説明

炊飯器

【課題】ご飯を短時間で炊き、炊きムラを低減できる炊飯器を提供する。
【解決手段】本体1に、蒸気を生成する蒸気発生部15と、蒸気発生部15で生成される蒸気を加熱して過熱蒸気を生成する過熱蒸気生成部16とを設ける。本体1および蓋体2に、過熱蒸気生成部16からの過熱蒸気を収容する過熱蒸気収容室40を形成して、内鍋10と内蓋22を、その過熱蒸気で内鍋10と内蓋22との外面を包むようにして収容する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、炊飯器に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、炊飯器としては、特開2010−99221号公報(特許文献1)に記載されたものがある。
【0003】
この従来の炊飯器では、本体と、この本体の上部に開閉自在に取り付けられた蓋体と、上記本体に設けた保護枠に取り出し可能に収納された内鍋と、この内鍋の開口を塞ぐ内蓋と、内鍋の底の一部および側面の一部、並びに、内蓋の一部に対向する誘導コイルとを備えている。そして、上記従来の炊飯器では、誘導コイルで内鍋および内蓋の一部を誘導加熱するようにしている。
【0004】
しかしながら、上記従来の炊飯器では、誘導コイルによって直接加熱されるのは内鍋と内蓋の各々の一部分のみであり、内鍋と内蓋の各々の残りの部分は熱伝導によって昇温するので、内鍋と内蓋の各々の誘導コイルに対向する部分およびその近傍の表面温度と、内鍋と内蓋の各々の残りの部分の表面温度との間に大きな温度差が生じて、温度ムラが発生していた。そのため、上記内鍋内の米や水の温度分布が不均一になって、ご飯の炊き上がりに長時間かかり、かつ、ムラが発生するという問題があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2010−99221号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
そこで、この発明の課題は、内鍋および内蓋を短時間で均一に加熱して、ご飯の炊きムラを低減することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するため、この発明の炊飯器は、
本体と、
上記本体の上部に開閉自在に取り付けられ、上記本体の上部開口を閉じることができる蓋体と、
上記本体内に取り出し可能に収納される内鍋と、
上記内鍋の開口を塞ぐと共に、上記内鍋に対して離脱可能な内蓋と、
蒸気を生成する蒸気発生部と、
上記蒸気発生部で生成された蒸気を加熱して過熱蒸気を生成する過熱蒸気生成部と、
上記本体および上記蓋体に設けられると共に、上記過熱蒸気生成部で生成された過熱蒸気を、その過熱蒸気で上記内鍋と上記内蓋との外面を包むようにして収容する過熱蒸気収容室と
を備えることを特徴とする。
【0008】
上記構成によれば、過熱蒸気生成部で生成され、本体と蓋体とに設けられた過熱蒸気収容室に収容された過熱蒸気によって、内鍋と内蓋の外面が包まれて加熱されるので、内鍋の外面全体と内蓋の外面全体を均一に加熱することできる。したがって、上記内鍋と内蓋の表面温度のムラを低減して、内鍋内の被加熱物を均一に加熱することができる。
【0009】
また、従来のように内鍋の一部分と内蓋の一部分が加熱されるのではなく、内鍋と内蓋の外面全体が過熱蒸気で包まれて加熱されるので、迅速に内鍋と内蓋を加熱することができ、内鍋内部の被加熱物を短時間で加熱できる。
【0010】
また、一実施形態の炊飯器では、上記過熱蒸気生成部が、
上記内鍋の下側に配置され、上記蒸気発生部と上記過熱蒸気収容室とに内部が連通するケースと、
このケース内に設けられ、蒸気を加熱するヒータとを含む。
【0011】
上記実施形態によれば、過熱蒸気生成部のケース内で生成された過熱蒸気が、内鍋の下側から過熱蒸気収容室に供給されるため、過熱蒸気収容室内の温度勾配を少なくでき、より均一に内鍋の外面全体と内蓋の外面全体を加熱できる。
【0012】
また、一実施形態の炊飯器では、上記過熱蒸気収容室の過熱蒸気を加熱するための蓋ヒータが、上記蓋体に設けられている。
