説明

潤滑油組成物

本発明は、(i)(a)PO3G流体(周囲温度で流体であるポリトリメチレンエーテルグリコール)および(b)PO3Gエステル流体(周囲温度で流体であるポリトリメチレンエーテルグリコールのエステル)を含むベース流体ストックと、(ii)1種類以上の燃料油添加剤とを含む潤滑油に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
関連出願の相互参照
本出願は、所有者共通で2006年11月7日出願の米国特許出願第11/593,954号明細書「POLYTRIMETHYLENE ETHER GLYCOL ESTERS」、所有者共通で同時出願の米国特許仮出願第60/957,728号明細書「LUBRICATION OIL COMPOSITIONS」、所有者共通で同時出願の米国特許仮出願第60/957,716号明細書「LUBRICATION OIL COMPOSITIONS」および所有者共通で同時出願の米国特許仮出願第60/957,722号明細書「LUBRICATION OIL COMPOSITIONS」に関する。
【0002】
本発明は、(i)ポリトリメチレンエーテルグリコールと、(ii)ポリトリメチレンエーテルグリコールの酸エステル(モノエステルおよび/またはジエステル)とを含む組成物、およびかかる組成物の潤滑油としての使用に関する。
【背景技術】
【0003】
ポリトリメチレンエーテルグリコール(「PO3Gエステル」)の特定のモノ−およびジエステルは、所有者共通で2006年11月7日出願の特許文献1「POLYTRIMETHYLENE ETHER GLYCOL ESTERS」に開示されているとおり、潤滑油をはじめとする様々な分野にそれらを有用とさせる特性を有している。
【0004】
本発明は、かかるPO3Gエステルとポリトリメチレンエーテルグリコール(PO3G)の組み合わせに基づく特定の潤滑油組成物に関する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】米国特許出願第11/593,954号明細書
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0006】
一実施形態において、本発明は、1種類以上のPO3Gおよび1種類以上のPO3Gエステルの混合物を、1種類以上の添加剤と共に、潤滑油として用いることに関する。本発明は、このように、(i)(a)PO3G流体(周囲温度で流体であるポリトリメチレンエーテルグリコール)、および(b)PO3Gエステル流体(周囲温度で流体であるポリトリメチレンエーテルグリコールのエステル)を含むベース流体ストックと、(ii)1種類以上の潤滑油添加剤とを含む潤滑油組成物を提供する。
【0007】
PO3GおよびPO3Gエステルが、生物学的に生成された1,3−プロパンジオールに基づいていると、非常に高い再生可能な中身を備えた潤滑剤組成物を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0008】
別記しない限り、本明細書で用いた技術的および科学的用語は、本発明の属する技術分野の当業者により一般的に理解されるのと同じ意味を有する。不一致がある場合には、本明細書が、定義を含め優先される。
【0009】
特筆しない限り、商標は大文字で示してある。
【0010】
別記しない限り、パーセンテージ、部、比等は全て重量による。
【0011】
量、濃度またはその他値やパラメータが、範囲、好ましい範囲または好ましい上限値と好ましい下限値のリストのいずれかで与えられているときは、範囲が個別に開示されているかどうかに係らず、範囲の上限または好ましい値と、範囲の下限または好ましい値の任意の対から形成される全ての範囲を具体的に開示するものと考えられる。本明細書において数値の範囲を挙げた場合は、別記しない限り、範囲には、その終点、その範囲内の全ての整数および分数が含まれるものとする。本発明の範囲は、範囲を定義する際に本明細書に挙げられる特定の値に限定されないものとする。
【0012】
値または範囲の終点を説明するのに「約」を用いるとき、開示内容には、参照される特定の値または終点が含まれるものとする。
【0013】
本明細書で用いる「含む」、「含んでいる」、「有する」、「有している」、「持つ」、「持っている」またはこれらのその他変形の用語は、非排他的な包括を規定するものである。例えば、要素のリストを含むプロセス、方法、物品または装置は、それらの要素のみに必ずしも限定されず、明示的にリストされていない、またはかかるプロセス、方法、物品または装置に固有の他の要素も含まれる。さらに、明らかに相反する記載がない限り、「または」は、包括的またはであり、排他的またはでない。例えば、条件AまたはBを満足するのは次のうちのいずれかである。Aが真(または存在する)でBが偽(または存在しない)、Aが偽(または存在しない)でBが真(または存在する)、およびAとBの両方が真(または存在する)。
【0014】
「1つの」は、本明細書の要素および成分を説明するのに用いられる。これは、単に便宜上であり、本発明の範囲の一般的な意味を与えるためである。この説明には、1つまたは少なくとも1つを含むものと解釈すべきであり、単数には、そうでないことを意味するのが明らかでない限りは、複数も含まれる。
【0015】
本明細書に記載した材料、方法および例は説明のためのみであり、特筆しない限り、限定しようとするものではない。本明細書に記載したものと同様または等価の方法および材料を、本発明の実施または試験に用いることができるが、好適な方法および材料は本明細書に記載されている。
【0016】
ベース流体ストック
上述したとおり、本発明の潤滑油組成物に用いるベース流体ストックは、周囲温度(25℃)で流体であるPO3GおよびPO3Gエステルの混合物を含む。ベース流体ストックはまた、他の天然および/または合成の流体共潤滑剤も含んでいてよい。
【0017】
天然流体共潤滑剤としては、概して、植物に由来し、概して、トリグリセリドで構成された植物油系の潤滑剤が挙げられる。通常、それらは室温で液体である。植物の多くの異なる部分が油を生成するが、実際には、油は、概して、脂肪種子植物から主に抽出される。こうした油としては、食用と非食用油の両方が挙げられ、例えば、高オレイン酸ヒマワリ油、菜種油、大豆油、ヒマシ油等の他、米国特許第6583302号明細書(脂肪酸エステル)およびI.Malchev「Plant−Oil−Based Lubricants」(Department of Plant Agriculture,Ontario Agriculture College,University of Guelph,50 Stone Road W.,Guelph,Ontario,Canada N1G2W1より入手可能)に開示されているような変性油が挙げられる。
【0018】
合成流体共潤滑剤(PO3GおよびPO3Gエステル以外)としては、炭化水素油、例えば、ポリブチレン、ポリプロピレン、プロピレン−イソブチレンコポリマー、ポリオキシアルキレングリコールポリマー(PO3G以外)およびその誘導体、例えば、エチレンオキシドおよびプロピレンオキシドコポリマー、ならびに様々なアルコールとのジカルボン酸のエステル、例えば、アジピン酸ジブチル、セバシン酸ジ(2−エチルヘキシル)、フマル酸ジ−ヘキシル、セバシン酸ジオクチル、アゼライン酸ジイソクチル、アゼライン酸ジイソデシル、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジデシルおよびリノール酸ダイマーの2−エチルヘキシルジエステル等の潤滑油が挙げられる。
【0019】
好ましくは、ベースストックは、所定量のPO3G/PO3Gエステル混合物(ベースストックの重量を基準にして、50重量%を超える)を含む。ある実施形態において、ベースストックは、ベース流体ストックの総重量を基準にして、約66重量%以上、約75重量%以上、約90重量%以上または約95重量%以上の量で、PO3G/PO3Gエステル混合物を含むことができる。ある好ましい実施形態において、ベース流体ストックは、PO3G/PO3Gエステル混合物をわずかしか(または実質的にわずかしか)含まない。
