説明

濡れ指示組成物

pH変化に応答して色を変える濡れ指示組成物が開示されている。この組成物は、水不溶性熱可塑性ポリマー組成物、超吸収性ポリマー、濡れインジケータ、および界面活性剤を含む。本濡れ指示組成物は、使い捨てオムツ、女性用ナプキン、包帯、並びに人および動物用寝具に有用である。

【発明の詳細な説明】
【発明の開示】
【0001】
関連出願に対する相互参照
本出願は、2005年10月6日に出願した仮出願シリアル番号60/724,032および2006年3月3日に出願した仮出願シリアル番号60/779,013の出願日の利益を主張するものである。
【0002】
背景
本発明は、吸収性製品が水、体液(例えば、血液、尿)等でいつ濡れたかを指示することができる組成物、かかる組成物を使用する物品、および物品が濡れたかどうかを決定する方法に関する。
【0003】
使い捨てオムツ(成人の失禁用下着を含む)、女性の衛生用製品(生理用ナプキンを含む)、包帯、寝具(人および動物の双方)、家庭用衣類乾燥機とともに用いられる濡れインジケータのような吸収性物品は、水および体液のような液体を吸収し、保持するように設計されている。しばしば、この物品は、液体の吸収を促進するために、超吸収性ポリマー(SAP)を使用している。吸収性物品をそれらが漏れる前に交換することができるように、吸収性物品が上記液体でいつ濡れたかを知ることが望ましい。しかしながら、吸収性物品上の保護コーティング、および/または吸収性物品の上に着用する衣類のために、そのときがいつ来たかを知ることは必ずしもすぐには明らかではない。従って、親、看護婦、デイケアプロバイダー、在宅看護介助者、ペットの飼い主等のような介護者が、物品が濡れているかどうかを容易に決定することができ、そしてそうであるなら、それを直ちに交換することができる機構を提供する必要性が残っている。
【0004】
概要
本発明は、吸収性物品における液体の存在を指示する組成物に、かかる組成物を用いた吸収性物品に、かかる組成物を用いて吸収性物品における液体の存在を指示する方法に向けられている。
【0005】
1つの側面において、本発明は、(a)少なくとも1種の水不溶性熱可塑性ポリマー組成物、(b)少なくとも1種の超吸収性ポリマー(SAP)、(c)指示剤およびpH調整剤を含む少なくとも1種の濡れインジケータ、(d)少なくとも1種の界面活性剤、および(e)任意に、少なくとも1種のナノクレー(nanoclay)粉末を含む濡れ指示組成物を包含する。ナノクレー粉末は、第4級アンモニウム塩のような有機物質を含む表面を有し得る。
【0006】
本発明は、また、本発明による濡れ指示組成物を用いた吸収性物品を提供する。
【0007】
他の側面において、本発明は、吸収性物品における濡れの存在を指示する方法を提供する。その方法は、吸収性物品を提供する工程、吸収性物品の表面の少なくとも一部に本発明の濡れ指示組成物を適用する工程、濡れ指示組成物を、水または体液のような液体に曝す工程、および濡れ指示組成物の色変化の存在を測定する工程を含む。
【0008】
本発明は、また、本発明の濡れ指示組成物を作る上で有用な前駆体組成物を提供する。これらの前駆体組成物も、濡れ指示能力を有する。1つの側面において、(a)少なくとも1種の超吸収性ポリマー(SAP)、(b)指示剤とpH調整剤を含む濡れインジケータ、および(c)任意に、第4級アンモニウム塩を含む表面を有するナノクレー粉末を含む前駆体組成物が提供される。
【0009】
他の側面において、(a)少なくとも1種の水不溶性熱可塑性ポリマー組成物、(b)指示剤とpH調整剤を含む少なくとも1種の濡れインジケータ、(c)少なくとも1種の界面活性剤、および(d)第4級アンモニウム塩を含む表面を有するナノクレー粉末を含む前駆体組成物が提供される。
【0010】
本発明の種々の側面は、いくつかの利点を提供する。例えば、本発明は、水または体液と接触したとき、迅速な色変化を提供する。このことは、観察者が、迅速に、吸収性物品が液体に曝されたことを視認し、新たな吸収性物品が必要なときを決定することを可能にする。さらに、色変化を鮮明にすることができ、それにより、視覚信号が増強され、吸収性物品における濡れの存在の確認が容易になる。
【0011】
SAPと水不溶性熱可塑性ポリマー組成物を用いる本発明の側面は、それらが曝された液体の幾分かを吸収する。そうであってさえ、それらは、かかる暴露の後に一体性を保持し、元の状態のままである。従って、それらは、溶け去るおそれなしに、吸収性物品のいかなる数の異なる場所にも適用することができる。本発明の組成物は、例えば、吸収性物品の端縁、例えばオムツの脚部開口に設けることができ、中央に設けることができ、あるいは複数の場所に設けることができる。このことは、介護者が、吸収性物品が濡れているかどうかを決定する能力を促進させる。
【0012】
ナノ粉末を用いる本発明の側面は、改善された熱および湿度安定性を示す。すなわち、それらは、高温(例えば、275°F(135℃))に24時間曝されたとき、沈降および/または相分離に抵抗する。さらに、それらは、熱および高湿度(例えば、100°F(37℃)および90%相対湿度)に24時間曝されたとき、早期の色変化に抵抗する。
【0013】
さらに、本発明の組成物は、液体に曝された後でさえその一体性を維持するため、かかる暴露に際して生じる色変化は、急速に消失することがない。この色変化の維持時間は、介護者に、色変化を観察し、吸収性物品を交換するためにより多くの時間を与える。
【0014】
詳細な説明
ここで用いる用語「熱可塑性ポリマー組成物」は、可逆的に、加熱されたときに軟化あるいは融解し、冷却されたとき再び固化することのできるポリマー組成物を意味する。
【0015】
ここで用いる用語「水不溶性」は、水性環境中に本質的に不溶である成分または組成物を意味する。かかる成分は、1重量%未満、好ましくは0.5重量%未満の濃度で水に可溶である。
【0016】
ここで用いる用語「体液」は、血液、尿、間質液等を意味する。これらの液体は、本質的に、塩分を含む。用語「体液」は、ここでは、用語「塩水」と互換的に用いられている。
【0017】