【0013】
上記実施形態によれば、過熱蒸気収容室の過熱蒸気を加熱する蓋ヒータを蓋体に設けることによって、内蓋の外面を包む過熱蒸気収容室内の過熱蒸気が加熱されて、内蓋を加熱する過熱蒸気の温度の低下を防止することができる。
【0014】
また、一実施形態の炊飯器では、上記蒸気発生部が上記過熱蒸気発生部を兼ねる。
【0015】
上記実施形態によれば、蒸気発生部が過熱蒸気生成部を兼ねていて、つまり、蒸気発生部と過熱蒸気生成部とが一体であって、蒸気発生部において、蒸気だけでなく過熱蒸気も生成することができるので、簡単な構成で過熱蒸気を過熱蒸気収容室に供給できる。
【0016】
また、一実施形態の炊飯器では、上記蓋体には、上記内鍋内部で発生した水蒸気を上記本体の外部へ排出する蒸気口が設けられており、
上記過熱蒸気収容室が、上記蒸気口に連通していて、上記過熱蒸気収容室の過熱蒸気が、上記蒸気口から排出される。
【0017】
上記実施形態によれば、内鍋内で発生した水蒸気だけでなく、過熱蒸気収容室で内鍋と内蓋を加熱した過熱蒸気も、上記蒸気口から本体の外部へ排出されるので、本体に必要な蒸気口を1つにして、構成を簡単にできる。
【0018】
また、一実施形態の炊飯器では、上記過熱蒸気生成部が、上記過熱蒸気収容室内の下側の両端に連通している。
【0019】
上記実施形態によれば、過熱蒸気生成部で生成された過熱蒸気が、過熱蒸気収容室の下側の両端から過熱蒸気収容室に供給されるので、過熱蒸気収容室内の温度勾配をより少なくでき、より均一に内鍋の外面全体と内蓋の外面全体を加熱できる。
【発明の効果】
【0020】
以上より明らかなように、この発明の炊飯器によれば、内鍋および内蓋を短時間で均一に加熱して、ご飯の炊きムラを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】図1は、この発明の一実施形態の炊飯器の斜視図である。
【図2】図2は、上記炊飯器の蓋体を開いた状態の斜視図である。
【図3】図3は、図1のIII-III線から見た炊飯器の縦端面図である。
【図4】図4は、上記炊飯器の制御ブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、この発明の炊飯器を図示の実施形態により詳細に説明する。
【0023】
この実施形態の炊飯器は、図1に示すように、本体1と、この本体1の上部に開閉自在に取り付けた蓋体2とを備えている。上記本体1は、前面側に設けた表示操作部3と、前面かつ上側に設けたフックボタン4と、後面側に回動自在に取り付けた本体ハンドル5と、後面側かつ下側に接続した電源コード6とを有している。上記表示操作部3は、液晶ディスプレイと複数の操作ボタンを有している。上記蓋体2は、本体1に設けているラッチ機構(図示せず)に解除可能に係止した状態で閉じている。また、上記蓋体2の略中央に蒸気口2aを設けている。
【0024】
図2は、上記炊飯器の蓋体2を開いた状態の斜視図である。
【0025】
上記蓋体2は、図2に示すように、外蓋21および内蓋22を有している。この蓋体2は、本体1の上側かつ後面側に取り付けていて、ヒンジ軸20(図3に示す)を中心に回動自在である。
【0026】
また、上記本体1内には、内鍋10を取り出し可能に収容している。この内鍋10は、被加熱物(米や水等)を収容する。上記内鍋10の上端は開口しており、この開口の上面視の形状は略円形となっている。また、内鍋10の上端の開口の縁には環状のフランジ部10aを設けている。そして、内鍋10のフランジ部10aには、径方向において互いに対向するように耐熱樹脂製の内鍋把手11,11を取り付けている。
【0027】
また、上記本体1の上面の2箇所には、それぞれ、互いに対向するように凹部12a(図2では1つだけ示す)を設けている。この凹部12a,12aに上記内鍋10の内鍋把手11,11を嵌合することで、本体1に対する内鍋10の位置を決めている。
【0028】
図3は、図1のIII-III線から見た炊飯器の縦端面図である。
【0029】
上記本体1は、図3に示すように、本体ケース12と、この本体ケース12内に配置され、内鍋10を収納する外鍋13とを有する。