【0020】
一実施形態において、ベース流体ストック中のPO3G/PO3Gエステルの重量比は、1:1を超える(PO3Gが所定量)、約1.5:1以上、約2:1以上、約5:1以上または約20:1以上である。また、重量比は、好ましくは約25:1以下、約20:1以下、または約10:1以下である。
【0021】
他の実施形態において、ベース流体ストック中のPO3Gエステル/PO3Gの重量比は、1:1を超える(PO3Gエステルが所定量)、約1.5:1以上、約2:1以上、約5:1以上または約20:1以上である。また、重量比は、好ましくは約25:1以下、約20:1以下、または約10:1以下である。
【0022】
さらに他の実施形態において、ベース流体ストック中のPO3G/PO3Gエステルの重量比は、約1:1(2成分がほぼ等量)である。
【0023】
潤滑油組成物は、基油ストックを、潤滑油組成物の総重量を基準にして、約50重量%以上の量で含むのが好ましい。様々な実施形態において、潤滑油は、潤滑油組成物の総重量を基準にして、約75重量%以上、約90重量%以上、約95重量%以上の量でベースストックを含むことができる。
【0024】
ポリトリメチレンエーテルグリコールのモノ−およびジエステル
ある実施形態において、PO3Gエステルは、式(I)
【化1】

の1つ以上の化合物を含む。式中、Qはヒドロキシル基の抽出後のポリトリメチレンエーテルグリコールの残基を表わし、RはHまたはRCOであり、RおよびRはそれぞれ独立して、4〜40個の炭素原子、好ましくは少なくとも6個の炭素原子、より好ましくは少なくとも8個の炭素原子を含有する置換または非置換芳香族、飽和脂肪族、不飽和脂肪族または脂環式有機基である。ある実施形態において、RおよびRはそれぞれ、20個以下の炭素原子を有し、ある実施形態においては、10個以下の炭素原子を有する。ある好ましい実施形態においては、RおよびRはそれぞれ、8個の炭素原子を有する。
【0025】
PO3Gエステルは、好ましくは、2006年11月7日出願の米国特許出願第11/593,954号明細書「POLYTRIMETHYLENE ETHER GLYCOL ESTERS」に開示されているように、主に、1,3−プロパンジオールを含むヒドロキシル基含有モノマー(2個以上のヒドロキシル基を含有するモノマー)の重縮合によりPO3Gを形成した後(詳細は後述)、モノカルボン酸(または等価物)によるエステル化により調製される。
【0026】
このようにして調製されたPO3Gエステルは、エステルの総重量を基準にして、好ましくは約50〜100重量%、より好ましくは約75〜100重量%のジエステルと、0〜約50重量%、より好ましくは0〜約25重量%のモノエステルを好ましくは含む組成物である。好ましくは、モノ−およびジエステルは、2−エチレンヘキサン酸のエステルである。
【0027】
エステルを調製するのに用いるPO3Gは、ベース流体ストックのPO3G共成分と同じである必要はない。
【0028】
ポリトリメチレンエーテルグリコール(PO3G)
本発明のためのPO3Gは、繰り返し単位の少なくとも50%がトリメチレンエーテル単位であるオリゴマーまたはポリマーエーテルグリコールである。より好ましくは、繰り返し単位の約75%〜100%、さらにより好ましくは約90%〜100%、さらにより好ましくは約99%〜100%がトリメチレンエーテル単位である。
【0029】
PO3Gは、好ましくは酸触媒を存在させて、1,3−プロパンジオールを含むモノマーの重縮合により好ましくは調製され、−(CHCHCHO)−結合(例えば、トリメチレンエーテル繰り返し単位)を含有するポリマーまたはコポリマーが得られる。上述したとおり、繰り返し単位の少なくとも50%がトリメチレンエーテル単位である。
【0030】
硫黄系の酸触媒(硫酸等)を用いて、PO3Gを調製するとき、得られる生成物は、好ましくは約20ppm未満、より好ましくは約10ppm未満の硫黄を含有する。
【0031】
トリメチレンエーテル単位に加えて、これより少ない量の他の単位、例えば、他のポリアルキレンエーテル繰り返し単位が存在していてもよい。本開示内容の文脈において、「ポリトリメチレンエーテルグリコール」という用語には、実質的に純粋な1,3−プロパンジオールから生成されたPO3G、ならびに、約50重量%までのコモノマーを含有するオリゴマーおよびポリマー(後述するものを含む)が含まれる。
【0032】
PO3Gを調製するのに用いる1,3−プロパンジオールは、様々な周知の化学的経路のいずれかにより、または生化学的変換経路により得られる。好ましい経路は、例えば、米国特許第5015789号明細書、米国特許第5276201号明細書、米国特許第5284979号明細書、米国特許第5334778号明細書、米国特許第5364984号明細書、米国特許第5364987号明細書、米国特許第5633362号明細書、米国特許第5686276号明細書、米国特許第5821092号明細書、米国特許第5962745号明細書、米国特許第6140543号明細書、米国特許第6232511号明細書、米国特許第6235948号明細書、米国特許第6277289号明細書、米国特許第6297408号明細書、米国特許第6331264号明細書、米国特許第6342646号明細書、米国特許第7038092号明細書、米国特許第7084311号明細書、米国特許第7098368号明細書、米国特許第7009082号明細書および米国特許出願公開第20050069997A1号明細書に記載されている。
【0033】
好ましくは、1,3−プロパンジオールは、再生可能源より生化学的に得られる(「生物学的に誘導された」1,3−プロパンジオール)。
【0034】
1,3−プロパンジオールの特に好ましい源は、再生可能生物学的源を用いた発酵プロセスを介するものである。再生可能源からの出発材料の一例をあげると、1,3−プロパンジオール(PDO)への生化学的経路は、コーン供給源等の生物的および再生可能資源から生成された供給源を利用するものと説明されてきた。例えば、グリセロールを1,3−プロパンジオールへ変換することのできる菌種は、種クレブシエラ(Klebsiella)、シトロバクター(Citrobacter)、クロストリジウム(Clostridium)およびラクトバチルス(Lactobacillus)にある。この技術は、米国特許第5633362号明細書、米国特許第5686276号明細書および米国特許第5821092号明細書をはじめとするいくつかの文献に開示されている。米国特許第5821092号明細書には、特に、組換え体を用いた、グリセロールからの1,3−プロパンジオールの生物学的生成のプロセスが開示されている。このプロセスには、1,2−プロパンジオールに対して特異性のある、異種pduジオールデヒドラターゼ遺伝子により形質転換された大腸菌(E.coil)が組み込まれている。形質転換された大腸菌(E.coil)は、炭素源としてのグリセロールの存在下で増殖し、1,3−プロパンジオールは増殖培地から単離される。バクテリアと酵母の両方が、グルコース(例えば、コーン糖)またはその他炭水化物をグリセロールに変換できるため、これらの文献に開示されたプロセスにより、1,3−プロパンジオールモノマーの迅速で安価かつ環境的に責任のある源が提供される。
【0035】
生物学的に誘導された1,3−プロパンジオール、例えば、上述および上で参照したプロセスにより生成されたものは、植物により組み込まれた大気二酸化炭素からの炭素を含有しており、これが、1,3−プロパンジオールの生成用の供給源を構成する。このようにして、本発明の文脈において用いるのに好ましい生物学的に誘導された1,3−プロパンジオールは、再生可能な炭素しか含まず、化石燃料系または石油系の炭素は含まない。生物学的に誘導された1,3−プロパンジオールを利用するPO3Gおよびそれに基づいたエステルは、従って、環境への影響が少ない。これら組成物に用いる1,3−プロパンジオールは、減少している化石燃料を枯渇させず、分解時には、植物が再び使えるよう大気に炭素を放出するからである。このように、本発明の組成物は、石油系グリコールを含む同様の組成物よりも自然で、環境上の影響が少ないという特徴がある。
【0036】
