説明

災害発生警告装置及びサイン

【課題】地震の発生を高精度で検知でき、信頼性の高められた災害発生警告装置及びサインを提供する。
【解決手段】感震センサー1が揺れを検知して信号を発し、その信号を基に判別回路2が揺れの加速度と揺れ時間とを基に報知手段3による警告の実施に関する判断を行うことで、物体の衝突や悪戯等による振動といった一時的な揺れと地震の継続的な揺れとの判別を確実に行うことができ、地震の発生を高精度で検知して信頼性の高められた装置とすることができる。
【参照図】 図1

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、感震センサーを用いて地震に伴う災害の発生を周囲の人々に報知する災害発生警告装置及びサインに関するものである。
【背景技術】
【0002】
地震の発生時において、火災や津波等の災害の発生が予見された場合に周囲の人々に避難を促す装置としては、例えば特許文献1に、支柱上に設置される表示部を備えた避難誘導標識であって、太陽電池と、前記太陽電池によって充電される蓄電池と、前記蓄電池を電源として点灯される表示部と、所定のガル値以上の振動を検知して検知信号を出力する振動センサと、振動センサの検知信号より地震振動を判別し地震信号を出力する地震判別回路と、前記太陽電池の起電圧により日射量が低下する夜間に夜間信号を出力する昼夜判別回路と、前記地震判別回路よりの地震信号および前記昼夜判別回路よりの夜間信号によって前記表示部を点灯制御する点灯回路と、前記蓄電池の電圧低下を検知して前記地震判別回路を初期状態に復帰させるリセット回路と、を備えてなる避難誘導標識が開示されている。
【0003】
【特許文献1】特開平8−315261号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の如き装置では、振動センサが検知したガル値に基づく検知信号を用いて地震判別回路により避難警告の要否を判断するものであり、自動車等の物体の衝突による振動や、悪戯による振動等と本当の地震との区別が付かず、誤って避難警告を行ってしまう場合が考えられ、装置としての信頼性に難があるものであった。
【0005】
本発明は上記の如き課題に鑑みてなされたものであり、地震の発生を高精度で検知でき、信頼性の高められた災害発生警告装置及びサインを提供せんとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成するため、本発明は以下のような構成としている。すなわち、本発明に係わる災害発生警告装置は、災害の発生を警告する報知手段と、感震センサーと、前記感震センサーからの信号を基に前記報知手段による警告の要否及び/又は警告の種類を判断する判別回路とを備え、前記判別回路が、前記感震センサーにより検知された揺れの加速度と揺れ時間とを基に前記判断を行うことを特徴とするものである。
【0007】
また前記報知手段は、音声により報知を行うものであることを特徴とするものである。
【0008】
また本発明に係わるサインは、本発明請求項1又は2に記載の災害発生警告装置と、避難場所を表示した表示手段とを備えていることを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
請求項1に記載の本発明に係わる災害発生警告装置によれば、判別回路が揺れの加速度と揺れ時間とを基に警告の実施に関する判断を行うことで、物体の衝突や悪戯等による振動といった一時的な揺れと地震の継続的な揺れとの判別を確実に行うことができ、地震の発生を高精度で検知して信頼性の高められた装置とすることができる。
【0010】
また請求項2の発明によれば、最も受動されやすい聴覚に対して音声による警告を行うことで、視覚等に頼る場合より対象者に確実に災害の発生を警告することができ好ましい。
【0011】
また請求項3に記載の本発明に係わるサインによれば、報知手段が備えられたサインに避難場所への誘導経路が表示されていることで、報知手段による避難場所への警告に対して避難場所の確認を即座に行うことができ、避難場所への迅速な避難が可能となり災害による被害を低減することに繋がる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
本発明に係わる最良の実施の形態について、図面に基づき以下に具体的に説明する。
【0013】
図1は、本発明に係わる災害発生警告装置の、動作の一例を示すフロー図である。災害発生警告装置10は、判別回路1と、横揺れの加速度及び揺れ時間を測定し且つ信号を発する感震センサー2と、音声を発するスピーカーである報知手段3とを備えるものである。まず揺れが発生すると、感震センサー2が揺れを検知して加速度の大きさに係わる信号を判別回路1に送信する。判別回路1はその信号を受信し、更にその信号を受信し続ける時間を測定する。加速度が一定以上で、且つその一定以上の加速度が一定時間以上継続した場合に限って報知手段3による報知を行うことで、物体の衝突や悪戯といった一過性の振動と本当の地震とを判別して信頼性の高められた災害発生警告装置10を得ることができる。
【0014】