用語「ナノクレー粉末」は、100マイクロメートル(μm)未満の最大寸法を有する顆粒または小板を包含する乾燥した粒状クレーをいう。
【0018】
熱可塑性ポリマー組成物
本発明に用いられる水不溶性の熱可塑性ポリマー組成物は、本組成物に結合能力を付与する。水および塩水に耐性であるので、熱可塑性ポリマー組成物はこれらの液体に曝されても顕著に劣化することはない。その結果、かかる濡れ指示組成物は、これらの液体の存在下で溶けない。
【0019】
熱可塑性ポリマー組成物は、全体として、単一の水不溶性熱可塑性ポリマーまたは水不溶性熱可塑性ポリマーのブレンドを含み得る。あるいは、水不溶性熱可塑性ポリマー組成物は、少なくとも1種の水不溶性熱可塑性ポリマーを、粘着付与樹脂、可塑剤、ワックスおよびそれらの組み合わせのような他の熱可塑性希釈剤、並びに抗酸化剤および顔料と組み合わせて含むことができる。熱可塑性ポリマーだけで濡れ指示組成物を所定の位置に保持するための適切な接着特性を提供し得るが、好ましくは、それは、意図された用途での使用のために接着特性を修飾すべく、粘着付与剤、可塑剤、およびワックス等と組み合わされる。いくつかの態様については、良好な加工性を維持しながら濡れ指示組成物の凝集強さを向上させるために、比較的高い粘度の熱可塑性ポリマーが、比較的低い粘度の熱可塑性成分と組み合わされる。この態様のために、比較的高い粘度のポリマーは一般に約400g/10分以下、好ましくは約200g/10分以下、より好ましくは約100g/10分以下、最も好ましくは約50g/10分未満のメルトインデックス(MI)を有する。
【0020】
広範な熱可塑性ポリマーが、本発明に使用するために好適である。本発明に使用するための例示ポリマーには、スチレンブロックコポリマー、均質で実質的に線状のエチレン/アルファ−オレフィンインターポリマー等の非晶質および結晶性ポリオレフィン;エチレン−酢酸ビニル(EVA)、エチレン−アクリル酸メチル(EMA)およびエチレンアクリル酸n−ブチル(EnBa)のようなエチレンのインターポリマー;およびそれらの混合物が含まれる。
【0021】
A−B−Aトリブロック構造、A−Bジブロック構造、(A−B)nラジアルブロックコポリマー構造、並びにその分枝化およびグラフト化体等の広範なブロックコポリマーが本発明に有用であり、ここで、Aブロックは、非エラストマーのポリマーブロックであり、典型的にはポリスチレンを含み、Bブロックは、不飽和共役ジエンもしくはその水素化体である。一般に、Bブロックは、典型的に、イソプレン、ブタジエン、エチレンiブチレン(水素化イソプレン)およびそれらの混合物である。市販の具体例には、シェル・ケミカル社(テキサス州ヒューストン)から入手できるクレイトン(Kraton)(登録商標)DおよびGシリーズのブロックコポリマー、エニケム(EniChem)(テキサス州ヒューストン)から入手できるユーロプレネット(Europrenet)(登録商標)ゾル(Sol)Tブロックコポリマー、エクソン(デキスコ(Dexco))(テキサス州ヒューストン)から入手できるベクター(Vector)(登録商標)ブロックコポリマー、その他が含まれる。ブロックコポリマーに基づく組成物は、一般的に比較的低いメルトインデックスのブロックコポリマー(50g/10分未満)を少なくとも1種の粘着付与樹脂および可塑化油と組み合わせて用いる感圧接着剤用途に特に有用である。
【0022】
あるいは、本組成物は、均質で実質的に線状のエチレン/アルファ−オレフィンインターポリマー等の非晶質および結晶性ポリオレフィン、エチレン−酢酸ビニル、エチレン−アクリル酸メチルおよびエチレンアクリル酸n−ブチルのようなエチレンのインターポリマー、およびそれらの混合物を含んでいてもよい。
【0023】
非晶質ポリオレフィンまたは非晶質ポリアルファオレフィン(APAO)は、C2〜C8アルファオレフィンのホモポリマー、コポリマーおよびターポリマーである。それらは、典型的に、比較的広い分子量分布をもたらすチーグラー−ナッタ触媒を使用する方法により重合される。市販の非晶質ポリアルファオレフィンには、レキセン(Rexene)(テキサス州ダラス)から入手できるレックスタック(Rextac)(登録商標)およびレックスフレックス(REXFlex)(登録商標)プロピレン系ホモポリマー、エチレン−プロピレンコポリマーおよびブテンプロピレンコポリマー、並びにヒルズ(Hils)(ニュージャージー州ピスカタウェイ)から入手できるベストプラスト(Vestplast)(登録商標)アルファ−オレフィンコポリマーが含まれる。
【0024】
水不溶性熱可塑性ポリマーとして、メタロセンポリオレフィンも有用である。これらの物質は、シングルサイトもしくはメタロセン触媒を用いて調製される均質な線状のエチレンポリマーおよび実質的に線状のエチレンポリマーである。実質的に線状のエチレンポリマーは、ダウ・ケミカル社から市販されており、アフィニティー(AFFINITY)なる商品名の下で入手できるプラストマーを含み、均質な線状エチレンポリマーは、エクソン・ケミカル社から商品名イグザクト(EXACT)の下で入手できる。均質な線状および実質的に線状のエチレンポリマーは、約855〜約885にわたる比較的低い密度、および比較的低いメルトインデックス、例えば50g/10分未満を有する。
【0025】
用語「インターポリマー」は、ここでは、エチレンと重合した少なくとも1種の他のコモノマーを有するコポリマー、ターポリマーまたはより高次のポリマーを示すために用いられている。エチレンのインターポリマーは、酸部位が4個までの炭素原子を有するところの飽和カルボン酸のビニルエステル、3〜5個の炭素原子を有する不飽和モノもしくはジカルボン酸、該不飽和酸の塩、1〜8個の炭素原子を有するアルコールから誘導される該不飽和酸のエステル、およびそれらの混合物から選らばれる少なくとも1種のコモノマーを有するポリマーである。エチレンのインターポリマーのメルトインデックスは、約50〜約2000、約100〜1500、約200〜1200、および約400〜1200g/10分にわたり得る。
【0026】