【0030】
上記内鍋10は、フランジ部10aと円筒形状の胴体部10bとからなる。この胴体部10bは、フランジ部10aと繋がる上端が開口していて、底面の角部分は、丸みを帯びている。
【0031】
上記内鍋10は、例えばアルミニウムなどの高熱伝導部材で形成され、プレスまたは鋳造で成形される。この内鍋10の内面には、被加熱物の付着を防ぐためのフッ素樹脂をコーティングしている。なお、この炊飯器は、過熱蒸気によって被加熱物を加熱して調理するので、誘導コイルによって被加熱物を誘導加熱する炊飯器のように、上記内鍋10の外面にステンレス等の磁性体を貼り付ける必要はなく、簡単、安価に製造できる。
【0032】
上記外鍋13は、断面略矩形で、上側が開口している。また平面視において、上記内鍋10の胴体部10bよりもやや大きい外形寸法を有している略円形状である。上記外鍋13の底面中央には、外鍋13を貫通する底温度センサ35を配置している。この底温度センサ35は、外鍋13に収納された内鍋の底に先端部が当接して、内鍋10の底の温度を検出する。また、上記外鍋13の側面上方には、側面ヒータ32を周方向に沿って設けている。なお、この外鍋13は、耐熱性と電気絶縁性を有する材料で形成している。
【0033】
上記内鍋10は、上記外鍋13の上端部に内鍋10のフランジ部10aを係止して、外鍋13内に取り外し可能に収容している。このとき、上記内鍋10の側面および底面と上記外鍋13との間に一定の間隔を開けている。また、このフランジ部10aの下面には、外鍋13の上端面に取り付けた環状の耐熱ゴム製の下パッキン41が接離可能になっている。上記内鍋10を外鍋13に収納したときに、この下パッキン41が内鍋10のフランジ部10aの下面に密着して、内鍋10と外鍋13との間をシールしている。
【0034】
上記蓋体2は、本体1に回動自在に取り付けた外蓋21と、内蓋22と、この内蓋22と外蓋21との間に位置する天板39とを有している。上記内蓋22と天板39との間には、一定の間隔を開けている。
【0035】
上記内蓋22は、平面視において、上記内鍋10のフランジ部10aを含めた外形寸法よりもやや小さい略円形状である。この内蓋22の外周には環状の耐熱ゴム製の上パッキン42を取り付けている。蓋体2によって本体1の上部の開口を閉じたときに、上記内蓋22は、上記内鍋10の上部開口を塞いでいて、内鍋10のフランジ部10aの上面には、上記上パッキン42が接離可能に密着して、内鍋10と内蓋22との間をシールしている。
【0036】
また、上記外蓋21の内鍋10と対向する側に有している天板39の上方に蓋ヒータ33を設けている。なお、図3においては、蓋ヒータ33を外蓋21と天板39との間に設けているが、内蓋22と天板39との間に設けてもよい。
【0037】
上記蓋体2には、上記内蓋22を貫通している蒸気穴24を設けていて、この蒸気穴24の上側に圧力弁17を設けている。この圧力弁17によって内鍋10内の圧力を調整することで、内鍋10内の温度を適温に維持することができる。上記圧力弁17の上側には、蒸気口2aを設けていて、内鍋10内で発生した水蒸気を、蒸気穴24と圧力弁17を介して、蒸気口2aから本体1の外側に排出している。また、蒸気外蓋21の天板39の略中央に、上記蒸気口2aを介して、蓋体2の内部と蓋体2の外部とに連通する蒸気排出路25を設けている。
【0038】
上記外鍋13と上記天板39とで過熱蒸気を収容する過熱蒸気収容室40を形成している。この過熱蒸気収容室40は、上記本体1と蓋体2に設けていることになる。
【0039】
上記過熱蒸気収容室40に上記内鍋10を収容したときにおいて、上記内鍋10の側面および底面と上記外鍋13とで、過熱蒸気収容室40の本体1側部分である過熱蒸気収容室40の下部50を形成している。また、内蓋22と外蓋21の内鍋10に対向する側にある天板39とで、過熱蒸気収容室40の蓋体2側部分である過熱蒸気収容室40の上部60を形成している。
【0040】