生物学的に誘導された1,3−プロパンジオール、PO3GおよびPO3Gエステルは、石油化学源から、または化石燃料炭素から生成された同様の化合物とは、二重炭素同位体指紋(dual carbon−isotropic finger printing)によって、区別される。この方法は、化学的に同一の材料を区別するのに有用であり、生物圏(植物)成分の増殖の源(および、場合により、年)により、コポリマー中の炭素を配分する。同位体C14とC13は、この問題を補完する情報を与える。核半減期が5730年の放射性炭素年代測定同位体(C14)によって、化石(「死」)と生物圏(「生」)供給原料間の標本炭素を配分することができる(Currie,L.A.「Source Apportionment of Atmospheric Particles」,Characterization of Environmental Particles,J.Buffle and H.P.van Leeuwen,Eds.,1 of Vol.I of the IUPAC Environmental Analytical Chemistry Series(Lewis Publishers,Inc)(1992)3−74)。放射性炭素年代測定における前提は、大気中のC14濃度の不変性は、生体中のC14の不変性につながるということである。単離された試料を扱う際、試料の年代は、
t=(−5730/0.693)ln(A/A
という関係式により近似的に推測できる。式中、t=年代であり、5730年が放射性炭素の半減期であり、AおよびAは、試料と最新基準のそれぞれの特定のC14活性である(Hsieh,Y.,Soil Sci.Soc.AmJ.,56,460,(1992))。しかしながら、1950年以来の大気圏核実験および1850年以来の化石燃料の燃焼のために、C14は第2の地球科学的時間特性を獲得している。大気CO中、従って、生体生物圏中のその濃度は、1960年代半ばにおける核実験のピークでほぼ二倍になった。それ以来、約1.2×10−12の定常宇宙論(大気)基準同位体速度(14C/12C)に、7〜10年の近似緩和「半減期」で、徐々に戻っている。(この後者の半減期は、文字通りにはとってはならず、核時代の開始以来の大気および生物圏14Cの変動を追跡するには、詳細な大気核入力/崩壊関数を用いなければならない)。最近の生物圏炭素の年間年代測定を保障するのは後者の生物圏14C時間特性である。14Cは、加速器質量分析(SRM)により測定でき、結果は、「生成と壊変の平衡状態にある炭素の割合」(f)の単位で与えられる。fは、National Institute of Standards and Technology(NIST)Standard Reference Materials(SRM)のそれぞれ、シュウ酸基準HOxlおよびHOxllとして知られている4990Bおよび4990Cにより定義されている。基本的な定義は、14C/12C同位体比HOxlの0.95倍に関する(AD1950参照)。これは、減衰補正された産業革命以前の木材にほぼ等しい。現在の生体生物圏(植物材料)については、fは≒1.1である。
【0037】
安定した炭素同位体比(13C/12C)によって、区別と配分を突き止める補助的な経路が提供される。あるバイオ原料中の13C/12C比は、二酸化炭素が固定された時の大気二酸化炭素中の13C/12C比の結果であり、正確な代謝経路も反映している。地域的な変動も生じる。石油、C植物(広葉樹)、C植物(草)および海洋炭酸塩は全て、13C/12Cおよび対応のδ13C値に大きな差を示す。さらに、CおよびC植物の脂質物質は、代謝経路の結果として、同じ植物の炭水化物成分由来の材料とは異なる分析をする。測定の精度内で、13Cは、同位体分別の影響のために、大きな変動を示し、本発明にとって最も重要なのは、光合成機構である。植物中の炭素同位体比の差の主な原因は、植物中の光合成炭素代謝の経路、特に、主たるカルボキシル化中に生じる反応、すなわち、大気COの初期固定における差に密接に関連している。植物を2つに大別すると、「C」(またはカルビン−ベンソン)光合成サイクルを組み込むものと、「C」(ハッチ−少スラック)光合成サイクルを組み込むものがある。広葉樹および針葉樹等のC植物は、温度気候帯において優勢である。C植物において、主なCO固定またはカルボキシル化反応には、酵素リブロース−1,5−ジホスフェートカルボキシラーゼが含まれ、第1の安定な生成物は、3−炭素化合物である。一方、C植物には、暖地型牧草、コーンおよびサトウキビ等の植物が含まれる。C植物において、別の酵素、ホスホエノール−ピルビン酸カルボキシラーゼを含む追加のカルボキシル化反応が、主なカルボキシル化反応である。第1の安定な炭素化合物は、4−炭素酸であり、後に脱カルボキシル化される。このように放出されたCOは、Cサイクルにより再固定される。
【0038】
およびC植物は両方共、ある範囲の13C/12C同位体比を示すが、典型的な値は、約−10〜−14パーミル(C)および−21〜−26パーミル(C)である(Weberら、J.Agric.Food Chem.,45,2942(1997))。石炭および石油は、概して、この後者の範囲に入る。13C測定基準は、元々、pee deeベレムナイト(PDB)石灰石によるゼロ設定により定められた。値は、この材料からの偏位からの千分の一で表わされる。「δ13C」値は、千分の一(パーミル)で、%で短縮され、下式により計算される。
【数1】

PDB参照材料(RM)は枯渇したため、一連の代替RMが、IAEA、USGS、NISTおよびその他の選ばれた国際同位体研究所の協力により開発されている。PDBからのパーミル偏位の表記は、δ13Cである。測定は、COで、高精度安定比質量分析(IRMS)により、質量44、45および46の分子イオンでなされる。
【0039】
生物学的に誘導された1,3−プロパンジオールおよび生物学的に誘導された1,3−プロパンジオールを含む組成物は、従って、14C(f)および二重炭素同位体指紋に基づいて、石油化学誘導の対応物からは完全に区別され、物質の新たな組成が示される。これらの生成物を区別する能力は、商業目的で、これらの材料を追跡するのに有利である。例えば、「新」と「古」両方の炭素同位体分析結果を含む生成物は、「古」材料のみでできた生成物から区別される。従って、本材料は、その独特な分析結果に基づいた商業目的に、そして競争を定義し、寿命を判断するため、特に、環境影響を評価するのに利用される。
【0040】
好ましくは、反応物として、または反応物の成分として用いられる1,3−プロパンジオールは、ガスクロマトグラフィー分析により求めると、約99重量%を超える、より好ましくは約99.9重量%を超える純度を有する。特に好ましいのは、米国特許第7038092号明細書、米国特許第7098368号明細書、米国特許第7084311号明細書および米国特許出願公開第20050069997A1号明細書に開示された精製1,3−プロパンジオールおよび米国特許出願公開第20050020805A1号明細書に開示されたとおり、それから生成されたPO3Gである。
【0041】
精製1,3−プロパンジオールは以下の特性を有するのが好ましい。
(1)紫外線吸収が220nmで約0.200未満、250nmで約0.075未満、275nmで約0.075未満、かつ/または、
(2)組成物が、約0.15未満のL“b”色相を有する(ASTM D6290)、および270nmで約0.075未満の吸光度を有する、かつ/または、
(3)約10ppm未満の過酸化物組成、かつ/または、
(4)ガスクロマトグラフィーにより測定した合計有機不純物(1,3−プロパンジオール以外の有機化合物)の濃度が、約400ppm未満、より好ましくは約300ppm未満、さらにより好ましくは約150ppm未満である。
【0042】