混合されないで用いられた場合、エチレン対不飽和カルボン酸系コモノマー重量比は、好ましくは約3:1より大きく、より好ましくは約2:1である。従って、コモノマーの濃度は、エチレンインターポリマーの総重量に対し、好ましくは30重量%より高く、より好ましくは33重量%よりも高く、最も好ましくは35重量%よりも高い。エチレンのインターポリマーのメルトインデックスは、約50〜約2000、好ましくは約100〜1500、より好ましくは約200〜1200、最も好ましくは約400〜1200g/10分にわたり得る。低すぎるメルトインデックスを有するポリマーを混合しないで用いたとき、そのポリマーの強さは、SAP粒子の膨潤を抑える傾向を示す。しかしながら、上に論じたように、より低いメルトインデックスのエチレンのインターポリマーの不利点は、そのポリマーに希釈剤を配合することにより克服することができる。
【0027】
好適なエチレン/不飽和カルボン酸、塩およびエステルインターポリマーには、エチレン/酢酸ビニル(EVA)、エチレン/アクリル酸(EEA)およびそのアイオノマー、エチレン/メタクリル酸およびそのアイオノマー、エチレン/アクリル酸メチル(EMA)、エチレン/アクリル酸エチル、エチレン/アクリル酸n−ブチル(EnBA)、並びに2種またはそれ以上のコモノマーを含むそれらの種々の誘導体が含まれる。
【0028】
他の熱可塑性ポリマーには、ポリラクチド例えばカプロラクトンポリマー、およびポリ(ヒドロキシブチレート/ヒドロキシバレレート)、ある種のポリビニルアルコール、生分解性脂肪族芳香族コポリエステル例えばイーストマンコポリエステル14766(イーストマン・ケミカル)、BASFが提供するエコフレックス(Ecoflex)(登録商標)コポリエステル、線状飽和ポリエステル(その例は、ハルス(Huls)から商品名ダイナポール(DYNAPOL)およびダイナコール(DYNACOLL)の下で入手できる)、ポリ(エチレンオキシド)ポリエーテルアミドおよびポリエステルエーテルブロックコポリマー(その例は、アトケム(Atochem)から商品名ペバックス(PEBAX)の下で、およびヘキスト・セレニーズから商品名ライト−フレックス(RITE-FLEX)の下で入手できる)、並びにポリアミドポリマー(その例は、商品名ユニレズ(UNIREZ)(ユニオン・キャンプ)、ベスタメルト(VESTAMELT)(ハルス)およびグリルテックス(GRILTEX)(EMS−ヒーミー)が含まれる。さらに他の有用な熱可塑性ポリマーには、デュポンから商品名ハイトレル(HYTREL)の下で入手できるポリエーテル/ポリエステルポリマー、およびカーギル(Cargill)から商品名PLAの下で入手できる生分解性ポリエステルが含まれる。
【0029】
本発明に使用される水不溶性熱可塑性ポリマーの量は、典型的に、水分指示組成物の約5重量%〜約80重量%を構成する。好ましくは、それは、該組成物の約10重量%〜約50重量%を構成する。より好ましくは、それは、該組成物の約10重量%〜約30重量%を構成する。
【0030】
先に述べたように、本発明に使用される水不溶性熱可塑性ポリマー組成物は、好ましくは、少なくとも1種の追加の成分をさらに含む。かかる成分の例には、可塑剤、粘着付与剤、ワックス、並びに抗酸化剤および含量のような添加剤等の、ホットメルト接着剤組成物に普通に用いられているものが含まれる。
【0031】
有用な可塑剤は、芳香族含有量の低い炭化水素油、鉱油(例えば、ペトロカナダ・ルブリカンツ(PetroCanada Lubricants)(カルガリ、カナダ)が提供するピュアリティー(Purity)35鉱油)のような可塑化油である。好ましい可塑化油は、パラフィン系またはナフテン系である。好適な市販の可塑化油の例は、カルーメット・リファイニング(Calumet Refining)社(イリノイ州シカゴ)から商品名カルソル(Calsol)555の下で、およびニナフ・ナフテニック(Nynaf Naphthenic)AB(スウェーデン)から商品名ニフレックス(Nyflex)222Bの下で入手できる。可塑化油は、好ましくは、本組成物中に、5重量%〜約30重量%の量で存在する。
【0032】
一般に、追加の成分の種類は、全体として水不溶性熱可塑性ポリマー組成物の成分の十分な相容性を確保するように選ばれる。好ましい態様において、本発明の組成物の熱可塑性成分は、極性官能基を有する少なくとも1種の希釈剤を含む。希釈剤は、好ましくは、3000未満の、好ましくは2000未満の分子量(Mw)を有する可塑剤またはワックスである。希釈剤は、好ましくは、水不感受性であるが、本成分の不存在下で同じ成分を含む比較の組成物に対して熱可塑性組成物の表面張力および/または接触角を減少させるに十分に極性のものである。極性希釈剤には、1分子当たり少なくとも1つの極性基を有する可塑剤およびワックスが含まれる。極性基は、末端基であるか、あるいは分子の中央部で1つまたはそれ以上の単位に結合していてもよい。極性基には、アルコール、エーテル、エステル、エポキシ、カルボン酸、アミン、アミド、アルデヒド、ケトン、オキシム、スルホン酸およびスルホンアミド基が含まれる。極性希釈剤はSAPを可塑化するものと推測される。従って、SAPを極性可塑剤単独と組み合わせることは、吸収率を増加させ得る。しかしながら、ポリマーの不存在下では、可塑剤単独は、典型的に、SAPを内部に分散させるための連続した熱可塑性相を提供し得なかった。好ましくは、希釈剤は、総組成物の約5重量%〜約30重量%にわたる量で、より好ましくは、総組成物の約10重量%〜約20重量%にわたる量で用いられる。
【0033】
