを、宿主の半月板の部分的欠損などの欠損部に移植することができる。部分的半月板欠損は通常、半月板の部分的な切除をもたらす半月板全体よりも少ない断裂又は損傷(放射状、水平、バケツ柄状及び複雑断裂)を包含する。半月板の部分的な欠損部に移植すると、半月板部分及びインプラントにより生じた複合体は、部分的な欠損を伴わない本来の半月板全体とほぼ同様のin vivo外側表面外形を有する。
【0016】
例示的な半月板インプラントが図3に示されている。半月板インプラント10は通常、くさび形で、中心軸11の回りに少なくとも部分的に円周状又は横方向に延びている。好ましい形態では、半月板10は、軸11の回りに円周状に延びていて、2個の狭い遠位領域14と16との間に比較的幅広な中心領域12を有する半円形くさびの形態を有する。図4は、図3に示されている半月板の線5−5に沿った断面図である。図4は、コーティング前の半月板10を示しており、この際、上部咬合表面20(移植すると大腿顆に面する表面)はコーティングされていない。下部咬合表面21(移植すると脛骨プラトーに面する表面)は、図4〜6にも示されている。図5は、上部咬合面20が部分的に潤滑性コーティング22でコーティングされた後の内側半月板インプラント10を示しており、図6は、咬合表面20が潤滑性コーティング22で完全にコーティングされた後の異なる実施形態の内側半月板インプラント10を示している。
【0017】
ポリマーマトリックス
インプラントのポリマーマトリックスは、生体親和性で、少なくとも部分的に生体吸収性である。生体親和性材料は、特殊な強度、透過性、耐久性などを有する材料であり、急性炎症反応などの望ましくない生体反応をもたらすことなく宿主内で特殊な用途を果たすことができる。生体吸収性材料は、例えばタンパク質分解により分解して、宿主により使用されうるか、宿主により容易に除去されるかさらに分解されうる低分子量の断片になるものである。このような生体親和性及び生体吸収性材料の例には、これらに限られないが、様々なタイプのコラーゲン、多糖類、フィブリン又はエラスチンを含む他のタンパク質並びにコラーゲン−へパリン複合体、コラーゲン−成長因子複合体及びコラーゲン−細胞複合体などのコラーゲンベースの材料(すなわちコラーゲンを含むかそれに由来する材料)が含まれる。
【0018】
ポリマーマトリックスは、合成ポリマーベースのマトリックス又はバイオポリマーベースのマトリックスであってよい。好ましい実施形態では、マトリックスは、潤滑性と共に機械的強度ももたらしうる天然材料、好ましくは天然ポリマーを含む。適切なバイオポリマー材料には、これらに限られないが、タンパク質(例えばコラーゲン、ゼラチン、線維素、エラスチン又はシルク)及び多糖類(例えばヒアルロン酸、アルギニン酸、セルロース、キチン)が含まれる。好ましい実施形態では、ポリマーマトリックスは、コラーゲンベースの材料、好ましくはI型コラーゲン繊維から製造される。コラーゲンは、遺伝子技術により腱、皮膚、骨又は靱帯などのヒト又は動物組織から単離することもできるし(例えばFibrogen,Inc.,Palo Alto,Calif.により販売されているコラーゲン)、in vitroで線維芽細胞により合成することもできる(例えばAdvanced Tissue Sciences,La Jolla,Calif.により調製されているコラーゲン)。繊維をマトリックス中にランダムに配向することもできるし、又は、マトリックス内で実質的に円周状に延びるか、若しくは実質的に放射状に延びる方向を有してもよい。繊維の密度は、マトリックス内で均一でも不均一でもよく、不均一な配置では、高いストレスの予期される点で、繊維の相対的に高い密度を生じさせることもできる。
【0019】
ポリマーマトリックスは通常、乾燥した多孔性で嵩だかなマトリックスの形態を有し、その一部は、架橋していてもよい。多孔性マトリックスは、半月板線維軟骨細胞、内皮細胞、繊維素及び細胞外マトリックスを通常は占めていて、細胞外マトリックス成分を合成し、それに堆積する他の細胞の内方成長を促進する。組織内方成長速度、足場及び個々の線維の吸収速度並びにin vivoでのマトリックス形態の安定などのマトリックスに特有の特徴は、マトリックス密度及びマトリックス内の架橋度により影響される。
【0020】
例えば、機械的強度及びクッション能を維持すると同時に内方成長を促進するために、マトリックスの密度を操作することができる。相対的に大きな原線維内及び原線維間空間が、マトリックス内での組織成長を促進するために望ましい場合には、好ましいマトリックス密度は、約0.07から約0.15g/cmの範囲内である。相対的に小さな原線維内及び原線維間空間が、膝関節に機械的支持を与え、クッション性を改善するために望ましい場合には、好ましいマトリックス密度は、約0.15から約0.50g/cmの範囲内である。好ましい実施形態では、マトリックスは、約0.10から約0.25g/cmの密度を有し、約8cm/マトリックスcmから約9cm/マトリックスcmの原線維内及び原線維間空間を伴うが、これは、本来の半月板負荷力を支持するために十分な機械的強度を維持しつつ、半月板線維軟骨細胞、さらに他の細胞の内方成長に理想的な環境をもたらす。
【0021】
好ましい実施形態では、ポリマーマトリックスは、実質的に10〜5000ミクロンの範囲内の空孔を有し、さらに好ましい実施形態では、空孔サイズは実質的に50〜1000ミクロンの範囲内であり、さらに好ましい実施形態では、空孔サイズは実質的に50〜500ミクロンの範囲内である。半月板インプラントなどの負荷インプラントでは、インプラントが本来の負荷力を支持するために十分な機械的強度を有するように、空孔サイズは、小さくなる傾向がある。間置関節スペーサー又は靱帯インプラントなどの非重量負荷インプラントでは、空孔サイズを大きくしてもよい。
【0022】