PO3Gを製造するための出発材料は、所望のPO3G、出発材料、触媒、装置等の利用可能性に応じて異なり、「1,3−プロパンジオールの反応物」を含む。「1,3−プロパンジオール反応物」とは、1,3−プロパンジオール、好ましくは重合度が2〜9の1,3−プロパンジオールのオリゴマーおよびプレポリマー、これらの混合物を意味する。場合によっては、利用可能であれば、10%まで、またはそれ以上の低分子量オリゴマーを用いるのが望ましい。このように、好ましくは、出発材料は、1,3−プロパンジオールとその二量体および三量体とを含む。特に好ましい出発材料は、1,3−プロパンジオール反応物の重量を基準にして、約90重量%以上の1,3−プロパンジオール、より好ましくは99重量%以上の1,3−プロパンジオールを含む。
【0043】
PO3Gは、米国特許第6977291号明細書および米国特許第6720459号明細書に開示されたように、当該技術分野において公知の数多くのプロセスにより生成することができる。好ましいプロセスは、米国特許第7074969号明細書、米国特許第7157607号明細書、米国特許第7161045号明細書および米国特許第7164046号明細書に規定されている。
【0044】
上述したとおり、PO3Gは、トリメチレンエーテル単位に加えて、少ない量のその他のポリアルキレンエーテル繰り返し単位を含有していてよい。ポリトリメチレンエーテルグリコールを調製するのに用いるモノマーは、従って、50重量%まで(好ましくは約20重量%以下、より好ましくは約10重量%以下、さらにより好ましくは約2重量%以下)のコモノマーポリオールを、1,3−プロパンジオール反応物に加えて、含有することができる。プロセスに用いるのに好適なコモノマーポリオールとしては、脂肪族ジオール、例えば、エチレングリコール、1,6−ヘキサンジオール、1,7−ヘプタンジオール、1,8−オクタンジオール、1,9−ノナンジオール、1,10−デカンジオール、1,12−ドデカンジオール、3,3,4,4,5,5−ヘキサフルオロ−1,5−ペンタンジオール、2,2,3,3,4,4,5,5−オクタフルオロ−1,6−ヘキサンジオールおよび3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,9,9,10,10−ヘキサデカフルオロ−1,12−ドデカンジオール、脂環式ジオール、例えば、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールおよびイソソルビド、ならびにポリヒドロキシ化合物、例えば、グリセロール、トリメチロールプロパンおよびペンタエリスリトールが挙げられる。コモノマージオールの好ましい群は、エチレングリコール、2−メチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジメチル−1,3−プロパンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2−エチル−2−(ヒドロキシメチル)−1,3−プロパンジオール、C〜C10ジオール(1,6−ヘキサンジオール、1,8−オクタンジオールおよび1,10−デカンジオール)およびイソソルビドならびにこれらの混合物からなる群から選択される。1,3−プロパンジオール以外の特に好ましいジオールは、エチレングリコールであり、C〜C10ジオールも特に有用である。
【0045】
コモノマーを含有するある好ましいPO3Gは、米国特許出願公開第20040030095A1号明細書に記載されているようなポリ(トリメチレン−エチレンエーテル)グリコールである。好ましいポリ(トリメチレン−エチレンエーテル)グリコールは、50〜約99モル%(好ましくは約60〜約98モル%、より好ましくは約70〜約98モル%)の1,3−プロパンジオールおよび50まで〜約1モル%(好ましくは約40〜約2モル%、より好ましくは約30〜約2モル%)のエチレングリコールの酸触媒重縮合により調製される。
【0046】
好ましくは、精製後のPO3Gは、酸触媒末端基を実質的に有さず、非常に低レベルの不飽和末端基、主に、アリル末端基を、約0.003〜約0.03meq/gの範囲で含有していてよい。かかるPO3Gは、式(II)および式(III):
HO−((CHO)m−H (II)
HO−((CH−O)mCHCH=CH (III)
を有する化合物を含む(から実質的になる)ものと考えられる。式中、mは、Mn(数平均分子量)が約200〜約10000の範囲内となる範囲であり、式(III)の化合物は、アリル末端基(好ましくは全不飽和末端または末端基)が、約0.003〜約0.03meq/gの範囲で存在するような量で存在している。
【0047】
本発明に用いるのに好ましいPO3GのMn(数平均分子量)は少なくとも約250、より好ましくは少なくとも約1000、さらにより好ましくは少なくとも約2000である。Mnは、好ましくは約10000未満、より好ましくは約5000未満、さらにより好ましくは約3500未満である。PO3Gのブレンドも用いることができる。例えば、PO3Gは、高および低分子量PO3Gのブレンドを含むことができ、好ましくは、高分子量PO3Gの数平均分子量は約1000〜約5000、低分子量PO3Gの数平均分子量は約200〜約950である。ブレンドPO3GのMnは、上述した範囲内に尚あるのが好ましい。
【0048】
本明細書で用いるのに好ましいPO3Gは、典型的に多分散で、好ましくは約1.0〜約2.2、より好ましくは約1.2〜約2.2、さらにより好ましくは約1.5〜約2.1の多分散性(すなわち、Mw/Mn)を有する。多分散性は、PO3Gのブレンドを用いることにより調節することができる。
【0049】
本発明で用いるPO3Gは、好ましくは、約100APHA未満、より好ましくは約50APHA未満の色相を有し、かつPO3Gの粘度は、PO3Gエステルの粘度より大きいのが好ましい。好ましい粘度は、40℃で、約100cS以上である。
【0050】
酸および等価物
PO3Gのエステル化は、酸および/または等価物、好ましくはモノカルボン酸および/または等価物との反応により行われる。
【0051】
「モノカルボン酸等価物」とは、関連技術の当業者に一般的に認識されているとおり、ポリマーグリコールおよびジオールとの反応において、実質的にモノカルボン酸のように機能する化合物を意味する。本発明のためのモノカルボン酸等価物としては、例えば、モノカルボン酸のエステル、酸ハロゲン化物(例えば、酸塩化物)および無水物のようなエステル形成誘導体が挙げられる。
【0052】
好ましくは、モノカルボン酸は、式R−COOHを有するものを用い、式中、Rは、6〜40個の炭素原子を含有する置換または非置換芳香族、脂肪族または脂環式有機部分である。
【0053】
異なるモノカルボン酸および/または等価物の混合物も好適である。
【0054】
上述したとおり、モノカルボン酸(または等価物)は、芳香族、脂肪族または脂環式とすることができる。これに関して、「芳香族」モノカルボン酸は、後述するような、カルボキシル基がベンゼン環系の炭素原子に結合したモノカルボン酸である。「脂肪族」モノカルボン酸は、カルボキシル基が完全飽和炭素原子またはオレフィン二重結合の一部である炭素原子に結合したモノカルボン酸である。炭素原子が環の中にある場合には、等価物は「脂環式」である。
【0055】
モノカルボン酸(または等価物)は、置換基またはその組み合わせ(アミド、アミン、カルボニル、ハロゲン化物、ヒドロキシル等の官能基)を、置換基がエステル化反応を阻害せず、得られるエステル生成物の特性に悪影響を及ぼさないのであれば、含有することができる。
【0056】
モノカルボン酸および等価物は、任意の源に由来することができるが、天然源由来、またはバイオ由来であるのが好ましい。
【0057】
以下の酸およびその誘導体が特に好ましい。ラウリル酸、ミリスチン酸、パルミチン酸、ステアリン酸、アラキジン酸、安息香酸、カプリル酸、エルカ酸、パルミトレイン酸、ペンタデカン酸、ヘプタデカン酸、ノナデカン酸、リノール酸、アラキドン酸、オレイン酸、吉草酸、カプロン酸、カプリン酸、2−エチルヘキサン酸およびこれらの混合物。特に好ましい酸またはその誘導体は、2−エチルヘキサン酸、安息香酸、ステアリン酸、ラウリル酸およびオレイン酸である。
【0058】
エステル化プロセス
エステルの調製のために、PO3Gを、好ましくは不活性ガスを存在させて、モノカルボン酸と、約100℃〜約275℃、好ましくは約125℃〜約250℃の温度で接触させる。プロセスは、大気圧または真空下で行うことができる。接触中、水が形成され、不活性ガスストリーム中または真空下で除去すると、反応を終了させることができる。