例示の極性可塑剤には、フタル酸ジオクチルおよびフタル酸ブチルベンジル(例えば、モンサントが提供するサンチサイザー(Santicizer)160)のようなフタレート可塑剤;ハルスが提供するダイナコール(Dynacol)720のような液状ポリエステルおよびCP.ホール(Hall)から入手できる液状ポリマー可塑剤;1,4−シクロヘキサンジメタノールジベンゾエート(例えば、ベルシコール(Velsicol)が提供するベンゾフレッツ(Benzoflez)353)、ジエチレングリコール/ジプロピレングリコールジベンゾエート(例えば、ベルシコールが提供するベンゾフレッツ50)、エステル化されたヒドロキシル基のモル分率が0.5〜0.95にわたるジエチレングリコールジベンゾエート(例えば、やはりベルシコールが提供するベンゾフレックス(Benzoflex)2−45ハイ・ヒドロキシル(High Hydroxyl))のようなベンゾエート可塑剤;t−ブチルジフェニルホスフェート(例えば、モンサントが提供するサンチサイザー154)のようなホスフィット可塑剤;水素化ロジンのメチルエステル(例えばハーキュレスが提供するハーコイン(Hercoyn)D)のような約60℃以下の環球法軟化点を有する液状ロジン誘導体;並びに脂肪酸のグリセロールエステルおよびその重合性生成物のような植物性油および動物性油が含まれる。好ましい可塑剤には、シトロフレックス(Citroflex)(登録商標)2、A−2、4、A−4、A−6およびB−6のようなクエン酸のエステル;フタル酸ブチルベンジル、トルエンスルホンアミド、ベンゾエート可塑剤例えば1,4−シクロヘキサンジメタノールジベンゾエート、ジエチレングリコール/ジプロピレングリコールジベンゾエート、エステル化されたヒドロキシル基のモル分率が0.5〜0.95にわたるジエチレングリコールジベンゾエートが含まれる。
【0034】
さらに、水溶性または水中分散性可塑剤も、その存在が熱可塑性組成物を水溶性にすることなくかつSAPの吸収速度を阻害しないならば、用いることができる。好適な例には、約2000未満、好ましくは1000未満の分子量を有するポリエチレングリコール、ICIから入手できるPEGのフェニルエーテルであるパイカル(Pycal)等のポリエチレングリコールの誘導体;エトキシル化ビスフェノールA(例えば、PPGインダストリーズが提供するマコール(Macol)206EM)およびジオニルフェノールエチルオキシレート(例えば、ハンツマン・ケミカル社(Huntsman Chemical)が提供するサーフォニック(Surfonic)DNP)が含まれる。
【0035】
例示の極性ワックスには、12−ヒドロキシステアルアミド、N−(2−ヒドロキシエチル12−ヒドロキシステアルアミド(カスケム(CasChem)が提供するパリシン(Paricin)220および285)、ステアルアミド(ウィトコ(Witco)が提供するケミアミド(Kemamide)S)、モノステアリン酸グリセリン、モノステアリン酸ソルビタン、および12−ヒドロキシステアリン酸が含まれる。上記のものと組み合わせて有用なものは、N,N’−エチレン−ビスステアルアミド(ウィトコが提供するケムアミドW−40)のようなより極性の低いワックス、水素化ヒマシ油(キャスターワックス)酸化合成ワックス、および酸化ポリエチレンワックス(ペトロライト(Petrolite)E−1040)のような官能化ワックスである。
【0036】
用いることのできる他のワックスには、炭化水素油、ポリブテン、液状粘着付与樹脂および液状エラストマーが含まれる。可塑剤油は、主として、芳香族含有量が低く、パラフィン系またはナフテン系である炭化水素油である。可塑剤油は、好ましくは、揮発性が低く、透明であり、できるだけ少ない色および臭いを有する。本発明における可塑剤の使用は、また、オレフィンオリゴマー、低分子量ポリマー、植物性油およびそれらの誘導体並びに類似の可塑化性液体の使用を企図している。
【0037】
ワックスは、粘度を減少させ、かつ耐ブロッキング性を向上させるために、約2重量%〜約25重量%、好ましくは約10重量%〜約20重量%の濃度で有効に用いられる。ワックスは熱可塑性成分の冷却中に表面に吹き出し、組成物の表面に流体不透過性バリヤー層を作るか、SAPを封入し、かくしてSAPが流体を吸収する能力を妨げるので、ワックスのより高い濃度は、典型的には、避けられる。好ましい極性ワックスに加えて、他の有用なワックスには、パラフィンワックス、微結晶性ワックス、フィッシャー−トロプシュワックス、ポリエチレンおよびポリエチレンの副生成物が含まれる。また、有用なワックスは、商品名ADMベジタブルワックス866970の下でアーチャー・ダニエル・ミッドランド(Archer Daniel Midland)(イリノイ州ジケーター)から、およびカーギル社(ミネソタ州ウェイザタ)からステーブル・フレーク(Stable Flake)Sの商品名の下で市販されている水素化大豆油ワックスである。
【0038】
ここで用いる用語「粘着付与剤」は、本ホットメルト接着剤組成物にタックを付与するために有用な以下に記載するいずれかの組成物を意味する。
【0039】
本発明の組成物は、約50重量%までの粘着付与樹脂を含んでいてもよい。粘着付与樹脂は、好ましくは、本組成物の合計重量の約5重量%〜約40重量%、より好ましくは約10重量%〜約20重量%にわたる濃度で用いられる。
【0040】
粘着付与樹脂は、ウッドロジン、トール油およびガムロジン等のロジン誘導体、並びに天然および合成テルペンおよびその誘導体のような再生可能資源から誘導される樹脂を含む。本発明において、脂肪族、芳香族または混合脂肪族−芳香族石油系粘着付与剤も有用である。有用な炭化水素樹脂の代表例には、アルファ−メチルスチレン樹脂、分枝および非分枝C5樹脂、C9樹脂およびC10樹脂、並びにそれらのスチレンおよび水素化修飾体が含まれる。粘着付与樹脂は、37℃で液体から、約135℃の環球法軟化点を有するものまでにわたる。
【0041】
当該分野で知られているように、熱可塑性組成物のタック、色、臭い等を修飾するために、種々の他の成分を添加することができる。ヒンダードフェノール(例えば、イルガノックス(Irganox)(登録商標)1010、イルガノックス(登録商標)1076)、ホスフィット(例えば、イルガフォス(Irgafos)(登録商標)168)のような酸化防止剤、粘着防止添加剤、顔料およびフィラー等の添加剤も本組成物に含めることができる。これらの添加剤は、典型的に、水不溶性熱可塑性ポリマー組成物の約0.1重量%〜約5重量%を構成する。
【0042】
親水性フィラーは、添加剤の好ましいクラスであり、これは表面の性質を改変し、および/または吸収速度を増大させる。親水性フィラーには、炭酸カルシウム、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、およびスターチもしくはセルロースエステル、特にアセテートが含まれる。二酸化チタンもフィラーとして有用である。