好ましい実施形態では、マトリックスは、線維内に散在しているグリコサミノグリカン分子(GAG)も含む。これらのGAGは、マトリックスに潤滑及び架橋をもたらす。本発明で使用することができるGAGの例には、これらに限られないが、ポリマーマトリックスの成分としてのコンドロイチン4−硫酸、コンドロイチン6−硫酸、ケラタン硫酸、デルマタン硫酸、ヘパリン、ヘパラン硫酸、ヒアルロン酸及びこれらの組合せが含まれる。好ましい実施形態では、コンドロイチン硫酸とヒアルロン酸との組合せが、ポリマーマトリックスの成分として使用される。GAGは、個々の分子としてポリマーマトリックス中に均一に分散していてもよいし、又はポリマーマトリックスの異なる領域に様々な量で存在してもよい。特に好ましい実施形態では、ポリマーマトリックスは、乾燥重量で天然繊維約75〜100%及びGAG約0〜25%からなってよい。これらの割合は、ポリマーマトリックス中で一定でもよいし、変動してもよい。
【0023】
一実施形態では、本発明のポリマーマトリックスは乾燥重量で、天然繊維約50%以上及びGAG約50%以下;天然繊維約55%以上及びGAG約45%以下;天然繊維約60%以上及びGAG約40%以下;天然繊維約65%以上及びGAG約35%以下;天然繊維約70%以上及びGAG約30%以下;天然繊維約75%以上及びGAG約25%以下;天然繊維約80%以上及びGAG約20%以下;天然繊維約85%以上及びGAG約15%以下;天然繊維約90%以上及びGAG約10%以下;天然繊維約95%以上及びGAG約5%以下;又は天然繊維約98%以上及びGAG約2%以下の組成を有する。
【0024】
他の実施形態では、本発明のポリマーマトリックスは乾燥重量で、天然繊維約50%〜99%及びGAG約1%〜50%;天然繊維約60%〜99%及びGAG約1%〜40%;天然繊維約65%〜99%及びGAG約1%〜35%;天然繊維約70%〜99%及びGAG約1%〜30%;天然繊維約75%〜99%及びGAG約1%〜25%;天然繊維約80%〜99%及びGAG約1%〜20%;天然繊維約85%〜99%及びGAG約1%〜15%;又は天然繊維約90%〜99%及びGAG約1%〜10%の組成を有する。
【0025】
異なる実施形態では、本発明のマトリックスは乾燥重量で、天然繊維約50%〜75%及びGAG約25%〜50%;天然繊維約60%〜75%及びGAG約25%〜40%;天然繊維約65%〜75%及びGAG約25%〜35%;天然繊維約70%〜95%及びGAG約5%〜30%;天然繊維約70%〜85%及びGAG約15%〜30%;天然繊維約70%〜80%及びGAG約20%〜30%;天然繊維約75%〜95%及びGAG約5%〜25%;天然繊維約75%〜85%及びGAG約15%〜25%;天然繊維約80%〜95%及びGAG約5%〜20%;天然繊維約80%〜90%及びGAG約10%〜20%;又は天然繊維約85%〜95%及びGAG約5%〜15%の組成を有する。
【0026】
in vivoでのマトリックス形態の一時的な安定性及び線維(マトリックスがGAGを含む場合には、線維及びGAG)の吸収速度は両方とも、少なくとも一部の線維の架橋による。加えて、GAGは、線維との共有結合の形成に直接的に関与しているか、絡むことにより、線維と機械的に相互作用して、安定な線維−GAG複合体を形成する。マトリックス成分は、化学的試薬又は他のUV光などの手段によって架橋させることができる。
【0027】
好ましい実施形態では、ポリマーマトリックスは、グリコサミノグリカン分子が散在しているI型コラーゲン線維の多孔性で乾燥した嵩だかなマトリックスであり、この場合、コラーゲン繊維は、乾燥重量で約65〜99%の濃度で存在し、グリコサミノグリカン分子は、乾燥重量で約1から35%の濃度で存在している。少なくとも一部のグリコサミノグリカン分子は、コラーゲン繊維の間に架橋をもたらし、この架橋は、マトリックス中に実質的に不均一に分散している。この好ましいマトリックスは、実質的に50〜500ミクロンの範囲内の空孔サイズを有し、マトリックスは、半月板線維軟骨細胞の内方成長に適した少なくとも部分的に生体吸収性の足場をもたらす。
【0028】
他の好ましい実施形態では、ポリマーマトリックスは、天然ポリマー及び類似体並びにその組合せからなる群から選択される生体親和性生体吸収性線維の乾燥した多孔性マトリックスである。このマトリックスは、およそ50ミクロンを上回るが約500ミクロン未満の範囲内の空孔サイズを有し、半月板線維軟骨細胞の内方成長に適した少なくとも部分的に生体吸収性の足場を構築し、そこでは、足場及び内方成長した半月板線維軟骨細胞が、本来の半月板負荷力を支持する。
【0029】
潤滑性コーティング
本発明のポリマーマトリックスは、その表面に配置されているコーティングを有する。このコーティングは、インプラントに潤滑性外表面を提供し、手術の間の挿入の容易さ及びインプラントの機動性、インプラントの摩擦係数の低下、インプラントに及ぶせん断力の低減並びにインプラントと接触する体表面へのダメージの低減を含むいくつもの利点をもたらす。
【0030】
潤滑性コーティングを、マトリックスの表面全体又はその一部に配置することができるが、好ましくは、マトリックスの1個又は複数の「咬合表面」、すなわち、移植すると、関節内部の本来の軟骨又は骨表面を摩擦、圧縮又はスライドする表面にのみ配置させる。半月板インプラントでは、潤滑性コーティングを好ましくは、上部咬合表面に、すなわち、移植すると大腿顆に面するマトリックス表面に配置させ、場合によっては、下部咬合表面に、すなわち移植すると脛骨プラトーに面するマトリックス表面に配置させることができる。例えば、手の近位指節間関節で使用される間置関節スペーサーでは、潤滑性コーティングを好ましくは、咬合表面、すなわち、移植すると基節骨及び中節骨に面するマトリックス表面に配置させる。咬合表面にのみマトリックスをコーティングすると、コーティングの潤滑利点が局限され、コーティングが未コーティング表面上のマトリックス内への組織内方成長を干渉することが妨げられる。
【0031】
