説明

炉内搬送物位置検出装置

【課題】 リミットスイッチを確実に作動させる炉内搬送物位置検出装置を提供する。
【解決手段】 加熱炉2にてコンベア10によって搬送されるコンテナ(搬送物)4の位置を検出する炉内搬送物位置検出装置20において、加熱炉2のケーシング3を貫通し回転可能に支持されるシャフト21と、加熱炉2内を通過するコンテナ4のドグ19に係合してこのシャフト21を回転駆動する回転フォロワ22と、加熱炉2の外側でシャフト21の回転をリミットスイッチ43の作動に変換するシャフト回転位置検出機構40とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、加熱炉にて搬送物の位置を検出する炉内搬送物位置検出装置の改良に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、例えば特許文献1には、廃棄物を加熱によって熱分解する加熱炉を備え、この加熱炉にコンテナを介して廃材を搬送する廃材加熱処理装置が開示されている。
【0003】
この種の廃材加熱処理装置は、加熱炉内におけるコンテナの搬送位置を検出する炉内搬送物位置検出装置を設け、加熱炉にコンテナを自動的に搬入、搬出するとともに、これにあわせて加熱炉を自動的に開閉するシステムが構成されている。
【特許文献1】特開平9−14624号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記の炉内搬送物位置検出装置として、高温となる加熱炉にて搬送物の位置をリミットスイッチを介して検出する場合、リミットスイッチを高加熱炉の外側に設け、加熱炉におけるコンテナの移動をリミットスイッチに伝える伝達機構を設ける必要がある。
【0005】
しかしながら、このような炉内搬送物位置検出装置にあっては、コンテナの移動をリミットスイッチに伝える伝達機構として、搬送物が移動する動きに追従して揺動するレバー、シャフト、スプリングに抗してリミットスイッチを揺動させるストライカ等の機構を設けた場合、この伝達機構はその熱変形やスラッジ等の付着によって摺動抵抗が増える可能性があり、リミットスイッチを確実に作動させることが難しいという問題点があった。
【0006】
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、リミットスイッチを確実に作動させる炉内搬送物位置検出装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、加熱炉にて搬送物の位置を検出する炉内搬送物位置検出装置において、加熱炉のケーシングを貫通し回転可能に支持されるシャフトと、加熱炉内を通過する搬送物のドグに係合してこのシャフトを回転駆動する回転フォロワと、加熱炉の外側でシャフトの回転をリミットスイッチの作動に変換するシャフト回転位置検出機構とを備えたことを特徴とするものとした。
【発明の効果】
【0008】
本発明によると、回転フォロワは搬送物のロブが搬送方向に移動する動きに追従して回転作動し、回転フォロワの回転がシャフトを介してシャフト回転位置検出機構に伝えられ、シャフト回転位置検出機構がシャフトの回転をリミットスイッチの作動に変換するため、シャフトをスプリング等を介して回転させる必要がなく、熱変形やスラッジ等の付着によってシャフトの摺動抵抗が増えてもリミットスイッチを確実に作動させることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
シャフト回転位置検出機構
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
まず、図1に本発明が適用可能な廃材加熱処理装置の一例を示す。
【0010】
この廃材加熱処理装置1は、略直方体の空間として画成される加熱炉2と、この加熱炉2を断熱材9を介して仕切るケーシング3と、加熱炉2を加熱するヒータ8と、加熱炉2にてコンテナ(搬送物)4を搬送するコンベア10と、コンテナ4の位置を検出する炉内搬送物位置検出装置20とを備える。
【0011】
コンテナ4には複数のパレット7が多段に収められ、各パレット7に例えば廃材を破砕したチップ等が敷き詰められる。
【0012】
コンベア10は加熱炉2の下方に配置され、ケーシング3内にてコンテナ4を搬送する。コンベア10は、左右に配置される前後スプロケット11,12と、この前後スプロケット11,12に渡って掛け回される左右のチェーン13とを備える。前のスプロケット12にケーシング3の外側に設けられるモータ(図示せず)の駆動力が伝達され、左右のチェーン13が循環する。コンテナ4は左右のチェーン13上に載せられ、図1に白抜き矢印で示す進行方向に搬送される。
【0013】
ヒータ8はコンテナ4を取り囲むように上下左右に配置される。加熱炉2に図示しない不活性ガス注入管及び排出ガス管5,6が配設され、加熱炉2の温度、加熱時間、圧力、酸素濃度等が図示しない制御装置によって制御される。炭素製造装置1は、加熱炉2に不活性ガスを注入して無酸素状態または低酸素濃度状態とした後、ヒータ8を作動させて加熱炉2の温度を所定値まで上昇させる。これにより、コンテナ4の廃材を熱分解し、熱分解により生ずる分解ガスを取り出すように構成されている。