また、上記過熱蒸気収容室40の下部50と上記過熱蒸気収容室40の上部60とを連結するコ字状の蒸気パイプ26を設けている。この蒸気パイプ26は、過熱蒸気収容室40の下部50の側面上方の両端と過熱蒸気収容室40の上部60の両端とを連結している(図3では左側の1つのみを示す)。この蒸気パイプ26は、蓋体2側のL字状のパイプと本体1側のL字状のパイプとを連結して形成しており、上記蓋体2で本体1の上部開口を閉じたときに、本体1と蓋体2とを連結する部分が密着するように、パッキン23でシールしている。さらに、この蒸気パイプ26の蓋体2側の周囲に蓋用過熱蒸気生成用ヒータ(以下蓋用SHヒータという)34を設けている。
【0041】
上記本体ケース12と上記外鍋13との間には、水タンク14を設けている。この水タンク14の下部に、ポンプ28を設けている。このポンプ28を介して、上記水タンク14は、蒸気発生部の一例としてのエンジン15に水を供給している。
【0042】
上記エンジン15は、上記外鍋13の後面の下側に設けている。このエンジン15は、アルミニウムまたは亜鉛ダイキャスト製のエンジンケース38と、このエンジンケース38の底部に埋め込まれたエンジン用ヒータ18とを有している。上記水タンク14から供給された水は、エンジン用ヒータ18からの熱で加熱されて水蒸気になる。
【0043】
上記外鍋13の下側に、外鍋13の底面の一部と側面の下側を覆うように、過熱蒸気発生部の一例としてのヒータダクト16を設けている。このヒータダクト16は、上記外鍋13の下面の中央部を除く外周部に対向しているダクトケース37と、ヒータの一例の過熱蒸気生成用ヒータ(以下SHヒータという)31とを有している。
【0044】
上記ダクトケース37の下部には、蒸気入口29が開口していて、この蒸気入口29は、ダクトケース37内とエンジンケース38内とに連通している。また、外鍋13の下側の両端には、過熱蒸気出口19が開口していて、この過熱蒸気出口19は、ダクトケース37内と過熱蒸気収容室40の下部50とに連通している。
【0045】
したがって、上記水タンク14の水は、ポンプ28によってエンジン15に供給され、エンジンケース38内でエンジン用ヒータ18によって加熱されて水蒸気となり、蒸気入口29からヒータダクト16に供給される。ヒータダクト16に供給された水蒸気は、ヒータダクト16のダクトケース37内でSHヒータ31によって加熱され過熱蒸気となり、過熱蒸気出口19から過熱蒸気収容室40の下部50へ供給されることになる。
【0046】
なお、上記炊飯器では、過熱蒸気出口19を外鍋13の側面の下側の両端に設けているが、これに限られず、外鍋13の下側の両端であれば、例えば、この蒸気供給口19の位置は底面でもよい。
【0047】
図4は、上記炊飯器の制御ブロック図である。
【0048】
上記本体1内に配置した制御部30は、マイクロコンピュータと入出力回路等からなり、図4に示すように、表示操作部3からの操作信号や底温度センサ35、蓋体2内に配置した蓋温度センサ36からの信号等に基づいて、表示操作部3、水タンク14、エンジン15、ヒータダクト16、SHヒータ31、側面ヒータ32、蓋ヒータ33、蓋用SHヒータ34を制御する。
【0049】
上記構成の炊飯器において炊飯を行う場合、図3に示すように、まず、上記水タンク14からポンプ28を介してエンジン15内のエンジンケース38に水が供給される。このエンジン15内のエンジンケース38内に供給された水は、エンジンケース38内の下側に埋め込まれた2つのエンジン用ヒータ18によって加熱されて水蒸気になる。この水蒸気は、エンジンケース38の上面に開口している蒸気入口29からヒータダクト16のダクトケース37内に供給される。
【0050】
上記ヒータダクト16のダクトケース37内に供給された水蒸気は、ヒータダクト16内のSHヒータ31によって加熱されて過熱蒸気になる。この過熱蒸気は、外鍋13の下側の両端に開口している過熱蒸気出口19から過熱蒸気収容室40の下部50に供給される。
【0051】