本発明の潤滑性コーティングは、マトリックス表面上の分離型コーティングであってもよいし、マトリックス自体に少なくとも部分的に一体化していてもよい。分離型コーティングが、むしろ果肉をリンゴの皮が覆っているようにポリマーマトリックス表面を(少なくとも部分的に)カバーしている一方で、少なくとも部分的に一体化しているコーティングは、それが被覆している物質からコーティングをきれいに分離することが難しいオレンジ切片上の膜のようである。
【0032】
これらの異なるタイプのコーティングには様々な利点及び欠点があり、当業者には明らかであろう。例えば、分離型コーティングは、ポリマーマトリックスの組成を顧慮せずに潤滑性を増強するために特に設計することができるという利点を有する一方で、一体化コーティング(部分的でも全体的一体化でも)は、例えば、マトリックス自体の1個又は複数の成分に架橋させることなどによりある程度はポリマーマトリックスと相互作用するように設計されるので、マトリックス組成に注意して選択される必要がある。他の例としては、一体化コーティングは、分離型コーティングを上回る利点を有する。それというのも、その一体化の性質により、分離型コーティングを上回る接着強度を往々にして有し、このような高い接着性は、当業者に知られている一定の状況下では望ましいためである。
【0033】
本発明の潤滑性コーティングは、1個又はいくつかの物理的形態の組合せを有する。例えば、これは、固体混合物、例えば、安定化ポリマー、親水性ポリマー、添加剤及び場合によっては一緒にブレンドされる溶剤残分の混合物であってよい。或いは、コーティングは、分子又はイオンレベルでの均一性を伴う固体層中に均一に分散している混合物である固溶体であってもよいか、ポリマーコーティング溶液及び懸濁液中の不溶性粒子との混合物などの溶解及び混合成分の組合せであってもよい。コーティングは、形態及び化学的組成において異なり、相互に基本的には不溶性であるポリマーと他の成分との混合物又は組合せからなる構造物である複合体の形態を取ってもよい。これは、他の成分が閉じこめられているポリマーのマトリックスと称することもできる。コーティングは、分離型か混ざり合った複数の別々の層を含んでもよく、これらはそれぞれ、これらの形態のいずれか又は複数を有してよい。
【0034】
潤滑性コーティングは、生体親和性及び生体吸収性である。好ましい実施形態では、潤滑性コーティングの吸収速度を、ポリマーマトリックスの吸収速度よりも高く設計する。このより高い吸収速度により、コーティングは、ポリマーマトリックスの吸収よりも速い速度でインプラントの表面から「徐々に消失する」が、このことは、初めはコーティング自体に由来し、後にはポリマーマトリックス中での組織内方成長及び後続の本来の潤滑物質の産生に由来する進行性の潤滑性をインプラントにもたらすという利点を有する。
【0035】
好ましい実施形態では、コーティングは、生体吸収性コーティングであり、合成又は天然由来であってよい。コーティングは、腹膜又は小腸粘膜下膜などの生体膜ではないが、生体由来であってもよい。吸収性コーティング材料の例には、これらに限られないが、タンパク質(例えばコラーゲン、ゼラチン、繊維素、エラスチン又はシルク)及び多糖類(例えばデキストラン、ヒアルロン酸、アルギン酸、セルロース、キチン)、ヘパリン及びこれらの物質の誘導体、例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース及びヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース誘導体が含まれる。好ましい実施形態では、コーティングは、コラーゲンベースの材料、好ましくはI型コラーゲン繊維から製造される。他の適切な吸収性材料には、これらに限られないが、コンドロイチン4−硫酸、コンドロイチン6−硫酸、ケラタン硫酸、デルマタン硫酸、ヘパリン、ヘパラン硫酸、ヒアルロン酸及びこれらの組合せを含むグリコサミノグリカン分子(GAG)が含まれる。特に好ましい吸収性コーティングは、分離型コーティングの形態の、又はポリマーマトリックスに架橋して、部分的又は全体的に一体化しているコーティングを形成しうるヒアルロン酸ナトリウムの溶液である。
【0036】
他の好ましい実施形態では、コーティングは、親水性ポリマーベースのコーティングであり、すなわち、これは水性環境下で、水を吸収して、膨潤し、濡れているとコーティングに「潤滑性」又は「スリップ性」をもたらすヒドロゲルになる。熟練した技術者であれば、当分野の知識に基づき、さらにConcise Encyclopedia of Polymer Science and Engineering,Kroschwitz,ed.(Wiley 1990)などのリソース及びWhitbourne(セルロースエステルポリマーを含む親水性コーティングに関する米国特許第5,001,009号明細書及び同第5,525,348号明細書)を参照することにより、適切な親水性ポリマーを選択することができる。コーティング中の親水性成分の濃度及びタイプは、濡れていると水を吸収して潤滑性になるに十分である一方で、コーティング及び(一体化の場合には)ポリマーマトリックス中の他の成分と相容性である。
【0037】
親水性ポリマーの例には、これらに限られないが、ポリビニルピロリドン(PVP)などのポリ(N−ビニル)ラクタム類、ポリエチレンオキシド(PEO)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリプロピレンオキシド(PPO)、ポリアクリルアミド類、メチルセルロースなどのセルロース誘導体類、アクリル酸及びメタクリル酸などのポリアクリル酸類、ポリビニルアルコール類及びポリビニルエーテル類などが含まれる。適切な親水性が存在する限り、他の親水性ポリマーには、これらに限られないが、ポリエーテル類、ポリエチレングリコール、多糖類、親水性ポリウレタン類、ポリヒドロキシアクリレート類、ポリメタクリレート類並びにビニル成分及びヒドロキシアクリレート類又はアクリル酸とのコポリマーが含まれる。他の例には、これらに限られないが、デキストラン、キサンタン、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポリアクリルアミド及びポリペプチドが含まれる。