【0043】
存在するとき、粘着付与剤は、典型的に、水不溶性熱可塑性ポリマー組成物の40重量%以下で、より好ましくは40重量%以下で存在する。
【0044】
超吸収性ポリマー
本発明に有用なSAPは、水、体液(例えば、尿、血液)等のような液体を大量に吸収することができる水膨潤性ヒドロゲル形成性吸収性ポリマーを包含する。さらに、SAPは、かかる吸収された液体を中程度の圧力の下で保持することができる。典型的に、SAPは、自重の何倍もの水を吸収し、好ましくは自重の少なくとも50倍、より好ましくは少なくとも100倍、最も好ましくは少なくとも150倍の水を吸収する。さらに、SAPは、負荷の下で良好な塩水吸収性と、高い塩水吸収能力を示す。典型的に、SAPは、その自重の少なくとも10倍、好ましくは少なくとも30倍、より好ましくは少なくとも50倍の塩水を吸収する。SPAは、その自重の何倍もの水および/または塩水を吸収するが、これらの液体に溶解することはない。
【0045】
水および/または塩水を吸収するSAPの能力は、SAPに存在する架橋の程度に関連する。架橋の程度を増加させることは、負荷の下でのSAPの全液体保持能力を増加させる。架橋の程度は、好ましくは、吸収の速度および量が最適化される組成物が得られるように最適化される。好ましいSAPは、少なくとも10%、より好ましくは約10%ないし約50%、最も好ましくは約20%〜40%架橋されている。好適なSAPの例には、架橋および重合された、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、マレイン酸/無水物、イタコン酸、フマル酸、およびそれらの組み合わせ等のα,β−ベータエチレン性不飽和モノおよびジカルボン酸および酸無水物モノマーが含まれる。
【0046】
本発明に有用な超吸収性ポリマーには、例えば、架橋アクリレートポリマー、ビニルアルコール−アクリレートコポリマーの架橋生成物、マレイン酸無水物でグラフト化されたポリビニルアルコールの架橋生成物、アクリレート−メタクリレートコポリマーの架橋生成物、アクリル酸メチル−酢酸ビニルコポリマーの架橋けん化生成物、スターチアクリレートグラフトコポリマーの架橋生成物、スターチアクリロニトリルグラフトコポリマーの架橋けん化生成物、カルボキシメチルセルロースポリマーの架橋生成物、およびイソブチレン−マレイン酸無水物コポリマーの架橋生成物、並びにそれらの組み合わせが含まれる。
【0047】
超吸収性粒子は、好ましくは、球形であり、約1マイクロメートル(μm)〜約400(μm)の平均粒子サイズを有する。好ましくは、これら粒子は、約20μm〜約200μm、より好ましくは20μm〜100μmの平均粒子サイズを有する。
【0048】
有用な市販の超吸収性粒子には、例えば、住友精化社(日本)が提供し、商品名アクアキープ10SH−NFの下で入手できる約20μm〜約30μmの平均粒子サイズを有する粒子、商品名アクアキープ10SH−Pの下で入手できる約200μm〜300μmの平均粒子サイズを有する粒子、商品名アクアキープSA60Sの下で入手できる約320μm〜370μmの平均粒子サイズを有する粒子、商品名アクアキープSA60SX、SA55SXIIおよびSA60SLIIの下で入手できる350μm〜390μmの平均粒子サイズを有する粒子、並びに商品名アクアキープSA60NタイプIIの下で入手できる250μm〜350μmの平均粒子サイズを有する粒子等のアクアキープシリーズの商品名で入手できるポリアクリル酸ナトリウム超吸収性粒子が含まれる。また、入手できる超吸収性物質は、ドイツ国ルドビッヒシャフェンのBASFが提供するルクアソーブ(Luquasorb)1010およびルクアソーブ1003である。
【0049】
本発明の濡れ指示組成物は、以後記述する濡れインジケータに色を変化させるために適切なレベルの液体を吸収するに適切な量のSAPを用いている。SAPの有用なレベルは、濡れ指示組成物の少なくとも2重量%を構成する。典型的に、SAPは、濡れ指示組成物の約2重量%〜約50重量%を構成する。好ましくは、SAPは、濡れ指示組成物の約2重量%〜約30重量%を構成する。より好ましくは、SAPは、濡れ指示組成物の約2重量%〜約15重量%を構成する。
【0050】
濡れインジケータ
本発明で使用する濡れインジケータは、指示剤とpH調整剤を含む。濡れインジケータは、pH変化に応答して色を変え、それにより例えば水または塩水の存在を明示する。色を迅速に変えるので、酸−塩基濡れインジケータが好ましい。好ましいインジケータは、明るい、鮮明な色に変わるものである。
【0051】
有用な指示剤の例には、エチルレッド、ブロモフェノールブルー、ブロモクレゾールグリーン、ブロモフェノールブルーとブロモクレゾールグリーンとの混合物等が含まれる。
【0052】
本発明で使用するpH調整剤は、濡れインジケータのpHを、それが液体と接触する前に色を変えることを防止するに足るレベルに調節する。有用なpH調整剤の例には、カルボン酸官能基を有する酸性化合物が含まれる。それらは、イソステアリン酸基、アゼライン酸基、ステアリン酸基、オレイン酸基、リノレイン酸基、リシノール酸基、安息香酸基、クエン酸基およびダイマー酸基が含まれるがそれらに限定されるものではない。任意に、無機酸を添加してpHを調節してもよい。使用するpH調整剤の量は、濡れインジケータのpHを所望のレベルに調節するに足るものである。
【0053】
本発明で使用する濡れインジケータのレベルは、液体に曝されたときに容易に認識される色変化を提供するに足るものである。例えば、濡れインジケータの有用なレベルは、典型的に、濡れ指示組成物の総重量の約0.01〜約60重量%を構成する。好ましくは、それは、総組成物の約0.1重量%〜50重量%、より好ましくは約5〜50重量%の範囲内である。
【0054】
界面活性剤
