説明

災害発生時通信装置

【課題】災害発生時において、連絡の信頼性が高く、設置容易な通信装置の提供を目的とする。
【解決手段】指向性光線を用いた信号の送信手段と受信手段とを備え、送信手段及び受信手段は信号変換装置をそれぞれ有し、信号変換装置は文字情報とモールス信号との相互変換機能を有していることを特徴とする。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、地震、台風、洪水等の災害発生時に用いる通信装置に関する。
【背景技術】
【0002】
地震、台風、洪水等の災害が発生した場合には、連絡道路等の崩壊や通信網の破壊等により救急隊や自治体等との連絡が不可能な事態も生じ得る。
携帯端末を用いた災害通報手段も提案されている(特許文献1)が基地局の破壊や、混信により連絡が不可能になったり、正確さに欠く場合も生じる。
【0003】
【特許文献1】特開2007−18432号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
本発明は災害発生時において、連絡の信頼性が高く、設置容易な通信装置の提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、災害発生時に設置しやすく、連絡の信頼性が高い通信、連絡装置を誠意検討した結果、本発明に至ったものである。
請求項1記載の災害発生時通信装置は、指向性光線を用いた信号の送信手段と受信手段とを備え、送信手段及び受信手段は信号変換装置をそれぞれ有し、信号変換装置は文字情報とモールス信号との相互変換機能を有していることを特徴とする。
【0006】
ここで指向性光線とは、レーザー光線のように指向性の強い光線をいい、例えば、キセノン光線のような光量の強い光線が好ましいがモールス信号として長短の光線点滅が可能である限りにおいて、各種光線を用いることができる。
また、信号変換装置は、文字情報とモールス信号との信号変換機能を有していることにより、送信者はパソコン等のキーボードに通信文を文字情報として入力するだけで、指向性光線の点滅によるモールス信号として発信することができ、受信者側は受信したモールス信号が文字情報に変換され、ディスプレイ上等に文字情報として読み取ることができるので通信のやりとりが容易である。
【0007】
災害時には商業電源が使用できない場合が多いので送信手段と受信手段との作動電源は、移動性電源であることが好ましい。
移動性電源としては蓄電池、乾電池及びソーラー型蓄電池等が例として挙げられる。
【発明の効果】
【0008】
本発明においては、指向性光線の長短点滅によるモールス信号として送信、受信を可能にしたので、災害発生時には事前に予め決定されていた見通しの良い高台等であって、被災地側と、救急隊あるいは自治体側との間に本発明に係る通信装置を設置することで災害時の連絡手段とすることができる。
なお、一方向通信の場合には発信側に送信手段を受信側に受信手段を設置すればよいが、一般的には双方通信となるのでそれぞれが送受信手段を有する通信装置を設置するとよい。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
本発明に係る災害発生時通信装置の実施例について、以下図面に基づいて説明する。
図1には、2台の通信装置10A、10B間の通信のやりとり方法を模式的に示す。
実際の災害時には複数の、被災地、自治体及び救急隊間等にて情報の連絡に使用することになる。
【0010】
通信装置10Aと10Bは同じ構成を有しているので通信装置10Aを代表として以下説明する。
通信装置10Aは、指向性の有する光線1の発生装置を有する送信手段11aとモールス信号として他の通信装置10Bから送信された光線を受光する受光装置を有する受信手段12aを有している。
この送信手段11a及び受信手段12aは、文字情報とモールス信号との信号変換装置13aと接続してあり、この信号変換装置13aはパソコン(パーソナルコンピューター)PC14aに接続してある。
また、通信装置10Aの作動電源として、例えば自動車用バッテリーに使用されている蓄電池15aと接続してある。
なお、蓄電池15aは移動性電源の例として示したもので、乾電池のような二次電池でもよい。
【0011】
災害発生時には予め決定されていた見通しの良い高台に本発明に係る通信装置10A、10Bを設置する。
ここで、予め決定されていた見通しの良い高台とは、災害発生した場合に、想定された被災地と自治体や救急隊等と通信連絡が可能な場所として定められていた設置場所をいう。
被災地の高台や自治体の建築物の屋上等に本発明に係る通信装置を設置すると、まず送信手段11aを用いて、指向性光線を発光する。
他の通信装置10Bは受信手段12aに有する受光装置が光線を受光するように調整する。
双方の通信装置10A、10B間の発光、受光確認がとれると通信装置の据付が完了する。
【0012】
必要な情報を発信する場合には、PC14aのキーボードを用いて、情報文を文字入力する。
入力された文字情報は信号変換装置13aにてモールス信号に変換される。
変換されたモールス信号に従って光線が点滅発光する。
情報を受信する側は点滅発光された光線を受光し、モールス信号として情報を受け取る。
受け取った情報は信号変換装置13bにて文字情報に再変換されることになり、この文字情報はPC14bにて記録され、ディスプレイ上で読み取ることができる。
【0013】
指向性の高い、例えばキセノンレーザー光線等は約1万m以上の直線発光及び受光が可能であり、災害発生等による緊急時には設置が容易であり、混信の恐れもなく、確実な情報連絡手段として利用可能である。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【図1】本発明に係る通信装置の構成例を示す。
【符号の説明】
【0015】
1 光線
10A、10B 通信装置
11a 送信手段
12a 受信手段
13a 信号変換装置
14a PC/キーボード
15a 蓄電池

【特許請求の範囲】
【請求項1】
指向性光線を用いた信号の送信手段と受信手段とを備え、
送信手段及び受信手段は信号変換装置をそれぞれ有し、信号変換装置は文字情報とモールス信号との相互変換機能を有していることを特徴とする災害発生時通信装置。
【請求項2】
送信手段と受信手段との作動電源は、移動性電源であることを特徴とする請求項1記載の災害発生時通信装置。

【図1】
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【公開番号】特開2008−288625(P2008−288625A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−128686(P2007−128686)
【出願日】平成19年5月15日(2007.5.15)
【出願人】(594079349)
【出願人】(506380927)
【出願人】(305001917)有限会社アークコーポレーション (6)
【Fターム(参考)】