【0014】
炉内搬送物位置検出装置20はコンテナ(搬送物)4の位置を検出する。制御装置は炉内搬送物位置検出装置20の検出信号に応じて、加熱炉2にコンテナ4を自動的に搬入、搬出するとともに、これにあわせて加熱炉2を自動的に開閉する。
【0015】
本発明の炉内搬送物位置検出装置20は、図2に示すように、加熱炉2のケーシング3を貫通し回転可能に支持されるシャフト21と、加熱炉2内を通過するコンテナ4のドグ19に係合してこのシャフト21を回転駆動する回転フォロワ22と、加熱炉2の外側でシャフト21の回転をリミットスイッチ43の作動に変換するシャフト回転位置検出機構40とを備えることを要旨とする。リミットスイッチ43はローラ42が揺動する毎に信号を制御装置に送るようになっている。
【0016】
以下、その具体的な例につき図2以下に示した炉内搬送物位置検出装置20の実施形態を説明する。
【0017】
図2に示すように、シャフト21は対の軸受29を介してインナチューブ31に回転可能に支持される。
【0018】
炉内搬送物位置検出装置20は、加熱炉2のケーシングに固設されるアウタチューブ33を備え、インナチューブ31がアウタチューブ33を介してケーシング3の側壁部に固設される。インナチューブ31の基端部はフランジ46を介してケーシング3側に締結される。
【0019】
インナチューブ31とアウタチューブ33の間には筒状の断熱材32が介装され、この断熱材32によって加熱炉2の外気への放熱を抑えられる。
【0020】
インナチューブ31とシャフト21の間には環状の間隙34が画成され、この間隙34によって加熱炉2の熱がシャフト21に伝えられることを抑えられる。
【0021】
シャフト21の先端部はインナチューブ31の端部から加熱炉2内に突出し、コンテナ4の上方に配置される。このシャフト21の先端部に回転フォロワ22がボルト23を介して締結される。
【0022】
回転フォロワ22はシャフト21に締結される2枚のディスク24と、この各ディスク24の間に各ピン25を介して回転可能に連結される6個のローラ26とを備える。
【0023】
図3に示すように、各ディスク24は6本のアーム部27が回転径方向に放射状に突出し、各アーム部27の先端部の間に各ピン25が連結される。
【0024】
各ローラ26はシャフト21の回転中心軸の同心円周上に均等な間隔を持って並ぶ。コンテナ4の上部にはロブ19が均等な間隔を持って並ぶ。コンテナ4が図3に白抜き矢印で示す方向に搬送されるのに伴って、ローラ26がコンテナ4のロブ19に転接しながら回転フォロワ22を図3に矢印で示す時計回り方向に60度回転する。
【0025】
ロブ19は略四角形の断面を持ってコンテナ4から突出し、ローラ26が乗り上げる角部を削除した傾斜面19aが形成され、ローラ26がロブ19を円滑に乗り越えるようになっている。
【0026】
図2〜4に示す実施形態にて、ロブ19及び回転フォロワ22はコンテナ4の上部に設けられるが、これに限らず、図1に示すように、ロブ及び回転フォロワはコンテナ4の下部に設けても良い。
【0027】
図4に示すように、シャフト回転位置検出機構40は、シャフト21に連結されるストライカ41と、このストライカ41に転接するローラ42とを備え、このローラ42をリミットスイッチ43に連結し、ストライカ41の回転に追従してローラ42がストライカ41に転接しながら揺動し、リミットスイッチ43を作動させる。
【0028】
円盤状のストライカ41は6個の山部44が回転径方向に突出し、各山部44がシャフト21の回転中心軸の同心円周上に均等な間隔を持って並ぶ。
【0029】
リミットスイッチ43はスプリングに抗して揺動するアーム49の先端にローラ42が回転可能に連結される。
【0030】
なお、リミットスイッチ43はこれに限らず、スプリングに抗して伸縮作動するものを用いても良い。
【0031】
コンテナ4が前進するのに伴ってストライカ41は図4に矢印で示す時計回り方向に回転する。ストライカ41の山部44にはローラ42が乗り上げる傾斜部44aが形成され、ローラ42がこの傾斜部44aに転接して山部44を円滑に乗り越えるようになっている。
【0032】
リミットスイッチ43は支持プレート45に取り付けられ、この支持プレート45はインナチューブ31のフランジ46に対して複数のボルト47を介して締結される。フランジ46に対して支持プレート45が締結される位置を調節することにより、ストライカ41に対するローラ42の位置が調節される。
【0033】
炉内搬送物位置検出装置20は以上のように構成されて、次に作用及び効果について説明する。
【0034】