【0038】
親水性ポリマーは、どのような分子量を有してもよいが、好ましくは、約50,000から5,000,000の範囲の平均分子量を有する。一体化コーティングでは、親水性ポリマーの分子量は、ポリマーマトリックスへの付着、すなわちその固定度に影響を有する。低分子量、例えば約250,000未満の親水性ポリマーでは、コーティングポリマーとポリマーマトリックスとの架橋密度が、それに応じて上方に調節されると考えられる。架橋密度の「望ましい」レベルは、その機能、例えば潤滑性を損なうことなく、親水性ポリマーコーティングの移動性を同調させ、実質的に制限するレベルである。しかしながら、親水性ポリマーの移動性の制限は、コーティングの「スリップ性」又は潤滑特性に不利な影響を及ぼしうるので、あらゆる場合に、架橋又は共有固着が適切であるわけではない。親水性ポリマーのこのような共有固着は、PVP/RCOOH、PVP又はPVOH/無水物又はPVP/アセトアミドなどの反応性モノマーと共重合している親水性ポリマーと共に使用する場合には、適していると考えられる。
【0039】
インプラントの製造法
本発明のインプラントの作製では、当業者に知られている製造技術を使用する。本発明には、特定の製造方法が重要なのではなく;本発明の所望の特性を有するインプラントをもたらす適切な製造方法であれば、十分である。通常、ポリマーマトリックスを一部又は全部作製し、その後、コーティングをポリマーマトリックスに一体化させるかどうかに応じて、コーティングを導入する。例えば、一体化コーティングが望ましい場合には、作製の適切な段階で、例えば、第1の架橋ステップの前後、凍結乾燥の前後又は第2の架橋ステップの前後に、コーティング成分をポリマーマトリックス成分に導入する。
【0040】
ポリマーマトリックスを作製する方法は、当技術分野で知られており(例えば米国特許第5,007,934号明細書、同第5,116,374号明細書及び同第5,735,903号明細書)、全て記載されているように本願明細書に援用される。方法は通常、複数種の繊維(或いは繊維及びGAG、又は繊維及び成長因子及び/又は接着因子及び/又はGAG)を金型に入れ、繊維を凍結乾燥させ、繊維或いは繊維及びGAGと化学的架橋剤とを接触させて、繊維或いは繊維及びGAGが金型の形態を取って、乾燥多孔性で嵩だかなマトリックスが得られるようにすることを含む。或いは、化学的に架橋されたマトリックスを凍結乾燥させ、次いで熱脱水的架橋手順にこれを掛けることにより、付加的な架橋ステップを行う。化学的架橋ステップの前に、繊維或いは繊維及びGAGを金型中で圧縮することにより、特定の密度及び空孔サイズをマトリックスの様々な領域で得ることができる。このことは、予め決定された形態のピストンを用いて、マトリックスの特定の領域に圧力を加えることにより行うことができる。
【0041】
繊維を、例えば円柱形などの金型の形態中にランダムに置くこともできるし、特定の方向に配向することもできる。例えば、繊維をその中に入れている間に金型を回転させることにより、繊維を金型中で円周方向に置くこともできる。或いは、放射方向の直線パターンで繊維を手動で塗布することにより、繊維を放射状に金型中で配向させることもできる。架橋反応に関与しうるGAGなどの他の成分を、ランダム又は非ランダムに繊維と混合し、その後、その構造を、様々な化学的及び/又は熱脱水的方法を含む様々な架橋及び脱水手順に掛ける。接着分子或いは接着性断片又はその類似体、或いは成長因子又は生体活性断片又はその類似体を、プロセスの間にこの構造に導入することもできる。
【0042】
マトリックスのコーティングを、コーティングのタイプ及び位置に応じてインプラント作製の間の様々な段階で行うことができる。例えば、コーティング材料を繊維を架橋させて高度に一体化されたコーティングを生じさせる前に塗布することもできるし、又は繊維を架橋させて、僅かに一体化しているコーティングが生じた後にマトリックスに塗布することもできる。また、当業者には理解されるように、マトリックスを凍結乾燥させる前後に、コーティングの最終的な性質に影響を及ぼすコーティング材料を塗布することもできる。コーティングを施した後に、マトリックスを付加的な熱脱水的架橋プロセスに掛けることもできる。使用されるコーティングに応じて、はけ塗り、噴霧、ロール塗布、浸漬、スタンピングなどにより、コーティング材料をマトリックスに塗布することができる。特に分離型コーティングを、予め形成された状態でマトリックスに設置し、圧縮、接着、ロール塗布などにより貼り付けることもできる。使用される方法に関わらず、マトリックスの空孔が不必要には詰まらず、大部分が開存していて、望ましい直径を有することを保証するように配慮する。
【0043】
架橋剤として有用な試薬は、これらに限られないが、例えば米国特許第6,177,514号明細書に記載されているものを包含し、単一分子、様々な分子、又は線維及びGAG上のアミノ、カルボキシル又はヒドロキシル基と相互作用して、分子内架橋を形成しうる。これらの架橋を形成するために使用される架橋試薬には、生体親和性二官能性試薬が含まれる。有用な架橋試薬には、これらに限られないが、グルタルアルデヒド、ホルムアルデヒド、生体親和性/二官能性アルデヒド類、カルボジイミド類、ヘキサメチレンジイソシアネート、ビス−イミデート類、ポリグリセロールポリグリシジルエーテル、グリオキサール及びこれらの組合せが含まれる。異なる架橋剤は、様々な安定性の結合を形成するので、架橋剤の選択は、インプラントの吸収速度及びin vivo耐久特性に影響を及ぼしうる。例えば、グルタルアルデヒドは、ホルムアルデヒド又はカルボジイミドよりも安定な架橋を形成するので、高いin vivo耐久性及び低い吸収速度を伴うインプラントを製造するためには好ましい選択である。他方で、高吸収性インプラントが望ましい場合には、ホルムアルデヒド又はカルボジイミドが好ましい架橋剤である。
