炊飯器
【課題】取付部を大きくしたり、別部品を追加することなく、パッキンに対する清掃性を向上させる。
【解決手段】外蓋カバー35に嵌合するために、その断面を凹形にした環状の取付部85を、パッキン80に設けているが、この取付部は、調圧部側にある凹形の一方が、凹形の他方よりも大きな径を有しており、この部分で蓋体との抵抗が増えているので、パッキン80を調圧部側から押した時に、凹形の一方が蓋体からのパッキン80の外れを阻止して、清掃時にパッキン80が外れてしまう不具合を抑制できる。しかも、このような構造では別部品を追加する必要がなく、製造コストを安くできる。さらに、取付部全体を大きくする必要もないので、製品をコンパクトにすることも可能になる。
【解決手段】外蓋カバー35に嵌合するために、その断面を凹形にした環状の取付部85を、パッキン80に設けているが、この取付部は、調圧部側にある凹形の一方が、凹形の他方よりも大きな径を有しており、この部分で蓋体との抵抗が増えているので、パッキン80を調圧部側から押した時に、凹形の一方が蓋体からのパッキン80の外れを阻止して、清掃時にパッキン80が外れてしまう不具合を抑制できる。しかも、このような構造では別部品を追加する必要がなく、製造コストを安くできる。さらに、取付部全体を大きくする必要もないので、製品をコンパクトにすることも可能になる。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、炊飯を行なう炊飯器に関し、特に製品をコンパクト化させた炊飯器に関する。
【背景技術】
【０００２】
一般に、この種の炊飯器は、容器を本体に収納自在とし、炊飯を行なうものが例えば特許文献１などで知られている。この特許文献１では、本体の上部に容器を覆う蓋体が設けられており、蓋体には、炊飯時に容器内から発生する水蒸気を放出するための蒸気排出機構や、容器に対向して配置される内蓋などが設けられる。その際、これらの蒸気排出機構の一部，内蓋からなる内蓋セット（内蓋体）が設けられる。
【０００３】
蓋体は、本体に対し開閉自在とする構造になっている。また、前記蒸気排出機構の一部は、圧力を調整する調圧部に相当するものである。また、孔部が設けられる。この孔部は、容器内の水蒸気を外部に放出させるためのものである。そして、圧力を調整する構成となっている。
【０００４】
さらに、前記蓋体には可動可能なフレームと、パッキンが設けられ、調圧部がフレームにより操作されるようになっている。
【特許文献１】特開２０００−７０１２９号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
しかし、上述した従来の炊飯器の構造では、次のような問題点があった。
【０００６】
炊飯或いは保温を終了し、炊飯器の各部を清掃する際に、清掃可能な箇所がよく清掃されるケースは多々ある。例えば、調圧弁を動作させるパッキンもその一つである。パッキンは炊飯器の奥に位置しており、蓋体を開けた状態で、内蓋セットを蓋体から取り外し、蓋体の下面にある凹部に指を差し入れなければ清掃することができず、実際には小さい部品なので布巾などを指の先に引掛けて清掃する場合が殆どである。
【０００７】
ところが、その際に、パッキンの外蓋カバーに取付ける部分を無意識のうちに押してしまい、パッキンと外蓋カバーとの嵌合が外れてしまう場合がある。これは、次回の炊飯時に蓋体内部への蒸気漏れを引き起こす原因となる。また、こうした事態を避けるために、清掃を終了する度にパッキンが外れていないか確認する煩わしさが生じる。
【０００８】
このような問題に対しては、外蓋カバーに対するパッキンの取付け部分、すなわち取付部を大きくすれば回避できるが、蓋体内部ひいては炊飯器としての製品寸法を大きくすることに繋がり、炊飯器の設置場所が限定される虞れを生じる。また、取付部全体を大きくすると、今度は製品の組立時にパッキンを外蓋カバーに嵌合しにくくなる。
【０００９】
パッキンが外れるのを防止するために、別部品を付加することも考えられるが、コストアップの要因となり、好ましくない。
【００１０】
本発明は上記問題点に鑑み、取付部を大きくしたり、別部品を追加することなく、パッキンに対する清掃性を向上させることができる炊飯器を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【００１１】
本発明の請求項１における炊飯器では、蓋体に嵌合するために、その断面を凹形にした環状の取付部を、パッキンに設けているが、この取付部は、調圧部側にある凹形の一方が、凹形の他方よりも大きな径を有しており、この部分で蓋体との抵抗が増えているので、パッキンを調圧部側から押した時に、凹形の一方が蓋体からのパッキンの外れを阻止して、清掃時にパッキンが外れてしまう不具合を抑制できる。しかも、このような構造では別部品を追加する必要がなく、製造コストを安くできる。さらに、取付部全体を大きくする必要もないので、製品をコンパクトにすることも可能になる。
【００１２】
本発明の請求項２における炊飯器では、パッキンの取付部よりも小さく、所定の隙間を有して、フレームの動きに支障のないような操作部がフレームに設けられているので、清掃時にパッキンを無意識に押しても、特に蓋体と嵌合する部分であるパッキンの取付部が、フレームに設けた操作部に当接し、それ以上に取付部が変形するのを防止することができる。そのため、清掃時に調圧パッキンが外れてしまう不具合を、操作部によってより効果的に抑制できる。
【００１３】
本発明の請求項３における炊飯器では、パッキンの取付部よりも小径で、しかも所定の隙間を有して、フレームの動きに支障のないような凸部がフレームの操作部に設けられているので、清掃時にパッキンを無意識に押しても、フレームの操作部に設けた凸部にパッキンが当接して、それ以上にパッキンが変形するのを防止し、清掃時にパッキンが外れてしまう不具合を、凸部によってさらに効果的に抑制できる。
【００１４】
本発明の請求項４における炊飯器では、清掃時にパッキンを押そうとしたときに、取付部の外側に位置して設けられた突起部に指などが先当たりして、パッキンに触れづらくなり、清掃時にパッキンが外れてしまう不具合を抑制できる。しかも、突起部は蓋体の一部として一体的に設けられており、別部品を追加する必要がなく、製造コストを安くできる。さらに、取付部を大きくする必要もないので、製品をコンパクトにすることも可能になる。
【００１５】
本発明の請求項５における炊飯器では、取付部にある凹部の一方が、凹部の他方よりも大きく、この部分で蓋体との抵抗が増えているので、パッキンを調圧部側から押した時に、凹部の一方が蓋体からのパッキンの外れを阻止して、清掃時にパッキンが外れてしまう不具合を、凹部の大きさの違いによってより効果的に抑制できる。
【００１６】
本発明の請求項６における炊飯器では、取付部にある凹部の他方が、凹部の一方よりも大きく、この部分で蓋体との抵抗が増えているので、パッキンを調圧部側に引っ張った時に、凹部の他方が蓋体からのパッキンの外れを阻止して、清掃時にパッキンが外れてしまう不具合を、凹部の径の違いによってより効果的に抑制できる。
【００１７】
本発明の請求項７における炊飯器では、清掃時にパッキンを押そうとしたときに、凹部の周辺にある壁部も面一に形成されていて、その部分に指などが先当たりしやすくなるため、パッキンに直接指などが触れにくくなり、清掃時にパッキンが外れてしまう不具合をさらに抑制できる。
【００１８】
本発明の請求項８における炊飯器では、フレームの駆動源がソレノイドであるため、このソレノイドへの通電を行なうか否かによって、内蓋体に設けた調圧部を所望の位置に動かすことができる。
【００１９】
本発明の請求項９における炊飯器では、蓋体を清掃する場合には通常ソレノイドが非通電となっているが、この状態ではフレームのストッパー部が取付部の任意の箇所に当たっているので、パッキンを引っ張ったりしても、蓋体からパッキンが外れにくくなり、清掃性がさらに向上する。
【発明の効果】
【００２０】
本発明の請求項１における炊飯器によれば、取付部を大きくしたり、別部品を追加することなく、パッキンに対する清掃性を向上させることができる。
【００２１】
本発明の請求項２における炊飯器によれば、清掃時にパッキンが外れてしまう不具合を、操作部によってより効果的に抑制できる。
【００２２】
本発明の請求項３における炊飯器によれば、清掃時にパッキンが外れてしまう不具合を、凸部によってさらに効果的に抑制できる。
【００２３】
本発明の請求項４における炊飯器によれば、取付部を大きくしたり、別部品を追加することなく、パッキンに対する清掃性を向上させることができる。
【００２４】
本発明の請求項５における炊飯器によれば、清掃時にパッキンが外れてしまう不具合を、凹形の径の違いによってより効果的に抑制できる。
【００２５】
本発明の請求項６における炊飯器によれば、清掃時にパッキンが外れてしまう不具合を、凹形の径の違いによってより効果的に抑制できる。
【００２６】
本発明の請求項７における炊飯器によれば、凹形の一方とほぼ面一な壁部によって、清掃時にパッキンが外れてしまう不具合をさらに抑制できる。
【００２７】
本発明の請求項８における炊飯器によれば、ソレノイドへの通電または非通電により、調圧部を所望の位置に動かすことができる。
【００２８】
本発明の請求項９における炊飯器によれば、パッキンを引っ張ったりしても、蓋体からパッキンを外れにくくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００２９】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明における炊飯器の好ましい実施例を説明する。
【００３０】
まず、図１に基づき、本発明の参考例である炊飯器の構成について説明する。同図において、１は炊飯器の外郭をなす本体で、この本体１は、その上面と上側面を構成する上枠２と、側面を構成するほぼ筒状の外枠３とにより形成され、外枠３の底部開口を覆う底板４が設けられている。そして、上枠２や底板４は、ＰＰ（ポリプロピレン）などの合成樹脂で形成される一方で、外枠３は清掃性や外観品位を向上させるために、例えばステンレスなどの金属部材で形成される。また、上枠２の上面内周部から一体に垂下させて形成されるほぼ筒状の鍋収容部６と、この鍋収容部６の下面開口を覆って設けられ、ＰＥＴ（ポリエチレンテレフタレート）などの合成樹脂で形成される内枠８とにより、後述する鍋11を収納する有底筒状で非磁性材料からなる鍋収容体９が形成される。
【００３１】
前記鍋収容体９内には、米や水などの被炊飯物を収容する有底筒状の鍋11が着脱自在に収容される。この鍋11は、熱伝導性のよいアルミニウムを主材料とした鍋本体12と、この鍋本体12の外面の側面下部から底面部にかけて接合されたフェライト系ステンレスなどの磁性金属板からなる発熱体13とにより構成される。鍋11の側面中央から上部に発熱体13を設けないのは、鍋11の軽量化を図るためである。また、鍋11の上端周囲には、その外周側に延出する円環状のフランジ部14が形成されている。なお、鍋収容部６の外周には加熱手段を設けない構成となっている。
【００３２】
前記内枠８は、鍋11の発熱体13に対向して位置しているが、この内枠８の外面の発熱体13に対向する側面下部および底面部には、鍋11の特に底部を電磁誘導加熱する加熱手段としての加熱コイル16が設けられている。そして、この加熱コイル16に高周波電流を供給すると、加熱コイル16から発生する交番磁界によって鍋11の発熱体13が発熱し、鍋11ひいては鍋11内の水や米などの被炊飯物が加熱されるようになっている。
【００３３】
また、内枠８の底部中央部には、鍋11の底部外面と弾発的に接触するように、鍋温度検出手段としての温度センサ21が配置され、鍋11の温度を検知し、加熱コイル16による鍋11の底部の加熱温度を主に温度管理するようになっている。
【００３４】
前記鍋収容体９の上端には、鍋11の側面上部、特にフランジ部14を加熱するためのコードヒータ26が、鍋11のフランジ部14の下側に位置して円環状に配置されている。このコードヒータ26は電熱式ヒータからなり、鍋収容体９の上端に載置するようにして取り付けられた熱放散抑止部材としてのヒータリング27上に保持されると共に、コードヒータ26を上から覆うようにしてヒータリング27に取り付けられ、かつ熱伝導性に優れた例えばアルミ板からなる固定金具と放熱部とを兼用する金属板29を備えて、フランジヒータを構成している。この金属板29は、炊飯器本体１と蓋体31との隙間に対向して位置している。そして、前記金属板29の上面に鍋11のフランジ部14の下面が載置し、これにより、鍋11が本体１の上枠２に吊られた状態で、鍋収容体９内に収容されるようになっている。したがって、鍋11とこの鍋11が収容された鍋収容体９の上端との間における隙間がほとんどない構成になる。しかも、鍋11のフランジ部14は、外形がコードヒータ26と同等以上の大きさに形成されており、これにより、コードヒータ26が鍋11のフランジ部14で上から覆われるようになっている。但し、図示していないが、鍋11の持ち手部（フランジ部14）は非接触にし、部分的に隙間を形成することで、鍋11の外面に水が付着した状態で炊飯したときに、当該隙間から蒸気が排出されるようにしてある。
【００３５】