さらに、上記外鍋13の側面上方の両端に設けている蒸気パイプ26を介して、過熱蒸気が過熱蒸気収容室40の上部60に供給される。このとき、内鍋10の加熱に使用されなかった、あるいは、内鍋10の加熱に使用されて温度の下がった過熱蒸気(水蒸気)が、上記外鍋13の側面上方の周方向に沿って設けている側面ヒータ32と、上記蒸気パイプ26の蓋体2側に設けている蓋用SHヒータ34と、上記外蓋21の天板39の上方に設けている蓋ヒータ33とによって再び加熱されて、過熱蒸気収容室40の上部60に供給される。
【0052】
このように、上記過熱蒸気収容室40の下部50内が過熱蒸気で満たされることで、上記内鍋10の外面が過熱蒸気に包まれて、内鍋10の外面全体が均一に加熱されると共に、過熱蒸気収容室40の上部60内が加熱された過熱蒸気で満たされることで、上記内蓋22の外面が過熱蒸気に包まれて、内鍋10の外面全体および内蓋22の外面全体が均一に加熱される。
【0053】
したがって、上記本体1と上記蓋体2とに設けられた過熱蒸気収容室40の過熱蒸気によって内鍋10の外面と内蓋22の外面が包まれて加熱されるので、内鍋10の外面全体と内蓋22の外面全体を均一に加熱することできる。したがって、内鍋10と内蓋22の表面温度ムラを低減して、内鍋10内の被加熱物を均一に加熱することができる。
【0054】
また、従来のように内鍋10の一部分と内蓋22の一部分が加熱されるのではなく、内鍋10の外面全体と内蓋22の外面全体が過熱蒸気で包まれて加熱されるので、迅速に内鍋10と内蓋22を加熱することができ、内鍋10内部の被加熱物を短時間で加熱できる。
【0055】
さらに、ヒータダクト16のダクトケース37内で生成された過熱蒸気が、外鍋13の下側の両端に開口している過熱蒸気出口19から過熱蒸気収容室40の下部50に供給されるので、過熱蒸気収容室40内の温度勾配をより少なくでき、より均一に内鍋10の外面全体と内蓋22の外面全体を加熱できる。
【0056】
上記内鍋10と上記内蓋22とを加熱した過熱蒸気は、上記蒸気口2aから本体1の外部に排出される。このとき、上記過熱蒸気は、上記過熱蒸気収容室40の上部60の略中央の上面に開口している蒸気排出路25を通って、過熱蒸気収容室40の上部60から本体1の外部に排出される。また、この蒸気口2aからは、蒸気穴24と圧力弁17を通って、炊飯することによって内鍋10内で発生した水蒸気を内鍋10内から本体1の外部に排出している。
【0057】
このように、上記内鍋10内で発生した水蒸気だけでなく、過熱蒸気収容室40で内鍋10と内蓋22を加熱した過熱蒸気も上記蒸気口2aから炊飯器の外部へ排出しているので、本体1に必要な蒸気口2aを1つにして、構成を簡単にできる。
【0058】
上記炊飯器において、過熱蒸気収容室40の下部50の過熱蒸気は、130℃になるように加熱され、過熱蒸気収容室40の上部60の過熱蒸気は、150℃になるように加熱されている。
【0059】
仮に、過熱蒸気の温度が足りない未加熱状態で炊飯した場合、内鍋内の米と水を十分に加熱することができず、硬すぎるご飯になってしまう。一方、仮に、過熱蒸気の温度が高すぎる過加熱状態で炊飯した場合、米の表面のでんぷんをアルファ化しすぎてしまい、米がほとんど吸水できなくなる。そのため、芯の残ったご飯になってしまう。
【0060】
上記構成の炊飯器で調理する場合、内鍋10と内蓋13の表面温度のデータは次の通りである。

【0061】
このように、上記構成の炊飯器では、従来炊飯器と比べて、より均一に内鍋10を加熱することができる。
【0062】
上記実施形態では、側面ヒータ32と、蓋用SHヒータ34と、蓋ヒータ33とを設けて、過熱蒸気収容室40の下部50から蒸気パイプ26を介して供給される過熱蒸気(水蒸気)を加熱しているが、側面ヒータ32,蓋用SHヒータ34,蓋ヒータ33のうちのいずれか1つまたは2つを設けるようにしてもよい。つまり、温度の下がった過熱蒸気(水蒸気)を加熱して、再び内蓋22の加熱に必要な温度の過熱蒸気にすることができれば、側面ヒータ32,蓋用SHヒータ34,蓋ヒータ33のすべてを設けなくてもよい。
【0063】
また、上記実施形態では、水タンク14、エンジン15、ヒータダクト16をそれぞれ設けて、過熱蒸気を生成しているが、これに限られるものではない。例えば、エンジン15がヒータダクトを兼ねて、つまり、エンジン15とヒータダクト16とが一体であって、エンジン15で生成した過熱蒸気を、ダクトケース37を介して過熱蒸気収容室40に供給してもよい。