本発明で使用する界面活性剤は、熱可塑性成分の表面張力および/または接触角を減少させる。界面活性剤は、熱可塑性成分の総重量の約0.5重量%〜約50重量%、好ましくは約5重量%〜約25重量%にわたる量で有用である。好適な界面活性剤には、アニオン系、アニオン系、およびシリコーン界面活性剤が含まれる。アニオン系界面活性剤の例は:(i)ジノニルフェノールの10モルエトキシレートであるイリノイ州グルニーのPPGインダストリーズから入手できる商品名マコールDNP−10の下で販売されているものおよびオクチルフェノールの10マルエトキシレートであるユニオン・カーバイドから入手できる商品名トリトン(Triton)X−100の下で販売されているもののような、C1〜C18、好ましくはC8〜C9アルキルもしくはジアルキルフェノールのエトキシレート、(ii)ハンツマン・ケミカル社から入手できるドデカノールの8モルエトキシレートである商品名サーフォニックL−12−8の下で販売されているもの、およびオクラホマ州タルサのペトロライト・スペシャルティー・ポリマーズ・グループから入手できる38モルエトキシレート結晶性界面活性剤である商品名ユニソックス(Unithox)の下で販売されているもののような、アルキルC8〜C60モノアルコールのエトキシレート、および(iii)BASFから入手できる200〜3000のMnを有するエチレンオキシド/プロピレンオキシドブロックコポリマーである商品名プルロニック(Pluronic)の下で販売されているもののような、プロピレンオキシドポリマーのエトキシレート、並びに、ベルシコール・ケミカルからXP1010として市販されている、約3当量の安息香酸を4当量のジエチレングリコールと縮合させた生成物のような、ベンゾエートである。好ましいノニオン系界面活性剤ブレンドは、ICIサーファクタンツ(ICI Surfactants)(デラウェア州ウィルミントン)から入手できるアトマー(Atmer)685である。
【0055】
好適なアニオン系界面活性剤は:PPGインダストリーズから入手できるアベネル(Avenel)S30のような、C8〜C60アルキルエトキシレートスルホネート(CH3−(CH3−(CH211-14−(O−CH2−CH23−SO3-Na+;ローヌ・プーランから入手できるローダポン(Rhodapon)UB(C12−SO3-Na+)のようなアルキルC8〜C60スルホネート;および商品名カルソフト(Calsoft)の下で販売されているもののようなアルキル/芳香族スルホネートである。
【0056】
好適なシリコーン界面活性剤は、コネチカット州ダンベリーのOsiスペシャルティーズから入手でき、商品名シルウェット(Silwet)L−77、L−7605およびL−7500の下で販売されているものおよびダウ・コーニングが提供する製品193のような、500〜10000、好ましくは600〜6000の数平均分子量を有する、ポリジメチルシロキサンのエトキシレートもしくはプロポキシレートである。
【0057】
さらに他の好適な市販の界面活性剤には、ニュージャージー州ウエスト・パターソンのサイテック(Cytec)・インダストリーズが提供するエアロゾルOT100およびエアロゾルOTB(スルホコハク酸ナトリウムのジオクチルエステル)およびローヌ・プーラン(ニュージャージー州クランベリー)が提供するローダカル(Rhodacal)DS10が含まれる。
【0058】
ナノクレー粉末
本発明で有用なナノクレー粉末は、100μmの最大寸法を有するクレーの顆粒または小板を含む乾燥顆粒状組成物を包含する。好ましくは、それらは、200ナノメートル(nm)の最大寸法を有するクレーから誘導される。本発明で有用な好ましいナノクレーは、クレーの個々の小板のクラスタを含む。個々の小板は、水のような膨潤剤と接触したとき互いに分離する。
【0059】
本発明で有用なナノクレーには、カオリナイト、モンモリロナイト/スメクタイト、イライト、クロライトおよびそれらの組み合わせが含まれる。好ましいナノクレー粉末には、モンモリロナイト/スメクタイトが含まれ、モンモリロナイトがより好ましいナノクレー粉末である。モンモリロナイトは、ケイ酸マグネシウムアルミニウムを含有する物質である。
【0060】
好ましいナノクレー粉末は、また、上述のクレーから誘導される高アスペクト比の小板を包含する。ここで用いるアスペクト比は、小板の幅に対する長さの比を意味する。典型的に、ナノクレー粉末は、少なくとも50のアスペクト比を有する。
【0061】
本発明で有用なナノクレー粉末には、構造および組成において天然のクレーであるヘクトライトに似ている合成層状スメクタイトが含まれる。このタイプの市販の物質には、ロックウッド・スペシャルティーズ社のサザーン・クレー・プロダクツ・ディビジョンから入手できるラポナイト(Laponite)(登録商標)ブランドのナノクレー粉末が含まれる。ラポナイト(登録商標)粉末は、ナトリウム、マグネシウムおよびリチウムの塩を、制御された速度および温度でケイ酸ナトリウムと混合した後、得られた非晶質沈殿を部分的に結晶化させることにより調製される。ラポナイト(登録商標)ナノクレー粉末は、典型的に約0.9nmの厚さであり、約25nmの長さを有する。
【0062】
本発明に有用なナノクレー粉末には、また、層状ケイ酸マグネシウムアルミニウムが含まれる。これらの物質は、また、モンモリロナイトと呼ばれることがある。
【0063】
ナノクレー粉末の表面は、有機物質を含んでいてもよい。第4級アンモニウム塩は、ナノクレー粉末の表面上で用いることのできる有機物質の1つのクラスである。
【0064】
ナノクレー粉末の表面上において有用な第4級アンモニウム塩には、ジメチルベンジル水素化タロウ第4級アンモニウム(2MBHT);ジメチル二水素化タロウ第4級アンモニウム(2M2HT);ジメチル水素化タロウ二−エチルヘキシル第4級アンモニウム(2MHTL);メチルタロウビオ−2−ヒドロキシエチル第4級アンモニウム(MT2EtOT);およびそれらの組み合わせが含まれる。
【0065】
本発明に有用で、表面に第4級アンモニウム塩を用いている市販のナノクレー粉末には、ロックウッド・スペシャルティーズ社のサザーン・クレー・プロダクツ・ディビジョンが提供するクロイサイト(Cloisite)(登録商標)10A、15A、20A、25Aおよび30Bが含まれる。これらは、表面が第4級アンモニウム塩を含む天然のモンモリロナイトである。その小板は、約1nmの厚さであり、差し渡し(across)約70〜150nmである。