蓋体31は、その上面外殻を形成する例えばプラスチック製の外蓋32と、外蓋32の上面部を覆う三次元形状の金属蓋33と、蓋体31の内面である下面を形成する放熱板34と、外蓋32および放熱板34を結合させて蓋体31の骨格を形成する蓋ベース材としての外蓋カバー35とを主たる構成要素としている。外蓋カバー35に設けられる放熱板34は金属製であり、例えば、ステンレスやアルミニウムをアルマイトした材料からなっている。また、前記蓋体31の内部にあって、放熱板34の上面には、蓋加熱手段としての蓋ヒータ36が設けられている。この蓋ヒータ36は、コードヒータなどの電熱式ヒータや、電磁誘導加熱式による加熱コイルでもよい。
【００３６】
前記本体１を構成する上枠２の後方には、蓋体31と連結するヒンジ部38が設けられる。このヒンジ部38には、炊飯器の正面から見て左右方向に一対の孔39が設けられていると共に、ねじりコイルバネなどで形成したヒンジバネ40が、その内部に収納される。一方、外蓋カバー35の後方にも、前記ヒンジ部38に設けた孔39と対向するようにヒンジ受部としての外蓋カバーヒンジ孔（図示せず）が設けられる。そして、このヒンジ孔とヒンジ部38の孔39に共通して、棒状のヒンジシャフト41を挿通することで、本体１と蓋体31がヒンジシャフト41を支点として開閉自在に軸支される。さらに、前記ヒンジバネ40の一端と他端が、外蓋カバー35と外枠２にそれぞれ引掛けられることで、蓋体31は常時開方向に付勢されている。
【００３７】
外蓋カバー35に設けたヒンジ受部の略反対側に位置して、当該外蓋カバー35の前方には蓋体クランプ部としてのクランプ44を設ける。このクランプ44は、図２にも示すように、蓋体31の内部に設けたクランプシャフト45を中心として、外蓋カバー35に対し回転自在に軸支される。なお、クランプシャフト45は、その軸が蓋体31の水平左右方向にほぼ沿って配置される。蓋体31の前方上面には、蓋開ボタン46が露出状態で配設されており、この蓋開ボタン46の下側に、前記クランプ44の基端部44Ａが配置される。また蓋体31の内部には、前記クランプ44の基端部44Ａを蓋開ボタン46側に付勢するバネなどのクランプ付勢手段（図示せず）が設けられており、これにより蓋開ボタン46を常時上方に押し上げようとする力が作用する。
【００３８】
クランプ44は、蓋開ボタン46に当接する基端部44Ａの他に、外蓋カバー35の下面にあるクランプ用孔48から下方に突出する垂下部44Ｂと、クランプ44の実質的な先端部に相当し、垂下部44Ｂの下端を起点として、そこから本体１の内方に延出する係合部44Ｃとにより構成される（図２や図３を参照）。これらの垂下部44Ｂや係合部44Ｃは、クランプ44の下側にあって左右一対に設けられる。クランプ44の回転中心となるクランプシャフト45は、垂下部44Ｂの上端に沿うように配置されており、係合部44Ｃは本体１のほぼ前後方向に遥動するようになっている。
【００３９】
一方、上枠２に設けたヒンジ部38の略反対側に位置して、当該上枠２の前方には本体クランプ部としてのクランプ受け（図示せず）が配設されており、蓋体31を本体１側に閉じようとすると、クランプ44がクランプシャフト45を中心軸として回転し、当該クランプ受けに係合することで、本体１に対し蓋体31を閉状態に保持するようになっている。
【００４０】
55は、放熱板34の外側すなわち下側に設けられる内蓋体としての内蓋組立体である。この内蓋組立体55は、鍋11の上方開口部とほぼ同径の円盤状を有し、ステンレスやアルミニウムをアルマイトした金属性の内蓋56と、鍋11と内蓋56との間をシールするために、当該内蓋56の外縁上部全周に設けられ、シリコーンゴムやフッ素ゴムなどの弾性部材からなるシール部材としての蓋パッキン57と、内釜の内圧力を調整する調圧部58とを備えている。環状に形成された蓋パッキン57は、蓋体31を閉じた時（蓋閉時）に、鍋11のフランジ部14上面に当接して、この鍋11と内蓋56との間の隙間を塞ぎ、鍋11から発生する蒸気を密閉するものである。また、前記内蓋56の外周部には、内蓋組立体55を蓋体31に装着したときにのみ、前記クランプ付勢手段の弾性力をクランプ44に作用させるフック部（図示せず）を形成したパッキンベース59が固定されており、パッキンベース59と内蓋56とにより挟まれて蓋パッキン57が固定されている。これにより、内蓋56と蓋パッキン57はパッキンベース59で一体化され、内蓋組立体55が蓋体31の下面から着脱可能に設けられることにより、炊飯毎に内蓋組立体55を単体で洗うことが可能になる。
【００４１】
前記放熱板34には、蓋体31の特に内蓋56の温度を検知する蓋温度検知手段として、蓋ヒータ51による内蓋56の温度管理を行なうためのサーミスタ式の蓋温度センサ61（図６参照）が設けられていている。また、蓋体31の上面後方寄り部には、蓋体31の上面側から着脱可能な蒸気口62が設けられる。蒸気口62と前記調圧部58は蓋体31の内部で連通しており、これらの蒸気口62や調圧部58により、鍋11内で発生した蒸気を外部へ放出するための蒸気排出機構が形成される。
【００４２】
次に、調圧部58およびその周辺の構成を、図２〜図５の各図をも参照しながら説明する。前記調圧部58は、調圧用の調圧弁65と、調圧弁65を保持する調圧弁ホルダー66と、調圧弁65を覆うドーム状の調圧弁カバー67とにより構成される。調圧弁65は耐食性に優れた材料で、ある程度の重量を有する部品であればよく、例えばオーステナイト系のステンレスからなるボールであってもよい。調圧弁ホルダー66は、球状の調圧弁65を載置する台座部69と、調圧弁65の下方に配置され、鍋11と連通してこの鍋11内の蒸気を排気する第１の連通孔としての連通孔70とを有する。連通孔70は、鍋11と内蓋56とを連通させるためのもので、この連通孔70を通過する蒸気が、蒸気口62から外部に放出されるようになっている。また、調圧弁65は台座部69に載置された状態で、連通孔70を塞ぐようになっており、連通孔70の開口面積と調圧弁65の重量とにより、鍋11内の圧力を調整することができる。
【００４３】
内蓋56の適所には、前記調圧弁ホルダー66の台座部69が挿通可能な挿入孔72が形成されると共に、前記台座部69の下側には、この台座部69よりも径大なフランジ部73が形成される。これにより、調圧弁ホルダー66を内蓋56の挿入孔72に向けて下側から挿通すると、フランジ部73が挿入孔72の周囲部下面に当接する。そして、調圧弁ホルダー66を内蓋56の挿入孔72に差し込み、調圧弁65を調圧弁ホルダー66に保持した状態で、調圧弁ホルダー66の上方から調圧弁カバー67を被せることで、内蓋56に調圧部58が組立てられる。このとき、調圧弁ホルダー66と調圧弁カバー67は爪嵌合により取付け固定されてもよいし、ネジやリベットなどの止着部材で取付け固定されてもよい。本参考例では、内蓋56の挿入孔72の周囲部が調圧弁ホルダー66と調圧弁カバー67とにより挟持されるので、挿入孔72を露出させない構造とすることができる。
【００４４】
調圧弁カバー67は、調圧弁65の移動範囲を規制するためのもので、連通孔70から放出する蒸気を蒸気口62に導く複数の孔（図示せず）が設けられている。また、調圧弁ホルダー66の下部には、当該調圧弁ホルダー66の下側開口を覆う調圧弁フィルター74が設けられる。この調圧弁フィルター74は、第２の連通孔に相当する複数の孔が設けられていて、ここから調圧部58内に蒸気が進入するようになっている。
【００４５】
前記内蓋組立体55には、その他に鍋11内の圧力が何らかの要因で設定値以上である異常圧力に昇圧すると、ばねに抗して弁体75を押し上げ、孔76を開放して鍋11の内圧を下げる安全弁77が設けられる。調圧部58および安全弁77は、内蓋56を外蓋カバー35の下側に取付けたときに、蒸気口62の入口側に臨んで設けられる。
【００４６】
78は、蓋体31の内部に設けられ、前記調圧弁65を動かして蓋体31の密閉度すなわち鍋11の内圧を調節するソレノイドである。また、蓋体31の内部に位置して、外蓋カバー35には、ソレノイド78によって可動可能な調圧フレーム79と、蓋体31内部を水密状態に保持する可撓性の調圧パッキン80が設けられる。これらのソレノイド78や調圧フレーム79は、外蓋カバー35により蓋体31の内部に形成された調圧収容部81に収容配置されている。
【００４７】
調圧フレーム79は、調圧弁65に向けて突出する操作部としての調圧操作部82と、ソレノイド78を囲うようにして設けたフレーム部83とを一体に形成したものであり、調圧操作部82が調圧部58を構成する調圧弁カバー67の側部開口に臨むように配置される。また、調圧パッキン80の基端には、外蓋カバー35に設けた取付用孔84の周縁に嵌合するように、断面が凹字形状をなす取付部85が設けられる。この取付部85は環状をなし、その内側に可動する調圧フレーム79が配置される。調圧パッキン80の先端には、調圧弁65に直接接触してこの調圧弁65を動作させる可動部86が一体に形成される。可動部86は、前記調圧フレーム79の調圧操作部82を簡単に差し込んで装着できるようにキャップ状に形成されており、取付部85と可動部86との間を一体的に繋ぐ連結部87を、他の部位よりも肉薄に形成して、十分な柔軟性を持たせることにより、調圧フレーム79と共に可動部86が調圧弁65に向けて出没するようになっている。
【００４８】
前記調圧フレーム79は、調圧操作部82の基端部に位置して、フレーム部83との繋ぎ部88が形成される。この繋ぎ部88は、可動部86が装着される調圧操作部82の先端部よりも径大ではあるものの、少なくとも調圧フレーム79や調圧パッキン80の寸法誤差を見越して、調圧フレーム79が可動する全ての位置で、調圧パッキン80の取付部85の内径に、繋ぎ部88の外面が接触して干渉しないように、しかも清掃時に調圧パッキン80の取付部85周辺を指で押し込んだ場合に、取付部85が外蓋カバー35から外れる前に繋ぎ部88の外面に当接するように、取付部85の内径に対して所定の隙間90を有して小径になるように形成される。
【００４９】
調圧フレーム79の繋ぎ部88は、さらに調圧操作部82の先端部に近い部位で、放射状に突出した複数の凸部たるリブ91を設けている。このリブ91は、取付部85の内径との間に所定の隙間92を形成し、且つこの取付部85の内径よりも小径となるように配設される。ここでも、調圧パッキン80の取付部85の内径に、調圧フレーム79が接触して干渉しないように、しかも清掃時に調圧パッキン80の連結部87周辺を指で押し込んだ場合に、取付部85が外蓋カバー35から外れる前に、繋ぎ部88の外面に連結部87が当接するように、所定の隙間92を設けることが重要であり、リブ91以外にボスなどを代用してもよい。また突起形状とせず、繋ぎ部88自体の形状を利用してもよい。
【００５０】
本参考例では、ソレノイド78の非通電状態において、調圧フレーム79を進出位置に保持し、調圧弁65を連通孔70から退避する一方で、通電状態において調圧フレーム79を退避させて、調圧弁65を連通孔70に自重で転動させ、鍋11内に圧力を投入するものである。すなわち、図１，図２，図４は、ソレノイド78の非通電状態を示しており、図３はソレノイド78の通電状態を示している。なお、調圧フレーム79の駆動源としては、参考例のようなソレノイド78の他に、例えばステッピングモータなどを利用してもよい。
【００５１】
前記調圧パッキン80の取付部85は、凹形の一方をなす第１のフランジ片96が、調圧部58に対向して形成され、凹形の他方をなす第２のフランジ片97が、調圧フレーム79に対向して形成される。そして、この２つのフランジ片96，97が取付用孔84の周縁を両側から挟み込むことで、調圧パッキン80が外蓋カバー35ひいては蓋体31に嵌合される。また、前記調圧フレーム79のフレーム部83には、ソレノイド78の非通電状態において、取付部85を構成する第２のフランジ片97に当接するストッパー部98が設けられる。このストッパー部98は、図４に示すように、調圧フレーム79が進出位置にあるときに、外蓋カバー35により形成した取付用孔84の周囲の壁部99を利用して、第２のフランジ片97を挟持するものであるが、好ましくは第２のフランジ片97を押し付けるように配設すれば、取付部85が外蓋カバー35からより外れにくくなる。また、ここでのストッパー部98は、部品点数の増加を避けるために調圧フレーム79と一体的に形成されていれば、第１のフランジ片97以外の取付部85に当接してもよい。
【００５２】
調圧フレーム79はソレノイド78により動作するが、このソレノイド78にはプランジャー（図示せず）を備えており、プランジャーを調圧フレーム79に引掛けた状態で取付けている。ソレノイド78と調圧フレーム79との間には、プランジャーを介して弾性手段としてのバネ（図示せず）が設けられており、ソレノイド78の非通電時にこのバネの付勢力を利用して、調圧フレーム79を調圧部58側に進出させる。ソレノイド78が通電されると、プランジャーは引き込まれる。
【００５３】
そして、内蓋組立体55を外蓋カバー35に取付けた状態で、ソレノイド78の非通電時には調圧フレーム79が調圧部58側に進出することにより、内蓋組立体55の調圧弁65が前方に押し出されて、調圧弁ホルダー66の下方に形成した連通孔70が開放される。一方、ソレノイド78の通電時にはプランジャーが引き込まれて調圧フレーム79が後退し、調圧弁65は調圧弁ホルダー66の連通孔70を閉塞する。