【0044】
リシン又はヒドロキシリシンのアミノ基及びアスパラギン酸又はグルタミン酸のカルボキシル基との間にペプチド結合形成をもたらす熱脱水的プロセス(熱及び真空)を介して、分子間架橋を生じさせることもできる。架橋デバイスは、in vivo安定性には十分な約55℃から85℃、好ましくは65℃から75℃の比較的高い熱安定性を有する。試薬濃度、温度、pH及び時間を含む架橋条件を操作することにより、これは達成することができる。
【0045】
好ましい製法の1つでは、I型コラーゲン繊維の酸性分散液を調製することから始め、これを、水酸化アンモニウム又は水酸化ナトリウム溶液などのアルカリ溶液でコアセルベーションさせる。コアセルベーションされた繊維を部分的に脱水し、規定の密度の予め決定されたサイズ及び形態に成形する。次いで、多孔性コラーゲンベースマトリックスを凍結乾燥させるために良く知られている手順を使用して、成形された繊維を凍結乾燥させる。
【0046】
本発明のインプラントの例では、マトリックスを400ミリトル未満の真空下に−20℃で約48時間凍結乾燥させ、続いて、真空下に約20℃で約12から24時間乾燥させる。次いで、タンパク質及び多糖類のアミノ、カルボキシル、ヒドロキシル及びグアニジノ基と反応しうるグルタルアルデヒド、ホルムアルデヒド又は他の何らかの二官能性薬剤などの、医療用インプラント製造者により一般的に使用される架橋剤を使用して、凍結乾燥させたマトリックスを架橋させる。ホルムアルデヒド蒸気が、その揮発性により、多孔性コラーゲンベース材料を架橋するために往々にして使用されるので、半月板インプラントを架橋させるためにも、使用することができる。
【0047】
使用される金型を、特定のインプラントのために、例えば、半月板内の部分的な欠損部を修復するために使用される半月板増強デバイス、半月板インプラント全体又は形成されるインプラントの性質に応じて他の望ましい形態のために設計することができる。外科医が個々のインプラントに特有の形態を形成するために好きなようにシートを切断したり、巻いたり、ねじったりできるような融通が利くように設計されたシート又は他の形態及び/又はサイズとしてマトリックスを製造及び/又は成形することができるように、金型を設計することもできる。好ましい実施形態では、マトリックス成分は、適切な表面上で注型又は成形され、モールディングされない。選択された形態及びインプラントに望ましい特性に応じて、マトリックスを形態にモールディングするか、又は形態に切断し、切断の場合には、コーティングステップの前又は後に切断することができる。
【0048】
半月板インプラントでは、使用される金型は、ヒトの内側又は外側半月板と同様の寸法を有するが、内側半月板インプラントでは通常、金型は、平均ヒト半月板の約80%の寸法を有する。インプラントデバイスを結合させるため及び、宿主細胞の浸潤及び足場マトリックスへの栄養のために、無傷の血管周辺の半月板リム2から3mmを残す部分的な半月板切除術での部分切除と、このサイズは同様である。外側半月板では、半月板の間での解剖学的差異を調節するために、金型の寸法をやや変更する。形態は、修復されるべき損傷の形態及びサイズにより規定することもできるし、欠損部の形態及び/又はサイズよりも大きい形態及び/又はサイズを規定することもでき、この場合には、コーティングされたマトリックスを、欠損部を補足する所望の形態及び/又はサイズに切断することができる。
【0049】
特定の問題又は状況に本発明の教示を応用することは、本願明細書に含まれる教示を考慮すれば、当業者の能力の範囲内である。本発明の製品及びプロセスの例を、次の実施例に示す。
【実施例】
【0050】
(実施例1)
コラーゲンマトリックスの作製
(A)
高純度I型コラーゲン原線維(例えば米国特許第5,681,353号明細書の実施例2に記載されているように調製)のコラーゲン含分を、重量法により、又はI型コラーゲン中にヒドロキシプロリン13.5重量%と仮定してヒドロキシプロリン含分を決定することにより決定する。次いで、インプラントの所定の密度を作製するために必要な精製材料の量を決定し、秤量する。
【0051】
(B)
原線維コラーゲンの溶液を特定の寸法を有する金型にフィットさせ、コラーゲン繊維をランダムに、又は配向させて置く。配向させる場合には、材料が金型内で圧縮させる際にその主軸の回りでピストンを回転させることにより、繊維の円周状配向を生じさせ;放射状配向は、放射方向に線状にコラーゲン繊維を手動で塗布することにより生じさせる。
【0052】
(C)
繊維を−20℃で凍結させ、金型から取り出し、室温で解凍する。次いで、繊維をリン酸緩衝食塩水に再懸濁させ、所望の方向で金型に戻し入れ、ピストンで圧縮する。次いで、圧縮された繊維を−20℃で再凍結させ、次いで、室温で解凍する。
【0053】
(D)
次いで、次の択一的手順のいずれかを使用して、マトリックスを架橋させる:(a)0.2%グルタルアルデヒド溶液、pH7.6に24(±0.5)時間浸すことことにより、マトリックスを架橋させる。続いて、架橋マトリックスをリン酸緩衝食塩水(PBS)溶液500ml、pH7.4中で4、8、24及び48時間繰り返しすすぐ;(b)マトリックス構造を、50%エタノール及び0.1MのNaCO中5%のポリグリセロールポリグリシジルエーテル中、pH10.0で24(±2)時間架橋させる。架橋されたマトリックスをそれぞれPBS500ml、pH7.4を用いて4、8、24及び48時間すすぐ;(c)0.9%NaCl中10のエチル−3−(3−ジメチルアミノプロピル)カルボジイミド(マトリックス10mg)の存在下、pH4.7、室温で24(±2)時間、マトリックス構造を架橋させる。3〜4時間毎にカルボジイミドを加え、カルボジイミドを加えた後にそれぞれ、pHを4.7に調節する;又は(d)2%HCHO溶液から生じるホルムアルデヒド蒸気を用いて22℃で5〜24時間マトリックスを架橋させる。架橋マトリックスを蒸留水で繰り返しすすぐ。