【0066】
クロイサイト(登録商標)10Aおよび20Aは、それぞれ、第4級アンモニウム修飾剤として、ジメチルベンジル水素化タロウ第4級アンモニウムを用いている。クロイサイト(登録商標)15Aは、第4級アンモニウム修飾剤として、2M2HTを用いている。クロイサイト(登録商標)25Aは、第4級アンモニウム修飾剤として、ジメチル水素化タロウ2エチルヘキシル第4級アンモニウムを用いている。クロイサイト(登録商標)30Aは、第4級アンモニウム修飾剤として、メチルトールビス−2−ヒドロキシエチル第4級アンモニウムを用いている。これらの物質は、2μ未満が10%、6μ未満が50%、そして13μ未満が90%という典型的な乾燥粒子サイズ(体積による)。これらの第4級アンモニウム塩に用いられる水素化タロウは、約65重量%のC18、約30重量%のC16、および約5重量%のC14を含む。
【0067】
これらのナノクレー粉末は、濡れ指示組成物の約5重量%までを構成する。典型的に、それは、濡れ指示組成物の約0.3〜約5重量%を構成する。好ましくは、それは、濡れ指示組成物の約0.3〜約1重量%を構成する。
【0068】
本発明の濡れ指示組成物は、例えば、好適な容器中ですべての成分を一緒に組み合わせ、ついでそれらを加熱(例えば、150〜175℃)下で、均一な組成物が得られるまで混合することによって作ることができる。組成物がホットメルト接着剤を用いている場合、その組成物は、接着剤の成分のすべてを一緒に溶融させ、ブレンドした後、その溶融したホットメルト接着剤にSAPを添加することにより調製することができる。ついで、残りの成分を、溶融した組成物に添加することができる。溶融した濡れ指示組成物は、後の再溶融および用途のために、ペレット化し、ピロー化(pillow)し、または型もしくはドラムに注型する等することができる。
【0069】
本発明の組成物は、種々の方法で塗布することができる。それらには、スロットコーティング、スパイラルスプレー、スクリーン印刷、泡立て、彫刻ロールまたはメルトブローン接着剤塗布技術が含まれる。さらに、それはデジタル印刷技術により塗布することができる。本発明の組成物は、少なくとも1つの基材上のストライプ、コーティングまたはフィルム層として、または物品の一部として存在することができる。ストライプとして塗布する場合、本組成物は、直線、曲線または渦巻線(例えば、それ自身を往復横断するものでありえる。さらに、本組成物は、不連続の様式で塗布することができる。すなわち、ストライプは、1またはそれ以上の分離したセグメントを含みえる。また、本組成物は、基材上に一連のドットとして塗布することができる。本発明の組成物は、また、フィルムまたはシートとして提供することができる。
【0070】
本発明の濡れ指示組成物は、広範な最終用途、特に使い捨てオムツ、女性用ナプキン、包帯(medical dressing)、人および動物用寝具(bedding)等の使い捨て吸収性物品に有用である。それに応じて、熱可塑性組成物は、いずれかの好適な方法、特に上に述べたホットメルト接着剤塗布技術を用いて種々の基材に塗布することができる。
【0071】
本発明を、以下の非限定的例によりさらに説明する。例示されたすべての組成物は、他の指摘がない限り重量部で表現されている。
【0072】
例1〜7
一般的調製
本発明による一連の濡れ指示組成物を調製した。水不溶性熱可塑性ポリマー組成物、超吸収性ポリマーおよび界面活性剤を有するプレミックス組成物を調製した。ついで、ステアリン酸と指示剤のブレンドを調整して濡れインジケータを形成した。次に、これを、プレミックス組成物と混合して濡れ指示組成物を形成した。
【表1】

【0073】
1 ウイングタック(Wingtack)86は、オハイオ州アクロンのグッドイヤー・タイヤ・アンド・ラバー社から入手できる変性C5石油炭化水素樹脂である。
2 シルバレズ(Sylvarez)ZT5100は、フロリダ州ジャクソンビルのアリゾナ・ケミカルズから入手できる粘着付与樹脂である。
3 ベンゾフレックス352は、イリノイ州ローズマウントのベルシコールから入手できるベンゾエート可塑剤である。
4 ニフレックス222Bは、スウェーデン国ストックホルムのニナス・ナフテニクス(Nynas Naphthenics)ABから入手できるプロセス油である。
5 ベクター4211は、テキサス州ヒューストンのデキスコ・ポリマーズから入手できるスチレン系ブロックコポリマーである。
6 イルガノックス1010は、ニューヨーク州ホーソーンのチバ・ガイギから入手できるヒンダードフェノール酸化防止剤である。
7 ローダカルDS10は、ニュージャージー州クランベリーのローヌ・プーランから入手できるドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムである。
8 アクアキープ10SHNF20は、住友精化社(日本)から入手できるポリアクリル酸ナトリウム超吸収性ポリマーである。
9 HL−1500Xは、ミネソタ州セントポールのH.B.フラー(Fuller)社から入手できるスチレン系ブロックコポリマーに基づく接着剤である。
10 NW1078Aは、ミネソタ州セントポールのH.B.フラー社から入手できる、ブロックコポリマー/SAPポリマーブレンド由来の吸収性ホットメルトである。
11 HL−8150XZPは、ミネソタ州セントポールのH.B.フラー社から入手できるスチレン系ブロックコポリマーに基づく接着剤である。
12 HL−1696XZPは、ミネソタ州セントポールのH.B.フラー社から入手できるスチレン系ブロックコポリマーに基づく接着剤システムである。
13 クロイサイト10Aは、ロックウッド・スペシャルティーズ社のサザーン・クレー・プロダクツ・ディビジョンから入手できる表面修飾ナノクレーである。
【0074】
プレミックス組成物の調製
すべての成分をアルミニウム缶に量り入れ、該原料のほとんどが溶融するまで160〜175℃のオーブン中で加熱する。ついで、この缶を加熱マントル内に置き、内容物を、滑らかな均質混合物が得られるまで少なくとも1.5〜2時間攪拌する。