【0059】
PO3Gとカルボン酸の反応を促すために、エステル化触媒、好ましくは、鉱酸触媒を通常用いる。鉱酸触媒としては、これらに限られるものではないが、硫酸、塩酸、リン酸、ヨウ化水素酸および異種触媒、例えば、ゼオライト、ヘテロポリ酸、アンバーリストおよびイオン交換樹脂が例示される。好ましいエステル化酸触媒は、硫酸、リン酸、塩酸およびヨウ化水素酸からなる群から選択される。特に好ましい鉱酸触媒は、硫酸である。
【0060】
用いる触媒の量は、反応混合物の約0.01重量%〜約10重量%、好ましくは0.1重量%〜約5重量%、より好ましくは、反応混合物の約0.2重量%〜約2重量%とすることができる。
【0061】
カルボン酸またはその誘導体とグリコールヒドロキシル基は任意の比率で用いることができる。酸対ヒドロキシル基の好ましい比率は、約3:1〜約1:2であり、比率を調節すると、生成物中のモノエステル対ジエステルの比率を変えることができる。通常、ジエステルを優先的に製造するには、1:1をわずかに超える比を用いる。モノエステルを優先的に製造するには、酸対ヒドロキシルの0.5:1以下の比を用いる。
【0062】
エステル化の好ましい方法は、1,3−プロパンジオール反応物を、ポリトリメチレンエーテルグリコールと、鉱酸触媒を用いて、重縮合し、カルボン酸を添加し、PO3Gを単離および精製せずにエステル化を行うことが含まれる。この方法では、米国特許第6977291号明細書および米国特許第6720459号明細書に開示されているとおり、ポリトリメチレンエーテルグリコールを形成するための1,3−プロパンジオール反応物のエーテル化または重縮合を、酸触媒を用いて実施する。エーテル化反応はまた、特開2004−182974A号明細書に記載されたとおり、酸と塩基の両方を含有する重縮合触媒を用いて実施してもよい。所望の分子量に達するまで、重縮合またはエーテル化反応を続けてから、計算量のモノカルボン酸を反応混合物に加える。水副生成物を除去しながら、反応を続ける。この段階で、エステル化とエーテル化反応の両方が同時に起こる。このように、この好ましいエステル化方法においては、ジオールの重縮合に用いる酸触媒を、エステル化にも用いる。必要であれば、追加のエステル化触媒をエステル化段階で添加することができる。
【0063】
この手順において、得られる生成物の粘度(分子量)は、カルボン酸を添加する点により制御される。
【0064】
変形手順において、エステル化反応は、エステル化触媒およびカルボン酸の添加の後、加熱し、水を除去することにより、精製PO3Gで実施することができる。この手順において、得られる生成物の粘度は主に、用いるPO3Gの分子量の関数である。
【0065】
どのエステル化手順に従うかに係らず、エステル化工程および副生成物を除去した後、特に高温で安定なエステル生成物を得るために、重縮合および/またはエステル化から残った触媒残渣を除去する。これは、カルボン酸エステルに大幅に影響を与えることなく、約80℃〜約100℃の水により、触媒から誘導された残渣酸エステルを加水分解するのに十分な時間にわたって処理することによる粗エステル生成物の加水分解によりなされる。必要な時間は、約1〜約8時間まで変えることができる。加水分解を加圧下、高温で行う場合には、これに対応して、短い時間で可能である。この時点で、生成物は、ジエステル、モノエステルまたはジエステルとモノエステルの組み合わせおよび少量の酸触媒、未反応のカルボン酸およびジオールを、反応条件に応じて、含有する。加水分解ポリマーをさらに精製して、水、酸触媒および未反応のカルボン酸を、水洗浄、塩基中和、ろ過および/または蒸留等の公知の従来の技術により除去する。未反応のジオールおよび酸触媒は、例えば、脱イオン水で洗浄することにより除去することもできる。未反応のカルボン酸はまた、例えば、脱イオン水または水性塩基溶液で洗浄する、または真空ストリッピングにより除去することもできる。
【0066】
加水分解に、通常、1回以上の水洗浄工程を続けて、酸触媒を除去し、好ましくは真空下で乾燥して、エステル生成物を得る。水洗浄は、未反応のジオールを除去する役割も果たす。存在する未反応のモノカルボン酸もまた、水洗浄で除去されるが、水性塩基による洗浄または真空ストリッピングによっても除去される。
【0067】
必要に応じて、生成物を分画して、さらに低分子量エステルを減圧下での分留により単離することができる。
【0068】
プロトンNMRおよび波長X線蛍光分光分析法を用いて、ポリマーに存在する残渣触媒(例えば、硫黄)を識別および定量することができる。プロトンNMRでは、例えば、ポリマー鎖に存在する硫酸エステル基を識別することができ、波長x線蛍光法では、ポリマー中に存在する全硫黄(無機および有機硫黄)を求めることができる。上述したプロセスから生成された本発明のエステルは、実質的に硫黄を含まないため、高温用途に有用である。
【0069】
好ましくは、精製後のPO3Gエステルは、酸触媒末端基を実質的に有さないが、非常に低レベルの不飽和末端基、主に、アリル末端基を、約0.003〜約0.03meq/gの範囲で含有していてもよい。かかるPO3Gエステルは、式(IV)および式(V):
−C(O)−O−((CHO)m−R (IV)
−C(O)−O−((CH−O)mCHCH=CH (V)
を有する化合物を含む(から実質的になる)ものと考えられる。式中、RはHまたはRC(O)であり、RおよびRはそれぞれ独立して、6〜40個の炭素原子を含有する置換または非置換芳香族、飽和脂肪族、不飽和脂肪族または脂環式有機基であり、mは、Mnが約200〜約10000の範囲内となる範囲であり、式(III)の化合物は、アリル末端基(好ましくは全不飽和末端または末端基)が、約0.003〜約0.03meq/gの範囲で存在する量で存在している。
【0070】
好ましくは、PO3Gエステルは、PO3Gの粘度より低い粘度を有する。PO3Gエステルの好ましい粘度は、40℃で約20cS〜約150cS、より好ましくは約100cS以下である。
【0071】
PO3Gエステルの他の好ましい特性は、PO3中およびそのものについて上述した選択に基づいて決めることができる。例えば、好ましい分子量および多分散性は、エステルのPO3G成分の好ましい分子量および多分散性に基づく。
【0072】
添加剤
本発明による合成潤滑油組成物は、ベースストックと1つ以上の添加剤の混合物を含み、各添加剤は、例えば、油圧油、ギア油、ブレーキ流体、コンプレッサー流体、テキスタイルおよびカレンダ潤滑剤、金属加工流体、冷凍潤滑油、2サイクルエンジン潤滑油および/またはクランク室潤滑油としての目的の用途において、ベースストックの性能および特性を改善するために用いられる。
【0073】
添加剤は、通常、添加剤の種類および所望のレベルの添加剤の効果に基づいた量で添加することができ、関連技術の当業者であれば、通常、決めることができる。
【0074】
好ましくは、添加剤は、PO3G/PO3Gエステルのいずれか、または両方と混和性である。
【0075】
好ましくは、潤滑油添加剤は、無灰分散剤、金属洗剤、粘度調整剤、耐摩耗添加剤、酸化防止剤、摩擦調整剤、流動点降下剤、消泡剤、腐食防止剤、解乳化剤、錆止剤およびこれらの混合物の少なくとも1つを含む。
【0076】
潤滑油組成物を、冷凍潤滑剤として用いるときは、潤滑剤添加剤は、極圧および耐摩耗添加剤、酸化および熱安定向上剤、腐食防止剤、粘度指数向上剤、流動点降下剤、フロック点降下剤、洗剤、消泡剤、粘度調整剤およびこれらの混合物の少なくとも1つを含むのが好ましい。
【0077】
指定した添加剤の1つ以上を単体で、または残りの指定した添加剤の1つ以上と組み合わせて用いることは、本発明の範囲内とする。また、指定した添加剤の2つ以上、例えば、1つ以上の摩擦調整剤を、単体または他の指定した添加剤の1つ以上と組み合わせて、例えば、1つ以上の耐食防止剤と組み合わせて用いることも本発明の範囲内である。
【0078】
個々の添加剤は、任意の便利な方法で、ベースストックに組み込んでよい。このように、各成分は、ベースストックに分散または溶解することにより、所望のレベルの濃度でベースストックに直接添加することができる。かかるブレンドは、周囲温度または高温で行ってよい。