【0054】
(E)
次いで、架橋され、すすがれたマトリックスを凍結乾燥させる。
【0055】
(F)
任意選択で、マトリックスを、真空及び熱により熱脱水的にさらに架橋させることもできる。真空を初めに適用して、残留水含分を最低レベルまで減らす(約3%の多少の構造水が、構造安定化因子の一部としてのコラーゲン三重らせんに常に付随していてもよい)。真空下に、熱を段階的に110℃まで24(±2)時間高める。
【0056】
コラーゲン−GAGマトリックスの作製
コラーゲンマトリックスを作製するために前記した手順に従うが、但し、ステップ(B)を次に代える。
【0057】
(B)
コラーゲン材料を0.01MのHCl溶液にpH2〜2.5で分散させる。様々なGAGの予め決定された量を秤量し、水に溶かす。例えば、0.25g/cmの所定の密度では、コラーゲン含分は0.244gであり、ヒアルロン酸含分は、0.003gであり、コンドロイチン硫酸含分は、2.5%のGAG含分で0.003gである。GAG溶液をコラーゲン溶液と混合し、所望の方向で金型内に置く。
【0058】
(実施例2)
マトリックスのコーティング
ヒアルロン酸ナトリウムの溶液を実施例1のマトリックスの上にはけ塗りし、2%HCHO溶液から生じたホルムアルデヒド蒸気に22℃で5〜10時間曝して、マトリックスにコーティングを架橋させる。次いで、架橋及びコーティングされたマトリックスを蒸留水で繰り返しすすぐ。
【0059】
(実施例3)
(A)
約700gのI型及びII型コラーゲン分散液(例えば米国特許第5,681,353号明細書の実施例6又は8に記載されているように調製)を2リットル真空フラスコ中で秤量する。0.6%水酸化アンモニウム約120mlをこの分散液に加え、コラーゲンをコアセルベーションする。次いで、20%のNaCl約80mlをこのコアセルベーションされた繊維に加え、繊維間の溶液吸水をさらに低減する。
【0060】
(B)
十分にコアセルベーションされた繊維を多孔メッシュバスケット内で約70から80gまで脱水して、繊維から過剰の溶液を除去する。部分的に脱水されたコラーゲン繊維を、治療されるべき欠損部の寸法に関連して特定された寸法の金型に挿入する。一定(300グラムから700グラム)の重量を使用して、さらに脱水を金型中で続けて、繊維から水を徐々に除去するが、同じ密度を維持する。このゆっくりとした脱水プロセスを、所望の寸法(厚さ約8mm)に達するまで、約24時間続ける。脱水されたコラーゲンマトリックスをさらに成形して、所望の成形体にする。
【0061】
(C)
脱水されたコラーゲン繊維を−20℃で少なくとも4時間凍結させ、その後、Virtis凍結乾燥機中で凍結乾燥させる。凍結されたコラーゲン繊維を初めに、−10℃で48〜72時間乾燥させ、続いて、400ミリバールの真空、20℃で16〜24時間乾燥させる。
【0062】
(D)
凍結乾燥させたマトリックスをホルムアルデヒド架橋手順に掛ける。マトリックスを、2%のホルムアルデヒド溶液から生じるホルムアルデヒド蒸気の密閉チャンバー内、22℃で40時間架橋させる。架橋させたマトリックスを排気して、非結合ホルムアルデヒドを十分に除去する。
【0063】
(E)
次いで、コーティング材料の溶液をマトリックスに施す。
【0064】
(F)
次いで、コーティングされたマトリックスを熱及び真空処理に掛けて、マトリックスをさらに架橋させ、コーティング材料をマトリックスに架橋する。
【0065】
(G)
マトリックスを、治療すべき半月板の部分欠損部の形態に切断する。切断されたマトリックスを発熱物質不含の蒸留水で十分にすすいで、マトリックスがin vitro及びin vivoで生体親和性であるような程度まで、残留塩及びホルムアルデヒドを除去する。すすいだマトリックスをヘパフィルター下で乾燥させ、包装し、滅菌する。
【0066】
(実施例4)
正常な半月板組織のための再生テンプレートとして機能し、及び/又は役立つインプラントの能力を決定するために、in vitro試験を行った。
【0067】
縫合糸引抜き試験
縫合糸引抜き試験の目的は、水和マトリックスの縫合糸引抜き強度が、外科的移植のための強度要求を上回るかを確認することである。針に取り付けられた2〜0ポリエステル縫合糸(Davis&Geck,Danbury,Conn.)を予め水和させたサンプルの外側エッジから2mmで製品に通すことにより、縫合糸引抜き試験を決定する。結び目を結び、その輪を、Chatillon機械試験器、TCD200(AMETEK Test and Calibration Instruments Division,Largo,FL)上で負荷セルのフックに取り付ける。縫合糸が脱出するまで、1分当たり1インチの速度で、クロスヘッドにより、サンプルを引っ張る。破損までの最大力が、縫合糸引抜き値である。2lbsを上回る縫合糸引抜き力は、外科的移植のための強度要求を満たしている。
【0068】
密度試験
密度試験の目的は、密度が組織内方成長のための空孔構造に関する設計ガイドラインの範囲内であることを保証することである。マトリックスの寸法を初めに、0.2mm内までキャリパーで測定する。次いで、容積を算出する。次いで、マトリックスをオーブン内、100℃で4時間乾燥させる。乾燥マトリックスを精度0.2mg内まで秤量し、密度をg/cmで算出する。マトリックスは、マトリックス0.20g/cmの平均密度を有する。
【0069】
空孔サイズ決定