【0075】
より大きな規模の試料については、RMを、滑らかな均質混合物が得られるまで、160〜175℃のシグマミキサー中で混合する。
【0076】
濡れ指示組成物の調製
溶融させた(140〜150℃)プレミックス(例1〜6)に、または溶融させたHL−1696XZP(例7)に、SASPを、当該混合物が滑らかになるまで攪拌しながら小分けして加えた。ついで、ローダカルDS10を添加し、十分に混合されるまで攪拌した。ついで、ステアリン酸を添加し、滑らかになるまで攪拌した。ついで、この混合物を、この温度で追加の15分間混合した。ついで、指示剤(ブロモクレゾールグリーン)を添加し、この温度で15分間混合した。ドローダウンバーを用いて、リリースペーパー上にフィルムとして1ミルの厚さ(25μm)に引き伸ばした。
【0077】
いくつかの場合では、SAPおよびローダカルDS10を含有するプレミックスを用いた。その場合、プレミックスBを溶融させた後、ステアリン酸を添加し、滑らかになるまで混合した。ついで、指示剤を添加し、15分間混合した。上に述べたとおりにフィルムに引き伸ばした。
【0078】
すべての場合において、塗布されたフィルムは、黄色を有していた。
【0079】
試験:
色変化
上記フィルムの部分に2.5mlの水または塩水を加える。色変化の時間と実際の色変化を観察し、書き留めた。
【0080】
試験の結果を以下に示す。
【表2】

【0081】
耐湿性
市販の濡れインジケータストライプを備える市販のオムツを4インチ(10cm)×6(15cm)インチサイズの片に切断した。ついで、実験室で作製した試料または比較試料のストリップ(オムツにおける既存のストライプのものの通りの試料サイズおよび寸法)を既存のストライプの1cm以内に置いた。ついで、すべてのサイドを、スコッチ(登録商標)ブランド373のような透明な包装テープを用いて閉じた。ついで、得られたプロトタイプのオムツを100F(37℃)/90%相対湿度に維持された湿気チャンバにほぼ24時間置いた。試料を色変化について点検した。
【0082】
耐湿性試験の結果を以下に示す。
【表3】

【0083】
熱安定性
本発明の濡れ指示組成物の試料(100g)を、ガラス容器内に置き、275°F(135℃)のオーブン中24時間入れ、分離または底での固形分の生成について定期的にチェックした。結果を以下に示す。
【表4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
(a)少なくとも1種の超吸収性ポリマー、および
(b)指示剤およびpH調整剤を含む少なくとも1種の濡れインジケータ、および
(c)任意に、少なくとも1種の水不溶性熱可塑性ポリマー組成物、および
(d)任意に、少なくとも1種の界面活性剤、および
(e)任意に、ナノクレー粉末
を含む濡れ指示組成物。
【請求項2】
前記指示剤が、前記濡れ指示組成物のpHの変化に応答して色を変える請求項1に記載の濡れ指示組成物。
【請求項3】
前記水不溶性熱可塑性ポリマー組成物が、粘着付与剤および可塑剤からなる群から選ばれる少なくとも1種の物質をさらに含む請求項1に記載の濡れ指示組成物。
【請求項4】
(a)前記粘着付与剤および可塑剤のうちの少なくとも一方が極性であり、(b)前記濡れ指示組成物が、好ましくは、約5重量%〜約50重量%の前記粘着付与剤、および約5重量%〜約50重量%の前記可塑剤を含む請求項6に記載の濡れ指示組成物。
【請求項5】
前記超吸収性ポリマーが、約1μm〜約400μmの粒子サイズを有する請求項1に記載の濡れ指示組成物。
【請求項6】
小板、少なくとも50のアスペクト比を有する小板、体積で15マイクロメートル未満の乾燥粒子サイズを有する粉末、表面に第4級アンモニウム塩を有する粉末、および表面に第4級アンモニウム塩のない粉末からなる群から選ばれるナノクレー粉末をさらに含む請求項1に記載の濡れ指示組成物。
【請求項7】
前記ナノクレー粉末の表面が、(a)ジメチルベンジル水素化タロウ第4級アンモニウム(2MBHT)、(b)ジメチル脱水素化タロウ第4級アンモニウム(2MBHT)、(c)ジメチル水素化タロウ2−エチルヘキシル第4級アンモニウム(2MHTL8)、(d)メチルタロウビス−2−ヒドロキシエチル第4級アンモニウム(MT2EtOT)、(e)メチル脱水素化タロウアンモニウム(M2HT)および(f)それらの組み合わせからなる群から選ばれるカチオンを有する第4級アンモニウム塩を含む請求項6に記載の濡れ指示組成物。
【請求項8】
表面の一部に請求項1に記載の組成物を有する基材を備える使い捨て吸収性物品。
【請求項9】
オムツ、女性用ナプキン、包帯、並びに人用および動物用寝具からなる群から選ばれる請求項8に記載の使い捨て吸収性物品。
【請求項10】
請求項1に記載の濡れ指示組成物を製造する方法であって、その方法は、
(a)超吸収性ポリマーおよび任意に水不溶性熱可塑性ポリマーを好適な混合装置中で混合し、その混合物が溶融するまで加熱する工程、
(b)任意に、溶融した混合物に界面活性剤とナノクレー粉末を添加し、均一な溶融混合物が得られるまで混合する工程、
(c)しかる後、濡れインジケータを、前記均一な溶融混合物に添加し、濡れ指示組成物の均一な溶融混合物を提供するための時間混合する工程、および
(d)任意に、工程(c)の混合物を固化させる工程
を含む方法。

【公表番号】特表2009−511673(P2009−511673A)
【公表日】平成21年3月19日(2009.3.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−534736(P2008−534736)
【出願日】平成18年10月5日(2006.10.5)
【国際出願番号】PCT/US2006/039233
【国際公開番号】WO2007/044569
【国際公開日】平成19年4月19日(2007.4.19)
【出願人】(591190771)エイチ・ビー・フラー・ライセンジング・アンド・ファイナンシング・インコーポレーテッド (13)
【Fターム(参考)】