一般に物体の衝突や悪戯等による一過性の振動は印加直後の加速度が最も大きく、その後装置自体の振動が続くことにより加速度は検知されるが、例えば立方体形状の装置であれば忽ち振動は減衰して加速度は検知されなくなる。対して地震による振動では、少なくとも数秒は連続して加速度が印加され続けるものであり、その加速度、及び一定以上の加速度が継続する時間について、それぞれ適切なしきい値を設けておくことで、物体の衝突や悪戯等による振動と地震による揺れとを判別することが可能となり得る。
【0015】
感震センサー1は、加速度を測定でき、測定した加速度に係わる信号を発することができるものであれば特に限定されるものではなく公知のものを用いることができる。判別回路2は、感震センサー1から発信された信号を受信し、加速度及び揺れ時間に一定のしきい値を設定できるものであれば特に限定されず、適宜のものを用いることができる。また感震センサー1内に判別回路2を組み込んで一体化したものとしてもよい。
【0016】
報知手段3は、視覚や聴覚に訴えるものが好適であり、視覚に訴えるものとしては表示が可変するものや、発光により文字や記号が表示されるもの、回転警告灯などを用いることができる。聴覚に訴えるものとしては、スピーカーが一般に用いられ、広い指向角度のものが好ましいが、警告の対象となる区域が狭い場合には小さい指向角度のものを用いることもできる。
【0017】
また加速度と揺れ時間に応じて更に詳細な報知を行うようにしてもよい。図2は本発明に係わる災害発生警告装置が地震の発生に伴う津波を警告する報知手段の報知内容を示す表である。津波の発生は必ずしも近傍を震源とする強い揺れが計測された場合のみに発生するとは限らず、遠方の海中を震源とする地震でも発生の恐れは十分に想定される。
【0018】
従って、揺れ時間が長い場合には、揺れの強さが強い場合はもとより、揺れの強さが弱い場合でも津波の発生の恐れが高いことが警告される。逆に揺れ時間が短い場合には、揺れが強くとも津波の発生の恐れが低いと判断し、注意の喚起程度の報知に留められる。揺れの強さ及び揺れ時間がそれ程でもない場合には、念のため避難場所の確認を促す程度の報知が行われる。揺れ時間が「短」より短い場合と、揺れ強度が「弱」より弱い場合には報知手段による報知は行われないことで、一過性の強い振動や、道路の車両の通行による振動等による誤作動を防止して災害発生警告装置の信頼性は高められる。
【0019】
図3は、本発明に係わるサインを示す説明図である。サイン100は、支柱20に制御ボックス30、表示板40、発光により文字を表示する情報板50、及び照明装置60が取り付けられて形成され、制御ボックス30内に感震センサーと判別回路(図示せず)とが内蔵され、制御ボックス10の側面に報知手段であるスピーカー3Aが設けられて本発明に係わる災害発生警告装置を備えるものとなされている。制御ボックス30上には種々のボタンが取り付けられ、平常時は周辺の地理的な案内を行うサインとして機能しているものである。地震が発生し、感震センサーと判別回路とにより地震であると判断された場合にスピーカー3Aにより災害の発生を警告する音声が発せられるが、更に情報板50に報知手段として設けられた情報表示部3Bにより災害に係わる詳細な情報を表示するようにしてもよい。
【0020】
また表示板40には、付近の地理が表示されると共に避難場所Hが表示された地図である表示手段4が設けられている。スピーカー3Aにより災害の発生の警告がなされた際に、地理不案内の人々は避難場所が判りづらいが、音声が発せられたサイン100に近づいて表示板40の地図を確認することで避難場所を容易に認識することができ、迅速な避難を行うことで災害の被害を最小限に抑えることに繋がる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明に係わる災害発生警告装置の、一連の動作を示すフロー図である。
【図2】本発明に係わる災害発生警告装置の、警告内容を示す表である。
【図3】本発明に係わるサインの、実施の一形態を示す説明図である。
【符号の説明】
【0022】
1 感震センサー
2 判別回路
3 報知手段
3A スピーカー
3B 情報表示部
4 表示手段
10 災害発生警告装置
100 サイン
H 避難場所

【特許請求の範囲】
【請求項1】
災害の発生を警告する報知手段と、感震センサーと、前記感震センサーからの信号を基に前記報知手段による警告の要否及び/又は警告の種類を判断する判別回路とを備え、前記判別回路が、前記感震センサーにより検知された揺れの加速度と揺れ時間とを基に前記判断を行うことを特徴とする災害発生警告装置。
ものである。
【請求項2】
前記報知手段は、音声により報知を行うものであることを特徴とする請求項1に記載の災害発生警告装置。
【請求項3】
請求項1又は2に記載の災害発生警告装置と、避難場所を表示した表示手段とを備えていることを特徴とするサイン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−23982(P2006−23982A)
【公開日】平成18年1月26日(2006.1.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−201565(P2004−201565)
【出願日】平成16年7月8日(2004.7.8)
【出願人】(000002462)積水樹脂株式会社 (781)
【Fターム(参考)】