【0079】
あるいは、添加剤の全てまたは一部を、濃縮物または添加剤パッケージにブレンドしてから、ベースストックへブレンドして、仕上がり潤滑剤を生成することができる。濃縮物は、典型的に、添加剤を、適正な量で処方して、濃縮物を所定量のベース潤滑剤と化合するときに、処方に所望の濃度を与える。
【0080】
様々な添加剤の限定されない例を以下に示す。
【0081】
無灰分散剤は、分散する粒子と結合可能な官能基を有するポリマー炭化水素骨格を含む。典型的に、分散剤は、多くは、架橋基を介してポリマー骨格に結合したアミン、アルコール、アミドおよび/またはエステル極性部分を含む。無灰分散剤は、例えば、塩、エステル、アミノ−エステル、アミド、イミド、長鎖炭化水素置換モノ−およびジカルボン酸および/またはその無水物のオキサゾリン、長鎖炭化水素のチオカルボキシレート誘導体、直接付加したポリアミンを有する長鎖脂肪族炭化水素、長鎖置換フェノールを、ホルムアルデヒドおよびポリアルキレンポリアミンで縮合することにより形成されたマンニッヒ縮合生成物から選択してよい。
【0082】
粘度調整剤(VM)は、高温および低温操作性を潤滑油に付与する機能を果たす。用いるVMは、それだけの機能を有していてもよいし、多機能であってもよい。
【0083】
分散剤としても機能する多機能粘度調整剤も知られている。粘度調整剤としては、ポリイソブチレン、エチレンおよびプロピレンおよび高級アルファ−オレフィンのコポリマー、ポリメタクリレート、ポリアルキルメタクリレート、メタクリレートコポリマー、不飽和ジカルボン酸およびビニル化合物のコポリマー、スチレンおよびアクリルエステルの共重合体、スチレン/イソプレン、スチレン/ブタジエンおよびイソプレン/ブタジエンの部分水素化コポリマー、ならびにブタジエンおよびイソプレンおよびイソプレン/ジビニルベンゼンの部分水素化ホモポリマーが挙げられる。
【0084】
金属含有または灰形成洗剤は、沈殿物を減少または除去する洗剤と、酸中和剤または錆止剤の両方として機能して、摩耗および腐食を減じ、エンジン寿命を延ばす。洗剤は、一般に、長い疎水性尾部を有する極性頭部を含み、極性頭部は、酸有機化合物の金属塩を含んでいる。塩は、通常、正塩または中和塩とされる実質的に化学量論の金属を含有しており、ASTM D−2896により測定すると、典型的に、0〜約80の全塩基価(TBN)を有している。過剰の酸化物または水酸化物等の金属化合物を、二酸化炭素等の酸ガスと反応させることにより、大量の金属塩基を含めることができる。得られる過塩基性洗剤は、金属塩基(例えば、炭酸塩)ミセルの外側層として中和洗剤を含む。かかる過塩基性洗剤のTBNは約150以上、典型的に、約250〜約450以上である。
【0085】
洗剤としては、中和および過塩基性スルホン酸塩、フェネート、硫化フェネート、チオホスホネート、サリチレート、ナフテネート、金属、特に、アルカリまたはアルカリ土類金属、例えば、ナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウムおよびマグネシウムのその他油溶性カルボキシレートが挙げられる。最も一般的に用いられている金属は、潤滑剤に用いる洗剤に両方共存在するカルシウムおよびマグネシウム、ならびにカルシウムおよび/またはマグネシウムとナトリウムの混合物である。特に便利な金属洗剤は、TBNが約20〜約450の中和および過塩基性スルホン酸カルシウム、TBNが約50〜約450の中和および過塩基性カルシウムフェネートおよび硫化フェネートである。
【0086】
ジヒドロカルビルジチオリン酸塩金属塩は、耐摩耗および酸化防止剤としてよく用いられている。金属は、アルカリまたはアルカリ土類金属、アルミニウム、鉛、錫、モリブデン、マンガン、ニッケルまたは銅であってよい。亜鉛塩が、潤滑油には最も一般的に用いられており、潤滑油組成物の総重量を基準にして、約0.1〜約10重量%、好ましくは約0.2〜約2重量%の量である。それらは、公知の技術に従って調製され、まず、通常は、1種類以上のアルコールまたはフェノールをPと反応させてジヒドロカルビルジチオリン酸(DDPA)を形成し、形成されたDDPAを亜鉛化合物で中和する。例えば、ジチオリン酸は、第1級および第2級アルコールの混合物を反応させることにより生成してよい。あるいは、様々なジチオリン酸を調製することができ、一方のヒドロカルビル基が全て第2級の性質であり、他方のヒドロカルビル基が全て第1級の性質のものである。亜鉛塩を生成するには、任意の塩基または中和亜鉛化合物を用いることができるが、酸化物、水酸化物および炭酸塩が最も一般的に用いられる。市販の添加剤は、中和反応で過剰の塩基亜鉛化合物を用いるために、過剰の亜鉛を含有していることが多い。
【0087】
しかしながら、一実施形態において、潤滑油組成物は、実質的に亜鉛を含まないのが好ましい。
【0088】
酸化抑制剤または酸化防止剤は、ベースストックが、使用中に劣化する傾向を減じる。劣化は、金属表面にあるスラッジおよびワニス状堆積物等の酸化生成物および粘度増大から明らかである。かかる酸化抑制剤としては、ヒンダードフェノール、好ましくはC〜C12アルキル側鎖を有するアルキルフェノールチオエステルのアルカリ土類金属塩、硫化カルシウムノニルフェノール、無灰油溶性フェネートおよび硫化フェネート、ホスホ硫化または硫化炭化水素、リンエステル、金属チオカーバメート、米国特許第4867890号明細書に記載されている油溶性銅化合物およびモリブデン含有化合物が挙げられる。
【0089】
摩擦調整剤を含めて、燃料経済性を改善してもよい。境界層潤滑を改善するための油溶性アルコキシル化モノ−およびジ−アミンは周知である。アミンは、そのまま、または酸化ホウ素、ハロゲン化ホウ素、メタホウ酸、ホウ酸またはホウ酸モノ−、ジ−またはトリ−アルキル等のホウ素化合物の付加物または反応生成物の形態で用いてよい。
【0090】
その他の摩擦調整剤が公知である。特に、カルボン酸および無水物をアルカノールと反応させることにより形成されたエステルがある。その他の従来の摩擦調整剤は、概して、親油性炭化水素鎖に共有結合した極性末端基(例えば、カルボキシルまたはヒドロキシル)からなる。カルボン酸および無水物のアルカノールとのエステルは、米国特許第4702850号明細書に記載されている。その他の従来の摩擦調整剤の一例としては、有機金属モリブデンがある。
【0091】
例示の防錆剤は、ノニオンポリオキシアルキレンポリオールおよびそのエステル、ポリオキシアルキレンフェノール、ならびにアニオンアルキルスルホン酸からなる群から選択される。
【0092】
銅および鉛を含む耐食防止剤を用いてもよい。典型的に、かかる化合物は、5〜50個の炭素原子を含有するチアジアゾールポリスルフィド、その誘導体およびポリマーである。その他の添加剤は、英国特許第1560830号明細書に記載されているようなチオ−およびポリチオ−スルフェンアミドである。ベンゾトリアゾール誘導体もまたこの部類の添加剤に含まれる。
【0093】
解乳化成分の一例は、欧州特許出願公開第0330522A号明細書に記載されている。ビス−エポキシドを多価アルコールと反応させることにより得られた付加物と、アルキレンオキシドを反応させることにより得られる。
【0094】
流動点降下剤(または潤滑油向上剤として知られる)は、流体が流れる、または流体を注ぐことのできる最低温度を下げる。かかる添加剤は周知である。流体の低温流動性を改善するこれらの添加剤の典型的なものは、CおよびC18フマル酸ジアルキル/酢酸ビニルコポリマー、ポリアルキルメタクリレート等である。
【0095】
泡制御は、ポリシロキサンタイプ、例えば、シリコーン油またはポリジメチルシロキサンの消泡剤をはじめとする多くの化合物により行うことができる。
【0096】
上述の添加剤の中には、数多くの効果を与えることができるものがあり、例えば、単一の添加剤が、分散剤−酸化抑制剤として作用する。この方法は周知であり、詳細は不要である。
【0097】
圧縮冷凍システム専用の添加剤の限定されない例を以下に挙げる。
【0098】