コンテナ4がコンベア10に搬送され前進するのに伴って、回転フォロワ22はそのローラ26がコンテナ4のロブ19に係合して60度回転し、シャフト21を介してストライカ41を60度回転させ、ストライカ41の山部41aがローラ42をたたいて停止し、リミットスイッチ43が1回カウント作動する。ストライカ41は次のロブ19がローラ26に当接するまでその回転位置に停止し、次の回転時にストライカ41の山部41aがローラ42から外れる。こうしてストライカ41が60度づつ回転するのに伴ってリミットスイッチ43が信号を出力し、制御装置がこの検出信号を基にコンテナ4の所定の搬送位置に移動、停止させるとともに、加熱炉2を開閉する制御を行う。
【0035】
回転フォロワ22はコンテナ4のロブ19が搬送方向に移動する動きに追従して回転作動し、回転フォロワ22の回転がシャフト21を介してストライカ41に伝えられ、ストライカ41の回転によってリミットスイッチ43を作動させる構成のため、ストライカ41をスプリング等を介して揺動させることがなく、熱変形やスラッジ等の付着によってシャフト21の摺動抵抗が増えてもリミットスイッチ43を確実に作動させることができる。
【0036】
シャフト回転位置検出機構40は、ストライカ41の回転に追従してローラ42がストライカ41に転接しながら揺動することにより、リミットスイッチ43を円滑に作動させることができる。
【0037】
回転フォロワ22はローラ26がコンテナ4のロブ19に転接しながら乗り越えることにより、コンテナ4が搬送方向に移動する動きに追従して円滑に回転作動することができる。
【0038】
加熱炉2の温度は数百度を超えて上昇し、回転フォロワ22は加熱炉2内の高温ガスにさらされるが、ケーシング3の外側に設けられるシャフト回転位置検出機構40は加熱炉2内の高温ガスにさらされることがないため、シャフト回転位置検出機構40の熱劣化を防止し、シャフト回転位置検出機構40に要求される耐熱性を低くすることができる。
【0039】
インナチューブ31とアウタチューブ33の間には断熱材32が介装され、インナチューブ31とシャフト21の間には間隙34が画成されるため、加熱炉2の熱がインナチューブ31とシャフト21を介してシャフト回転位置検出機構40に伝えられることを抑えられ、シャフト回転位置検出機構40の熱劣化を防止できる。
【0040】
本発明は上記の実施の形態に限定されずに、その技術的な思想の範囲内において種々の変更がなしうることは明白である。
【産業上の利用可能性】
【0041】
本発明の炉内搬送物位置検出装置は、廃材加熱処理装置に限らず、他の装置にも利用できる。
【図面の簡単な説明】
【0042】
【図1】本発明の実施の形態を示す廃材加熱処理装置の断面図。
【図2】同じく炉内搬送物位置検出装置の断面図。
【図3】同じく回転フォロワの側面図。
【図4】同じく炉内搬送物位置検出装置の側面図。
【符号の説明】
【0043】
1 廃材加熱処理装置
2 加熱炉
3 ケーシング
4 コンテナ(搬送物)
10 コンベア
20 炉内搬送物位置検出装置
21 シャフト
22 回転フォロワ
26 ローラ
40 シャフト回転位置検出機構
42 ローラ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加熱炉にて搬送物の位置をリミットスイッチを介して検出する炉内搬送物位置検出装置において、
前記加熱炉のケーシングを貫通し回転可能に支持されるシャフトと、前記加熱炉内を通過する搬送物のドグに係合してこのシャフトを回転駆動する回転フォロワと、前記加熱炉の外側でシャフトの回転を前記リミットスイッチの作動に変換するシャフト回転位置検出機構とを備えたことを特徴とする炉内搬送物位置検出装置。
【請求項2】
前記シャフト回転位置検出機構は、前記シャフトと共に回転するストライカを備え、前記リミットスイッチをこのストライカに追従して作動させることを特徴とする請求項1に記載の炉内搬送物位置検出装置。
【請求項3】
前記回転フォロワは前記搬送物のドグに転接する複数のローラを備えたことを特徴とする請求項1または2に記載の炉内搬送物位置検出装置。
【請求項4】
前記加熱炉のケーシングに固設されるアウタチューブと、前記加熱炉のケーシングを貫通して前記シャフトを回転可能に支持するインナチューブと、このインナチューブとアウタチューブの間に介装される断熱材とを備えたことを特徴とする請求項1から3のいずれか一つに記載の炉内搬送物位置検出装置。
【請求項5】
前記加熱炉のケーシングを貫通して前記シャフトを回転可能に支持するインナチューブと、前記シャフトとこのインナチューブの間に画成される間隙とを備えたことを特徴とする請求項1から4のいずれか一つに記載の炉内搬送物位置検出装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2007−64495(P2007−64495A)
【公開日】平成19年3月15日(2007.3.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−247293(P2005−247293)
【出願日】平成17年8月29日(2005.8.29)
【出願人】(304039065)カヤバ システム マシナリー株式会社 (185)
【Fターム(参考)】