【００５４】
再度図１に戻り、前記本体１の前部には操作パネル101が設けられている。この操作パネル101の内側には時間や選択したメニューを表示するＬＣＤ102や、他にいずれも図示しないが、現在の行程を表示するＬＥＤや、炊飯を開始させたり、メニューを選択させるためのスイッチなどを配置した基板が配設される。操作部に相当する操作パネル101はボタン名などを表示するもので、電子部品である制御手段にほこりや水が付着することも防止している。なお、操作パネル101を蓋体31の正面側に設けてもよい。
【００５５】
111は、本体１の内部前方に設けられた加熱制御手段である。この加熱制御手段111は、加熱手段である加熱コイル16を駆動させるための発熱素子（図示せず）を基板に備えて構成される。この加熱コイル16を駆動する素子は、加熱コイル16の発振と共に加熱されるが、動作状態を保証する使用条件温度を有するので、一定温度以下で使用する必要がある。そのために、加熱コイル16を駆動する素子は、例えばアルミニウムのような熱伝導性の良好な材料で構成されるフィン状の放熱器112に熱的に接続され、冷却手段である冷却ファン113から発する風を放熱器112に当てて熱を奪うことにより、使用条件温度内で素子を駆動するようにしている。
【００５６】
冷却ファン113は、加熱制御手段111に取り付けられた放熱器112の下方、若しくは側部に配置されている。また、本体１の底部若しくは側部には、冷却ファン113から発し、加熱制御手段111に取り付けられた放熱器112から熱を奪って温かくなった風を、本体１の外部へ排出するための孔（図示せず）が複数設けられている。加熱制御手段111は製品内部すなわち本体１内に収納されるが、鍋11の外周囲のどの位置に配置してもよい。また、本体１の底部若しくは側部に設けた孔も、どの位置に配置してもよい。しかし、近年は製品の小形化設計が求められている背景もあり、加熱制御手段111や冷却ファン113と、温かな風を排出する孔114は、鍋11をはさんで略反対位置に配置するのが好ましい。
【００５７】
本体１の内部には、電源プラグ（図示せず）を巻き取るためのコードリール116が設けられる。また117は、本体１の両側部を跨ぐように設けられた運搬用の回転可能なハンドルである。
【００５８】
次に制御系統について、図６を参照しながら説明する。同図において、111は前述の加熱制御手段で、これは前記鍋温度センサ21および蓋温度センサ61からの各温度情報を受信して、炊飯時および保温時に鍋11の底部を加熱する加熱コイル16と、鍋11の側部を加熱するコードヒータ26と、蓋体31を加熱する蓋ヒータ36とを各々制御するものである。特に本参考例の加熱制御手段111は、鍋温度センサ21の検出温度に基づいて主に加熱コイル16が制御されて鍋11の底部を温度管理し、蓋温度センサ52の検出温度に基づいて主に蓋ヒータ26が制御されて放熱板34ひいては内蓋56を温度管理するようになっている。加熱制御手段111は、自身の記憶手段（図示せず）に記憶されたプログラムの制御シーケンス上の機能として、被調理物の調理加熱を制御する調理制御手段を備えており、ここでは炊飯時に前記鍋11内の被調理物を炊飯加熱する炊飯制御手段120と、保温時に鍋11内のご飯を所定の保温温度に保温加熱する保温制御手段121とをそれぞれ備えている。
【００５９】
122は、加熱制御手段111からの制御信号を受けて、加熱コイル16に所定の高周波電流を供給する高周波インバータ回路などを内蔵した加熱コイル駆動手段である。またこれとは別に、加熱制御手段111の出力側には、加熱制御手段111からの制御信号を受けて、放熱板34や内蓋56を加熱するように蓋ヒータ36を駆動させる蓋ヒータ駆動手段123と、コードヒータ26をオンにするコードヒータ駆動手段124と、ソレノイド78をオンまたはオフにするソレノイド駆動手段125が各々設けられる。前記炊飯制御手段120による炊飯時、および保温制御手段121による保温時には、鍋温度センサ21と蓋温度センサ61からの各温度検出により、加熱コイル16による鍋11の底部への加熱と、コードヒータ26による鍋11の側面への加熱と、蓋ヒータ36による蓋体31への加熱が行なわれるように構成する。また、前記炊飯制御手段120による炊飯が終了し、鍋11内の被調理物がご飯として炊き上がった後は、保温制御手段121による保温に自動的に移行し、鍋温度センサ21の検知温度に基づき、加熱コイル16やコードヒータ26による鍋11への加熱を調節することで、ご飯を所定の保温温度（約70℃〜76℃）に保温するように構成している。
【００６０】
特に前記コードヒータ26による加熱について補足説明すると、炊飯後にご飯の温度が約100℃から約73℃の保温温度に低下するまでと、約73℃の保温安定時に、コードヒータ26を発熱させて、蓋体31と本体１との隙間の空間に金属板29から熱放射して、この隙間からの外気の侵入による冷えを抑制すると共に、鍋11のフランジ部14を加熱する。また、保温時にご飯を再加熱する期間にもコードヒータ26により鍋11のフランジ部14を加熱し、ご飯の加熱により発生する水分が鍋11の内面上部に結露することを防止するように構成している。
【００６１】
次に、上記構成についてその作用を説明する。鍋11内に被調理物である米および水を入れて、炊飯制御手段120による炊飯を開始すると、鍋温度センサ21による鍋11の底部の温度検知に基づいて、加熱コイル16とコードヒータ26で鍋11の底部と側面部をそれぞれ加熱し、鍋11内の水温を約45〜60℃に15〜20分間保持するひたし炊きが行なわれる。このひたし炊き中は、ソレノイド78をオン状態にして、調圧フレーム79を退避させている。
【００６２】
その後、加熱コイル16により鍋11を強加熱し、被調理物への沸騰加熱を行なう。この沸騰加熱時に鍋11の底部の温度が90℃以上になり、蓋体31の温度が90℃以上で安定したら、鍋11内が沸騰状態になったものとして、それまでよりも加熱量を低減した沸騰継続加熱に移行する。沸騰加熱の途中で、炊飯制御手段120はソレノイド78をオフ状態にして、調圧フレーム79を進出位置に保持させ、調圧パッキン80を介して調圧弁65を連通口70から退避させる。これにより、調圧部58は密閉せずに鍋11の内外を連通させた開放状態となり、鍋11はほぼ大気圧に維持される。なお、上述の蓋体31の温度が90℃以上で安定したことは、蓋温度センサ61からの検出温度の温度上昇率により検知される。また、この沸騰検知において、鍋温度センサ21と蓋温度センサ61とにより、鍋11の底部および蓋体31がいずれも90℃以上になったことを確認でき、完全に鍋11内が沸騰したことを精度よく検知できる。
【００６３】
また、前記鍋11の底部，鍋11の側面部または蓋体31のいずれかが120℃以上の通常ではあり得ない検知温度になったら、加熱制御手段111は何らかの異常があると判断して炊飯加熱における加熱量を低減して全ての動作を停止する切状態にするか、後述するむらしに移行するか、保温を行ない、異常加熱を防止する。逆に、前記鍋11の底部または蓋体31のいずれかが90℃以上になって所定時間（例えば5分）経過しているのに、それ以外の鍋11の底部または蓋体31のいずれかが90℃未満で低い状態の場合、この温度の低い状態の鍋温度センサ21または蓋温度センサ61が、何らかの理由（汚れや傾きや接触不良など）で温度検知精度が悪化していると判断し、同様に炊飯加熱における加熱量を低減して全ての動作を序止する切状態にするか、むらしに移行するか、保温を行ない、これに対処する。
【００６４】
沸騰継続に移行すると、炊飯制御手段120は蓋ヒータ36による蓋加熱を開始させる。ここでの蓋加熱は、内蓋56の温度が100〜110℃になるように、蓋温度センサ61の検知温度により管理される。また沸騰継続加熱に移行したら、炊飯制御手段120はソレノイド78を周期的にオン・オフさせる。この沸騰継続加熱では、操作パネル101により選択したメニューに応じて、ソレノイド78の通断電タイミングを変えるのが好ましい。これにより、鍋11に通じる調圧部58の密閉度を、選択したメニューに応じて最適なものに可変することができる。そして、鍋11の底部が所定の温度上昇を生じたら、炊き上げを検知して、むらしに移行する。むらし中は蓋温度センサ61の検出温度による温度管理によって蓋ヒータ36を通断電し、内蓋56への露付きを防止すると共に、ご飯が焦げない程度に高温（98〜100℃）が保持されるように、鍋11の底部の温度を管理する。むらしは所定時間（15〜20分）続けられ、むらしが終了したら保温制御手段121による保温に移行する。
【００６５】
保温になると、加熱コイル16にて鍋11の底部と側面下部を加熱すると共に、鍋11内に収容するご飯の温度よりも僅かに高く、蓋ヒータ36により蓋体31の下面を加熱し、さらに鍋11の側面をコードヒータ26でご飯が乾燥せず、かつ露が多量に付着しないように温度管理する。鍋11内のご飯の温度は70〜76℃に温度保持されるが、この保温時においても、鍋温度センサ21や蓋温度センサ61が相互に異常に高かったり、あるいは異常に低かったりした場合には、異常を検知してこの異常加熱を防止する。
【００６６】
また、蒸気むらしから保温に至る各行程での調圧部58の密閉度は、選択した調理コースに応じて変えるが、実質的な炊飯終了であるむらしの所定時間前になったら、ソレノイド78をオフにして調圧部58の密閉度を下げ、炊飯終了時に蓋体31を開けるのに支障がない程度に減圧する。
【００６７】
炊飯や保温の終了後に、調圧パッキン80を清掃する場合には、蓋体31を開けた状態で、蓋体31の下面から内蓋組立体55を取り外す。清掃時にはソレノイド78がオフ状態となっているため、調圧フレーム79および調圧パッキン80は進出位置にある。ここで、清掃時において、調圧パッキン80の取付部85を構成する調圧部58側のフランジ片96に指などが引っ掛かり、調圧パッキン80を奥側へ押し込もうとしても、取付部85の内方には所定の隙間90を有する調圧フレーム79の繋ぎ部88が位置しており、この繋ぎ部88に調圧パッキン80の取付部85が当接して、それ以上の変形を防止する。よって、調圧パッキン80の取付部85は外蓋カバー35の壁部99からは外れにくくなる。
【００６８】
また、取付部85よりもやや中央寄りの連結部87に指などが接触し、そこから調圧パッキン80を奥側へ押し込もうとしても、連結部87の内方には所定の隙間92を有する調圧フレーム79のリブ91が位置しており、このリブ91に調圧パッキン80の連結部87が当接して、やはりそれ以上の調圧パッキン80の変形を防止する。そのため、取付部85のみならず連結部87を押し込もうとした場合であっても、調圧パッキン80の取付部85が外蓋カバー35から離脱するのを防止できる。
【００６９】
さらに、ソレノイド78の非通電時には、調圧フレーム79に形成したストッパー部98が、調圧パッキン80の取付部85を構成する第２のフランジ片97に当接して、この第２のフランジ片97を外蓋カバー35の壁部99に向けて押し付けている。こうすることで、清掃時などに調圧パッキン80を引っ張るような力が加わっても、ストッパー部98と外蓋カバー35の壁部99とにより、取付部85の第２のフランジ片97を挟み込むことで、外蓋カバー35からの調圧パッキン80の離脱を確実に防ぐことができる。
【００７０】
以上のように本参考例では、容器である鍋11を収納する本体１と、この本体１の上部を覆う蓋体31と、鍋11の上部開口部を直接覆い、蓋体31の下面に着脱自在に設けられる内蓋体としての内蓋組立体55とを備え、内蓋組立体55には少なくとも鍋11内の圧力を調整する調圧部58が設けられており、蓋体31には例えば水平方向に可動可能なフレームとしての調圧フレーム79と、可撓性を有するパッキンとしての調圧パッキン80が設けられており、内蓋組立体55に設けた調圧部58の調圧弁65が、調圧パッキン80を介して調圧フレーム79により操作されるように構成した炊飯器において、調圧パッキン80よりも小さく、この調圧パッキン80と所定の隙間90を有して、調圧パッキン80の変形を規制する操作部としての調圧操作部82の繋ぎ部88を、調圧フレーム79と共に一つの部材として設けている。
【００７１】
こうすると、調圧パッキン80よりも小さく、当該調圧パッキン80と所定の隙間90を有して、調圧フレーム79の動きに支障のないような調圧操作部82の繋ぎ部88が、この調圧フレーム79に設けられているので、調圧パッキン80に指などを差し入れて清掃を行なう際に、調圧パッキン80を無意識に押しても、調圧操作部82の繋ぎ部88に調圧パッキン80が当接して、それ以上に調圧パッキン80が変形するのを防止し、清掃時に調圧パッキン80が外れてしまう不具合を抑制できる。しかも、この調圧操作部82は調圧フレーム79自体に設けられており、別部品を追加する必要がなく、製造コストを安くできる。さらに、調圧パッキン80の取付部85を大きくする必要もないので、製品をコンパクトにすることも可能になる。
【００７２】
また本参考例における調圧パッキン80は、蓋体31に嵌合する環状の取付部85と、調圧操作部82が装着される可動部86が設けられ、取付部85の内径よりも小さく、この取付部85の内径と所定の隙間90を有して、調圧フレーム79に前記調圧操作部82の繋ぎ部88が設けられている。