空孔サイズ決定の目的は、マトリックスの空孔が組織内方成長を可能にする範囲にあることを保証することである。マトリックスの走査型電子顕微鏡写真を倍率20×、40×及び100×で撮影した。ImageJソフトウェア(National Institutes of Health、インターネット(http://)rsb.info.nih.gov/nih−image/index.htmlで入手可能)を使用して、空孔のピクセルカウントを元に空孔サイズ分析を行う。マトリックスのSEMイメージの代表的なサンプルを分析し、空孔サイズを、空孔サイズに応じて存在する容器中でカウントする。サンプルマトリックスの1個は、50から500マイクロメートルの空孔サイズを有する。
【0070】
圧縮せん断強度試験
圧縮せん断強度試験を使用して、2種の半月板インプラント、例えば未コーティングのインプラントとコーティングされているインプラントとの相対圧縮せん断強度を評価する。電気モーターにより操作されるベルクランクで振幅する平滑なポリエチレンホイールに対してインプラントが保持されるように装置を設計した。接着剤を用いて、小さな木片の上にサンプルを載せて、(インプラントの)外側リムのエッジから外側リムまでの距離が30mmになるようにする。この距離により、2インチ直径ホイールを、各サンプルの2個の輪郭片のプロファイルに合わせることができる。載せられたインプラントの上のプラットホームは、積載重量を保持しており、これが、ホイールに対して載せられたインプラントを保持する圧力を加えて、負荷のかかる関節での重量を模倣する。ホイール及び載せられたインプラントが水中に浸るように、試験装置を容器の壁面に積載する。
【0071】
乾燥インプラントのセグメントをゴムセメント(Duco Cement,ITW Devcon,Danvers,MA)を用いて木製ブロックに載せて、試験片の底部表面をブロックに付着させる。試料を放置して、約24時間乾燥させる。載せられたインプラントを、5psiの圧力下、室温水中に置くが、この場合、インプラントの上部表面は、振幅ホイールに面して保持されている。ホイールの振幅を、12サイクル/分で一定に保持する。試験される各サンプルで、破損(例えば、インプラントの亀裂又は剥離)までの平均時間を測定する。前記の試験条件下では、より高い潤滑性を有する試料は、圧縮せん断応力により長く耐えうる。
【0072】
(実施例5)
外科的インプラント技術及び死体試験
I型コラーゲン−GAGマトリックスを含む半月板増強デバイスを先行する実施例に従い形成し、ヒトの死体に移植することで評価する。デバイスを、水平な亀裂及び部分欠損部の両方に移植する。標準的な関節鏡ポータルを全ての膝に近づける。内側半月板亀裂では、関節鏡を中央外側膝蓋骨ポータルに入れ、さらに前方内側ポータルを介してそれを装備する。半月板の安定な部分は維持しつつ、関節鏡バイター及びシェイバーを用いて、半月板の亀裂及び摩耗部分を除去する。
【0073】
次いで、測定プローブを、半月板損傷部に沿って設置して、欠損部の測定を行う。次いで、プローブを半月板増強デバイスの上に置いて、欠損部に合うようにデバイスをトリミングする。次いで、半月板増強デバイスのトリミングされた部分を、特殊に改良された関節鏡グラスパーを用いて把持し、その部分に挿入する。グラスパー内に未だある間に、10インチの2−0PDS縫合糸をグラスパーの穿孔の下で半月板増強デバイスに通し、次いで、本来の半月板に通すことにより、デバイスを適切に縫合する。縫合糸を皮膚の下の被膜のすぐ上で結ぶ。インプラントを半月板リムにさらに固定する必要がある場合には、付加的な縫合を設ける。
【0074】
動きの最大幅で、膝を曲げ伸ばしする。デバイスの著しい膨潤にも関わらず、成形体は均一に、反対側の関節軟骨及び大腿顆の形態に適合する。いくつかの関節で、連続的な3D MRI画像を得たが、これらは、インプラントの安定な設置及び屈曲0度から120度までの脛骨プラトーでの適切な可動域を証明している。
【0075】
本発明の好ましい実施形態の前記の開示は、詳述及び記載の目的で示されている。これは、網羅的であることも、開示されている明確な形態に本発明を制限することも意図していない。本願明細書に記載の実施形態の多くのバリエーション及び変更は、当業者には明らかであろうし、本発明の範囲は、本願明細書に添付の請求項及びその同等物によってのみ規定される。
【0076】
さらに、本発明の代表的な実施例の記載では、その記載は、本発明の方法及び/又はプロセスを特定のステップシークエンスとして示している。しかしながら、方法又はプロセスが、本明細書で述べた特定のステップ順序に依存していない限り、方法又はプロセスは、記載の特定のステップシークエンスに限られるべきではない。当業者であれば、他のステップシークエンスも、本発明の意図及び範囲内であることを認めるであろう。
【0077】
本願明細書に挙げられている特許、刊行物及び参照文献は全て、そのまま参照により援用される。
【図面の簡単な説明】
【0078】
【図1】本来の位置にある半月板を備えたヒト膝関節の簡略な図式的表示を示す図。
【図2】in vivoで内側及び外側関節顆の上に位置している内側及び外側半月板を示す、膝関節の切開図の図式的表示を示す図。
【図3】本発明による例示的人工半月板インプラントの透視図を示す図。
【図4】コーティングする前の図3の例示的人工半月板の線5−5での断面図を示す図。
【図5a】上部咬合表面で部分的にコーティングされた後の例示的内側半月板インプラントの上面図を示す図。
【図5b】上部咬合表面で部分的にコーティングされた後の例示的内側半月板インプラントの断面図を示す図。
【図6a】上部咬合表面で完全にコーティングされた後の例示的内側半月板インプラントの上面図を示す図。
【図6b】上部咬合表面で完全にコーティングされた後の例示的内側半月板インプラントの断面図を示す図。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
骨格筋系で使用するための生体親和性インプラントであって、
少なくとも部分的に生体吸収性なポリマーマトリックス及び
前記のポリマーマトリックスの表面に配置されている生体吸収性潤滑性コーティング
