説明

炊飯器

【課題】簡単な構成で正確な吹きこぼれ防止と沸騰検知を実現できること。
【解決手段】蓋体の表面に設けた蒸気通路と、蒸気通路の上方に設けた略筒状の錘筒と、この錘筒の内面側を上下に移動する錘と、錘の下部に配置し通常温度では収縮し、略沸騰温度で伸びる形状記憶合金よりなるばねと、錘筒の上面に配置された発光素子と受光素子とよりなり、ばねが略沸騰温度で錘を情報に押し上げたときに、発光素子の光が受光素子へ遮断され鍋内の沸騰を検知することにより、簡単な構成で正確な沸騰検知と吹きこれ防止を実現できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は一般的な家庭用の炊飯器に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来、鍋内の蒸気の沸騰を検知するこの種の炊飯器は、蓋内部に収められた温度センサー70により検知されるようになっている。
【0003】
図4は、特許文献1に記載された従来の炊飯器を示すものである。図4に示すように、31は炊飯器の本体を示し、着脱自在の鍋を内装する。さらに鍋の上面を覆う蓋60が開閉自在に設置されている。
【0004】
また、鍋を加熱する鍋加熱手段と鍋の温度を検知する鍋温度検知手段を本体31内部に配置する。フロート66は、蓋47が閉まった状態では、蒸気の吹き出し口68の上部を覆うように配設しており、フロート66を円筒状、または球状の磁石により形成し、一方、蒸気筒50の下面に当該フロート66の移動をガイドする溝69を設け、フロート66に取り付けられた当該窪んだ溝69にガイドされる凸部を全周に渡って設けている。また、当該溝69は、炊飯時のおねば発生時に当該おねばの通過する道を形成するとともに、フロート66がおねばによって移動不可能となるのを防止する役目も担うものである。フロート66はおねば検出装置である。従来の構成はこのフロート66の移動を検知しておねばの発生を防止していた。本発明はおねばの発生防止と沸騰検知を簡単な構成で達成する炊飯器に関するものである。
【特許文献1】特開平11−99059号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
前記従来の構成では、吹きこぼれ防止と沸騰検知の正確さが要求されていた。特に、業務用等ではコンベアの上に多数の炊飯器を設置し、順次炊飯していくため耐久性があり、簡単な構成の吹きこぼれ防止と沸騰検知構成が課題であった。
【0006】
本発明は、前記従来の課題を解決するもので、簡単な構成で正確な吹きこぼれ防止と沸騰検知を実現できる炊飯器を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記従来の課題を解決するために、本発明の炊飯器は、炊飯器本体と、炊飯器本体内に着脱自在に収納された鍋と、炊飯器本体の上面開口部を覆い開閉自在に軸支した蓋体と、蓋体の表面に設けた蒸気通路と、蒸気通路の上方に設けた略筒状の錘筒と、この錘筒の内面側を上下に移動する錘と、錘の下部に配置し通常温度では収縮し、略沸騰温度で伸びる形状記憶合金よりなるばねと、錘筒の上面に配置された発光素子と受光素子とよりなり、ばねが略沸騰温度で錘を上方に押し上げたときに、発光素子の光が受光素子へ遮断され鍋内の沸騰を検知することとし、吹きこぼれも防止したものである。
【発明の効果】
【0008】
本発明の炊飯器は、吹きこぼれ検知と沸騰検知を簡単な構成で達成することができる。従来のような温度センサーでは、業務用などの大型の炊飯器では沸騰検知を短時間で捕らえる適切な場所をみつけるのが困難であったが、これを解消できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0009】
第1の発明は、蓋体の表面に設けた蒸気通路と、蒸気通路の上方に設けた略筒状の錘筒と、この錘筒の内面側を上下に移動する錘と、錘の下部に配置し通常温度では収縮し、略沸騰温度で伸びる形状記憶合金よりなるばねと、錘筒の上面に配置された発光素子と受光素子とよりなり、ばねが略沸騰温度で錘を情報に押し上げたときに、発光素子の光が受光素子へ遮断され鍋内の沸騰を検知することにより、簡単な構成で正確な沸騰検知を実現できる。
【0010】
第2の発明は、さびにくい耐久性のあるバネを提供することができる。
【0011】
第3の発明は、重量が軽く、生産性の良いバネを提供することができる。