【００７３】
この場合は特に、調圧パッキン80の取付部85の例えば内径よりも小さく、この取付部85の内径と所定の隙間90を有して、調圧フレーム79の動きに支障のないような調圧操作部82の繋ぎ部88が調圧フレーム79に設けられているので、清掃時に調圧パッキン80を無意識に押しても、特に蓋体31の外蓋カバー35と嵌合する部分である調圧パッキン80の取付部85が、調圧フレーム79に設けた調圧操作部82の繋ぎ部88に当接し、それ以上に取付部85が変形するのを防止することができる。そのため、清掃時に調圧パッキン80が外れてしまう不具合を、より効果的に抑制できる。
【００７４】
また本参考例における調圧操作部82は、調圧パッキン80の可動部86を装着する部分と異なる箇所（先端部以外の箇所）に、例えば取付部85の内径と所定の隙間92を有して、調圧パッキン80の変形を規制する凸部としてのリブ91を複数設けている。
【００７５】
この場合、調圧パッキン80の取付部85よりも小径で、しかもこの取付部85の内径と所定の隙間92を有して、調圧フレーム79の動きに支障のないような複数のリブ91が、調圧フレーム79の調圧操作部82に設けられているので、清掃時に調圧パッキン80を無意識に押しても、調圧フレーム79の調圧操作部82に設けたリブ91に調圧パッキン80が当接して、それ以上に調圧パッキン80が変形するのを防止し、清掃時に調圧パッキン80が外れてしまう不具合を、リブ91によってさらに効果的に抑制できる。
【００７６】
さらに本参考例では、可動する調圧フレーム79の駆動源として、蓋体31の内部にソレノイド78を配設している。この場合、調圧フレーム79の駆動源がソレノイド78であるため、このソレノイド78への通電を行なうか否かによって、内蓋組立体55に設けた調圧部58を所望の位置に動かすことができる。
【００７７】
また本参考例における調圧フレーム79は、ソレノイド78の非通電時に取付部85に当接するストッパー部98を設けている。蓋体31を清掃する場合には通常ソレノイド78が非通電となっているが、この状態では調圧フレーム79のストッパー部98が取付部85の例えば第２のフランジ片97に当たっているので、調圧パッキン80を引っ張ったりしても、蓋体31から調圧パッキン80が外れにくくなり、清掃性がさらに向上する。
【００７８】
次に、本願発明に関連する実施例を、添付図面に基づき説明する。なお、これらの各実施例は、調圧パッキン80の取付部85や、外蓋カバー35の構造が部分的に異なるだけで、他は上記参考例と共通しているので、同一部分には同一符号を付して説明する。
【００７９】
図７に示す第１の実施例では、蓋体31に嵌合する環状の取付部85と、調圧操作部82が装着される可動部86が調圧パッキン80に設けられている点は、上記参考例と共通しているが、調圧パッキン80の取付部85は、調圧部58側に形成した凹形の一方（第１のフランジ片96）が、調圧フレーム79側に形成した凹形の他方（第２のフランジ片97）よりも大きな径を有している。そしてこの部分は、図７において延長部131として形成されている。なお、フランジ片96，97を両方共に大径にすると、調圧パッキン80を外蓋カバー35に組み込む際の作業性が低下して好ましくない。
【００８０】
このように第１の実施例では、蓋体31の外蓋カバー35に嵌合するために、その断面を凹形にした環状の取付部85を、調圧パッキン80に設けているが、当該取付部85は、第１のフランジ片96が第２のフランジ片97よりも大きな径を有しており、この部分で蓋体31との抵抗が増えているので、調圧パッキン80を調圧部58側から押した時に、凹形の一方である第１のフランジ片96が蓋体31からの調圧パッキン80の外れを阻止して、清掃時に調圧パッキン80が外れてしまう不具合を抑制できる。しかも、このような構造では別部品を追加する必要がなく、製造コストを安くできる。さらに、取付部85全体を大きくする必要もないので、製品をコンパクトにすることも可能になる。
【００８１】
なお、この第１の実施例においても、調圧パッキン80の取付部85の内径よりも小さく、この取付部85の内径と所定の隙間90を有して、調圧フレーム79の動きに支障のないような調圧操作部82の繋ぎ部88が調圧フレーム79に設けられているので、清掃時に調圧パッキン80を無意識に押しても、特に蓋体31の外蓋カバー35と嵌合する部分である調圧パッキン80の取付部85が、調圧フレーム79に設けた調圧操作部82の繋ぎ部88に当接し、それ以上に取付部85が変形するのを防止することができる。そのため、清掃時に調圧パッキン80が外れてしまう不具合を、調圧操作部82の繋ぎ部88によってより効果的に抑制できる。
【００８２】
さらに、リブ91を設けた点や、調圧フレーム79の駆動源としてソレノイド78を配設した点や、さらにストッパー部98を設けた点などは、上記参考例で説明したとおりである。
【００８３】
図８に示す第２の実施例では、蓋体31を構成する外蓋カバー35の取付用孔94の近傍に、突起部132を形成している。この突起部132は、取付部85における調圧部58側に形成した凹形の一方（第１のフランジ片96）より外側に位置して、この取付部85の全周を囲うように、外蓋カバー35と同一部材で環状に突出形成されている。突起部132は、清掃時などに指が調圧パッキン80に直接触れるのを防止するために設けられており、そうした目的が達成できれば、他のどのような形状であっても構わない。
【００８４】
このように第２の実施例では、蓋体31に調圧パッキン80の取付用孔84を設け、蓋体31の取付用孔84に嵌合し、断面が凹形となるように凹部のある環状の取付部85と、調圧フレーム79の調圧操作部が装着される可動部86とを調圧パッキン80に設けると共に、蓋体31の取付用孔84の近傍には、取付部85における調圧部58側に形成した第１のフランジ片96より外側に位置して、この取付部85を囲うように突起部132を形成している。
【００８５】
こうすると、清掃時に調圧パッキン80を押そうとしたときに、取付部85の外側に位置して設けられた突起部132に指などが先当たりして、調圧パッキン80に触れづらくなり、清掃時に調圧パッキン80が外れてしまう不具合を抑制できる。しかも、突起部132は蓋体31の構成部品（外蓋カバー35）の一部として一体的に設けられており、別部品を追加する必要がなく、製造コストを安くできる。さらに、取付部85を大きくする必要もないので、製品をコンパクトにすることも可能になる。
【００８６】
また、図８に示す第２の実施例では、前記第１の実施例と同様に、取付部85の第１のフランジ片96が第２のフランジ片97よりも大きな径を有しており、この部分で蓋体31との抵抗が増えているので、調圧パッキン80を調圧部58側から押した時に、凹部の一方である第１のフランジ片96が蓋体31からの調圧パッキン80の外れを阻止して、清掃時に調圧パッキン80が外れてしまう不具合を、凹部の大きさ（径）の違いによってより効果的に抑制できる。
【００８７】
さらに、この第２の実施例においても、リブ91を設けた点や、調圧フレーム79の駆動源としてソレノイド78を配設した点や、さらにストッパー部98を設けた点などは、上記参考例で説明したものと共通している。
【００８８】
図９に示す第３の実施例では、調圧パッキン80の取付部85は、調圧フレーム79側に形成した凹部の他方（第２のフランジ片97）が、調圧部58側に形成した凹部の一方（第１のフランジ片96）よりも大きな径を有している。そしてこの部分は、図９において延長部133として形成されている。なお、フランジ片96，97を両方共に大径にすると、調圧パッキン80を外蓋カバー35に組み込む際の作業性が低下して好ましくない。
【００８９】
さらに、この第３の実施例においても、第２の実施例で示したような突起部132が、蓋体31を構成する外蓋カバー35の取付用孔94の近傍に形成されており、清掃時などに調圧パッキン80が外れる不具合を防いでいる。
【００９０】
そして第３の実施例では、蓋体31の外蓋カバー35に嵌合するために、その断面を凹形にした凹部のある環状の取付部85を、調圧パッキン80に設けているが、当該取付部85は、第２のフランジ片97が第１のフランジ片96よりも大きな径を有しており、この部分で蓋体31との抵抗が増えているので、調圧パッキン80を調圧部58側に引っ張った時に、凹部の他方である第２のフランジ片97が蓋体31からの調圧パッキン80の外れを阻止して、清掃時に調圧パッキン80が外れてしまう不具合を、凹部の径の違いによってより効果的に抑制できる。
【００９１】
さらに、この第３の実施例においても、リブ91を設けた点や、調圧フレーム79の駆動源としてソレノイド78を配設した点や、さらにストッパー部98を設けた点などは、上記参考例で説明したものと共通している。
【００９２】
図１０は第４の実施例を示すもので、ここでは第３の実施例と同様に延長部133を形成していると共に、調圧部58側から見て、第１のフランジ片96と面一な表面がこの第１のフランジ片96の周囲に形成されるように、外蓋カバー35の壁部99に第１のフランジ片96が当接する段部134を設けている。
【００９３】
このように、第４の実施例における調圧パッキン80の取付部85は、調圧部58側に形成した凹部の一方である第１のフランジ片96の表面が、その周囲にある蓋体31の壁部99の表面とほぼ面一となるように形成されている。このようにすれば、清掃時に調圧パッキンを押そうとしたときに、第１のフランジ片96の周辺も面一に形成されていて、その部分に指などが先当たりしやすくなるため、調圧パッキン80に直接指などが触れにくくなり、清掃時に調圧パッキン80が外れてしまう不具合をさらに抑制できる。
【００９４】
さらに、この第４の実施例においても、リブ91を設けた点や、調圧フレーム79の駆動源としてソレノイド78を配設した点や、さらにストッパー部98を設けた点などは、上記参考例で説明したものと共通している。
【００９５】
なお、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能である。例えば、上記実施例および各参考例に示したものを、適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【００９６】
【図１】本発明の参考例における炊飯器の全体断面図である。
【図２】同上、ソレノイドの非通電状態における要部の拡大断面図である。
【図３】同上、ソレノイドの通電状態における要部の拡大断面図である。
【図４】同上、図２をさらに拡大した断面図である。
【図５】同上、ソレノイドおよびその周辺の斜視図である。
【図６】同上、電気的構成を示すブロック図である。
【図７】別な第１の実施例を示す要部の断面図である。
【図８】第２の実施例を示す要部の断面図である。
【図９】第３の実施例を示す要部の断面図である。
【図１０】第４の実施例を示す要部の断面図である。
【符号の説明】
【００９７】
１ 本体
11 鍋（容器）
31 蓋体
55 内蓋組立体（内蓋体）
58 調圧部
79 調圧フレーム（フレーム）
80 調圧パッキン（パッキン）
82 調圧操作部（操作部）
85 取付部
86 可動部
90，92 隙間
96 第１のフランジ片（凹部の一方）
97 第２のフランジ片（凹部の他方）
99 壁部
132 突起部
【技術分野】
【０００１】
本発明は、炊飯を行なう炊飯器に関し、特に製品をコンパクト化させた炊飯器に関する。
【背景技術】
【０００２】
一般に、この種の炊飯器は、容器を本体に収納自在とし、炊飯を行なうものが例えば特許文献１などで知られている。この特許文献１では、本体の上部に容器を覆う蓋体が設けられており、蓋体には、炊飯時に容器内から発生する水蒸気を放出するための蒸気排出機構や、容器に対向して配置される内蓋などが設けられる。その際、これらの蒸気排出機構の一部，内蓋からなる内蓋セット（内蓋体）が設けられる。
【０００３】
蓋体は、本体に対し開閉自在とする構造になっている。また、前記蒸気排出機構の一部は、圧力を調整する調圧部に相当するものである。また、孔部が設けられる。この孔部は、容器内の水蒸気を外部に放出させるためのものである。そして、圧力を調整する構成となっている。
【０００４】
さらに、前記蓋体には可動可能なフレームと、パッキンが設けられ、調圧部がフレームにより操作されるようになっている。
【特許文献１】特開２０００−７０１２９号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
しかし、上述した従来の炊飯器の構造では、次のような問題点があった。
【０００６】
炊飯或いは保温を終了し、炊飯器の各部を清掃する際に、清掃可能な箇所がよく清掃されるケースは多々ある。例えば、調圧弁を動作させるパッキンもその一つである。パッキンは炊飯器の奥に位置しており、蓋体を開けた状態で、内蓋セットを蓋体から取り外し、蓋体の下面にある凹部に指を差し入れなければ清掃することができず、実際には小さい部品なので布巾などを指の先に引掛けて清掃する場合が殆どである。
【０００７】
ところが、その際に、パッキンの外蓋カバーに取付ける部分を無意識のうちに押してしまい、パッキンと外蓋カバーとの嵌合が外れてしまう場合がある。これは、次回の炊飯時に蓋体内部への蒸気漏れを引き起こす原因となる。また、こうした事態を避けるために、清掃を終了する度にパッキンが外れていないか確認する煩わしさが生じる。