を含む生体親和性インプラント。
【請求項2】
軟骨インプラント、靱帯インプラント、腱インプラント、間置関節スペーサー、脊椎板インプラント、半月板インプラント又は骨インプラントである、請求項1に記載のインプラント。
【請求項3】
前記のインプラントが、半月板インプラントであり、前記の生体吸収性潤滑性コーティングが、前記のインプラントの咬合表面に配置されている、請求項1に記載のインプラント。
【請求項4】
前記のポリマーマトリックスが、バイオポリマーベースのマトリックスである、請求項1に記載のインプラント。
【請求項5】
前記のバイオポリマーベースのマトリックスが、コラーゲンベースのマトリックスである、請求項4に記載のインプラント。
【請求項6】
前記のコラーゲンベースのマトリックスが、I型コラーゲンベースのマトリックスである、請求項5に記載のインプラント。
【請求項7】
前記のポリマーマトリックスは、乾燥重量で約65〜99パーセントのコラーゲン繊維及び約1〜35パーセントのグリコサミノグリカンを含有する、請求項5に記載のインプラント。
【請求項8】
前記のグリコサミノグリカンが、コンドロイチン4−硫酸、コンドロイチン6−硫酸、ケラタン硫酸、デルマタン硫酸、ヘパリン、ヘパラン硫酸、ヒアルロン酸及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項7に記載のインプラント。
【請求項9】
前記のコーティングが分離型コーティングである、請求項1に記載のインプラント。
【請求項10】
前記のコーティングが一体化コーティングである、請求項1に記載のインプラント。
【請求項11】
前記の一体化コーティングが、前記のポリマーマトリックスに架橋されている、請求項10に記載のインプラント。
【請求項12】
前記の一体化コーティングが、ポリマーマトリックスに架橋されているヒアルロン酸ナトリウムを含有する、請求項10に記載のインプラント。
【請求項13】
前記のコーティングが、コンドロイチン4−硫酸、コンドロイチン6−硫酸、ケラタン硫酸、デルマタン硫酸、ヘパリン、ヘパラン硫酸、ヒアルロン酸及びこれらの組合せからなる群から選択される、請求項1に記載のインプラント。
【請求項14】
前記のコーティングが、ヒアルロン酸ナトリウムである、請求項13に記載のインプラント。
【請求項15】
前記のコーティングが、コンドロイチン硫酸である、請求項1に記載のインプラント。
【請求項16】
前記のコーティングがI型コラーゲンである、請求項1に記載のインプラント。
【請求項17】
ポリマーマトリックス及び
前記のポリマーマトリックスの少なくとも1個の咬合表面に配置されている潤滑性コーティング
を含む半月板インプラント。
【請求項18】
前記の半月板インプラントが人工半月板である、請求項17に記載のインプラント。
【請求項19】
前記の半月板インプラントが、半月板増強デバイスである、請求項17に記載のインプラント。
【請求項20】
前記の少なくとも1個の咬合表面が、移植すると大腿顆に面するマトリックスの表面を含む、請求項17に記載のインプラント。
【請求項21】
前記の少なくとも1個の咬合表面が、移植すると脛骨プラトーに面するマトリックス表面をさらに含む、請求項20に記載のインプラント。
【請求項22】
前記のポリマーマトリックスが、少なくとも部分的に生体吸収性である、請求項17に記載のインプラント。
【請求項23】
金型内に複数の生体親和性且つ生体吸収性繊維を供給するステップと、
前記の生体親和性且つ生体吸収性繊維を架橋させて、マトリックスを製造するステップと、
前記のマトリックスの表面にコーティング材料を施すステップと
を含むインプラントを作製する方法。
【請求項24】
前記の施すステップの前に、マトリックスを凍結乾燥させるステップをさらに含む、請求項23に記載の方法。
【請求項25】
前記の施すステップを、前記の架橋ステップの前に行う、請求項23に記載の方法。
【請求項26】
前記の施すステップの後に、前記のコーティング材料を前記のマトリックスに熱脱水架橋させるステップをさらに含む、請求項23に記載の方法。
【請求項27】
金型内に複数の生体親和性且つ生体吸収性繊維を供給するステップと、
成形された繊維を凍結乾燥させて、乾燥した多孔性マトリックスを製造するステップと、
前記の乾燥した多孔性マトリックスと架橋剤とを接触させるステップと、
前記のマトリックスの表面にコーティング材料を施すステップと
を含むインプラントを作製する方法。
【請求項28】
前記の施すステップの後に、前記のコーティング材料を前記のマトリックスに熱脱水架橋させるステップをさらに含む、請求項27に記載の方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5a】
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【図5b】
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【図6a】
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【図6b】
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【公表番号】特表2008−504885(P2008−504885A)
【公表日】平成20年2月21日(2008.2.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−519319(P2007−519319)
【出願日】平成17年6月28日(2005.6.28)
【国際出願番号】PCT/US2005/022667
【国際公開番号】WO2006/007489
【国際公開日】平成18年1月19日(2006.1.19)
【出願人】(507002815)リゲン バイオロジクス、インコーポレイテッド (2)
【Fターム(参考)】