極圧および耐摩耗添加剤としては、リン酸塩、リン酸塩エステル(ビクレジルリン酸塩)、亜リン酸塩、チオリン酸塩(亜鉛ジオルガノジチオリン酸塩)塩化ワックス、硫化油脂およびオレフィン、有機鉛化合物、脂肪酸、モリブデン錯体、ハロゲン置換有機ケイ素化合物、ホウ酸塩、有機エステル、ハロゲン置換リン化合物、硫化ディールス・アルダー付加物、有機硫化物、塩素および硫黄を含有する化合物、有機酸の金属塩が例示される。
【0099】
酸化および熱安定向上剤としては、立体障害フェノール(BHT)、芳香族アミン、ジチオリン酸塩、亜リン酸塩、硫化物およびジチオ酸の金属塩が例示される。
【0100】
耐食防止剤としては、有機酸、有機アミン、有機リン酸塩、有機アルコール、金属スルホン酸塩および有機亜リン酸塩が挙げられる。
【0101】
粘度指数は、温度による粘度の変化の尺度であり、大きな数は、温度による粘度の変化が最少であることを示している。本発明の潤滑油組成物の高粘度指数を考慮すると、粘度指数向上剤を含まない潤滑油組成物を処方することができる。しかしながら、粘度指数をさらに向上するのが望ましい用途がある。粘度指数向上剤としては、ポリイソブチレン、ポリメタクリレートおよびポリアルキルスチレンが挙げられる。
【0102】
流動点およびまたはフロック点降下剤としては、ポリメタクリレートエチレン−酢酸ビニルコポリマー、スクシンアミド酸−オレフィンコポリマー、エチレン−アルファオレフィンコポリマーおよびワックスとナフタレンまたはフェノールのフリーデル・クラフツ縮合生成物が挙げられる。
【0103】
洗剤としては、スルホン酸塩、長鎖アルキル置換芳香族スルホン酸、ホスホン酸塩、チオホスホン酸塩、フェノラート、アルキルフェノールの金属塩、硫化アルキル、アルキルフェノール−アルデヒド縮合生成物、置換サリチル酸塩の金属塩、不飽和無水物およびアミンの反応生成物からのN−置換オリゴマーまたはポリマー、酢酸ビニル−無水マレイン酸コポリマー等のポリエステル結合を組み込んだコポリマーが挙げられる。
【0104】
消泡剤としては、シリコーンポリマーが挙げられる。
【0105】
粘度調整剤としては、ポリイソブチレン、ポリメタクリレート、ポリアルキルスチレン、ナフテン油、アルキルベンゼン油、パラフィン油、ポリエステル、ポリ塩化ビニルおよびポリリン酸塩が挙げられる。
【0106】
本発明において、添加剤は、少なくとも部分的に(約50重量%を超えて)ベースストックにおいて混和性でなければならない。通常、これは、用いる添加剤が、少なくともある程度、好ましくは、相当程度、油溶性ということである。
【0107】
潤滑油組成物は、好ましくは、実質的に均一な混合物でなければならず、成分の沈殿または相分離が実質的にない。
【0108】
潤滑油組成物は、潤滑油組成物の総重量を基準にして、50重量%未満の量で添加剤を含むのが好ましい。様々な実施形態において、潤滑油は、潤滑油組成物の総重量を基準にして、約25重量%以下、約10重量%以下、約5重量%以下の量で添加剤を含むことができる。
【実施例】
【0109】
部、パーセンテージ等は全て、別記しない限り、重量による。
【0110】
ポリエーテルグリコールおよびポリエーテルグリコールエステルの数平均分子量(Mn)は、NMR分光法を用いて末端基を分析するか、またはヒドロキシル基の滴定のいずれかにより求めた。
【0111】
ASTM法D445−83およびASTM法D792−91を用いて、ポリマーの動粘度および密度をそれぞれ求めた。
【0112】
以下の表に挙げた追加のASTM法を用いた。
【0113】
本発明の材料を、潤滑油添加剤パッケージあり、およびなしで試験した。試験中に用いたパッケージは、表1に挙げた成分を含んでいた。
【0114】
【表1】

【0115】
PO3Gホモポリマー−PO3G1の調製
窒素入口および蒸留ヘッドを備えた22Lの4つ口丸底フラスコに、11877gの1,3−プロパンジオールを入れた。液体に、10L/分の速度で窒素を散布し、機械的攪拌(フラスコ下にあるマグネチックスターラーにより駆動される攪拌磁石を用いて)を、約15分間行った。15分後、108gの硫酸を、ポートの1つを通して、分液漏斗から滴下して、少なくとも5分間にわたって、徐々に加えた。これが終了したら、15gの1,3−プロパンジオール(PDO)を分液漏斗に加え、かき混ぜて、残渣の硫酸を除去した。これをフラスコに加えた。混合物を攪拌し、上述したとおり散布して、160℃まで加熱した。反応の水を蒸留により除去し、重合反応中、連続的に集めた。反応を25時間続け、その後、45℃まで冷却した(攪拌および散布を維持したまま)。
【0116】
原料を次のようにして加水分解した。原料ポリマーを、等容積の蒸留水と共に、22Lの5つ口丸底フラスコ(凝縮器および機械的混合装置を備えた)に加えた。この混合物を機械的に攪拌し、約150mL/分の速度で窒素を散布し、100℃まで加熱した。4時間還流させた後、加熱を止め、混合物を45℃まで冷やした。攪拌を止め、散布を最少まで減じた。冷却中、相分離が生じた。水性相の水を除去し、廃棄した。初期の量に等しい容積の蒸留水を、フラスコに残った湿潤ポリマーに加えた。混合、散布および100℃までの加熱を、再び、1時間行った後、加熱を止め、材料を前と同じく冷やした。水性相を除去し、廃棄した。
【0117】
過剰の水酸化カルシウムにより滴定および中和することにより、残渣硫酸を求めた。ポリマーを、減圧下、90℃で3時間乾燥してから、CELPURE C−65ろ過助剤でプレコートされたWhatmanろ紙によりろ過した。得られたPO3Gの数平均分子量は940であった。
【0118】
ポリ(トリメチレン−エチレンエーテル)グリコールコポリマー−PO3G2の調製
数平均分子量(Mn)が890のポリ(トリメチレン−エチレンエーテル)グリコールコポリマーを得るために、1,3−プロパンジオール(8811.2kg)、1,2−エタンジオール(3080.8g)および硫酸(108g)の量を変えた以外は、上述した手順を繰り返した。
【0119】
2−エチレンヘキサノエートPO3Gエステルの調製
1,3−プロパンジオール(2.4kg、31.5モル)を、攪拌器、凝縮器および窒素用入口を備えた5Lのフラスコに入れた。フラスコ中の液体を乾燥窒素で30分間室温で洗い、120rpmで攪拌しながら、170℃まで加熱した。温度が170℃に達したら、濃縮硫酸を12.6g(0.5重量%)添加した。反応を170℃で3時間進め、温度を180℃まで上げ、180℃に135分間保った。合計で435mLの留出物を集めた。反応混合物を冷却してから、2.24kg(14.6モル)の2−エチルヘキサン酸(99%)を加えた。180rpmで連続的に攪拌しながら、窒素を流して、反応温度を160℃まで上げ、その温度に6時間保った。この間に、さらに305mLの留出水を集めた。加熱および攪拌を停止し、反応混合物を沈殿させた。生成物を、約5gの下の非混和副生成物相から移した。副生成物相のNMR分析により、カルボン酸エステルが存在しないことが確認された。
【0120】
2.0kgのポリトリメチレンエーテルグリコールエステル生成物を、0.5kgの水と混合し、得られた混合物を95℃で6時間加熱した。水性相をポリマー相から分離し、ポリマー相を2.0kgの水で2回洗った。得られた生成物を、120℃、200ミリトルで加熱し、揮発物(255g)を除去した。得られたPO3Gエステル生成物は以下の特性を有している。
数平均分子量(Mn)=500
40℃および100℃での粘度=それぞれ24および5.5cSt
粘度指数(VI)=180
【0121】
得られたPO3Gエステルを、プロトンNMRを用いて分析した。硫酸エステルおよび未反応の2−エチルヘキサン酸に関連するピークは見られなかった。WDXRF分光法を用いて分析すると、ポリマー中に検出される硫黄はなかった。
【0122】
実施例1
上で調製したPO3G1(ベース流体ストックの重量を基準にして25重量%)およびPO3Gエステル(ベース流体ストックの重量を基準にして75重量%)を混合し、次のとおりにして潤滑組成物を調製した(合計組成物重量を基準にした以下の重量%)。
ベース流体のブレンド 97.3%
IRGALUBE(登録商標)TPPT 0.40%
VANLUBE(登録商標)7723 0.30%
VANLUBE(登録商標)887E 0.20%
PANA 0.40%