【０００８】
このような問題に対しては、外蓋カバーに対するパッキンの取付け部分、すなわち取付部を大きくすれば回避できるが、蓋体内部ひいては炊飯器としての製品寸法を大きくすることに繋がり、炊飯器の設置場所が限定される虞れを生じる。また、取付部全体を大きくすると、今度は製品の組立時にパッキンを外蓋カバーに嵌合しにくくなる。
【０００９】
パッキンが外れるのを防止するために、別部品を付加することも考えられるが、コストアップの要因となり、好ましくない。
【００１０】
本発明は上記問題点に鑑み、取付部を大きくしたり、別部品を追加することなく、パッキンに対する清掃性を向上させることができる炊飯器を提供することをその目的とする。
【課題を解決するための手段】
【００１１】
本発明の請求項１における炊飯器では、蓋体に嵌合するために、その断面を凹形にした環状の取付部を、パッキンに設けているが、この取付部は、調圧部側にある凹形の一方が、凹形の他方よりも大きな径を有しており、この部分で蓋体との抵抗が増えているので、パッキンを調圧部側から押した時に、凹形の一方が蓋体からのパッキンの外れを阻止して、清掃時にパッキンが外れてしまう不具合を抑制できる。しかも、このような構造では別部品を追加する必要がなく、製造コストを安くできる。さらに、取付部全体を大きくする必要もないので、製品をコンパクトにすることも可能になる。
【００１２】
本発明の請求項２における炊飯器では、パッキンの取付部よりも小さく、所定の隙間を有して、フレームの動きに支障のないような操作部がフレームに設けられているので、清掃時にパッキンを無意識に押しても、特に蓋体と嵌合する部分であるパッキンの取付部が、フレームに設けた操作部に当接し、それ以上に取付部が変形するのを防止することができる。そのため、清掃時に調圧パッキンが外れてしまう不具合を、操作部によってより効果的に抑制できる。
【００１３】
本発明の請求項３における炊飯器では、パッキンの取付部よりも小径で、しかも所定の隙間を有して、フレームの動きに支障のないような凸部がフレームの操作部に設けられているので、清掃時にパッキンを無意識に押しても、フレームの操作部に設けた凸部にパッキンが当接して、それ以上にパッキンが変形するのを防止し、清掃時にパッキンが外れてしまう不具合を、凸部によってさらに効果的に抑制できる。
【００１４】
本発明の請求項４における炊飯器では、清掃時にパッキンを押そうとしたときに、取付部の外側に位置して設けられた突起部に指などが先当たりして、パッキンに触れづらくなり、清掃時にパッキンが外れてしまう不具合を抑制できる。しかも、突起部は蓋体の一部として一体的に設けられており、別部品を追加する必要がなく、製造コストを安くできる。さらに、取付部を大きくする必要もないので、製品をコンパクトにすることも可能になる。
【００１５】
本発明の請求項５における炊飯器では、取付部にある凹部の一方が、凹部の他方よりも大きく、この部分で蓋体との抵抗が増えているので、パッキンを調圧部側から押した時に、凹部の一方が蓋体からのパッキンの外れを阻止して、清掃時にパッキンが外れてしまう不具合を、凹部の大きさの違いによってより効果的に抑制できる。
【００１６】
本発明の請求項６における炊飯器では、取付部にある凹部の他方が、凹部の一方よりも大きく、この部分で蓋体との抵抗が増えているので、パッキンを調圧部側に引っ張った時に、凹部の他方が蓋体からのパッキンの外れを阻止して、清掃時にパッキンが外れてしまう不具合を、凹部の径の違いによってより効果的に抑制できる。
【００１７】
本発明の請求項７における炊飯器では、清掃時にパッキンを押そうとしたときに、凹部の周辺にある壁部も面一に形成されていて、その部分に指などが先当たりしやすくなるため、パッキンに直接指などが触れにくくなり、清掃時にパッキンが外れてしまう不具合をさらに抑制できる。
【００１８】
本発明の請求項８における炊飯器では、フレームの駆動源がソレノイドであるため、このソレノイドへの通電を行なうか否かによって、内蓋体に設けた調圧部を所望の位置に動かすことができる。
【００１９】
本発明の請求項９における炊飯器では、蓋体を清掃する場合には通常ソレノイドが非通電となっているが、この状態ではフレームのストッパー部が取付部の任意の箇所に当たっているので、パッキンを引っ張ったりしても、蓋体からパッキンが外れにくくなり、清掃性がさらに向上する。
【発明の効果】
【００２０】
本発明の請求項１における炊飯器によれば、取付部を大きくしたり、別部品を追加することなく、パッキンに対する清掃性を向上させることができる。
【００２１】
本発明の請求項２における炊飯器によれば、清掃時にパッキンが外れてしまう不具合を、操作部によってより効果的に抑制できる。
【００２２】
本発明の請求項３における炊飯器によれば、清掃時にパッキンが外れてしまう不具合を、凸部によってさらに効果的に抑制できる。
【００２３】
本発明の請求項４における炊飯器によれば、取付部を大きくしたり、別部品を追加することなく、パッキンに対する清掃性を向上させることができる。
【００２４】
本発明の請求項５における炊飯器によれば、清掃時にパッキンが外れてしまう不具合を、凹形の径の違いによってより効果的に抑制できる。
【００２５】
本発明の請求項６における炊飯器によれば、清掃時にパッキンが外れてしまう不具合を、凹形の径の違いによってより効果的に抑制できる。
【００２６】
本発明の請求項７における炊飯器によれば、凹形の一方とほぼ面一な壁部によって、清掃時にパッキンが外れてしまう不具合をさらに抑制できる。
【００２７】
本発明の請求項８における炊飯器によれば、ソレノイドへの通電または非通電により、調圧部を所望の位置に動かすことができる。
【００２８】
本発明の請求項９における炊飯器によれば、パッキンを引っ張ったりしても、蓋体からパッキンを外れにくくすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【００２９】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明における炊飯器の好ましい実施例を説明する。
【００３０】
まず、図１に基づき、本発明の参考例である炊飯器の構成について説明する。同図において、１は炊飯器の外郭をなす本体で、この本体１は、その上面と上側面を構成する上枠２と、側面を構成するほぼ筒状の外枠３とにより形成され、外枠３の底部開口を覆う底板４が設けられている。そして、上枠２や底板４は、ＰＰ（ポリプロピレン）などの合成樹脂で形成される一方で、外枠３は清掃性や外観品位を向上させるために、例えばステンレスなどの金属部材で形成される。また、上枠２の上面内周部から一体に垂下させて形成されるほぼ筒状の鍋収容部６と、この鍋収容部６の下面開口を覆って設けられ、ＰＥＴ（ポリエチレンテレフタレート）などの合成樹脂で形成される内枠８とにより、後述する鍋11を収納する有底筒状で非磁性材料からなる鍋収容体９が形成される。
【００３１】
前記鍋収容体９内には、米や水などの被炊飯物を収容する有底筒状の鍋11が着脱自在に収容される。この鍋11は、熱伝導性のよいアルミニウムを主材料とした鍋本体12と、この鍋本体12の外面の側面下部から底面部にかけて接合されたフェライト系ステンレスなどの磁性金属板からなる発熱体13とにより構成される。鍋11の側面中央から上部に発熱体13を設けないのは、鍋11の軽量化を図るためである。また、鍋11の上端周囲には、その外周側に延出する円環状のフランジ部14が形成されている。なお、鍋収容部６の外周には加熱手段を設けない構成となっている。
【００３２】
前記内枠８は、鍋11の発熱体13に対向して位置しているが、この内枠８の外面の発熱体13に対向する側面下部および底面部には、鍋11の特に底部を電磁誘導加熱する加熱手段としての加熱コイル16が設けられている。そして、この加熱コイル16に高周波電流を供給すると、加熱コイル16から発生する交番磁界によって鍋11の発熱体13が発熱し、鍋11ひいては鍋11内の水や米などの被炊飯物が加熱されるようになっている。
【００３３】
また、内枠８の底部中央部には、鍋11の底部外面と弾発的に接触するように、鍋温度検出手段としての温度センサ21が配置され、鍋11の温度を検知し、加熱コイル16による鍋11の底部の加熱温度を主に温度管理するようになっている。
【００３４】
前記鍋収容体９の上端には、鍋11の側面上部、特にフランジ部14を加熱するためのコードヒータ26が、鍋11のフランジ部14の下側に位置して円環状に配置されている。このコードヒータ26は電熱式ヒータからなり、鍋収容体９の上端に載置するようにして取り付けられた熱放散抑止部材としてのヒータリング27上に保持されると共に、コードヒータ26を上から覆うようにしてヒータリング27に取り付けられ、かつ熱伝導性に優れた例えばアルミ板からなる固定金具と放熱部とを兼用する金属板29を備えて、フランジヒータを構成している。この金属板29は、炊飯器本体１と蓋体31との隙間に対向して位置している。そして、前記金属板29の上面に鍋11のフランジ部14の下面が載置し、これにより、鍋11が本体１の上枠２に吊られた状態で、鍋収容体９内に収容されるようになっている。したがって、鍋11とこの鍋11が収容された鍋収容体９の上端との間における隙間がほとんどない構成になる。しかも、鍋11のフランジ部14は、外形がコードヒータ26と同等以上の大きさに形成されており、これにより、コードヒータ26が鍋11のフランジ部14で上から覆われるようになっている。但し、図示していないが、鍋11の持ち手部（フランジ部14）は非接触にし、部分的に隙間を形成することで、鍋11の外面に水が付着した状態で炊飯したときに、当該隙間から蒸気が排出されるようにしてある。
【００３５】
蓋体31は、その上面外殻を形成する例えばプラスチック製の外蓋32と、外蓋32の上面部を覆う三次元形状の金属蓋33と、蓋体31の内面である下面を形成する放熱板34と、外蓋32および放熱板34を結合させて蓋体31の骨格を形成する蓋ベース材としての外蓋カバー35とを主たる構成要素としている。外蓋カバー35に設けられる放熱板34は金属製であり、例えば、ステンレスやアルミニウムをアルマイトした材料からなっている。また、前記蓋体31の内部にあって、放熱板34の上面には、蓋加熱手段としての蓋ヒータ36が設けられている。この蓋ヒータ36は、コードヒータなどの電熱式ヒータや、電磁誘導加熱式による加熱コイルでもよい。
【００３６】
前記本体１を構成する上枠２の後方には、蓋体31と連結するヒンジ部38が設けられる。このヒンジ部38には、炊飯器の正面から見て左右方向に一対の孔39が設けられていると共に、ねじりコイルバネなどで形成したヒンジバネ40が、その内部に収納される。一方、外蓋カバー35の後方にも、前記ヒンジ部38に設けた孔39と対向するようにヒンジ受部としての外蓋カバーヒンジ孔（図示せず）が設けられる。そして、このヒンジ孔とヒンジ部38の孔39に共通して、棒状のヒンジシャフト41を挿通することで、本体１と蓋体31がヒンジシャフト41を支点として開閉自在に軸支される。さらに、前記ヒンジバネ40の一端と他端が、外蓋カバー35と外枠２にそれぞれ引掛けられることで、蓋体31は常時開方向に付勢されている。
【００３７】
外蓋カバー35に設けたヒンジ受部の略反対側に位置して、当該外蓋カバー35の前方には蓋体クランプ部としてのクランプ44を設ける。このクランプ44は、図２にも示すように、蓋体31の内部に設けたクランプシャフト45を中心として、外蓋カバー35に対し回転自在に軸支される。なお、クランプシャフト45は、その軸が蓋体31の水平左右方向にほぼ沿って配置される。蓋体31の前方上面には、蓋開ボタン46が露出状態で配設されており、この蓋開ボタン46の下側に、前記クランプ44の基端部44Ａが配置される。また蓋体31の内部には、前記クランプ44の基端部44Ａを蓋開ボタン46側に付勢するバネなどのクランプ付勢手段（図示せず）が設けられており、これにより蓋開ボタン46を常時上方に押し上げようとする力が作用する。
【００３８】
クランプ44は、蓋開ボタン46に当接する基端部44Ａの他に、外蓋カバー35の下面にあるクランプ用孔48から下方に突出する垂下部44Ｂと、クランプ44の実質的な先端部に相当し、垂下部44Ｂの下端を起点として、そこから本体１の内方に延出する係合部44Ｃとにより構成される（図２や図３を参照）。これらの垂下部44Ｂや係合部44Ｃは、クランプ44の下側にあって左右一対に設けられる。クランプ44の回転中心となるクランプシャフト45は、垂下部44Ｂの上端に沿うように配置されており、係合部44Ｃは本体１のほぼ前後方向に遥動するようになっている。
【００３９】
一方、上枠２に設けたヒンジ部38の略反対側に位置して、当該上枠２の前方には本体クランプ部としてのクランプ受け（図示せず）が配設されており、蓋体31を本体１側に閉じようとすると、クランプ44がクランプシャフト45を中心軸として回転し、当該クランプ受けに係合することで、本体１に対し蓋体31を閉状態に保持するようになっている。
【００４０】