【0064】
また、上記実施形態では、上記過熱蒸気収容室40の下部50と上記過熱蒸気収容室40の上部60とを蒸気パイプ26で連結して、過熱蒸気収容室40の下部50から過熱蒸気収容室40の上部60に過熱蒸気を供給しているが、天板39と外鍋13との間をシールして、過熱蒸気収容室40の上部60と過熱蒸気収容室40の下部50とを過熱蒸気が直接通過するようにしてもよい。
【0065】
また、上記実施形態において、上記過熱蒸気収容室40の上部60から過熱蒸気を本体1の外部へ排出する蒸気排出路25に圧力弁17を設けて、過熱蒸気収容室40内の圧力が一定以上になったときに、この蒸気排出路15から本体1の外部に過熱蒸気を排出するようにしてもよい。
【符号の説明】
【0066】
1…本体
2…蓋体
2a…蒸気口
3…表示操作部
4…フックボタン
5…本体ハンドル
6…電源コード
10…内鍋
10a…フランジ部
10b…胴体部
11…内鍋把手
12…本体ケース
12a…凹部
13…外鍋
14…水タンク
15…エンジン
16…ヒータダクト
17…圧力弁
18…エンジン用ヒータ
19…過熱蒸気出口
20…ヒンジ軸
21…外蓋
22…内蓋
23…パッキン
24…蒸気穴
25…蒸気排出路
26…蒸気パイプ
28…ポンプ
29…蒸気入口
30…制御部
31…SHヒータ
32…側面ヒータ
33…蓋ヒータ
34…蓋用SHヒータ
35…底温度センサ
36…蓋温度センサ
37…ダクトケース
38…エンジンケース
39…天板
40…過熱蒸気収容室
41…下パッキン
42…上パッキン
50…過熱蒸気収容室の下部
60…過熱蒸気収容室の上部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体と、
上記本体の上部に開閉自在に取り付けられ、上記本体の上部開口を閉じることができる蓋体と、
上記本体内に取り出し可能に収納される内鍋と、
上記内鍋の開口を塞ぐと共に、上記内鍋に対して離脱可能な内蓋と、
蒸気を生成する蒸気発生部と、
上記蒸気発生部で生成された蒸気を加熱して過熱蒸気を生成する過熱蒸気生成部と、
上記本体および上記蓋体に設けられると共に、上記過熱蒸気生成部で生成された過熱蒸気を、その過熱蒸気で上記内鍋と上記内蓋との外面を包むようにして収容する過熱蒸気収容室と
を備えることを特徴とする炊飯器。
【請求項2】
請求項1に記載の炊飯器において、
上記過熱蒸気生成部が、
上記内鍋の下側に配置され、上記蒸気発生部と上記過熱蒸気収容室とに内部が連通するケースと、
このケース内に設けられ、蒸気を加熱するヒータと
を含むことを特徴とする炊飯器。
【請求項3】
請求項1または2に記載の炊飯器において、
上記過熱蒸気収容室の過熱蒸気を加熱するための蓋ヒータが、上記蓋体に設けられていることを特徴とする炊飯器。
【請求項4】
請求項1から3のいずれか1つに記載の炊飯器において、
上記蒸気発生部が上記過熱蒸気生成部を兼ねることを特徴とする炊飯器。
【請求項5】
請求項1から4のいずれか1つに記載の炊飯器において、
上記蓋体には、上記内鍋内部で発生した水蒸気を上記本体の外側へ排出する蒸気口が設けられており、
上記過熱蒸気収容室が、上記蒸気口に連通していて、上記過熱蒸気収容室の過熱蒸気が、上記蒸気口から排出されることを特徴とする炊飯器。
【請求項6】
請求項2に記載の炊飯器において、
上記過熱蒸気生成部が、上記過熱蒸気収容室内の下側の両端に連通していることを特徴とする炊飯器。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−115431(P2012−115431A)
【公開日】平成24年6月21日(2012.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−267236(P2010−267236)
【出願日】平成22年11月30日(2010.11.30)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】