VANLUBE(登録商標)RD 0.80%
IRGALUBE(登録商標)349 0.40%
CUVAN(登録商標)826 0.10%
表2に、ブレンド流体の潤滑特性を示す。
【0123】
【表2】

【0124】
実施例2
上で調製したPO3G1(ベース流体ストックの重量を基準にして75重量%)およびPO3Gエステル(ベース流体ストックの重量を基準にして25重量%)を混合し、次のとおりにして潤滑組成物を調製した(合計組成物重量を基準にした以下の重量%)。
【0125】
ベース流体のブレンド 97.6%
TPPT 0.50%
PANA 0.50%
VANLUBE(登録商標)RD 1.00%
IRGALUBE(登録商標)349 0.30%
CUVAN(登録商標)826 0.10%
【0126】
実施例3
上で調製したPO3G2(ベース流体ストックの重量を基準にして75重量%)およびPO3Gエステル(ベース流体ストックの重量を基準にして25重量%)を混合し、次のとおりにして潤滑組成物を調製した(合計組成物重量を基準にした以下の重量%)。
【0127】
ベース流体のブレンド 97.60%
IRGALUBE(登録商標)TPPT 0.50%
PANA 0.50%
VANLUBE(登録商標)RD 1.00%
IRGALUBE(登録商標)349 0.30%
CUVAN(登録商標)826 0.10%
表3に、ブレンド流体の潤滑特性を示す。
【0128】
実施例4
上で調製したPO3G2(ベース流体ストックの重量を基準にして25重量%)およびPO3Gエステル(ベース流体ストックの重量を基準にして75重量%)を混合し、次のとおりにして潤滑組成物を調製した(合計組成物重量を基準にした以下の重量%)。
【0129】
ベース流体のブレンド 97.60%
IRGALUBE(登録商標)TPPT 0.50%
PANA 0.50%
VANLUBE(登録商標)RD 1.00%
IRGALUBE(登録商標)349 0.30%
CUVAN(登録商標)826 0.10%
表3に、ブレンド流体の潤滑特性を示す。
【0130】
【表3】

【0131】
実施例5
以下の添加剤パッケージを、ポリ(トリメチレン−エチレンエーテル)グリコール(Mn=1100、PO3G3)に加えて、初期組成物を製造することにより、潤滑油組成物を調製した。
【0132】
PO3G3 97.85%
消泡剤DC 200cSt 0.0025%
VANLUBE(登録商標)7723 0.3%
VANLUBE(登録商標)887E 0.4%
IRGANOX(登録商標)1135 0.2%
IRGALUBE(登録商標)TPPT 0.5%
IRGALUBE(登録商標)349 0.4%
VANLUBE(登録商標)RD 0.25%
CUVAN(登録商標)826 0.1%
【0133】
潤滑油組成物(総重量を基準にして90重量%)を、上述したとおりにして調製した2−エチルヘキサノエートPO3Gエステル(総重量を基準にして10重量%)とブレンドした。
【0134】
表4に、例えば、回転機械潤滑(ギア、ベアリング)および油圧流体に好適な最終製品の潤滑特性を示す。
【0135】
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)(a)周囲温度で流体であるポリトリメチレンエーテルグリコール、および(b)周囲温度で流体であるポリトリメチレンエーテルグリコールの酸エステルの混合物を含むベース流体ストックと、(ii)1つまたはそれ以上の潤滑油添加剤とを含む潤滑油組成物。
【請求項2】
ベース流体ストックが、潤滑油組成物の総質量を基準にして、約50質量%以上である請求項1に記載の潤滑油組成物。
【請求項3】
ベース流体ストックが、潤滑油組成物の総質量を基準にして、約75質量%以上である請求項2に記載の潤滑油組成物。
【請求項4】
ベース流体ストックが、潤滑油組成物の総質量を基準にして、約95質量%以上である請求項3に記載の潤滑油組成物。
【請求項5】
ベース流体ストックが、本質的にポリトリメチレンエーテルグリコールおよびポリトリメチレンエーテルグリコールの酸エステルの混合物からなる請求項1に記載の潤滑油組成物。
【請求項6】
ベース流体ストック中のポリトリメチレンエーテルグリコール/ポリトリメチレンエーテルグリコールの酸エステルの質量比が、1:1またはそれ以上である請求項1に記載の潤滑油組成物。
【請求項7】
ベース流体ストック中のポリトリメチレンエーテルグリコールの酸エステル/ポリトリメチレンエーテルグリコールの質量比が、1:1またはそれ以上である請求項1に記載の潤滑油組成物。
【請求項8】
ポリトリメチレンエーテルグリコールの酸エステルが、酸エステルの質量を基準にして、約50〜100質量%のジエステルおよび0〜約50質量%のモノエステルを含む請求項1に記載の潤滑油組成物。
【請求項9】
無灰分散剤、金属洗剤、粘度調整剤、摩耗防止剤、酸化防止剤、摩擦調整剤、流動点降下剤、消泡剤、腐食防止剤、解乳化剤および防錆剤からなる群から選択される少なくとも1つを含む潤滑油添加剤をさらに含む請求項1に記載の潤滑油組成物。
【請求項10】
潤滑油添加剤が、ベース流体ストックにおいて、少なくとも50%混和性である請求項1に記載の潤滑油組成物。
【請求項11】
潤滑油組成物が、実質的に沈殿または相分離のない、成分の実質的に均一な混合物である請求項1に記載の潤滑油組成物。
【請求項12】
ポリトリメチレンエーテルグリコールの酸エステルが、モノカルボン酸および/または等価体の酸エステルである請求項1に記載の潤滑油組成物。
【請求項13】
モノカルボン酸が、式R−COOHを有し、式中、Rは、6〜40個の炭素原子を含有する置換または非置換芳香族、脂肪族または脂環式有機部分である請求項12に記載の潤滑油組成物。
【請求項14】
ポリトリメチレングリコールの酸エステルが、式(I)の1つまたはそれ以上の化合物を含み、
【化1】

式中、Qはヒドロキシル基引き抜き後のポリトリメチレンエーテルグリコールの残基を表わし、RはHまたはRCOであり、RおよびRはそれぞれ独立して、6〜40個の炭素原子を含有する置換または非置換芳香族、飽和脂肪族、不飽和脂肪族または脂環式有機基である請求項1に記載の潤滑油組成物。
【請求項15】
酸エステルが、少なくとも約250〜約10000未満の数平均分子量を有するポリトリメチレンエーテルグリコールを基準にした数平均分子量を有する請求項1に記載の潤滑油組成物。
【請求項16】
ポリトリメチレンエーテルグリコールの数平均分子量が、少なくとも約250〜約10000未満である請求項1に記載の潤滑油組成物。
【請求項17】
ポリトリメチレンエーテルグリコールにおける繰り返し単位の99%〜100%が、トリメチレンエーテル単位である請求項1に記載の潤滑油組成物。
【請求項18】
トリメチレンエーテルグリコールが、トリメチレンエーテル単位、およびそれより少ない量の他のポリオキシアルキレンエーテル繰り返し単位を含む請求項1に記載の潤滑油組成物。
【請求項19】
酸エステルが、生物学的に生産された1,3−プロパンジオールから製造される請求項1に記載の潤滑油組成物。
【請求項20】
ポリトリメチレンエーテルグリコールが、生物学的に生産された1,3−プロパンジオールから製造される請求項1に記載の潤滑油組成物。
【請求項21】
ポリトリメチレンエーテルグリコールの酸エステルの粘度が、ポリトリメチレンエーテルグリコールの粘度より低い請求項1に記載の潤滑油組成物。

【公表番号】特表2010−537003(P2010−537003A)
【公表日】平成22年12月2日(2010.12.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−522018(P2010−522018)
【出願日】平成20年8月21日(2008.8.21)
【国際出願番号】PCT/US2008/073832
【国際公開番号】WO2009/029477
【国際公開日】平成21年3月5日(2009.3.5)
【出願人】(390023674)イー・アイ・デュポン・ドウ・ヌムール・アンド・カンパニー (2,692)
【氏名又は名称原語表記】E.I.DU PONT DE NEMOURS AND COMPANY
【Fターム(参考)】