55は、放熱板34の外側すなわち下側に設けられる内蓋体としての内蓋組立体である。この内蓋組立体55は、鍋11の上方開口部とほぼ同径の円盤状を有し、ステンレスやアルミニウムをアルマイトした金属性の内蓋56と、鍋11と内蓋56との間をシールするために、当該内蓋56の外縁上部全周に設けられ、シリコーンゴムやフッ素ゴムなどの弾性部材からなるシール部材としての蓋パッキン57と、内釜の内圧力を調整する調圧部58とを備えている。環状に形成された蓋パッキン57は、蓋体31を閉じた時（蓋閉時）に、鍋11のフランジ部14上面に当接して、この鍋11と内蓋56との間の隙間を塞ぎ、鍋11から発生する蒸気を密閉するものである。また、前記内蓋56の外周部には、内蓋組立体55を蓋体31に装着したときにのみ、前記クランプ付勢手段の弾性力をクランプ44に作用させるフック部（図示せず）を形成したパッキンベース59が固定されており、パッキンベース59と内蓋56とにより挟まれて蓋パッキン57が固定されている。これにより、内蓋56と蓋パッキン57はパッキンベース59で一体化され、内蓋組立体55が蓋体31の下面から着脱可能に設けられることにより、炊飯毎に内蓋組立体55を単体で洗うことが可能になる。
【００４１】
前記放熱板34には、蓋体31の特に内蓋56の温度を検知する蓋温度検知手段として、蓋ヒータ51による内蓋56の温度管理を行なうためのサーミスタ式の蓋温度センサ61（図６参照）が設けられていている。また、蓋体31の上面後方寄り部には、蓋体31の上面側から着脱可能な蒸気口62が設けられる。蒸気口62と前記調圧部58は蓋体31の内部で連通しており、これらの蒸気口62や調圧部58により、鍋11内で発生した蒸気を外部へ放出するための蒸気排出機構が形成される。
【００４２】
次に、調圧部58およびその周辺の構成を、図２〜図５の各図をも参照しながら説明する。前記調圧部58は、調圧用の調圧弁65と、調圧弁65を保持する調圧弁ホルダー66と、調圧弁65を覆うドーム状の調圧弁カバー67とにより構成される。調圧弁65は耐食性に優れた材料で、ある程度の重量を有する部品であればよく、例えばオーステナイト系のステンレスからなるボールであってもよい。調圧弁ホルダー66は、球状の調圧弁65を載置する台座部69と、調圧弁65の下方に配置され、鍋11と連通してこの鍋11内の蒸気を排気する第１の連通孔としての連通孔70とを有する。連通孔70は、鍋11と内蓋56とを連通させるためのもので、この連通孔70を通過する蒸気が、蒸気口62から外部に放出されるようになっている。また、調圧弁65は台座部69に載置された状態で、連通孔70を塞ぐようになっており、連通孔70の開口面積と調圧弁65の重量とにより、鍋11内の圧力を調整することができる。
【００４３】
内蓋56の適所には、前記調圧弁ホルダー66の台座部69が挿通可能な挿入孔72が形成されると共に、前記台座部69の下側には、この台座部69よりも径大なフランジ部73が形成される。これにより、調圧弁ホルダー66を内蓋56の挿入孔72に向けて下側から挿通すると、フランジ部73が挿入孔72の周囲部下面に当接する。そして、調圧弁ホルダー66を内蓋56の挿入孔72に差し込み、調圧弁65を調圧弁ホルダー66に保持した状態で、調圧弁ホルダー66の上方から調圧弁カバー67を被せることで、内蓋56に調圧部58が組立てられる。このとき、調圧弁ホルダー66と調圧弁カバー67は爪嵌合により取付け固定されてもよいし、ネジやリベットなどの止着部材で取付け固定されてもよい。本参考例では、内蓋56の挿入孔72の周囲部が調圧弁ホルダー66と調圧弁カバー67とにより挟持されるので、挿入孔72を露出させない構造とすることができる。
【００４４】
調圧弁カバー67は、調圧弁65の移動範囲を規制するためのもので、連通孔70から放出する蒸気を蒸気口62に導く複数の孔（図示せず）が設けられている。また、調圧弁ホルダー66の下部には、当該調圧弁ホルダー66の下側開口を覆う調圧弁フィルター74が設けられる。この調圧弁フィルター74は、第２の連通孔に相当する複数の孔が設けられていて、ここから調圧部58内に蒸気が進入するようになっている。
【００４５】
前記内蓋組立体55には、その他に鍋11内の圧力が何らかの要因で設定値以上である異常圧力に昇圧すると、ばねに抗して弁体75を押し上げ、孔76を開放して鍋11の内圧を下げる安全弁77が設けられる。調圧部58および安全弁77は、内蓋56を外蓋カバー35の下側に取付けたときに、蒸気口62の入口側に臨んで設けられる。
【００４６】
78は、蓋体31の内部に設けられ、前記調圧弁65を動かして蓋体31の密閉度すなわち鍋11の内圧を調節するソレノイドである。また、蓋体31の内部に位置して、外蓋カバー35には、ソレノイド78によって可動可能な調圧フレーム79と、蓋体31内部を水密状態に保持する可撓性の調圧パッキン80が設けられる。これらのソレノイド78や調圧フレーム79は、外蓋カバー35により蓋体31の内部に形成された調圧収容部81に収容配置されている。
【００４７】
調圧フレーム79は、調圧弁65に向けて突出する操作部としての調圧操作部82と、ソレノイド78を囲うようにして設けたフレーム部83とを一体に形成したものであり、調圧操作部82が調圧部58を構成する調圧弁カバー67の側部開口に臨むように配置される。また、調圧パッキン80の基端には、外蓋カバー35に設けた取付用孔84の周縁に嵌合するように、断面が凹字形状をなす取付部85が設けられる。この取付部85は環状をなし、その内側に可動する調圧フレーム79が配置される。調圧パッキン80の先端には、調圧弁65に直接接触してこの調圧弁65を動作させる可動部86が一体に形成される。可動部86は、前記調圧フレーム79の調圧操作部82を簡単に差し込んで装着できるようにキャップ状に形成されており、取付部85と可動部86との間を一体的に繋ぐ連結部87を、他の部位よりも肉薄に形成して、十分な柔軟性を持たせることにより、調圧フレーム79と共に可動部86が調圧弁65に向けて出没するようになっている。
【００４８】
前記調圧フレーム79は、調圧操作部82の基端部に位置して、フレーム部83との繋ぎ部88が形成される。この繋ぎ部88は、可動部86が装着される調圧操作部82の先端部よりも径大ではあるものの、少なくとも調圧フレーム79や調圧パッキン80の寸法誤差を見越して、調圧フレーム79が可動する全ての位置で、調圧パッキン80の取付部85の内径に、繋ぎ部88の外面が接触して干渉しないように、しかも清掃時に調圧パッキン80の取付部85周辺を指で押し込んだ場合に、取付部85が外蓋カバー35から外れる前に繋ぎ部88の外面に当接するように、取付部85の内径に対して所定の隙間90を有して小径になるように形成される。
【００４９】
調圧フレーム79の繋ぎ部88は、さらに調圧操作部82の先端部に近い部位で、放射状に突出した複数の凸部たるリブ91を設けている。このリブ91は、取付部85の内径との間に所定の隙間92を形成し、且つこの取付部85の内径よりも小径となるように配設される。ここでも、調圧パッキン80の取付部85の内径に、調圧フレーム79が接触して干渉しないように、しかも清掃時に調圧パッキン80の連結部87周辺を指で押し込んだ場合に、取付部85が外蓋カバー35から外れる前に、繋ぎ部88の外面に連結部87が当接するように、所定の隙間92を設けることが重要であり、リブ91以外にボスなどを代用してもよい。また突起形状とせず、繋ぎ部88自体の形状を利用してもよい。
【００５０】
本参考例では、ソレノイド78の非通電状態において、調圧フレーム79を進出位置に保持し、調圧弁65を連通孔70から退避する一方で、通電状態において調圧フレーム79を退避させて、調圧弁65を連通孔70に自重で転動させ、鍋11内に圧力を投入するものである。すなわち、図１，図２，図４は、ソレノイド78の非通電状態を示しており、図３はソレノイド78の通電状態を示している。なお、調圧フレーム79の駆動源としては、参考例のようなソレノイド78の他に、例えばステッピングモータなどを利用してもよい。
【００５１】
前記調圧パッキン80の取付部85は、凹形の一方をなす第１のフランジ片96が、調圧部58に対向して形成され、凹形の他方をなす第２のフランジ片97が、調圧フレーム79に対向して形成される。そして、この２つのフランジ片96，97が取付用孔84の周縁を両側から挟み込むことで、調圧パッキン80が外蓋カバー35ひいては蓋体31に嵌合される。また、前記調圧フレーム79のフレーム部83には、ソレノイド78の非通電状態において、取付部85を構成する第２のフランジ片97に当接するストッパー部98が設けられる。このストッパー部98は、図４に示すように、調圧フレーム79が進出位置にあるときに、外蓋カバー35により形成した取付用孔84の周囲の壁部99を利用して、第２のフランジ片97を挟持するものであるが、好ましくは第２のフランジ片97を押し付けるように配設すれば、取付部85が外蓋カバー35からより外れにくくなる。また、ここでのストッパー部98は、部品点数の増加を避けるために調圧フレーム79と一体的に形成されていれば、第１のフランジ片97以外の取付部85に当接してもよい。
【００５２】
調圧フレーム79はソレノイド78により動作するが、このソレノイド78にはプランジャー（図示せず）を備えており、プランジャーを調圧フレーム79に引掛けた状態で取付けている。ソレノイド78と調圧フレーム79との間には、プランジャーを介して弾性手段としてのバネ（図示せず）が設けられており、ソレノイド78の非通電時にこのバネの付勢力を利用して、調圧フレーム79を調圧部58側に進出させる。ソレノイド78が通電されると、プランジャーは引き込まれる。
【００５３】
そして、内蓋組立体55を外蓋カバー35に取付けた状態で、ソレノイド78の非通電時には調圧フレーム79が調圧部58側に進出することにより、内蓋組立体55の調圧弁65が前方に押し出されて、調圧弁ホルダー66の下方に形成した連通孔70が開放される。一方、ソレノイド78の通電時にはプランジャーが引き込まれて調圧フレーム79が後退し、調圧弁65は調圧弁ホルダー66の連通孔70を閉塞する。
【００５４】
再度図１に戻り、前記本体１の前部には操作パネル101が設けられている。この操作パネル101の内側には時間や選択したメニューを表示するＬＣＤ102や、他にいずれも図示しないが、現在の行程を表示するＬＥＤや、炊飯を開始させたり、メニューを選択させるためのスイッチなどを配置した基板が配設される。操作部に相当する操作パネル101はボタン名などを表示するもので、電子部品である制御手段にほこりや水が付着することも防止している。なお、操作パネル101を蓋体31の正面側に設けてもよい。
【００５５】
111は、本体１の内部前方に設けられた加熱制御手段である。この加熱制御手段111は、加熱手段である加熱コイル16を駆動させるための発熱素子（図示せず）を基板に備えて構成される。この加熱コイル16を駆動する素子は、加熱コイル16の発振と共に加熱されるが、動作状態を保証する使用条件温度を有するので、一定温度以下で使用する必要がある。そのために、加熱コイル16を駆動する素子は、例えばアルミニウムのような熱伝導性の良好な材料で構成されるフィン状の放熱器112に熱的に接続され、冷却手段である冷却ファン113から発する風を放熱器112に当てて熱を奪うことにより、使用条件温度内で素子を駆動するようにしている。
【００５６】
冷却ファン113は、加熱制御手段111に取り付けられた放熱器112の下方、若しくは側部に配置されている。また、本体１の底部若しくは側部には、冷却ファン113から発し、加熱制御手段111に取り付けられた放熱器112から熱を奪って温かくなった風を、本体１の外部へ排出するための孔（図示せず）が複数設けられている。加熱制御手段111は製品内部すなわち本体１内に収納されるが、鍋11の外周囲のどの位置に配置してもよい。また、本体１の底部若しくは側部に設けた孔も、どの位置に配置してもよい。しかし、近年は製品の小形化設計が求められている背景もあり、加熱制御手段111や冷却ファン113と、温かな風を排出する孔114は、鍋11をはさんで略反対位置に配置するのが好ましい。
【００５７】
本体１の内部には、電源プラグ（図示せず）を巻き取るためのコードリール116が設けられる。また117は、本体１の両側部を跨ぐように設けられた運搬用の回転可能なハンドルである。
【００５８】
次に制御系統について、図６を参照しながら説明する。同図において、111は前述の加熱制御手段で、これは前記鍋温度センサ21および蓋温度センサ61からの各温度情報を受信して、炊飯時および保温時に鍋11の底部を加熱する加熱コイル16と、鍋11の側部を加熱するコードヒータ26と、蓋体31を加熱する蓋ヒータ36とを各々制御するものである。特に本参考例の加熱制御手段111は、鍋温度センサ21の検出温度に基づいて主に加熱コイル16が制御されて鍋11の底部を温度管理し、蓋温度センサ52の検出温度に基づいて主に蓋ヒータ26が制御されて放熱板34ひいては内蓋56を温度管理するようになっている。加熱制御手段111は、自身の記憶手段（図示せず）に記憶されたプログラムの制御シーケンス上の機能として、被調理物の調理加熱を制御する調理制御手段を備えており、ここでは炊飯時に前記鍋11内の被調理物を炊飯加熱する炊飯制御手段120と、保温時に鍋11内のご飯を所定の保温温度に保温加熱する保温制御手段121とをそれぞれ備えている。
【００５９】