【0012】
(実施の形態1)
図1は本発明の第1の実施の形態における炊飯器の断面図を示すものである。図1において、1は炊飯器の本体を示し、着脱自在の鍋2を内装する。さらに鍋2の上面を覆う蓋体3が開閉自在に設置されている。また鍋2を加熱する鍋加熱手段4と鍋2の温度を検知する鍋温度検知手段5を本体1内部に配置する。鍋加熱手段4と鍋温度検知手段5は保護枠6によって保持されている。鍋加熱手段4は、ヒーターであっても、鍋2を誘導加熱するコイルであっても、いかなる加熱手段であっても構わない。鍋2上面の開口部には鍋内の蒸気を本体1外に排出する蒸気通路7が設けられている。
【0013】
蓋体3の温度を検知する蓋温度検知手段8が蓋体3内に設けられ、蓋加熱手段9を制御する。
【0014】
図2において、蓋加熱手段9を載置する放熱板10に複数の蒸気穴11があいている。蒸気穴11の上面を覆う蒸気通路12がある。蒸気通路12の上には、略筒状の錘筒17が配置されている。蒸気通路12と錘筒17の間には蒸気通過孔18がある。錘筒17の内側には形状記憶合金よりなるばね13が配置され、上部には錘14が固定されている。錘14の中央には蒸気の抜ける孔19がある。錘筒17の上面側に発光素子15と受光素子16が配置されている。
【0015】
次に、炊飯工程は浸水、炊き上げ、蒸らしの各工程に大分されている。
【0016】
浸水工程においては、鍋温度検知手段5で鍋2の温度を米が吸水に適した温度(約60℃)になるように鍋加熱手段4を制御する。所定の時間を経て米に水が吸水した後、浸水工程から炊き上げ工程に移行する。
【0017】
炊き上げ工程では、鍋加熱手段4によって、鍋2内の米と水の温度を急激に上昇させて、沸騰状態にする。このとき、ばね13に略沸騰の蒸気が当たり、ばねが超弾性の荷重で錘を上昇させる。この状態を、図3に示す。錘14が発光素子15の光を遮断し、鍋加熱手段4はマイコン制御により断続的な短時間ON、長時間OFFを繰り返す。また、蒸気が出なくなり錘付近の温度が下がると、ばねは弾性力が無くなり収縮し、動作前の状態に戻る。マイコンはこの状態を検知し、次の炊飯に備える。以上の結果により、沸騰検知とともに、おねばの吹きこぼれは防止される。この後、鍋2底の水分がなくなって、鍋温度検知手段5の温度が100℃を超えた所定の温度になったことを検知すると、鍋加熱手段4による鍋2の加熱を止めて、炊き上げ工程を終えて、蒸らし工程になる。
【産業上の利用可能性】
【0018】
以上のように、本発明にかかる炊飯器は、民生用のみならず業務用の炊飯器などにも適用できる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の実施の形態1における炊飯器の縦断面図
【図2】本発明の実施の形態1における炊飯器の主要断面図
【図3】本発明の実施の形態1における炊飯器の主要断面図
【図4】従来の炊飯器の主要断面図
【符号の説明】
【0020】
1 本体
2 鍋
3 蓋体
12 蒸気通路
13 ばね
14 錘
15 発光素子
16 受光素子
17 錘筒

【特許請求の範囲】
【請求項1】
炊飯器本体と、前記炊飯器本体内に着脱自在に収納された鍋と、前記炊飯器本体の上面開口部を覆い開閉自在に軸支した蓋体と、前記蓋体の表面に設けた蒸気通路と、前記蒸気通路の上方に設けた略筒状の錘筒と、この錘筒の内面側を上下に移動する錘と、錘の下部に配置し通常温度では収縮し、略沸騰温度で伸びる形状記憶合金よりなるばねと、前記錘筒の上面に配置された発光素子と受光素子とよりなり、前記ばねが略沸騰温度で前記錘を上方に押し上げたときに、前記発光素子の光が前記受光素子へ遮断され鍋内の沸騰を検知する炊飯器。
【請求項2】
形状記憶合金がニッケル、チタンの合金よりなる請求項1記載の炊飯器。
【請求項3】
形状記憶合金が銅、亜鉛、アルミニウムの合金よりなる請求項1記載の炊飯器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2006−280766(P2006−280766A)
【公開日】平成18年10月19日(2006.10.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−107256(P2005−107256)
【出願日】平成17年4月4日(2005.4.4)
【出願人】(000005821)松下電器産業株式会社 (73,050)
【Fターム(参考)】