122は、加熱制御手段111からの制御信号を受けて、加熱コイル16に所定の高周波電流を供給する高周波インバータ回路などを内蔵した加熱コイル駆動手段である。またこれとは別に、加熱制御手段111の出力側には、加熱制御手段111からの制御信号を受けて、放熱板34や内蓋56を加熱するように蓋ヒータ36を駆動させる蓋ヒータ駆動手段123と、コードヒータ26をオンにするコードヒータ駆動手段124と、ソレノイド78をオンまたはオフにするソレノイド駆動手段125が各々設けられる。前記炊飯制御手段120による炊飯時、および保温制御手段121による保温時には、鍋温度センサ21と蓋温度センサ61からの各温度検出により、加熱コイル16による鍋11の底部への加熱と、コードヒータ26による鍋11の側面への加熱と、蓋ヒータ36による蓋体31への加熱が行なわれるように構成する。また、前記炊飯制御手段120による炊飯が終了し、鍋11内の被調理物がご飯として炊き上がった後は、保温制御手段121による保温に自動的に移行し、鍋温度センサ21の検知温度に基づき、加熱コイル16やコードヒータ26による鍋11への加熱を調節することで、ご飯を所定の保温温度（約70℃〜76℃）に保温するように構成している。
【００６０】
特に前記コードヒータ26による加熱について補足説明すると、炊飯後にご飯の温度が約100℃から約73℃の保温温度に低下するまでと、約73℃の保温安定時に、コードヒータ26を発熱させて、蓋体31と本体１との隙間の空間に金属板29から熱放射して、この隙間からの外気の侵入による冷えを抑制すると共に、鍋11のフランジ部14を加熱する。また、保温時にご飯を再加熱する期間にもコードヒータ26により鍋11のフランジ部14を加熱し、ご飯の加熱により発生する水分が鍋11の内面上部に結露することを防止するように構成している。
【００６１】
次に、上記構成についてその作用を説明する。鍋11内に被調理物である米および水を入れて、炊飯制御手段120による炊飯を開始すると、鍋温度センサ21による鍋11の底部の温度検知に基づいて、加熱コイル16とコードヒータ26で鍋11の底部と側面部をそれぞれ加熱し、鍋11内の水温を約45〜60℃に15〜20分間保持するひたし炊きが行なわれる。このひたし炊き中は、ソレノイド78をオン状態にして、調圧フレーム79を退避させている。
【００６２】
その後、加熱コイル16により鍋11を強加熱し、被調理物への沸騰加熱を行なう。この沸騰加熱時に鍋11の底部の温度が90℃以上になり、蓋体31の温度が90℃以上で安定したら、鍋11内が沸騰状態になったものとして、それまでよりも加熱量を低減した沸騰継続加熱に移行する。沸騰加熱の途中で、炊飯制御手段120はソレノイド78をオフ状態にして、調圧フレーム79を進出位置に保持させ、調圧パッキン80を介して調圧弁65を連通口70から退避させる。これにより、調圧部58は密閉せずに鍋11の内外を連通させた開放状態となり、鍋11はほぼ大気圧に維持される。なお、上述の蓋体31の温度が90℃以上で安定したことは、蓋温度センサ61からの検出温度の温度上昇率により検知される。また、この沸騰検知において、鍋温度センサ21と蓋温度センサ61とにより、鍋11の底部および蓋体31がいずれも90℃以上になったことを確認でき、完全に鍋11内が沸騰したことを精度よく検知できる。
【００６３】
また、前記鍋11の底部，鍋11の側面部または蓋体31のいずれかが120℃以上の通常ではあり得ない検知温度になったら、加熱制御手段111は何らかの異常があると判断して炊飯加熱における加熱量を低減して全ての動作を停止する切状態にするか、後述するむらしに移行するか、保温を行ない、異常加熱を防止する。逆に、前記鍋11の底部または蓋体31のいずれかが90℃以上になって所定時間（例えば5分）経過しているのに、それ以外の鍋11の底部または蓋体31のいずれかが90℃未満で低い状態の場合、この温度の低い状態の鍋温度センサ21または蓋温度センサ61が、何らかの理由（汚れや傾きや接触不良など）で温度検知精度が悪化していると判断し、同様に炊飯加熱における加熱量を低減して全ての動作を序止する切状態にするか、むらしに移行するか、保温を行ない、これに対処する。
【００６４】
沸騰継続に移行すると、炊飯制御手段120は蓋ヒータ36による蓋加熱を開始させる。ここでの蓋加熱は、内蓋56の温度が100〜110℃になるように、蓋温度センサ61の検知温度により管理される。また沸騰継続加熱に移行したら、炊飯制御手段120はソレノイド78を周期的にオン・オフさせる。この沸騰継続加熱では、操作パネル101により選択したメニューに応じて、ソレノイド78の通断電タイミングを変えるのが好ましい。これにより、鍋11に通じる調圧部58の密閉度を、選択したメニューに応じて最適なものに可変することができる。そして、鍋11の底部が所定の温度上昇を生じたら、炊き上げを検知して、むらしに移行する。むらし中は蓋温度センサ61の検出温度による温度管理によって蓋ヒータ36を通断電し、内蓋56への露付きを防止すると共に、ご飯が焦げない程度に高温（98〜100℃）が保持されるように、鍋11の底部の温度を管理する。むらしは所定時間（15〜20分）続けられ、むらしが終了したら保温制御手段121による保温に移行する。
【００６５】
保温になると、加熱コイル16にて鍋11の底部と側面下部を加熱すると共に、鍋11内に収容するご飯の温度よりも僅かに高く、蓋ヒータ36により蓋体31の下面を加熱し、さらに鍋11の側面をコードヒータ26でご飯が乾燥せず、かつ露が多量に付着しないように温度管理する。鍋11内のご飯の温度は70〜76℃に温度保持されるが、この保温時においても、鍋温度センサ21や蓋温度センサ61が相互に異常に高かったり、あるいは異常に低かったりした場合には、異常を検知してこの異常加熱を防止する。
【００６６】
また、蒸気むらしから保温に至る各行程での調圧部58の密閉度は、選択した調理コースに応じて変えるが、実質的な炊飯終了であるむらしの所定時間前になったら、ソレノイド78をオフにして調圧部58の密閉度を下げ、炊飯終了時に蓋体31を開けるのに支障がない程度に減圧する。
【００６７】
炊飯や保温の終了後に、調圧パッキン80を清掃する場合には、蓋体31を開けた状態で、蓋体31の下面から内蓋組立体55を取り外す。清掃時にはソレノイド78がオフ状態となっているため、調圧フレーム79および調圧パッキン80は進出位置にある。ここで、清掃時において、調圧パッキン80の取付部85を構成する調圧部58側のフランジ片96に指などが引っ掛かり、調圧パッキン80を奥側へ押し込もうとしても、取付部85の内方には所定の隙間90を有する調圧フレーム79の繋ぎ部88が位置しており、この繋ぎ部88に調圧パッキン80の取付部85が当接して、それ以上の変形を防止する。よって、調圧パッキン80の取付部85は外蓋カバー35の壁部99からは外れにくくなる。
【００６８】
また、取付部85よりもやや中央寄りの連結部87に指などが接触し、そこから調圧パッキン80を奥側へ押し込もうとしても、連結部87の内方には所定の隙間92を有する調圧フレーム79のリブ91が位置しており、このリブ91に調圧パッキン80の連結部87が当接して、やはりそれ以上の調圧パッキン80の変形を防止する。そのため、取付部85のみならず連結部87を押し込もうとした場合であっても、調圧パッキン80の取付部85が外蓋カバー35から離脱するのを防止できる。
【００６９】
さらに、ソレノイド78の非通電時には、調圧フレーム79に形成したストッパー部98が、調圧パッキン80の取付部85を構成する第２のフランジ片97に当接して、この第２のフランジ片97を外蓋カバー35の壁部99に向けて押し付けている。こうすることで、清掃時などに調圧パッキン80を引っ張るような力が加わっても、ストッパー部98と外蓋カバー35の壁部99とにより、取付部85の第２のフランジ片97を挟み込むことで、外蓋カバー35からの調圧パッキン80の離脱を確実に防ぐことができる。
【００７０】
以上のように本参考例では、容器である鍋11を収納する本体１と、この本体１の上部を覆う蓋体31と、鍋11の上部開口部を直接覆い、蓋体31の下面に着脱自在に設けられる内蓋体としての内蓋組立体55とを備え、内蓋組立体55には少なくとも鍋11内の圧力を調整する調圧部58が設けられており、蓋体31には例えば水平方向に可動可能なフレームとしての調圧フレーム79と、可撓性を有するパッキンとしての調圧パッキン80が設けられており、内蓋組立体55に設けた調圧部58の調圧弁65が、調圧パッキン80を介して調圧フレーム79により操作されるように構成した炊飯器において、調圧パッキン80よりも小さく、この調圧パッキン80と所定の隙間90を有して、調圧パッキン80の変形を規制する操作部としての調圧操作部82の繋ぎ部88を、調圧フレーム79と共に一つの部材として設けている。
【００７１】
こうすると、調圧パッキン80よりも小さく、当該調圧パッキン80と所定の隙間90を有して、調圧フレーム79の動きに支障のないような調圧操作部82の繋ぎ部88が、この調圧フレーム79に設けられているので、調圧パッキン80に指などを差し入れて清掃を行なう際に、調圧パッキン80を無意識に押しても、調圧操作部82の繋ぎ部88に調圧パッキン80が当接して、それ以上に調圧パッキン80が変形するのを防止し、清掃時に調圧パッキン80が外れてしまう不具合を抑制できる。しかも、この調圧操作部82は調圧フレーム79自体に設けられており、別部品を追加する必要がなく、製造コストを安くできる。さらに、調圧パッキン80の取付部85を大きくする必要もないので、製品をコンパクトにすることも可能になる。
【００７２】
また本参考例における調圧パッキン80は、蓋体31に嵌合する環状の取付部85と、調圧操作部82が装着される可動部86が設けられ、取付部85の内径よりも小さく、この取付部85の内径と所定の隙間90を有して、調圧フレーム79に前記調圧操作部82の繋ぎ部88が設けられている。
【００７３】
この場合は特に、調圧パッキン80の取付部85の例えば内径よりも小さく、この取付部85の内径と所定の隙間90を有して、調圧フレーム79の動きに支障のないような調圧操作部82の繋ぎ部88が調圧フレーム79に設けられているので、清掃時に調圧パッキン80を無意識に押しても、特に蓋体31の外蓋カバー35と嵌合する部分である調圧パッキン80の取付部85が、調圧フレーム79に設けた調圧操作部82の繋ぎ部88に当接し、それ以上に取付部85が変形するのを防止することができる。そのため、清掃時に調圧パッキン80が外れてしまう不具合を、より効果的に抑制できる。
【００７４】
また本参考例における調圧操作部82は、調圧パッキン80の可動部86を装着する部分と異なる箇所（先端部以外の箇所）に、例えば取付部85の内径と所定の隙間92を有して、調圧パッキン80の変形を規制する凸部としてのリブ91を複数設けている。
【００７５】
この場合、調圧パッキン80の取付部85よりも小径で、しかもこの取付部85の内径と所定の隙間92を有して、調圧フレーム79の動きに支障のないような複数のリブ91が、調圧フレーム79の調圧操作部82に設けられているので、清掃時に調圧パッキン80を無意識に押しても、調圧フレーム79の調圧操作部82に設けたリブ91に調圧パッキン80が当接して、それ以上に調圧パッキン80が変形するのを防止し、清掃時に調圧パッキン80が外れてしまう不具合を、リブ91によってさらに効果的に抑制できる。
【００７６】
さらに本参考例では、可動する調圧フレーム79の駆動源として、蓋体31の内部にソレノイド78を配設している。この場合、調圧フレーム79の駆動源がソレノイド78であるため、このソレノイド78への通電を行なうか否かによって、内蓋組立体55に設けた調圧部58を所望の位置に動かすことができる。
【００７７】
また本参考例における調圧フレーム79は、ソレノイド78の非通電時に取付部85に当接するストッパー部98を設けている。蓋体31を清掃する場合には通常ソレノイド78が非通電となっているが、この状態では調圧フレーム79のストッパー部98が取付部85の例えば第２のフランジ片97に当たっているので、調圧パッキン80を引っ張ったりしても、蓋体31から調圧パッキン80が外れにくくなり、清掃性がさらに向上する。
【００７８】
次に、本願発明に関連する実施例を、添付図面に基づき説明する。なお、これらの各実施例は、調圧パッキン80の取付部85や、外蓋カバー35の構造が部分的に異なるだけで、他は上記参考例と共通しているので、同一部分には同一符号を付して説明する。
【００７９】
図７に示す第１の実施例では、蓋体31に嵌合する環状の取付部85と、調圧操作部82が装着される可動部86が調圧パッキン80に設けられている点は、上記参考例と共通しているが、調圧パッキン80の取付部85は、調圧部58側に形成した凹形の一方（第１のフランジ片96）が、調圧フレーム79側に形成した凹形の他方（第２のフランジ片97）よりも大きな径を有している。そしてこの部分は、図７において延長部131として形成されている。なお、フランジ片96，97を両方共に大径にすると、調圧パッキン80を外蓋カバー35に組み込む際の作業性が低下して好ましくない。
【００８０】
このように第１の実施例では、蓋体31の外蓋カバー35に嵌合するために、その断面を凹形にした環状の取付部85を、調圧パッキン80に設けているが、当該取付部85は、第１のフランジ片96が第２のフランジ片97よりも大きな径を有しており、この部分で蓋体31との抵抗が増えているので、調圧パッキン80を調圧部58側から押した時に、凹形の一方である第１のフランジ片96が蓋体31からの調圧パッキン80の外れを阻止して、清掃時に調圧パッキン80が外れてしまう不具合を抑制できる。しかも、このような構造では別部品を追加する必要がなく、製造コストを安くできる。さらに、取付部85全体を大きくする必要もないので、製品をコンパクトにすることも可能になる。
【００８１】
なお、この第１の実施例においても、調圧パッキン80の取付部85の内径よりも小さく、この取付部85の内径と所定の隙間90を有して、調圧フレーム79の動きに支障のないような調圧操作部82の繋ぎ部88が調圧フレーム79に設けられているので、清掃時に調圧パッキン80を無意識に押しても、特に蓋体31の外蓋カバー35と嵌合する部分である調圧パッキン80の取付部85が、調圧フレーム79に設けた調圧操作部82の繋ぎ部88に当接し、それ以上に取付部85が変形するのを防止することができる。そのため、清掃時に調圧パッキン80が外れてしまう不具合を、調圧操作部82の繋ぎ部88によってより効果的に抑制できる。
【００８２】
さらに、リブ91を設けた点や、調圧フレーム79の駆動源としてソレノイド78を配設した点や、さらにストッパー部98を設けた点などは、上記参考例で説明したとおりである。
【００８３】
図８に示す第２の実施例では、蓋体31を構成する外蓋カバー35の取付用孔94の近傍に、突起部132を形成している。この突起部132は、取付部85における調圧部58側に形成した凹形の一方（第１のフランジ片96）より外側に位置して、この取付部85の全周を囲うように、外蓋カバー35と同一部材で環状に突出形成されている。突起部132は、清掃時などに指が調圧パッキン80に直接触れるのを防止するために設けられており、そうした目的が達成できれば、他のどのような形状であっても構わない。
【００８４】
このように第２の実施例では、蓋体31に調圧パッキン80の取付用孔84を設け、蓋体31の取付用孔84に嵌合し、断面が凹形となるように凹部のある環状の取付部85と、調圧フレーム79の調圧操作部が装着される可動部86とを調圧パッキン80に設けると共に、蓋体31の取付用孔84の近傍には、取付部85における調圧部58側に形成した第１のフランジ片96より外側に位置して、この取付部85を囲うように突起部132を形成している。
【００８５】
こうすると、清掃時に調圧パッキン80を押そうとしたときに、取付部85の外側に位置して設けられた突起部132に指などが先当たりして、調圧パッキン80に触れづらくなり、清掃時に調圧パッキン80が外れてしまう不具合を抑制できる。しかも、突起部132は蓋体31の構成部品（外蓋カバー35）の一部として一体的に設けられており、別部品を追加する必要がなく、製造コストを安くできる。さらに、取付部85を大きくする必要もないので、製品をコンパクトにすることも可能になる。
【００８６】
また、図８に示す第２の実施例では、前記第１の実施例と同様に、取付部85の第１のフランジ片96が第２のフランジ片97よりも大きな径を有しており、この部分で蓋体31との抵抗が増えているので、調圧パッキン80を調圧部58側から押した時に、凹部の一方である第１のフランジ片96が蓋体31からの調圧パッキン80の外れを阻止して、清掃時に調圧パッキン80が外れてしまう不具合を、凹部の大きさ（径）の違いによってより効果的に抑制できる。
【００８７】
さらに、この第２の実施例においても、リブ91を設けた点や、調圧フレーム79の駆動源としてソレノイド78を配設した点や、さらにストッパー部98を設けた点などは、上記参考例で説明したものと共通している。
【００８８】
図９に示す第３の実施例では、調圧パッキン80の取付部85は、調圧フレーム79側に形成した凹部の他方（第２のフランジ片97）が、調圧部58側に形成した凹部の一方（第１のフランジ片96）よりも大きな径を有している。そしてこの部分は、図９において延長部133として形成されている。なお、フランジ片96，97を両方共に大径にすると、調圧パッキン80を外蓋カバー35に組み込む際の作業性が低下して好ましくない。
【００８９】
さらに、この第３の実施例においても、第２の実施例で示したような突起部132が、蓋体31を構成する外蓋カバー35の取付用孔94の近傍に形成されており、清掃時などに調圧パッキン80が外れる不具合を防いでいる。
【００９０】
そして第３の実施例では、蓋体31の外蓋カバー35に嵌合するために、その断面を凹形にした凹部のある環状の取付部85を、調圧パッキン80に設けているが、当該取付部85は、第２のフランジ片97が第１のフランジ片96よりも大きな径を有しており、この部分で蓋体31との抵抗が増えているので、調圧パッキン80を調圧部58側に引っ張った時に、凹部の他方である第２のフランジ片97が蓋体31からの調圧パッキン80の外れを阻止して、清掃時に調圧パッキン80が外れてしまう不具合を、凹部の径の違いによってより効果的に抑制できる。
【００９１】
さらに、この第３の実施例においても、リブ91を設けた点や、調圧フレーム79の駆動源としてソレノイド78を配設した点や、さらにストッパー部98を設けた点などは、上記参考例で説明したものと共通している。
【００９２】
図１０は第４の実施例を示すもので、ここでは第３の実施例と同様に延長部133を形成していると共に、調圧部58側から見て、第１のフランジ片96と面一な表面がこの第１のフランジ片96の周囲に形成されるように、外蓋カバー35の壁部99に第１のフランジ片96が当接する段部134を設けている。
【００９３】
このように、第４の実施例における調圧パッキン80の取付部85は、調圧部58側に形成した凹部の一方である第１のフランジ片96の表面が、その周囲にある蓋体31の壁部99の表面とほぼ面一となるように形成されている。このようにすれば、清掃時に調圧パッキンを押そうとしたときに、第１のフランジ片96の周辺も面一に形成されていて、その部分に指などが先当たりしやすくなるため、調圧パッキン80に直接指などが触れにくくなり、清掃時に調圧パッキン80が外れてしまう不具合をさらに抑制できる。
【００９４】
さらに、この第４の実施例においても、リブ91を設けた点や、調圧フレーム79の駆動源としてソレノイド78を配設した点や、さらにストッパー部98を設けた点などは、上記参考例で説明したものと共通している。
【００９５】
なお、本発明は、上記実施例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で変更可能である。例えば、上記実施例および各参考例に示したものを、適宜組み合わせてもよい。
【図面の簡単な説明】
【００９６】
【図１】本発明の参考例における炊飯器の全体断面図である。
【図２】同上、ソレノイドの非通電状態における要部の拡大断面図である。
【図３】同上、ソレノイドの通電状態における要部の拡大断面図である。
【図４】同上、図２をさらに拡大した断面図である。
【図５】同上、ソレノイドおよびその周辺の斜視図である。
【図６】同上、電気的構成を示すブロック図である。
【図７】別な第１の実施例を示す要部の断面図である。
【図８】第２の実施例を示す要部の断面図である。
【図９】第３の実施例を示す要部の断面図である。
【図１０】第４の実施例を示す要部の断面図である。
【符号の説明】
【００９７】
１ 本体
11 鍋（容器）
31 蓋体
55 内蓋組立体（内蓋体）
58 調圧部
79 調圧フレーム（フレーム）
80 調圧パッキン（パッキン）
82 調圧操作部（操作部）
85 取付部
86 可動部
90，92 隙間
96 第１のフランジ片（凹部の一方）
97 第２のフランジ片（凹部の他方）
99 壁部
132 突起部
【特許請求の範囲】
【請求項１】
容器を収納する本体と、前記本体の上部を覆う蓋体と、前記容器を覆うように設けられる内蓋体とを備え、
圧力を調整する調圧部を前記内蓋体に設け、
可動可能なフレームと、パッキンとを前記蓋体に設け、
前記調圧部が前記フレームにより操作されるように構成した炊飯器において、
前記パッキンは、前記蓋体に嵌合し凹部のある取付部と、可動部が設けられ、
前記取付部は、形成した前記凹部の一方が、他方よりも大きいことを特徴とする炊飯器。
【請求項２】
前記取付部よりも小さく、所定の隙間を有した操作部を前記フレームに設けたことを特徴とする請求項１記載の炊飯器。
【請求項３】
前記取付部を形成すると共に、
前記操作部は前記可動部を装着する部分と異なる箇所に、所定の隙間を有して変形を規制する凸部を設けたことを特徴とする請求項２記載の炊飯器。
【請求項４】
容器を収納する本体と、前記本体の上部を覆う蓋体と、前記容器を覆うように設けられる内蓋体とを備え、
圧力を調整する調圧部を前記内蓋体に設け、
可動可能なフレームと、パッキンとを前記蓋体に設け、
前記調圧部がフレームにより操作されるように構成した炊飯器において、
前記蓋体に孔部を設け、
前記パッキンは、前記蓋体に嵌合し凹部のある取付部と、可動部が設けられ、
前記蓋体の近傍には、形成した前記凹部の一方より外側に位置して、この取付部の周囲に突起部を形成したことを特徴とする炊飯器。
【請求項５】
前記取付部は、形成した前記凹部の一方が、他方よりも大きいことを特徴とする請求項４記載の炊飯器
【請求項６】
前記取付部は、形成した前記凹部の他方が、前記一方よりも大きいことを特徴とする請求項４記載の炊飯器。
【請求項７】
前記取付部は、形成した前記凹形の一方が、壁部とほぼ面一に形成されることを特徴とする請求項４記載の炊飯器。
【請求項８】
前記フレームの駆動源として、前記蓋体にソレノイドを配設したことを特徴とする請求項１〜７のいずれか一つに記載の炊飯器。
【請求項９】
前記フレームは、前記取付部に当接するストッパー部を設けたことを特徴とする請求項８記載の炊飯器。
【請求項１】
容器を収納する本体と、前記本体の上部を覆う蓋体と、前記容器を覆うように設けられる内蓋体とを備え、
圧力を調整する調圧部を前記内蓋体に設け、
可動可能なフレームと、パッキンとを前記蓋体に設け、
前記調圧部が前記フレームにより操作されるように構成した炊飯器において、
前記パッキンは、前記蓋体に嵌合し凹部のある取付部と、可動部が設けられ、
前記取付部は、形成した前記凹部の一方が、他方よりも大きいことを特徴とする炊飯器。
【請求項２】
前記取付部よりも小さく、所定の隙間を有した操作部を前記フレームに設けたことを特徴とする請求項１記載の炊飯器。
【請求項３】
前記取付部を形成すると共に、
前記操作部は前記可動部を装着する部分と異なる箇所に、所定の隙間を有して変形を規制する凸部を設けたことを特徴とする請求項２記載の炊飯器。
【請求項４】
容器を収納する本体と、前記本体の上部を覆う蓋体と、前記容器を覆うように設けられる内蓋体とを備え、
圧力を調整する調圧部を前記内蓋体に設け、
可動可能なフレームと、パッキンとを前記蓋体に設け、
前記調圧部がフレームにより操作されるように構成した炊飯器において、
前記蓋体に孔部を設け、
前記パッキンは、前記蓋体に嵌合し凹部のある取付部と、可動部が設けられ、
前記蓋体の近傍には、形成した前記凹部の一方より外側に位置して、この取付部の周囲に突起部を形成したことを特徴とする炊飯器。
【請求項５】
前記取付部は、形成した前記凹部の一方が、他方よりも大きいことを特徴とする請求項４記載の炊飯器
【請求項６】
前記取付部は、形成した前記凹部の他方が、前記一方よりも大きいことを特徴とする請求項４記載の炊飯器。
【請求項７】
前記取付部は、形成した前記凹形の一方が、壁部とほぼ面一に形成されることを特徴とする請求項４記載の炊飯器。
【請求項８】
前記フレームの駆動源として、前記蓋体にソレノイドを配設したことを特徴とする請求項１〜７のいずれか一つに記載の炊飯器。
【請求項９】
前記フレームは、前記取付部に当接するストッパー部を設けたことを特徴とする請求項８記載の炊飯器。
【図１】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【図２】
【図３】
【図４】
【図５】
【図６】
【図７】
【図８】
【図９】
【図１０】
【公開番号】特開２００８−２８９９４５（Ｐ２００８−２８９９４５Ａ）
【公開日】平成２０年１２月４日（２００８．１２．４）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００８−２３２４９７（Ｐ２００８−２３２４９７）
【出願日】平成２０年９月１０日（２００８．９．１０）
【分割の表示】特願２００５−３３４００５（Ｐ２００５−３３４００５）の分割
【原出願日】平成１７年１１月１８日（２００５．１１．１８）
【出願人】（３９００１０１６８）東芝ホームテクノ株式会社 (292)
【Ｆターム（参考）】
【公開日】平成２０年１２月４日（２００８．１２．４）
【国際特許分類】
【出願日】平成２０年９月１０日（２００８．９．１０）
【分割の表示】特願２００５−３３４００５（Ｐ２００５−３３４００５）の分割
【原出願日】平成１７年１１月１８日（２００５．１１．１８）
【出願人】（３９００１０１６８）東芝ホームテクノ株式会社 (292)
【Ｆターム（参考）】
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